(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】血管検出および脈管アクセスデバイス配置のための静脈内治療システム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2021541655
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 US2020013870
(87)【国際公開番号】W WO2020150465
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-10-27
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】イーピン マー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ スパタロ
(72)【発明者】
【氏名】フイ トラン
(72)【発明者】
【氏名】バート ディー.ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】キャスリン ウィリーバイロ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-221161(JP,A)
【文献】特開昭61-215961(JP,A)
【文献】特開2013-078574(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0144658(US,A1)
【文献】特表2013-516288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0010505(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0213398(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ、
データ記憶装置、および
患者の体内の血管を検出するための手持ち式超音波プローブであって、前記手持ち式超
音波プローブは、
前記手持ち式超音波プローブに物理的におよび動作可能に結合されるビデオディスプレイデバイスであって、前記ビデオディスプレイデバイスは、前記血管を表示するように構成される、ビデオディスプレイデバイスと、
脈管アクセスデバイス(VAD)の針の位置を決定しおよび前記針の投影された経路が前記超音波プローブによって検出された前記血管内にあるかどうかを示す閉ループフィードバックを提供するように構成される磁場検出器と、
を含む手持ち式超音波プローブ、
を含む
静脈内治療システムであって、
前記静脈内治療システムは、前記VADを維持するように構成されたVADシャーシであって、前記手持ち式超音波プローブのハウジング内に設けられたVADシャーシと、モーターを使用して前記針を前記患者の体内に自動的に前進させるためのVAD前進システムと、を含み、
前記モーターは、挿入中のVADの傾斜運動、回転運動、およびヨー運動を可能にするように構成されていることを特徴とする静脈内治療システム。
【請求項2】
前記手持ち式超音波プローブは、前記ビデオディスプレイ上で、前記患者の体内の前記血管の横断平面画像を介して静脈を識別することを特徴とする請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項3】
前記ビデオディスプレイを介してフィードバックを提供するためのVAD推奨モジュールをさらに含み、複数の異なるVADのその推奨は、前記血管にアクセスするために使用されることとなることを特徴とする請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項4】
前記ビデオディスプレイデバイスは、前記患者の体内の血管のマッピングを提示し、および前記データ記憶装置内にそのマッピングを維持することを特徴とする請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項5】
前記ビデオディスプレイデバイスは、前記患者の体内の前記針の前記投影された経路を描写する前記患者の体内の前記血管の冠状平面ビュー、および前記患者の体内の前記針の投影された経路を描写する横断平面ビューを提供することを特徴とする請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項6】
前記患者の体内の前記血管内に挿入される前記針が血管内に位置付けられるように投影されてない、または血管内に位置付けられるように投影されていることに応答して示す音声フィードバックデバイス、触覚フィードバックデバイス、または視覚フィードバックをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項7】
患者の体内の血管を検出するための超音波プローブ、
前記患者の体内の前記血管の視覚表示を提供するためのディスプレイデバイス、
脈管アクセスデバイス(VAD
)を
維持するように構成されたVAD
シャーシ、および
前記患者の体内に前記VADを自動的に前進させるためのリニアモーター、
を含む手持ち式血管検出デバイスを含
み、
前記VADシャーシは、前記手持ち式血管検出デバイスのハウジング内に設けられており、
前記リニアモーターは、挿入中のVADの傾斜運動、回転運動、およびヨー運動を可能にするように構成されていることを特徴とする血管検出システム。
【請求項8】
前記超音波プローブによって検出された前記患者の体内の前記血管の拡張されたビューおよび前記患者の体に対する前記VADの配置を臨床医に対して投影するための拡張現実ヘッドセットをさらに含むことを特徴とする請求項
7に記載の血管検出システム。
【請求項9】
前記患者の血管および前記患者の体内の前記VADの配置のマップの画像を記録するための前記手持ち式超音波装置に通信可能に結合される電子健康記録(EHR)システムをさらに含むことを特徴とする請求項
7に記載の血管検出システム。
【請求項10】
前記リニアモーターは、前記VADの軸および回転方向を変更するためのアキシアルモーターおよび回転モーターを含むことを特徴とする請求項
7に記載の血管検出システム。
【請求項11】
前記手持ち式超音波装置に電気的に結合される電源をさらに含むことを特徴とする請求項
7に記載の血管検出システム。
【請求項12】
前記超音波プローブ上にリニアモーター作動ボタンをさらに含むことを特徴とする請求項
7に記載の血管検出システム。
【請求項13】
前記患者の体内の前記血管を検出し、
前記血管の幾何学的形状を決定し、
前記血管の決定された前記幾何学的形状の周りにフィードバックフェンスを作り出し、および
フィードバックデバイスを介して、前記患者の体内へのおよび前記患者の体内の前記VADの軌道が血管内に位置付けられるように投影されている、または前記血管内に位置付けられるように投影されていないときを示すフィードバックを提供する
ための解析モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項
7に記載の血管検出システム。
【請求項14】
前記フィードバックフェンスは、前記血管の前記幾何学的形状を示す前記ディスプレイデバイスで受信されたアルゴリズムまたは入力の実行によって画定されることを特徴とする請求項
13に記載の血管検出システム。
【請求項15】
脈管アクセスデバイス(VAD)を配置するためのシステムの作動方法であって、
手持ち式超音波装置で患者の血管の特徴を走査しおよびマッピングする工程、
前記手持ち式超音波装置のディスプレイデバイスで視覚的に、前記患者の体内の推奨されるVAD配置場所を提供する工程、
前記患者の体内の血管にアクセスするための提案されるVADタイプを提供する工程、および
前記患者の体内のVADの運動を監視し、および前記VADの位置合わせを標的血管に向ける臨床医に、VAD配置フィードバックを提供する工程、
を含
み、
前記VADは、前記手持ち式超音波装置のハウジング内に設けられたVADシャーシに維持されており、
前記VADの運動は、前記VADの傾斜運動、回転運動、およびヨー運動を含むことを特徴とす
る方法。
【請求項16】
前記VAD配置フィードバックに基づい
て前記VADを自動的に
前進させるためにリニアモーターを作動させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記VADの前記監視中に磁場検出器から前記VAD配置フィードバックを受信することを特徴とする請求項
15に記載の方法。
【請求項18】
前記VADの運動は、前記手持ち式超音波装置上のVAD挿入ボタンで受ける入力を通して成し遂げられることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記VADの運動は、軸方向および回転方向の自由度を有するリニアモーターの作動を介して成し遂げられることを特徴とする請求項
17に記載の方法。
【請求項20】
前記ディスプレイデバイスは、前記患者の体内の前記VAD配置場所のリアルタイムの冠状面画像および横断面画像を提供することを特徴とする請求項
15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
脈管アクセスデバイス(Vascular access devices)(VAD)は、患者の解剖学的構造(anatomy)内に流体を伝達するために使用される。例えば、カテーテルのようなVADは、生理食塩水、さまざまな薬剤(medicaments)、および/または完全非経口栄養(total parenteral nutrition)のような流体を患者に注入する、患者から血液を抜く、および/または患者の脈管系(vascular system)のさまざまなパラメータを監視するために一般的に使用される。また、いくつかのカテーテルは、患者から血液を抜くために使用されてもよい。体内への挿入を容易にするために、カテーテルは、傾斜(bevel)が患者の皮膚から離れる方向に向いているときに患者の皮膚とインターフェース接続するために使用される傾斜(bevel)を含む遠位先端(distal tip)を含んでいてもよい。カテーテルの使用の間、カテーテルは、患者の皮膚に対してある角度で挿入され、および患者の皮膚を貫通させられる。カテーテルは、血液サンプルを回収する(retrieve)または薬剤もしくは複数の薬剤を導入するように、患者の静脈(vein)内に通されることとなる。
【0002】
静脈内へのVAD挿入は、例えば、静脈は見たり触診(palpate)したりすることが困難であり得るため、静脈切開医(phlebotomists)、臨床医(clinicians)、および他の医療提供者(health care providers)(HCP)にとって時々困難であった。熱の問題、脱水症状、および患者の年齢は、すべて、任意の所定の患者の血管(blood vessels)にアクセスすることができないことに対する何らかの原因となる可能性がある。超音波ベースのデバイスは、患者の内部のおよび実に4~6mmのような深さのそれらの静脈を識別(identify)することができる。しかしながら、超音波装置は、高価でありおよび使用するのにかさばる。いくつかの超音波システムは、せいぜい(at best)VADが挿入されるべき患者の側に配置されるより大きい視覚表示に通信可能に結合される有線プローブを含む。これらの超音波システムは、臨床医が片手で超音波プローブを保持および操作(manipulate)し、同時に第2の手でVADを配置することを必要とする。このプロセスは、臨床医が患者上のVADアクセスポイントから目を離している間に、およびオフサイトの視覚表示デバイスで、完了する。これらのシナリオにおいてVADを効果的かつ適切に挿入する能力は直感的(intuitive)ではなく、および患者の体組織に偶発的な損傷をもたらす可能性がある。実際、オフサイトのビデオディスプレイを見ることの結果として、臨床医は、血管にアクセスすることを期待して、患者の皮膚の皮下層にカテーテルを挿入することを余儀なくされる可能性がある。そのような挿入は、特に、多数の逐次的な挿入が試みられる場合、挿入の対象となる患者にかなりの痛み、打撲傷、不快感、および不安を引き起こす可能性がある。
【0003】
本明細書において請求される主題は、任意の不利益を解決する実施形態、または本明細書において上述されるもののような環境においてのみ動作(operate)する実施形態に限定されない。むしろ、この背景は、現在説明されている実施形態が動作し得る環境を説明するために提供されている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、概して、脈管アクセスデバイス(VAD)ならびに関連するシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、静脈内治療システム(intravenous therapy system)は、患者内の血管の検出(detection)を提供する。静脈内治療システムは、患者の体内の構造を検出するための手持ち式(handheld)超音波プローブを含んでいてもよい。他の構造の中でもとりわけ、静脈内治療システムによって検出されるべき構造は、特定の薬剤が導入されてもよいまたは血液サンプルが回収されてもよい静脈を含む。静脈へのアクセスを助けるために、手持ち式超音波プローブは、例えば、手持ち式超音波プローブのハウジングに物理的に結合されるビデオディスプレイを含んでいてもよい。ビデオディスプレイは、本明細書に提示される実施形態では、患者の体内の構造(例えば、静脈)の横断面ビュー(transverse plane view)を提供してもよい。本明細書に記載される実施形態では、ビデオディスプレイは、患者の体内の構造(例えば、静脈)の冠状面ビュー(coronal plane view)を提供してもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、静脈内治療システムの手持ち式超音波プローブは、針の針先の位置を決定しおよび磁気針ガイダンス(magnetic needle guidance)を提供するための磁場検出器(magnetic field detector)を含んでいてもよい。磁場検出器は、磁化可能(magnetizable)であり得る針を含み得るVADの存在を検出することができる。いくつかの実施形態では、磁場検出器は、患者の体に対するVADの配置を説明するデータをビデオディスプレイデバイスに中継してもよい。いくつかの実施形態では、このデータは、手持ち式超音波プローブから受信されるデータによって生成される超音波画像(ultrasound image)に重ね合わされるべき画像を説明してもよい。このようにして、臨床医または他のHCPは、患者の体におけるVADのアクセスポイントおよびビデオディスプレイに同時にビューを向けて、手持ち式超音波プローブおよび磁場検出器からのデータの同時リアルタイム表示を通じてVADの挿入を指示してもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、静脈内治療システムは、患者の体内へのVADの挿入が正しくないことを臨床医または他の医療提供者(HCP)に示すために使用されるフィードバックデバイスをさらに含んでいてもよい。本明細書に記載されるように、手持ち式超音波プローブは、超音波プローブおよび磁場検出器の両方を含んで、静脈のような患者の体内の構造に対するVADの場所を決定する。静脈内治療システムのプロセッサ(手持ち式超音波プローブの外部または内部のどちらか)は、VADの針の針先が患者の静脈のような選択されたまたは選ばれた構造と交差することになるかどうかを示すリアルタイムフィードバックを提供してもよい。フィードバックデバイスは、手持ち式超音波プローブ上の光または画像のような視覚インジケータ(visual indicator)、音声(audio)フィードバックを提供するためのスピーカー、触覚(haptic)フィードバックを提供するための触覚デバイス、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。本明細書に提示される実施形態では、ビデオディスプレイデバイス、スピーカーデバイス、または触覚デバイスは、VADの針が患者の静脈と交差する軌道(trajectory)上にあるかどうか、ならびにVADが標的(target)血管と交差したかどうかおよびいつ交差したかを示す特定のフィードバックを提供してもよい。加えて、VADデバイスの針の軌道が、それは標的とされる血管と交差しないであろうことを示す場合、異なる視覚、聴覚、または触覚フィードバック信号がフィードバックデバイスによって提供されてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、手持ち式超音波プローブは、自動VAD前進システム(automatic VAD advancement system)を含んでいてもよい。VAD前進システムは、いくつかの実施形態では、選択されたVADを配置するためのポートを含んでいてもよい。VAD前進システムは、VADの配置を登録し、および軌道が決定されたときに、患者の血管(すなわち、静脈)で遮る(intercept)こととなる軌道でVADを患者の体内に挿入させる1つまたは複数の駆動機構またはモーターを起動(initiate)してもよい。VADの挿入のこの自動プロセスは、臨床医または他のHCPに手持ち式超音波プローブを保持するように指示し、それによってVADの特定の軌道を維持するために、本明細書に記載されるフィードバックデバイスからのフィードバックを開始すること(initiating)を含んでいてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、モーターは、リニアモーターおよび/または回転モーターを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、モーターは、VADのカテーテルおよび針の遠位への前進(distal advancement)および/または針の近位への後退(proximal retraction)を容易にし得る。いくつかの実施形態では、モーターは、カテーテルおよび針が遠位に前進させられたときに、針およびカテーテルが静脈と挿入するように適切に位置合わせされることを確実にするために、VADの角度調整(angle adjustments)または旋回(pivoting)を容易にし得る。
【0009】
1つの実施形態では、VADの遠位への前進を自動的に開始するために、静脈内治療システムは、針の投影された経路(projected path)が標的とされる静脈と交差するときに、臨床医がVADを患者の体内に挿入または前進させるように選択的に作動させる(actuate)ことができるボタンを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、交差状態(intersection condition)が存在しない(すなわち、針の投影された経路が標的とされる静脈と交差しない)とき、カテーテルおよび針の遠位への前進は始まらない可能性がある。いくつかの実施形態では、患者または手持ち式超音波プローブの過度の移動(movement)のために交差状態がもはや存在しないならば、カテーテルおよび針の遠位前進は停止してもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、手持ち式超音波プローブは、患者の血管にアクセスするために複数の異なる種類のVADのうちのどれを使用するかに関して、例えばディスプレイデバイスを介してフィードバックを提供するVAD推奨モジュール(VAD recommendation module)を含んでいてもよい。1つの実施形態では、どのVADを使用するかに関する推奨は、手持ち式超音波プローブのスピーカーによって音声出力を介して提供される言語インジケーション(verbal indication)であってもよい。いくつかの実施形態では、どのVADを使用するかに関する推奨は、針またはカテーテルのタイプ、サイズ、長さ、または特定のゲージを含んでいてもよい。
【0011】
本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において、脈管アクセスデバイス(VAD)という用語は、患者の血流内への流体の投与、圧力の監視、または患者からの血液サンプルの収集に使用される血管(例えば、静脈または動脈)に挿入される任意のチュービングであってもよい。VADは、とりわけ、末梢静脈内デバイス(peripheral intravenous device)および中心静脈(central venous)アクセスデバイスを含んでいてもよい。本明細書に記載される静脈内治療システムの手持ち式超音波プローブの動作中に(During operation)、VAD推奨モジュールは、どのVADを使用するかを手持ち式超音波プローブのディスプレイデバイス上に説明するために、実行されてもよい。いくつかの実施形態では、VAD推奨モジュールは、針およびカテーテルを有するVADを推奨してもよい。この特定の実施形態では、自動VAD前進システムは、静脈内治療システムが、VADが標的血管に到達したと決定したときに、針をカテーテルから自動的に分離してもよい。この実施形態では、自動VAD前進システムは、VADが患者の体内にある間に針をカテーテルから適切にかつ痛みを伴わずに分離するために、針とカテーテルの分離中に、より低く角度を付けられてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、手持ち式超音波プローブは、患者の体内の血管のマッピングを格納するデータ記憶装置(data storage device)に通信可能に結合されてもよい。1つの実施形態では、データ記憶装置は、手持ち式超音波プローブの一部を形成し、および手持ち式超音波プローブ内に収容されるプロセッサに通信可能に結合される。これは、手持ち式超音波プローブが、ビデオディスプレイデバイスでデータ(画像の形で提示されるいくつかのデータ)を提供するために、手持ち式超音波プローブおよび磁場検出器によって受信されたデータを処理することを可能にする。
【0013】
ビデオディスプレイデバイスは、臨床医または他のHCPに、患者の体内の構造のビューを提示してもよい。特定の実施形態では、手持ち式超音波プローブによって検出される構造は、静脈および動脈のような血管であってもよい。本明細書に提示されるいくつかの実施形態では、手持ち式超音波プローブは、静脈の予期される場所、静脈内の血液の動き(movement)、およびユーザーが選択した静脈の徴候(indications)に基づいて、静脈の場所を検出してもよい。ビデオディスプレイは、いくつかの実施形態では、血管の横断平面ビュー(transverse planar view)、血管の(冠状平面ビュー(coronal planar view)、またはそれらの組み合わせを提供してもよい。
【0014】
1つの実施形態では、ビデオディスプレイデバイスは、臨床医または他のHCPからの入力を受信するために使用されるタッチスクリーンデバイスを含んでいてもよい。この実施形態では、タッチスクリーンデバイスの手持ち式超音波プローブは、ビデオディスプレイデバイス上の任意のビューに提示される血管の場所を示す臨床医からの入力を受け取ってもよい。手持ち式超音波プローブのプロセッサは、この入力を受信し、およびVADが血管にアクセスするようにするために、VADがたどるための軌道を決定してもよい。これらの実施形態では、プロセッサは、VADの患者の体内への軌道が、VADが標的とされる血管と交差する結果となる交差軌道であるかどうかに関して、臨床医または他のHCPにリアルタイムでフィードバックを提供してもよい。1つの実施形態では、VADの軌道は、磁場検出器および超音波プローブからの連続データ供給に基づいて、モーターを介して手持ち式超音波プローブによって自動的に制御されてもよい。1つの実施形態では、VADが患者の体内に手動で挿入されたときに、不十分または十分な軌道を示すフィードバックが臨床医または他のHCPに提供されてもよい。このフィードバックは、臨床医または他のHCPに、オーディオデバイスから聴覚的に、ビデオディスプレイデバイスから視覚的に提供されてもよく、手持ち式超音波プローブ内の触覚デバイスからの触覚フィードバックであってもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0015】
前述の概略的な説明および以下の詳細な説明は両方とも、例示的かつ説明的であり、および特許請求の範囲と同様に、本発明を限定しないと理解されるべきである。さまざまな実施形態は、図面に図示される配置および手段(instrumentality)に限定されないことを理解されたい。また、実施形態は組み合わせられてもよく、または他の実施形態が利用されてもよく、および、そうであると主張されない限り、本発明のさまざまな実施形態の範囲から逸脱することなく構造変更がなされてもよいことを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
例示的な実施形態は、添付の図面の使用を通して、さらに具体的にかつ詳細に記載および説明されることとなる。
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による静脈内治療システムの斜視図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、患者の腕とインターフェース接続する静脈内治療システムの側面図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態によるVADの側面図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態によるビデオディスプレイデバイスのグラフ図である。
【
図5A】本開示の1つの実施形態による、横断面に沿った血管のグラフ図である。
【
図5B】本開示の1つの実施形態による、冠状面に沿った血管のグラフ図である。
【
図6】本開示の1つの実施形態による静脈内治療システムのブロック図である。
【
図7A】本開示のいくつかの実施形態による、患者の腕とインターフェース接続する静脈内治療システム100の側面図である。
【
図7B】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な針の自動挿入のための例示的な駆動機構を示す、患者の腕とインターフェース接続する静脈内治療システム100の側面図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による静脈内治療システム100の斜視図である。
【
図9】本開示の1つの実施形態による静脈内治療システムの斜視図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による静脈内治療システムを操作(operating)する方法を描写するフローチャートである。
【
図11】本開示のいくつかの実施形態による静脈内治療システムを製造する方法を描写するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において、「近位(proximal)」という用語は、使用中に、静脈内治療システムを使用する臨床医に最も近く、およびデバイスが誰に使用されるかに関連して患者から最も遠い静脈内治療システムの針上の場所を指す。逆に、本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において、「遠位(distal)」という用語は、使用中に、静脈内治療システムを使用する臨床医から最も遠く、静脈内治療システムが誰に使用されるかに関連して患者に最も近い静脈内治療システムの針上の場所を指す。
【0018】
本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において、「上(top)」、「上へ(up)」または「上向きに(upwardly)」という用語は、使用中に、静脈内治療システムの長手方向軸から半径方向に離れかつ患者の皮膚から離れる、この静脈内治療システムの針上の場所を指す。逆に、本明細書で使用される際に、「下(bottom)」、「下へ(down)」または「下向きに(downwardly)」という用語は、使用中に、デバイスの長手方向軸から半径方向に離れかつ患者の皮膚に向かう、この静脈内治療システムの針上の場所を指す。
【0019】
本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において、「内(in)」または「内向きに(inwardly)」という用語は、使用中に、静脈内治療システムの内側に向かう、この静脈内治療システムの針に関する場所を指す。逆に、本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において、「外(out)」または「外向きに(outwardly)」という用語は、使用中に静脈内治療システムの外側に向かう、この静脈内治療システムの針に関する場所を指す。
【0020】
本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において、「脈管アクセスデバイス(vascular access device)」(VAD)という用語は、患者の血流内への流体の投与、圧力の監視、または患者からの血液サンプルの収集に使用される血管(例えば、静脈または動脈)内に挿入される任意のチュービングを指してもよい。VADは、とりわけ、末梢静脈内デバイスおよび中心静脈アクセスデバイスを含んでいてもよい。本明細書に記載される静脈内治療システムの手持ち式超音波プローブの動作中に、VAD推奨モジュールは、患者の脈管の解剖学的構造に基づいてどのVADを使用するかを手持ち式超音波プローブのディスプレイデバイス上に説明するために、実行されてもよい。
【0021】
本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において、「冠状面(coronal plane)」または冠状ビュー(coronal view)」という用語は、患者の体を前部(anterior portion)および後部(posterior portion)に分割することから生じる、患者の体の内部の平面またはビューを指す。特定の例では、患者の腕の冠状面は、患者の手のひらが前を向いている状態で患者の腕が患者の体側(side)に配向されたときに、患者の腕の長軸を肩から患者の指の先端まで通る平面である。
【0022】
本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において、「横断面(transverse plane)」または横断ビュー(transverse view)」という用語は、患者の体の上部(upper portion)および下部(lower portion)への分割から生じる患者の体の内部の平面またはビューを指す。特定の例では、患者の腕の横断面は、患者の手のひらが前を向いている状態で患者の腕が患者の体側に配向されたときに、患者の腕の前側から患者の腕の後側まで患者の腕の短軸を通る平面である。
【0023】
本発明は、異なる実施形態における同様の要素のために同様の参照番号を使用して本明細書に記載されている。本明細書に記載される実施形態は、血液サンプルを受け取るかまたは患者の体内に薬剤を導入するための静脈内治療システムとしての使用に関連して使用されるが、この静脈内治療システムは、針が患者の血管に挿入されることが望ましい他の医療機器に適用可能であることは理解されよう。さらに、静脈内治療システムの実施形態は、多くの異なる形態の実施形態によって満たされるが、添付の特許請求の範囲によって判断される本開示の範囲で、本発明の好ましい実施形態が、図面に示され、および本明細書に詳細に記載される。
【0024】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による静脈内治療システムの斜視図である。1つの実施形態では、本明細書に記載される静脈内治療システム100は、ハウジング105を含み、その一部は、静脈内治療システム100の動作中に臨床医または他の医療提供者によって保持されるために使用される。ハウジング105は、本明細書に記載されるように、静脈内治療システム100の他の構成要素を収容することができる任意の材料から形成されてもよい。
【0025】
静脈内治療システム100は、1つの実施形態では、静脈内治療システム100のハウジング105の遠位端に形成された超音波(US)プローブ175を含んでいてもよい。USプローブ175は、手持ち式であってもよい。USプローブ175は、電源からの電気信号を超音波に変換し、およびUSプローブ175で受信された超音波を電気信号に変換する、任意のデバイスであってもよい。USプローブ175の動作中、USプローブ175は、電気信号を受信し、およびその電気信号を、患者の体の一部に入るように連続的またはパルス的に向けられる超音波に変換してもよい。超音波が患者の体内に入ると、それらの超音波は、患者の体内の構造から反射され、およびUSプローブ175に、反射されて戻る可能性がある。反射された超音波が時間枠(window of time)内にUSプローブ175に到達したとき、時にはエネルギーが患者の体の深さを通過するのにかかる時間に対応して、USプローブ175はそれらの超音波を電気信号に戻す。これらの電気信号は、静脈内治療システム100のハウジング105内に収容されるプロセッサによって解釈され、および患者の体内の内部構造の画像を形成するために使用されてもよい。本明細書に提示される1つの実施形態では、プロセッサに提示され、および患者の体内の構造の画像を形成するために使用される電気信号は、静脈内治療システム100のビデオディスプレイデバイスに表示されてもよい。特定の用途において、および静脈内治療システム100の動作中に、USプローブ175は、患者の腕内の血管125の位置を検出するために、患者の腕に向けられ(directed)、および患者の腕と接触するように向けられてもよい。
【0026】
本明細書に記載されるように、静脈内治療システム100は、また、静脈内治療システム100の他の構成要素の中でもとりわけ、USプローブ175およびハウジング105内のプロセッサに通信可能に結合されるビデオディスプレイデバイス110を含む。1つの実施形態では、ビデオディスプレイデバイス110は、USプローブ175によって受信されたデータを説明するプロセッサからの入力を受信してもよい。プロセッサからのこの入力は、患者の体内の構造の画像をビデオディスプレイデバイス110上に提示させる。提示される画像は、患者の体に対して配置されたUSプローブ175の位置が変化するにつれて変化してもよい。いくつかの実施形態では、USプローブ175は、1つまたは複数のUSセンサーを含んでいてもよく、これは、血管125の横断ビュー、血管125の冠状または長手方向ビュー、またはUSプローブ175の位置に基づく別のビューを提供してもよい。いくつかの実施形態では、USセンサーは2次元アレイに配置されてもよい。
【0027】
1つの実施形態では、プロセッサに送信されるUSプローブ175からのデータは、腕の横断面120上にある患者の腕内の静脈のような血管125の構造の横断ビューを説明するデータであってもよい。しかしながら、本明細書に提示される任意の実施形態において、USプローブ175は、VADを備えた血管125の位置を突き止めて(locate)アクセスするために、脚のような患者の体の任意の部分に対して配置されてもよいことが理解される。
【0028】
1つの実施形態では、プロセッサに送信されるUSプローブ175からのデータは、腕の冠状面140上にある患者の腕内の静脈のような構造の冠状ビューを説明するデータであってもよい。冠状面140に沿ったビューは、患者の腕の長さを走る患者の血管の長手方向ビューであってもよい。ビデオディスプレイデバイス110は、患者の冠状面140に沿った冠状平面ビュー、患者の横断面120に沿った横断平面ビュー、のいずれかまたは両方を表示してもよい。
【0029】
本明細書に提示される実施形態では、ハウジング105は、また、金属の存在を検出するために使用される1つまたは複数の磁場センサーを含んでいてもよい磁場検出器(不図示)を収容していてもよい。本明細書に提示される特定の実施形態では、磁場検出器は、患者に挿入されるVADの任意の金属構成要素(metal components)を検出してもよい。1つの実施形態では、磁場検出器は、USプローブ175に対するVADの金属構成要素の場所を検出してもよい。これらの実施形態では、静脈内治療システム100のプロセッサは、VADの針先の場所および投影位置に関連する位置的場所データを、静脈の断面(cross section)のような、ビデオディスプレイデバイス110上に提示される任意の画像にオーバーレイさせてもよい。例として、ビデオディスプレイデバイス110が患者の腕の冠状面140を表示するときに、ビデオディスプレイデバイス110は、血管125に入るVADの運動を示してもよい。同様に、ビデオディスプレイデバイス110が患者の腕の横断面120を表示するとき、ビデオディスプレイデバイス110は、VADが血管125と交差しようとしている軌道点を示してもよい。
【0030】
1つの実施形態では、静脈内治療システム100は、他のネットワーク化されたコンピューティングシステムと無線で通信してもよいスタンドアロンシステムである。動作するために、静脈内治療システム100のハウジング105は、バッテリ(不図示)を含んでいてもよい。バッテリは、いくつかの実施形態では、スマートバッテリシステムを含むか、または電力状態データ(power state data)を追跡および提供する電力管理ユニット(power management unit)に動作可能に結合されてもよい。この電力状態データは、本明細書に開示されるシステムおよび方法で使用されることとなる命令(instructions)、パラメータ、およびプロファイルとともに格納されてもよい。
【0031】
本明細書に提示される実施形態では、静脈内治療システム100は、プロセッサ(不図示)に通信可能に結合されてもよい。1つの実施形態では、静脈内治療システム100は、ハウジング105内にプロセッサを含む独立型デバイスであってもよい。別の実施形態では、静脈内治療システム100は、USプローブ175のハウジング105の外部または遠隔のプロセッサに通信可能に結合されてもよい。本明細書に提示される実施形態では、プロセッサは、同じくハウジング105内に収容されたデータ記憶装置からコンピュータ可読プログラムコードを検索(retrieve)しおよびそのコンピュータ可読プログラムコードを実行するために使用されるハードウエアアーキテクチャを含んでいてもよい。1つの実施形態では、プロセッサによって実行されるコンピュータ可読プログラムコードは、静脈内治療システム100に、本明細書に記載される機能を実行させる。特定の実施形態では、コンピュータ可読プログラムコードの実行は、USプローブ175に、電気信号を受信させ、それらの電気信号を超音波に変換させ、それらの波を患者の体内に伝播させ、反射された超音波を受信させ、および患者の体内に存在する構造を示すプロセッサにデータを提供してもよい。1つの実施形態では、コンピュータ可読プログラムコードの実行は、磁場検出器に、VADの一部の存在および場所を検出させてもよい。プロセッサは、また、USプローブ175の動作中に、プロセッサによって提示される超音波画像上に、VADの場所および/または投影された経路を説明する場所データがオーバーレイされるようにするコンピュータ可読プログラムコードを実行してもよい。そういうものとして、コンピュータ可読プログラムコードの実行は、静脈内治療システム100を、臨床医または他のHCPがそのVADの不正確な配置をほとんどまたは全くない状態で患者の血管に正確かつ高精度にアクセスできるように、動作させる。加えて、本明細書の実施形態によれば、コンピュータ可読プログラムコードの実行は、臨床医または他のHCPがVADを患者の血管に首尾よく挿入した後、臨床医または他のHCPがVADの配置および留置(indwelling)を評価する(assess)ことを可能にしてもよい。
【0032】
本明細書に提示されるいくつかの実施形態では、ハウジング105は、VADシャーシ145を含んでいてもよい。VADシャーシ145は、患者の体に最も近いハウジング105の部分に形成されてもよい。静脈内治療システム100の動作中、患者の体内へのVADの自動挿入を可能にするために、VADシャーシ145内のVADは、自動的に前進させられてもよい。本明細書に提示される実施形態では、VADシャーシ145は、VADシャーシ145内に配置されたVADの軌道を説明するデータを受信するように、プロセッサに通信可能に結合されてもよい。データは、VADを患者の体内の血管と交差させるためにVADがとる方向を説明する。これらの実施形態では、USプローブ175および磁場検出器は、VADが患者の皮膚に係合しおよびVADが患者の体を通して向けられる際に、VADを患者の血管内に向けるために、閉ループ(closed-loop)フィードバックに関するデータを提供してもよい。
【0033】
本明細書の実施形態では、VADシャーシ145は、リニアモーター、回転モーター、または任意の他の適切なタイプのモーターを含んでいてもよいモーターを含むVAD前進システムを含んでいてもよい。VAD前進システムは、モーターを使用してVADを患者の体内に前進させるために、本明細書に記載されるようにプロセッサから信号を受信してもよい。本明細書に提示されるいくつかの実施形態では、モーターは、その長さに沿って線形力(linear force)を生成するリニアモーターであってもよい。これは、モーターが、静脈内治療システム100のハウジング105から離れておよび患者の体内に、VADシャーシ145に装填されたVADを通過させることを可能にしてもよい。1つの実施形態では、モーターは、また、挿入中のVADの傾斜運動(tilt movement)、回転運動(rotation movement)、およびヨー運動(yaw movement)を可能にしてもよい。VADの方向の線形(linear)、傾斜、回転、およびヨー調整は、静脈内治療システム100が意図的または偶発的に患者の体の表面に沿って移動される状況において、VADが患者の血管と交差することを可能にする。
【0034】
1つの実施形態では、静脈内治療システム100は、患者の体内の血管に挿入されているVADが患者の血管内への交差軌道(intersecting tragectory)上にあると決定されたときを示すために、音声フィードバックデバイス、触覚フィードバックデバイス、視覚フィードバック、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。1つの実施形態では、静脈内治療システム100は、患者の体内の血管に挿入されているVADが患者の血管内への交差軌道上にないと決定されたかどうかを示すために、別の音声フィードバックデバイス、別の触覚フィードバックデバイス、別の視覚フィードバック、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、音声フィードバックデバイス、触覚フィードバックデバイス、視覚フィードバック、またはそれらの組み合わせは、VADが患者の血管と交差するように位置合わせされたときまたは交差できないように位置ずれしたときを、臨床医または他のHCPに示してもよく、およびその交差が発生することを可能にするように静脈内治療システム100を適切に方向付ける方法を示してもよい。例として、ビデオディスプレイデバイス110は、VADが患者の血管と交差する軌道上にないことを視覚的に示してもよく、および、x座標情報、y座標情報、およびz座標情報を使用して患者の体上で静脈内治療システム100を配向する方法に関する視覚的表示を提供してもよい。静脈内治療システム100のスピーカーによって生成される音声信号は、そのような位置ずれ(misalignment)を示すフィードバックを聴覚的に提供してもよい。加えて、適切な位置合わせが確立されると、触覚フィードバックデバイス、USプローブ175、または患者の動きに基づいてVADを患者の血管と交差させることとなる軌道上にVADが存在しなくなったときを示すために、タンブラー(tumbler)のような触覚フィードバックデバイスが使用されてもよい。
【0036】
本明細書に提示されるいくつかの実施形態では、静脈内治療システム100は、VAD推奨モジュール(不図示)を含んでいてもよい。これらの実施形態では、VAD推奨モジュールは、患者の血管にアクセスするためにどのタイプのVADを使用するかについての提案を提供する可聴または視覚インジケータを提供してもよい。可聴VAD推奨は、静脈内治療システム100のハウジング105内に収容されたスピーカーを介して提示されてもよい。視覚的VAD推奨は、ビデオディスプレイデバイス110を介して臨床医または他のHCPに提供されてもよい。これらの例のいずれにおいても、臨床医または他のHCPは、VAD推奨モジュールが推奨を提供する前に、VADの目的を説明するデータを提供することを許可されてもよい。そのようなデータは、VADの目的が血液サンプルを回収することであるかどうか、またはVADの目的が生理食塩水、薬剤、および/または非経口栄養のような注入流体を患者の血流に提供することであるかどうかを示してもよい。VAD推奨モジュールがより正確なVAD推奨を提供するために、VADが患者の血管内に留まる時間の長さは、臨床医または他のHCPによって入力されてもよい。
【0037】
1つの実施形態では、VAD推奨モジュールは、メモリデバイス、データ記憶装置、またはコンピュータ可読プログラムコードを格納するために使用される他のデバイスに格納されたコンピュータ可読プログラムコードであってもよい。コンピュータ可読プログラムコードは、1つの実施形態では、そのコンピュータ可読プログラムコードを実行するために、プロセッサによってアクセスされてもよい。そのコンピュータ可読プログラムコードの実行は、VAD推奨の臨床医または他のHCPの評価と臨床医または他のHCPへの提示をもたらしてもよい。別の実施形態では、VAD推奨モジュールは、特定用途向け集積回路(ASIC)であってもよい。この実施形態では、プロセッサは、VAD推奨の臨床医または他のHCPの評価および臨床医または他のHCPへの提示をもたらすために、ASICにアクセスしてもよい。
【0038】
静脈内治療システム100は、本明細書に記載される機能を開始するために、プロセッサによって実行されるために使用される任意のコンピュータ可読プログラムコードを含んでいてもよい。コンピュータ可読プログラムコードの実行中に、任意の数の信号が、プロセッサによって、USプローブ175、磁場検出器、VAD前進システム、モーター、音声フィードバックデバイス、触覚フィードバックデバイス、視覚フィードバック、またはビデオディスプレイデバイス110のいずれかに、本明細書に記載されるようにこれらのデバイスの機能を開始するように、提示されてもよい。代替的な実施形態では、本明細書に記載されるようにこれらのデバイスの機能を開始するために、任意の数のASICが使用されて、コンピュータ可読プログラムコードを置換または拡張(augment)してもよい。
【0039】
静脈内治療システム100は、針およびカテーテルを遠位方向に前進させるように構成された1つまたは複数の前進ボタン(advancement buttons)、針を近位方向に引き抜くように構成された1つまたは複数の後退ボタン(retraction buttons)、VADの位置を変更するように構成された1つまたは複数の旋回または角度調整ボタンを含んでいてもよい、1つまたは複数のVADボタン115をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、特定のボタン115が押されたときに、VADは遠位に前進させられてもよい。いくつかの実施形態では、特定のボタン115が押されおよび針が標的とされる静脈内に配置されるように突出(projected)させられたときに、VADは、遠位に前進させられてもよい。
【0040】
VADボタン115の作動が、押されたとき、または押されて針が突出して標的とされる静脈と適切に交差するように位置合わせされたときに、VADを患者の腕内に前進させるように、VADボタン115は、VAD前進システムおよびモーターに通信可能に結合されてもよい。臨床医または他のHCPによるVADボタン115の作動は、USプローブ175および磁場センサーを含んでいてもよい磁場検出器によって受信されたデータに基づいて、VADの前進を開始してもよい。
【0041】
USプローブ175および磁場検出器によって受信されたデータは、VADが、患者の体内で血管と交差する軌道上にありおよびUSプローブ175によって検出されることを示してもよい。連続フィードバックループ上で、USプローブ175および磁場検出器からのデータが、VADが血管と交差するその軌道上にあることを示す限り、VADの前進は継続してもよい。1つの実施形態では、もし、USプローブ175および磁場検出器からのデータが、VADが血管との交差軌道上にもはや存在しないことを示すときは、臨床医または他のHCPによるVADボタン115の作動は、無効化され(overridden)および前進を停止してもよく、ならびに音声フィードバックデバイス、触覚フィードバックデバイス、視覚フィードバック、またはそれらの組み合わせは、臨床医または他のHCPにそのように示してもよい。臨床医または他のHCPは、次いで、針が静脈と交差するように標的に戻るように静脈内治療システム100を配向してもよく、およびVADボタン115の作動は再び認識され、およびVADの配置は継続されてもよい。
【0042】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、患者の腕190とインターフェース接続する静脈内治療システム100の側面図である。静脈内治療システム100は、USプローブ175が患者の腕190とインターフェース接続していることを示す。
図2に示される実施形態では、静脈内治療システム100は、臨床医または他のHCPの手150によって保持されている。示される実施形態では、臨床医または他のHCPは、片手150を使用して、静脈内治療システム100を保持する。いくつかの実施形態では、VADシャーシ145は含まれていなくてもよく、および代わりに、臨床医または他のHCPは、VAD推奨モジュールからVAD推奨を受け取った後、第2の手を使用して、VADを患者の腕190に配置しおよび患者の腕190内に挿入する。静脈内治療システム100のハウジング105上にビデオディスプレイデバイス110を含めて、臨床医または他のHCPは、ビデオディスプレイデバイス110を使用してVADを十分に配向し、およびビデオディスプレイデバイス110に提示されるデータに基づいて、VADを患者の血管内に向けながら、静脈内治療システム100および手持ち式VADを配置してもよい。
【0043】
VADシャーシ145が静脈内治療システム100のハウジング105上に存在する実施形態では、プロセッサは、VADシャーシ145のVAD前進システムを、モーターと係合するように向けてもよい。モーターは、USプローブ175および磁場検出器によって受信されたデータに基づいて、VADを患者の腕内の血管と交差させるために、VADシャーシ145内に挿入されたVADを患者の腕190内に移動させてもよい。
【0044】
手術中、臨床医または他のHCPは、静脈内治療システム100を、VADが挿入されることとなる患者の腕190のような患者の体の一部上に配向させることができる。USプローブ175は、次いで、患者の腕180内の構造を検出してもよい。血管125のような構造を説明するデータは、ビデオディスプレイデバイス110に中継されて、これらの構造の視覚表示を臨床医または他のHCPに提示してもよい。1つの実施形態では、ビデオディスプレイデバイス110は、横断面120上に血管125のビューを提示してもよい。このビューは、臨床医または他のHCPがその血管125または他の何らかの血管125がVADによってアクセスされるべきかどうかを評価し得るように、臨床医または他のHCPに血管125の「断面(cross-sectional)」ビューを提示してもよい。1つの実施形態では、横断面120は、長さ135および幅130を有していてもよい。1つの実施形態では、ビデオディスプレイデバイス110は、冠状面140上に血管125のビューを提示してもよい。このビューは、血管125が患者の腕190の長軸に沿って走るときの血管125の長手方向ビューを臨床医または他のHCPに提示してもよい。1つの実施形態では、ビデオディスプレイデバイス110は、USプローブ175によって検出された際に、横断面120および冠状面140の両方を提示するか、または提示することができてもよい。
【0045】
静脈内治療システム100は、また、USプローブ175の近くに配置される磁場検出器(不図示)を含んでいてもよい。磁場検出器は、透磁性(magnetically permeable)であってもよい、VADの任意の部分の存在および場所を検出してもよい。動作中、磁場検出器は、VADの部分の位置に関するデータを受信し、およびVADのその場所を説明する画像を、横断面120および冠状面140のいずれかまたは両方のビューにオーバーレイさせてもよい。したがって、臨床医または他のHCPは、VADの軌道155が血管125と交差するのに適切であることを決定するために、VADが患者の腕190内に向かって移動するときのVADの運動を眺めてもよい。
【0046】
静脈内治療システム100がVADシャーシ145およびVAD前進システムを含まない実施形態では、臨床医または他のHCPは、片手150で静脈内治療システム100を保持し、および反対の手でVADを患者の腕190に向かって配向しおよび患者の腕190内に移動させてもよい。静脈内治療システム100のハウジング105に収容されたビデオディスプレイデバイス110を一貫して眺めることにより、臨床医または他のHCPは、臨床医または他のHCPが血管125にアクセスしようとする際に、VADの軌道155をより正確に眺めることができる。したがって、臨床医または他のHCPは、USプローブ175および磁場検出器からのビデオディスプレイデバイス110上に提示されたデータを使用して、血管125に関連するVADを説明するリアルタイムデータを提供され得る。これは、臨床医または他のHCPが、患者の体への追加の外傷をほとんどまたは全く伴わずに、血管125に、より正確かつ高精度にアクセスすることを可能にする。これは、臨床医または他のHCPによるVAD配置の効率を向上させ、その結果、患者に対する医療がより良くなる。
【0047】
本明細書は、概して、VADによる血管125のアクセスを説明する。しかしながら、本開示により、任意の特定のタイプの血管125が特定の医療目的のためにアクセスされてもよいことが企図(contemplated)されている。例えば、本明細書に記載される血管125は、生理食塩水、薬剤、および/または非経口栄養物が患者の血流内に提供される(presented)静脈であってもよい。この場合、静脈は、生理食塩水、薬剤、および/または非経口栄養を患者の心臓に通過させてもよく、これは、次いで、生理食塩水、薬剤、および/または非経口栄養を患者の体の残りの部分に分配する。さらに、血管125は、他の医学的理由のために生理食塩水、薬剤、および/または非経口栄養が導入され得る動脈であってもよい。いずれの実施形態においても、USプローブ175は、血管125内の血液の運動を検出し、および血管125が静脈であるか動脈であるかを決定してもよい。
【0048】
1つの実施形態では、臨床医または他のHCPは、静脈内治療システム100に、静脈がアクセスされるべきであるという指示を入力してもよい。この実施形態では、USプローブ175は、アクセスされるべき静脈を説明するデータを提供してもよい。1つの実施形態では、プロセッサは、例えば、静脈の横断面120のビューの周りに線または他のインジケータを描くことによって、ビデオディスプレイデバイス110上で静脈を視覚的に強調表示(visually highlighted)させてもよい。1つの実施形態では、ビデオディスプレイデバイス110は、ユーザーがビデオディスプレイデバイス110の画面(screen)上に標的血管125を説明する線または他のインジケータを入力することによってどの血管125がアクセスされるべきであるかを決定することを可能にする、タッチスクリーンビデオディスプレイデバイス110であってもよい。いずれの実施形態においても、静脈内治療システム100のプロセッサは、標的血管125を説明する線または他のインジケータを使用して、VAD前進システムのモーターを適切に作動させるか、または挿入中にVADの軌道155を調整する方法に関して、臨床医または他のHPCに指示することによって、VADの挿入を指示することができる。
【0049】
1つの実施形態では、静脈内治療システム100のハウジング105は、バッテリを含んでいてもよい(不図示)。バッテリは、いくつかの実施形態では、スマートバッテリシステムを含むか、または電力状態データを追跡および提供する電力管理ユニットに動作可能に結合されてもよい。この電力状態データは、本明細書に開示されるシステムおよび方法で使用されることとなる命令、パラメータ、およびプロファイルとともに格納されてもよい。
【0050】
1つの実施形態では、静脈内治療システム100は、静脈内治療システム100をコンピュータネットワークに通信可能に結合するネットワークインターフェースデバイスを含んでいてもよい。これらの実施形態では、静脈内治療システム100は、電子健康記録(electronic health record)(EHR)データベースに通信可能に結合されていてもよい。EHRデータベースは、患者固有の医療記録(health care records)を維持するデータベースであってもよい。1つの実施形態では、静脈内治療システム100は、患者へのVADの使用、ならびにVADの配置の記録(ビデオまたは静止画像のいずれか)およびUSプローブ175で受信された超音波データを中継してもよい。この記録は、所与の患者に対して比較的堅牢な医療記録を作成するために維持されてもよい。
【0051】
本明細書に記載される任意の実施形態では、静脈内治療システム100は、データおよび電源ケーブル(data and power cable)を介してEHRシステムまたは他のコンピューティングデバイスに通信可能に結合されてもよい。この実施形態では、データおよび電源ケーブルは、静脈内治療システム100がネットワークインターフェースを含まない場合、および/または静脈内治療システム100が本明細書に記載されるバッテリのようなそれ自体の電源を含まない場合に、使用されてもよい。いずれの例においても、EHRシステムへの通信は、コンピューティングデバイスのネットワークの他のコンピューティングデバイスへのさらなる通信を可能にし得る。
【0052】
図3は、本開示のいくつかの実施形態によるVAD200の側面図である。VAD200は、血液サンプルにアクセスするため、または生理食塩水、薬剤、および/または非経口栄養物を患者の血流に送達するために、患者の血管にアクセスするように形成される任意のデバイスであってもよい。
【0053】
図3に提示される例示的なVAD200は、遠位端205および近接端210を含む。この例では、VAD200は、磁化されることができる金属材料でできている針215を含んでいてもよい。VAD200は、末梢静脈内カテーテル、正中線(midline)カテーテル、または末梢挿入中心静脈(peripherally inserted central)カテーテルを含んでいてもよいカテーテル213を含んでいてもよい。針215は、血液サンプル、生理食塩水、薬剤、および/または非経口栄養物を通過させることができるように中空であってもよい。遠位端205において、針215は、本明細書に記載されるように血管にアクセスしている間、患者の体の皮膚および体組織をより容易に通過するように、点を作り出すように斜角にされまたは鋭利であってもよい。
【0054】
VAD200は、採血(blood sampling)または輸血プロセス(blood infusion processes)中に特定の機能に適合し得る他の任意の要素を含んでいてもよい。例として、VAD200は、VAD200を生理食塩水、薬剤、および/または非経口栄養物の貯蔵器(reservoir)、または採血バイアルに結合するために使用されるプラスチック結合装置を含んでいてもよい。静脈内治療システムは、任意のタイプのVAD200の使用を実装し得るため、VAD200の特定の詳細は使用ごとに異なっていてもよい。しかしながら、本明細書は、患者の体内に挿入するように構成された任意のVAD200の使用を企図している。
【0055】
図4は、本開示のいくつかの実施形態によるビデオディスプレイデバイス110のグラフィカル図である。本明細書において記載されるように、ビデオディスプレイデバイス110は、患者の体の内部の構造、および具体的には血管を説明するデータを受信する。データは、USプローブ175および磁場検出器からプロセッサによって受信され、および、患者の体内の構造の横断面120および冠状面140の画像を形成するため、ならびに、例えば、USプローブ175に対する針先の位置、および使用されている特定のVADの知られている幾何学的形状(ゲージ、長さ、カテーテルブランドなど)に基づいて、例えば、針215のような針の軌道の投影(projection)を計算するために使用される。
【0056】
図4に提示される画像は、患者内の血管の横断面120の画像160である。しかしながら、本明細書は、血管の冠状面140に沿ったものを含む複数の異なるビューが、ビデオディスプレイデバイス110に、代替的または追加的に表示されてもよいことを企図している。特定の実施形態では、ビデオディスプレイデバイス110は、いくつかの入力ボタン188を含んでいてもよい。この実施形態では、入力ボタン188の作動は、ユーザーに提示されるビューを切り替えることができる。また、寸法参照(dimensional reference)インジケータをビデオディスプレイデバイス110に含めて、臨床医が(静脈の直径または静脈の深さのような)患者の解剖学的構造のサイズを測定しまたは推定するための参照を有することを可能にしてもよい。
【0057】
図4は、いくつかの実施形態による、針の投影された経路189を示す。
図4は、また、針の軌道193または移動経路に基づいて、針先が画像160の平面と交差することとなる場所の投影位置(projected position)191を示す。投影位置191が血管125に関して中心に置かれるかまたは適切に位置合わせされることに応答して、状態(conditions)は、VADの前進に適切であってもよい(臨床医によって手動で、または本明細書で論じられるように自動的に)。
【0058】
ビデオディスプレイデバイス110は、横断面120および冠状面140の画像160に加えて、任意のデータをユーザーに提示してもよい。例として、ビデオディスプレイデバイス110は、静脈内治療システムが使用されている現在の日付180および時刻182を含んでいてもよい。日付180および時刻182は、本明細書に記載されるEHSでの超音波およびVAD挿入の記録中に使用されてもよい。これは、臨床医または他のHCPによって実施された手順を正確に日付記入して文書化するために使用されてもよい。
【0059】
加えて、ビデオディスプレイデバイス110は、画像160上で見られている現在の超音波解像度(resolution)184を表示してもよい。1つの実施形態では、臨床医または他のHCPが提示されている血管のさらなる詳細を見ることができるように、画像160の解像度を調整するために、入力ボタン188が使用されてもよい。
【0060】
さらに、ビデオディスプレイデバイス110は、患者およびVAD情報186を表示してもよい。患者情報は、他のデータの中でもとりわけ、患者の名前、患者および患者のEHRに関連する割り当てられた番号、および、血管の幾何学的形状、生年月日、体重、現在の血圧、現在の脈拍のような患者に関連する医学的に関連する医療データを含んでいてもよい。VAD情報は、他のデータの中でもとりわけ、臨床医または他のHCPによって使用されているVADのタイプ、臨床医またはHCPの名前またはアイデンティティを説明し、およびVAD推奨モジュールによって使用されることが推奨されるデータを含んでいてもよい。
【0061】
ビデオディスプレイデバイス110は、いくつかのVAD軌道インジケータ165および170をさらに含んでいてもよい。1つの実施形態では、第1のVAD軌道インジケータ165は、VADが存在する患者の体内の深さを示すために使用されてもよい。第1のVAD軌道インジケータ165は、VADが患者の体を通過する際のVADの深さがプロセッサによって計算された軌道と一致しているかどうかを示すために色分け(color coded)されていてもよい。VADの挿入中の任意の所定の時間(any given time)にVADが正しい深さにない場合、第1のVAD軌道インジケータ165は、例えば、色を変えることによって、不適切な軌道を視覚的に示してもよい。間違った軌道の視覚的表示は、いくつかの例では、スピーカーからの可聴警告(audible warning)、静脈内治療システム内の触覚デバイスからの触覚フィードバック警告、またはこれらの3つの警告デバイスの任意の組み合わせを伴ってもよい。したがって、使用中、臨床医または他のHCPは、VADの軌道、または検出された血管と交差するためにVADがたどる軌道に基づく静脈内治療システムを、正確に調整することができる。
【0062】
1つの実施形態では、第2のVAD軌道インジケータ170は、VADが存在する患者の体内のx座標およびy座標を示すために使用されてもよい。第2のVAD軌道インジケータ170は、VADが患者の体を通過する際のVADの配置がプロセッサによって計算された軌道と一致しているかどうかを示すために色分けされていてもよい。第2のVAD軌道インジケータ170は、投影された経路189に沿った針先の距離はどれくらいか、および標的静脈からの針先の距離を示し得る。VADの挿入中の任意の所定の時間にVADが正しいx座標およびy座標にない場合、第2のVAD軌道インジケータ170は、例えば、色を変えることによって、不適切な軌道を視覚的に示してもよい。間違った軌道の視覚的表示は、いくつかの例では、スピーカーからの可聴警告、静脈内治療システム内の触覚デバイスからの触覚フィードバック警告、またはこれらの3つの警告デバイスの任意の組み合わせを伴っていてもよい。したがって、使用中、臨床医または他のHCPは、VADの軌道、または検出された血管と交差するためにVADがたどる軌道に基づく静脈内治療システムを、正確に調整することができる。
【0063】
本明細書に記載されるように、ビデオディスプレイデバイス110は、タッチスクリーン層を含んでいてもよい。タッチスクリーン層は、臨床医または他のHCPが静脈内治療システムに入力を提供することを可能にしてもよい。この入力の例は、血管表示データ(indication data)を含んでいてもよい。この特定の例では、臨床医または他のHCPは、患者の体の内部構造の画像160に提示された静脈のような血管を見ると、VADが血管と交差する場所を丸で囲む(circle)か、さもなければ示してもよい。この表示は、静脈内治療システムのプロセッサによってUSプローブおよび磁場検出器から受信されたデータとともに、プロセッサによるVADの軌道を計算するために使用されてもよい。軌道が計算されると、その軌道は、VAD前進システムによるVADの自動挿入中、または臨床医または他のHCPによるVADの手動挿入中に使用されてもよい。本明細書はさらに、静脈内治療システムが、VADの挿入中に臨床医または他のHCPによって動かされてもよいことを企図している。この実施形態では、ビデオディスプレイデバイス110はまた、患者の体に対して静脈内治療システムを再調整することによって標的血管を画面上に維持するように臨床医または他のHCPに示すことができる画面上の任意の他のインジケータを含んでいてもよい。
【0064】
図5Aは、本開示の1つの実施形態による、横断面120に沿った血管125のグラフィカル図である。
図5Aに示される実施形態は、画像が包含する長さ135および幅130を示す。長さ135および幅130は、選択された解像度、ならびに本明細書に記載されるUSプローブの超音波能力(ultrasonic capabilities)に応じて変化し得る。
【0065】
血管125は、USプローブ175によって受信されたデータをプロセッサによって処理することによって、
図5Aのビューに提示され得る。このビューは、患者の体に対する静脈内治療システムの動きに基づいて変化し得る。しかしながら、動作中、ビデオディスプレイデバイス110は、本明細書に記載されるように静脈内治療システムの機能に従事している間、静脈内治療システムを安定に保つように、臨床医または他のHCPに示すことができる。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、
図5Aに提示されたビューはまた、針の投影された経路189を含んでいてもよい。
図5Aはまた、針の軌道193または移動経路に基づいて、針先が画像160の平面と交差することとなる場所の投影位置191を示す。投影位置191が血管125に関して中心に置かれるかまたは適切に位置合わせされることに応答して、状態は、VADの前進に適切であってもよい(臨床医によって手動で、または本明細書で論じられるように自動的に)。
【0067】
いくつかの実施形態では、標的領域は、画像130を処理し、および画像130に基づいて血管125の位置を決定することによって決定されてもよい。針の角度および位置は、次いで、投影位置191が標的領域内に入るまで、調整されてもよい。投影位置191が血管125に関して中心に置かれるかまたは適切に位置合わせされることに応答して、VAD軌道フィードバックは、提供されてもよく、静脈内治療システムが標的上にありおよびVADの前進が(臨床医によって手動で、または本明細書で論じられるように自動的に)進行し得ることを示す。
【0068】
投影位置191は、プロセッサによって作成されてもよく、または説明されるように、臨床医または他のHCPからビデオディスプレイデバイスのタッチスクリーンで受信されたデータに基づいていてもよい。動作中、VADの手動または自動前進を変更するために、以下のうちの1つまたは複数が、ビデオディスプレイデバイスによって使用されてもよい:VADの遠位端の場所データ、特定のVADの幾何学的データ、針およびUSプローブの投影位置191、軌道線193、および標的血管125の場所。いくつかの実施形態では、プロセッサによって作成された軌道155は、VADが曲がった針を含むかどうかのような、VADの特定の特性を考慮に入れてもよい。
【0069】
図5Bは、本開示の1つの実施形態による、冠状面140に沿った血管125のグラフィカル図である。患者の体の内部構造のこのビューにおいて、軌道155は、血管125に対してある角度をなしていてもよい。この場合もやはり、標的場所157は、プロセッサによって計算されるか、または臨床医または他のHCPによって示されてもよい。
【0070】
標的場所157がプロセッサによって計算される実施形態では、プロセッサは、いくつかのタイプのデータを使用して、標的場所157を作成してもよい。このデータは、他のタイプのデータの中でもとりわけ、USプローブ175からの血流の検出、ビューに提示される色の色相の違い、血管の外壁の動きの検出、を含んでいてもよい。本明細書は、患者の血管内のVADの適切な配置を決定するために任意のプロセスが実行されてもよいことを企図している。任意の実施形態において、このデータは、VADが血管と交差するディスプレイデバイス上で臨床医または他のHCPに提示するために蓄積および更新されてもよい。
【0071】
本明細書に提示される任意の実施形態によれば、冠状面140および横断面120は、USプローブ175が患者の体の内部構造を検出する唯一の平面ではない可能性がある。いくつかの実施形態では、臨床医または他のHCPは、任意の特定の必要性に適合し得る、ビデオディスプレイデバイス110上に提示された平面の任意の変形を手動で選択してもよい。したがって、本明細書は、
図5Aおよび
図5Bの横断面120および冠状面140とは別に、それぞれ他のビューが提示されてもよいことを企図し、およびビデオディスプレイデバイス110上のこれらのビューは、単に、臨床医または他のHCPに提示されてもよいデータの例であることを意図している。さらに、いくつかの実施形態では、患者の解剖学的構造の任意のビューまたは平面は、USプローブ175の調整または再配置によって検出されてもよい。
【0072】
図6は、本開示の1つの実施形態による静脈内治療システム600のブロック図である。本明細書に記載される実施形態において、静脈内治療システム600は、ビジネス、科学、制御、娯楽(entertainment)、またはその他の目的のための任意の形式の情報、知能(intelligence)、またはデータを、計算し、分類し、処理し、送信し、受信し、回収し、生じさせ(originate)、切り替え、保存し、表示し、明示し(manifest)、検出し、記録し、複製し、取り扱い、または使用するように動作可能な任意の手段または手段の集合体を含む計算装置を含んでいてもよい。
図6に示される特定の例では、静脈内治療システム600は、
図1に示される静脈内治療システム100と類似した手持ち式血管検出システム610および情報取り扱いシステム605を含む。例えば、静脈内治療システム600は、情報取り扱いシステム605として、パーソナルコンピューター、モバイル機器(例えば、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)またはスマートフォン)、サーバー(例えば、ブレードサーバーまたはラックサーバー)、家庭用電子機器(consumer electronic device)、ネットワークサーバーまたは記憶装置、ネットワークルーター、スイッチ、またはブリッジ、無線ルーター、または他のネットワーク通信装置、ネットワーク接続型デバイス(携帯電話、タブレット型デバイス、等)、IoTコンピューティングデバイス、装着型コンピューティングデバイス、セットトップボックス(STB)、モバイル情報取り扱いシステム、パームトップコンピューター、ラップトップコンピューター、デスクトップコンピューター、通信装置、アクセスポイント(AP)、基地局送受信機(base station transceiver)、無線電話、固定電話(land-line telephone)、制御システム、カメラ、スキャナー、ファクシミリ機、プリンター、ポケットベル、個人信用型デバイス(personal trusted device)、ウェブ機器(web appliance)、または、そのマシンによって取られるべきアクションを指定する一連の命令(順次的な、または別の方法の)を実行することが可能な任意の他の適切なマシンを含むことができ、ならびにサイズ、形状、性能、価格、および機能性を変更することができる。
【0073】
ネットワーク化された配備(networked deployment)において、静脈内治療システム600は、サーバーを用いてまたはサーバークライアントネットワーク環境のクライアントコンピューターを用いて、またはピアツーピア(または分散型)ネットワーク環境のピアコンピューターシステムとして、動作し得る。特定の実施形態では、静脈内治療システム600は、音声、ビデオ、またはデータ通信を提供する電子デバイスを使用して実装され得る。例えば、静脈内治療システム600は、そのマシンによって取られるべきアクションを指定する一連の命令(順次的な、または別の方法の)を実行することが可能な任意のモバイルまたは他のコンピューティングデバイスを含む。さらに、単一の静脈内治療システム600が示されているが、「システム」という用語はまた、1つまたは複数のコンピュータ機能を実行するための命令のセットまたは複数のセットを、個別にまたは共同で実行するシステムまたはサブシステムの任意の集合を含むと解釈されるべきである。
【0074】
血管検出システム610は、本明細書に記載されるそれらのコンピューティングデバイスのような情報取り扱いシステム605に通信可能に結合されていてもよい。これらの実施形態では、情報取り扱いシステム605は、メモリ(揮発性(例えば、ランダムアクセスメモリ、等)、不揮発性(読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ等)またはそれらの任意の組み合わせ)、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、ハードウエアまたはソフトウエアの制御ロジック、またはそれらの任意の組み合わせのような、1つまたは複数の処理資源(processing resources)を含み得る。情報取り扱いシステム605の追加の構成要素は、1つまたは複数の記憶装置、外部装置と通信するための1つまたは複数の通信ポート、ならびにキーボード、マウス、ビデオ/グラフィックディスプレイ、またはそれらの任意の組み合わせのような様々な入力および出力(I/O)装置を含み得る。情報取り扱いシステム605はまた、様々なハードウエア構成要素間の通信を送信するように動作可能な1つまたは複数のバスを含み得る。情報取り扱いシステム605の一部は、それら自体が情報取り扱いシステム605と見なされ得る。
【0075】
情報取り扱いシステム605は、1つまたは複数のデバイスを具体化するか、または本明細書に記載される1つまたは複数のシステムおよびモジュールに対する命令を実行する、デバイスまたはモジュールを含むことができ、および血管検出システム610と相互作用するように、本明細書に記載される方法のうちの1つまたは複数を実行するように動作する。情報取り扱いシステム605は、本明細書中の様々な実施形態による、サーバーまたはシステム、リモートデータセンター、または個々のクライアント情報取り扱いシステムのオンボックス(on-box)で動作することができるコード命令624を実行してもよい。いくつかの実施形態では、コード命令624の任意のまたはすべての部分が、複数の情報取り扱いシステム605上で動作し得ることが理解される。
【0076】
情報取り扱いシステム605は、中央処理装置(CPU)、制御論理、またはそれらの何らかの組み合わせのようなプロセッサ602を含んでいてもよい。処理資源はいずれも、ファームウエアコードまたはソフトウエアコードのいずれかであるコードを実行するように動作し得る。1つの実施形態では、プロセッサ602は、本明細書において説明されるように、血管検出システム610のプロセッサと相互作用してもよい。さらに、情報取り扱いシステム605は、メインメモリ604、スタティックメモリ606、電子健康記録(EHR)632の命令624を格納するコンピュータ可読媒体622、およびドライブユニット616(揮発性(例えば、ランダムアクセスメモリ、等)、不揮発性(読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ等)またはそれらの任意の組み合わせ)を含み得る。情報取り扱いシステム605はまた、様々な入力および出力(I/O)装置の任意の組み合わせのような様々なハードウエア構成要素間の通信を送信するように動作可能な1つまたは複数のバス608を含み得る。
【0077】
情報取り扱いシステム605は、ビデオディスプレイ611をさらに含んでいてもよい。1つの実施形態におけるビデオディスプレイ611は、液晶ディスプレイ(LDC)、有機発光ダイオード(OLED)、フラットパネルディスプレイ、ソリッドステートディスプレイ、または陰極線管(cathode ray tube)(CRT)として機能してもよい。1つの実施形態では、ビデオディスプレイ611は、血管検出システム610のビデオディスプレイデバイス110上に提示されるのと同じビューをユーザーに提示してもよい。加えて、情報取り扱いシステム605は、カーソル制御デバイス(例えば、マウス、タッチパッド、またはジェスチャーまたはタッチスクリーン入力、およびキーボード214のような、入力装置612を含んでいてもよい。
【0078】
無線アダプタ620として示されるネットワークインターフェースデバイスは、ネットワーク628、例えば、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)、無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)、または他のネットワークへの接続を提供し得る。接続性は、有線または無線の接続を介して存在し得る。無線アダプタ620は、任意の無線データ通信規格に従って動作してもよい。無線ローカルエリアネットワークと通信するために、IEEE802.11WLAN規格、IEEE802.15WPAN規格、3GPPもしくは3GPP2のようなWWAN、または同様の無線規格を含む規格が使用されてもよい。本開示のいくつかの態様において、1つの無線アダプタ620は、2つまたはそれ以上の無線リンクを動作させてもよい。本明細書に記載される実施形態において、ネットワークインターフェースデバイス620は、情報取り扱いシステム605をEHR632と無線で結合してもよい。本明細書に記載される実施形態において、EHR632は、患者の体内の針、患者の体内の血管の位置を説明するデータを受信してもよく、および情報取り扱いシステム605は、その位置データを、ディスプレイデバイス110上に提示されるインジケータに中継してもよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、ソフトウエア、ファームウエア、特定用途向け集積回路のような専用のハードウエア実装、プログラマブル論理アレイ、および他のハードウエアデバイスは、本明細書に記載されるいくつかのシステムおよび方法の1つまたは複数を実装するように構成され得る。様々な実施形態の装置およびシステムを含んでいてもよい用途(Applications)は、様々な電子システムおよびコンピュータシステムを広く含み得る。本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態は、2つまたはそれ以上の特定の相互接続されたハードウエアモジュールまたはデバイスを、モジュール間でおよびモジュールを介して通信され得る関連した制御およびデータ信号と共にまたは特定用途向け集積回路の一部として用いて、機能を実装(implement)してもよい。したがって、本システムは、ソフトウエア、ファームウエア、およびハードウエアの実装を包含する。
【0080】
本開示の様々な実施形態によれば、本明細書に記載される方法は、コントローラーまたはプロセッサシステムによって実行可能なファームウエアまたはソフトウエアプログラムによって実装されてもよい。さらに、例示的な非限定的な実施形態において、実装は、分散処理(distributed processing)、構成要素/オブジェクト分散処理、および並列処理(parallel processing)を含み得る。あるいはまた、仮想コンピュータシステム処理は、本明細書に記載されるような方法または機能性のうちの1つまたは複数を実装するように構成され得る。
【0081】
本開示は、ネットワーク628に接続された血管検出システム610のようなデバイスがネットワーク628を通して音声、ビデオ、またはデータを通信し得るように、命令、パラメータ、およびプロファイル624を含むか、または伝播された信号に応答して命令、パラメータ、およびプロファイル624を受信および実行する、コンピュータ可読媒体を企図する。さらに、命令624は、ネットワークインターフェースデバイスまたは無線アダプタ620を介してネットワーク628を通して送信または受信されてもよい。
【0082】
情報取り扱いシステム605は、本明細書に開示される方法またはコンピュータベースの機能のうちの任意の1つまたは複数をコンピュータシステムに実行させるために実行され得る1セットの命令624を含み得る。アプリケーション命令224を含む様々なソフトウエアモジュールは、オペレーティングシステム(OS)によって、および/またはアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介して、統合されてもよい。オペレーティングシステムの例は、Windows(登録商標)、Android(登録商標)、および他のOSタイプを含んでいてもよい。APIの例は、Win32、Core Java API、またはAndroid APIを含んでいてもよい。
【0083】
ディスクドライブユニット616は、ソフトウエアのような命令624の1つまたは複数のセットが埋め込まれ得るコンピュータ可読媒体622を含んでいてもよい。同様に、メインメモリ604およびスタティックメモリ606はまた、命令、パラメータ、またはプロファイル624の1つまたは複数のセットの記憶のためのコンピュータ可読媒体を含んでいてもよい。ディスクドライブユニット216およびスタティックメモリ206はまた、データ記憶(data storage)のためのスペースを含んでいてもよい。さらに、命令624は、本明細書において記載されるような方法または論理のうちの1つまたは複数を具体化してもよい。例えば、プロセッサによる患者の体内の内部構造のビューの形成に関する命令は、それらの命令624の一部であってもよい。特定の実施形態では、命令、パラメータ、およびプロファイル624は、情報取り扱いシステム605のプロセッサ602による実行中に、完全に、または少なくとも部分的に、メインメモリ604、スタティックメモリ606内、および/またはディスクドライブ616内に、存在していてもよい。メインメモリ604およびプロセッサ602はまた、コンピュータ可読媒体を含んでいてもよい。
【0084】
メインメモリ604は、例示的な実施形態におけるRAMのようなコンピュータ可読媒体(不図示)を含んでいてもよい。メインメモリ604の例は、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、不揮発性RAM(NV-RAM)、もしくは同様のもののようなランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、別のタイプのメモリ、またはそれらの組み合わせを含む。スタティックメモリ606は、いくつかの例示的な実施形態におけるNORまたはNANDフラッシュメモリのような、コンピュータ可読媒体(不図示)を含んでいてもよい。コンピュータ可読媒体は単一の媒体であることが示されているが、「コンピュータ可読媒体(computer-readable medium)」という用語は、集中型または分散型データベースのような、単一媒体または複数の媒体、および/または命令の1つまたは複数のセットを格納する関連するキャッシュやサーバーを含む。「コンピュータ可読媒体」という用語はまた、プロセッサによって実行するための命令のセットを格納し、符号化し、または運ぶことができるか、または本明細書において開示される方法または動作(operations)のうちの任意の1つまたは複数をコンピュータシステムに実行させる、任意の媒体を含んでいてもよい。
【0085】
特定の非限定的な例示的な実施形態において、コンピュータ可読媒体は、1つまたは複数の不揮発性読み取り専用メモリを収容するメモリカードまたは他のパッケージのようなソリッドステートメモリを含み得る。さらに、コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリまたは他の揮発性の書き換え可能(re-writable)メモリであり得る。加えて、コンピュータ可読媒体は、伝送媒体を通して通信される信号のような搬送波信号(carrier wave signals)を介して受信された情報を格納するための、ディスクもしくはテープのような光磁気媒体もしくは光媒体、または他の記憶装置を含み得る。さらに、コンピュータ可読媒体は、クラウドベースの環境からのような分散型ネットワーク資源から受信した情報を格納し得る。電子メールまたは他の自己充足型(self-contained)情報アーカイブまたはアーカイブのセットへのデジタルファイル添付は、有形の(tangible)記憶媒体と同等の配布媒体(distribution medium)と見なされてもよい。したがって、本開示は、データまたは命令が格納され得る、コンピュータ可読媒体または配布媒体、および他の同等物および後継媒体(successor media)のうちの任意の1つまたは複数を含むと見なされてもよい。
【0086】
情報取り扱いシステム605はまた、バス608に動作可能に接続されてもよいEHR632を含んでいてもよい。EHR632のコンピュータ可読媒体622はまた、血管検出システム610が相互作用する各患者に関連するデータのようなデータ記憶のためのスペースを含んでいてもよい。動作中、EHR632は、血管検出システム610からの、および患者の体内の血管の記録された内部構造、ならびに日付、時刻、患者IDおよび使用されたVADを含む他のデータに関連するこれらの記録を受け取ってもよい。
【0087】
他の実施形態において、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理アレイおよび他のハードウエア装置のような専用ハードウエア実装は、本明細書に記載される方法のうちの1つまたは複数を実施するように構成され得る。様々な実施形態の装置およびシステムを含んでいてもよい用途は、様々な電子システムおよびコンピュータシステムを広く含み得る。本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態は、2つまたはそれ以上の特定の相互接続されたハードウエアモジュールまたはデバイスを、モジュール間でおよびモジュールを介して通信され得る関連した制御およびデータ信号と共にまたは特定用途向け集積回路の一部として用いて、機能を実装してもよい。したがって、本システムは、ソフトウエア、ファームウエア、およびハードウエアの実装を包含する。
【0088】
「システム(system)」、「装置(device)」、「モジュール(module)」、「コントローラー(controller)」などと称されるとき、本明細書に記載される実施形態は、ハードウエアとして構成され得る。例えば、情報取り扱いシステム装置は、集積回路(特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、構造化ASIC、または大きなチップに埋め込まれたデバイスなど)、カード(周辺構成要素インターフェース(PCI)カード、PCIエキスプレスカード、パーソナルコンピューターメモリカード国際協会(PCMCIA)カード、または他の拡張カードなど)、またはシステム(マザーボード、システムオンチップ(SoC)、またはスタンドアロンデバイスなど)のようなハードウエアであってもよい。システム、装置、コントローラー、またはモジュールは、Intel(登録商標)Coreクラスのプロセッサ、ARM(登録商標)ブランドのプロセッサ、Qualcomm(登録商標)Snapdragonプロセッサ、または他のプロセッサおよびチップセットのような装置、または他のそのような装置に組み込まれたファームウエアを含むソフトウエア、または、情報取り扱いシステムの関連する環境を操作可能なソフトウエア、を含み得る。システム、デバイス、コントローラー、またはモジュールはまた、ハードウエアまたはソフトウエアの上述の例のうちの組み合わせを含み得る。1つの実施形態では、情報取り扱いシステム605は、ハードウエアとソフトウエアの任意の組み合わせであり得るそれらの部分を有する集積回路またはボードレベル製品(board-level product)を含んでいてもよい。互いと通信しているデバイス、モジュール、資源、コントローラー、またはプログラムは、別段の明示的な記載がない限り、連続的に相互通信している必要はない。加えて、互いに通信しているデバイス、モジュール、資源、コントローラー、またはプログラムは、1つまたは複数の中間媒体(intermediaries)を介して直接的または間接的に通信し得る。
【0089】
情報取り扱いシステム605の動作中、データは、血管検出システム610からプロセッサ602で受信されてもよい。本明細書に記載されるように、血管検出システム610は、他の動作の中でもとりわけ、患者の体の内部構造を記録し、患者の体に挿入されるVADの軌道を計算し、VAD推奨を提供し、およびVAD軌道フィードバックを提供してもよい。これらの動作および機能性は、情報取り扱いシステム605のプロセッサ602、血管検出システム610のプロセッサ、または両方の組み合わせを使用して実行されてもよい。
【0090】
1つの実施形態では、情報取り扱いシステム605のプロセッサ602は、無線接続または有線接続を介して血管検出システム610に通信可能に結合されていてもよい。これらの実施形態では、プロセッサ602は、追加の処理リソースを提供し、ならびに血管検出システム610が使用されている患者、選択されたVAD、およびその挿入に関連するすべてのビデオを説明するデータを受信しおよび分類するように、血管検出システム610と協働してもよい。
【0091】
図7Aから
図7Bは、本開示のいくつかの実施形態による、患者の腕とインターフェース接続する静脈内治療システム100の側面図である。この図は、静脈内治療システム100が片手150で保持され、VAD200が患者の腕に手動で挿入された状態で、臨床医または他のHCPによって使用されている静脈内治療システム100を示す。この実施形態において、静脈内治療システム100は、臨床医または他のHCPが両手を使用する状態で、使用されてもよい。したがって、臨床医または他のHCPが、患者から離れた別のビデオディスプレイに向かうオフサイトの代わりに、VAD200によってアクセスされる血管の場所に自分の注意を向けさせることができるように、静脈内治療システム100は、静脈内治療システムのハウジング内に収容されたビデオディスプレイデバイス110を含む。臨床医または他のHCPが両手を使用した状態でのビデオディスプレイデバイス110の使用を容易にするために、ビデオディスプレイデバイス110は、矢印705によって示されるように向きが変えられてもよい(turned around)。このことは、臨床医または他のHCPが、静脈内治療システム100およびVAD200の相対的な向きに関係なく、静脈内治療システム100を操作しおよびビデオディスプレイデバイス110を依然として見ることを可能にする。いくつかの実施形態では、USプローブは、血管への針の自動挿入を容易にするために、USプローブに取り付けられた駆動機構201を含んでいてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、駆動機構201は、最適な、所定の、または所望の角度で針を手動で送達する際に臨床医を支援するために、針ガイドと置き換えられ、USプローブに取り付けられてもよい。いくつかの例では、VAD200の軌道が血管にアクセスするための軌道上にあることを確実にするために、VAD200は、静脈内治療システム100の下で、患者の腕に提示されてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、駆動機構201は、例えば、リニアモーターまたは回転モーターまたは任意の他の適切なタイプのモーターのような1つまたは複数のモーターを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、駆動機構201は、カテーテルおよび/または針を遠位方向に前進させてもよい。いくつかの実施形態では、針先が静脈に入るのに応答して、駆動機構201は、患者の皮膚に関してVADの角度を下げてもよい。いくつかの実施形態では、駆動機構201は、カテーテルを前進させ、および次いで、針先が静脈に入るのに応答して針を後退させてもよい。いくつかの実施形態では、駆動機構201は、VADの位置を調整するためにモーター駆動の旋回を実行してもよい。
【0094】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による静脈内治療システム100の斜視図である。本明細書において記載されるように、静脈内治療システム100のハウジング105は、ネットワーク化された情報取り扱いシステムに通信可能に結合されてもされなくてもよいスタンドアロンデバイスとして静脈内治療システム100が動作することを可能にする、複数の構成要素を含んでいてもよい。
【0095】
静脈内治療システム100は、本明細書に記載されるように、VADシャーシ145を含んでいてもよい。VADシャーシ145は、患者の体に最も近いハウジング105の部分に形成されてもよい。静脈内治療システム100の動作中に、患者の体内へのVADの自動挿入を可能にするために、VADシャーシ145内のVADは、患者の体内に自動的に前進させられてもよい。本明細書に提示される実施形態では、VADシャーシ145は、VADシャーシ145内に配置されたVADの軌道を説明するデータを受信するように、プロセッサ805に通信可能に結合されていてもよい。データは、VADを患者の体内の血管と交差させるためにVADがとる方向を説明する。これらの実施形態では、超音波(US)装置875および磁場検出器820は、VADが患者の皮膚に係合しおよびVADが患者の体を通して向けられる際に、VADを患者の血管内に向けるために、閉ループフィードバックに関するデータを提供してもよい。
【0096】
本明細書の実施形態では、VADシャーシ145は、1つまたは複数のリニアモーターおよび/または1つまたは複数の回転モーターを含んでいてもよい、駆動機構825を含むVAD前進システムを含んでいてもよい。VAD前進システムは、駆動機構825を使用してVADを患者の体内に前進させるために、本明細書に記載されるようにプロセッサ805から信号を受信してもよい。本明細書に提示されるいくつかの実施形態では、駆動機構825は、その長さに沿って線形力を生成してもよい。これは、リニアモーター825が、静脈内治療システム100のハウジング105から離れておよび患者の体内に、VADシャーシ145に装填されたVADを通過させることを可能にしてもよい。1つの実施形態では、駆動機構825はまた、挿入中のVADの傾斜運動、回転運動、およびヨー運動を可能にしてもよい。VADの方向の線形、傾斜、回転、およびヨー調整は、静脈内治療システム100が意図的または偶発的に患者の体の表面に沿って移動される状況において、VADが患者の血管と交差することを可能にする。
【0097】
いくつかの実施形態では、駆動機構825は、カテーテルおよび/または針を遠位方向に前進させてもよい。いくつかの実施形態では、針先が静脈に入るのに応答して、駆動機構825は、患者の皮膚に関してVADの角度を下げてもよい。いくつかの実施形態では、駆動機構825は、カテーテルを前進させ、および次いで、針先が静脈に入るのに応答して針を後退させてもよい。いくつかの実施形態では、駆動機構825は、任意の適切な種類の1つまたは複数の駆動機構の代わりとされてもよい。
【0098】
静脈内治療システム100はまた、静脈内治療システム100の他の構成要素の中でもとりわけ、US装置875およびハウジング105内のプロセッサ805に通信可能に結合されるビデオディスプレイデバイス110を含む。1つの実施形態では、ビデオディスプレイデバイス110は、US装置875によって受信されたデータを説明するプロセッサ805からの入力を受信してもよい。プロセッサ805からのこの入力は、患者の体内の構造の画像をビデオディスプレイデバイス110上に提示させる。提示される画像は、患者の体に対して配置されたUS装置875の位置が変化するにつれて変化してもよい。1つの実施形態では、プロセッサ805に送信されるUS装置875からのデータは、腕の横断面上にある患者の腕内の静脈のような血管の構造の横断ビューを説明するデータであてもよい。しかしながら、本明細書に提示される任意の実施形態において、US装置875は、VADを備えた血管125の位置を突き止めてアクセスするために、脚のような患者の体の任意の部分に対して配置されてもよいことが理解される。1つの実施形態では、プロセッサ805に送信されるUS装置875からのデータは、腕の冠状面上にある患者の腕内の静脈のような構造の冠状ビューを説明するデータであってもよい。冠状面に沿ったビューは、患者の腕の長さを走る患者の血管の長手方向ビューであってもよい。ビデオディスプレイデバイス110は、患者の冠状面に沿った冠状平面ビュー、患者の横断面に沿った横断平面ビューのいずれかまたは両方、または本明細書において記載されるように両方を表示してもよい。
【0099】
静脈内治療システム100はまた、データ記憶装置810を含んでいてもよい。データ記憶装置810は、US装置875、磁場検出器820、およびビデオディスプレイデバイス110からデータを受信してもよい。このデータは、他のデータの中でもとりわけ、患者識別データ、VAD識別データ、磁場検出器および超音波データ、時間データ、日付データ、および解剖学的構造の幾何学的形状を含んでいてもよい。
【0100】
スタンドアロン構成で動作するために、静脈内治療システム100のハウジング105は、バッテリ830を含んでいてもよい。バッテリ830は、いくつかの実施形態では、スマートバッテリシステムを含むか、または電力状態データを追跡および提供する電力管理ユニットに動作可能に結合されてもよい。この電力状態データは、静脈内治療システム100で使用され、およびデータ記憶装置810に記憶される命令、パラメータ、およびプロファイルとともに記憶されてもよい。
【0101】
図9は、本開示の1つの実施形態による静脈内治療システムの斜視図である。静脈内治療システム900は、他の実施形態と同様に、患者の体の内部構造のビューを表示するためのビデオ表示デバイス910と、それらの内部構造を検出するために使用されるUSプローブ975とを含む。1つの実施形態では、静脈内治療システム900は、VADを患者の体内におよび患者の体を通って自動的に前進させ、ならびに、VADまたはVADの一部を旋回、回転、および/または後退させるために使用される1つまたは複数のVAD前進ボタン915をさらに含んでいてもよい。VAD前進ボタン915は、リニアモーター925がVADをVADシャーシ945から外におよび患者の体内に前進させてもよいように、臨床医または他のHCPがリニアモーターまたは別のタイプのモーターを選択的に係合させることを可能にする任意のタイプの作動装置であってもよい。特定の例では、VAD前進ボタン915は、静脈内治療システム900を使用する可能性のある右利きおよび左利き両方の臨床医または他のHCPに適応するように、静脈内治療システム900のハウジング905の第1および第2の側に配向されてもよい。特定の実施形態では、VAD前進ボタン915は、臨床医または他のHCPがVAD前進ボタン915をハウジング905の表面に沿ってどれだけ前進させるかに基づいて、患者の体内へのVADの比較的速いまたは遅い挿入を可能にしてもよい。例えば、VAD前進ボタン915が、臨床医または他のHCPによってハウジング905に沿って1mm前進させられる場合、VADは、臨床医または他のHCPがVAD前進ボタン915をハウジング905の表面に沿って2mm前進させる場合よりも遅い速度で移動してもよい。このようにして、静脈内治療システム900の操作にあまり精通していない人々が、患者を傷つけずに、および患者の血管内へのVAD挿入のタスクを依然として実行しながら、静脈内治療システム900を使用する方法を学ぶことができるように、臨床医または他のHCPは、VADが患者の体内に前進させられる速度を制御してもよい。
【0102】
代替的な実施形態において、前進ボタン915は、VADが患者の体内に前進させられる深さ、およびVADが患者の体内に前進させられる方向を個別に制御してもよい。例えば、第1の複数の前進ボタン915は、静脈内治療システム900の近位端に向かって引き戻されたときに、VADの遠位端を、正(positive)のz方向に上向きに(point upward)させてもよく、一方、第1の複数の前進ボタン915を押すことは、VADの遠位端を、負(negative)のz方向に下向きに(point downward)させる。ビデオディスプレイデバイス910を用いて、臨床医または他のHCPは、VADの決定された軌道をたどるように、また、臨床医または他のHCPが軌道をたどるようにz方向に沿ってVADを向けているかどうかについてビデオディスプレイデバイス910から入力を受信しながら、第1のVAD前進ボタン915を使用してもよい。
【0103】
この代替的な実施形態では、VADのx方向またはy方向の軌道を制御するために、複数のVAD前進ボタン915のうちの第2のボタンが使用されてもよい。この場合もやはり、第2の複数のVAD前進ボタン915の前進方向(forward direction)の運動は、VADの遠位先端を正のx方向に向け(direct)てもよく、一方、第2の複数のVAD前進ボタン915を引っ張ることは、VADの遠位先端を負のx方向にさせる。第3の複数のVAD前進ボタン915は、同様に、VADの遠位先端を正のyおよび負のy方向に前進させるために、使用されてもよい。
【0104】
静脈内治療システム900は、いくつかの実施形態では、複数のモーターを含んでいてもよく、これは、リニアモーターおよび/または回転モーターを含んでいてもよい。本明細書に提示される実施形態において、静脈内治療システム900は、駆動リニアモーター920、格納リニアモーター925、および回転モーター930を含む。これらのモーター920、925、930のそれぞれは、VAD945を患者の体内に駆動するために自動的に作動されてもよい。駆動リニアモーター920は、静脈内治療システム900からVAD945を駆動してもよい。格納リニアモーター925は、VAD945を、後退させおよび静脈内治療システム900のハウジング905に形成されたVADシャーシ内に駆動してもよい。回転モーター930は、VAD945の回転方向を変更してもよく、および1つの実施形態では、駆動リニアモーター920がVAD945を患者の体内に押し込む際に、VAD945のピッチおよびヨーを変更してもよい。
【0105】
図10は、本開示のいくつかの実施形態による静脈内治療システムを操作する方法1000を描写するフローチャートである。方法1000は、ブロック1005において、手持ち式超音波装置を用いて患者の血管の特徴を走査およびマッピングすることを含んでいてもよい。本明細書において記載されるように、手持ち式超音波装置は、本明細書において記載されるように横平面および冠状面を含む複数の平面に沿って患者の体内の構造を検出する超音波装置を含んでいてもよい。超音波装置は、超音波装置からデータを受信するプロセッサに通信可能および動作可能に結合されてもよい。
【0106】
方法1000はまた、ブロック1010において、手持ち式超音波装置のディスプレイデバイスを用いて視覚的に、患者の体内の推奨されるVAD配置場所を提供することを含んでいてもよい。本明細書において記載されるように、プロセッサによって受信されたデータは、患者の体内の静脈のような血管の存在を検出するために使用されてもよい。1つの実施形態では、プロセッサは、他の種類のしるしの中でもとりわけ、超音波装置からの血流の検出、患者の体の内部構造のディスプレイデバイスに提示される色の色合いの違い、血管の外壁の動きの検出に基づいて血管の場所を決定してもよい。
【0107】
方法1000は、ブロック1015において、患者の体内の血管にアクセスするための提案されたVADタイプを提供することをさらに含んでいてもよい。1つの例では、VAD推奨モジュールによって推奨されるVADのタイプは、他の要因の中でもとりわけ、アクセスされるべき血管の場所、アクセスされている血管のタイプ、状態および解剖学的構造、VAD(例えば、採血または注入療法(infusion therapies))の目的、および患者の特徴(characteristics)を含む多くの要因に依存してもよい。推奨されるVADのタイプは、VADの他の特徴(features)の中でもとりわけ、長さ、ゲージ、材料のようなVADについての詳細(specifics)を含んでいてもよい。本明細書に記載されるように1つの実施形態において、提案されたVADタイプは、静脈内治療システムのプロセッサによるVAD推奨モジュールの実行後にビデオディスプレイデバイス上に提供されてもよい。操作中(During operation)、臨床医または他のHCPは、VAD推奨を確認し、推奨VADの位置を突き止め、および患者への後の挿入のために静脈内治療システムのVADシャーシ内にVADを装填してもよい。
【0108】
方法1000は、ブロック1020において、患者の体内のVADの運動を監視することをさらに含み、および、標的血管に対するVADの位置合わせを指示する(directing)臨床医にVAD配置フィードバックを提供してもよい。本明細書において記載されるように、静脈内治療システムは、超音波(US)装置および磁場検出器の両方を含んでいてもよい。US装置および磁場検出器から受信されたデータは、プロセッサによって以前に決定されたVAD配置場所に対するVADの先端の相対場所を決定するために、プロセッサに提供されてもよい。1つの実施形態では、臨床医または他のHCPが、VADが患者の体を通って血管内に入る際にVADの軌道を見ることができるように、プロセッサは、ビデオディスプレイデバイス上に提示されたUS画像上にVADの画像をオーバーレイさせてもよい。1つの実施形態では、VADの移動は、臨床医または他のHCPによって達成されてもよい。別の実施形態では、VADの移動は、VADシャーシ内に形成された1つまたは複数のリニアモーターの使用を介して自動化されてもよい。本明細書に提示される任意の実施形態において、臨床医または他のHCPは、手動VAD挿入モードまたは自動VAD挿入モードの間で選択されてもよい。手動VAD挿入モードを選択すると、臨床医は、VAD推奨を提供され、および本明細書に記載されるようにVADの手動挿入を開始することができる。自動VAD挿入モードを選択すると、臨床医は、VAD推奨を提供され、VADをVADシャーシに挿入し、および本明細書に記載されるように患者の体内へのVADの自動挿入を開始することができる。自動VAD挿入モードの動作中に、もしVADが計算された軌道に従わないことが検出された場合、プロセッサは、VADの自動挿入を一時停止してもよい。同様に、臨床医は、臨床医のエラーおよびVADの不必要な使用を含むがこれらに限定されない、数多くの理由のうちのいずれかのために手動オーバーライドを開始してもよい。
【0109】
図11は、本開示のいくつかの実施形態による静脈内治療システムを製造する方法1100を描写するフローチャートである。方法1100は、ブロック1105において、手持ち式US装置を形成するために、ハウジング内に超音波(US)プローブを形成することを含んでいてもよい。1つの実施形態では、ハウジングは、静脈内治療システム内のUSプローブおよび磁場検出器との干渉を回避するように、プラスチックまたは他の非金属材料で製造されていてもよい。USプローブは、電源からの電気信号を超音波に変換し、およびUSプローブで受信された超音波を電気信号に変換する、任意のデバイスであってもよい。USプローブの動作中、USプローブは、電気信号を受信し、およびその電気信号を、患者の体の一部に入るように連続的あるいはパルス的に向けられる超音波に変換してもよい。超音波が患者の体に入ると、それらの超音波は、患者の体内の構造から反射され、およびUSプローブに、反射されて戻る可能性がある。反射された超音波が時間枠内にUSプローブに到達したとき、時にはエネルギーが患者の体の深さを通過するのにかかる時間に対応して、USプローブはそれらの超音波を電気信号に戻す。これらの電気信号は、静脈内治療システムのハウジング内に収容されるプロセッサによって解釈され、および患者の体内の内部構造の画像を形成するために使用されてもよい。本明細書に提示される1つの実施形態では、プロセッサに提示され、および患者の体内の構造の画像を形成するために使用される電気信号は、静脈内治療システムのビデオディスプレイデバイスに表示されてもよい。特定の用途において、および静脈内治療システムの動作中に、USプローブは、患者の腕内の血管の位置を検出するために、患者の腕に向けられてもよい。
【0110】
方法1100は、ブロック1110において、手持ち式超音波装置内に磁場検出器を形成することをさらに含んでいてもよい。磁場検出器は、患者に挿入されるべきVADの任意の金属構成要素を検出してもよい。1つの実施形態では、磁場検出器は、USプローブに対するVADの金属構成要素の場所を検出してもよい。これらの実施形態では、静脈内治療システムのプロセッサは、VADの金属構成要素の場所に関連するオーバーレイ位置の場所データを、ビデオディスプレイデバイス上に提示される任意の画像上にオーバーレイしてもよい。例として、ビデオディスプレイデバイスが患者の腕の冠状面を表示するとき、ビデオディスプレイデバイスは、血管に入るVADの運動を示してもよい。同様に、ビデオディスプレイデバイスが患者の腕の横断面を表示するとき、ビデオディスプレイデバイスは、VADが血管と交差しようとしている軌道点を示してもよい。
【0111】
方法1100は、ブロック1115において、VADをその中に維持するために、手持ち式US装置内に血管アクセスデバイス(VAD)シャーシを形成することを含んでいてもよい。本明細書において記載されるように、VADシャーシは、静脈内治療システムの動作中に、任意のタイプのVADをその中に保持してもよい。
【0112】
方法1100はまた、ブロック1120において、超音波プローブおよび磁場検出器からデータを受信するために、手持ち式US装置内にプロセッサを形成することを含んでいてもよい。プロセッサは、本明細書に記載される超音波装置のハウジング内に収容された他のデバイスの中でもとりわけ、USプローブ、磁場検出器、およびリニアモーターに通信可能に結合されてもよい。本明細書において記載されるように、磁場検出器およびUSプローブからプロセッサによって受信されたデータは、ビデオディスプレイデバイス上で患者の体を通るVADの運動を表示するために使用されてもよい。
【0113】
方法1100は、ブロック1125において、プロセッサからデータを受信し、および患者の体内の血管の超音波画像を提示するために、手持ち式超音波装置上にディスプレイデバイスを形成することをさらに含んでいてもよい。本明細書に記載される実施形態において、ビデオディスプレイデバイスで生成されたデータは、患者の体内にVADを手動でまたは自動的に向けるために、臨床医または他のHCPによって使用されてもよい。ビデオディスプレイデバイスは静脈内治療システムのハウジングに形成されるため、臨床医または他のHCPがリアルタイムで患者の体内へのおよび患者の体を通るVADの前進を監視することができるように、臨床医または他のHCPは、VADが患者の体内に挿入されている場所に視線を保ってもよい。他の実施形態において、ビデオディスプレイデバイスは、VADの適切な初期配置を評価するために使用されてもよく、および患者の体内のVADのその後の留置の評価を提供してもよい。
【0114】
方法1100はまた、ブロック1130において、VADを患者の体内の血管にアクセスさせるために、VADシャーシからVADを前進させるために、手持ち式超音波装置内にリニアモーターを形成することを含んでいてもよい。本明細書において記載されるように、複数のリニアモーターおよび/または回転モーターは、VADが患者の体内の識別された血管と交差することができるように、VADがたどる決定された軌道に沿ってVADを位置合わせするために使用されてもよい。したがって、これらのモーターは、VADを任意のx、y、またはz座標平面に沿って任意の方向に配向または回転させるように、VADを制御することができる。本明細書に記載される静脈内治療システムの実装中に、プロセッサは、VADの遠位先端から血管内の所定の場所に至る、患者の体を通る軌道経路を作成していてもよい。プロセッサは、臨床医または他のHCPによるVAD前進ボタンの作動を通じて、リニアモーターに、この経路に沿っておよび患者の血管内にVADの遠位先端を通過させるように指示してもよい。他の実施形態において、臨床医は、軌道がたどられていないときに、臨床医または他のHCPに視覚アラート、触覚アラート、または可聴アラートを提供するプロセッサを用いて、作成された軌道に基づいて、VADを患者の体に手動で通過させてもよい。結果として、方法1100は、静脈内治療システムのハウジングへのスピーカーおよび/または触覚フィードバックデバイスの形成をさらに含んでいてもよい。
【0115】
1つの実施形態では、方法1100は、静脈内治療システムのハウジング内にバッテリおよびデータ記憶装置を形成することをさらに含んでいてもよい。データ記憶装置が、静脈内治療システムの動作中にプロセッサによってアクセスされるデータおよびコンピュータ可読プログラムコードを維持している間、バッテリは、静脈内治療システム内の異なるデバイスに電力を供給していてもよい。
【0116】
本明細書に記載される実施形態は、その中の血管に適切かつ容易にアクセスするために、患者の体内にVADを向けるために使用される視覚表示デバイスを含む静脈内治療システムを提供する。これらの実施形態は、患者の体の内部構造を検出し、および血管のようなそれらの内部構造の画像をUS装置のハウジングに物理的におよび動作可能に結合されたディスプレイデバイス上に表示する、US装置を実装する。患者の体内へのVADの手動挿入中に、臨床医または他の医療提供者は、US装置内に収容された磁場検出器の使用を介して、VADの遠位先端が血管内の標的場所に対してどこにあるかを検出してもよい。VADの金属先端(metal tip)は、ユーザーが挿入中にVADをどのように方向付けるかをより容易に認識し得るように、ビデオディスプレイデバイスで提示されるUS画像上にオーバーレイされてもよい。加えて、もしVADの現在の軌道が、計算された軌道から目標が外れている(off target)場合に、VADの手動挿入が監視され得、および変更が臨床医または他のHCPに提示され得るように、軌道は、US装置のプロセッサによって計算されてもよい。このことは、患者の体内へのVADの正確かつ高精度な配置を可能にし、結果的に、患者の体の組織の損傷が少なくなり、および患者によって経験される不安が少なくなる。
【0117】
追加の実施形態において、VADは、VADシャーシおよびリニアモーターの使用を通して、患者の体内により正確に挿入され得る。VADシャーシは、プロセッサがUS装置からのデータ、ならびにVADの患者および目的に関連する他のデータを受信した後に、臨床医または他のHCPに推奨されたVADを保持するために使用されてもよい。VADシャーシ内にVADを結合すると、静脈内治療システムは、プロセッサによって計算された軌道へのVADの位置合わせを制御する任意の数のリニアモーターを作動させてもよい。したがって、この実施形態では、臨床医または他のHCPは、自動VAD配置システムがVADを推奨軌道に沿って患者の体内におよび患者の体を通して配置する間、静脈内治療システムを患者の腕上の場所に維持し得る。この場合もやはり、静脈内治療システムが移動させられる場合、アラートシステムは、VADが適切に前進させられ得るように静脈内治療システムが適切な位置に戻されるべきであることを臨床医に示してもよい。ビデオディスプレイデバイスは、患者の体の内部構造のリアルタイム画像ならびに体内のVADの場所を表示するので、臨床医はいつでもVADの軌道をより適切に評価し得る。したがって、静脈内治療システムは、より正確かつ高精度に血管内のVADの位置を突き止めるように、継続的な(continual)フィードバックループを提供する。
【0118】
静脈内治療システム内のUS装置の使用により、ビデオ記録は生成され、および、使用されているVAD、VADの挿入のデータと時間、任意の患者データ、およびVADの意図される用途を説明するようにEHRが維持され得るように、静脈内治療システムの内部または遠隔のメモリデバイスに保存されてもよい。このことは、任意の所定の患者に関連するケアのより堅牢な記録を作成し、それによって、提供される任意の医療の効率を向上させ得る。これらの記録は、静脈内治療システムが有線または無線接続を介して情報取り扱いシステムまたは他のコンピューティングデバイスにデータを転送するときに中央データベースに保持されてもよい。
【0119】
この場合もやはり、本出願の実施形態は組み合わせられてもよいことが理解される。1つの例として、
図1から
図9の実施形態は、実行されている動作のタイプに基づいて特定の用途に適合するように構成されてもよい。例えば、動脈がVADによってアクセスされる場合、静脈内治療システムは、インジケータシステムを介して、任意の静脈を回避しながら動脈の場所を示してもよい。このことは、患者の体内の特定の場所へのある薬剤の導入を、その薬剤が患者の体全体に分配されることを心配することなく、可能にし得る。同様に、静脈がアクセスされるときは、動脈は回避され得る。
【0120】
本明細書において列挙されるすべての例示および条件付き文言は、本技術を促進するために、読者が本発明および本発明者によって寄与された概念を理解することの助けとなるような教育的(pedagogical)目的が意図されており、およびそのような具体的に列挙されている例示および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本開示の実施形態は詳細に説明されているが、開示された実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に対する、さまざまな変更、置換、および改変がなされ得ることを理解されたい。