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特許7422976工具交換制御システム、工具交換制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】工具交換制御システム、工具交換制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/155 20060101AFI20240122BHJP
   G05B 19/4155 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
B23Q3/155 F
G05B19/4155 M
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020019979
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021122920
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】303024138
【氏名又は名称】株式会社ニイガタマシンテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】池田 直弘
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-179668(JP,A)
【文献】特開2003-145379(JP,A)
【文献】特開2002-346867(JP,A)
【文献】特開平10-296568(JP,A)
【文献】特開平07-001272(JP,A)
【文献】特開昭62-054638(JP,A)
【文献】特開昭62-048439(JP,A)
【文献】特開昭60-217037(JP,A)
【文献】米国特許第04581810(US,A)
【文献】国際公開第2012/041799(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155-3/157
G05B 19/18-19/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの加工を行なう工具を、工作機械の主軸に対して着脱させる交換処理を制御する工具交換制御システムであり、
標準の工具径の標準径工具を格納する標準径工具格納部が配置される書換番地エリアと、当該標準径工具と異なる工具径を有する標準径外工具を格納する標準径外工具格納部が配置される固定番地エリアとが円状に接続された旋回式のチェーンと、
所定の前記標準径工具格納部あるいは標準径外工具格納部の位置を、前記チェーンを旋回させて、主軸の工具交換を行なう位置に移動させるマガジン駆動制御部と、
現在の加工以降の加工で用いる前記標準径工具を先読みする加工プログラム指令部と、
前記書換番地エリアの前記標準径工具格納部がグループ化された、それぞれが前記標準径工具を格納していないバッファ工具格納部を有するグループのなかから、先読みされた前記標準径工具が格納された標準径工具格納部が含まれる前記グループを判定する工具交換判定部と
を備えることを特徴とする工具交換制御システム。
【請求項2】
前記標準径工具格納部及び標準径外工具格納部の各々が、それぞれ前記標準径工具、前記標準径外工具を格納するポットが分離可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の工具交換制御システム。
【請求項3】
前記標準径工具格納部及び前記標準径外工具格納部の各々に、それぞれ前記標準径工具、前記標準径外工具を格納するポットが固定されて構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の工具交換制御システム。
【請求項4】
前記グループが、先読みされた前記標準径工具が格納された前記標準径工具格納部と、当該標準径工具格納部の近傍の前記バッファ工具格納部とに対応して、変更される
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の工具交換制御システム。
【請求項5】
前記標準径工具格納部及び前記標準径外工具格納部の各々における、それぞれ前記標準径工具及び前記標準径外工具の有無を検知する工具有無検知部をさらに有し、
前記工具交換判定部が、前記グループの初期設定において、前記工具有無検知部の検知結果により、任意に前記標準径工具格納部がグループ化されたそれぞれの前記グループに前記バッファ工具格納部が配置されているか否かの確認を行い、確認結果を通知する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の工具交換制御システム。
【請求項6】
表示装置がさらに設けられており、
前記工具交換判定部が、前記標準径工具及び前記標準径外工具の各々を交換する際、前記チェーンを識別するチェーン番号と、前記標準径工具格納部及び前記標準径外工具格納部の各々の種別と、前記標準径工具格納部に対応する前記グループの番号であるグループ番号と、前記標準径工具格納部に格納可能な工具径と、前記標準径工具格納部に格納する前記標準径工具の工具番号、または前記バッファ工具格納部とする前記標準径工具格納部との配置情報を、前記表示装置に表示する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の工具交換制御システム。
【請求項7】
前記工具交換判定部が、前記標準径工具及び前記標準径外工具の各々の交換後、前記配置情報に示す位置に、前記標準径工具及び前記標準径外工具の各々が配置されているか否かの判定を行ない、判定結果を前記表示装置に表示する
ことを特徴とする請求項6に記載の工具交換制御システム。
【請求項8】
標準の工具径の標準径工具を格納する標準径工具格納部が配置される書換番地エリアと、当該標準径工具と異なる工具径を有する標準径外工具を格納する標準径外工具格納部が配置される固定番地エリアとが円状に接続された旋回式のチェーンを用いて、前記標準径工具及び前記標準径外工具の各々を、工作機械の主軸に対して着脱させる交換処理を制御する工具交換制御方法であり、
マガジン駆動制御部が、所定の前記標準径工具格納部あるいは標準径外工具格納部の位置を、前記チェーンを旋回させて、主軸の工具交換を行なう位置に移動させるマガジン駆動制御過程と、
加工プログラム指令部が、現在の加工以降の加工で用いる前記標準径工具を先読みする加工プログラム指令過程と、
工具交換判定部が、前記書換番地エリアの前記標準径工具格納部がグループ化された、それぞれが前記標準径工具を格納していないバッファ工具格納部を有するグループのなかから、先読みされた前記標準径工具が格納された標準径工具格納部が含まれる前記グループを判定する工具交換判定過程と
を備えることを特徴とする工具交換制御方法。
【請求項9】
標準の工具径の標準径工具を格納する標準径工具格納部が配置される書換番地エリアと、当該標準径工具と異なる工具径を有する標準径外工具を格納する標準径外工具格納部が配置される固定番地エリアとが円状に接続された旋回式のチェーンを備えた、前記標準径工具及び前記標準径外工具の各々を、工作機械の主軸に対して着脱させる交換処理を制御する工具交換制御システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであり、
前記コンピュータを、
所定の前記標準径工具格納部あるいは標準径外工具格納部の位置を、前記チェーンを旋回させて、主軸の工具交換を行なう位置に移動させるマガジン駆動制御手段、
現在の加工以降の加工で用いる前記標準径工具を先読みする加工プログラム指令手段、
前記書換番地エリアの前記標準径工具格納部がグループ化された、それぞれが前記標準径工具を格納していないバッファ工具格納部を有するグループのなかから、先読みされた前記標準径工具が格納された標準径工具格納部が含まれる前記グループを判定する工具交換判定手段
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工具マガジンに格納された工具をマシニングセンタなどの工作機械の主軸との間で着脱交換する工具交換制御システム、工具交換制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばマシニングセンタなどの工作機械では、ワーク(被削材)を加工するために用いる、工具マガジンの工具格納部に保持(格納)された多数の加工用工具を、工作機械本体内の主軸に対し、NCプログラムに従った着脱交換が行なわれる。
このとき、NCプログラムの加工単位のブロックを先読みすることにより、現在の加工以降におけるそれぞれ加工において用いられる加工用工具を検出することができる。
すなわち、交換される工具(現時点で主軸に取り付けられている加工用工具、以下、単に被交換工具とする)と、次に主軸に取り付けられる加工用工具(以下、単に交換工具とする)との関係を確認することができる。
【0003】
そして、この先読みの機能を用いて、被交換工具を返却する先を、次に用いる交換工具の近傍に戻す処理を行ない、主軸から被交換工具を外し、空となった主軸に交換工具を取り付ける工具交換装置がある(例えば、特許文献1参照)。
これにより、被交換工具と交換工具との取り替えに掛かる時間を短縮することができ、ワークを加工する時間を低減させることができる。
【0004】
また、チェーンのマガジンから交換工具を選択する方式としては、工具と工具格納ポット(工具格納部)とが一対一に決まっている固定番地方式と、工具交換によって交換工具を取り出した工具格納ポットに被交換工具が格納される様に、工具と工具格納ポットとが一対一に決まっていない書換番地方式とがある。
書換番地方式は、任意の交換工具が選択でき、かつ工具マガジンにおける工具格納部の位置が交換工具に近い位置に回転するため、交換工具の位置が固定されている固定番地方式と比較して、工具準備時間を短縮することができる(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
図19は、固定番地方式と書換番地方式とにおける加工用工具の交換時間の違いを示す図である。
また、図19(b)及び図19(c)の各々は、それぞれ固定番地方式、書換番地方式における工具の交換の動作のタイミングを示すタイムチャートである。
図19(b)及び図19(c)において、横軸が時間であり、「H」レベルが駆動中であり、「L」レベルが停止中を示している。
図19(b)のタイムチャートで示されているように、工具マガジンの動作において、被交換工具を戻す固定番地の位置に工具マガジンを移動させるマガジン割出処理に時間が必要となる。
【0006】
このため、図19(b)のタイムチャートで示されるように、直前の加工時間(工具番号T10の工具による加工処理の時間)が長い場合、工作機械における加工動作が行えない状態(機械が止まって待ち状態)が発生してしまう。
一方、図19(c)のタイムチャートにおいては、任意の位置に被交換工具を戻すことができるため、固定番地方式よりもマガジン割出処理の時間が短くなる。
このため、書換番地方式は、固定番地方式に比較して、マガジン割出処理の時間分、ワークの加工処理に要する時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特公平07-16844号公報
【文献】特公昭57-43383号公報(特開昭53-15680号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また、チェンジャによる工具交換の時間を短縮させるためには、チェーン式の先読みを行うのみでなく、書換番地方式との動作と併用させる必要がある。
しかしながら、固定番地方式と書換番地方式とは、それぞれの特性に一長一短があることが知られている。
すなわち、固定番地方式は、上述したように、被交換工具を返却する先を、次に用いる交換工具の近傍に戻す処理を行なうことができないため、工具マガジンを駆動させる時間が長くなり、工具を交換する時間を増加させる。
【0009】
一方、書換番地方式は、固定番地方式に比較して工具準備時間を短縮することができるが、工具径が標準の径である標準径工具には適用できるが、工具径が異なる標準外の工具(以下、標準径外工具)には適用できない。
ここで、標準径外工具には、標準径に比較して工具径が大きい大口径工具と、標準径に比較して工具径が小さな小口径工具とがある。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、標準径の工具と、標準径外の工具との各々が含まれた工具交換において、上述した書換番地方式及び固定番地方式を併用した先読みを行なうことで、後段の過程における工具の準備の時間を短縮することができる工具交換制御システム、工具交換制御方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明の工具交換制御システムは、ワークの加工を行なう工具を、工作機械の主軸に対して着脱させる交換処理を制御する工具交換制御システムであり、標準の工具径の標準径工具を格納する標準径工具格納部が配置される書換番地エリアと、当該標準径工具と異なる工具径を有する標準径外工具を格納する標準径外工具格納部が配置される固定番地エリアとが円状に接続された旋回式のチェーンと、所定の前記標準径工具格納部あるいは標準径外工具格納部の位置を、前記チェーンを旋回させて、主軸の工具交換を行なう位置に移動させるマガジン駆動制御部と、現在の加工以降の加工で用いる前記標準径工具を先読みする加工プログラム指令部と、前記書換番地エリアの前記標準径工具格納部がグループ化された、それぞれが前記標準径工具を格納していないバッファ工具格納部を有するグループのなかから、先読みされた前記標準径工具が格納された標準径工具格納部が含まれる前記グループを判定する工具交換判定部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の工具交換制御システムは、前記標準径工具格納部及び標準径外工具格納部の各々が、それぞれ前記標準径工具、前記標準径外工具を格納するポットが分離可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の工具交換制御システムは、前記標準径工具格納部及び前記標準径外工具格納部の各々に、それぞれ前記標準径工具、前記標準径外工具を格納するポットが固定されて構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の工具交換制御システムは、前記グループが、先読みされた前記標準径工具が格納された前記標準径工具格納部と、当該標準径工具格納部の近傍の前記バッファ工具格納部とに対応して、変更されることを特徴とする。
【0015】
本発明の工具交換制御システムは、前記標準径工具格納部及び前記標準径外工具格納部の各々における、それぞれ前記標準径工具及び前記標準径外工具の有無を検知する工具有無検知部をさらに有し、前記工具交換判定部が、前記グループの初期設定において、前記工具有無検知部の検知結果により、任意に前記標準径工具格納部がグループ化されたそれぞれの前記グループに前記バッファ工具格納部が配置されているか否かの確認を行い、確認結果を通知することを特徴とする。
【0016】
本発明の工具交換制御システムは、表示装置がさらに設けられており、前記工具交換判定部が、前記標準径工具及び前記標準径外工具の各々を交換する際、前記チェーンを識別するチェーン番号と、前記標準径工具格納部及び前記標準径外工具格納部の各々の種別と、前記標準径工具格納部に対応する前記グループの番号であるグループ番号と、前記標準径工具格納部に格納可能な工具径と、前記標準径工具格納部に格納する前記標準径工具の工具番号、または前記バッファ工具格納部とする前記標準径工具格納部との配置情報を、前記表示装置に表示することを特徴とする。
【0017】
本発明の工具交換制御システムは、前記工具交換判定部が、前記標準径工具及び前記標準径外工具の各々の交換後、前記配置情報に示す位置に、前記標準径工具及び前記標準径外工具の各々が配置されているか否かの判定を行ない、判定結果を前記表示装置に表示することを特徴とする。
【0018】
本発明の工具交換制御方法は、標準の工具径の標準径工具を格納する標準径工具格納部が配置される書換番地エリアと、当該標準径工具と異なる工具径を有する標準径外工具を格納する標準径外工具格納部が配置される固定番地エリアとが円状に接続された旋回式のチェーンを用いて、前記標準径工具及び前記標準径外工具の各々を、工作機械の主軸に対して着脱させる交換処理を制御する工具交換制御方法であり、マガジン駆動制御部が、所定の前記標準径工具格納部あるいは標準径外工具格納部の位置を、前記チェーンを旋回させて、主軸の工具交換を行なう位置に移動させるマガジン駆動制御過程と、加工プログラム指令部が、現在の加工以降の加工で用いる前記標準径工具を先読みする加工プログラム指令過程と、工具交換判定部が、前記書換番地エリアの前記標準径工具格納部がグループ化された、それぞれが前記標準径工具を格納していないバッファ工具格納部を有するグループのなかから、先読みされた前記標準径工具が格納された標準径工具格納部が含まれる前記グループを判定する工具交換判定過程とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明のプログラムは、標準の工具径の標準径工具を格納する標準径工具格納部が配置される書換番地エリアと、当該標準径工具と異なる工具径を有する標準径外工具を格納する標準径外工具格納部が配置される固定番地エリアとが円状に接続された旋回式のチェーンを備えた、前記標準径工具及び前記標準径外工具の各々を、工作機械の主軸に対して着脱させる交換処理を制御する工具交換制御システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであり、前記コンピュータを、所定の前記標準径工具格納部あるいは標準径外工具格納部の位置を、前記チェーンを旋回させて、主軸の工具交換を行なう位置に移動させるマガジン駆動制御手段、現在の加工以降の加工で用いる前記標準径工具を先読みする加工プログラム指令手段、前記書換番地エリアの前記標準径工具格納部がグループ化された、それぞれが前記標準径工具を格納していないバッファ工具格納部を有するグループのなかから、先読みされた前記標準径工具が格納された標準径工具格納部が含まれる前記グループを判定する工具交換判定手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、標準径の工具と、標準径外の工具との各々が含まれた工具交換において、上述した書換番地方式及び固定番地方式を併用した先読みを行なうことで、後段の過程における工具の準備の時間を短縮することができる工具交換制御システム、工具交換制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態による工具交換制御システムを用いた工作機械の構成例を示す概念図である。
図2】第1の実施形態による工具交換制御システムの構成例を示す概念図である。
図3】第1の実施形態による工具交換制御システムにおけるチェンジャー機構120の動作を説明する図である。
図4】本実施形態におけるチェーン110における工具格納部の配置を説明する図である。
図5図1及び図2の工具交換制御システム100における信号処理・制御部150の構成例を説明する図である。
図6】工具情報記憶部156に書き込まれている、加工プログラムで使用する工具の情報である工具情報が記載された工具テーブルの構成例を示す図である。
図7】工具情報記憶部156に書き込まれている、チェーン110における工具格納部の工具位置情報が記載された工具位置テーブルの構成例を示す図である。
図8】書換番地方式において、先読みを行なった場合と先読みを行なわない場合とにおける加工用工具の交換時間の処理を示す図である。
図9】書換番地方式及び固定番地方式の併用において先読みを行なった場合における加工用工具の交換時間の処理を示す図である。
図10】標準径工具グループに属する標準径工具格納部の数を変更する処理を説明する概念図である。
図11】第1の実施形態の工具交換制御システムにおける工具交換の処理の動作例を示すフローチャートである。
図12】第2の実施形態におけるチェーンの工具格納部に対する工具の格納状態を表示する表示器の配置例を示す図である。
図13図12の表示器170に表示される画面の一例を示す図である。
図14】加工処理が行なわれている際にCNC装置の表示器(不図示)の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。
図15】第2の実施形態による工具交換制御システムを用いた工作機械の構成例を示す概念図である。
図16】第2の実施形態による工具交換制御システムの構成例を示す概念図である。
図17】第2の実施形態による工具交換制御システムにおけるチェンジャー機構120Aの動作を説明する図である。
図18】第2の実施形態の工具交換制御システムにおける工具交換の処理の動作例を示すフローチャートである。
図19】固定番地方式と書換番地方式とにおける加工用工具の交換時間の違いを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態による工具交換制御システムを用いた工作機械の構成例を示す概念図である。図1は、工具交換制御システム100を側面から見た図である。
図1の工具交換制御システム100は、チェーン(工具マガジン)110における工具ポット(工具保持部)が分離可能な形態の工具格納部101が連結されたチェーン110を備えている。工具交換制御システム100における制御装置(後述)からの工具交換の制御信号により、工具格納部101に把持されて格納された交換工具301Cを、工作機械200の主軸搭載部204の主軸204Sに把持された被交換工具301Dと交換する動作を、チェンジャー機構(ATC(automatic tool changer)チェンジャー)120を駆動して行なう。
【0023】
また、工作機械200は、コラム201、ワークテーブル202、ベース203及び主軸搭載部204が備えられている。
ワークテーブル202は、加工対象のワークが固定されており、加工プログラムに対応して、ベース203の上面において、Z軸(図の奥行方向)を移動する。コラム201は、ベース203上面において、X軸(図の横方向)に移動する。
主軸搭載部204は、加工プログラムに対応した工具が把持され、この加工プログラムに基づいて、コラム201においてY軸方向(図の上下方向)に移動する。
上述したように、加工プログラムの処理に対応して、ワークに対してX軸、Y軸及びZ軸の各々の方向に相対的に主軸搭載部204を移動させることで、主軸搭載部204の主軸(後述する主軸204S)に把持された工具(後述する被交換工具301D)により、ワークの加工を行なう。
【0024】
図2は、第1の実施形態による工具交換制御システムの構成例を示す概念図である。図2は、工具交換制御システム100を正面から見た図である。
図2において示すように、チェーン110は、工具マガジンであり、複数個の工具格納部101が直列に円状に連結された無限循環帯として構成されている。
チェーン110は、サーボモータなどによるチェーン回転機構130(後述するマガジン駆動部152で制御)により、方向Pの向きに回転させられる。
また、チェーン110は、チェーン回転機構130と、プーリ180の各々とに沿って回転する。
【0025】
チェーン110には、標準径の工具径を有する工具である標準径工具301が格納されている標準径の工具格納部(標準径工具格納部)と、標準径ではない工具径を有する工具である標準径外工具305や標準径外工具306が格納されている標準径外の工具格納部(標準径外マガジン)が備えられている。ここで、標準径外工具305や標準径外工具306の各々の工具格納部は、標準径外工具グループ115として、チェーン110における所定の領域にまとめて配置されている。
また、マガジン割出し位置101Aは、チェンジャー機構120による、工作機械200の主軸搭載部204の主軸204Sに把持された被交換工具302と交換する動作が行なわれる位置である。
工具格納部101B_1から工具格納部101B_5の各々は、標準径工具301が格納されていない、標準径工具301を格納可能なバッファ工具格納部(後述する標準径工具格納部101NEに対応)である。
【0026】
図3は、第1の実施形態による工具交換制御システムにおけるチェンジャー機構120の動作を説明する図である
図3において、チェンジャー機構120は、チェンジャアーム部121A及びチェンジャアーム部121Bの各々を備え、チェンジャアーム部121Aとチェンジャアーム部121Bとの接続点121Cを中心として、R方向に回転自在のチェンジャアーム121が備えられている。チェンジャー機構120は、加工プログラムにおいて、各加工工程で用いられる工具(標準径工具あるいは標準径外工具)を、工作機械200の主軸204Sに、順次、取り付け及び取り外しの動作を、以下に示す順序により行なう。
【0027】
まず、チェンジャー機構120は、マガジン割出し位置101Aにおける工具格納部101が円弧Q上を90度回転して、チェンジャアーム部121Aの把持部121AHに対して交換工具301Cを把持させる。
このとき、チェンジャー機構120は、チェンジャアーム部121Bの把持部121BHに対して、被交換工具301Dを把持させる。
そして、チェンジャー機構120は、主軸204Sの中心軸204Cを中心としたチェンジャアーム121の回転面に対して、垂直なS方向対して平行に主軸204Sから離れる方向に、チェンジャアーム121を所定の距離移動させる。
【0028】
このとき、チェンジャアーム部121Bの把持部121BHに把持された被交換工具301Dが、主軸204Sから取り外される。
また、第1の実施形態においては、ポット301C_Pが分離するため、ポット301C_Pが工具格納部101に配置された状態のままで、一方、交換工具301のみがチェンジャアーム部121Aの把持部121AHに把持される。
そして、チェンジャー機構120は、主軸204Sの中心軸204Cの回り、すなわち円弧Rに沿ってチェンジャアーム121を180度回転させる。
【0029】
この結果、交換工具301Cが把持されたチェンジャアーム部121Aが主軸204Sの位置に移動し、被交換工具301Dが把持されたチェンジャアーム部121Bが工具格納部101に把持されて格納されたポット301C_Pの位置に移動する。
そして、チェンジャー機構120は、主軸204Sの中心軸204Cを中心としたチェンジャアーム121の回転面に対して、垂直なS方向対して平行に主軸204Sに近づく方向に、チェンジャアーム121を所定の距離移動させる。
これにより、チェンジャアーム部121Bに把持された被交換工具301Dの挿入凸部がポット301C_Pに挿入されて固定され、チェンジャアーム部121Aに把持された交換工具301Cの挿入凸部が主軸204Sの挿入凹部に対して挿入されて固定される。
【0030】
このとき、チェンジャー機構120は、チェンジャアーム部121A及びチェンジャアーム部121Bの各々から、交換工具301C、被交換工具301Dそれぞれを開放する。
また、チェンジャー機構120は、主軸204Sの中心軸204Cを中心としたチェンジャアーム121の回転面に対して、垂直なS方向対して平行に主軸204Sから離れる方向に、チェンジャアーム121を所定の距離移動させる。
そして、チェンジャー機構120は、マガジン割出し位置101Aにおける工具格納部101が円弧Q上を90度回転して、チェンジャアーム部121Aの把持部121AHに対して被交換工具301Dを把持させる。
【0031】
図4は、本実施形態におけるチェーン110における工具格納部の配置を説明する図である。
工具格納部は、工具径が標準径の標準径工具301Nを格納する標準径工具格納部101Nと、工具径が上記標準径の範囲に含まれない標準径外工具301Oを格納する標準径外工具格納部101Oとがある。
図4(a)は、標準径外工具格納部101Oの配置を説明している。この図4(a)において、標準径外工具格納部101Oには、標準径の範囲を下回る小径工具301OUDを格納する小径工具格納部101OUDと、標準径の範囲を超える大径工具301OUPを格納する大径工具格納部101OUPとがある。
【0032】
小径工具格納部101OUDと大径工具格納部101OUPとの各々は、標準径外工具グループ115として、隣接した領域(例えば、チェーン内の一領域)においてチェーン110に配置されて設けられる。小径工具格納部101OUDは、小径工具が他と干渉しないため、大径工具格納部101OUPに隣接して配置することができる。
【0033】
図4(b)は、標準径工具格納部101Nの配置を説明している。標準径工具格納部101Nは、標準径工具301Nが隣接する他の標準径工具301Nと干渉しないため、互いに隣接して配置することができる。
また、本実施形態においては、チェーン110に隣接して配置されている標準径工具格納部101Nの各々を、複数の標準径工具グループ117に分割している。ここで、標準径工具格納部の各々を複数個ずつのグループとして分割して標準径工具グループ117を生成する際、標準径工具グループ117の各々に属する標準径工具格納部の個数は、それぞれ同じでも、異なっていてもいずれでもよい。
【0034】
図4(b)においては、一例として、標準径工具グループ117の各々が、10個の標準径工具格納部101Nを備えている。この10個の標準径工具格納部101Nの内訳は、標準径工具301Nが把持されている9個の標準径工具格納部101NSと、標準径工具301Nが把持されていない1個の標準径工具格納部101NEとを備えている。ここで、標準径工具格納部101NEは、標準径工具301Nを把持させていない空のバッファ工具格納部として設けられている(本実施形態がポット分離型のため、ポットはバッファ工具格納部から工具とともに取り出されている)。
【0035】
上述した標準径外工具グループ115に属する標準径外工具格納部101Oの各々は、標準径外工具301Oの工具径が他の標準径工具301と異なるため、標準径工具格納部101Nに格納することができず、標準径外工具301Oを、取り出した標準径外工具格納部101Oに対して戻す必要があり、固定番地方式が適用される。
一方、標準径工具301の各々には、標準径工具格納部101NEであれば、いずれの位置の標準径工具格納部101Nに戻しても良いため、工具準備の短縮のために書換番地方式が適用される。
【0036】
図5は、図1及び図2の工具交換制御システム100における信号処理・制御部150の構成例を説明する図である。
図5において、信号処理・制御部150は、工具スイング駆動部151、マガジン駆動部152、チェンジャ駆動部153、工具検知部154、工具交換判定部155、工具情報記憶部156、工具情報表示部157及び加工プログラム指令部158の各々を備えている。上記工具スイング駆動部151、マガジン駆動部152、チェンジャ駆動部153及び工具検知部154の各々は、駆動制御部150Cを形成している。
【0037】
工具スイング駆動部151は、図3において説明した、交換工具301が把持された工具格納部、例えば標準径工具格納部101NSを円弧Qに沿って90度の角度で回転(スイング)させる。これにより、例えば、チェンジャアーム121のチェンジャアーム部121Aの把持部121AHに対して、標準径工具格納部101NSに把持された標準径工具301を格納可能な位置に移動させる。
【0038】
マガジン駆動部152は、チェーン回転機構130におけるモータを駆動し、チェーン110をプーリ180に沿って回転させ、標準径工具格納部101N及び標準径外工具格納部101O(以降、標準径工具格納部101N及び標準径外工具格納部101Oの双方を一括して示す場合、工具格納部101とする)の各々を、マガジン割出し位置101Aに移動させる。
マガジン割出し位置101Aは、工作機械200の主軸204Sに付けられている被交換工具301Dを交換工具301Cと交換する際、この交換工具301Sが把持されている工具格納部101を停止させる位置、すなわちチェンジャアーム121に工具格納部101が対向する位置である。
【0039】
チェンジャ駆動部153は、チェンジャー機構120を駆動し、すなわち図3に示すように、チェンジャアーム121を接続点121Cを中心として円弧Rに沿って回転させ、かつS方向に移動させる。これにより、チェンジャアーム121のチェンジャアーム部に把持されている交換工具301Cを、工作機械200の主軸204Sに取り付けられている被交換工具301Dと交換する処理が行なわれる。
【0040】
工具検知部154は、チェーン110における各工具格納部101に工具が格納されているか否か(把持されているか否か)を、工具有無確認センサ160の検知信号により検知する。
上記工具有無確認センサ160は、マガジン割出し位置101Aの近傍に配置され、このマガジン割出し位置101Aに対向する工具格納部101における工具の有無を確認する。また、工具有無確認センサ160は、工具格納部101に工具が把持されて存在する場合、工具が把持されていることを示す工具検知信号を、後述する工具交換判定部155に対して検知信号として出力する。
一方、工具有無確認センサ160は、工具格納部101に工具が把持されておらずに存在していない場合、工具が把持されていないことを示す工具非検知信号を、工具交換判定部155に対して検知信号として出力する。
【0041】
工具交換判定部155には、加工プログラムに記述された、現在の工程で使用されている工具(被交換工具)、及び次の工程において使用される工具(交換工具)などの加工工具情報が、加工プログラム指令部158から供給される。この加工工具情報は、上記被交換工具及び交換工具の各々の工具番号を含んでいる。
そして、工具交換判定部155は、上記加工工具情報に基づいて、交換工具の格納されている工具格納部番号(チェーン番号と示す場合もある)と被交換工具を戻す工具格納部番号との各々を、工具テーブルを参照して求める処理を行なう。
【0042】
図6は、工具情報記憶部156に書き込まれている、加工プログラムで使用する工具の情報である工具情報が記載された工具テーブルの構成例を示す図である。
図6の工具テーブルにおいて、レコード毎に、工具番号及び工具種別の各々を記載する欄が設けられている。
工具番号は、加工プログラムの加工に用いられる工具の各々を識別するための識別情報の一例であり、それぞれの工具に対して付与されている番号である。
工具種別は、工具の各々が標準径工具、あるいは小径工具、または大径工具のいずれかであるかを示す情報である。
【0043】
図7は、工具情報記憶部156に書き込まれている、チェーン110における工具格納部の工具位置情報が記載された工具位置テーブルの構成例を示す図である。
図7(a)が標準径工具が格納された工具位置を示す標準径工具位置テーブルの構成例であり、図7(b)が標準径外工具が格納された工具位置を示す標準径外工具位置テーブルの構成例である。
【0044】
図7(a)の標準径工具位置テーブルにおいて、レコード毎に、マガジン番号、工具番号、グループ情報及び変更フラグの各々を記載する欄が設けられている。
マガジン番号は、チェーン110における標準径工具格納部の各々の位置を示す位置情報である。例えば、予め設定した基準の工具格納部の位置を位置番号#1として、順次、時計回りに繰り上げた位置番号#nを付与していく。加工プログラムによる加工を開始する際に、予めチェーン110における各工具格納部101の位置を設定しておく。
【0045】
工具番号は、同一レコードのマガジン番号の標準径工具格納部に格納されている、上述した工具の各々を識別するための識別情報である。
グループ番号は、同一レコードのマガジン番号の標準径工具格納部が属す、チェーン110における標準径工具格納部101Nを分割したグループを識別する番号である。
変更フラグは、マガジン番号に格納される標準径工具が変更された場合、あるいはグループが変更された場合にフラグが立てられ(「1」が記載され)、格納される標準径工具及びグループのいずれも変更されない場合にフラグが消去される(「0」が記載される)。
【0046】
図7(b)の標準径外工具位置テーブルにおいて、レコード毎に、マガジン番号及び工具番号の各々を記載する欄が設けられている。
マガジン番号は、チェーン110における標準径外工具格納部の各々の位置を示す位置情報である。例えば、予め設定した基準の工具格納部の位置を位置番号#1として、順次、時計回りに繰り上げた位置番号#nを付与していく。加工プログラムによる加工を開始する際に、予めチェーン110における各工具格納部101の位置を設定しておく。
工具番号は、同一レコードのマガジン番号の標準径外工具格納部に格納されている、上述した工具の各々を識別するための識別情報である。
【0047】
また、上述した工具テーブル(図6)、標準径工具位置テーブル(図7(a))及び標準径外工具位置テーブル(図7(b))の各々は、それぞれチェーン110を識別するチェーン番号毎(すなわち、加工プログラム毎)に設けられている。
【0048】
図5に戻り、工具交換判定部155は、加工プログラムに従った加工工程において、加工プログラム指令部158から供給される交換工具及び被交換工具の工具番号を示す加工工具情報により、交換工具となる工具が格納されている、あるいは被交換工具となる工具が格納されている工具格納部のマガジン番号を抽出する。
【0049】
このとき、工具交換判定部155は、工具情報記憶部156における工具テーブルを参照して、交換工具が標準径工具あるいは標準径外工具のいずれであるかの判定を行なう。
そして、工具交換判定部155は、交換工具が標準径工具である場合、図7(a)の標準径工具位置テーブルを参照して、交換工具が格納されている標準径工具格納部のマガジン番号を読み出す。
一方、工具交換判定部155は、交換工具が標準径外工具である場合、図7(b)の標準径外工具位置テーブルを参照して、交換工具が格納されている標準径外工具格納部のマガジン番号を読み出す。
【0050】
また、工具交換判定部155は、工具情報記憶部156における工具テーブルを参照して、被交換工具が標準径工具あるいは標準径外工具のいずれであるかの判定を行なう。
そして、工具交換判定部155は、被交換工具が標準径工具である場合、図7(a)の標準径工具位置テーブルを参照して、被交換工具が格納されている標準径工具格納部のマガジン番号を読み出す。
一方、工具交換判定部155は、被交換工具が標準径外工具である場合、図7(b)の標準径外工具位置テーブルを参照して、被交換工具が格納されている標準径外工具格納部のマガジン番号を読み出す。
工具交換判定部155は、交換工具及び被交換工具の各々が、それぞれ標準径工具であるか、あるいは標準径外工具であるかにより、以下に示す工具交換の制御を行なう。
【0051】
・交換工具及び被交換工具の双方が標準径工具である場合
図8は、書換番地方式において、先読みを行なった場合と先読みを行なわない場合とにおける加工用工具の交換時間の処理を示す図である。
図8(a)は、次工程において用いる工具の先読みが行なわれない一般の加工プログラムと、工具の先読みが行なわれる先読みの加工プログラムの一例を示している。
図8(a)において、「T10; T00100020」と記載されている文字列が、次工程において用いられる工具の工具番号を示す先読の命令文(次工程及び次次工程で加工に用いられる工具の準備の時間を短縮させるため、次工程及び次次工程における工具の工具番号を加工プログラム指令部158に先読みさせる命令文)である。この命令文の文字列において、「T0010」が次工程で用いられる工具番号T10を示し、「(T)0020」が次次工程(次工程のさらに次工程)で用いられる工具番号T20を示している。
【0052】
図8(b)及び図8(c)の各々は、書換番地方式において、それぞれ先読みを行なった場合、先読みを行なわない場合における工具交換判定部155が行なう工具の交換の動作のタイミングを示すタイムチャートである。また、図8(b)及び図8(c)において、横軸が時間であり、縦軸において「H」レベルが駆動中であり、「L」レベルが停止中を示している。
【0053】
図8(b)においては、工具番号T10による加工処理の時間が長い場合、その後の工具番号T30の格納されている工具格納部の位置の割出し(チェーン110における工具格納部の位置を示すマガジン番号を求める処理)が行なわれない。また、先読みを行なったとしても、被交換工具である工具番号T10の工具を変換するまで、工具格納部の位置の割出し(位置を求める処理)が行なわれない。
【0054】
図8(c)においては、工具番号T10の工具による加工処理の時間が長い場合、次工程に用いられる工具番号T20の工具と、次次工程に用いられる工具番号T30の工具との情報が取得することができる。
そして、工具交換判定部155は、工具情報記憶部156の工具情報テーブルにより工具番号T20、工具番号T30それぞれが標準径工具であることを検出する。
これにより、工具交換判定部155は、工具番号T20及び工具番号T30の各々が格納されている標準径工具格納部のマガジン番号、グループ情報それぞれを、工具情報記憶部156の標準径工具位置テーブルを参照して抽出する。
【0055】
このため、工具交換判定部155は、駆動制御部150Cを制御して、例えば、工具番号T20の工具を交換工具として、工具番号T20の工具が格納されたマガジン番号の標準径工具格納部を、マガジン割出し位置101Aに移動させる。その後、工具交換判定部155は、上記標準径工具格納部101Nを弧Qに沿って90度回転させ、交換工具が主軸204Sと平行となるように、標準径工具格納部101Nの位置決めを行ない(待機位置の調整)、工具交換の処理まで待機させる。
この時点において、工具交換判定部155は、工具番号T30の属するグループの割出しを行なう。
そして、工具交換判定部155は、工具番号T10の工具による加工の処理が終了した後、チェンジャアーム121を方向Sに沿って上下移動させ、この工具番号T10の工具を被交換工具として主軸204Sから外し、チェンジャアーム部121Bに把持させ、かつ標準径工具格納部101Nにおける工具番号T20の工具を交換工具として、チェンジャアーム部121Aに把持させる。
工具交換判定部155は、チェンジャアーム121を弧Rに沿って180度回転させる。ここで、主軸204Sが方向Sに沿って上下移動することで、工具番号T20の工具を交換工具として主軸204Sに取り付けられて工具交換を終了する。
【0056】
その後、工具交換判定部155は、工具番号T30の属するグループのバッファ工具格納部の位置を割り出し、このバッファ工具格納部をマガジン割出し位置101Aに移動させる(このとき、工具番号T20による加工が行なわれている)。
そして、工具交換判定部155は、主軸204Sから外されてチェンジャアーム部121Bに把持されている工具番号T10の工具を被交換工具として戻す(格納させる)。
また、工具交換判定部155は、工具番号T10の工具を被交換工具として戻した後、工具番号T30の格納されている標準径工具格納部を、マガジン割出し位置101Aに移動させる。
工具交換判定部155は、チェンジャアーム部121Bに工具番号T30の工具を交換工具として把持させる。
【0057】
上述したように、本実施形態によれば、先読みした交換工具となる工具番号の工具の属するグループを検索することにより、主軸204Sから外された被交換工具である工具を、その交換工具の属するグループにおけるバッファ工具格納部に戻すことで、主軸204Sに取り付けられている被交換工具による加工時間が長い場合においても、次次工具を容易に工具交換の待機位置に待機させることが可能となり、先読みした工具を準備する時間を従来の方式に比較して、より早くすることが可能となり、ワークを加工する加工時間を低減することができる。
【0058】
・交換工具が標準径工具であり、被交換工具が標準径外工具である場合
図9は、書換番地方式及び固定番地方式の併用において先読みを行なった場合における加工用工具の交換時間の処理を示す図である。
図9(a)は、工具の先読みが行なわれる先読みの加工プログラムの一例を示している。
図9(a)において、図8(a)と同様に、「T10; T00100020」と記載されている文字列が、次工程において用いられる工具の工具番号を示す命令である。この命令の文字列において、「T0010」が次工程で用いられる工具番号T10を示し、「(T)0020」が次次工程(次工程のさらに次工程)で用いられる工具番号T20を示している。
【0059】
図9(b)は、書換番地方式において先読みを行なった場合の工具交換判定部155が行なう工具の交換の動作のタイミングを示すタイムチャートである。また、図9(b)において、横軸が時間であり、縦軸において「H」レベルが駆動中であり、「L」レベルが停止中を示している。ここで、主軸204Sには、工具番号T2の標準径工具が取り付けられている。
工具交換判定部155は、工具情報記憶部156の工具情報テーブルにより工具番号T10の工具が標準径外工具であり、工具番号T20の工具が標準径工具であることを検出する。
【0060】
工具交換判定部155は、工具番号T10が標準径外工具であるため、工具番号T2の標準径工具の属するグループのバッファ工具格納部に戻すことができないことを検知する。
そのため、工具交換判定部155は、駆動制御部150Cを制御して、次の工具番号T20の属するグループにおけるバッファ工具格納部に、工具番号T2の被交換工具を戻す制御を行なう。
【0061】
すなわち、工具交換判定部155は、チェーン110を駆動させて、工具番号マガジン割出し位置101Aに移動させる。
そして、工具交換判定部155は、工具番号T10の工具を交換工具として、工具交換の待機位置に待機させる。
工具番号T2の工具による加工の処理が終了した後、チェンジャアーム121が方向Sに沿って上下移動することで、チェンジャアーム121が工具番号T10の交換工具と、工具番号T2の被交換工具とを把持することで交換する。S方向に上下移動において、S方向に沿って下に移動が、主軸204Sから遠ざかる方向に移動することであり、被交換工具を主軸204Sから取り外す動作である。一方、S方向に沿って上に移動が、主軸Sに近づく方向に移動することであり、交換工具を主軸204Sに取り付ける動作である。
【0062】
また、工具交換判定部155は、工具番号T20の属するグループのバッファ工具格納部のチェーン110における位置を割り出し、このバッファ工具格納部をマガジン割出し位置101Aに移動させる(このとき、工具番号T10の工具による加工が行なわれている)。
そして、工具交換判定部155は、主軸204Sから外されてチェンジャアーム部121Bに把持されている工具番号T2の工具を、工具番号T20の工具の属するグループのバッファ工具格納部に被交換工具として戻す(格納させる)。
【0063】
また、工具交換判定部155は、工具番号T10の工具を被交換工具として戻した後、工具番号T20の格納されている標準径工具格納部を、マガジン割出し位置101Aに移動させる。
そして、工具交換判定部155は、チェンジャアーム部121Bに工具番号T20の工具を交換工具として把持させる。
この後、工具交換判定部155は、工具番号T10の標準径外工具を被交換工具として戻す標準径外工具格納部のマガジン番号を、工具情報記憶部156の標準径外工具位置テーブルを参照して検出する。
【0064】
工具交換判定部155は、工具番号10の固定番地としてのマガジン番号の標準径外工具格納部を、マガジン割出し位置101Aに移動させる(このとき、工具番号T10による加工が行なわれている)。
そして、工具交換判定部155は、工具番号T10の工具による加工の処理が終了した後、この工具番号T10の工具を被交換工具として主軸204Sから外し、チェンジャアーム部121Bに把持させる。
工具交換判定部155は、工具番号10の固定番地としてのマガジン番号の標準径外工具格納部に、工具番号T10の標準径外工具を格納する(戻す)。
【0065】
上述したように、本実施形態によれば、標準径工具の加工工程の間に、標準径外工具の加工工程が挟まれていた場合において、標準径工具の交換工具として次次工程の工具のグループにおけるバッファ工具格納部に被交換工具を戻す。そして、次次工程の交換工具をチェンジャアームに取得した後、工具番号T10の標準径外工具のマガジン番号の標準径外工具格納部をマガジン割出し位置101Aに移動させる。ここで、マガジン割出し位置101Aに移動させつつ、工具番号T10の固定番地の加工が終了した後、主軸204Sから被交換工具である工具番号T10の標準径外工具を外して、チェンジャアーム121を経由して標準径外工具のマガジン番号の標準径外工具格納部に格納する。
【0066】
このため、本実施形態によれば、標準径外工具が標準径工具の加工処理の間に挟まれていたとしても、次次工程における標準径工具の属するバッファ工具格納部に、被交換工具の工具を格納することで戻し、かつ次次工程の工具も取得することが可能であるため、先読みした工具を準備する時間を従来の方式に比較して、より早くすることが可能となり、ワークを加工する加工時間を低減することができる。
また、交換工具が標準径外工具であり、被交換工具が標準径工具である場合においても、上述した図9における処理を行なうことが可能である。
【0067】
また、本実施形態において、分割した標準径工具グループにおいて、次工具が格納されている標準径工具格納部が属する標準径工具グループのバッファ工具格納部より、隣接する他の標準径工具グループにおけるバッファ工具格納部までの距離が少ない場合、工具交換判定部155が、次工具が格納されている標準径工具マガジンを、隣接する他の標準径工具グループに属させるように、標準径工具グループ117の各々を再構成してもよい。
図10は、標準径工具グループに属する標準径工具格納部の数を変更する処理を説明する概念図である。
上述したように、チェーン110における標準径工具格納部を標準径工具グループ117に分割した後、加工処理が進むことにより、交換工具として取り出す標準径工具からの距離が、当該標準径工具の属する標準径工具グループ117におけるバッファ工具格納部のチェーン110における位置より、隣接する標準径工具グループ117におけるバッファ工具格納部のチェーン110における位置までの距離が近くなる場合がある。
【0068】
図10(a)は、処理開始前に分割された際における標準径工具グループ117_1及び標準径工具グループ117_2の標準径工具格納部の構成を示している。
一方、図10(b)は、加工処理が進んだ場合における、標準径工具グループ117_1及び標準径工具グループ117_2の標準径工具格納部の構成を示している。
図10(a)において、標準径工具グループ117_1には標準径工具格納部101NE_1が存在し(他の標準径工具格納部101Nには標準径工具が格納されている)、一方、標準径工具グループ117_2には標準径工具格納部101NE_2が存在している(他の標準径工具格納部101Nには標準径工具が格納されている)。
【0069】
そして、図10(b)の「変更前」の状態は、標準径工具グループ117_1において、標準径工具格納部101NE_1(バッファ工具格納部)に対して標準径工具が格納され、標準径工具格納部101NS_3となる。一方、標準径工具グループ117_1において、標準径工具格納部101NS_1から標準径工具が取り出され、標準径工具格納部101NE_3となる。
また、図10(b)の「変更前」の状態は、標準径工具グループ117_2において、標準径工具格納部101NE_2(バッファ工具格納部)に対して標準径工具が格納され、標準径工具格納部101NS_4となる。一方、標準径工具グループ117_2において、標準径工具格納部101NS_2から標準径工具が取り出され、標準径工具格納部101NE_4となる。
【0070】
このため、次の加工工程において交換工具となる標準径工具が標準径工具格納部101NS_3に格納されている場合、この標準径工具格納部101NS_3からの距離が、標準径工具グループ117_1におけるバッファ工具格納部である標準径工具格納部101NE_2の位置より、標準径工具グループ117_2におけるバッファ工具格納部である標準径工具格納部101NE_4の位置までの距離が近く(小さく)なる。
【0071】
本実施形態において、工具交換判定部155は、工具情報記憶部156の標準径工具位置テーブルを参照して、交換工具である標準径工具が格納されている標準径工具格納部101NS_3の属する標準径工具グループ117_1と、チェーン110における標準径工具グループ117_1の前側及び後側に隣接する標準径工具グループ117との各々におけるバッファ工具格納部のチェーン110における位置(マガジン番号)を抽出する。
工具交換判定部155は、標準径工具格納部101NS_3と、標準径工具グループ117_1及び標準径工具グループ117_1に隣接する他の標準径工具グループ117におけるバッファ工具格納部との標準径工具格納部101Nの数の差分を求め、この差分の最も小さいバッファ工具格納部を求める。
【0072】
そして、工具交換判定部155は、標準径工具格納部101NS_3からの距離が最も小さいバッファ工具格納部が標準径工具グループ117_1の標準径工具格納部101NE_4である場合、標準径工具グループ117_1及び標準径工具グループ117_2の分割の再設定(再構成する変更)を行なう。
この結果、工具交換判定部155は、図10(b)の「変更後」に示すように、標準径工具格納部101NS_3を除去することで、標準径工具グループ117_1を新たに標準径工具グループ117_1Cとし、標準径工具格納部101NS_3を編入することで、標準径工具グループ117_2を新たに標準径工具グループ117_2Cとする。
【0073】
また、工具交換判定部155は、上記標準径工具グループ117の変更に対応して、工具情報記憶部156の標準径工具位置テーブルにおける標準径工具格納部101Nの属する標準径工具グループ117を更新する。
上述した構成により、本実施形態によれば、交換工具を取り出す標準径工具格納部101NSと、被交換工具を格納する標準径工具格納部101NS(バッファ工具格納部)との距離を常に最小とすることができ、交換工具の準備に係る時間を短縮することが可能となる。
【0074】
図11は、第1の実施形態の工具交換制御システムにおける工具交換の処理の動作例を示すフローチャートである。以下のフローチャートの処理は、各工程における工具の準備を行なう命令毎に実行される。
ステップS101:工具交換判定部155は、工具番号として、現時点で主軸204Sに取り付けられている工具の工具番号(現主軸工具番号)TSと、現時点でチェンジャアーム121が把持されている、あるいは工具交換の待機位置に待機している被交換工具の工具番号(現返却工具番号)TRとの各々の読み込みを行なう。
【0075】
ステップS102:加工プログラム指令部158は、加工プログラムにおける工具準備指令「T00TS00TR」から、次加工で用いる工具の工具番号である次工具番号TAと、次次加工で用いる工具の工具番号である次次工具番号TBを分離して抽出する。
そして、加工プログラム指令部158は、抽出した次工具番号TA及び次次工具番号TBの各々を工具交換判定部155に対して出力する。
【0076】
ステップS103:工具交換判定部155は、現返却工具番号TRが返却(バッファ工具格納部に格納)されているか否かの判定を、工具有無確認センサ160の検知信号により行なう。
このとき、工具交換判定部155は、現返却工具番号TRが返却されている場合、処理をステップS104へ進める。
一方、工具交換判定部155は、現返却工具番号TRが返却されていない場合、ステップS103の処理を再度行なう。
【0077】
ステップS104:工具交換判定部155は、マガジン番号(チェーン番号)及び工具番号の各々が記載された、工具情報記憶部156における標準径工具位置テーブルを参照する(読み込む)。
【0078】
ステップS105:工具交換判定部155は、標準径工具位置テーブルを参照することにより、次工具番号TAが格納されている標準径工具格納部101Nのマガジン番号を検出する(次工具番号TAの標準径工具格納部101Nのマガジン番号を割出す)。
【0079】
ステップS106:工具交換判定部155は、次工具番号TAの工具と当該ポットとが格納された標準径工具格納部101Nを、弧Qに沿って90度スイングさせる。
これにより、工具交換判定部155は、次工具番号TAの工具を、工具交換の待機位置に移動させる。
【0080】
ステップS107:工具交換判定部155は、工具情報記憶部156における標準径工具位置テーブルに対して、次工具番号TAを取り出した標準径工具格納部101Nをバッファ工具格納部とする情報を書き込む。
【0081】
ステップS108:工具交換判定部155は、現主軸工具番号TSによるワークに対する加工が終了したか否かを、工作機械200における動作情報により検出する。
このとき、工具交換判定部155は、現主軸工具番号TSによるワークに対する加工が終了した場合、処理をステップS109へ進める。
一方、工具交換判定部155は、現主軸工具番号TSによるワークに対する加工が終了していない場合、処理をステップS113へ進める。
【0082】
ステップS109:工具交換判定部155は、駆動制御部150Cに対して、現主軸工具番号TSの工具を主軸204Sから外してチェンジャアーム121に把持させ、次工具番号TAを主軸204Sに取り付ける工具交換の処理を行なう制御指令を出力する。
これにより、現主軸工具番号TSの工具が主軸204Sから外されてチェンジャアーム121に把持され、次工具番号TAの工具がチェンジャアーム121から主軸204Sへ取り付けられる。
ここで、現主軸工具番号TSの工具が被交換工具の旧主軸工具番号TSの工具となり、次工具番号TAの工具が現主軸工具番号TAの工具となる。
【0083】
ステップS110:工具交換判定部155は、駆動制御部150Cに対して、旧主軸工具番号TSの工具を、次工具番号TAが格納されていたマガジン番号(チェーン番号)CAである、バッファ工具格納部の標準径工具格納部101Nに戻す制御指令を出力する。
これにより、旧主軸工具番号TSの工具は、マガジン番号CAの標準径工具格納部101Nに格納される。
【0084】
ステップS111:工具交換判定部155は、工具情報記憶部156における標準径工具位置テーブルに対して、マガジン番号CAの標準径工具格納部101Nに旧主軸工具番号TSの工具が格納された情報を書き込む。
【0085】
ステップS112:工具交換判定部155は、標準径工具位置テーブルを参照することにより、次次工具番号TBが格納されている標準径工具格納部101Nのマガジン番号を検出する(次工具番号TBの標準径工具格納部101Nのマガジン番号を割出す)。
【0086】
ステップS113:工具交換判定部155は、工具情報記憶部156における標準径工具位置テーブルを参照して、次次工具番号TBの工具が属するグループである標準径工具グループ117におけるバッファ工具格納部のマガジン番号(バッファポットの把持されている工具格納部のチェーン110における位置)TYを検索する。
【0087】
ステップS114:工具交換判定部155は、次工具番号TAが格納されていた標準径工具格納部101Nの位置から、次次工具番号TBの工具が格納されている標準径工具格納部101Nの位置までの割出数(工具格納部の個数)PAを算出する。
また、工具交換判定部155は、次次工具番号TBの工具が属する標準径工具グループ117におけるバッファ工具格納部のマガジン番号TYの標準径工具格納部101Nの位置から、次次工具番号TBの工具が格納されている標準径工具格納部101Nの位置までの割出数(工具格納部の個数)PBを算出する。
【0088】
ステップS115:工具交換判定部155は、割出数PAと割出数PBとの各々の数値(個数)の比較を行なう。
このとき、工具交換判定部155は、割出数PAが割出数PBが超えている(PA>PBである)場合、処理をステップS116へ進める。
一方、工具交換判定部155は、割出数PAが割出数PB以下である(PA≦PBである)場合、処理をステップS122へ進める。
【0089】
ステップS116:工具交換判定部155は、標準径工具位置テーブルを参照することにより、次次工具番号TBの工具が属する標準径工具グループ117におけるマガジン番号TYの標準径工具格納部101Nから、マガジン割出し位置101Aまでのマガジン数を算出する(バッファポットTY割出)。
そして、工具交換判定部155は、駆動制御部150Cに対して、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nを、マガジン割出し位置101Aまで移動させる制御指令(上記マガジン数を添付)を出力する。
これにより、駆動制御部150Cは、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nを、マガジン割出し位置101Aまで移動させるため、チェーン110の回転を開始させる。
【0090】
ステップS117:工具交換判定部155は、現主軸工具番号TSによるワークに対する加工が終了したか否かを、工作機械200における動作情報により検出する。
このとき、工具交換判定部155は、現主軸工具番号TSによるワークに対する加工が終了した場合、処理をステップS118へ進める。
一方、工具交換判定部155は、現主軸工具番号TSによるワークに対する加工が終了していない場合、ステップS117の処理を繰返す。
【0091】
ステップS118:工具交換判定部155は、駆動制御部150Cに対して、現主軸工具番号TSの工具を主軸204Sから外してチェンジャアーム121に把持させ、次工具番号TAを主軸204Sに取り付ける工具交換の処理を行なう制御指令を出力する。
これにより、現主軸工具番号TSの工具が主軸204Sから外されてチェンジャアーム121に把持され、次工具番号TAの工具がチェンジャアーム121から主軸204Sへ取り付けられる。
ここで、現主軸工具番号TSの工具が被交換工具の旧主軸工具番号TSの工具となり、次工具番号TAの工具が現主軸工具番号TAの工具となる。
【0092】
ステップS119:工具交換判定部155は、駆動制御部150Cに対して、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nが、マガジン割出し位置101Aまで移動したか(割出したか否か)否かを問い合せる。
このとき、工具交換判定部155は、問合せの結果において、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nが、マガジン割出し位置101Aまで移動した場合、処理をステップS120へ進める。
一方、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nが、マガジン割出し位置101Aまで移動していない場合、ステップS119の処理を繰返す。
【0093】
ステップS120:工具交換判定部155は、駆動制御部150Cに対して、旧主軸工具番号TSの工具を、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nに戻す制御指令を出力する。
これにより、旧主軸工具番号TSの工具は、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nに格納される。
【0094】
ステップS121:工具交換判定部155は、工具情報記憶部156における標準径工具位置テーブルに対して、マガジン番号CYの標準径工具格納部101Nに旧主軸工具番号TSの工具が格納された情報を書き込む。
【0095】
ステップS122:工具交換判定部155は、現主軸工具番号TSによるワークに対する加工が終了したか否かを、工作機械200における動作情報により検出する。
このとき、工具交換判定部155は、現主軸工具番号TSによるワークに対する加工が終了した場合、処理をステップS123へ進める。
一方、工具交換判定部155は、現主軸工具番号TSによるワークに対する加工が終了していない場合、ステップS122の処理を繰返す。
【0096】
ステップS123:工具交換判定部155は、駆動制御部150Cに対して、現主軸工具番号TSの工具を主軸204Sから外してチェンジャアーム121に把持させ、次工具番号TAを主軸204Sに取り付ける工具交換の処理を行なう制御指令を出力する。
これにより、現主軸工具番号TSの工具が主軸204Sから外されてチェンジャアーム121に把持され、次工具番号TAの工具がチェンジャアーム121から主軸204Sへ取り付けられる。
ここで、現主軸工具番号TSの工具が被交換工具の旧主軸工具番号TSの工具となり、次工具番号TAの工具が現主軸工具番号TAの工具となる。
【0097】
ステップS124:工具交換判定部155は、駆動制御部150Cに対して、旧主軸工具番号TSの工具を、次工具番号TAが格納されていたマガジン番号(チェーン番号)CAである、バッファ工具格納部の標準径工具格納部101Nに戻す制御指令を出力する。
これにより、旧主軸工具番号TSの工具は、マガジン番号CAの標準径工具格納部101Nに格納される。
【0098】
ステップS125:工具交換判定部155は、工具情報記憶部156における標準径工具位置テーブルに対して、マガジン番号CAの標準径工具格納部101Nに旧主軸工具番号TSの工具が格納された情報を書き込む。
【0099】
図12は、第2の実施形態(後述)におけるチェーンの工具格納部に対する工具の格納状態を表示する表示器の配置例を示す図である。
表示器170は、担当者がチェーン110における工具格納部の各々に工具を格納する工具手動交換位置101Bの近傍に配置された表示装置であり、工具格納部における工具の格納状態が表示画面に表示される。第1の実施形態においても、図12の第2の実施形態と同様に、表示器170は、工具手動交換位置101Aの近傍に配置される。
【0100】
図13は、図12の表示器170に表示される画面の一例を示す図である。
図13(a)は、加工を開始する前の最初に行なう、工具格納部に対する手動の工具格納処理において、担当者が用いる画面である。
担当者は、表示器170の表示画面における入力画面領域501に表示された各入力ボタンにより、所定の工具番号を対応する工具格納部のマガジン番号を設定し、それに従って工具の格納を行なう。
そして、担当者が工具番号の自動設定を入力画面領域501において指示することにより、工具交換判定部155は、駆動制御部150Cに対して、チェーン110を回転させて、工具有無確認センサ160の検知信号により、工具格納部の各々に工具が格納されているかを確認する。
【0101】
そして、工具交換判定部155は、確認の結果を工具情報記憶部156の標準径工具位置テーブル及び標準径外工具位置テーブルの各々に書き込む。このとき、工具番号は、マガジン番号と同一の番号として設定される。
また、工具交換判定部155は、工具有無確認センサ160により検知した工具格納部に対する工具の格納状態の情報を、工具情報記憶部156に書き込むとともに、マガジン番号(チェーン番号)の各々に格納されている工具の情報、例えば、工具番号(工具No)、固定方式(固定)の工具格納部か否か(そうであればチェックが付与)、書換番地方式(書換)に対応した工具格納部か否か(そうであればチェックが付与)、バッファ工具格納部であるか否か(そうであればチェックが付与)、マガジン番号が属する標準径工具グループ(グループ)の番号などを、表示画面領域502に表示する。
【0102】
図13(b)は、加工を開始する前の最初に行なった工具格納部に対する手動の工具格納処理の結果を示す画面である。この表示画面は、担当者による確認処理に用いられる。
ここで、工具交換判定部155は、工具有無確認センサ160により検知した工具格納部に対する工具の格納状態の情報を、工具情報記憶部156に書き込むとともに、マガジン番号(チェーン番号)の各々に格納されている工具の情報、例えば、工具番号(工具No)、固定方式(固定)の工具格納部か否か(そうであればチェックが付与)、書換番地方式(書換)に対応した工具格納部か否か(そうであればチェックが付与)、バッファ工具格納部であるか否か(そうであればチェックが付与)、マガジン番号が属する標準径工具グループ(グループ)の番号などを、表示器170の表示画面に表示する。
【0103】
このとき、工具交換判定部155は、標準径工具グループの各々に、少なくとも1個のバッファ工具格納部の有無を確認し、もしバッファ工具格納部の無い標準径工具グループを表示するなどのアラームを、表示器170の表示画面領域503などに表示する。
また、工具交換判定部155は、チェーン110における工具格納部の各々が、固定方式または書換方式のいずれであるかが示されているため、固定方式である場合に格納可能な工具径を示すなどの表示を行なう機能を有し、担当者が工具格納部に工具を格納する際の支援を行なうことができる。
【0104】
図14は、加工処理が行なわれている際にCNC(computerized numerical control)装置の表示器(不図示)の表示画面に表示される画面の一例を示す図である。CNC装置は、工具交換制御システム100のチェーン110の移動量や移動速度、また工作機械200の加工における主軸204Sなどの移動量や移動速度を制御する装置である。
工具交換判定部155は、工具情報記憶部156の標準径工具位置テーブル及び標準径外工具位置テーブルの各々における工具格納部に対する工具の格納状態の情報、例えば、マガジン番号(チェーン番号)の各々に格納されている工具の情報、例えば、工具番号(工具No)、固定方式(固定)の工具格納部か否か(そうであればチェックが付与)、書換番地方式(書換)に対応した工具格納部か否か(そうであればチェックが付与)、バッファ工具格納部であるか否か(そうであればチェックが付与)、マガジン番号が属する標準径工具グループ(グループ)の番号、チェンジャアームが把持している(スイング)工具番号、工作機械の主軸に取り付けられている工具番号、工具格納部に格納する工具番号(次格納先)などを、CNC装置(不図示)の表示器の表示画面に表示する。
【0105】
チェンジャアームが把持している(スイング)工具番号の工具は、チェーン110の工具格納部から取り出した待機状態の工具(交換工具)である。
また、図14の表示画面において、マガジン番号に対応した次格納先に示される工具番号は、加工に使用された後に、この工具番号の工具が被交換工具として戻されるマガジン番号を通知するために示されている。
また、図14の表示画面は、工作機械や工具交換制御システムが、ワークの加工途中で異常停止した場合、手動及び自動の復旧時に役立つ工具情報として用いることができる。
【0106】
また、工具交換判定部155は、表示器170に対して、図13(a)の入力画面領域501における設定ボタンとして、「マガジン番号」、「グループ番号」、「工具番号」、「バッファ工具格納部」、「書換番地」、「固定番地」、固定番地の際に格納可能な「最大の工具径」及び「最小の工具径」などを表示させる構成としてもよい。
また、担当者が手動で工具格納部に工具を格納した後に自動チェック機能を起動させることにより、工具交換判定部155は、チェーン110を一回転させて、工具有無確認センサ160により、工具格納部の各々における工具の有無、バッファ工具格納部の配置情報である位置(マガジン番号)、工具番号の重複などについても確認し、以上があれば、表示器170の表示画面にアラームを表示させる構成としてもよい。
【0107】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。図5と同様の信号処理・制御部150を備えているが、工具交換判定部155が工具交換判定部155Aとなっている。
図15は、第2の実施形態による工具交換制御システムを用いた工作機械の構成例を示す概念図である。図15は、工具交換制御システム100Aを側面から見た図である。
図15の工具交換制御システム100Aは、工具ポット(工具保持部)が非分離な形態の工具格納部101が連結されたチェーン110Aを備えている。工具交換制御システム100Aにおける制御装置(後述)からの工具交換の制御信号により、工具格納部101に把持された交換工具301を、工作機械200Aの主軸204Sに把持された被交換工具302と交換する動作を、チェンジャー機構120Aを駆動して行なう。
【0108】
また、工作機械200Aは、コラム201、ワークテーブル202、ベース203及び主軸搭載部204が備えられている。
ワークテーブル202は、加工対象のワークが固定されており、加工プログラムに対応して、ベース203の上面において、X軸(図の横方向)を移動する。コラム201は、ベース203上面において、Z軸(図の奥行方向)に移動する。
主軸搭載部204は、加工プログラムに対応した工具が把持され、この加工プログラムに基づいて、コラム201においてY軸方向(図の上下方向)に移動する。
上述したように、加工プログラムの処理に対応して、ワークに対してX軸、Y軸及びZ軸の各々の方向に相対的に主軸搭載部204を移動させることで、主軸搭載部204の主軸(後述する主軸204S)に把持された工具(被交換工具301D)により、ワークの加工を行なう。
【0109】
図16は、第2の実施形態による工具交換制御システムの構成例を示す概念図である。図2は、工具交換制御システム100Aを正面から見た図である。
図16において示すように、チェーン110Aは、複数個の工具格納部101が直列に円状に連結された無限循環帯として構成されている。
チェーン110Aは、サーボモータなどによるチェーン回転機構130A(すでに述べたマガジン駆動部152で制御)により、方向Pの向きに回転させられる。
また、チェーン110Aは、チェーン回転機構130Aと、プーリ180の各々とに沿って回転する。
【0110】
チェーン110Aには、標準径工具301が格納されている標準径工具格納部と、標準径外工具305や標準径外工具306が格納されている標準径外マガジンが備えられている。ここで、標準径外工具305や標準径外工具306の各々の工具格納部は、標準径外工具グループ115Aとして、チェーン110Aにおける所定の領域にまとめて配置されている。
また、マガジン割出し位置101Aは、チェンジャー機構120Aによる、工作機械200の主軸204Sに把持された被交換工具302と交換する動作が行なわれる位置である。
工具格納部101B_1から工具格納部101B_5の各々は、標準径工具301が格納されていない、標準径工具301を格納可能なバッファ工具格納部(後述する標準径工具格納部101NEに対応)である。
【0111】
図17は、第2の実施形態による工具交換制御システムにおけるチェンジャー機構120Aの動作を説明する図である
図17において、チェンジャー機構120Aは、チェンジャアーム部121A及びチェンジャアーム部121Bの各々を備え、チェンジャアーム部121Aとチェンジャアーム部121Bとの接続点121Cを中心として、R方向に回転自在のチェンジャアーム121が備えられている。チェンジャー機構120Aは、加工プログラムにおいて、各加工工程で用いられる工具(標準径工具あるいは標準径外工具)を、工作機械200Aの主軸204Sに、順次、取り付け及び取り外しの動作を、以下に示す順序により行なう。
【0112】
まず、チェンジャー機構120Aは、マガジン割出し位置101Aにおける工具格納部101が円弧Q上を90度回転して、チェンジャアーム部121Aに対して交換工具301Cを把持させ、方向S2においてポット301C_Pから離れる方向に移動する(チェーン110Aの工具格納部近傍におけるチェンジャー機構120A(1)に対応)。
これにより、チェンジャー機構120Aは、標準径工具301(交換工具301C)をポット301C_Pから分離し、チェンジャアーム部121Aに交換工具301Cが把持された状態とする。
チェンジャー機構120Aは、マガジン割出し位置101Aにおける工具格納部101が円弧Q上を45度回転して、一旦、待機位置において待機する(チェーン110Aから離れた位置のチェンジャー機構120A(2)に対応)。
【0113】
チェンジャー機構120Aは、マガジン割出し位置101Aにおける工具格納部101が円弧Q上をさらに45度回転して、主軸204Sに交換工具301を取り付ける位置に移動する(主軸204S近傍の位置のチェンジャー機構120A(3)に対応)。
ここで、チェンジャー機構120Aは、主軸204Sの中心軸204Cを中心としたチェンジャアーム121の回転面に対して、平行なS1方向に対して平行に主軸204Sに近づける方向に、チェンジャアーム121を所定の距離移動させる。
これにより、チェンジャアーム部121Bには、主軸204Sに取り付けられた被交換工具301Dが把持される。
そして、チェンジャー機構120Aは、垂直なS方向対して平行に主軸204Sから離れる方向に、チェンジャアーム121を所定の距離移動させる。
【0114】
チェンジャー機構120Aは、主軸204Sの中心軸204Cの回り、すなわち円弧Rに沿ってチェンジャアーム121を180度回転させる。
この結果、交換工具301Cが把持されたチェンジャアーム部121Aが主軸204Sの位置に移動し、被交換工具301Dが把持されたチェンジャアーム部121Bが主軸204Sから離れた位置に移動する。
そして、チェンジャー機構120Aは、S1方向に対して平行に主軸204Sに、交換工具301Cが把持されたチェンジャアーム部121Aを近づける方向に、チェンジャアーム121を所定の距離移動させる。
【0115】
これにより、チェンジャアーム部121Aに把持された被交換工具301Dが、主軸204Sに取り付けられる。
また、上述した操作を逆に行なうことで、被交換工具301Dを工具格納部に固定されたポット301C_Pに対して挿入し、被交換工具301Dの工具格納部に対する格納を行なう。
【0116】
図18は、第2の実施形態の工具交換制御システムにおける工具交換の処理の動作例を示すフローチャートである。以下のフローチャートの処理は、各工程における工具の準備を行なう命令毎に実行される。
ステップS201:工具交換判定部155Aは、工具番号として、現時点で主軸204Sに取り付けられている工具の工具番号(現主軸工具番号)TSと、現時点でチェンジャアーム121が把持している被交換工具の工具番号(現返却工具番号)TRとの各々の読み込みを行なう。
【0117】
ステップS202:加工プログラム指令部158は、加工プログラムにおける工具準備指令「T00TS00TR」から、次加工で用いる工具の工具番号である次工具番号TAと、次次加工で用いる工具の工具番号である次次工具番号TBを分離して抽出する。
そして、加工プログラム指令部158は、抽出した次工具番号TA及び次次工具番号TBの各々を工具交換判定部155Aに対して出力する。
【0118】
ステップS203:工具交換判定部155Aは、現返却工具番号TRが返却(バッファ工具格納部に格納)されているか否かの判定を、工具有無確認センサ160の検知信号により行なう。
このとき、工具交換判定部155Aは、現返却工具番号TRが返却されている場合、処理をステップS204へ進める。
一方、工具交換判定部155Aは、現返却工具番号TRが返却されていない場合、ステップS203の処理を再度行なう。
【0119】
ステップS204:工具交換判定部155Aは、マガジン番号(チェーン番号)及び工具番号の各々が記載された、工具情報記憶部156における標準径工具位置テーブルを参照する(読み込む)。
【0120】
ステップS205:工具交換判定部155Aは、標準径工具位置テーブルを参照することにより、次工具番号TAが格納されている標準径工具格納部101Nのマガジン番号を検出する(次工具番号TAの標準径工具格納部101Nのマガジン番号を割出す)。
【0121】
ステップS206:工具交換判定部155Aは、駆動制御部150Cに対して、次工具番号TAが格納されている標準径工具格納部101Nを、マガジン割出し位置101Aに移動させる制御指令を行なう。
これにより、マガジン駆動部152がチェーン回転機構130によりチェーン110Aを回転させ、次工具番号TAが格納されている標準径工具格納部101Nを、マガジン割出し位置101Aに移動させる。
そして、工具交換判定部155Aは、駆動制御部150Cに対して、次工具番号TAを交換工具として標準径工具格納部101Nから取出し、チェンジャアーム121に把持させる待機位置に移動させる制御を行なう(このとき、図17におけるチェンジャー機構120(2)に対応)。
【0122】
ステップS207:工具交換判定部155Aは、工具情報記憶部156における標準径工具位置テーブルに対して、次工具番号TAを取り出した標準径工具格納部101Nをバッファ工具格納部とする情報を書き込む。
その後、工具交換判定部155Aは、処理をステップS210へ進め、工具交換の処理を開始する。
【0123】
ステップS208:工具交換判定部155Aは、工具情報記憶部156における標準径工具位置テーブルを参照して、次次工具番号TBの工具が属するグループである標準径工具グループ117におけるバッファ工具格納部のマガジン番号(バッファポット)TYを検索する。
【0124】
ステップS209:工具交換判定部155Aは、標準径工具位置テーブルを参照することにより、次次工具番号TBの工具が属する標準径工具グループ117におけるマガジン番号TYの標準径工具格納部101Nから、マガジン割出し位置101Aまでのマガジン数を算出する(バッファポットTY割出)。
そして、工具交換判定部155Aは、駆動制御部150Cに対して、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nを、マガジン割出し位置101Aまで移動させる制御指令(上記マガジン数を添付)を出力する。
これにより、駆動制御部150Cは、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nを、マガジン割出し位置101Aまで移動させるため、チェーン110Aの回転を開始させる。
【0125】
ステップS210:工具交換判定部155Aは、現主軸工具番号TSによるワークに対する加工が終了したか否かを、工作機械200Aにおける動作情報により検出する。
このとき、工具交換判定部155Aは、現主軸工具番号TSによるワークに対する加工が終了した場合、処理をステップS211へ進める。
一方、工具交換判定部155Aは、現主軸工具番号TSによるワークに対する加工が終了していない場合、ステップS210の処理を繰返す。
【0126】
ステップS211:工具交換判定部155Aは、駆動制御部150Cに対して、現主軸工具番号TSの工具を主軸204Sから外してチェンジャアーム121に把持させ、次工具番号TAを主軸204Sに取り付ける工具交換の処理を行なう制御指令を出力する(このとき、図17におけるチェンジャー機構120(3)に対応)。
これにより、現主軸工具番号TSの工具が主軸204Sから外されてチェンジャアーム121に把持され、次工具番号TAの工具がチェンジャアーム121から主軸204Sへ取り付けられる。
ここで、現主軸工具番号TSの工具が被交換工具の旧主軸工具番号TSの工具となり、次工具番号TAの工具が現主軸工具番号TAの工具となる。
【0127】
ステップS212:工具交換判定部155は、駆動制御部150Cに対して、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nが、マガジン割出し位置101Aまで移動したか(割出したか否か)否かを問い合せる。
このとき、工具交換判定部155は、問合せの結果において、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nが、マガジン割出し位置101Aまで移動した場合、処理をステップS213へ進める。
一方、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nが、マガジン割出し位置101Aまで移動していない場合、ステップS212の処理を繰返す。
【0128】
ステップS213:工具交換判定部155Aは、駆動制御部150Cに対して、旧主軸工具番号TSの工具を、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nに戻す制御指令を出力する。
これにより、旧主軸工具番号TSの工具は、マガジン番号TYの標準径工具格納部101Nに格納される。
【0129】
ステップS214:工具交換判定部155Aは、工具情報記憶部156における標準径工具位置テーブルに対して、マガジン番号CYの標準径工具格納部101Nに旧主軸工具番号TSの工具が格納された情報を書き込む。
【0130】
ステップS215:工具交換判定部155Aは、標準径工具位置テーブルを参照することにより、次次工具番号TBが格納されている標準径工具格納部101Nのマガジン番号を検出する(次工具番号TBの標準径工具格納部101Nのマガジン番号を割出す)。
【0131】
上述したように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、早読みした交換工具となる工具番号の工具の属するグループを検索することにより、主軸204から外された被交換工具である工具を、その交換工具の属するグループにおけるバッファ工具格納部に戻すことで、主軸204Sに取り付けられている被交換工具による加工時間が長い場合においても、次次工具を容易にチェンジャアームに把持させることが可能となり、先読みした工具を準備する時間を従来の方式に比較して、より早くすることが可能となり、ワークを加工する加工時間を低減することができる。
【0132】
また、本実施形態によれば、第1の実施形態における図9の処理と同様に、標準径外工具が標準径工具の加工処理の間に挟まれていたとしても、次次工程における標準径工具の属するバッファ工具格納部に、被交換工具の工具を戻し、かつ次次工程の工具も取得することが可能であるため、先読みした工具を準備する時間を従来の方式に比較して、より短縮することが可能となり、ワークを加工する加工時間を低減することができる。
また、交換工具が標準径外工具であり、被交換工具が標準径工具である場合においても、上述した図9における処理を行なうことが可能である。
【0133】
なお、本発明における図5の信号処理・制御部150の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより工作機械200の主軸204Sに対する工具交換の制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0134】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0135】
100,100A…工具交換制御システム 101…工具格納部 101N…標準径工具格納部 101O…標準径外工具格納部 101OUD…小径工具格納部 101OUP…大径工具格納部 110,110A…チェーン 115…標準径外工具グループ 117…標準径工具グループ 120,120A…チェンジャー機構 121…チェンジャアーム 121A,121B…チェンジャアーム部 150…信号処理・制御部 150C…駆動制御部 151…工具スイング駆動部 152…マガジン駆動部 153…チェンジャ駆動部 154…工具検知部 155,155A…工具交換判定部 156…工具情報記憶部 157…工具情報表示部 158…加工プログラム指令部 160…工具有無確認センサ 200,200A…工作機械 201…コラム 202…ワークテーブル 203…ベース 204…主軸搭載部 204S…主軸 301…工具 301C…交換工具 301C_P…ポット 301D…被交換工具 301N…標準径工具 305,306…標準径外工具
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