(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】水まわり用キャビネット
(51)【国際特許分類】
A47B 77/16 20060101AFI20240122BHJP
A47B 88/969 20170101ALI20240122BHJP
【FI】
A47B77/16
A47B88/969
(21)【出願番号】P 2020005296
(22)【出願日】2020-01-16
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】松崎 裕也
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-146336(JP,A)
【文献】特開2012-125470(JP,A)
【文献】特開2018-094316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
A47B 77/00-77/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット本体と、
前記キャビネット本体に対して前後方向に移動可能な引出しと、
前記引出しに取り付けられるトレイと、
を備え、
前記引出しは、前板と、前記前板の後方に設けられた背板と、を有し、
前記トレイは、物品を収納可能な本体部と、前記本体部の前方側に設けられた第1取付部と、前記本体部の後方側に設けられた第2取付部と、を有し、
前記第1取付部は、前記前板の前面よりも後方に設けられた支持部に取り付けられ、
前記第2取付部は、前記背板に取り付けられ、
前記トレイが前記引出しに取り付けられた状態において、前記本体部の下端は、前記背板の上端よりも上方に位置
し、
前記引出しは、前後方向において前記前板と前記背板との間に設けられた収納ユニットをさらに有し、
前記支持部は、前記収納ユニットに設けられることを特徴とする水まわり用キャビネット。
【請求項2】
前記トレイは、前記トレイの前方への動きを規制する前方規制部と、前記トレイの後方への動きを規制する後方規制部と、を有することを特徴とする請求項
1記載の水まわり用キャビネット。
【請求項3】
前記引出しの左右方向の長さは、前記引出しの前後方向の長さよりも大きく、
前記支持部の左右方向の長さは、前記第1取付部の左右方向の長さよりも大きく、
前記背板の左右方向の長さは、前記第2取付部の左右方向の長さよりも大きいことを特徴とする請求項
2記載の水まわり用キャビネット。
【請求項4】
前記前方規制部は、前記本体部の前方側に設けられた第1前方規制部と、前記本体部の後方側に設けられた第2前方規制部と、を有し、
前記後方規制部は、前記本体部の前方側に設けられた第1後方規制部と、前記本体部の後方側に設けられた第2後方規制部と、を有することを特徴とする請求項
3記載の水まわり用キャビネット。
【請求項5】
前記第1取付部及び前記第2取付部の少なくともいずれかは、下方に突出し前記引出しに対して上方から当接する突出部を有することを特徴とする請求項
3または
4に記載の水まわり用キャビネット。
【請求項6】
キャビネット本体と、
前記キャビネット本体に対して前後方向に移動可能な引出しと、
前記引出しに取り付けられるトレイと、
を備え、
前記引出しは、前板と、前記前板の後方に設けられた背板と、を有し、
前記トレイは、物品を収納可能な本体部と、前記本体部の前方側に設けられた第1取付部と、前記本体部の後方側に設けられた第2取付部と、を有し、
前記第1取付部は、前記前板の前面よりも後方に設けられた支持部に取り付けられ、
前記第2取付部は、前記背板に取り付けられ、
前記トレイが前記引出しに取り付けられた状態において、前記本体部の下端は、前記背板の上端よりも上方に位置
し、
前記トレイは、前記トレイの前方への動きを規制する前方規制部と、前記トレイの後方への動きを規制する後方規制部と、を有し、
前記引出しの左右方向の長さは、前記引出しの前後方向の長さよりも大きく、
前記支持部の左右方向の長さは、前記第1取付部の左右方向の長さよりも大きく、
前記背板の左右方向の長さは、前記第2取付部の左右方向の長さよりも大きく、
前記第1取付部及び前記第2取付部の少なくともいずれかは、下方に突出し前記引出しに対して上方から当接する突出部を有することを特徴とする水まわり用キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、水まわり用キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンや洗面化粧台などの水まわり設備に設けられるキャビネットの引出しにトレイを取り付けることが知られている。特許文献1では、引出しの左右方向の端部に設けられた取付けバーにトレイの左右方向の端部を引っ掛けることで取り付けられるトレイが開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1では、引出しに対して左右方向にトレイを取り付けるため、引出しの間口幅(左右方向の長さ)によって取り付けられるトレイの幅が決まってしまう。つまり、引出しの間口幅が異なると、同じトレイを取り付けることができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この問題を解決する手段として、トレイを引出しに対して前後方向に取り付けることが考えられる。しかし、単にトレイを引出しに対して前後方向に取り付けようとすると、トレイを引っ掛けるための取付けバーを左右方向に設ける必要があり、取付けバーが引出しに収納された収納物に干渉するおそれがある。また、トレイの下端などが引出しに収納された収納物に干渉するおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、引出しの左右方向の幅によらず引出しにトレイを取り付け可能であるとともに、引出しに収納された収納物にトレイが干渉することを抑制できる水まわり用キャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、キャビネット本体と、前記キャビネット本体に対して前後方向に移動可能な引出しと、前記引出しに取り付けられるトレイと、を備え、前記引出しは、前板と、前記前板の後方に設けられた背板と、を有し、前記トレイは、物品を収納可能な本体部と、前記本体部の前方側に設けられた第1取付部と、前記本体部の後方側に設けられた第2取付部と、を有し、前記第1取付部は、前記前板の前面よりも後方に設けられた支持部に取り付けられ、前記第2取付部は、前記背板に取り付けられ、前記トレイが前記引出しに取り付けられた状態において、前記本体部の下端は、前記背板の上端よりも上方に位置することを特徴とする水まわり用キャビネットである。
【0008】
この水まわり用キャビネットによれば、引出しの前板の前面よりも後方に設けられた支持部に取り付けられる第1取付部と、引出しの背板に取り付けられる第2取付部と、を有するトレイを設けることで、トレイを引出しに対して前後方向に取り付けることができる。これにより、引出しの左右方向の幅によらず引出しにトレイを取り付けることができる。したがって、例えば、水まわり用キャビネットがキッチンキャビネットの場合には、ラップや菜箸など比較的長さを有する小物を収納可能なトレイを間口幅の異なる引出しに取り付けることができる。また、この水まわり用キャビネットによれば、トレイが引出しに取り付けられた状態において、トレイの本体部の下端が引出しの背板の上端よりも上方に位置することで、引出しに収納された収納物にトレイが干渉することを抑制できる。これにより、例えば、水まわり用キャビネットがキッチンキャビネットの場合には、引出しに収納した水切り用ザルや調理用ボウル類などにトレイが干渉することを抑制できる。したがって、引出しの収納空間を広く使うことができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記引出しは、前後方向において前記前板と前記背板との間に設けられた収納ユニットをさらに有し、前記支持部は、前記収納ユニットに設けられることを特徴とする水まわり用キャビネットである。
【0010】
この水まわり用キャビネットによれば、引出しの前板と背板との間に収納ユニットが設けられる場合に、支持部を収納ユニットに設けることで、収納ユニットと背板との間においてトレイを前後方向に取り付けることができる。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記トレイは、前記トレイの前方への動きを規制する前方規制部と、前記トレイの後方への動きを規制する後方規制部と、を有することを特徴とする水まわり用キャビネットである。
【0012】
この水まわり用キャビネットによれば、トレイに前方規制部及び後方規制部を設けることで、引出しを前後に移動させる際にトレイに前後方向の慣性力がかかったとしても、トレイが引出しに対して前後方向に動くことを抑制できる。これにより、引出しを開閉する際にトレイが意図せず引出しから外れることを抑制できる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、前記引出しの左右方向の長さは、前記引出しの前後方向の長さよりも大きく、前記支持部の左右方向の長さは、前記第1取付部の左右方向の長さよりも大きく、前記背板の左右方向の長さは、前記第2取付部の左右方向の長さよりも大きいことを特徴とする水まわり用キャビネットである。
【0014】
この水まわり用キャビネットによれば、支持部の左右方向の長さを第1取付部の左右方向の長さよりも大きくし、背板の左右方向の長さを第2取付部の左右方向の長さよりも大きくすることで、トレイを引出しに取り付けた状態で左右方向にスライドさせることができる。これにより、左右方向の長さが前後方向の長さよりも大きい引出しにおいて、トレイの下方の収納空間に対して収納物を出し入れする際にも、トレイをスライドさせて収納物を容易に出し入れすることができる。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、前記前方規制部は、前記本体部の前方側に設けられた第1前方規制部と、前記本体部の後方側に設けられた第2前方規制部と、を有し、前記後方規制部は、前記本体部の前方側に設けられた第1後方規制部と、前記本体部の後方側に設けられた第2後方規制部と、を有することを特徴とする水まわり用キャビネットである。
【0016】
この水まわり用キャビネットによれば、本体部の前方側及び後方側の両方に前方規制部及び後方規制部を設けることで、トレイを左右方向にスライドさせる際に、トレイの前後方向の中心からずれた位置に力がかかったとしても、上下方向を軸にトレイが回転することを抑制できる。これにより、より容易にトレイを左右方向にスライドさせることができる。
【0017】
第6の発明は、第4または第5の発明において、前記第1取付部及び前記第2取付部の少なくともいずれかは、下方に突出し前記引出しに対して上方から当接する突出部を有することを特徴とする水まわり用キャビネットである。
【0018】
この水まわり用キャビネットによれば、第1取付部及び第2取付部の少なくともいずれかに下方に突出する突出部を設けることで、第1取付部や第2取付部を、突出部を介して引出しに当接させることができる。これにより、第1取付部や第2取付部と引出しとの接触面積を小さくすることができる。したがって、トレイを左右方向にスライドさせる際の摩擦力を低減させることができ、より容易にトレイを左右方向にスライドさせることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の態様によれば、引出しの左右方向の幅によらず引出しにトレイを取り付け可能であるとともに、引出しに収納された収納物にトレイが干渉することを抑制できる水まわり用キャビネットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係る水まわり用キャビネットを備えたシステムキッチンを模式的に表す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る水まわり用キャビネットの一部を模式的に表す斜視図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイを模式的に表す斜視図である。
【
図4】実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイ周辺を模式的に表す断面図である。
【
図5】実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイ周辺を模式的に表す断面図である。
【
図6】実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイ周辺を模式的に表す断面図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイの第1取付部周辺を模式的に表す斜視図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイの第2取付部周辺を模式的に表す背面図及び斜視図である。
【
図9】実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイの第2取付部周辺を模式的に表す斜視図である。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)は、実施形態の変形例に係る水まわり用キャビネットのトレイ周辺を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る水まわり用キャビネットを備えたシステムキッチンを模式的に表す斜視図である。
図2は、実施形態に係る水まわり用キャビネットの一部を模式的に表す斜視図である。
図1及び
図2に表したように、システムキッチン500は、水まわり用キャビネット100と、カウンター200と、を備えている。
【0022】
水まわり用キャビネット100は、物品を収納可能な収納空間を有する。水まわり用キャビネット100は、いわゆるフロアキャビネットである。カウンター200は、水まわり用キャビネット100の上方に設けられている。
【0023】
以下、本願明細書においては、水まわり用キャビネット100と対面する使用者からみた上方、下方、前方、後方、右側方、及び左側方を、それぞれ「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「右側方」、及び「左側方」とする。
【0024】
カウンター200の一部には、シンク210が設けられている。シンク210の後部には、吐水装置215が取り付けられている。吐水装置215は、シンク210に向けて湯水を吐出する。シンク210は、吐水装置215から吐出された湯水を受ける。シンク210は、吐水装置215などから受けた湯水を排水管(図示せず)などを介して外部に排出する。
【0025】
カウンター200の別の一部には、コンロ220が設けられている。コンロ220は、例えば、ガスコンロ、電気コンロ、または電磁調理器などである。
【0026】
以下、水まわり用キャビネット100についてさらに詳しく説明する。
水まわり用キャビネット100は、キャビネット本体10と、引出し20と、トレイ30と、を有する。
【0027】
キャビネット本体10は、前方及び上方が開放された箱状であり、床面に載置されている。キャビネット本体10の上方の開口は、カウンター200によって覆われている。キャビネット本体10の左右方向の長さは、例えば、キャビネット本体10の前後方向の長さよりも大きい。この例では、キャビネット本体10は、区画された複数の収納空間を有している。キャビネット本体10の複数の収納空間には、それぞれ、引出し20が設けられている。
【0028】
引出し20は、キャビネット本体10に対して前後方向に移動可能である。例えば、使用者は、引出し20を前方に移動させて水まわり用キャビネット100を開けることで、キャビネット本体10の内部に物品を収納したり、キャビネット本体10の内部から物品を取り出すことができる。この例では、引出し20の左右方向の長さは、引出し20の前後方向の長さよりも大きい。
【0029】
引出し20は、前板21と、底板22と、背板23と、一対の側板24と、一対の支持バー29と、を有する。前板21は、引出し20の前部に設けられている。前板21は、キャビネット本体10の前側の開口を開閉可能に設けられている。つまり、前板21は、水まわり用キャビネット100の扉として機能する。底板22は、引出し20の下部に設けられ、前板21に接続されている。背板23は、引出し20の後部に設けられ、底板22に接続されている。背板23は、前板21の後方に設けられている。背板23の上端は、前板21の上端よりも下方に位置する。一対の側板24は、それぞれ、引出し20の側部に設けられ、前板21、底板22、及び背板23に接続されている。一対の支持バー29は、一対の側板24の上方に設けられ、前板21、及び背板23に接続されている。なお、一対の支持バー29は必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0030】
引出し20の両側部には、それぞれ、引出し20を前後方向にスライドさせるための一対のスライド機構(図示せず)が設けられている。この例では、一対のスライド機構は、一対の側板24の外側方に設けられている。なお、一対の支持バー29にスライド機構を設けてもよい。この場合、一対の側板24を不要とすることも考えられる。
【0031】
また、引出し20の前側には、収納ユニット25が設けられている。収納ユニット25は、前後方向において前板21と背板23との間に設けられている。つまり、収納ユニット25は、前板21の後方、かつ、背板23の前方に設けられている。収納ユニット25は、包丁、まな板、ラップなどの物品を収納可能である。収納ユニット25は必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0032】
引出し20には、トレイ30が取り付けられている。トレイ30は、引出し20に対して前後方向に取り付けられている。トレイ30は、引出し20に取り付けられた状態で、左右方向にスライド可能である。トレイ30の取付構造については、後述する。
【0033】
トレイ30は、例えば、複数の引出し20のうち、シンク210の下方かつキャビネット本体10の上部に設けられた引出し20Aに取り付けられる。なお、トレイ30が設けられる位置は、引出し20Aに限定されず、複数の引出し20のどれでもよい。
【0034】
なお、実施形態において、水まわり用キャビネットは、水や湯を吐出する吐水装置と、吐水装置から吐出された水を受ける水受け部と、を有する水まわり設備に設けられる。水受け部は、例えば、システムキッチンのシンクまたは洗面化粧台のボウルである。つまり、実施形態に係る水まわり用キャビネットは、例えば、システムキッチンまたは洗面化粧台に設けられる。換言すれば、実施形態に係る水まわり用キャビネットは、例えば、キッチン用キャビネットまたは洗面化粧台用キャビネットである。
【0035】
以下、トレイ30についてさらに詳しく説明する。
図3(a)及び
図3(b)は、実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイを模式的に表す斜視図である。
図4は、実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイ周辺を模式的に表す断面図である。
図5は、実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイ周辺を模式的に表す断面図である。
図6は、実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイ周辺を模式的に表す断面図である。
図3(a)は、前方側から見たトレイ30の斜視図である。
図3(b)は、後方側から見たトレイ30の斜視図である。
図4は、
図2に示したA1-A2線による断面図である。
図5は、
図4に示した領域R1の拡大図である。
図6は、
図4に示した領域R2の拡大図である。
図3(a)、
図3(b)、及び
図4~
図6に表したように、トレイ30は、第1取付部31と、第2取付部32と、本体部33と、を有する。
【0036】
本体部33は、上方が開放された箱状であり、内部に物品を収納可能である。本体部33には、例えば、ラップや菜箸など比較的長さを有する小物を収納可能である。本体部33の前後方向の長さは、例えば、本体部33の左右方向の長さよりも大きい。また、本体部33の前後方向の長さは、例えば、本体部33の上下方向の長さよりも大きい。
【0037】
本体部33は、底面部33aと、底面部33aの外周端から上方に延びる側面部33bと、を有する。底面部33aは、例えば、平板状である。底面部33aの下面は、本体部33の下端を構成している。トレイ30は、例えば、底面部33aの下面が水平になるように引出し20に取り付けられる。
【0038】
第1取付部31は、本体部33の前方側に設けられる。この例では、第1取付部31は、本体部33よりも前方に設けられている。より具体的には、第1取付部31は、前延部31aを有する。前延部31aは、本体部33の前方側の側面部33bの上端から前方に延びている。
【0039】
引出し20には、第1取付部31を支持するための支持部27が設けられている。支持部27は、引出し20の前板21の前面21aよりも後方に設けられる。つまり、第1取付部31は、引出し20の前板21の前面21aよりも後方に取り付けられる。支持部27は、例えば、引出し20の前板21の背面21bよりも後方に設けられる。つまり、第1取付部31は、例えば、引出し20の前板21の背面21bよりも後方に取り付けられる。
【0040】
この例では、支持部27は、前板21の背面21bよりも後方に設けられた収納ユニット25の背面部25aから後方に突出するように設けられている。前延部31aが支持部27に支持されることで、第1取付部31は、収納ユニット25に取り付けられている。なお、後述するように、支持部27は、前板21の背面21bに設けられてもよい。つまり、第1取付部31は、前板21の背面21bに取り付けられてもよい。
【0041】
この例では、前延部31aは、本体部33の底面部33aよりも上方に位置しているが、前延部31aは、底面部33aと同じ高さに位置していてもよいし、底面部33aよりも下方に位置していてもよい。
【0042】
第2取付部32は、本体部33の後方側に設けられる。この例では、第2取付部32は、本体部33よりも後方に設けられている。より具体的には、第2取付部32は、第1後延部32aと、下延部32bと、第2後延部32cと、を有する。第1後延部32aは、本体部33の後方側の側面部33bの上端から後方に延びている。下延部32bは、第1後延部32aの後端から下方に延びている。第2後延部32cは、下延部32bの下端から後方に延びている。
【0043】
第2取付部32は、引出し20の背板23に取り付けられる。より具体的には、下延部32b及び第2後延部32cが背板23の上面23cに支持されることで、第2取付部32は、背板23に取り付けられる。
【0044】
第2後延部32cは、本体部33の底面部33aよりも下方に位置している。これにより、第2後延部32cが背板23の上面23cに支持された状態において、底面部33aは、背板23の上面23cよりも上方に位置する。つまり、トレイ30が引出し20に取り付けられた状態において、本体部33の下端は、背板23の上端よりも上方に位置する。
【0045】
支持部27の左右方向の長さは、第1取付部31の左右方向の長さよりも大きい。また、背板23の左右方向の長さは、第2取付部32の左右方向の長さよりも大きい。これにより、トレイ30は、引出し20に取り付けられた状態で(つまり、第1取付部31が支持部27に取り付けられ、第2取付部32が背板23に取り付けられた状態で)、左右方向にスライド可能である。
【0046】
また、トレイ30は、トレイ30の前方への動きを規制する前方規制部34と、トレイ30の後方への動きを規制する後方規制部35と、を有する。前方規制部34は、例えば、本体部33の前方側に設けられた第1前方規制部34aと、本体部33の後方側に設けられた第2前方規制部34bと、を有する。後方規制部35は、例えば、本体部33の前方側に設けられた第1後方規制部35aと、本体部33の後方側に設けられた第2後方規制部35bと、を有する。換言すれば、例えば、本体部33の前方側には、第1前方規制部34a及び第1後方規制部35aが設けられ、本体部33の後方側には、第2前方規制部34b及び第2後方規制部35bが設けられる。
【0047】
この例では、第1前方規制部34a及び第1後方規制部35aは、第1取付部31に設けられている。第1前方規制部34aは、前延部31aの前後方向の中央付近から下方に延びている。第1後方規制部35aは、前延部31aの前端から下方に延びている。
【0048】
前延部31aが支持部27に支持された状態において、第1前方規制部34aは、支持部27の後方に位置している。これにより、第1前方規制部34aは、トレイ30の前方への動きを規制する。また、前延部31aが支持部27に支持された状態において、第1後方規制部35aは、支持部27の前方に位置している。これにより、第1後方規制部35aは、トレイ30の後方への動きを規制する。なお、本体部33の側面部33bによってトレイ30の前方への動きが規制される場合は、第1前方規制部34aは、省略してもよい。
【0049】
この例では、第1前方規制部34aの下端は、第1後方規制部35aの下端よりも下方に位置しているが、第1前方規制部34aの下端は、第1後方規制部35aの下端と同じ高さに位置していてもよいし、第1後方規制部35aの下端よりも上方に位置していてもよい。
【0050】
この例では、第2前方規制部34bは、第2取付部32に設けられている。第2前方規制部34bは、第2後延部32cの後端から下方に延びている。第2後方規制部35bは、本体部33に設けられている。第2後方規制部35bは、本体部33の底面部33aから下方に延びている。
【0051】
第2後延部32cが背板23の上面23cに支持された状態において、第2前方規制部34bは、背板23の後方に位置している。これにより、第2前方規制部34bは、トレイ30の前方への動きを規制する。また、第2後延部32cが背板23の上面23cに支持された状態において、第2後方規制部35bは、背板23の前方に位置している。これにより、第2後方規制部35bは、トレイ30の後方への動きを規制する。
【0052】
なお、第2後方規制部35bは、第2取付部32に設けられてもよい。例えば、下延部32bが背板23の前面23aよりも前方に位置する場合には、第2後方規制部35bは、下延部32bの下端から下方に延びるように設けられてもよい。また、例えば、第2後延部32cが背板23の前面23aよりも前方まで延びている場合には、第2後方規制部35bは、この第2後延部32cの前端から下方に延びるように設けられてもよい。
【0053】
また、この例では、第2前方規制部34bの下端は、第2後方規制部35bの下端よりも下方に位置しているが、第2前方規制部34bの下端は、第2後方規制部35bの下端と同じ高さに位置していてもよいし、第2後方規制部35bの下端よりも上方に位置していてもよい。
【0054】
実施形態においては、トレイ30に少なくとも1つの前方規制部34と、少なくとも1つの後方規制部35と、が設けられていることが好ましい。つまり、第1前方規制部34a及び第2前方規制部34bの少なくともいずれかと、第1後方規制部35a及び第2後方規制部35bの少なくともいずれかと、が設けられていることが好ましい。
【0055】
また、実施形態においては、、本体部33の前方側及び後方側の両方に前方規制部34と後方規制部35とがそれぞれ設けられていることがより好ましい。つまり、本体部33の前方側に、第1前方規制部34a及び第1後方規制部35aが設けられており、本体部33の後方側に、第2前方規制部34b及び第2後方規制部35bが設けられていることがより好ましい。
【0056】
以下、第1取付部31についてさらに詳しく説明する。
図7(a)及び
図7(b)は、実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイの第1取付部周辺を模式的に表す斜視図である。
図7(a)及び
図7(b)は、トレイ30の第1取付部31を下方側(底面部33a側)から見た斜視図である。
図7(b)は、
図7(a)に示した領域R3の拡大図である。
図7(a)及び
図7(b)に表したように、第1取付部31は、リブ31bをさらに有する。この例では、リブ31bは、第1取付部31の左右方向の両端部に設けられている。
【0057】
リブ31bは、第1部分311と、第2部分312と、第3部分313と、を有する。第1部分311は、前延部31aの下面から下方に突出し、前後方向に延びている。第2部分312は、第1前方規制部34aから前方に突出し、第1部分311の後端から下方に延びている。第3部分313は、第1後方規制部35aから後方に突出し、第1部分311の前端から下方に延びている。
【0058】
第1取付部31を支持部27に取り付けた状態において、前延部31aは、リブ31bの第1部分311を介して支持部27に支持される。より具体的には、リブ31bの第1部分311の下端が支持部27の上端に当接することで、前延部31aは、リブ31bの第1部分311を介して支持部27に支持される。このように、リブ31bの第1部分311は、下方に突出し引出し20に対して上方から当接する突出部36として機能する。
【0059】
また、トレイ30が前方に移動すると、リブ31bの第2部分312が支持部27の背面に当接することで、トレイ30の前方への移動が規制される。つまり、第1前方規制部34aは、リブ31bの第2部分312を介してトレイ30の前方への移動を規制する。また、トレイ30が後方に移動すると、リブ31bの第3部分313が支持部27の前面に当接することで、トレイ30の後方への移動が規制される。つまり、第1後方規制部35aは、リブ31bの第3部分313を介してトレイ30の後方への移動を規制する。
【0060】
以下、第2取付部32についてさらに詳しく説明する。
図8(a)及び
図8(b)は、実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイの第2取付部周辺を模式的に表す背面図及び斜視図である。
図9は、実施形態に係る水まわり用キャビネットのトレイの第2取付部周辺を模式的に表す斜視図である。
図8(b)は、
図8(a)に示した領域R4の拡大図である。
図9は、トレイ30の第2取付部32を下方側(底面部33a側)から見た斜視図である。
図8(a)及び
図8(b)に表したように、第2取付部32は、突起32dをさらに有する。この例では、突起32dは、下延部32bの左右方向の両端部に設けられている。突起32dは、下延部32bの下端から下方に突出している。
【0061】
第2取付部32を背板23に取り付けた状態において、下延部32b及び第2後延部32cは、突起32dを介して背板23に支持される。より具体的には、突起32dの下端が背板23の上面23cに当接することで、下延部32b及び第2後延部32cは突起32dを介して背板23に支持される。このように、突起32dは、下方に突出し引出し20に対して上方から当接する突出部36として機能する。
【0062】
図9に表したように、第2取付部32は、リブ32eと、屈曲部32fと、をさらに有する。この例では、リブ32eは、第2前方規制部34bの左右方向の両端部に設けられている。リブ32eは、第2前方規制部34bから前方に突出し、第2前方規制部34bの上端から下方に延びている。また、この例では、屈曲部32fは、第2後方規制部35bの左右方向の両端部に設けられている。屈曲部32fは、第2後方規制部35bの左右方向の両端部から後方に向かって屈曲している。つまり、屈曲部32fは、第2後方規制部35bから後方に突出している。
【0063】
トレイ30が前方に移動すると、リブ32eが背板23の背面23bに当接することで、トレイ30の前方への移動が規制される。つまり、第2前方規制部34bは、リブ32eを介してトレイ30の前方への移動を規制する。また、トレイ30が後方に移動すると、屈曲部32fが背板23の前面23aに当接することで、トレイ30の後方への移動が規制される。つまり、第2後方規制部35bは、屈曲部32fを介してトレイ30の後方への移動を規制する。
【0064】
以下、実施形態の変形例に係る水まわり用キャビネットについて説明する。
図10(a)及び
図10(b)は、実施形態の変形例に係る水まわり用キャビネットのトレイ周辺を模式的に表す断面図である。
図10(b)は、
図10(a)に示した領域R5の拡大図である。
図10(a)及び
図10(b)に表したように、この例では、収納ユニット25が設けられておらず、トレイ30の第1取付部31は、前板21に取り付けられている。
【0065】
前板21の背面21bには、第1取付部31を支持するための支持部27が設けられている。支持部27は、前板21の背面21bから後方に突出するように設けられている。第1取付部31の前延部31aが支持部27に支持されることで、第1取付部31は、前板21の背面21bに取り付けられている。このように、収納ユニット25が設けられていない場合には、トレイ30は、前板21に取り付けられてもよい。
【0066】
なお、この例でも、トレイ30の第2取付部32は、
図4などに示した例と同様に、背板23に取り付けられている。また、第1取付部31及び第2取付部32の構造は、
図4などに示した例と同じである。
【0067】
以下、実施形態に係る水まわり用キャビネットの作用効果について説明する。
従来、キッチンや洗面化粧台などの水まわり設備に設けられる水まわり用キャビネットでは、トレイをキャビネットの引出しに対して左右方向に取り付けている。そのため、引出しの間口幅が異なると、同じトレイを取り付けることができないという問題がある。この問題を解決する手段として、トレイを引出しに対して前後方向に取り付けることが考えられる。しかし、単にトレイを引出しに対して前後方向に取り付けようとすると、トレイの下端などが引出しに収納された収納物に干渉するおそれがある。
【0068】
これに対し、実施形態によれば、引出し20の前板21の前面よりも後方に設けられた支持部27に取り付けられる第1取付部31と、引出し20の背板23に取り付けられる第2取付部32と、を有するトレイ30を設けることで、トレイ30を引出し20に対して前後方向に取り付けることができる。これにより、引出し20の左右方向の幅によらず引出しにトレイ30を取り付けることができる。したがって、例えば、水まわり用キャビネット100がキッチンキャビネットの場合には、ラップや菜箸など比較的長さを有する小物を収納可能なトレイ30を間口幅の異なる引出し20に取り付けることができる。
【0069】
また、実施形態によれば、トレイ30が引出し20に取り付けられた状態において、トレイ30の本体部33の下端(底面部33aの下面)が引出し20の背板23の上端(上面23c)よりも上方に位置するようにすることで、引出し20に収納された収納物にトレイ30が干渉することを抑制できる。これにより、例えば、水まわり用キャビネットがキッチンキャビネットの場合には、引出し20に収納した水切り用ザルや調理用ボウル類などにトレイ30が干渉することを抑制できる。したがって、引出し20の収納空間を広く使うことができる。
【0070】
また、実施形態によれば、引出し20の前板21と背板23との間に収納ユニット25が設けられる場合に、支持部27を収納ユニット25に設けることで、ことで、収納ユニット25と背板23との間においてトレイ30を前後方向に取り付けることができる。
【0071】
また、実施形態によれば、トレイ30に前方規制部34及び後方規制部35を設けることで、引出し20を前後に移動させる際にトレイ30に前後方向の慣性力がかかったとしても、トレイ30が引出し20に対して前後に動くことを抑制できる。これにより、引出し20を開閉する際にトレイ30が意図せず引出し20から外れることを抑制できる。
【0072】
また、実施形態によれば、支持部27の左右方向の長さを第1取付部31の左右方向の長さよりも大きくし、背板23の左右方向の長さを第2取付部32の左右方向の長さよりも大きくすることで、トレイ30を引出し20に取り付けた状態で左右方向にスライドさせることができる。これにより、左右方向の長さが前後方向の長さよりも大きい引出し20において、トレイ30の下方の収納空間に対して収納物を出し入れする際にも、トレイ30をスライドさせて収納物を容易に出し入れすることができる。
【0073】
また、実施形態によれば、本体部33の前方側及び後方側の両方に前方規制部34及び後方規制部35を設けることで、トレイ30を左右方向にスライドさせる際に、トレイ30の前後方向の中心からずれた位置に力がかかったとしても、上下方向を軸にトレイ30が回転することを抑制できる。これにより、より容易にトレイ30を左右方向にスライドさせることができる。
【0074】
また、実施形態によれば、第1取付部31及び第2取付部32の少なくともいずれかに下方に突出する突出部36(例えば、リブ31bの第1部分311や突起32d)を設けることで、第1取付部31や第2取付部32を、突出部36を介して引出し20に当接させることができる。これにより、第1取付部31や第2取付部32と引出し20との接触面積を小さくすることができる。したがって、トレイ30を左右方向にスライドさせる際の摩擦力を低減させることができ、より容易にトレイ30を左右方向にスライドさせることができる。
【0075】
同様に、第1取付部31及び第2取付部32の少なくともいずれかに前方に突出する突出部(例えば、リブ31bの第2部分312やリブ32e)や後方に突出する突出部(例えば、リブ31bの第3部分313や屈曲部32f)を設けることで、トレイ30が前後方向に移動して引出しに当接した際にも、第1取付部31や第2取付部32を、これらの突出部を介して引出し20に当接させることができる。これにより、第1取付部31や第2取付部32と引出し20との接触面積を小さくすることができる。したがって、トレイ30を左右方向にスライドさせる際の摩擦力を低減させることができ、より容易にトレイ30を左右方向にスライドさせることができる。
【0076】
以上説明したように、実施形態によれば、引出しの左右方向の幅によらず引出しにトレイを取り付け可能であるとともに、引出しに収納された収納物にトレイが干渉することを抑制できる水まわり用キャビネットが提供される。
【0077】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、水まわり用キャビネットなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0078】
10 キャビネット本体、 20、20A 引出し、 21 前板、 21a 前面、 21b 背面、 22 底板、 23 背板、 23a 前面、 23b 背面、 23c 上面、 24 一対の側板、 25 収納ユニット、 25a 背面部、 27 支持部、 29 一対の支持バー、 30 トレイ、 31 第1取付部、 31a 前延部、 31b リブ、 32 第2取付部、 32a 第1後延部、 32b 下延部、 32c 第2後延部、 32d 突起、 32e リブ、 32f 屈曲部、 33 本体部、 33a 底面部、 33b 側面部、 34 前方規制部、 34a 第1前方規制部、 34b 第2前方規制部、 35 後方規制部、 35a 第1後方規制部、 35b 第2後方規制部、 36 突出部、 100 水まわり用キャビネット、 200 カウンター、 210 シンク、 215 吐水装置、 220 コンロ、 311 第1部分、 312 第2部分、 313 第3部分、 500 システムキッチン、 R1~R5 領域