(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】キーマトリクス回路装置、及び、入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/023 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
G06F3/023
(21)【出願番号】P 2022572008
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2021043485
(87)【国際公開番号】W WO2022137984
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2020212587
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】竹内 元喜
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲郎
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-282253(JP,A)
【文献】特開2002-108519(JP,A)
【文献】特開2008-265633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスキャン端子と、複数のセンス端子と、前記複数のスキャン端子と前記複数のセンス端子との間にそれぞれ接続されマトリクス状に配置される複数のスイッチと、前記複数のセンス端子と前記複数のスイッチとの間にそれぞれ接続される複数の分圧抵抗器とを有するキーマトリクスと、
情報処理装置のモードを省電力モード又は通常モードに切り替える切替部に前記モードを切り替えさせる切替信号を出力する出力端子と、電源に接続される電源端子と、前記電源端子及び前記複数のスキャン端子に接続される接続端子とを有するウェイクアップ回路と
を含み、
前記複数の分圧抵抗器は、前記情報処理装置の複数のセンスポートにそれぞれ接続される前記複数のセンス端子の電圧を所定電圧以下にする抵抗値をそれぞれ有し、
前記ウェイクアップ回路は、前記情報処理装置が前記省電力モードのときに前記複数のスイッチのうちの少なくともいずれか1つがオンにされて前記接続端子の電位が第1レベルになると、前記モードを前記通常モードに切り替える切替信号を前記出力端子から出力する、キーマトリクス回路装置。
【請求項2】
前記切替部と、
前記電源と前記情報処理装置の電源端子との間に接続され電源電圧を前記情報処理装置に入力可能な電圧に変換する電圧変換部と、
前記電圧変換部と前記電源との間に設けられる電源スイッチと
をさらに含み、
前記切替部は、前記接続端子から出力される信号が前記第1レベルになると、前記電源スイッチを導通させる、請求項1に記載のキーマトリクス回路装置。
【請求項3】
前記複数のスキャン端子にそれぞれ接続される複数の論理和出力端子をそれぞれ有する複数の論理和回路をさらに含み、
前記ウェイクアップ回路は、
前記情報処理装置に接続され前記モードを表す状態信号が入力される入力端子と、
前記接続端子及び前記電源端子に接続される第1電流入力端子と、基準電位点に接続される第1電流出力端子と、前記入力端子に接続される第1制御端子とを有し、前記第1制御端子に第2レベルの信号が入力されるとオンになる第1トランジスタと
をさらに有し、
前記接続端子は、前記複数の論理和回路の一方の入力端子に接続されており、
前記複数の論理和回路の他方の入力端子は、前記情報処理装置の複数のスキャンポートに接続されており、
前記状態信号は、前記情報処理装置が前記通常モードのときは前記第2レベルである、請求項1又は2に記載のキーマトリクス回路装置。
【請求項4】
前記情報処理装置が前記切替信号によって前記通常モードに切り替えられると、前記第1トランジスタがオンになり、前記接続端子の電位を前記第1レベルに引き下げることで、前記ウェイクアップ回路は、前記複数のスキャンポートから出力されるスキャン信号で前記複数のスイッチの接続状態をスキャン可能な状態になる、請求項3に記載のキーマトリクス回路装置。
【請求項5】
前記ウェイクアップ回路は、前記電源端子に接続される第2電流入力端子と、第2電流出力端子と、前記接続端子及び前記第1電流入力端子に接続される第2制御端子とを有し、前記第2制御端子に第1レベルの信号が入力されるとオンになる第2トランジスタをさらに有し、
前記接続端子は、前記第2トランジスタを介して前記電源端子に接続される、請求項3又は4に記載のキーマトリクス回路装置。
【請求項6】
前記情報処理装置が前記省電力モードで前記複数のスイッチがオフの状態では、前記接続端子の電位は前記第2レベルである、請求項5に記載のキーマトリクス回路装置。
【請求項7】
前記ウェイクアップ回路は、前記情報処理装置が前記省電力モードのときに前記複数のスイッチのうちの少なくともいずれか1つがオンにされて前記接続端子の電位が前記第1レベルになると、前記第2トランジスタがオンになることで前記モードを前記通常モードに切り替える切替信号を前記出力端子から出力する、請求項5又は6に記載のキーマトリクス回路装置。
【請求項8】
前記ウェイクアップ回路は、前記出力端子に接続される第3電流入力端子と、前記基準電位点に接続される第3電流出力端子と、前記第2電流出力端子に接続される第3制御端子とを有し、前記第3制御端子に前記第2レベルの信号が入力されるとオンになる第3トランジスタをさらに有し、
前記出力端子は、プルアップ抵抗器を介して前記電源に接続されており、
前記モードを前記通常モードに切り替える切替信号は、前記第1レベルの信号である、請求項5乃至7のいずれか1項に記載のキーマトリクス回路装置。
【請求項9】
前記状態信号が前記省電力モードであることを表す前記第1レベルのときに、前記複数のスイッチのうちの少なくともいずれか1つがオンにされて前記第2制御端子に前記第1レベルの信号が入力されて前記第2トランジスタがオンになると、前記第3制御端子の電位が前記第2レベルになって前記第3トランジスタがオンになることで前記切替信号が前記第1レベルになる、請求項8に記載のキーマトリクス回路装置。
【請求項10】
複数の操作部を有する操作パネルと、
キーマトリクス回路装置と
を含み、
前記キーマトリクス回路装置は、
複数のスキャン端子と、複数のセンス端子と、前記複数のスキャン端子と前記複数のセンス端子との間にそれぞれ接続されマトリクス状に配置される複数のスイッチと、前記複数のセンス端子と前記複数のスイッチとの間にそれぞれ接続される複数の分圧抵抗器とを有するキーマトリクスと、
情報処理装置のモードを省電力モード又は通常モードに切り替える切替部に前記モードを切り替えさせる切替信号を出力する出力端子と、電源に接続される電源端子と、前記電源端子及び前記複数のスキャン端子に接続される接続端子とを有するウェイクアップ回路と
を有し、
前記複数の分圧抵抗器は、前記情報処理装置の複数のセンスポートにそれぞれ接続される前記複数のセンス端子の電圧を所定電圧以下にする抵抗値をそれぞれ有し、
前記ウェイクアップ回路は、前記情報処理装置が前記省電力モードのときに前記複数のスイッチのうちの少なくともいずれか1つがオンにされて前記接続端子の電位が第1レベルになると、前記モードを前記通常モードに切り替える切替信号を前記出力端子から出力する、入力装置。
【請求項11】
前記切替部と、
前記電源と前記情報処理装置の電源端子との間に接続され電源電圧を前記情報処理装置に入力可能な電圧に変換する電圧変換部と、
前記電圧変換部と前記電源との間に設けられる電源スイッチと
をさらに含み、
前記切替部は、前記接続端子から出力される信号が前記第1レベルになると、前記電源スイッチを導通させる、請求項10に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーマトリクス回路装置、及び、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スリープモード時には電力を供給しない第1電源と、常に電力を供給する第2電源と、マトリクス状に配置されたスイッチと、スキャン側の複数の第1回路素子と、センシング側の複数の第2回路素子と、スリープ時においてセンシング側からスキャン側へ電流を流す第3回路素子と、スリープ時におけるスイッチの押下に応答して起動信号を出力する第4回路素子とを含むキーマトリクス回路がある。第3回路素子には、第2電源から常に電力が供給されており、センシング側の複数の第2回路素子には、第3回路素子から第2電源に応じた電圧が印加されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のキーマトリクス回路は、プリンタのような画像形成装置の操作パネルに用いられている。センシング側の第2回路素子はIC(Integrated Circuit)で構成されるため、入力電圧は+5V程度に限られる。このため、第3回路素子から第2回路素子に印加される電圧は、ICに入力可能な+5V程度の電圧であると考えられる。ICの破損を抑制するためにICの入力電圧に上限が設けられているからである。
【0005】
ところで、電源電圧がICのような情報処理装置に入力可能な上限電圧よりも高い環境においてキーマトリクス回路を利用する場合がある。例えば車両に搭載されるバッテリは、出力電圧が12Vや24V等である。
【0006】
そこで、情報処理装置に入力可能な上限電圧よりも高い電源電圧をそのまま利用可能なキーマトリクス回路装置、及び、入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態のキーマトリクス回路装置は、複数のスキャン端子と、複数のセンス端子と、前記複数のスキャン端子と前記複数のセンス端子との間にそれぞれ接続されマトリクス状に配置される複数のスイッチと、前記複数のセンス端子と前記複数のスイッチとの間にそれぞれ接続される複数の分圧抵抗器とを有するキーマトリクスと、情報処理装置のモードを省電力モード又は通常モードに切り替える切替部に前記モードを切り替えさせる切替信号を出力する出力端子と、電源に接続される電源端子と、前記電源端子及び前記複数のスキャン端子に接続される接続端子とを有するウェイクアップ回路とを含み、前記複数の分圧抵抗器は、前記情報処理装置の複数のセンスポートにそれぞれ接続される前記複数のセンス端子の電圧を所定電圧以下にする抵抗値をそれぞれ有し、前記ウェイクアップ回路は、前記情報処理装置が前記省電力モードのときに前記複数のスイッチのうちの少なくともいずれか1つがオンにされて前記接続端子の電位が第1レベルになると、前記モードを前記通常モードに切り替える切替信号を前記出力端子から出力する。
【発明の効果】
【0008】
情報処理装置に入力可能な上限電圧よりも高い電源電圧をそのまま利用可能なキーマトリクス回路装置、及び、入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】キーマトリクス回路装置100Aを示す図である。
【
図3】キーマトリクス回路装置100Aの詳細な回路構成の一例を示す図である。
【
図4】キーマトリクス回路装置100Aの動作を説明する図である。
【
図5】キーマトリクス回路装置100Aの動作を説明する図である。
【
図6】スリープモード、移行時、及び通常モードのときの状態信号、起動準備信号、切替信号、第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のキーマトリクス回路装置、及び、入力装置を適用した実施形態について説明する。
【0011】
<実施形態>
図1は、実施形態の入力装置100を示す図である。入力装置100は、一例として車両に搭載され、車両の利用者が車両に搭載された機器の操作を行う装置である。車両に搭載された機器は、例えば、エアコンやオーディオ等であり、この場合には入力装置100は、エアコンやオーディオの操作装置として利用される。車両は、マイクロコンピュータ等の情報処理装置に入力可能な上限電圧よりも電源電圧が高い電源(例えばバッテリ)を搭載している。なお、ここでは入力装置100が車両に搭載される形態について説明するが、情報処理装置に入力可能な上限電圧よりも電源電圧が高い電源を搭載していれば、車両に限らず、航空機や列車等に搭載されてもよい。
【0012】
入力装置100は、筐体101、複数の操作部102、及びキーマトリクス回路装置100Aを含む。筐体101は、一例として車両の室内において、センターコンソールやダッシュボード等に設けられる。
図1における筐体101の上面は操作パネル101Aであり、複数の操作部102が配列されている。各操作部102は、エアコンやオーディオ等のオン/オフ、温度設定、風量設定、吹き出し口の設定、音量設定、ラジオの選曲等を操作可能なスイッチである。
【0013】
操作部102の裏側(筐体101の内部)には、キーマトリクス回路装置100Aが設けられている。キーマトリクス回路装置100Aは、キーマトリクスを有し、キーマトリクスの複数のスイッチは、各操作部102の裏側に設けられている。各操作部102が押し下げられると、裏側に位置するキーマトリクスのスイッチがオンにされる。
【0014】
図2は、キーマトリクス回路装置100Aを示す図である。
図2では各構成要素を簡略化してブロックとして示す。キーマトリクス回路装置100Aは、MCU(Micro Computer Unit)10、コントローラ20、レギュレータ40、電源スイッチ50、バッテリ端子100A1、キーマトリクス110、OR回路120、及びウェイクアップ回路130を含む。MCU10は、情報処理装置の一例である。コントローラ20は、切替部の一例である。バッテリ30は、電源の一例である。レギュレータ40は、電圧変換部の一例である。OR回路120は、論理和回路の一例である。
図2には、1つのOR回路120を示すが、実際には複数ある。また、
図2には、キーマトリクス回路装置100Aに加えてバッテリ端子100A1に接続されるバッテリ30を示す。
【0015】
MCU10は、通常モードにおいて、キーマトリクス110のすべてのスイッチの接続状態(オン又はオフ)を検出するためのスキャン(キースキャン)を行い、オンにされたスイッチを特定する制御部である。MCU10は、出力ポート10A、複数のスキャンポート10B、複数のセンスポート10C、電源端子10Dを有する。MCU10は、出力ポート10Aから状態信号を出力する。状態信号は、MCU10のモードが通常モード又はスリープモードのいずれであるかを示す。状態信号がL(Low)レベルの場合はMCU10がスリープモードであることを示し、H(High)レベルの場合はMCU10が通常モードであることを示す。
【0016】
通常モードとは、スリープモードが解除されて、MCU10が各種の情報処理を行うことが可能な状態である。スリープモードは、省電力モードの一例であり、MCU10を省電力な状態にするためにMCU10の動作が限られ、起動のために待機している状態である。また、Lレベルは第1レベルの一例であり、Hレベルは第2レベルの一例である。MCU10は、スリープモードから通常モードに移行すると、出力ポート10Aから出力する状態信号をHレベルに設定する。
【0017】
MCU10は、複数のスキャンポート10Bから、キーマトリクス110のすべてのスイッチの接続状態(オン又はオフ)を検出するためのスキャン(キースキャン)を行うためにキースキャン信号を順番に出力する。スキャンを行うことにより、キーマトリクス110のいずれのスイッチがオンにされたかを検出することができる。また、複数のセンスポート10Cは、キーマトリクス110からスキャンにおける検出結果を表すキーセンス信号が入力されるポートであり、MCU10は、キースキャン信号とキーセンス信号との組み合わせに基づいて、オンにされたスイッチを特定する。電源端子10Dは、レギュレータ40で+5Vや+3.3V等の低電圧に変換された直流電力が入力される端子である。
【0018】
コントローラ20は、入力端子20Aと出力端子20Bを有し、ウェイクアップ回路130の出力端子130Bから入力端子20AにLレベルの切替信号が入力されると、出力端子20Bから電源スイッチ50をオンにするための駆動信号を出力する。電源スイッチ50がオンにされると、レギュレータ40にバッテリ30の電源電圧+Vbが供給され、レギュレータ40が変換した+5Vや+3.3V等の低電圧の直流電力がMCU10の電源端子10Dに供給されることで、MCU10がスリープモードから通常モードに切り替わる。コントローラ20は、Lレベルの切替信号に応じて電源スイッチ50をオンにするための駆動信号を出力し、Hレベルの切替信号に応じて電源スイッチ50をオフにするための駆動信号を出力する。なお、コントローラ20は、ここで説明する以外の機能を有していてもよく、例えば、車両に搭載されるCAN(Controller Area Network)で利用されるCANトランシーバであってもよいが、ここでは電源スイッチ50をオンにする機能以外については説明を省略する。
【0019】
バッテリ30は、車両のバッテリであり、一例として12Vの直流電力を出力する。バッテリ30の出力端子30Aは、バッテリ端子100A1を介して、電源スイッチ50とウェイクアップ回路130の電源端子130Cとに接続されており、バッテリ30の電源電圧+Vbが供給される。また、バッテリ30の電源電圧+Vbは、ウェイクアップ回路130の出力端子130Bにプルアップ抵抗器130B1を介して供給される。レギュレータ40は、バッテリ30とMCU10との間に設けられおり、バッテリ30の電源電圧+Vb(+12V)を+5Vや+3.3V等の低電圧に変換してMCU10に出力する。電源スイッチ50は、バッテリ30の出力端子30Aとレギュレータ40の入力端子との間に直列に設けられており、コントローラ20の出力端子20Bから出力される駆動信号によってオン/オフが切り替えられる。
【0020】
キーマトリクス110は、OR回路120とMCU10とに接続されており、複数のスキャン端子110Aと、複数のセンス端子110Bと、マトリクス状に配置される複数のスイッチと、複数のセンス端子110Bと複数のスイッチとの間にそれぞれ接続される複数の分圧抵抗器とを有する。キーマトリクス110の詳細については
図3を用いて後述するため、
図2ではスイッチ及び分圧抵抗器を省略し、スキャン端子110Aとセンス端子110Bを1つずつ示す。複数のスイッチは、複数のスキャン端子110Aと、複数のセンス端子110Bとの間に接続され、マトリクス状に配置されている。複数のスキャン端子110Aは、実際には複数あるOR回路120の論理和出力端子120Bにそれぞれ接続されており、複数のセンス端子110Bは、MCU10の複数のセンスポート10Cにそれぞれ接続されている。
【0021】
キーマトリクス110は、MCU10がスリープモードであるときに、少なくともいずれか1つのスイッチがオンにされると、OR回路120及びウェイクアップ回路130と協働して起動準備信号を生成する。起動準備信号は、ウェイクアップ回路130の接続端子130Dから出力される。また、キーマトリクス110では、MCU10が通常モードであるときにOR回路120を介してMCU10の複数のスキャンポート10Bからキースキャン信号が入力されることによって、各スイッチの接続状態(オン又はオフ)を検出するスキャン(キースキャン)が行われる。キーマトリクス110をスキャンした結果を表すキーセンス信号は、センス端子110BからMCU10の複数のセンスポート10Cに入力される。
【0022】
OR回路120は、実際には複数あり、キーマトリクス110とウェイクアップ回路130との間で並列に設けられている。各OR回路120は、入力端子120A1、120A2と、論理和出力端子120Bとを1つずつ有する。入力端子120A1は、一方の入力端子であり、入力端子120A2は他方の入力端子である。OR回路120は、実際には複数あるため、入力端子120A1、120A2と、論理和出力端子120Bとが複数あるものとして説明する。複数の入力端子120A1は、ウェイクアップ回路130の1つの接続端子130Dに接続されており、複数の入力端子120A2は、MCU10の複数のスキャンポート10Bにそれぞれ接続されている。各OR回路120は、入力端子120A1、120A2に入力される信号の論理和を表す信号を論理和出力端子120Bから出力する。
【0023】
ウェイクアップ回路130は、入力端子130A、出力端子130B、電源端子130C、及び接続端子130Dを有する。入力端子130Aは、MCU10の出力ポート10Aに接続されており、出力ポート10Aから出力される状態信号が入力される。
【0024】
出力端子130Bは、コントローラ20の入力端子20Aに接続されるとともに、プルアップ抵抗器130B1を介してバッテリ30の出力端子30Aに接続されており、MCU10のモードを切り替える切替信号を出力する。
【0025】
電源端子130Cは、バッテリ30の出力端子30Aに接続されている。電源端子130Cには、一例としてバッテリ30の電源電圧+Vbである+12Vの直流電力が入力される。接続端子130Dは、OR回路120の入力端子120A1に接続されている。
【0026】
MCU10がスリープモードであるときに、キーマトリクス110の少なくともいずれか1つのスイッチがオンにされると、キーマトリクス110及びOR回路120と協働して起動準備信号を生成する。ウェイクアップ回路130は、起動準備信号を接続端子130Dから出力する。ウェイクアップ回路130は、起動準備信号を生成すると、Lレベルの切替信号を出力端子130Bからコントローラ20に出力する。この結果、コントローラ20は電源スイッチ50をオンにし、バッテリ30から供給される電源電圧+Vbの直流電力がレギュレータ40で+5Vや+3.3V等の低電圧の直流電力に変換されてMCU10の電源端子10Dに供給され、MCU10が通常モードになる。すなわち、Lレベルの切替信号は、MCU10を通常モードで起動させる起動信号である。起動準備信号は、ウェイクアップ回路130が起動信号を出力するための準備段階で生成される信号である。
【0027】
図3は、キーマトリクス回路装置100Aの詳細な回路構成の一例を示す図である。
図3では、コントローラ20、レギュレータ40、電源スイッチ50等を省略する。
図3に示すキーマトリクス回路装置100Aのキーマトリクス110は、一例として、5個のスキャン端子110Aと、5個のセンス端子110Bと、25個のスイッチ111とを有する。
【0028】
5個のスキャン端子110Aは、MCU10の5個のスキャンポート10Bにそれぞれ接続されている。5個のセンス端子110Bは、MCU10の5個のセンスポート10Cにそれぞれ接続されている。なお、
図3では電源端子10Dを省略する。
【0029】
ここでは、25個のスイッチ111について、
図3における縦方向の並びを列と称し、横方向の並びを行と称す。5個のOR回路120から下方向に延在する5本の線路の各々に接続される5個のスイッチ111は、同一の列に含まれる。各列の延在方向は
図3における縦方向である。また、MCU10の5個のセンスポート10Cから横方向に延在する5本の線路の各々に接続される5個のスイッチ111は、同一の行に含まれる。各行の延在方向は
図3における横方向である。一例として、破線で示すスイッチ111は、4行目の5列目に位置する。
【0030】
また、
図3に示すキーマトリクス回路装置100Aのキーマトリクス110は、5個の分圧抵抗器112をさらに有する。5個の分圧抵抗器112は、それぞれ、各行において、5個のスイッチ111とセンス端子110Bとの間からグランドに分岐する線路に直列に挿入されている。グランドは、基準電位点の一例である。分圧抵抗器112の抵抗値は、MCU10がスリープモードでウェイクアップ回路130の第1トランジスタ131がオフのときに、一例として、4行目の5列目に位置するスイッチ111がオンにされて第2トランジスタがオンになった場合に、4行目に対応するセンスポート10Cに印加される電圧が、MCU10に入力可能な上限電圧(一例として+5V)以下になる抵抗値に設定されている。なお、いずれのスイッチ111がオンにされたときにおいても、対応するセンスポート10Cに印加される電圧は、MCU10に入力可能な上限電圧(一例として+5V)以下になる。MCU10に入力可能な上限電圧は、所定電圧の一例であり、MCU10に入力可能な上限電圧以下になる抵抗値は、MCU10に入力可能な所定電圧以下になる抵抗値の一例である。
【0031】
OR回路120は、キーマトリクス110の列数と同数だけ設けられるため、
図3では5個設けられている。OR回路120は、一例として2つのダイオードを有する。2つのダイオードのうちの一方(
図3における左側のダイオード)のアノードは入力端子120A1である。5個の入力端子120A1は、ウェイクアップ回路130の(1個の)接続端子130Dに接続されている。2つのダイオードのうちの他方(
図3における右側のダイオード)のアノードは入力端子120A2である。5個の入力端子120A2は、それぞれ、MCU10の5個のスキャンポート10Bに接続されている。
【0032】
各OR回路120において、2つのダイオードのカソードは互いに接続され、論理和出力端子120Bになっている。5個の論理和出力端子120Bは、それぞれ、5個のスキャン端子110Aに接続されている。
【0033】
ウェイクアップ回路130は、第1トランジスタ131、第1抵抗器131A、第2トランジスタ132、第2抵抗器132A、第3トランジスタ133、第3抵抗器133Aを有する。第2抵抗器132Aは、プルアップ抵抗器の一例である。
【0034】
第1トランジスタ131は、コレクタ131C、エミッタ131E、ベース131Bを有するNPN型のトランジスタであり、ベース131BがHレベルになるとオンになる。コレクタ131C、エミッタ131E、ベース131Bは、それぞれ、第1電流入力端子、第1電流出力端子、第1制御端子の一例である。第1抵抗器131Aは、エミッタ131Eとベース131Bの間に接続されており、出力ポート10Aから出力される状態信号がLレベルのときに、ベース131Bをグランドレベルに引き下げることで、第1トランジスタ131を確実にオフにするために設けられている。
【0035】
コレクタ131Cは、接続端子130Dと第2トランジスタ132のベース132Bとに接続されている。エミッタ131Eは、グランドに接続されている。ベース131Bは、MCU10の出力ポート10Aに接続されている。このため、第1トランジスタ131は、MCU10がスリープモードで出力ポート10Aからベース131Bに入力される状態信号がLレベルのときは、オフである。第1トランジスタ131は、MCU10が通常モードで出力ポート10Aからベース131Bに入力される状態信号がHレベルのときに、オンになる。
【0036】
第2トランジスタ132は、エミッタ132E、コレクタ132C、ベース132Bを有するPNP型のトランジスタであり、ベース132BがLレベルになるとオンになる。エミッタ132E、コレクタ132C、ベース132Bは、それぞれ、第2電流入力端子、第2電流出力端子、第2制御端子の一例である。第2抵抗器132Aは、エミッタ132Eとベース132Bの間に接続されている。
【0037】
エミッタ132Eは、ウェイクアップ回路130の電源端子130Cに接続されており、電源端子130Cを介してバッテリ30(
図2参照)に接続される。コレクタ132Cは、第3トランジスタ133のベース133Bに接続されている。ベース132Bは、接続端子130Dと第1トランジスタ131のコレクタ131Cとに接続されている。第2トランジスタ132は、MCU10がスリープモードでキーマトリクス110に操作が行われていないときには、第2抵抗器132Aを介してバッテリ30の電源電圧+Vbがベース132Bに供給されてベース132Bが電源電圧+Vbにプルアップされるため、ベース132BがHレベルになり、オフになる。第2トランジスタ132は、MCU10がスリープモードのときにキーマトリクス110の少なくともいずれか1つのスイッチ111に操作が行われてオンになると、オンにされたスイッチ111を介してグランドに接続されるため、ベース132BがLレベルになり、オンになる。また、第2トランジスタ132は、MCU10が通常モードのときにもオンになる。これらの動作については、
図4及び
図5を用いて後述する。
【0038】
第3トランジスタ133は、コレクタ133C、エミッタ133E、ベース133Bを有するNPN型のトランジスタであり、ベース133BがHレベルになるとオンになる。コレクタ133C、エミッタ133E、ベース133Bは、それぞれ、第3電流入力端子、第3電流出力端子、第3制御端子の一例である。第3抵抗器133Aは、エミッタ133Eとベース133Bの間に接続されており、ベース133BがLレベルのときに、ベース133Bをグランドレベルに引き下げることで、第3トランジスタ133を確実にオフにするために設けられている。
【0039】
コレクタ133Cは、ウェイクアップ回路130の出力端子130Bに接続されている。ベース133Bは、第2トランジスタ132のコレクタ132Cに接続されている。エミッタ133Eは、グランドに接続されている。第3トランジスタ133は、第2トランジスタ132がオンになると、バッテリ30から第2トランジスタ132を介して電力が供給されてベース133BがHレベルになることによってオンになる。第3トランジスタ133は、第2トランジスタ132がオフのときは、ベース133BがLレベルになるため、オフになる。すなわち、第3トランジスタ133は、第2トランジスタ132のオン/オフに連動してオン/オフが切り替わる。
【0040】
次に、
図3に加えて
図4及び
図5を用いてキーマトリクス回路装置100Aの動作について説明する。
図4及び
図5は、キーマトリクス回路装置100Aの動作を説明する図である。
図4はMCU10がスリープモードから通常モードに移行する移行時におけるキーマトリクス回路装置100Aの動作を示し、
図5はMCU10が通常モードのときのキーマトリクス回路装置100Aの動作を示す。まず、
図3を用いてMCU10がスリープモードである場合について説明する。
【0041】
MCU10がスリープモードであるときに、
図3に示すように、キーマトリクス110のいずれのスイッチ111にも操作が行われずに、すべてのスイッチ111がオフであるときは、第2抵抗器132Aを介してバッテリ30の電源電圧+Vbが供給されるため、ベース132BがHレベルになる。このため、第2トランジスタ132はオフである。第2トランジスタ132はオフであるため、第3トランジスタ133もオフであり、出力端子130Bから出力される切替信号は、Hレベルである。出力端子130Bはプルアップ抵抗器130B1を介してバッテリ30に接続されており(
図2参照)、第3トランジスタ133がオフであるため、バッテリ30の電源電圧+Vbからプルアップ抵抗器130B1(
図2参照)の電圧降下分を差し引いた電圧がHレベルの信号として出力端子130Bに生じるからである。この状態では、切替信号はHレベルであるため、MCU10はスリープモードのままである。
【0042】
次に、
図4に示す移行時では、MCU10がスリープモードのときに、一例として破線で示す4行目の5列目のスイッチ111が押されてオンになると、オンにされたスイッチ111がグランドに接続されるため、第2トランジスタ132のベース132Bの電位が低下してLレベルになることによって第2トランジスタ132がオンになる。第2トランジスタ132がオンになると、第3トランジスタ133もオンになる。第3トランジスタ133がオンになると、オンになった第3トランジスタ133のコレクタ133Cとエミッタ133Eとの間を通じて出力端子130Bがグランドに接続されるため、出力端子130BがLレベルになる。
【0043】
出力端子130BがLレベルになると、コントローラ20が電源スイッチ50をオンにするため、MCU10の電源端子10Dにレギュレータ40から+5Vや+3.3V等の低電圧の電力が供給され、MCU10がウェイクアップして通常モードになる。MCU10は、通常モードになると出力ポート10Aから出力する状態信号をHレベルに設定する。
【0044】
MCU10が通常モードになり、出力ポート10Aから出力される状態信号がHレベルになると、
図5に示すように第1トランジスタ131がオンになる。第1トランジスタ131がオンになると、エミッタ131Eがグランドに接続されているため、接続端子130DがLレベルになるとともに、第2トランジスタ132のベース132BがLレベルになり、第2トランジスタ132がオンになる。第2トランジスタ132がオンになると、第3トランジスタ133もオンになる。このため、第1トランジスタ131、第2トランジスタ132、第3トランジスタ133のすべてがオンになる。
【0045】
また、接続端子130DがLレベルになると、5個のOR回路120の入力端子120A1にLレベルが入力されるため、MCU10の複数のスキャンポート10Bの出力のレベルが5個のOR回路120の論理和出力端子120Bに反映される状態になる。このため、複数のスキャンポート10Bから順番にHレベルのキースキャン信号を出力すれば、キーマトリクス110の5つの列を順番にHレベルにすることができ、キーマトリクス110のスキャンが可能な状態になる。
【0046】
図6は、スリープモード、移行時、及び通常モードのときの状態信号、起動準備信号、切替信号、第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタの状態を示す図である。上側の表に示すように、スリープモードでは、状態信号、起動準備信号、切替信号は、それぞれ、Lレベル、Hレベル、Hレベルである。また、移行時では、状態信号、起動準備信号、切替信号は、それぞれ、Lレベル、Lレベル、Hレベルである。通常モードでは、状態信号、起動準備信号、切替信号は、それぞれ、Hレベル、Lレベル、Lレベルである。スリープモードにおいていずれかのスイッチ111がオンにされて移行時になると、起動準備信号がLレベルになり、切替信号がLレベルに変化して通常モードに移行する。
【0047】
また、下側の表に示すように、スリープモードでは、第1トランジスタ131、第2トランジスタ132、第3トランジスタ133は、すべてオフであり、移行時では、第1トランジスタ131、第2トランジスタ132、第3トランジスタ133は、それぞれ、オフ、オン、オンであり、通常モードでは、第1トランジスタ131、第2トランジスタ132、第3トランジスタ133は、すべてオンである。スリープモードにおいていずれかのスイッチ111がオンにされて移行時になると、第2トランジスタ132がオンになり、さらに第3トランジスタ133がオンになることで切替信号がLレベルに変化して通常モードに移行する。第2トランジスタ132と第3トランジスタ133のオン/オフは連動している。
【0048】
以上のように、キーマトリクス110の分圧抵抗器112は、MCU10の複数のセンスポート10Cにそれぞれ接続される複数のセンス端子110Bの電圧をMCU10の入力上限電圧以下にする抵抗値をそれぞれ有する。また、ウェイクアップ回路130は、MCU10がスリープモードのときに複数のスイッチ111のうちの少なくともいずれか1つがオンにされて接続端子130Dの電位がLレベルになると、MCU10のモードを通常モードに切り替えるLレベルの切替信号を出力端子130Bから出力する。
【0049】
したがって、MCU10に入力可能な上限電圧よりも高い(バッテリ30の)電源電圧+Vbをそのまま利用可能なキーマトリクス回路装置100A、及び、入力装置100を提供することができる。
【0050】
また、MCU10をウェイクアップさせる操作を検出する際に、複数のスイッチ111のうちの少なくともいずれか1つがオンになれば、第2トランジスタ132のエミッタ132Eに接続されたバッテリ30から、ベース132B、接続端子130D、オンにされたスイッチ111を含む列のOR回路120、オンにされたスイッチ111を経て、グランドに向かって電流が流れる。そして、ベース132BがLレベルになることによって第2トランジスタ132がオンになり、第3トランジスタ133がオンになり、Lレベルの切替信号が出力端子130Bから出力されてMCU10がウェイクアップする。このため、MCU10をウェイクアップさせる操作を検出する際に、キーマトリクス110をスキャンする必要がない。したがって、MCU10をウェイクアップさせる操作を検出する際における省電力化を図ったキーマトリクス回路装置100A、及び、入力装置100を提供することができる。
【0051】
また、接続端子130Dから出力される起動準備信号がLレベルになると、バッテリ30とMCU10の電源端子10Dとの間に接続され電源電圧をMCU10に入力可能な電圧に変換するレギュレータ40と、バッテリ30との間に設けられる電源スイッチ50を導通させる。このため、起動準備信号に応じてMCU10に電力を供給することができ、MCU10をウェイクアップさせて通常モードに移行させることができる。
【0052】
また、キーマトリクス回路装置100Aは、複数のスキャン端子110Aにそれぞれ接続される複数の論理和出力端子120Bをそれぞれ有する複数のOR回路120をさらに含む。ウェイクアップ回路130は、MCU10に接続されモードを表す状態信号が入力される入力端子130Aと、接続端子130D及び電源端子10Dに接続されるコレクタ131Cと、グランドに接続されるエミッタ131Eと、入力端子130Aに接続されるベース131Bとを有し、ベース131BにHレベルの信号が入力されるとオンになる第1トランジスタ131とをさらに有する。接続端子130Dは、複数のOR回路120の一方の入力端子120A1に接続されており、複数のOR回路120の他方の入力端子120A2は、MCU10の複数のスキャンポート10Bに接続されており、状態信号は、MCU10が通常モードのときはHレベルである。このため、MCU10が通常モードになると、第1トランジスタ131がオンになって接続端子130DがLレベルになり、複数のOR回路120の一方の入力端子120A1にLレベルの信号が入力されるため、複数のスキャンポート10Bから他方の入力端子120A2に入力されるキースキャン信号が複数のOR回路120の論理和出力端子120Bに反映される状態になる。
【0053】
また、MCU10が切替信号によって通常モードに切り替えられると、第1トランジスタ131がオンになり、接続端子130Dの電位をLレベルに引き下げることで、ウェイクアップ回路130は、複数のスキャンポート10Bから出力されるスキャン信号で複数のスイッチ111の接続状態をスキャン可能な状態になる。すなわち、複数のOR回路120の一方の入力端子120A1にLレベルの信号が入力されている状態で、複数のスキャンポート10Bから他方の入力端子120A2に入力されるキースキャン信号でキーマトリクス110をスキャン可能になる。
【0054】
また、ウェイクアップ回路130は、電源端子10Dに接続されるエミッタ132Eと、コレクタ132Cと、接続端子130D及びコレクタ131Cに接続されるベース132Bとを有し、ベース132BにLレベルの信号が入力されるとオンになる第2トランジスタ132と、第2トランジスタ132のエミッタ132Eとベース132Bとを接続する第2抵抗器132Aとをさらに有する。接続端子130Dは、第2トランジスタ132及び第2抵抗器132Aを介して電源端子10Dに接続される。このため、MCU10がスリープモードですべてのスイッチ111に操作が行われていない状態では、接続端子130Dは第2抵抗器132Aを介してバッテリ30に接続されるためHレベルであり、第2トランジスタ132はオフの状態である。いずれかのスイッチ111がオンになって接続端子130DがLレベルになって第2トランジスタ132がオンになると、Lレベルの切替信号が出力端子130Bから出力されてMCU10を通常モードに移行させることができる。
【0055】
また、MCU10がスリープモードで複数のスイッチ111がオフの状態では、接続端子130Dの電位はHレベルである。このため、第2トランジスタ132がオフの状態に保持され、MCU10のスリープモードを確実に保持することができる。
【0056】
また、ウェイクアップ回路130は、MCU10がスリープモードのときに複数のスイッチ111のうちの少なくともいずれか1つがオンにされて接続端子130Dの電位がLレベルになると、第2トランジスタ132がオンになることでモードを通常モードに切り替える切替信号を出力端子130Bから出力する。このため、第2トランジスタ132がオンになることでMCU10を確実にウェイクアップさせて通常モードに移行させることができる。
【0057】
また、ウェイクアップ回路130は、出力端子130Bに接続される第3電流入力端子133Cと、グランドに接続されるエミッタ133Eと、コレクタ132Cに接続されるベース133Bとを有し、ベース133BにHレベルの信号が入力されるとオンになる第3トランジスタ133をさらに有する。出力端子130Bは、プルアップ抵抗器130B1を介してバッテリ30に接続されており、モードを通常モードに切り替える切替信号は、Lレベルの信号である。このため、第2トランジスタ132に連動してオンになる第3トランジスタを用いて、スリープモードのときは切替信号をHレベルに設定でき、複数のスイッチ111のうちの少なくともいずれか1つがオンにされたときに、Lレベルの切替信号でMCU10を確実にウェイクアップさせて通常モードに移行させることができる。
【0058】
また、状態信号がスリープモードであることを表すLレベルのときに、複数のスイッチ111のうちの少なくともいずれか1つがオンにされてベース132BにLレベルの信号が入力されて第2トランジスタ132がオンになると、ベース133Bの電位がHレベルになって第3トランジスタ133がオンになることで切替信号がLレベルになる。第2トランジスタ132に連動してオンになる第3トランジスタを用いて、MCU10を通常モードに移行させるために(ウェイクアップさせるために)Lレベルの切替信号を確実に生成でき、Lレベルの切替信号でMCU10を確実に通常モードに移行させることができる。
【0059】
また、入力装置100では、接続端子130Dから出力される起動準備信号がLレベルになると、バッテリ30とMCU10の電源端子10Dとの間に接続され電源電圧をMCU10に入力可能な電圧に変換するレギュレータ40と、バッテリ30との間に設けられる電源スイッチ50を導通させる。このため、起動準備信号に応じてMCU10に電力を供給することができ、MCU10をウェイクアップさせて通常モードに移行させることができる。
【0060】
なお、以上では、ウェイクアップ回路130が第1トランジスタ131、第2トランジスタ132、第3トランジスタ133、第1抵抗器131A、第2抵抗器132A、第3抵抗器133Aを有する形態について説明したが、同様の動作が可能であれば、ウェイクアップ回路130の回路構成は、このような回路構成に限られるものではない。
【0061】
また、OR回路120が2つのダイオードを有する形態について説明したが、整流作用を保持しつつ、2つの入力の論理和を出力できる回路であればよいため、OR回路120は上述した回路構成に限られるものではない。
【0062】
また、キーマトリクス110が5行×5列の形態について説明したが、キーマトリクス110はこのような構成に限定されるものではなく、行数と列数は幾つであってもよい。
【0063】
以上、本発明の例示的な実施形態のキーマトリクス回路装置、及び、入力装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0064】
本国際出願は2020年12月22日に出願した日本国特許出願2020-212587号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願2020-212587号の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0065】
10 MCU(情報処理装置)
10A 出力ポート
10B スキャンポート
10C センスポート
10D 電源端子
20 コントローラ(切替部)
30 バッテリ(電源)
40 レギュレータ(電圧変換部)
50 電源スイッチ
100 入力装置
100A キーマトリクス回路装置
110 キーマトリクス
110A スキャン端子
110B センス端子
111 スイッチ
112 分圧抵抗器
120 OR回路(論理和回路)
120A1、120A2 入力端子
120B 論理和出力端子
130 ウェイクアップ回路
130A 入力端子
130B 出力端子
130B1 プルアップ抵抗器
130C 電源端子
130D 接続端子
131 第1トランジスタ
131C コレクタ(第1電流入力端子)
131E エミッタ(第1電流出力端子)
131B ベース(第1制御端子)
132 第2トランジスタ
132E エミッタ(第2電流入力端子)
132C コレクタ(第2電流出力端子)
132B ベース(第1制御端子)
133 第3トランジスタ
133C コレクタ(第3電流入力端子)
133E エミッタ(第3電流出力端子)
133B ベース(第3制御端子)