(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】ファイバ集合体、及び、ファイバ集合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/02 20060101AFI20240119BHJP
G02B 6/44 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
G02B6/02 461
G02B6/44 371
(21)【出願番号】P 2023554938
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 JP2022030311
(87)【国際公開番号】W WO2023062923
(87)【国際公開日】2023-04-20
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2021168288
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓弥
【審査官】萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-076633(JP,A)
【文献】特表2016-527568(JP,A)
【文献】特開2015-169873(JP,A)
【文献】特開2015-052704(JP,A)
【文献】米国特許第5787217(US,A)
【文献】特開2018-163317(JP,A)
【文献】国際公開第2016/047669(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/047658(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02 - 6/10
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端面である第1端面と他方の端面である第2端面とが識別可能な複数のマルチコアファイバを備えたファイバ集合体であって、
前記複数のマルチコアファイバ
を、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねる
手段を備え、
前記複数のマルチコアファイバは、それぞれ、クラッドと、断面において前記クラッドの内部に線対称状に配置された複数のコアと、断面において前記クラッドの内部に前記複数のコアの対称軸以外の位置に中心が配置されたマーカと、を含み、
前記複数のマルチコアファイバのそれぞれにおいて、前記第1端面と前記第2端面とは、前記対称軸に対する前記マーカの位置によって共通に識別可能である、
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項2】
前記複数のマルチコアファイバは、単一のテープ心線を構成するように少なくとも一部が束ねられている、
ことを特徴とする請求項
1に記載のファイバ集合体。
【請求項3】
前記複数のマルチコアファイバは、複数のテープ心線を構成するように束ねられており、
前記複数のテープ心線は、単一のバンドルユニットを構成するように少なくとも一部が束ねられている、
ことを特徴とする請求項
1に記載のファイバ集合体。
【請求項4】
各テープ心線を構成するマルチコアファイバは、各マルチコアファイバの前記第1端面が該テープ心線の第1端面側に位置するように束ねられており、
前記複数のテープ心線は、その前記第1端面が前記バンドルユニットの第1端面側に位置するテープ心線と、その前記第2端面が前記バンドルユニットの前記第1端面側に位置するテープ心線と、が混在するように束ねられている、
ことを特徴とする請求項
3に記載のファイバ集合体。
【請求項5】
前記複数のマルチコアファイバは、複数のテープ心線を構成するように束ねられており、
前記複数のテープ心線は、複数のバンドルユニットを構成するように束ねられており、
前記複数のバンドルユニットは、単一のケーブルを構成するように少なくとも一部が束ねられている、
ことを特徴とする請求項
1に記載のファイバ集合体。
【請求項6】
各バンドルユニットを構成するマルチコアファイバは、各マルチコアファイバの前記第1端面が該バンドルユニットの第1端面側に位置するように束ねられており、
前記複数のバンドルユニットは、その前記第1端面が前記ケーブルの第1端面側に位置するバンドルユニットと、その前記第2端面が前記ケーブルの前記第1端面側に位置するバンドルユニットと、が混在するように束ねられている、
ことを特徴とする請求項
5に記載のファイバ集合体。
【請求項7】
前記複数のマルチコアファイバは、複数のテープ心線を構成するように束ねられており、
前記複数のテープ心線は、複数のバンドルユニットを構成するように束ねられており、
前記複数のバンドルユニットは、複数のケーブルを構成するように束ねられており、
前記複数のケーブルは、単一の伝送路を構成するように少なくとも一部が束ねられている、
ことを特徴とする請求項
1に記載のファイバ集合体。
【請求項8】
少なくとも1つのテープ心線を構成するマルチコアファイバは、その前記第1端面が当該テープ心線の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が当該テープ心線の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられている、
ことを特徴とする請求項
3に記載のファイバ集合体。
【請求項9】
少なくとも1つのバンドルユニットを構成するマルチコアファイバは、その前記第1端面が当該バンドルユニットの第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が当該バンドルユニットの前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられている、
ことを特徴とする請求項
5に記載のファイバ集合体。
【請求項10】
前記複数のマルチコアファイバのそれぞれにおいて、前記第1端面と前記第2端面とは、前記対称軸に対する前記マーカの位置によって識別可能であり、
前記テープ心線を構成する複数のマルチコアファイバは、少なくとも前記テープ心線の前記第1端面において、各マルチコアファイバの前記マーカが各マルチコアファイバの中心軸を通る仮想平面に対して同じ側に位置するように束ねられている、
ことを特徴とする請求項
2に記載のファイバ集合体。
【請求項11】
前記テープ心線を構成する複数のマルチコアファイバは、間欠的に設けられた複数の連結材を用いて束ねられており、
前記複数の連結材のうち、前記ファイバ集合体の前記第1端面に最も近い連結材に関して、同じ連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きが揃っているか、若しくは、前記ファイバ集合体の前記第2端面に最も近い連結材に関して、同じ連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きが揃っている、又は、
前記複数の連結材のうち、前記ファイバ集合体の前記第1端面に最も近い連結材に関して、異なる連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きの並び順が揃っているか、若しくは、前記ファイバ集合体の前記第2端面に最も近い連結材に関して、異なる連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きの並び順が揃っている、
ことを特徴とする請求項
2に記載のファイバ集合体。
【請求項12】
前記複数のテープ心線に含まれる少なくとも2つのテープ心線について、各テープ心線に含まれる複数のマルチコアファイバを識別構造により識別可能であり、
少なくとも1つの識別構造について、前記少なくとも2つのテープ心線の各々において当該識別構造を有するマルチコアファイバの端面の向きが一致している、
ことを特徴とする請求項
3に記載のファイバ集合体。
【請求項13】
前記複数のテープ心線に含まれる少なくとも2つのテープ心線について、各テープ心線に含まれるマルチコアファイバの並び順が一致するように構成されている、
ことを特徴とする請求項
12に記載のファイバ集合体。
【請求項14】
一方の端面である第1端面と他方の端面である第2端面とが識別可能な複数のマルチコアファイバ
と、前記複数のマルチコアファイバを束ねる手段とを備えたファイバ集合体の製造方法であって、
前記複数のマルチコアファイバを、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように配置する工程と、
前記複数のマルチコアファイバを束ねる工程と、を含
み、
前記複数のマルチコアファイバは、それぞれ、クラッドと、断面において前記クラッドの内部に線対称状に配置された複数のコアと、断面において前記クラッドの内部に前記複数のコアの対称軸以外の位置に中心が配置されたマーカと、を含み、
前記複数のマルチコアファイバのそれぞれにおいて、前記第1端面と前記第2端面とは、前記対称軸に対する前記マーカの位置によって
共通に識別可能である
ことを特徴とするファイバ集合体の製造方法。
【請求項15】
一方の端面である第1端面と他方の端面である第2端面とがマーカの位置によって共通に識別可能な複数のマルチコアファイバを備えたファイバ集合体であって、
前記複数のマルチコアファイバは、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられ、
前記複数のマルチコアファイバは、複数のテープ心線を構成するように束ねられており、前記複数のテープ心線は、単一のバンドルユニットを構成するように少なくとも一部が束ねられ、
各テープ心線を構成するマルチコアファイバは、各マルチコアファイバの前記第1端面が該テープ心線の第1端面側に位置するように束ねられており、
前記複数のテープ心線は、その前記第1端面が前記バンドルユニットの第1端面側に位置するテープ心線と、その前記第2端面が前記バンドルユニットの前記第1端面側に位置するテープ心線と、が混在するように束ねられている、
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項16】
一方の端面である第1端面と他方の端面である第2端面とがマーカの位置によって共通に識別可能な複数のマルチコアファイバを備えたファイバ集合体であって、
前記複数のマルチコアファイバは、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられ、
前記複数のマルチコアファイバは、複数のテープ心線を構成するように束ねられており、
前記複数のテープ心線は、複数のバンドルユニットを構成するように束ねられており、
前記複数のバンドルユニットは、単一のケーブルを構成するように少なくとも一部が束ねられ、
各バンドルユニットを構成するマルチコアファイバは、各マルチコアファイバの前記第1端面が該バンドルユニットの第1端面側に位置するように束ねられており、
前記複数のバンドルユニットは、その前記第1端面が前記ケーブルの第1端面側に位置するバンドルユニットと、その前記第2端面が前記ケーブルの前記第1端面側に位置するバンドルユニットと、が混在するように束ねられている、
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項17】
一方の端面である第1端面と他方の端面である第2端面とがマーカの位置によって共通に識別可能な複数のマルチコアファイバを備えたファイバ集合体であって、
前記複数のマルチコアファイバは、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられ、
前記複数のマルチコアファイバは、単一のテープ心線を構成するように少なくとも一部が束ねられ、
前記テープ心線を構成する複数のマルチコアファイバは、間欠的に設けられた複数の連結材を用いて束ねられており、
前記複数の連結材のうち、前記ファイバ集合体の前記第1端面に最も近い連結材に関して、同じ連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きが揃っているか、若しくは、前記ファイバ集合体の前記第2端面に最も近い連結材に関して、同じ連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きが揃っている、又は、
前記複数の連結材のうち、前記ファイバ集合体の前記第1端面に最も近い連結材に関して、異なる連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きの並び順が揃っているか、若しくは、前記ファイバ集合体の前記第2端面に最も近い連結材に関して、異なる連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きの並び順が揃っている、
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項18】
一方の端面である第1端面と他方の端面である第2端面とが識別可能な複数のマルチコアファイバを備えたファイバ集合体であって、
前記複数のマルチコアファイバを、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねる手段を備え、
前記複数のマルチコアファイバは、それぞれ、クラッドと、断面において前記クラッドの内部に線対称状に配置された複数のコアを含み、
前記複数のマルチコアファイバのそれぞれにおいて、前記クラッドの断面形状が前記複数のコアの対称軸に対して非対称であり、
前記複数のマルチコアファイバのそれぞれにおいて、前記第1端面と前記第2端面とは、前記クラッドの断面形状によって共通に識別可能である、
ことを特徴とするファイバ集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のマルチコアファイバを束ねたファイバ集合体、及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信の分野においては、複数のコアを備えたマルチコアファイバが広く利用されている。マルチコアファイバを開示した文献としては、例えば、特許文献1が挙げられる。複数のマルチコアファイバを束ねたファイバ集合体(例えば、テープ心線、バンドルユニット、ケーブル、伝送路など)も広く利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチコアファイバには、コアを識別するためのマーカが形成されることがある。コアの配置が線対称であり、且つ、マーカが対称軸外に配置されている場合、マルチコアファイバは、コアの対称軸に対するマーカの位置によって識別可能な2種類の端面(以下、第1端面及び第2端面と記載する)が存在することになる。ここで、ファイバ集合体においては、以下の条件を満たすように、マルチコアファイバが束ねられている場合がある。
【0005】
条件:各マルチコアファイバの第1端面がファイバ集合体の一端側に位置し、且つ、各マルチコアファイバの第2端面がファイバ集合体の他端側に位置する。
【0006】
n本のマルチコアファイバを束ねる場合、各マルチコアファイバの向きの組み合わせは2nとおり存在するが、上記の条件を満たす各マルチコアファイバの向きの組み合わせは2とおりに過ぎない。すなわち、従来のファイバ集合体においては、各マルチコアファイバの向きの組み合わせに関する自由度が極めて低い。
【0007】
また、ファイバ集合体を製造する際、各マルチコアファイバは、通常、ボビン等に巻かれた状態で供給される。マルチコアファイバの巻き方には、第1端面側から巻き始める巻き方と、第2端面側から巻き始める巻き方とがある。このため、ファイバ集合体を製造する際、全てのボビン等においてマルチコアファイバの巻き方が同じ巻き方である必要があり、ボビン等の確認及び管理が困難であった。このことが、ファイバ集合体の製造を困難にする要因になっている。
【0008】
なお、このような問題は、クラッドの内部に形成されたマーカの位置によって第1端面と第2端面とを識別可能なマルチコアファイバを束ねたファイバ集合体に限らず、任意の手段によって第1端面と第2端面とを識別可能なマルチコアファイバを束ねたファイバ集合体一般において生じ得る問題である。
【0009】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、マルチコアファイバの向きの組み合わせに関する自由度が比較的高い、又は、製造が比較的容易なファイバ集合体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るファイバ集合体は、クラッドと、断面において前記クラッドの内部に線対称に配置された複数のコアと、断面において前記クラッドの内部に前記複数のコアの対称軸以外の位置に中心が配置されたマーカと、を含む複数のマルチコアファイバを備えたファイバ集合体であって、前記複数のマルチコアファイバは、それぞれ、第1端面と、前記複数のコア及び前記マーカの配置が前記第1端面と線対称の関係にある第2端面と、を有し、前記複数のマルチコアファイバは、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられている。
【0011】
本発明の別の態様に係るファイバ集合体の製造方法は、クラッドと、断面において前記クラッドの内部に線対称に配置された複数のコアと、断面において前記クラッドの内部に前記複数のコアの対称軸以外の位置に配置されたマーカと、を含む複数のマルチコアファイバを備えたファイバ集合体の製造方法であって、前記複数のマルチコアファイバは、それぞれ、第1端面と、前記複数のコア及び前記マーカの配置が前記第1端面と線対称の関係にある第2端面と、を有し、前記複数のマルチコアファイバを、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように配置する工程と、前記複数のマルチコアファイバを束ねる工程と、を含んでいる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、マルチコアファイバの向きの組み合わせに関する自由度が比較的高い、又は、製造が比較的容易なファイバ集合体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るファイバ集合体の構成要素であるマルチコアファイバを示す図である。(a)は、そのマルチコアファイバの側面図であり、(b)は、そのマルチコアファイバの一方の端面の正面図であり、(c)は、そのマルチコアファイバの他方の端面の正面図である。
【
図2】
図1に示すマルチコアファイバの断面構造のバリエーションを示す図である。(a)~(f)は、そのマルチコアファイバの一方の端面の正面図である。
【
図3】本発明に係るファイバ集合体の一具体例であるテープ心線を示す図である。(a)は、そのテープ心線の斜視図であり、(b)は、そのテープ心線の一方の端面の正面図である。
【
図4】本発明に係るファイバ集合体の一具体例であるバンドルユニットの正面図である。
【
図5】本発明に係るファイバ集合体の一具体例であるケーブルの正面図である。
【
図6】本発明に係るファイバ集合体の一具体例である伝送路の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るファイバ集合体について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、ファイバ集合体は、複数のマルチコアファイバを束ねたものである。以下では、ファイバ集合体の構成要素であるマルチコアファイバについて説明した後、ファイバ集合体の具体例であるテープ心線、バンドルユニット、ケーブル、及び伝送路について説明する。
【0015】
〔マルチコアファイバ〕
マルチコアファイバMFについて、
図1を参照して説明する。
図1において、(a)は、マルチコアファイバMFの側面図であり、(b)は、マルチコアファイバMFの一方の端面σ1を視線E1方向から見た正面図であり、(c)は、マルチコアファイバMFの他方の端面σ2を視線E2方向から見た正面図である。
【0016】
マルチコアファイバMFは、n個(nは2以上の自然数)のコアa1~anと、クラッドbと、を備えている。クラッドbは、円柱状の部材である。クラッドbは、例えば、石英ガラスにより構成される。各コアai(iは1以上n以下の自然数)は、クラッドbの内部に設けられた、クラッドbよりも屈折率の高い、クラッドbと同一方向に延在する円柱状の領域である。各コアaiは、例えば、ゲルマニウムなどのアップドーパントが添加された石英ガラスにより構成さる。なお、クラッドbは、柱状であればよく、その断面形状は、任意である。クラッドbの断面形状は、例えば、四角形や六角形などの多角形状であってもよいし、樽型であってもよい。
【0017】
端面σ1,σ2において、コアa1~anは、マルチコアファイバMFの中心軸L0と直交する軸L1に対して線対称又は線対称状に配置されている。ここで、コアa1~anが軸L1に対して「線対称に配置されている」とは、コアa1~anの中心が軸L1に対して線対称に配置されていることを指す。また、コアa1~anが軸L1に対して「線対称状に配置されている」とは、軸L1に対して線対称に配置されたn個の点x1,x2,…,xnについて、コアa1が点x1を含み、コアa2が点x2を含み、…、コアanが点xnを含むことを指す。また、端面σ1,σ2において、コアa1~anは、軸L1を避けるように配置されている。換言すれば、端面σ1,σ2において、コアa1~anは、軸L1以外の位置に配置されている。「線対称状に配置されている」という態様は、「線対称に配置されている」という態様を一具体例として含む。
【0018】
マルチコアファイバMFは、更に、マーカcを備えている。マーカcは、クラッドbの内部に設けられた、クラッドbとは屈折率の異なる、クラッドbと同一方向に延在する領域である。マーカcの断面形状は任意であり、例えば、円形状、三角形状、四角形状などである。マーカcは、例えば、フッ素やホウ素などのダウンドーパントが添加された石英ガラスにより構成される。この場合、マーカcの屈折率は、クラッドbの屈折率よりも低くなる。マーカcは、或いは、ゲルマニウム、アルミニウム、リン、塩素などのアップドーパントが添加された石英ガラスにより構成される。この場合、マーカcの屈折率は、クラッドbの屈折率よりも高くなる。マーカcの形成には、例えば、孔開法やスタック&ドロー法などを用いればよい。
【0019】
端面σ1,σ2において、マーカcの中心は、軸L1を避けるように配置されている。換言すれば、端面σ1,σ2において、マーカcの中心(幾何中心)は、軸L1以外の位置に配置されている。なお、マーカcは、その中心が軸L1を避けるように配置されていればよく、マーカcの一部が軸L1と重なっていても構わない。マーカcが軸L1と重なっていない場合には、マーカcの位置を視認し易くなるので、その結果、マーカcの位置に基づくコアa1~コアanの識別が容易になる。マーカcが軸L1と一部重なっている場合には、マーカcとコアa1~anとの距離を大きく取れるようになるので、マーカcがコアa1~anの光学特性に悪影響を与えることを抑制することができる。
【0020】
なお、任意のマルチコアファイバMFに関して、一方の端面σ1を正面視したときのコアa1~an及びマーカcの配置と他方の端面σ2を正面視したときのコアa1~an及びマーカcの配置とは互いに線対称の関係又は線対称状の関係になる。ここで、「線対称の関係」とは、一方の端面σ1と他方の端面σ2とを面接触させたときに、一方の端面σ1におけるコアa1の中心と他方の端面σ2におけるコアa1の中心とが重なり合い、一方の端面σ1におけるコアa2の中心と他方の端面σ2におけるコアa2の中心とが重なり合い、…、一方の端面σ1におけるコアanの中心と他方の端面σ2におけるコアanの中心とが重なり合い、一方の端面σ1におけるマーカcの中心と他方の端面σ2におけるマーカcの中心とが互いに重なり合う関係のことを指す。線対称な関係は、例えば、コアa1~an及びマーカcの位置関係、並びに、コアa1~an及びマーカのサイズ及び形状がマルチコアファイバMFの全長に亘って厳密に保たれる場合に限って実現される理想的な関係である。また、「線対称状の関係」とは、一方の端面σ1と他方の端面σ2とを面接触させたときに、一方の端面σ1におけるコアa1と他方の端面σ2におけるコアa1とが少なくとも部分的に重なり合い、一方の端面σ1におけるコアa2と他方の端面σ2におけるコアa2とが少なくとも部分的に重なり合い、…、一方の端面σ1におけるコアanと他方の端面σ2におけるコアanとが少なくとも部分的に重なり合い、一方の端面σ1におけるマーカcと他方の端面σ2におけるマーカcとが少なくとも部分的に重なり合う関係のことを指す。線対称状の関係は、例えば、コアa1~an及びマーカcの位置関係、並びに、コアa1~an及びマーカのサイズ及び形状が製造誤差等によってマルチコアファイバMFの全長に亘って厳密に保たれない場合に実現される現実的な関係である。「線対称状の関係」は、「線対称の関係」を一具体例として含む。
【0021】
〔断面構造のバリエーション〕
マルチコアファイバMFの断面構造のバリエーションについて、
図2を参照して説明する。
【0022】
図2の(a)は、第1の具体例(
図1に示した具体例)に係るマルチコアファイバMFの端面σ1の正面図である。本具体例に係るマルチコアファイバMFは、正方形の頂点上に配置された4つのコアa1~a4を備えている。これら4つのコアa1~a4は、(1)上述した軸L1に対して線対称に配置されているとも言えるし、(2)軸L2に対して線対称に配置されているとも言える。ここで、軸L2は、マルチコアファイバMFの端面σ1において軸L1と直交する軸である。これら4つのコアa1~a4は、軸L1,L2を避けるように配置されている。換言すれば、軸L1,L2以外の位置に配置されている。なお、コアa1~a4が線対称の軸上に配置される構成も許せば、軸L1,L2と45°を成す不図示の対称軸が更に2本存在する。
【0023】
図2の(b)は、第2の具体例に係るマルチコアファイバMFの端面σ1の正面図である。本具体例に係るマルチコアファイバMFは、等脚台形の頂点上に配置された4つのコアa1~a4を備えている。これら4つのコアa1~a4は、軸L1に対して線対称に配置されていると言える。ここで、軸L1は、マルチコアファイバMFの中心軸に直交する軸である。これら4つのコアa1~a4は、この軸L1を避けるように配置されている。換言すれば、軸L1以外の位置に配置されている。
【0024】
図2の(c)は、マルチコアファイバMFの第3の具体例に係るマルチコアファイバMFの端面σ1の正面図である。本具体例に係るマルチコアファイバMFは、正六角形の頂点上に配置された6つのコアa1~a6を備えている。これら6つのコアa1~a6は、(1)軸L1に対して線対称に配置されていると言えるし、(2)軸L2に対して線対称に配置されているとも言えるし、(3)軸L3に対して線対称に配置されているとも言える。ここで、軸L1は、マルチコアファイバMFの中心軸に直交する軸である。軸L2は、マルチコアファイバMFの端面σ1において、軸L1のなす角が60°となる軸である。軸L3は、マルチコアファイバMFの端面σ1において、軸L1,L2との成す角がそれぞれ60°となる軸である。これら6つのコアa1~a6は、軸L1,L2,L3を避けるように配置されている。換言すれば、軸L1,L2,L3以外の位置に配置されている。なお、コアa1~a6が対称軸上に配置される構成も許せば、軸L1,L2,L3と30°を成す不図示の対称軸が更に3本存在する。
【0025】
図2の(d)は、マルチコアファイバMFの第4の具体例に係るマルチコアファイバMFの端面σ1の正面図である。本具体例に係るマルチコアファイバMFは、正六角形の頂点上に配置された6つのコアa1~a6と、その正六角形の中心に配置された1つのコアa7を備えている。これら7つのコアa1~a7は、(1)軸L1に対して線対称に配置されていると言えるし、(2)軸L2に対して線対称に配置されているとも言えるし、(3)軸L3に対して線対称に配置されているとも言える。ここで、軸L1は、マルチコアファイバMFの中心軸に直交する軸である。軸L2は、マルチコアファイバMFの端面σ1において、軸L1のなす角が60°となる軸である。軸L3は、マルチコアファイバMFの端面σ1において、軸L1,L2との成す角がそれぞれ60°となる軸である。これら7つのコアa1~a7のうち、正六角形の頂点上に配置された6つのコアa1~a6は、軸L1,L2,L3を避けるように配置されている。換言すれば、軸L1,L2,L3以外の位置に配置されて。これらのコアa1~a6は、後述するように、光信号を入力する用途、又は、光信号を出力する用途に適している。また、正六角形の中心上に配置された1つのコアa7は、軸L1,L2,L3上に配置されている。このコアa7は、光信号を入力する用途、又は、光信号を出力する用途に使ってもよいし、光信号の入出力を行わないダミーコアとしてもよい。言うまでもないことであるが、マルチコアファイバMFの端面σ1においてコアa7を光信号入力用とした場合、マルチコアファイバMFの端面σ2においてコアa7は光信号出力用となり、マルチコアファイバMFの端面σ1においてコアa7を光信号出力用とした場合、マルチコアファイバMFの端面σ2においてコアa7は光信号入力用となる。なお、コアa1~a6が対称軸上に配置される構成も許せば、軸L1,L2,L3と30°を成す不図示の対称軸が更に3本存在する。
【0026】
図2の(e)は、マルチコアファイバMFの第5の具体例に係るマルチコアファイバMFの端面σ1の正面図である。本具体例に係るマルチコアファイバMFは、正八角形の頂点上に配置された8つのコアa1~a8を備えている。これら8つのコアa1~a8は、(1)軸L1に対して線対称に配置されているとも言えるし、(2)軸L2に対して線対称に配置されているとも言えるし、(3)軸L3に対して線対称に配置されているとも言えるし、(4)軸L4に対して線対称に配置されているとも言える。ここで、軸L1は、マルチコアファイバMFの中心軸に直交する軸である。軸L2は、マルチコアファイバMFの端面σ1において、軸L1のなす角が45°となる軸である。軸L3は、マルチコアファイバMFの端面σ1において、軸L2との成す角が45°となる軸である。軸L4は、マルチコアファイバMFの端面σ1において、軸L3,L1との成す角がそれぞれ45°となる軸である。これら8つのコアa1~a8は、軸L1,L2,L3,L4を避けるように配置されている。換言すれば、軸L1,L2,L3,L4以外の位置に配置されている。なお、コアa1~a8が対称軸上に配置される構成も許せば、軸L1,L2,L3,L4と22.5°を成す不図示の対称軸が更に4本存在する。
【0027】
図2の(f)は、マルチコアファイバMFの第6の具体例に係るマルチコアファイバMFの端面σ1の正面図である。本具体例に係るマルチコアファイバMFは、2行4列の行列状に配置された8つのコアa1~a8を備えている。これら8つのコアa1~a8は、(1)軸L1に対して線対称に配置されているとも言えるし、(2)軸L2に対して線対称に配置されているとも言える。ここで、軸L1は、マルチコアファイバMFの中心軸に直交し、且つ、コアa1~a8の列方向に平行な軸であり、軸L2は、マルチコアファイバMFの中心軸に直交し、且つ、コアa1~a8の行方向に平行な軸である。これら8つのコアa1~a8は、軸L1,L2を避けるように配置されている。換言すれば、軸L1,L2以外の位置に配置されている。
【0028】
〔テープ心線〕
テープ心線Tについて、
図3を参照して説明する。
図3の(a)は、テープ心線Tの斜視図であり、
図3の(b)は、テープ心線Tの一方の端面τ1を視線E1方向から見た正面図である。
【0029】
テープ心線Tは、na本のマルチコアファイバMF1~MFnaを束ねたファイバ集合体である。naは、2以上の自然数であり、本実施形態においてはna=12である。各マルチコアファイバMFi(iは1以上na以下の自然数)は、上述したマルチコアファイバMFと同様に構成されている。マルチコアファイバMF1~MFnaは、例えば、間欠的に設けられた複数の連結材11によって束ねられる。各連結材11は、例えば、紫外線硬化樹脂等の樹脂材料により構成され、互いに隣接する2本のマルチコアファイバMF(マルチコアファイバMF1とマルチコアファイバMF2など)を連結するために利用される。なお、マルチコアファイバMF1~MFnaは、断面におけるコアa1~an及びマーカcの配置が共通であってもよいし、共通でなくてもよい。前者の場合には、接続対象となるファイバ集合体を構成する複数のマルチコアファイバの断面におけるコア及びマーカの配置が共通の場合に、容易に接続可能であるという効果が得られる。
【0030】
テープ心線Tにおいて、na本のマルチコアファイバMF(マルチコアファイバMF1~MFna)は、下記の条件αを満たすように束ねられる。
【0031】
条件α:その第1端面σ1がテープ心線Tの第1端面τ1側に位置し、且つ、その第2端面σ2がテープ心線Tの第2端面τ2側に位置するマルチコアファイバMFと、その第2端面σ2がテープ心線Tの第1端面τ1側に位置し、且つ、その第1端面σ1がテープ心線Tの第2端面τ2側に位置するマルチコアファイバMFと、が混在する。
【0032】
図3に例示したテープ心線Tにおいて、マルチコアファイバMF1,MF5,MF7,MF9,MF12は、その第1端面σ1がテープ心線Tの第1端面τ1側に位置し、且つ、その第2端面σ2がテープ心線Tの第2端面τ2側に位置するマルチコアファイバMFである。また、マルチコアファイバMF2,MF3,MF4,MF6,MF8、MF10,MF11は、その第2端面σ2がテープ心線Tの第1端面τ1側に位置し、且つ、その第1端面σ1がテープ心線Tの第2端面τ2側に位置するマルチコアファイバMFである。
【0033】
na本のマルチコアファイバMFが上記の条件αを満たすように束ねられていることによって、テープ心線Tを実現するna本のマルチコアファイバMFの向きのバリエーションは、2na-2とおりとなる。すなわち、na本のマルチコアファイバMFの向きの組み合わせに関する自由度の高いテープ心線Tを実現することが可能となる。また、テープ心線Tを製造する際に、テープ心線Tの材料となるna本のマルチコアファイバMFが全て同じ巻き方で巻かれるよう、ボビン等を確認及び管理する手間が軽減される。したがって、テープ心線Tの製造が容易になる。また、テープ心線Tによると、上述の通り、na本のマルチコアファイバMFの向きの組み合わせに関する自由度が高い為、得られたファイバ集合体の端面の精密な検査が不要となり、検査の負担を軽減できる。
【0034】
別の言い方をすれば、複数のテープ心線のうち少なくとも1つのテープ心線内で第1,2端面の向きが揃わずに混在する構成が得られる。これにより、単一のテープ心線内で第1,2端面の向きが揃った場合よりも、1つのテープ心線においても、製造が比較的容易またはマルチコアファイバの向きの組合せ自由度が高まる効果が得られる。
【0035】
また、
図3に例示したテープ心線Tにおいて、マルチコアファイバMF1~MFnaは、各マルチコアファイバMFiのマーカcが各マルチコアファイバMFiの中心軸を通る仮想平面Hに対して同じ側に位置するように束ねられている。これにより、テープ心線Tを他のテープ心線と接続する際に必要になる各マルチコアファイバMFiの回転調整において、各マルチコアファイバMFiの回転量を小さく抑えることができる。その結果、テープ心線Tの接続対象である他のテープ心線を構成するマルチコアファイバのマーカが各マルチコアファイバの中心軸を通る仮想平面に対して同じ側に位置するように束ねられている場合に、テープ心線Tを当該他のテープ心線に接続することが容易になる。
【0036】
なお、テープ心線Tを構成する各マルチコアファイバMFiの外側面には、コア配列が正配列であるか逆配列であるかを示すマーカが、印刷されていてもよいし、印刷されていなくてもよい。ここで、マルチコアファイバMFiが正配列であるとは、そのマルチコアファイバMFiの第1端面σ1がテープ心線Tの第1端面τ1側に位置し、且つ、そのマルチコアファイバMFiの第2端面σ2がテープ心線Tの第2端面τ2側に位置することを意味する。また、マルチコアファイバMFiが逆配列であるとは、そのマルチコアファイバMFiの第2端面σ2がテープ心線Tの第1端面τ1側に位置し、且つ、そのマルチコアファイバMFiの第1端面σ1がテープ心線Tの第2端面τ2側に位置することを意味する。
【0037】
なお、条件αは、「その第1端面σ1がテープ心線Tの第1端面τ1側に位置するマルチコアファイバMFと、その第2端面σ2がテープ心線Tの第1端面τ1側に位置するマルチコアファイバMFと、が混在する」という条件に置き換えてもよい。すなわち、テープ心線Tの第2端面τ2側において、na本のマルチコアファイバMFは、条件αを満たすように束ねられていなくてもよい。
【0038】
なお、テープ心線Tの第1端面τ1に最も近い連結材11a~11cに関して、又は、テープ芯線Tの第2端面τ2に最も近い連結材11d~11fに関して、以下の条件Aを満たしていることが好ましい。これにより、連結材11a~11cのうち、ある連結材により連結された何れかのマルチコアファイバの端面の向きが分かれば、その連結材により連結されたそれ以外のマルチコアファイバの端面の向きも分かる。同様に、連結材11d~11fのうち、ある連結材により連結された何れかのマルチコアファイバの端面の向きが分かれば、その連結材により連結されたそれ以外のマルチコアファイバの端面の向きも分かる。
【0039】
条件A:同じ連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きが揃っている。ここで、複数のマルチコアファイバの端面の向きが揃っているとは、これら複数のマルチコアファイバの2つの端面のうち、テープ心線Tの第1端面τ1側の端面が、(1)全て第1端面σ1であるか、又は、(2)全て第2端面σ2であることを指す。
【0040】
図3に示した具体例に即して言うと、例えば、テープ心線Tの第1端面τ1に関して上記の条件Aを満たすとは、(1)連結材11aにより連結されたマルチコアファイバMF1,MF2の端面の向きが揃っており、(2)連結材11bにより連結されたマルチコアファイバMF5,MF6の端面の向きが揃っており、(3)連結材11cにより連結されたマルチコアファイバMF9,MF10の端面の向きが揃っていることを指す。
【0041】
なお、同じ連結部材により連結されたマルチコアファイバが2本の場合、これら2本のマルチコアファイバの端面の向きが異なっていっても、上記の効果を奏する。これら2本のマルチコアファイバのうち、一方のマルチコアファイバの端面の向きが分かれば、他方のマルチコアファイバの端面の向きはその反対向きになることが分かるからである。
【0042】
また、テープ心線Tの第1端面τ1に最も近い連結材11a~11cに関して、又は、テープ芯線Tの第2端面τ2に最も近い連結材11d~11fに関して、以下の条件Bを満たしていることが好ましい。これにより、連結材11a~11cに関して、何れかの連結材により連結されたマルチコアファイバの端面の向きの並び順が分かれば、それ以外の連結材により連結されたマルチコアファイバの端面の向きの並び順が分かる。同様に、連結材11d~11fに関して、何れかの連結材により連結されたマルチコアファイバの端面の向きの並び順が分かれば、それ以外の連結材により連結されたマルチコアファイバの端面の向きの並び順が分かる。
【0043】
条件B:異なる連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きの並び順が揃っている。
【0044】
図3に示した具体例に即して言うと、例えば、テープ心線Tの第1端面τ1に関して上記の条件Aを満たすとは、連結材11aにより連結されたマルチコアファイバMF1,MF2の端面の向きの並び順と、連結材11bにより連結されたマルチコアファイバMF5,MF6の端面の向きの並び順と、連結材11cにより連結されたマルチコアファイバMF9,MF10の端面の向きの並び順が揃っていることを指す。
【0045】
なお、テープ心線Tの第1端面τ1に最も近い連結材11a~11cに関して、上記の条件A及びBの両方の条件を満たしていることが更に好ましい。この場合、連結材11a~11cの何れかにより連結されたマルチコアファイバの何れかの端面の向きが分かれば、連結材11a~11cにより連結された全てのマルチコアファイバMF1,MF2,MF5,MF6,MF9,MF10の端面の向きが分かる。同様に、テープ心線Tの第2端面τ2に最も近い連結材11d~11fに関して、上記の条件A及びBの両方の条件を満たしていることが更に好ましい。この場合、連結材11d~11fの何れかにより連結されたマルチコアファイバの何れかの端面の向きが分かれば、連結材11d~11fにより連結された全てのマルチコアファイバMF1,MF2,MF5,MF6,MF9,MF10の端面の向きが分かる。
【0046】
テープ心線Tに含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaは、識別可能であることが好ましい。これにより、マルチコアファイバMF1~MFnaの各々を適切な接続先に接続することが容易になるからである。ここで、マルチコアファイバMF1~MFnaの識別を可能にする構成は任意である。一例として、マルチコアファイバMF1~MFnのクラッドの形状を異ならせることによって、マルチコアファイバMF1~MFnの目視による識別が可能になる。また、マルチコアファイバMF1~MFnの各々が被覆に覆われている場合には、被覆の色又は形状を異ならせたり、被覆に異なるマーク、文字、数字などを形成する(例えば、印刷する)ことによって、マルチコアファイバMF1~MFnの目視による識別が可能になる。また、マルチコアファイバMF1~MFnの各々の端部にコネクタが設けられている場合には、コネクタの色又は形状(例えばキーを設ける位置)を異ならせたり、コネクタに異なるマーク、文字、数字などを形成したりすることによって、マルチコアファイバMF1~MFnの目視による識別が可能になる。以下、テープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの識別を可能にするための構造(クラッドの形状、被覆の色又は形状、被覆に形成するマーク、文字、又は数字、コネクタの色又は形状、コネクタに形成するマーク、文字、又は数字)を識別構造と記載する。
【0047】
〔バンドルユニット〕
バンドルユニットBについて、
図4を参照して説明する。
図4は、バンドルユニットBの正面図である。
図4においては、バンドルユニットBの2つの端面μ1,μ2のうち、端面μ1を正面視した正面図を示している。
【0048】
バンドルユニットBは、nb本のテープ心線T1~Tnbを束ねたファイバ集合体である。nbは、2以上の自然数であり、本実施形態においてはna=12、nb=6である。各テープ心線Tj(jは1以上nb以下の自然数)は、上述したテープ心線Tと同様に構成されている。したがって、バンドルユニットBは、na×nb本のマルチコアファイバMFを束ねたファイバ集合体と見做すことができる。例えば、テープ心線T1~Tnbは、2本のバンドル材によって束ねられる。バンドル材は、それぞれ、糸状、紐状、又は、テープ状の部材である。バンドルユニットBの上半分に巻き付けられたバンドル材とバンドルユニットBの下半分に巻き付けられたバンドル材とが反転箇所において互いに絡み合うことによって、バンドルユニットBが全体として略円柱状になるようにnb本のテープ心線T1~Tnbが束ねられる。このようなバンドルユニットBは、「スロットレス型」と呼ばれることもある。或いは、テープ心線T1~Tnbは、スロットによって束ねられる。スロットは、側面に複数の溝が形成された円柱状の構造体である(例えば、特開2022-92835参照)。テープ心線T1~Tnbは、それぞれ、これらの溝に収容される。同じ溝に2つ以上のテープ心線が収容されてもよいし、テープ心線が収容されない溝があってもよい。このようなバンドルユニットBは、「スロット型」と呼ばれることもある。スロット型のバンドルユニットには、それぞれのテープ心線が異なる溝に分離して配置されるため、テープ心線の識別が容易であるという利点がある。また、スロット型のバンドルユニットには、それぞれのテープ心線の位置がバンドルユニットの長手方向に亘って一定に保たれる(テープ心線の入れ替わりが生じない)というメリットがある。なお、これらna×nb本のマルチコアファイバMFは、断面におけるコアa1~an及びマーカcの配置が共通であってもよいし、共通でなくてもよい。前者の場合には、接続対象となるファイバ集合体を構成する複数のマルチコアファイバの断面におけるコア及びマーカの配置が共通の場合に、容易に接続可能であるという効果が得られる。
【0049】
テープ心線T1~Tnbの何れかにおいて、na本のマルチコアファイバMFが上記の条件αを満たすように束ねられている場合、テープ心線T1~Tnbの束ね方は任意である。すなわち、テープ心線T1~Tnは、下記の条件β‘を満たすように束ねられていてもよいし、下記の条件β’を満たさないように束ねられていてもよい。この場合、na本のマルチコアファイバMFが条件αを満たすように束ねられたテープ心線Tに関して、マルチコアファイバMFの向きの組み合わせの自由度が高まるという効果が得られる。一方、各テープ心線Tjを構成するna本のマルチコアファイバMFが上記の条件αを満たさないように束ねられている場合、すなわち、各テープ心線Tjを構成するna本のマルチコアファイバMFが下記の条件α’を満たすように束ねられている場合、テープ心線T1~Tnbは、下記の条件β’を満たすように束ねられる。
【0050】
条件α’:各マルチコアファイバMFの第1端面σ1がテープ心線Tjの第1端面τ1側に位置し、且つ、各マルチコアファイバMFの第2端面σ2がテープ心線Tjの第2端面τ2側に位置する。
【0051】
条件β’:その第1端面τ1がバンドルユニットBの第1端面μ1側に位置し、且つ、その第2端面τ2がバンドルユニットBの第2端面μ2側に位置するテープ心線Tと、その第2端面τ2がバンドルユニットBの第1端面μ1側に位置し、且つ、その第1端面τ1がバンドルユニットBの第2端面μ2側に位置するテープ心線Tと、が混在する。
【0052】
図4に例示したバンドルユニットBにおいて、各テープ心線Tjを構成する12本のマルチコアファイバMFは、上記の条件α’を満たすように束ねられており、バンドルユニットBを構成するテープ心線T1~T6は、上記の条件β’を満たすように束ねられている。ここで、テープ心線T2,T4,T6は、その第1端面τ1がバンドルユニットBの第1端面μ1側に位置し、且つ、その第2端面τ2がバンドルユニットBの第2端面μ2側に位置するテープ心線Tである。また、テープ心線T1,T3,T5は、その第2端面τ2がバンドルユニットBの第1端面μ1側に位置し、且つ、その第1端面τ1がバンドルユニットBの第2端面μ2側に位置するテープ心線Tである。
【0053】
nb本のテープ心線Tが上記の条件β’を満たすように束ねられていることによって、バンドルユニットBを実現するnb本のテープ心線Tの向きのバリエーションは、2nb-2とおりとなる。すなわち、バンドルユニットBを実現するnb本のテープ心線Tの向きの組み合わせに関する自由度が高くなる。また、バンドルユニットBを製造する際に、バンドルユニットBの材料となるnb本のテープ心線Tが全て同じ巻き方で巻かれるよう、ボビン等を確認及び管理する手間が軽減される。したがって、バンドルユニットBの製造が容易になる。更に、各テープ心線Tを構成するマルチコアファイバMFが上記の条件α’を満たすことで、nb本のテープ心線Tを異なる接続先に振り分ける場合、特に、各接続先においてマルチコアファイバMFの端面におけるマーカ配置が一致することが要求される場合、振り分けが容易になる。
【0054】
なお、(1)テープ心線T1~Tnbの何れかにおいて、na本のマルチコアファイバMFが上記の条件αを満たすように束ねられている場合、及び、(2)各テープ心線Tjを構成するna本のマルチコアファイバMFが上記の条件α’を満たすように束ねられ、テープ心線T1~Tnbが上記の条件β’を満たすように束ねられている場合の双方において、バンドルユニットBを構成するna×nb本のマルチコアファイバMFは、以下の条件βを満たす。
【0055】
条件β:その第1端面σ1がバンドルユニットBの第1端面μ1側に位置し、且つ、その第2端面σ2がバンドルユニットBの第2端面μ2側に位置するマルチコアファイバMFと、その第2端面σ2がバンドルユニットBの第1端面μ1側に位置し、且つ、その第1端面σ1がバンドルユニットBの第2端面μ2側に位置するマルチコアファイバMFと、が混在する。
【0056】
なお、条件α’は、「各マルチコアファイバMFの第1端面σ1がテープ心線Tjの第1端面τ1側に位置する」という条件に置き換えてもよい。すなわち、各テープ心線Tiの第2端面τ2側において、na本のマルチコアファイバMFは、条件α’を満たすように束ねられていなくてもよい。
【0057】
また、条件β’は、「その第1端面τ1がバンドルユニットBの第1端面μ1側に位置するテープ心線Tと、その第2端面τ2がバンドルユニットBの第1端面μ1側に位置するテープ心線Tと、が混在する」という条件に置き換えてもよい。すなわち、テープ心線T1~Tnbは、バンドルユニットBの第2端面μ2側において、条件β’を満たすように束ねられていなくてもよい。
【0058】
また、条件βは、「その第1端面σ1がバンドルユニットBの第1端面μ1側に位置するマルチコアファイバMFと、その第2端面σ2がバンドルユニットBの第1端面μ1側に位置するマルチコアファイバMFと、が混在する」という条件に置き換えてもよい。すなわち、na×nb本のマルチコアファイバMFは、バンドルユニットBの第2端面μ2側において、条件βを満たすように束ねられていなくてもよい。
【0059】
なお、スロット型のバンドルユニットにおいて、各溝に収容される複数のマルチコアファイバは、テープ心線を構成していてもよいし(結束されていてもよいし)、テープ心線を構成していなくてもよい(結束されていなくてもよい)。後者の場合、同じ溝に収容されたマルチコアファイバは、その溝によって束ねられ、異なる溝に収容されたマルチコアファイバは、溝を隔てる隔壁によって分離されているので、互いに交じり合うことはない。
【0060】
バンドルユニットBに含まれるテープ心線T1~Tnbの各々においてマルチコアファイバMF1~MFnaが識別可能である場合、少なくとも2つのテープ心線において同じ識別構造を有するマルチコアファイバMFiの向きが一致していることが好ましい。これにより、上記少なくとも2つのテープ心線のうち、1つのテープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの向きを特定することができれば、上記少なくとも2つのテープ心線のうち、その他のテープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの向きを識別構造を参照して容易に特定することが可能になる。
【0061】
また、バンドルユニットBに含まれるテープ心線T1~Tnbの各々においてマルチコアファイバMF1~MFnaが識別可能である場合、全てのテープ心線T1~Tnbにおいて同じ識別構造を有するマルチコアファイバMFiの向きが一致していることが好ましい。これにより、テープ心線T1~Tnbのうち、1つのテープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの向きを特定することができれば、テープ心線T1~Tnbのうち、その他のテープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの向きを識別構造を参照して容易に特定することが可能になる。
【0062】
〔ケーブル〕
ケーブルCについて、
図5を参照して説明する。
図5は、ケーブルCの正面図である。
図5においては、ケーブルCの2つの端面ν1,ν2のうち、端面ν1を正面視した正面図を示している。
【0063】
ケーブルCは、nc本のバンドルユニットB1~Bncを束ねたファイバ集合体である。ncは、2以上の自然数であり、本実施形態においてはna=12、nb=6、nc=4である。各バンドルユニットBk(kは1以上nc以下の自然数)は、上述したバンドルユニットBと同様に構成されている。したがって、ケーブルCは、na×nb×nc本のマルチコアファイバMFを束ねたファイバ集合体と見做すことができる。例えば、バンドルユニットB1~Bncは、円筒状のシースによって束ねられる。このようなケーブルCは、「スロットレス型」と呼ばれることもある。或いは、バンドルユニットB1~Bncは、スロットによって束ねられる。スロットは、側面に複数の溝が形成された円柱状の構造体である(例えば、特開2022-92835参照)。バンドルユニットB1~Bncは、それぞれ、これらの溝に収容される。同じ溝に2つ以上のバンドルユニットが収容されてもよいし、バンドルユニットが収容されない溝があってもよい。このようなケーブルCは、「スロット型」と呼ばれることもある。スロット型のケーブルには、それぞれのバンドルユニットが異なる溝に分離して配置されるため、バンドルユニットの識別が容易であるという利点がある。また、スロット型のケーブルには、それぞれのバンドルユニットの位置がケーブルの長手方向に亘って一定に保たれる(バンドルユニットの入れ替わりが生じない)というメリットがある。なお、これらna×nb×nc本のマルチコアファイバMFは、断面におけるコアa1~an及びマーカcの配置が共通であってもよいし、共通でなくてもよい。前者の場合には、接続対象となるファイバ集合体を構成する複数のマルチコアファイバの断面におけるコア及びマーカの配置が共通の場合に、容易に接続可能であるという効果が得られる。
【0064】
バンドルユニットB1~Bncの何れかにおいて、na×nb本のマルチコアファイバMFが上記の条件βを満たすように束ねられている場合、バンドルユニットB1~Bncの束ね方は任意である。この場合、na×nb本のマルチコアファイバMFが条件βを満たすように束ねられたバンドルユニットBに関して、マルチコアファイバMFの向きの組み合わせの自由度が高まるという効果が得られる。一方、各バンドルユニットBkを構成するna×nb本のマルチコアファイバMFが上記の条件βを満たさないように束ねられている場合、すなわち、各バンドルユニットBkを構成するna×nb本のマルチコアファイバMFが下記の条件β”を満たすように束ねられている場合、バンドルユニットB1~Bncは、下記の条件γ’を満たすように束ねられる。
【0065】
条件β”:各マルチコアファイバMFの第1端面σ1がバンドルユニットBkの第1端面μ1側に位置し、且つ、各マルチコアファイバMFの第2端面σ2がバンドルユニットBkの第2端面μ2側に位置する。
【0066】
条件γ’:その第1端面μ1がケーブルCの第1端面ν1側に位置し、且つ、その第2端面μ2がケーブルCの第2端面ν2側に位置するバンドルユニットBと、その第2端面μ2がケーブルCの第1端面ν1側に位置し、且つ、その第1端面μ1がケーブルCの第2端面ν2側に位置するバンドルユニットBと、が混在する。
【0067】
図5に例示したケーブルCにおいて、各バンドルユニットBkを構成する12×6本のマルチコアファイバMFは、上記の条件β”を満たすように束ねられており、ケーブルCを構成するバンドルユニットB1~B4は、上記の条件γ’を満たすように束ねられている。ここで、バンドルユニットB2,B4は、その第1端面μ1がケーブルCの第1端面ν1側に位置し、且つ、その第2端面μ2がケーブルCの第2端面ν2側に位置するバンドルユニットBである。また、バンドルユニットB1,B3は、その第2端面μ2がケーブルCの第1端面ν1側に位置し、且つ、その第1端面μ1がケーブルCの第2端面ν2側に位置するバンドルユニットBである。
【0068】
nc本のバンドルユニットBが上記の条件γ’を満たすように束ねられていることによって、ケーブルCを実現するnc本のバンドルユニットBの向きのバリエーションは、2nc-2とおりとなる。すなわち、ケーブルCを実現するnc本のバンドルユニットBの向きの組み合わせに関する自由度が高くなる。また、ケーブルCを製造する際に、ケーブルCの材料となるnc本のバンドルユニットBが全て同じ巻き方で巻かれるよう、ボビン等を確認及び管理する手間が軽減される。したがって、ケーブルCの製造が容易になる。更に、各バンドルユニットBを構成するマルチコアファイバMFが上記の条件β”を満たすことで、nc本のバンドルユニットBを異なる接続先に振り分ける場合、特に、各接続先においてマルチコアファイバMFの端面におけるマーカ配置が一致することが要求される場合、バンドルユニットBの振り分けが容易になる。
【0069】
なお、(1)バンドルユニットB1~Bncの何れかにおいて、na×nb本のマルチコアファイバMFが上記の条件βを満たすように束ねられている場合、及び、(2)各バンドルユニットBkを構成するna×nb本のマルチコアファイバMFが上記の条件β”を満たすように束ねられ、バンドルユニットB1~Bncが上記の条件γ’を満たすように束ねられている場合の双方において、ケーブルCを構成するna×nb×nc本のマルチコアファイバMFは、以下の条件γを満たす。
【0070】
条件γ:その第1端面σ1がケーブルCの第1端面ν1側に位置し、且つ、その第2端面σ2がケーブルCの第2端面ν2側に位置するマルチコアファイバMFと、その第2端面σ2がケーブルCの第1端面ν1側に位置し、且つ、その第1端面σ1がケーブルCの第2端面μ2側に位置するマルチコアファイバMFと、が混在する。
【0071】
なお、条件β”は、「各マルチコアファイバMFの第1端面σ1がバンドルユニットBkの第1端面μ1側に位置する」という条件に置き換えてもよい。すなわち、各バンドルユニットBkの第2端面μ2側において、na×nb本のマルチコアファイバMFは、条件β”を満たすように束ねられていなくてもよい。
【0072】
また、条件γ’は、「その第1端面μ1がケーブルCの第1端面ν1側に位置するバンドルユニットBと、その第2端面μ2がケーブルCの第1端面ν1側に位置するバンドルユニットBと、が混在する」という条件に置き換えてもよい。すなわち、バンドルユニットB1~Bncは、ケーブルCの第2端面ν2側において、条件γ’を満たすように束ねられていなくてもよい。
【0073】
また、条件γは、「その第1端面σ1がケーブルCの第1端面ν1側に位置するマルチコアファイバMFと、その第2端面σ2がケーブルCの第1端面ν1側に位置するマルチコアファイバMFと、が混在する」という条件に置き換えてもよい。すなわち、na×nb×nc本のマルチコアファイバMFは、ケーブルCの第2端面ν2側において、条件γを満たすように束ねられていなくてもよい。
【0074】
なお、スロット型のケーブルにおいて、各溝に収容される複数のテープ心線は、バンドルユニットを構成していてもよいし(結束されていてもよいし)、バンドルユニットを構成していなくてもよい(結束されていなくてもよい)。後者の場合、同じ溝に収容されたテープ心線は、その溝によって束ねられ、異なる溝に収容されたテープ心線は、溝を隔てる隔壁によって分離されているので、互いに交じり合うことはない。
【0075】
ケーブルCに含まれるテープ心線T1~Tnb×ncの各々においてマルチコアファイバMF1~MFnaが識別可能である場合、少なくとも2つのテープ心線において同じ識別構造を有するマルチコアファイバMFiの向きが一致していることが好ましい。これにより、上記少なくとも2つのテープ心線のうち、1つのテープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの向きを特定することができれば、上記少なくとも2つのテープ心線のうち、その他のテープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの向きを、識別構造を参照して容易に特定することが可能になる。また、上記少なくとも2つのテープ心線は、マルチコアファイバMF1~MFnaの並び順が一致するように構成されていることが好ましい。例えば、上記少なくとも2つのテープ心線のうち、1つのテープ心線において、マルチコアファイバMF1~MFnaが、被覆が青のマルチコアファイバMF1、被覆が黄色のマルチコアファイバMF2、被覆が緑色のマルチコアファイバMF3、…という順に並んでいる場合、上記少なくとも2つのテープ心線のうち、その他のテープ心線においても、マルチコアファイバMF1~MFnaが同じ順に並んでいることが好ましい。これにより、上記少なくとも2つのテープ心線のうち、1つのテープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの向きを特定することができれば、上記少なくとも2つのテープ心線のうち、その他のテープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの向きを、並び順に基づいて容易に特定することが可能になる。
【0076】
また、ケーブルCに含まれるテープ心線T1~Tnb×ncの各々においてマルチコアファイバMF1~MFnaが識別可能である場合、全てのテープ心線T1~Tnb×ncにおいて同じ識別構造を有するマルチコアファイバMFiの向きが一致していることが好ましい。これにより、テープ心線T1~Tnb×ncのうち、1つのテープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの向きを特定することができれば、テープ心線T1~Tnb×ncのうち、その他のテープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの向きを識別構造を参照して容易に特定することが可能になる。また、テープ心線T1~Tnb×ncは、マルチコアファイバMF1~MFnaの並び順が一致するように構成されていることが好ましい。例えば、テープ心線T1~Tnb×ncのうち、1つのテープ心線において、マルチコアファイバMF1~MFnaが、被覆が青のマルチコアファイバMF1、被覆が黄色のマルチコアファイバMF2、被覆が緑色のマルチコアファイバMF3、…という順に並んでいる場合、テープ心線T1~Tnb×ncのうち、その他のテープ心線においても、マルチコアファイバMF1~MFnaが同じ順に並んでいることが好ましい。これにより、テープ心線T1~Tnb×ncのうち、1つのテープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの向きを特定することができれば、テープ心線T1~Tnb×ncのうち、その他のテープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの向きを、並び順に基づいて容易に特定することが可能になる。
【0077】
〔伝送路〕
伝送路Lについて、
図6を参照して説明する。
図6は、伝送路Lの正面図である。
図6においては、伝送路L2つの端面ξ1,ξ2のうち、端面ξ1を正面視した正面図を示している。
【0078】
伝送路Lは、nd本のケーブルC1~Cndを束ねたファイバ集合体である。ndは、2以上の自然数であり、本実施形態においてはna=12、nb=6、nc=4、nd=4である。各ケーブルCl(lは1以上nd以下の自然数)は、上述したケーブルCと同様に構成されている。したがって、伝送路Lは、na×nb×nc×nd本のマルチコアファイバMFを束ねたファイバ集合体と見做すことができる。ここで、伝送路Lは、次の形態によって実現できる。すなわち、伝送路Lは、ケーブルC1~Cndが、例えば、円筒状のダクトや結束バンド等によって束ねられることにより実現できる。また、伝送路Lは、ケーブルC1~Cndが、地中に埋設されて纏まって存在することにより実現できる。また、伝送路Lは、ケーブルC1~Cndが、特定のダクト内に収納された複数のダクト内にそれぞれ収納されたり、ケーブルラック内に収容されたりすることにより実現できる。なお、これらna×nb×nc×nd本のマルチコアファイバMFは、断面におけるコアa1~an及びマーカcの配置が共通であってもよいし、共通でなくてもよい。前者の場合には、接続対象となるファイバ集合体を構成する複数のマルチコアファイバの断面におけるコア及びマーカの配置が共通の場合に、容易に接続可能であるという効果が得られる。
【0079】
ケーブルC1~Cndの何れかにおいて、na×nb×nc本のマルチコアファイバMFが上記の条件γを満たすように束ねられている場合、ケーブルC1~Cndの束ね方は任意である。この場合、na×nb×nc本のマルチコアファイバMFが条件γを満たすように束ねられたケーブルCに関して、マルチコアファイバMFの向きの組み合わせの自由度が高まるという効果が得られる。一方、各ケーブルClを構成するna×nb×nc本のマルチコアファイバMFが上記の条件γを満たさないように束ねられている場合、すなわち、各ケーブルClを構成するna×nb×nc本のマルチコアファイバMFが下記の条件γ”を満たすように束ねられている場合、ケーブルC1~Cndは、下記の条件δ’を満たすように束ねられる。
【0080】
条件γ”:各マルチコアファイバMFの第1端面σ1がケーブルClの第1端面ν1側に位置し、且つ、各マルチコアファイバMFの第2端面σ2がケーブルClの第2端面ν2側に位置する。
【0081】
条件δ’:その第1端面ν1が伝送路Lの第1端面ξ1側に位置し、且つ、その第2端面ν2が伝送路Lの第2端面ξ2側に位置するケーブルCと、その第2端面ν2が伝送路Lの第1端面ξ1側に位置し、且つ、その第1端面ν1が伝送路Lの第2端面ξ2側に位置するケーブルCと、が混在する。
【0082】
図6に例示した伝送路Lにおいて、各ケーブルClを構成する12×6×4本のマルチコアファイバMFは、上記の条件γ”を満たすように束ねられており、伝送路Lを構成するケーブルC1~C4は、上記の条件δ’を満たすように束ねられている。ここで、ケーブルC2,C4は、その第1端面ν1が伝送路Lの第1端面ξ1側に位置し、且つ、その第2端面ν2が伝送路Lの第2端面ξ2側に位置するケーブルCである。また、ケーブルC1,C3は、その第2端面ν2が伝送路Lの第1端面ξ1側に位置し、且つ、その第1端面ν1が伝送路Lの第2端面ξ2側に位置するケーブルCである。
【0083】
nd本のケーブルCが上記の条件δ’を満たすように束ねられていることによって、伝送路Lを実現するnd本のケーブルCの向きのバリエーションは、2nd-2とおりとなる。すなわち、伝送路Cを実現するnd本のケーブルCの向きの組み合わせに関する自由度が高くなる。また、伝送路Lを製造する際に、伝送路Lの材料となるnd本のケーブルCが全て同じ巻き方で巻かれるよう、ボビン等を確認及び管理する手間が軽減される。したがって、伝送路Lの製造が容易になる。更に、各ケーブルCを構成するマルチコアファイバMFが上記の条件γ”を満たすことで、nd本のケーブルCを異なる接続先に振り分ける場合、特に、各接続先においてマルチコアファイバMFの端面におけるマーカ配置が一致することが要求される場合、ケーブルCの振り分けが容易になる。
【0084】
なお、(1)ケーブルC1~Cndの何れかにおいて、na×nb×nc本のマルチコアファイバMFが上記の条件γを満たすように束ねられている場合、及び、(2)各ケーブルClを構成するna×nb×nc本のマルチコアファイバMFが上記の条件γ”を満たすように束ねられ、ケーブルC1~Cndが上記の条件δ’を満たすように束ねられている場合の双方において、伝送路Lを構成するna×nb×nc×nd本のマルチコアファイバMFは、以下の条件δを満たす。
【0085】
条件δ:その第1端面σ1が伝送路Lの第1端面ξ1側に位置し、且つ、その第2端面σ2が伝送路Lの第2端面ξ2側に位置するマルチコアファイバMFと、その第2端面σ2が伝送路Lの第1端面ξ1側に位置し、且つ、その第1端面σ1が伝送路Lの第2端面ξ2側に位置するマルチコアファイバMFと、が混在する。
【0086】
なお、条件γ”は、「各マルチコアファイバMFの第1端面σ1がケーブルClの第1端面ν1側に位置する」という条件に置き換えてもよい。すなわち、各ケーブルClの第2端面ν2側において、na×nb×nc本のマルチコアファイバMFは、条件γ”を満たすように束ねられていなくてもよい。
【0087】
また、条件δ’は、「その第1端面ν1が伝送路Lの第1端面ξ1側に位置するケーブルCと、その第2端面ν2が伝送路Lの第1端面ξ1側に位置するケーブルCと、が混在する」という条件に置き換えてもよい。すなわち、ケーブルC1~Cndは、伝送路Lの第2端面ξ2側において、条件δ’を満たすように束ねられていなくてもよい。
【0088】
また、条件δは、「その第1端面σ1が伝送路Lの第1端面ξ1側に位置するマルチコアファイバMFと、その第2端面σ2が伝送路Lの第1端面ξ1側に位置するマルチコアファイバMFと、が混在する」という条件に置き換えてもよい。すなわち、na×nb×nc×nd本のマルチコアファイバMFは、伝送路Lの第2端面ξ2側において、条件δを満たすように束ねられていなくてもよい。
【0089】
(まとめ1)
本発明の態様1に係るファイバ集合体は、一方の端面である第1端面と他方の端面である第2端面とが識別可能な複数のマルチコアファイバを備えたファイバ集合体であって、前記複数のマルチコアファイバは、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられている。
【0090】
本発明の態様2に係るファイバ集合体においては、態様1の構成に加えて、前記複数のマルチコアファイバは、それぞれ、クラッドと、断面において前記クラッドの内部に線対称状に配置された複数のコアと、断面において前記クラッドの内部に前記複数のコアの対称軸以外の位置に中心が配置されたマーカと、を含み、前記複数のマルチコアファイバのそれぞれにおいて、前記第1端面と前記第2端面とは、前記対称軸に対する前記マーカの位置によって識別可能である。
【0091】
本発明の態様3に係るファイバ集合体においては、態様1又は2の構成に加えて、前記複数のマルチコアファイバは、単一のテープ心線を構成するように少なくとも一部が束ねられている。
【0092】
本発明の態様4に係るファイバ集合体においては、態様1又は2の構成に加えて、前記複数のマルチコアファイバは、複数のテープ心線を構成するように束ねられており、前記複数のテープ心線は、単一のバンドルユニットを構成するように少なくとも一部が束ねられている。
【0093】
本発明の態様5に係るファイバ集合体においては、態様4の構成に加えて、各テープ心線を構成するマルチコアファイバは、各マルチコアファイバの前記第1端面が該テープ心線の第1端面側に位置するように束ねられており、前記複数のテープ心線は、その前記第1端面が前記バンドルユニットの第1端面側に位置するテープ心線と、その前記第2端面が前記バンドルユニットの前記第1端面側に位置するテープ心線と、が混在するように束ねられている。
【0094】
本発明の態様6に係るファイバ集合体においては、態様1又は2の構成に加えて、前記複数のテープ心線は、複数のバンドルユニットを構成するように束ねられており、前記複数のバンドルユニットは、単一のケーブルを構成するように少なくとも一部が束ねられている。
【0095】
本発明の態様7に係るファイバ集合体においては、態様6の構成に加えて、各バンドルユニットを構成するマルチコアファイバは、各マルチコアファイバの前記第1端面が該バンドルユニットの第1端面側に位置するように束ねられており、前記複数のバンドルユニットは、その前記第1端面が前記ケーブルの第1端面側に位置するバンドルユニットと、その前記第2端面が前記ケーブルの前記第1端面側に位置するバンドルユニットと、が混在するように束ねられている。
【0096】
本発明の態様8に係るファイバ集合体においては、態様1又は2の構成に加えて、前記複数のマルチコアファイバは、複数のテープ心線を構成するように束ねられており、前記複数のテープ心線は、複数のバンドルユニットを構成するように束ねられており、前記複数のバンドルユニットは、複数のケーブルを構成するように束ねられており、前記複数のケーブルは、単一の伝送路を構成するように少なくとも一部が束ねられている。
【0097】
本発明の態様9に係るファイバ集合体においては、態様4、6又は8の構成に加えて、少なくとも1つのテープ心線を構成するマルチコアファイバは、その前記第1端面が当該テープ心線の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が当該テープ心線の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられている。
【0098】
本発明の態様10に係るファイバ集合体においては、態様6又は8の構成に加えて、少なくとも1つのバンドルユニットを構成するマルチコアファイバは、その前記第1端面が当該バンドルユニットの第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が当該バンドルユニットの前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられている。
【0099】
本発明の態様11に係るファイバ集合体においては、態様3~10の何れかの構成に加えて、前記複数のマルチコアファイバは、それぞれ、クラッドと、断面において前記クラッドの内部に線対称状に配置された複数のコアと、断面において前記クラッドの内部に前記複数のコアの対称軸以外の位置に中心が配置されたマーカと、を含み、前記複数のマルチコアファイバのそれぞれにおいて、前記第1端面と前記第2端面とは、前記対称軸に対する前記マーカの位置によって識別可能であり、前記テープ心線を構成する複数のマルチコアファイバは、少なくとも前記テープ心線の前記第1端面において、各マルチコアファイバの前記マーカが各マルチコアファイバの中心軸を通る仮想平面に対して同じ側に位置するように束ねられている。
【0100】
本発明の態様12に係るファイバ集合体においては、態様3~11の何れかの構成に加えて、前記テープ心線を構成する複数のマルチコアファイバは、間欠的に設けられた複数の連結材を用いて束ねられており、前記複数の連結材のうち、前記ファイバ集合体の前記第1端面に最も近い連結材に関して、同じ連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きが揃っているか、若しくは、前記ファイバ集合体の前記第2端面に最も近い連結材に関して、同じ連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きが揃っている、又は、前記複数の連結材のうち、前記ファイバ集合体の前記第1端面に最も近い連結材に関して、異なる連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きの並び順が揃っているか、若しくは、前記ファイバ集合体の前記第2端面に最も近い連結材に関して、異なる連結材により連結された複数のマルチコアファイバの端面の向きの並び順が揃っている。
【0101】
本発明の態様13に係るファイバ集合体においては、態様4~12の何れかの構成に加えて、前記複数のテープ心線に含まれる少なくとも2つのテープ心線について、各テープ心線に含まれる複数のマルチコアファイバを識別構造により識別可能であり、少なくとも1つの識別構造について、前記少なくとも2つのテープ心線の各々において当該識別構造を有するマルチコアファイバの端面の向きが一致している。
【0102】
本発明の態様14に係るファイバ集合体においては、態様13の構成に加えて、前記複数のテープ心線に含まれる少なくとも2つのテープ心線について、各テープ心線に含まれるマルチコアファイバMF1~MFnaの並び順が一致するように構成されている。
【0103】
本発明の態様15に係るファイバ集合体の製造方法は、一方の端面である第1端面と他方の端面である第2端面とが識別可能な複数のマルチコアファイバを備えたファイバ集合体の製造方法であって、前記複数のマルチコアファイバを、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように配置する工程と、前記複数のマルチコアファイバを束ねる工程と、を含む。
【0104】
(まとめ2)
本発明の態様1に係るファイバ集合体は、クラッドと、断面において前記クラッドの内部に線対称に配置された複数のコアと、断面において前記クラッドの内部に前記複数のコアの対称軸以外の位置に中心が配置されたマーカと、を含む複数のマルチコアファイバを備えたファイバ集合体であって、前記複数のマルチコアファイバは、それぞれ、第1端面と、前記複数のコア及び前記マーカの配置が前記第1端面と線対称の関係にある第2端面と、を有し、前記複数のマルチコアファイバは、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられている。
【0105】
本発明の態様2に係るファイバ集合体においては、態様1の構成に加えて、前記複数のマルチコアファイバは、単一のテープ心線を構成するように少なくとも一部が束ねられている、という構成が採用されている。
【0106】
本発明の態様3に係るファイバ集合体においては、態様1の構成に加えて、前記複数のマルチコアファイバは、複数のテープ心線を構成するように束ねられており、前記複数のテープ心線は、単一のバンドルユニットを構成するように少なくとも一部が束ねられている、という構成が採用されている。
【0107】
本発明の態様4に係るファイバ集合体においては、態様3の構成に加えて、各テープ心線を構成するマルチコアファイバは、各マルチコアファイバの前記第1端面が該テープ心線の第1端面側に位置するように束ねられており、前記複数のテープ心線は、その前記第1端面が前記バンドルユニットの第1端面側に位置するテープ心線と、その前記第2端面が前記バンドルユニットの前記第1端面側に位置するテープ心線と、が混在するように束ねられている、という構成が採用されている。
【0108】
本発明の態様5に係るファイバ集合体においては、態様1の構成に加えて、前記複数のマルチコアファイバは、複数のテープ心線を構成するように束ねられており、前記複数のテープ心線は、複数のバンドルユニットを構成するように束ねられており、前記複数のバンドルユニットは、単一のケーブルを構成するように少なくとも一部が束ねられている、という構成が採用されている。
【0109】
本発明の態様6に係るファイバ集合体においては、態様5の構成に加えて、各バンドルユニットを構成するマルチコアファイバは、各マルチコアファイバの前記第1端面が該バンドルユニットの第1端面側に位置するように束ねられており、前記複数のバンドルユニットは、その前記第1端面が前記ケーブルの第1端面側に位置するバンドルユニットと、その前記第2端面が前記ケーブルの前記第1端面側に位置するバンドルユニットと、が混在するように束ねられている、という構成が採用されている。
【0110】
本発明の態様7に係るファイバ集合体においては、態様1の構成に加えて、前記複数のマルチコアファイバは、複数のテープ心線を構成するように束ねられており、前記複数のテープ心線は、複数のバンドルユニットを構成するように束ねられており、前記複数のバンドルユニットは、複数のケーブルを構成するように束ねられており、前記複数のケーブルは、単一の伝送路を構成するように少なくとも一部が束ねられている、という構成が採用されている。
【0111】
本発明の態様8に係るファイバ集合体においては、態様7の構成に加えて、各ケーブルを構成するマルチコアファイバは、各マルチコアファイバの前記第1端面が該ケーブルの第1端面側に位置するように束ねられており、前記複数のケーブルは、その前記第1端面が前記伝送路の第1端面側に位置するケーブルと、その前記第2端面が前記伝送路の前記第1端面側に位置するケーブルと、が混在するように束ねられている、という構成が採用されている。
【0112】
本発明の態様9に係るファイバ集合体においては、態様3、5、又は7の構成に加えて、少なくとも1つのテープ心線を構成するマルチコアファイバは、その前記第1端面が当該テープ心線の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が当該テープ心線の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられている、という構成が採用されている。
【0113】
本発明の態様10に係るファイバ集合体においては、態様5又は7の構成に加えて、少なくとも1つのバンドルユニットを構成するマルチコアファイバは、その前記第1端面が当該バンドルユニットの第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が当該バンドルユニットの前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられている、という構成が採用されている。
【0114】
本発明の態様11に係るファイバ集合体においては、態様7の構成に加えて、少なくとも1つのケーブルを構成するマルチコアファイバは、その前記第1端面が当該伝送路の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が当該伝送路の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように束ねられている、という構成が採用されている。
【0115】
本発明の態様12に係るファイバ集合体においては、態様2~11の何れかの構成に加えて、前記テープ心線を構成する複数のマルチコアファイバは、少なくとも前記テープ心線の前記第1端面において、各マルチコアファイバの前記マーカが各マルチコアファイバの中心軸を通る仮想平面に対して同じ側に位置するように束ねられている、という構成が採用されている。
【0116】
本発明の態様13に係るファイバ集合体においては、態様1~12の何れかの構成に加えて、前記複数のマルチコアファイバの前記第1端面及び前記第2端面において、前記複数のコア及び前記マーカの配置が共通している、という構成が採用されている。
【0117】
本発明の態様14に係るファイバ集合体においては、態様1~13の何れかの構成に加えて、前記マルチコアファイバにおいて、前記マーカは、前記複数のコアの対称軸と重ならないように配置されている、という構成が採用されている。
【0118】
本発明の態様15に係るファイバ集合体の製造方法は、クラッドと、断面において前記クラッドの内部に線対称に配置された複数のコアと、断面において前記クラッドの内部に前記複数のコアの対称軸以外の位置に配置されたマーカと、を含む複数のマルチコアファイバを備えたファイバ集合体の製造方法であって、前記複数のマルチコアファイバは、それぞれ、第1端面と、前記複数のコア及び前記マーカの配置が前記第1端面と線対称の関係にある第2端面と、を有し、前記複数のマルチコアファイバを、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように配置する工程と、前記複数のマルチコアファイバを束ねる工程と、を含んでいる。
【0119】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態に開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、ファイバ集合体の一方又は両方の端面にコネクタ又はファンインファンアウトデバイスが設けられていてもよい。また、上述したファイバ集合体の製造方法、例えば、前記複数のマルチコアファイバを、その前記第1端面が前記ファイバ集合体の第1端面側に位置するマルチコアファイバと、その前記第2端面が前記ファイバ集合体の前記第1端面側に位置するマルチコアファイバと、が混在するように配置する工程と、前記複数のマルチコアファイバを束ねる工程と、を含む、ファイバ集合体の製造方法も、本発明の範疇に含まれる。また、テープ心線は、マルチコアファイバのみより構成されている必要はなく、マルチコアファイバとシングルコアファイバとにより構成されていてもよい。同様に、また、バンドルユニットは、マルチコアファイバのみより構成されている必要はなく、マルチコアファイバとシングルコアファイバとにより構成されていてもよい。同様に、伝送路は、マルチコアファイバのみより構成されている必要はなく、マルチコアファイバとシングルコアファイバとにより構成されていてもよい。
【0120】
また、上述した実施形態においては、クラッドの内部に形成されたマーカの位置によって第1端面と第2端面とを識別可能なマルチコアファイバを束ねたファイバ集合体について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、クラッドの断面形状によって第1端面と第2端面とを識別可能なマルチコアファイバを束ねたファイバ集合体も、本発明の範疇に含まれる。この場合、クラッドの断面形状を、コアの対称軸に対して非対称にすればよい。一例として、クラッドの断面形状を、D型にすることなどが考えられる。或いは、コネクタの形状によって第1端面と第2端面とを識別可能なマルチコアファイバを束ねたファイバ集合体も、本発明の範疇に含まれる。この場合、各マルチコアファイバの端部に設けられるコネクタの形状を、コアの対称軸に対して非対称にすればよい。一例として、コネクタの表面に設けられるキーを、コアの対称軸以外の位置に配置することなどが考えらえる。或いは、クラッドの表面、又は、クラッドの表面を覆う被覆に形成された(例えば、印刷された)マークの位置によって第1端面と第2端面とを識別可能なマルチコアファイバを束ねたファイバ集合体も、本発明の範疇に含まれる。この場合、その中心(マークの中心)がコアの対称軸以外の位置に配置されるよう、マークを形成すればよい。
【符号の説明】
【0121】
MF,MF1~MFna マルチコアファイバ
a1~an コア
b クラッド
c マーカ
T,T1~Tnb テープ心線
B,B1~Bnc バンドルユニット
C,C1~Cnd ケーブル
L 伝送路