(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/00 20060101AFI20240119BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20240119BHJP
B65D 23/02 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
B65D1/00 111
B65D1/02 220
B65D23/02 Z
(21)【出願番号】P 2020174130
(22)【出願日】2020-10-15
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝典
(72)【発明者】
【氏名】本田 孝行
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-128383(JP,A)
【文献】特開2019-151404(JP,A)
【文献】特開2019-210003(JP,A)
【文献】特開2015-101361(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0039918(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0084283(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00
B65D 1/02
B65D 23/00-25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、肩部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、
前記内容物の減少に伴い、前記外容器と前記内容器との間に外気を導入する外気導入孔を備え、
前記肩部は、複数の面部が角部を介して周方向に連ねられて構成され、
前記角部に、径方向の外側から見てボトル軸方向に延びる第1縦溝が形成されている、二重容器。
【請求項2】
前記面部のうちの少なくとも上端部に、径方向の外側から見てボトル軸方向に延びる第2縦溝が形成されている、請求項1に記載の二重容器。
【請求項3】
前記第1縦溝および前記第2縦溝はそれぞれ、前記肩部におけるボトル軸方向の全長にわたって形成され、
前記第2縦溝の下端部の深さは、前記第2縦溝の上端部の深さより浅くなっている、請求項2に記載の二重容器。
【請求項4】
前記第1縦溝および前記第2縦溝はそれぞれ、前記肩部におけるボトル軸方向の全長にわたって形成され、
前記第2縦溝の下端部の幅は、前記第2縦溝の上端部の幅より狭くなっている、請求項2または3に記載の二重容器。
【請求項5】
前記胴部は、ボトル軸に直交する横断面視で円形状を呈し、
前記外容器の胴部は、弾性変形可能に形成され、
前記面部は、ボトル軸に直交する横断面視で径方向の外側に向けて突の曲線状を呈する、請求項1から4のいずれか1項に記載の二重容器。
【請求項6】
前記外気導入孔は、前記肩部より上方に設けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載の二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、肩部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、内容物の減少に伴い、外容器と内容器との間に外気を導入する外気導入孔を備えた二重容器が知られている。
この種の二重容器として、例えば下記特許文献1に示されるような、肩部が、複数の面部が角部を介して周方向に連ねられてなる構成が知られている。
この二重容器によれば、肩部が、ボトル軸に直交する横断面視で角形状を呈するので、前記横断面視で円形状を呈する場合と比べて、内容器の肩部を、径方向の内側に向けて反転させる必要が無い分、容易に減容変形させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の二重容器では、肩部において外容器に対する内容器の剥離をスムーズに進行させることに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、肩部において外容器に対する内容器の剥離をスムーズに進行させることができる二重容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の二重容器は、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、肩部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、前記内容物の減少に伴い、前記外容器と前記内容器との間に外気を導入する外気導入孔を備え、前記肩部は、複数の面部が角部を介して周方向に連ねられて構成され、前記角部に、径方向の外側から見てボトル軸方向に延びる第1縦溝が形成されている。
【0007】
本発明では、肩部の角部に、径方向の外側から見てボトル軸方向に延びる第1縦溝が形成されているので、ブロー成形時に、外容器の角部と内容器の角部との間に、わずかな隙間を設けることが可能になり、内容物の減少に伴い、外気導入孔からの外気を前記隙間に進入させることで、この隙間を起点に、内容器の肩部を外容器の肩部から剥離させつつ減容変形させることできる。これにより、肩部において外容器に対する内容器の剥離をスムーズに進行させることが可能になり、内容物の残量を低減させることができる。
第1縦溝が、径方向の外側から見てボトル軸方向に延びていることから、内容物の減少に伴い、外気導入孔からの外気を、外容器の角部と内容器の角部との間におけるボトル軸方向の全長にわたって行き渡らせやすくなり、内容器を容易に減容変形させることできる。
第1縦溝が、内容器が減容変形しやすい面部ではなく、内容器が減容変形しにくい角部に形成されているので、肩部に第1縦溝を形成したことで、内容器の肩部が減容変形しにくくなるのを抑制することができる。
【0008】
前記面部のうちの少なくとも上端部に、径方向の外側から見てボトル軸方向に延びる第2縦溝が形成されてもよい。
【0009】
この場合、肩部の面部のうちの少なくとも上端部に、径方向の外側から見てボトル軸方向に延びる第2縦溝が形成されているので、ブロー成形時に、外容器の面部と内容器の面部との間に、わずかな隙間を設けることが可能になり、内容物の減少に伴い、外気導入孔からの外気をこの隙間に進入させることできる。これにより、ブロー成形時にほぼ延伸されず、減容変形しにくい面部の上端部であっても、内容器を外容器から剥離させつつ減容変形させることが可能になり、肩部における全域にわたって円滑に内容器を減容変形させることができる。
【0010】
前記第1縦溝および前記第2縦溝はそれぞれ、前記肩部におけるボトル軸方向の全長にわたって形成され、前記第2縦溝の下端部の深さは、前記第2縦溝の上端部の深さより浅くなってもよい。
【0011】
この場合、第1縦溝および第2縦溝がそれぞれ、肩部におけるボトル軸方向の全長にわたって形成されているので、肩部に第1縦溝および第2縦溝を形成したことによる見栄えの悪化を防ぐことができる。
第2縦溝の下端部の深さが、第2縦溝の上端部の深さより浅くなっているので、面部に第2縦溝を形成したことで、内容器の面部の剛性が高くなるのを抑制することが可能になり、内容物の減少に伴い、内容器の面部を確実に減容変形させることできる。
【0012】
前記第1縦溝および前記第2縦溝はそれぞれ、前記肩部におけるボトル軸方向の全長にわたって形成され、前記第2縦溝の下端部の幅は、前記第2縦溝の上端部の幅より狭くなってもよい。
【0013】
この場合、第1縦溝および第2縦溝がそれぞれ、肩部におけるボトル軸方向の全長にわたって形成されているので、肩部に第1縦溝および第2縦溝を形成したことによる見栄えの悪化を防ぐことができる。
第2縦溝の下端部の幅が、第2縦溝の上端部の幅より狭くなっているので、面部に第2縦溝を形成したことで、内容器の面部の剛性が高くなるのを抑制することが可能になり、内容物の減少に伴い、内容器の面部を確実に減容変形させることできる。
【0014】
前記胴部は、ボトル軸に直交する横断面視で円形状を呈し、前記外容器の胴部は、弾性変形可能に形成され、前記面部は、ボトル軸に直交する横断面視で径方向の外側に向けて突の曲線状を呈してもよい。
【0015】
この場合、胴部が、前記横断面視で円形状を呈するので、外容器の胴部を容易に径方向の内側に向けて弾性変形させることが可能になり、操作性を向上させることができる。
肩部の面部が、前記横断面視で径方向の外側に向けて突の曲線状を呈するので、前記横断面視で直線状を呈する場合と比べて、肩部の面部の下端部と胴部の上端部との間に生ずる、ボトル軸方向を向く段部の径方向の大きさを小さく抑えることが可能になり、内容物の減少に伴い、この段部において、例えば、内容器が外容器から剥離しにくくなったり、外容器がいびつに変形したりするのを抑制することができる。
【0016】
前記外気導入孔は、前記肩部より上方に設けられてもよい。
【0017】
この場合、外気導入孔が、肩部より上方に設けられているので、第1縦溝によって外容器の角部と内容器の角部との間に設けられたわずかな隙間に、内容物の減少に伴い、外気導入孔からの外気を円滑に進入させることが可能になり、内容器の肩部を確実に減容変形させることできる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、内容器の肩部が減容変形を開始するときの内容物の減少量をばらつき少なく安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態として示した二重容器を径方向の外側から見た一部縦断面を含む側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る二重容器を説明する。
本実施形態に係る二重容器1は、
図1に示されるように、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器12、および内容器12が内装された外容器11を備えている。外容器11の内面に、内容器12の外面が離間可能に設けられている。図示の例では、内容器12は、可撓性に富み、外容器11の内面に剥離可能に積層されている。
なお、外容器11の内面と内容器12の外面との間に隙間が設けられてもよい。
【0021】
二重容器1は、外容器11を形成するための外側プリフォーム内に、内容器12を形成するための内側プリフォームを嵌合した状態で、外側プリフォームおよび内側プリフォームを一体にブロー成形することで形成されている。つまり、二重容器1は、二軸延伸ブロー容器となっている。
【0022】
内容器12および外容器11の材質は合成樹脂材料とされ、互いに同材質でも構わないし異材質でも構わない。合成樹脂材料の一例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ナイロン(ポリアミド)、およびEVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)等が挙げられる。
【0023】
二重容器1は、口部13、肩部15、胴部16および底部14を備えている。口部13、肩部15、胴部16および底部14は、共通軸と同軸にこの順に配設されている。
以下、この共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸Oに沿う二重容器1の口部13側を上側、二重容器1の底部14側を下側という。ボトル軸O方向から見て、ボトル軸Oに交差する方向を径方向といい、ボトル軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0024】
二重容器1の口部13は、内容器12の口部と外容器11の口部とが積層されることで構成され、二重容器1の肩部15は、内容器12の肩部と外容器11の肩部とが積層されることで構成され、二重容器1の胴部16は、内容器12の胴部と外容器11の胴部とが積層されることで構成され、二重容器1の底部14は、内容器12の底部と外容器11の底部とが積層されることで構成されている。
以下の説明において、特に断りのない限り、内容器12および外容器11の双方が同様の形態となっているものとする。
【0025】
二重容器1のボトル軸O方向の大きさは、例えば、115mm以上220mm以下となっている。二重容器1の内容量は、例えば、150ml以上600ml以下となっている。図示の例では、二重容器1のボトル軸O方向の大きさは、約180mmとされ、二重容器1は、内容量が330ml用となっている。
二重容器1の口部13は、肩部15の上端部から上方に向けて延びる円筒状に形成されている。
内容器12の口部の上端部に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びるフランジ部が形成されている。フランジ部は、外容器11の口部の上端開口縁に載置されている。
【0026】
外容器11の口部の外周面に、図示されないキャップが螺着される雄ねじ部18と、図示されないキャップの周壁部が外嵌される被シール突部19と、が上方から下方に向けてこの順に形成されている。被シール突部19は、外容器11の口部から径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びている。被シール突部19の外周面と、図示されないキャップの周壁部の内周面と、の間は、気密にシールされる。
なお、キャップは、外容器11の口部にアンダーカット嵌合されてもよい。
【0027】
内容物の減少に伴い、内容器12との間に外気を導入する外気導入孔17が、肩部15より上方に設けられている。図示の例では、外気導入孔17は、外容器11の口部に形成されている。外気導入孔17は、被シール突部19のうち、最も径方向の外側に位置して、周方向の全長にわたって連続して延びるシール面より上方に位置している。
なお、外気導入孔17の形成位置は、外容器11の口部に限定されるものではなく、例えば、外容器11のうち、口部以外の胴部、肩部、若しくは底部であってもよく、また、外容器11の口部の上端開口縁と、内容器12の口部の前記フランジ部の下面と、の間等であってもよい。
【0028】
底部14は、有底筒状に形成されている。底部14の周壁部14bの外周面は、ボトル軸O方向に真直ぐ延びている。底部14の周壁部14bの外周面に、周方向の全長にわたって連続して延びる周溝14aが形成されている。
【0029】
胴部16は、ボトル軸O方向の全長にわたって、ボトル軸Oに直交する横断面視で円形状を呈する。胴部16の上端部16aは、ボトル軸O方向に真直ぐ延びている。胴部16の上端部16aおよび底部14の周壁部14bそれぞれの外周面は、二重容器1において、最も外径の大きい最大外径部分となっている。この最大外径部分の外径は、例えば、58mm以上74mm以下となっている。図示の例では、二重容器1の最大外径部分の外径は、約66mmとなっている。
【0030】
胴部16のうち、上端部16aより下方に位置する部分は、ボトル軸O方向に沿って外側から内側に向かうに従い径方向の内側に向けて延びるくびれ部21となっている。くびれ部21のボトル軸O方向の大きさは、胴部16のボトル軸O方向の大きさの半分以上となっている。くびれ部21のボトル軸O方向の大きさは、口部13、肩部15、および底部14それぞれのボトル軸O方向の大きさより大きくなっている。
【0031】
くびれ部21は、径方向の内側に向けて窪む凹曲面部16bと、径方向の外側に向けて膨出する凸曲面部16cと、が、上方から下方に向けてこの順に段差なく連ねられて構成されている。
凹曲面部16bのボトル軸O方向の大きさは、凸曲面部16cのボトル軸O方向の大きさより大きくなっている。なお、凹曲面部16bのボトル軸O方向の大きさを、凸曲面部16cのボトル軸O方向の大きさ以下としてもよい。
【0032】
凸曲面部16cに、ボトル軸O方向に延びる縦補強溝28が形成されている。なお、凸曲面部16cに、縦補強溝28を形成しなくてもよい。
縦補強溝28は、くびれ部21のうち最も径方向の内側に位置する最深部21bより下方に位置している。縦補強溝28の下端部は、くびれ部21の下端部21aに位置している。図示の例では、縦補強溝28は、くびれ部21の下端縁に達している。縦補強溝28の内面は、ボトル軸Oに直交する横断面視で凹曲線状を呈する。縦補強溝28におけるボトル軸O方向の両端部の深さは、ボトル軸O方向の外側に向かうに従い浅くなっている。縦補強溝28は、凸曲面部16cに周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0033】
外容器11のうちの少なくともくびれ部(胴部)が、スクイズ変形(弾性変形)可能とされ、外容器11のスクイズ変形に伴って内容器12がしぼみ変形する。胴部16と、肩部15および底部14と、がボトル軸O方向に段差なく連なっている。
【0034】
胴部16に、径方向の外側から見て角形状を呈する複数の角形面部22が、径方向の内側に向けて窪む区画溝23、24によって区画されている。複数の角形面部22は、胴部16における周方向の全長にわたって連ねられて設けられている。互いに隣り合う角形面部22は、共通の区画溝23、24を介して連なっている。
【0035】
区画溝23、24は、上方に向かうに従い周方向の一方側に向けて延びる複数の第1区画溝23と、上方に向かうに従い周方向の他方側に向けて延びる複数の第2区画溝24と、を備えている。
【0036】
第1区画溝23および第2区画溝24の各溝幅は、互いに同等になっている。第1区画溝23および第2区画溝24の各長さは、互いに同等になっている。第1区画溝23および第2区画溝24の各深さは、互いに同等になっている。
第1区画溝23および第2区画溝24はそれぞれ、同等の間隔をあけて複数ずつ設けられている。それぞれの間隔は、第1区画溝23および第2区画溝24の各溝幅より広くなっている。互いに隣り合う第1区画溝23同士の間隔、並びに、互いに隣り合う第2区画溝24同士の間隔はそれぞれ、全長にわたって互いに同等となっている。
第1区画溝23および第2区画溝24それぞれの、径方向の外側から見たボトル軸Oに対する傾斜角度は、互いに逆向きで、同じ大きさになっている。
【0037】
各角形面部22は、ボトル軸O方向の両端部に位置し、ボトル軸O方向の外側に向けて尖る第1角部と、周方向の両端部に位置し、周方向の外側に向けて尖る第2角部と、を備えている。
複数の角形面部22は、胴部16のくびれ部21のうち、下端部21aを除く全域にわたって、均等に設けられている。複数の角形面部22は、径方向の外側から見て網目形状を呈する。
【0038】
角形面部22のボトル軸O方向の大きさは、縦補強溝28のボトル軸O方向の大きさより小さくなっている。角形面部22および縦補強溝28それぞれの周方向の大きさは、互いに同等になっている。縦補強溝28の周方向の中央部は、複数の角形面部22のうち、同じ周方向の位置に設けられ、ボトル軸O方向に連なる複数の角形面部22からなる1つの面部列における周方向の中央部と一致している。区画溝23、24の深さは、縦補強溝28のうち、ボトル軸O方向の両端部同士の間に位置する中間部分の深さより浅くなっている。
【0039】
肩部15は、口部13の下端部から下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びている。肩部15は、径方向の内側に向けて窪む凹曲面部15aと、径方向の外側に向けて膨出する凸曲面部15bと、が、上方から下方に向けてこの順に段差なく連ねられて構成されている。
凹曲面部15aのボトル軸O方向の大きさは、凸曲面部15bのボトル軸O方向の大きさより小さくなっている。なお、凹曲面部15aのボトル軸O方向の大きさを、凸曲面部15bのボトル軸O方向の大きさ以上としてもよい。
肩部15は、
図1および
図2に示されるように、複数の面部31が角部32を介して周方向に連ねられて構成されている。
【0040】
面部31は、ボトル軸Oに直交する横断面視で径方向の外側に向けて突の曲線状を呈する。上面視において、面部31の下端縁の曲率半径は、胴部16の上端部16aの曲率半径より大きくなっている。面部31は、胴部16の上端部16aより径方向の内側に位置している。面部31の下端縁、および胴部16の上端部16aは、上方を向く段部29を介して連結されている。なお、面部31は、前記横断面視で直線状を呈してもよい。
【0041】
角部32は、径方向の外側から見て、周方向の幅を有してボトル軸O方向に延びる帯状に形成されている。角部32の幅は、面部31の周方向の大きさより小さくなっている。角部32は、前記横断面視で径方向の外側に向けて突の曲線状を呈する。上面視において、角部32の下端縁は、胴部16の上端部16aと一致している。
なお、角部32は前記横断面視で直線状を呈してもよく、また、角部32は、周方向に幅を有さない稜線状に形成されてもよい。
【0042】
角部32に、径方向の外側から見てボトル軸O方向に延びる第1縦溝33が形成されている。第1縦溝33は、径方向の外側から見てボトル軸O方向に真直ぐ延びている。第1縦溝33は、肩部15におけるボトル軸O方向の全長にわたって形成されている。図示の例では、第1縦溝33は、角部32における周方向の両端部に形成されている。第1縦溝33は、角部32と面部31との接続部分に、角部32および面部31に跨って形成されている。第1縦溝33における周方向の中央部は、面部31に位置している。なお、第1縦溝33は、角部32にのみ形成してもよく、また、角部32における周方向の中央部等に形成してもよい。第1縦溝33の内面は、前記横断面視で凹曲線状を呈する。
【0043】
第1縦溝33において、ボトル軸O方向の両端部同士の間に位置する部分の深さは、ボトル軸O方向の全長にわたって同等とされ、ボトル軸O方向の両端部の深さは、ボトル軸O方向の外側に向かうに従い浅くなっている。第1縦溝33の溝幅は、ボトル軸O方向の全長にわたって同等になっている。
【0044】
面部31のうちの少なくとも上端部に、径方向の外側から見てボトル軸O方向に延びる第2縦溝34が形成されている。第2縦溝34は、径方向の外側から見てボトル軸O方向に真直ぐ延びている。第2縦溝34は、肩部15におけるボトル軸O方向の全長にわたって形成されている。第2縦溝34は、第1縦溝33から周方向に離れている。第2縦溝34は、面部31における周方向の中央部に形成されている。第2縦溝34の内面は、前記横断面視で凹曲線状を呈する。
【0045】
第2縦溝34の下端部の深さは、第2縦溝34の上端部の深さより浅くなっている。図示の例では、第2縦溝34のうち、上端部より下方に位置する部分の深さは、上方から下方に向かう従い浅くなっている。第2縦溝34の上端部の深さは、上方に向かうに従い浅くなっている。なお、第2縦溝34として、深さの深い上部と、深さの浅い下部と、が段部を介して連結された構成等を採用してもよい。
第2縦溝34の下端部の幅は、第2縦溝34の上端部の幅より狭くなっている。図示の例では、第2縦溝34において、下部の幅が上部の幅より狭く、下部と上部との間の中間部の幅が下方に向かうに従い狭くなっている。第2縦溝34において、上部は肩部15の凹曲面部15aに位置し、中間部および下部は肩部15の凸曲面部15bに位置している。
【0046】
周方向で互いに隣り合う第1縦溝33の各上端部同士の間隔、および周方向で互いに隣り合う第1縦溝33および第2縦溝34の各上端部同士の間隔は、互いに同じになっている。第2縦溝34の上端部の深さは、第1縦溝33の深さ以下となっている。第2縦溝34の上端部の幅は、第1縦溝33の幅以下となっている。
【0047】
以上説明したように、本実施形態による二重容器1によれば、肩部15の角部32に、径方向の外側から見てボトル軸O方向に延びる第1縦溝33が形成されているので、ブロー成形時に、外容器11の角部と内容器12の角部との間に、わずかな隙間を設けることが可能になり、内容物の減少に伴い、外気導入孔17からの外気を前記隙間に進入させることで、この隙間を起点に、内容器12の肩部を外容器11の肩部から剥離させつつ減容変形させることできる。これにより、肩部15において外容器11に対する内容器12の剥離をスムーズに進行させることが可能になり、内容物の残量を低減させることができる。
【0048】
第1縦溝33が、径方向の外側から見てボトル軸O方向に延びていることから、内容物の減少に伴い、外気導入孔17からの外気を、外容器11の角部と内容器12の角部との間におけるボトル軸O方向の全長にわたって行き渡らせやすくなり、内容器12を容易に減容変形させることできる。
第1縦溝33が、内容器12が減容変形しやすい面部31ではなく、内容器12が減容変形しにくい角部32に形成されているので、肩部15に第1縦溝33を形成したことで、内容器12の肩部が減容変形しにくくなるのを抑制することができる。
【0049】
肩部15の面部31のうちの少なくとも上端部に、径方向の外側から見てボトル軸O方向に延びる第2縦溝34が形成されているので、ブロー成形時に、外容器11の面部と内容器12の面部との間に、わずかな隙間を設けることが可能になり、内容物の減少に伴い、外気導入孔17からの外気をこの隙間に進入させることできる。これにより、ブロー成形時にほぼ延伸されず、減容変形しにくい面部31の上端部であっても、内容器12を外容器11から剥離させつつ減容変形させることが可能になり、肩部15における全域にわたって円滑に内容器12を減容変形させることができる。
【0050】
第1縦溝33および第2縦溝34がそれぞれ、肩部15におけるボトル軸O方向の全長にわたって形成されているので、肩部15に第1縦溝33および第2縦溝34を形成したことによる見栄えの悪化を防ぐことができる。
第2縦溝34の下端部の深さが、第2縦溝34の上端部の深さより浅くなっているので、面部31に第2縦溝34を形成したことで、内容器12の面部の剛性が高くなるのを抑制することが可能になり、内容物の減少に伴い、内容器12の面部を確実に減容変形させることできる。
【0051】
第2縦溝34の下端部の幅が、第2縦溝34の上端部の幅より狭くなっているので、面部31に第2縦溝34を形成したことで、内容器12の面部の剛性が高くなるのを抑制することが可能になり、内容物の減少に伴い、内容器12の面部を確実に減容変形させることできる。
【0052】
胴部16が、前記横断面視で円形状を呈するので、外容器11の胴部を容易に径方向の内側に向けて弾性変形させることが可能になり、操作性を向上させることができる。
肩部15の面部31が、前記横断面視で径方向の外側に向けて突の曲線状を呈するので、前記横断面視で直線状を呈する場合と比べて、肩部15の面部31の下端部と胴部16の上端部16aとの間に生ずる、ボトル軸O方向を向く段部29の径方向の大きさを小さく抑えることが可能になり、内容物の減少に伴い、この段部29において、例えば、内容器12が外容器11から剥離しにくくなったり、外容器11がいびつに変形したりするのを抑制することができる。
【0053】
外気導入孔17が、肩部15より上方に設けられているので、第1縦溝33によって外容器11の角部と内容器12の角部との間に設けられたわずかな隙間に、内容物の減少に伴い、外気導入孔17からの外気を円滑に進入させることが可能になり、内容器12の肩部を確実に減容変形させることできる。
【0054】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0055】
第1縦溝33および第2縦溝34は、径方向の外側から見て、屈曲しながらボトル軸O方向に延びてもよい。
面部31に第2縦溝34を形成しなくてもよい。
胴部16は、くびれ部21を有さず、例えばボトル軸O方向に真直ぐ延びてもよい。
【0056】
区画溝23、24は、ボトル軸O方向に真直ぐ、若しくは屈曲しながら延びてもよいし、周方向に真直ぐ、若しくは屈曲しながら延びてもよい。
角形面部22は、径方向の外側から見て、3角形状を呈してもよいし、5つ以上の角部を有する角形状を呈してもよい。
区画溝23、24が、ボトル軸O方向に真直ぐ延びる複数の第1区画溝、および周方向に真直ぐ延びる複数の第2区画溝を有し、複数の角形面部22が、径方向の外側から見て格子状等を呈してもよい。
胴部16に、区画溝23、24を形成しなくてもよい。
【0057】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 二重容器
11 外容器
12 内容器
13 口部
14 底部
15 肩部
16 胴部
17 外気導入孔
31 面部
32 角部
33 第1縦溝
34 第2縦溝
O ボトル軸