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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】ズームレンズ、撮像装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/16 20060101AFI20240119BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
G02B15/16
G02B13/18
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022212413
(22)【出願日】2022-12-28
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】柿本 剛
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-365539(JP,A)
【文献】特開2017-142468(JP,A)
【文献】特開2020-109430(JP,A)
【文献】特開2006-071993(JP,A)
【文献】特開2008-032924(JP,A)
【文献】特開2015-060083(JP,A)
【文献】特開2010-060919(JP,A)
【文献】特開2010-020191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って物体側より像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、第5レンズ群とからなり、前記第1レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズを含み、前記第2レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズと少なくとも1枚の正レンズを含み、前記第3レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズを含み、前記第4レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを含み、前記第5レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを含み、ズーム及びフォーカスに際して前記第1レンズ群と前記第3レンズ群と前記第5レンズ群は、固定であり、前記第2レンズ群と前記第4レンズ群は、光軸上移動する、ズームレンズであって、
前記第2レンズ群と前記第4レンズ群が光軸上移動する際に、以下の条件を満足し、
2.0<f1/fw<7.0
0.5<|f2/fw|<2.0
1.7<f4/fw<2.0
0.7<β5<1.2
ここで、f1は、前記第1レンズ群の焦点距離であり、f2は、前記第2レンズ群の焦点距離であり、f4は、前記第4レンズ群の焦点距離であり、fwは、広角端における前記ズームレンズの焦点距離であり、β5は、前記第5レンズ群の横倍率であり、
前記ズームレンズのレンズの分散係数は、以下の条件のうちの少なくとも1つを満足し、
45.0<G1Pv<83.0
45.0<G2Nv<60.0
15.0<G2Pv<25.0
45.0<G3Pv<60.0
35.0<G4Pv<83.0
15.0<G4Nv<35.0
15.0<G5Pv<35.0
35.0<G5Nv<60.0
ここで、G1Pvは、前記第1レンズ群の正レンズの分散係数であり、G2Nvは、前記第2レンズ群の負レンズの分散係数であり、G2Pvは、前記第2レンズ群の正レンズの分散係数であり、G3Pvは、前記第3レンズ群の正レンズの分散係数であり、G4Pvは、前記第4レンズ群の正レンズの分散係数であり、G4Nvは、前記第4レンズ群の負レンズの分散係数であり、G5Pvは、前記第5レンズ群の正レンズの分散係数であり、G5Nvは、前記第5レンズ群の負レンズの分散係数である
ことを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
請求項1に記載のズームレンズであって、
前記第5レンズ群の正レンズ及び負レンズは、いずれも非球面のレンズを採用することを特徴とする。
【請求項3】
請求項1記載のズームレンズであって、
前記第5レンズ群の負レンズは、最も像側にあることを特徴とする。
【請求項4】
請求項1に記載のズームレンズであって、
前記ズームレンズの各レンズは、プラスチックレンズを採用することを特徴とする。
【請求項5】
請求項1記載のズームレンズであって、
前記ズームレンズのレンズの屈折率は、以下の条件のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする。
1.49<G1Pn<1.57
1.49<G2Nn<1.57
1.62<G2Pn<1.71
1.49<G3Pn<1.57
1.49<G4Pn<1.57
1.62<G4Nn<1.71
1.51<G5Pn<1.71
1.51<G5Nn<1.57
ここで、G1Pn:前記第1レンズ群の正レンズの屈折率
G2Nn:前記第2レンズ群の負レンズの屈折率
G2Pn:前記第2レンズ群の正レンズの屈折率
G3Pn:前記第3レンズ群の正レンズの屈折率
G4Pn:前記第4レンズ群の正レンズの屈折率
G4Nn:前記第4レンズ群の負レンズの屈折率
G5Pn:前記第5レンズ群の正レンズの屈折率
G5Nn:前記第5レンズ群の負レンズの屈折率。
【請求項6】
請求項1に記載のズームレンズであって、
最も物体側に設けられた光路折り曲げ素子を更に含み、
前記ズームレンズがズーミングを行う際、前記第2レンズ群及び前記第4レンズ群の移動方向が、前記光路折り曲げ素子で折り曲げられた後の光軸方向となることを特徴とする。
【請求項7】
請求項に記載のズームレンズであって、
前記光路折り曲げ素子は、プリズム又は反射鏡を含むことを特徴とする。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載のズームレンズを含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項に記載の撮像装置を含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子の技術分野に係り、特にズームレンズ、撮像装置及び電子機器に係る。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどに代表される携帯情報端末における薄型化や、携帯情報端末に搭載された撮像装置には画角を変化させて撮影することを可能とするカメラシステムが採用されてきており、とりわけ撮像レンズにおいて望遠画角のズームレンズが求められている。しかし、現在の望遠画角を有するズームレンズは、小型化が不十分である問題などから、携帯情報端末への搭載が難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の少なくとも1つの実施例は、望遠画角や、携帯情報端末へ搭載される小型化の要求を実現できるズームレンズ、撮像装置及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した技術課題を解決するために、本発明は、下記のように実現される。
【0005】
第1の態様として、本発明の実施例は、ズームレンズを提供する。該ズームレンズは、光軸に沿って物体側より像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、第5レンズ群とを含む。前記第1レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズを含み、前記第2レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズと少なくとも1枚の正レンズを含み、前記第3レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズを含み、前記第4レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを含み、前記第5レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを含む。前記ズームレンズのズーム及びフォーカスに際して、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群と前記第5レンズ群は、固定であり、前記第2レンズ群と前記第4レンズ群は、光軸上移動する。
【0006】
第2の態様として、本発明の実施例は、上述したズームレンズを含む撮像装置を提供する。
【0007】
第3の態様として、本発明の実施例は、上述した撮像装置を含む電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
従来技術と比べ、本発明の実施例に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側より像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、第5レンズ群とを有し、かつ、前記ズームレンズのズーム及びフォーカスに際して、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群と前記第5レンズ群が固定であり、前記第2レンズ群と前記第4レンズ群が光軸上移動することにより、広角、望遠などの画角を実現することができるとともに、各レンズ群におけるレンズの配置により、携帯情報端末に搭載される小型化の要求を実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係るズームレンズの構成を示す図である。
図2】本発明の実施例1の光路を示す図である。
図3】本発明の実施例1に係るズームレンズの広角状態の収差を示す図である。
図4】本発明の実施例1に係るズームレンズの中間状態の収差を示す図である。
図5】本発明の実施例1に係るズームレンズの望遠状態の収差を示す図である。
図6】本発明の実施例2の光路を示す図である。
図7】本発明の実施例2に係るズームレンズの広角状態の収差を示す図である。
図8】本発明の実施例2に係るズームレンズの中間状態の収差を示す図である。
図9】本発明の実施例2に係るズームレンズの望遠状態の収差を示す図である。
図10】本発明の実施例3の光路を示す図である。
図11】本発明の実施例3に係るズームレンズの広角状態の収差を示す図である。
図12】本発明の実施例3に係るズームレンズの中間状態の収差を示す図である。
図13】本発明の実施例3に係るズームレンズの望遠状態の収差を示す図である。
図14】本発明の実施例4の光路を示す図である。
図15】本発明の実施例4に係るズームレンズの広角状態の収差を示す図である。
図16】本発明の実施例4に係るズームレンズの中間状態の収差を示す図である。
図17】本発明の実施例4に係るズームレンズの望遠状態の収差を示す図である。
図18】本発明の実施例5の光路を示す図である。
図19】本発明の実施例5に係るズームレンズの広角状態の収差を示す図である。
図20】本発明の実施例5に係るズームレンズの中間状態の収差を示す図である。
図21】本発明の実施例5に係るズームレンズの望遠状態の収差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施例における添付図面を参照して、本願の実施例における技術手段を明確且つ完全的に記載する。明らかに、記載される実施例は、本願の実施例の一部であり、全てではない。本願における実施例に基づき、当業者が創造性のある作業をしなくても為しえる全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属するものである。
【0011】
本願の明細書及び特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」などは、類似した対象を区別するためのものであり、必ずしも特定の順序又は優先順位を説明するためのものではない。このように使用されたデータは、本願の実施例がここでの図示又は説明以外の順序でも実施できるように、適宜入れ替えてもよいと理解すべきであり、なおかつ、用語「第1」、「第2」などにより区別される対象は、通常同種なものであり、対象の数を限定しない。例えば、第1の対象は、1つでもよく、複数でもよい。なお、明細書及び特許請求の範囲における「及び/又は」は、接続対象の少なくとも1つを表す。文字「/」は、一般に、前後の関連対象が「又は」の関係となることを示す。
【0012】
本発明の実施例は、ズームレンズを提供し、とりわけ望遠画角や携帯情報端末へ搭載される小型化の要求を実現することに寄与する。ズームレンズは、光軸に沿って物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、第5レンズ群とを含む。ズーム及びフォーカスに際して、第1レンズ群と第3レンズ群と第5レンズ群は、固定であり、第2レンズ群と第4レンズ群は、光軸上移動する。各レンズ群には少なくとも1枚のレンズを含み、各レンズに適宜非球面を採用しつつ屈折率を低くし安価なプラスチックレンズで小型・高性能を実現する。
【0013】
具体的に、図1に示すように、本発明の実施例において、ズームレンズ10は、光軸に沿って物体側より像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とを含む。前記第1レンズ群G1は、少なくとも1枚の正レンズG1Pを含み、前記第2レンズ群G2は、少なくとも1枚の負レンズG2Nと少なくとも1枚の正レンズG2Pを含み、前記第3レンズ群G3は、少なくとも1枚の正レンズG3Pを含み、前記第4レンズ群G4は、少なくとも1枚の正レンズG4Pと少なくとも1枚の負レンズG4Nを含み、前記第5レンズ群G5は、少なくとも1枚の正レンズG5Pと少なくとも1枚の負レンズG5Nを含む。
【0014】
前記ズームレンズ10のズーム及びフォーカスに際して、前記第1レンズ群G1と前記第3レンズ群G3と前記第5レンズ群G5は、固定であり、前記第2レンズ群G2と前記第4レンズ群G4は、光軸上移動することにより、広角、望遠などの画角を実現することができる。それとともに、各レンズ群におけるレンズの配置により、携帯情報端末へ搭載される小型化の要求を実現することもできる。
【0015】
本発明の1つの選択可能な実施例において、前記第2レンズ群G2と前記第4レンズ群G4が光軸上移動する際に、以下の条件を満足する。
2.0<f1/fw<7.0
0.5<|f2/fw|<2.0
1.7<f4/fw<2.0
0.7<β5<1.2
ここで、f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
fw:広角端における前記ズームレンズ10の焦点距離
β5:前記第5レンズ群G5の横倍率。
【0016】
本実施例において、f1/fwを合理的に設定することにより、望遠状態における球面収差や全ズーム域にわたる色収差を補正することや、ズームレンズ10の小型化ができる。f1/fwが2.0未満の場合、第1レンズ群G1の屈折力が大きくなり、望遠状態における球面収差や全ズーム域にわたる色収差が悪化してしまう。f1/fwが7.0を超えると、第1レンズ群G1の屈折力が小さくなり、ズーミング時のレンズ群の移動量を大きく確保する必要があるため、ズームレンズ10の全長が大きくなってしまう。f1/fwを合理的に設定することにより、上記問題を避けることができる。
【0017】
本実施例において、|f2/fw|を合理的に設定することにより、第2レンズ群G2における収差の発生量を補正することや、ズームレンズ10の小型化ができる。|f2/fw|が0.5未満の場合、第2レンズ群G2の屈折力が大きくなりすぎるため、第2レンズ群G2における収差の発生量が増大してしまう。|f2/fw|が2.0を超えると、所望のズーム比を得るために第2レンズ群G2の移動量が増加し第1レンズ群G1と第3レンズ群G3との距離が大きくなるため、第1レンズ群G1の有効径が大きくなり、小型化が困難になる。|f2/fw|を合理的に設定することにより、上記問題を避けることができる。
【0018】
本実施例において、f4/fwを合理的に設定することにより、ズーム全域にわたって球面収差とコマ収差を補正することや、ズームレンズ10の小型化ができる。f4/fwが1.7未満の場合、第4レンズ群G4の屈折力が大きくなり、ズーム全域にわたって球面収差とコマ収差が増大してします。f4/fwが2.0を超えると、所望のズーム比を得るために第4レンズ群G4の移動量が大きくなり第3レンズ群G3とのア距離が増加するため、第4レンズ群G4の有効径が大きくなり、小型化が困難になる。f4/fwを合理的に設定することにより、上記問題を避けることができる。
【0019】
本実施例において、β5を合理的に設定することにより、ズームレンズの小型化を保証するとともに、光学性能を確保する。β5が0.7未満の場合、第5レンズ群G5の拡大作用が弱まり、ズームレンズ10の小型化が困難になる。β5が1.2を超えると、第5レンズ群G5の拡大作用が強まり、第1レンズ群G1から第4レンズ群G4までの収差を拡大することになり、光学性能の確保が困難になる。β5を合理的に設定することにより、上記問題を避けることができる。
【0020】
本発明の別の選択可能な実施例において、第1レンズ群G1は、少なくとも1枚の正レンズG1Pを含み、第2レンズ群G2は、少なくとも1枚の負レンズG2Nと少なくとも1枚の正レンズG2Pを含み、第3レンズ群G3は、少なくとも1枚の正レンズG3Pを含み、第4レンズ群G4は、少なくとも1枚の正レンズG4Pと少なくとも1枚の負レンズG4Nを含み、第5レンズ群G5の正レンズG5Pと負レンズG5Nは、非球面のレンズを採用し、すなわち、第5レンズ群G5は、非球面の正レンズG5Pと非球面の負レンズG5Nを有する。ここで、前記第5レンズ群G5の負レンズG5Nは、最も像側に位置する。
【0021】
選択可能に、前記ズームレンズ10の各レンズは、プラスチックレンズを採用する。
【0022】
本実施例において、第5レンズ群G5に非球面を採用し、各レンズ群のレンズにコストの低いプラスチックレンズを採用することにより、ズームレンズ10の小型化、高性能化の実現や、コストの削減に寄与する。
【0023】
選択可能に、前記ズームレンズ10のレンズの屈折率は、以下の条件のうちの少なくとも1つを満足する。
1.49<G1Pn<1.57
1.49<G2Nn<1.57
1.62<G2Pn<1.71
1.49<G3Pn<1.57
1.49<G4Pn<1.57
1.62<G4Nn<1.71
1.51<G5Pn<1.71
1.51<G5Nn<1.57
ここで、G1Pn:前記第1レンズ群の正レンズG1Pの屈折率
G2Nn:前記第2レンズ群の負レンズG2Nの屈折率
G2Pn:前記第2レンズ群の正レンズG2Pの屈折率
G3Pn:前記第3レンズ群の正レンズG3Pの屈折率
G4Pn:前記第4レンズ群の正レンズG4Pの屈折率
G4Nn:前記第4レンズ群の負レンズG4Nの屈折率
G5Pn:前記第5レンズ群の正レンズG5Pの屈折率
G5Nn:前記第5レンズ群の負レンズG5Nの屈折率。
【0024】
選択可能に、前記ズームレンズ10のレンズの分散係数は、以下の条件のうちの少なくとも1つを満足する。
45.0<G1Pv<83.0
45.0<G2Nv<60.0
15.0<G2Pv<25.0
45.0<G3Pv<60.0
35.0<G4Pv<83.0
15.0<G4Nv<35.0
15.0<G5Pv<35.0
35.0<G5Nv<60.0
ここで、G1Pv:前記第1レンズ群の正レンズG1Pの分散係数
G2Nv:前記第2レンズ群の負レンズG2Nの分散係数
G2Pv:前記第2レンズ群の正レンズG2Pの分散係数
G3Pv:前記第3レンズ群の正レンズG3Pの分散係数
G4Pv:前記第4レンズ群の正レンズG4Pの分散係数
G4Nv:前記第4レンズ群の負レンズG4Nの分散係数
G5Pv:前記第5レンズ群の正レンズG5Pの分散係数
G5Nv:前記第5レンズ群の負レンズG5Nの分散係数。
【0025】
本実施例において、G1Pnを合理的に設定することにより、色収差及び球面収差を補正する。G1Pnが1.57を超えると、第1レンズ群の正レンズG1Pの屈折率が高くなり低分散にできなくなるので、色収差が悪化する。G1Pnが1.49未満の場合、第1レンズ群の正レンズG1Pの屈折率が低くなり、レンズ面の曲率がきつくなるので、球面収差が悪化する。G1Pnを合理的に設定することにより、上記問題を避けることができる。
【0026】
本実施例において、G1Pvを合理的に設定することにより、コストを削減するとともに色収差を補正する。G1Pvが83.0を超えると、第1レンズ群の正レンズG1Pが超低分散になり、高価なガラスになるので好ましくない。G1Pvが45.0未満の場合、低分散にできなくなるので、色収差が悪化する。G1Pvを合理的に設定することにより、上記問題を避けることができる。
【0027】
本実施例において、G2Nn、G2Nv、G2Pn、G2Pvを合理的に設定することにより、第2レンズ群の負レンズG2Nが低分散のプラスチックレンズとなり、第2レンズ群の正レンズG2Pが高分散のプラスチックレンズとなり、色収差を良好に補正する。G2Nn、G2Nv、G2Pn、G2Pvが上記条件を満足しない場合、第2レンズ群G2を安価なレンズで色収差を良好に補正することが困難になる。
【0028】
本実施例において、G3Pn、G3Pvを合理的に設定することにより、第3レンズ群の正レンズG3Pが低分散プラスチックレンズに限定され、第3レンズ群G3を少ないレンズ枚数で良好に色収差を補正する。
【0029】
本実施例において、G4Pnを合理的に設定することにより、色収差、球面収差及びコマ収差を補正することに寄与する。G4Pnが1.57を超えると、第4レンズ群の正レンズG4Pの屈折率が高くなり、低分散にできなくなるので、色収差が悪化する。G4Pnが1.57未満の場合、第4レンズ群の正レンズG4Pの屈折率が低くなり、レンズ面の曲率がきつくなるので、球面収差とコマ収差が悪化する。G4Pnを合理的に設定することにより、上記問題を避けることができる。
【0030】
本実施例において、G4Pvを合理的に設定することにより、コストを削減するとともに色収差を補正することに寄与する。G4Pvが83.0を超えると、第4レンズ群の正レンズG4Pが超低分散になり、高価なガラスになるので好ましくない。G4Pvが35.0未満の場合、低分散にできなくなるので、色収差が悪化する。G4Pvを合理的に設定することにより、上記問題を避けることができる。
【0031】
本実施例において、G4Nn、G4Nvを合理的に設定することにより、第4レンズ群の負レンズG4Nが高分散プラスチックレンズに限定され、これにより第4レンズG4群内で良好に色収差を補正する。
【0032】
本実施例において、G5Pn、G5Pv、G5Nn、G5Nvを合理的に設定することにより、第5レンズ群の正レンズG5Pが分散のプラスチックレンズとなり、第5レンズ群の負レンズG5Nが高分散のプラスチックレンズとなり、色収差を良好に補正する。
【0033】
本発明の別の選択可能な実施例において、前記ズームレンズ10は、最も物体側に設けられた光路折り曲げ素子LPを更に含む。前記ズームレンズ10がズーミングを行う際、前記第2レンズ群G2及び前記第4レンズ群G4の移動方向が、前記光路折り曲げ素子LPで折り曲げられた後の光軸方向となる。
【0034】
選択可能に、前記光路折り曲げ素子LPは、プリズム又は反射鏡を含む。
【0035】
本実施例において、第1レンズ群G1の物体側に光路折り曲げ素子LPを有して反射を実現し、ズーミングを行う際の第2レンズ群G2及び第4レンズ群G4の移動方向が、光路折り曲げ素子LPで折り曲げられた後の光軸方向となり、該ズームレンズ10が薄型化される。また、第1レンズ群G1から第5レンズ群G5までのレンズ径の差分が少ないズームレンズ10が実現され、レンズの薄型化が達成できる。
【0036】
実施例1:
各レンズ群の焦点距離について、f1が40.53であり、f2が-11.37であり、f3が21.66であり、f4が12.46であり、f5が-111.67である。広角端におけるズームレンズの焦点距離fwが6.86であり、ズームレンズの現在の焦点距離ftが12.80であり、第5レンズ群の横倍率β5が0.78である。
【0037】
対応して、f1/fwが5.903であり、|f2/fw|が1.657であり、f4/fwが1.815であり、β5が0.782である。
【0038】
必要に応じて、各レンズのレンズ面は、非球面で形成される。これらのレンズ面に採用される非球面形状は、光軸方向の軸をZ、光軸Xに直行する方向の高さをH、円錐係数をK、レンズの曲率半径をR、非球面係数をA,B,C,D,Eとしたとき、次式により表される。
【数1】
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
上記データに基づき、ズームレンズの広角状態、広角状態と望遠状態の間の中間状態、望遠状態における光路図は、それぞれ図2に示されている。ズームレンズの広角状態、広角状態と望遠状態の間の中間状態、望遠状態における収差図は、それぞれ図3図4図5に示されている。
【0043】
実施例2:
各レンズ群の焦点距離について、f1が42.53であり、f2が-13.15であり、f3が23.53であり、f4が17.53であり、f5が1520.88である。広角端におけるズームレンズの焦点距離fwが9.33であり、ズームレンズの現在の焦点距離ftが18.29であり、第5レンズ群の横倍率β5が0.81である。
【0044】
対応して、f1/fwが4.559であり、|f2/fw|が1.409であり、f4/fwが1.879であり、β5が0.812である。
【0045】
必要に応じて、各レンズのレンズ面は、非球面で形成される。これらのレンズ面に採用される非球面形状は、光軸方向の軸をZ、光軸Xに直行する方向の高さをH、円錐係数をK、レンズの曲率半径をR、非球面係数をA,B,C,D,Eとしたとき、次式により表される。
【数2】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
上記データに基づき、ズームレンズの広角状態、広角状態と望遠状態の間の中間状態、望遠状態における光路図は、それぞれ図6に示されている。ズームレンズの広角状態、広角状態と望遠状態の間の中間状態、望遠状態における収差図は、それぞれ図7図8図9に示されている。
【0050】
実施例3:
各レンズ群の焦点距離について、f1が33.30であり、f2が10.31であり、f3が18.71であり、f4が12.65であり、f5が266.41である。広角端におけるズームレンズの焦点距離fwが6.70であり、ズームレンズの現在の焦点距離ftが12.99であり、第5レンズ群の横倍率β5が0.79である。
【0051】
対応して、f1/fwが4.971であり、|f2/fw|が1.539であり、f4/fwが1.889であり、β5が0.791である。
【0052】
必要に応じて、各レンズのレンズ面は、非球面で形成される。これらのレンズ面に採用される非球面形状は、光軸方向の軸をZ、光軸Xに直行する方向の高さをH、円錐係数をK、レンズの曲率半径をR、非球面係数をA,B,C,D,Eとしたとき、次式により表される。
【数3】
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】
【表9】
【0056】
上記データに基づき、ズームレンズの広角状態、広角状態と望遠状態の間の中間状態、望遠状態における光路図は、それぞれ図10に示されている。ズームレンズの広角状態、広角状態と望遠状態の間の中間状態、望遠状態における収差図は、それぞれ図11図12図13に示されている。
【0057】
実施例4:
各レンズ群の焦点距離について、f1が20.18であり、f2が-6.40であり、f3が14.67であり、f4が12.95であり、f5が-39.67である。広角端におけるズームレンズの焦点距離fwが6.76であり、ズームレンズの現在の焦点距離ftが19.49であり、第5レンズ群の横倍率β5が0.99である。
【0058】
対応して、f1/fwが2.984であり、|f2/fw|が0.947であり、f4/fwが1.915であり、β5が0.988である。
【0059】
必要に応じて、各レンズのレンズ面は、非球面で形成される。これらのレンズ面に採用される非球面形状は、光軸方向の軸をZ、光軸Xに直行する方向の高さをH、円錐係数をK、レンズの曲率半径をR、非球面係数をA,B,C,D,Eとしたとき、次式により表される。
【数4】
【0060】
【表10】
【0061】
【表11】
【0062】
【表12】
【0063】
上記データに基づき、ズームレンズの広角状態、広角状態と望遠状態の間の中間状態、望遠状態における光路図は、それぞれ図14に示されている。ズームレンズの広角状態、広角状態と望遠状態の間の中間状態、望遠状態における収差図は、それぞれ図15図16図17に示されている。
【0064】
実施例5:
各レンズ群の焦点距離について、f1が19.55であり、f2が-6.31であり、f3が13.73であり、f4が11.70であり、f5が-24.25である。広角端におけるズームレンズの焦点距離fwが6.76であり、ズームレンズの現在の焦点距離ftが19.49であり、第5レンズ群の横倍率β5が1.12である。
【0065】
対応して、f1/fwが2.892であり、|f2/fw|が0.934であり、f4/fwが1.731であり、β5が1.122である。
【0066】
必要に応じて、各レンズのレンズ面は、非球面で形成される。これらのレンズ面に採用される非球面形状は、光軸方向の軸をZ、光軸Xに直行する方向の高さをH、円錐係数をK、レンズの曲率半径をR、非球面係数をA,B,C,D,Eとしたとき、次式により表される。
【数5】
【0067】
【表13】
【0068】
【表14】
【0069】
【表15】
【0070】
上記データに基づき、ズームレンズの広角状態、広角状態と望遠状態の間の中間状態、望遠状態における光路図は、それぞれ図18に示されている。ズームレンズの広角状態、広角状態と望遠状態の間の中間状態、望遠状態における収差図は、それぞれ図19図20図21に示されている。
【0071】
更に、本発明の実施例は、携帯情報端末に搭載される撮像モジュールなどの撮像装置を更に提供する。該撮像装置は、上述したズームレンズ10を含み、小型化とともに良好な収差補正能力が要求される機器に適用することができる。
【0072】
更に、本発明の実施例は、更に電子機器を提供し、例えば携帯電話機やデジタルスティルカメラ等の機器である。該電子機器は、上述した撮像装置を含み、電子機器の薄型化とともに、良好な収差補正能力が要求される機器を実現することができる。
【0073】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて記載したが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されるものではない。上記の具体的な実施形態は、例示的なものであり、限定的なものではない。本発明の示唆を受け、当業者が本発明の趣旨及び特許請求の範囲から逸脱することなくなしえる多くの形態は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
【要約】
【課題】本発明は、ズームレンズ、撮像装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】該ズームレンズは、光軸に沿って物体側より像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、第5レンズ群とを含む。第1レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズを含み、第2レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズと少なくとも1枚の正レンズを含み、第3レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズを含み、第4レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを含み、第5レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを含む。ズームレンズのズーム及びフォーカスに際して、第1レンズ群と第3レンズ群と第5レンズ群は、固定であり、第2レンズ群と第4レンズ群は、光軸上移動する。
【選択図】図1
図1
図2
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