(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】消雪用ブロック装置
(51)【国際特許分類】
E01H 5/00 20060101AFI20240122BHJP
E01H 3/04 20060101ALI20240122BHJP
E01C 11/26 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
E01H5/00 B
E01H3/04 Z
E01C11/26 B
(21)【出願番号】P 2020076356
(22)【出願日】2020-04-07
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000241809
【氏名又は名称】北越消雪機械工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】進藤 頼昭
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-047283(JP,A)
【文献】特開平09-158142(JP,A)
【文献】特開2007-297885(JP,A)
【文献】特開2006-022617(JP,A)
【文献】特開平02-261108(JP,A)
【文献】特開昭62-110758(JP,A)
【文献】実開昭62-048455(JP,U)
【文献】実公昭59-006900(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/00
E01H 3/04
E01C 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製の消雪用ブロックの上面に面一状態で所定間隔をおいて埋設される複数の散水ノズルと、前記消雪用ブロックの内部に長手方向に配置するポリ塩化ビニール製の主管と、この主管より前記散水ノズルに接続する複数の枝管と、よりなる消雪用ブロック装置であって、
前記主管より前記枝管に連通する流通孔を有する連結管を備え、
前記連結管に弾性材よりなる筒状のカバー部材を被嵌し、前記カバー部材の下端面を前記主管の外周面に沿う湾曲面形状とし、前記下端面が前記主管の外周面に当接することを特徴とすることを特徴とする消雪用ブロック装置。
【請求項2】
前記連結管は一端に前記主管に穿設した通水孔に嵌合する分岐部を突設し、他端に前記枝管が接続される継手部を突設し、前記分岐部と前記継手部との間に前記継手部よりも大径の中間部を設け、この中間部が嵌入する貫通孔を前記カバー部材に開口し、前記貫通孔の内周面に前記中間部が当接すること特徴とする請求項1に記載の消雪用ブロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、舗装路に積雪した雪を散水によって消雪するため、路面に埋設する消雪用ブロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冬季間、路面が雪で覆われる寒冷地では、自動車や歩行者が積雪の影響を受けずに通行ができるよう、主要道路などに消雪装置が設置されている。この消雪装置は多様だが、路面の中央付近に埋め込まれた散水ノズルから噴水状に散水を行い、雪を溶かして側溝に流し込む構造が最も普及している。
【0003】
前記消雪装置は、路面にコンクリートと散水ノズルが露出するコンクリート製のブロックを備え、このブロックは道路に埋め込まれ、路面に露出する上面部は、散水のための散水ノズルが間欠的に配置されている。このようなブロックの路面に堀穿した側溝内に埋設する施工作業を短縮化するため、前記ブロック内の地下水が流通する主管、この主管より分岐する枝管及び散水ノズルをコンクリート等で一体化した消雪用ブロックを予め用意して、この消雪用ブロックの複数を連結し、これを路面に堀穿した側溝内に埋設した路面にすることが知られている。(特許文献1参照)
【0004】
上記消雪用ブロック内の主管および枝管は、消雪箇所への送水量の多少並びに使用する散水ノズルの規格などによって種々の鋼管が採用されている。鋼管を採用した場合には、腐食の問題がさけられず、主として地下水を利用する融雪水によって赤錆等が発生し、十分な機能を発揮しない事態になることが頻繁にあり、そこで近年は鋼管に代えてポリ塩化ビニール管が多用されている。
【0005】
しかしながら、消雪用ブロックにおいて主管にポリ塩化ビニール製を採用した場合に、ポリ塩化ビニール製の主管と枝管を包むコンクリート部分との熱膨張率が大きく相違する。特にコンクリート製の消雪用ブロックは、コンクリートの蒸気養生や水和熱による温度変化によってポリ塩化ビニール製の主管の線膨張係数がコンクリートと比べ約7倍もあり、コンクリート部分とポリ塩化ビニール製の主管の伸縮長が相違し、この熱膨張率の相違による応力が主管より立ちあがっている枝管に加わることになり、このため主管と枝管との連結個所が破損する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、コンクリート固化時の温度変化により管軸方向に熱伸縮するポリ塩化ビニール製の主管と枝管との連結箇所の破損が防止される消雪用ブロック装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0009】
請求項1に記載の発明は、コンクリート製の消雪用ブロックの上面に面一状態で所定間隔をおいて埋設される複数の散水ノズルと、前記消雪用ブロックの内部に長手方向に配置するポリ塩化ビニール製の主管と、この主管より前記散水ノズルに接続する複数の枝管と、よりなる消雪用ブロック装置であって、
前記主管より前記枝管に連通する流通孔を有する連結管を備え、
前記連結管に弾性材よりなる筒状のカバー部材を被嵌し、前記カバー部材の下端面を前記主管の外周面に沿う湾曲面形状とし、前記下端面が前記主管の外周面に当接することを特徴とすることを特徴とする消雪用ブロック装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記連結管は一端に前記主管に穿設した通水孔に嵌合する分岐部を突設し、他端に前記枝管が接続される継手部を突設し、前記分岐部と前記継手部との間に前記継手部よりも大径の中間部を設け、この中間部が嵌入する貫通孔を前記カバー部材に開口し、前記貫通孔の内周面に前記中間部が当接すること特徴とする請求項1に記載の消雪用ブロック装置である。
【発明の効果】
【0011】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0012】
請求項1に記載の発明では、コンクリート製の消雪用ブロックの上面に面一状態で所定間隔をおいて埋設される複数の散水ノズルと、前記消雪用ブロックの内部に長手方向に配置するポリ塩化ビニール製の主管と、この主管より前記散水ノズルに接続する複数の枝管と、よりなる消雪用ブロック装置であって、
前記主管より前記枝管に連通する流通孔を有する連結管を備え、
前記連結管に弾性材よりなる筒状のカバー部材を被嵌し、前記カバー部材の下端面を前記主管の外周面に沿う湾曲面形状とし、前記下端面が前記主管の外周面に当接するので、ポリ塩化ビニール製の前記主管が前記カバー部材の弾性により許容されてほぼ一体の状態で挙動し、温度変化による応力がカバー部材のところで抑えられ吸収され、しかも、ポリ塩化ビニール製の前記主管と固化したコンクリートは前記カバー部材によって一体化が図られ、前記主管とコンクリートの熱膨張率の相違による管軸方向の熱伸縮による応力が直接に前記枝管に加わることがなく、前記枝管の破損が防止されるものである。
【0013】
請求項2に記載の発明では、前記連結管は一端に前記主管に穿設した通水孔に嵌合する分岐部を突設し、他端に前記枝管が接続される継手部を突設し、前記分岐部と前記継手部との間に前記継手部よりも大径の中間部を設け、この中間部が嵌入する貫通孔を前記カバー部材に開口し、前記貫通孔の内周面に前記中間部が当接するので、前記カバー部材によって前記連結管が前記主管に確実に支えられ、消雪用ブロックの製造過程におけるコンクリートの流し込みの際に、前記枝管を倒す方向に外力が作用しても前記主管に対して前記連結管が傾き難くなり、前記通水孔と前記分岐部との嵌合に隙間が生じることがなく、前記カバー部材による前記連結管と前記主管との一体化が確実になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明における第1の実施の形態の消雪用ブロック装置の斜視図。
【
図2】この発明における消雪用ブロック装置を示す断面図。
【
図6】この発明における第2の実施の形態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の路面消雪用散水装置の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明にこれは限定されない。
【0016】
この発明の第1の実施の形態を
図1より
図5に基づいて説明し、
図1は路面GLに据付けでなるコンクリート製の消雪用ブロック1の全体を示すものである。この消雪用ブロック1の上面に面一状態で所定間隔をおいて埋設される複数の散水ノズル10が埋設される。
【0017】
前記消雪用ブロック1の内部には、長手方向に配置するポリ塩化ビニール製の主管2と、この主管2を前記散水ノズル10に接続する複数の枝管3とを備える。
【0018】
前記消雪用ブロック1は
図2に示すように、前記散水ノズル10の先端11が型枠20の底面に位置するように倒立させて配置し、前記散水ノズル10に接続する前記主管2を前記型枠20の長手方向に配置し、前記型枠20内にコンクリートCを流し込み、これが凝固した後に前記型枠20を取り除くことにより前記消雪ブロック1が製造される。なお、符号21は前記主管2を囲む鉄筋である。
【0019】
前記枝管2の前記主管3への接続は流通孔41を有する連結管4よりなり、この連結管4の一端には前記主管2に所定間隔をおいて穿設した通水孔2aに嵌合する分岐部4aを設ける。この分岐部4aには雄ネジを形成して前記通水孔2aに嵌合したが、雄ネジを形成しないで、前記通水孔2aに嵌合してもよい。
【0020】
前記連結管4の他端には前記枝管3が接続される継手部4bを設ける。この継手部4bは、前記分岐部4aの雄ネジをネジ込み操作易くするため六角形状にするとよい。また、六角形状は必ずしも前記継手部4bに設けなくてもよい。
【0021】
前記分岐部4aと前記継手部4bとの間には前記継手部4bより大径の中間部4cを設け、前記分岐部4aを前記通水孔2aに嵌合することにより前記中間部4cの平坦な下面4dが前記主管2の外周面2bに当接する。
【0022】
前記連結管4には、射出成形した弾性材よりなる筒状のカバー部材5を被嵌し、このカバー部材5には、前記連結管4の前記中間部4cが嵌入する貫通孔6を開口し、前記貫通孔6の内周面6bに前記中間部4cが当接する。
【0023】
前記カバー部材5の前記貫通孔6の上部6aを小径にして、これによりなる階段面6cに前記中間部4dの上面を当接し、弾性材よりなる筒状の前記カバー部材5を弾圧することなく、前記カバー部材5が非圧縮状態にて前記主管2の前記外周面2bに当接し、前記主管2管軸方向の熱伸縮による応力を前記カバー部材5の弾性によって吸収する。
【0024】
また、前記カバー部材5の前記下端面5aを前記主管2の外周面2bに沿う湾曲面形状とし、この下端面5aを前記主管2の前記外周面2bに当接させ、前記主管2の前記外周面2bに対し前記カバー部材5の当接面積が大きくする。
【0025】
これにより、前記カバー部材5によって前記連結管4、40が前記主管2に確実に支えられ、前記消雪用ブロック1の製造過程におけるコンクリートの流し込みの際、前記枝管3を倒す方向に外力が作用しても前記主管2に対して前記連結管4が傾き難くなり、前記通水孔2aと前記分岐部4aとの嵌合に隙間が生じることがなく、前記カバー部材5により前記連結管4と前記主管2との一体化が確実になる。
【0026】
なお、前記連結管4の前記中間部4cが当接する前記貫通孔6の前記内周面6bには接着剤を塗布して接着してもよく、前記連結管4の前記中間部4cを接着する場合は、前記カバー部材5の前記貫通孔6の前記内周面6bに接着剤を塗布した後、前記連結管4に前記カバー部材5を前記連結管4に被嵌する。
【0027】
さらに、前記消雪ノズル10は、鋳鉄、ステンレス材によりなり、前記消雪ノズル10の前記先端11に消雪水を噴射する噴水孔12aを穿設する散水盤12を着脱可能に嵌装する。
【0028】
前記消雪ノズル10の中央部分を貫通し、空洞13を有する導水路14が形成され、この導水路14を流通する流水量を制御する弁機構15を前記導水路14に設置する。
【0029】
前記弁機構15は弁筒15aと、この弁筒15aに嵌入する弁棒15bとよりなり、前記弁筒15aの一端は前記空洞部13の下部に螺合することにより、前記散水盤12の抜け出しを規制する。なお、符号16は前記弁筒15aを覆う埋栓である。
【0030】
前記弁筒15aに嵌入する弁棒15bは、上端に設ける操作溝に工具を挿入して回し、この弁棒15bに穿設する孔の開口量を変化させて水量を調節し、また、前記弁棒15bを完全に塞いで止水するように構成している。
【0031】
次に、第2の実施の形態を、
図6に基づいて説明する。この実施の形態において第1の実施の形態と同じ構成は同一の符号を付して説明する。
【0032】
この第2の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した前記連結管4と同じような連結管40の一端に分岐部40aを設ける。この分岐部40aには雄ネジを形成することなく、前記主管2に穿設した前記通水孔2aに嵌合する。
【0033】
さらに、前記連結管40の他端には前記枝管3が接続される継手部40bを設け、この継手部40bと前記分岐部40aとの間には前記継手部40bより大径の中間部40cを設ける。
【0034】
前記中間部40cの下面40dは、前記主管2の外周面2bに沿う湾曲面形状とし、この下端面40dを前記主管2の前記外周面2bに当接させ、前記連結管40に第1の実施の形態と同じ筒状のカバー部材5を被嵌する。
【0035】
なお、前記下端面41dを前記主管2の前記外周面2bに直接に接着してもよいし、前記下端面41dと前記主管2の前記外周面2bとの間にシール板(図示せず。)を介在してもよい。
【0036】
以上の構成における消雪用ブロック装置において、ポリ塩化ビニール製の前記主管2より前記枝管3に連通する前記流通孔41を有する前記連結管4.40に弾性材よりなる筒状の前記カバー部材5を被嵌し、前記カバー部材5の前記下端面5aを前記主管2の前記外周面2bに沿う湾曲面形状とし、前記下端面5aが前記主管2の前記外周面2bに当接することにより、ポリ塩化ビニール製の前記主管2と前記枝管3が前記カバー部材5の弾性により許容されてほぼ一体の状態で挙動し、温度変化による応力が前記カバー部材5のところで抑えられ吸収される。しかも、ポリ塩化ビニール製の前記主管2と固化したコンクリートCは前記カバー部材5によって一体化が図られ、前記主管2とコンクリートの熱膨張率の相違による管軸方向の熱伸縮による応力が直接前記枝管3に加わることが無く、前記枝管3の破損が防止される。
【0037】
また、前記連結管4.40は一端に前記主管2に穿設した前記通水孔2aに嵌合する前記分岐部4a.40aを突設し、他端に前記枝管3が接続される前記継手部4b.40bを突設し、前記分岐部4a.40aと前記継手部4b.40bとの間に前記継手部4b.40bよりも大径の前記中間部4c.40cを設け、この中間部4c.40cが嵌入する前記貫通孔6を前記カバー部材5に開口し、前記貫通孔6の前記内周面6bに前記中間部4c.40cが当接するので、前記カバー部材5によって前記連結管4、40が前記主管2に確実に支えられ、前記消雪用ブロック1の製造過程におけるコンクリートの流し込みの際、前記枝管3を倒す方向に外力が作用しても前記主管2に対して前記連結管4,40が傾き難くなり、前記通水孔2aと前記分岐部4a、40aとの嵌合に隙間が生じることがなく、前記カバー部材5により前記連結管4,40と前記主管2との一体化が確実になる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明は、消雪用水が流通するポリ塩化ビニール製の主管と、この主管に接続する複数の枝管とを備える消雪用ブロック装置である。
【符号の説明】
【0039】
1 消雪用ブロック
1a 上面
2 主管
2a 通水孔
2b 外周面
3 枝管
4.40 連結管
4a.40a 分岐部
4b.40b 継手部
4c.40c 中間部
4d.40d 下面
41 流通孔
5 カバー部材
5a 下端面
6 貫通孔
6a 上部
6b 内周面
6c 階段面
6d 傾斜
10 散水ノズル
11 先端
12 散水盤
12a 噴出孔
13 空洞
14 導水路
15 弁機構
15a 弁筒
15b 弁棒
16 埋栓
20 型枠
21 鉄筋
GL 路面
C コンクリート