(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】医療情報提供システム、医療情報提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20240119BHJP
【FI】
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2022137197
(22)【出願日】2022-08-30
(62)【分割の表示】P 2021103665の分割
【原出願日】2015-10-28
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】596079138
【氏名又は名称】東日本メディコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127384
【氏名又は名称】坊野 康博
(72)【発明者】
【氏名】野本 禎
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-208862(JP,A)
【文献】特開2010-165159(JP,A)
【文献】特開2009-042930(JP,A)
【文献】特表2015-522189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に情報を提供するための媒体と、医療情報を表示する電子機器とを含む医療情報提供システムであって、
前記媒体には、
前記医療情報に対応する薬剤に関連する情報と、前記医療情報に対応するトリガー情報とが具現化され、
前記電子機器は、
前記トリガー情報を撮像する撮像部と、
前記医療情報を表示する表示部と、
前記媒体の前記トリガー情報が前記撮像部により撮像された場合に、前記トリガー情報によって特定される前記医療情報に対応する薬剤服用管理情報をサーバと通信を行うことにより取得し、該サーバから取得した前記薬剤服用管理情報を、前記表示部における前記トリガー情報が撮像されている位置または前記トリガー情報が撮像された撮像画像内の前記医療情報に対応する薬剤に関連する情報が撮像されていない他の位置に、拡張現実として表示する制御部と、
を備えることを特徴とする医療情報提供システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記サーバから取得した前記薬剤服用管理情報と、当該薬剤服用管理情報に含まれる薬剤を適切に服用したか否かについて前記患者が入力するための確認情報とを前記表示部に表示し、前記患者によって入力された前記確認情報を前記薬剤服用管理情報に反映させることを特徴とする請求項1に記載の医療情報提供システム。
【請求項3】
患者に情報を提供するための媒体と、医療情報を表示する電子機器とを含み、前記媒体には、前記医療情報に対応する薬剤に関連する情報と、前記医療情報に対応するトリガー情報とが具現化され、前記電子機器は、前記トリガー情報を撮像する撮像部と、前記医療情報を表示する表示部と、を備える医療情報提供システムで実行される医療情報提供方法であって、
前記媒体の前記トリガー情報が前記撮像部により撮像された場合に、前記トリガー情報によって特定される前記医療情報に対応する薬剤服用管理情報をサーバと通信を行うことにより取得し、該サーバから取得した前記薬剤服用管理情報を、前記表示部における前記トリガー情報が撮像されている位置または前記トリガー情報が撮像された撮像画像内の前記医療情報に対応する薬剤に関連する情報が撮像されていない他の位置に、拡張現実として表示する医療情報表示ステップ、
を含むことを特徴とする医療情報提供方法。
【請求項4】
患者に情報を提供するための媒体と、医療情報を表示する電子機器とを含み、前記媒体には、前記医療情報に対応する薬剤に関連する情報と、前記医療情報に対応するトリガー情報とが具現化され、前記電子機器は、前記トリガー情報を撮像する撮像部と、前記医療情報を表示する表示部と、を備える医療情報提供システムにおける電子機器を制御するコンピュータに、
前記媒体の前記トリガー情報が前記撮像部により撮像された場合に、前記トリガー情報によって特定される前記医療情報に対応する薬剤服用管理情報をサーバと通信を行うことにより取得し、該サーバから取得した前記薬剤服用管理情報を、前記表示部における前記トリガー情報が撮像されている位置または前記トリガー情報が撮像された撮像画像内の前記医療情報に対応する薬剤に関連する情報が撮像されていない他の位置に、拡張現実として表示する医療情報表示機能、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療情報を提供する医療情報提供システム、医療情報提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬袋や薬剤情報提供文書等の媒体に調剤された薬剤の名称、薬剤の形状写真、薬剤の効能・効果、服用方法、注意事項(副作用等)等の処方情報を印刷することにより患者が誤った服用をしないような手段がとられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、薬袋等の限られた紙面に印刷する場合には情報に限りがある。
そこで、薬袋に患者情報や調剤された薬剤コード等を二次元コード(QRコード(登録商標))として印刷したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献2に記載されている発明は、薬袋や薬剤情報提供文書に印刷された二次元コードを患者がスマートフォン、携帯電話等の携帯端末に読取り登録することにより、前記二次元コードに書き込まれている前記処方薬品の属性情報に基づいて、薬品に関する諸情報を蓄積保存する閲覧データベースから、条件に合致する薬剤情報を抽出し、その結果を前記携帯端末に表示させるものである。そうすることで、患者が受け取った処方薬品に関する処方情報を、患者に手渡された薬袋や薬剤情報提供文書等の各種の媒体に記載された情報に依存することなく、何時でも簡単に詳細な情報を取得できる環境を実現可能にするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-360663号公報
【文献】特開2007-7286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている発明の場合、患者は、処方された薬剤について、薬袋に記載された説明のみでは、印刷できる文字数の理由から理解が困難な場合があった。
特許文献2に記載されている発明では、二次元コードを携帯端末に読取り登録することによって患者に提供される情報が、必ずしも薬剤師から患者に提供したい情報と一致するものではなく、患者に対して適確な情報を提供できるものではなかった。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、媒体を介して、より適確な情報を患者に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様の医療情報提供システムは、
患者に情報を提供するための媒体と、医療情報を表示する電子機器とを含む医療情報提供システムであって、
前記媒体には、
前記医療情報に対応するトリガー情報が具現化され、
前記電子機器は、
前記トリガー情報を撮像する撮像部と、
前記医療情報を表示する表示部と、
前記媒体の前記トリガー情報が前記撮像部により撮像された場合に、前記トリガー情報によって特定される前記医療情報を前記表示部に表示する制御部と、を備え、
前記医療情報には、前記患者向けの個別情報が含まれる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体を介して、より適確な情報を患者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】薬剤情報提供システムのシステム構成を示す概念図である。
【
図2】トリガー画像を有する薬袋の例を示す図である。
【
図4A】薬袋2を電子機器3により撮像したときに表示部34に表示されるガイダンス画面の例を示す図である。
【
図4B】ガイダンス画面から薬剤情報データが選択された場合に、表示部に表示される薬剤情報の例を示す図である。
【
図4C】1つのトリガー画像21が認識されて表示部34の画面全体に患者向け個別情報が表示された状態を示す模式図である。
【
図4D】ガイダンス画面から服用管理が選択された場合に、表示部に表示される服用タイミングデータの例を示す図である。
【
図6】薬剤情報提供システムが実行する薬剤情報提供処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
[薬剤情報提供システム100のシステム構成]
図1は、薬剤情報提供システム100のシステム構成を示す概念図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る薬剤情報提供システム100は、調剤薬局に設置された端末(以下「薬局端末1」という)と、薬袋2と、電子機器3と、サーバ4と、ネットワーク5と、を含んで構成される。
【0013】
薬局端末1は、プリンタを備え、ネットワーク5を介してサーバ4に通信可能に接続される。薬局端末1は、制御部と各種プログラムを記憶した記憶部とを備え、制御部が各種プログラムを実行することにより、以下に示す機能を提供する。
【0014】
薬局では、薬剤師が、ユーザーとしての患者の持参した処方箋を受け付け、処方箋のデータを薬局端末1に入力するとともに、処方箋に記載された内容の突合に関する確認を行う。そして、薬剤師は、処方箋にしたがって調剤を行い、処方された全ての薬剤を1枚の薬袋2または複数の薬袋2に分けて包装する。
この際、薬局端末1は、薬剤師の指示により、例えば、薬品情報を記憶した薬品情報データベース(図示せず)から薬剤識別情報(以下、「薬剤ID」ともいう)に基づいて、薬剤の情報データ(例えば、薬剤の名称、薬剤の画像データ、薬剤の服用方法、薬剤の効用、薬剤の注意事項、薬剤の副作用等)を取得するとともに、薬剤師により薬局端末1から入力される等した、その患者に薬剤師が特に伝達したい情報に基づいて、薬袋2に包装される各薬剤について、薬剤の情報データ(以下「薬剤情報データ」ともいう)を作成する。
薬剤情報データは、後述のサーバ4の記憶部41の備える薬剤情報データファイル411に、当該患者のユーザーIDとリンクして格納される。
なお、行政機関からの薬品に関する情報の更新等に対応して、薬品情報データベースの内容が更新されるタイミングで、サーバ4は、作成された薬品情報データを適宜更新することができる。
【0015】
ここで、本実施形態において、その患者に薬剤師が特に伝達したい情報(以下、「患者向け個別情報」という)には、その患者のために固有に生成された情報や、一般の情報において、その患者にとって重要な部分が強調または選択された情報が含まれる。その患者のために固有に生成された情報は、例えば、その患者のために用意された文書、動画あるいは音声等の情報であり、薬剤師または医師が作成したり、薬剤師または医師と患者との会話を録画あるいは録音したりした情報である。また、一般の情報において、その患者にとって重要な部分が強調または選択された情報は、例えば、薬剤の用法・用量に関する注意事項のうち、その患者に対して特に伝達したい内容が強調された情報(注意事項の記載順序を入れ替えるよう編集された情報や、特に伝達したい内容をマーカー等で識別表示した情報等)や、一般の情報の中から薬剤師または医師が患者に伝達するために選択した情報(薬剤の服用のために用いる器具(吸入器等)の使用方法の説明等)である。
なお、患者向け個別情報には、薬剤師が患者に対して説明する服用上のアドバイスが含まれる。服用上のアドバイスとは、例えば患者の携行しているお薬手帳を参照したうえで薬剤師が提案する患者に対する服用上のアドバイス(注意事項)である。例えば、服用上のアドバイスとして、服用する薬剤と不適切な関係にある医薬部外品に関する注意事項、アルコール飲用に関する注意事項、車両運転等に関する注意事項等が挙げられる。
【0016】
また、患者向け個別情報には、薬剤師の患者個人に対するメッセージが含まれる。薬剤師の患者個人に対するメッセージとは、例えば、患者の薬の服用状況について患者に注意を促すメッセージである。例えば、処方された薬剤が処方どおり服用されている場合の残薬量をメッセージとして表示し、残りがわずかであると推測される場合に再診を促す旨のメッセージ、また処方された薬剤が処方どおり服用されている場合の残薬量をメッセージとして表示し、実際の残薬量とのチェックを促す旨のメッセージ等が挙げられる。
このようなメッセージは、薬袋2を作成したときばかりでなく、患者における薬剤を服用期間中においても、薬局端末1により、サーバ4に随時アップロードすることができる。
【0017】
また、薬剤の情報データは、テキストのみならず、静止画、動画、音声等を含むように構成してもよい。この場合、静止画及び動画はカラー表示可能なものとしてもよい。また、音声合成ソフトにより、情報データ(テキスト)を音声出力するように構成してもよい。
【0018】
また、薬局端末1は、薬袋2に包装された各薬剤について、患者の薬剤服用支援及び薬剤服用状況管理のために、薬剤師の指示により、処方箋に基づいて、薬剤の服用管理データ(以下、「薬剤服用管理データ」という)を作成することができる。
【0019】
薬剤服用管理データは、少なくとも、薬剤IDと、薬剤の1回あたりの服用量、薬剤の服用タイミング(例えば、朝昼夜の食前、食中、食後、就寝前、服用間隔等)、及び服用済または未服用の状態を示す服用状況データと、を含む。服用状況データとして、当該薬剤の処方期間の各服用タイミングにおける服用済または未服用の状態を記録することができる。
薬剤服用管理データは、後述のサーバ4の記憶部41の備える薬剤服用管理ファイル412に、患者のユーザーIDとリンクして格納される。
【0020】
次に、薬剤情報提供処理に使用されるトリガー画像21について説明する。
トリガー画像21とは、電子機器3によって認識されることにより、後述する電子機器3の機能の動作を開始させるトリガー、あるいは、電子機器3にインストールされているアプリケーションプログラムを起動させるトリガーとなる画像である。
具体的には、薬剤情報提供処理に使用されるトリガー画像21として、AR(Augmented Reality)マーカー、バーコード、2次元コード(QRコード(登録商標)等)、予め登録された画像(例えば、静止画、動画の少なくとも1フレーム、図形、写真、模様あるいは特殊な形状等を有するシール)等を使用することができる。また、薬剤・医療器具あるいは医療器材等の実物(実像)をトリガー画像21とすることもできる。なお、トリガー画像21は、モノクロあるいはカラーのいずれによって表すことも可能である。
【0021】
トリガー画像21は、少なくとも薬袋を識別する薬袋識別情報(以下「薬袋ID」という)及び薬剤IDを含むように構成されることが好ましい。具体的には、例えば、2次元コード(または予め登録された画像、バーコード、テキストデータ)によって、薬袋ID及び薬剤IDを符号化することが好ましい。そうすることで、各トリガー画像21は、薬袋を識別する薬袋ID及び薬剤を識別する薬剤IDを電子機器3に対して提供することができる。(以下、薬袋ID及び薬剤IDを併せて「薬袋管理情報」ともいう)。
薬局端末1は、薬剤師の指示にしたがって、トリガー画像21を生成する。
【0022】
以上のように、薬局端末1は、患者に処方する各薬剤に対して、薬袋ID及び薬剤IDをキーとして、薬剤情報データを含むレコード(「薬剤情報データレコード」という)を生成し、後述するサーバ4の記憶部41の備える薬剤情報データファイル411に格納またはアップロードする。
すなわち、薬剤情報データレコードは、薬袋2に含まれる薬剤毎に、薬袋ID及び薬剤IDをキーとして、薬剤の名称、薬剤の画像データ、薬剤の服用方法、薬剤の効用、薬剤の注意事項、薬剤の副作用、患者向け個別情報を含むように構成することができる。
【0023】
また、薬局端末1は、患者に処方する各薬剤に対して、薬袋ID及び薬剤IDをキーとして、薬剤服用管理データを含むレコード(「服用管理レコード」という)を生成し、後述するサーバ4の記憶部41の備える薬剤服用管理ファイル412に格納またはアップロードする。
すなわち、薬剤服用管理レコードは、薬袋ID及び薬袋IDをキーとして、少なくとも薬剤の1回あたりの服用量、薬剤の服用タイミング、及び薬剤の服用状況データと、を含むように構成することができる。
なお、薬剤の名称、薬剤の画像データについては、薬袋ID及び薬袋IDをキーとする薬剤情報データファイル411から参照することができるため、服用管理レコードには含まないようにしてもよい。
【0024】
薬局端末1は、少なくとも、患者の名前と、処方日付と、患者に処方される薬剤の名称と、トリガー画像21とを、プリンタにより薬袋2に印刷させる。
図2は、トリガー画像を有する薬袋2の例を示す図である。
図2に示すように、トリガー画像21は、薬袋2の所定の領域に視認可能なように印刷される。複数の薬剤が薬袋2に含まれる場合、当該薬袋の印刷領域に、少なくとも薬剤の名称と薬剤に対応するトリガー画像21とを並べて印刷することが好ましい。
なお、薬袋2に印刷される薬剤に関する情報は、最小限にとどめることができる。
図2には、薬剤の名称、薬剤の写真、及び薬剤の服用時間が印刷される例を示している。
【0025】
薬局端末1は、上記のように薬袋2に印刷されるデータを薬袋2に印刷する代わりに、各種文書に印刷させたり、画面に表示させたりするようにしてもよい。即ち、トリガー画像21が具現化される媒体は、薬袋2の他、プロジェクタ等による投影画像、電子ペーパー(スマートペーパー)、電子機器(ディスプレイによる表示画像)、薬剤情報提供文書、退院時薬剤情報管理指導文書、診療明細書、調剤明細書、領収書、診察券、レシート、治療に関する説明文書、薬剤に関する説明文書、お薬手帳等の各種手帳、患者個人に配布される各種カード、薬剤のヒートシール、紙またはビニール製の分包紙等、薬剤の処方に関連して患者に提供される文書の化体物(印刷媒体等)またはデータの可視化を実現するもの(情報を表示する表示媒体等)とすることが可能である。さらに、例えば粘着シートに、薬剤の名称と薬剤に対応するトリガー画像21をプリントさせてもよい。その場合、印刷された粘着シートを薬袋2に貼付するようにしてもよい。この粘着シートは、薬袋2に貼付する他、各種手帳、薬箱あるいは患者個人に配布される各種カード等に貼付するようにしてもよい。
【0026】
[電子機器3の構成]
電子機器3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パソコン、携帯電話、PDA等の携帯端末として構成される。
図3は、電子機器3の構成を示す図である。
図3に示すように、電子機器3は、少なくとも、制御部30と、記憶部31と、通信部32と、撮像部33と、表示部34と、入力部35と、を備える。図示しないが、スピーカと、マイクとを備えることができる。
【0027】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、I/O等を有するマイクロプロセッサにより構成される。CPUは、ROMまたは記憶部31から読み出した各プログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、及び記憶部31から情報を読み出し、RAM及び記憶部31に対して情報の書き込みを行い、通信部32と、撮像部33と、表示部34と、入力部35等と信号の授受を行う。
制御部30における制御内容の詳細については、後述する。
【0028】
記憶部31は、例えば半導体メモリ等で構成され、オペレーティングシステム(OS)や薬剤情報提供のためのアプリケーションプログラム等が記憶される。なお、アプリケーションプログラムについては、記憶部31に予め記憶しておく構成でもよい。また、サーバ4から適宜取得する構成でもよい。
【0029】
通信部32は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)等を有し、3GやLTE(Long Term Evolution)等の携帯電話通信網に代表される無線通信網を通じて無線通信を行い、サーバ4と無線通信を行うことが可能に構成されている。
【0030】
撮像部33は、患者の操作にしたがって、薬袋2に印刷されたトリガー画像21を撮像する。ここで、撮像部33は、電子機器3に内蔵されるデジタルカメラ機能によって構成されてもよい。
【0031】
表示部34は、電子機器3に搭載されているディスプレイ等の表示デバイスにより構成され、制御部30からの指示を受けて表示情報を表示するように構成されている。
【0032】
入力部35は、テンキーと呼ばれる物理スイッチや表示部34の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置(図示せず)等で構成される。入力部35からの操作入力、例えばユーザーである患者によるテンキーの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御部30に出力することで、所定の操作を行うことができる。
【0033】
スピーカは、患者に対して音声出力を行い、マイクは、患者によって発せられた音声等を集音する。例えば、薬剤情報データが音声を含む場合、薬剤情報データはスピーカから出力される。また、マイクを用いて、指示入力のための音声を入力することができる。
【0034】
制御部30は、アプリケーションプログラム(以下、「薬剤情報提供アプリケーション」とも総称する)を実行することによって、電子機器3を所定の手段(以下、「薬剤情報提供部」とも総称する)として機能させる。
また、制御部30は、薬剤情報提供アプリケーションを実行することによって、電子機器に、所定の手順(以下、「薬剤情報提供手順」とも総称する)を実行させる。
【0035】
図3に示すように、制御部30は、接続処理部300と、トリガー画像読み取り部301と、ガイダンス表示部302と、薬剤情報データ取得部303と、薬剤情報表示部304と、薬剤服用管理データ取得部305と、薬剤服用管理データ表示部306と、を備える。
【0036】
接続処理部300は、患者の携行する電子機器から、サーバ4に対してログイン処理を行う。なお、携帯電話番号を認証することにより、自動ログインするようにしてもよい。
接続処理部300は、患者が正当な者であることを認証されると、薬剤情報提供処理を行うように構成することができる。
【0037】
トリガー画像読み取り部301は、撮像部33によって撮像された全体画像内に、トリガー画像21を認識し、トリガー画像21を読み取り、トリガー画像21に埋め込まれている薬袋ID及び薬剤IDを読み取るように構成される。そうすることで、トリガー画像読み取り部301は、薬袋ID及び薬剤IDを取得する。
【0038】
ガイダンス表示部302は、トリガー画像読み取り部301によりトリガー画像21を認識することに応答して、患者に対して、表示部34に表示する情報を選択するためのガイダンス画面を表示する。
図4Aに示すように、ガイダンス画面には、薬剤情報データの種別(例えば、薬剤の効用、服用方法、薬剤の注意事項、薬剤の副作用、患者向け個別情報等)の選択、または薬剤の服用管理の選択をするための吹き出し341が表示される。
図4Aは、薬袋2を電子機器3により撮像したときに表示部34に表示されるガイダンス画面の例を示す図である。
図4Aに示すように、ガイダンス表示部302は、例えば、薬剤情報データの種別または薬剤の服用管理を表示する吹き出し341を有するガイダンス画面を表示し、患者が該当する吹き出しをタップすることで、薬剤情報データの種別または薬剤の服用管理を選択させるように構成することができる。
【0039】
薬剤情報データ取得部303は、ガイダンス画面を介して患者により薬剤情報データの種別が選択された場合、通信部32を介してサーバ4にアクセスして、患者により選択された薬剤情報データを取得する。
具体的には、薬袋ID、薬剤IDをパラメータとして、後述するサーバ4の薬剤情報提供部401に対して、選択された薬剤情報データの取得要求をすることにより、サーバ4(薬剤情報提供部401)から、選択された薬剤情報データを取得する。
【0040】
薬剤情報表示部304は、サーバ4(薬剤情報提供部401)から取得した薬剤情報データを、表示部34に表示する。
図4Bは、ガイダンス画面から薬剤情報データが選択された場合に、表示部に表示される薬剤情報の例を示す図である。
図4Bに示すように、例えば、薬剤情報表示部304は、表示部34上に撮像されたトリガー画像21の表示位置に重畳して吹き出し341を表示し、その吹き出し341の中に、薬剤情報データを表示させる。
図4Bに示す例では、Aカプセルについて、薬剤の注意事項を、B錠について、薬剤の効用を表示している。
また、
図4Bにおいて、患者向け個別情報として、その患者のために用意された文書が表示される場合、例えば、ステロイド系の薬剤について、その患者特有の服用方法が表示される。即ち、ステロイド系の薬剤についての一般の薬剤情報の他、その患者に対して医師が指導した用法及び用量(例えば、ステロイド系薬剤を初回の服用から2日おいて2錠、1日おいて1錠といった漸減の服用パターン等)が表示される。この場合、一般の薬剤情報に優先して、その患者に医師が指導した用法及び用量を先に表示すること等ができる。
こうすることで、薬剤師(あるいは医師)が患者に対して特に伝達したいと考える適確な情報を適切に患者に伝達することができる。
【0041】
なお、吹き出し341の表示位置は、トリガー画像21に重畳する場合に限らず、適宜設定するようにしてもよい。また、薬剤情報データが音声や画像(静止画または動画)を含む場合は、薬剤情報表示部304は、薬剤情報データの表示と併せて、音声や画像をスピーカあるいは表示部34に出力する。また、薬剤情報表示部304は、薬剤情報データがテキストデータの場合、音声合成ソフトにより、音声出力するように構成することができる。
例えば、撮像部33によって撮像された画像内に、1つのトリガー画像21のみが認識された場合、トリガー画像21が表す情報に応じて、表示部34の画面全体(または画面内の広い領域)に患者向け個別情報である「薬剤の服用のために用いる器具」の使用方法の動画を表示するようにしてもよい。
【0042】
図4Cは、1つのトリガー画像21が認識されて表示部34の画面全体に患者向け個別情報(ここでは「薬剤の服用のために用いる器具(吸入器)」の使用方法の動画)が表示された状態を示す模式図である。
図4Cに示すように、撮像部33によって撮像された画像内に患者向け個別情報に関連付けられた薬剤IDを示すトリガー画像21のみが認識された場合、薬剤情報データ取得部303は、その薬剤IDに対応する薬剤情報データが選択されたものとして、サーバ4(薬剤情報提供部401)から、薬剤IDに対応する薬剤情報データ(患者向け個別情報)を取得する。すると、薬剤情報表示部304は、サーバ4(薬剤情報提供部401)から取得した薬剤情報データ(患者向け個別情報)を、表示部34の画面全体に表示する。
こうすることで、薬剤師(あるいは医師)が患者に対して特に伝達したいと考える適確な情報を適切に患者に伝達することができる。
なお、患者向け個別情報に関連付けられた薬剤IDを示すトリガー画像21には、薬袋IDを含めることができる。こうすることで、薬袋IDを示すトリガー画像21を読み取らなくても、患者向け個別情報を表示部34に表示することが可能となる。
【0043】
薬剤服用管理データ取得部305は、ガイダンス画面を介して薬剤の服用管理が選択された場合、通信部32を介してサーバ4にアクセスして、薬袋ID及び薬剤IDに対応する服用管理データを取得する。
具体的には、薬袋ID及び薬剤IDをパラメータとして、後述するサーバ4の薬剤服用管理情報提供部402に対して、薬袋ID及び薬剤IDに対応する、薬剤服用管理データの取得要求をすることにより、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)から、薬剤服用管理データを取得する。
【0044】
薬剤服用管理データ表示部306は、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)から取得した薬剤服用管理データを、表示部34上に撮像されたトリガー画像21の表示位置に重畳して表示することができる。
図4Dは、ガイダンス画面から服用管理が選択された場合に、表示部に表示される服用タイミングデータの例を示す図である。
図4Dに示すように、例えば、薬剤服用管理データ表示部306は、薬剤の現在の服用タイミングを表示するとともに、服用する薬剤毎に吹き出し341を表示し、その中に、薬剤の1回あたりの服用量を表示させる。
この際、薬剤服用管理データ表示部306は、患者が当該薬剤を服用したことをチェックするための服用チェックボタン342を表示するように構成することができる。
薬剤服用管理データ表示部306は、患者により当該服用チェックボタン342がクリックされることで、患者が当該薬剤を服用したことを示すイベントデータを後述するサーバ4の薬剤服用管理情報提供部402に通知することができる。
【0045】
現在時刻が、薬剤を服用するタイミングの時間帯に属さない場合、薬剤服用管理データ表示部306は、現在は服用タイミングのときでない旨のメッセージを表示する。
なお、「薬剤を服用するタイミングの時間帯」については、薬局端末1が、薬剤師の指示にしたがって、薬袋ID毎に設定できるように構成される。
【0046】
服用履歴照会部307は、
図4Dに示すように、薬剤の薬剤服用管理データが表示された際に、服用管理データの吹き出し341が患者によりタップされることで、後述するサーバ4の服用履歴提供部404から、当該薬剤の服用履歴状況を受信し、服用履歴状況を表示するように構成することができる。
なお、
図4Aから
図4Dに示す各表示例において、表示内容には、テキストのみならず、カラー表示された静止画及び動画を含むことができる。
【0047】
[サーバ4の構成]
図5は、サーバ4の構成を示す図である。
図5に示すように、サーバ4は、少なくとも、制御部40と、記憶部41と、通信部42とを、を備えている。さらにサーバ4は、必要に応じて表示部43と、入力部44と、を備えることができる。
第1実施形態では、サーバ4を1つのサーバとして記載するが、サーバ4の各機能を、適宜複数のサーバに分散する、分散処理システムとしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、サーバの各機能を実現してもよい。また、サーバ4を、例えば、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバから構成されるサーバシステムとしてもよい。
【0048】
制御部40はCPU、RAM、ROM、I/O等を有するプロセッサにより構成され、各構成部の制御を行う。CPUは、RAM、ROMまたは記憶部41から読み出したアプリケーションプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、及び記憶部41から情報を読み出し、RAM及び記憶部に対して情報の書き込みを行い、通信部42と信号の授受を行う。
制御部40における制御内容の詳細については、後述する。
【0049】
記憶部41は半導体メモリやハードディスクドライブ等で構成されており、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションと呼ばれるソフトウェアが保存される等、種々の情報が記憶される。
さらに、記憶部41には、ユーザー情報データファイル410、薬剤情報データファイル411及び薬剤服用管理ファイル412が記憶されている。
【0050】
ユーザー情報データファイル410には患者毎にユーザー情報データレコードが作成され、ユーザー情報データ(例えば、ユーザーID、パスワード、携帯電話番号、住所、氏名、健康保険証番号等)が記憶される。
【0051】
薬剤情報データファイル411は、当該患者のユーザーIDとリンクする薬剤情報データレコードを含む。薬剤情報データレコードは、薬袋2に含まれる薬剤毎に、薬袋ID及び薬剤IDをキーとして、薬剤の名称、薬剤の画像データ、薬剤の服用方法、薬剤の効用、薬剤の注意事項、薬剤の副作用、患者向け個別情報を含む。
【0052】
薬剤服用管理ファイル412は、当該患者のユーザーIDとリンクする薬剤服用管理レコードを含む。薬剤服用管理レコードは、薬袋ID及び薬剤IDをキーとして、少なくとも、当該薬剤の1回あたりの服用量、薬剤の服用タイミング(例えば、朝昼夜の食前、食中、食後、就寝前、何時間毎等)、及び服用済または未服用の状態を示す服用状況データを含む。
【0053】
通信部42は、インターネット回線等のネットワークに接続することができる通信プロトコル、及び図示しない無線基地局を通じて電子機器3とパケットデータ等の送受信(データ通信)をおこなう通信プロトコル等を実装する。そうすることで、例えば、電子機器3との送受信の場合に無線通信を行うことができる。また、薬局端末1との送受信の場合に、有線または無線通信を行うことができる。
【0054】
制御部40は薬剤情報提供のためのプログラムを実行することによって、サーバ4に所定の手段(以下、「薬剤情報提供制御部」と総称する)として機能させる。
【0055】
図5に示すように、制御部40は、接続処理部400と、薬剤情報提供部401と、薬剤服用管理情報提供部402と、服用期間管理部403と、服用履歴提供部404と、を備える。
【0056】
接続処理部400は、患者の携行する電子機器からのログイン処理を実行して、ユーザー情報データファイル410等を参照することで、ユーザーが正当な者であることを認証する。なお、携帯電話番号を認証することにより、自動ログインするようにしてもよい。
接続処理部400は、患者が正当な者であることを認証すると、患者に対して、薬剤情報提供処理を行うように構成することができる。
【0057】
<薬剤情報提供部401>
薬剤情報提供部401は、電子機器3から通信部42を介して受信した、患者により選択された薬剤の情報データ要求に基づいて、薬剤の情報データを薬剤情報データファイル411から抽出する。
具体的には、薬袋ID、薬剤ID、及び薬剤情報データの種別に基づいて、薬剤情報データファイル411から対応する薬剤情報データを検索し、取得する。薬剤情報提供部401は、取得した薬剤情報データを通信部42を介して、電子機器3に対して送信する。
なお、薬剤情報提供部401は、患者により選択された薬剤の情報データのみならず、全ての情報データを含む薬剤情報データレコードを電子機器3に対して送信するように構成してもよい。この場合、電子機器3(薬剤情報表示部304)は、受信した薬剤情報データレコードから、選択された薬剤情報データを抽出し、表示するように構成してもよい。
【0058】
<薬剤服用管理情報提供部402>
薬剤服用管理情報提供部402は、電子機器3(薬剤服用管理データ取得部305)から通信部42を介して受信した、薬袋ID及び薬剤IDに対応する薬剤の薬剤服用管理データの要求に基づいて、薬剤の薬剤服用管理データを生成する。
【0059】
具体的には、薬剤服用管理情報提供部402は、現在時刻情報に基づいて、現在時刻が当該薬剤の服用タイミング(例えば、朝昼夜の食前、食中、食後、就寝前、何時間毎等)の時間帯のいずれに該当するかを判断する。
【0060】
薬剤服用管理情報提供部402は、現在時刻における当該薬剤の服用状況データが未服用状態を示していることの条件が満たされている場合、当該薬剤の薬剤服用管理データを通信部42を介して、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部306)に対して送信する。
こうすることで、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)は、電子機器3(薬剤服用管理データ取得部305)に対して、例えば
図4Dに示すように、当該薬剤が現在服用すべき薬剤であるか否かを通知することができる。
【0061】
<服用期間管理部403>
患者が現在服用すべき薬剤を服用する際、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部306)は、患者により現在服用すべき薬剤の服用チェックボタン342がクリックされると、当該薬剤を服用済みとするイベントデータをサーバ4(服用期間管理部403)に通知する。
服用期間管理部403は、薬剤を服用済みとするイベントデータの受信に応答して、当該薬剤の薬剤服用管理レコードの現在時刻における服用状況データを服用済の状態に更新し、薬剤の服用状態を最新の状態に維持することができる。
【0062】
<服用履歴提供部404>
電子機器3(服用履歴照会部307)は、
図4Dに示すように、薬剤の薬剤服用管理データが表示された際に、服用管理データの吹き出し341が患者によりタップされると、当該薬剤の服用履歴情報の要求をサーバ4(服用履歴提供部404)に通知する。
サーバ4(服用履歴提供部404)は、当該薬剤の現在時刻までの服用履歴状況を生成し、電子機器3(服用履歴照会部307)に提供する。そうすることで、患者は、例えば薬剤の服用忘れが発生していたかどうかを確認することができる。
【0063】
[薬剤情報提供システム100の処理]
続いて、
図4A、
図4B、
図4C、
図4D、及び
図6を参照して、薬袋2を電子機器3により撮像することにより、患者に薬剤の薬剤情報を提供する場合の、薬剤情報提供システム100による薬剤情報提供処理フローを説明する。なお、薬局端末1により、薬袋2には、薬剤の名称及び薬剤に対応するトリガー画像21が予め印刷されているものとする。また、薬局端末1により、薬袋2に包装された薬剤に関する薬剤情報データを含む薬剤情報データレコードは、予め生成され、サーバ4の薬剤情報データファイル411に格納されているものとする。
電子機器3には、薬剤情報提供に係るアプリケーションがインストールされ、起動されているものとする。
図6は、薬剤情報提供システム100が実行する薬剤情報提供処理の流れを示すフローチャートである。
薬剤情報提供処理は、電子機器3が、患者による、薬剤情報提供処理を行うための所定の操作(例えば、接続処理)を受け付けたことに応じて開始される。
【0064】
ステップST101において、撮像部33は、患者の操作に基づいて撮像部33から薬袋2の画像データを取得する。
【0065】
ステップST102において、トリガー画像読み取り部301は、ステップST101において撮像された全体画像内に、トリガー画像21を認識し、トリガー画像21を読み取り、トリガー画像21に埋め込まれている薬袋管理情報(薬袋ID及び薬剤ID)を読み取る。
【0066】
ステップST103において、ガイダンス表示部302は、患者に対して、例えば
図4Aに示すようなガイダンス画面を表示部34に表示する。
【0067】
ステップST104において、ガイダンス画面を介して、薬剤情報データの種別(例えば、薬剤の効用・効果、服用方法、薬剤の注意事項、薬剤の副作用、患者向け個別情報等)が選択された場合、ステップST105に進む。薬剤の服用管理が選択された場合、ステップST108に進む。なお、ステップST102において、撮像部33によって撮像された画像内に、1つのトリガー画像21のみが認識された場合、ステップST103においてガイダンス画面の表示はスキップされ、ステップST104において、トリガー画像21が表す薬剤IDに対応する薬剤情報データが選択されたものとされる。
【0068】
ステップST105において、電子機器3(薬剤情報データ取得部303)は、ステップST102において読み取った、薬袋ID及び薬剤IDをパラメータとして、サーバ4(薬剤情報提供部401)に対して、薬剤情報データの取得要求をする。
【0069】
ステップST201において、サーバ4(薬剤情報提供部401)は、電子機器3(薬剤情報データ取得部303)から通信部42を介して受信した、薬剤情報データの取得要求に基づいて、薬剤情報データを薬剤情報データファイル411から抽出する。
【0070】
ステップST202において、サーバ4(薬剤情報提供部401)は、ステップST201において抽出した薬剤情報データを、電子機器3(薬剤情報表示部304)に対して送信する。
【0071】
ステップST106において、電子機器3(薬剤情報表示部304)は、受信した薬剤情報データを、例えば
図4Bに示すように、表示部34に撮像されたトリガー画像21の場所に重畳して表示する。なお、ステップST102において、撮像部33によって撮像された画像内に、1つのトリガー画像21のみが認識された場合、例えば
図4Cに示すように、表示部34の画面全体に薬剤情報データ(患者向け個別情報)を表示するようにしてもよい。
【0072】
ステップST107において、患者により、所定のボタン(図示せず)をクリックすることで、前画面に戻る操作が行われた場合、ステップST103に戻る。また、患者により、別の薬剤に対応するトリガー画像21を撮像した場合、ステップST101に戻る。
【0073】
ステップST108において、電子機器3(薬剤服用管理データ取得部305)はステップST102において読み取った、薬袋ID及び薬剤IDをパラメータとして、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)に対して、薬剤IDに対応する薬剤の服用管理データ(服用状況データ及び当該薬剤の服用タイミングデータ)の取得要求をする。
【0074】
ステップST203において、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)は、電子機器3(薬剤服用管理データ取得部305)から通信部を介して受信した、薬剤の服用管理データ取得要求に基づいて、当該薬剤の薬剤服用管理データを薬剤情報データファイル411から取得する。
【0075】
ステップST204において、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)は、ステップST203において取得した薬剤服用管理データ及び現在時刻等に基づいて、当該薬剤の服用状況データ及び最新の服用タイミングデータを生成する。
【0076】
ステップST205において、薬剤服用管理情報提供部402は、取得した薬剤の服用状況データ及び生成した最新の服用タイミングデータを通信部を介して、電子機器3(薬剤情報表示部304)に対して送信する。
【0077】
ステップST109において、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部306)は、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)から受信した、当該薬剤の服用状況データ及び当該薬剤の服用タイミングデータを、例えば
図4Dに示すように、表示する。なお、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部306)は、当該薬剤の服用タイミングデータが、現在服用することを示している場合、患者が薬剤を服用することをチェックするための服用チェックボタン342を併せて表示する。
【0078】
ステップST110において、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部306)は、患者により薬剤を服用することをチェックするためのチェックボタン343がクリックされることに応答して、患者が当該薬剤を服用したことを示すイベントデータをサーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)に送信する。
【0079】
ステップST111において、患者により前画面に戻る操作が行われた場合、ステップST103に戻る。また、患者により、別の薬剤に対応するトリガー画像21を撮像した場合、ステップST101に戻る。
【0080】
ステップST206において、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)は、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部306)から受信した当該薬剤を服用したことを示すイベントデータに基づいて、薬剤服用管理レコードを更新する。
【0081】
こうすることで、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)は、患者の薬剤服用管理レコードを常に最新の状態に維持することができる。
【0082】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明において、トリガー画像に重畳して吹き出し(薬剤情報)を表示することには、トリガー画像が撮像画像の画角に含まれる場合に、吹き出し(薬剤情報)を撮像画像に重畳して表示領域のいずれかの位置に表示することが含まれる。
また、上述の実施形態では、薬剤情報データを対象として本発明を適用するものとして説明したが、本発明は、薬剤情報データ以外の医療情報にも適用することが可能である。例えば、患者手帳や母子健康手帳等の媒体に具現化されたトリガー画像を電子機器3で読み取ることにより、医師から患者に伝達した診察結果や生活指導の内容等の医療情報を電子機器3に表示するようにしてもよい。
【0083】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が薬剤情報提供システム100を構成するいずれかのコンピュータに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に示した例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0084】
[変形例1]
上述の実施形態において、薬剤情報データと薬剤服用管理データをそれぞれ、薬剤情報データファイル411及び薬剤服用管理ファイル412に格納またはアップロードするように構成した。
しかしながら、薬剤情報データと薬剤服用管理データをともに、薬剤情報データファイル411に格納またはアップロードするように構成してもよい。
この場合、薬剤情報管理データレコードは、薬袋ID及び薬袋IDをキーとして、各薬剤について、薬剤の名称、薬剤の画像データ、薬剤の服用方法、薬剤の効用、薬剤の注意事項、薬剤の副作用、患者向け個別情報、薬剤の1回あたりの服用量、薬剤の服用タイミング(例えば、朝昼夜の食前、食中、食後、就寝前、何時間毎等)、及び服用済または未服用の状態を示す服用状況データを含むように構成することができる。
【0085】
[変形例2]
上述の実施形態においては、電子機器3(薬剤情報データ取得部303)は、薬袋ID及び薬剤IDをパラメータとして、サーバ4(薬剤情報提供部401)に対して、薬剤情報データの取得要求をして、サーバ4(薬剤情報提供部401)から、薬剤情報データを受信する構成としている。すなわち、上述の実施形態においては、クラウド型のシステムとして本発明の機能を実現している。
これに対して、例えば、電子機器3は、薬局において薬袋2を処方される際に、薬局端末1から直接、処方される薬袋2に対応する薬剤情報データレコードを、例えば近距離無線通信等を介して受信して、記憶部31に薬剤情報データファイルとして記憶する構成にしてもよい。
この場合、薬剤情報データ取得部303は、サーバ4に替えて、記憶部31(薬剤情報データファイル411)にアクセスすることで薬剤情報データを取得するように構成される。
すなわち、電子機器3がサーバ4の機能を備えるように構成される。
この場合、電子機器3において、スタンドアローン型のシステムとして本発明の機能を実現することができる。
なお、この場合、電子機器3において、行政機関からの薬品に関する情報の更新等に対応して、薬品情報データベースの内容が更新されたか否かを適宜確認し、薬品情報データベースの内容が更新された場合に、薬品情報データを適宜更新することができる。
【0086】
[変形例3]
また、電子機器3(薬剤情報データ取得部303)は、サーバ4(薬剤情報提供部401)に対して、薬剤情報データの取得要求をして、薬剤情報データレコードを受信した際に、当該薬剤情報データを電子機器3の記憶部31内にキャッシュファイルとして保存するように構成してもよい。
そうすることで、電子機器3(薬剤情報データ取得部303)が、2回目以降に薬剤情報データを表示部34に表示する際に、電子機器3の記憶部31内にキャッシュファイルとして保存される、薬剤情報データレコードにアクセスすることで、サーバ4にアクセスする頻度をより少ないものとしながら、薬剤情報データを得ることができる。
なお、この場合、電子機器3において、行政機関からの薬品に関する情報の更新等に対応して、薬品情報データベースの内容が更新されたか否かを適宜確認し、薬品情報データベースの内容が更新された場合に、薬品情報データを適宜更新することができる。
【0087】
[変形例4]
上述の実施形態においては、薬袋2を電子機器3により撮像したときに、ガイダンス表示部302が、患者に対して、表示する薬剤情報データの種別を選択するためのガイダンス画面を表示部34に表示し、患者が該当する吹き出しをタップすることで、薬剤情報データの種別または患者の薬剤に関する服用管理を選択させる構成としている。
これに対して、薬袋2を電子機器3により撮像したときに、電子機器3は、直接、薬袋ID、薬剤IDをパラメータとして、サーバ4(薬剤情報提供部401)に対して、それぞれ、薬剤情報データの取得要求、及び薬剤服用管理の取得要求をするようにしてもよい。
そうすることで、電子機器3は、ガイダンス表示をせずに、取得した薬剤情報データレコードから、全ての薬剤情報データ、並びに服用状況データ及び最新の服用タイミングデータを表示するように構成してもよい。例えば、タブレット端末のように、電子機器の表示部34のサイズが、薬袋2の全体を撮像する程度に大きい場合、このように構成することができる。
また、スマートフォンのように、電子機器の表示部34のサイズが、薬袋2の全体を撮像することができない大きさの場合には、ガイダンス画面から表示対象を選択するように構成することが好ましい。
【0088】
[変形例5]
上述の実施形態においては、電子機器3の表示部34に表示されるガイダンス画面において、服用管理が選択された場合、サーバ4(薬剤情報提供部401)が、薬剤服用管理データ及び現在時刻等に基づいて、服用状況データ及び最新の服用タイミングデータを生成する構成としている。
これに対して、電子機器3の表示部34に表示されるガイダンス画面において、服用管理が選択された場合、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部306)が、現在時刻及びサーバ4(薬剤情報提供部401)から送信される薬剤服用管理データ等に基づいて、服用状況データ及び最新の服用タイミングデータを生成するようにしてもよい。
【0089】
[変形例6]
薬剤師が患者に対して説明する服用上のアドバイス、及び患者個人に対するメッセージについては、薬局端末1は、薬剤師の指示により、サーバ4にアクセスし、薬袋ID、薬剤IDに対応する薬剤情報データレコードにアクセスすることで、薬剤情報データレコードに含まれるアドバイス及びメッセージをアップロードするように構成することができる。
そうすることで、必要なタイミングで、薬剤師は患者に対して適切なアドバイスまたはメッセージを伝えることが可能となる。
【0090】
[変形例7]
患者の携行する電子機器3に対してサーバ4からのプッシュ通知を可能とするように、薬剤情報提供アプリケーションにプッシュ機能を設定するとともに、デバイス情報をサーバ4に登録するように構成できる。
そうすることで、現在時刻が薬剤の服用タイミングの時間帯に該当する場合に、当該薬剤の薬剤服用管理データをサーバ4から、患者の携行する電子機器3にプッシュ方式で通知するように構成できる。その結果、患者は、薬剤の服用が必要なタイミングを自動的に把握することができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。実施形態及び変形例については、適宜組み合わせることができる。
また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0092】
100 薬剤情報提供システム、1 薬局端末、2 薬袋、21 トリガー画像、3 電子機器、30 制御部、300 接続処理部、301 トリガー画像読み取り部、302 ガイダンス表示部、303 薬剤情報取得部、304 薬剤情報表示部、305 薬剤服用管理データ取得部、306 薬剤服用管理データ表示部、31 記憶部、32 通信部、33 撮像部、34 表示部、35 入力部、4 サーバ、40 制御部、400 接続処理部、401 薬剤情報提供部、402 薬剤服用管理情報提供部、403 服用期間管理部、404 服用履歴提供部、41 記憶部、410 ユーザー情報データファイル、411 薬剤情報データファイル、412 薬剤服用管理ファイル、42 通信部、5 ネットワーク