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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】自転車用ペダル
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/22 20060101AFI20240119BHJP
   B62J 45/411 20200101ALI20240119BHJP
   B62J 45/421 20200101ALI20240119BHJP
   B62M 3/08 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
G01L5/22
B62J45/411
B62J45/421
B62M3/08 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022546518
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 IB2021051912
(87)【国際公開番号】W WO2021234466
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102020000011956
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521567952
【氏名又は名称】ファヴェロ・エレクトロニクス・エッセ・エッレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジーノ・ファヴェロ
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0375953(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0273543(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00- 1/26
G01L 5/00- 5/28
B62M 3/00- 3/16
B62J45/40-45/423
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準軸(A)に沿って延在するペダルピン(2)であって、自転車(4)のペダルクランク(3)に結合されるように構成された第1の軸方向端部(2a)と、前記第1の軸方向端部(2a)とは反対側の第2の軸方向端部(2b)とを有するペダルピン(2)と、
前記基準軸(A)を中心に回転することができるように、自由に回転可能な方法で前記ペダルピン(2)に結合されたハブ(6)を含むペダル本体(5)と、
円形断面を有する少なくとも2つの内部チャンバ(11)(12)であって、前記ペダルピン(2)に形成され、前記基準軸に沿ってこれに同軸に延在する少なくとも2つの内部チャンバ(11)(12)と、
前記ペダルピン(2)に結合されたセンサ手段(8)であって、その機械的変形を示す電気的パラメータを検出するように設計されたセンサ手段(8)と、
前記センサ手段(8)を通して、サイクリストによってペダリング中に前記ペダルピン(2)に加えられる力によって引き起こされる前記ペダルピン(2)の機械的変形を判定するように構成された電子手段(9)と、
前記内部チャンバ(11)(12)の少なくとも1つ内に配置された蓄電手段(10)であって、前記電子手段(9)に電力を供給するように設計された蓄電手段(10)と、
を含み、
第1の内部チャンバ(12)が、前記第1の軸方向端部(2a)から始まって前記第2の軸方向端部(2b)に向かって前記基準軸(A)に沿って延在するように前記ペダルピン(2)に形成され、
第2の内部チャンバ(11)が、前記第1の内部チャンバ(12)と前記第2の軸方向端部(2b)との間で前記基準軸(A)に沿って延在するように前記ペダルピン(2)に形成され、
前記第2の内部チャンバ(11)は、
15mmと40mmとの間に含まれる長さと、
7mmと13mmとの間に含まれる内径と、
前記ペダルピン(2)の前記第2の軸方向端部(2b)から25mm未満の距離に配置された、前記第1の内部チャンバ(12)とは反対側の軸方向端部と、
を有するようなサイズになっている、
自転車(4)用ペダル(1)。
【請求項2】
前記第1の内部チャンバ(12)は、25mmと65mmとの間に含まれる長さを有するように前記ペダルピン(2)内に延在し、8mmと13.0mmとの間に含まれる内径を有する、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項3】
前記第1の内部チャンバ(12)は前記第1の軸方向端部(2a)に開口を有する、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項4】
前記第2の内部チャンバ(11)は前記第2の軸方向端部(2b)に開口を有する、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項5】
前記第1の内部チャンバ(12)および前記第2の内部チャンバ(11)は、互いに連通するために隣接する軸方向端部が互いに接続されている、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項6】
前記第1の内部チャンバ(12)から前記第2の内部チャンバ(11)まで延在し、こうしてこれらを接続してこれらを互いに連通させておくように前記ペダルピン(2)の中心において得られる第3のチャンバ(25)を含む、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項7】
前記第1の内部チャンバ(12)および前記第2の内部チャンバ(11)は、貫通穴を形成するように前記ペダルピン(2)に形成されている、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項8】
前記第1の内部チャンバ(12)および前記第2の内部チャンバ(11)は、止まり穴を形成するように前記ペダルピン(2)に形成されている、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項9】
前記電子手段(9)は前記第1の内部チャンバ(12)および/または前記第2の内部チャンバ(11)に配置されている、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項10】
前記センサ手段(8)は前記第1の内部チャンバ(12)および/または前記第2の内部チャンバ(11)に配置されている、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項11】
前記蓄電手段(10)は、5.5mmと13.0mmとの間に含まれる外径を有する円筒形電池を含む、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項12】
前記ハブ(6)と前記ペダルピン(2)との間に挿入されたブッシング(21)またはベアリングを含み、前記ブッシング(21)またはベアリングは、前記第2の内部チャンバ(11)と径方向に並び、こうしてこれを取り囲むように前記ペダルピン(2)に装着されている、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項13】
前記ブッシング(21)またはベアリングは、12mmと15mmとの間に含まれる内径、および1mmと3mmとの間に含まれる厚さを有する、請求項12に記載の自転車用ペダル。
【請求項14】
前記ブッシング(21)またはベアリングは、25mmと40mmとの間に含まれる長さを有する、請求項13に記載の自転車用ペダル。
【請求項15】
前記ペダルピン(2)は、前記ペダル本体(5)から露出した自由外面を有し、前記蓄電手段(10)の充電を可能にするように構成され、前記露出した自由外面上に配置されている外部充電コネクタ(19)を含む、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項16】
前記外部充電コネクタ(19)は、前記外部充電コネクタ(19)と外部電力源の充電コネクタの結合を可能にするための磁気結合システムを含む、請求項15に記載の自転車用ペダル。
【請求項17】
前記第2の内部チャンバ(11)は、8mmと13mmとの間に含まれる内径を有する、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【請求項18】
前記第2の内部チャンバ(11)は、前記第1の内部チャンバ(12)とは反対側の軸方向端部を有し、これは前記ペダルピン(2)の前記第2の軸方向端部(2b)から15mm未満の距離に配置されている、請求項1に記載の自転車用ペダル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この特許出願は、2020年5月21日に出願されたイタリア特許出願第102020000011956号からの優先権を主張するものであり、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は自転車用ペダルに関する。特に、本発明は、サイクリストによってペダリング中に加えられる力を測定するように設計された自転車用ペダルに関する。
【背景技術】
【0003】
自転車、特にレーシング/ロードバイクでの、サイクリストがペダリング中に実行する身体活動を監視するのに役立つ一連のパラメータ/量、一般的にはペダルにかかる力/パワーおよびペダリングケイデンスを判定および表示する測定システムの使用が、よく知られている。
【0004】
電子測定システムは典型的には電子測定装置を含み、これはペダルに配置されて電子回路および基板を備え、これらは前述のパラメータを測定し、測定されたパラメータをデータの形で、自転車の前部に一般に配置された表示装置に送信し、これがデータを受け取ってサイクリストに示す。
【0005】
いくつかのタイプの電子測定装置は、完全にまたは少なくとも部分的に、ペダルピン自体の外側に留まるように、ペダル本体の横方向の位置においてペダルのペダルピンに装着されている。
【0006】
このタイプの電子測定装置はたとえば、本出願人によって出願されたイタリア特許出願第TV2015A000010号に記載されているものである。
【0007】
上記のタイプの電子測定装置の技術的課題は、ペダルピンの外側、特にペダルの領域にこれらが存在すると、偶発的な衝撃の場合に損傷のリスクにさらされる可能性があることである。
【0008】
特許出願FR 3 078 158 A1は、ペダルピンの外側で得られるそれぞれの平坦な表面上に配置された2つの電池を備えた電子デバイスを記載している。
【0009】
特許出願EP 2 973 891 A1は、ペダルピンの外側に配置されたバッテリにセンサを接続するように設計された電気コネクタを備えた電子デバイスを記載している。
【0010】
特許出願WO2008/109914は、ペダルを接続する2つの対向するペダルクランクが結合されている中央ハブに取り付けられた電子デバイスを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】イタリア特許出願第TV2015A000010号
【文献】FR 3 078 158 A1
【文献】EP 2 973 891 A1
【文献】WO2008/109914
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的はしたがって、サイクリストによってペダリング中に加えられる力を測定するための解決策を提供することであり、これは上述の技術的課題を克服することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本発明によって、これが添付の請求項において定義されるように提供される自転車用ペダルに関するという点で達成される。
【0014】
次に本発明を、その非限定的な一実施形態を示す添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の教示にしたがって提供されるペダルを装備した自転車を概略的に示す図である。
図2図1に示すペダルの拡大斜視図である。
図3図2に示すペダルの縦断面図I-Iである。
図4図3に示すペダルの断面図II-IIである。
図5図3に示すペダルの断面図III-IIIである。
図6図3に示すペダルの断面図IV-IVである。
図7図3に示すペダルのペダルピンの、明確にするために部品を除去した垂直縦断面図である。
図8図7に示すペダルピンの一変形実施形態の垂直縦断面を示す図である。
図9図7に示すペダルピンの一変形実施形態の垂直縦断面を示す図である。
図10】一変形実施形態によるペダルの垂直縦断面図である。
図11図10に示すペダルのペダルピンの垂直縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を、当業者がこれを実施およびこれを使用することを可能にするため、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
記載された実施形態に対するさまざまな修正が当該技術における当業者に容易に明らかであり、記載された一般原理は、添付の請求項において定義されるような本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用することができる。したがって、本発明は、本明細書に記載および例示された実施形態に限定されると見なされるべきではなく、本明細書に記載および特許請求された原理および特徴と一致する最も広い保護範囲が与えられなければならない。
【0018】
本発明は本質的に、パワーを測定するために使用される電気および電子部品のすべてまたはほとんどを内側に容易に収容して、これらを内蔵した外部保護容器としてペダルピンを便利に使用することができるように、特別に構成およびサイズ設定されたペダルピンに内部チャンバを形成するという考えに基づいている。
【0019】
図1図2および図3を参照すると、番号1は、全体として、自転車用ペダルを示し、これは、サイクリストのペダルの推力を示す電気量を測定するように設計されている。ペダル1は、好ましくは金属材料で作製されたペダルピン2を含み、これは長手軸Aに沿って延在し、自転車4(図1)のペダルクランク3に結合されるように構成されている。
【0020】
図3を参照すると、ペダルピン2は第1の端部2aを有することができ、これは好ましくはねじ状であり、自転車4の対応するペダルクランク3に結合される。ペダルピン2は好ましくは細長い円筒形を有し、ペダルクランク3から長手軸Aに沿って、好ましくはペダルクランク3にほぼ直交して片持ち梁状に延在することができ、端部2aとは軸方向の反対側に第2の端部2bを有する。好ましい一実施形態によれば、ペダルピン2は、約70mmと約95mmとの間に含まれる、好ましくは約90mmの軸Aに沿った長さを有することができる。
【0021】
図3に示す例によれば、ペダルピン2は、軸Aと同軸の環状クラウンまたはフランジ2cを含むことができ、これは端部2aのねじ部分のほぼ内側に配置され、ペダル1がペダルクランク3に接続されるとき、このペダルクランク3に対して当接して配置されるように設計されている。
【0022】
ペダル1はペダル本体5をさらに含み、これは、ペダルピン2に対して長手軸Aを中心に回転することができるように、自由に回転可能な方法でペダルピン2に結合されている。ペダル本体5は、管状本体、すなわち、内部に開口または穴、好ましくは軸Aに沿って延在する円形断面の貫通穴を有するハブ6を含む。ハブ6は好ましくは、長手軸Aを中心に回転することができるように、自由に回転可能な方法でブッシング21、またはベアリングによって、ペダルピン2に結合されている。図3に示す例によれば、ブッシング21またはベアリングは、第2の端部2bに隣接するほぼ中間位置においてペダルピン2に装着されている。
【0023】
図3に示す例において、ペダル本体5はフットレスト部分7をさらに含み、これは、好ましくはハブ6と一体または一枚岩の本体を形成するように、これに堅固に/強固に接続され、サイクリストの足のための支持体を形成するように構成されている。たとえば、フットレスト部分7は、長手軸Aにほぼ平行なプラットフォーム上に延在するほぼ板状の構造を含むことができ、使用中、この上にサイクリストの足が載る。フットレスト部分7の形状/構造は、上に述べたおよび/または添付の図に示した板状のものとは異なる可能性があることが理解されるべきである。フットレスト部分7は好ましくは、レーシングまたはマウンテンバイクのペダル上で一般的に使用される、既知のタイプのノッチ/スタッド(またはクリート)によってサイクリストの靴に接続される/留められるように成形/構成することができるということも理解されるべきである。
【0024】
ペダル1は、一連のセンサ、好ましくはペダルピン2に結合されたひずみゲージを備えたセンサ回路8と、センサ回路8に電気的に接続され、これによって、サイクリストによってペダリング中にペダル1におよびしたがってペダルピン2に加えられる力によって引き起こされるペダルピン2の変形を判定するように構成された電子処理回路9と、処理回路9およびセンサ回路8の動作に要求される電気エネルギーを供給するように設計された蓄電デバイス10と、をさらに含む。
【0025】
図3および図7に示す好ましい実施形態によれば、蓄電デバイス10は、第2の端部2bに隣接するペダルピン2の部分2Iに得られる内部シートまたはチャンバ11に収容されている。好ましくは、蓄電デバイス10は、好ましくは内部チャンバ11において軸方向に係合された、少なくとも1つの実質的に円筒形の、好ましくは再充電可能なバッテリを含む。
【0026】
内部チャンバ11はペダルピン2の部分2Iに得られ、第2の端部2bから始まって第1の端部2aに向かって、軸Aに沿って軸方向に延在する。好都合には、内部チャンバ11はペダルピン2の部分2Iに得られ、ブッシング21(またはベアリング)の下方で軸Aに沿って軸方向に延在する。換言すれば、ブッシング21は、チャンバ11とほぼ径方向に並び、こうしてこれを取り囲むように、ペダルピン2に装着されている。
【0027】
出願人は、約12と約15mmとの間に含まれる内径および約1mmと約3mmとの間に含まれる厚さを有するブッシング21またはベアリングを使用することによって、ペダル1の機能性を損なうことなく、内部チャンバ11の直径を増加させることが可能になる径方向空間を、ペダルピン2の本体内に得ることが可能であるということを発見した。
【0028】
特に、上述のようなサイズのブッシング21の存在により、ペダルピン2に内部チャンバ11を得ることが可能になり、内部チャンバ11は、約7mmと約13mmとの間に含まれる内径を都合よく有するようなサイズになっている。好ましくは、内部チャンバ11は、約8mmと約13mmとの間に含まれる内径を有するようなサイズになっている。
【0029】
内部チャンバ11はまた、約15mmと約40mmとの間に含まれる軸Aに沿った長さL1を有するようなサイズになっている。
【0030】
好都合には、バッテリはしたがって、チャンバ11の内径に応じた外径を有することができる。バッテリの直径は約5.5mmと約13.0mmとの間に含まれ得る。内部チャンバ11の上記のサイズ設定によって得られる技術的効果は、バッテリがペダルピンの外側に配置されている他のモデルで得られるものに匹敵する量の電気エネルギーを供給することができる充電式バッテリを収容することができるということである。出願人はまた、このようなバッテリが、再充電の回数を制限するために40時間より長い期間、処理回路9を動作させるのに十分な電気エネルギーを供給することができるということを発見した。
【0031】
図3および図7に示す好ましい実施形態によれば、電子処理回路9は、第1の端部2aに隣接するペダルピン2の部分2IIに得られる内部チャンバ12に配置されている。電子処理回路9は、内部チャンバ12に収容されるようなサイズの電子基板(PCB)を含むことができる。
【0032】
図3および図7に示す好ましい例示的な実施形態によれば、内部チャンバ12は、第1の端部2aから始まって内部チャンバ11に向かって、軸Aに沿って軸方向に延在する。軸Aに沿った内部チャンバ12の長さL2は好都合には、約25mmと約65mmとの間に含まれる。内部チャンバ12はまた、約8mmと約13mmとの間に含まれる内径を都合よく有するようなサイズになっている。
【0033】
内部チャンバ12の上記のサイズ設定によって得られる技術的効果は、処理回路の電子基板を容易に収容することができるということである。
【0034】
図3および図7に示す好ましい一実施形態によれば、2つの内部チャンバ11および12は、円軸Aに対して横方向、すなわち、直交する断面を有し、連続しており、すなわち、互いに接続されてペダルピン2に貫通穴を形成するように互いに内部で連通している隣接する内部端を有する。
【0035】
本明細書に示す例において、内部チャンバ11は、チャンバ12とは反対側の軸方向端部を有し、これは端部2bに配置され、すなわち、これからゼロ距離を有する。
【0036】
しかしながら、本発明は、内部チャンバ11の端部と端部2bとの間のゼロ距離に限定されず、第1のチャンバ12とは反対側の内部チャンバ11の軸方向端部を上記ペダルピン2の端部2bから約25mm未満の距離に配置することができるということを規定することが理解される。
【0037】
好ましくは、第1のチャンバ12の反対側の内部チャンバ11の軸方向端部を上記ペダルピン2の端部2bから約15mm未満の距離に都合よく配置することができる。
【0038】
換言すれば、内部チャンバ11は、端部2b(ゼロ距離)から始まって、または端部2bから反対側の端部2aに向かって測定して、約25mm、好ましくは15mmの距離範囲内で、ペダルピン2内へ延在することができる。
【0039】
しかしながら、本発明は、端部2aおよび2bに開口を有する貫通穴を画定する2つの内部チャンバ11および12に限定されず、他の解決策を提供することができるということが理解される。たとえば、図8に示す変形実施形態によれば、チャンバ11およびチャンバ12は、ペダルピン2の端部2aにおいてペダルクランク3に向かって形成された単一の開口を有する止まり穴を形成するように中央で接続されている。
【0040】
図9に示すさらなる一実施形態によれば、チャンバ11およびチャンバ12は、ペダルクランク3に対して反対側のペダルピン2の端部2bに形成された単一の開口を有する止まり穴を形成するように中央で接続されている。
【0041】
図3に示す好ましい例示的な一実施形態によれば、2つの内部チャンバ11および12は同じ内径を有する。しかしながら、本発明は、同じ内径を有する2つのチャンバ11および12に限定されず、2つのチャンバ11および12が互いに異なるが上述の範囲内の直径を有するということを規定することができることが理解される。
【0042】
本発明は、一定の直径を有する2つのチャンバ11および12に限定されず、それぞれが軸Aに沿って可変の直径を有することができるということも理解される。
【0043】
図3に示す好ましい実施形態によれば、センサ回路8はペダルピン2の外面上に配置され、変形センサ、好ましくはホイートストンブリッジの電気構成にしたがって互いに接続されたひずみゲージを含む。センサ回路8は、サイクリストによってペダリング中にペダルピン2に引き起こされる機械的変形を示す電気量の変化を測定するように設計されている。
【0044】
本発明は、センサ回路8のペダルピン2上(これの外側)の配置に限定されず、他の解決策を提供することができ、その1つは内部チャンバ12および/または内部チャンバ11におけるセンサ回路8の配置を規定することができるということが理解される。
【0045】
例として図3に示す好ましい実施形態によれば、センサ回路8はペダルピン2の外面部分に配置され、これはブッシング21に隣接してペダル本体5の一部の下方に配置され、その端部2bとは反対側の端部は、ペダルピン2に装着された環状ガスケット20によって閉じられている。センサ回路8は、ペダルピン2の内部チャンバ11および/または内部チャンバ12において径方向に得られる1つまたは複数の貫通穴を通過する一連のワイヤを通して処理回路9に電気的に接続することができる。
【0046】
図3に示す好ましい実施形態によれば、ペダル1は、ペダル本体5が軸Aに沿ってペダルピン2から滑り落ちることを防止するためにペダル本体5のハブ6をペダルピン2に軸方向に固定するように構成された機械的クランピング部材13をさらに含む。
【0047】
図3および図7図11に示す例示的な一実施形態によれば、軸Aと同軸の環状シート14がペダルピン2上に得られている。内側の環状シート14は、円筒形の底壁およびペダルピン2上に2つの環状ショルダーを画定する2つの側壁を有する。
【0048】
図3および図7図11に示す実施形態によれば、環状シート14および対応する環状ショルダーは、端部2bに隣接するペダルピン2の縁部に形成されている。
【0049】
図3に示す例において、機械的クランピング部材13は、好ましくは互いにおよび環状シート14にほぼ相補的な半円形セグメントの形態の断面を有する2つの別個の独立した半環状体13aおよび13bをさらに含む。
【0050】
2つの半環状体13aおよび13bは、ペダルピン2に対して軸Aを中心に中で回転することができるように環状シート14に配置されている。2つの半環状体13aおよび13bは、軸方向に固定されたままになる、そして軸Aに沿ってペダルピン2に対して移動することができないように、好ましくは環状シート14の環状ショルダーに対して当接するように構成されている。2つの半環状体13aおよび13bはシート14から径方向に突出し、ハブ6の内側環状ショルダーに対して当接して配置され、これは、次に、シート14とブッシング21の軸方向端部との間に挿入される。
【0051】
図3に示す好ましい実施形態によれば、ペダル1は、ペダルクランク3とは反対側のハブ6の端部に接続された閉鎖キャップ15をさらに含む。閉鎖キャップ15は、半環状体13aおよび13bの突出部分に対して当接するようにハブ6のねじ状端部にねじ込まれているねじ状のカップ形状体の形態とすることができる。閉鎖キャップ15は、ペダルクランク3に向かうハブ6の軸方向移動をロックするようにハブ6を軸方向に保持する。
【0052】
図3に示す好ましい実施形態によれば、端部2aにおいて得られる内部チャンバ12の開口は閉鎖キャップ16によって閉鎖される。閉鎖キャップ16はカップ形状体の形態であり、たとえばスナップロッキングまたは接着システムによって、内部チャンバ11の開口において端部2aへ係合され、こうしてこれを閉じることができる。
【0053】
図3に示す好ましい実施形態によれば、処理回路9は、データ送信のための無線周波数信号を送信/受信するように設計された無線通信モジュール18を含むことができる。出願人は、ペダルピンの端部2aに無線通信モジュール18を配置することにより、ペダルピン2自体の金属本体によって引き起こされる無線信号の減衰が減少することを発見した。
【0054】
図3に示す好ましい実施形態によれば、ペダル1は、ペダルピン2上に配置された充電コネクタ19をさらに含む。充電コネクタ19は好ましくは、上記ペダル本体5から露出したペダルピン2の自由外面部分上に配置され、蓄電デバイス10の充電を実行するように構成されている。
【0055】
充電コネクタ19は、電気コネクタ19を外部電力源(図示せず)の充電コネクタと結合することを可能にするための磁気結合システムを便利に備えることができる。たとえば、充電コネクタ19は磁気要素を備えることができ、またはあるいは少なくとも部分的に強磁性材料で作製することができる。
【0056】
上述のペダルは、電気/電子部品を収容するためのハウジングとしてペダルピンを使用するという利点を有し、したがってピンの外側でこれらが邪魔になることおよびこれらが損傷するリスクが排除される。
【0057】
実際、出願人は、上述のサイズの組み合わせによるペダルピンおよびその内部チャンバのサイズ設定が、一方では、ペダルピンに構造的弱体化を引き起こさないという、他方では、バッテリと電子回路の両方を内側に収容するのに十分なスペースを有する内部チャンバを作成するという、技術的効果を有することを発見した。
【0058】
この技術的効果は現状技術のペダルによっては達成されないことが強調されるべきである。
【0059】
たとえば、FR 3 078 158 A1は、ペダルの外側の測定要素の視認性という技術的課題に対処している。特に、FR 3 078 158 A1は、ペダルのペダルピンはその構造的弱さのために力センサの統合のために働くのが一般に困難であると説明し、したがって本発明とは反対の解決策、すなわちペダルピンの外面上にバッテリを支持するために平坦面を提供し、これはしたがってペダルピンの外側および外部から見えないようにペダル本体の内側に留まることを教示している。
【0060】
EP 2973 891 A1に記載されている解決策は、ペダルピンの完全に外側の、その端部の位置にバッテリを配置することを教示しているので、本発明とは完全に反対の解決策を提供している。
【0061】
最後に、WO2008109914A2は、ペダルでもペダルピンでもなく、ペダルクランクが接続されている中央移動ハブに関する。さらに、WO2008109914A2は、内部チャンバの構築のためのペダルピンの構造の弱体化という技術的課題に対処またはこれを解決していない。これに関連して、ハブはペダルピンとは完全に異なる構造およびサイズを有するため、ペダルピンの構造上の問題がないことが指摘されるべきである。
【0062】
最後に、本発明の範囲から逸脱することなく、上述のペダルに修正および変更を加えることができるということが明らかである。
【0063】
図10および図11に示す実施形態はペダルピン30に関し、これは図3に示すペダル1と同様であり、可能な場合、その部品を、ペダル1の対応する部品を識別する同じ参照番号で識別する。
【0064】
図10および図11に示すペダル30は、ペダルピン2が追加の内部チャンバ25を中央に含み、これは内部チャンバ12を内部チャンバ11に接続し、処理回路9を蓄電デバイス10に接続する接続ワイヤを収容するという点で、ペダル1とは異なる。
【0065】
図3および図10に示す実施形態に代わる異なる一実施形態(図示せず)によれば、ペダルは、処理回路9が内部チャンバ11に配置され、蓄電デバイス10が内部チャンバ12に配置されるという点で、ペダル1および30とは異なる。
【符号の説明】
【0066】
1 ペダル
2 ペダルピン
2a 第1の端部
2b 第2の端部
2c フランジ
3 ペダルクランク
4 自転車
5 ペダル本体
6 ハブ
7 フットレスト部分
8 センサ回路
9 電子処理回路
10 蓄電デバイス
11 内部チャンバ
12 内部チャンバ
13 機械的クランピング部材
13a 半環状体
13b 半環状体
14 環状シート
15 閉鎖キャップ
16 閉鎖キャップ
18 無線通信モジュール
19 充電コネクタ
20 環状ガスケット
21 ブッシング
25 内部チャンバ
30 ペダル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11