(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】電池、その関連装置、製造方法及び製造機器
(51)【国際特許分類】
H01M 50/367 20210101AFI20240119BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240119BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20240119BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240119BHJP
H01M 50/375 20210101ALI20240119BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240119BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240119BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240119BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240119BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240119BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240119BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240119BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240119BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20240119BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M50/342 201
H01M50/342 101
H01M50/505
H01M50/204 401H
H01M50/375
H01M50/271 Z
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/6556
H01M10/6563
H01M10/6568
H01M50/249
H01M10/625
H01M50/35 201
(21)【出願番号】P 2021576383
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2020101439
(87)【国際公開番号】W WO2022006894
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2021-12-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲曾▼ 毓群
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】李 耀
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲凱▼
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102017212223(DE,A1)
【文献】特表2013-509688(JP,A)
【文献】国際公開第2013/034225(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30-50/392
H01M 50/20-50/298
H01M 10/52-10/667
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
複数の電池セルであって、前記複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは、前記少なくとも1つの電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった時に作動して前記内部圧力を放出するためのリリーフ機構を備える複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを電気的に接続するためのバス部材と、
を備え、
前記リリーフ機構及び前記バス部材はそれぞれ前記少なくとも1つの電池セルの異なる側に配置され、前記リリーフ機構が作動する時に前記少なくとも1つの電池セルからの排出物を前記バス部材から離れる方向に沿って排出させ、
前記電池は熱管理部材と、収集キャビティと、をさらに備え、
前記熱管理部材は流体を収容して前記複数の電池セルの温度を調整することに用いられ、
前記熱管理部材は前記リリーフ機構が作動する時に
破壊されて、前記電池セルからの排出物
を前記熱管理部材
に通過
させるように構成され、
前記収集キャビティは前記リリーフ機構が作動する時に前記電池セルからの排出物を収集することに用いられる電池。
【請求項2】
前記熱管理部材は前記リリーフ機構が作動する時に破壊されて、前記流体を流出させるように構成される請求項
1に記載の電池。
【請求項3】
前記熱管理部材は、
前記複数の電池セルに取り付けられる第1熱伝導板と、
前記第1熱伝導板の前記電池セルから離れる側に配置される第2熱伝導板と、
前記第1熱伝導板と前記第2熱伝導板との間に前記流体が流れるために形成される流路と、を備える請求項
1又は
2に記載の電池。
【請求項4】
前記熱管理部材は、
前記リリーフ機構の作動を可能にする空間を提供するように構成される逃げ構造をさらに備え、
前記熱管理部材は前記複数の電池セルに取り付けられて前記逃げ構造と前記リリーフ機構との間に逃げキャビティを形成し、又は、前記逃げ構造は前記熱管理部材を貫通する貫通孔であり、前記逃げ構造の逃げ側壁は前記貫通孔の孔壁である請求項
1~
3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記逃げ構造は逃げ底壁及び前記逃げキャビティを取り囲む逃げ側壁を備え、且つ前記逃げ底壁は、前記リリーフ機構が作動する時に破壊されて、前記電池セルからの排出物を前記熱管理部材に通過させるように構成される請求項
4に記載の電池。
【請求項6】
前記逃げ側壁は前記リリーフ機構が作動する時に破壊されて、前記流体を流出させるように構成される請求項
4又は
5に記載の電池。
【請求項7】
前記逃げ側壁は前記リリーフ機構の前記熱管理部材に向かう方向に対して所定の夾角をなし、且つ前記所定の夾角は15°以上85°以下である請求項
5又は
6に記載の電池。
【請求項8】
前記収集キャビティは前記リリーフ機構が作動する時に前記熱管理部材からの排出物を収集することに用いられ、
前記逃げキャビティ及び前記収集キャビティは前記熱管理部材によって分離され、又は、前記逃げ構造及び前記収集キャビティは連通する請求項
4又は
5に記載の電池。
【請求項9】
保護部材をさらに備え、前記保護部材は前記熱管理部材の前記電池セルから離れる側に配置され、且つ前記収集キャビティは前記熱管理部材と前記保護部材との間に配置される請求項
8に記載の電池。
【請求項10】
前記電池セルは、複数の壁で囲んで形成された、開口部を有するハウジング及び前記開口部を密閉するカバー板をさらに備え、
前記リリーフ機構は前記複数の壁のうちの少なくとも1つの壁に配置される請求項1~
9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
前記リリーフ機構の外面は前記少なくとも1つの壁の外面と同一平面上にある又は前記少なくとも1つの壁の外面に凹んでおり、又は、
前記リリーフ機構は前記複数の壁のうち隣接する2つの壁の間のコーナー部に配置され、又は、
前記リリーフ機構は複数設置され、複数の前記リリーフ機構は前記複数の壁のうちの1つの壁に配置され、又は、
複数の前記リリーフ機構は前記複数の壁のうちの少なくとも2つの壁に配置される請求項
10に記載の電池。
【請求項12】
電気エネルギーを供給するための請求項1~
11のいずれか一項に記載の電池を備える装置。
【請求項13】
電池製造方法であって、
複数の電池セルを提供するステップであって、前記複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは、前記少なくとも1つの電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった時に作動して前記内部圧力を放出するためのリリーフ機構を備えるステップと、
バス部材を提供して、前記バス部材を前記複数の電池セルに電気的に接続するステップと、
前記リリーフ機構及び前記バス部材をそれぞれ前記少なくとも1つの電池セルの異なる側に配置して、前記リリーフ機構が作動時に前記少なくとも1つの電池セルからの排出物を前記バス部材から離れる方向に沿って排出させるステップと、
熱管理部材を提供するステップであって、前記熱管理部材は流体を収容して前記複数の電池セルの温度を調整することに用いられ、
前記熱管理部材は前記リリーフ機構が作動する時に
破壊されて、前記電池セルからの排出物
を前記熱管理部材
に通過
させるように構成されるステップと、
前記リリーフ機構が作動する時に前記電池セルからの排出物を収集するための収集キャビティを提供するステップと、を含む電池製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池分野に関し、具体的には電池、その関連装置、製造方法及び製造機器に関する。
【背景技術】
【0002】
化学電池、電化電池、電気化学電池又は電気化学セルとは、酸化還元反応により、正極、負極活物質の化学エネルギーを電気エネルギーに変換する装置を指す。一般的な酸化還元反応とは異なり、酸化と還元反応は別々に行われ、酸化は負極で行われ、還元は正極で行われ、電子の増減は外部回路を介して行われ、それにより電流が形成される。これは全ての電池の本質的な特徴である。長期にわたる研究、発展の結果、化学電池は様々な種類があり、用途が多くなる。建物にしか収容できない大きな装置から、ミリメートルで計算する種類までの装置が挙げられる。現代の電子技術の発展は、化学電池に対して高い要件を求める。化学電池技術のあらゆる進展は、電子機器の革新的な発展をもたらしている。世界中の多くの電気化学科学者は、電気自動車の電力としての化学電池の分野に研究の関心を集中している。
【0003】
リチウムイオン電池は、化学電池の1つとして、体積が小さく、エネルギー密度が高く、電力密度が高く、サイクル使用の回数が多く、保存時間が長い等の利点を有し、いくつかの電子機器、電動交通機関、電動玩具及び電動機器に幅広く応用され、例えば、リチウムイオン電池は現在、携帯電話、ノートパソコン、電気自転車、電気自動車、電動飛行機、電動船、電動玩具車、電動玩具船、電動玩具飛行機及び電動工具等に幅広く応用される。
【0004】
リチウムイオン電池技術の継続的な発展に伴い、リチウムイオン電池の性能に対する要件が高くなり、リチウムイオン電池が複数の設計要素を同時に考慮することが期待され、その中で、リチウムイオン電池の安全性能は特に重要である。
【発明の概要】
【0005】
本願は、電池の安全性能を向上させるために、電池、その関連装置、製造方法及び製造機器を提供する。
【0006】
本願の第1態様によれば、電池を提供し、該電池は、複数の電池セルであって、複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは、少なくとも1つの電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった時に作動して内部圧力を放出するためのリリーフ機構を備える複数の電池セルと、複数の電池セルを電気的に接続するためのバス部材と、を備え、リリーフ機構及びバス部材はそれぞれ少なくとも1つの電池セルの異なる側に配置され、リリーフ機構が作動する時に少なくとも1つの電池セルからの排出物をバス部材から離れる方向に沿って排出させる。
【0007】
リリーフ機構及びバス部材の配置方式により、電池の安全性能を顕著に向上させる。先ず、例えば電池が電気自動車に応用され且つ内部に熱暴走が発生した場合、電池セルの排出物が運転室内の乗客に排出されることはなく、それにより該電池を使用する電気自動車の安全性を向上させる。次に、リリーフ機構及びバス部材がそれぞれ電池セルの異なる側に配置されるため、電池セルの排出物はバス部材の短絡をもたらすこともなく、それによりバス部材の短絡によるリスクを顕著に低減させ、電池の安全性能を向上させる。
【0008】
いくつかの実施例では、電池は熱管理部材をさらに備え、熱管理部材は流体を収容して複数の電池セルの温度を調整することに用いられ、且つ熱管理部材はリリーフ機構が作動する時に破壊されて、電池セルからの排出物を熱管理部材に通過させることができるように構成される。熱管理部材を設置することにより、電池セルの温度を柔軟で能動的に制御することができる。また、電池の内部に熱暴走が発生した場合、電池セルの排出物は効果的に排出でき、それにより、排出物の排出不良によるリスクを低減させる。
【0009】
いくつかの実施例では、熱管理部材はリリーフ機構が作動する時に破壊されて、流体を流出させることができるように構成される。このような配置方式により、電池セルからの高温高圧排出物を効果的に降温し、電池の安全性能を向上させることができる。
【0010】
いくつかの実施例では、熱管理部材は、複数の電池セルに取り付けられる第1熱伝導板と、第1熱伝導板の電池セルから離れる側に配置される第2熱伝導板と、第1熱伝導板と第2熱伝導板との間に流体が流れるために形成される流路と、を備える。このような方式により、熱管理部材はより容易に製造され、それにより製造コストを削減することができる。
【0011】
いくつかの実施例では、熱管理部材は、リリーフ機構の作動を可能にする空間を提供するように構成される逃げ構造をさらに備え、且つ熱管理部材は複数の電池セルに取り付けられて逃げ構造とリリーフ機構との間に逃げキャビティを形成する。逃げ構造を設置することにより、リリーフ機構が効果的に作動することを確保できる。また、逃げキャビティは電池セルの排出物を排出するための緩衝空間を提供でき、それにより電池セルの排出物による外部への衝撃圧力を低減させ、電池の安全性能をさらに向上させる。
【0012】
いくつかの実施例では、逃げ構造は逃げ底壁及び逃げキャビティを取り囲む逃げ側壁を備え、且つ逃げ底壁はリリーフ機構が作動する時に破壊されて、電池セルからの排出物を熱管理部材に通過させることができるように構成される。このような配置は、簡単な方式及び低いコストでリリーフ機構が作動する時に排出物を熱管理部材に通過させるという目的を実現する。
【0013】
いくつかの実施例では、熱管理部材は、リリーフ機構の作動を可能にする空間を提供するように構成される逃げ構造をさらに備え、且つ逃げ構造は熱管理部材を貫通する貫通孔であり、逃げ構造の逃げ側壁は貫通孔の孔壁である。貫通孔の方式を用いることにより、電池セルからの排出物を迅速に貫通孔を通過させて電池から排出させることができ、それにより排出不良による二次高圧のリスクを低減させ、電池の安全性能を向上させる。
【0014】
いくつかの実施例では、逃げ側壁はリリーフ機構が作動する時に破壊されて、流体を流出させるように構成される。該配置は、低コスト及び簡単な方式で流体を流出させることができ、それにより電池自体の流体を利用して電池セルからの排出物の温度を迅速に下げ、電池の安全性能をさらに向上させる。
【0015】
いくつかの実施例では、逃げ側壁はリリーフ機構の熱管理部材に向かう方向に対して所定の夾角をなし、且つ所定の夾角は15°以上85°以下である。このような方式により、逃げ構造はより容易に製造され、また、逃げ側壁が電池セルからの排出物により破壊されることを促進して、流体が流出できることを確保できる。
【0016】
いくつかの実施例では、熱管理部材は放出機構を備え、放出機構は、リリーフ機構が作動する時に作動されて、少なくとも電池セルからの排出物が熱管理部材を通過して排出されることを可能にするように構成される。このような配置は、簡単で効果的な方式で排出物が熱管理部材を適時に通過できることを確保する。
【0017】
いくつかの実施例では、電池は、リリーフ機構が作動する時に電池セル及び熱管理部材からの排出物を収集するための収集キャビティをさらに備え、逃げキャビティ及び収集キャビティは熱管理部材によって分離される。収集キャビティは排出物の排出に対してさらなる緩衝を提供し、排出物の衝撃圧力をさらに低減させることができる。また、収集キャビティはさらに排出物による外部への二次破壊のリスクを低減させることができる。
【0018】
いくつかの実施例では、電池は、リリーフ機構が作動する時に電池セル及び熱管理部材からの排出物を収集するための収集キャビティをさらに備え、逃げ構造及び収集キャビティは連通する。このような配置方式により、排出物が収集キャビティに順調に入り、排出物による外部へのリスクを低減させ、外部環境への汚染を低減させることができる。また、収集キャビティは排出物の排出に対してさらなる緩衝を提供し、排出物の衝撃圧力をさらに低減させることができる。
【0019】
いくつかの実施例では、電池は保護部材をさらに備え、保護部材は熱管理部材の電池セルから離れる側に配置され、且つ収集キャビティは熱管理部材と保護部材との間に配置される。保護部材は電池に追加の保護を提供でき、電池が異物によって破壊されることを回避し、及び外部の埃塵又は雑異物が電池の内部に入ることを防止する。また、保護部材及び熱管理部材はさらに収集キャビティを形成してリリーフ機構が作動する時に排出物の排出に対してさらなる緩衝を提供し、排出物の衝撃圧力を低減させる。
【0020】
いくつかの実施例では、電池は、熱管理部材と保護部材との間に配置されて収集キャビティをシールするシール部材をさらに備える。シール部材の設置により、収集キャビティ内の排出物が予想外に排出されることを効果的に防止し、それにより電池の安全性能を向上させることができる。
【0021】
いくつかの実施例では、電池はカバー本体をさらに備え、カバー本体はバス部材に隣接し且つ両者の間の距離は2mm未満である。このような配置方式により、電池構造をよりコンパクトにし、電池の内部空間の有効利用率を向上させ、且つ電池の体積エネルギー密度を向上させる。
【0022】
いくつかの実施例では、カバー本体はバス部材に接触する。該配置は、電池の高電圧部材及び低電圧制御部材が占有した空間をさらに小さくし、且つ体積エネルギー密度を向上させることができる。
【0023】
いくつかの実施例では、電池は、カバー本体と共に取り込んで複数の電池セルを収容するための電気キャビティを形成する筐体をさらに備える。筐体及びカバー本体は複数の電池セルを収容するための空間を提供し且つ電池セルを保護することができる。
【0024】
いくつかの実施例では、電池はカバー本体をさらに備え、カバー本体は、バス部材を収容できるように構成される収容空間と、カバー本体に取り付けられ且つバス部材を少なくとも被覆するように構成される絶縁部と、を備える。バス部材をカバー本体に嵌め込むことにより、電池の外部構造をよりコンパクトにし、且つ体積エネルギー密度を向上させる。且つこのような方式は電池の保守操作をより容易にする。
【0025】
いくつかの実施例では、絶縁部はカバー本体に適用され又は組み立てられる。このような方式は電池の製造により役立つ。
【0026】
いくつかの実施例では、電池は、カバー本体と共に取り込んで複数の電池セルを収容するための電気キャビティを形成する筐体と、電気キャビティの外部に少なくとも部分的に配置される電池管理ユニットと、をさらに備える。電池管理ユニットは電気キャビティの外部に少なくとも部分的に配置されて、電池、特に電池管理ユニットを保守することにより役立つ。
【0027】
いくつかの実施例では、電池管理ユニットはカバー本体内に少なくとも部分的に埋め込まれる。電池管理ユニットは電気キャビティの外部に少なくとも部分的に配置されて、電池、特に電池管理ユニットを保守することにより役立つ。
【0028】
いくつかの実施例では、熱管理部材は筐体の底部部分であり、且つ筐体は側部部分をさらに備え、側部部分と熱管理部材はシール接続される。このような方式により、筐体をより容易に製造し、製造コストを削減することができる。
【0029】
いくつかの実施例では、熱管理部材は筐体の内側に集積又は配置される。このような方式により、筐体が熱管理部材に追加の保護を提供し、それにより電池構造の安定性を向上させることができる。
【0030】
いくつかの実施例では、収集キャビティは熱管理部材と筐体との間に形成され又は筐体の内側に集積される。このような配置方式により、収集キャビティがより容易に形成され、それにより電池の製造及び保守をより容易にすることができる。
【0031】
いくつかの実施例では、電池セルは、複数の壁で囲んで形成された、開口部を有するハウジング及び開口部を密閉するカバー板をさらに備え、且つリリーフ機構は複数の壁のうちの少なくとも1つの壁に配置される。該配置は、簡単で効果的な方式でリリーフ機構及びバス部材が異なる側に配置されるという目的を実現し、且つ電池の安全性能を向上させる。
【0032】
いくつかの実施例では、リリーフ機構の外面は少なくとも1つの壁の外面と同一平面上にある又は少なくとも1つの壁の外面に凹んでいる。このような設置方式は、一方では、リリーフ機構が予想外に破壊されることを回避でき、他方では、電池の内部に熱暴走が発生した場合、リリーフ機構に所定の逃げ空間を提供することができる。
【0033】
いくつかの実施例では、リリーフ機構は複数の壁のうち隣接する2つの壁の間のコーナー部に配置される。このような配置方式により、リリーフ機構の配置をより多様化し、それにより電池セルの配置及び置きの柔軟性を向上させることができる。
【0034】
いくつかの実施例では、リリーフ機構は複数設置され、複数のリリーフ機構は複数の壁のうちの1つの壁に配置され、又は、複数のリリーフ機構は複数の壁のうちの少なくとも2つの壁に配置される。複数のリリーフ機構を設置することにより、電池の内部に熱暴走が発生した場合、迅速にリリーフすることを実現でき、それにより電池の安全性能をさらに向上させる。
【0035】
いくつかの実施例では、電池セルは少なくとも2つの壁を備え、少なくとも2つの壁は交差して設置される第1壁及び第2壁を備え、リリーフ機構は第1壁に設置され、熱管理部材は第1壁に取り付けられ、且つ電池は支持部材をさらに備え、支持部材は第2壁に取り付けられ、電池セルを支持することに用いられる。リリーフ機構を側部に配置する方式は、電池の高さ方向におけるサイズをさらに小さくすることができ、且つ電池構造をよりコンパクトにし、体積エネルギー密度を向上させることに役立つ。
【0036】
いくつかの実施例では、電池は、リリーフ機構が作動する時に電池セル及び熱管理部材からの排出物を収集するための収集キャビティをさらに備え、且つ支持部材は追加収集キャビティを備え、追加収集キャビティは収集キャビティと連通する。このような配置方式により、排出物が収集キャビティに順調に入り、排出物による外部へのリスクを低減させることができる。また、追加収集キャビティは排出物の排出に対してさらなる緩衝を提供し、排出物の衝撃圧力をさらに低減させることができる。
【0037】
いくつかの実施例では、支持部材は追加収集キャビティを備え、追加収集キャビティは収集キャビティと連通する。追加収集キャビティは排出物の排出に対してさらなる緩衝を提供し、排出物の衝撃圧力をさらに低減させることができる。
【0038】
いくつかの実施例では、電池はケースをさらに備え、ケースはカバー本体及び筐体を備え、筐体はカバー本体と共に取り込んで複数の電池セルを収容するための電気キャビティを形成し、支持部材は筐体の底部部分であり又は筐体の内側に配置される。このように、支持部材の配置方式をより多様化し、それにより電池が多様化方式で製造され、製品の製造の柔軟性を向上させることができる。
【0039】
いくつかの実施例では、支持部材は筐体の底部部分であり又は筐体の内側に配置される。このように、支持部材の配置方式をより多様化し、それにより電池が多様化方式で製造され、製品の製造の柔軟性を向上させることができる。
【0040】
いくつかの実施例では、支持部材は熱管理部材と一体成形された全体部材であり又は支持部材は熱管理部材に締結される。このように、支持部材の配置方式をより多様化し、それにより電池が多様化方式で製造され、製品の製造の柔軟性を向上させることができる。
【0041】
いくつかの実施例では、支持部材は追加流路を備え、追加流路は熱管理部材内の流体が流れるための流路と相互に連通する。このような配置方式により、流体の流れを促進でき、それにより電池の温度調整効果を向上させ、且つ排出物の排出を良好にガイドすることができる。
【0042】
いくつかの実施例では、支持部材は追加収集キャビティを備え、追加収集キャビティは収集キャビティと連通する。追加収集キャビティは排出物の排出に対してさらなる緩衝を提供し、排出物の衝撃圧力をさらに低減させることができる。
【0043】
いくつかの実施例では、電池はカバー本体と筐体との間に延在するビームをさらに備え、熱管理部材はビームと電池セルとの間に配置される。このような配置方式により、空間利用率を十分に向上させることができ、且つ電池をよりコンパクトにすることができる。
【0044】
いくつかの実施例では、ビームは中空であり、且つビームの中空空間は収集キャビティを構成する。このような配置方式により、空間利用率をさらに向上させることができる。
【0045】
いくつかの実施例では、リリーフ機構の外面は第1壁の外面と同一平面上にある又は第1壁の外面に凹んでいる。このような方式は、リリーフ機構が予想外に破壊されることを回避できるとともに、リリーフ機構の作動に所定の逃げ空間を提供することができる。
【0046】
いくつかの実施例では、電池セルは、複数の壁で囲んで形成された、開口部を有するハウジング及び開口部を密閉するカバー板をさらに備え、第1壁はカバー板又はハウジングの複数の壁のうちの少なくとも1つの壁を備える。このような配置方式により、電池セルが種々な必要な姿勢で筐体に置かれることを可能にし、それにより電池製品をより多様化することができるとともに、電池の安全性に影響を与えることはない。
【0047】
いくつかの実施例では、電池は、接着剤を介して電池セルに取り付けられるように構成される取り付け部材と、接着剤が取り付け部材とリリーフ機構との間に塗布されることを防止するように構成される分離部材と、をさらに備える。分離部材を設置することにより、電池の生産過程で接着剤が取り付け部材とリリーフ機構との間に塗布されることを効果的な方式で防止できる。また、さらに接着剤の塗布効率及び精度を向上させ、それにより電池の生産効率を向上させることができる。
【0048】
いくつかの実施例では、分離部材は、本体と、本体表面から本体外側に向かう突出方向に沿って突出し、且つ本体が取り付け部材に取り付けられる場合にリリーフ機構と突出方向に位置合わせされるように構成され、且つ外周サイズがリリーフ機構の外周サイズ以上である凸部と、を備える。このような配置により、電池の生産過程で、簡単で効果的な方式で接着剤がリリーフ機構の表面に塗布されることを防止でき、それによりリリーフ機構が作動する時に阻害することを回避する。
【0049】
いくつかの実施例では、凸部は、高さが接着剤の所定の塗布高さ以上であり、且つ複数の電池セルが取り付け部材に取り付けられる場合に接着剤の塗布高さと一致するように圧縮されるように構成される。このような配置方式により、凸部は接着剤が取り付け部材とリリーフ機構との間に塗布されることを効果的に防止できることを確保する。また、分離部材は取り付け部材とリリーフ機構との間の確実な接着及びリリーフ機構の作動に影響を与えることはない。
【0050】
いくつかの実施例では、取り付け部材は熱管理部材を備える。このように、分離部材はリリーフ機構と熱管理部材との間に応用することができ、両者の間に接着剤が存在するためリリーフ機構の作動に影響を与えることはない。
【0051】
いくつかの実施例では、リリーフ機構は感圧リリーフ機構及び感温リリーフ機構のうちの少なくとも1つを備える。このように、リリーフ機構の選択をより多様化し、製品もより多様化し、異なる使用環境及び異なるユーザーの要件を満たすことができる。
【0052】
いくつかの実施例では、リリーフ機構は、開孔及び開孔の内壁に接続され且つ開孔の軸線に向かって延在する第1ボスを備える接続ユニットと、電池セルの内部圧力が閾値になった時に作動して内部圧力を放出することに用いられ、第1ボスの一側に設置されるリリーフシートと、リリーフシートを保護することに用いられ、第1ボスのリリーフシートから離れる他側に設置される第1保護シートと、第1保護シートを圧着することに用いられ、第1保護シートの第1ボスから離れる側に設置される押圧リングと、接続ユニットに接続され、且つ開孔の軸線に向かって付勢されて押圧リングを圧着することができる付勢構造と、を備える。このような方式により、リリーフシートが電池セル内の電解液に直接接触することを回避でき、さらにリリーフシートが電解液によって腐食されることを低減させることができ、電解液のリリーフシートに対する衝撃を低減させることもでき、また、装着過程で、接続ユニットの開孔の内壁にボスを設置して、保護シート及びリリーフシートをそれぞれ該ボスの両側に設置することにより、リリーフ機構の両側を同時に装着することを実現し、装着過程を簡素化することができ、保護シートが装着された側について、押圧リングを介して保護シートを圧着し、そして付勢構造を介して押圧リングを圧着することができ、全体構造は簡単であり、操作しやすい。
【0053】
いくつかの実施例では、リリーフ機構は、リリーフシートを保護するための第2保護シートをさらに備え、第2保護シートは接続ユニットに装着され且つリリーフシートの第1ボスから離れる側に位置し、且つリリーフシートを被覆する。リリーフシートの電池セルの内部から離れる側に設置される第2保護シートは、リリーフシートを外部の部材の影響から保護することができる。
【0054】
いくつかの実施例では、電池セルは接続機構をさらに備え、接続機構は、ハウジングのリリーフ機構が配置される壁の開口部内に位置し且つリング状であり、リリーフ機構と前記壁を接続することに用いられ、リリーフ機構は接続機構のハウジングの内部に近い側に位置する。このような設置により、電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった時、リリーフ機構は、電池セルの内部圧力を放出できるように、破裂されて開かれるのに十分な空間を有する。且つ、電池セルの内部に熱暴走が発生した場合、リリーフ機構は破裂され、電池セルの内部気圧を放出するとともに、外部へ液体又は固体燃焼物を噴射し、導電性物質も含む可能性があり、リリーフ機構をハウジングに設置して、カバー板上の電極端子と同じ側に位置せず、電極端子間の短絡を回避することができ、また、電池を車両内に装着することを考慮すると、通常、電極端子を上向きにして、すなわち、乗客の方向に向かうと、リリーフ機構は電極端子と同じ側に装着されず、リリーフ機構が破裂された後に放出した気流等の物質は乗客に向かって排出されず、このように乗客に火傷又は熱傷を引き起こさず、乗客の危険を低減させる。
【0055】
いくつかの実施例では、リリーフ機構は、電池セルのハウジングのリリーフ領域として構成され、リリーフ領域は、電池セルのハウジングの内面に設置される第1凹溝及びハウジングの外面に設置される第2凹溝を備え、第1凹溝と第2凹溝は対向して設置され、第1凹溝の底壁及び/又は第2凹溝の底壁に第3凹溝が設置され、リリーフ領域は、電池セルの内部圧力が閾値になった時に第3凹溝で破裂されて内部圧力を放出するように構成される。このような方式により、リリーフ領域における第3凹溝での厚さは電池セルの他の領域の厚さよりも薄く、このように、電池セルの内部に熱暴走が発生した場合、電池セルは薄い第3凹溝で破裂されて内部圧力を放出し、且つ、本願の実施例のリリーフ領域は、電池セル上にリリーフ機構が増設される方式と比較して、加工過程がより簡単であり、例えば、加圧成形方式によって第1凹溝、第2凹溝及び第3凹溝を設置することができ、第1凹溝と第2凹溝は対向して設置され、具体的には、対向成形方式を用いてもよく、2つの凹溝を同時に加工し、加工過程が容易で迅速であり、且つ3つの凹溝のサイズ及び形状等を柔軟に設定でき、実際の応用に応じて調整することができる。
【0056】
本願の第2態様によれば、装置を提供する。該装置は上記第1態様で説明される電池を備え、該電池は該装置に電気エネルギーを供給することに用いられる。
【0057】
本願の第3態様によれば、電池製造方法をさらに提供する。該方法は、複数の電池セルを提供するステップであって、複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは、少なくとも1つの電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった時に作動して内部圧力を放出するためのリリーフ機構を備えるステップと、複数の電池セルを電気的に接続するためのバス部材を提供するステップと、リリーフ機構及びバス部材をそれぞれ少なくとも1つの電池セルの異なる側に配置して、リリーフ機構が作動する時に少なくとも1つの電池セルからの排出物をバス部材から離れる方向に沿って排出させるステップと、を含む。
【0058】
いくつかの実施例では、該方法は熱管理部材を提供するステップをさらに含み、熱管理部材は流体を収容して複数の電池セルの温度を調整することに用いられ、且つ熱管理部材はリリーフ機構が作動する時に破壊されて、電池セルからの排出物を熱管理部材に通過させるように構成される。
【0059】
いくつかの実施例では、該方法は、熱管理部材を電池セルの少なくとも2つの壁のうちの第1壁に取り付け、且つリリーフ機構を第1壁に設置するステップと、電池セルを支持するための支持部材を第2壁に取り付けるステップと、をさらに含む。
【0060】
いくつかの実施例では、該方法は、接着剤を介して電池セルに取り付けられるように構成される取り付け部材を提供するステップと、接着剤が取り付け部材とリリーフ機構との間に塗布されることを防止するように構成される分離部材を提供するステップと、をさらに含む。
【0061】
本願の第4態様によれば、電池製造機器を提供する。該機器は、電池セル製造モジュールであって、複数の電池セルを製造することに用いられ、複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは、少なくとも1つの電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった時に作動して内部圧力を放出するためのリリーフ機構を備える電池セル製造モジュールと、複数の電池セルを電気的に接続するためのバス部材を製造するためのバス部材製造モジュールと、リリーフ機構及びバス部材をそれぞれ少なくとも1つの電池セルの異なる側に配置して、リリーフ機構が作動する時に少なくとも1つの電池セルからの排出物をバス部材から離れる方向に沿って排出させるための組み立てモジュールと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0062】
ここで説明される図面は本願のさらなる理解を提供するためのものであり、本願の一部を構成し、本願の例示的な実施例及びその説明は本願を解釈するためのものであり、本願の不適切な限定を構成するものではない。図面では、
【
図1】本願の電池を用いる車両のいくつかの実施例の構造模式図を示す。
【
図2】本願のいくつかの実施例に係る電池の分解模式図を示す。
【
図3】本願のいくつかの実施例に係る電池の分解模式図を示す。
【
図4】本願のいくつかの実施例に係る電池セルの分解模式図を示す。
【
図5】本願のいくつかの実施例に係る電池セルの斜視模式図を示す。
【
図6】本願のいくつかの実施例に係る電池セルの斜視模式図を示す。
【
図7】本願のいくつかの実施例に係る電池の断面図を示す。
【
図8】
図7に示される電池のB部分の拡大図を示す。
【
図9】本願のいくつかの実施例に係る熱管理部材の上面図を示す。
【
図10】
図9に示される熱管理部材の底面図を示す。
【
図11】
図9に示される熱管理部材のA-A断面図を示す。
【
図12】
図9に示される熱管理部材の分解図を示す。
【
図13】本願のいくつかの実施例に係る保護部材の上面図を示す。
【
図14】
図7に示される電池のC部分の拡大図を示す。
【
図15】本願のいくつかの実施例に係る電池の分解図を示す。
【
図16】本願のいくつかの実施例に係る電池の分解図を示す。
【
図17】本願のいくつかの実施例に係る電池の側面断面図を示す。
【
図19】本願のいくつかの実施例に係る電池セルの分解図を示す。
【
図20】本願のいくつかの実施例に係る電池セルの斜視図を示す。
【
図21】
図20に示される電池セルの別の角度からの斜視図を示す。
【
図23】本願のいくつかの実施例に係る電池の分解図を示す。
【
図24】本願のいくつかの実施例に係る電池のケースの筐体部分の斜視図を示す。
【
図25】本願のいくつかの実施例に係る電池のケースの筐体部分の斜視図を示す。
【
図26】本願のいくつかの実施例に係る熱管理部材の分解図を示す。
【
図27】本願のいくつかの実施例に係る分離部材の斜視図を示す。
【
図28】本願のいくつかの実施例に係る分離部材が熱管理部材に取り付けられていない分解図を示す。
【
図29】本願のいくつかの実施例に係る分離部材が熱管理部材に取り付けられた分解図を示す。
【
図30】本願のリリーフ機構のいくつかの実施例の分解図である。
【
図31】本願のリリーフ機構のいくつかの実施例の分解図である。
【
図32】本願のリリーフ機構のいくつかの実施例の分解図である。
【
図33】本願のリリーフ機構のいくつかの実施例の分解図である。
【
図34】本願の実施例のリリーフ機構が設置された電池セルのハウジングのいくつかの実施例の部分模式図である。
【
図35】本願の実施例のリリーフ機構が設置された電池セルのハウジングのいくつかの実施例の部分模式図である。
【
図36】本願の電池セルのハウジングのいくつかの実施例の断面図である。
【
図38】本願の電池セルのいくつかの実施例の分解図である。
【
図39】本願のリリーフ機構を有する電池セルのいくつかの実施例の分解図である。
【
図40】本願のリリーフ機構及び受け板を有する電池セルのいくつかの実施例の分解図である。
【
図41】本願の電池製造方法のいくつかの実施例の模式的なフローチャートを示す。
【
図42】本願の電池製造装置のいくつかの実施例の構造模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本願の複数の実施例を示す図面を参照しながら、本願の実施例の技術案を明確、かつ完全に説明する。理解できるように、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。本願に記載の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに得た全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属するものとなる。
【0064】
特に定義されていない限り、本願で使用される全ての技術用語又は科学用語は、当業者が理解できる通常の意味を有する。本願では、出願される明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものではない。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の簡単な説明における「備える」、「含む」、「有する」、「具備する」、「含有する」、「包含」等の用語は開放形態の用語である。従って、例えば、1つ又は複数のステップ又は素子を「備える」、「含む」、「有する」方法又は装置は、1つ又は複数のステップ又は素子を具備するが、この1つ又は複数の素子のみを具備することに限定されない。本願の明細書、特許請求の範囲又は上記図面における「第1」、「第2」等の用語は異なる対象を区別するためのものに過ぎず、特定の順序又は主従関係を説明するためのものではない。また、「第1」、「第2」という用語は、説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示し、又は、指示された技術的特徴の数を暗黙的に示すものとして理解できない。それにより、「第1」、「第2」で限定される特徴は、1つ又は複数の該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本願の説明では、特に説明されていない限り、「複数」は2つ以上を意味する。
【0065】
本願の説明では、説明する必要があるように、「中心」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「軸方向」、「径方向」、「円周方向」等の用語が示す方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係であり、本願を容易に説明し及び説明を簡素化するためのものに過ぎず、示す装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構築及び操作されることを指示又は暗示しないため、本願を限定するものとして理解できない。
【0066】
本願の説明では、説明する必要があるように、特に明確に規定及び限定されていない限り、「装着」、「接続」、「連結」、「取り付け」は広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続又は一体的な接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介した間接的接続であってもよく、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0067】
本願で言及されている「実施例」は、実施例を組み合わせて説明される特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の様々な位置に現れる該語句は必ずしも同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互に排他的に独立又は代替実施例でもない。当業者は、本願で説明される実施例が他の実施例と組み合わせることができることを明確又は暗黙的に理解できる。
【0068】
上記したように、強調する必要があるように、本明細書で「備える/含む」という用語を使用する場合、前記特徴、整数、ステップ又はユニットの存在を明確に示すために使用されるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、部材又はグループ化された特徴、整数、ステップ、部材が存在し又は追加することを排除しない。本願で使用されるように、文脈で明確に示されていない限り、単数形の「1つ」、「1」及び「該」は複数形も含む。
【0069】
本明細書における「1」、「1つ」は1つを表すことができるが、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」と同じ意味を有することもできる。「約」という用語は通常、言及された数値に10%を増やし又は減らし、又はより具体的には5%を増やし又は減らすことを意味する。特許請求の範囲で使用される「又は」という用語は、代替可能な技術案のみを指すことを明確にしない限り、「及び/又は」の意味を表す。
【0070】
本願の「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3つの関係が存在し得ることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独で存在することの3つの状況を示すことができる。また、本願の「/」という文字は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0071】
本分野で言及される電池は、充電可能であるか否かに応じて一次電池及び充電式電池に分けることができる。一次電池(Primary Battery)は「使い捨て」電池及びガルバニ電池とも呼ばれ、その原因として、それらの電気量がなくなると、再充電して使用することができなくなり、廃棄することしかできない。充電式電池は二次電池(Secondary Battery)又はセカンダリ電池、蓄電池とも呼ばれる。充電式電池の製造材料及びプロセスは一次電池とは異なり、その利点は充電後に複数回で繰り返し使用でき、充電式電池の出力電流負荷容量が一次電池のほとんどよりも高いことである。現在、一般的な充電式電池のタイプについて、鉛酸電池、ニッケル水素電池及びリチウムイオン電池が挙げられる。リチウムイオン電池は、軽量、大容量(容量が同重量のニッケル水素電池の1.5倍~2倍である)、メモリー効果がない等の利点を有し、且つ自己放電率が非常に低いため、価格が高くても、依然として幅広く応用される。リチウムイオン電池は、現在、純電気自動車及びハイブリッド車にも幅広く応用され、このような用途に使用されるリチウムイオン電池は、容量が低いが、出力、充電電流が大きく、使用寿命が長いが、コストが高い。
【0072】
本願の実施例で説明される電池とは、充電式電池を指す。以下、主にリチウムイオン電池を例として本願に開示されている実施例を説明する。理解されるように、本願に開示されている実施例は他の任意の適切なタイプの充電式電池にも適用できる。本願に開示されている実施例で言及される電池は適切な装置に直接又は間接的に応用して該装置に給電することができる。
【0073】
本願に開示されている実施例で言及される電池とは、1つ又は複数の電池セルを備えることにより、所定の電圧及び容量を提供する単一の物理モジュールを指す。電池セルは、電池の基本単位であり、一般的に、包装方式に応じて、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルに分けることができる。以下、主に角形電池セルを主として説明する。理解されるように、以下に説明される実施例はいくつかの側面で円筒形電池セル又はソフトパック電池セルにも適用できる。
【0074】
電池セルは正極板、負極板、電解液及び分離膜を備える。リチウムイオン電池セルは主にリチウムイオンが正極板と負極板との間で移動することにより動作する。例えば、リチウムイオン電池セルは電極材料として嵌め込まれたリチウム化合物を使用する。現在、リチウムイオン電池の正極材料として使用されるのは主に、一般的に、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)及びリン酸鉄リチウム(LiFePO4)である。分離膜は、正極板と負極板との間に設置されて3層材料を有する薄膜構造を形成する。該薄膜構造は一般的に巻回又は積層の方式で所要の形状を有する電極組立体として製造される。例えば、円筒形電池セルの場合、3層材料の薄膜構造は円筒形の電極組立体に巻回され、角形電池セルの場合、薄膜構造は略直方体状を有する電極組立体として巻回され又は積層される。
【0075】
一般的な電池セル構造では、電池セルは電池ボックス、電極組立体及び電解液を備える。電極組立体は電池セルの電池ボックスに収容され、電極組立体は正極板、負極板及び分離膜を備える。分離膜の材質はPP又はPE等であってもよい。電極組立体は巻回構造であってもよく、積層構造であってもよい。電池ボックスはハウジング及びカバー板を備える。ハウジングは複数の壁で形成された収容キャビティ及び開口部を備える。カバー板は開口部に配置されて収容キャビティを密閉する。電極組立体に加えて、収容キャビティ内に電解液がさらに収容される。電極組立体の正極板及び負極板はタブを備える。具体的には、正極板は正極集電体及び正極活物質層を備え、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は正極活物質層が塗布された正極集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は正極タブとして使用され、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよく、負極板は負極集電体及び負極活物質層を備え、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は負極活物質層が塗布された負極集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は負極タブとして使用される。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコン等であってもよい。大電流が流れて溶断しないことを確保するために、正極タブは数が複数であり且つ一体に積層され、負極タブは数が複数であり且つ一体に積層される。タブは接続部材を介して電池セルの外部に位置する電極端子に電気的に接続され、電極端子は一般的に正電極端子及び負電極端子を備える。角形電池セルの場合、電極端子は一般的にカバー板部分に設置される。複数の電池セルは電極端子を介して直列接続及び/又は並列接続されて様々な応用シナリオに応用される。
【0076】
電気自動車等のいくつかの大電力応用シナリオでは、電池の応用は、電池セル、電池モジュール及び電池パックの3つのレベルを含む。電池モジュールは、外部の衝撃、熱、振動等から電池セルを保護し、所定の数の電池セルを一体に電気的に接続して1つのフレームに入れることによって形成されるものである。電池パックは電気自動車に搭載されている電池システムの最終状態である。電池パックは、一般的に1つ又は複数の電池セルを包装するためのケースを備える。ケースは液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避できる。ケースは一般的にカバー本体及び筐体で構成される。現在のほとんどの電池パックは1つ又は複数の電池モジュールに電池管理システム(BMS)、熱管理部材等の様々な制御及び保護システムを組み立てることにより製造される。電池分野技術の発展に伴って、電池モジュールのレベルは省略されてもよく、すなわち、電池セルで電池パックを直接に形成することができる。この改良により、電池システムの重量エネルギー密度、体積エネルギー密度が向上するとともに、構成部品の数が顕著に減らす。本願で言及される電池は電池モジュール又は電池パックを備える。
【0077】
電池セルについて、主な安全危険は充電及び放電過程より引き起こされ、また、適切な環境温度の設計も必要である。不必要な損失を効果的に回避するために、電池セルには一般的に少なくとも3つの保護対策がある。具体的には、保護対策は少なくともスイッチ素子、適切な分離膜材料の選択及びリリーフ機構を含む。スイッチ素子とは、電池セル内の温度又は抵抗が所定の閾値になった時に電池の充電又は放電を停止させることができる素子を指す。分離膜は正極板及び負極板を分離することに用いられ、温度が所定の数値に上昇する時に付着したミクロン単位(ひいてはナノ単位)の微細孔を自動的に溶解することができ、それによりリチウムイオンが分離膜を通過できなくなり、電池の内部反応を終了する。
【0078】
リリーフ機構とは、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値になった時に作動して内部圧力及び/又は内部物質を放出できる素子又は部材を指す。リリーフ機構は防爆弁、空気弁、リリーフ弁又は安全弁等とも呼ばれる。本願で言及される「作動」とは、リリーフ機構が動きを発生し又は起動されて電池セルの内部圧力を放出することを指す。発生した動きは、リリーフ機構のうちの少なくとも一部の破裂、引き裂き、破砕又は開き等を含んでもよいがこれらに限定されない。リリーフ機構が作動する時、電池セルの内部の高温高圧物質は排出物として作動部位から外部へ排出される。このような方式により、圧力を制御できる場合、電池セルをリリーフさせることができ、それにより、より深刻な事故の発生を回避する。本願で言及される電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分割された正負極板、分離膜の破片、反応により生成した高温高圧ガス及び/又は炎等を含むがこれらに限定されない。該高温高圧排出物は、電池セルのリリーフ機構が設置された方向に向かって排出され、その力及び破壊力が巨大であり、ひいては該方向に設置されたカバー本体等の1つ又は複数の構造を突破することができる。
【0079】
従来のリリーフ機構は一般的に電池セルのカバー板に設置され、すなわち、カバー板上の電極端子と同じ側に配置される。このような配置方式は電池分野で長年にわたって応用され、存在の合理性を有する。具体的には、電池セルのボックスについて、カバー板は単独で加工され、平板状構造を有し、簡単で且つ適切なプロセスによってリリーフ機構をカバー板に安定して装着し又は形成することができる。これと比較して、リリーフ機構を電池セルのハウジングに単独で設置すると、より複雑なプロセスを使用し且つコストが高くなる可能性がある。
【0080】
また、従来のリリーフ機構について、作動する時に所定の逃げ空間を必要とする。逃げ空間とは、リリーフ機構が作動する時に(例えばリリーフ機構の少なくとも一部が引き裂かれる)、リリーフ機構の内部又は外部の作動方向(すなわち、引き裂かれる方向)での空間を指す。つまり、逃げ空間はリリーフ機構の作動を可能にする空間である。カバー板はハウジングよりも厚さが大きいため、リリーフ機構をカバー板に設置すると、逃げ空間をより容易に形成でき、それにより、電池セルの設計及び製造を容易にする。具体的には、電池セルのハウジングはアルミニウム薄板を加圧成形することにより形成される。カバー板と比較して、加圧成形されたハウジングの肉厚は非常に薄い。一方では、ハウジングの肉厚が薄いため、逃げ空間を必要とするリリーフ機構をその上に設置することは非常に困難である。他方では、ハウジングが一体的に凹んだ構造であるためリリーフ機構をその上に装着することは非常に困難であり、また、電池セルのコストの増加をもたらす。
【0081】
また、リリーフ機構をハウジングの壁に設置すると、リリーフ機構がハウジング内の電解液によってより容易に侵食されるという深刻な問題がさらに存在する。このような場合、リリーフ機構は電解液との長期の接触によって侵食され、侵食によりリリーフ機構が早期に故障する可能性があり、さらに潜在的な安全上のリスク及び電池セルの保守コストをもたらす。以上の問題はいずれも技術者が電池を設計する時に考慮する必要がある要素である。充電式電池産業が活発に発展している近年、電池メーカーは、コスト及び他の様々な要素を統合的に考慮すると、基本的に電池セル、特に動力電池セルのリリーフ機構を電池セルのカバー板に設置し、すなわち、リリーフ機構及び電池セルの電極端子を同じ側に設置する。これは、電池設計者が電池を設計する時に長年にわたって持っている設計概念である。
【0082】
一般的に、リリーフ機構がカバー板に設置されるという設計理念を変更することは、研究者及び当業者にとって様々な技術的課題を解決し且つ技術的偏見を克服する必要があり、一挙に成し遂げることはできない。
【0083】
例えば、電池が車両に応用される場合、リリーフ機構を電池セルのカバー板に設置すると、電池セルからの排出物が電池セル上方の構造を全て焼き尽くし、運転室内の人員の安全を危険にさらすという問題が存在する。この問題を解決する場合、多くの研究者は電池セルと運転室との間の複数の構造のうちの少なくとも1つの構造を補強処理して、このような問題の発生を防止することを容易に想到できる。つまり、上記様々な問題又は他の様々な問題の存在による技術的偏見のため、当業者は、リリーフ機構を電池セルの他の位置に設置してこの問題を解決することを容易に想到できない。これは、このような変更設計についてリスクが高く且つ困難が多く、このようなリスク及び困難は研究者がリリーフ機構を電池セルの他の位置に設置することを妨げるためである。
【0084】
従来技術の電池に存在する上記問題及び他の潜在的な問題を解決し又は少なくとも部分的に解決するために、本願の発明者は反対のことをして大量の研究及び実験を行った後、新型電池を提供する。本願の実施例で説明される電池の適用可能な装置は、携帯電話、ポータブルデバイス、ノートパソコン、電気自転車、電気自動車、船、宇宙機、電動玩具及び電動工具等を含むがこれらに限定されず、例えば、宇宙機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船等を含み、電動玩具は、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電動船玩具及び電動飛行機玩具等の固定式又は移動式の電動玩具を含み、電動工具は、例えば、電動ドリル、電動グラインダー、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマー、インパクトドリル、コンクリートバイブレーター及び電動プレーナー等の金属切削電動工具、研削電動工具、組み立て電動工具及び鉄道用電動工具を含む。
【0085】
例えば、
図1に示すように、該図は本願の一実施例に係る車両1の簡単な模式図であり、車両1はガソリン車、ガス車又は新エネルギー車であってもよく、新エネルギー車は純電気自動車、ハイブリッド車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。車両1の内部に電池10が設置されてもよく、例えば、車両1の底部又は前部又は尾部に電池10が設置されてもよい。電池10は車両1の給電に用いられてもよく、例えば、電池10は車両1の操作電源として使用できる。且つ車両1はコントローラ30及びモータ40をさらに備えてもよい。コントローラ30は電池10がモータ40に給電するように制御することに用いられ、例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要に用いられる。本願の別の実施例では、電池10は車両1の操作電源として使用できるだけでなく、車両1の駆動電源として使用でき、ガソリン又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供する。
【0086】
図2及び
図3はそれぞれ本願の実施例に係る電池の分解図を示す。
図2及び
図3に示すように、電池10は、複数の電池セル20と、複数の電池セル20を電気的に接続するためのバス部材12と、を備える。電池セル20を外部の液体又は異物によって侵入又は腐食することを回避するために、
図2及び
図3に示すように、電池10は、複数の電池セル20及び他の必要な部材を包装するためのケース11を備える。いくつかの実施例では、ケース11はカバー本体111及び筐体112を備えてもよい。カバー本体111と筐体112は、一体にシールして組み合わせられて複数の電池セル20を収容するための電気キャビティ11aを共同で囲んで形成する。いくつかの選択可能な実施例では、カバー本体111及び筐体112はシールされずに相互に組み合わせられてもよい。
【0087】
図4は本願の実施例に係る電池セル20の分解図を示し、
図5及び
図6はそれぞれ電池セル20を異なる角度で観察する時の斜視図を示す。
図4~
図6に示すように、本願に係る電池セル20では、電池セル20はボックス21、電極組立体22及び電解液を備え、電極組立体22は電池セル20の電池ボックス21に収容される。電池ボックス21はハウジング211及びカバー板212を備える。ハウジング211は複数の壁で形成された収容キャビティ211a及び開口部211bを備える。カバー板212は開口部211bに配置されて収容キャビティ211aを密閉する。電極組立体22に加えて、収容キャビティ211a内に電解液がさらに収容される。電極組立体22の正極板及び負極板には一般的にタブが設けられる。タブは一般的に正極タブ及び負極タブを備える。タブは接続部材23を介して電池セル20の外部に位置する電極端子214に電気的に接続される。電極端子214は一般的に正電極端子214a及び負電極端子214bを備える。本願の電池10の電池セル20のうちの少なくとも1つの電池セル20はリリーフ機構213を備える。いくつかの実施例では、複数の電池セル20のうち、その電池10での位置のため熱暴走を受けやすい可能性がある電池セル20にリリーフ機構213が設置されてもよい。もちろん、電池10の各電池セル20にはいずれもリリーフ機構213が設置されてもよい。
【0088】
リリーフ機構213とは、電池セル20の内部圧力又は温度が所定の閾値になった時に作動して内部圧力を放出する素子又は部材を指す。本願に係る閾値は圧力閾値又は温度閾値であってもよく、該閾値設計は設計需要の異なりによって異なり、例えば危険又は制御不能リスクが存在すると見なされる電池セル20の内部圧力又は内部温度値に基づいて該閾値を設計又は決定することができる。また、該閾値は電池セル20の正極板、負極板、電解液及び分離膜の1つ又は複数の材料により決められる可能性がある。つまり、リリーフ機構213はその所在する少なくとも1つの電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった時に作動して電池セル20の内部圧力を放出することに用いられ、それにより、より危険な事故の発生を回避する。上記したように、リリーフ機構213は防爆弁、空気弁、リリーフ弁又は安全弁等とも呼ばれ、且つ具体的に感圧又は感温の素子又は構造を用いてもよく、すなわち、電池セル20の内部圧力又は温度が所定の閾値になった時、リリーフ機構213は動きを実行し又はリリーフ機構213に設けられた薄化構造は破壊され、それにより内部圧力を放出するための開口部又は通路を形成する。バス部材12はバスバー又は母線等とも呼ばれ、複数の電池セル20を直列接続及び/又は並列接続の方式で電気的に接続する部材である。複数の電池セル20はバス部材12を介して直並列に接続された後、高電圧を有するため、バス部材12を有する側は高電圧側と呼ばれる場合がある。
【0089】
従来の電池とは異なり、本願の実施例に係る電池10のリリーフ機構213及びバス部材12はそれぞれ電池セル20の異なる側に配置される。つまり、一般的にバス部材12はカバー板212の所在する頂側に配置され、本願の実施例に係る電池セル20のリリーフ機構213は該頂側とは異なる任意の適切な側に配置されてもよい。例えば、
図7はリリーフ機構213がバス部材12の反対側に配置されることを示す。実際には、リリーフ機構213は電池セル20のハウジング211の任意の1つ又は複数の壁に配置されてもよく、これについては、以下、さらに説明される。
【0090】
一方では、例えば電池10が電気自動車等に応用される場合、バス部材12が設置された高電圧側は、配線等の関係のため、一般的に運転室に隣接する側に配置され、リリーフ機構213をそれとは異なる側に配置すると、リリーフ機構213が作動する時に電池セル20からの排出物をバス部材12から離れる方向に沿って排出させることができる。このような方式により、排出物が運転室に向かって排出されるため、乗客の安全を危険にさらすことによるリスクが排除され、それにより電池10の安全性能を顕著に向上させる。
他方では、排出物内に様々な導電性液体又は固体が含まれるため、バス部材12及びリリーフ機構213を同じ側に配置すると、排出物が高圧の正極及び負極を直接に導通して短絡させるという大きなリスクが存在する。短絡による一連の連動反応は電池10の全ての電池セル20の熱暴走又は爆発を発生させる可能性がある。バス部材12及びリリーフ機構213を異なる側に設置して排出物をバス部材12から離れる方向に向かって排出させることにより、上記問題の発生を回避し、それにより電池10の安全性能をさらに向上させることができる。
【0091】
図8は
図7におけるB部分の拡大図を示す。
図8に示すように、いくつかの実施例では、電池10は熱管理部材13をさらに備えてもよい。本願の熱管理部材13とは、電池セル20の温度を管理及び調整できる部材を指す。熱管理部材13は流体を収容して電池セル20の温度を管理及び調整することができる。ここでの流体は液体又はガスであってもよい。温度の管理及び調整は複数の電池セル20を加熱又は冷却することを含んでもよい。例えば、電池セル20を冷却又は降温する場合、該熱管理部材13は冷却流体を収容して複数の電池セル20の温度を下げることに用いられ、このとき、熱管理部材13は冷却部材、冷却システム又は冷却板等と呼ばれてもよく、収容された流体は冷却媒体又は冷却流体と呼ばれてもよく、より具体的には、冷却液又は冷却ガスと呼ばれてもよく、冷却媒体は循環に流れるように設計されて、より良好な温度調整効果を達成することができる。冷却媒体は具体的に、例えば、水、水とエチレングリコールの混合液、又は空気等を用いてもよい。降温の有効性を実現するために、熱管理部材13は一般的に、例えば熱伝導性シリコーン等の方式によって電池セル20に取り付けられる。また、熱管理部材13は加熱して複数の電池セル20を昇温することに用いられてもよい。例えば、冬の気温がより低いいくつかの地域で電気自動車を始動する前に、電池10を加熱して電池性能を向上させることができる。
【0092】
いくつかの実施例では、熱管理部材13は一対の熱伝導板、及び該一対の熱伝導板の間に形成される流路133を備えてもよい。以下、説明の便宜上、
図8に示すように、該一対の熱伝導板は、複数の電池セル20に取り付けられる第1熱伝導板131、及び第1熱伝導板131の電池セル20から離れる側に配置される第2熱伝導板132と呼ばれる。流路133は流体を収容し且つ流体がその中に流れることを可能にすることに用いられる。いくつかの実施例では、第1熱伝導板131、第2熱伝導板132及び流路133を備える熱管理部材13はブロー成形等の適切なプロセスによって一体に形成されてもよく、又は第1熱伝導板131と第2熱伝導板132は溶接(例えば、はんだ付け)によって一体に組み立てられてもよい。いくつかの代替実施例では、第1熱伝導板131、第2熱伝導板132及び流路133はそれぞれ形成され且つ一体に組み立てられて熱管理部材13を形成することができる。
【0093】
いくつかの実施例では、熱管理部材13は複数の電池セル20を収容するためのケース11の一部を構成することができる。例えば、熱管理部材13はケース11の筐体112の底部部分112aであってもよい。底部部分112aに加えて、筐体112は側部部分112bをさらに備える。
図7に示すように、いくつかの実施例では、側部部分112bはフレーム構造として形成され、且つ熱管理部材13と一体に組み立てられて筐体112を形成することができる。このような方式により、電池10の構造をよりコンパクトにし、空間の有効利用率を向上させることができ、エネルギー密度の向上に役立つ。
【0094】
熱管理部材13及び側部部分112bは、シールリング等のシール部材及び締め具等を介して一体にシールして組み立てられ得る。シール効果を向上させるために、締め具はFDSフロードリルスクリューを用いることができる。もちろん、理解されるように、このようなシール組み立て方式は例示的なものに過ぎず、本願の内容の保護範囲を限定するものではない。他の任意の適切な組み立て方式も可能である。例えば、いくつかの代替実施例では、熱管理部材13は接着等の適切な方式によって一体に組み立てられてもよい。
【0095】
いくつかの代替実施例では、熱管理部材13はさらに側部部分112bと一体成形されてもよい。つまり、ケース11の筐体112は一体成形されてもよい。このような成形方式は、筐体112部分の強度を高くすることができ、且つ漏れが発生しにくくなる。いくつかの代替実施例では、筐体112の側部部分112bはカバー本体111と一体に形成されてもよい。つまり、このような場合、カバー本体111は下部開口部を有する構造を構成し、該下部開口部は熱管理部材13によって密閉され得る。
【0096】
言い換えれば、熱管理部材13とケース11との間の関係は様々であってもよい。例えば、いくつかの代替実施例では、熱管理部材13はケース11の筐体112の一部ではなく、筐体112のカバー本体111に対向する側に組み立てられる部材であってもよい。このような方式は、ケース11を密閉状態に維持することに役立つ。別のいくつかの代替実施例では、熱管理部材13は適切な方式によって筐体112の内側に集積されてもよい。
【0097】
いくつかの実施例では、リリーフ機構213が作動する時に電池セル20の外部のリリーフ機構213に対応する位置に逃げ構造134を設置する必要があり、このように、リリーフ機構213が順調に作動して当然の役割を果たすことができる。いくつかの実施例では、逃げ構造134は熱管理部材13に配置されてもよく、それにより、熱管理部材13が複数の電池セル20に取り付けられる場合に逃げ構造134とリリーフ機構213との間に逃げキャビティ134aを形成することができる。つまり、本願で言及される逃げキャビティ134aとは、逃げ構造134とリリーフ機構213で取り囲んで形成された密閉キャビティを指し、このような技術案では、電池セル20からの排出物の排出について、該逃げキャビティ134aの入口側の表面はリリーフ機構213の作動によって開かれ、該入口側の表面に対向する出口側の表面は高温高圧排出物により部分的に破壊されて開かれ、それにより排出物の放出通路を形成する。別のいくつかの実施例によれば、該逃げキャビティ134aは、例えば逃げ構造134とリリーフ機構213で取り囲んで形成された非密閉キャビティであってもよく、該非密閉キャビティの出口側の表面は、元々、排出物が流出するための通路を有してもよい。
【0098】
図8に示すように、いくつかの実施例では、熱管理部材13に形成される逃げ構造134は、逃げ底壁134b及び逃げキャビティ134aを取り囲む逃げ側壁134cを備えてもよい。本願の逃げ底壁134b及び逃げ側壁134cは逃げキャビティ134aを対象とするものである。具体的には、逃げ底壁134bとは、逃げキャビティ134aのリリーフ機構213に対向する壁を指し、逃げ側壁134cは逃げ底壁134bに隣接し且つ所定の角度をなして逃げキャビティ134aを取り囲む壁である。いくつかの実施例では、逃げ底壁134bは第2熱伝導板132の一部であってもよく、逃げ側壁134cは第1熱伝導板131の一部であってもよい。
【0099】
例えば、いくつかの実施例では、逃げ構造134は、第1熱伝導板131の一部を第2熱伝導板132に向かって凹ませて開口部を形成し、且つ開口部のエッジ及び第2熱伝導板132を適切な固定方式で一体に固定することにより形成され得る。リリーフ機構213が作動する時、電池セル20からの排出物は、先ず該逃げキャビティ134aに入る。
図8に示される逃げキャビティ134aの矢印に示すように、排出物は略扇形の方向に外部へ排出される。
【0100】
従来の熱管理部材とは異なり、本願の実施例に係る熱管理部材13は、リリーフ機構213が作動する時に破壊されて、電池セル20からの排出物を熱管理部材13に通過させることができる。このように設置する利点は、電池セル20からの高温高圧排出物を熱管理部材13に順調に通過させることができ、それにより排出物が適時に排出できないことによる二次事故を回避し、電池10の安全性能を向上させることである。
【0101】
排出物を熱管理部材13に順調に通過させることができるために、熱管理部材13のリリーフ機構213に対向する位置に貫通孔又は放出機構を設置することができる。例えば、いくつかの実施例では、逃げ底壁134b、すなわち、第2熱伝導板132に放出機構が設置されてもよい。本願の放出機構とは、リリーフ機構213が作動する時に作動して少なくとも電池セル20からの排出物が熱管理部材13を通過して排出されることを可能にする機構を指す。いくつかの実施例では、放出機構は電池セル20上のリリーフ機構213と同じ構造を用いてもよい。つまり、いくつかの実施例では、放出機構は、第2熱伝導板132に配置された、リリーフ機構213と同じ構造を有する機構であってもよい。いくつかの代替実施例では、放出機構はリリーフ機構213とは異なる構造を用いてもよく、逃げ底壁134bに設置される薄化構造のみであり、薄化構造は、例えば、逃げ底壁134bと一体化された薄肉部、ノッチ(例えば、
図9に示される十字状のノッチ134d)又は逃げ底部134bに装着された、プラスチック等の易損材料で製造される易損部等を含んでもよいがこれらに限定されない。又は、放出機構は、感温又は感圧放出機構であってもよく、検知された温度又は圧力が閾値を超えた場合に作動する。
【0102】
いくつかの実施例では、排出物を熱管理部材13に順調に通過させることができるために、逃げ構造134は熱管理部材13を貫通する貫通孔であってもよい。つまり、逃げ構造134は逃げ側壁134cのみを有してもよく、且つ該逃げ側壁134cはすなわち貫通孔の孔壁である。このような場合、リリーフ機構213が作動する時に電池セル20からの排出物は逃げ構造134を直接通過して排出することができる。このような方式により、二次高圧の形成を効果的に回避し、それにより電池10の安全性能を向上させることができる。
【0103】
いくつかの実施例では、熱管理部材13はさらに、リリーフ機構213が作動する時に破壊されて、流体を流出させることができるように構成される。流体が流出すると、電池セル20からの高温高圧排出物を迅速に降温し及び消火し、それにより、他の電池セル20及び電池10をさらに損傷してより深刻な事故を引き起こすことを回避する。例えば、いくつかの実施例では、逃げ側壁134cは電池セル20からの排出物により容易に破壊されるように形成されてもよい。電池セル20の内部圧力が大きいため、電池セル20からの排出物は略錐体形の形状で外部へ排出される。このような場合、逃げ側壁134cと排出物との接触面積を増加させると、逃げ側壁134cが破壊される可能性を向上させることができる。
【0104】
例えば、いくつかの実施例では、逃げ側壁134cはリリーフ機構213の熱管理部材13に向かう方向に対して所定の夾角をなすように構成され、且つ該夾角は15°以上85°以下である。例えば、
図8に示される所定の夾角は約45°である。該夾角を合理的に設定することにより、逃げ側壁134cはリリーフ機構213が作動する時により容易に破壊され、さらに流体を流出させて排出物に接触させ、排出物を適時に冷却する効果を達成することができる。また、該所定の夾角はさらに該逃げ側壁134cをより容易に形成することができ、例えば、該所定の夾角は所定の抜き勾配を提供することができ、それにより逃げ側壁134cひいては第1熱伝導板131全体の製造に役立つ。
【0105】
また、逃げ側壁134cの配置方式は、上記逃げキャビティ134aを有する状況及び逃げ構造134が貫通孔である状況に適用できる。例えば、逃げ構造134が貫通孔である場合、該貫通孔の孔径はリリーフ機構213の熱管理部材13に向かう方向に沿って徐々に小さくなることができ、且つ該貫通孔の孔壁がリリーフ機構213の熱管理部材13に向かう方向に対してなした夾角は15°以上85°以下である。
【0106】
もちろん、理解されるように、上記逃げ側壁134cがリリーフ機構21の熱管理部材13に向かう方向に対して所定の夾角をなす形状は例示的なものに過ぎず、本願の内容の保護範囲を限定するものではない。リリーフ機構213が作動する時に逃げ側壁134cが破壊されることに役立つ他の任意の適切な構造はいずれも実現可能である。例えば、いくつかの実施例では、逃げ側壁134cにも任意のタイプの薄化構造を有してもよい。
【0107】
上記実施例は、熱管理部材13が逃げ構造134を有する状況を説明している。つまり、上記実施例で言及される逃げキャビティ134aは熱管理部材13上の逃げ構造134及びリリーフ機構213によって形成される。理解されるように、上記逃げキャビティ134aに関するこれらの実施例は例示的なものに過ぎず、本願の内容の保護範囲を限定するものではなく、他の任意の適切な構造又は配置も可能である。例えば、いくつかの代替実施例では、熱管理部材13は逃げ構造134を備えなくてもよい。このような場合、逃げキャビティ134aは、例えばリリーフ機構213の周囲に形成された突出部及び熱管理部材13によって形成され得る。且つ、熱管理部材13のリリーフ機構213に対向する位置に放出機構又は薄化構造が設置されてもよく、電池セル20からの排出物を熱管理部材13に通過させ及び/又は熱管理部材13を突破して流体を流出させることができる。
【0108】
もちろん、いくつかの実施例では、逃げキャビティ134aを使用しなくてもよい。例えば、逃げ空間を要することなく作動できるリリーフ機構213の場合、リリーフ機構213は熱管理部材13に密着して設置されてもよい。このようなリリーフ機構213は、例えば、感温リリーフ機構213を備えてもよいがこれに限定されない。感温リリーフ機構213は電池セル20の温度が閾値になった時に作動して電池セル20の内部圧力を放出する機構である。これに対応するのは感圧リリーフ機構213である。感圧リリーフ機構213はすなわち上記言及されるリリーフ機構213である。感圧リリーフ機構213はすなわち電池セル20の内部圧力が閾値になった時に作動して電池セル20の内部圧力を放出する機構である。リリーフ機構213は様々な形態を有してもよく、リリーフ機構213の具体的な改良については、以下、さらに詳細に説明される。
【0109】
いくつかの実施例では、
図7及び
図8に示すように、電池10は収集キャビティ11bをさらに備える。本願の収集キャビティ11bとは、リリーフ機構213が作動する時に電池セル20及び熱管理部材13からの排出物を収集するキャビティを指す。収集キャビティ11bは排出物を収集することに用いられ、シールされてもよく又はシールされなくてもよい。いくつかの実施例では、収集キャビティ11b内に、空気、又は他のガスを含んでもよい。選択可能に、収集キャビティ11b内に、冷却媒体等の液体を含んでもよく、又は、該液体を収容する部材が設置されてもよく、収集キャビティ11bに入った排出物をさらに降温する。さらに選択可能に、収集キャビティ11b内のガス又は液体は循環に流れる。上記説明される逃げキャビティ134aが存在する場合、逃げキャビティ134aは熱管理部材13によって収集キャビティ11bから分離され得る。ここでのいわゆる「分離」は、仕切りであり、シールされなくてもよい。このような場合、排出物が逃げ側壁134cを突破して流体を流出させることにより役立ち、排出物をさらに降温及び消火し、それにより電池の安全性能を向上させることができる。また、上記説明される逃げ構造134が貫通孔である場合、逃げキャビティ134aは収集キャビティ11bと相互に連通することができる。このような方式は、排出物の排出により役立ち、それにより二次高圧による安全上のリスクを回避する。
【0110】
いくつかの実施例では、収集キャビティ11bは熱管理部材13の外部の開放キャビティであってもよい。例えば、熱管理部材13がケース11の筐体112の底部部分として使用される実施例では、電池セル20からの排出物は熱管理部材13を通過した後に熱管理部材13の外部空間、すなわち、ケース11の外部に直接排出されてもよく、それにより二次高圧の発生を回避する。いくつかの代替実施例では、
図7に示すように、電池10は保護部材115をさらに備えてもよい。本願の保護部材115とは、熱管理部材13の電池セル20から離れる側に配置されて熱管理部材13及び電池セル20を保護する部材を指す。これらの実施例では、収集キャビティ11bは保護部材115と熱管理部材13との間に配置されてもよい。
【0111】
いくつかの実施例では、保護部材115はケース11の底部に装着されて保護する役割を果たす部分であってもよい。このような方式は、電気自動車等の電池10の応用部位又は空間に対するより多様な設計を促進することに役立つ。例えば、いくつかの電気自動車について、製造コストを削減し、それにより最終製品の価格を削減するために、使用に影響を与えることなく、保護部材115が設置されなくてもよい。ユーザーは必要に応じて保護部材115を増設するか否かを選択することができる。このような場合、収集キャビティ11bは上記言及される開放キャビティを構成し、電池セル20からの排出物は電池10の外部に直接排出され得る。
【0112】
いくつかの実施例では、保護部材115はケース11の筐体112の底部部分112aであってもよい。例えば、熱管理部材13は筐体112の底部部分112aとしての保護部材115に組み立てられてもよく、且つ熱管理部材13が保護部材115に組み立てられ且つ両者の間に収集キャビティ11bを形成するための隙間が残される。このような場合、収集キャビティ11bは電池セル20からの排出物の緩衝キャビティとして使用できる。該収集キャビティ11b内の排出物の温度、体積又は圧力のうちの少なくとも1つが所定の程度又は閾値になった時、保護部材115は部分的に破壊され、収集キャビティ11b内の圧力を適時に放出することができる。いくつかの代替実施例では、代替的又は付加的に、保護部材115と熱管理部材13との間にシール部材(例えば、シールリング、シーラント等)が設置されて収集キャビティ11bをシールすることができ、シール部材は収集キャビティ11b内の排出物の温度、体積又は圧力のうちの少なくとも1つが所定の程度又は閾値になった時に少なくとも部分的に破壊されて、収集キャビティ11b内の圧力を適時に放出し、二次破壊を回避することができる。
【0113】
いくつかの代替実施例では、保護部材115はさらに熱管理部材13と一体に形成されてもよい。例えば、熱管理部材13の外部に、熱保護部材115がさらに一体に形成され、保護部材115と熱管理部材13との間に収集キャビティ11bを形成するための間隔がある。保護部材115に薄化構造が設置されてもよく、このように、収集キャビティ11b内の排出物の温度、体積又は圧力が所定の程度又は閾値になった時、保護部材115は部分的に破壊されて、収集キャビティ11bの圧力を適時に放出することができる。このような方式は、部材の数をさらに減らし、且つ組み立て時間を短縮し且つ組み立てコストを削減することができる。
【0114】
図9~
図12はそれぞれ本願のいくつかの実施例に係る熱管理部材13の異なる角度からの図、断面図及び分解図を示す。図示されるように、いくつかの実施例では、第1熱伝導板131及び第2熱伝導板132には流路133に対応する半凹溝構造がそれぞれ形成されてもよく、且つ第1熱伝導板131及び第2熱伝導板132の半凹溝構造は相互に位置合わせされる。第1熱伝導板131及び第2熱伝導板132を一体に組み立てることにより、第1熱伝導板131及び第2熱伝導板132の半凹溝構造を流路133として組み合わせて、最終的に熱管理部材13を形成する。
【0115】
もちろん、理解されるように、上記説明される熱管理部材13の具体的な構造は例示的なものに過ぎず、本願の保護範囲を限定するものではない。他の任意の適切な構造又は配置も可能である。例えば、いくつかの代替実施例では、第1熱伝導板131、第2熱伝導板132及び流路133のうちの少なくとも1つは省略されてもよい。例えば、第2熱伝導板132は省略されてもよい。つまり、いくつかの実施例では、熱管理部材13は第1熱伝導板131及び一側に配置され又はその中に埋め込まれる流路133のみを備えてもよい。
【0116】
上記説明から分かるように、いくつかの実施例では、リリーフ機構213を電池セル20のバス部材12に対して異なる側に配置する場合、構造を調整することにより、二重キャビティ構造を形成することができる。
図8に示すように、二重キャビティとは、上記言及される電池セル20のリリーフ機構213と逃げ構造134との間の逃げキャビティ134a及び収集キャビティ11bを指す。該二重キャビティ構造は、リリーフ機構213が作動する時に電池セル20からの排出物が制御可能であり且つ順番で適時に排出され得ることを確保することができる。また、いくつかの実施例では、逃げキャビティ134aは破壊されて熱管理部材13内の流体を流出させ、電池セル20からの排出物を冷却及び消火することができ、それにより、電池セル20からの排出物の温度を迅速に下げ、電池10の安全性能を向上させることができる。
【0117】
また、リリーフ機構213を電池セル20のバス部材12の異なる側に配置することにより、電池セル20からの排出物もケース11で形成された電気キャビティ11aに入らず又は少量入る。これは、電気安全を確保し、及びバス部材12の間の短絡を回避することに特に役立つ。このような電気キャビティ11a及び上記言及される二重キャビティ構造が仕切られる構造に基づいて、ケース11のカバー本体111はバス部材12により近くなるように設計されてもよい。これは、電池セル20からの排出物が逃げキャビティ134a及び/又は収集キャビティ11bに排出され、電気キャビティ11a部分には排出物が流れるための通路を設置する必要がなく、それによりカバー本体111がバス部材12により近くなり、さらにバス部材12に接触することができるためである。これは、電池10の上部構造をよりコンパクトにして、電池10の電池セル20を収容するための有効空間を増加させ、それにより電池10の体積エネルギー密度を向上させることができる。
【0118】
具体的には、従来の電池10では、特に電池セル20が三元リチウムイオン電池セルを用いる場合、カバー本体111をバス部材12に接触させることは言うまでもなく、両者の距離を7mm未満に設定することも基本的に実現できない。その原因として、従来の電池セル20は、バス部材12及びリリーフ機構213がいずれも電池セル20の同じ側に設置され、リリーフ機構213が作動する時にリリーフ機構213が正常に起動でき且つ電池セル20からの排出物を順調に排出及び通過させることを確保するために、通常、バス部材12とカバー本体111との間の距離を7mm又は7mm以上に設定して、電池10の安全性を確保する。
【0119】
従来の電池10とは異なり、リリーフ機構213及びバス部材12を電池セル20の異なる側に設置した後、電池セル20からの排出物は逃げキャビティ134a及び/又は収集キャビティ11bに排出されるため、電池セル20のカバー板にリリーフ機構213の設置に必要な位置を残す必要がなく、且つ電気キャビティ11a部分には排出物が流れるための通路を設置する必要がなく、
図14に示すように、カバー本体111及びバス部材12は隣接するように設置されてもよく且つ両者の間の距離は2mm未満であってもよい。このようなサイズの隙間は、電池技術の発展に非常に役立つ。具体的には、現在までの電池技術の発展により、安全性を確保する場合、電池セル20を収容する空間を除いて、電池10の各構造及び部材が占有したサイズを1mmまで縮小することは非常に困難である。従って、リリーフ機構213及びバス部材12を電池セル20の異なる側に設置することにより、電池10構造のコンパクトさを顕著に向上させ、電池セルの有効収容空間111aを合理的に増加させ、それにより電池10の体積エネルギー密度を向上させることができる。
【0120】
いくつかの実施例では、バス部材12はさらにカバー本体111に埋め込まれてもよい。
図15~
図18はバス部材12がカバー本体111に嵌め込まれる模式図を示す。図示されるように、いくつかの実施例では、カバー本体111は収容空間111aを備えてもよく、収容空間111aはバス部材12を収容することができる。いくつかの実施例では、収容空間111aはカバー本体111に形成される貫通孔であってもよい。バス部材12は適切な方式によって貫通孔に固定されてもよい。例えば、
図18に示すように、バス部材12は、カバー本体111が射出成形される前に金型に装入されてもよく、それによりカバー本体111が形成された後、バス部材12はカバー本体111に嵌め込まれ得る。
【0121】
理解されるように、バス部材12はカバー本体111の電池セル20の電極端子214に対応する位置に配置される。ケース111内の電池セル20は所定の位置に置かれた後、カバー本体111を筐体112に直接組み立て、次に溶接、例えば、レーザー溶接又は超音波溶接等の固定方式によってバス部材12と電池セル20の電極端子214を電気的に接続することができる。その後、カバー本体111に取り付けられる絶縁部113によってバス部材12を少なくとも被覆して、包装されたケース11を形成する。
【0122】
いくつかの実施例では、絶縁部113はシート状又は薄板状構造であってもよく、絶縁部113の材質はPP、PE又はPET等であってもよく、いくつかの他の実施例では、絶縁部113は絶縁接着剤又は絶縁塗料等であってもよい。
【0123】
いくつかの実施例では、絶縁部113はカバー本体111に適用され又は組み立てられてもよい。例えば、バス部材12は電池セル20の電極端子214に電気的に接続された後、バス部材12を有するカバー本体111の部位に絶縁層を塗布して絶縁部113を形成することができる。いくつかの代替実施例では、絶縁部113はカバー本体111に組み立てられた、バス部材12を少なくとも被覆する部材であってもよい。絶縁部113及びカバー本体111はシールして組み立てられ、ケース11のシール性を確保することができる。いくつかの実施例では、塗布された絶縁層又は組み立てられた絶縁部113は、カバー本体111全体の外面を被覆することができる。
【0124】
いくつかの実施例では、絶縁部113はカバー本体111と一体成形されてもよい。例えば、絶縁部113はカバー本体111上の外面から突出する部分として形成されてもよく、該部分の内部に収容空間111aが形成されてバス部材12を収容する。これらの実施例では、バス部材12は、例えば射出成形等の方式によってカバー本体111に嵌め込まれてもよく、又はカバー本体111が形成された後にカバー本体111に組み立てられてもよい。この場合、後述するように、バス部材12は抵抗溶接等の方式によって電池セル20の電極端子214に電気的に接続されてもよい。
【0125】
従来の電池10の場合、このようなバス部材12をカバー本体111に嵌め込む方式は基本的に不可能である。その原因として、上記したように、従来の電池10の電池セル20のリリーフ機構213はバス部材12の同じ側に設置され、バス部材12をカバー本体111に嵌め込むと、電池セル20からの排出物が流れなくなり、それにより、より深刻な安全事故を引き起こす。
【0126】
上記実施例で説明されるバス部材12をカバー本体111に嵌め込む配置によれば、電池10の安全性に影響を与えず、ひいては電池10の安全性を向上させるとともに、電池10の体積を大幅に小さくし、それにより電池10の体積エネルギー密度を向上させることができる。また、このような方式はさらに電池10の組み立て難度を低減させ、それにより組み立てコストを削減することができる。また、バス部材12をカバー本体111に嵌め込むことにより、上記言及される電池管理ユニット15を電気キャビティ11aの外部に少なくとも部分的に配置することも実現できる。
【0127】
具体的には、従来の電池の場合、カバー本体111及び筐体112をシールする前に、電気キャビティ11a内の部材を適切に接続する必要がある。その接続はバス部材12と電極端子214との接続及び電池管理ユニット15とバス部材12との接続を含む。つまり、従来の電池では、電池管理ユニット15はシールされたケース11内に包装される。しかしながら、電池管理ユニット15は他の部材と比較して易損部材に属する。電池管理ユニット15が損傷又は故障した後にシールされたケース11を開いて変換する必要があり、操作は時間と手間がかかるとともに、ケース11のシール性に影響を与える。
【0128】
従来の電池とは異なり、バス部材12がカバー本体111に嵌め込まれる場合、電池管理ユニット15は電気キャビティ11aの外部に少なくとも部分的に配置されてもよい。例えば、
図16に示すように、電池管理ユニット15の制御部(図示せず)とバス部材12との間の電気接続部151のうちの少なくとも1つはカバー本体111に嵌め込まれてもよい。制御部はカバー本体111と一体化された収容部に収容されてもよい。このような場合、電池管理ユニット15の制御部又は電気接続部151が故障した場合、ケース11を開くことなく、メンテナンスすることができ、このように保守コストを削減するとともにケース11のシール性が影響を受けないことを確保でき、それにより電池の安全性能及びユーザー体験を向上させる。いくつかの実施例では、電気接続部151は、例えば、回路基板(例えば、プリント回路基板又はフレキシブル回路基板)、ケーブル、ワイヤー、導電性シート又は導電性バー等のうちの少なくとも1つを含んでもよいがこれらに限定されない。電気接続部151は、複数の電池セル20に電気的に接続されて複数の電池セル20の温度又は電圧信号を収集することに用いられる。
【0129】
以上、主にリリーフ機構213及び熱管理部材13が電池セル20の底部(すなわち、電池セル20のバス部材12に対向する側)に設置されることを例として本願の内容の発想を説明するが、理解されるように、
図19~
図26に示すように、リリーフ機構213及び熱管理部材13は、電池セル20が、ケース11に直立して配置され、横向きに配置され、平らに配置され(平らに置かれる)又は逆さまに配置されるかにかかわらず、電池セル20の側部に配置されてもよい。本願の「直立して配置される」ことは、
図2~7、
図15~17、
図19及び
図23に示すように、電池セル20は、カバー板212がカバー本体111に隣接し且つほぼ平行になる方式でケース11に装着されることを指す。同様に、「平らに配置される」又は「横向きに配置される」ことは、
図20~
図22に示すように、電池セル20は、カバー板212がカバー本体111にほぼ垂直になる方式でケース11に装着されることを指す。「逆さまに配置される」ことは、電池セル20は、カバー板212が筐体112の底部部分に隣接し且つほぼ平行になる方式でケース11に装着されることを指す。
【0130】
これらの状況をカバーするために、以下の説明では、電池セル20の第1壁、第2壁及び電池10の支持部材16の概念が導入される。第1壁及び第2壁とは、電池セル20の交差する2つの壁を指す。交差できる限り、第1壁及び第2壁は上記言及される電池セル20の任意の適切な壁であってもよく、側壁、底壁及びカバー板212を備える。電池10の支持部材16とは、電池セル20を支持するための部材であり、上記言及される熱管理部材13、筐体112の底部部分112a又は保護部材115等であってもよい。もちろん、支持部材16は筐体112の内側に配置され、電池セル20を支持するための部材のみであってもよい。
【0131】
いくつかの実施例では、
図23及び
図24に示すように、リリーフ機構213は電池セル20の第1壁に設置されてもよく、且つ熱管理部材13は該第1壁に取り付けられる。いくつかの実施例では、リリーフ機構213はその外面が第1壁の外面と同一平面上にあるように構成されてもよい。このような同一平面上にある配置方式は、第1壁と熱管理部材13との間の取り付けにより役立つ。いくつかの代替実施例では、リリーフ機構213の外面は第1壁の外面に凹んでいるように構成されてもよい。このような凹み構造は一部の逃げ空間を提供することができ、それにより、例えば熱管理部材13の逃げ構造134を減少ひいては省略する。
【0132】
また、支持部材16は第2壁に取り付けられ、重力方向とは反対の方向に沿って電池セル20を支持する。電池セル20が如何にケース11に置かれるかにかかわらず、リリーフ機構213及び熱管理部材13は電池セル20の重力方向に平行な第1壁に設置されることが分かる。例えば、電池セル20がケース11に直立して配置され又は逆さまに配置される場合、該第1壁はすなわち電池セル20の側壁であり、電池セル20がケース11に平らに配置される場合、該第1壁はカバー板212又はカバー板212に対向する壁であってもよい。説明の便宜上、以下、リリーフ機構213及び熱管理部材13を電池セル20の側部又は第1壁に配置していくつかの実施例を説明する。
【0133】
リリーフ機構213及び熱管理部材13が電池セル20の側部に配置される実施例では、熱管理部材13の構造的特徴及び属性も電池セル20の底部に配置される状況と同じであり、例えば逃げキャビティ134a、貫通孔等の特徴を有してもよく、以下、これについて詳細な説明が省略される。また、リリーフ機構213及び熱管理部材13が電池セル20の側部に配置される場合、電池10は収集キャビティ11bを備えてもよい。且つ該収集キャビティ11bも同様にリリーフ機構213が作動する時に電池セル20及び熱管理部材13からの排出物を収集することに用いることができる。
【0134】
いくつかの実施例では、
図24及び
図25に示すように、該収集キャビティ11bは、筐体112の側部部分112bの少なくとも一部で構成されてもよい。例えば、側部部分112bは中空構造として構成されてもよく、且つ該中空構造は収集キャビティ11bを構成し、このような方式は、電池10の構造をよりコンパクトにするとともに電池10を軽量化することができる。熱管理部材13は側部部分112bと電池セル20との間に配置されてもよい。いくつかの実施例では、側部部分112bの逃げ構造134に対応する部分には薄化構造、貫通孔(
図25に示される貫通孔114a)又は上記言及されるリリーフ機構213等の放出機構が設置されてもよく、それにより電池セル20からの排出物が収集キャビティ11bに容易に入る。
【0135】
付加的又は代替的な技術案として、いくつかの実施例では、該収集キャビティ11bはさらにカバー本体111と筐体112との間に延在するように構成されるビーム114で構成されてもよい。ビーム114は筐体112の底部部分から底部部分に垂直な方向に沿ってカバー本体111に向かって延在する。熱管理部材13はビーム114と電池セル20との間に配置されてもよい。いくつかの実施例では、ビーム114は中空構造を有してもよく、且つビーム114の中空空間は収集キャビティ11bを構成することができる。いくつかの実施例では、ビーム114の逃げ構造134に対応する部分には薄化構造、貫通孔(
図25に示される貫通孔114a)又は上記言及されるリリーフ機構213等の放出機構が設置されてもよく、それにより電池セル20からの排出物が収集キャビティ11bに容易に入る。
【0136】
いくつかの実施例では、筐体112の側部部分112b及びビーム114は同じ部材であってもよい。
【0137】
いくつかの実施例では、支持部材16は追加収集キャビティ(図示せず)をさらに備えてもよく、且つ追加収集キャビティは収集キャビティ11bと連通でき、電池セル20からの排出物を収容することに用いられる。追加収集キャビティは排出物に対してより大きな放熱面積を提供することができ、排出物を、電池10を効果的に降温した後に排出することができ、それにより電池10の安全性能を向上させる。
【0138】
また、いくつかの実施例では、支持部材16は追加流路(図示せず)をさらに備えてもよく、追加流路は熱管理部材13の流路133と連通でき、それにより流体が熱管理部材13の流路133及び支持部材16の追加流路に流れることができる。このような方式は、電池セル20が底部及び側部でいずれも冷却され、それにより電池セル20に対する冷却効果を向上させることができる。追加流路と流路133との連通は制御可能な連通であってもよい。例えば、電池セル20の温度が正常レベルである場合、追加流路と流路133との間の連通を閉状態にしてもよい。電池セル20の温度が所定の程度又は所定の閾値になった時、例えば、50℃を超えた場合、追加流路と流路133との間を連通させることができ、それにより、流体が電池セル20の複数の方向に電池セル20を冷却し、冷却効果を向上させることができる。
【0139】
いくつかの実施例では、熱管理部材13はさらに支持部材16と一体成形されてもよい。例えば、熱管理部材13及び支持部材16はL字型、T字型又はU字型等の構造を形成する。このような方式は、電池の構造強度を向上させることができる。いくつかの代替実施例では、支持部材16は熱管理部材13と適切な方式で一体に締結されてもよい。このような方式は、支持部材16及び熱管理部材13の製造をより容易にし、且つ製造コストを削減する。
【0140】
熱管理部材13の温度調整機能を向上させるために、熱管理部材13が電池セル20の側部又は底部に配置されるかにかかわらず、熱管理部材13と電池セル20との間は熱伝導性シリコーンを介して一体に接着されてもよい。熱伝導性シリコーンは熱管理部材13と電池セル20の結合に必要な接着力を提供できるだけでなく、熱管理部材13と電池セル20との間の熱量の伝導に役立ち、それにより熱管理部材13の電池セル20に対する温度調整に役立つ。
【0141】
熱伝導性シリコーン等の接着剤が熱管理部材13とリリーフ機構213との間に塗布されるため、リリーフ機構213の作動に影響を与えることを回避するために、いくつかの実施例では、電池10は分離部材14をさらに備えてもよい。
図27は分離部材14の斜視図を示し、
図28は分離部材14と熱管理部材13が一体に組み立てられていない分解図を示し、
図29は分離部材14と熱管理部材13が一体に取り付けられる時の斜視図を示す。分離部材14は接着剤を塗布する前に熱管理部材13に取り付けられ、且つその特別な構造的特徴が少なくともリリーフ機構213又は逃げ構造134に対応することが分かる。このような方式により、接着剤を塗布する時に、接着剤は熱管理部材13のリリーフ機構213又は逃げ構造134に対応する領域に入らず又は少量入り、それにより、逃げ構造134をブロックすることなく、リリーフ機構213が作動できることを確保する。また、分離部材14を用いることにより、接着剤の塗布速度及び精度を向上させ、生産時間及びコストを節約することができる。
【0142】
説明する必要があるように、以上、電池セル20と熱管理部材13との間に分離部材14が設置されて、接着剤が熱管理部材13とリリーフ機構213との間に塗布されることを防止することができることを例示的に説明するが、理解されるように、接着剤を介して電池セル20と一体に接着されるのは、上記言及される支持部材16等の他の任意の適切な部材であってもよい。つまり、接着剤を介して電池セル20と一体に接着される必要がある部材はいずれも分離部材14を使用してもよい。説明の便宜上、以下、接着剤を介して電池セル20と一体に接着される必要がある部材は取り付け部材と呼ばれる。取り付け部材はすなわち接着剤を介して電池セル20に取り付けられる部材であり、熱管理部材13又は支持部材16等を備えてもよいがこれらに限定されない。接着剤は、例えば熱伝導性シリコーン、エポキシ樹脂接着剤、ポリウレタン接着剤等を用いてもよい。分離部材14を取り付け部材と電池セル20との間に設置することにより、接着剤が取り付け部材とリリーフ機構213との間に塗布されることを防止できる。
【0143】
いくつかの実施例では、分離部材14は本体141及び凸部142を備えてもよい。本体141は取り付け部材に取り付けられるように構成される。凸部142は本体141の表面から外部へ突出し、且つ凸部142は本体141が取り付け部材に取り付けられる場合にリリーフ機構213と突出方向に位置合わせされるように構成され、且つ凸部142の外周サイズはリリーフ機構213の外周サイズ以上である。このような方式により、接着剤を塗布する時に、一方では、塗布機をガイドして所定の経路に従って塗布操作を行うことができ、他方では、リリーフ機構213の所在する位置に塗布しないことを確保でき、それにより、接着剤が適切な位置に効率的且つ正確に塗布されることを確保できる。
【0144】
いくつかの実施例では、凸部142の高さは、接着剤の所定の塗布高さ以上であってもよく、このように、接着剤を塗布する時に接着剤がリリーフ機構213と取り付け部材との間の領域に入らず又は少量入ることを確保でき、特に、取り付け部材に逃げ構造134が設置される場合に非常に役立つ。また、凸部142はさらに電池セル20が取り付け部材に取り付けられる場合に接着剤の高さと一致するように圧縮されるように構成され、それにより取り付け部材と電池セル20との間の接続を確保する。また、分離部材14はさらに電池セル20からの排出物により容易に破壊される材料で製造されてもよく、それにより排出物が分離部材14を容易に突破することができる。つまり、凸部142又は分離部材14全体は可変であり且つ破壊強度の低い材料又は構造で製造されてもよい。例えば、いくつかの実施例では、分離部材14はブロー成形プロセスによって熱可塑性材料で製造されてもよい。また、分離部材14の肉厚は0.01mm~0.05mmの間であってもよい。
【0145】
複数の電池セル20は一般的に取り付け部材に一列に取り付けられるため、いくつかの実施例では、複数の電池セル20に用いられる複数の分離部材14は一体成形される全体的なシート材料であってもよい。例えば、一列又は複数列に配置される分離部材14はブロー成形方式によって一体に製造されてもよい。且つ一列に配置される複数の分離部材14の位置はそれぞれ複数の電池セル20のリリーフ機構213の位置に対応し、それにより、分離部材14を確実に利用してリリーフ機構213を保護して電池セル20を取り付け部材に取り付けることができる。
【0146】
もちろん、理解されるように、上記分離部材14が凸部142の構造を用いて接着剤が取り付け部材とリリーフ機構213との間に塗布されることを防止する実施例は例示的なものに過ぎず、本願の保護範囲を限定するものではなく、他の任意の適切な配置又は構造も可能である。例えば、いくつかの代替実施例では、分離部材14は凸部142を有さない構造を用いてもよく、リリーフ機構213に対応する位置には、接着剤が取り付け部材とリリーフ機構213との間に塗布されることを防止するための専用塗膜を設置すればよい。
【0147】
取り付け部材と電池セル20との間に分離部材14を用いることにより、接着剤が取り付け部材とリリーフ機構213との間に塗布されることを防止できることが分かる。また、より先進的で自動化された手段によって塗布操作を行うことをガイドし、操作者が慎重に操作する必要がなくなる。このような方式により、接着剤の塗布効率を効果的に向上させ、それにより電池10の組み立てコストを削減する。また、接着剤が取り付け部材とリリーフ機構213との間に塗布されることを効果的に回避でき、リリーフ機構213が効果的に作動できることに役立ち、及び逃げキャビティ134aが形成された逃げ構造134を接着剤でブロックすることを回避し、それにより電池10の安全性を向上させる。
【0148】
上記言及されるリリーフ機構213は様々な形態を有してもよい。例えば、いくつかの実施例では、
図30及び
図31に示すように、本願の実施例の電池セル20に設置されるリリーフ機構213は、接続ユニット2131、リリーフシート2132、第1保護シート2133、押圧リング2134及び付勢構造2135を備えてもよい。具体的には、該接続ユニット2131は開孔2131a及び第1ボス2131bを備え、該第1ボス2131bは該開孔2131aの内壁に接続され且つ該開孔2131aの軸線に向かって延在し、該リリーフシート2132は該第1ボス2131bの一側に設置され、第1保護シート2133は該第1ボス2131bの該リリーフシート2132から離れる他側に設置され、該リリーフシート2132は電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった時に作動して該内部圧力を放出することに用いられ、該第1保護シート2133は該リリーフシート2132を保護することに用いられ、第1ボス2131bの第1保護シート2133が設置される側について、第1保護シート2133の該第1ボス2131bから離れる側に押圧リング2134が設置され、該第1保護シート2133を圧着することに用いられ、付勢構造2135は該接続ユニット2131に接続され、且つ該開孔2131aの該軸線方向に向かって付勢されて該押圧リング2134を圧着し、
図30は付勢構造が付勢される前の模式図であり、
図31は付勢構造が付勢された後の模式図である。
【0149】
また、リリーフ機構213を電池セル20に装着する場合、固定を容易にすることを考慮すると、リリーフ機構213の外側にボスを設置することができる。具体的には、
図32(
図32における付勢構造2135は付勢される前のものである)~
図33(
図33における付勢構造2135は付勢された後のものである)に示すように、接続ユニット2131は第2ボス2131cをさらに備えてもよく、該第2ボス2131cは該接続ユニット2131の外壁に接続され且つ該開孔2131aから離れる軸線に向かって延在し、該第2ボス2131cは該リリーフ機構213を該電池セル20に装着することに用いられる。
【0150】
リリーフ機構213を装着する場合、第1保護シート2133がリリーフシート2132よりも電池セル20の内部に近いことを考慮すると、
図30~
図33に示すように、該第2ボス2131cを該接続ユニット2131の該付勢構造2135に近い端に設置することができる。このように、電池セル20の1つの壁に該リリーフ機構213を装着する時、リリーフ機構213の電池セル20の内部に近い表面がその所在する壁の内面と基本的に同一平面上にあることができ、それにより、電池セル20の内部の電極組立体22及び受け板24等の部材の装着に影響を与えず、内部空間を節約する。
【0151】
また、第1保護シート2133のシール性を向上させるために、第1保護シート2133と第1ボス2131bとの間にガスケットを設置することができる。具体的には、
図32及び
図33に示すように、該リリーフ機構213はリング状のガスケット2136をさらに備えてもよく、それは第1保護シート2133と第1ボス2131bの間に設置され、それにより第1保護シート2133のシール性を向上させる。
【0152】
リリーフ機構213を電池セル20に装着する場合、リリーフシート2132が第1保護シート2133よりも電池セル20の内部から離れ、又はリリーフシート2132が電池セル20の外部に位置することを考慮すると、リリーフシート2132が電池セル20以外の他の部材の影響から保護するために、
図32~
図33に示すように、該リリーフ機構213は、該リリーフシート2132を保護するための第2保護シート2137をさらに備えてもよく、該第2保護シート2137は該接続ユニット2131に装着され且つ該リリーフシート2132の該第1ボス2131bから離れる側に位置し、且つ該リリーフシート2132を被覆する。
【0153】
リリーフ機構213を壁に組み立てることを容易にするために、いくつかの実施例では、
図34に示すように、電池セル20は接続機構2431をさらに備えてもよい。
図34はハウジング211の1つの壁の部分模式図を示し、該壁はハウジング211の底壁又は側壁であってもよく、すなわち
図34におけるハウジング211とは、ハウジング211の底壁の一部を指し、且つ、
図34及び
図35では、上方はハウジング211の内部を対応して示し、下方はハウジング211の外部を対応して示し、すなわち、図中のハウジング211の該壁の上面はハウジング211の内面又は壁の内面を示し、ハウジング211の内部に向かう表面であり、図中のハウジング211の該壁の下面はハウジング211の外面又は該壁の外面を示し、ハウジング211の外部に向かう表面である。該ハウジング211の壁に貫通孔(図示せず)が設置され、接続機構2431は該貫通孔内に位置し且つリング状であり、該接続機構2431は該リリーフ機構213と該壁を接続することに用いられ、該リリーフ機構213は該接続機構2431の該ハウジング211の内部に近い側に位置し、及び、リリーフ機構213は該電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった時に作動して該内部圧力を放出することに用いられる。
【0154】
理解されるように、本願の実施例の接続機構2431及びリリーフ機構213は別々に設置される2つの部材であってもよく、又は一体成形される構造であってもよい。具体的には、
図34に示すように、接続機構2431及びリリーフ機構213は2つの部材であってもよく、リリーフ機構213はシート状のリリーフシートであってもよく、該リリーフ機構213は接続機構2431のハウジング211の内部に近い側に固定されてもよく、例えば、リリーフ機構213と接続機構2431とは溶接等の方式によって固定されてもよく、例えば、リリーフ機構213はレーザー溶接の方式によって接続機構2431の一側に固定されてもよい。逆に、
図35に示すように、該接続機構2431とリリーフ機構213は一体成形されてもよく、すなわち接続機構2431とリリーフ機構213は完全な部材であり、例えば、接続機構2431とリリーフ機構213は全体として加圧成形の方式によって加工されてもよいが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0155】
図35に示されるリリーフ機構213と接続機構2431が一体成形される状況について、該接続機構2431の該ハウジング211の内部に近い側の表面と該リリーフ機構213の該ハウジング211の内部に近い側の表面は同じ表面であり、従って、両者は同一平面上にある。
図34に示されるリリーフ機構213と接続機構2431について、該接続機構2431の該ハウジング211の内部に近い側の表面と該リリーフ機構213の該ハウジング211の内部に近い側の表面を基本的に同一平面上にするために、接続機構2431に凹溝を設置することにより実現することができる。
【0156】
しかしながら、
図34及び
図35のどの状況にかかわらず、該接続機構2431とリリーフ機構213は全体として略凹溝状になり、凹溝の開口部に対向するのは凹溝の底壁であり、凹溝の開口部に隣接するのは凹溝の側壁であり、リリーフ機構213は該凹溝の底壁であり、接続機構2431は凹溝の側壁であり、このように、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった時、リリーフ機構213は破裂されて開かれるのに十分な空間を有し、すなわちリリーフ機構213は凹溝部分に対して開かれて、電池セル20の内部圧力を放出することができる。いくつかの実施例では、リリーフ機構213はさらにハウジング211と一体成形されてもよい。このような実施例では、リリーフ機構213はリリーフ領域として構成される。
図36は本願の実施例のハウジング211の断面図を示し、例えば、該断面図に示される表面はリリーフ領域を通過し且つハウジング211の面積の小さい側壁に平行な面であり、
図37は
図36における領域A1の拡大図であり、該領域A1にはリリーフ領域が含まれ、
図37における上方はハウジング211の内部に対応し、
図36における下方はハウジング211の外部に対応する。具体的には、
図37に示すように、本願の実施例の該リリーフ領域は、該電池セル20のハウジング211の内面に設置される第1凹溝2231及び該電池セル20のハウジング211の外面に設置される第2凹溝2232を備えてもよく、該第1凹溝2231と該第2凹溝2232は対向して設置され、該第1凹溝2231の底壁及び/又は該第2凹溝2232の底壁に第3凹溝2233が設置され、該リリーフ領域は該電池セル20の内部圧力が閾値になった時に該第3凹溝2233で破裂されて該内部圧力を放出するように構成される。
【0157】
このように、電池セル20の内部に熱暴走が発生した場合、電池セル20は薄い第3凹溝2233で破裂されて内部圧力を放出することができ、且つ、本願の実施例のリリーフ領域は、電池セル20上にリリーフ機構213が増設される方式と比較して、加工過程がより簡単であり、例えば、加圧成形方式によって第1凹溝2231、第2凹溝2232及び第3凹溝2233を設置することができ、第1凹溝2231と第2凹溝2232は対向して設置され、具体的には、対向成形方式を用いてもよく、2つの凹溝を同時に加工し、加工過程が容易で迅速であり、且つ3つの凹溝のサイズ及び形状等を柔軟に設定でき、実際の応用に応じて調整することができ、且つ、ハウジング211で使用される材料は通常、金属アルミニウムであり、該リリーフ領域の材料も同様にアルミニウムであり、増設された他の材料のリリーフ機構213と比較して、本願の実施例のリリーフ領域がより容易に加工され、電池セル20の内部に熱暴走が発生した場合に適時に開くことを容易にし、それにより排気をより順調にさせ、排気速度を高くする。
【0158】
また、電極端子214が通常、電池セル20のカバー板212に設置されることを考慮すると、リリーフ領域もカバー板212に設置される場合、電池セル20の内部に熱暴走が発生した場合、リリーフ領域が破裂され、電池セル20の内部気圧を放出するとともに、外部へ液体又は固体燃焼物を噴射し、導電性物質を含む可能性もあり、電極端子214の間の短絡を引き起こし、また、電池を車両内に装着することを考慮すると、通常、電極端子214を上向きにして、つまり、乗客の方向に向かうと、リリーフ領域を電極端子214の同じ側に装着する場合、リリーフ領域が破裂された後に放出した気流等の物質が上向きに排出され、このように乗客に火傷や熱傷を引き起こし、乗客の危険を増加させる可能性がある。従って、本願の実施例のリリーフ領域が電池セル20のハウジング211の底壁又は側壁に設置されることを柔軟に選択でき、加工方式によって制限されない。
【0159】
本願の実施例では、第3凹溝2233は第1凹溝2231の底壁及び/又は第2凹溝2232の底壁に設置されてもよいが、第1凹溝2231が電池セル20のハウジング211の内面に設置されることを考慮すると、第3凹溝2233を第1凹溝2231の底壁に設置する場合、ハウジング211内に電解液が存在するため、該電解液は第3凹溝2233内に堆積され、該第3凹溝2233部分を腐食し、該リリーフ領域を第3凹溝2233で早期に破裂させる可能性があり、従って、通常、第3凹溝2233を外面に位置する第2凹溝2232の底壁に設置することにより、電解液による腐食を回避する。以下、第3凹溝2233が第2凹溝2232の底壁に設置されることを例として説明する。
【0160】
理解されるように、本願の実施例の第1凹溝2231と第2凹溝2232の位置は対向して設置され、つまり、電池セル20の第1凹溝2231の所在する内面に対して、該第2凹溝2232の該内面での投影は第1凹溝2231と少なくとも部分的に重なる。例えば、以下、該第1凹溝2231と第2凹溝2232が互いに対向して設置されることを例として説明し、つまり、該第1凹溝2231の底壁に垂直な軸線と該第2凹溝2232の底壁に垂直な軸線は同じである。
【0161】
本願の実施例のリリーフ領域に含まれる第1凹溝2231及び第2凹溝2232の底壁の形状は実際の応用に応じて設定でき、且つ、第1凹溝2231の底壁の形状と第2凹溝2232の底壁の形状は同じであってもよく又は異なってもよい。説明の便宜上、以下、第1凹溝2231の底壁の形状と第2凹溝2232の底壁の形状が同じであることを例として説明する。第1凹溝2231の底壁の形状と第2凹溝2232の底壁の形状は矩形、円形、楕円形又はリング状であってもよく、以下、2つの実施例を組み合わせて詳細に説明する。
【0162】
選択可能に、第1実施例として、
図36及び
図37に示すように、該第1凹溝2231の底壁の形状及び第2凹溝2232の底壁の形状はリング状であってもよく、例えば、四角形リング、円形リング又は他の形状のリング状であってもよく、例えば、レーストラック形のリング状を例として、該レーストラック形は楕円形と類似し、両端が円弧状であり、中間が直線形であるが、本願の実施例はこれらに限定されない。
【0163】
図37に示すように、加工を容易にするために、第2凹溝2232の底壁に第3凹溝2233を設置することは、該第2凹溝2232の底壁に第4凹溝2234を設置し、該第3凹溝2233を該第4凹溝2234の底壁に設置することを含んでもよい。第2凹溝2232の底壁の形状がリング状であることを考慮すると、該第4凹溝2234の底壁の形状は第2凹溝2232の底壁の形状と一致してもよく、リング状に設定されてもよいが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0164】
図37に示すように、本願の実施例の第1凹溝2231、第2凹溝2232、第3凹溝2233及び第4凹溝2234の
図37に示される断面の形状は、実際の応用に応じて設定されてもよく、例えば、凹溝の底壁と側壁がなす角度については、
図37における第2凹溝2232と第4凹溝2234に示される直角形の凹溝であってもよく、又は
図37における第1凹溝2231と第3凹溝2233に示される傾斜角度を有する凹溝であってもよく、本願の実施例はこれらに限定されない。
【0165】
第1凹溝2231及び第2凹溝2232がリング状の凹溝であるため、その中心領域に突出構造が存在し、ここでハウジング211の内部に近い突出構造2236を例として説明する。突出構造2236はリング状の第1凹溝2231の中間領域であり、該突出構造2236のハウジング211に近い表面はリリーフ領域を除いて、ハウジング211の内面に対して突出しなくてもよく、例えば、該突出構造2236のハウジング211に近い表面はリリーフ領域を除いて、ハウジング211の内面と基本的に同一平面上にあってもよく、又は、
図37に示すように、該突出構造2236のハウジング211に近い表面はリリーフ領域を除いて、ハウジング211の内面に対して凹んでもよく、本願の実施例はこれらに限定されない。
【0166】
また、該第1凹溝2231の外周はハウジング211の内面に対して突出せず、このように、該ハウジング211の内面上に突出部分がなく、ハウジング211内部の電極組立体22等の部材を装着する場合、影響を受けることはなく、突出部分を回避するためのさらなる設計を必要とせず、それにより内部空間を節約することができる。
【0167】
図37に示すように、ハウジング211の外部については、該ハウジング211の外面には該第2凹溝2232を取り囲んで突出部2237をさらに有してもよく、該突出部2237はハウジング211の外面に対してハウジング211の内部から離れる方向に向かって延在する。加圧成形方式によって第1凹溝2231及び第2凹溝2232を加工することを考慮すると、凹溝のエッジに通常突出部2237が存在し、該突出部2237が内部に設置される場合、内部の電極組立体22の装着に影響を与え、従って、該突出部2237がハウジング211の外面に設置されてもよい。
【0168】
電池セル20が電池10として組み立てられる場合、電池セル20の下方に特定の部材を設置する必要があり、例えば電池セル20を降温するための冷却板が設置されてもよく、又は底部保護板が設置されてもよく、本願の実施例はこれらに限定されない。該突出部2237が存在するため、該電池セル20の下方に位置する部材について、凹んだ逃げ領域を表面に設置することにより、該電池セル20を組み立てることができる。例えば、電池セル20の下方に冷却板が設置される場合、冷却板のリリーフ領域に対応する領域に凹溝又は貫通孔が設置されてもよく、それにより該リリーフ領域の突起している該突出部2237が凹溝又は貫通孔に収容可能であり、空間を節約する。
【0169】
また、該突出部2237が存在するため、該リリーフ領域のハウジング211の内部から離れる表面とリリーフ領域の下方に位置する部材(例えば、熱管理部材又は底部保護板)の表面との間に隙間があり、リリーフ領域が排気する時に、所定の開き空間を有し、リリーフ領域の第3凹溝2233が破裂されて開かれることを確保し、内部圧力を放出することができる。
【0170】
図37に示すように、リリーフ領域のハウジング211から離れる側が電池セル20以外の他の部材の影響から保護するために、該リリーフ領域は保護シート2235をさらに備えてもよく、それは該リリーフ領域を保護することに用いられ、該電池セル20のハウジング211の外面に設置され且つ該第2凹溝2232を被覆する。
【0171】
以上、リリーフ機構213が電池セル20のハウジング211のコーナー部に設置されてもよいことが説明される。例えば、いくつかの実施例では、上記したように、
図38に示すように、本願の実施例の電池セル20は少なくとも2つの壁を備え、任意の隣接する2つの壁については、説明の便宜上、以下、第1壁21a及び第2壁21bと呼ばれ、すなわち、電池セル20が有する少なくとも2つの壁は第1壁21a及び第2壁21bを備え、第1壁21aと第2壁21bは交差する。このような場合、リリーフ機構213は相互に接続される第1部分2331及び第2部分2332を備え、第1部分2331は第1壁21aに設置され、第2部分2332は第2壁21bに設置され、つまり、リリーフ機構213は曲げられて第1部分2331及び第2部分2332の2つの部分を形成し、それぞれ第1壁21a及び第2壁21bに設置することができる。リリーフ機構213がそれぞれ2つの壁に設置され、それに対応して、該リリーフ機構213の2つの部分すなわち該第1部分2331及び/又は該第2部分2332は該電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった時に破壊されて該内部圧力を放出することができるように構成される。
【0172】
従って、本願の実施例の電池セル20は、隣接する任意の2つの壁の交差位置にリリーフ機構213が設置され、すなわちリリーフ機構213は電池セル20のハウジング211の2つの壁の交差箇所に位置し、1つのみの壁に設置されることと比較して、リリーフ機構213の全面積を増加させることができ、短絡、過充電が発生し、電池セル20の内部温度及び気圧が急激に上昇する場合、電池セル20上のリリーフ機構213は2つの壁に対応する2つの部分から適時に破断されて、温度及び気圧を外部へ放出し、電池の爆発発火を防止することができ、また、リリーフ機構213が2つの壁の交差位置に設置されるため、電池セル20の内部の各アセンブリからの影響が小さく、例えば、電極組立体22から受けた落下衝撃作用が小さく、リリーフ機構213を早期に破断することを回避でき、且つ、電池セル20の壁の2つの壁の交差位置での変形が小さく、リリーフ機構213が変形やクリープ現象の影響を受けないことを確保でき、電池の統合性能を全体的に向上させる。
【0173】
理解されるように、本願の実施例のリリーフ機構213を第1壁21a及び第2壁21bに設置することは様々な方式を用いてもよく、且つリリーフ機構213の第1部分2331及び第2部分2332は同じ又は異なる加工方式を用いてもよい。しかしながら、加工を容易にするために、リリーフ機構213の第1部分2331及び第2部分2332は通常、同じ加工方式を用い、本願の実施例はリリーフ機構213の第1部分2331及び第2部分2332が通常、同じ加工方式を用いることを例として説明するが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0174】
例えば、リリーフ機構213を第1壁21a及び第2壁21bに設置することは、リリーフ機構213、第1壁21a及び第2壁21bが一体成形されてもよく、すなわち、第1壁21aと第2壁21bの対応する領域を直接薄化して、リリーフ機構213を形成することを含んでもよい。しかしながら、第1壁21a及び第2壁21bがハウジング211の底壁及び側壁であることを考慮すると、ハウジング211が中空構造であるため、底壁及び側壁を部分的に薄化することを実現することは非常に困難である。従って、リリーフ機構213を第1壁21a及び第2壁21bに設置することは、第1壁21a及び第2壁21bにそれぞれ開口部を設置して、リリーフ機構213が開口領域を被覆することをさらに含んでもよい。
【0175】
具体的には、
図38に示すように、該第1壁21aは、該第1部分2331の所在する領域に第1開口部2111が設置され、該第1部分2331は該第1開口部2111を被覆し、同様に、該第2壁21bは、該第2部分2332の所在する領域に第2開口部2112が設置され、該第2部分2332は該第2開口部2112を被覆する。つまり、リリーフ機構213は電池セル200のハウジング211と一体成形されるものではなく、このように、リリーフ機構213は電池セル20と個別に設置されてもよく、例えばリリーフ機構213の材質は電池セル20の材質とは異なってもよく、厚さも異なるように設定されてもよく、それにより、リリーフ機構213は実際の必要に応じて柔軟に設置されてもよい。
【0176】
リリーフ機構213の第1部分2331と第2部分2332が接続されることを考慮すると、加工を容易にするために、該第1開口部2111と該第2開口部2112は接続されてもよい。すなわち、第1壁21a上の第1開口部2111及び第2壁21b上の第2開口部2112は実際に連通する開口部であり、このように、電池セル20の隣接する2つの壁の交差位置に開孔のみを加工すればよく、加工過程が容易である。
【0177】
また、本願の実施例のリリーフ機構213の第1部分2331と第2部分2332が接続されてもよく、装着前のリリーフ機構213は、シート状構造であってもよく、リリーフ機構213を装着する場合、ハウジング211の底壁及び側壁に装着することを例として、まず底面を溶接し、すなわち、リリーフ機構213の第1部分2331を底壁に溶接し、そしてリリーフ機構213を曲げて、第2部分2332を形成し、第2部分2332を側壁に溶接し、このように、加工がより容易で迅速である。
【0178】
いくつかの実施例では、
図39に示すように、該電池セル20は受け板24をさらに備えてもよく、該受け板24は電極組立体22とハウジング211の底壁との間に位置し、電極組立体22を支持する役割を果たすことができ、さらに電極組立体22がハウジング211の底壁の周りの丸い角に干渉することを効果的に防止できる。本願の実施例の受け板24の形状は実際の応用に応じて設定されてもよく、例えば、
図39に示すように、受け板24はハウジング211の底壁の形状と一致する長方形に設定されてもよく、又は、他の形状に設定されてもよく、また、該受け板24に1つ又は複数の貫通孔が設置されてもよく、例えば、均一又は対称的に配列された複数の貫通孔が設置されてもよく、このように受け板24の上下面の空間を連通させ、電解液及び電極組立体22の内部に生成したガス及び電解液がいずれも受け板24を自由に通過でき、液体及びガスの伝導を容易にする。
【0179】
該受け板24の厚さは一般的に0.3~5mmに設定され、好ましくは絶縁部材であり、絶縁されなくてもよい。例えば、該受け板24の材料はPP、PE、PET、PPS、テフロン(登録商標)、ステンレス鋼、アルミニウム等の電解液に耐性があり及び絶縁される材料であってもよく、PP、PE、PET、PPS等のプラスチック材料は防火材料を選択してもよく、アルミニウム又はステンレス鋼等の金属材料の表面は絶縁のために陽極酸化処理されてもよい。該受け板24は、電極組立体22を支持することに用いることができ、且つ該ハウジング211の第1壁の内側に位置し、該受け板24は突起241を有し、
図40に示すように、該
突起241は該リリーフ機構213に向かって延在し且つ該開口部2211内に収容される。突起241を設置することにより、該突起241は該リリーフ機構213に向かって延在し、つまり、該凹み箇所に充填されてもよく、それにより、該部分に堆積された電解液を減少させ、電解液によるリリーフ機構213への衝撃及び腐食を緩和し、リリーフ機構213の早期破裂を回避する。
【0180】
以上、
図1~
図40を組み合わせて本願の実施例の電池を説明するが、以下、
図41及び
図42を組み合わせて本願の実施例の電池製造方法及び装置を説明する。
【0181】
具体的には、
図41は本願の実施例の電池製造方法50の模式的なフローチャートを示す。
図41に示すように、該方法50は、複数の電池セルを提供するステップ51であって、複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは、少なくとも1つの電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった時に作動して内部圧力を放出するためのリリーフ機構を備えるステップ51と、複数の電池セルを電気的に接続するためのバス部材を提供するステップ52と、リリーフ機構及びバス部材をそれぞれ少なくとも1つの電池セルの異なる側に配置して、リリーフ機構が作動する時に少なくとも1つの電池セルからの排出物をバス部材から離れる方向に沿って排出させるステップ53と、を含む。
【0182】
いくつかの実施例では、該方法は熱管理部材を提供するステップをさらに含み、熱管理部材は流体を収容して複数の電池セルの温度を調整することに用いられ、且つ熱管理部材はリリーフ機構が作動する時に破壊されて、電池セルからの排出物を熱管理部材に通過させるように構成される。
【0183】
いくつかの実施例では、該方法は、熱管理部材を電池セルの少なくとも2つの壁のうちの第1壁に取り付け、且つリリーフ機構を第1壁に設置するステップと、電池セルを支持するための支持部材を第2壁に取り付けるステップと、をさらに含む。
【0184】
いくつかの実施例では、該方法は、接着剤を介して電池セルに取り付けられるように構成される取り付け部材を提供するステップと、接着剤が取り付け部材とリリーフ機構との間に塗布されることを防止するように構成される分離部材を提供するステップと、をさらに含む。
【0185】
図42は本願の実施例の電池製造装置60の模式的なブロック図を示す。
図42に示すように、本願の実施例に係る装置60は、電池セル製造モジュール61であって、複数の電池セルを製造することに用いられ、複数の電池セルのうちの少なくとも1つの電池セルは、少なくとも1つの電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった時に作動して内部圧力を放出するためのリリーフ機構を備える電池セル製造モジュール61と、複数の電池セルを電気的に接続するためのバス部材を製造するためのバス部材製造モジュール62と、リリーフ機構及びバス部材をそれぞれ少なくとも1つの電池セルの異なる側に配置して、リリーフ機構が作動する時に少なくとも1つの電池セルからの排出物をバス部材から離れる方向に沿って排出させるための組み立てモジュール63と、を備える。
【0186】
最終的に説明されるように、以上の実施例は本願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。上記実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者は、依然として上記各実施例に記載の技術案を修正し、又はその技術的特徴の一部を等価置換することができるが、これらの修正や置換が対応する技術案の本質を本願の各実施例の技術案の精神及び範囲から逸脱させるものではないことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0187】
10 電池
12 バス部材
20 電池セル
213 リリーフ機構