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特許7422758リングを手指に固定するためのパッドならびにそれに関する方法およびキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】リングを手指に固定するためのパッドならびにそれに関する方法およびキット
(51)【国際特許分類】
   A44C 9/00 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
A44C9/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021524078
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 AU2019050731
(87)【国際公開番号】W WO2020010404
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】2018902538
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】521016232
【氏名又は名称】カレイハ インヴェストメンツ(キューエルディー)プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】カレイハ,ジョン
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0289966(US,A1)
【文献】特開2004-012649(JP,A)
【文献】国際公開第2006/057199(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0000661(KR,A)
【文献】特開2013-031620(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0030909(US,A1)
【文献】米国特許第05261256(US,A)
【文献】特開2008-295526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 1/00~ 3/00
A44C 7/00~27/00
F16C 13/00
C09J 1/00~ 5/10
C09J 9/00~201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指輪の内面に付けられるパッドであって、
1種類以上のポリシロキサンを含む弾性的に圧縮可能なパッド本体と、
前記指輪の前記内面に接着するように適合されたポリシロキサン接着剤層と、
前記パッド本体と前記ポリシロキサン接着剤層との間のパッド基部であって、前記パッド本体と接合し、前記パッド本体を保持するよう構成されたパッド基部と、
を備え、
前記パッド本体は、手指が前記指輪に挿入し、または前記指輪から抜去されるとき、それぞれ圧縮および拡張するように構成されており、
圧縮された前記パッド本体は、挿入された前記手指に押し付けられ、その結果、前記指輪は、前記手指の周りで、または前記手指に沿って回転し、または移動することを阻止され
前記パッド基部は、前記パッド本体と接合し、前記パッド基部に接するように前記パッド本体を保持する、1つ以上の接合可能な表面特徴部を備える、パッド。
【請求項2】
前記パッド本体およびポリシロキサン接着剤は、同一の化学式を有するポリシロキサンからなる、請求項1に記載のパッド。
【請求項3】
前記1種類以上のポリシロキサンは、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、シリコーン発泡体およびシリコーンスポンジのうちの1つ以上の形態である、請求項1または2に記載のパッド。
【請求項4】
前記接合可能な表面特徴部のうちの少なくとも1つは、液体、ゲル、またはパテ状の前記パッド本体に挿入されるか、またはそうでなければ接触する、挫傷、突起、または隆起のうちの1つ以上を備え、
前記パッド本体が凝固し、硬化し、またはそうでなければ固体状態に遷移すると、前記パッド本体は、前記接合可能な表面特徴部と接合し、そして、前記接合可能な表面特徴部によって前記パッド基部に接するように保持される、請求項1~3のいずれか1項に記載のパッド。
【請求項5】
前記ポリシロキサン接着剤層は、液体、ゲルまたはパテ状のうちのいずれかである、ポリシロキサン接着剤であり、
前記液体、ゲルまたはパテ状のポリシロキサン接着剤は、前記指輪の前記内面に接触した後、固体ポリシロキサンに凝固するように構成され、それによって、前記パッド本体を前記指輪の前記内面に接着する、請求項1~のいずれか1項に記載のパッド。
【請求項6】
前記パッド本体の手指接触面上に複数の隆起をさらに備える、請求項1~のいずれか1項に記載のパッド。
【請求項7】
前記複数の隆起は、前記パッド本体の複数の突起として形成される、請求項に記載のパッド。
【請求項8】
前記パッド本体は、前記指輪の前記内面の全てを覆うような大きさである、請求項1~のいずれか1項に記載のパッド。
【請求項9】
指輪が、前記指輪が装着されている手指の周りで回転すること、または、該手指から滑り落ちることを防ぐための方法であって、
1種類以上のポリシロキサンからなる弾性的に圧縮可能なパッド本体と、ポリシロキサン接着剤層と、前記パッド本体と前記ポリシロキサン接着剤層との間のパッド基部と、を備える少なくとも1つのパッドを、前記指輪の内面の一部に付け、それによって、前記ポリシロキサン接着剤層は前記内面部分に接着する工程と、
前記ポリシロキサン接着剤層が凝固できるようにする工程と、
前記指輪を前記手指の上に配置し、それによって、前記パッド本体を圧縮する工程と、を含み、
圧縮された前記パッド本体は、前記手指に押し付けられ、前記指輪が前記手指の周りを回転し、または移動することを防ぎ、
前記パッド本体は、手指が前記指輪に挿入し、または前記指輪から抜去されるとき、それぞれ圧縮および拡張するように構成されており、
前記パッド基部は、前記パッド本体と接合し、前記パッド基部に接するように前記パッド本体を保持する、1つ以上の接合可能な表面特徴部を備える、方法。
【請求項10】
前記指輪の前記内面は、ポリシロキサン接着剤が接着しない貴金属または他の材料を含み、
前記方法は、
前記パッド本体を前記指輪の前記内面部分に付ける工程に先立って、エッチングプライマーを前記指輪の前記内面の一部に塗布して、前記内面部分を下塗りする工程をさらに含み、
前記内面部分を下塗りする前記工程は、ポリシロキサン接着剤が前記貴金属または他の材料に接着することを可能にする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記パッドにポリシロキサン接着剤層が設けられておらず、
前記パッド本体を前記指輪の前記内面部分に付ける工程に先立って、前記パッド本体にポリシロキサン接着材料を塗布し、ポリシロキサン接着剤層を形成する工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記指輪の前記内面は、ポリシロキサン接着剤を典型的には受け入れない貴金属または他の材料からなり、
前記方法は、他の全ての工程に先立って、前記パッドと前記内面との間の接着結合を形成するために、ポリシロキサン接着剤がそれに接着して硬化できるように、前記指輪の前記内面にエッチングプライマーを塗布する工程をさらに含む、請求項または10に記載の方法。
【請求項13】
液体、ゲルまたはパテ状のポリシロキサンを型へと注ぎ、注入し、またはそうでなければ挿入する工程と、
パッド基部の少なくとも1つの接合可能な表面特徴部が前記ポリシロキサン内に少なくとも部分的に浸漬されるように、前記パッド基部のパッド受け側を前記液体、ゲルまたはパテ状のポリシロキサンと接触させる工程と、
それが固体ポリシロキサンパッド本体へと成形するように、前記ポリシロキサンが凝固できるようにする工程と、
成形された前記パッド本体を前記型から取り外す工程と、を含
前記ポリシロキサンが凝固して固体パッド本体を形成すると、前記パッド本体は、前記パッド基部の少なくとも1つの前記接合可能な表面特徴部と接合し、それによって、前記パッド基部に接するように保持される、請求項1に記載のパッドのポリシロキサンパッド本体を製造する方法。
【請求項14】
1種類以上のポリシロキサンを含むパッド本体を有するパッドと
ポリシロキサン接着剤層を形成するためのポリシロキサン接着材料と
前記パッド本体と前記ポリシロキサン接着剤層との間のパッド基部と、
を備える、パッドを指輪に取り付けるためのユーザ用キットであって、
前記パッド本体は、手指が前記指輪に挿入し、または前記指輪から抜去されるとき、それぞれ圧縮および拡張するように構成されており、
前記パッド基部は、前記パッド本体と接合し、前記パッド基部に接するように前記パッド本体を保持する、1つ以上の接合可能な表面特徴部を備える、キット。
【請求項15】
記パッド基部は、ポリシロキサン接着剤層を形成できるように、前記ポリシロキサン接着材料を塗布するための接着剤受け側を備える、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記ポリシロキサン接着材料は、ポリシロキサン接着剤層として提供され、
前記キットは、前記ポリシロキサン接着剤層を覆う接着剤保存シールをさらに備える、請求項14または15に記載のキット。
【請求項17】
前記ポリシロキサン接着材料は、ポリシロキサン接着剤に対して不活性である、貴金属または他の材料に接着できるようにするためのエッチングプライマーをさらに備える、請求項1416のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔優先権の詳細〕
本出願は、2018年7月13日にオーストラリアで出願された仮出願第2018902538号に基づく優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に援用される。
〔技術分野〕
【0002】
本発明は概して、宝飾品の分野に関するものであり、特に、人の手指に装着されるリングに関するものである。より詳細には、本発明は、手指に装着されたリングが手指の周りを回転すること、および/または、手指から滑り落ちることを防止する手段を提供することに関するものである。
〔背景技術〕
【0003】
特に、リングが手指に装着するにはわずかに大きすぎる場合、手指に装着されたリングは、回転および滑りの影響を受けやすいことが知られている。しかしながら、特に手指よりも実質的に幅広の指関節を持つ人々、例えば、関節炎に罹患している人々のために、わずかに大きすぎるリングは、時には必要となる。
【0004】
リングを固定し、滑りおよび/または回転を防止する、従来技術に係る(複数の)手段が知られている。しかし、これらは一時的な解決策であるか、または、リングの側部の周りを途中まで延びる装置であるか、のどちらかである。これらは目に見えるものであり、従って、目立たないものではない。リングサイジングビーズ(ring sizing beads)のような、他の従来技術に係る(複数の)手段が知られている。しかしながら、これらは、金属の小さなビーズをリングの内側にはんだ付けすることを必要とし、専門的な宝飾品職人が所定の位置に挿入し、はんだ付けし、緩衝材または「たわみ(give)」を提供しないことが求められる。したがって、装着には不快となる可能性がある。さらに、リングサイジングビーズは半永久的な解決策であって、指輪を損傷することなく調整し、または取り除くことが困難であり得る。
【0005】
したがって、装着された手指からリングが回転して調整不良の状態になったり、または、装着された手指からリングが滑り落ちたりすることを、防止する手段を提供することは、望ましいことだろう。
〔発明の開示〕
【0006】
第1の態様において、本発明は、指輪の内面に付けられるパッドに関する。前記パッドは、弾性的に圧縮可能なパッド本体と、前記指輪の前記内面に接着するように適合された接着層と、を備え、前記指輪が手指に装着されると、前記パッド本体は圧縮され、前記圧縮されたパッド本体は、前記手指に押し付けられ、その結果、前記指輪は、前記手指の周りで、または前記手指に沿って回転し、または移動することを阻止される。
【0007】
一実施形態において、前記パッド本体は、1種類以上のポリシロキサンからなる。さらなる実施形態において、前記1種類以上のポリシロキサンは、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、シリコーン発泡体およびシリコーンスポンジのうちの1つ以上の形態である。
【0008】
さらなる実施形態において、前記パッドはさらに、前記パッド本体と前記接着層との間にパッド基部を備え、前記パッド基部は、前記パッド本体と接合し、前記パッド本体を保持するように構成される。さらなる実施形態において、前記パッド基部は、前記パッド本体と接合し、前記パッド本体を保持する、1つ以上の接合可能な表面特徴部を備える。さらなる実施形態において、前記接合可能な表面特徴部のうちの少なくとも1つは、液体、ゲル、またはパテ状の前記パッド本体に挿入されるか、またはそうでなければ接触する、挫傷、突起、または隆起のうちの1つ以上を備え、前記パッド本体が凝固し、硬化し、またはそうでなければ固体状態に遷移すると、前記パッド本体は、前記接合可能な表面特徴部と接合し、そして、前記接合可能な表面特徴部によって前記パッド基部に接するように保持される。
【0009】
一実施形態において、前記接着層は、液体、ゲルまたはパテ状のうちのいずれかである、ポリシロキサン接着剤であって、前記液体、ゲルまたはパテ状のポリシロキサン接着剤は、固体ポリシロキサンに凝固するように構成され、それによって、前記パッド本体を前記指輪の前記内面に接着する。代替実施形態において、前記接着層は、非ポリシロキサン系接着剤を含む。
【0010】
一実施形態において、前記パッド本体は、前記パッド本体の手指接触面上に複数の隆起をさらに備える。さらなる実施形態において、前記複数の隆起は、前記パッド本体の複数の突起として形成される。一実施形態において、前記パッド本体は、前記指輪の前記内面の、実質的に全てを覆うような大きさである。
【0011】
本発明の第2の態様は、指輪が、前記指輪が装着されている手指の周りで回転すること、または、該手指から滑り落ちることを防ぐための方法に関する。前記方法は、弾性的に圧縮可能なパッド本体と接着層とを備える少なくとも1つのパッドを、前記指輪の内面の一部に付け、それによって、前記接着層は前記内面部分に接着する工程と、前記接着層が凝固できるようにする工程と、前記指輪を前記手指の上に配置し、それによって、前記パッド本体を圧縮する工程と、を含み、前記圧縮されたパッド本体は、前記手指に押し付けられ、前記指輪が前記手指の周りを回転し、または移動することを防ぐ。
【0012】
一実施形態において、前記パッド本体は、1種類以上のポリシロキサンからなり、前記接着剤は、非ポリシロキサン系接着剤であり、前記パッドは、前記パッド本体と前記接着層との間にパッド基部をさらに備え、前記パッド基部は、前記パッド本体と接合し、前記パッド本体を保持する。
【0013】
一実施形態において、前記接着層は、液体、ゲルまたはパテ状のポリシロキサン接着剤であり、前記内面は、ポリシロキサン接着剤が接着しない貴金属または他の材料を含む。前記方法は、前記パッド本体を前記リングの前記内面部分に付ける工程に先立って、エッチングプライマーを前記指輪の前記内面の一部に塗布して、前記内面部分を下塗り(prime)する工程をさらに含み、前記内面部分を下塗りする前記工程は、ポリシロキサン接着剤が前記貴金属または他の材料に接着することを可能にする。
【0014】
前記パッドに接着層が設けられていない一実施形態において、前記方法は、前記パッド本体を前記リングの前記内面部分に付ける工程に先立って、前記パッド本体に接着材料を塗布し、接着層を形成する工程をさらに含む。
【0015】
本発明の第3の態様は、指輪の内面に付けられるポリシロキサンパッド本体を製造する方法に関する。前記方法は、液体、ゲルまたはパテ状のポリシロキサンを型へと注ぎ、注入し、またはそうでなければ挿入する工程と、それが固体ポリシロキサンパッド本体へと成形するように、前記ポリシロキサンが凝固できるようにする工程と、前記成形されたパッド本体を前記型から取り外す工程と、を含む。
【0016】
一実施形態において、前記方法は、前記ポリシロキサンが凝固できるようにする工程に先立って、パッド基部の少なくとも1つの接合可能な表面特徴部が前記ポリシロキサン内に少なくとも部分的に浸漬されるように、前記パッド基部のパッド受け側を前記液体、ゲルまたはパテ状のポリシロキサンと接触させる工程をさらに含み、前記ポリシロキサンが凝固して固体パッド本体を形成すると、前記パッド本体は、前記パッド基部と接合し、前記パッド基部に接するように保持される。
【0017】
本発明の第4の態様は、パッド本体を有するパッドと接着層を形成するための接着材料とを備える、パッドを指輪に取り付けるためのユーザ用キットに関する。前記パッド本体が、ポリシロキサンまたはポリシロキサン系材料からなる一実施形態において、前記キットは、前記パッド本体と接合するパッド基部をさらに備え、前記パッド基部は、接着層を形成できるように、前記接着材料を塗布するための接着剤受け側を備える。
【0018】
一実施形態において、前記接着材料は、接着層として提供され、前記キットは、前記接着層を覆う接着剤保存シールをさらに備える。
【0019】
〔図面の簡単な説明〕
さて、本発明の(複数の)実施形態を、図面と関連付けて説明しよう。
図1Aおよび1Bは、本発明の一実施形態に係るパッドを示す。
図2A~2Cは、一実施形態に係るパッド基部を含むパッドを示す。
図3A~3Eは、本発明の(複数の)実施形態に係る(複数の)パッドの、被網羅的な範囲の例示的な配置を示す。
図4は、幅広の指関節を有する手指に付けられたリングを示す。
図5は、先細(テーパ状)の手指に付けられたリングを示す。
図6Aおよび6Bは、内側パッドリング形状の、本発明の一実施形態に係る該パッドを示す。
図7Aおよび7Bは、(複数の)隆起を含む、本発明の(複数の)実施形態に係る該パッドを示す。
【0020】
〔定義〕
本明細書で使用されるように、「指輪(finger-ring)」という用語は、手指または足指に装着されるように設計された宝飾品の項目として解釈されるべきであり、より一般的には、単に「リング(ring)」と呼ばれることがある。指輪は、通常、手指または足指が通される材料(しばしば1種類以上の金属)のループを備え、その結果、該リングは手指または足指を取り囲む。該ループは普通、「バンド(band)」と呼ばれる。該リングは、(1つ以上の石を有する)台座、彫刻、サイドストーン、およびその他の特徴のような装飾的特徴をさらに含んでもよい。
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
【0021】
全般的に、第1の態様において、本発明は指輪(以下、総称的に「リング(ring)」と呼ぶ)の内面の少なくとも一部に付けられるパッドに関する。少なくとも1つの広い実施形態では、該パッドは、力が加えられたときに圧縮するように適合される弾性的に圧縮可能なパッド本体を備える。
【0022】
図1Aおよび図1Bを参照すると、台座102および内面104を有するリング100が示されている。パッド110が内面104に取り付けられている。一実施形態では、パッド110は一般に、圧縮性パッド110本体および接着層を含む。パッド110本体は、典型的には、弾性的に変形可能で圧縮可能な材料からなり、力が加えられると、パッド110本体は圧縮される。加えられた力が除去されると、パッド110本体はその元の形状に戻る。したがって、パッド110本体内に弾性的に変形可能な材料を含むパッド110は、少なくとも一実施形態では、パッド110を押圧する任意の物体に対する緩衝手段を提供する。
【0023】
理論を通じて本発明の範囲を限定するものではないが、本発明の少なくとも一実施形態に係るパッド110は、従来技術に係るリング挿入物のような従来技術に係るリングの固定手段に対して、著しい利点を提供すると考えられる。少なくとも本実施形態では、パッド110は、手指がリングに挿入されるか、またはリングから取り外されるときに、圧縮および拡張するように構成される。パッド110の圧縮性は、パッド110の寿命と、パッド110と挿入された手指との間の接触との両方を改善すると考えられる。対照的に、従来技術に係るリング挿入物は通常湾曲して、任意の接着層を横切る剪断力を誘発し、それによって、潜在的に寿命を減少させることがある。湾曲したリング挿入物はまた、リングが「正座(sit square)」していない、あるいは、湾曲した挿入物が手指の皮膚上で「引きずられている」という感覚があり得るので、リングを装着100している人にとって不快である傾向がある。
【0024】
一実施形態では、パッド本体112は1種類以上のポリシロキサンからなる。ポリシロキサンは、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、シリコーン発泡体およびシリコーンスポンジのうちの1つ以上の形態であってよい。本発明の範囲を限定することなく、ポリシロキサンはその望ましい特性のために、パッド本体112のための特に有利な材料であると考えられる。ポリシロキサンは、典型的には化学的にも熱的にも安定であり、無毒であるばかりでなく、空気および光への曝露による腐食および損傷に対して耐性がある。ポリシロキサンはまた、微生物の増殖を促進せず、耐水性および撥水性が高く、本発明に係るパッド110を容易に、かつ、手早く洗浄し、衛生的に維持することを可能にする。
【0025】
(接着材料の実施形態)
一実施形態では、接着層114は、パッド本体112の材料とリングの内面104との両方に結合することができる接着材料を含む。接着材料は、接着結合を形成するために、非腐食性であり、そうでなければ、凝固102または硬化100を超えて非反応的であり、その結果、接着材料は、パッド110が付けられるリング100を損傷する危険性を軽減することが好ましい。
【0026】
当業者ならば理解するだろうが、物体と表面との間の接着結合が失敗し得る3つの主要な方法が存在する。該結合は、物体、例えばパッド本体112と接着層114との間で失敗することもあるし(「物体・接着剤間不良(Object-adhesive failure)」)、表面、例えばリングの内面104と接着層114との間で失敗することもあるし(「表面・接着剤間不良(Surface-adhesive failure)」)、または、接着層114が破砕し、不適切にもしくは不十分に硬化し、もしくは他の不良を起こすこともある(「内部不良(internal failure)」)。
【0027】
(ポリシロキサン系接着材料)
本発明の1つの好ましい実施形態では、該接着材料は少なくとも部分的に、ポリシロキサンまたはポリシロキサン系接着剤である。少なくとも本実施形態では、ポリシロキサン接着剤は液体、ゲルまたはパテ(putty)状であり、固体ポリシロキサンに凝固または硬化するように構成される。接着剤として使用され、パッド110がリング100の内面104に付けられるとき、液体、ゲル、またはパテ状のポリシロキサンは、パッド本体112とリング100の内面104との間の固体ポリシロキサン層に凝固または硬化し、パッド本体112とリング100の内面104との両方に結合し、そのようにして、互いを接着100させる。
【0028】
接着材料が少なくとも部分的にポリシロキサンである該実施形態は、得られる接着が可撓性を有し、長持ちするという点で有利であると考えられる。ポリシロキサン化合物はまた、熱的および/または化学的損傷に対するその回復力のために高く評価されている。したがって、接着剤が少なくとも部分的にポリシロキサンである一実施形態において、本発明は、指輪100の内面104にパッド110を付けて、手指への保持能力を改善する半永久的な手段を提供することができる。本発明の少なくとも1つの実施形態は、ポリシロキサン接着剤を使用することで、ポリシロキサン接着剤の、改善された可撓性、ならびに、熱的および/または化学的な損傷による破壊に対するその耐性により、接着結合の「内部不良」の速度を抑制し、低減し、または少なくとも改善することができる場合があることが、理論化されている。
【0029】
パッド本体112が少なくとも部分的にポリシロキサンからなる一実施形態では、接着層114を形成するためにポリシロキサン系接着剤を使用することは、特に有利であるかもしれない。理論を通じて本発明の範囲を限定することなく、接着材料がパッド本体112の材料と化学的に類似している(すなわち、接着層114とパッド本体112との両方がポリシロキサンである)場合には、該接着材料はパッド本体112とよりたやすく結合するため、パッド本体112とリング100との間の接着強度は改善されることがあることが、理論化されている。したがって、1つの特定の実施形態では、パッド本体112と接着材料との両方が、少なくとも部分的にポリシロキサンからなる。少なくともこの実施形態では、ポリシロキサン接着剤は、化学的特性が類似しているために、硬化することで、ポリシロキサンパッド本体112との高強度結合を形成することがある。これにより、本発明の少なくとも1つの実施形態では、「物体・接着剤間不良」の速度を抑制し、低減し、または少なくとも改善することができる場合があることが、理論化されている。
【0030】
さらなる実施形態では、パッド本体112および接着材料は、実質的に同一の化学式および特性を有するポリシロキサンからなる。当業者ならば理解し得ることだが、多種多様なポリシロキサンが存在し、任意の2つの間の適合性(compatibility)は変化することがある。いくつかの状況では、両方に実質的に類似のポリシロキサンを使用することによって、接着剤とパッド本体112との間の適合性を改善し、それによって、接着層114とパッド本体112との間の結合の強度をさらに改善し、さらに、「物体・接着剤間不良」の速度を抑制し、低減し、または少なくとも改善することが必要であり得る。
【0031】
(該リングの表面処理)
一実施形態では、リング100の内面104には、「表面・接着剤間不良」の速度に対処するために、接着剤の塗布および硬化100を容易にするための処理が必要とされることがある。多くのリングは、金、銀、白金などの貴金属のいずれかを使用して製造されるか、または、そうでなければ、接着剤に対して実質的に不活性の材料で形成される。これらのリングは接着剤を容易に受け入れることができず、したがって、接着層114は硬化して適切な接着結合を形成する可能性が低い。このような実施形態では、本発明は、パッド本体112が取り付けられる内面104の部分、に塗布されるプライマーをさらに備えてもよい。該プライマーは、エッチングプライマーであってもよい。これにより、接着剤はリング100の内面104の部分に適切に接着できる場合があり、それによって、接着結合の「表面・接着剤間不良」の速度が抑制、低減、または少なくとも改善する場合がある。
【0032】
接着剤がポリシロキサンまたはポリシロキサン系である実施形態では、表面処理の使用は、ポリシロキサンがリングの内面104の材料と結合する能力を改善するにあたって、有利である場合がある。本発明の範囲を限定することなく、エッチングプライマーのようなプライマーでリング100を処理すると、リング100の内面104の他の滑らかな表面が破壊されると理論化されている。さらに、これは、ポリシロキサン系接着剤と、ポリシロキサン系接着剤に対してそれ以外では実質的に不活性である、リング100の内面104の材料と、の間の化学結合を可能にし、促進し、またはそうでなければ促進するように作用することが、理論化されている。
【0033】
〔ポリシロキサン以外の接着剤およびパッド基部〕
本発明の代替の実施形態では、該接着材料は、ポリシロキサン系接着剤以外の接着剤を含んでもよい。該接着剤は、ポリマー系接着剤、樹脂タイプの接着剤、エポキシ系接着剤、または、金属表面に半永久的な結合を形成する任意の他の形態の接着剤を含んでもよい。
【0034】
パッド本体112が少なくとも部分的にポリシロキサンからなる実施形態では、ポリシロキサン系接着剤を使用することは不利であるか、そうでなければ限定的に有益である場合がある。しかしながら、多くの非ポリシロキサン系接着剤は、ポリシロキサンの物体と容易に結合しないので、パッド本体112は該リングの内面104に接着することができない場合がある。このような実施形態では、図2Aを参照すると、本発明のパッド110は、パッド受け側および反対側の接着剤受け側を有する、プラスチックまたは他の適切な材料でできた、本質的に平坦な部分であるパッド基部116をさらに備えてもよい。本実施形態では、ポリシロキサン系のパッド本体112は、パッド基部116のパッド受け側上に固定し、パッド受け側と接合することができ、そして、該接着剤はパッド基部116を該リングの内面104に接着する。従って、該接着剤は、パッド本体112のポリシロキサンと結合する必要がない。
【0035】
以前から確立されているように、ポリシロキサン系化合物は、それ自体はポリシロキサン系ではない多くの物質に、容易に結合または接着しない。したがって、少なくとも1つの実施形態では、図2Bおよび図2Cを参照すると、パッド基部116のパッド受け側は、ポリシロキサンパッド本体112を把持するように成形された、挫傷(contusion)、突起、隆起、または他の接合可能な表面特徴部118を有してもよい。理論を通じて本発明の範囲を限定することなく、たとえポリシロキサンがパッド基部116の材料と直接結合しなくとも、接合可能な表面特徴部118を設けることで、ポリシロキサンは、パッド基部116のパッド受け側の接合可能な表面特徴部118の付近で、通って、またはそうでなければ接合されて固体形態に凝固、硬化、または他の方法で遷移し得る、ということが理論化されている。これは、パッド本体112を、パッド基部116と非接着的に接合するように作用し得る。そして、パッド基部116は、該リングの内面104に接着し得る。パッド基部116はポリシロキサン以外の材料から形成されるが、これにより、本発明の本実施形態では、「物体・接着剤間不良」の速度が抑制、低減、または少なくとも改善されることができる場合がある、ということが理論化されている。
【0036】
図2Bに示される非限定的な実施形態に戻って詳しく参照すると、接合可能な表面特徴部118は、幅広のキャップを有するステムを有する。表面特徴部118を液体ポリシロキサンに浸漬し、続いて、それが1つ以上の凝固工程によって固体化された後、パッド本体112の固体化されたポリシロキサンは、表面特徴部118と非接着的に接合され、そうすることで、パッド基部116に接するように保持されてもよい。当業者ならば理解するように、本発明の範囲から逸脱することなく、該表面特徴部は、パッド本体112がパッド基部116と接合し、パッド基部116に保持されることを可能にする、任意の適切な形状であってもよい。
【0037】
さらなる実施形態では、接合可能な表面特徴部118は、少なくとも部分的に中空であってもよい。これにより、パッド基部116の接着剤受け側に塗布された接着材料が、パッド基部116の「内部」に、少なくとも部分的に入ることができる場合がある。これにより、パッド基部116と該接着材料との相互作用を改善できることがあり、パッド基部116のリング100の内面104への接着の改善を促進することがある。
【0038】
(本発明の実施形態の適用)
本発明のパッド110の実施形態の1つの適用例は、図1に示されている。台座102を有するリング100が示されており、そこでは、本発明の実施形態に係る単一のパッド110が、該リングの内面104に付けられている。リング100は単一のパッド110のみを有するように示されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の数のパッド110をリング100の内面104に取り付けてもよいことを、当業者ならば理解するだろう。さらに、図1のパッド110は、リング100に対して特定のサイズを有するが、本発明の実施形態に係るパッド110は、本発明の範囲から逸脱することなく、例えば特定のリング100の装着者の必要を考慮して、さまざまなサイズにされてもよい。本発明の範囲から逸脱することなく、特に、パッド110は、リング100の内面104を多かれ少なかれ覆うために、横方向または縦方向にサイズ変更されてもよく、追加の緩衝性を提供するために厚くされてもよく、または、緩衝性のレベルを低減するために薄くされてもよい。
【0039】
パッドのサイズ、形状および配置の例の非網羅的な範囲が、図3A~3Eに見ることができる。図3Aおよび3Bでは、パッド110が形成され得る2つの形状、ならびに、パッド110の数および配置が異なるいくつかの例が示される。図3C及び3Dは、リングリップ120を有する様々な数のパッド110を示す。リングリップ120は、リング100のシャンクを少なくとも部分的に「包み込む」パッド本体112の延長部を備え、リングの内面104上でのパッド110の保持を改善するための助けとなり得る。これは、リングと接着接合した状態にある表面積を増加させることによるものであり得る。リングリップ120はまた、手指がリングに挿入されるか、またはリングから抜かれるときに、リング100の内面104から「押し離される」ことに対するパッド110の抵抗をさらに改善し得る。図3Eは、内面104の大部分を覆う100、実質的により大きなパッド110を有するリング100を示す。この特定の実施形態は、直径の大きな変化を経験する手指に役立つか、または、虚弱なもしくは繊細な手指をもつ人々に追加の緩衝性および快適さを提供するのに役立ち得る。
【0040】
使用に際して、本発明のパッド110の少なくとも1つの実施形態は、指関節の直径よりも実質的に小さな直径の基節骨を有する手指に、リング100を装着することを可能にし得る。これは、基節骨124よりも幅広の指関節126を有するリングを付けた手指122を示す、図4に見ることができる。リング100には、手指122に適合するために、指関節126の直径よりも大きな内径が必要だろう。しかし、基節骨124の直径は、パッド110が取り付けられていないリング100を適切に把持しないだろう。そして、リング100は手指の周りで回転(spin)または回転(rotate)する傾向にあり得るか(それによって、リング100が台座102を有する場合には、台座102を調整不良にし、および/または、隠してしまう)、またはそうでなければ、手指から滑り落ちてしまい得る。(任意の特定の実施形態における)パッド110を内面104に取り付けることで、リング100の有効内径を変更可能にし、それにより、リング100が手指122を横切るさいに変化する指の直径に適合させることができる。
【0041】
本発明に係るパッド110の少なくとも1つの実施形態によって、また、図5に図示されるように、リング100を先細の手指に装着することもでき得る。先細の手指128は、該手指128の直径は指先から付け根へと着実に増加するのだが、リング100が滑り落ちるのを防ぐのに十分な構造を手指128が欠くという点で、リング100の装着に困難がある。本発明の一実施形態は、手指128とリング100の内面104との間に付勢のための力を提供し、それらの間の摩擦を増大させることによって、先細の手指128からリング100が無くなるのを防ぐ助けとなり得る。
【0042】
図6Aおよび図6Bを参照すると、少なくとも1つの実施形態では、パッド110は、リングの内面104のすべてを実質的に覆うことができる。この実施形態は、リングの滑りに対する保護を提供することができ、また、例えば、温度の変化によって手指が収縮したとしても、手指の上にリング100を保持するのを助けることができる。このような実施形態では、付けられたパッド110は、「内側パッドリング」210を形成することができる。いくつかの実施形態では、内側パッドリング210は、リングの内面104の幅全体を覆ってもよい。他の実施形態では、パッド210は、リングの内面104の幅の一部のみを覆ってもよい。理論を通じて本発明の範囲を限定ものではないが、本実施形態は、特に指手が先細(テーパ状)である場合に、滑り落ちることなく手指にリング100を保持する能力を改善することができる、と考えられる。
【0043】
本発明の様々な実施形態では、パッド110は、一連の表面構造130を含むことができる。1つの例示的な実施形態では、表面構造130は、パッド110と手指との間の把持を改善するために適合され、パッド本体112の手指接触面上に配置された、1つ以上の隆起部を備えてもよい。図7Aおよび7Bには、2つの例示的な実施形態を見ることができる。
【0044】
表面構造130は、本発明の他の実施形態と組み合わせることができる。例えば、図示されていないけれども、内側パッドリング210を含む本発明の実施形態は、手指接触面上に配置された隆起部を備えてもよい。
【0045】
(本発明のパッド本体の形成方法)
本発明の第2の態様は、リング100の内面104に取り付けるためのポリシロキサンパッド本体112を製造する方法に関するものである。該方法は、液体、ゲルまたはパテ状のポリシロキサンを型に注ぎ、注入し、またはそうでなければ挿入する工程と、ポリシロキサンが固体ポリシロキサンパッド本体112を形成するように、ポリシロキサンを凝固させることを可能にする工程と、形成されたパッド本体112を型から取り外す工程と、を含む。
【0046】
一実施形態では、該型は、複数のパッド110本体を提供することができる。(複数の)パッド110本体は、(複数の)パッド110本体の「シート」として、型から取り外すことができ、その結果、本発明の本態様の範囲から逸脱することなく、個々のパッド110本体は、必要に応じて取り外すことができる。
【0047】
当業者であれば理解し得るように、ポリシロキサンは、得られる固体ポリシロキサンの特性を変えるために、様々な異なるプロセスを通して凝固させてもよい。一実施形態では、液体、ゲルまたはパテ状のポリシロキサンを凝固させることを可能にする工程は、ポリシロキサンを加硫する下位工程を含んでもよい。該加硫は、室温加硫、硫黄加硫、過酸化物加硫、アルコキシ加硫(alkoxy vulcanising)、または、固体ポリシロキサンを得るために液体、ゲルもしくはパテ状のポリシロキサンを加硫する、任意の他のプロセス(もしくはそれらの組み合わせ)であってもよい。
【0048】
一実施形態では、液体、ゲル、またはパテ状のポリシロキサンの凝固を可能にする工程は、触媒剤を提供することによって凝固工程に触媒作用を生ずる下位工程を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態において、該触媒剤は、白金系触媒であり得る。該ポリシロキサンの凝固を可能にする工程が、該ポリシロキサンを加硫する下位工程を含む一実施形態において、該触媒剤は、有機チタン酸塩触媒、スズ系触媒、または、採用される特定の加硫プロセスに適合すると考えられる、他の触媒剤を含み得る。
【0049】
一実施形態では、ポリシロキサンパッド本体112を製造する方法は、成形されたパッド本体112を型から取り外した後に、表面処理加工を行う工程を、さらに含んでもよい。表面処理加工を行う工程は、ポリシロキサン硬化100の副生成物の少なくとも一部を除去するための、後硬化処理の実施を含むことができる。後硬化処理は、成形されたパッド本体112に熱を加える工程を含むことができる。
【0050】
一実施形態では、ポリシロキサンパッド本体112を製造する方法は、液体、ゲル、またはパテ状のポリシロキサンを型に注ぎ100、注入し、またはそうでなければ挿入する工程に続いて、接着剤受け側およびパッド受け側を有するパッド基部116に、ポリシロキサンが接合して凝固、硬化、またはそうでなければ硬くするための、1つ以上の接合表面特徴部118を設ける追加の工程を、さらに含んでもよい。1つ以上の接合表面特徴部118が、未凝固のポリシロキサン内に少なくとも部分的に浸漬されるように、パッド基部116は、未凝固のポリシロキサン内に挿入されるか、未凝固のポリシロキサン上に配置されるか、またはそうでなければ、未凝固のポリシロキサンに導入される。ポリシロキサンが固体パッド本体112に凝固し、硬化し、またはそうでなければ硬くされると、該ポリシロキサンは、接合表面特徴部118と接合したままであることができ、したがって、パッド基部116によって保持されることができる。
【0051】
(本発明のパッドの使用方法)
本発明の第3の態様は、指輪100が、装着されている手指の周りで回転したり、滑り落ちたりすることを防止するために、パッド110を使用する方法を提供する。該方法は、指輪100の内面104の一部に、弾性的に圧縮可能なパッド本体112および接着層114を備える少なくとも1つのパッド110を付けて、それにより、接着層114が内面104の部分に接着する工程と、接着層114が凝固することを可能にする工程と、パッド本体112が圧縮されるように、指輪100を手指に装着する工程と、を含む。使用に際して、圧縮されたパッド本体112は手指に押し付けられ、それにより、指輪100が手指の周りを回転または運動することを防止し、抑制し、または少なくとも改善する。少なくとも1つの実施形態では、該方法は、パッド110をリングの内面104に付けるに先立って、接着層114を形成するために接着材料を塗布する工程を、さらに含んでもよい。
【0052】
本発明の第3の態様の少なくとも1つの実施形態では、パッド本体112は、ポリシロキサンからなる。本発明の少なくとも1つの実施形態では、接着剤は、液体、ゲルまたはパテ状のポリシロキサン接着剤を含む。本発明のさらなる実施形態では、パッド本体112および接着剤の両方が、ポリシロキサンからなる。
【0053】
少なくとも接着剤がポリシロキサンからなる、本発明の一実施形態では、内面104は、ポリシロキサン接着剤が接着しない、貴金属または他の材料を含んでもよい。そのような状況では、本発明を適用する方法は、パッド本体112をリング100の内面104の部分に付ける工程よりも前に、内面104の部分を下塗り(prime)するために、エッチングプライマーを指輪100の内面104の一部に塗布するステップを、さらに含んでもよい。これにより、ポリシロキサン接着剤を、リングの内面104の材料に接着させることができる。
【0054】
パッド本体112が1種類以上のポリシロキサンからなるが接着剤はそうではない、本発明の一実施形態では、パッド110は、接着剤受け側と、パッド本体112に接合し保持するパッド受け側と、を有するパッド基部116を、さらに備えてもよい。このような実施形態では、該方法は、パッド本体112に接着剤を直接、塗布する工程の代わりに、パッド基部116の接着剤受け側に該接着剤を塗布する工程を、含んでもよい。パッド基部116は、パッド本体112と接合し、保持するように構成された、1つ以上の接合表面特徴部118を含むことができる。
【0055】
パッド本体112および接着剤の両方がポリシロキサン系である実施形態では、本発明は、ポリシロキサンパッド110を指輪100の内面104の部分に取り付ける方法を提供することができる。該方法は、液体、ゲル、またはパテ状のポリシロキサン接着剤を、ポリシロキサンからなる弾性的に圧縮可能なパッド本体112の表面に塗布し、パッド110表面上に接着層114を形成する工程と、接着層114が内面104の部分に接触するように、パッド本体112を内面104の部分に付ける工程と、液体、ゲル、またはパテ状のポリシロキサンの接着層114を凝固させ、固体ポリシロキサンを形成することを可能にする工程と、パッド本体112が圧縮されるように、リング100を手指上に装着100する工程と、を含む。
【0056】
(本発明のパッドを備えるキット)
本発明の第4の態様は、ユーザがパッド110を指輪100に取り付けるためのキットを備えてもよい。少なくとも1つの実施形態では、該キットは、パッド本体112および接着層114を有するパッド110を備えてもよく、接着剤保存シールが接着層114を覆う。代替実施形態では、該キットは、パッド本体112と、接着層104を形成するためにユーザによって塗布される、接着材料の別個の部分と、を備えることができる。
【0057】
一実施形態では、パッド本体112は、ポリシロキサンまたはポリシロキサン系材料からなる。パッド本体112がポリシロキサンまたはポリシロキサン系材料からなる一実施形態では、該キットは、パッド本体112と接合するパッド基部116を、さらに備えてもよい。パッド基部116は、接着剤受け側と、パッド本体112が接合される、1つ以上の接合表面特徴部118を有するパッド受け側と、を有してもよい。
【0058】
本発明は、手指に装着されるリングを特に参照し、説明されてきた。しかしながら、当業者ならば理解するように、本発明の(複数の)実施形態は、足指に装着されるように設計されたリングに適用可能であって、足指に装着100するためのリング100に適用可能であるように実施形態を適合させることは、たとえ明示的に開示されていなくとも、本発明の範囲内である。
【0059】
本発明は上記の好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、それらの実施形態に限定されるものではなく、詳細に説明されたもの以外の、多くの他の形態の実施形態、変形実施形態、および修正実施形態であってもよい、ということを、当業者であれば理解するだろう。本発明は、そのような全ての変形及び修正を含む。また、本発明は、個々にまたは集合的に、本明細書で言及され、または示された、工程、特徴、構成要素、および/または装置のすべて、ならびに、任意の2つ以上の該工程または該特徴の全てかつ任意の組み合わせを、を含む。
【0060】
本明細書では、文脈で明確に別段の指示がなされない限りで、単語「備える(comprising)」は、「のみからなる(consisting only of)」のような単語の持つ、排他的な意味を有することを意図するものではない。そうではなく、「少なくとも含む(including at least)」というような、非排他的な意味を有する。同じことは、対応する文法的な変更を伴いながら、「備える(comprise)」等の、他の語形についても当てはまる。
【0061】
本明細書で使用される、選択された用語についての他の詳細は、本発明の詳細な説明内に見出され、全体にわたって適用され得る。別段の定義がない限り、本明細書で使用される他のすべての科学用語および技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと、同じ意味を有する。
【0062】
本明細書においてなされるいかなる約束も、本発明の一部の実施形態に関するものであると理解されるべきであって、本発明の全ての実施形態においてなされる約束であるとは、意図されていない。発明の全ての実施形態に適用されるとみなされる約束がある場合には、出願人/特許権者は、それらを後に明細書から削除する権利を留保し、彼らは、いかなる国での特許の受諾又はその後の付与についても、これらの約束に依拠しない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1A】本発明の一実施形態に係るパッドを示す。
図1B】本発明の一実施形態に係るパッドを示す。
図2A】一実施形態に係るパッド基部を含むパッドを示す。
図2B】一実施形態に係るパッド基部を含むパッドを示す。
図2C】一実施形態に係るパッド基部を含むパッドを示す。
図3A】本発明の(複数の)実施形態に係る(複数の)パッドの、非網羅的な範囲の例示的な配置を示す。
図3B】本発明の(複数の)実施形態に係る(複数の)パッドの、非網羅的な範囲の例示的な配置を示す。
図3C】本発明の(複数の)実施形態に係る(複数の)パッドの、非網羅的な範囲の例示的な配置を示す。
図3D】本発明の(複数の)実施形態に係る(複数の)パッドの、非網羅的な範囲の例示的な配置を示す。
図3E】本発明の(複数の)実施形態に係る(複数の)パッドの、非網羅的な範囲の例示的な配置を示す。
図4】幅広の指関節を有する手指に付けられたリングを示す。
図5】先細(テーパ状)の手指に付けられたリングを示す。
図6A】内側パッドリング形状の、本発明の一実施形態に係る該パッドを示す。
図6B】内側パッドリング形状の、本発明の一実施形態に係る該パッドを示す。
図7A】(複数の)隆起部を含む、本発明の(複数の)実施形態に係る該パッドを示す。
図7B】(複数の)隆起部を含む、本発明の(複数の)実施形態に係る該パッドを示す。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
図7A
図7B