(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】集積回路のウェハレベルパッケージングにおける銅堆積
(51)【国際特許分類】
C25D 3/38 20060101AFI20240119BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
C25D3/38
H01L21/92 604B
(21)【出願番号】P 2022085502
(22)【出願日】2022-05-25
(62)【分割の表示】P 2019537031の分割
【原出願日】2017-09-20
【審査請求日】2022-05-25
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501407311
【氏名又は名称】マクダーミッド エンソン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・リチャードソン
(72)【発明者】
【氏名】カイル・ホウィットン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント・パネッカシオ・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・コマンダー
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ハートビス
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/042485(WO,A1)
【文献】特表2012-510179(JP,A)
【文献】特開昭61-041787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの電子回路を前記
半導体デバイスの外部の回路と相互接続するためのウェハレベルパッケージングにおいて半導体基板上に銅フィーチャを形成するためのプロセスであって、半導体アセンブリが、アンダーバンプ構造を支持するベース構造を含み、前記アンダーバンプ構造が、アンダーバンプパッド又はアンダーバンプメタルを含み、前記プロセスが、
前記半導体アセンブリ上の前記アンダーバンプ構造を含むカソードと接触している水性電着組成物に電流を供給することを含み、
前記水性電着組成物が、
a)銅イオン源と、
b)酸と、
c)抑制剤と、
d)四級化ジピリジル化合物又は四級化ポリ(エピハロヒドリン)を含むレベラーと、
e)促進剤と
を含み、
前記四級化ジピリジル化合物が、N、N'-テトラアルキルチオ尿素と、ジピリジル及び二官能性アルキル化剤の反応によって生成された中間体との反応生成物の構造を有する化合物を含み、
前記四級化ポリ(エピハロヒドリン)が、構造1N:
【化1】
に対応するn個の繰り返し単位、及び構造1P:
【化2】
に対応するp個の繰り返し単位を含み、
前記構造において、Qが、ポリ(エピハロヒドリン)のペンダントメチレンハライド基を、
下記(i)、(ii)及び(iii)からなる群から選択される三級アミンと反応させることによって得られうるものに対応する構造を有し、nが3~35の整数であり、pが0
より大きく25
までの整数であり、Xがハロ置換基であり、X
-が一価のアニオ
ンであり、
(i)R
a
、R
b
、及びR
c
のそれぞれが、置換又は非置換のアルキル、脂肪族環、アラルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、アリール、及び複素環からなる群から独立して選択されるNR
a
R
b
R
c
、
(ii)N-置換基が、置換又は非置換のアルキル、脂肪族環、アラルキル、アリール、及び複素環からなる群から選択される、N-置換及び任意に更に置換されたヘテロ脂環式アミン、及び
(iii)置換又は非置換の含窒素ヘテロアリール化合物、
直流電源、前記水性電着組成物、前記
直流電源の負端子と電気的に連通し、且つ前記
水性電着組成物と接触している前記アンダーバンプパッド又はアンダーバンプメタル、及び前記
直流電源の正端子と電気的に連通し、且つ前記
水性電着組成物と接触しているアノードを含む電解回路に電流を供給し、
前記電解回路に供給される電流は、少なくとも12A/dm
2の電流密度に維持され、
前記アンダーバンプ構造上に銅バンプ又はピラーを電着することを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記ベース構造が、側壁及び床を有する凹部を含み、前記アンダーバンプ構造の位置が前記凹部内にあり、
電着中の前記
銅バンプ又はピラーの水平方向の成長は、前記凹部の前記側壁によって制限され、
前記側壁は導電性でない請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
電着中に前記
銅バンプ又はピラーの先端の成長は、水平方向に制限されない請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記アンダーバンプパッド又はアンダーバンプメタルが、前記水性電着組成物からの銅の電着を開始するためのカソードとして機能する種導電層(seminal conductive layer)を含み、
前記種導電層が、銅シード層を含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記アンダーバンプメタル又はパッドからの鉛直方向における前記
銅バンプ又はピラーの成長速度が、少なくとも2.5μm/分である請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記
銅バンプ又はピラーの直径が、1~30μmであり、
前記
銅バンプ又はピラーの高さが、少なくとも2μmである請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記レベラーが四級化ジピリジル化合物を含み、
前記二官能性アルキル化剤が、下記の構造(IIIb)
【化3】
を含み、
前記構造
(IIIb)において、Bが、
【化4】
からなる群から選択され、
p及びqが、同じでも異なっていてもよく、0~6の整数であり、p及びqの少なくとも一方が、少なくとも1であり、
Xが、1~4の整数であり、
Y及びZが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トシル、トリフレート、スルホネート、メシレート、メトサルフェート、フルオロスルホネート、メチルトシレート、ブロシレート、又はノシレートから選択される脱離基であり、
R
1~R
14が、それぞれ独立して、水素、1~6個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルキル、1~6個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルキレンである請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記レベラーが、四級化ジピリジル化合物を含み、
前記二官能性アルキル化剤が、構造:
Y-(CR
26R
27)-Ar-(CR
28R
29)-Z 構造A1
を含み、
前記構造
A1において、Y及びZがそれぞれ、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トシル、トリフレート、スルホネート、メシレート、メトサルフェート、フルオロスルホネート、メチルトシレート、ブロシレート、及びノシレートから独立して選択される脱離基であり、Arが、ベンゼン、トルエン、キシレン、又はナフタレンから誘導される二価のアリール残基であり、R
26、R
27、R
28、及びR
29がそれぞれ、水素、及び1~4個の炭素原子を有する低級アルキルから独立して選択される請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記レベラーが、一般構造:
【化5】
を含む請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記レベラーが、構造:
-[-(ジ(t-アミン)残基))-(CR
26R
27)
i-Ar-(CR
28R
29)
j-]
n-S-C(=NR
38R
39)
+-NR
40R
41 構造D1
又は
-[-(ジ-(t-アミン)残基))-(CR
1R
27)
p-G-(CR
5R
6)
q-]
n-S-C(=NR
38R
39)
+-NR
40R
41 構造D2
を含み、
前記構造
D1及び前記構造D2において、
R
1
、R
5、R
6、
R
26
、R
27
、R
28、R
29、
R
38
、R
39
、R
40、及びR
41がそれぞれ、水素、及びC
1~C
4アルキルからなる群から独立して選択され、Gが、一重共有結合、-O-、O-((A)
r-O)
s-、及び-((A)
r-O)
s-からなる群から選択され、Aが、構造:
【化6】
を有し、
前記Aにおいて、R
3
、R
4
、R
33
、R
34
がそれぞれ、水素、及びC
1
~C
4
アルキルからなる群から独立して選択され、i及びjのそれぞれが1以上12以下の整数であり、p及びrのそれぞれが1以上6以下の整数であり、sが1以上10以下の整数であり、qが0以上6以下の整数であり、Arが置換又は非置換のアリーレン基である請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
Qが、
【化7】
からなる群から選択され、
構造
2Bが、N-置換複素環式部位であり、構造
2Cが、複素環式部位であり、R
a、R
b、R
c、及びR
dがそれぞれ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換アラルキル、置換又は非置換の脂肪族環、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換の複素環からなる群から独立して選択され、R
e、R
f、R
g、R
h、及びR
jがそれぞれ、水素、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換アラルキル、置換又は非置換の脂肪族環、置換又は非置換のアリール、及び置換又は非置換の複素環からなる群から独立して選択される請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
Qが、ポリ(エピハロヒドリン)のペンダントメチレンハライド基を、NR
aR
bR
cを含む三級アミンと反応させることで得ることができる構造に対応し、
R
a、R
b、及びR
cのうちの1つが、少なくとも3個の炭素原子を有する非置換アルキル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、フェニル、ヒドロキシフェニル、ジヒドロキシフェニル、ベンジル、ヒドロキシフェニルメチル、及びジヒドロキシフェニルメチルからなる群から選択され、R
a、R
b、及びR
cのうち他がそれぞれ、1~3個の炭素原子を有する低級アルキルから独立して選択される請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
Qが、ポリ(エピハロヒドリン)のペンダント塩化メチレン基を、
a)3-ヒドロキシプロピルジメチルアミン、n-ブチルジメチルアミン、ジ(3-ヒドロキシプロピル)メチルアミン、2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアミン、3-ヒドロキシプロピルジエチルアミン、2-ヒドロキシプロピルジメチルアミン、4-ヒドロキシブチルジメチルアミン、2-ヒドロキシエチルジメチルアミン、n-プロピルジメチルアミン、2-ヒドロキシエトキシエチルジメチルアミン、ジ(2-ヒドロキシエチル)メチルアミン、ベンジルジメチルアミン、4-ヒドロキシベンジルジメチルアミン、4-メチルピリジン、3-エチルピリジン、4-プロピルピリジン、4-tertブチルピリジン、4-シアノピリジン、4-イソプロピルピリジン、4-メトキシピリジン、3,4-ルチジン、3-メトキシピリジン、及び4-ピリジンメタノールからなる群から選択される四級化剤、又は
b)N-メチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、4-エチルピリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、2-ジメチルアミノ-1-エタノール、1-メチルイミダゾール、及びN,N-ジメチルアルカノールアミンからなる群から選択される三級アミン
と反応させることで得ることができる構造を有する請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記水性電着組成物が、20~100g/Lの銅イオン、70~280g/lの硫酸及びアルカンスルホン酸からなる群から選択される酸、30~80ppmの塩化物イオン、1~5~50mg/Lの前記レベラー、及び100~1,000ppmの前記抑制剤を含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記水性電着組成物が促進剤を更に含み、
前記促進剤が有機硫黄化合物を含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記抑制剤が、
a)アルコキシル化アミンと、
b)1:9~9:1のPO:EO比で存在し、且つ窒素含有種に結合したプロピレンオキシド(PO)繰り返し単位とエチレンオキシド(EO)繰り返し単位との組合せを含むポリエーテル化合物と、
c)ポリアルキレングリコールであって、置換フェノールを前記ポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシルと縮合させることによって形成された末端スルホン酸部位及び末端芳香族部位を有する前記ポリアルキレングリコールと
からなる群から選択される化合物を含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記プロセスによって製造される銅バンプ又はピラーが
直径及び高さを有し、少なくとも1:1の
前記直径及び前記高さのアスペクト比を有する請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
基板上に銅バンプ又はピラーを堆積するための電着組成物であって、
前記基板が電着組成物と接触され、直流電源と電気的に連通し、且つ前記電着組成物と接触しているカソード及びアノードとしての基板を含む電解回路に電流を供給し、前記電着組成物が、
銅イオン源と、
酸と、
抑制剤と、
四級化ジピリジル化合物又は四級化ポリ(エピハロヒドリン)を含むレベラーと、
促進剤と
を含み、
前記四級化ジピリジル化合物が、N、N'-テトラアルキルチオ尿素と、ジピリジル及び二官能性アルキル化剤の反応によって生成された中間体との反応生成物の構造を有する化合物を含み、
前記四級化ポリ(エピハロヒドリン)が、構造1N:
【化8】
に対応するn個の繰り返し単位、及び構造1P:
【化9】
に対応するp個の繰り返し単位を含み、
前記構造において、Qが、ポリ(エピハロヒドリン)のペンダントメチレンハライド基を、
下記(i)、(ii)及び(iii)からなる群から選択される三級アミンと反応させることによって得られうるものに対応する構造を有し、nが3~35の整数であり、pが0
より大きく25
までの整数であり、Xがハロ置換基であり、X
-が一価のアニオ
ンであり、
(i)R
a
、R
b
、及びR
c
のそれぞれが、置換又は非置換のアルキル、脂肪族環、アラルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、アリール、及び複素環からなる群から独立して選択されるNR
a
R
b
R
c
、
(ii)N-置換基が、置換又は非置換のアルキル、脂肪族環、アラルキル、アリール、及び複素環からなる群から選択される、N-置換及び任意に更に置換されたヘテロ脂環式アミン、及び
(iii)置換又は非置換の含窒素ヘテロアリール化合物、
前記電着組成物が、基板
に対して垂直方向に少なくとも2.5μm/分の銅バンプ又はピラー
の成長速度を達成するように構成されることを特徴とする電着組成物。
【請求項19】
前記レベラーが四級化ジピリジル化合物と下記構造(IIIb):
【化10】
を含む二官能アルキル化剤を含み、
前記構造
(IIIb)において、Bが、
【化11】
から選択され、
p及びqが、同じでも異なっていてもよく、0~6の整数であり、p及びqの少なくとも一方が、少なくとも1であり、
Xが、1~4の整数であり、
Y及びZが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トシル、トリフレート、スルホネート、メシレート、メトサルフェート、フルオロスルホネート、メチルトシレート、ブロシレート、又はノシレートから選択される脱離基であり、
R
1~R
14が、それぞれ独立して、水素、1~6個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のアルキル、1~6個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のアルキレン、又は置換若しくは非置換のアリールである請求項18に記載の電着組成物。
【請求項20】
前記構造(IIIb)において、p及びqが、両方とも1、又は両方とも2であり、
Bが
【化12】
から選択される請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記
四級化ジピリジル化合物と二官能性アルキル化剤との反応生成物が重合し、前記レベラーが下記の一般構造(IV)、(VI)、(VII)、(VIII)、(X)、(XI)、及び(XXX):
【化13】
(前記構造
(IV)において、B、p、q、Y、及びZが(IIIb)に関して定義した通りであり、mが1~6の整数であり、nが少なくとも2である整数である。)
【化14】
(前記構造
(VI)において、nが少なくとも2である整数である。)
【化15】
(前記構造
(VII)において、B、p、q、Y、及びZが構造(IIIb)に関して定義した通しであり、nが少なくとも2である整数である。)
【化16】
(前記構造
(VIII)において、nが少なくとも2である整数である。)
【化17】
(前記構造
(XXX)において、nが少なくとも2である整数である。)
【化18】
(前記構造
(X)において、nが少なくとも2である整数である。)
【化19】
(前記構造
(XI)において、nが少なくとも2である整数である。)
からなる群から選択されるポリマーである請求項19の組成物。
【請求項22】
前記レベラーが、N,N,N’,N’-テトラアルキルチオ尿素と、ジピリジルの二官能性アルキル化剤との反応によって生成される中間体との反応生成物の構造を有するジピリジル化合物を含む請求項19に記載の組成物
。
【請求項23】
前記二官能アルキル化剤が、構造:
Y-(CR
26R
27)-Ar-(CR
28R
29)-Z 構造A1
を有し、
前記構造
A1において、Y及びZがそれぞれ、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トシル、トリフレート、スルホネート、メシレート、メトサルフェート、フルオロスルホネート、メチルトシレート、ブロシレート、及びノシレートから独立して選択される脱離基であり、Arが、ベンゼン、トルエン、キシレン、又はナフタレンから誘導される二価のアリール残基であり、R
26、R
27、R
28、及びR
29がそれぞれ、水素、及び1~4個の炭素原子を有する低級アルキルから独立して選択される請求項19に記載の組成物。
【請求項24】
前記
四級化ジピリジル化合物が、一般構造:
【化20】
を有するポリマー又はオリゴマーを含む請求項19に記載の組成物。
【請求項25】
前記
四級化ジピリジル化合物が、構造:
-[-(ジ(t-アミン)残基))-(CR
26R
27)
i-Ar-(CR
28R
29)
j-]
n-S-C(=NR
38R
39)
+-NR
40R
41 構造D1
又は
-[-(ジ-(t-アミン)残基))-(CR
1R
27)
p-G-(CR
5R
6)
q-]
n-S-C(=NR
38R
39)
+-NR
40R
41 構造D2
に対応し、
前記構造
D1及び前記構造D2において、
R
1
、R
5、R
6、
R
26
、R
27
、R
28、R
29、
R
38
、R
39
、R
40、及びR
41がそれぞれ、水素、及びC
1~C
4アルキルからなる群から独立して選択され、Gが、一重共有結合、-O-、O-((A)
r-O)
s-、及び-((A)
r-O)
s-からなる群から選択され、Aが、構造:
【化21】
を有し、
前記Aにおいて、R
3
、R
4
、R
33
、R
34
がそれぞれ、水素、及びC
1
~C
4
アルキルからなる群から独立して選択され、i及びjのそれぞれが1以上12以下の整数であり、p及びrのそれぞれが1以上6以下の整数であり、sが1以上10以下の整数であり、qが0以上6以下の整数であり、Arが置換又は非置換のアリーレン基である請求項19に記載の組成物。
【請求項26】
前記Qが、
【化22】
R
a、R
b、及びR
cのうちの1つが、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、フェニル、ヒドロキシフェニル、ジヒドロキシフェニル、ベンジル、ヒドロキシフェニルメチル、及びジヒドロキシフェニルメチルからなる群から選択され、R
a、R
b、及びR
cのうち他がそれぞれ、1~3個の炭素原子を有する低級アルキルから独立して選択される、又は、
前記Qが、
【化23】
又は、
【化24】
であり、
前記構造2Bが、N-置換複素環式部位であり、
前記構造2Cが、複素環式部位であり、(iii)Re、Rf、Rg、Rh、及びRjがそれぞれ、水素、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換アラルキル、置換又は非置換の脂肪族環、置換又は非置換のアリール、及び置換又は非置換の複素環からなる群から独立して選択され、
nが3~35の整数であり、pが0
より大きく25
までの整数であり、Xがハロ置換基であり、X
-が一価のアニオ
ンである請求項19に記載の組成物。
【請求項27】
前記ポリ(エピハロヒドリン)の繰り返し単位が、エピハロヒドリンの残基及び四級化エピハロヒドリンの残基から実質的になる請求項26に記載の組成物。
【化25】
【請求項28】
Qが、ポリ(エピハロヒドリン)のペンダントメチレンハライド基を、NR
aR
bR
cを含む三級アミンと反応させることで得ることができる構造に対応し、
R
a、R
b、及びR
cのうちの1つが、少なくとも3個の炭素原子を有する非置換アルキル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、フェニル、ヒドロキシフェニル、ジヒドロキシフェニル、ベンジル、ヒドロキシフェニルメチル、及びジヒドロキシフェニルメチルからなる群から選択され、R
a、R
b、及びR
cのうち他がそれぞれ、1~3個の炭素原子を有する低級アルキルから独立して選択される請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
Qが、ポリ(エピハロヒドリン)のペンダント塩化メチレン基を、
a)3-ヒドロキシプロピルジメチルアミン、n-ブチルジメチルアミン、ジ(3-ヒドロキシプロピル)メチルアミン、2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアミン、3-ヒドロキシプロピルジエチルアミン、2-ヒドロキシプロピルジメチルアミン、4-ヒドロキシブチルジメチルアミン、2-ヒドロキシエチルジメチルアミン、n-プロピルジメチルアミン、2-ヒドロキシエトキシエチルジメチルアミン、ジ(2-ヒドロキシエチル)メチルアミン、ベンジルジメチルアミン、4-ヒドロキシベンジルジメチルアミンからなる群から選択される四級化剤、又は
b)3-ヒドロキシプロピルジメチルアミン、n-ブチルジメチルアミン、ジ(3-ヒドロキシプロピル)メチルアミン、2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアミン、3-ヒドロキシプロピルジエチルアミン、2-ヒドロキシプロピルジメチルアミン、4-ヒドロキシブチルジメチルアミン、2-ヒドロキシエチルジメチルアミン、n-プロピルジメチルアミン、2-ヒドロキシエトキシエチルジメチルアミン、ジ(2-ヒドロキシエチル)メチルアミン、ベンジルジメチルアミン、4-ヒドロキシベンジルジメチルアミン、4-メチルピリジン、3-エチルピリジン、4-プロピルピリジン、4-tertブチルピリジン、4-シアノピリジン、4-イソプロピルピリジン、4-メトキシピリジン、3,4-ルチジン、3-メトキシピリジン、及び4-ピリジンメタノールからなる群から選択される三級アミンを有するペンダントメチレンハライド基
と反応させることで得ることができる構造を有する請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
水性電着組成物が、促進剤を更に含み、
前記促進剤が、有機硫黄化合物を含む請求項26に記載の組成物。
【請求項31】
前記抑制剤が、
a)アルコキシル化アミンと、
b)1:9~9:1のPO:EO比で存在し、且つ窒素含有種に結合したプロピレンオキシド(PO)繰り返し単位とエチレンオキシド(EO)繰り返し単位との組合せを含むポリエーテル化合物と、
c)ポリアルキレングリコールであって、置換フェノールを前記ポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシルと縮合させることによって形成された末端スルホン酸部位及び末端芳香族部位を有する前記ポリアルキレングリコールと
からなる群から選択される化合物を含む請求項18に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年9月22日出願の米国仮出願第62/398,316号の利益を主張し、その主題の全体を参照により本明細書中に援用する。
【0002】
本発明は、一般に、電子回路の製造における銅の電着及びウェハレベルパッケージング(WLP)用途におけるフィーチャの形成におけるめっき浴処方に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路の次第に微細化、高密度化するアーキテクチャを利用するためには、半導体パッケージングにも対応する超微細化を提供することが必要である。 この目的のための構造的要件の中には、集積回路チップ内の入力/出力伝送リード線の密度の増加がある。
【0004】
フリップチップパッケージングでは、リード線は、チップの面上に、より具体的には、チップの回路を接続する基板、例えばプリント回路基板(PCB)に面するチップの側に、バンプ又はピラーを含む。
【0005】
フリップチップ回路用の入力及び出力パッドは、はんだバンプを備えていることが多く、それを介してパッドは、PCB又は他の集積回路チップの回路などの、チップの外部の回路に電気的に接続される。はんだバンプは、鉛、スズ、ビスマスなどの金属を含有する比較的低融点の卑金属及び卑金属合金から設けられる。Sn/Ag合金のような卑金属と他の導電性金属との合金も使用される。
【0006】
パッケージングされたチップの製造において、バンプは、パッドのいわゆるアンダーバンプメタル上に球状の溶融ビードとして設けられ、チップと外部回路との間の電流の交換を仲介する電気コネクタを形成するために適所に固化される。固化中に水平方向又は鉛直方向の制限を受けない限り、はんだバンプは一般に球形を呈する。その結果、アンダーバンプメタル又はパッドとの界面における電流の断面積は、はんだバンプ組成物によるアンダーバンプ構造の濡れ性に依存しうる。水平方向の成長の程度は、外部的な制限がない場合、バンプの高さがその水平方向の寸法を超えることはなく、溶融はんだによるアンダーバンプメタルの濡れ性が増すにつれて高さに対して減退する。したがって、制限を受けないはんだバンプの寸法は、主に、溶融はんだの表面張力、はんだとアンダーバンプメタルとの間の界面張力、及びプロセスで使用されるはんだ供給メカニズムの動作中にはんだ滴の体積を制御することができる範囲によって決定される。
【0007】
集積回路チップの面上に形成されたはんだバンプのアレイでは、これらの要因によって、ピッチの微細さ、即ちアレイ中の最近隣のバンプの中心間の距離が制限されることがある。
【0008】
より微細なピッチを達成するために、アンダーバンプメタル上に、はんだの代替として、銅バンプ又はピラーを電着することが試みられてきた。しかし、所望の構成を有する銅ピラーが設けられるように電着プロセスを制御することは困難となりうる。ピラーの本体の形状は、誘電材料で形成される側壁を有するキャビティの範囲内に形成することによって決定することができるが、ピラーの先端の形状は、例えば過度にドーム状、過度に皿状、又は不規則になるなど、いまだに不満足なものとなりうる。
【0009】
はんだバンプを設けることと比較して、銅ピラーの製造は、生産性及び製造コストに対する生産性の効果において、更に不利となる可能性がある。溶融はんだ滴は、供給ヘッドがアンダーバンプメタルと位置合わせされるとほぼ瞬時に供給することができるが、銅ピラーの電着速度は電着回路で達成できる最大電流密度によって制限される。商業的には、電流密度は、銅ピラーの先端のドーム状、皿状、及び不規則状の形状の問題を含む様々な形状に関する問題によって制限され、これらの問題は、電流密度が、用途によるが、約7μm/分以下の鉛直方向成長速度に相当する、例えば約40A/dm2の限界値を超えると悪化する。
【0010】
銅バンプ及びピラーは、スズ/鉛はんだバンプを超える実質的な利点を有するが、バンプ又はピラーの端部をPCBの回路配線などの外部回路に接合するために製造工程においていまだ小さなはんだビードが使用される。しかし、銅とはんだとの適切な接合を確実にし、銅のはんだ相への移動により生じうる銅/はんだ界面でのカーケンダルボイド(即ち、接合に対して様々な種類の合金の境界界面で形成されるボイド)の形成を防ぐためには、銅相とはんだ相との間の障壁としてバンプ又はピラーの先端にニッケルキャップを設ける必要があり、したがって製造プロセスの費用及び複雑さが増すことになっていた。
【発明の概要】
【0011】
本明細書には、ウェハレベルパッケージング(WLP)フィーチャの電着のための改良された組成物及び方法が記載される。この目的に特に有効なのは、バンプ、ピラー、又はメガバンプなどのフィーチャを、銅イオン源、酸、レベラー、抑制剤、及び促進剤を含有するめっき溶液から堆積するプロセスである。
【0012】
本明細書に記載されるプロセスは、半導体デバイスの電子回路とデバイスの外部の回路との相互接続のために半導体基板上にWLPフィーチャを形成するのに有効である。これには、例えば、約1μm程度の小さい直径又は約240μm程度の大きい直径、約2μm程度の小さい高さ及び約300μm程度の大きい高さ、並びに約1:1から、約2:1、及び最大で約10:1、又は更に最大で約20:1までのアスペクト比を有するフィーチャが含まれる。一実施形態では、半導体アセンブリ上のアンダーバンプ構造などのWLP構造を有するカソードと接触している電解液に電流が供給され、電解液は、銅イオン源、酸、レベラー、及び抑制剤を含有するので、それによってアンダーバンプ構造上に銅バンプ又はピラーが電着される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の様々な好ましい実施形態では、本明細書に記載されるように、適切な先端形状を有する銅バンプ又はピラーが、比較的速い鉛直方向成長速度で堆積される。「適切な先端形状」とは、銅バンプ又はピラーが、過度にドーム状、過度に皿状、又は不規則な形状でないことを意味する。適切な先端形状を有するバンプ及びピラーの成長速度は、本明細書に記載される組成物及びプロセスを伴わない電着浴を使用して達成される速度と比較すると、有利である。
【0014】
電解めっき浴は、一般に、
a)銅イオン源
b)酸成分
c)抑制剤
d)四級化ジピリジル化合物又は四級化ポリ(エピハロヒドリン)を含有するレベラー
e)促進剤
を含む。
【0015】
電解めっき浴中の銅イオン源は、例えば、硫酸銅、又はメタンスルホン酸若しくはエタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸の銅塩などの、任意の様々な水溶性銅塩であってよい。
【0016】
酸成分は、好ましくは硫酸又はメタンスルホン酸若しくはエタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸であり、最も好ましくはメタンスルホン酸である。
好ましくは、酸の共役塩基は、銅塩の対アニオンと同じであるが、例えば、硫酸銅とメタンスルホン酸、又は銅メタンスルホン酸塩と硫酸などの混合物も有効となりうる。
【0017】
銅及び酸の濃度は広い範囲にわたって変動してよく、例えば、銅は約20~約100g/Lで、酸は約40~約300g/Lであってよい。多くの実施形態では、銅イオン濃度としては、銅が約25~約100g/Lなど、約30g/L超、40g/L、更には60又は80程度までであってよい(50g/Lの銅は、200g/LのCuSO4・5H2O硫酸銅五水和物に相当する)。これらの系における酸濃度は、約50~約300g/L程度、いくつかの実施形態では、好ましくは約80~約220g/Lである。
【0018】
塩化物イオンも浴中で100mg/Lまで、好ましくは約10~90mg/Lの範囲内、より好ましくは30~80mgLの範囲内のレベルで使用してよい。これらの濃度範囲での塩化物イオンの添加によって、他の浴用添加剤の機能が強化される。これらの他の浴用添加剤には、促進剤、抑制剤、及びレベラーが含まれる。表1は、様々な銅及び酸濃度を有する多様なメイクアップ組成物を記載する。
【表1】
サンプル浴メイクアップ組成物
5のCu
2+はCuMSAに由来し、その他のCu
2+はCuSO
4に由来する。
【0019】
電着組成物は、約1.0~約100mg/L、より好ましくは、約5.0~約50mg/Lなどの適切な濃度でレベリング化合物を含有する。
【0020】
本明細書に記載される新規なプロセスにおいて有用なレベラーの中には、ジピリジル化合物、二官能性アルキル化剤、及び四級化ポリ(エピハロヒドリン)ポリマーの反応によって形成されるポリマー及びオリゴマーがある。
【0021】
多様なこれら四級化ジピリジル反応生成物が、主題の全体を参照により本明細書に組み込むPaneccasioらの米国特許第8,388,824号に記載されている。
【0022】
バンプ及びピラーなどのWLPフィーチャの電着のためのレベラーを調製するために四級化してよいジピリジルは、一般構造(I)を有する。
【化1】
構造(I)
【0023】
R1は、ピリジン環に結合する部位である。構造(I)において、R1からピリジン環の1個までの各線は、R1部位の原子とピリジン環の5個の炭素原子のうちの1個との間の結合を表す。いくつかの実施形態では、R1は、一方のピリジン環の1個の炭素原子が他方のピリジン環の1個の炭素原子に直接結合する単結合を表す。
【0024】
所定の有利な実施形態では、R
1結合部位はアルキレン鎖であってよく、ジピリジルは一般構造(Ia)を有してよい。
【化2】
構造(Ia)
hは0~6の整数であり、R
2及びR
3はそれぞれ、水素、及び1~約3個の炭素原子を有する短いアルキル鎖から独立して選択される。構造(Ia)において、アルキレン鎖中の炭素からピリジン環の1個までの各線は、アルキレン鎖中の炭素原子とピリジン環の5個の炭素原子のうちの1個との間の結合を表す。hが0である実施形態では、結合部位は単結合であり、ピリジン環のうちの1個における1個の炭素原子は他のピリジン環における1個の炭素原子に直接結合する。
【0025】
いくつかの実施形態では、R
1結合部位はカルボニルを含んでよく、ジピリジルは一般構造(Ib)を有してよい。
【化3】
構造(Ib)
i及びjは0~6の整数であり、R
4、R
5、R
6、及びR
7はそれぞれ、水素、及び1~約3個の炭素原子を有する短いアルキル鎖から独立して選択される。構造(Ib)において、結合部位の炭素からピリジン環の1個までの各線は、結合部位の炭素原子とピリジン環の5個の炭素原子のうちの1個との間の結合を表す。i及びjが両方とも0である実施形態では、カルボニルの炭素原子は各ピリジン環における1個の炭素原子に直接結合する。
【0026】
構造(Ib)のジピリジルの一般クラスにおいて、i及びjが両方とも0である2つの化合物は、以下に示す構造を有する2,2'-ジピリジルケトン及び4,4
1-ジピリジルケトンである。
【化4】
2,2
1-ジピリジルケトン
【化5】
4,4
1-ジピリジルケトン
【0027】
いくつかの実施形態では、R
1結合部位はアミンを含んでよく、ジピリジルは一般構造(Ic)を有してよい。
【化6】
構造(Ic)
k及びlは0~6の整数であり、R
8、R
9、R
10、R
11、及びR
12はそれぞれ、水素、及び1~約3個の炭素原子を有する短いアルキル鎖から独立して選択される。構造(Ic)において、結合部位の炭素からピリジン環の1個までの各線は、結合部位の炭素原子とピリジン環の5個の炭素原子のうちの1個との間の結合を表す。k及びlが両方とも0である実施形態では、窒素が各ピリジン環における1個の炭素原子に直接結合する。
【0028】
構造(Ic)のジピリジルの一般クラスにおいて、k及びlが両方とも0であり、R
12が水素である化合物の1つは、以下に示す構造を有するジピリジン-4-イルアミンである。
【化7】
ジピリジン-4-イルアミン
【0029】
いくつかの実施形態では、R
1結合部位は別のピリジンを含む。そのような構造は、実際には、一般構造(Id)を有するターピリジンである。
【化8】
構造(Id)
【0030】
構造(Id)において、各ピリジン環からの各線は、1個の環における1個の炭素と他の環における他の炭素との間の結合を表す。
【0031】
構造(Id)の一般クラスの化合物のうちのそのような化合物の1つは、下記構造を有するターピリジンである。
【化9】
ターピリジン
【0032】
好ましくは、ジピリジルは、一般構造(Ia)の一般クラスのジピリジルから選択され、更にR
2及びR
3はそれぞれ水素である。これらのジピリジルは、一般構造(IIa)を有する。
【化10】
構造(IIa)
mは0~6の整数である。構造(IIa)において、アルキレン鎖中の炭素原子からピリジン環の1個までの各線は、アルキレン鎖中の炭素原子とピリジン環における5個の炭素原子のうちの1個との間の結合を表す。mが0である実施形態では、結合部位は単結合であり、ピリジン環の1個における1個の炭素原子は他のピリジン環における1個の炭素原子に直接結合する。
【0033】
上記一般構造(IIa)のジピリジルとしては、下記構造(IIb)~(IId)にそれぞれ示すように、2,2'-ジピリジル化合物、3,3'-ジピリジル化合物、及び4,4'-ジピリジル化合物が挙げられる。
【化11】
構造(IIb)
【化12】
構造(IIc)
【化13】
構造(IId)
mは0~6の整数である。mが0のとき、2個のピリジン環は、単結合により直接互いに結合する。
【0034】
2,2'-ジピリジル化合物としては、2,2'-ジピリジル、2,2'-エチレンジピリジン(1,2-ビス(2-ピリジル)エタン)、ビス(2-ピリジル)メタン、1,3-ビス(2-ピリジル)プロパン、1,4-ビス(2-ピリジル)ブタン、1,5-ビス(2-ピリジル)ペンタン、及び1,6-ビス(2-ピリジル)ヘキサンが挙げられる。
【0035】
3,3'-ジピリジル化合物としては、3,3'-ジピリジル、3,3'-エチレンジピリジン(1,2-ビス(3-ピリジル)エタン)、ビス(3-ピリジル)メタン、1,3-ビス(3-ピリジル)プロパン、1,4-ビス(3-ピリジル)ブタン、1,5-ビス(3-ピリジル)ペンタン、及び1,6-ビス(3-ピリジル)ヘキサンが挙げられる。
【0036】
4,4'-ジピリジル化合物としては、例えば、4,4'-ジピリジル、4,4'-エチレンジピリジン(1,2-ビス(4-ピリジル)エタン)、ビス(4-ピリジル)メタン、1,3-ビス(4-ピリジル)プロパン、1,4-ビス(4-ピリジル)ブタン、1,5-ビス(4-ピリジル)ペンタン、及び1,6-ビス(4-ピリジル)ヘキサンが挙げられる。
【0037】
これらのジピリジル化合物のうち、4,4'-ジピリジルに基づく化合物は、低不純物混入並びにアンダーめっき及びオーバーめっきの減少を達成するという観点から特に有利なレベラーであることが分かっているので、4,4'-ジピリジル化合物が好ましい。好ましいジピリジルとしては、構造(IIe)を有する4,4'-ジピリジル及び構造(IIf)を有する4,4'-エチレンジピリジンが挙げられる。
【化14】
構造(IIe)
【化15】
構造(IIf)
【0038】
本明細書に記載されるいくつかの好ましい電着組成物に使用されるレベリング化合物は、窒素原子の少なくとも一方、好ましくは両方をアルキル化することによって典型的には調製される四級化ジピリジル化合物である。アルキル化は、ジピリジル化合物をアルキル化剤と反応させることによって起こる。いくつかの実施形態では、アルキル化剤は、ポリマーを形成するために特に適した種類のものであってよい(下記の構造(IIIb)及び(IIIc)を有するアルキル化剤を参照)。ジピリジル化合物と反応し、そして一般的に高分子レベラーを形成するアルキル化剤は、一般構造(IIIb)を有してよい。
【化16】
構造(IIIb)
Bは、下記:
【化17】
から選択してよい。
p及びqは、同じでも異なっていてもよく、0~6、好ましくは0~2の整数であり、p及びqの少なくとも一方は少なくとも1である。
Xは、1~約4の整数、好ましくは1又は2である。
Y及びZは、脱離基である。脱離基は、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トシル、トリフレート、スルホネート、メシレート、メトサルフェート、フルオロスルホネート、メチルトシレート、ブロシレート、又はノシレートの中から選択してよい。
【0039】
上記の各Bの群において、官能部位から出ている単線は、B部位中の原子、例えば、酸素、窒素、又は炭素と、下記アルキレン基:
【化18】
における炭素との間の結合を表す。更に、構造式(IIIb)のB部位に示されるR1~R14基は独立して、水素、1~6個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を有する置換若しくは非置換アルキル、1~6個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を有する置換若しくは非置換アルキレン、又は置換若しくは非置換アリールである。アルキルは、下記の置換基:ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、ホスホノ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステル及びエーテルのうちの一以上で置換してよい。一般に、多様なR基は、水素又は非置換アルキルであり、更により好ましくは、R基は水素である。
【0040】
好ましくは、Bは、下記:
【化19】
からなる群から選択される。
【0041】
より好ましくは、Bは、下記:
【化20】
からなる群から選択される。
【0042】
好ましくは、構造-(CH2)p-B-(CH2)q-は脂肪族である。構造(IIIb)のアルキル化剤において、p及びqが両方とも1であるか、又は両方とも2であり、Y及びZが両方とも塩化物であることも好ましい。
【0043】
ジピリジル化合物と反応したときに高分子レベラーを形成しうる別のクラスのアルキル化剤はオキシラン環を含み、一般構造(IIIc)を有する。
【化21】
構造(IIIc)
R
11、R
12、及びR
13は、水素又は1~6個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を有する置換若しくは非置換アルキルである。
oは、1~6の整数であり、好ましくは1又は2である。
Yは、脱離基である。脱離基は、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トシル、トリフレート、スルホネート、メシレート、メトサルフェート、フルオロスルホネート、メチルトシレート、ブロシレート、又はノシレートの中から選択してよい。
【0044】
好ましくは、R
11、R
12、及びR
13は水素であり、アルキル化剤は下記の一般構造を有する。
【化22】
o及びYは、構造(IIIc)に関して定義した通りである。
【0045】
好ましくは、oは1であり、Yは塩化物であり、一般構造(IIIc)のアルキル化剤はエピクロロヒドリンである。
【0046】
反応生成物は、反応混合物中で脱離基にアニオンを形成させる。塩化物は一般に電解銅めっき組成物に添加されるので、Y及びZは好ましくは塩化物である。 本明細書に記載されるプロセスでの使用に適したレベリング化合物を形成するために他の脱離基を使用してもよいが、電解めっき組成物に悪影響を及ぼしうるのであまり好ましくない。 例えば臭化物又はヨウ化物と電荷バランスがとれているレベラーは、このプロセスで使用される電解銅めっき組成物にレベリング化合物を添加する前に塩化物とイオン交換することが好ましい。
【0047】
一般構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)及び(IIf)を有するジピリジル化合物と、一般構造(IIIb)及び(IIIc)を有するアルキル化剤との反応から、多様なレベリング化合物を調製しうる。レベラー化合物を調製する反応は、主題の全体を参照により本明細書に組み込むNagoseらの米国特許第5,616,317号に記載される条件にしたがって起こりうる。反応において、ピリジル環上の窒素原子がジハロゲン化合物中のメチレン基と反応し、それに結合するときに、脱離基は置き換わられる。好ましくは、反応は、エチレングリコール又はプロピレングリコールなどの好ましくは高沸点を有する相溶性有機溶媒中で起こる。
【0048】
本明細書に記載される組成物及びプロセスに有用なポリマー又はオリゴマーであるジピリジル系レベラーの調製においては、ジピリジル化合物及びアルキル化剤が重合するよう反応条件、即ち温度及び濃度、並びにアルキル化剤を選択し、ポリマーの繰り返し単位には、ジピリジル化合物から誘導される1つの部位とアルキル化剤から誘導される1つの部位とが含まれる。いくつかの実施形態では、ジピリジル化合物は構造(IIa)を有し、アルキル化剤は上記構造(IIIb)に示した一般構造を有する。したがって、いくつかの実施形態では、レベリング化合物は、下記の一般構造(IV)を含むポリマーである。
【化23】
構造(IV)
B、m、p、q、Y、及びZは構造(IIa)及び(IIIb)に関して定義した通りであり、Xは少なくとも2である整数である。好ましくは、Xは、約2~約50、約2~約25、更により好ましくは約4から約20など、2~約100までの範囲である。
【0049】
いくつかの好ましい実施形態において、レベリング化合物は構造(IIf)の4,4’-ジピリジルと構造(IIIb)のアルキル化剤との反応生成物である。反応条件、即ち温度及び相対濃度、並びにアルキル化剤の選択は、4,4'-エチレンジピリジン及びアルキル化剤が重合するように選択してよく、ポリマーの繰り返し単位には、4,4'-エチレンジピリジンから誘導される1つの部位と、アルキル化剤から誘導される1つの部位とが含まれる。したがって、いくつかの実施形態では、レベリング化合物は、下記の一般構造(VII)を有するポリマーである。
【化24】
構造(VII)
B、p、q、Y、及びZは、構造(IIIb)に関して定義した通りであり、Xは、少なくとも2、好ましくは2~100、例えば2~50、更に好ましくは3~約20の整数である。
【0050】
特に好ましいレベラーとしては、下記:
【化25】
構造(XXX)
【化26】
構造(VI)
【化27】
構造(VIII)
が挙げられる。
nの値は、好ましくは約5~約20、例えば低分子量の実施形態では6~9、又はより高分子量の実施形態では10~15であり、及び/又はポリマー若しくはオリゴマーが約1,000~約5,000の数平均分子量を有するような値である。
【0051】
レベリング構造(VII)の他の特定の実施形態としては、構造(X)が挙げられる。
【化28】
構造(X)
Xは、少なくとも2、好ましくは2~100、例えば2~50、より好ましくは3~約20の整数である。
【0052】
構造(VII)のレベラーの更に他の実施形態としては、構造(XI)のレベラーが挙げられる。
【化29】
構造(XI)
Xは、少なくとも2、好ましくは2~100、例えば2~50、より好ましくは3~約20、更により好ましくは約5~約20、最も好ましくは約10~約15の整数である。
【0053】
上記の各高分子構造において、n又はXの値は、最も好ましくは10~15の範囲であり、数平均分子量は、約2,500~約4,000、より好ましくは約2,800~約3,000、最も好ましくは約3,000~約3,600の範囲である。
【0054】
バンプ及びピラーの電着のための新規なプロセスで使用してよいジピリジル誘導レベラーの他のクラスには、N、N'-テトラアルキルチオ尿素と、ジピリジル及び二官能性アルキル化剤の反応によって生成される中間体との反応生成物の構造を有する化合物が含まれる。
【0055】
このクラスの特に好ましいレベラーは、例えば、化合物Cと、ジピリジル(B)及びアラルキレン二官能性アルキル化剤(A)の反応によって生成される中間オリゴマー又はポリマーとの反応によって調製することができる。
【化30】
より一般的には、反応物質Aは、下記の構造に対応する。
Y-(CR
26R
27)
i-Ar-(CR
28R
29)
j-Z 構造A1
Y及びZはそれぞれ、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トシル、トリフレート、スルホネート、メシレート、メトサルフェート、フルオロスルホネート、メチルトシレート、及びブロシレートからなる群から独立して選択される脱離基であり、Arは、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどから誘導される二価のアリール残基であり、i及びjはそれぞれ1以上12以下の整数であり、R
26、R
27、R
28、及びR
29はそれぞれ、水素、及び1~4個の炭素原子を有する低級アルキルから独立して選択される。反応物質Aを構成することができる例示的な化合物としては、p-ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(2-クロロエチル)ベンゼン、m-ジ(クロロメチル)ベンゼン、及びo-ジ(クロロメチル)ベンゼンが挙げられる。または、Aは、構造(I)によって記載することもできる。
【0056】
反応物質Bは、任意に、非置換のジピリジル、又は、例えばアルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、アミド、又はカルボキシル(即ち、ヒドロキシカルボニル)を含む種々の環置換基のいずれかで一、二、又は三置換されているジピリジルである。反応物質Bを構成することができる例示的な化合物としては、ジピリジル、エタン、プロパン、又はブタン、及び構造(II)によって記載されるジ(tert-アミン)のいずれかが挙げられる。反応物質Cは、好ましくは脱離基部位でアルキル化剤と反応するが高分子反応を伝播しない化合物である。例としては、ピリジン、チオ尿素、及びN,N,N’,N’-テトラアルキルチオ尿素が挙げられる。尿素窒素上のアルキル置換基は、好ましくは、1~4個の炭素原子を有する低級アルキルから選択される。
【0057】
ジピリジル系のレベラー、ジピリジル化合物B、及び二官能性反応物質Aの調製においては、A及びBの両方を溶媒媒体、例えばエチレングリコールに溶解し、そして溶媒媒体中で、好ましくは約120℃~約180℃温度で反応させる。反応物質Aは、好ましくは約150~約200g/L、より好ましくは約170~約180g/Lの初期濃度で存在する。反応物質Bは、好ましくは約50~約200g/L、より好ましくは約70~約100g/Lの初期濃度で存在し、反応物質Aの反応物質Bに対するモル比は、好ましくは約3:1~約2:3であり、より好ましくは約1:1~約2:1である。反応によって、四級化ジピリジニウム繰り返し単位及び反応物質Aの残基含有繰り返し単位を含むカチオンと、脱離基Y及びZから誘導されるアニオンとを含む塩含有ポリマー又はオリゴマーが生成される。反応物質A及びBの反応によって生成された中間反応混合物を好ましくは約80℃未満の温度に冷却し、その後、反応物質Cを添加する。次いで、溶液を再び約120℃~約180℃の温度に加熱して、A+B付加物と反応させ、レベリング化合物を含む反応溶液を生成する。
【0058】
または、反応物質Aを最初に反応物質Cと反応させて付加物を生成し、それを反応物質Bと反応させてレベラーを生成することができる。この場合も、また、反応物質Bを添加する前に中間反応生成物を好ましくは80℃未満の温度に冷却し、得られた混合物を約120℃~約180℃の温度に加熱し直して、反応を完結させる。更なる代替方法によれば、反応物質A、B、及びCの全てを反応媒体に導入し、同時に反応させてレベラー生成物を含む溶液を生成することができる。チオ尿素系レベラーの重量平均分子量は、典型的には約1,000~約5,000の範囲である。反応物質CがN,N,N',N'-テトラメチルチオ尿素の場合、重量平均分子量は、好ましくは約300~約3,000の範囲であってよい。
【0059】
反応物質が組み合わされる正確な順序とは無関係に、p-ジ(クロロメチル)ベンゼン、ジピリジル、及びN,N'-テトラメチルチオ尿素から生成されるレベリング化合物は、下記の一般構造を有する。
【化31】
構造D
【0060】
より一般的には、ジピリジルに基づくレベラーは、チオ尿素残基の窒素上の置換基が、水素、及びC1~C4アルキルからなる群から独立して選択されてもよく、ジピリジル残基及びフェニレン環のそれぞれが上に挙げた環置換基のうち一以上を有してよいことを除いて上記式に対応する。更なる例として、別のクラスのレベリング化合物は下記の構造に対応しうる。
-[-(ジ(t-アミン)残基))-(CR26R27)i-Ar-(CR28R29)j-]n-S-C(=NR38R39)+-NR40R41 構造D1
又は
-[-(ジ-(t-アミン)残基))-(CR1R27)p-G-(CR5R6)q-]n-S-C(=NR38R39)+-NR40R41 構造D2
R40及びR41はそれぞれ、水素、及びC1~C4アルキルからなる群から独立して選択され、i、j、p、q、R1、R2、R5、R6、R26、R27、R28、R29、Ar、及びGは、それぞれ上に定義された通りであり、ジ(t-アミン)残基は、例えば、上に挙げたのジピリジル又は他のジ-(t-アミン)化合物のいずれかから誘導される。上記のように反応物質A、B、及びCから調製される場合、高分子レベラーは、典型的にはポリマー、オリゴマー、及び非高分子種の混合物を含んでよい。
【0061】
銅バンプ、ピラー、及び他のWLPフィーチャの電着におけるレベラーとしては、主題の全体を参照により本明細書に組み込む、同時係属中の米国仮特許出願第62/294,643号に記載される四級化ポリ(エピハロヒドリン)ポリマーも有用である。引用した出願において、そのようなポリマーは頭字語でQPECHと呼称される。
【0062】
本発明の電着組成物に使用してよいQPECHポリマーは、典型的には、構造1Nに対応するn個の繰り返し単位及び構造1Pに対応するp個の繰り返し単位を含んでよい。
【化32】
Qは、ポリ(エピハロヒドリン)のペンダントメチレンハライド基を、(i)R
a、R
b、及びR
cのそれぞれが、置換又は非置換のアルキル、脂肪族環、アラルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、アリール、及び複素環からなる群から独立して選択されるNR
aR
bR
c、(ii)N-置換基が、置換又は非置換のアルキル、脂肪族環、アラルキル、アリール、及び複素環からなる群から選択される、N-置換及び任意に更に置換されたヘテロ脂環式アミン、及び(iii)置換又は非置換の含窒素ヘテロアリール化合物、からなる群から選択される三級アミンと反応させることによって得られうるものに対応する構造を有し、nは3~35の整数であり、pは0~25の整数であり、Xはハロ置換基であり、X
-は一価のアニオン、通常はハロゲン化物イオンである。R
a、R
b、及びR
cのいずれかが置換されている場合、その置換基は、好ましくはアミノ基を含まない。
【0063】
適したQPECHポリマーの例は、下記を含むが、それに限定されない。
【化33】
Xは、約0.3~0.7である。
【0064】
四級化ポリ(エピクロロヒドリン)の構造及び特性は、特に組成物全体への溶解性に関しては、電解質組成物の他の成分と相溶性である。相溶性は、四級化の程度、1N及び1P以外の繰り返し単位の有無、並びに分子量を含む様々な構造的パラメータの関数である。例えば、コアPECHの分子量、四級化反応のためのアミン、四級化の程度、エピハロヒドリンの重合におけるコモノマーの任意の使用、任意のコモノマー特性、及びコモノマーの割合の選択により、組成物は、相溶性が確保されつつ、特定の用途に最適であろう特性が付与されるように調整することができる。好ましくは、構造I、1P、及び1NにおけるQは、構造2A、2B、又は2Cに対応する。
【化34】
(i)構造2Bは、N-置換複素環式部位である。(ii)構造2Cは複素環式部位である。(iii)R
a、R
b、R
c、及びR
dは、それぞれ置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換アラルキル、置換又は非置換の脂肪族環、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換の複素環からなる群から独立して選択される。(iv)R
5、R
f、R
g、R
h、及びR
jはそれぞれ、水素、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換アラルキル、置換又は非置換の脂肪族環、置換又は非置換のアリール、及び置換又は非置換の複素環からなる群から独立して選択される。R
a~R
jのいずれかが置換されている場合、その置換基は好ましくはアミノ基を含まない。
【0065】
本明細書に記載される電着プロセスで使用される電着組成物の好ましい実施形態において、構造IにおけるQは、ポリ(エピハロヒドリン)のペンダントメチレンハライド基を、N-メチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、及びNRaRbRc(Ra、Rb、及びRcの一つは、少なくとも3個の炭素原子を有する非置換アルキル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、ベンジル、ヒドロキシフェニルメチル、及びジヒドロキシフェニルメチルからなる群から選択され、Ra、Rb、及びRcのその他はそれぞれ、1~3個の炭素原子を有する低級アルキルから独立して選択される)からなる群から選択される、三級アミンと反応させることによって得られうるものに対応する。
【0066】
好ましくは、Qは、ペンダントメチレンハライド基を、3-ヒドロキシプロピルジメチルアミン、n-ブチルジメチルアミン、ジ(3-ヒドロキシプロピル)メチルアミン、2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアミン、3-ヒドロキシプロピルジエチルアミン、2-ヒドロキシプロピルジメチルアミン、4-ヒドロキシブチルジメチルアミン、2-ヒドロキシエチルジメチルアミン、n-プロピルジメチルアミン、2-ヒドロキシエトキシエチルジメチルアミン、ジ(2-ヒドロキシエチル)メチルアミン、ベンジルジメチルアミン、4-ヒドロキシベンジルジメチルアミン、4-メチルピリジン、3-エチルピリジン、4-プロピルピリジン、4-タートブチルピリジン、4-シアノピリジン、4-イソプロピルピリジン、4-メトキシピリジン、3,4-ルチジン、3-メトキシピリジン、及び4-ピリジンメタノールからなる群から選択される三級アミンと反応させることで得られる構造に対応する。
【0067】
四級化に供される特に有用な三級アミンとしては、例えば3-ヒドロキシプロピルジメチルアミン及び2-ジメチルアミノ-1-エタノールなどのN,N-ジメチルアルカノールアミンが挙げられる。他の好ましい三級アミンとしては、n-ブチルジメチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、4-エチルピリジン、1-メチルイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、N-メチルモルホリン、及び特に2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノールが挙げられる。
【0068】
四級化エピハロヒドリン及び非四級化エピハロヒドリンに加えて、四級化ポリ(エピハロヒドリン)ポリマー(「QPEHH」又は「QPECH」、ここではエピハロヒドリンはエピクロロヒドリンである)の主鎖は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、3,4-エポキシ-1-ブタノール、2,3-エポキシ-1-プロパノール、又はグリシドールなどのアルキレンオキシドの残基である繰り返し単位を任意に含んでよい。この構造のポリマーは、1以上のアルキレンオキシドとエフィハロヒドリンとを共重合し、続いてエピハロヒドリン繰り返し単位を四級化することによって調製することができる。主鎖中のエピハロヒドリン単位及びアルキレンオキシド単位の分布は、ランダム、ブロック、又は他のパターンであってよい。重合において複数のアルキレンオキシドを使用する場合、主鎖は、2以上のアルキレンオキシドの残基である繰り返し単位を含む。
【0069】
命名の便宜及び熟知のために、電着組成物及び方法の記載では、以降、「QPECH」レベラーと呼称する。しかし、特に明記しない限り、記載は主にエピブロモヒドリンを含む他のエピハロヒドリンから誘導されるポリマーを包含すると理解されよう。エピクロロヒドリンの使用が非常に好ましい。
【0070】
QPECH主鎖中のアルキレンオキシド単位の数がqである場合、比q/n+p+qは、アルキレンオキシド繰り返し単位の存在によってもたらされる特性を必要としない実施形態において、好ましくは0.05以下であり、それらの存在が保証される場合、典型的には約0.05~約0.50、より典型的には約0.10~約0.40である。所定の好ましい実施形態では、qは実質的にゼロであり、QPECHは、エピハロヒドリンの残基である繰り返し単位及び四級化エピハロヒドリンの残基である繰り返し単位から実質的になる。そのような実施形態では、ポリ(エピハロヒドリン)は下記の構造によって表すことができる。
【化35】
Qは、上記した通りである。
【0071】
アルキレンオキシド繰り返し単位の有無に無関係に、且つqの値に無関係に、比n/n+pは、レベラーの相対的有効性に影響しうる。四級化三級アミン、例えば3-ヒドロキシプロピルジメチルアミン上に極性置換基がある特定の実施形態では、比n/n+pは、好ましくは少なくとも0.40、より好ましくは約0.40~約0.60である。四級化三級アミンがアリール基又はアラルキル基を含む場合にも、これらが好まれうる。例えば、n-ブチルジメチルアミンなど、三級アミンがより疎水性である他の実施形態では、n/n+pの値は、好ましくは少なくとも約0.70、より好ましくは約0.70~1.0、より好ましくは少なくとも約0.75であり、更により好ましくは少なくとも約0.80、例えば約0.80~約0.95、最も好ましくは約0.90の範囲である。
【0072】
ポリ(エピクロロヒドリン)がアルキレンオキシド単位を含み、四級窒素上に極性置換基があり、q/n+p+qが少なくとも約0.05である場合、n/n+p+qは、好ましくは少なくとも約0.20、又は約0.40~約0.60である。四級窒素上の置換基が疎水性である場合、例えばそれらが全てヒドロカルビル基である場合、n/n+p+qは、好ましくは約0.60~約0.95、より好ましくは約0.70~約0.9、最も好ましくは約0.75~約0.90である。
【0073】
繰り返し単位がアルキレンオキシド残基を含むかに無関係に、ポリマーの繰り返し単位の鎖を、アルコールの残留酸素に任意に結合してよい。例えば、複数のQPECH鎖を、主題の全体を参照により本明細書に組み込むNaraghiの米国特許出願公開第2006/0062753号に記載されるように、単量ポリオールの残留酸素に結合させることができる。そのような組成物の調製には、エピハロヒドリンの重合と、例えば三フッ化ホウ素によって触媒されるポリマーとグリセリンのヒドロキシル基との縮合とが含まれる。PECH/ポリオール付加物が形成されると、エピハロヒドリン繰り返し単位を、適切な三級アミンで四級化することができる。
【0074】
QPECHの平均分子量は、例えば、四級化されるアミンの分子量、四級アンモニウム基を含む繰り返し単位の割合、及びポリマー主鎖がアルキレンオキシドなどのコモノマーから誘導される繰り返し単位を含む程度に応じて大きく異なりうる。これらの構造的特徴を組み合わせて、化合物と電解液との相溶性を維持しながら、QPECHによって付与される分極を強化し、それによって溶液中でのQPECHの有効性と溶解性との好ましい関係を達成する。一般に、溶解度は分子量に反比例して変化するが、四級化の程度は所与の分子量での溶解度を高める。三級アミンを反応させるPECHは、例えば、約300~約4,000の範囲の重量平均分子量を有しうるが、好ましくは約1,700~約2,200の範囲である。PECH又はECH/アルキレンオキシドコポリマーと三級アミンとの反応の後、四級化ポリマーの重量平均分子量は、典型的には約500~約10,000、又はQPECHの全体構造及び電着浴の全体組成に応じてそれ以上、より好ましくは約800~約6,000、又は約1,200~約3,000、更により好ましくは約2,500~約4,000でありうる。
【0075】
有利にも、QPECHの合成は電着組成物の処方に統合することができる。従来、QPECHは、水性媒体中でポリ(エピハロヒドリン)のペンダントメチレンハライド基を三級アミンと縮合させることによって形成される。四級化反応に必要とされる温度は比較的高く、約95℃を超え、例えば約95℃~約100℃の範囲であるため、水性媒体中での四級化は、反応を圧力容器内で行い、反応生成量を反応器から取り出す前に冷却する必要があり、したがって生産性が制限され、及び/又は反応生成量のうち反応直後に取り出されるであろういくらかを冷却するため高圧熱交換器が必要となる。
【0076】
電着浴を処方するための統合プロセスにおいて、四級化反応は、好ましくは少なくとも約120℃、例えば約120℃~約220℃、より好ましくは約160℃~約200℃の沸点を有する、比較的高沸点の極性有機溶媒を含む媒体中で行われる。高沸点溶媒を使用することで、大気圧であるが高温で反応を行い、反応生成量を反応サイクルの完了時に直ちに反応器から取り出し、反応生成量の冷却を、大気反応容器内のコイルを介した伝熱流体の流れによって、又は流体の流れに付随する程度にだけ加圧すればよい外部熱交換器を介して反応器から引き出す際に、行うことことが可能になる。
【0077】
PECH濃度が典型的には約10~約35重量%の範囲内であってよい、極性溶媒中のポリ(エピハロヒドリン)溶液を最初に調製する。達成するべき四級化の程度によって規定される割合で三級アミンを添加する。四級化反応は、通常約160℃~約190℃の範囲内の温度で進行する。
【0078】
四級化のための例示的な極性溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。バッチ反応系では、反応サイクルは一般に約0.5~約3時間である。
【0079】
Naraghiの米国特許出願公開第2006/0062753号に記載されているものの構造を有するポリオール/QPECH付加物を調製する場合、エピハロヒドリンは、ポリオール及び典型的にはBF3のような重合触媒の存在下で重合してよい。得られたポリオールとPECHとの付加物を、次に、極性溶媒媒体中で三級アミンと反応させる。十分に過剰のポリオールの存在下でエピハロヒドリンを重合する場合、未反応ポリオールは、その後の四級化反応のための溶媒として、その後任意に機能させてよい。
【0080】
反応が完了し、四級化反応生成量を冷却させると、反応生成量を水性電解めっき浴中で銅塩、抑制剤、塩化物イオンと直接結合させることができる。基本構造の大きさ及び形状に応じて、促進剤も任意に含めることができる。四級化反応媒体からQPECHを回収する必要はない。これらの実施形態において、めっき組成物は、極性有機溶媒を、典型的には約5~約50mg/lの濃度で含有する。電着溶液中のレベラーの極性有機溶媒に対する比は、典型的には約0.2:1~約1.5:1、より典型的には約1:1である。
【0081】
本プロセスの他の実施形態では、極性溶媒は必ずしも存在しない。例えば、QPECHが独立した供給源から整った形で得られる場合、電解めっき浴中に極性溶媒が存在する必要性又は機会がないであろう。
【0082】
好ましくは、電着組成物は抑制剤も含有する。抑制剤成分は、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、ポリエチレンオキシドを含むポリエーテル置換基を含むアルコキシル化アルコール、ポリプロピレンオキシド、又は、例えば、参照により主題の全体を本明細書に組み込むMorrisseyの米国特許出願公開第2002/0043467号に開示されるようなエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、又は、同じく参照により主題の全体を本明細書に組み込むPaneccasioらの米国特許第7,303,992号に開示されるようなカチオン性アルコキシル化アミン抑制剤などの従来の非イオン性ポリオキシアルキレンポリマーであってよい。
【0083】
本明細書に記載されるプロセスで使用される電着組成物にとって特に好ましい抑制剤は、カチオン種に共有結合したポリエーテル基を含む。カチオン性ポリエーテル抑制剤は、窒素原子を含むことが好ましい。窒素原子を含む例示的なカチオン種としては、一級、二級、三級、及び四級アミンが挙げられる。「カチオン性」とは、ポリエーテル抑制剤が溶液中で正電荷を含むか又は含むことができることを意味する。一級、二級、及び三級アミンは弱塩基性であり、酸を含む溶液に添加するとプロトン化されて正に帯電する。四級アミンは、4個の窒素置換基を含有し、四級化窒素は、溶液のpHに無関係に正電荷を有する。一級、二級、三級、及び四級アミンは、置換又は非置換アルキルアミン、置換又は非置換シクロアルキルアミン、置換又は非置換芳香族アミン、置換又は非置換ヘテロアリールアミン、置換又は非置換アルキルエーテルアミン、及び置換又は非置換芳香族アルキルアミンであってよい。
【0084】
カチオン種に共有結合したポリエーテル基を含む抑制剤は、好ましくは少なくとも1個のアミン官能基、好ましくは2個のアミン官能基~5個のアミン官能基を含む。したがって、カチオン種はアミン、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、ペンタアミン、又はより高級のアミンであってよい。アルキルアミンのアルキル基は、置換又は非置換のアルキル、好ましくは1~8個の炭素を有する短鎖炭化水素であってよく、これは分枝鎖又は直鎖であってよい。例示的なアルキルアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、t-ブチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、2-ブテン-1,4-ジアミン、及び、その他、例えば、ポリ(オキシアルキレン)ポリエーテル基がカチオン性窒素に共有結合しており、好ましくはアルキレンオキシドと、残基が抑制剤のコアアミン構造を構成するオリゴ(アルキレンイミン)基質との反応により調製される、アルコキシル化ジエチレントリアミン又はアルコキシル化トリエチレンテトラミンが挙げられる。シクロアルキルアミンのシクロアルキル基は典型的には5又は6個の炭素環を含むが、本発明においては二環式、三環式、及びそれ以上の多環式アルキルアミンが使用可能である。例示的なシクロアルキルアミンとしては、例えば、置換又は非置換シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロペンチルジアミン、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロアルキルトリアミン、及びより高級のシクロアルキルアミンが挙げられる。アルキルエーテルアミンは、ジエチレングリコールジアミン及びトリエチレングリコールジアミンのような、典型的には1~8個の炭素を有する短鎖炭化水素によって規定されるエーテル部位を含むことが好ましい。
【0085】
一実施形態では、ポリエーテルは繰り返し単位の鎖を含み、繰り返し単位の鎖はエポキシドモノマーの重合によって形成することができる。最も好ましくは、抑制剤は、ポリエーテル鎖がアミンの窒素又は他の窒素含有種に直接結合しているカチオン種を含む。好ましい実施形態では、エポキシドモノマーは、エチレンオキシドモノマー、プロピレンオキシドモノマー、及びそれらの組合せから選択される。好ましくは、ポリエーテルは、エチレンオキシドモノマーとプロピレンオキシドモノマーの両方の重合によって形成される繰り返し単位の鎖を含む。したがって、ポリエーテル中のエチレンオキシド(EO)繰り返し単位とプロピレンオキシド(PO)繰り返し単位の比は、約1:9~約9:1であってよい。特に好ましい実施形態では、この比は約2:3~約2:1、より好ましくは約3:2である。特定の好ましい実施形態では、ポリエーテルは、約1~約30個のEO繰り返し単位及び約30~約1個のPO繰り返し単位、例えば約7~約15個のEO繰り返し単位及び約15~約7個のPO繰り返し単位を含む。一実施形態では、ポリエーテルは、例えば、約11個のEO繰り返し単位及び約13個のPO繰り返し単位を含む。他の好ましい実施形態では、ポリエーテルは約7又は8個のEO繰り返し単位及び約9個のPO繰り返し単位を含む。したがって、ポリエーテルの分子量は、約100g/mol~約20,000g/mol、より好ましくは約3,500~約15,000g/mol、更に好ましくは約6,000~約8,000g/molであってよい。
【0086】
ポリエーテルは、ランダム、交互、又はブロック構成のEO繰り返し単位及びPO繰り返し単位を含むことが好ましい。ランダム構成では、EO繰り返し単位及びPO繰り返し単位は、ポリエーテル鎖に沿って識別可能な線状パターンを有さない。交互構成では、EO繰り返し単位及びPO繰り返し単位は、EO-PO、PO-EOの繰り返し単位、及び他の交互パターンなど、いくつかの規定のパターンにしたがって交互に並ぶ。コポリマーはブロック構成で配置することができる。ブロック構成において、ポリエーテル鎖の線状部分は、PO繰り返し単位のブロックに結合したEO繰り返し単位のブロックを含む。ポリエーテル鎖はジブロックを含んでよい。即ち、鎖は、PO繰り返し単位の第2のブロックに結合したEO繰り返し単位の第1のブロックを含んでよい。または、鎖は、EO繰り返し単位の第2のブロックに結合したPO繰り返し単位の第1のブロックを含んでよい。より複雑なブロック構成において、ポリエーテル鎖は、トリブロック(EOブロック-POブロック-EOブロック又はPOブロック-EOブロック-POブロック)、テトラブロック、ペンタブロック、又はより大きいブロック配置を含んでよい。POブロック-EOブロック-POトリブロック構成が、電解液中でのポリエーテル抑制剤の発泡を低減するのに有効であることが発見されている。ブロック構成の一実施形態において、繰り返し単位の各ブロックは、約1~約30個の繰り返し単位、より好ましくは約7~約15個の繰り返し単位を含む。POブロック-EOブロック-POブロックのトリブロック構成を含む好ましい実施形態では、カチオン種に結合した第1のPOブロックは約7~約15個のPO繰り返し単位を含み、PO-ブロックに結合した第2のEOブロックは、約7~約15個の繰り返し単位を含み、第2のEOブロックに結合した第3のPOブロックは、約1~約5個の繰り返し単位を含む。
【0087】
任意に、PO/EOポリエーテルは、置換若しくは非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル、又はヘテロアリール基によってキャップされる。製造の容易さ及び低コストのために好ましいキャッピング部位は、メチル基である。
【0088】
カチオン種に共有結合したポリエーテル基を含む抑制剤化合物は、酸性溶液中での正電荷、並びに繰り返し単位であるEO及びPOを含む。正電荷、EO繰返し単位、及びPO繰返し単位の異なる機能性が、電着プロセスに有用な銅めっき組成物中の抑制剤としてのポリエーテルの機能に影響を与え、したがってそれを増強する、異なる化学的且つ物理的性質に寄与すると考えられる。
【0089】
特定の理論に拘束されるものではないが、カチオン種の正電荷は、電解めっき操作中にカソードとして機能する、相互配線フィーチャ中に堆積した銅への抑制剤化合物の引き寄せを増強すると考えられる。PO繰り返し単位は電着プロセスに有用な抑制剤中の活性繰り返し単位であると考えられる。即ち、PO繰り返し単位は抑制剤機能を有し、銅堆積物の品質に影響を与える。特定の理論に拘束されるものではないが、比較的疎水性であるPO繰り返し単位は、銅シード層及び電解析出銅の上に偏光膜を形成すると考えられる。
【0090】
ポリエーテル置換基がPO及びEOのブロックコポリマーである場合、POブロックがアミンの窒素又は他の窒素含有種に結合していることが特に好ましい。正に帯電した窒素原子と疎水性POブロックとの組合せによって、カソードとしての銅基体に対する抑制剤の親和性が高められる。これによってアルコキシル化アミン抑制剤の抑制効果が高められると考えられる。特に有効な抑制剤は、下記のヘキサアルコキシル化トリエチレンテトラアミンを含む。
【化36】
【0091】
別の類似の抑制剤は、下記を含む。
【0092】
【0093】
別の興味ある抑制剤は、下記のトリアミンである。
【化38】
【0094】
好ましくは、電着組成物は、約100~約1,000mg/L、より好ましくは約200~約600mg/Lの抑制剤を含有する。
【0095】
電着組成物は、促進剤を含有することも好ましい。促進剤は有機硫黄化合物を含んでよい。好ましい有機硫黄化合物としては、水溶性有機二価硫黄化合物が挙げられる。一実施形態では、有機硫黄化合物は下記の一般構造(11)を有する。
【化39】
構造(11)
Xは、O又はS、好ましくはSである。
nは、1~6である。
Mは、原子価を満たべく必要に応じて、水素、アルカリ金属、又はアンモニウムである。
R
1は、炭素数1~8のアルキレン又は環状アルキレン基、炭素数6~12の芳香族炭化水素又は脂肪族芳香族炭化水素である。
R
2は、M及びR
1が上に定義した通りであるMO
3SR
1、下記式:
【化40】
によって表されるチオカルバメート、下記式:
【化41】
によって表されるキサンテート、及び、下記式:
【化42】
によって表されるアミノイミンからなる群から選択される。
R
3,R
4,R
5,R
6,及びR
7は、独立して水素、炭素数1~4のアルキル基、複素環基、又は芳香族基である。一つの好ましい実施形態では、Xは硫黄であり、nは2である。
【0096】
構造(1)の好ましい有機硫黄化合物は、下記の一般構造を有する。
【0097】
(12)
【化43】
構造(2)
Mは、酸素原子上の負電荷と釣り合うのに十分な電荷を有する対イオンである。Mは、例えば、プロトン、ナトリウム及びカリウムのようなアルカリ金属イオン、又はアンモニウム若しくは四級アミンのような他の電荷平衡カチオンであってよい。
【0098】
構造(2)の有機硫黄化合物の一例は、3,3'ジチオビス(1-プロパンスルホネート)のナトリウム塩であり、下記の構造(13)を有する。
【化44】
構造(3)
【0099】
構造(2)の有機硫黄化合物の特に好ましい例は、3,3'-ジチオビス(1-プロパンスルホン酸)であり、下記の構造(14)を有する。
【化45】
構造(4)
【0100】
構造(1)の別の好ましい有機硫黄化合物は、下記の一般構造(5)を有する。
【化46】
構造(5)
【0101】
構造(16)の有機硫黄化合物の一例は、3-(ジメチルカルバモチオイルチオ)プロパン-1-スルホン酸である。
【化47】
構造(16)
【0102】
他の適切な硫黄化合物は下記の構造を含む。
【化48】
【0103】
有機硫黄化合物は、約1mg/L~約100mg/L(ppm)、例えば約25mg/L~70mg/Lの濃度で添加してよい。
【0104】
他の実施形態では、促進剤は、上記の促進剤化合物のうちの1つの酸化型であってよい。
【0105】
本明細書に記載されるプロセスは、フリップチップパッケージングの銅バンプ及びピラーの構築、スルーシリコンビアや再配線層(RDL)など他のウェハレベルパッケージングフィーチャ、及び集積回路の製造のためのプロセスにとって、有用である。ウェハレベルパッケージングでは、半導体デバイスの電気回路と、デバイスの外部の回路、例えばプリント回路基板(PCB)又は他の集積化チップ回路との相互接続のために、銅バンプ又はピラーのアレイが半導体基板上に設けられる。電解液には、溶液が半導体アセンブリ上のアンダーバンプ構造を含むカソードと接触している間、電流が供給される。半導体アセンブリは、アンダーバンプ構造を支持するベース構造を含み、アンダーバンプ構造は、好ましくは銅若しくは銅合金であるアンダーバンプメタル、又は、例えば導電性ポリマーなどの他の導電性材料を含むアンダーバンプパッドを含みうる種導電層(seminal conductive layer)を含む。アンダーバンプメタル構造は、例えば、物理蒸着によって設けられるような銅シード層を含んでよい。
【0106】
ピラーの電着において、及び任意にバンプの堆積において、アンダーバンプ構造は、ベース構造の表面の凹部内に配置されるか、又は凹部内へと延伸している。前記バンプ又はピラーの構成は、凹部の相補的構成によって規定される。
【0107】
一実施形態では、凹部は、アンダーバンプパッド又はアンダーバンプメタルを含む床と、誘電材料を含む側壁とを含む。別の実施形態では、ベース構造はフォトレジスト、マスク、又は応力緩衝材料を含む誘電体層であり、凹部は誘電体層の表面における開口部である。この場合、前記バンプ又はピラーの電着後に誘電体層を除去してよい。
【0108】
更に、凹部の側壁には、バンプ又はピラーの電着の前に誘電体ライナーを設けることができる。言い換えれば、内部に銅が堆積されるキャビティには、最初に、二酸化シリコン又は窒化シリコンのような誘電体ライナーを設けてよい。誘電体ライナーは、例えば化学蒸着又はプラズマ蒸着によって形成することができる。または、有機誘電体を使用して熱膨張係数の不一致を緩和することができる。キャビティのフォトレジスト壁は、更なる誘電体層の必要性を排除するのに十分な誘電特性を有しうる。しかし、蒸着プロセスの性質により、フォトレジスト壁上に更なる誘電体層が形成される可能性がある。次に、種導電層をシード層の化学蒸着によって設ける。
【0109】
バンプ及びピラーを形成するためのプロセスにおいて、導電性アンダーバンプ構造は、キャビティの底、即ち床にのみ堆積してもよく、又は主題の全体を参照により本明細書に組み込むLuらの米国特許第8,546,254号に例示及び記載されているようないくつかの実施形態では、導電性アンダーバンプ構造は、凹部の底から側壁に沿って上方にいくらかの距離だけ延伸してもよい。好ましくは、凹部の少なくとも上部側壁は非導電性に維持する。凹部の底は平坦にすることができ、又はより良好な結合を促すポリイミドで充填された凹みを含んでよい。プロセスのこの実施形態は、例えば、底及び側壁を含むキャビティの全表面上に種導電層を形成し、底及び側壁の両方に銅を堆積するためにメタライゼーションを行うTSVの充填とは異なる。
【0110】
本明細書に記載されるプロセスを実施する際には、直流電源、水性電着組成物、電源の負端子と電気的に連通し、且つ電着組成物と接触しているアンダーバンプパッド、アンダーバンプメタル、又はアンダーバンプパッド若しくはメタルのアレイ、及び電源の正端子と電気的に連通し、且つ電着組成物と接触しているアノードを含む電解回路に電流を供給する。
【0111】
ウェハレベルパッケージングでは、アンダーバンプ構造を半導体ウェハの面上に配列し、アンダーバンプ構造を電源の負端子に電気的に接続し、半導体ウェハ及びアノードを電着浴に浸漬し、電力を印加する。本明細書に記載される電着組成物を使用すると、ウェハ内(WIW)均一性は、例えば約10%以下の標準偏差に維持され、他方、ウェハから切断されたダイのダイ内(WID)均一性は、例えば約10%以下の標準偏差に維持される。平均フィーチャ(WIF)ドーミングは、例えば、単一のレベラーを含む浴の場合、通常約10%である。しかし、生産性上昇が達成されうる、又はデバイスが例えば機械的な銅除去プロセスによって下流で是正することができる偏差のより大きい許容誤差を有する状況では、より大きい偏差が許容されることがある。本明細書に記載されるようなレベラーの組合せを含む電着浴を使用すると、バンプ及びピラーのドーミング及びディッシングを最小限に抑えることができ、比較的平坦なヘッドのバンプ及びピラーを調製することができる。
【0112】
このプロセスを使用して、フリップチップ製造用のアンダーバンプメタルパッドを設けることができ、その場合、メタライズ基板は一般にボンディングパッドの面に限定される。または、アンダーバンプメタルを床と見て、このプロセスを使用して、銅バンプ又はピラーを、その床の、アンダーバンプパッド又はアンダーバンプメタルと、その側面の、パッド又はアンダーバンプメタルへのアクセスを可能にする応力緩衝層及び/又はフォトレジストにおける開口部の側壁と、によって形成されたキャビティをボトムアップ充填することによって形成することができる。後者の用途では、キャビティの開口サイズはブラインドスルーシリコンビアの開口サイズにほぼ匹敵し、バンプ又はピラーを構築するためのプロセスのパラメータはブラインドTSVを充填するために使用されるものと同様である。しかし、フォトレジスト又は応力低減材料の開口部によって設けられる凹部壁は、通常はシードされず、したがって非導電性である。キャビティの床の半導体又は誘電体アンダーバンプ構造のみに、ポリイミドのような導電性ポリマーを通常は含む種導電層が設けられる。そのような実施形態では、このプロセスは、サブミクロンビア又はTSVのボトム充填の場合ほどには、促進剤と抑制剤とのバランスに依存しない。
【0113】
ベース構造の表面の凹部内にバンプ又はピラーを電着する間、その水平方向の成長は、凹部の側壁によって制限され、バンプ又はピラーの形状は、凹部の相補的構造によって規定される。
【0114】
他の実施形態では、水平方向の制限なしにバンプをアンダーバンプメタル又はパッド上に成長させることができ、又は凹部若しくは他の水平方向を制限するもの上縁の上に成長させることができ、その場合、一般に球形の形状を呈するバンプが形成される。しかし、これらの実施形態では、バンプの構成は、電解回路内のアノードの向き、構成、及び寸法によって影響を受ける可能性がある。
【0115】
例えば、主題の全体を参照により本明細書に組み込むLuらの米国特許第8,546,254号に記載されるように、電着浴に浸漬されたアノードを、同じく浴に浸漬されたアンダーバンプ構造に位置合わせすることができ、又はアレイのアノードのそれぞれを、浴内の相補的アレイのアンダーバンプ構造と位置合わせすることができ、電流を印加してアンダーバンプ構造上にバンプ又はピラーを堆積させる。バンプの成長が凹部の側壁によって制限されない場合、又は成長すバンプが凹部若しくは他の水平方向の制限の外側へ延伸する点まで電流の印加が続けられる場合、バンプの先端の成長は、‘254特許の
図2Bに示されるような球形又は半球形を呈する。そこに更に記載されるように、成長するバンプの軸に沿ってアノードを基板から引き離すことができ、基板からのアノードの鉛直方向の引き抜き速度は、バンプの先端の形状に影響を及ぼす可能性がある。一般に、引っ張り速度が速いほど、水平面と成長するバンプとの間の、該平面の位置とアンダーバンプメタル又はパッドとの間の任意の所与の距離での、接線角θ(シータ)が大きくなる。‘254特許に更に記載されるように、引っ張り速度は必ずしも一定ではなく、堆積時間又は鉛直方向成長の程度に応じて必要に応じて変えることができる。または、アノードを基板から引き離すのではなく、アンダーバンプ構造をアノードから引き離すことができる。アノードの引っ張り速度に加えて、アノードとカソード(最初はアンダーバンプ構造、その後は成長するバンプ)との間の電圧差もバンプの形状に影響を与える可能性がある。
【0116】
本発明の発明者らは、本明細書に記載されるプロセスによって形成された銅バンプ又はピラーの先端にはんだバンプを追加した場合、はんだバンプは最小限のカーケンダルボイドで銅に継ぎ目なく付着することを発見した。したがって、ニッケル又はNi合金の中間層を含むキャップを銅の上に必要とすることなく、例えばSn/Ag又はSn/Pbのような低融点合金からなるはんだバンプを銅ピラー又はバンプに直接的に適用することができる。また、銅バンプ又はピラーとアンダーバンプメタルとの接合部において、カーケンダルボイドが実質的に回避される。
【0117】
本明細書に記載される組成物を使用することによって、同じく本明細書に記載されるアンダーバンプ構造のアレイを設けたウェハ上に銅バンプ又はピラーのアレイを堆積する際に、高レベルのダイ内(WID)及びウェハ内(WIW)均一性が提供されることも示された。
【0118】
本明細書に記載されるレベラーを使用して、電着プロセス全体にわたって高電流密度を確立し維持することができる。したがって、バンプ又はピラーを鉛直方向に成長させうる速度は、少なくとも約0.25μm/分、より典型的には少なくとも約2.5又は約3μm/分、更により典型的には少なくとも約3.3μm/分である。
達成可能な成長速度は、最大約10μm/分以上までの範囲であり、少なくとも約1A/dm2、少なくとも約12A/dm2、又は少なくとも約20A/dm2、最大約30A/dm2以上までの範囲の電流密度に相当する。
【0119】
ジピリジルと二官能性アルキル化剤とのポリマー及びオリゴマー反応生成物は、カーケンダルボイドを含まない銅バンプ及びピラーの堆積を促進するため、且つ好ましいWID、WIW、及びフィーチャ内(WIF)測定基準を達成するために非常に有効であるが、本明細書に記載される浴から製造されるピラーは、バンプ又はピラーの先端がより典型的には皿状になるN-ベンジル置換ポリエチレンイミンの場合を除いて、実質的なドーミングを有する傾向がある。
【0120】
本発明の前述の記載は主にバンプ及びピラーを含む実施形態に向けられていたが、組成物及び方法は、メガバンプ、スルーシリコンビア、及び再配線層を含む他のWLP銅フィーチャを形成するにも有効であることが証明されている。この組成物及びプロセスは、Siベースの基板以外の、例えばGaAsベースの基板などの異種のWLP及び半導体基板にも適用される。
【0121】
本発明を、下記の非限定的な実施例によってさらに記載する。
実施例1
【0122】
メガピラーアスペクト比~1:1、めっき速度3~7μm/分、及びフィーチャサイズ240μm(w)×210μm(h)。
【0123】
1つの例示的な好ましい電着組成物は、硫酸銅又は銅メタンスルホン酸塩の形態で約28~約35g/Lの銅イオン、約150~約200g/Lの硫酸又はメタンスルホン酸、約40~約50mg/LのSPS、約200~400mg/Lのヘキサアルコキシル化トリエチレンテトラミン、及び12~約15mg/Lの構造IV、VI、VII、VIII、VIA、VIIIA、XXX、又はこれらの構造の組合せのレベラーを含有する。ヘキサアルコキシル化トリエチレンテトラミンの、レベラーとしてのジピリジルポリマーに対する重量比は、好ましくは約10:1~約40:1、より好ましくは約14:1~約20:1である。
実施例2
【0124】
メガピラーアスペクト比~4:1、めっき速度3~7μm/分、及びフィーチャサイズ60μm(w)×220μm(h)。
【0125】
別の例示的な好ましい電着組成物は、硫酸銅又は銅メタンスルホン酸塩の形態の約55~約65g/Lの銅イオン、約80~約120g/Lの硫酸又はメタンスルホン酸、約40~約60mg/LのSPS促進剤、約200~400mg/Lのヘキサアルコキシル化トリエチレンテトラミン抑制剤、及び12~約15mg/Lの構造IV、VI、VII、VIII、VIA、VIIIA、XXX、又はこれらの構造の組合せのレベラーを含有する。ヘキサアルコキシル化トリエチレンテトラミンのジピリジルポリマーに対する重量比は、好ましくは約10:1~約40:1、より好ましくは約14:1~約20:1である。
実施例3
【0126】
メガピラーアスペクト比~1.5:1、めっき速度3~7μm/分、及びフィーチャサイズ150μm(w)×220μm(h)。
【0127】
さらに別の例示的な好ましい電着組成物は、硫酸銅又は銅メタンスルホン酸塩の形態の約55~約65g/Lの銅イオン、約80~約120g/Lの硫酸又はメタンスルホン酸、約10~約30mg/LのSPS、約500~700mg/Lのヘキサアルコキシル化トリエチレンテトラミン抑制剤、及び3~約8mg/Lの構造IV、VI、VII、VIII、VIA、VIIIA、XXX、又はこれらの構造の組合せのレベラーを含有する。ヘキサアルコキシル化トリエチレンテトラミンのジピリジルポリマーに対する重量比は、好ましくは約50:1~約250:1、より好ましくは約110:1~約170:1である。
実施例4
【0128】
アスペクト比が~1:1の再配線層、めっき速度0.5~2μm/分、及びフィーチャサイズ2μm(w)×2μm(h)
【0129】
更なる例示的な好ましい電着組成物は、硫酸銅又は銅メタンスルホン酸塩の形態の約25~約35g/Lの銅イオン、約170~約220g/Lの硫酸又はメタンスルホン酸、約45~約55mg/LのSPS、約200~400mg/Lのヘキサアルコキシル化トリエチレンテトラミン、及び3~約6mg/Lの構造IV、VI、VII、VIII、VIA、VIIIA、XXX、又はこれらの構造の組合せのレベラーを含有する。ヘキサアルコキシル化トリエチレンテトラミンのジピリジルポリマーに対する重量比は、好ましくは約40:1~約90:1、より好ましくは約50:1~約70:1である。
実施例5
【0130】
TSV+RDL(2イン1)アスペクト比~1:1、めっき速度0.1~1μm/分、及びフィーチャサイズ2μm(w)×2μm(h)~100μm(h)。
【0131】
更に別の例示的な好ましい電着組成物は、硫酸銅又は銅メタンスルホン酸塩の形態の約40~約60g/Lの銅イオン、約80~約120g/Lの硫酸又はメタンスルホン酸、約1~約10mg/LのSPS、約10~100mg/Lのエトキシル化及びプロポキシル化ブタノール、及び1~約10mg/Lの構造IV、VI、VII、VIII、VIA、VIIIA、XXX、又はこれらの構造の組合せのレベラーを含有する。ヘキサアルコキシル化トリエチレンテトラミンのジピリジルポリマーに対する重量比は、好ましくは約1:1~約100:1、より好ましくは約2:1~約50:1である。
実施例6
【0132】
マイクロバンプ/ピラーアスペクト比~1-2:1、めっき速度1~2.5μm/分、及びフィーチャサイズ:20~80μm(w)×20~100μm(h)。
【0133】
更に別の例示的な好ましい電着組成物は、硫酸銅又は銅メタンスルホン酸塩の形態の約25~約55g/Lの銅イオン、約80~約200g/Lの硫酸又はメタンスルホン酸、約75~約125mg/LのSPS、約200~600mg/Lのヘキサアルコキシル化トリエチレンテトラミン、及び8~約20mg/Lの構造IV、VI、VII、VIII、VIA、VIIIA、XXX、又はこれらの構造の組合せのレベラーを含有する。ヘキサアルコキシル化トリエチレンテトラミンのジピリジルポリマーに対する重量比は、好ましくは約10:1~約75:1、より好ましくは約30:1~約40:1である。
実施例7
【0134】
レベラー、抑制剤、及び促進剤の特定の組合せが銅フィーチャをめっきする際にどのように機能するかをよりよく予測することができるように、レベラー、抑制剤、及び促進剤の異なる組合せを使用した一連の実験を行った。特定の組合せでは良い結果が得られ、他の組合せではそれほど成功した結果が得られなかったことについて、いまだに理解されていない。
【0135】
【表2】
表1は、種々のレベラー、抑制剤、及び促進剤を挙げている。
【0136】
【表3】
表2は、表1の促進剤、レベラー、及び抑制剤の種々の組合せの結果を提示する。
平均H=めっきしたバンプの平均高さ
WIF=バンプがどれだけドーム化しているかを示す。正の値はドーミング、負の値はディッシング、0は平坦
【0137】
結果は、最初の実行1では最良の結果がもたらされたが、促進剤2から促進剤1へと切り替えると(実行2)、レベラー(及び抑制剤)が同じである場合、異なる促進剤は異なった性能を示すので、ドーミングが大幅に減少した。実行3で抑制剤を抑制剤2に変更すると、ディッシングが大きく、WIDが過大となった。促進剤を促進剤2に戻し、レベラー2及び抑制剤2を使用すると、平坦なバンプWIFと良好なWIDとの両方を得ることができた。
【0138】
したがって、良好な平均高さ(約190nm超、好ましくは約200nm超、より好ましくは約210nm、更には215nm超)、許容範囲内のWIDの値(約30未満、より好ましくは約25未満)、及び許容可能なWIF(-5≦TIR≦5、より好ましくは-1.0≦TIR≦1.0)を有するめっきバンプを設けるのに必要なレベラー、抑制剤、及び促進剤の組合せを予測することは容易ではないことが理解されよう。
【0139】
上記を考慮すると、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が達成されることが理解されよう。
【0140】
本発明の範囲から逸脱することなく上記の組成物及びプロセスに様々な変更を加えることができるので、上記の記載に含まれ且つ添付の図面に示されたすべての事項は、限定ではなく例示として解釈されるべきである。
本発明の要素又はその好ましい実施形態を紹介するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、それらの要素が1以上あることを意味することを意図している。「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図しており、挙げられた要素以外にも更に要素がありうることを意味している。本明細書で使用される用語「約(about)」は、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を指し、本明細書に記載される発明において実施するのに適切である限り、特定の挙げた値の±15%以下の変動、好ましくは±10%以下の変動、より好ましくは±5%以下の変動、更により好ましくは±1%以下の変動、更により好ましくは±0.1%以下の変動を含むことを意味する。更に、修飾語句「約(about)」が指す値自体が本明細書に具体的に開示されていることも理解されるべきである。