(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】コーティング組成物、コーティングされた布、コーティングされた布を作製する方法、およびコーティングされた布から作製された物品
(51)【国際特許分類】
C09D 123/00 20060101AFI20240119BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20240119BHJP
C09D 5/04 20060101ALI20240119BHJP
C09D 7/43 20180101ALI20240119BHJP
B60R 21/235 20060101ALI20240119BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
C09D123/00
C09D5/02
C09D5/04
C09D7/43
B60R21/235
C09D5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021517233
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 US2019055078
(87)【国際公開番号】W WO2020081278
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-27
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴーリン、クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ミレネ、ジャコブ
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、マーク
(72)【発明者】
【氏名】マロトキー、デビッド
(72)【発明者】
【氏名】セカラン、マネシュ
(72)【発明者】
【氏名】トムザック、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブーク、ケビン
(72)【発明者】
【氏名】デルモディ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】バンク、デビッド
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-012812(JP,A)
【文献】特開平07-216746(JP,A)
【文献】特開平06-092193(JP,A)
【文献】特開2003-226785(JP,A)
【文献】特表2009-542853(JP,A)
【文献】特表2013-532198(JP,A)
【文献】特表2013-531701(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0288649(US,A1)
【文献】特開平04-100752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成物であって、
(1)分散体であって、
(a)前記分散体の総固形物重量に基づいて、50~95重量%の1つ以上のオレフィンベースポリマーと、
(b)前記分散体の総固形物重量に基づいて、2~40重量%の1つ以上の分散剤と、
(c)前記分散体の総固形物重量に基づいて、0~15重量%の1つ以上の相溶化剤と、
(d)水と、
(e)任意に、前記1つ以上の分散剤を
中和するのに十分な、
前記1つ以上の分散剤の酸価の100~140%の
量の塩基と、の溶融ブレンド生成物を含み、
2ミクロン以下の平均の体積平均粒径、70重量%以下の固形分、および8以上のpHを呈する、分散体と、
(2)1つ以上のレオロジー調整剤と、
(3)任意に、前記コーティング組成物が、7を超えるpHを有するような1つ以上の中和剤と、を含
み、
前記オレフィンベースポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-アルファオレフィンコポリマー及びプロピレン-アルファオレフィンコポリマーから選択され、
前記分散剤が、(i)長鎖カルボン酸、及び(ii)コモノマー又はグラフト化モノマー又は官能基のいずれかとしてアクリル系モノマー又は無水マレイン酸に由来する極性基を有する極性ポリオレフィンから選択され、
前記レオロジー調整剤が、架橋ポリアクリレートポリマーから選択される、コーティング組成物。
【請求項2】
前記1つ以上のオレフィンベースポリマーが、
エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記1つ以上のオレフィンベースポリマーが、0.86~0.96g/ccの密度および1~50g/10分のメルトインデックスI
2を呈する、請求項1または2のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項4】
コーティングされた布であって、
(1)織布または不織布の基材と、
(2)コーティング組成物に由来するコーティングであって、前記コーティング組成物が、(1)分散体であって、(a)前記分散体の総固形物重量に基づいて、50~95重量%の1つ以上のオレフィンベースポリマーと、(b)前記分散体の総固形物重量に基づいて、2~40重量%の1つ以上の分散剤と、(c)前記分散体の総固形物重量に基づいて、0~15重量%の1つ以上の相溶化剤と、(d)水と、(e)任意に、前記1つ以上の分散剤を
中和するのに十分な、
前記1つ以上の分散剤の酸価の100~140%の
量の塩基と、の溶融ブレンド生成物を含み、2ミクロン以下の平均の体積平均粒径、70重量%以下の固形分、および8以上のpHを呈する、分散体と、(2)1つ以上のレオロジー調整剤と、(3)任意に、前記コーティング組成物が7を超えるpHを有するような1つ以上の中和剤と、を含み、
前記コーティングが、20~50g/m
2の総コーティング重量で基材の少なくとも1つの表面に塗布される、コーティングと、を含
み、
前記オレフィンベースポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-アルファオレフィンコポリマー及びプロピレン-アルファオレフィンコポリマーから選択され、
前記分散剤が、(i)長鎖カルボン酸、及び(ii)コモノマー又はグラフト化モノマーとしてのアクリル系モノマー又は無水マレイン酸に由来する極性基を有する極性ポリオレフィンから選択され、
前記レオロジー調整剤が、架橋ポリアクリレートポリマーから選択される、コーティングされた布。
【請求項5】
前記コーティングされた布が、15秒以上の期間、200kPaの印加圧力の95%以上の圧力保持を呈する、請求項4に記載のコーティングされた布。
【請求項6】
前記コーティングされた布が、30秒以上の期間、200kPaの印加圧力の98%以上の圧力保持を呈する、請求項4に記載のコーティングされた布。
【請求項7】
請求項
4に記載のコーティングされた布を含むエアバッグ。
【請求項8】
前記エアバッグが、前記コーティングされた布の単一部分から形成される、請求項7に記載のエアバッグ。
【請求項9】
前記エアバッグが、前記エアバッグを形成するために一緒に縫い合わされた前記コーティングされた布の複数の部分を含む、請求項7に記載のエアバッグ。
【請求項10】
前記エアバッグが、側面衝突エアバッグである、請求項7に記載のエアバッグ。
【請求項11】
前記エアバッグが、運転席または助手席のフロントエアバッグである、請求項7に記載のエアバッグ。
【請求項12】
前記エアバッグが、少なくとも12秒間展開されたままである、請求項7または10に記載のエアバッグ。
【請求項13】
前記エアバッグが、少なくとも6秒間展開されたままである、請求項7または11に記載のエアバッグ。
【請求項14】
コーティングされた布を調製する方法であって、
織布または不織布基板を提供することと、
(1)分散体であって、(a)前記分散体の総固形物重量に基づいて、50~95重量%の1つ以上のオレフィンベースポリマーと、(b)前記分散体の総固形物重量に基づいて、2~40重量%の1つ以上の分散剤と、(c)前記分散体の総固形物重量に基づいて、0~15重量%の1つ以上の相溶化剤と、(d)水と、(e)任意に、前記1つ以上の分散剤を
中和するのに十分な、
前記1つ以上の分散剤の酸価の100~140%の
量の塩基と、の溶融ブレンド生成物を含み、2ミクロン以下の平均の体積平均粒径、70重量%以下の固形分、および8以上のpHを呈する、分散体と、(2)1つ以上のレオロジー調整剤と、(3)任意に、前記コーティング組成物が7を超えるpHを有するような1つ以上の中和剤と、を含むコーティング組成物を、ナイフコーティング、ロールコーティング、ディップコーティング、フローコーティング、スクイーズコーティング、およびスプレーコーティングからなる群から選択される1つ以上の塗布方法によって前記基板の少なくとも1つの表面に塗布して、ウェットコーティングされた基板を製造することと、
前記ウェットコーティングされた基材を乾燥させて、20~50g/m
2のコーティング重量、および15秒以上の期間、200kPaの印加圧力の95%以上の圧力保持を呈するコーティングされた布を製造することと、を含
み、
前記オレフィンベースポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-アルファオレフィンコポリマー及びプロピレン-アルファオレフィンコポリマーから選択され、
前記分散剤が、(i)長鎖カルボン酸、及び(ii)コモノマー又はグラフト化モノマーとしてのアクリル系モノマー又は無水マレイン酸に由来する極性基を有する極性ポリオレフィンから選択され、
前記レオロジー調整剤が、架橋ポリアクリレートポリマーから選択される、方法。
【請求項15】
エアバッグ用コーティングとしての、請求項1~3のいずれか一項に記載のコーティング組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物、コーティングされた布、コーティングされた布を作製する方法、およびコーティングされた布から作製された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
布、主にポリエステルおよびナイロン上のポリマーコーティングは、自動車のエアバッグおよび航空機の緊急シュートなどのガス/空気圧保持の用途に使用される。シリコーンコーティングは、市場で優勢であるが、有機被膜のコーティングが、低コストのために市場に参入している。既知のコーティングには、コスト、ブロッキング(ポリマーコーティングされた表面が互いにくっつく傾向)、可燃性、高いコート重量、数秒を超える期間にわたるガス圧の低下などの問題が存在する。これらすべての要素を最適化する圧力保持コーティングは、そのような用途に役立つ。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、コーティング組成物、コーティングされた布、コーティングされた布を作製する方法、およびコーティングされた布から作製された物品を提供する。本発明はさらに、コーティングされた布から作製されたエアバッグおよび緊急シュートなどの物品を提供する。
【0004】
一実施形態では、本発明は、コーティング組成物を提供し、それは、(1)分散体であって、(a)分散体の総固形物重量に基づいて、50~98重量%の1つ以上のオレフィンベースポリマーと、(b)分散体の総固形物重量に基づいて、2~40重量%の1つ以上の分散剤と、(c)分散体の総固形物重量に基づいて、0~15重量%の1つ以上の相溶化剤と、(d)水と、(e)任意に、1つ以上の分散剤を、100~140%の酸価の1つ以上の分散剤に中和するのに十分な中和剤と、の溶融混練生成物を含み、2ミクロン以下の体積平均粒度、70重量%以下の固形分、および8以上のpHを呈する分散体と、(2)1つ以上のレオロジー調整剤と、(3)コーティング組成物が7を超えるpHを有するのに十分な中和剤と、を含む。
【0005】
代替的な実施形態では、本発明は、エアバッグで使用するためのコーティングされた布を提供し、それは、(1)織布または不織布基材と、(2)本発明のコーティング組成物に由来するコーティングと、を含み、コーティングが、20~50g/m2の総コーティング重量で基材の少なくとも1つの表面に塗布される。
【0006】
別の代替的な実施形態では、本発明は、本発明のコーティングされた布を含む物品を提供する。
【0007】
別の代替例では、本発明は、コーティングされた布を調製する方法を提供し、それは、織布または不織布基材を提供することと、ナイフコーティング、ロールコーティング、ディップコーティング、フローコーティング、スクイーズコーティング、およびスプレーコーティングからなる群から選択される1つ以上の塗布方法によって基材の少なくとも1つの表面にコーティング組成物を塗布して、ウェットコーティングされた基材を製造することと、ウェットコーティングされた基材を乾燥させて、20~50g/m2のコーティング重量を呈するコーティングされた布を製造することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態で使用される分散体を調製するために使用される典型的な溶融押出装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、コーティング組成物、コーティングされた布、およびそれから作製された物品、ならびにコーティングされた布を作製する方法を提供する。
【0010】
本発明によるコーティング組成物は、(a)分散体と、(b)レオロジー調整剤と、(c)任意に、塩基と、(d)任意に、溶媒と、を含む。分散体は、1つ以上のオレフィンベースポリマー、1つ以上の分散剤、任意に、1つ以上の相溶化剤、水、および任意に、1つ以上の中和剤を含む。
【0011】
ベースポリマー
本発明の分散体は、分散体の固形分の総重量に基づいて、50~98重量パーセントのベースポリマー(複数可)を含む。50~98重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、かつ本明細書に開示されており、例えば、重量パーセントは、50、55、60、65、70、75、80、82、90、または92重量パーセントの下限から65、74、83、87、90、95、または98重量パーセントの上限までであり得る。例えば、分散体は、分散体の固形分の総重量に基づいて、50~98、または代替例では75~95、または代替例では60~85重量パーセントのベースポリマー(複数可)を含み得る。分散体は、少なくとも1つ以上のオレフィンベースポリマーを含む。オレフィンベースポリマーは、例えば、熱可塑性材料および熱硬化性材料からなる群から選択することができる。1つ以上のベースポリマーは、1つ以上のオレフィン系ポリマーを含む。
【0012】
熱可塑性材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-3-メチル-1-ブテン、ポリ-3-メチル-1-ペンテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-1-ブテンコポリマー、およびプロピレン-1-ブテンコポリマーによって典型的に表されるような、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、および1-ドデセンなどのアルファ-オレフィンのホモポリマーおよびコポリマー(エラストマーを含む);エチレン-ブタジエンコポリマーおよびエチレン-エチリデンノルボルネンコポリマーによって典型的に表されるような、共役または非共役ジエンとのアルファ-オレフィンのコポリマー(エラストマーを含む);ならびにエチレン-プロピレン-ブタジエンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン-プロピレン-1,5-ヘキサジエンコポリマー、およびエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネンコポリマーによって典型的に表されるような、共役または非共役ジエンとの2つ以上のアルファ-オレフィンのコポリマーなどのポリオレフィン(エラストマーを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
選択された実施形態では、オレフィンベースポリマーは、エチレン-アルファオレフィンコポリマー、およびプロピレン-アルファオレフィンコポリマーからなる群から選択されるポリオレフィンを含む。特に、選択された実施形態では、ベースポリマーは、1つ以上の非極性ポリオレフィンを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、好ましいオレフィンポリマーには、米国特許第3,645,992号に記載されている均質ポリマー;米国特許第4,076,698号に記載されている高密度ポリエチレン(HDPE);例えば、米国特許第5,272,236号および同第5,278,272号に開示されているプロセスによって調製することができ、それらの開示が参照により本明細書に組み込まれる、不均質に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均質に分岐した超低線密度ポリエチレン(ULDPE);均質に分岐した線状エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー;均質に分岐した、実質的に線状のエチレン/アルファ-オレフィンポリマー;ならびに低密度ポリエチレン(LDPE)などの高圧フリーラジカル重合エチレンポリマーおよびコポリマーが含まれる。
【0015】
一実施形態では、ベースポリマーは、プロピレン系コポリマーまたはインターポリマーである。いくつかの特定の実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーまたはインターポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有することを特徴とする。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」という用語および同様の用語は、配列が、13C NMRによって測定された、約0.85を超える、好ましくは約0.90を超える、より好ましくは約0.92を超える、最も好ましくは約0.93を超えるアイソタクチックトライアド(mm)を有することを意味する。アイソタクチックトライアドは、当技術分野において既知であり、例えば、米国特許第5,504,172号およびWO00/01745に記載されており、13C NMRスペクトルによって測定されるコポリマー分子鎖におけるトライアド単位に関するアイソタクチック配列を指す。そのようなプロピレン系コポリマーは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,960,635号および同第6,525,157号にさらに詳細に説明されている。このようなプロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、The Dow Chemical CompanyからVERSIFY(商標)の商品名で、またはExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXX(商標)の商品名で市販されている。
【0016】
他の実施形態では、ベースポリマーは、エチレン-メチルアクリレート(EMA)系ポリマーであり得る。他の特定の実施形態では、エチレン-アルファオレフィンコポリマーは、エチレン-ブテン、エチレン-ヘキセン、もしくはエチレン-オクテンコポリマー、またはインターポリマーであり得る。他の特定の実施形態では、プロピレン-アルファオレフィンコポリマーは、プロピレン-エチレン、もしくはプロピレン-エチレン-ブテンコポリマー、またはインターポリマーであり得る。
【0017】
一実施形態では、オレフィンベースポリマーは、0.86~0.96g/ccの密度および1~50g/10分のメルトインデックスI2を有し得る。
【0018】
ある特定の実施形態では、ベースポリマーは、5~20重量パーセントのエチレン含有量および0.5~300g/10分のメルトフローレート(230℃、重量2.16kg)を有するプロピレン-エチレンコポリマーまたはインターポリマーであり得る。他の実施形態では、プロピレン-エチレンコポリマーまたはインターポリマーは、9~12重量パーセントのエチレン含有量および1~100g/10分のメルトフローレート(230℃、重量2.16kg)を有し得る。
【0019】
他の実施形態では、ベースポリマーは、50パーセント未満の結晶化度を有し得る。他の実施形態では、ベースポリマーの結晶化度は、5~35パーセントであり得る。他の実施形態では、結晶化度は、7~20パーセントの範囲であり得る。
【0020】
特定の他の実施形態では、ベースポリマーは、半結晶性ポリマーであり、110℃未満の融点を有し得る。いくつかの実施形態では、融点は、25~100℃であり得る。さらに他の実施形態では、融点は、40~85℃であり得る。
【0021】
他の選択された実施形態では、オレフィンブロックコポリマー、例えば、米国特許出願第11/376,835号に記載されているものなどのエチレンマルチブロックコポリマーをベースポリマーとして使用することができる。好適なエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーの非限定的な例は、米国特許第7,608,668号に開示されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーである。エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーは、The Dow Chemical Companyから入手可能な商品名INFUSE(商標)で販売されている。そのようなオレフィンブロックコポリマーは、エチレン/α-オレフィンインターポリマーであり得、それは、
(a)約1.7~約3.5のMw/Mn、摂氏での少なくとも1つの融点Tm、およびグラム/立方センチメートルでの密度dを有し、Tmおよびdの数値が、以下の関係に対応する、
Tm>-2002.9+4538.5(d)-2422.2(d)2、または
(b)約1.7~約3.5のMw/Mnを有し、かつJ/gでの融解熱ΔH、および最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの間の温度差として定義される摂氏でのデルタ量ΔTを特徴とし、ΔTおよびΔHの数値が、以下の関係を有し、
ΔHがゼロを超え、かつ最大130J/gの場合、ΔT>-0.1299(ΔH)+62.81、
ΔHが130J/gを超える場合、ΔT≧48℃、
CRYSTAFピークが、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度が、30℃である、または
(c)エチレン/α-オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定した300パーセントの歪みおよび1サイクルでの、パーセントでの弾性回復率Reを特徴とし、グラム/立方センチメートルでの密度dを有し、エチレン/α-オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に有しない場合、Reおよびdの数値が、以下の関係を満たす、
Re>1481-1629(d)、または
(d)TREFを使用して分画したときに40℃~130℃で溶出する分子率を有し、それは、分画が、同温度の間で溶出する同程度のランダムエチレンインターポリマー画分のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有量を有することを特徴とし、該同程度のランダムエチレンインターポリマーが、同じコモノマー(複数可)を有し、エチレン/α-オレフィンインターポリマーの(ポリマー全体に基づく)10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびモルコモノマー含有量を有する、または
(e)25℃での貯蔵弾性率G´(25℃)および100℃での貯蔵弾性率G´(100℃)を有し、G´(25℃)対G´(100℃)の比が、約1:1~約9:1の範囲にある。
エチレン/α-オレフィンインターポリマーはまた、
(a)TREFを使用して分画したときに40℃~130℃で溶出する分子率を有し得、それは、画分が、少なくとも0.5、かつ最大約1のブロックインデックスおよび約1.3超の分子量分布Mw/Mnを有することを特徴とする、または
(b)0を超え、かつ最大約1.0の平均ブロックインデックスおよび約1.3超の分子量分布Mw/Mnを有し得る。
【0022】
ある特定の実施形態では、オレフィンベースポリマーは、コモノマーまたはグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を有する極性ポリマーを含む。例示的な実施形態では、オレフィンベースポリマーは、コモノマーまたはグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を有する1つ以上の極性ポリオレフィンを含む。例示的な極性ポリオレフィンとしては、エチレン-アクリル酸(EAA)およびエチレン-メタクリル酸コポリマー、例えば、The Dow Chemical Companyから市販されているPRIMACOR(商標)、E.I.DuPont de Nemoursから市販されているNUCREL(商標)、およびExxonMobil Chemical Companyから市販されているESCOR(商標)の商品名で入手可能であり、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号、および同第5,938,437号に記載されているものなどが挙げられるが、これらに限定されない。他の例示的なオレフィンベースポリマーには、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)、およびエチレンブチルアクリレート(EBA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
一実施形態では、オレフィンベースポリマーは、エチレン-アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン-メタクリル酸コポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される極性ポリオレフィンを含む。
【0024】
当業者は、上記のリストが例示的なベースポリマーの非包括的リストであることを認識するであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限されることが理解されよう。
【0025】
分散剤および中和剤
本発明の分散体は、分散体の固形分の総重量に基づいて、2~40重量パーセントの1つ以上の分散剤を含む。2~40重量パーセントのすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、かつ本明細書に開示されており、例えば、分散剤は、2、7、12、17、22、または25重量パーセントの下限から、15、20、25、30、または40重量パーセントの上限までの範囲であり得る。例えば、分散体は、分散体の固形分の総重量に基づいて、2~40、または代替例では5~30、または代替例では10~34、または代替例では15~40重量パーセントの1つ以上の分散剤を含み得る。
【0026】
分散剤は、好ましくは、外部安定剤であり得る。選択された実施形態では、分散剤は、界面活性剤、ポリマー、またはそれらの混合物であり得る。一実施形態では、分散剤は、長鎖カルボン酸およびアクリル系分散剤からなる群から選択される。別の実施形態では、分散剤は、エチレンオキシド系の非イオン性界面活性剤から選択される。ある特定の実施形態では、分散剤は、コモノマーまたはグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を有する極性ポリマーであり得る。例示的な実施形態では、分散剤は、コモノマーまたはグラフト化モノマーまたは官能基のいずれかとして極性基を有する1つ以上の極性ポリオレフィンを含む。一実施形態では、分散剤は、アクリル系分散剤である。「アクリル系分散剤」は、分散体の形成および安定化を容易にするアクリル系モノマー含有材料である。アクリル系分散剤中で使用するための好適なアクリル系モノマーの非限定的な例としては、アルキル(メタ)アクリレート、エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好適なモノマーの非限定的な例としては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーなどの非イオン性共重合モノエチレン性不飽和モノマーが挙げられ、メチル(メタ)アクリレート(MMA)、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ウレイド官能性(メタ)アクリレートおよびアセトアセテート、(メタ)アクリル酸のアセトアミドまたはシアノアセテート;スチレンまたは置換スチレン;ビニルトルエン;モノエチレン性不飽和アセトフェノンまたはベンゾフェノン誘導体;酢酸ビニルまたは他のビニルエステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、N-ビニルピロリドンなどのビニルモノマー;ならびに(メタ)アクリロニトリルを含む。(メタ)アクリレートなどの、別の用語が続く「(メタ)」という用語は、アクリレートおよびメタクリレートの両方を指す。一実施形態では、アクリル系分散剤は、少なくとも1つのアクリル系モノマーおよびカルボン酸コモノマーを含有する。好適なカルボン酸コモノマーの非限定的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノブチル、および無水マレイン酸が挙げられる。一実施形態では、アクリル系分散剤は、アルキル(メタ)アクリレート/カルボン酸インターポリマーである。さらなる実施形態では、アクリル系分散剤は、2-EHA/アルキル(メタ)アクリレート/カルボン酸ターポリマーである。
【0027】
例示的なアクリル系分散剤には、エチレン-アクリル酸(EAA)およびエチレン-メタクリル酸コポリマー、例えば、The Dow Chemical Companyから市販されているPRIMACOR、E.I.DuPont de Nemoursから市販されているNUCREL、およびExxonMobil Chemical Companyから市販されているESCORの商品名で入手可能であり、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号、および同第5,938,437号に記載されているものなどがさらに挙げられるが、これらに限定されない。他の例示的なポリマー分散剤には、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)、およびエチレンブチルアクリレート(EBA)が含まれるが、これらに限定されない。他のエチレン-カルボン酸コポリマーも使用され得る。当業者は、いくつかの他の有用なポリマーも使用することができることを認識するであろう。
【0028】
一実施形態では、アクリル系分散剤は、エチレンを含まない。
【0029】
別の実施形態では、アクリル系分散剤は、エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート(MMA)/メタクリル酸ターポリマーである。
【0030】
使用することができる他の分散剤には、長鎖脂肪酸、脂肪酸塩、または12~60個の炭素原子を有する脂肪酸アルキルエステルが含まれるが、これらに限定されない。他の実施形態では、長鎖脂肪酸または脂肪酸塩は、12~40個の炭素原子を有し得る。
【0031】
分散剤は、中和剤で部分的または完全に中和され得る。ある特定の実施形態では、長鎖脂肪酸またはEAAなどの分散剤の中和は、モル基準で100~140パーセント、または代替例ではモル基準で100~120パーセントであり得る。例えば、EAAの場合、中和剤は、例えば、水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムなどの塩基であり得る。他の中和剤は、例えば、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムを含むことができる。別の代替例では、中和剤は、例えば、炭酸塩であってよい。別の代替例では、中和剤は、例えば、モノエタノールアミン、または2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)などの任意のアミンであり得る。本明細書に開示される実施形態において有用なアミンには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびTRIS AMINO(各々、Angusから入手可能)、NEUTROL TE(BASFから入手可能)、ならびにトリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、およびN,N-ジメチルエタノールアミン(各々、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手可能)が含まれ得る。他の有用なアミンには、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ-n-プロピルアミン、ジメチル-nプロピルアミン、N-メタノールアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,Ν-ジメチルプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、N,N,N’N’-テトラキス(2-ヒドロキシルプロピル)エチレンジアミンが含まれ得る。いくつかの実施形態において、アミンの混合物またはアミンと界面活性剤との混合物を使用することができる。当業者であれば、適切な中和剤の選択が、配合される特定の組成物に依存し得ること、およびそのような選択が当業者の知識の範囲内であることを認識するであろう。
【0032】
本発明の実践において有用であり得る追加の分散剤には、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。アニオン性界面活性剤の例には、スルホン酸塩、カルボン酸塩、およびリン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤の例としては、四級アミンが挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを含有するブロックコポリマー、およびシリコーン界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実践に有用な分散剤は、外部界面活性剤または内部界面活性剤のいずれかであり得る。外部界面活性剤は、分散体の調製中にベースポリマーに化学的に反応しない界面活性剤である。本明細書で有用な外部界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩およびラウリルスルホン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。内部界面活性剤は、分散体の調製中にベースポリマーに化学的に反応する界面活性剤である。本明細書で有用な内部界面活性剤の例としては、2,2-ジメチロールプロピオン酸およびその塩が挙げられる。本発明の実践において有用であり得る追加の界面活性剤には、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0033】
本明細書に開示される実施形態では、様々な市販の界面活性剤が分散剤として使用することができ、RTD Hallstarから入手可能なOP-100(ステアリン酸ナトリウム)、OPK-1000(ステアリン酸カリウム)、およびOPK-181(オレイン酸カリウム);Baker Petroliteから入手可能なUNICID350;各々Cognisから入手可能なDISPONIL FES77-ISおよびDISPONIL TA-430;各々Rhodiaから入手可能なRHODAPEX CO-436、SOPROPHOR 4D384、3D-33、および796/P、RHODACAL BX-78およびLDS-22、RHODAFAC RE-610-およびRM-710、ならびにSUPRAGIL MNS/90;ならびに各々ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手可能なTRITON QS-15、TRITON W-30、DOWFAX 2A1、DOWFAX 3B2、DOWFAX8390、DOWFAX C6L、TRITON X-200、TRITON XN-45S、TRITON H-55、TRITON GR-5M、TRITON BG-10、およびTRITON CG-110を含む。
【0034】
追加の分散体の成分
分散体は、さらに水を含む。本発明の分散体は、分散体の総体積に基づいて、35~90体積パーセントの水を含む。特定の実施形態では、含水量は、分散剤の総体積に基づいて、35~90、または代替例では35~65、または代替例では45~55体積パーセント、または代替例では50~90体積パーセントの範囲であり得る。分散体の含水量は、好ましくは、固形分(ベースポリマー+分散剤+任意の相溶化剤)が約1体積パーセント~約74体積パーセントになるように制御することができる。特定の実施形態では、固形物の範囲は、約10体積パーセント~約70体積パーセントであり得る。他の特定の実施形態では、固形物の範囲は、約20体積パーセント~約60体積パーセントである。特定の他の実施形態では、固形物の範囲は、約30体積パーセント~約55体積パーセントである。
【0035】
分散体は、任意に、他の添加剤をさらに含み得る。例えば、添加剤には、相溶化剤、湿潤剤、界面活性剤(分散体の形成後に添加される)、帯電防止剤、消泡剤、抗ブロック剤、ワックス分散顔料、中和剤、難燃剤、増粘剤、増白剤、レオロジー調整剤、殺生物剤、殺菌剤、剪断安定剤、UV安定剤、摩擦係数調整剤、および当業者に知られている他の添加剤が含まれ得る。本発明の目的のために任意であるが、他の成分は、製造プロセス中および製造プロセス後の製品の安定性にとって非常に有利であり得る。
【0036】
相溶化剤は、マレイン化ワックスなどの当技術分野で以前に記載されたものを含み得、分散体の総固形物重量に基づいて、分散体の0~15重量%の量で存在し得る。
【0037】
本発明で使用される分散体は、2ミクロン以下の平均の体積平均粒径を呈する。2ミクロン以下のすべての個々の粒径が本明細書に含まれ、開示されている。例えば、分散体の平均の体積平均粒径は、2、1、0.5、または0.25ミクロンの上限を有し得る。例えば、平均の体積平均粒径は、0.1~2ミクロン、または代替例では0.5~2ミクロン、または代替例では0.1~1ミクロンの範囲であり得る。
【0038】
本発明で使用される分散体は、70重量%以下の固形分を呈する。70重量%以下のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示されている。例えば、分散体の固形分は、25~70重量%、または代替例では30~65重量%、または代替例では40~70重量%の範囲であり得る。
【0039】
本発明で使用される分散体は、8以上のpHを呈する。8以上のすべての値が本明細書に含まれ、開示されている。例えば、分散体のpHは、8~10、または代替例では8~11であり得る。
【0040】
分散体の形成
分散体は、例えば、米国特許第8,318,257号において考察されているように、押出プロセスで調製することができ、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
当技術分野で知られている任意の溶融混練手段を使用することができる。いくつかの実施形態では、混練機、BANBURYミキサー、単軸スクリュー押出機、または多軸スクリュー押出機が使用される。本発明による分散体を生成するためのプロセスは、特に限定されていない。1つの好ましいプロセスは、例えば、米国特許第5,756,659号および同第6,455,636号に従って、上記の成分を溶融混練することを含むプロセスである。
【0042】
図1は、本発明で使用されるような、水性ポリマー分散体を製造するための押出装置の例示的な概略図を示す。二軸スクリュー押出機などの押出機30は、押出機の吐出圧力を制御するために、制御弁32に連結され得る。いくつかの実施形態では、制御弁32は、Vボール制御弁であり得る。他の実施形態では、制御弁32は、マイクロノッチVボール制御弁であり得る。各々がポンプ(図示せず)を含む中和剤リザーバ34および初期分散媒体リザーバ36もまた提供され得る。中和剤および本明細書では水である初期分散媒体の所望量は、それぞれ、中和剤リザーバ34および初期水リザーバ36から提供される。
【0043】
例えば、ペレット、粉末、またはフレークの形態のポリマー樹脂(複数可)は、フィーダ37から押出機30の入口38に供給され得る。分散剤は、典型的には、樹脂を介して、かつ樹脂と共に押出機に添加されるが、二軸スクリュー押出機30に別個に提供されてもよい。次に、ポリマーおよび分散剤は、溶融、混合され、混合および搬送ゾーン42内のスクリュー40によって搬送される。代替的に、分散剤は、任意の適切な液体インジェクタまたはポンプを介して液体形態で送達され得る。
【0044】
次に、樹脂溶融物は、混合物および搬送ゾーンから、押出機の高内相エマルジョン生成ゾーン43(本明細書では「HIPEゾーン」と称される)に送達される。HIPEゾーンでは、リザーバ34および36からの初期量の水および中和剤が、入口44を介して追加される。
【0045】
HIPEゾーン43では、混合物の成分の界面化学、中和剤の物質移動、および応力、歪み、および通過頻度を含む、スクリュー40によって与えられる分配および分散混合に基づいて、分散粒度が形成される。
【0046】
乳化された混合物は、押出機30の希釈ゾーン52内のリザーバ50から入口46、47、48のうちの1つ以上を介して追加の水でさらに希釈され得る。典型的には、分散体は、希釈ゾーン52内で少なくとも30重量パーセントの水に希釈される。希釈ゾーン52では、分散粒子の充填率および混合物の粘度が低下する。例えば、粘度は、約106から約102センチポアズ(「cP」)の大きさに低下し得る。
【0047】
冷却ゾーン54は、押出機30の出口近くにあるスクリュー40の端部の方に位置し得る。分散混合物と冷却媒体(図示せず)との間の熱交換を提供する冷却ゾーン54を使用して、分散混合物を分散媒体の沸点よりも低い温度に冷却することができる。例えば、分散媒体が水である場合、分散混合物は、約100℃未満の温度に冷却され得る。分散混合物の温度の低下は、蒸発による分散媒体の望ましくない損失なしに混合物のさらなる処理を可能にし得る。
【0048】
次に、冷却された分散体は、出口56を介して押出機30を出ることができる。出口56は、押出機の吐出圧力制御を維持するために、上記のように制御弁32に連結され得る。
【0049】
スクリュー40および押出機30の内部に関して、1つ以上の回転制限オリフィス58は、いくつかの実施形態では、スクリュー40に沿って位置し得る。制御弁32に加えて、回転制限オリフィス58は、分散形成プロセスの安定性を改善し得る。他の実施形態では、非回転制限オリフィス(図示せず)を使用することができる。
【0050】
スクリュー40はまた、いくつかの実施形態では、高混合混練ディスク60を含み得る。上記の高混合混練ディスク60に加えて、本明細書に開示される押出装置の実施形態はまた、押出機30を使用して形成された分散体の体積加重粒度分布を最小化し得る、低自由体積混練ディスク62を含んでもよい。
【0051】
押出装置の他の実施形態では、逆要素を除去して、不要な逆混合を防ぐことができる。さらに、いくつかの実施形態では、メルトシールは、HIPEゾーンのすぐ上流に位置し得る。
【0052】
図1に示されるように、HIPEゾーン43は、長さが可変であり得る。供給組成物(ポリマー、分散剤、中和剤など)に応じて、より長いか、またはより短いHIPEゾーンを有することが望ましい場合がある。必要に応じて、HIPEゾーンを延長または短縮することができるように、複数の分散媒体注入点46、47、48が提供されてもよい。分散したポリマー粒子の粒径は、HIPEゾーンにおいて形成されるので、所望の粒径を発達させるために、適切な混合が提供されなければならない。HIPEゾーンのための可変長を有することにより、単一押出機において、より幅広い範囲のポリマーを加工することが可能になり、様々な利益のなかでプロセス柔軟性を提供し得る。
【0053】
本発明の分散体は、約0.1ミクロン~約5.0ミクロンの平均粒度を有することを特徴とする。他の実施形態では、分散体は、約0.5ミクロン~約2.7ミクロンの平均粒度を有する。他の実施形態では、約0.8ミクロン~約1.2ミクロンである。「平均粒度」とは、本発明は、体積平均粒度を意味する。粒度を測定するために、例えば、レーザー回折技術を用いることができる。この説明における粒度とは、分散体中のポリマーの直径を指す。球形ではないポリマー粒子の場合、粒子の直径は、粒子の長軸および短軸の平均である。
【0054】
追加のコーティング組成物の成分
一般に、コーティング組成物は、65~99重量%の分散体を含む。65~99重量%のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示されている。例えば、コーティング組成物中の分散体の量は、65、70、75、80、85、90、または95の下限から80、85、90、95、または99重量%の上限までの範囲であり得る。例えば、コーティング組成物中の分散体の量は、65~99重量%、または代替例では80~99重量%、または代替例では80~95重量%、または代替例では、70~99重量%の範囲であり得る。前述の例は、分散体の量が所与の塗布技術に所望の粘度に応じて変化し得るため、非限定的である。
【0055】
コーティング組成物は、1つ以上のレオロジー調整剤、および任意に1つ以上の第2の中和剤をさらに含む。当業者は、分散体を安定に保つのに適切であるように、塩基性pHを維持しながら、塗布するために適切な粘度を達成するように、レオロジー調整剤および中和剤の量を調整できることを理解するであろう。レオロジー調整剤の使用および/または量は、さらに、コーティング組成物の他の成分に依存し得る。例えば、充填剤がコーティング組成物に含まれてもよく、そのような充填剤は、粘度に影響を与える可能性があるため、必要なレオロジー調整剤の量に影響を与える。
【0056】
一実施形態では、第2の中和剤は、総コーティング組成物の体積の0~15体積%である。0~15体積%の範囲のすべての個々の値および範囲が本明細書に含まれ、開示されており、例えば、第2の中和剤の量は、0、3、6、9、または12体積%の下限から4、7、10、13、または15体積%の上限までの範囲であり得る。例えば、第2の中和剤の量は、0~15体積%、または代替例では5~15体積%、または代替例では0~5体積%、または代替例では2~10体積%であり得る。分散体に関連して先で考察されるように、有機および/または無機塩基を含む、当技術分野で知られている任意の中和剤を第2の中和剤として使用することができる。
【0057】
当技術分野で知られている任意のレオロジー調整剤を使用することができる。特定の実施形態では、レオロジー調整剤は、カルボン酸ポリマー、セルロース系化合物、架橋ポリアクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、多糖類、およびガムからなる群から選択され得る。一実施形態では、レオロジー調整剤は、レオロジー調整剤のACRYSOLライン(The Dow Chemical Companyから入手可能)から選択される。
【0058】
コーティング組成物は、難燃剤、ブロッキング防止剤、溶媒、安定剤、および顔料からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含み得る。当技術分野で知られている任意の添加剤を使用することができる。例示的な難燃剤には、ホスホネートエステル、ホスフェートエステル、ハロゲン化ホスホネートエステル、またはそれらの組み合わせが含まれる。ゼオライト、水和リン酸塩、アルカリケイ酸塩、ホウ酸塩、ボロケイ酸塩、メラミン、グラファイト、グラフェン、マイカ、バーミキュライト、アルミナ、水酸化アルミニウム、パーライト、三酸化アンチモン、ポリリン酸塩、メラミンなどの他の難燃剤も使用することができる。
【0059】
ジエチルエタンホスホネート(DEEP)、リン酸トリエチル(TEP)、ジメチルプロピルホスフェート(DMPP)、ジフェニルクレイルホスフェート(DCP)などのハロゲンを含まない難燃剤も使用することができる。
【0060】
コーティング組成物の形成およびコーティングの塗布
コーティング組成物成分は、任意の既知の方法を使用してブレンドすることができる。コーティング組成物の粘度およびpHは、必要に応じて調整することができる。代替的に、選択されたコーティング方法に対して適切であり得るように、粘度は、最終利用者への送達後に調整され得る。
【0061】
コーティング組成物は、任意の織布または不織布に塗布することができる。好適な布の非限定的な例には、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル-綿混紡、ガラス繊維、およびポリアミドなどの合成繊維または天然繊維から作製されたものが含まれる。特定の実施形態では、布は、ポリエステルおよび/またはナイロン66である。
【0062】
コーティング組成物は、既知の技術に従って布地に塗布することができる。そのような技術には、ナイフコーティング、ロールコーティング、ディップコーティング、フローコーティング、スクイーズコーティング、およびスプレーコーティングが含まれる。ナイフコーティング法には、ナイフオーバエア、ナイフオーバロール、ナイフオーバフォーム、およびナイフオーバギャップテーブル法が含まれる。ロールコーティング法には、シングルロール、ダブルロール、マルチロール、リバースロール、グラビアロール、およびトランスファーロールコーティング法が含まれる。特定の実施形態では、コーティング組成物は、ナイフオーバエアまたはナイフオーバローラーコーティング法によって塗布される。
【0063】
コーティング組成物は、20~150g/m2の硬化前のコート重量で布に塗布することができる。20~150g/m2のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示されている。例えば、硬化前のコート重量は、20、40、60、80、100、120、または150g/m2の下限から50、70、90、110、130、または150g/m2の上限までの範囲であり得る。例えば、ウェットコーティング重量は、20~150、または代替例では50~150、または代替例では70~120g/m2の範囲であり得る。
【0064】
コーティング組成物の粘度は、所望の塗布技術に従って調整することができる。一実施形態では、コーティング組成物の粘度は、1000~4000cPに調整される。1000~4000cPのすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、例えば、粘度は、1000、1500、2000、2500、または3000cPの下限から2250、2750、3250、または4000cPの上限を有する範囲に調整することができる。例えば、コーティング組成物の粘度は、1000~4000cP、または代替例では1000~3000cP、または代替例では2000~4000cP、または代替例では1750~3750cPの範囲に調製することができる。
【0065】
コーティング組成物の塗布の後、コーティングは、コーティング組成物から水を除去し、コーティング組成物のポリマー成分を溶融して、ポリマーフィルムを形成することによって硬化される。特定の実施形態では、コーティングされた布は、5分間、または代替例では、水を除去するのに十分な時間、190℃への周囲曝露よって硬化される。別の実施形態では、コーティングは、約24℃~200℃の範囲の上昇する温度ランプへの周囲曝露によって硬化される。24℃~200℃のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示されている。例えば、温度ランプは、24~200℃、または代替例では30~155℃、または代替例では27~160℃の範囲であり得る。上限は、分散体の固体成分の融点に依存するため、24℃~200℃の制限は、単なる例示であり、制限ではない。温度ランプは、連続的または不連続的であってもよい。つまり、温度の変化は、段階的であり得るか、または温度は、異なるゾーンで不連続に変化する場合もある。さらに、当業者は、水を追い出すため、またはポリマー分散成分を溶融するために必要な温度が圧力によって影響を受けることを容易に理解するであろう。例えば、十分に低い圧力下では、水は、温度を周囲温度より高くすることなく除去することができる。
【0066】
水の除去およびコーティングフィルムの形成の後、コート重量は、20~50g/m2の範囲であり得る。20~50g/m2のすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示されている。例えば、硬化後のコート重量は、20、22、24、26、28、30、または32g/m2の下限から27、29、31、33、40、または50g/m2の上限までの範囲であり得る。例えば、硬化したコーティング重量は、20~50、または代替例では21~28、または代替例では20~33、または代替例では28~34g/m2の範囲であり得る。
【0067】
硬化の後、1つ以上の追加のコーティングを、任意に、コーティングされた布に塗布することができる。そのような追加のコーティングは、摩擦係数を低下させ、ブロック抵抗を増加させ、スクラブ抵抗を増加させるなどの特性を改善または付与するための、当技術分野で知られているものを含み得る。一実施形態では、ポリオルガノシロキサンおよび/またはポリマーシリコーン材料を含む追加のコーティングが、本発明のコーティングされた布に追加される。
【0068】
最終用途および特性
本発明のコーティング組成物は、例えば、空気および/または他のガス圧の保持を必要とするそれらの用途に使用することができる。そのような用途の非限定的な例には、車両のエアバッグ、航空機の緊急シュートが含まれる。
【0069】
本発明のコーティングされた布は、15秒以上の期間、200kPaの印加圧力の95%以上の圧力保持を呈する。95%以上および15秒以上のすべての個々の値が本明細書に含まれている。例えば、コーティングされた布は、15、20、25、30または45秒間、200kPaの印加圧力の95%、96%、97%、98%、または99%を保持することができる。
【0070】
一実施形態では、本発明は、コーティングされた布を提供し、それは、織布または不織布基材と、本発明のコーティング組成物に由来するコーティングと、を含む。別の実施形態では、本発明は、コーティングされた布を含む物品を提供する。そのような物品の非限定的な例には、自動車および緊急シュートで使用するためのエアバッグが含まれる。
【0071】
エアバッグは、一般に、例えば、ナイロン-6,6などのポリアミド、またはポリエステルの合成繊維で作製された織布または編布から形成され、その側面の少なくとも1つがコーティングされている。エアバッグは、十分な機械的強度を提供するためにコーティングされてから縫い合わされた平坦な布片で作製することができるか、または一体的に織られた縫い目で一体に織ることができる。縫製されたエアバッグは、通常、コーティングされた布の表面をエアバッグの内側にして組み立てられる。一体の織布エアバッグは、エアバッグの外側がコーティングされている。本発明は、本発明のコーティングされた布を含む任意のエアバッグを提供する。一実施形態では、本発明は、側面衝突エアバッグを提供する。別の実施形態では、本発明は、運転席または助手席のフロントエアバッグを提供する。
【0072】
本明細書で使用される場合、「展開されたまま」という用語は、エアバッグの初期展開圧力の少なくとも50%の保持を意味する。
【実施例】
【0073】
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0074】
分散体の実施例
本発明の分散体1~6および比較分散体Aは、以下のプロセスに従って調製した。
【0075】
分散体は、12ゾーンの25mmのBERSTORFFを使用して調製した。ポリオレフィン樹脂は、ペレットとして、フィードスロートに落とす大きなSchenkフィーダを介してシステムに送達した。相溶化剤は、フィードスロートに落とすKQX K-tronフィーダを使用して送達した。分散剤は、ゾーン5Aに位置するインジェクタを介して1000D ISCOシリンジポンプを介して液体として、またはフィードスロートに落下したKQX K-tronフィーダを使用して送達された固体としてシステムに送達した。初期の水は、ゾーン4Bに置かれたインジェクタを通って500D ISCOポンプを介して送達した。塩基を添加して、100~140%の中和を提供し、初期の水と一緒に、中に配管された500D ISCOポンプを介して送達した。塩基もゾーン4Bを通して添加した。最後に、希釈水を、ゾーン8Aに置かれたインジェクタを通って大きなHydracellポンプを介して送達した。表1に、本発明の分散体および比較分散体の各々の特定の成分、ならびに分散体の各々の固形分の重量%および体積平均粒度を列挙する。表IIは、分散体およびコーティング組成物の成分に関する情報を提供する。
【表1】
【表2】
【0076】
水酸化アンモニウム(NH4OH)、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、オレイン酸、およびKOH(H2O中で30%)は、Fisher Scientificによって提供された。アクリル系分散剤は、62重量%のエチルヘキシルアクリレート、2重量%のメチルメタクリレート、および36重量%のメチルメタクリレートのコポリマーであり、232KOH/gの酸価および、50重量%の固形物を有する(合成については上記を参照されたい)。
【0077】
本発明のコーティング組成物1~6および比較コーティング組成物A
コーティング組成物は、20gの分散体をスピードミキサーカップに加えることによって調製した。水中の0.08gの28%のNH
4OH(水酸化アンモニウム)を添加し、2000rpmで30秒間混合した。0.15gのDow ACRYSOL ASE-60(アクリル系エマルジョンコポリマー)を添加し、2000rpmで30秒間混合した。配合物をコーティングする前に30分間放置した。粘度は、Brookfield粘度計を使用して20rpmで測定した。表IIIに、コーティング組成物の成分を列挙する。
【表3】
【0078】
コーティングされた布の調製
実験室規模の試料:Global Safety Textilesによって布に織られたヒョースン470Dtexポリエステル糸で構成されるエアバッグ布の小さな試料を5インチ×5インチの正方形に切り取った。試料を平坦なガラスクリップボードに押し付けた。3mLのコーティングを布の上部全体に均一にピペットで移した。本発明のコーティング組成物1~6および比較コーティング組成物Aの各々を使用し、コーティングされた布の実施例は、対応する名称を有する。Gardcoのサイズ28ワイヤー円形引き下げ棒を使用して、66.7ミクロンのウェットフィルム厚を目標にコーティングを広げた。次に、試料を190Cのオーブンに5分間入れた。乾燥後、試料には、1平方メートルあたり22~41グラムのコーティングが見られた。コーティングされていない布試料と同じサイズのコーティングされた布の重量を比較することにより、これを測定した。表IVに、コーティングされた布の特性を列挙する。
【表4】
【0079】
パイロット規模の連続コーティング:連続パイロットコータは、ナイフオーバエア、ナイフオーバロール、およびナイフオーバスロット機能を備えたロールツーロールコータで構成される。実施例は、半径0.5インチのJブレードを使用したナイフオーバエア構成を利用して生成した。布は、22.5psiのクラッチ張力および90~95psiに設定された巻き戻し張力で張力をかける。ブレード深さおよび布張力を、35±5g/m2の範囲の乾燥コーティング重量を標的とするように調整した。湿った一体の織布を、2つの電気強制空気乾燥オーブンを通して、0.5~4メートル/分の速度でオーブンを通して引っ張る。各オーブンの温度設定は、個別に制御することができ、滞留時間は、布がオーブンを通して引っ張られる速度によって変化し得る。コート重量は、本発明のコーティング組成物2を使用して測定し、均一なフィルム形成をSEMで確認した。パイロット規模の試料は、33g/m2の硬化したコート重量、<1kPaの圧力降下、および52mm/分の可燃性速度を呈し、自己消火性であった。
【0080】
ミニチュアPET一体織布エアバッグのロールは、本発明のコーティング組成物2を使用して、連続コータ上でコーティングプロセスを実行した。エアバッグロールをコーティングし、110℃および150℃の設定値で、2つのゾーンを含有する乾燥オーブンに3メートル/分で通した。エアバッグは、2回目に同じ側にコーティングして、44g/m2のコート重量を達成した。次に、エアバッグは、2回、もう一方の側にコーティングして、各側に44g/m2のコート重量を達成した。コーティングされたエアバッグは、展開リグに配置し、端をテープで密封する。次に、バッグは、70kPaの初期圧力を目標として加圧する。時間の経過に伴う圧力損失を測定する。初期圧力:76.86kPa。6秒での圧力:66.76kPa;12秒で:52.4。6秒で<50%の圧力降下を目標とする。
【0081】
試験方法
試験方法は、以下を含む:
平均粒径は、試料送達システムとして使用される小容量モジュールを備えたBeckman Coulter LS230粒度分析器によって測定した。使用されたソフトウェアバージョンは、バージョン3.29である。ハードウェアおよびソフトウェアは、フロリダ州マイアミのBeckman Coulter Inc.から入手することができる。
すべての測定の分析条件は、1.332の流体屈折率、1.5の試料実屈折率、および0.0の試料虚数屈折率を利用する。拡張光学モデルは、用いていない。偏偏光強度微分散乱(PIDS)オプションを作動させ、粒度情報を生成するために使用する。平均粒径を測定し、μmで報告する。
【0082】
ポリマー密度は、ASTM D792に従って測定する。
【0083】
ポリマーの融解温度は、ASTM D3418に従ってDSCによって測定する。
ビカット軟化点は、ASTM D1525に従って測定する。
【0084】
エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I2)を、ASTM D-1238-04、190℃/2.16kgの条件に従って測定する。エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I5)を、ASTM D-1238-04、190℃/5.0kgの条件に従って測定する。エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I10)を、ASTM D-1238-04、190℃/10.0kgの条件に従って測定する。エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I21)を、ASTM D-1238-04、190℃/21.0kgの条件に従って測定する。プロピレン系ポリマーに関して、メルトフローレート(MFR)は、ASTM D-1238-04、230℃/2.16kgの条件に従って測定する。
【0085】
ポリマー分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって次のように決定する。使用するクロマトグラフィーシステムは、Polymer LaboratoriesモデルPL-210である。カラムおよびカルーセルコンパートメントは、145℃で動作させた。1,2,4トリクロロベンゼン(TCB)の溶媒を使用して、4つのPolymer Laboratories 20-um Mixed-A LSカラムを使用した。50mLの溶媒中の0.1gのポリマーの濃度で、試料を調製した。溶媒は、200ppmの酸化防止剤、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有した。試料は、160℃で1~2時間軽く攪拌することによって調製した。注入量は、200マイクロリットルであり、流量は1.0mL/分であった。GPCカラムセットの較正は、Varian Inc.(previously Polymer Laboratories)から購入した分子量分布の狭いポリスチレン標準を用いて行った。ポポリスチレン標準ピーク分子量は、Williams,T.およびI.M.Wardの「The Construction of Polyethylene Calibration Curve for Gel Permeation Chromatography Using Polystyrene Fractions」,J.Polym.Sci.Polym.Lett.6,631(1968):Mpolyethylene=0.431(Mpolystyrene)を使用してポリエチレン分子量に変換した。
【0086】
ポリエチレン等価分子量計算を、Viscotek TriSECソフトウェアバージョン3.0を使用して実施する。
【0087】
分散体/エマルジョンのpHは、Denver Instruments/SartoriusのハンドヘルドpHメータを使用して測定する。
【0088】
酸価は、1グラムの成分を中和するために必要である、ミリグラムでの水酸化カリウム(KOH)の質量として計算する。
【0089】
粘度は、Brookfield粘度計を使用して20rpmで測定した。
可燃性は、ISO3795に従って測定し、EASC標準9904 0180に基づいてスコア付けした。
【0090】
圧力保持は、圧力の降下のみが測定される、ASTM d737およびISO 9237のバリエーションを使用して試験した。このシステムでは、200kPaの目標圧力まで充填することができる10Lの圧力タンクの使用を伴う。コーティングされた布試料から4インチ×4インチの試料を切り取り、加圧されたタンクの反対側に位置付ける。試料は、布と金属板の間の空気の漏れを防ぐシールを作成するために使用される直径3.75インチのガスケットの上に置く。第2の金属板を下部プラテンの上に並べ、システムを締める。ジグは、コーティングされた布のコーティングされていない側に向けられる200kPa±10kPaの空気で加圧する。コーティングされた布試料を唯一のリークポイントとして、30秒間の試験時間中の圧力降下を監視した。試験時間の終了時の値を記録し、開始圧力と比較する。Swagelok CF-3Mバルブを開いて、コーティングされたファブリックに圧力を加えることを可能にし、HART(登録商標)プロトコルを備えたROSEMOUNT(商標)3051圧力トランスミッターを使用して、圧力を記録する。圧力情報は、LabViewソフトウェアを介して捕捉する。
【0091】
展開圧力保持は、145kPaの目標圧力まで充填された10Lの圧力タンクを使用する。コーティングされたミニチュアエアバッグは、直径1インチの出口管に接続され、バルブを開くと、バッグは、<50ミリ秒で70kPa(±5kPa)まで膨張する。圧力の減衰率は、HART(登録商標)プロトコルを備えたROSEMOUNT(商標)3051圧力トランスミッターで測定する。圧力減衰情報は、LabViewソフトウェアを介して捕捉する。
【0092】
硬化したコート重量は、コーティングされていない布試料と同じサイズのコーティングされた布の重量を比較することによって測定した。ウェットコート重量は、同じ方法か、またはSpecmetrixの頑丈な光干渉(ROI)機器などの分光学的または光学的干渉技術により測定することができる。
【0093】
本発明は、その精神および本質的な属性から逸脱することなく他の形態で実施することができ、したがって、本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書ではなく添付の特許請求の範囲を参照する必要がある。