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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】結束機
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/34 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
B65B13/34
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020055110
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021035861
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】P 2019153291
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田口 聡
(72)【発明者】
【氏名】内山 裕貴
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-222403(JP,A)
【文献】特開昭55-031510(JP,A)
【文献】特開2013-094878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/00
A01G 17/00
B25C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部を把持されたテープに被結束物を入れ込むことにより、この被結束物を巻き回したテープの重ね合わされた部分を、ステープルのクラウン部と脚部とで把持して前記被結束物を結束する結束機であって、
基端部及び該基端部とは反対側の先端部を含み、前記ステープルを、前記クラウン部を下側にして少なくとも前記先端部に収容可能なステープル収容部と、
前記先端部の前記ステープルの側面が押し付けられ、前記ステープル収容部の前壁面を構成する前壁部と、
テープの端部を把持するためのテープ把持機構と、
前記ステープル収容部の前記先端部の下方に位置し、前記ステープル収容部内を下方から上方へ向けて前記ステープル収容部に対して相対移動可能に構成されたステープルドライバであって、下方から上方へ移動することで、前記先端部に位置する前記ステープルの前記クラウン部を押しながら前記ステープルを上方に押し出すステープルドライバと、
前記ステープル収容部の前記先端部の上方かつ前記ステープルドライバと対向する位置に設けられ、前記ステープルドライバが下方から上方へ移動する過程で押し出された前記ステープルの一対の前記脚部に当接し、一対の前記脚部を折り曲げるクリンチャと、
前記クリンチャの前方に位置し、前記結束後の前記テープを切断する切断部と、
前記ステープル収容部内において前記ステープルに隣接するとともに、前記前壁部に対して位置が固定され、前記ステープルが押し出される過程で前記ステープルの前記クラウン部の側面を前記基端部側から支持するステープルガイド部と、を備えた、
結束機。
【請求項2】
前記ステープルガイド部は、前記ステープル収容部の内部に延出した延出部を有している、
請求項1に記載の結束機。
【請求項3】
前記延出部は、前記先端部側の面に前記クラウン部を支持しない非支持部を有する
請求項2に記載の結束機。
【請求項4】
前記非支持部は、前記先端部側の面に形成された凹部である
請求項3に記載の結束機。
【請求項5】
前記延出部は、前記クラウン部を支持する支持部を有し、
前記非支持部は、前記支持部に隣接する位置に設けられる
請求項3又は4に記載の結束機。
【請求項6】
前記延出部は、複数の前記支持部を有し、
前記非支持部は、前記複数の前記支持部の間に位置する
請求項5に記載の結束機。
【請求項7】
前記支持部は、前記ステープルドライバにより押された前記クラウン部が前記クリンチャに向かう移動軌跡に沿って設けられ、
前記非支持部は、前記移動軌跡と所定の間隔をあけて設けられる
請求項5又は6に記載の結束機。
【請求項8】
前記支持部は、前記ステープル収容部の幅方向において前記延出部の両端部にそれぞれ設けられ、
前記非支持部は、前記支持部の間に設けられる
請求項6又は7に記載の結束機。
【請求項9】
前記ステープル収容部は、
収容された前記ステープルの前記クラウン部に沿う底壁部と、
前記底壁部から延出して、前記ステープルの一対の前記脚部のそれぞれに沿う一対の側壁部と、を有し、
前記ステープルガイド部は、
一対の前記側壁部の間に掛け渡されて設けられ、前記延出部が前記ステープルの一対の前記脚部の間に位置している、
請求項2から8のいずれか一項に記載の結束機。
【請求項10】
前記ステープルドライバは、
前記ステープルの前記クラウン部に当接して前記ステープルを押し出す打出し部を備え、
前記ステープルガイド部は、
前記打出し部から延出して、前記打出し部によって打ち出され、他の前記ステープルから分離された先頭の前記ステープルの後方を向いた面に対向する壁面を有する、
請求項1に記載の結束機。
【請求項11】
前記ステープル収容部は、前記先端部からテープを引き出し可能なメインハンドルに回動自在に取り付けられ、
前記ステープルドライバは、前記ステープル収容部と前記メインハンドルとの間に配設され、
前記クリンチャは、前記メインハンドルに対して接近及び離間するように回動可能に取り付けられたクリンチャアームに取り付けられている、
請求項1から10のいずれか一項に記載の結束機。
【請求項12】
前記クリンチャアームは、
前記メインハンドルに接近する第1の回動を行なうと、前記メインハンドルの前記先端部に位置するテープを把持する前記テープ把持機構を備え、
前記第1の回動を行なって前記テープを把持した状態で前記第1の回動とは反対向きに離間するように回動したのち、前記メインハンドルに再び接近する第2の回動を行なうと、
前記ステープルドライバが前記ステープル収容部から前記ステープルを押し出して、前記押し出された前記ステープルの一対の前記脚部を前記クリンチャが折り曲げる、
請求項11に記載の結束機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束機に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物を栽培する際の結束作業に園芸用の結束機が用いられている。例えば、胡瓜、葡萄、トマト、梨、プラム等の農作物栽培において、植物の蔓や茎を支柱やネットなどに結束するために、園芸用の結束機が用いられている。結束機は、ステープルマガジンユニットからステープルを打ち出して結束用テープの端部を固定する。
【0003】
特許文献1には、ステープルマガジン本体62と同じ部品で射出口62Aを構成したので、射出口62Aの寸法変化を抑制し、ひいては、ステープル詰まりやステープルの二本打ち等の不具合を抑制できる発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-222403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、他の理由によって、ステープル詰まり等の不具合が発生する場合があることが明らかになった。例えば「際留め」と呼ばれる、結束用テープのループをきつめにして、枝と番線等をしっかりと固定するための結束方法を実行する際、ステープル詰まりの不具合が発生する場合があることが明らかになった。
【0006】
際留め等により、強いテンションがかかった状態で結束用テープを切断すると、結束用テープが切刃のある前方に移動する。結束用テープの前方への移動に伴って、本来ステープルドライバの真上に進行すべきステープルが前方に引っ張られて倒れてしまう結果、クリンチャとステープルドライバとの間でステープルが引っかかるステープル詰まりの不具合が発生する場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、ステープルの打ち込み時にステープルが倒れることを防止できる結束機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る結束機(10)は、基端部(232)及び該基端部(232)とは反対側の先端部(231)を含むステープル収容部(23)と、ステープル収容部(23)の先端部(231)の下方に位置し、ステープル収容部(23)内を下方から上方へ向けてステープル収容部(23)に対して相対移動可能に構成されたステープルドライバ(32)と、ステープル収容部(23)の先端部(231)の上方かつステープルドライバ(32)と対向する位置に設けられたクリンチャ(54)と、ステープル収容部(23)内においてステープル(ST)に隣接したステープルガイド部(27)と、を備えている。ステープル収容部(23)は、クラウン部(100)と一対の脚部(101,102)とからなるコ字形のステープル(ST)を、クラウン部(100)を下側にして少なくとも先端部(231)に収容可能に構成されている。ステープルドライバ(32)は、下方から上方へ移動することで、先端部(231)に位置するステープル(ST)のクラウン部(100)を押しながらステープル(ST)を上方に押し出す。クリンチャ(54)は、ステープルドライバ(32)が下方から上方へ移動する過程で押し出されたステープル(ST)の一対の脚部(101,102)に当接し、一対の脚部(101,102)を折り曲げる。ステープルガイド部(27)は、ステープル(ST)が押し出される過程でステープル(ST)のクラウン部(100)を基端部(232)側から支持する。
【0009】
上記態様において、ステープルガイド部(27)は、ステープル収容部(23)の内部に延出した部分(270)を有していてもよい。
【0010】
上記態様において、延出部(270)は、先端部(201)側の面にクラウン部(100)を支持しない非支持部(276)を有していてもよい。
【0011】
上記態様において、非支持部(276)は、先端部(201)側の面に形成された凹部であってもよい。
【0012】
上記態様において、延出部(270)は、クラウン部(100)を支持する支持部(295)を有していてもよい。非支持部(296)は、支持部(295)に隣接する位置に設けられていてもよい。
【0013】
延出部(270)は、複数の支持部(275)を有していてもよい。非支持部(276)は、複数の支持部(276)の間に位置していてもよい。
【0014】
上記態様において、支持部(275)は、ステープルドライバ(32)により押されたクラウン部(100)がクリンチャ(54)に向かう移動軌跡(100T)に沿って設けられ、非支持部(276)は、移動軌跡(100T)と所定の間隔をあけて設けられていてもよい。
【0015】
上記態様において、支持部(275)は、ステープル収容部(23)の幅方向(Y)において延出部(270)の両端部にそれぞれ設けられていてもよい。非支持部(276)は、支持部(275,275)の間に設けられていてもよい。
【0016】
上記態様において、ステープル収容部(23)は、収容されたステープル(ST)のクラウン部(100)に沿う底壁部(233)と、底壁部(233)から延出して、ステープル(ST)の一対の脚部(101,102)のそれぞれに沿う一対の側壁部(234,235)と、を有していてもよい。ステープルガイド部(27)は、一対の側壁部(234,235)の間に掛け渡されて設けられ、延出した部分(270)がステープル(ST)の一対の脚部(101,102)の間に位置していてもよい。
【0017】
上記態様において、ステープルドライバ(32)は、ステープル(ST)のクラウン部(100)に当接してステープル(ST)を押し出す打出し部(33)を備え、ステープルガイド部(331)は、打出し部(33)から延出して設けてもよい。ステープルガイド部(331)は、打出し部(33)によって打ち出され、他のステープル(ST)から分離された先頭のステープル(ST)の後方を向いた面に対向する壁面(331F)を有していてもよい。
【0018】
上記態様において、ステープル収容部(23)は、先端部(231)からテープ(TP)を引き出し可能なメインハンドル(20)に回動自在に取り付けられていてもよい。ステープルドライバ(32)は、ステープル収容部(23)とメインハンドル(20)との間に配設されていてもよい。クリンチャ(54)は、メインハンドル(20)に対して接近及び離間するように回動可能に取り付けられたクリンチャアーム(50)に取り付けられていてもよい。
【0019】
上記態様において、クリンチャアーム(50)は、メインハンドル(20)に接近する第1の回動を行なうと、メインハンドル(20)の先端部(201)に位置するテープ(TP)を把持するテープ把持機構(56)を備えていてもよい。第1の回動を行なってテープ(TP)を把持した状態で第1の回動とは反対向きに離間するように回動したのち、メインハンドル(20)に再び接近する第2の回動を行なうと、ステープルドライバ(32)がステープル収容部(33)からステープル(ST)を押し出して、押し出されたステープル(ST)の一対の脚部(101,102)をクリンチャ(54)が折り曲げてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ステープルの打ち込み時にステープルが倒れることを抑制できる結束機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態の結束機10の一例を示す右側面図である。
図2図2は、待機状態における結束機10の断面図である。
図3図3は、テープTPを掴む状態における結束機10の断面図である。
図4図4は、テープTPを引き出した状態における結束機10の断面図である。
図5図5は、被結束物を挿入した状態における結束機10の断面図である。
図6図6は、ステープルSTの打ち出しを開始した状態における結束機10の断面図である。
図7図7は、ステープルSTの打ち出し中の状態における結束機10の断面図である。
図8図8は、ステープルSTの打ち出しを完了した状態における結束機10の断面図である。
図9図9は、本発明の第1実施形態に係るステープルガイド部27を示す斜視図である。
図10図10は、図9に示されたステープル収容部23を示す斜視図である。
図11図11は、図9に示されたステープルガイド部27を示す斜視図である。
図12図12は、ステープルガイド部27をステープル収容部23の基端部232側から見た背面図である。
図13図13は、図7に示されたステープルSTの打ち出し中の状態におけるステープルSTとステープルガイド部27との位置関係を模式的に示す断面図である。
図14図14は、貫通孔78を通じてステープル除去工具79をクリンチャガイド25に押し当てた状態を示す断面図である。
図15図15は、図14に示されたステープル除去工具79の一例をメインハンドル20の先端部201側から見た斜視図である。
図16図16は、メインハンドル20に収容された状態のステープル除去工具79を示す斜視図である。
図17図17は、ステープル除去工具79の第1の変形例を示す斜視図である。
図18図18は、テープマガジンユニット26に収容された状態のステープル除去工具79を示す右側面図である。
図19図19は、操作ハンドル70に収容された状態のステープル除去工具79を示す斜視図である。
図20図20は、ステープル除去工具79の第2の変形例を示す断面図である。
図21図21は、図14に示されたステープル除去工具79が誤った向きに挿入された状態を示す断面図である。
図22図22は、図14に示されたテープホルダ28Aの変形例を示す斜視図である。
図23図23は、本発明の第2実施形態に係るステープルガイド部270を示す斜視図である。
図24図24は、図23に示されたステープルガイド部270をメインハンドル20の先端部201側から見た正面図である。
図25図25は、本発明の第3実施形態に係るステープルガイド部331を示す斜視図である。
図26図26は、図25中のXXVI-XXVI線に沿う断面図である。
図27図27は、本発明と対比のために示す従来の結束機におけるステープル収容部を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施形態のみに限定する趣旨ではない。図1は、本実施形態に係る園芸用の結束機10の右側面図である。図2は、図1に示された結束機10の断面図である。
【0023】
なお、本実施形態において、便宜的に、結束用のテープTPが収容されるテープマガジンユニット26から、テープホルダ28Aが延在し、テープTPが引き出される結束機10の先端に設けられるテープガイド28Bに向かう側(図1における紙面右方)を、「前方」と呼び、反対側(図1における紙面左方)を、「後方」と呼ぶ場合がある。
【0024】
また、待機状態におけるテープガイド28Bからテープ把持ユニット56に向かう側(図1における紙面上方)を、「上方」と呼び、反対側(図1における紙面下方)を「下方」と呼ぶ場合がある。以下、結束機10の主要構成について概説する。その後、結束機10の特徴的構造について詳述する。
【0025】
本実施形態に係る園芸用の結束機10は、例えば、農作物(「被結束物S」の一例)の誘引結束作業に使用されることができる。結束機10は、メインハンドル20と、メインハンドル20に対して回動可能に取り付けられたステープルマガジンユニット22と、メインハンドル20に対して回動可能に取り付けられたクリンチャアーム50と、クリンチャアーム50に対して回動可能に取り付けられた操作ハンドル70と、を備えている。
【0026】
メインハンドル20は、細長い直線状に形成された部材である。メインハンドル20は、テープ搬送ユニット28と、テープ切断部30と、ステープルドライバ32と、備えている。また、メインハンドル20の後端部には、テープマガジンユニット26が取り付けられる。メインハンドル20とテープマガジンユニット26は、一体的に形成してもよい。
【0027】
テープマガジンユニット26は、リール上に巻き回されたテープTP(以下、巻き回されたテープTPを、テープリールTR(「巻回された結束用テープ」の一例)と呼ぶ場合がある。)を収容するための機構である。テープマガジンユニット26は、図1等に示すように、メインハンドル20の後端部に設けられている。
【0028】
テープ搬送ユニット28は、テープホルダ28Aと、テープガイド28Bを備えている。テープホルダ28Aは、テープマガジンユニット26からテープガイド28BまでテープTPを搬送するための経路であり、メインハンドル20の長手方向Xに沿って敷設されている。テープホルダ28Aは、テープTPの一方の表面に向かい合う底部と、テープTPの他方の表面(以下、テープTPの他方の表面を「裏面」という場合がある。)に向かい合う蓋部と、を備えている。底部と蓋部は、例えば、長手方向Xに沿う一辺側を支点として開閉可能に構成されている。
【0029】
テープガイド28B(図2から図8参照)は、テープTPの先端をテープガイド28Bから上方側にガイドして引き出すための部材である。テープガイド28Bは、テープホルダ28Aの前端部に回動可能に設けられる。テープガイド28Bは、挿通したテープTPが容易に外れないように、テープTPの表面、裏面、両側部それぞれの少なくとも一部に向かい合う壁面を有している。
【0030】
テープ切断部30は、テープTPを切断するための切断刃30Aと、切断刃30Aをロック及びロック解除するためのロック機構30Bを備えている。切断刃30Aを交換する際は、ロック機構30Bでロック解除を行なって切断刃30Aを取り外す。切断刃30Aは、テープガイド28Bと一体で回動可能に設けられており、待機状態および把持動作時に後方を向くように不図示の弾性部材により付勢される。結束動作を実行する際は、テープガイド28Bがテープキャッチ60の先端部60Bに押圧され、テープガイド28Bと切断刃30Aは不図示の弾性部材の付勢力に抗して回動し、切断刃30Aの刃先上方がテープTPに臨むように移動する。
【0031】
なお、テープTPを切断するための機構として、種々の機構を採用することが可能である。例えば、テープTPをテープガイド28Bと連動して回動することによって、テープTPを切断するようにしてもよいし、テープガイド28B及び切断刃30Aを直進方向に移動可能に構成し、切断刃30Aを直線方向に移動することによって、テープTPを切断するようにしてもよいし、テープガイド28BなどテープTPを拘束する部材を移動させることによって、静止する切断刃30AにテープTPが切断されるようにしてもよい。
【0032】
ステープルドライバ32は、ステープルマガジンユニット22のステープル収容部23前端付近に臨むようにメインハンドル20に取り付けられた板状のプレートである。ステープルドライバ32は、ステープルSTを一つだけ打ち出せるように、例えば、ステープルSTの幅と略同じ厚み又はステープルSTの幅よりも小さい厚みを有するように形成されている。
【0033】
後述するクリンチャアーム50がメインハンドル20に対して閉じる向きに回動すると、クリンチャアーム50に押下されることによってステープルマガジンユニット22は、メインハンドル20に近づく向きに回動する。このため、メインハンドル20に取り付けられたステープルドライバ32の上端は、相対的に、ステープル収容部23内の空間に進入して、ステープル収容部23内の先頭のステープルSTを上方に打ち出す。ステープルドライバ32の構成については、後に詳述する。
【0034】
打ち出されたステープルSTは、テープTPを貫通した後に、クリンチャ54にクリンチされる。ステープルSTの折り曲げられた脚部は、ステープルSTのクラウン部100との間で、重ね合わされた二枚のテープTPを把持することが可能になる。
【0035】
ステープルマガジンユニット22は、細長い直線状に形成された部材である。ステープルマガジンユニット22の後端部は、メインハンドル20の後端部に、回転軸を中心に回動可能に取り付けられる。ただし回転角度が小さいことから、ステープルマガジンユニット22は、メインハンドル20に揺動可能に取り付けられる、と表現する場合もある。
【0036】
ステープルマガジンユニット22は、ステープルSTを収容するためのステープル収容部23と、プッシャユニット24と、を備えている。ステープル収容部23は、メインハンドル20の長手方向Xに沿って配置されており、内部にステープルSTを収容するために、メインハンドル20の長手方向Xに沿って細長く形成された底面と、底面から立設し互いに対向する二つの側壁面と、先端のステープルSTの側面が押し付けられる前壁面を備えている。ステープルマガジンユニット22の構成については、後に詳述する。
【0037】
ステープル収容部23内には、複数のステープルSTを収容することが可能である。隣接するステープルSTは、例えば、互いに接着剤で接続され、全体として一列のステープル群を構成することができる。
【0038】
プッシャユニット24は、ステープル収容部23に収容されたステープルSTを前方に押し付けるためにステープル収容部23に対して、例えば、挿抜可能に取り付けられる部材である。プッシャユニット24は、複数のステープルSTのうち、後端のステープルSTを前方に押圧するための圧縮ばねと、ステープル収容部23の上方を覆うカバーを備えている。なお、プッシャユニット24をステープル収容部23から抜き出して、ステープル収容部23の上方を開放させることにより、上方からステープルSTをステープル収容部23内にセットすることが可能になる。
【0039】
クリンチャアーム50は、後端部付近に設けられた回転軸部11によってメインハンドル20に対して回動可能に、かつ、引張ばね12によってメインハンドル20との角度が大きくなる向き(クリンチャアーム50が開く向きθ1)へ付勢されて取り付けられている。クリンチャアーム50は、アーム部52と、クリンチャ54と、テープ把持ユニット56(「把持部」の一例)と、を備えている。アーム部52は、メインハンドル20との間にC字形の開口部を形成できるように、先端部に至るまで曲線的に延在する形状をしている。
【0040】
クリンチャ54は、ステープルSTの脚部を折り曲げてクリンチするための部材である。クリンチャ54は、クリンチャアーム50が閉じる向きθ2へ回動したときに、ステープルドライバ32の先端に対向するように、クリンチャアーム50の先端部に設けられている。
【0041】
このような構成により、ステープルドライバ32によって打ち出されたステープルSTの脚部は、クリンチャ54によってクリンチされて内側に折り曲げられる。クリンチャアーム50に設けられ、結束処理を実行するためのクリンチャ54を含む構成を「結束部」と呼ぶ場合がある。クリンチャ54の構成については、後に詳述する。
【0042】
テープ把持ユニット56は、メインハンドル20の先端のテープガイド28Bから引き出されたテープTPの端部を把持するための機構である。テープ把持ユニット56は、クリンチャアーム50のアーム部52の先端に設けられる。テープ把持ユニット56は、ロックプレート58と、テープキャッチ60と、テーププレート62と、を有している。
【0043】
ロックプレート58は、一端側に設けられた軸部58Aを支点として回動可能に構成されるとともに、他端側がコイルばね59によりテープキャッチ60側に付勢されている。ロックプレート58は、コイルばね59の付勢により、テープキャッチ60に係合することでテープキャッチ60をロックし、テープキャッチ60をテーププレート62から離間した位置で固定することが可能である。
【0044】
テープキャッチ60は、軸部60Aを支点として回動可能に設けられるとともに、ねじりコイルばね61によりテーププレート62側に付勢されている。テープキャッチ60は、テープの引き出し時にロックプレート58によるロックが解除されると、ねじりコイルばね61の付勢により、先細り形状をなす先端部60Bがテーププレート62側に移動するように構成されている。
【0045】
テーププレート62は、テープキャッチ60に対向するように配設され、その先端部がロックプレート58からテープ切断部30に向かって延出している。テーププレート62は、延出した部位とテープキャッチ60の先端部60BとでテープTPを挟持する。テープTPが把持されている状態で、使用者が操作ハンドル70を握る力を弱めると、引張ばね12によってクリンチャアーム50が開く向きに回動するため、テープガイド28Bを介してテープTPを上方に引き出すことが可能になる。
【0046】
操作ハンドル70は、使用者が把持する部位であり、その略中間の軸部70Aがクリンチャアーム50に回動可能に取り付けられ、その前端部がメインハンドル20に取り付けられている。このような構成により、使用者が把持する部位を力点、クリンチャアーム50との回転軸を支点とし、メインハンドル20に取り付けられる前端部を作用点とする梃子の原理により、操作ハンドル70の開閉動作に伴ってクリンチャアーム50がメインハンドル20に対して相対的に開閉動作可能に構成されている。
【0047】
[結束機10の動作]
【0048】
続いて、図4から図8を参照して結束機10の動作を説明する。クリンチャアーム50は、引張ばね12によって常時付勢されており、図1及び図2に示された待機状態においてはメインハンドル20に対して開いた状態となっている。この状態から使用者が操作ハンドル70とメインハンドル20を握り込むことで、図3に示すように、クリンチャアーム50がメインハンドル20に対して閉じる向きに回動するようになっている。
【0049】
そして、クリンチャアーム50がメインハンドル20に対して所定の位置まで接近する第1の回動を行ったときに、テープTP(図4参照)を引き出すために、クリンチャアーム50のテープ把持ユニット56がテープTPを把持する把持動作が実行される。テープ把持ユニット56は、テープを把持するテープ把持機構の一例である。
【0050】
その後、メインハンドル20の握り込みを弱めてクリンチャアーム50をメインハンドル20に対して開く向きに回動させると、図4に示すように、テープTPを把持した状態でクリンチャアーム50のテープ把持ユニット56とメインハンドル20のテープガイド28Bが互いに離れていき、クリンチャアーム50とメインハンドル20との間にテープTPが張られた状態となる。
【0051】
図5に示すように、この状態で張られたテープTPの外側から苗木や枝などの被結束物Sを入れ込み、クリンチャアーム50を再び閉じる第2の回動を行うと、図6に示すように、被結束物Sを結束するテープTPのテープループが形成される。クリンチャアーム50に押圧されることによって、ステープルマガジンユニット22が閉じる向きに回動する。このとき、ステープルドライバ32がステープル収容部23からステープルSTを押し出して、押し出されたステープルSTの一対の脚部101,102(図9参照)をクリンチャ54が折り曲げることにより、テープTPにステープルSTが打ち込まれる。
【0052】
これにより、図7及び図8に示すように、被結束物Sを結束するテープループの両端部がステープルSTで結着される。また、切断刃30AによりテープTPが切断され、結束動作が実行される。このように、1回目の握り込み動作(第1の回動)では把持動作が実行され、2回目の握り込み動作(第2の回動)では結束動作が実行される。そして、この把持動作と結束動作とを交互に実行することで、被結束物Sを結束可能となっている。
【0053】
以下、結束機10の特徴的構造について詳述する。
【0054】
[ステープルマガジンユニット]
【0055】
図9は、本発明の第1実施形態に係るステープルガイド部27を示す斜視図である。ステープルガイド部27は、ステープルSTの打ち出し中の状態(図7参照)において、ステープルSTのクラウン部100に対して後方から対向する。
【0056】
図示した例では、ステープルSTを収容するステープル収容部23にステープルガイド部27が装着されている。なお、ステープルガイド部27をステープル収容部23と一体構造物として構成してもよいし、ステープルガイド部27をクリンチャガイド25と一体構造物として構成してもよい。ステープルガイド部27は、ステープル収容部23の内部に延出した延出部270を有している。
【0057】
図9に示すように、複数のステープルSTは、クラウン部100を下側にしてステープル収容部23に収容される。各々のステープルSTは、クラウン部100と一対の脚部101,102とからなるコ字形(U-shape)に形成されている。
【0058】
図10は、図9に示されたステープル収容部23を示す斜視図である。図10に示すように、ステープル収容部23は、コの字形の断面を有した長尺の板金部材であり、結束機10の回転軸部11に支持された基端部232と、該基端部232とは反対側の先端部231と、を含んでいる。ステープル収容部23は、少なくとも先端部231においてステープルSTを収容可能に構成されている。
【0059】
ステープル収容部23は、ステープル収容部23に収容されたステープルSTのクラウン部100に沿う底壁部233と、底壁部233から延出して、ステープルSTの一対の脚部101,102のそれぞれに沿う一対の側壁部234,235と、を有している。
【0060】
図11は、図9に示されたステープルガイド部27を示す斜視図である。図11に示すように、ステープルガイド部27は、前述した延出部270に加えて、クリンチャガイド25が取り付けられる第1取付け部271と、ステープル収容部23の底壁部233に取り付けられる第2取付け部272と、第2取付け部272から延出してステープル収容部23の一対の側壁部234,235に側方から対向する位置決め部273と、第1及び第2取付け部271,272の間に設けられ、ステープル収容部23の先端部231が挿通される貫通孔274と、を有している。
【0061】
図示した例では、クリンチャガイド25が、先端のステープルSTの側面が押し付けられるステープル収容部23の前壁面を構成している。クリンチャガイド25は、前述した前壁面を構成する前壁部250と、ステープルガイド部27の第1取付け部271に取り付けられる取付け部251と、メインハンドル20の先端部201側へ前壁部250から延出した舌片部252と、を有している。
【0062】
図12は、ステープルガイド部27をステープル収容部23の基端部232側から見た背面図である。図12に示すように、ステープルガイド部27は、一対の側壁部234,235の間に第1取付け部271が掛け渡されて設けられ、ステープル収容部23に収容されたステープルSTの一対の脚部101,102の間に延出部270が位置している。
【0063】
図13は、図7に示されたステープルSTの打ち出し中の状態におけるステープルSTとステープルガイド部27との位置関係を模式的に示す断面図である。図20は、図13との比較のために示す従来の結束機におけるステープル収容部を模式的に示す断面図である。
【0064】
ステープルガイド部27がないと、図20に示すように、強いテンションがかかった状態でテープTPを切断しようとすると、ステープルSTの脚部101,102の先端がテープTPに引っ張られて前方へ移動し、脚部101,102の先端とは反対側のクラウン部100が後方へ移動し、ステープルSTが回動する。
【0065】
ステープルSTが前壁部250に対して斜めに倒れた状態で結束機10を握り込むと、クリンチャ54とステープルドライバ32との間でステープルSTが不所望の形状に変形し、ステープルが引っ掛かってしまう。
【0066】
本発明の各実施形態の結束機10は、ステープルSTの転倒を防止するステープルガイド部27を備えている。ステープルガイド部27は、図13に示すように、ステープルSTのクラウン部100に後方から対向している。仮に、テープTPに脚部101,102の先端が引っ張られても、ステープルガイド部27が当接してクラウン部100の後方への移動を規制するため、ステープルSTが回動しない。ステープルSTの転倒を防止する
ことができる。
【0067】
しかるに、図13に示された第1実施形態の結束機10では、ステープルガイド部27の延出部270が、クリンチャガイド25の前壁部250に対して位置が固定されている。万が一、延出部270と前壁部250との隙間でステープルSTが詰まったとき、隙間を広げることが容易ではない。
【0068】
図14から図22は、延出部270と前壁部250との隙間を広げることなく詰まったステープルSTの除去できる除去手段の例である。図14は、貫通孔78を通じてステープル除去工具79をクリンチャガイド25に押し当てた状態を示す断面図である。図示した例では、クリンチャガイド25の舌片部252の直下において、メインハンドル20の底壁200と、テープ搬送ユニット28のテープホルダ28Aの底部と、に貫通孔78が形成されている。
【0069】
図15は、図14に示されたステープル除去工具79の一例をメインハンドル20の先端部201側から見た斜視図である。ステープル除去工具79は、例えば、貫通孔78に挿入してクリンチャガイド25の舌片部252を押圧できる長さの突出部79Aと、結束機10の使用者が把持しやすい把持部79Bと、を有している。
【0070】
図16は、メインハンドル20に収容された状態のステープル除去工具79を示す斜視図である。ステープル除去工具79が平板状の場合、図16に示すように、メインハンドル20に設けられたポケット203に収容して携行することができる。
【0071】
図17は、図15に示されたステープル除去工具79の第1の変形例を示す斜視図である。図示した例では、ステープル除去工具79の把持部79Bが、突出部79Aに対して略直交するように折り曲げられている。突出部79Bの先端でクリンチャガイド25の舌片部252を押圧するとき、把持部79Bの端面ではなく折り曲げられた表面を手指で押圧できるため、結束機10の使用者がステープル除去工具19に力を加えやすい。
【0072】
図18は、テープマガジンユニット26に収容された状態のステープル除去工具79を示す右側面図である。図示した例では、テープマガジンユニット26の内部に区画されたポケット203に折り曲げられたステープル除去工具79が収容されている。具体的には、ポケット203は、テープマガジンユニット26に設けられてリール状に巻き回されたテープTPを収容する部位をなすテープリール収容部26Aと、テープリール収容部26Aから引き出されるテープTPを搬送するための経路をなすテープホルダ28Aとで囲まれた領域に、一例としてテープマガジンユニット26と一体で設けられている。ポケット203は、ポケット203の内部に突設された少なくとも1つのリブ部203A、203Bを備える。ステープル除去工具79は、このリブ部203A、203Bにより挟持されることで、ポケット203の内部に保持される。この例においては、ポケット203がテープリール収容部26Aとテープホルダ28Aとで囲まれた領域に設けられているので、結束機10の外形を大型化することなく、ステープル除去工具79を収容できる。
図19は、操作ハンドル70に収容された状態のステープル除去工具79を示す斜視図である。操作ハンドル70は、メインハンドル20に回動可能に連結された金属フレーム71と、金属フレーム71を覆う樹脂カバー72と、を備えている。樹脂カバー72の外側は、結束機10の使用者が把持しやすいように丸みを帯びた形状をしている。図示した例では、樹脂カバー72の内側にポケット203を設け、折り曲げられたステープル除去工具79を収容している。 図20は、ステープル除去工具79の変形例を示す断面図である。図示した例では、ステープル除去工具79がメインハンドル20に常時装着されている。ステープル除去工具79のレバー79Cを押し下げると、支点O3を中心にステープル除去工具79が回動し、レバー79Cと支点O3との間に設けられた凸部79Dがクリンチャガイド25の舌片部252を押し上げる。
【0073】
図21は、図14に示されたステープル除去工具79が誤った向きに挿入された状態を示す断面図である。ステープル除去工具79を挿入する向きがメインハンドル20に対して傾斜していると、ステープル除去工具79の突出部79Aの先端がクリンチャガイド25の舌片部252をうまく押圧できないことがある。突出部79Aの先端が舌片部252に確実に届くように、ステープル除去工具79の突出部79Aを案内するガイド部材を追加してもよい。
【0074】
図22は、図14に示されたテープホルダ28Aの変形例を示す斜視図である。樹脂材料等から形成されたテープホルダ28Aには、メインハンドル20の底壁200(図21に示す)に固定するためのフック281、ステープル除去工具79を挿通するための貫通孔78等が設けられている。図示した例では、貫通孔78に隣接するフック281に重なるようにガイド部材282が設けられている。
【0075】
ガイド部材282は、貫通孔78に対してメインハンドル20の先端側に位置し、メインハンドル20の底壁200の厚み方向に延在している。ステープル除去工具79がメインハンドル20に対して傾斜して挿入された場合、突出部79Aがガイド部材282に当接してメインハンドル20の底壁200の厚み方向に移動を規制されるため、突出部79Aの先端が舌片部252に確実に届くように、ステープル除去工具79を案内できる。
【0076】
以上のように構成された本発明の第1実施形態の結束機10によれば、前述したように、ステープルSTのクラウン部100が後方へ移動しないようにステープルガイド部27が支えるため、ステープルSTの打ち込み時にステープルSTが倒れることを防止できる。ステープルガイド部27とクリンチャガイド25との隙間にステープルSTが詰まってもクリンチャガイド25の舌片部252を押圧して簡単にステープルSTを除去することができる。
【0077】
[第2実施形態]
【0078】
第2実施形態では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。図23は、本発明の第2実施形態に係るステープルガイド部270を示す斜視図である。第2実施形態は、ステープルとの間に所定の間隔をあけた非支持部276が設けられている点が第1実施形態と異なる。
【0079】
図23に示すように、延出部270は、ステープルSTが転倒しないようにステープルSTと当接してステープルSTを支持可能な支持部275と、ステープルSTに接触せずステープルSTを支持しない非支持部276と、を含んでいる。支持部275は、ステープルドライバ32により押されたクラウン部100がクリンチャ54に向かう移動軌跡100Tに沿って設けられている。一方、非支持部276は、延出部270の先端部231側の面に形成された凹部として設けられ、移動軌跡100Tと間隔をあけて設けられている。
【0080】
図示した例では、支持部275と非支持部276との段差が、ステープルガイド部27の板厚よりも小さく形成されている。互いに接着剤で接続されたステープルSTの並び方向におけるクラウン部100の線径を測定したとき、支持部275と非支持部276との段差は、クラウン部100の線径の半分よりも大きく形成されている。そのような段差は、例えば、ハーフパンチ加工等のプレス加工により形成したり、溝入れ加工等の切削加工により形成したりすることができる。非支持部276は、凹部の一例である。
【0081】
図24は、図23に示されたステープルガイド部270をメインハンドル20の先端部201側から見た正面図である。図示した例では、支持部275が、メインハンドル20の幅方向Yにおいて延出部270の左右両端部にそれぞれ設けられている。非支持部276は、支持部275,275に挟まれた左右中央部に設けられている。即ち、非支持部276は、支持部275、275に隣接する位置、より具体的には支持部275と支持部275との間に設けられている。図示した例では、延出部270の左右両端部に加えて、延出部270の下端部に延在するコの字状に支持部275が形成されている。
【0082】
第2実施形態によれば、ステープル詰まりが生じたとき、支持部275とステープルSTとの接触面積が小さいので強い力で噛みこまない。ステープルSTを除去しやすい。支持部275及び非支持部276の形状は、図示した例に限定されない、例えば、延出部270において、支持部275と非支持部276とが縦縞状に交互に複数繰り返し設けるようにしてもよい。延出部270の下端部が非支持部276であってもよい。
【0083】
図24に示すように、延出部270の左右両端部に支持部275を設ければ、左右均等に支持し、ステープルSTの転倒を防ぐ上で好ましい。延出部270の中央に非支持部276がまとまって設けられていると、ステープル詰まりが生じたとき、マイナスドライバ等の工具を非支持部276とステープルSTとの間の空間に挿入して詰まったステープルSTを除去しやすい。
【0084】
[第3実施形態]
図25は、本発明の第3実施形態に係るステープルガイド部331を示す斜視図である。図26は、図25中のXXVI-XXVI線に沿う断面図である。第3実施形態は、ステープルマガジンユニット22ではなく、ステープルドライバ32にステープルガイド部331が設けられている点が第1実施形態と異なる。
【0085】
図25に示すように、ステープルドライバ32は、ステープルSTのクラウン部100に当接してステープルSTを押し出す打出し部33と、打出し部33から延出したステープルガイド部331と、を備えている。ステープルガイド部331は、先頭のステープルSTの後方を向いた面100Rに対向する壁面331Fを有している。
【0086】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ステープルの打ち込み時にステープルが倒れることを防止できる。さらに、第3実施形態によれば、第1実施形態に比べて、部品点数が少ないため、製造コストを低減できる。
【0087】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。例えば、テープループの両端を結着する手段としてステープルSTを使用しているが、これに限らず、他の手段によってテープループを結着するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10…結束機、11…回転軸部、12…引張ばね、20…メインハンドル、22…ステープルマガジンユニット、23…ステープル収容部、24…プッシャユニット、25…クリンチャガイド、25…クリンチャガイド、26…テープマガジンユニット、27,331…ステープルガイド部、28…テープ搬送ユニット、28A…テープホルダ、28B…テープガイド30…テープ切断部、30A…切断刃、30B…ロック機構、32…ステープルドライバ、33…打出し部、50…クリンチャアーム、52…アーム部、54…クリンチャ、55…溝、56…テープ把持ユニット(テープ把持機構の一例)、58…ロックプレート、59…コイルばね、60…テープキャッチ、60A…軸部、60B…端部、61…ねじりコイルばね、62…テーププレート、62A…射出口、70…操作ハンドル、70A…軸部、71…金属フレーム、72…樹脂カバー、78…貫通孔、79…ステープル除去工具、79A…突出部、79B…把持部、79C…レバー、79D…凸部、100…クラウン部、100R…後面、100T…移動軌跡、101,102…脚部、200…底壁、201…先端部、203…ポケット、231…先端部、232…基端部、233…底壁部、234,235…側壁部、250…前壁部、251…取付け部、252…舌片部、270…延出部、271…第1取付け部、272…第2取付け部、273…位置決め部、274…貫通孔、275…支持部、276…非支持部、281…フック、282…ガイド部材、331F…壁面、O3…支点、S…被結束物、S…被結束物、ST…ステープル、TP…テープ、TR…テープリール、X…長手方向、θ1…開く向き、θ2…閉じる向き。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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