(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】家具用ヒンジ
(51)【国際特許分類】
E05D 3/14 20060101AFI20240119BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20240119BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
E05D3/14 A
F16B5/02 E
A47B55/00
(21)【出願番号】P 2021547678
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 AT2020060008
(87)【国際公開番号】W WO2020163884
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-09-13
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イルメラ マーラ ゲラー
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第1447293(GB,A)
【文献】国際公開第2016/156514(WO,A1)
【文献】特開2013-91925(JP,A)
【文献】特開平2-240384(JP,A)
【文献】特開2008-25269(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038228(WO,A1)
【文献】特開2011-19682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00 - 9/00
F16B 5/02
A47B 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)を旋回可能に接続するための家具用ヒンジ(4)と、前記家具用ヒンジ(4)を前記家具キャビネット(2)に取り付けるための取付けアダプタ(11)とを備えた装置であって、前記家具用ヒンジ(4)は、互いに枢着された少なくとも2つの金具部材(5,6)を有しており、前記家具用ヒンジ(4)の前記金具部材(5,6)のうちの少なくとも1つは、前記家具キャビネット(2)の板状の部材の内側
の少なくとも所定の領域に直接埋め込み可能に形成されている、装置において、
前記取付けアダプタ(11)は、前記家具キャビネット(2)に固定するための少なくとも1つの固定装置(12)と、前記家具用ヒンジ(4)の
、前記家具キャビネット(2)の前記所定の領域に直接埋め込み可能な前記金具部材(5,6)を少なくとも所定の領域で収容するための少なくとも1つの凹部(13)とを有し、
前記固定装置(12)は、前記金具部材(5,6)が
直接埋め込まれる
前記家具キャビネット(2)の前記所定の領域の外側において、前記家具キャビネット(2)に固定されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記取付けアダプタ(11)の前記凹部(13)の輪郭は、金具部材(5,6)の輪郭に実質的に適合している、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記家具用ヒンジ(4)の金具部材(5,6)は、前記取付けアダプタ(11)と結合された状態で、その殆どの部分が、前記取付けアダプタ(11)の前記凹部(13)の内側に収容されている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記家具用ヒンジ(4)の金具部材(5,6)は、前記取付けアダプタ(11)と結合された状態で、実質的に全体が、前記取付けアダプタ(11)の前記凹部(13)の内側に収容されている、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記取付けアダプタ(11)の前記凹部(13)は、実質的にポケット状に形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
金具部材(5,6)は、ケーシング(6a)を有しており、前記ケーシングは、その殆どの部分が、前記取付けアダプタ(11)の前記凹部(13)の内側に収容可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記ケーシング(6a)は、実質的に直方体状である、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記ケーシング(6a)は、実質的に全体が、前記取付けアダプタ(11)の前記凹部(13)の内側に収容可能である、請求項6又は7記載の装置。
【請求項9】
前記家具用ヒンジ(4)の前記ケーシング(6a)は、高さ方向の延在と長手方向の延在とを有していて、この場合、前記長手方向の延在は、前記高さ方向の延在よりも少なくとも3倍大きい、請求項6から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記長手方向の延在は、前記高さ方向の延在よりも少なくとも6倍大きい、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記取付けアダプタ(11)は、組付け状態で、前記家具キャビネット(2)から横方向に突出している、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記固定装置(12)は、ねじ(16)を通すための少なくとも1つの開口を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記固定装置(12)は、前記取付けアダプタ(11)に予め取り付けられた少なくとも1つのねじ(16)を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記装置はさらに、前記家具キャビネット(2)に予め取り付け可能な組付け部品(15)を有しており、前記取付けアダプタ(11)は、前記家具キャビネット(2)に予め取り付けられた前記組付け部品(15)に取外し可能に接続可能である、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記取付けアダプタ(11)は、前記家具キャビネット(2)に予め取り付けられた前記組付け部品(15)に取外し可能にロック可能である、請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記取付けアダプタ(11)の前記固定装置(12)は、ロック装置(14)を有していて、前記ロック装置は、ばね的な、または蓄力器によって負荷される少なくとも1つのロックエレメント(14a)を有しており、前記ロックエレメント(14a)は前記組付け部品(15)に取外し可能にロック可能である、請求項14又は15記載の装置。
【請求項17】
前記ロック装置(14)は少なくとも1つの保持エレメント(14b)を有しており、前記保持エレメントは、前記組付け部品(15)と接続した状態で、前記組付け部品(15)の溝(17)内に係合している、請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記ロック装置(14)の前記保持エレメント(14b)は、円筒状のピンとして形成されている、請求項17記載の装置。
【請求項19】
家具キャビネット(2)と、可動に支持された家具部分(3)とを備えた家具(1)であって、前記家具部分が、請求項1から18までのいずれか1項記載の少なくとも1つの装置によって、前記家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持されている、家具(1)。
【請求項20】
前記家具キャビネット(2)は、上面(8)と、下面(9)と、前記上面(8)と前記下面(9)との間に延在する側壁(10)とを有しており、家具用ヒンジ(4)が、取付けアダプタ(11)を介して、前記家具キャビネット(2)の前記側壁(10)に取り付けられている、請求項19記載の家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分を旋回可能に接続するための家具用ヒンジと、この家具用ヒンジを家具キャビネットに取り付けるための取付けアダプタとを備えた装置であって、家具用ヒンジは、互いに枢着された少なくとも2つの金具部材を有しており、家具用ヒンジの金具部材のうちの少なくとも1つは、家具キャビネットの板状の部材の内側に少なくとも所定の領域で埋め込まれるように形成されている、装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、家具キャビネットと、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分と、可動の家具部分を動かすための少なくとも1つの家具用ヒンジとを備えた家具に関する。
【0003】
国際公開第2016/174071号には
図9に、ドアを旋回可能に支持するための家具用ヒンジが示されており、この場合、家具用ヒンジの両金具部材の一方は、家具キャビネットの板状の家具部分に設けられた凹部の内側に収容されている。この種の家具用ヒンジは、例えば、家具キャビネットの内側に、家事用機器(電気コンロ、電子レンジ、冷蔵庫、食洗機、衣類乾燥機、洗濯機)を取り付けるべき場合に使用することができ、この場合、家事用機器は、家具キャビネットの対向する2つの鉛直方向の壁の間に設置されている。このような場合には、家事用機器と、家具キャビネットの鉛直方向の壁との間には、家具用ヒンジを配置するためのスペースがない。このような家事用機器を配置しない場合でも、家具キャビネットの板状の部材内に埋め込み可能な家具用ヒンジには、家具用ヒンジが、外側から視覚的に殆ど見えず、このため設計上の手段として適している。
【0004】
独国特許出願公開第202017102809号明細書には、家具用フラップを動かすための家具駆動装置が開示されており、家具駆動装置のケーシングは、家具キャビネットの鉛直方向に延在する側壁の内側に組み込まれるように形成されている。
【0005】
米国特許出願公開第2015/361699号明細書には、ヒンジアームと、このヒンジアームに枢着されたヒンジパン(Scharniertopf)とを備えた家具用ヒンジが示されており、この場合、ヒンジアームはシェル内で、家具キャビネットに取り付けられていて、ヒンジパンは、可動の家具部分の凹部内に埋め込まれている。
【0006】
このような家具用ヒンジの少なくとも1つの金具部材は、すなわち、家具キャビネットの板状の部材内に、すなわち例えば、家具キャビネットの水平方向に延在する上面内に、または水平方向に延在する下面内に、埋め込まれるように形成されている。家具用ヒンジによって動かしたい扉が、所定の高さを超過する場合は、少なくとも1つの付加的な家具ヒンジを取り付ける必要がある。しかしながら、このような付加的な家具用ヒンジは、家具キャビネットが、中間底面または横梁を有していて、その内部に、家具用ヒンジの金具部材を埋め込むことができる場合にのみ配置することができる。
【0007】
さらに、家具キャビネットが、第1の家具用ヒンジの1つの金具部材を埋め込むことができる、水平方向に延在する1つだけの第1の家具板しか有していないという組付け状態がある。しかしながら、第2の家具用ヒンジを取り付けるためには、第2の家具板が必要であるが、(例えば、シンクまたはコンロが、キッチンの調理台から張り出している場合に)しばしば第2の家具板は存在しない。したがって、この場合、第2の家具用ヒンジを、扉を旋回可能に支持するために、家具キャビネットに適切に取り付ける手段が欠如している。
【0008】
本発明の課題は、上述した欠点を回避する冒頭で述べた形式の家具用ヒンジを提供することであり、この場合、家具キャビネットへのこのような家具用ヒンジの組付けは、中間底面または横梁が設けられていなくても可能である。
【0009】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴により解決される。本発明のさらなる実施例は、従属請求項に定義されている。
【0010】
本発明によれば、取付けアダプタが、家具キャビネットに固定するための少なくとも1つの固定装置と、家具用ヒンジの埋め込み可能な金具部材を少なくとも所定の領域で収容するための少なくとも1つの凹部とを有している。
【0011】
すなわち、通常、板状の家具部分内に埋め込まれる、家具用ヒンジの金具部材は、取付けアダプタの凹部内に少なくとも部分的に収容可能であり、この場合、取付けアダプタは、少なくとも1つの固定装置によって家具キャビネットに固定することができる。家具用ヒンジが家具キャビネットに組み付けられた状態で、家具用ヒンジは、取付けアダプタとともに、板状の家具部分に取り付けられていて、取付けアダプタの固定手段以外は完全に、取付けアダプタが固定されている板状の家具部分の外側に配置されている。
【0012】
1つの実施例によれば、取付けアダプタの凹部の輪郭は、金具部材の輪郭に実質的に適合していてよい。
【0013】
家具用ヒンジの金具部材は、取付けアダプタと結合された状態で、殆どの部分が、好適には実質的に全体が、取付けアダプタの凹部の内側に収容されていてよい。
【0014】
取付けアダプタの凹部は、実質的にポケット状に(すなわち、袋孔として)形成されていてよい。これに対して、金具部材は、好適には、実質的に直方体状のケーシングを有していてよく、このケーシングは、取付けアダプタの凹部の内側に、その殆どの部分が、好適には実質的に全体が収容可能である。
【0015】
家具用ヒンジのケーシングは、高さ方向の延在と長手方向の延在とを有していてよく、この場合、長手方向の延在は、高さ方向の延在よりも少なくとも3倍、好適には少なくとも6倍大きい。
【0016】
取付けアダプタは、取付け状態で、家具キャビネットから横方向に突出していてよい。
【0017】
固定装置は、ねじを通すための少なくとも1つの開口を有していてよい。これに対して代替的にまたは付加的に、固定装置は、取付けアダプタに予め取り付けられた少なくとも1つのねじを有していてよい。
【0018】
本発明の好適な実施例によれば、装置はさらに、家具キャビネットに予め取り付け可能な組付け部品を有していてよく、この場合、取付けアダプタは、家具キャビネットに予め取り付けられた組付け部品に取外し可能に接続可能であって、好適には取外し可能にロック可能である。
【0019】
取付けアダプタの固定装置は、ロック装置を有していてよく、このロック装置は、ばね的な、または蓄力器によって負荷される少なくとも1つのロックエレメントを有しており、ロックエレメントは組付け部品に取外し可能にロック可能である。ロック装置は、少なくとも1つの保持エレメントを、例えば円筒状のピンを有していてよく、この保持エレメントは、組付け部品との接続状態で、組付け部品の溝に係合している。
【0020】
本発明のその他の詳細および利点は、以下の図面の説明につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】家具キャビネットと、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分とを備える家具の斜視図である。
【
図2】家具用ヒンジを家具キャビネットに取り付けることができる取付けアダプタの詳細図である。
【
図3a】分離された状態の家具用ヒンジと取付けアダプタとを示す図である。
【
図3b】結合された状態の家具用ヒンジと取付けアダプタとを示す図である。
【
図4a】家具キャビネットへの取付けアダプタの代替的な固定を示す図である。
【
図4b】家具キャビネットへの取付けアダプタの代替的な固定を示す図である。
【0022】
図1は、家具1の斜視図を示しており、この家具は、家具キャビネット2と、家具キャビネット2に対して相対的に可動に支持された家具部分3とを備える。家具キャビネット2は水平方向に延在する上面8と、互いに離間して位置する2つの平行な鉛直方向の側壁10,10aと、水平方向に延在する下面9とを有している。可動の家具部分3は、図示した実施例では、家具用ヒンジ4によって、家具キャビネット2に対して相対的に、鉛直方向に延在する軸線を中心として旋回可能に支持されている。家具用ヒンジ4は、少なくとも1つのジョイントレバー7によって互いに枢着されているそれぞれ2つの金具部材5,6を含む。家具用ヒンジ4の少なくとも1つの金具部材5,6は、少なくとも所定の領域で、家具キャビネット2の板状の部材(すなわち、例えば、上面8における、下面9における、または側壁10,10aにおける)の内側に埋め込まれるように形成されている。図示した実施例では、家具用ヒンジ4の両金具部材5,6が、好適には材料厚20mm未満の板状の部材の内側に、少なくとも部分的に、好適にはほぼ完全に、埋め込み可能である。家具キャビネット2の所属の板状の部材において金具部材5,6を埋め込むことができるように、板状の部材には、金具部材5,6を収容するための相応の凹部が設けられている。
【0023】
上面8および/または下面9に家具用ヒンジ4を配置するのはほぼ問題ないが、上面8と下面9との間に位置する家具用ヒンジ4の固定は、ここには棚板または横梁が設けられていないので通常、困難を伴う。互いに上下に配置される3つの家具用ヒンジ4は、これら家具用ヒンジ4の回転軸線を鉛直方向で互いに整合させるために、同一に形成することができる。このようにして、2つの異なる固定形式のために(一方では上面8および下面9において、他方では側壁10において)、同一形式の家具用ヒンジ4を使用することができる。
【0024】
側壁10に家具用ヒンジ4を組み付けるためには取付けアダプタ11が設けられており、この取付けアダプタは、家具キャビネット2に取付けアダプタ11を固定するための少なくとも1つの固定装置12と、金具部材6を少なくとも部分的に収容するための、好適にはポケット状に形成された少なくとも1つの凹部13とを有している。家具キャビネット2に固定するための固定装置12は、ねじ16を通すための少なくとも1つの開口および/または取付けアダプタ11に予め取り付けられたねじ16および/またはロック装置14を有することができ、このロック装置によって、取付けアダプタ11は、家具キャビネット2に固定するべき組付け部品15(
図3b)に取外し可能にロック可能である。このようにして、上面8および下面9に対して離間していて、上面8および下面9に埋め込まれる家具用ヒンジ4と同一に形成することができる少なくとも1つの付加的な家具用ヒンジ4の配置が可能となる。
【0025】
図2には、家具用ヒンジ4を、家具キャビネット2に、この場合、側壁10に取り付けることができる取付けアダプタ11の詳細図が示されている。取付けアダプタ11は、家具キャビネット2に固定するための少なくとも1つの固定装置12と、家具用ヒンジ4の金具部材6を少なくとも部分的に収容するための少なくとも1つの凹部13とを有している。凹部13の輪郭は、金具部材6が凹部13内に、実質的に形状接続的に収容可能であるように、金具部材6の輪郭に適合させることができる。他方の金具部材5は、可動の家具部分3に配置された凹部内に、大部分が、好適にはほぼ全体が収容されている。図示した組付け状態では、側壁10に取り付けられた取付けアダプタ11は、側壁10から横方向に突出している。
【0026】
図3aには、家具用ヒンジ4と、取付けアダプタ11とが、分離された状態で示されている。金具部材6は、例えば、実質的に直方体状のケーシング6aを有していてよく、このケーシングは、取付けアダプタ11の凹部13内に、少なくとも部分的に、好適には実質的に完全に収容可能である。ケーシング6aは、高さ方向の延在と長手方向の延在とを有していてよく、この場合、長手方向の延在は、高さ方向の延在よりも少なくとも3倍、好適には少なくとも6倍大きい。取付けアダプタ11の固定装置12は、ロック装置14を有することができ、このロック装置によって、取付けアダプタ11は、家具キャビネット2に固定すべき組付け部品15(
図3b)に取外し可能にロック可能である。ロック装置14は、例えば円筒状のピンの形態の少なくとも1つの保持エレメント14bを有していて、この保持エレメント14bは、組付け部品15との結合状態で、組付け部品15の溝17に係合している。さらに、ロック装置14は、ばね的なまたは蓄力器によって負荷される少なくとも1つのロックエレメント14aを有していてよく、このロックエレメントは組付け部品15に取外し可能にロック可能である。
【0027】
図3bには、家具用ヒンジ4と取付けアダプタ11とが結合された状態で示されており、金具部材6のケーシング6aは実質的に完全に、取付けアダプタ11の凹部13内に収容されている。組付け部品15は、少なくとも1つのねじ16によって家具キャビネット2に予め取り付けられており、取付けアダプタ11は、ロック装置14によって、家具キャビネット2に予め取り付けられた組付け部品15に取外し可能にロック可能である。取付けアダプタ11を組み付けるためには、まず1つの保持エレメント14bを、組付け部品15の溝17内に導入し、次いで、取付けアダプタ11を、可動に支持されたロックエレメント14aによって、組付け部品15に取外し可能にロックすることができる。組付け部品15は、標準的な構成部品として形成することができ、この組付け部品によって、従来技術により公知の他の構成形式の家具用ヒンジも、特にヒンジパンを備えた家具用ヒンジも、家具キャビネット2に固定することができる。
【0028】
図4aには、家具キャビネット2への取付けアダプタ11の代替的な固定が示されている。固定装置12は、家具キャビネット2に固定すべき組付け部品15を含み、この組付け部品はねじ16によって家具キャビネット2に予め取り付けることができる。取付けアダプタ11は、予め取り付けられた組付け部品15に、被せ嵌めによって、差込みによって、または押込みによって、取外し可能に結合可能である。
【0029】
図4bには、
図4aの実施例が別の斜視図で示されている。組付け部品15は、第1の組付けステップで、ねじ16によって家具キャビネット2に固定される。さらなる組付けステップでは、組付け部品15の第1の支持個所19aに取付けアダプタ11が引っ掛けられ、この第1の支持個所19aを中心として旋回されて、次いで、好適にはばね的なスナップを備えた第2の支持個所19bによって、組付け部品15に取外し可能に結合される。