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特許7422754安定性セマグルチド組成物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】安定性セマグルチド組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/26 20060101AFI20240119BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240119BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240119BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240119BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240119BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240119BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
A61K38/26
A61K47/18
A61K9/08
A61K47/04
A61K47/10
A61P3/10
A61P3/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021521260
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2019079214
(87)【国際公開番号】W WO2020084126
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】18202801.9
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19158226.1
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルンド、ドース、コット
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン、ソレン、スコフ
(72)【発明者】
【氏名】ランドキベスト、ジョアキム
【審査官】池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-533105(JP,A)
【文献】特表2018-504376(JP,A)
【文献】特表2003-519195(JP,A)
【文献】特開2014-214153(JP,A)
【文献】特表2007-513084(JP,A)
【文献】国際公開第2016/038521(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/26
A61K 9/08
A61K 47/18
A61K 47/04
A61K 47/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体医薬組成物であって、セマグルチド、等張剤、およびヒスチジンを含み、前記ヒスチジンの濃度が、0.5~15mMであり、前記組成物のpHが、7.07.8の範囲内である、液体医薬組成物であって、前記セマグルチドの濃度が、前記組成物の0.1~15mg/mLである、液体医薬組成物
【請求項2】
前記組成物が、少なくとも70%(w/w)の水または少なくとも80%(w/w)の水など、少なくとも60%(w/w)の水を含む水溶液である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記セマグルチドの濃度が、前記組成物の0.1~10mg/mLである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、緩衝液などの1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、リン酸緩衝液を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、緩衝剤としてリン酸水素二ナトリウム二水和物を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記等張剤が、プロピレングリコールである、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、事前充填シリンジまたはカートリッジ内にある、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8いずれか一項に記載の医薬組成物、および使用説明書を含む、キット。
【請求項10】
前記キットが、前記医薬組成物を対象に投与するための事前充填シリンジを含む、請求項に記載のキット。
【請求項11】
前記キットが、前記医薬組成物を対象に投与するための耐久性ペンまたは事前充填ペンを含む、請求項に記載のキット。
【請求項12】
薬剤として使用するための、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
糖尿病または肥満の治療に使用するための、請求項12に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GLP-1ペプチドセマグルチドを含む医薬組成物およびその使用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
GLP-1ペプチドは、液体溶液中での安定性の欠如、例えば、物理的または化学的安定性の欠如を発症する傾向があることが知られている。
【0003】
したがって、より良好な安定性を有するGLP-1ペプチドを含む液体医薬製剤が望まれる。かかる改善された安定性は、物理的および/または化学的安定性であり得、医薬製剤の改善された保存寿命をもたらし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2006/097537
【非特許文献】
【0005】
【文献】WHO Drug Information Vol.24,No.1,2010
【文献】Naiki et al.(1989)Anal.Biochem.177,244-249;LeVine(1999)Methods.Enzymol.309,274-284
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、本発明は、セマグルチドおよびヒスチジンを含む液体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に定義される医薬組成物を含むキットに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、医学で使用するための本明細書で定義される医薬組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)ペプチドを含む液体組成物は、例えば、保存中および/または光に曝露されたときに、安定性の欠如を発症する傾向があることが知られている。セマグルチドを含む液体医薬組成物の保存中、例えば、事前充填シリンジまたはカートリッジ内で、不純物の形成の増加が経時的に観察される。
【0008】
本発明者らは、ヒスチジンなどの安定剤が液体組成物中に存在する場合に、低含有量の高分子量タンパク質(HMWP)および他の不純物が形成されることを観察している。したがって、本発明に従う安定剤を含む組成物は、改善された化学的および/または物理的安定性を有する。改善された安定性は、より長い保存期間およびより長い使用期間の形態で患者に利益をもたらす。
【0009】
いくつかの実施形態では、安定剤は、ヒスチジンである。いくつかの実施形態では、組成物は、1~50mMまたは5~15mMなどの0.5~100mMの濃度のヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.01~10mg/mlのセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、任意選択的にフェノールを含み、例えば、組成物は、5.5mg/mlなどの最大10mg/mlのフェノールを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.01%(w/w)未満のフェノールを含み、例えば、フェノールを含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、0.01%(w/w)以下のフェノールを含み、例えば、フェノールを含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、7.0~7.8など、6.0~10.0の範囲内のpHを有する。
【0010】
本明細書に別段示されない限り、単数形で提示される用語は、複数の状況も含む。
【0011】
医薬組成物
「医薬組成物」および「組成物」という用語は、本明細書では互換的に使用され、それを必要とする対象への投与に好適な医薬組成物を指す。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、0.01~100mg/mlのセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、0.5~25mg/mlまたは1~15mg/mlなど、0.1~50mg/mlのセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、0.5~5mg/mlまたは1~2mg/mlなど、0.1~10mg/mlのセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、0.5mg/mlのセマグルチドを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、安定剤を含む。安定剤という用語は、本明細書では、安定剤が存在しない組成物と比較して、HMWPまたは保存中に生成される他の望ましくない不純物など、組成物中の不純物の形成を最小限に抑える化合物を指す。いくつかの実施形態では、安定剤は、ヒスチジンである。HMWPは、高分子量タンパク質を指し、一般的な方法および特徴解析のアッセイ(I)に記載されるように決定され得る。「保存中に生成される他の望ましくない不純物」という用語は、「疎水性不純物1」または「疎水性不純物2」を指し、一般的な方法および特徴解析のアッセイ(II)に記載されるように決定され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、5~20mMなどの1~50mMの濃度で安定剤としてヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、安定剤として0.5~15mMのヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、10mMのヒスチジンを含む。特定の実施形態では、安定剤は、10mMの濃度のヒスチジンである。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、pH6~10または6~9など、3~10の範囲内のpHを有する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、pH7.0~7.8など、pH6.5~8~5の範囲内のpHを有する。特定の実施形態では、組成物のpHは、7.4である。
【0016】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)などの等張剤を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、リン酸緩衝液、TRIS、クエン酸塩などの緩衝液を含むか、または緩衝液を含まない。いくつかの実施形態では、リン酸緩衝液は、リン酸水素二ナトリウム二水和物などのリン酸ナトリウム緩衝液である。いくつかの実施形態では、安定剤として追加されるヒスチジンはまた、緩衝液として作用し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、任意選択的に、防腐剤、例えば5.5mg/mlのフェノールなどの最大10mg/mlの濃度のフェノールを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.1mg/ml~5.5mg/mlの濃度のフェノールを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、フェノールなどの防腐剤を含まない。いくつかの実施形態では、液体組成物は、0.01%(w/w)未満のフェノールを含み、例えば、フェノールを含まない。いくつかの実施形態では、液体組成物は、0.01%(w/w)以下のフェノールを含み、例えば、フェノールを含まない。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、水溶液など、すなわち水を含む溶液の形態の液体組成物である。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される「水溶液」という用語は、少なくとも60%(w/w)の水を含む溶液を指す。いくつかの実施形態では、水溶液は、60~99(w/w)の水を含む。いくつかの実施形態では、水溶液は、少なくとも80%(w/w)の水、または少なくとも85%(w/w)の水など、少なくとも75%(w/w)の水を含む。いくつかの実施形態では、水溶液は、少なくとも92%(w/w)の水、または少なくとも94%(w/w)の水など、少なくとも90%(w/w)の水を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は、セマグルチド、等張剤、およびヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、セマグルチド、等張剤、およびヒスチジンを含み、ヒスチジンの濃度は、5~100mMであり、組成物のpHは、6.0~10.0の範囲内である。いくつかの実施形態では、組成物は、0.5~15mg/mlの濃度のセマグルチド、0.5~100mMの濃度のヒスチジン、および等張剤を含み、組成物のpHは、6.0~10.0の範囲内である。いくつかの実施形態では、組成物は、0.5~15mg/mlの濃度のセマグルチド、0.5~100mMの濃度のヒスチジン、およびプロピレングリコールを含み、組成物のpHは、6.0~10.0の範囲内である。いくつかの実施形態では、組成物は、0.5~15mg/mlの濃度のセマグルチド、0.5~15mMの濃度のヒスチジン、およびプロピレングリコールを含み、組成物のpHは、6.0~10.0の範囲内である。いくつかの実施形態では、組成物は、0.5~15mg/mlの濃度のセマグルチド、0.5~15mMの濃度のヒスチジン、リン酸緩衝液、およびプロピレングリコールを含み、組成物のpHは、6.0~10.0の範囲内である。
【0022】
セマグルチド
GLP-1ペプチドセマグルチドは、WO2006/097537、実施例4に記載されるように調製することができる。セマグルチドはまた、N6,26-{18-[N-(17-カルボキシヘプタデカノイル)-L-γ-グルタミル]-10-オキソ-3,6,12,15-テトラオキサ-9,18-ジアザオクタデカノイル}-[8-(2-アミノ-2-プロパン酸),34-L-アルギニン]ヒトグルカゴン様ペプチド1(7~37)としても知られており、WHO Drug Information Vol.24,No.1,2010を参照されたい。
【0023】
いくつかの実施形態では、セマグルチドは、その完全または部分的にイオン化された形態で組成物中に存在してもよく、例えば、1つ以上のカルボン酸基(-COOH)は、カルボキシレート基(-COO)に脱プロトン化されてもよく、および/または1つ以上のアミノ基(-NH)は、-NH 基にプロトン化されてもよい。いくつかの実施形態では、セマグルチドは、塩の形態で組成物に追加される。
【0024】
投与およびキット
本発明の組成物は、非経口投与用である。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、シリンジ、任意選択的に、ステーク状針を有する事前充填シリンジなどの事前充填シリンジによる投与のための皮下投与用である。いくつかの実施形態では、投与のための手段は、耐久性ペンまたは事前充填ペンである。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、週に1回投与するためのものである。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1日1回、2日に1回、または3日に1回投与するためのものである。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で定義される医薬組成物および使用説明書を含むキットに関する。いくつかの実施形態では、使用説明書は、薬剤の添付文書を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で定義される医薬組成物および注入装置を含むキットに関する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、注入装置に挿入される事前充填シリンジまたはカートリッジ中にある。事前充填シリンジの例は、ガラスシリンジまたはポリマーシリンジなど、ステーク状針を有する事前充填シリンジである。いくつかの実施形態では、ステーク状針を有する事前充填シリンジは、ガラスシリンジである。いくつかの実施形態では、ステーク状針を有する事前充填シリンジは、ポリマーシリンジである。いくつかの実施形態では、注入装置は、耐久性ペンまたは事前充填ペンである。耐久性ペンの例は、NovoPen(登録商標)4またはNovoPen(登録商標)5(両方ともNovo Nordisk A/S、Denmarkから)である。事前充填ペンの例は、FlexPen(登録商標)(Novo Nordisk A/S、Denmark)である。
【0028】
適応症
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、医学で使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、以下の医学的処置のために使用され得る:
(i)高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、非インスリン依存性糖尿病、MODY(若年発症成人型糖尿病)、妊娠糖尿病、および/またはHbA1cの減少などのすべての形態の糖尿病の予防および/または治療、
(ii)2型糖尿病の進行などの糖尿病疾患の進行の遅延または予防、耐糖能障害(IGT)からインスリンを必要とする2型糖尿病への進行の遅延、および/またはインスリンを必要としない2型糖尿病からインスリンを必要とする2型糖尿病への進行の遅延、
(iii)肥満などの摂食障害(例えば、食事量の減少、体重減少、食欲の抑制(満腹感を含む))の予防および/もしくは治療、むちゃ食い障害、神経性大食症、および/もしくは抗精神病薬もしくはステロイドの投与によって誘発された肥満、胃の運動の減少、ならびに/または胃内容排出の遅延の治療または予防。
(iv)脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝臓炎、または脂肪肝などの肝臓障害の予防および/または治療。
【0029】
いくつかの実施形態では、適応症は(i)である。いくつかの実施形態では、適応症は(ii)である。なおさらなる特定の態様では、適応症は(iii)である。いくつかの実施形態では、適応症は(iv)である。いくつかの実施形態では、適応症は、2型糖尿病および/または肥満である。
【0030】
いくつかの実施形態では、方法または使用は、本明細書で定義される1つ以上の疾患または症状の予防、治療、低減、および/または誘発を含む。いくつかの実施形態では、適応症は(i)および(iii)である。いくつかの実施形態では、適応症は(ii)および(iii)である。いくつかの実施形態では、本発明は、有効量のGLP-1ペプチドの投与を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、有効量のGLP-1ペプチドの投与に関する。特定の実施形態では、本発明は、有効量のセマグルチドの投与に関する。
【0031】
一般に、肥満を患っているすべての対象は、過体重も患っていると考えられる。いくつかの実施形態では、本発明は、肥満を治療または予防するための方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は肥満の治療または予防のための組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、肥満を患っている対象は、成人のヒトまたは小児のヒト(幼児、児童、および青年を含む)などのヒトである。ボディマス指数(BMI)は、身長および体重に基づく体脂肪の指標である。計算式は、BMI=体重(キログラム)/身長(メートル)である。肥満を患っているヒト対象は30以上のBMIを有することがあり、この対象は肥満とも呼ばれる場合がある。いくつかの実施形態では、肥満を患っているヒト対象は、35以上のBMIを有するか、または30以上40未満の範囲のBMIを有する。いくつかの実施形態では、肥満は、ヒト対象が40以上のBMIを有する重度の肥満または病的肥満である。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明は、任意選択的に、少なくとも1つの体重に関連する併存疾患の存在下での過体重の治療または予防のための方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、任意選択的に、少なくとも1つの体重に関連する併存疾患の存在下での、過体重の治療または予防のための組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、過体重を患っている対象は、成人のヒトまたは小児のヒト(幼児、児童、および青年を含む)などのヒトである。いくつかの実施形態では、過体重を患っているヒト対象は、27以上のBMIなど、25以上のBMIを有する。いくつかの実施形態では、過体重を患っているヒト対象は、25~30未満の範囲または27~30未満の範囲のBMIを有する。いくつかの実施形態では、体重に関連する併存疾患は、高血圧、糖尿病(2型糖尿病など)、脂質異常症、高コレステロール、および閉塞性睡眠時無呼吸からなる群から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明は、体重の減少のための方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、体重の減少のための組成物の使用に関する。本発明による体重の減少を享受するヒトは、27以上のBMIまたは30以上のBMIなど、25以上のBMIを有し得る。いくつかの実施形態では、本発明による体重の減少を享受するヒトは、35以上のBMIまたは40以上のBMIを有し得る。「体重の減少」という用語は、肥満および/もしくは過体重の治療または予防を含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される場合、数または間隔に関連して与えられる特定の値は、特定の値として、またはおよそ特定の値(例えば、特定の値のプラスまたはマイナス10パーセント)として理解され得る。
【0035】
以下は、本発明の非限定的な実施形態である:
1.セマグルチドおよびヒスチジンを含む、液体医薬組成物。
2.セマグルチド、等張剤、およびヒスチジンを含む、実施形態1に記載の液体医薬組成物。
3.組成物が、液体溶液の形態である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
4.ヒスチジンの濃度が、0.5~100mMである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
5.ヒスチジンの濃度が、0.5~15mMである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
6.ヒスチジンの濃度が、1~50mMである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
7.ヒスチジンの濃度が、2~20mMである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
8.ヒスチジンの濃度が、2~15mMである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
9.ヒスチジンの濃度が、5~15mMである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
10.ヒスチジンの濃度が、10mMである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
11.組成物が、0.01%(w/w)未満のフェノールを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
12.組成物が、0.01%(w/w)以下のフェノールを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
13.組成物が、フェノールを含まない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
14.組成物が、フェノールなどの防腐剤を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物。
15.組成物が、最大10mg/mlの濃度のフェノールを含む、実施形態1~10または14のいずれか1つに記載の組成物。
16.組成物が、0.1~5.5mg/mlの濃度のフェノールを含む、実施形態1~10または14~15のいずれか1つに記載の組成物。
17.組成物が、5.5mg/mlのフェノールを含む、実施形態1~10または14~16のいずれか1つに記載の組成物。
18.組成物が、少なくとも70%(w/w)の水または少なくとも80%(w/w)の水など、少なくとも60%(w/w)の水を含む水溶液である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
19.セマグルチドの濃度が、組成物の0.1~20mg/mlである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
20.セマグルチドの濃度が、組成物の0.1~10mg/mlである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
21.セマグルチドの濃度が、組成物の0.5~5mg/mlである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
22.セマグルチドの濃度が、組成物の0.5mg/mlである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
23.セマグルチドが、医薬的に許容可能な塩の形態である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
24.組成物が、1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
25.組成物が、HCl、NaOH、または酢酸など、pHを調整するための1つ以上の薬剤を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
26.組成物が、等張剤を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
27.組成物が、緩衝液を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
28.組成物が、緩衝液および/または等張剤を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
29.緩衝液が、組成物の0.01~50mMの濃度で存在する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
30.緩衝液が、リン酸緩衝液またはヒスチジンである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
31.緩衝剤が、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸、またはリン酸ナトリウムから選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
32.組成物が、組成物の14mg/mL~30mg/mLなど、8mg/mL~50mg/mLの濃度で存在する等張剤を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
33.等張剤が、プロピレングリコールである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
34.組成物が、防腐剤を含まない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
35.組成物が、6.0~10.0の範囲内のpHを有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
36.組成物が、7.0~7.8の範囲内のpHを有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
37.組成物が、セマグルチド、ヒスチジン、ならびに緩衝液、等張剤、およびpHを調整するための薬剤からなる群から選択される1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤からなる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
38.組成物が、セマグルチド、ヒスチジン、緩衝剤、および等張剤からなる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
39.組成物が、非経口投与用である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
40.組成物が、皮下投与用である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
41.組成物が、事前充填シリンジまたはカートリッジ内にある、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
42.組成物が、ステーク状針を有する事前充填シリンジ内にある、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
43.組成物が、耐久性ペンまたは事前充填ペンを使用することによって投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
44.より少ない不純物が、保存中に生成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
45.より少ないHMWPが、保存中に生成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
46.より少ない疎水性不純物1が、保存中に生成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
47.より少ない疎水性不純物2が、保存中に生成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
48.より少ない不純物が、光への曝露後に生成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
49.組成物の改善された化学的安定性が得られる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
50.改善された物理的安定性が得られる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
51.先行する実施形態のいずれか1つに記載の医薬組成物、および使用説明書を含む、キット。
52.キットが、医薬組成物を対象に投与するための注入装置を含む、実施形態51に記載のキット。
53.注入装置が、耐久性ペンおよび事前充填ペンからなる群から選択される、実施形態51~52のいずれか1つに記載のキット。
54.薬剤として使用するための、実施形態1~50のいずれか1つに記載の医薬組成物。
55.糖尿病または肥満の治療に使用するための、実施形態1~50のいずれか1つに記載の医薬組成物。
56.NASHの治療に使用するための、実施形態1~50のいずれか1つに記載の医薬組成物。
57.実施形態1~50のいずれか1つによって定義される医薬組成物が、それを必要とする対象に投与される、糖尿病または肥満の予防または治療のための方法。
58.実施形態1~50のいずれか1つによって定義される医薬組成物が、それを必要とする対象に投与される、NASHの予防または治療のための方法。
【実施例
【0036】
一般的な方法および特徴解析
セマグルチド組成物の調製:
別段の記載がない限り、セマグルチドの組成物は、緩衝液(リン酸水素二ナトリウム二水和物)、等張剤(プロピレングリコール)、フェノール(任意選択的に)、および任意選択的に安定剤(ヒスチジン)を水中で溶解することによって調製した。セマグルチドをその中に溶解し、pHを水酸化ナトリウムおよび/または塩酸を使用して7.4に調整し、最後に、組成物を0.22μmの滅菌フィルタで濾過して滅菌した。セマグルチドおよびヒスチジンを含む組成物を、事前充填シリンジ(Ompi#7600002.8506)またはカートリッジに追加した。
【0037】
アッセイ(I):セマグルチド組成物の高分子量タンパク質(HMWP)含有量の決定
HMWP含有量の決定は、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、およびイソプロパノールの移動相を含むWaters Insulin HMWPカラムを使用したサイズ排除クロマトグラフィ(SE-HPLC)、定組成溶離、および280nmでの検出を使用して実施した。HMWPの含有量は、HMWPおよびセマグルチドモノマーピークの総領域に対して、セマグルチドモノマーピーク(すなわち、HMWPピーク)よりも早く溶出するクロマトグラフィピークの複合領域として%で与えられる。結果は、絶対値および/または月あたりの%増加として提示される。
【0038】
アッセイ(II):セマグルチド組成物の疎水性不純物1および2の決定
セマグルチド組成物の疎水性不純物1および2の決定を、逆相高速液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)を使用して実施した。RP-HPLC法を、Kinetex C18カラム上で実施し、アイソクラティック溶出から開始し、その後、溶離液A(90%0.09Mリン酸緩衝液、pH3.6、および10%アセトニトリル)および溶離液B(60%アセトニトリルおよび20%イソプロパノール)を使用して、約50:50~10:90、および約50:50のA:Bまで戻るように勾配溶出した。検出を210nmで実施した。
疎水性不純物1を、セマグルチドと、全ピークの総領域に対するクロマトグラムの最終勾配の開始との間で溶出する全ピークの領域として計算した。疎水性不純物2を、全ピークの総領域に対するクロマトグラムの最終勾配で溶出する全ピークの領域として計算した。
【0039】
アッセイ(III):ThTを介して評価したセマグルチド組成物の物理的安定性
このアッセイの目的は、水溶液中のGLP-1ペプチドの物理的安定性を評価することである。
【0040】
ペプチドまたはタンパク質の物理的安定性が低いと、アミロイド線維形成につながり得る。線維は、可溶性タンパク質の凝集によって形成され、ベータシート構造によって支配される、構造的に秩序のあるフィラメント状高分子構造である。成熟した線維は不溶性であり、分解に耐性である。医薬品の品質および患者の安全性のために、治療用ペプチドおよびタンパク質の医薬組成物における細線維化事象を最小化および制御することが望ましい。細線維化を含むタンパク質凝集は、試料の目視検査によって評価することができる。細線維化は、線維に対して高い特異性を有する小分子インジケータプローブであるチオフラビンT(ThT)の使用によって評価することができる。ThTは、溶液中のThTと比較して、線維に結合するとき、別個の蛍光シグネチャを有する[Naiki et al.(1989)Anal.Biochem.177,244-249;LeVine(1999)Methods.Enzymol.309,274-284]。
【0041】
細線維化の一般的開始機構として、ペプチドの部分的に折り畳まれた中間物の形成が示唆されている。少量のこれらの中間体が核形成してテンプレートを形成し、その上にさらに中間体が集合して細線維化が進行する。ラグタイムは、臨界量の核が生成される間隔に対応し、見かけ上の速度定数は、線維自体が形成される速度である。したがって、プレートリーダーで実施されるThTアッセイに記載されるラグタイムは、溶液中のペプチド組成物の細線維化傾向を示していると見なされる。
【0042】
アッセイを実施する前に、ThTを、HO中の保存溶液から試料中の20μMの最終濃度まで追加した。GLP-1ペプチドを含む組成物の200μlの試料アリコートを、各ウェル中に配置されたガラスビーズ(2.8~3.2mm、Whitehouse Scientific)を備えた96ウェルマイクロタイタープレート(光学式0.4mLブラックThermo Scientific Nunc)中に配置した。通常、各サンプルの8つのレプリカをプレート上に配置した。プレートをシールテープ(Thermo Scientific Nunc)で密封した。
【0043】
所与の温度でのインキュベーション、振盪、およびThT蛍光放射の測定を、BMG FLUOStar OmegaまたはBMG FLUOStar Optimaで実施した。プレートを、振幅2mmで300rpmで二重軌道振盪しながら、40℃でインキュベートした。蛍光測定は、450nmフィルタを通した励起、および480nmフィルタを通した発光測定を使用して実施した。プレートを、所望の時間の間、20分ごとに測定した。各測定の間に、プレートは記述したように振盪および加熱した。
【0044】
閾値は、1時間13分にプレート上で測定した最高のThT蛍光(相対蛍光単位(RFU))に100RFUを加えたものとして決定した。次いで、閾値を使用して、BMG FLUOstarソフトウェアにおける「閾値到達時間」法を使用して、ラグタイムを計算した。
【0045】
実施例1:
セマグルチドを含む組成物を、この実施例で試験した。試験した組成物は、表1に明記されるようにセマグルチド(0.5mg/ml)、プロピレングリコール(18.5mg/ml)、リン酸水素二ナトリウム二水和物(1.42mg/ml)、および任意選択的にヒスチジン(10mM)を、水溶液中でpH7.4で含有した。組成物を、一般的な方法および特徴解析に記載されるように調製し、セマグルチド組成物を、ステーク状針を有する事前充填シリンジ(充填容量0.5ml)に追加した。充填シリンジを30℃または37℃で保存し、化学安定性を経時的に追跡した。一部の組成物を、1000luxで96時間人工光に曝露した。光への曝露後、37℃(本明細書では、「37℃+光」とも称される)での保存中に化学的安定性を追跡した。化学的安定性を、30℃、37℃、および37℃+光で保存した後に、アッセイ(I)に記載されるようにHMWPの形成を測定することによって決定し、結果を表2に提供した。疎水性不純物1および2の形成は、30℃、37℃、および37℃+光で保存した後に、アッセイ(II)に記載されるように決定し、結果を表3および表4に提供した。
【0046】
表2、表3、および表4に与えられた結果は、驚くべきことに、ヒスチジンが光への曝露を伴うまたは伴わない両方で組成物中に存在する場合に、セマグルチドの化学的安定性が改善されることを示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表2に提示した結果は、ヒスチジンが組成物中に存在する場合に、保存中により少ないHMWPが形成されることを示す。より低いHMWP濃度は、より良い安定性に対応する、すなわち、ヒスチジンが光への曝露を伴うまたは伴わない両方で存在する場合に、組成物は化学的により安定性である。
【0050】
【表3】
【0051】
表3に提示した結果は、ヒスチジンが組成物中に存在する場合に、30℃、37℃および37℃+光の両方における保存中により少ない疎水性不純物2が形成され、すなわち、ヒスチジンが存在する場合に、組成物がより安定性であることを示す。
【0052】
【表4】
【0053】
表4に提示した結果は、ヒスチジンが組成物中に存在する場合に、30℃、37℃および37℃+光の両方における保存中により少ない疎水性不純物1が形成され、すなわち、ヒスチジンが存在する場合に、組成物がより化学的に安定性であることを示す。
【0054】
実施例2:
セマグルチドを含む組成物を、この実施例で試験した。試験した組成物は、表5~表9に明記されるようにセマグルチド(0.5mg/ml)、プロピレングリコール(18.5mg/ml)、リン酸水素二ナトリウム二水和物(1.42mg/ml)、フェノール(0、0.1、または5.5mg/ml)、および任意選択的にヒスチジン(10mM)を、水溶液中でpH7.4で含有した。組成物を、一般的な方法および特徴解析に記載されるように調製し、セマグルチド組成物を、ステーク状針を有する事前充填シリンジ(PFS)(充填容量0.5ml)または1.5mlカートリッジ(充填容量1.5ml)に追加した。充填シリンジまたはカートリッジを37℃で保存し、化学安定性を経時的に追跡した。一部の組成物を、1000luxで96時間人工光に曝露した。光への曝露後、37℃での保存中に化学的安定性を追跡した。化学的安定性を、37℃、および37℃+光で保存した後に、アッセイ(I)に記載されるようにHMWPの形成を測定することによって決定し、結果を表5に提供した。疎水性不純物1および2の形成は、37℃、および37℃+光で保存した後に、アッセイ(II)に記載されるように決定し、結果を表6および表7に提供した。月あたりの%増加として計算した化学的安定性の結果の概要を表8に示す。チオフラビンT(ThT)アッセイによって表される物理的安定性を、本明細書に記載されるアッセイ(III)によって決定し、結果を表9に示す。
【0055】
実施例1の結果と一致して、これらの結果は、ヒスチジンが光への曝露を伴うおよび伴わない両方で組成物中に存在する場合に、セマグルチドの化学的安定性が改善されることを示す。ヒスチジンの存在下での改善された化学的安定性はまた、一次包装(事前充填シリンジまたはカートリッジ)とは無関係に観察された。
【0056】
物理的安定性に関して、表9に提示した結果は、光への曝露を伴うまたは伴わないに関わらず、5.5mg/mlのフェノールの存在下でヒスチジンを含む組成物についてより長いラグタイムが得られること、すなわち、ヒスチジンが存在する場合に、組成物はより物理的に安定性であることを示す。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】
【表9】
【0062】
実施例3:
セマグルチドを含む組成物を、この実施例で試験した。試験した組成物は、表10に明記されるように、セマグルチド(0.1、0.5、2.0、5.0、および10mg/ml)、プロピレングリコール(18.5mg/ml)、リン酸水素二ナトリウム二水和物(1.42mg/ml)、および任意選択的にヒスチジン(5および10mM)を、水溶液中でpH7.4で含有した。組成物を、一般的な方法および特徴解析に記載されるように調製し、セマグルチド組成物を、ステーク状針を有する事前充填シリンジ(PFS)(充填容量0.5ml)に追加した。充填シリンジを30℃で3カ月間保存し、化学安定性を経時的に追跡した。化学的安定性を、30℃で保存した後に、アッセイ(I)に記載されるようにHMWPの形成を測定することによって決定した。疎水性不純物1および2の形成は、30℃で保存した後に、アッセイ(II)で記載されるように決定した。月あたりの%増加として計算した結果を表10に提供する。
【0063】
【表10】
【0064】
結果は、ヒスチジンが、セマグルチドの量に依存せず、かつヒスチジンの量に依存せずに組成物中に存在する場合に、セマグルチドの化学的安定性が改善されることを示す。
【0065】
同様に、0.5mg/mlのセマグルチド、18.5mg/mlのプロピレングリコール、1.42mg/mlのリン酸水素二ナトリウム二水和物を含む組成物を、pH7.4の水溶液中で、10mMヒスチジンを伴うおよび伴わずに、異なる供給元からの事前充填シリンジ中で3カ月間、30℃で保存した。結果は、セマグルチドの化学的安定性が、どのシリンジ/供給元を使用したかに依存せずに改善されたことを示した。
【0066】
本発明のある特定の特徴が本明細書に例示および記載されているが、ここで、多くの修正、置換、変更、および同等物が当業者に想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨の範囲内にあるこうしたすべての修正および変更を網羅することを意図していることが理解されるべきである。