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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】操作器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/666 20060101AFI20240119BHJP
   H01H 33/38 20060101ALI20240119BHJP
   H01H 33/66 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
H01H33/666 P
H01H33/38
H01H33/66 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023522036
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2021018761
(87)【国際公開番号】W WO2022244092
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田村 幸三
(72)【発明者】
【氏名】小林 将人
(72)【発明者】
【氏名】芝山 慎一
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特公昭35-013270(JP,B1)
【文献】特開2011-216245(JP,A)
【文献】国際公開第2013/175653(WO,A1)
【文献】特開2012-199276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/28 - 33/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側電極と対向配置され電気的に接触する可動側電極を操作する駆動軸を駆動する可動鉄心と、該可動鉄心の周囲に配置されたコイルとを備え、前記可動側電極の前記固定側電極との開閉動作に伴い前記駆動軸と前記可動鉄心が一体に動作する操作器であって、
前記操作器は、前記可動側電極側では前記駆動軸が第1の軸受で支持され、前記可動側電極側とは反対側では前記可動鉄心が第2の軸受で支持されており、
前記可動側電極と前記固定側電極とが切(開)状態のときには、前記駆動軸の前記可動側電極側とは反対側の端部が、前記操作器の軸方向端部から突出していないと共に、
前記駆動軸の前記可動側電極側とは反対側の端部が位置する前記可動鉄心の内径側に切り欠きを設け、前記切り欠き内に位置するように、前記駆動軸の前記可動側電極側とは反対側の端部にはナットが篏合されていることを特徴とする操作器。
【請求項2】
請求項1に記載の操作器であって、
前記操作器は、前記駆動軸と一体に動作する前記可動鉄心と、該可動鉄心の周囲に配置され、前記可動鉄心を動作させるための磁界を形成するボビンに巻回されたコイルと、該コイルの外周側に設置された円筒状の第1のヨークと、前記コイルの前記可動側電極側に設置された円板状の第2のヨークと、前記コイルの前記可動側電極側とは反対側に設置され、前記可動鉄心の軸方向の移動を止める円板状のストッパとから成り、
前記第1の軸受は少なくとも前記第2のヨークに圧入保持されていると共に、前記第2の軸受は前記ボビンに圧入保持されるか、或いは前記第2の軸受をつば付き軸受にして前記ボビンと前記ストッパで挟むことで保持するか、或いは前記ボビンを前記第2の軸受として作用させて前記可動鉄心が支持されており、
前記可動側電極と前記固定側電極とが切(開)状態のときには、前記駆動軸の前記可動側電極側とは反対側の端部が、前記ストッパから軸方向に突出していないことを特徴とする操作器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の操作器であって、
前記可動側電極と前記固定側電極とが切(開)状態のときには、前記駆動軸の前記可動側電極側とは反対側の端部の位置と、前記第2の軸受の軸方向端部の位置とが略同一であることを特徴とする操作器。
【請求項4】
固定側電極と対向配置され電気的に接触する可動側電極を操作する駆動軸を駆動する可動鉄心と、該可動鉄心の周囲に配置されたコイルとを備え、前記可動側電極の前記固定側電極との開閉動作に伴い前記駆動軸と前記可動鉄心が一体に動作する操作器であって、
前記操作器は、前記可動側電極側では前記駆動軸が第1の軸受で支持され、前記可動側電極側とは反対側では前記可動鉄心が第2の軸受で支持されていると共に、前記可動鉄心の前記可動側電極側とは反対側の端部の軸方向の移動を止めるストッパ板を備え、
前記可動側電極と前記固定側電極とが入(閉)状態のときには、前記可動鉄心と前記第2の軸受及び前記ストッパ板で囲まれた空間が形成され
前記操作器は、前記可動側電極と前記固定側電極とが切(開)状態のときに、前記空間内の空気の逃げ量を制御し、前記可動鉄心の前記可動側電極側とは反対側の端部の軸方向の移動を止める際の前記ストッパ板への衝撃を緩和する衝撃緩和機能部品を備えていることを特徴とする操作器。
【請求項5】
請求項に記載の操作器であって、
前記操作器は、前記駆動軸と一体に動作する前記可動鉄心と、前記可動鉄心の周囲に配置され、前記可動鉄心を動作させるための磁界を形成するボビンに巻回されたコイルと、該コイルの外周側に設置された円筒状の第1のヨーク及び前記コイルの軸方向の両側に設置された円板状の第2のヨーク及び第3のヨークとから成り、
前記第1の軸受は少なくとも前記第2のヨークに圧入保持されていると共に、前記第2の軸受は前記ボビンに前記第3のヨークから軸方向に一部突出して圧入保持され、
前記ストッパ板は、前記第2の軸受の外周側に設置された軸受保持用部品を介して前記第3のヨークの軸方向外側に固定されており、
前記可動側電極と前記固定側電極とが入(閉)状態のときには、前記可動鉄心の軸方向端部と前記第2の軸受の軸方向突出部及び前記ストッパ板で囲まれた前記空間が形成されていることを特徴とする操作器。
【請求項6】
請求項に記載の操作器であって、
前記ストッパ板への衝撃を緩和する前記衝撃緩和機能部品は、前記ストッパ板に形成された少なくとも1つの穴から成り、前記穴からの前記空間内の空気逃げ量を制御し、前記可動鉄心の前記可動側電極側とは反対側の端部の軸方向の移動を止める際の前記ストッパ板への衝撃を緩和することを特徴とする操作器。
【請求項7】
請求項に記載の操作器であって、
前記穴は、少なくとも前記ストッパ板の中心に形成されるか、或いは前記ストッパ板の中心と、前記ストッパ板の中心軸を中心にして対称形に複数形成され、
しかも、前記穴にはねじが切られ、この穴のねじに貫通穴付きボルトが篏合され、かつ、前記穴が、前記ストッパ板の中心と、前記ストッパ板の中心軸を中心にして対称形に複数形成されている場合には、前記貫通穴付きボルトの貫通穴サイズが異なっていることを特徴とする操作器。
【請求項8】
請求項に記載の操作器であって、
前記ストッパ板への衝撃を緩和する前記衝撃緩和機能部品は、前記ストッパ板の中心に形成された穴及びこの穴を覆う透気性フィルターから成ることを特徴とする操作器。
【請求項9】
請求項に記載の操作器であって、
前記透気性フィルターは、接着剤で前記ストッパ板に貼り付けられているか、或いは前記透気性フィルターは、軸方向に貫通した穴が形成された部品で挟み込んで前記ストッパ板に固定されていることを特徴とする操作器。
【請求項10】
請求項乃至のいずれか1項に記載の操作器であって、
前記駆動軸の前記可動側電極側とは反対側の端部が位置する前記可動鉄心の内径側に切り欠きを設け、前記切り欠き内に位置するように、前記駆動軸の前記可動側電極側とは反対側の端部にはナットが篏合されていることを特徴とする操作器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は操作器に係り、特に、遮断器の相対向する電極の可動側を、駆動軸である絶縁操作ロッドを介して操作するものに好適な操作器に関する。
【背景技術】
【0002】
操作器で電極の可動側が操作される遮断器の一例として真空遮断器があり、この真空遮断器の先行技術文献として特許文献1がある。
【0003】
この特許文献1には、真空遮断器の重量やサイズを増加させることなく、真空遮断器の開閉動作に伴う衝撃や振動による応力を低減して操作器の筐体の撓みを低減し、開閉動作に対する信頼性を向上させるために、少なくとも固定側電極及び可動側電極が格納され、周囲がモールド部で覆われている真空バルブと、前記可動側電極を駆動軸である絶縁操作ロッドを介して駆動する操作器とを備え、前記真空バルブと前記操作器が直線上に配置され、かつ、前記真空バルブのモールド部と前記操作器に跨り両者を固定する固定部材を備えた真空遮断器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-147643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した操作器は、通常、絶縁操作ロッドと一体に動作する可動鉄心と、この可動鉄心と軸方向に対向配置された固定鉄心(固定鉄心がない場合もある)と、前記可動鉄心及び固定鉄心の周囲に配置され、可動鉄心を駆動するための磁界を形成するボビンに巻回されたコイルと、コイルの外周側に設置された円筒状の第1のヨーク及びコイルの軸方向の両側に配置された第2及び第3のヨークとから概略構成され、可動鉄心と一体に動作する絶縁操作ロッドは、第2及び第3のヨークに保持されている軸受で支持されている。
【0006】
しかしながら、上述した操作器の構成では、可動側電極と固定側電極とが切状態のときには、絶縁操作ロッドの可動側電極とは反対側の端部が第3のヨークから軸方向に突出するため、この絶縁操作ロッドの突出分を考慮した設計とする必要があり、装置の大型化につながる、という課題があった。
【0007】
また、通常、可動側電極と固定側電極とが切状態のとき、第3のヨークから軸方向に突出した絶縁操作ロッドの端部が、容器壁にぶつかる衝撃を緩和するダンパ(衝撃緩和機能部品)を備えている。
【0008】
しかしながら、上記したダンパを備えていることは、ダンパを別途用意する必要があるため手数がかかることは勿論、ダンパ必要なことから部品点数の増加につながり、これが装置の大型化の要因となってしまう、という問題があった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その第1の目的とするところは、装置が大型化することのない操作器を提供することにある。
【0010】
また、本発明の第2の目的とするところは、衝撃緩和機能部品(ダンパ)を別途用意する必要がなくなり手数の削減を図ることができ、しかも、部品点数の低減が可能であり、装置の大型化につながらない操作器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の操作器は、上記第1の目的を達成するために、固定側電極と対向配置され電気的に接触する可動側電極を操作する駆動軸を駆動する可動鉄心と、該可動鉄心の周囲に配置されたコイルとを備え、前記可動側電極の前記固定側電極との開閉動作に伴い前記駆動軸と前記可動鉄心が一体に動作する操作器であって、
前記操作器は、前記可動側電極側では前記駆動軸が第1の軸受で支持され、前記可動側電極側とは反対側では前記可動鉄心が第2の軸受で支持されており、
前記可動側電極と前記固定側電極とが切(開)状態のときには、前記駆動軸の前記可動側電極側とは反対側の端部が、前記操作器の軸方向端部から突出していないと共に、
前記駆動軸の前記可動側電極側とは反対側の端部が位置する前記可動鉄心の内径側に切り欠きを設け、前記切り欠き内に位置するように、前記駆動軸の前記可動側電極側とは反対側の端部にはナットが篏合されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の操作器は、上記第2の目的を達成するために、固定側電極と対向配置され電気的に接触する可動側電極を操作する駆動軸を駆動する可動鉄心と、該可動鉄心の周囲に配置されたコイルとを備え、前記可動側電極の前記固定側電極との開閉動作に伴い前記駆動軸と前記可動鉄心が一体に動作する操作器であって、
前記操作器は、前記可動側電極側では前記駆動軸が第1の軸受で支持され、前記可動側電極側とは反対側では前記可動鉄心が第2の軸受で支持されていると共に、前記可動鉄心の前記可動側電極側とは反対側の端部の軸方向の移動を止めるストッパ板を備え、
前記可動側電極と前記固定側電極とが入(閉)状態のときには、前記可動鉄心と前記第2の軸受及び前記ストッパ板で囲まれた空間が形成され
前記操作器は、前記可動側電極と前記固定側電極とが切(開)状態のときに、前記空間内の空気の逃げ量を制御し、前記可動鉄心の前記可動側電極側とは反対側の端部の軸方向の移動を止める際の前記ストッパ板への衝撃を緩和する衝撃緩和機能部品を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置が大型化することなく、また、衝撃緩和機能部品(ダンパ)を別途用意する必要がなくなり手数の削減を図ることができ、しかも、部品点数の低減が可能であり、装置の大型化につながらない、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の操作器が用いられる真空遮断器を一部断面して示す図である。
図2】従来の操作器を示す断面図である。
図3】本発明の操作器の実施例1を示す断面図である。
図4】従来の操作器と本実施例の操作器の軸方向長さを比較して示す図である。
図5(a)】本発明の操作器の実施例2を示し、固定ボルトが見えない状態の断面図である。
図5(b)】本発明の操作器の実施例2を示し、固定ボルトが見える状態の断面図である。
図6】本発明の操作器の実施例2における操作器の動作状態を示す図である。
図7】本発明の操作器の実施例2に採用される衝撃緩和機能部品(ダンパ)の一例を示す断面図である。
図8】本発明の操作器の実施例2に採用される衝撃緩和機能部品(ダンパ)におけるか空間内の空気逃げ量を制御する手段の一例を示す断面図である。
図9】本発明の操作器の実施例3を示す断面図である。
図10】本発明の操作器の実施例3における透過性フィルターの固定の仕方の一例を示す断面図である。
図11】本発明の操作器の他の例を示す断面図である。
図12図11に示した操作器の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の操作器を説明する。なお、各図において、同一構成部品には同符号を使用する。
【0016】
本発明の操作器の実施例を説明する前に、本発明の操作器が用いられる真空遮断器について、図1を用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、真空遮断器100Aは、エポキシ樹脂等の固体絶縁物により一体注型(モールド)されて形成された(周囲がモールド部1Aで覆われた)真空バルブ1と、固定側ケーブルブッシング導体15の周囲がモールドされている固定側ケーブルブッシング2と、可動側ケーブルブッシング導体16の外部の周囲がモールドされている可動側ケーブルブッシング3と、後述する可動側電極13を操作する操作器4とで概略構成されている。
【0018】
通常、エポキシ樹脂等の固体絶縁物により一体注型された真空バルブ1は、モールド真空バルブと呼ばれている。なお、特に図示しないが、モールド表面部分は接地されており、エポキシ樹脂等の固体絶縁物により電気的な絶縁が保たれている。
【0019】
上述した真空バルブ1は、円筒絶縁材5の一端に接合された固定側端板6と、固定側端板6を気密に貫通する固定側導体7と、円筒絶縁材5の他端に接合された可動側端板8と、可動側端板8に一端が接合され、可動部の駆動を許容する蛇腹形状のベローズ9と、ベローズ9を気密に貫通し真空を維持しながら軸方向に駆動する可動側導体10とから構成され、その内部圧力は、およそ10-2Pa以下の真空に保たれている。
【0020】
その真空バルブ1の内部には、円筒絶縁材5で支持された浮遊電位金属11と、固定側導体7の端部に接続された固定側電極12と、可動側導体10の端部に接続された可動側電極13とが配置されている。
【0021】
可動側導体10は絶縁操作ロッド14に接続され、絶縁操作ロッド14は電極対に接触荷重を加えるワイプ機構と連結された操作器4に接続されている。絶縁操作ロッド14の周囲空間には、空気や六フッ化硫黄などの絶縁ガス18が充填されている。
【0022】
そして、操作器4の駆動に連動して絶縁操作ロッド14を介して可動側電極13が駆動することで、固定側電極12と可動側電極13の接離、即ち、真空バルブ1の開状態と閉状態を切り替えることができる。なお、図1の真空バルブ1は、固定側電極12と可動側電極13の開状態を示している。
【0023】
固定側ケーブルブッシング2は、固定側ケーブルブッシング導体15を真空バルブ1の固定側導体7に電気的に接続して、また、可動側ケーブルブッシング3は、可動側ケーブルブッシング導体16を真空バルブ1の可動側に配置して、真空バルブ1と一緒にエポキシ樹脂等の固体絶縁物により一体注型されており、真空バルブ1の可動側導体10と可動側ケーブルブッシング導体16は、摺動通電可能な接触子17を介して電気的に接続され、固定側ケーブルブッシング2と可動側ケーブルブッシング3に、図示しない電源側ケーブルや負荷側ケーブルがそれぞれ接続されることで、運転できる構成となっている。
【0024】
図1に示す真空遮断器100Aでは、真空バルブ1と操作器4とがほぼ直線上に配置されていると共に、真空バルブ1の周囲のモールド部1Aと操作器4とに跨り、両者を一体に固定する固定部材19を有した構成となっている。
【0025】
固定部材19を用いた真空バルブ1と操作器4の固定構造は、固定部材19の真空バルブ1側は、真空バルブ1のモールド部1Aの側面の外部に突出して設けられたインサートナットを埋め込んだ複数のモールド張り出し部(モールド部1Aと一体に成形されている)20a、20bに締結手段であるボルト21a、21bで固定され、固定部材19の操作器4側は、操作器4の筐体に締結手段であるボルト21c、21dで直接固定されている。
【0026】
次に、上記した真空遮断器100Aに用いられる従来の操作器4Aについて、図2を用いて説明する。
【0027】
図2に示すように、従来の操作器4Aは、絶縁操作ロッド14に接続された駆動軸14aと一体に動作する可動鉄心22と、この可動鉄心22と軸方向に対向配置された固定鉄心25(この固定鉄心25は無い場合もあり、その場合には、後述する第1の軸受27aが可動鉄心22に当たらないようにする)と、可動鉄心22及び固定鉄心25の周囲に配置され、可動鉄心22を駆動するための磁界を形成するボビン24に巻回されたコイル23と、コイル23の外周側に設置された円筒状の第1のヨーク26aと、コイル23の可動側電極13側に設置された円板状の第2のヨーク26bと、コイル23の可動側電極13側とは反対側に設置され、可動鉄心22の軸方向の移動を止める円板状のストッパ(アルミやSUS等の非磁性体)26cとから概略構成され、可動鉄心22と一体に動作する駆動軸14aは、その可動側電極13側が円板状の第2のヨーク26bと固定鉄心25に圧入保持されている第1の軸受(例えば、すべり軸受)27aで摺動支持され、可動側電極13側とは反対側が円板状のストッパ26cに圧入保持されている第2の軸受(例えば、すべり軸受)27bで摺動支持されている。
【0028】
ところが、上述した従来の操作器4Aの構成では、可動側電極13と固定側電極12とが切(開)状態のときには、駆動軸14aの可動側電極13とは反対側の端部14bがストッパ26cから軸方向に突出するため、この駆動軸14aの突出分を考慮した設計とする必要があり、装置の大型化につながるという課題があった。
【0029】
本発明の操作器は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下、その詳細について説明する。
【実施例1】
【0030】
図3に、本発明の操作器の実施例1を示す。
【0031】
図3に示す本実施例の操作器4Bは、図2に示した従来の操作器4Aと略同一の構成であるが、本実施例では、可動鉄心22と一体に動作する駆動軸14aは、その可動側電極13側が円板状の第2のヨーク26bと固定鉄心25(この固定鉄心25は無い場合もあり、その場合には、第1の軸受27aが可動鉄心22に当たらないようにする)に圧入保持されている第1の軸受(例えば、すべり軸受)27aで摺動支持され、可動側電極13側とは反対側では、駆動軸14aと一体に動作する可動鉄心22が、樹脂製のボビン24に圧入保持されている第2の軸受(例えば、すべり軸受)27cで摺動支持されており、そして、可動側電極13と固定側電極12とが切(開)状態のときには、駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bが、操作器4Bの軸方向端部、即ち、ストッパ26cの軸方向端部から突出していないことを特徴とする。
【0032】
なお、図3に示す実施例では、第2の軸受27cがボビン24に圧入保持されているが、第2の軸受27cをつば付き軸受にしてボビン24とストッパ(アルミやSUS等の非磁性体)26cで挟むことで保持するか、或いはボビン24を第2の軸受27cとして作用させて可動鉄心22を支持するようにしても良い。
【0033】
また、本実施例では、可動側電極13と固定側電極12とが切(開)状態のときには、駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bの位置と、第2の軸受27cの軸方向端部の位置とが略同一となっている。
【0034】
上述した如く、本実施例の操作器4Bも図2の従来の操作器4Aと同様に、駆動軸14aと一体に動作する可動鉄心22と、この可動鉄心22の周囲に配置され、可動鉄心22を動作させるための磁界を形成する樹脂製のボビン24に巻回されたコイル23と、コイル23の外周側に設置された円筒状の第1のヨーク26aと、コイル23の可動側電極13側に設置された円板状の第2のヨーク26bと、コイル23の可動側電極13側とは反対側に設置され、可動鉄心22の軸方向の移動を止める円板状で、かつ、アルミやSUS等の非磁性体から成るストッパ26cとから成り、第1の軸受27aは第2のヨーク26bと固定鉄心25に圧入保持されている(第1の軸受27aは第2のヨーク26bに圧入保持されていれば良く、必ずしも固定鉄心25に圧入保持されている必要はない)と共に、第2の軸受27cはボビン24に圧入保持されている。
【0035】
そして、本実施例の操作器4Bは、可動側電極13と固定側電極12とが切(開)状態のときには、駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bが、ストッパ26cから軸方向に突出していない。
【0036】
このとき、駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bの位置と第2の軸受27cの軸方向端部の位置、及びコイル23の軸方向端部の位置は、ストッパ26cの軸方向内側に位置している。
【0037】
また、本実施例では、駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bが位置する可動鉄心22の内径側に切り欠き22aを設け、この切り欠き22a内に位置するように、駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bにはナット28が篏合されている。
【0038】
駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bにナット28が篏合されていることにより、切り欠き22aの一部の面でナット28の底部を保持することができ、駆動軸14aの抜けを防止することができる。
【0039】
図4に、従来の操作器4Aと本実施例の操作器4Bの軸方向長さを比較して示す。
【0040】
図4の(a)は従来の操作器4Aであり、図4の(b)は本実施例の操作器4Bである。
【0041】
図4の(a)に示すように、従来の操作器4Aは、可動側電極13と固定側電極12とが切(開)状態のときには、駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bが、ストッパ26cから軸方向に突出している。
【0042】
これに対して、本実施例の操作器4Bは、図4の(b)に示すように、可動側電極13と固定側電極12とが切(開)状態のときには、駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bが、ストッパ26cから軸方向に突出していない。
【0043】
従って、本実施例の操作器4Bは、従来の操作器4Aに比較して、駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bが、ストッパ26cから軸方向に突出していな分(符号Lで示す)だけ小さくなり、装置(操作器4B及びそれを備えた真空遮断器100A)が大型化することはない。
【実施例2】
【0044】
図5(a)及び図5(b)に、本発明の操作器の実施例2を示す。
【0045】
図5(a)及び図5(b)に示す本実施例の操作器4Cは、図3に示した実施例1と略同一の構成であるが、本実施例では、可動鉄心22と一体に動作する駆動軸14aは、その可動側電極13側が円板状の第2のヨーク26bと固定鉄心25(この固定鉄心25は無い場合もあり、その場合には、第1の軸受27aが可動鉄心22に当たらないようにする)に圧入保持されている第1の軸受(例えば、すべり軸受)27aで摺動支持され、可動側電極13側とは反対側では、駆動軸14aと一体に動作する可動鉄心22が、樹脂製のボビン24に圧入保持されている第2の軸受(例えば、すべり軸受)27cで摺動支持されていると共に、可動鉄心22の可動側電極13側とは反対側の端部の軸方向の移動を止めるストッパ板30を備えており、そして、可動側電極13と固定側電極12とが入(閉)状態のときには、可動鉄心22と第2の軸受27c及びストッパ板30で囲まれた空間33が形成されていることを特徴とする。
【0046】
具体的には、本実施例の操作器4Cは、駆動軸14aと一体に動作する可動鉄心22と、この可動鉄心22の周囲に配置され、可動鉄心22を動作させるための磁界を形成する樹脂製のボビン24に巻回されたコイル23と、このコイル23の外周側に設置された円筒状の第1のヨーク26a及びコイル23の軸方向の両側に設置された円板状の第2及び第3のヨーク26b及び26dとから成り、第1の軸受(例えば、すべり軸受)27aは第2のヨーク26bと固定鉄心25(この固定鉄心25は無い場合もあり、その場合には、第1の軸受27aが可動鉄心22に当たらないようにする)に圧入保持されていると共に、第2の軸受(例えば、すべり軸受)27cはボビン24に第3のヨーク26dから軸方向に一部突出して圧入保持され、ストッパ板30は、第2の軸受27cの外周側に設置されたアルミやSUS等の非磁性体から成る軸受保持用部品29を介して第3のヨーク26dの軸方向外側に、第3の固定ボルト32cにより全周8個所で固定されており、そして、可動側電極13と固定側電極12とが入(閉)状態のときには、可動鉄心22の軸方向端部と第2の軸受27cの軸方向突出部及びストッパ板30で囲まれた空間33が形成されている。
【0047】
なお、本実施例の操作器4Cは、第1のヨーク26aと第2のヨーク26bが第1の固定ボルト32aにより、第1のヨーク26aと第3のヨーク26dが第2の固定ボルト32bにより、それぞれ全周8個所で固定されている。
【0048】
また、本実施例では、駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bが位置する可動鉄心22の内径側に切り欠き22aを設け、この切り欠き22a内に位置するように、駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bにはナット28が篏合されている。
【0049】
駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bにナット28が篏合されていることにより、切り欠き22aの一部の面でナット28の底部を保持することができ、駆動軸14aの抜けを防止することができる。
【0050】
図6に、本実施例の操作器4Cの動作状態を示す。図6の(a)は、可動側電極13と固定側電極12とが入(閉)状態のとき、図6の(b)は、可動側電極13と固定側電極12とが中間状態(動作途中)のとき、図6の(c)は、可動側電極13と固定側電極12とが切(開)状態のときをそれぞれ示す。
【0051】
図6に示すように、可動側電極13と固定側電極12とが図6の(a)の入(閉)状態から図6の(b)の中間状態、更に、図6の(c)の切状態に移行するに従い可動鉄心22の軸方向端部と第2の軸受27cの軸方向突出部及びストッパ板30で囲まれた空間33の体積が変化することが分かる。
【0052】
本実施例の操作器4Cでは、可動側電極13と固定側電極12とが切(開)状態のときに、上記した可動鉄心22の軸方向端部と第2の軸受27cの軸方向突出部及びストッパ板30で囲まれた空間33内の空気逃げ量を制御し、可動鉄心22の可動側電極13側とは反対側の端部14bの軸方向の移動を止める際のストッパ板30への衝撃を緩和する衝撃緩和機能部品(ダンパ)を備えている。
【0053】
即ち、可動鉄心22の軸方向端部と第2の軸受27cの軸方向突出部及びストッパ板30で囲まれた空間33は、可動鉄心22と第2の軸受27cの隙間が小さいので内部の空気が逃げにくい状態(空気が一気に抜けるのではなく徐々に抜ける)にある。可動側電極13と固定側電極12とが切(開)状態のときには、空間33をつぶしながら(空間33の体積を減らしながら)可動鉄心22が動くことになるが、空間33内の空気の逃げ道が少ないので反力になり、空間33内の空気の逃げ穴を追加し、上記した反力を制御することで緩衝緩和機能部品(ダンパ)とすることができる。
【0054】
これにより、可動鉄心22の軸方向端部と第2の軸受27cの軸方向突出部及びストッパ板30で囲まれた空間33の空気逃げ量を制御することでエアダンパとして機能させることができ(緩衝機能)、可動側電極13と固定側電極12の切(開)動作時における可動鉄心22がストッパ板30にぶつかる際の衝撃を緩和することができる。この衝撃を緩和することで、可動鉄心22の跳ね返りがなくなるか或いは小さくなり、可動側電極13が入(閉)方向に動くことを抑制できる。
【0055】
以下、上記した衝撃緩和機能部品(ダンパ)について説明する。
【0056】
図7に、本実施例の操作器4Cに採用される衝撃緩和機能部品(ダンパ)の一例を示す。
【0057】
図7に示すストッパ板30への衝撃を緩和する衝撃緩和機能部品(ダンパ)は、円板状のストッパ板30の中心に形成された穴30aか、或いはストッパ板30の中心と、ストッパ板30の中心軸を中心にして対称形に複数形成された複数の穴30a、30bから成り(図7に示す例は、ストッパ板30の中心と、ストッパ板30の中心軸を中心にして対称形に複数形成された複数の穴30a、30bとから成る)、この穴30a、30bからの空間33内の空気逃げ量を制御し、可動鉄心22の可動側電極13側とは反対側の端部の軸方向の移動を止める際のストッパ板30への衝撃を緩和するようにしている。
【0058】
上記穴30a、30bからの空間33内の空気逃げ量を制御する手段の一例としては、図8に示すように、ストッパ板30の中心に形成された穴30aにはねじが切られ、この穴30aのねじに貫通穴付きボルト34を篏合し、この貫通穴付きボルト34をストッパ板30に切られた穴30aとの篏合を徐々に解くことで、空間33内の空気逃げ量を制御している。
【0059】
なお、穴30a、30bが、ストッパ板30の中心と、ストッパ板30の中心軸を中心にして対称形に複数形成されている場合には、貫通穴付きボルト34の貫通穴サイズが異なっていることにより、衝撃緩和機能部品(ダンパ)の制動力を調整することができる。
【0060】
このような本実施例の構成とすることにより、操作器4Cの軸方向長さを、図2に示した従来の操作器4Aの軸方向長さと大きく変えることなく、衝撃緩和機能部品(ダンパ)を備えることができ、衝撃緩和機能部品(ダンパ)を別途用意する必要が無くなり手数の削減を図ることができ、しかも、部品点数の低減が可能であり、製品サイズを小さくすることができる。
【0061】
また、可動鉄心22の軸方向端部と第2の軸受27cの軸方向突出部及びストッパ板30で囲まれた空間33の空気逃げ量を調整することで、衝撃緩和機能部品(ダンパ)の制動力を調整することが可能となる。
【実施例3】
【0062】
図9に、本発明の操作器の実施例3を示す。
【0063】
図9に示す本実施例の操作器4Dは、ストッパ板30への衝撃を緩和する衝撃緩和機能部品(ダンパ)として、ストッパ板30の中心に形成された穴30cを覆う防水透湿性素材等から成る透気性フィルター35を用いたものである。他の構成は、図5(a)に示した実施例2の操作器4Cの構成と同一である。
【0064】
上記した透気性フィルター35は、接着剤でストッパ板30に貼り付けられているか、或いは図10に示すように、透気性フィルター35が、軸方向に貫通した穴36aが形成されている挟み部品36で挟み込んでストッパ板30に固定されている。
【0065】
本実施例の操作器4Dに採用される透気性フィルター35は、シート状のフィルムやボルトタイプ(ボルトで取り付けるタイプ)などであり、その形状は問わない。フィルターが設置されていることで、下界の環境の影響を受けにくくなる(水や埃が入らないため、周囲環境が特性に影響しにくくなる)。また、ボルトタイプであれば、透気性フィルター35の取り付け、取り外しが容易となる。
【0066】
このような本実施例の構成であっても、その効果は実施例2と同一である。
【0067】
その他の操作器の例について、図11及び図12を用いて説明する。
【0068】
図11に示す操作器の例は、図8に示した操作器4Cと同様に、ストッパ板30の中心にねじが切られた穴30aが形成され、可動側電極13と固定側電極12とが入(閉)状態のときには、穴30aに固定ボルト37を篏合して、駆動軸14aの可動側電極13側とは反対側の端部14bを保持している。
【0069】
図11に示す例では、図8に示した操作器4Cと同じねじが切られた穴30aを使用して、固定ボルト37で可動鉄心22を押し込むことができる。この場合、可動鉄心22を真っすぐに押し込むためにねじが切られた穴30aの位置は、中心軸上にあると良い。
【0070】
固定ボルト37で可動鉄心22を押し込み、固定できるため、可動側電極13と固定側電極12との入(閉)状態を簡単に保持できる。また、外部電力などの動力源が不要で可動側電極13と固定側電極12との入(閉)状態を保持できるため、点検時の接圧ばね管理寸法の測定が容易になる。
【0071】
図12に示す例は、図11に示した固定ボルト37の代わりに、ねじが切られた穴30aに空気配管用継手38を篏合し、可動側電極13と固定側電極12とが入(閉)状態のときには、空気配管用継手38を介して空間33内に圧縮空気を注入して、可動鉄心22の可動側電極13側とは反対側の端部14bを保持している。
【0072】
固定ボルト37の代わりに空気配管用継手38を介して圧縮空気を使えば、圧縮空気でも可動側電極13と固定側電極12の投入保持が可能であり、圧縮空気の入切で、真空遮断器100Aの入切動作が可能になる。
【0073】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換える事が可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加える事も可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をする事が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…真空バルブ、1A…モールド部、2…固定側ケーブルブッシング、3…可動側ケーブルブッシング、4、4A、4B、4C、4D…操作器、5…円筒絶縁材、6…固定側端板、7…固定側導体、8…可動側端板、9…ベローズ、10…可動側導体、11…浮遊電位金属、12…固定側電極、13…可動側電極、14…絶縁操作ロッド、14a…駆動軸、14b…駆動軸の可動側電極とは反対側の端部、15…固定側ケーブルブッシング導体、16…可動側ケーブルブッシング導体、17…接触子、18…絶縁ガス、19…固定部材、20a、20b…モールド張り出し部、21a、21b、21c、21d…ボルト、22…可動鉄心、22a…切り欠き、23…コイル、24…ボビン、25…固定鉄心、26a…第1のヨーク、26b…第2のヨーク、26c…ストッパ、26d…第3のヨーク、27a…第1の軸受、27b、27c…第2の軸受、28…ナット、29…軸受保持用部品、30…ストッパ板、30a、30c…ストッパ板の中心に形成された穴、30b…ストッパ板の中心軸を中心に対象に形成された穴、32a…第1のボルト、32b…第2のボルト、32c…第3のボルト、33…空間、34…貫通穴付きボルト、35…透気性フィルター、36…挟み部品、36a…挟み部品に形成された穴、37…固定ボルト、38…空気配管用継手、100A…真空遮断器。
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12