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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】船舶用SCRシステムの反応装置
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/32 20060101AFI20240119BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240119BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
B63H21/32 Z ZAB
B01D53/94 400
F01N3/28 H
B01D53/94 222
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022543619
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2021072708
(87)【国際公開番号】W WO2021147859
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】202010071737.8
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519262467
【氏名又は名称】シャンハイ マリン ディーゼル エンジン リサーチ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】リー シャオボー
(72)【発明者】
【氏名】グオ ミンシャン
(72)【発明者】
【氏名】ホウ ジーパン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シージャオ
(72)【発明者】
【氏名】シェン タン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェンフア
(72)【発明者】
【氏名】コン ウェンジエ
(72)【発明者】
【氏名】ルー イー
(72)【発明者】
【氏名】シー リーリ
(72)【発明者】
【氏名】フアン ユアンユアン
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-187035(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0112961(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0334987(US,A1)
【文献】特表平10-511038(JP,A)
【文献】特開2003-328736(JP,A)
【文献】米国特許第04094645(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/94-96
B63H 21/32-34
F01N 3/08-38
F01N 3/28
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶用SCRシステムの反応装置であって、
入力流路と出力流路とを備え、前記出力流路が、前記入力流路の外側に嵌められている、搬送手段と、
一端が前記搬送手段に接続され、内筒と外筒とを含み、前記外筒が前記内筒の外側に嵌められ、前記内筒が前記入力流路に連通され、前記外筒が前記出力流路に連通されている、反応チャンバと、
前記内筒と前記外筒の間に設けられた、少なくとも1つの触媒モジュールと、
前記反応チャンバの他端に接続され、前記内筒及び前記外筒の双方に接続される整流チャンバと、
前記整流チャンバ内に設けられ、排ガスの流れ方向を変更する導流器と、
を備え、
前記導流器は、
切頭錐筒状に構成され、頂部が前記反応チャンバに面した前記整流チャンバの壁面に接続された逆流リングと、
錐形に構成され、錐形の頂部は前記反応チャンバに向かって設置され、底部開口が前記逆流リングの上部開口を覆い、前記逆流リングから間隔を空けて設置された導流リングと、
前記導流リングと前記逆流リングとの間に水平方向及び/又は垂直方向に接続される少なくとも1枚の整流プレートと、
少なくとも1つの整流リングと、
を備え、
前記整流リングは錐形に構成され、前記整流リングの頂部は前記反応チャンバに向かって後退し、前記導流リングから離れた前記整流プレートの端部に接続される、ことを特徴とする反応装置。
【請求項2】
噴射アセンブリをさらに備え、前記噴射アセンブリは、スプレーガンを備え、前記スプレーガンは、前記入力流路に延び、前記スプレーガンのノズルは、前記反応チャンバの方向に向いていることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項3】
前記出力流路の前記反応チャンバから離れた側の端部は閉じられており、前記出力流路には、反応後のガスを排出するための排気流路が側壁に開口されていることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項4】
前記内筒と前記外筒は、断面が四角形であることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項5】
前記触媒モジュールの1つは、前記整流チャンバに面する側面が、前記整流チャンバに近い前記内筒の端部と同一平面上にあることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項6】
前記導流リング、前記逆流リング、及び前記整流チャンバのそれぞれの中心軸線は一致していることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項7】
前記逆流リングの母線と軸線との間の角度は約15~70°であることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項8】
前記導流リングの母線と軸線との間の角度は、約30~45°であり、前記導流リングの母線と前記逆流リングの母線との間の角度は、約80~100°であることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項9】
前記導流リングの母線は、前記逆流リングの母線に対して実質的に垂直であることを特徴とする請求項1又はに記載の反応装置。
【請求項10】
前記逆流リングの底部は、前記整流チャンバの内壁から離間していることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項11】
前記整流リングの母線と前記逆流リングとの間の角度は、10°を超えないことを特徴とする請求項に記載の反応装置。
【請求項12】
前記導流器は、複数の前記整流リングを備え、複数の前記整流リングは、前記逆流リング及び前記導流リングの円周方向に等間隔に設置されていることを特徴とする請求項に記載の反応装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用ディーゼルエンジンから排出される汚染物質の処理の技術分野に関し、より具体的には、船舶用SCR(Selective Catalytic Reduction)システムの反応装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
選択触媒還元技術(SCR)は、ディーゼルエンジンの排ガスに還元剤(尿素水など)を噴射して排ガス中のNOをNとHOに還元する技術であり、NOの変換率が高く、ディーゼルエンジン性能への影響が少ないことから、船舶用ディーゼルエンジンからのNO排出を削減する最も重要な技術になっている。
【0003】
しかしながら、従来のSCR反応器は直列に接続された直流構造であり、具体的には尿素ノズルの下流に混合流路があり、そこから触媒反応器に接続されている。このような構造の特徴により、全長が長く、サイズも大きいので、スペースに限りのある船チャンバでの配置が難しい。
【0004】
また、直流型の混合流路は、混合が不均一になるというデメリットがある。混合の均一性を高めるために混合流路の長さを長くすると、直流型反応器のサイズがさらに大きくなってしまう。
【0005】
したがって、先行技術の問題を少なくとも部分的に解決するために、船舶用SCRシステムの反応装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要の欄には、簡略化した形で一連の概念を紹介しているが、具体的な実施の形態の欄でさらに詳しく説明する。本発明の概要の内容の部分は、保護を要求する技術的解決手段の主要な特徴及び必須の技術的特徴を限定しようとするものではなく、ましてや保護を要求する技術的解決手段の保護範囲を決定しようとするものでもない。
【0007】
上記課題を少なくとも部分的に解決するために、本発明は、船舶用SCRシステムの反応装置であって、
入力流路と出力流路とを備え、前記出力流路が、前記入力流路の外側に被せて嵌められている、搬送手段と、
一端が前記搬送手段に接続され、内筒と外筒とを含み、前記外筒が前記内筒の外側に嵌められ、前記内筒が前記入力流路に連通され、前記外筒が前記出力流路に連通されている、反応チャンバと、
前記内筒と前記外筒の間に設けられた、少なくとも1つの触媒モジュールと、
前記反応チャンバの他端に接続され、前記内筒及び前記外筒の双方に連通される整流チャンバと、
を備えた反応装置を提供する。
【0008】
本発明による船舶用SCRシステムの反応装置によれば、内筒の外側に外筒が被せて嵌められ、排ガスは内筒から整流チャンバを経て向きを変えて外筒に流入するので、反応装置のサイズを大幅に縮小することができ、反応装置のコンパクト化及び小型化に有利であり、かつSCRシステムの集積度が向上するだけでなく、排ガスを整流チャンバ内で向きを変えて逆流させることにより、整流チャンバ内で排ガスと還元剤とを十分に混合でき、触媒の反応効率が向上する。
【0009】
さらに、前記反応装置は、噴射アセンブリをさらに備え、前記噴射アセンブリは、スプレーガンを備え、前記スプレーガンは、前記入力流路に延び、前記スプレーガンのノズルは、前記反応チャンバの方向に向いている。
【0010】
さらに、前記出力流路の前記反応チャンバから離れた側の端部は閉じられており、前記出力流路には、反応後のガスを排出するための排気流路が側壁に開口されている。
【0011】
さらに、前記内筒と前記外筒は、断面が四角形である。
【0012】
さらに、前記触媒モジュールの1つは、前記整流チャンバに面する側面が、前記整流チャンバに近い前記内筒の端部と同一平面上にある。
【0013】
さらに、前記反応装置は、導流器をさらに備え、前記導流器は、前記整流チャンバに設けられ、前記排ガスの流れ方向を変更する。
【0014】
さらに、前記導流器は逆流リングを備え、前記逆流リングは切頭錐筒状に構成され、前記逆流リングの頂部は前記反応チャンバに面した前記整流チャンバの壁面に接続される。
【0015】
さらに、前記導流器は、さらに、
錐形に構成され、錐形の頂部は前記反応チャンバに向かって設置され、底部開口が前記逆流リングの上部開口を覆い、前記逆流リングから間隔を空けて設置された導流リングと、
前記導流リングと前記逆流リングとの間に水平方向及び/又は垂直方向に接続される少なくとも1枚の整流プレートと、を備えている。
【0016】
さらに、前記導流器は、少なくとも1つの整流リングをさらに備え、前記整流リングは錐形に構成され、前記整流リングの頂部は前記反応チャンバに向かって後退し、前記導流リングから離れた前記整流プレートの端部に接続される。
【0017】
さらに、前記導流リング、前記逆流リング、及び前記整流チャンバのそれぞれの中心軸は一致している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下の本発明の添付図面は、本発明の理解の一部として本明細書で使用される。本発明の実施形態及びその説明を、本発明の原理を説明するための添付図面に示す。
【0019】
添付の図面において、
図1図1は、本発明の好ましい実施形態に係る船舶用SCRシステムの反応装置を示す3次元概略図である。
図2図2は、図1の反応装置の透視概略図であり、その中で導流器が示されている。
図3図3は、図1における反応装置の要部模式図である。
図4図4は、図3における反応装置のA-A方向断面の模式図である。
図5図5は、図1の反応手段の概略上面図である。
図6図6は、本発明の好ましい実施形態に係る船舶用SCRシステムの反応手段の導流器を示す3次元概略図である。
図7図7は、図6の導流器の概略側面図である。
図8図8は、図6の導流器の要部模式図である。
【符号の説明】
【0020】
100:反応装置
110:搬送手段
111:入力流路
112:出力流路
113:排気流路
120:反応チャンバ
121:内筒
122:外筒
123:内流路
124:外流路
130:触媒モジュール
140:整流チャンバ
150:噴射アセンブリ
151:スプレーガン
200:導流器
210:逆流リング
220:導流リング
230:整流プレート
240:整流リング
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明では、本発明をより深く理解するために、多数の具体的な内容を示している。 しかし、本発明は、これらの詳細の1つまたは複数がなくても実施できることは、当業者には明らかであろう。他の実施例では、本発明との混同を避けるため、当技術分野でよく知られているいくつかの技術的特徴については説明しない。
【0022】
本発明を十分に理解するために、以下の説明で詳細な説明を行う。本発明の実施の形態は、当業者にとって周知の特定の詳細に限定されないことは明らかである。以下、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明するが、本発明は、これらの詳細な説明に加えて、他の実施形態を有することができる。
【0023】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを意図しており、本発明による例示的な実施形態を限定することを意図していないことに留意されたい。本明細書で使用される場合、単数形は、文脈上明示的に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、本明細書において用語「含む」及び/又は「備える」が使用される場合、それらは前記特徴、全体、ステップ、操作、構成要素及び/又はアセンブリの存在を示すが、1又は複数の他の特徴、全体、ステップ、操作、構成要素、アセンブリ、及び/又はそれらの組合せの存在又は追加を排除しないことも理解されるべきである。
【0024】
次に、本発明による例示的な実施形態について、添付図面を参照しながらより詳細に説明する。しかしながら、これらの例示的な実施形態は、様々な異なる形態で実施することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。これらの実施形態は、本発明の開示を徹底的かつ完全にし、これらの例示的な実施形態の構想を当業者に完全に伝えるために提供されることが理解されるべきである。
【0025】
以下、本発明の船舶用SCRシステムの反応装置について、図1図8を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1、3、4及び5を参照すると、反応装置100は、搬送手段110、反応チャンバ120、少なくとも1つの触媒モジュール130及び整流チャンバ140からなる。ここで、搬送手段110は入力流路111及び出力流路112を備え、出力流路112は入力流路111の外に嵌められており、反応チャンバ120の一端は搬送手段110に接続されており、反応チャンバ120は、内筒121と外筒122とを備え、外筒122は内筒121の外に嵌められており、内筒121は入力流路111に連通され、外筒122は出力流路112に連通されており、触媒モジュール130は、内筒121と外筒122との間に設置され、整流チャンバ140は、反応チャンバ120の他端に接続され、内筒121と外筒122との両方に連通されている。
【0027】
本発明の船舶用SCRシステムの反応装置によれば、内筒121の外側に外筒122が被せて嵌められ、排ガスは内筒121から整流チャンバ140を経て向きを変えて外筒122に流入するので、反応装置100のサイズを大幅に縮小し、SCRシステムの集積度を高めることができるだけでなく、排ガスを整流チャンバ140内で向きを変えて逆流するので、整流チャンバ140で排ガスと還元剤とを十分に混合でき、触媒反応効率を向上させることができる。
【0028】
具体的には、図3及び図4を参照すると、反応チャンバ120の内筒121及び外筒122は、いずれも断面が正方形又は長方形の角筒に実質的に類似する直方体構造として構成されている。外筒122は、内筒121の外側に、両端が同一平面上にあるように設置されている。外筒122と内筒121の間の空間が外流路124となり、内筒121の内側の空間が内流路123となる。内筒121は入力流路111に、角と円との接続によって接続され、外筒122は出力流路112に、角と円との接続によって接続されている。
【0029】
触媒モジュール130は、外筒122と内筒121との間の外流路124に設けられている。触媒モジュール130は、その形状が外流路124の形状に対応したハニカム構造の中空正方形として構成されており、このようにして、内筒121は触媒モジュール130を支持する役目を果たす。触媒モジュール130の数は、NO除去効率の必要性と排ガスの圧力又は流量等の要素に応じて選択することができる。図4に示す実施形態では、外流路124に2つの触媒モジュール130が設けられているが、複数の触媒モジュール130が設けられている場合、触媒の空隙に入る排ガスの抵抗を減らすために、触媒モジュール130の整流チャンバ140に面した側面は、整流チャンバ140に近い内筒121の端と同一平面上にある。
【0030】
また、触媒モジュール130は、外流路124に装填可能であれば、ハニカム構造の中空円形、粒状、球状など、他の形状であってもよいことが理解されよう。したがって、内筒121及び外筒122は、四角形の触媒モジュール130を搭載するために四角形に設定されており、触媒モジュール130が円形その他の形状である場合には、内筒121及び外筒122の断面形状は円形その他の形状に適応的に変更してよい。
【0031】
また、反応装置100は、噴射アセンブリ150を備え、この噴射アセンブリ150は、搬送手段110に設けられてもよい。図示された実施形態において、入力流路111は、噴射流路が設けられてよく、噴射アセンブリ150は、噴射流路を介して入力流路111に延びるスプレーガン151を備え、スプレーガン151のノズルは、反応チャンバ120の方向を向くように設定される。これにより、スプレーガン151は、排ガスの搬送方向に沿って還元剤を噴射する。
【0032】
出力流路112は、反応チャンバ120から離れた側の端部が閉じられており、出力流路112の側壁には、反応後の排ガスを排出するための排気流路113が設けられる。
【0033】
整流チャンバ140は、反応チャンバ120に着脱可能に接続されており、具体的には、整流チャンバ140は、フランジやネジによって外筒122に接続することが可能である。 これにより、触媒モジュール130の交換が必要な場合や、洗浄が必要な場合に、整流チャンバ140を取り外すことができる。
【0034】
これにより、排ガスは入力流路111から入り、尿素とともに内流路123に入り、内筒121は混合流路として機能することができる。排ガスと尿素の混合物は内流路123から整流チャンバ140に入り、整流チャンバ140で拡散、回転して外流路124に入り、そこでさらに混合され、続いて触媒モジュール130によって触媒反応がなされる。
【0035】
以上の構成により、混合流路とSCR反応装置100とを一体化することで、反応装置100の長さやサイズを大幅に縮小し、実船への配置を容易にすることができる。
【0036】
また、触媒入口断面における排ガスの均一性を向上させるために、反応装置100は、図2、4、6、7、8に示すように、排ガスの流れ方向を変えるための導流器200を整流チャンバ140の内に設けて構成されている。
【0037】
導流器200は、逆流リング210と、導流リング220と、少なくとも1つの整流プレート230と、少なくとも1つの整流リング240とを備えている。
【0038】
逆流リング210は、切頭錐筒として構成されており、その頂部は、反応チャンバ120に面した整流チャンバ140の壁面に接続されている。好ましくは、逆流リング210は、円錐台形状で構成され、円錐台の上部が整流チャンバ140に対向する反応チャンバ120の壁に溶接される。逆流リング210の中心軸線は、反応チャンバ120の中心軸線と一致してもよい。整流チャンバ140に閉じた角を形成しないようにするために、逆流リング210の底面は整流チャンバ140の内壁に接しないようになっている。すなわち、逆流リング210の底部は、整流チャンバ140の内壁から好ましくは30mm以上のクリアランスで離間している。逆流リング210の母線と軸線との間の角度α(図7に示す)は、約15~70°である。
【0039】
導流リング220は錐形とされ、好ましくは円錐形とされる。錐形の頂部は、反応チャンバ120に向かって設けられており、すなわち、導流リング220の円錐の頂部は、流入する排ガス流が来る方向に対して配置されている。導流リング220と逆流リング210の軸とが重なるようにして、それによって、導流リング220の下部開口が逆流リング210の上部開口を覆い、かつ導流リング220が逆流リング210から離間するようにしてよい。導流リング220の母線と軸線との間の角度β(図7に示す)は、約30~45°であり、導流リング220の母線と逆流リング210の母線との間の角度γ(図7に示す)は、約80~100°である。好ましくは、導流リング220の母線は、逆流リング210の母線に対して実質的に垂直である。導流リング220の高さは、好ましくは300mmより高く、その錐形の頂部は、内筒121の出口断面から少なくとも50mm、最大で300mmの間隔を空けて配置される。
【0040】
整流プレート230は、導流リング220と逆流リング210との間に水平方向及び/又は垂直方向に接続され、約4mmの厚さを有する。図示の実施形態では、導流器200は4つの整流プレート230を備え、そのうち2つは垂直方向に、2つは水平方向に設けられる。整流プレート230の幅は、逆流リング210の高さの半分以上であり、反応チャンバ120から離れた1つの長辺は導流リング220の底面と同一平面上にあり、整流プレート230の二つの側辺は導流リング220及び逆流リング210の側壁面にそれぞれ接している。
【0041】
整流プレート230の枚数及び整流リング240の個数は必要に応じて設定可能であり、整流リング240の個数は整流プレート230の枚数と同じであることが望ましい。図示の実施形態では、導流器200は、4つの整流リング240を備えている。
【0042】
整流リング240は錐形に構成され、整流リング240の頂部は反応チャンバ120に向かって後退し、導流リング220から離れた整流プレート230の端部に接続される。整流リング240の錐形の頂部は、排ガスの逆流の方向に向かうように配置されていることが理解されよう。整流リング240の母線と逆流リング210との間の角度δ(図7に示す)は10°を超えず、両者はほぼ平行に設定されることが好ましい。閉塞したデッドスペースの形成を防ぐため、整流リング240の錐底部の外周円と整流チャンバ140の内壁との距離は30mm以上とする。
【0043】
図示しない実施形態において、整流リング240及び整流プレート230の数は、内筒121及び外筒122の断面に合わせるように、逆流リング210及び導流リング220のの周方向に等間隔に設けられた6個、8個、又は10個等の偶数個であってもよい。内筒121と外筒122の断面が円形に構成されている場合、整流リング240と整流プレート230の数は、内筒121と外筒122の断面に合わせるように、逆流リング210と導流リング220の周方向に等間隔に設けられた3個、5個、又は7個等の奇数個であってもよい。
【0044】
さらに、導流リング220、逆流リング210及び整流チャンバ140のそれぞれの中心軸線が一致し、導流リング220、逆流リング210、整流チャンバ140、内筒121及び外筒122のそれぞれの中心軸線が一致してもよい。
【0045】
これにより、導流器200は整流チャンバ140内に設置され、ガス流の「楔」の原理に従って、内流路123から整流チャンバ140に入る高速排ガスは、錐形の導流リング220の「楔」効果のもと、中央で十分な拡散半径で四方に均等に拡散し、拡散されたガスは、窄んだ逆流リング210の障壁と誘導によって向きを変えて、さらに整流プレート230と整流リング240で分流して拡散されるので、整流チャンバ140の中央部の一部の「準高速」ガス流を四隅に均等に導き、それによって触媒入口断面における排ガスを均一に分布させて効果的に混合するので、触媒のNO除去効率が効果的に向上する。
【0046】
本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、特に定義されない限り、本発明の技術分野の当業者が一般的に理解する意味と同じである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図していない。 ある実施形態において本明細書に記載された特徴は、その特徴がその他の実施形態において適用できないか、又は他に指定されていない限り、単独で又は他の特徴と組み合わせて、他の実施形態に適用され得る。
【0047】
以上、本発明を実施形態により説明したが、上記実施形態は例示及び説明のためのものであり、本発明を記載した実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。さらに、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の教示に従ってより多様な変形及び修正を行うことができ、そのすべてが本発明が保護を要求する範囲に属することは、当業者には理解されよう。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲及びこれと同等の範囲によって規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8