(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】電池モジュール及び車両
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240119BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240119BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240119BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
H01M50/204 401D
H01M50/284
H01M50/249
H01M10/48 301
(21)【出願番号】P 2022527799
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2020119093
(87)【国際公開番号】W WO2021098390
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】201921999711.9
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲ウェン▼▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】莫 ▲違▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鄒▼ 宇
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-179094(JP,A)
【文献】特開2016-162717(JP,A)
【文献】特開2019-160467(JP,A)
【文献】特表2017-520095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールであって、
電池トップカバーを含む複数の電池セルと、
一端が前記電池トップカバーと密着され且つ固定して接続される熱伝導性サンプリング部材と、
前記電池トップカバーの上方に設置される回路基板であって、前記熱伝導性サンプリング部材の他端が前記回路基板に接続される回路基板と、
前記回路基板に電気的に接続され、前記熱伝導性サンプリング部材の温度信号を収集し且つ前記回路基板に送信するように構成される温度測定素子と、を
含み、
前記熱伝導性サンプリング部材には、前記回路基板と前記熱伝導性サンプリング部材との相対位置を制限するための制限構造がさらに設けられる電池モジュール。
【請求項2】
前記熱伝導性サンプリング部材はサンプリング板を含み、前記サンプリング板は、前記電池トップカバーと密着される第1サンプリング板と、前記回路基板と接続される第3サンプリング板と、第1サンプリング板と第3サンプリング板とを接続する第2サンプリング板と、を含む請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記サンプリング板が曲がっており、前記第1サンプリング板及び前記第3サンプリング板はそれぞれ前記第2サンプリング板の両側に位置し、且つ前記第2サンプリング板から離れる方向へ延在する請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記熱伝導性サンプリング部材の前記回路基板と接続される部位に逃げ孔があり、前記温度測定素子は前記逃げ孔内に位置する請求項1~3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記制限構造は前記熱伝導性サンプリング部材の一側に設置され、前記回路基板と係接して接続される係止板を含む請求項
1に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記係止板は、
前記熱伝導性サンプリング部材と接続され、且つ前記熱伝導性サンプリング部材から離れる側へ延在する第1係止板と、
前記第1係止板と接続され、且つ前記熱伝導性サンプリング部材と間隔をあけて設置され且つ前記回路基板に係接して接続される第2係止板と、を含む請求項
5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記制限構造はペアで設置される請求項
1~6のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記熱伝導性サンプリング部材と前記電池トップカバーとは締め具及び/又は接着剤で固定して接続される請求項1~
7のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項9】
車両であって、
前記車両に動力を提供する動力源と、
前記動力源に給電するように構成される請求項1~
8のいずれか一項に記載の電池モジュールと、を含む車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年11月19日に中国特許局に提出された、名称が「電池モジュール及び車両」である中国特許出願201921999711.9の優先権を主張し、当該出願の全内容は援用により本願に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本願の実施形態は電池製造の技術分野に関し、特に電池モジュール及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
電池は電気自動車のエネルギー源であり、電池モジュールの良好な性能を確保し且つその耐用年数を延ばすために、電池モジュールを管理して制御する必要がある。電池温度は、電池の容量、電圧、内部抵抗、充放電レート、耐用年数、安全性及び電池の一致性等の面に大きな影響を与えており、従って、電池の使用中、電池温度を監視する必要がある。
【0004】
関連技術においては、電池温度の測定には、一般的にサーミスターを温度センサとして使用し、アルミニウムシートや銅シートなどの他の導電性過電流金属部品を電極端子に接続する間接的な測定方式で電池温度を収集し、分圧法でサーミスターの端子電圧をサンプリングして読み取り、抵抗-温度の関係に基づいて温度値を算出する。
【0005】
上記関連技術で電池温度を測定すると、測定されたサンプリング温度と電池セルの内部の実際の温度との温度差が大きく、小容量の電池セルの場合、温度差が±5.0℃に達する可能性があり、大容量の電池セルの場合、温度差が±10℃に達する可能性があり、誤差はより大きい。サンプリング温度と実際の温度との温度差が大きすぎると、電池モジュールが配置された電池パックの電池管理システム(Battery management system、BMS)は電池パックを制御して、事前に電力を削減したり、電源をオフにしたりする恐れがあり、その結果、該電池パックを使用した電気自動車は動力を失い、運転中に制御できなくなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本願の第1態様では、
電池トップカバーを有する複数の電池セルと、
一端が電池トップカバーと密着され且つ固定して接続される熱伝導性サンプリング部材と、
電池トップカバーの上方に設置される回路基板であって、熱伝導性サンプリング部材の他端が回路基板に接続される回路基板と、
回路基板に電気的に接続され、熱伝導性サンプリング部材の温度信号を収集し且つ回路基板に送信するように構成される温度測定素子と、を含む電池モジュールを提供する。
【0007】
これにより、電池セル内部の温度は熱伝導性サンプリング部材を介して温度測定素子に反映でき、温度測定素子は測定された熱伝導性サンプリング部材の温度信号を回路基板に送信して、電池セルの温度サンプリングが実現される。
【0008】
いくつかの実施例では、熱伝導性サンプリング部材はサンプリング板を含み、サンプリング板は、電池トップカバーと密着される第1サンプリング板と、回路基板と接続される第3サンプリング板と、第1サンプリング板と第3サンプリング板とを接続する第2サンプリング板と、を含む。
【0009】
いくつかの実施例では、サンプリング板が曲がっており、第1サンプリング板及び第3サンプリング板はそれぞれ第2サンプリング板の両側に位置し、且つ第2サンプリング板から離れる方向へ延在する。
【0010】
いくつかの実施例では、熱伝導性サンプリング部材の回路基板と接続される部位に逃げ孔があり、温度測定素子は逃げ孔内に位置する。
【0011】
いくつかの実施例では、熱伝導性サンプリング部材には、回路基板と熱伝導性サンプリング部材との相対位置を制限するための制限構造がさらに設けられる。
【0012】
いくつかの実施例では、制限構造は熱伝導性サンプリング部材の一側に設置される係止板を含み、係止板は回路基板と係接して接続される。
【0013】
いくつかの実施例では、係止板は、
熱伝導性サンプリング部材と接続され、且つ熱伝導性サンプリング部材から離れる側へ延在する第1係止板と、
第1係止板と接続され、且つ熱伝導性サンプリング部材と間隔をあけて設置され且つ回路基板に係接して接続される第2係止板と、を含む。
【0014】
いくつかの実施例では、制限構造はペアで設置される。
【0015】
いくつかの実施例では、熱伝導性サンプリング部材と電池トップカバーとは締め具及び/又は接着剤で固定して接続される。
【0016】
本願の第2態様では、
車両に動力を提供する動力源と、
動力源に給電するように構成される本願の第1態様の電池モジュールと、を含む車両を提供する。
【0017】
本願により提供された電池モジュールに基づいて、温度サンプリング部位を電池セルの電池トップカバーの表面に配置すると、電池セル内部の温度は電池トップカバーに迅速に伝導でき、電池トップカバーに熱伝導性サンプリング部材が密着して配置され、温度測定素子及び熱伝導性サンプリング部材は回路基板と直接接続され、温度測定素子は熱伝導性サンプリング部材の温度を検出し、電池セル内部の温度は熱伝導性サンプリング部材を介して温度測定素子に反映でき、温度測定素子は測定された熱伝導性サンプリング部材の温度信号を回路基板に送信して、電池セルの温度サンプリングが実現される。
【0018】
いくつかの実施例では、温度測定素子と電池トップカバーとの間は熱伝導性サンプリング部材を介して接続され、温度測定素子と電池トップカバーとの間の熱伝導経路は簡単であり、従って、電池セルの温度のリアルタイムで正確な収集の実現に有利であり、それにより電気接続シートにより電池セルの温度を収集する場合、収集されたサンプリング温度と電池セル内部の実際の温度との温度差がより大きいという問題が容易に解決される。
【0019】
いくつかの実施例では、電池セルの温度はより正確で迅速に収集されるため、サンプリング温度と実際の温度との温度差が大きすぎることに起因する、電気自動車が事前に電力を削減し、電池パックの容量が十分に使用できず、航続距離が短くなり、ひいては電気自動車が始動できないという問題の緩和に役立つ。
【0020】
本願の車両は本願の電池モジュールを含み、本願の電池モジュールと同じ利点を持つ。
【0021】
以下の図面を参照しながら、本願の例示的な実施例を詳細に説明することにより、本願の他の特徴及びその利点は明確になる。
【0022】
図面の簡単な説明
本願の実施例又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例又は従来技術の説明に使用される必要のある図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を必要とせずにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【0023】
ここで説明される図面は本願の更なる理解を提供するために使用され、本願の一部を構成し、本願の例示的な実施例及びその説明は本願を解釈するために使用され、本願に対する不適切な制限を構成しない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本願の一実施例に係る電池モジュールの構造模式図である。
【
図2】
図1に示される実施例の電池モジュールの電池セルの構造模式図である。
【
図3】
図1に示される実施例の電池モジュールの回路基板及び回路基板と接続される熱伝導性サンプリング部材等からなる組み合わせ構造の構造模式図である。
【
図4】
図1に示される実施例の電池モジュールの熱伝導性サンプリング部材の構造模式図である。
【
図5】本願の別の実施例に係る電池モジュールの構造模式図である。
【
図6】
図5に示される実施例の電池モジュールの熱伝導性サンプリング部材の構造模式図である。
【
図7】本願のまた別の実施例に係る電池モジュールの構造模式図である。
【
図8】
図7に示される実施例の電池モジュールの熱伝導性サンプリング部材の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明を実施するための形態
以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の技術案を明確で、完全に説明し、明らかなように、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。少なくとも1つの例示的な実施例に対する以下の説明は実際に例示的なものに過ぎず、本願及びその応用又は使用を制限するためのものではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的労働を必要とせずに取得したすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0026】
特に断らない限り、これらの実施例に記載の部材及びステップの相対的な配置、数式及び数値は本願の範囲を制限しない。また、説明の便宜上、図面に示される各部分の寸法が実際の縮尺関係で描かれていないことは理解されるべきである。当業者に知られている技術、方法及びデバイスは詳細に検討されないかもしれないが、適切な場合、上記技術、方法及びデバイスは明細書の一部と見なされるべきである。ここで示され、検討されているすべての例では、いかなる具体的な値は、例示的なものであり、制限するためのものではないと解釈されるべきである。従って、例示的な実施例の他の例では異なる値を有してもよい。なお、以下の図面では、同様の符号及びアルファベットは同様のものを示し、従って、あるものが1つの図面で定義されると、以降の図面でさらに検討する必要はない。
【0027】
なお、本願の説明において、「第1」、「第2」等の用語を用いて部品を限定する場合、対応する部品を区別しやすくするために過ぎず、特に断らない限り、上記用語は特別な意味がなく、従って、本願の特許範囲を制限するものとして理解できない。
【0028】
なお、本願の説明では、「前、後、上、下、左、右」、「横方向、縦方向、垂直、水平」、「頂、底」等の用語により示される方位又は位置関係は、通常、図面に基づく方位又は位置関係だけであり、本願を説明しやすくし説明を簡略化させるためのものに過ぎず、反対に述べられていない限り、それらの方位詞は示される装置又は素子が必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを指示又は暗示するものではなく、従って、本願を制限しないと理解すべきである、「内、外」という方位詞は各部材自体の輪郭に対する内側及び外側である。
【0029】
図1~
図8に示すように、本願の実施例は電池モジュールを提供する。該電池モジュールは複数の電池セル1と、熱伝導性サンプリング部材と、温度測定素子9と、回路基板4と、を含む。
【0030】
電池セル1は電池トップカバー12を含む。熱伝導性サンプリング部材の一端は電池トップカバー12と密着され且つ固定して接続される。回路基板4は電池トップカバー12の上方に設置され、熱伝導性サンプリング部材の他端は回路基板4に接続される。温度測定素子9は、回路基板4に電気的に接続され、熱伝導性サンプリング部材の温度信号を収集し且つ回路基板4に送信する。
【0031】
本願の実施例の電池モジュールにおいて、温度サンプリング部位を電池セル1の電池トップカバー12の表面に配置すると、電池セル1内部の温度は電池トップカバー12に迅速に伝導できる。電池トップカバー12上に熱伝導性サンプリング部材は密着して配置され、温度測定素子9及び熱伝導性サンプリング部材は回路基板4と直接接続され、温度測定素子9は熱伝導性サンプリング部材の温度を検出し、電池セル1内部の温度は熱伝導性サンプリング部材を介して温度測定素子9に反映でき、温度測定素子9は測定された熱伝導性サンプリング部材の温度信号を回路基板4に送信して、電池セル1の温度サンプリングが実現される。
【0032】
電池セル1内部の温度は電池トップカバー12に迅速に伝導でき、且つ電池トップカバー12の温度が、通常、作業条件の違いによって電池セル1の内部の温度と異なることはなく、且つ温度測定素子9と電池トップカバー12との間は熱伝導性サンプリング部材を介して接続され、温度測定素子9と電池トップカバー12との間の熱伝導経路は簡単であり、従って、電池セル1の温度のリアルタイムで正確な収集の実現に有利であり、それにより電気接続シートを介して電池セル1の温度を収集する場合、収集された温度と電池セル1の内部の実際の温度との差が大きいという問題の解決に有利である。
【0033】
電池セル1の温度はより正確で迅速に収集されるため、サンプリング温度と実際の温度との温度差が大きすぎることに起因する、電気自動車は事前に電力を削減し、電池パックの容量は十分に使用できず、航続距離が短くなり、ひいては電気自動車が始動できないという問題の緩和に役立つ。
【0034】
以下、
図1~
図8を参照しながら本願の各実施例をさらに説明する。
【0035】
図1~
図4は本願の一実施例に係る電池モジュールの構造を示す。
【0036】
図1に示すように、電池モジュールは、電池セル1、ねじ2、熱伝導性サンプリング部材3、回路基板4、温度測定素子9、側板7、端板8、電気接続シート(図示せず)を含む。回路基板4はフレキシブル回路基板である。
【0037】
複数の電池セル1はアレイ状に配置され、電池パックが形成される。たとえば、
図1において、6つの電池セル1が1列、6行のアレイに配置する。2つの側板7はそれぞれ電池パックの対向する2つの側面の外側に設置される。2つの端板8はそれぞれ電池パックの対向する2つの端面の外側に設置される。2つの側板7と2つの端板8とは電池パックを収容する収納空間を画定する。各電気接続シートは異なる電池セル1を接続する。
【0038】
図2に示すように、電池セル1は、筐体11、電池トップカバー12、電極組立体(図示せず)、上部パッチ13、正極端子14、負極端子15及び防爆弁16を含む。電池トップカバー12は筐体11の最上部に設置され、筐体11と電極組立体を収容する収容部を画定する。正極端子14及び負極端子15は、電極組立体の正極及び陰極とそれぞれ接続され且つ電池トップカバー12から突出される。防爆弁16は正極端子14と負極端子15との間に位置する。電池トップカバー12上には温度サンプリング領域121が設けられる。
【0039】
上部パッチ13は電池トップカバー12の上面に密着される。上部パッチ13上には温度サンプリング開口部が設けられ、温度サンプリング開口部に露出された電池トップカバー12は温度サンプリング領域121である。
【0040】
図1、
図2に示すように、いくつかの実施例の電池モジュールにおいて、温度サンプリング領域121は正極端子14と負極端子15との間に設置された四角形領域である。本実施例では、熱伝導性サンプリング部材3は防爆弁16と負極端子15との間に位置する温度サンプリング領域121と密着され且つ固定して接続される。
【0041】
図示されていない実施例では、温度サンプリング領域の位置及び形状は実際の状況に応じて変化してもよい。
【0042】
温度測定素子9は熱伝導性サンプリング部材の温度を収集して、且つ電池セル1の温度を表す電池温度信号を形成する。回路基板4は電池トップカバー12の上方に設置され、温度測定素子9は回路基板4と接続され且つ電池温度信号を回路基板4に送信する。
【0043】
温度測定素子9は、たとえばサーミスターを含み、たとえばNTCサーミスターパッチであってもよい。熱伝導性サンプリング部材は金属又は熱伝導性非金属で製造できる。
【0044】
熱伝導性サンプリング部材3の一端は電池トップカバー12と密着され且つ固定して接続される。熱伝導性サンプリング部材の他端は回路基板4上に接続される。
【0045】
いくつかの実施例では、熱伝導性サンプリング部材はサンプリング板を含み、サンプリング板は、電池トップカバーと密着される第1サンプリング板と、回路基板と接続される第3サンプリング板と、第1サンプリング板と第3サンプリング板とを接続する第2サンプリング板と、を含む。サンプリング板の形状は湾曲状であってもよく、たとえば、いくつかの実施例では、第1サンプリング板及び第3サンプリング板はそれぞれ第2サンプリング板の両側に位置し、且つ第2サンプリング板から離れる方向へ延在する。
【0046】
図4に示すように、熱伝導性サンプリング部材3はサンプリング板を含む。サンプリング板は、順に湾曲状に接続される第1サンプリング板3A、第2サンプリング板3B及び第3サンプリング板3Cを含み、第1サンプリング板3A及び第3サンプリング板3Cはそれぞれ第2サンプリング板3Bから、第2サンプリング板3Bの板面から離れる側へ延在し、且つ第1サンプリング板3Aと第3サンプリング板3
Cとの延在方向は逆であり、第1サンプリング板3Aは電池トップカバー12と密着され、第3サンプリング板3Cは回路基板4と接続される。
【0047】
熱伝導性サンプリング部材3と電池トップカバー12との間の固定接続を実現するために、電池トップカバー12上にはねじ孔122がさらに設けられる。
図2に示すように、ねじ孔122は温度サンプリング領域121の中央部に位置する。
【0048】
図4に示すように、ねじ孔122に対応して、サンプリング板上には接続孔31が設けられる。本実施例では、接続孔31は第1サンプリング板3A上に設置される。第1サンプリング板3Aは電池トップカバー12の温度サンプリング領域121と密着された後、ねじ2を接続孔31から貫通して電池トップカバー12上のねじ孔122とねじ接続すると、第1サンプリング板3Aを電池トップカバー12上に固定して接続することができ、それにより熱伝導性サンプリング部材と電池トップカバー12との固定接続が実現される。
【0049】
本実施例の熱伝導性サンプリング部材3は、第1サンプリング板3A、第2サンプリング板3B及び第3サンプリング板3Cの間の角度を適切に調節することにより、第1サンプリング板3Aと第3サンプリング板3Cとの間の相対位置を調節することができ、それにより回路基板4と電池トップカバー12との間の相対位置を比較的に良好に適応させることができ、熱伝導性サンプリング部材3と電池トップカバー12との密着に有利であり、それにより温度測定効果の確保に有利であるとともに、熱伝導性サンプリング部材3が回路基板4を牽引することを防止することにも有利であり、それにより熱伝導性サンプリング部材3による回路基板4の破損の防止に役立つ。
【0050】
いくつかの実施例では、サンプリング板の回路基板4と接続される部位に逃げ孔32があり、温度測定素子9は逃げ孔内に位置する。
図4に示すように、逃げ孔32は第3サンプリング板3C上に設置される。温度測定素子9は回路基板4上に設置され且つ逃げ孔32内に位置する。
【0051】
また、いくつかの実施例では、熱伝導性サンプリング部材は、サンプリング板上の逃げ孔に設置され、温度測定素子9と熱伝導性サンプリング部材との相対位置を制限するための制限構造を含む。
【0052】
いくつかの実施例では、熱伝導性サンプリング部材には、回路基板と熱伝導性サンプリング部材との相対位置を制限するための制限構造がさらに設けられる。制限構造はペアで設置されてもよい。
【0053】
制限構造は熱伝導性サンプリング部材の一側に設置され、回路基板4と係接して接続される係止板を含んでもよい。係止板は第1係止板と、第2係止板とを含んでもよく、第1係止板は熱伝導性サンプリング部材と接続され、且つ熱伝導性サンプリング部材から離れる側へ延在し、第2係止板は第1係止板と接続され、且つ熱伝導性サンプリング部材と間隔をあけて設置され且つ回路基板に係接して接続される。
【0054】
図4に示すように、制限構造は、サンプリング板上に設置されて逃げ孔の一側に位置する係止板33を含む。係止板33は順に接続される第1係止板33A及び第2係止板33Bを含む。第1係止板33Aはサンプリング板と接続され且つサンプリング板の板面から離れる一側へ延在し、第2係止板33Bはサンプリング板と間隔をあけて設置され且つそれが配置された側の逃げ孔32の側面から逃げ孔32の反対側に向かって延在する。温度測定素子9は第2係止板と回路基板4との間に位置する。
【0055】
本実施例では、第3サンプリング板3Cは回路基板4の下側面に接続され、制限構造は第3サンプリング板3Cの下方に位置する。
【0056】
図4に示すように、制限構造は逃げ孔32の対向する両側に設置された2つの係止板33を含む。2つの係止板33の第2係止板33Bの間に間隔がある。該実施例の熱伝導性サンプリング部材は条状板全体で一体成形されてもよく、サンプリング板と制限構造を同時に形成できる。電池モジュールの組み立てが完了した後、温度測定素子9は回路基板4と係止板33の第2係止板33Bとの間に位置する。
【0057】
いくつかの実施例では、熱伝導性サンプリング部材と電池トップカバー12とは締め具及び/又は接着剤で固定して接続されてもよい。
【0058】
温度測定素子9と熱伝導性サンプリング部材とは溶接の方式で回路基板4上に接続できる。熱伝導性サンプリング部材3は温度測定素子9と直接接触して熱量を温度測定素子9に伝導してもよく、熱伝導性接着剤で熱伝導性サンプリング部材の熱量を温度測定素子9に伝導してもよい。熱伝導性サンプリング部材と温度測定素子9の両方は回路基板4に接続され、熱伝導性サンプリング部材の回路基板4と接続される領域は温度測定素子9の回路基板4と接続される領域の周囲に位置する。上記接続方式により、電池セル1から温度測定素子9までの熱量伝導経路を短縮し、熱量伝導面積を増加することができ、電池温度の正確で、迅速な収集に有利である。
【0059】
係止板33を設置することにより、一方では、熱伝導性サンプリング部材3と回路基板4との相対位置への制限に有利であり、他方では、熱伝導性サンプリング部材3と温度測定素子9との間の熱交換面積の増加に有利であり、従って、電池温度の迅速で、正確な測定に有利である。
【0060】
本実施例では、電池トップカバー12の表面の温度サンプリング領域121の温度は熱伝導性サンプリング部材3を介して回路基板4上の温度測定素子9に伝導され、電池セル1の温度のリアルタイムで正確なサンプリングが実現され、電池セル1の温度変化が監視される。
【0061】
図5~
図6は本願の別の実施例に係る電池モジュールの構造を示す。本実施例と他の実施例との違いは、熱伝導性サンプリング部材5と電池トップカバー12との接続構造が異なることである。
【0062】
図6に示すように、本実施例では、熱伝導性サンプリング部材5はサンプリング板を含む。サンプリング板は順に接続される第1サンプリング板5A、第2サンプリング板5B及び第3サンプリング板5Cを含む。第1サンプリング板5A及び第3サンプリング板5Cはいずれも第2サンプリング板5Bの板面から離れる側へ延在する。第1サンプリング板5Aと第3サンプリング板5Cとの延在方向は逆である。第1サンプリング板5Aは温度サンプリング領域121と密着される。第3サンプリング板5Cは回路基板4と接続される。
【0063】
図6に示すように、サンプリング板の回路基板4と接続される部位に逃げ孔52がある。
図6に示すように、逃げ孔52は第3サンプリング板5C上に設置される。温度測定素子9は回路基板4上に設置され且つ逃げ孔52内に位置する。
【0064】
いくつかの実施例では、熱伝導性サンプリング部材はサンプリング板上の逃げ孔に設置される制限構造を含む。
【0065】
図6に示すように、制限構造はサンプリング板上に設置されて逃げ孔の一側に位置する係止板53を含み、係止板53は順に接続される第1係止板53A及び第2係止板53Bを含む。第1係止板53Aはサンプリング板と接続され且つサンプリング板の板面から離れる側へ延在し、第2係止板53Bはサンプリング板と間隔をあけて設置され且つそれが配置された側の逃げ孔52の側面から逃げ孔52の反対側へ延在し、温度測定素子9は第2係止板53Bと回路基板4との間に位置する。
【0066】
図6に示すように、制限構造は逃げ孔52の対向する両側に設置される2つの係止板53を含む。2つの係止板53の第2係止板53Bの間に間隔がある。電池モジュールの組み立てが完了した後、温度測定素子9は回路基板4と係止板53の第2係止板53Bとの間に位置する。
【0067】
本実施例では、第1サンプリング板5Aと電池トップカバー12とは溶接の方式で固定して接続され、それにより熱伝導性サンプリング部材5と電池トップカバー12との間の固定接続が実現される。
【0068】
本実施例において説明されていない内容は本願の他の部分の関連する説明を参照することができる。
【0069】
図7、
図8は本願のまた別の実施例に係る電池モジュールの構造を示す。本実施例と他の実施例との違いは、熱伝導性サンプリング部材6と電池トップカバー12との接続構造が異なることである。
【0070】
図8に示すように、本実施例では、熱伝導性サンプリング部材6はサンプリング板を含む。サンプリング板は順に接続される第1サンプリング板6A、第2サンプリング板6B及び第3サンプリング板6Cを含む。第1サンプリング板6A及び第3サンプリング板6Cはいずれも第2サンプリング板6Bの板面から離れる側へ延在する。第1サンプリング板6Aと第3サンプリング板6Cとの延在方向は逆である。第1サンプリング板6Aは温度サンプリング領域121と密着される。第3サンプリング板6Cは回路基板4と接続される。
【0071】
図8に示すように、サンプリング板の回路基板4と接続される部位に逃げ孔62がある。
図8に示すように、逃げ孔62は第3サンプリング板6C上に設置される。
【0072】
温度測定素子9は回路基板4上に設置され且つ逃げ孔62内に位置する。
【0073】
熱伝導性サンプリング部材はサンプリング板上の逃げ孔に設置される制限構造を含む。
【0074】
図8に示すように、制限構造はサンプリング板上に設置されて逃げ孔の一側に位置する係止板63を含み、係止板63は順に接続される第1係止板63A及び第2係止板63Bを含む。第1係止板63Aはサンプリング板と接続され且つサンプリング板の板面から離れる側へ延在し、第2係止板63Bはサンプリング板と間隔をあけて設置され且つそれが配置された側の逃げ孔62の側面から逃げ孔62の反対側へ延在し、温度測定素子9は第2係止板63Bと回路基板4との間に位置する。
【0075】
制限構造は逃げ孔62の対向する両側に設置される2つの係止板63を含む。2つの係止板63の第2係止板63Bの間に間隔がある。電池モジュールの組み立てが完了した後、温度測定素子9は回路基板4と係止板63の第2係止板63Bとの間に位置する。
【0076】
図8に示すように、本実施例では、第1サンプリング板63A上にはリベットポスト61が設置され、電池トップカバー12の温度サンプリング領域にはリベットポスト61と嵌合される接続孔が設けられ、第1サンプリング板63Aは電池トップカバー12と位置合わせて密着された後、リベットポスト61は該接続孔内に挿入し、リベット工具でリベットポスト61と電池トップカバー12を一体にリベットすると、第1サンプリング板63Aと電池トップカバー12との間の固定接続が実現され、それにより熱伝導性サンプリング部材6と電池トップカバーとの間の固定接続が実現される。
【0077】
本実施例において説明されていない内容は本願の他の部分の関連する説明を参照することができる。
【0078】
本願は上記実施例に制限されない。たとえば、上記各実施例では、熱伝導性サンプリング部材の第3サンプリング板はいずれも回路基板の下方に位置するが、実際の需要に応じて、熱伝導性サンプリング部材の第3サンプリング板は回路基板の上方に位置してもよい。たとえば、上記各実施例では、制限構造はいずれも対向して設置される2つの係止板を含み、図示されていない実施例では、制限構造は1つ、3つ又はそれ以上の係止板を含んでもよい。
【0079】
本願の実施例は、車両に動力を提供する動力源と、動力源に給電するように構成される上記電池モジュールとを含む車両をさらに提供する。
【0080】
最後に、以上の実施例は本願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを制限するためのものではない。好ましい実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の発明を実施するための形態を修正し、又は一部の技術的特徴に対して均等置換を行うことができ、これらの修正や均等置換はいずれも本願が特許請求する技術案の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1 電池セル
3 熱伝導性サンプリング部材
3A 第1サンプリング板
3B 第2サンプリング板
3C 第3サンプリング板
4 回路基板
5 熱伝導性サンプリング部材
5A 第1サンプリング板
5B 第2サンプリング板
5C 第3サンプリング板
6 熱伝導性サンプリング部材
6A 第1サンプリング板
6B 第2サンプリング板
6C 第3サンプリング板
7 側板
8 端板
9 温度測定素子
11 筐体
12 電池トップカバー
13 上部パッチ
14 正極端子
15 負極端子
16 防爆弁
31 接続孔
32 逃げ孔
33 係止板
33A 第1係止板
33B 第2係止板
52 逃げ孔
53 係止板
53A 第1係止板
53B 第2係止板
61 リベットポスト
62 逃げ孔
63 係止板
63A 第1係止板
63B 第2係止板
121 温度サンプリング領域
122 孔