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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】改善された吸入デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 11/00 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
A61M11/00 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021500847
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2019068866
(87)【国際公開番号】W WO2020016135
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】18183726.1
(32)【優先日】2018-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/698,401
(32)【優先日】2018-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519084526
【氏名又は名称】インヴォックス ベルジアム エヌヴイ
【氏名又は名称原語表記】invoX Belgium NV
【住所又は居所原語表記】Agoralaan building Abis, 3590 Diepenbeek Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】バルテルズ, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェルト, ユーゲン
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-501621(JP,A)
【文献】特表2007-520349(JP,A)
【文献】特表平11-512649(JP,A)
【文献】国際公開第2018/048786(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾルを生成するための医学的に活性な液体用の吸入デバイスであって、前記吸入デバイスは、ハウジング(1)と、前記ハウジング(1)の内部の液体を貯蔵するためのリザーバ(2)と、ポンピングユニットとを備え、前記ユニットは、ライザパイプ(5)と、前記ライザパイプ(5)の上流端部(5A)を受容するように構成された内部空間を有する中空円筒部分(3)とを備え、前記円筒部分(3)は、前記ライザパイプ(5)上で直線的に移動可能であり、前記円筒部分(3)および前記ライザパイプ(5)は、前記ライザパイプ(5)に対する前記円筒部分(3)の直線相対運動によってポンピングチャンバ内に圧力を発生させるための可変容積を有する前記ポンピングチャンバを形成し、
前記ポンピングチャンバは、前記リザーバ(2)と、前記ライザパイプ(5)の下流端部(5B)に液密に接続されたノズル(6)とに流体的に接続され、
前記直線相対運動は、前記ハウジング(1)の第1の部分の一部である、またはそれに接続された回転可能部分(1A)の、前記ハウジング(1)の第2の部分の一部である、またはそれに接続された対応部分(1B)に対する回転軸(R)の周りの相対回転によってもたらされ得、したがって前記相対回転は、歯車機構によって前記直線相対運動に変換され、前記歯車機構は、軸方向において高さが増加する第1のセクション(9A)および高さが減少する第2のセクション(9B)を備える少なくとも1つのカム表面を備え、前記カム表面は、隣接する対向面に沿って摺動することができ、前記カム表面は、回転時に、前記対向面に沿って摺動して前記変換をもたらすように適合され、
位置エネルギーを貯蔵するための手段(7)が提供され、これは、前記第1のセクション(9A)に沿った前記相対回転によって充填可能であり、前記エネルギーは、解放されたときに前記ポンピングチャンバに解放可能であり、前記カム表面は、高さが増加する前記第1のセクション(9A)と高さが減少する前記第2のセクション(9B)との間に、一定の高さの第3のセクション(9C)を備え、したがって、前記カム表面の前記第3のセクション(9C)が前記対向面に沿って摺動する間、前記ライザパイプ(5)に対する前記円筒部分(3)の直線相対運動は発生せず、
前記第1、前記第2、および前記第3のセクション(9A、9B、9C)の回転角をカバーする投与サイクルは、180度の回転に対応する、前記吸入デバイス。
【請求項2】
前記カム表面が前記回転可能部分(1A)に配置または接続されており、前記対応部分(1B)が対向面を提供する、または
前記カム表面が前記対応部分(1B)に配置または接続されており、前記回転可能部分(1A)が対向面を提供する、請求項1に記載の吸入デバイス。
【請求項3】
前記対向面が、第2のカム表面、またはカム(11)、またはローラによって提供される、請求項1または2に記載の吸入デバイス。
【請求項4】
前記第3のセクション(9C)の回転角が7±6度に達する、請求項1から3のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項5】
前記第1のセクション(9A)の回転角が約165~約170度の範囲内で選択され、前記第2のセクション(9B)の回転角が約0~約2度の範囲内で選択され、前記第3のセクション(9C)の回転角が約1~約13度の範囲内で選択され、セクション回転角の合計が180度になる、請求項1から4のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項6】
前記カム表面が、任意選択で第4および/または第5のセクションを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項7】
前記第4のセクション(9D)が、前記第3のセクション(9C)と前記第2のセクション(9B)との間の高さが減少または増加するセクションである、請求項6に記載の吸入デバイス。
【請求項8】
前記第5のセクションが、前記第2のセクション(9B)に続く一定の高さのセクションである、請求項6または7に記載の吸入デバイス。
【請求項9】
前記第2のセクション(9B)の回転角が0度に達し、前記カム表面の軸方向に配向したセクションをもたらす、請求項1から8のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項10】
前記吸入デバイスの作動を遮断するためのさらなる手段が存在し、前記第3のセクション(9C)に対応する回転可能部分(1A)および対応部分(1B)の相対的な軸方向位置の変化を抑制するように適合される、請求項1から9のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項11】
作動を遮断するための前記手段が、その無効化時に、
受動的にさらなる回転を可能にする、もしくは前記カム表面の前記第2のセクション(9B)が前記対向面に接触するように、前記回転可能部分(1A)を能動的にさらに回転させる、または
前記第2のセクション(9B)に対応する、前記対応部分(1B)に対する前記回転可能部分(1A)の以前に遮断された相対的な軸方向運動を可能にするように適合される、請求項10に記載の吸入デバイス。
【請求項12】
前記第1のセクション(9A)の勾配が、一定、増加、減少、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の吸入デバイスによってエアロゾルを生成するための方法であって、前記方法は、前記回転可能部分(1A)の回転時に、前記ポンピングチャンバに液体を満たすための第1の充填段階と、前記ノズル(6)から霧化された液体を放出するための第2の排出段階とを含み、前記2つの段階の間に第3の休止段階が存在し、その間、さらなる回転にもかかわらず、前記ポンピングチャンバの容積は一定のままであり、
1回の投与サイクルは180度の回転によって達成される方法。
【請求項14】
前記休止段階全体が、7±6度の回転で通過する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体用の吸入デバイスの分野に関する。特に、本発明は、吸入デバイスの液体放出機構、および吸入デバイスから液体を放出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネブライザまたは液体用の他のエアロゾル発生器は、古くから当技術分野で知られている。とりわけ、そのようなデバイスは、医学および治療で使用されている。そこでは、それらはエアロゾル、すなわちガス中に埋め込まれた小さな液滴の形で有効成分を塗布するための吸入デバイスとして機能する。そのような吸入デバイスは、例えば、文献欧州特許第0627230B1号明細書から知られている。この吸入デバイスの必須の構成要素は、エアロゾル化される液体が収容されるリザーバ、噴霧するために十分に高い圧力を生成するためのポンピングユニット、およびノズルの形態の霧化デバイスである。
【0003】
そのような吸入デバイスの改善は、本発明と同じ出願人によって出願された国際出願PCT/EP2018/061056号明細書に開示されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
典型的な液体放出機構は、ばね等の位置エネルギーを貯蔵するための手段、および歯車ユニットを含む。ばねを(好ましくは手動で)ロードすることにより、位置エネルギーが吸入デバイスに蓄えられる。その後、エネルギーは、ノズルに流体的に接続されているポンピングチャンバ内に圧力を発生させるために使用され得る。
【0005】
文献国際公開第2007/128381A1号パンフレットは、液体放出機構を含む医学的に活性な液体用の別の霧化デバイスを開示している。ハウジングの2つの部分の相対回転は、前記歯車ユニットによって直線運動に伝達され、次いでこれはばねをロードするために使用される。この運動伝達は、互いに沿って滑る少なくとも1対のらせん面を使用することによって達成される。2つの対が存在する場合、180度に達する完全なロード回転の後、最初に軸方向に上昇する表面はそれぞれ、(軸方向でも)垂直方向の下降を有する鋭いエッジを提供する。前記下降の長さは、ポンピングデバイスのポンピング運動に対応する。したがって、機構をさらに回転させようとすることでエッジが互いに通過すると、軸方向運動が逆になり、位置エネルギーが再び放出され、圧力が発生する。
【0006】
前記位置エネルギーの時期尚早で望ましくない放出を防ぐために注意を払わなければならない。このために、当技術分野で知られている解決策は、両方の摺動面が前記エッジに到達したときに回転を停止するロック要素を提供する。換言すれば、前記のさらなる回転が前記「下降」をもたらすとき、前記ロック要素が軸方向運動を防止する。前記ロック要素を手動で無効化することによって(すなわち解放ボタンを押すことによって)、位置エネルギーが意図的に解放され、圧力の生成に使用される。
【0007】
国際公開第2007/128381A1号パンフレットでは、デバイスをプライミングするときに、少量の液体がすでに液体で満たされたダクト(ポンピングチャンバ、ノズル)を通してポンプで送られている。回転ロード運動の終わりに到達したときにエッジが実際にちょうど互いに通過するようにロック機構を軸方向にオフセットすることによって、前述の「降下」に沿って部分的な運動をもたらし、ポンピング機構の軸方向運動の開始により液体の事前放出をもたらす。短い距離の後に、オフセットロック機構は前記動作を終了する。ロック機構の有効化(解放)によって発生するその後の動作時にのみ、完全なポンピング運動が実行され、所望の用量の液体が霧化される。
【0008】
前記時期尚早のポンピング効果の欠点は、実際の投与の前に放出される液体の量が、実際の霧化が開始する前にノズル出口から排出されなければならないことである。そうしないと、ノズル出口の目詰まりにより、望ましくない液滴の形成、および/または飛沫の発生が引き起こされ得る。さらに、時期尚早のポンピングに必要な液体の量は、リザーバあたりの可能な投与サイクルの総数を低減する。また、前述の「下降」は、よく聞こえるクリック音をもたらし、これは一部のユーザーにとっては苛立たしいと感じられる可能性がある。
【0009】
さらなる欠点は、前述のタイプのロック要素を提供するための構造上の労力が大きく、その結果、製造および組み立てのコストがより高くなり、機械的故障の可能性が高くなることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許第0627230B1号明細書
【文献】国際出願PCT/EP2018/061056号明細書
【文献】国際公開第2007/128381A1号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様において、本発明は、エアロゾルを生成するための医学的に活性な液体用の吸入デバイスを提供し、
-吸入デバイスは、ハウジングと、このハウジングの内部の液体を貯蔵するためのリザーバと、ポンピングユニットとを備え、前記ユニットは、ライザパイプと、前記ライザパイプの上流端部を受容するように構成された内部空間を有する中空円筒部分とを備え、前記円筒部分は、ライザパイプ上で直線的に移動可能であり、円筒部分およびライザパイプは、ライザパイプに対する円筒部分の直線相対運動によって前記ポンピングチャンバ内に圧力を発生させるための可変容積を有するポンピングチャンバを形成し、
-ポンピングチャンバは、リザーバと、ライザパイプの下流端部に液密に接続されたノズルとに流体的に接続され、
-前記直線相対運動は、ハウジングの第1の部分の一部である、またはそれに接続された回転可能部分の、前記ハウジングの第2の部分の一部である、またはそれに接続された対応部分に対する回転軸の周りの相対回転によってもたらされ得、したがって前記相対回転は、歯車機構によって前記直線相対運動に変換され、前記歯車機構は、軸方向において高さが増加する第1のセクションおよび高さが減少する第2のセクションを備える少なくとも1つのカム表面を備え、カム表面は、隣接する対向面に沿って摺動することができ、カム表面は、回転時に、前記対向面に沿って摺動して前記変換をもたらすように適合され、
-位置エネルギーを貯蔵するための手段が提供され、これは、第1のセクションに沿った前記相対回転によって充填可能であり、前記エネルギーは、解放されたときに前記ポンピングデバイスに解放可能であり、
-前記カム表面は、高さが増加する第1のセクションと高さが減少する第2のセクションとの間に、一定の高さの第3のセクションを備え、したがって、前記カム表面の前記第3のセクションが対向面に沿って摺動する間、ライザパイプに対する円筒部分の直線相対運動は発生せず、
-第1、第2、および第3のセクションの回転角をカバーする投与サイクルは、180度の回転に対応する。
【0012】
第2の態様において、本発明は、先行する請求項のいずれか一項に記載の吸入デバイスによってエアロゾルを生成するための方法を提供し、方法は、回転可能部分の回転時に、ポンピングチャンバに液体を満たすための第1の充填段階と、ノズルから霧化された液体を放出するための第2の排出段階とを含み、前記2つの段階の間に第3の休止段階が存在し、その間、さらなる回転にもかかわらず、ポンピングチャンバの容積は一定のままである。
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、既知の技術の欠点を回避するデバイスを提供することである。
【0014】
本発明は、ノズルからの液体の時期尚早で望ましくない放出を防止する可能性を提供するとともに、リザーバあたりの投与サイクルの低減を回避するものである。
【0015】
本発明はまた、費用効果が高く、機械的に信頼できる解決策を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、目的は、エアロゾルを生成するための医学的に活性な液体用の吸入デバイスによって解決され、吸入デバイスは、
-吸入デバイスは、ハウジングと、このハウジングの内部の液体を貯蔵するためのリザーバと、ポンピングユニットとを備え、前記ユニットは、ライザパイプと、前記ライザパイプの上流端部を受容するように構成された内部空間を有する中空円筒部分とを備え、前記円筒部分は、ライザパイプ上で直線的に移動可能であり、円筒部分およびライザパイプは、ライザパイプに対する円筒部分の直線相対運動によって前記ポンピングチャンバ内に圧力を発生させるための可変容積を有するポンピングチャンバを形成し、
-ポンピングチャンバは、リザーバと、ライザパイプの下流端部に液密に接続されたノズルとに流体的に接続され、
-前記直線相対運動は、ハウジングの第1の部分の一部である、またはそれに接続された回転可能部分の、前記ハウジングの第2の部分の一部である、またはそれに接続された対応部分に対する回転軸の周りの相対回転によってもたらされ得、したがって前記相対回転は、歯車機構によって前記直線相対運動に変換され、前記歯車機構は、軸方向において高さが増加する第1のセクションおよび高さが減少する第2のセクションを備える少なくとも1つのカム表面を備え、カム表面は、隣接する対向面に沿って摺動することができ、カム表面は、回転時に、前記対向面に沿って摺動して前記変換をもたらすように適合され、
-位置エネルギーを貯蔵するための手段が提供され、これは、第1のセクションに沿った前記相対回転によって充填可能であり、前記エネルギーは、解放されたときに前記ポンピングデバイスに解放可能であり、
-前記カム表面は、高さが増加する第1のセクションと高さが減少する第2のセクションとの間に、一定の高さの第3のセクションを備え、したがって、前記カム表面の前記第3のセクションが対向面に沿って摺動する間、ライザパイプに対する円筒部分の直線相対運動は発生せず、
-第1、第2、および第3のセクションの回転角をカバーする投与サイクルは、180度の回転に対応する。
【0017】
さらに、目的は、本発明の第2の態様による方法によって解決される。有利な実施形態は、それぞれの従属請求項、後続の説明、および添付の図に記載されている。
【0018】
吸入デバイスは、吸入療法のための活性液体から医学的にエアロゾルを生成するのに役立つ。特に、吸入デバイスは、医学的に活性な成分の肺送達に適した噴霧エアロゾルの用量ごとの生成および放出用に適合されている。
【0019】
典型的には、そのような吸入デバイスは、ハウジングと、このハウジングの内部で液体を貯蔵するためのリザーバと、好ましくはピストンポンプまたはプランジャポンプの原理に基づくポンピングユニットとを備える。より具体的には、本発明による前記ポンピングユニットは、ポンピングチャンバ内に圧力を発生させるための内部空間を有する中空円筒部分を備える。「円筒部品」という用語は、円筒形の内面を有する部分を指すことに留意されたい。外側、ならびにライザパイプおよび/またはシールと接触しない部分は、円筒形である必要はない。
【0020】
ポンピングチャンバは、円筒部分およびライザパイプによって形成され、前記ポンピングチャンバ内に圧力を発生させるための可変容積を有する。ポンピングチャンバは、リザーバと流体的に接続されており、任意選択で、リザーバの方向を遮断する逆止弁を介して接続されている。容積可変性を達成するために、前記ライザパイプは、前記円筒部分に少なくとも1つのリザーバに面する内側端(以下、「上流端部」と呼ばれる)で受容され得、円筒部分は、ライザパイプ上で直線的に移動可能である。
【0021】
ノズルは、ライザパイプの下流端部に直接または間接的に液密に接続されている。
【0022】
ライザパイプは、デバイスのハウジングに対して、または少なくとも、ノズルが直接もしくは間接的にしっかりと取り付けられているハウジングの一部に対して不動となり得るため、ライザパイプはまたノズルに対しても不動または移動不可能である。別の実施形態において、ライザパイプは移動可能であり、ポンピングチャンバ/円筒部分は、前記ハウジングに対して不動である。さらに別の実施形態において、円筒部分およびライザパイプの両方が移動可能である。
【0023】
換言すれば、円筒部分は、前記ライザパイプの上流端部を受容するように構成された内部空間を有する。円筒部分は、前記円筒部分の内部の容積が前記ライザパイプの直線相対運動によって変更可能であるように、またはその逆も同様であるように、前記端部に沿って直線的に移動可能に構成される。
【0024】
さらに、前記直線相対運動は、ハウジングの第1の部分の一部である、またはそれに接続された回転可能部分の、前記ハウジングの第2の部分の一部である、またはそれに接続された対応部分に対する回転軸の周りの相対回転によってもたらされ得、したがって前記相対回転は、歯車機構等によって前記直線相対運動に変換される。したがって、ハウジングは2つの部分を備え、それらの一方は他方に対して回転することができる。歯車機構は、少なくとも1つのカム表面、すなわち隣接する対向面または別の対応する構成要素に沿って摺動し得る表面を備え、それらはカム表面の特定の形状によって案内される。カム表面は、湾曲した様式でデバイスの回転主軸の周りを走るトラックの形態であってもよい。具体的には、カム表面は、以下でさらに詳細に説明するように、回転主軸の周りを円形または円周方向に走る閉じたまたはエンドレスのトラックの形態であってもよい。
【0025】
このカム表面は、軸方向に、高さが増加する第1のセクションと、高さが減少する第2のセクションとを有するか、またはそれらを含む。ここで、軸方向は、ポンピングチャンバ/円筒部分の長手方向と平行(または同一)の方向である。カム表面を支持する部分と対向面を支持する部分との相対回転により、カム表面は前記対向面に沿って摺動することができ、その結果前記変換がもたらされる。前記摺動中、カム表面および対向面は軸方向に接触したままである。その結果、対応部分に対する回転可能部分の相対回転によって、ポンピングチャンバの容積が変化する。第1のセクションに沿った運動は、容積の増加(ひいてはポンピングチャンバ内の圧力の低下、およびリザーバからの液体の充填)をもたらし、第2のセクションに沿った運動は、容積の減少(およびポンピングチャンバの圧力の上昇、およびノズルからの液体の放出)をもたらす。実際の構造によっては、逆の効果も得られることが明らかである。しかしながら、明確性のために、容積に対するそれぞれのセクションの影響は、前述のように定義される。
【0026】
換言すれば、歯車の第1の部分はカム表面を有し、ハウジングの第1の部分に接続されており;歯車の第2の部分(対応部分)は対向面を有し、ハウジングの第2の部分に接続されており;第1の部分および第2の部分は、カム表面および対向面が互いに摺動するように、互いに対して回転可能である。
【0027】
さらに、位置エネルギーを貯蔵するための手段が提供され、これは、第1のセクションに沿った前記相対回転によって充填可能であり、前記エネルギーは、例えば解放手段の有効化によって解放されたときに前記ポンピングデバイスに解放可能である。好ましくは、貯蔵のための前記手段は、弾性ばねによって提供される。前記ばねに張力をかけることにより、位置エネルギーが蓄えられ、それを再収縮させることにより、エネルギーが解放される。別の実施形態において、効果は逆である(圧縮ばね)。
【0028】
本発明によれば、前記カム表面は、高さが増加および減少するセクションの間に、一定の、またはほぼ一定の高さの第3のセクションを有するか、または備え、したがって前記対向面が前記第3のセクションに沿って摺動する間、直線相対運動が発生しないか、またはほとんど発生しない。
【0029】
結果として、第1のセクションと第2のセクションとの間に配置された第3のセクションに沿った回転可能部分の回転は、回転可能部分および対応部分の相対的な軸方向位置、ひいてはポンピングチャンバ内の容積を変化させず、したがってその内圧を変化させない。同時に、位置エネルギーを貯蔵するための手段のロード状態も、第3のセクションに沿ったこの回転によって変化しない。この段階では、液体の時期尚早のポンピングは発生せず、したがって実際の投与前に液体が放出されることはない。液体の事前放出によるノズル出口の目詰まりが発生せず、望ましくない液滴の形成および飛沫の発生が回避される。さらに、リザーバあたりの可能な投与サイクルの総数が増加し、必要または所望に応じて前述のクリック音を回避することができる。また、デバイスの意図しない作動を防止するために提供され得る遮断手段をより簡単な様式で構築することができ、その結果、製造および組み立てのコストが減少し、機械的故障の可能性が減少する。
【0030】
一実施形態において、カム表面は、回転可能部分に配置されるか、またはそれに接続され、対応部分は、対向面を提供する。
【0031】
別の実施形態において、カム表面は、対応部分に配置されるか、またはそれに接続され、回転可能部分は、対向面を提供する。
【0032】
「対向面」という用語は、カム表面との滑る相互作用を提供する目的で役立つすべての種類の構成要素が本定義に該当するように、広く解釈されるべきであることに留意されたい。
【0033】
一実施形態において、対向面は、第2のカム表面によって提供される。したがって、2つのカム表面が存在し、両方が同時にそれぞれの対向面として機能する。換言すれば、対応部分(または逆に回転可能部分)はカム表面も提供し、特に、回転可能部分(または逆に対応部分)の対応するカム表面、またはその1つもしくは複数のセグメントの反転形状を有する表面を提供する。これにより、両方の部分の機械的重なりが最大になり、機械的摩耗が減少する。
【0034】
別の実施形態において、1つの部分に1つのカム表面が存在するが、第2のカム表面の代わりに、第2の部分(回転可能部分または対応部分)が対応するカムを提供する。
【0035】
さらに別の実施形態において、カムの代わりに、回転可能部分または対応部分は、対応するカム表面との物理的相互作用のためのローラ等を提供し、極めて低い摩擦を提供し、したがってデバイスを充填するために必要な力を低減することができる。
【0036】
しかしながら、前述のすべての実施形態は、本質的に同等の効果を有し、すなわち、回転可能部分および対応部分の相対回転時のこれらの部分の可変の相対的な軸方向位置を保証する。
【0037】
カム表面の各セクションが回転軸に垂直な平面(「回転平面」)に投影される場合、個々の回転角を各セクションに割り当てることができる。
【0038】
したがって、1つの投与サイクルは、第1、第2、および第3のセクション、ならびに任意選択で、第2のセクションに続く好ましくは一定の高さのさらなるセクション、例えば以下に説明する任意の第4のセクションまたは任意の第5のセクションのそれぞれの回転角をカバーする、または含む。1回の投与サイクルは、前記セクションの「シリーズ」として定義され得る。
【0039】
吸入デバイスの一実施形態において、完全サイクルに関して、360度の回転は、これらすべてのセクションの2つの完全なシリーズを少なくとも1回カバーする。これは、回転可能部分を360度回転させるとき、すべてのそれぞれのセクション、すなわち第1、第2、第3、および場合によっては第4または第5のセクションが2回通過することを意味する。
【0040】
換言すれば、それぞれのセクションの開始から終了までの回転軸の周りの前記回転平面で測定されたそれぞれの回転角の合計は、360度、またはその整数分数に達する。これは、実施形態に応じて、すべてのセクションを通過するために、ひいては1用量の液体をロードおよび排出するために、完全に360度の回転、または例えば前記360度の1/2、1/3、…、つまり180度、120度、…の回転が必要があることを意味する。
【0041】
好ましい実施形態において、それぞれのセクションの開始から終了までの回転軸の周りの前記回転平面で測定されたそれぞれの回転角の合計は、180度、またはその整数分数に達する。これは、実施形態に応じて、すべてのセクションを通過するために、ひいては1用量の液体をロードおよび排出するため、180度の回転、または例えば前記180度の半分もしくは3分の1もしくは別の分数、すなわち90度、60度、…、または180度の回転ごとに放出される投与数に応じて別の角度の回転が必要であることを意味する。
【0042】
したがって、360度の回転で2つの用量が放出され、つまり、180度に対応する完全回転の半分で1つの用量がロードおよび放出される。他の好ましい整数は、3および4である。
【0043】
任意選択の第4および/または第5のセクション(一定の高さの別のセクション、または回転可能部分のさらなる回転を抑制することを意図したセクション等)が、前述のセクションの間または後に、特に第2のセクションと第1のセクションとの間に(すなわち、第1のセクションの前に前記第4のセクションがある)、または第3のセクションと第2のセクションとの間に(すなわち、第4のセクションが第3のセクションの異なる形状の「端」を提供する)、または第2のセクションの終了後に、例えば第2のセクションに続く一定の高さのさらなるセクションの形でさらに存在する場合、前述が4つまたは5つのセクションすべてに当てはまること、すなわち例えば180度の完全投与サイクルが4つまたは5つのセクションすべてをカバーすることは明らかである。
【0044】
1回の投与サイクルに180度回転する利点は、1回の完全回転で2回の投与サイクルが実現され得る一方で、十分な圧力を生成するのに望ましい直線相対運動を得るためにより多くの(回転)パスが提供されるため、第1のセクションの勾配をさらに低くできることである。これは、圧力が極めて高くなければならない場合、投与量が多い場合、または回転に利用できる力が小さく(例えばデバイスが子供により操作される場合)、構造上もしくは設計上の制限により360度の完全回転を実現できない場合に有利である。
【0045】
他の場合には、部分回転で1回の投与が好ましい。
【0046】
上で概説したように、前に定義された1つのポンピングサイクルの回転角の合計は180度に達する。各投与サイクルに180度の回転は、操作に必要な力、および前記用量で達成可能な圧力/容量に関して適切な妥協点であることが証明されている。この場合、さらに、特定の実施形態において、第3のセクション、すなわち一定または実質的に一定の高さを有するセクションの回転角は、7±6度、換言すれば1から13度に達する。実験により、この範囲は実践特に有用であることが示されている。第3のセクションの角度が小さすぎる場合、例えば1°未満の場合、このセクションの終わりですぐに回転を停止することがますます困難になる。一方、より大きな第3のセクションは、他の回転段階、特に圧力を高めるために必要な第1のセクションに利用可能な貴重なスペースを浪費するため、短すぎたり急すぎたりしてはならない。
【0047】
別の実施形態において、第2のセクション、すなわち高さが減少するセクションの回転角は0度に達し、カム表面の軸方向に配向したセクションをもたらす。換言すれば、第3のセクションの端を通過した後、隣接する部分が突然「下降」して最初のセクションの先頭に戻り、蓄積されたエネルギーが即座に放出され、ポンピングチャンバ内の圧力が急激に上昇する。「下降」という用語は、対応部分に対する回転可能部分の軸方向位置の低下を指すだけであり、特定の空間方向を示すものではないことに留意されたい。「上」および「下」という用語が使用されている場合も同様である。
【0048】
しかしながら、ノズルを通過できる液体の量が限られているため、一定の期間(「放出時間」)にわたって容積が減少する。そのため、具体的な構造によっては、各部分が(ほぼ)即座に初期位置に到達しない場合があり、カム表面および対向面が一時的に接触を失い得る「不明確」な中間状態が生じる場合がある。したがって、別の実施形態において、前記回転角は、1、2または3度等の0度を超える値に達する。その結果、それぞれの部分が「下降」することはないが、排出段階中でもカム表面に沿ってガイドされるため、投与機能の安定性を高めることができる。
【0049】
上で定義された1つのポンピングサイクルが180度に達する特定の実施形態において、第1のセクション(高さが増加するセクション)の回転角は、最大約170度の値、例えば約150~170度、または約155~約165度の範囲内の値に達してもよい。さらに、これらの実施形態において、第2のセクション(高さが減少するセクション)の回転角は、約0~約3度または約0~約2度もしくはわずか約1度の範囲内の値に達する。さらに、これらの実施形態において、第3のセクション(実質的に一定の高さを有するセクション)の回転角は、約1~約13度、または約3~約11度、または約5~約9度、または約6~約8度の範囲内の値に達する。しかしながら、追加の第4および第5のセクションは、第1、第2および第3のセクションの間、または第2のセクションの後に存在してもよいことに留意されたい。特定の実施形態において、第5のセクションは、第3のセクションの後に存在する(それにより、典型的には約5~約15度、または約7~約10度の角度をカバーし得る次の投与またはポンピングサイクルの第1のセクションの前にある。
【0050】
上で定義された1つのポンピングサイクルが180度なるさらなる特定の実施形態において、第1のセクション(高さが増加するセクション)の回転角は、約165~約170度の範囲内で選択することができ、第2のセクション(高さが減少するセクション)の回転角は、約0~約2度の範囲内で選択することができ、第3のセクション(実質的に一定の高さのセクション)の回転角は、約1~約13度の範囲内で選択することができ、セクション回転角の合計は180度になる。
【0051】
さらに別の実施形態において、回転角は0度よりも小さい。これは、新しいサイクルを開始する前にそれぞれの部分が入る「アンダーカット」が存在することを意味する。これによって望ましくないしぶきや液滴をノズル出口から取り除き、さらには液体をノズル出口に引き込むのに役立ち得る逆回転が可能になるため、次の投与サイクルは非常に安定した所定の状態から開始して、デバイスの品質を向上させることができる。
【0052】
さらに、別の実施形態において、吸入デバイスの作動を遮断するための手段が存在し、この手段は第3のセクションに対応する回転可能部分および対応部分の相対的な軸方向位置の変化を抑制するように適合されている。これは、作動を遮断するための手段が、位置エネルギーを貯蔵するための手段の偶発的な解放を防止し、したがってノズルからの医療用液体の時期尚早の放出を防止することを意味する。遮断するための手段の意図的な無効化のみで、前記放出が可能となる。
【0053】
前記デバイスは、押すだけでさらなる回転に移行する押しボタンによって、または必要な回転力の一時的な増加によるさらなる回転を防止する機械的障害物をもたらす第3のセクションの軸方向のくぼみもしくは隆起によって、または前述の「下降」に沿った動きを防止する格納式の機械的障害物によって提供され得る。
【0054】
好ましくは、遮断手段が有効になる回転位置は、第3のセクションの最後部、または前記端のすぐ後ろにある。したがって、遮断を解除すると、さらに手動で回転させることなく、排出段階が自動的に開始し得る。
【0055】
一実施形態において、作動を遮断するための前記手段は、その無効化後に、カム表面の第2のセクションが対向面と接触するように、受動的にさらなる回転を可能にするか、または前記部分を能動的にさらに回転させるように構成される。この実施形態は、第3のセクションが終了する前に遮断手段が有効になる場合に特に有利である。次いで、投与を有効化するためにはさらなる回転が必要である。次いで、このさらなる回転は、手動で、または遮断デバイスの無効化の間に能動的に提供され、対向面を第3のセクションの端を越えて第2のセクションに押し込む。
【0056】
別の実施形態によれば、遮断する手段は、最初に(すなわち有効化され、係合されたときに)対向面が第3のセクションと接触しているとき、すなわち放出段階の前に、対応部分に対する回転可能部品の相対的な軸方向運動を遮断する。遮断手段が無効化されると、それは前記軸方向運動を可能にし、放出段階が直ちに開始する。
【0057】
要約すると、遮断手段は、回転可能部分の第3のセクションへの回転、または前記セクションに沿った直線運動のいずれかを一時的に抑制することができる。
【0058】
さらなる実施形態において、第1のセクションの勾配は、一定、増加、減少、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。一定の勾配は、ポンピングチャンバの容積の一定の増加をもたらす。勾配が増加すると、一定回転速度でのポンピングチャンバの液体のロード速度も角度に沿って増加する。その結果、ロード段階がスムーズに開始される。
【0059】
プレロードされた逆止弁がリザーバとポンピングチャンバとの間に存在する場合、リザーバからの液体をポンピングチャンバに満たす段階のより急な開始が必要となり得る。これは、前記段階の開始時に最も速い速度を有する減少する勾配によって達成することができ、一方、段階の残りの間に回転力は減少する。
【0060】
また、構造の具体的な要件に応じて、前記勾配の組み合わせが有利となり得る。
【0061】
本発明はまた、上記の定義に従う吸入デバイスによってエアロゾルを生成するための方法に関する。簡潔にするために、上記の説明を参照されたい。換言すれば、吸入デバイス自体について説明されているすべての選択肢および優先度がこの方法にも適用される。
【0062】
この方法は、回転可能部分の回転時に、ポンピングチャンバに液体を満たすための第1の「充填段階」、および霧化された液体をノズルから放出するための第2の「排出段階」を含む。本発明によれば、前記2つの相の間に、第3の「休止段階」が存在し、その間、さらなる回転にもかかわらず、ポンピングチャンバの容積は一定のままである。これらの3つの段階は、前述の3つのセクションに対応する。特に、第3の段階中、円筒部分の直線相対運動がないため、ポンピングチャンバの容積は変化しない。
【0063】
本発明の方法に関しても、1回の投与サイクルは、180度の回転によって達成される。したがって、360度を超える回転には、2回の投与サイクルが含まれる。しかしながら、他の実施形態において、360度を超える回転あたり3または4サイクルなどの他の整数もまた可能である。
【0064】
好ましい実施形態において、休止段階全体が、7±6度、すなわち約1~約13度の回転で通過する。
【0065】
本発明の第1の態様に関連して上述されたように、1サイクル(180度)を完了するための残りの角度が、第1および第2の段階ならびにそれぞれのセクションの合計に利用可能であることは明らかである。
【0066】
特定の実施形態において、本明細書で使用される「医学的に活性な液体」という用語は、少なくとも1つの活性医薬成分(API)、より具体的には少なくとも1つの吸入可能な活性医薬成分を含む医薬組成物の形態の医学的に活性な液体を指す。より具体的には、そのような少なくとも1つの吸入可能な活性医薬成分は、例えば、単独の、または互いに組み合わされた、長時間作用型ムスカリン拮抗薬(LAMA)、長時間作用型ベータ作動薬(LABA)および吸入可能糖質コルチコイド(ICS)、ならびに鎮痛薬および抗糖尿病薬から選択され得る。
【0067】
長時間作用型ムスカリン拮抗薬(LAMA)の例には、臭化アクリジニウム、臭化グリコピロニウム等のグリコピロニウム塩、レベフェナシン、臭化チオトロピウム等のチオトロピウム、臭化ウメクリジニウム、臭化オキシトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化イプラトロピウム、塩化トロスピウム、トルテロジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
長時間作用型ベータ作動薬(LABA)の例には、アルブテロール、アルフォルモテロール、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール、カルブテロール、クレンブテロール、フェノテロール、ホルモテロール、ヘキソプレナリン、イブテロール、インダカテロール、インダクテロール、イソエタリン、イソプレナリン、レボサルブタモール、マブテロール、メルアドリン、メタプロテレノール、オロダテロール、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメテロール、サルメファモール、ソテレノット、スルホンテロール、チアラムデ、テルブタリン、テルブテロールが含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
吸入可能な糖質コルチコイド(ICS)の例には、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロピオン酸ブチクソコート、フルニソリド、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン、シクレソニド、ロフレポニド、デキサメタゾン、エチプレドノール-ジクロロアセテート、デフラザコート、エチプレドノール、ロテプレドノール、RPR-106541、NS-126、ST-26が含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
さらに、活性医薬成分は、オピオイド鎮痛薬(例えばモルヒネ、フェンタニル)または非オピオイド鎮痛薬(例えばサリチル酸誘導体、例えばアセチルサリチル酸)またはカンナビノイド(例えばテトラヒドロカンナビノール)等の鎮痛薬、インスリンなどの抗糖尿病薬から選択され得る。
【0071】
本吸入デバイスによって噴霧またはエアロゾル化され得る医学的に活性な液体または液体医薬組成物は、上述のような少なくとも1つの活性医薬成分を含み得るが、吸入によって投与され得る2つ以上の活性医薬成分の混合物も含み得る。
【0072】
本発明による吸入デバイスによってエアロゾル化され得る医学的に活性な液体または医薬組成物は、好ましくは、吸入使用に好適でそれに適合された組成物として、換言すれば、吸入のために噴霧またはエアロゾル化され得、患者による吸入に生理学的に許容される組成物として調剤される。
【0073】
本発明のこの態様による吸入デバイスによって投与され得るか、または吸入デバイスおよびリザーバ内に含まれ得る医学的に活性な液体または医薬組成物は、分散液、例えば液体連続相および固体分散相を有する懸濁液の形態で、または溶液の形であってもよい。
【0074】
さらなる実施形態において、上述のような医学的に活性な液体または医薬組成物は、任意選択で、吸入使用に適した1種以上の生理学的に許容される賦形剤を含み得る。組成物に含まれ得る賦形剤には、溶液のpHを調節または制御するための1種または複数種の緩衝剤、塩、味覚マスキング剤、界面活性剤、脂質、抗酸化剤、および溶解性を増強または改善するために使用され得る共溶媒、例えばエタノールまたはグリコールが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0075】
特定の実施形態において、上述のような医学的に活性な液体は、推進剤を本質的に含まなくてもよい。
【0076】
さらなる特定の実施形態において、上述のような医学的に活性な液体は、上述のような1種または複数種の活性医薬成分が、水を含む液体キャリア溶液に溶解および可溶化された水溶液であってもよい。そのような水溶液は、任意選択で、上述のような1種または複数種の賦形剤を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】一般的な吸入デバイスの概略的な簡略断面図である。
図2】吸入デバイスのより詳細な断面図である。
図3】3つのセクションの2つのシリーズを有するカム表面を備えた回転可能部分の簡略化された展開図である。
図4】3つのセクションの2つのシリーズを有する回転可能部分の簡略化された上面図である。
図5】対向面を有する対応部分の概略的な簡略化された展開図である。
図6】対向面を有する対応部分の概略的な簡略化された展開図である。
図7】対向面を有する対応部分の概略的な簡略化された展開図である。
図8】カム表面と対向面の間の相互作用の様々な段階を示す図である。
図9】カム表面と対向面の間の相互作用の様々な段階を示す図である。
図10】カム表面と対向面の間の相互作用の様々な段階を示す図である。
図11図8に対応する段階にあるより詳細な実施形態の図である。
図12図9に対応する段階にあるより詳細な実施形態の図である。
図13図10に対応する段階にあるより詳細な実施形態の図である。
図14】回転可能部分のさらなる回転を抑制することを意図した第4のセクションの例を示す図である。
図15】回転可能部分のさらなる回転を抑制することを意図した第4のセクションの例を示す図である。
図16】回転可能部分のさらなる回転を抑制することを意図した第4のセクションの例を示す図である。
【0078】
図1に、一般的な吸入デバイスの概略的な簡略断面図を示す。図1は、初回使用前の状況を示す。
【0079】
吸入デバイスは、好ましくは、片手で保持でき、一本の指、例えば親指(図示せず)で操作できるような形状および寸法のハウジング1を備える。医学的に活性な液体を貯蔵するためのリザーバ2は、ハウジング1の内部に配置されている。描かれているリザーバ2は、折りたたみ可能であるように設計されており、つまり、空にしている間、弾性壁または少なくともしなやかな壁が座屈するため、ある量の液体を吸い出すために必要な負圧が増加しない、またはほとんど増加しない。同様の効果は、剛性を有する容器が移動可能な底部を有し、それによってリザーバの内部容積も連続的に減少させることができる場合に達成することができる(図示せず)。
【0080】
さらに、吸入デバイスは、液体を放出し、それを噴霧するために必要な所望の圧力を生成するために、ハウジング1内に可変容量のポンピングチャンバを形成する中空円筒部分3を備えたポンピングデバイスを備える。ポンピングデバイスはまた、図示されていない追加の構成要素(押しボタン、ロックデバイス等)を備えてもよい。
【0081】
中空円筒部3は、任意選択の入口逆止弁4によってリザーバ2と流体的に接続されている。逆止弁4は、ポンピングチャンバへの液体の流入を可能にするのに役立ち、図示されていない遮断手段の解放時に、リザーバ2への液体の逆流を遮断する。
【0082】
位置エネルギーを貯蔵するための手段7として、一方の(上向きの)端で中空の円筒部分3に結合され、かつハウジング1の底部(図の下部)で支持される圧縮ばねが提供される。
【0083】
吸入デバイスは、前記中空円筒部分3に受容され得る、少なくとも1つの、リザーバに面する上流端部5Aを有するライザパイプ5をさらに備える。換言すれば、ライザパイプ5は、ポンピングチャンバを形成する中空円筒部分3に少なくとも部分的に押し込まれてもよく、その結果、ポンピングチャンバの内部容積が減少する。「内部容積」という用語は、ポンピングチャンバのリザーバに面する入口からライザパイプ5の内部端5Aが位置する場所まで延在する容積を表す。図示された状況では、ライザパイプ5は、中空円筒部分3からほぼ完全に引き出されている。その結果、現在逆止弁4とライザパイプ5の上流端部5Aとの間に位置するポンピングチャンバの内部容積は最大であり、液体が満たされている。
【0084】
好ましくは、ライザパイプ5を受容するように機能するセクションにおいて、中空円筒部分3は、対応するライザパイプセクションの(同様に)円形の外側断面に対応する円形の内側断面を有するセクションを少なくとも有する。当然ながら、他の断面形状もまた可能である。
【0085】
図示される実施形態によれば、逆止弁4は、リザーバ2とポンピングチャンバの入口との間に配置されている。
【0086】
また、吸入デバイスは、ライザパイプ5の下流端部5Bに液密に接続されたノズル6を備える。ノズル6は、液体を噴霧/霧化するのに適した任意の既知のノズルであり得る。例として示されているノズル6は、2つの衝突する液体ジェットによる噴霧の原理を使用している。好ましくは、液体含有チャネルの断面は比較的小さく、典型的にはミクロンの領域である。
【0087】
また、外部からライザパイプ5の下流端部分5Bへの液体または空気の逆流を回避するための、ライザパイプの内側にある任意選択の出口弁8が示されている。出口弁8は、ライザパイプ5の上流端部5Aに配置されている。液体はノズル6の方向に出口弁8を通過できるが、出口弁8は反対方向への望ましくない逆流を遮断する。
【0088】
図1に見られるように、ライザパイプ5は、不動となるように設計され、ハウジング1にしっかりと取り付けられており、外端5Bの領域におけるハウジング1との接続によって示されている。ライザパイプ5はまたノズル6にしっかりと取り付けられており、ノズル6も同様にハウジング1に取り付けられている。反対に、中空円筒部分3は、ハウジング1、ライザパイプ5、およびノズル6に対して移動可能であるように設計されている。
【0089】
図1に表示されていないのは、本発明に従って必要とされる歯車機構であり、それによって、中空円筒部分3の直線相対運動が、ハウジング1の一部である、またはそれに接続された回転可能部分の、前記ハウジング1の第2の部分に対する回転軸Rの周りの相対回転によってもたらされ得、したがって前記相対回転は前記直線相対運動に変換され得る。
【0090】
しかしながら、図2には、これらの構成要素が表示された本発明の実施形態が示されている。参照番号の一部および図1に示されている下部(位置エネルギーの貯蔵手段、リザーバ)は省略されている。ポンピングチャンバは、中空円筒部分3およびライザパイプ5の重なり合うセグメントにあり、弁は示されていない。特に、ハウジング1、回転可能部分1Aおよび対応部分1Bが互いにどのように関連しているかを見ることができる。対応部分1Bは、ハウジング1にしっかりと接続されている。回転可能部分1Aは、対応部分1Bと部分的に重なっている。回転可能部分1Aは、ある特定の制限内で、回転軸Rに沿って直線的に移動することができる。しかしながら、対応部分1Bとは共回転しない。ライザパイプ5は、対応部分1Bも接続されているハウジング1の部分、およびノズル6(図示せず)に接続され、中空円筒部分3は、回転可能部分1Aに接続されている。したがって、回転可能部分1Aを直線的に動かすことにより、ポンピングチャンバを形成する中空円筒部分3の内部容積を変えることができる。この例では、回転可能部分1Aを上向きに(すなわち下流に、またはノズルに向かって)動かすと、容積が減少して液体が放出され、下向きに動かすと、容積が増加してリザーバ側からポンピングチャンバが(再び)充たされる。
【0091】
図3には、2つのシリーズのカム表面セクションを有するリムを有する回転可能部分1Aの簡略化された展開図が示されており、それらのそれぞれは、セクション9A、9B、および9Cを含む。リムは、回転可能部分1Aの下流面を提供する。あるいは、カム表面を備えたリムが対応部分1Bに収容されてもよく、または回転可能部分1Aおよび対応部分1Bの両方が対応するカム表面を特徴付けてもよい。3つのバージョンすべてで、回転が直線運動に同じように変換されることは明らかである。
【0092】
図3に見られるように、第1のセクション9Aは上昇する勾配からなり、一方、第3のセクション9Cは「平坦な」勾配によって提供される。続いて、第2のセクション9Bは、「ステップ」または垂直「下降」として形作られる。図示された例では、1回の投与サイクルに対応する回転角、すなわち第1のセクション9Aの開始から第2のセクション9Bの終了までの回転は、180度に達する。したがって、第2の部分1Bに対する回転可能部分1Aの完全な360度の相対回転は、2回の投与サイクルを含むであろう。
【0093】
図4は、上面図、すなわち回転軸Rに平行な図で同じ状況を示している。半円Cは、1回の投与サイクル(180度)の回転角を示す。前記角度の開始点(左端の開始点)で、第1のセクション9Aが開始する。矢印10は、第3のセクション9Cの開始を示している。この第3のセクション9Cと、第2の投与サイクルに属する次の第1のセクション(黒い太線、参照番号は省略)とのちょうど間に、第2のセクション9Bがある。この例の図示では、第2のセクション9Bは、視線方向(回転軸Rに平行)に沿って走っており、したがって非常に短い。対照的に、第3のセクション9Cは、進行中の回転時に、前記セクションが手動で容易に検出されるように、目に見える長さを有する。ロードされたデバイスがまだ用量を排出しないことが意図される場合、回転は第3のセクションのどこかで停止される。さらに回転すると、第3のセクション9Cの終わりに到達し、対応部分(図示せず)が第1のセクション9Aの縁を滑って第2のセクション9Bに沿って下降する間にデバイスが作動する。次いで、新しいサイクルが開始し得る。
【0094】
図5図7は、図示された実施形態において、対応部分1Bの特徴である対向面を示す。あるいは、またはさらに、それは回転可能部分1Aの特徴でもあり得る。図5では、対向面は、図3に示されるカム表面の反転形状を有し、3つのセクション9A、9B、9Cすべてを有する。
【0095】
図6では、対向面が短縮されているが、第3のセクション9Cに対応する平坦な部分、および第1のセクション9Aに対応する勾配部分がある。図6の右側において、破線で描かれた領域は、対応する第1のセクション9Aを「中断」または短縮する第4のセクション9Dを示している。しかしながら、残りの対向面は、2つの表面/構成要素1A、1Bの間の所望のカム相互作用のために十分である。
【0096】
図7は、所望の相互作用にも十分であるが、セクション9A、9B、9C(図示せず)とその対向面(図示せず)との間の重なりの低い領域を提供する短いカム11を示している。
【0097】
図8図9、および図10には、カム表面と対向面との間の相互作用の様々な段階が示されている。この実施形態において、部分1A、1Bの両方は、各セクション9A、9Bおよび9Cについて、それぞれのカム表面の一致する形状または勾配を有し、当然ながら、一方は他方の逆の輪郭となっている。同様の部分には、同様の参照番号が付されている(部分的に省略されている)。実際の部分1A、1Bの相対回転は、図において相対運動によって示されており、対応部分1Bの右への相対的な動きは、意図された回転方向(ロード、休止、排出)に対応する。
【0098】
図8では、ロード段階が示されており、対応部分1Bは、回転可能部分1Aの第1のセクション9A上を滑って、対応部分1Bの直線運動をもたらし、例えばポンピングチャンバ(図示せず)の容積を増加させ、位置エネルギーを貯蔵するための手段(図示せず)にロードする。
【0099】
図9では、休止段階が描かれており、部分1Aおよび1Bの軸方向に測定された距離(または軸方向の位置)が一定のままであるため、さらなる回転の可能性にもかかわらず、容積およびロードの変化は生じない。
【0100】
図10では、対応部分1Bが回転可能部分1Aの第2のセクション9Bに沿って「下降」するため、前記距離は急速に減少する。したがって、この図は排出段階を示している。
【0101】
その後、デバイスは、ロード状況から始まる別の投与サイクルの開始時にある。
【0102】
後続の図面である図11図12、および図13は、前の図8図9、および図10に概略的に示されている段階に対応する。
【0103】
図示された実施形態において、180度の回転は、ロード段階および排出段階を含む完全投与サイクルをもたらすことに留意されたい。さらに、関連する領域を可能な限り見やすくするために、断面図は同一の断面を有さないことに留意されたい。
【0104】
図11では、デバイスはロード段階にある。対応部分1Bは、ハウジング1の一部にしっかりと接続されている。回転可能部分1Aは、カム表面を提供する。図示された段階では、勾配セクション9Aは、対応部分1Bの隣接する対向面と接触している。
【0105】
図12では、休止段階が示されている。この状況では、セクション9C(平坦セクション)は対応する対向面と接触している。回転軸Rの周りのさらなる回転は、(即座には)回転可能部分1Aと対応部分1Bとの間の軸方向位置または距離の変化をもたらさないであろう。
【0106】
最後に、図13では、排出段階が示されている。この段階では、「下降」セクション9Bが対応する対向面に沿って摺動し、回転可能部分1Aと対応部分1Bとの間の距離は、エネルギーを貯蔵するための手段(図示せず)によって駆動されて急速に減少し、この貯蔵手段がエネルギーをポンピングチャンバ(図示せず)に与え、同じ負圧をかける。その結果、液体がノズルから放出される(両方とも図示せず)。
【0107】
図14図15および図16では、回転可能部分のさらなる回転を抑制することを意図した第4のセクション9Dの実寸ではない例が示されている。
【0108】
これらの実施形態において、第4のセクション9Dは、セクション9Cの終わりに配置される。図14によれば、第4のセクション9Dは、高さが増加する勾配を備えている。したがって、カム11によって表される対向面が、回転時に第4のセクション9Dに到着すると、前記セクションを登るには、位置エネルギーを貯蔵するための手段をさらに充填する必要がある(図示せず)。しかしながら、使用者は、さらなる回転に必要な力のこの突然の増加を感知し、さらなる回転を停止することができる。また、他の外力がないと、回転も進行せず、保管中、意図しない液体の放出が生じないことが確実となる。
【0109】
図15では、第4のセクション9Dが同一の機能を果たす。この実施形態において、これは、最初に増加し、次いで減少する勾配(「隆起」)の形状を有する。最高点を通過した場合にのみ、放出段階が開始する。
【0110】
図16では、第4のセクション9Dは、最初に減少し、次いで増加する勾配(「ノッチ」)を提供する。カムが第4のセクション9Dの最下部に到達すると、放出が開始するようにカムを前記セクションから「持ち上げる」ために追加の力が提供されるまで、カムはこの安定した位置に静止する。
【0111】
「元の」フルサイズの第3のセクション9Cの回転角を特徴とする図8図10に示されるような第4のセクション9Dがない実施形態と比較して、第4のセクションの回転角は、それぞれ前記「元の」角度の5%~50%、または10%~30%、または15%~25%のパーセンテージをカバーする。第3のセクション9Cに対する第4のセクション9Dの最大高さ(またはそれぞれの深さ)は、0.05mm~5mm、または0.1mm~1mm、または0.25mm~0.5mmの値に達する。
【符号の説明】
【0112】
1 ハウジング
1A 回転可能部分
1B 対応部分
2 リザーバ
3 中空円筒部分
4 逆止弁
5 ライザパイプ
5A 上流端部
5B 下流端部
6 ノズル
7 位置エネルギーを貯蔵するための手段
8 出口弁
9A 第1のセクション
9B 第2のセクション
9C 第3のセクション
9D 第4のセクション
10 矢印
11 カム
R 回転軸
C 半円
【0113】
以下の番号付き項目のリストは、本発明に含まれる実施形態である。
【0114】
項目1 エアロゾルを生成するための医学的に活性な液体(F)用の吸入デバイスであって、
-吸入デバイスは、ハウジング(1)と、このハウジング(1)の内部の液体(F)を貯蔵するためのリザーバ(2)と、ポンピングユニットとを備え、前記ユニットは、ライザパイプ(5)と、前記ライザパイプ(5)の上流端部(5A)を受容するように構成された内部空間を有する中空円筒部分(3)とを備え、前記円筒部分(3)は、ライザパイプ(5)上で直線的に移動可能であり、円筒部分(3)およびライザパイプ(5)は、ライザパイプ(5)に対する円筒部分(3)の直線相対運動によってポンピングチャンバ内に圧力を発生させるための可変容積を有する前記ポンピングチャンバを形成し、ポンピングチャンバは、リザーバ(2)と、ライザパイプ(5)の下流端部(5B)に液密に接続されたノズル(6)とに流体的に接続され、
-前記直線相対運動は、ハウジング(1)の第1の部分の一部である、またはそれに接続された回転可能部分(1A)の、前記ハウジング(1)の第2の部分の一部である、またはそれに接続された対応部分(1B)に対する回転軸(R)の周りの相対回転によってもたらされ得、したがって前記相対回転は、歯車機構によって前記直線相対運動に変換され、前記歯車機構は、軸方向において高さが増加する第1のセクション(9A)および高さが減少する第2のセクション(9B)を有する少なくとも1つのカム表面を備え、カム表面は、隣接する対向面に沿って摺動することができ、カム表面は、回転時に、前記対向面に沿って摺動して前記変換をもたらすように適合され、
-位置エネルギーを貯蔵するための手段(7)が提供され、これは、第1のセクション(9A)に沿った前記相対回転によって充填可能であり、前記エネルギーは、解放されたときに前記ポンピングデバイスに解放可能である、吸入デバイスにおいて、
前記カム表面は、高さが増加する第1のセクション(9A)と高さが減少する第2のセクション(9B)との間に、一定の高さの第3のセクション(9C)を有し、したがって、前記カム表面の前記第3のセクション(9C)が対向面に沿って摺動する間、直線相対運動は発生しないことを特徴とする吸入デバイス。
【0115】
項目2 -カム表面が、回転可能部分(1A)に配置されるか、もしくはそれに接続され、対応部分(1B)が、対向面を提供する、または
-カム表面が、対応部分(1B)に配置されるか、もしくはそれに接続され、回転可能部分(1A)が対向面を提供する、項目1に記載の吸入デバイス。
【0116】
項目3 対向面が、第2のカム表面、またはカム(11)、またはローラによって提供される、項目1または2に記載の吸入デバイス。
【0117】
項目4 第1、第2、および第3のセクション(9A、9B、9C)の回転角をカバーする投与サイクルが、360度、またはその整数分数の回転に対応する、項目1から3のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【0118】
項目5 請求項4に記載の回転角の合計が180度に達する、項目4に記載の吸入デバイス。
【0119】
項目6 第3のセクション(9C)の回転角が7±6度に達する、項目5に記載の吸入デバイス。
【0120】
項目7 第2のセクション(9B)の回転角が0度に達し、カム表面の軸方向に配向したセクションをもたらす、項目1から6のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【0121】
項目8 吸入デバイスの作動を遮断するためのさらなる手段が存在し、第3のセクション(9C)に対応する回転可能部分(1A)および対応部分(1B)の相対的な軸方向位置の変化を抑制するように適合される、項目1から7のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【0122】
項目9 作動を遮断するための前記手段が、その無効化時に、
-カム表面の第2のセクション(9B)が対向面と接触するように、受動的にさらなる回転を可能にするか、もしくは回転可能部分(1A)を能動的にさらに回転させる、または
-第2のセクション(9B)に対応する、対応部分(1B)に対する回転可能部品(1A)の以前に遮断された相対的な軸方向運動を可能にするように適合される、項目8に記載の吸入デバイス。
【0123】
項目10 第1のセクション(9A)の勾配が、一定、増加、減少、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1から9のいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【0124】
項目11 項目1から10のいずれか一項に記載の吸入デバイスによってエアロゾルを生成するための方法であって、回転可能部分(1A)の回転時に、ポンピングチャンバに液体を満たすための第1の充填段階と、ノズル(6)から霧化された液体を放出するための第2の排出段階とを含む方法において、前記2つの段階の間に第3の休止段階が存在し、その間、さらなる回転にもかかわらず、ポンピングチャンバの容積は一定のままであることを特徴とする方法。
【0125】
項目12 1回の投与サイクルが、180度の回転によって達成される、項目11に記載の方法。
【0126】
項目13 休止段階全体が、7±6度の回転で通過する、項目11または12に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16