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  • 特許-ポータブル型解凍プレート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】ポータブル型解凍プレート
(51)【国際特許分類】
   A21C 14/00 20060101AFI20240122BHJP
   A21D 6/00 20060101ALI20240122BHJP
   A23L 3/365 20060101ALI20240122BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A21C14/00
A21D6/00
A23L3/365 B
A47J37/06 321
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022132113
(22)【出願日】2022-08-03
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】304024496
【氏名又は名称】共立プラント工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516209784
【氏名又は名称】株式会社MILAI・E
(72)【発明者】
【氏名】中井 嘉樹
(72)【発明者】
【氏名】上杉 小百合
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-011197(JP,U)
【文献】特開平05-316938(JP,A)
【文献】実開平06-032902(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 14/00
A21D 6/00
A23L 3/365
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
解凍温度が予め設定された複数の温度に切替え自在な切り替えスイッチを設けたことを特徴とする請求項1記載のポータブル型解凍プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒーター加熱によって冷凍食材を解凍するポータブル型解凍プレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍食材をヒーター加熱によって解凍する収納庫型解凍装置は、厨房に据付設置されるものが一般的であって、少量多品種のパンを販売する小規模な製パン店の厨房において、十分な設置スペースを確保できない場合があるという専有スペース問題があった。
【0003】
また、この種の収納庫型解凍装置では、ヒーター加熱による解凍温度を容易に設定できないことから、販売状況や製パン工程を考慮したきめ細かな解凍時間調整ができないという問題があり、しかも、用途が冷凍パン生地の解凍に限定される高価な専用装置になってしまうという有効活用問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-202045
【0005】
特許文献の従来例は、冷凍パン生地の収納庫内に多数の天板載置用棚を配置し、天板載置用棚をヒーターが組み込まれた熱伝導プレートで構成することにより、自然解凍に比べて短時間で解凍できるようにしている。
上記の熱伝導プレート16は、図8に示すように金属プレート17と、熱伝導素材18に埋め込まれた加熱ヒーター18aと、蓄熱板19とで構成されており、金属プレートが予め設定された適正温度(30℃)になるように温度制御されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来例では、小規模な製パン店では、少量多品種のパンを焼き上げる製パン工程において、多数の天板載置用棚をすべて使用していないにも拘わらず狭い厨房において大きなスペースを専有するという問題があった。
【0007】
また、全ての天板載置用棚が同一の解凍温度に設定されており、解凍温度の設定変更が容易に行えないので、販売状況や製パン工程に応じた解凍時間調整ができないという問題があり、さらに、冷凍された焼き上がりパンのような冷凍食材の解凍装置として有効利用ができず、冷凍パン生地の解凍に特化した高価な装置になってしまうという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決することを目的として為されたものであり、小規模な製パン店の狭い厨房における収納型解凍装置の専有スペース問題を解消でき、販売状況や製パン工程に応じた解凍時間調整や、他の冷凍食材の解凍に有効活用できるポータブル型解凍プレートを提供するものである。
【0009】
請求項1記載の発明は、冷凍食材トレーが載置される上面金属板と、シート状の加熱ヒーターと、断熱板と、底面金属板を積層した解凍プレート本体の下面に、解凍温度を設定・表示する操作表示部が前面に設けられた温度制御部を一体形成したことを特徴とするポータブル型解凍プレートである。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、解凍プレート本体の下面中央に温度制御部を突出形成し、解凍プレートの周縁部に収納ラック懸架部を設けたものであり、請求項3記載の発明は、解凍温度を予め設定された複数の温度に切替え自在とする切替えスイッチを設けたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る請求項1のポータブル型解凍プレートは、冷凍食材をヒーター加熱で解凍する解凍プレート本体の下面に、解凍温度を設定・表示する操作表示部が前面に設けられた温度制御部を一体形成しているので、販売状況や製パン工程を考慮した適正な解凍温度を容易に設定でき、しかも、小型・軽量で持ち運び自在になっているので、小規模な製パン店の狭い厨房における省スペース化を実現できるという効果がある。
【0011】
また、解凍プレート本体の下面中央部に温度制御部を突出形成して解凍プレートの周縁部に収納ラック懸架部を設けた請求項2のポータブル型解凍プレートは、製パン店の厨房に必ずある収納ラックにセット自在になっているので、複数枚の解凍プレートをセットすれば、スペースを専有する収納庫型解凍装置と同等の機能を実現できる効果がある。
【0012】
さらにまた、解凍温度を予め設定された複数の温度に切替え自在とする切替えスイッチを設けた請求項3の解凍プレートは、解凍温度の設定変更を切替えスイッチ操作で容易に行えるとともに、解凍温度の設定ミスを防止できるという効果がある。
【発明の実施形態】
【0013】
図1乃至図5は、本発明の実施例であり、解凍プレート本体1は、冷凍食材Xが置かれたトレーYが載置されるアルミ板よりなる上面金属板10と、シート状の加熱ヒーター11と、断熱板12と、ステンレス板よりなる底面金属板13を積層して形成されている。
【0014】
この解凍プレート本体1の下面には、解凍温度を設定・表示する操作表示部3が前面に設けられた温度制御部2が一体形成されており、実施例では、解凍プレート本体の下面中央に温度制御部2を突出形成し、解凍プレート本体1の周縁部に収納ラック懸架部1aを設けたことにより、図7に示すように、収納ラック14のガイドレール15に懸架できるようになっている。
図中、2aは、作業台上で使用する場合に有用なゴム足、4は電源コード、4aは電源コネクタ、9はヒューズである。
【0015】
操作表示部3の中央には、解凍温度を予め設定された複数の温度に切替え自在とする切替えスイッチ5が設けられており、右側に、温調器(温度コントロー盤ラ)A,Bの操作パネル6a,6bが設けられており、各操作パネル6a,6bの上部に予め設定された解凍温度が表示され、下部に設けられた操作スイッチにて解凍温度を設定できるようになっている。
【0016】
なお、切替えスイッチ5の左側には、熱電対よりなる芯温センサー7が接続されるコネクタ7aと、芯温センサーで計測された冷凍パン生地の芯部の温度を芯温表示器8に表示できるようにしている。
【0017】
図6は、温度制御部2のブロック回路図であり、2台の温度コントローラ(温調器A、温調器B)と、電源の入・切と、予め設定された解凍温度を切替える切替えスイッチ5とで構成されており、温度コントローラの操作パネル6a,6bが温度制御部の前面に配置されている。
【0018】
切替えスイッチ5の「切」位置(運転停止位置)から「A」位置に切替えると、温調器Aに予め設定された解凍温度Taでヒーター加熱による解凍が行われ、「B」位置に切替えると、温調器に予め設定された解凍温度Tbで、ヒーター加熱による解凍が行われる。解凍プレート本体1から温度制御部に2入力される温度センサー出力は、上面金属板の温度計測信号である。
【0019】
切替えスイッチ5にて切替え自在な冷凍温度Ta、Tbは、操作パネル6a,6b下部操作スイッチで設定され、操作パネル6a,6b上部の解凍温度表示器に表示されることになる。
【0020】
以上のように、本発明に係るポータブル型解凍プレートは、解凍プレート本体1の下面に、解凍温度Ta、Tbを設定・表示する操作表示部3が前面に設けられた温度制御部2を一体形成しているので、販売状況や製パン工程を考慮した適正な解凍温度を容易に設定でき、しかも、小型・軽量で持ち運び自在になっており、小規模な製パン店の狭い厨房における省スペース化を実現できるという効果がある。
【0021】
また、解凍プレート本体1の下面中央部に温度制御部2を突出形成して解凍プレート1の周縁部に収納ラック懸架部1aを設けているので、製パン店の厨房に必ずある収納ラックにセット自在になっているので、図7のように、複数枚のポータブル型解凍プレートをセットすれば、スペースを専有する従来例の収納庫型解凍装置と同等の機能を実現できる効果がある。
【0022】
さらにまた、冷凍食材の解凍温度を予め設定された温度Ta、Tbに切替え自在とする切替えスイッチ5を設けているので、解凍温度の設定変更を切替えスイッチ5の操作で容易に行えるとともに、解凍温度Ta、Tbの設定ミスを防止できるという効果がある。
【0023】
解凍温度Ta、Tbは、ユーザー側で使用実態に応じて自由に設定できるようになっており。一般的に、冷凍パン生地の適正な解凍温度は「30℃」であるが、解凍時間を短くしたい場合には高く設定(30℃以上)し、解凍時間を長くしたい場合には低く設定(30℃以下)することになる。例えば、解凍温度Ta、Tbを「26℃、30℃」、「30℃。32℃」あるいは「26℃、32℃」に設定することができ、使用実態に応じて解凍時間を簡単に調整できるという効果がある。
【0024】
一方、焼き上がったパンを冷凍した冷凍パンを解凍する場合には、解凍温度を「32℃」に設定すれば良いとするテスト結果が得られており、解凍温度を冷凍食材に応じた適正温度に設定して使用すれば、より汎用性のある解凍プレートとして有効使用できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】 本発明一実施例の斜視図
図2】 同上の側面図
図3】 同上の正面図
図4】 同上の背面図
図5】 同上の要部断面図
図6】 同上のブロック回路図
図7】 同上の使用例説明図
図8】 従来例の要部断面図
【符号の説明】
【0026】
1 解凍プレート本体
1a 懸架部
2 温度制御部
2a ゴム足
3 操作表示部
4 電源コード
4a 電源コネクタ
5 切替えスイッチ
6a 操作パネル(温調器A)
6b 操作パネル(温調器B)
7 芯温センサー
7a コネクタ
8 芯温表示器
9 ヒューズ
10 上面金属板
11 加熱ヒーター
12 断熱材
13 底面金属板
14 収納ラック
15 ガイドレール
【要約】
【課題】収納庫型解凍装置では、小規模な製パン店における専有スペース問題や、解凍温度の設定変更が容易に行えないので、販売状況や製パン工程に応じた解凍時間調整ができないという問題があり、さらに、冷凍された焼き上がりパンのような冷凍食材の解凍装置として有効利用ができず、冷凍パン生地の解凍に特化した高価な装置になってしまうという問題もあった。
【解決手段】冷凍食材トレーが載置される上面金属板と、シート状の加熱ヒーターと、断熱板と、底面金属板を積層した解凍プレート本体の下面に、解凍温度を設定・表示する操作表示部が前面に設けられた温度制御部を一体形成したことにより、小規模な製パン店の狭い厨房における収納型解凍装置の専有スペース問題を解消でき、温度制御部にて解凍温度を設定することにより販売状況や製パン工程に応じた解凍時間調整や、他の冷凍食材の解凍に有効活用できるポータブル型解凍プレートを提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8