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特許7422925バイオリアクター培養方法、及び、バイオリアクターの滅菌装置
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  • 特許-バイオリアクター培養方法、及び、バイオリアクターの滅菌装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】バイオリアクター培養方法、及び、バイオリアクターの滅菌装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/12 20060101AFI20240119BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
C12M1/12
C12N1/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023117906
(22)【出願日】2023-07-19
【審査請求日】2023-07-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000171919
【氏名又は名称】佐竹マルチミクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】加藤 好一
【審査官】北田 祐介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/025686(WO,A1)
【文献】特表2016-529918(JP,A)
【文献】特開2019-198241(JP,A)
【文献】特表2021-533985(JP,A)
【文献】特開2020-103307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオリアクターの生化学反応未使用のシングルユースのバッグと、該バッグに装着された生化学反応未使用のリユースされるバイオリアクター付帯設備とからなる滅菌済みのハイブリッド型バイオリアクターの
バッグ内に培養液を供給する第一の工程と、
前記培養液を培養する第二の工程と、
前記培養された培養液を排出する第三の工程と、
前記バッグ内及び該バッグに装着された、該バッグ内の生化学反応後のリユースのバイオリアクター付帯設備を洗浄液により洗浄する第四の工程と、
前記バッグを破棄し、新たな生化学反応未使用のシングルユースバッグに、前記洗浄されたリユースのバイオリアクター付帯設備を装着する第五の工程と、
前記バッグ内及び該バッグに装着した、該バッグ内の前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌する第六の工程と、
前記バッグ内に培養液を供給する第七の工程と、
前記第二の工程から前記第七の工程までを必要な回数だけ繰り返す第八の工程とよりなることを特徴とするバイオリアクター培養方法。
【請求項2】
生化学反応未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備を有する、バイオリアクターの生化学反応未使用のシングルユースのバッグと、該バッグに装着された生化学反応未使用のリユースされるバイオリアクター付帯設備とからなる滅菌済みのハイブリッド型バイオリアクターの
バッグ内に培養液を供給する第一の工程と、
前記培養液を培養する第二の工程と、
前記培養された培養液を排出する第三の工程と、
前記バッグ内及び該バッグに装着された、該バッグ内の生化学反応後のリユースのバイオリアクター付帯設備を洗浄液により洗浄する第四の工程と、
前記シングルユースのバッグ及びバイオリアクター付帯設備を破棄し、新たな生化学反応未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備を有する、新たな生化学反応未使用のシングルユースバッグに、前記洗浄されたリユースのバイオリアクター付帯設備を装着する第五の工程と、
前記バッグ内及び前記バッグに装着した、該バッグ内の前記シングルユースバイオリアクター付帯設備及び前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌する第六の工程と、
前記バッグ内に培養液を供給する第七の工程と、
前記第二の工程から前記第七の工程までを必要な回数だけ繰り返す第八の工程とよりなることを特徴とするバイオリアクター培養方法。
【請求項3】
バイオリアクターの生化学反応使用後のシングルユースのバッグと、該バッグに装着された生化学反応使用後のリユースされるバイオリアクター付帯設備とを洗浄する洗浄手段と、
新たな生化学反応未使用のシングルユースのバッグ内及び該新たなシングルユースのバッグに装着した、前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌するオゾン滅菌手段とよりなることを特徴とするバイオリアクターの滅菌装置。
【請求項4】
前記生化学反応使用後のシングルユースのバッグには、生化学反応使用後のシングルユースのバイオリアクター付帯設備も装着され、
前記洗浄手段は、前記生化学反応使用後のシングルユースのバイオリアクター付帯設備も洗浄する手段であり、
前記滅菌手段は、前記新たな生化学反応未使用のシングルユースバッグに装着した、生化学反応未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備もオゾンにより滅菌する手段であることを特徴とする請求項3に記載のバイオリアクターの滅菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬分野等で使用される液体の撹拌や、動植物の細胞・組織の一部または個体や微生物や菌体等の培養物などを培養、撹拌等を行うバイオリアクター(生化学反応装置)を滅菌する装置、滅菌する方法、該滅菌装置を有するバイオリアクター培養装置、及び、培養する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、バッグ(培養容器)、及び、このバッグに付帯する(装着される)インペラやシャフト等のバイオリアクター付帯設備の全てが使い捨てとなるシングルユースバイオリアクターがある。
【0003】
このシングルユースバイオリアクターは、SUS製タンク(容器)を持たずに、例えば、柔軟素材の可撓性のある合成樹脂製 (ポリエチレンなどのプラスチック製、エラストマー製)の使い捨て(シングルユース)バッグなどの可撓性バッグが用いられ、このバッグに、インペラやシャフト等などのバイオリアクター付帯設備が、前記バッグに一体化して設けられ、培養等の生化学反応使用後は、全体が使い捨てになり、一度使用した後は全て破棄される。
【0004】
なお、前記バイオリアクター付帯設備としては、例えば、インペラやシャフト以外に、該シャフトを前記バッグに気密(液密)に回転自在に貫通させる密閉手段や、バッグ内に液体・気体を供給・排出したり、内容物を加熱・冷却したりするため等の、前記バッグを気密(液密)に接続や貫通する配管(チューブ)や加熱・冷却体やスパージャーや、バッフルなどがある。
【0005】
そして、前記シングルユースバイオリアクターは、事前に密閉条件にて、内部をγ滅菌やEG滅菌を行ったバッグ(容器)を利用するため、コンタミリスクが極めて低く、また、培養前の高温スチーム滅菌工程(SIP)や、薬液洗浄工程(CIP)や、それに伴うバリデーションや設備側のユーティリティー装置が必要ないなど、その利点は大きい。
【0006】
また、バッグに設けられた配管も柔軟素材のチューブで、外部管に無菌接続が可能であり、コンタミリスクの低減と共に、運用も非常に楽になった。
【0007】
例えば、シングルユースバイオリアクターとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-212017号公開公報第5図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、高通気流量、高動力で運用されることの多い微生物培養や、とりわけ高粘性流体で高通気、高動力撹拌を求められる糸状菌培養では、虚弱構造による破損を防ぐため、強度の高いシングルユース構造(インペラやシャフト)が求められる。
【0010】
これを担保するためシングルユース構造でありながら、低動力の動物細胞培養などと比べ、イニシャル構造が高いという課題があった。
【0011】
また同時に、コストとの関係上、培養負荷に安全面での制約がかけられ、トラブルの危険性もはらんでいた。
【0012】
そこで、本発明者は、種々実験検討等により、従来のシングルユースバイオリアクターにおいて、費用のかからないバッグやチューブ等(シングルユース部品)は、シングルユースとし、コストのかかるインペラやシャフト等(リユース部品)はリユースとしたハイブリッド型バイオリアクターを用いるようにし、該リユース部品の滅菌は、ユーティリティーで最もコストがかかる蒸気滅菌(SIP)のみを無くし、例えば、CIP等の洗浄工程に関しては従来通りとし、滅菌に関しては、オゾン滅菌を行うバイオリアクターの滅菌装置を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成すべく、本発明のバイオリアクターの滅菌装置は、バイオリアクターの生化学反応未使用のシングルユースのバッグに装着される、生化学反応使用後のリユースされるバイオリアクター付帯設備を洗浄する洗浄手段と、前記バッグ内及び該バッグに装着した、該バッグ内の前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌するオゾン滅菌手段とよりなることを特徴とする。
【0014】
また、前記リユースされるバイオリアクター付帯設備は、インペラ、及び、シャフトであることを特徴とする。
【0015】
また、前記バッグには、生化学反応未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備を有し、前記滅菌手段は、前記バッグ内及び該バッグに装着した、該バッグ内の前記未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備及び前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌する手段であることを特徴とする。
【0016】
また、前記シングルユースのバイオリアクター付帯設備は、チューブであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の滅菌装置を有するバイオリアクター培養装置は、バイオリアクターの生化学反応未使用のシングルユースのバッグに装着される、生化学反応使用後のリユースされるバイオリアクター付帯設備を洗浄する洗浄手段と、前記バッグ内及び該バッグに装着した、該バッグ内の前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌するオゾン滅菌手段と、前記バッグ内に供給された内容物を培養する培養手段とよりなることを特徴とする。
【0018】
また、前記バッグには、生化学反応未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備を有し、前記滅菌手段は、前記バッグ内及び該バッグに装着した、該バッグ内の前記生化学反応未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備及び前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌する手段であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明のバイオリアクターの滅菌方法は、バイオリアクターの生化学反応未使用のシングルユースのバッグに装着される、生化学反応使用後のリユースされるバイオリアクター付帯設備を洗浄する第一の工程と、前記バッグに、前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備を装着する第二の工程と、前記バッグ内及び該バッグに装着した、該バッグ内の前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌する第三の工程とよりなることを特徴とする。
【0020】
また、本発明のバイオリアクターの滅菌方法は、生化学反応未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備を有する、バイオリアクターの生化学反応未使用のシングルユースのバッグに装着される、生化学反応使用後のリユースされるバイオリアクター付帯設備を洗浄する第一の工程と、前記バッグに、前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備を装着する第二の工程と、前記バッグ内及び該バッグに装着した、該バッグ内の前記生化学反応未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備及び前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌する第三の工程とよりなることを特徴とする。
【0021】
また、本発明のバイオリアクター培養方法は、バイオリアクターの生化学反応未使用のシングルユースのバッグと、該バッグに装着された生化学反応未使用のリユースされるバイオリアクター付帯設備とからなる滅菌済みのハイブリッド型バイオリアクターのバッグ内に培養液を供給する第一の工程と、前記培養液を培養する第二の工程と、前記培養された培養液を排出する第三の工程と、前記バッグ内及び該バッグに装着された、該バッグ内の生化学反応後のリユースのバイオリアクター付帯設備を洗浄液により洗浄する第四の工程と、前記バッグを破棄し、新たな生化学反応未使用のシングルユースバッグに、前記洗浄されたリユースのバイオリアクター付帯設備を装着する第五の工程と、前記バッグ内及び該バッグに装着した、該バッグ内の前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌する第六の工程と、前記バッグ内に培養液を供給する第七の工程と、前記第二の工程から前記第七の工程までを必要な回数だけ繰り返す第八の工程とよりなることを特徴とする。
【0022】
また、本発明のバイオリアクター培養方法は、生化学反応未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備を有する、バイオリアクターの生化学反応未使用のシングルユースのバッグと、該バッグに装着された生化学反応未使用のリユースされるバイオリアクター付帯設備とからなる滅菌済みのハイブリッド型バイオリアクターのバッグ内に培養液を供給する第一の工程と、前記培養液を培養する第二の工程と、前記培養された培養液を排出する第三の工程と、前記バッグ内及び該バッグに装着された、該バッグ内の生化学反応後のリユースのバイオリアクター付帯設備を洗浄液により洗浄する第四の工程と、前記シングルユースのバッグ及びバイオリアクター付帯設備を破棄し、新たな生化学反応未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備を有する、新たな生化学反応未使用のシングルユースバッグに、前記洗浄されたリユースのバイオリアクター付帯設備を装着する第五の工程と、前記バッグ内及び前記バッグに装着した、該バッグ内の前記シングルユースバイオリアクター付帯設備及び前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌する第六の工程と、前記バッグ内に培養液を供給する第七の工程と、前記第二の工程から前記第七の工程までを必要な回数だけ繰り返す第八の工程とよりなることを特徴とする。
【0023】
また、本発明のバイオリアクター培養方法は、バイオリアクターの生化学反応未使用のシングルユースのバッグと、該バッグに装着された生化学反応未使用のリユースされるバイオリアクター付帯設備とからなる滅菌済みのハイブリッド型バイオリアクターのバッグ内に培養液を供給する第一の工程と、前記培養液を培養する第二の工程と、前記培養された培養液を排出する第三の工程と、前記バッグを破棄し、前記生化学反応後のリユースのバイオリアクター付帯設備を洗浄液により洗浄する第四の工程と、新たな生化学反応未使用のシングルユースバッグに、前記洗浄されたリユースのバイオリアクター付帯設備を装着する第五の工程と、前記バッグ内及び該バッグに装着した、該バッグ内の前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌する第六の工程と、前記バッグ内に培養液を供給する第七の工程と、前記第二の工程から前記第七の工程までを必要な回数だけ繰り返す第八の工程とよりなることを特徴とする。
【0024】
また、本発明のバイオリアクター培養方法は、生化学反応未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備を有する、バイオリアクターの生化学反応未使用のシングルユースのバッグと、該バッグに装着された生化学反応未使用のリユースされるバイオリアクター付帯設備とからなる滅菌済みのハイブリッド型バイオリアクターのバッグ内に培養液を供給する第一の工程と、前記培養液を培養する第二の工程と、前記培養された培養液を排出する第三の工程と、前記シングルユースのバッグ及びバイオリアクター付帯設備を破棄し、前記生化学反応後のリユースのバイオリアクター付帯設備を洗浄液により洗浄する第四の工程と、新たな生化学反応未使用のシングルユースのバイオリアクター付帯設備を有する、新たな生化学反応未使用のシングルユースバッグに、前記洗浄されたリユースのバイオリアクター付帯設備を装着する第五の工程と、前記バッグ内及び前記バッグに装着した、前記バッグ内の前記シングルユースバイオリアクター付帯設備及び前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌する第六の工程と、前記バッグ内に培養液を供給する第七の工程と、前記第二の工程から前記第七の工程までを必要な回数だけ繰り返す第八の工程とよりなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、従来のシングルユースバイオリアクターと比較し、導入コストとイニシャルコストを大幅に低減させるとともに、糸状菌培養の様な強力な撹拌が必要な培養系でのバイオリアクターの導入が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のハイブリッド型バイオリアクターのシングルユースのバッグ及びチューブからなるシングルユース部品の説明図である。
図2図1におけるシングルユースのチューブの説明図である。
図3】本発明のハイブリッド型バイオリアクターのリユースされるインペラ、シャフト、配管等からなるリユース部品の説明図である。
図4図3におけるリユースされるインペラ、シャフトの説明図である。
図5】本発明の滅菌装置を有するバイオリアクター培養装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0028】
本発明の実施例1を図1図5によって説明する。
【0029】
(1.ハイブリッド型バイオリアクターの説明)
【0030】
本発明においては、シングルユース部品とリユース部品とからなるハイブリッド型バイオリアクターを用いる。
【0031】
そして、後述するように、該ハイブリッド型バイオリアクターを用いて、培養等を行い、そして、該ハイブリッド型バイオリアクターのリユース部品の滅菌は、コストがかかる蒸気滅菌(SIP)を無くし、オゾン滅菌により滅菌することにより、全体的なコスト低減を図るようにする。
【0032】
即ち、本発明においては、従来のシングルユースバイオリアクターのうち、例えば、図1及び図2に示すように、費用の安いバッグ(培養容器)1や、該バッグ1に接続や貫通するなどして設けられるチューブ2等をシングルユースとし、そして、図3及び図4に示すように、バイオリアクター付帯設備のうち、特に、費用の高いインペラ3やシャフト4は、例えば、ステンレス製のリユースとする。
【0033】
なお、前記リユース部品としては、インペラ3やシャフト4以外に、例えば、前記シャフト4のバッグへの密閉手段や、内容物を加熱・冷却したりする液体や気体を流す配管5や、内容物を加熱・冷却したりする加熱・冷却体(図示せず)や、スパージャー6や、バッフル7をステンレス製としたリユース部品としてもよい。
【0034】
また、前記シングルユース部品としては、バッグ1やチューブ2以外に、前記シャフトの密閉手段や、前記配管5や、加熱・冷却体や、スパージャー6や、バッフル7等がある。
【0035】
なお、前記バイオリアクター付帯設備のうちどの部品が、シングルユース部品となるか、或いは、リユース部品になるかは、各部品のコストや使用態様等によりそれぞれ決められる。
【0036】
(2,バイオリアクターの滅菌装置を有するバイオリアクター培養装置の説明)
【0037】
次に、前記ハイブリッド型バイオリアクターにより、培養し、滅菌するバイオリアクターの滅菌装置を有するバイオリアクター培養装置を説明する。
【0038】
なお、以下の説明は、バッグとチューブをシングルユース部品とし、インペラ、シャフト、スパージャー、管、加熱・冷却体をリユース部品として説明するが、他の組み合わせであっても、同様である。
【0039】
該滅菌装置を有するバイオリアクター培養装置8は、例えば、図5に示すように、バッグとバイオリアクター付帯設備とよりなるハイブリッド型バイオリアクターと、該ハイブリッド型バイオリアクターを、上部から挿入して支持する円筒状の支持ハウジング9と、前記ハイブリッド型バイオリアクターのバッグ1に設けられたチューブ2の端部に、それぞれ接続される、バッグ内に、例えば、培地と細胞(菌種株)等よりなる培養液等を供給・排出する培養液供給タンク(図示せず)及び培養液排出タンク(図示せず)等からなる培養液供給排出手段や、前記バッグ内にオゾンを供給・排出するオゾン発生装置10等からなるオゾン滅菌手段や、前記バッグ内に洗浄液を供給・排出する洗浄液供給装置11及び洗浄剤廃棄装置12等からなる洗浄手段と、前記チューブ2又は配管又は前記加熱・冷却体の端部に接続される前記バッグ内の温度を調整する温度調節器(温調器)13と、前記スパージャーの端部に接続されるスパージャー用気体供給装置(図示せず)と、及び、前記各装置を制御する制御装置14とよりなる。
【0040】
なお、前記各チューブの端部には、例えば、液体や気体等を容器内に供給するための外部管に、無菌状態で接続可能な、閉じられた無菌プラグを有すると共に、開閉バルブが設けられている。
【0041】
なお、前記チューブに開閉バルブを設ける代わりに、外部管側に開閉バルブを設けるようにしてもよい。
【0042】
また、例えば、前記配管等の所望の箇所に、又は、該配管に接続される外部管に開閉バルブが設けてもよい。
【0043】
また、前記シャフトの、バッグ外に突出した基部には、モーター等の回転手段が設けられる。
【0044】
次に本発明の使用方法を説明する。
【0045】
まず、最初は、未使用で滅菌済みのハイブリッド型バイオリアクターを、前記支持ハウジング9に、上部から挿入して固定し、カバーを閉める。
【0046】
そして、前記ハイブリッド型バイオリアクターの各チューブ2を、前記培養液供給タンク、培養液排出タンク、オゾン発生装置10、洗浄剤供給装置11、洗浄剤廃棄装置12等の各外部管に接続する。
【0047】
また、内容物を加熱・冷却したりする液体を流す配管5や加熱・冷却体等の、前記バッグ外に突出した部分を、前記温度調節器13に接続し、また、スパージャーの、前記バッグ外に突出した部分を、スパージャー用気体供給装置に接続する。
【0048】
なお、この段階では、各チューブや配管等の各開閉バルブは閉じている。
【0049】
そして、前記前記培養液供給タンクに接続されたチューブの開閉バルブを開き、培地と細胞(菌種株)等の培養液(内容物)をバッグ内に張り込む。そして、前記開閉バルブを閉じて、必要に応じて、前記撹拌装置等を作動させて、培養等の生化学反応を行う。
【0050】
培養等の生化学反応終了後、前記洗浄剤廃棄装置に接続されたチューブの開閉バルブを開き、吸引等により、培養液を、前記培養液排出タンク内に抜き出す。
【0051】
そして、例えば、CIP洗浄、即ち、前記開閉バルブを閉じ、そして、洗浄剤供給装置11、洗浄剤廃棄装置12に接続された各開閉バルブを必要に応じて開閉して、洗浄液導入用のチューブから、洗浄液を導入し、バッグ内及び、インペラや配管、バッフル等の付帯設備を洗浄し、該洗浄液を排出し、前記洗浄剤廃棄装置に回収するようにする。
【0052】
次に、前記ハイブリッド型バイオリアクターを前記支持ハウジング9から取り外し、該ハイブリッド型バイオリアクターのうちバッグ等のシングルユース部品を取り外して、破棄する。また、前記ハイブリッド型バイオリアクターから取り外したインペラ等の使用済みで洗浄済みのリユース部品を、新しい未使用のバッグに装着する。
【0053】
なお、前記バッグ内に洗浄液を導入してリユース部品をCIP洗浄する以外に、培養等の生化学反応後に、前記ハイブリッド型バイオリアクターを、前記支持ハウジング9から取り外し、該ハイブリッド型バイオリアクターのうちバッグ等のシングルユース部品を取り外して、破棄して、そして、リユース部品を別途、洗浄し、該生化学反応使用後で洗浄されたリユース部品を、新しい未使用のバッグに装着するようにしてもよい。
【0054】
そして、前記と同様に、洗浄されたハイブリッド型バイオリアクターを、前記支持ハウジング9に、上部から挿入して固定し、それぞれチューブや配管等を必要な外部管等に接続する。
【0055】
そして、前記オゾン発生装置10に接続したチューブの開閉バルブを開き、バッグ内に、オゾンを導入し、バッグ内、及び、バッグ内のバイオリアクター付帯設備をオゾン滅菌する。
【0056】
なお、前記バッグ内のバイオリアクター付帯設備とは、バッグ外に延びるチューブや配管の内部の開閉バルブまでの部分も含む概念である。
【0057】
そして、オゾン滅菌濃度は、例えば、一晩で滅菌が行われるように、前記制御装置により制御される。
【0058】
そして、例えば、翌日の滅菌後は、前記開閉バルブを閉じ、前記と同様に、前記バッグ内に、培地と細胞(菌種株)等かなる培養液をバッグ内に張り込み、そして、培養を行う。そして、前記と同様に、培養液を排出し、洗浄し、一晩滅菌を行う。
【0059】
これを繰り返すようにする。
【0060】
本発明によれば、ハイブリッド型バイオリアクターを用い、リユース部品は、費用のかかる蒸気滅菌(SIP)を行わずに、洗浄と、オゾン滅菌により、滅菌することにより、全体としてコストを低下させることができるようになった。
【0061】
従って、特に数百LクラスのPILOT装置の導入コストとランニングコスト、滅菌バリデーションの手間とコンタミリスクを大幅に削減することに成功した。
【0062】
本発明のバイオリアクター用容器は、医療品関係、食品関係等において利用される。
【符号の説明】
【0063】
1 バッグ
2 チューブ
3 インペラ
4 シャフト
5 配管
6 スパージャー
7 バッフル
8 バイオリアクター装置
9 ハウジング
10 オゾン発生装置
11 洗浄剤供給装置
12 洗浄剤廃棄装置
13 温度調節器
14 制御装置
【要約】
【課題】従来のシングルユースバイオリアクターは、高コストのシャフト等を使用した場合には、全体のコストが高くなってしまうという欠点があった。
【解決手段】本発明のバイオリアクターの滅菌装置は、バイオリアクターの生化学反応未使用のシングルユースのバッグに装着される、生化学反応使用後のリユースされるバイオリアクター付帯設備を洗浄する洗浄手段と、前記バッグ内及び該バッグに装着した、該バッグ内の前記洗浄されたバイオリアクター付帯設備をオゾンにより滅菌するオゾン滅菌手段とよりなることを特徴とする。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5