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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/75 20110101AFI20240122BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H01R12/75
H01R13/639 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019181706
(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公開番号】P2021057304
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】竹本 浩忠
(72)【発明者】
【氏名】苗村 嶺
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-035390(JP,A)
【文献】特開平06-163090(JP,A)
【文献】特開平11-067330(JP,A)
【文献】特開2001-136635(JP,A)
【文献】特開平07-226242(JP,A)
【文献】特開2005-149936(JP,A)
【文献】特開2011-096568(JP,A)
【文献】特開2017-120794(JP,A)
【文献】特開2010-244762(JP,A)
【文献】特開2008-71685(JP,A)
【文献】特開平8-322133(JP,A)
【文献】米国特許第10411400(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタであって、
複数の第1の端子と、複数の第2の端子と、前記複数の第1の端子及び前記複数の第2の端子を保持するハウジングと、を備え、
前記複数の第1の端子及び前記複数の第2の端子は、それぞれ前記ハウジングの幅方向に沿って並び、
前記ハウジングにおいて、前記幅方向に沿って並ぶ前記複数の第1の端子と、前記幅方向に沿って並ぶ前記複数の第2の端子とが、前記ハウジングにおける前記幅方向に垂直な前後方向に並んで配置されており、
前記複数の第1の端子のそれぞれに第1の電線が接続されるとともに前記複数の第2の端子のそれぞれに第2の電線が接続された状態で、当該複数の第1の端子にそれぞれ接続された状態の前記第1の電線が当該複数の第1の端子のそれぞれから前記ハウジングの前記前後方向の一方に引き出されるとともに、当該複数の第2の端子にそれぞれ接続された状態の前記第2の電線が当該複数の第2の端子のそれぞれから前記ハウジングの前記前後方向の他方に引き出されるように構成され、
前記ハウジングは、前記第1の端子及び前記第2の端子を保持するハウジング本体部と、前記ハウジング本体部から突出する一対の突出部と、を有し、
前記一対の突出部は、前記幅方向に沿って両側に突出し、
前記一対の突出部のそれぞれは、
複数のスライド面を有し、当該コネクタが位置決めされる際に用いられるように構成された部分としての位置決め部と、当該コネクタを保持するための保持具によって保持される部分としての被保持部と、
を有することを特徴とする、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記ハウジングは、
前記複数の第1の端子のそれぞれに前記第1の電線が接続された状態で当該第1の電線における前記複数の第1の端子のそれぞれから引き出される部分を支持するように構成されているプレート状の第1支持部と、
前記複数の第2の端子のそれぞれに前記第2の電線が接続された状態で当該第2の電線における前記複数の第2の端子のそれぞれから引き出される部分を支持するように構成されているプレート状の第2支持部と、
を有することを特徴とする、コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記第1支持部においては、前記第1の電線における前記複数の第1の端子のそれぞれに接続されて引き出される部分がはめ込まれる第1ガイド溝が設けられており、
前記第2支持部においては、前記第2の電線における前記複数の第2の端子のそれぞれに接続されて引き出される部分がはめ込まれる第2ガイド溝が設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記第1支持部には、前記前後方向の一方に向かって当該第1支持部の厚みが薄くなるように設けられることで形成された第1傾斜面が設けられており、
前記第2支持部には、前記前後方向の他方に向かって当該第2支持部の厚みが薄くなるように設けられることで形成された第2傾斜面が設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項5】
コネクタであって、
ハウジングと、前記ハウジングに保持される複数の端子と、を備え、
前記ハウジングには、電線の一部の部分を保持するように構成された電線保持部が設けられており、
前記電線保持部は、当該コネクタとは異なる他のコネクタに接続された状態で前記他のコネクタから引き出されて延びる前記電線における端部を除く部分のうちの一部の部分を保持するように構成され
前記ハウジングは、前記端子を保持するハウジング本体部と、前記ハウジング本体部から突出する一対の突出部と、を有し、
前記一対の突出部は、前記ハウジングの幅方向に沿って両側に突出し、
前記一対の突出部のそれぞれは、
複数のスライド面を有し、当該コネクタが位置決めされる際に用いられるように構成された部分としての位置決め部と、当該コネクタを保持するための保持具によって保持される部分としての被保持部と、
を有していることを特徴とする、コネクタ。
【請求項6】
請求項5に記載のコネクタであって、
前記電線保持部は、前記電線がはめ込まれる溝状に形成された保持溝であることを特徴とする、コネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のコネクタであって、
前記保持溝の内面には、当該保持溝の内側にはめ込まれた前記電線が前記保持溝の外側へ移動することを規制する突起が設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項8】
コネクタであって、
ハウジングと、前記ハウジングに保持された複数の端子と、を備え、
前記ハウジングは、電線が接続される前記端子を保持するハウジング本体部と、前記ハウジング本体部から突出する一対の突出部と、を有し、
前記一対の突出部は、前記ハウジング本体部から、当該ハウジング本体部に保持された前記端子から前記電線が引き出される方向に対して垂直な方向における両側に向けて突出しており、
前記一対の突出部のそれぞれは、
複数のスライド面を有し、当該コネクタが位置決めされる際に用いられるように構成された部分としての位置決め部と、当該コネクタを保持するための保持具によって保持される部分としての被保持部と、
を有することを特徴とする、コネクタ。
【請求項9】
請求項8に記載のコネクタであって、
前記位置決め部は、溝状に設けられ、
前記被保持部は、前記保持具が嵌まるよう凹状に形成された凹部と、前記凹部に対して前記ハウジングの高さ方向に並ぶとともに、前記凹部に対して段差状に設けられた段差部と、を有し、
前記ハウジングにおける前記電線の引き出し方向と平行な方向における一方の端部と他方の端部のそれぞれに前記一対の突出部が設けられ、
前記一方の端部の前記一対の突出部と前記他方の端部の前記一対の突出部の間には、相手側コネクタに係止してロックするロック部が設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続対象部材に複数の電線を接続するためのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、接続対象部材に複数の電線を接続するための装置として、接続対象部材としての基板に実装された相手側コネクタに電線が接続されるように構成されたコネクタが知られている。例えば、特許文献1においては、複数の電線を基板に接続するためのコネクタが開示されている。具体的には、特許文献1のコネクタは、複数の端子を備えており、当該端子に複数の電線が接続されるように構成されている。そして、複数の電線が接続された端子を備える当該コネクタは、基板に実装された相手側コネクタに接続される。これにより、複数の電線が基板に対して電気的に接続されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-252715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているコネクタは、電線がコネクタの片側の側面から引き出されて延びるように構成されている。このように電線がコネクタの片側の側面から引き出されるように構成されていることで、コネクタに配置できる電線の数がコネクタの片側の側面領域に制限されてしまう。このため、コネクタ全体として複数の電線を高密度に配置することが困難となる。
【0005】
また、特許文献1のコネクタにおいては、電線が引き出されてコネクタの外側に延びていることで、外側に延びる電線がコネクタから垂れ下がった状態になる。このため、コネクタを基板等の接続対象部材に対して接続して設置する作業を行う際、コネクタに接続された電線あるいは基板に接続された他のコネクタに接続された電線が、コネクタの設置作業の邪魔になり易い。これにより、コネクタを基板等の接続対象部材に設置する際の作業性の低下を招きやすいという問題がある。
【0006】
また、特許文献1のコネクタは、略平坦状に構成されている。このため、複数のコネクタを厚み方向に積み重ねた状態で複数まとめて搬送できることが作業効率上望ましい。しかしながら、特許文献1のコネクタは、外形が略矩形状に構成されており、例えば簡素な機構のロボットアームなどを用いて個々のコネクタを把持して搬送することが容易ではない。このため、複数のコネクタを一つにコンパクトにまとめるため、コネクタを把持して搬送する作業を行うことは容易ではなく、また、複数のコネクタをコンパクトにまとめた状態から個々のコネクタを順番に把持して搬送する作業も容易ではない。
【0007】
上記実情に鑑みることにより、本発明の目的の一つは、複数の電線を高密度に配置することができるコネクタを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の別の目的の一つは、電線が邪魔になってしまうことを抑制でき、接続対象部材に対して接続して設置する作業を容易に行うことができるコネクタを提供することを目的とする。
【0009】
さらには、本発明の更に別の目的の一つは、複数のコネクタをコンパクトにまとめるために個々のコネクタを把持して搬送する作業を容易に行うことができるとともに、複数のコネクタをコンパクトにまとめた状態から個々のコネクタを順番に把持して搬送する作業を容易に行うことができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するために、本発明のある局面に係わるコネクタは、複数の第1の端子と、複数の第2の端子と、前記複数の第1の端子及び前記複数の第2の端子を保持するハウジングと、を備え、前記複数の第1の端子及び前記複数の第2の端子は、それぞれ前記ハウジングの幅方向に沿って並び、前記ハウジングにおいて、前記幅方向に沿って並ぶ前記複数の第1の端子と、前記幅方向に沿って並ぶ前記複数の第2の端子とが、前記ハウジングにおける前記幅方向に垂直な前後方向に並んで配置されており、前記複数の第1の端子のそれぞれに第1の電線が接続されるとともに前記複数の第2の端子のそれぞれに第2の電線が接続された状態で、当該複数の第1の端子にそれぞれ接続された状態の前記第1の電線が当該複数の第1の端子のそれぞれから前記ハウジングの前記前後方向の一方に引き出されるとともに、当該複数の第2の端子にそれぞれ接続された状態の前記第2の電線が当該複数の第2の端子のそれぞれから前記ハウジングの前記前後方向の他方に引き出されるように構成されている。
【0011】
この構成によると、コネクタにおいては、複数の第1の端子及び複数の第2の端子が、ハウジングの幅方向に沿って並び、更に、当該ハウジングにおいて、幅方向に沿って並ぶ複数の第1の端子と、複数の第2の端子とが、幅方向に垂直なハウジングの前後方向に並んで配置されている。そして、複数の第1の端子のそれぞれには第1の電線が接続され当該第1の電線がハウジングの前後方向の一方に引き出されるとともに、複数の第2の端子のそれぞれに第2の電線が接続され当該第2の電線がハウジングの前後方向の他方に引き出されるように構成されている。即ち、電線をハウジングの前後方向における一方に配置するだけでなく、ハウジングの前後方向における他方にも配置することが可能となる。これにより、電線をハウジングの前後方向に沿って前後の両側に引き出すことができる。その結果、コネクタに複数の電線を高密度に配置することができる。
【0012】
従って、この構成によれば、複数の電線を高密度に配置することができるコネクタを提供できる。
【0013】
(2)好ましくは、前記ハウジングは、前記複数の第1の端子のそれぞれに前記第1の電線が接続された状態で当該第1の電線における前記複数の第1の端子のそれぞれから引き出される部分を支持するように構成されているプレート状の第1支持部と、前記電線における前記複数の第2の端子のそれぞれに前記第2の電線が接続された状態で当該第2の電線における前記複数の第2の端子のそれぞれから引き出される部分を支持するように構成されているプレート状の第2支持部と、を有する。
【0014】
この構成によると、ハウジングは、プレート状の第1支持部及び第2支持部を有している。そして、第1支持部は、第1の電線が接続された状態で当該第1の電線における複数の第1の端子のそれぞれから引き出される部分を支持するように構成される。また、第2支持部は、第2の電線が接続された状態で当該第2の電線における複数の第2の端子のそれぞれから引き出される部分を支持するように構成される。このため、電線の端子から引き出される部分が、下方に垂れ下がるなどして屈曲するのを防止することができる。これにより、電線の端子から引き出される部分を保護することができる。
【0015】
(3)好ましくは、前記第1支持部においては、前記第1の電線における前記複数の第1の端子のそれぞれに接続されて引き出される部分がはめ込まれる第1ガイド溝が設けられており、前記第2支持部においては、前記第2の電線における前記複数の第2の端子のそれぞれに接続されて引き出される部分がはめ込まれる第2ガイド溝が設けられている。
【0016】
この構成によると、第1の電線における複数の第1の端子から引き出される部分が第1ガイド溝にはめ込まれ、第2の電線における複数の第2の端子から引き出される部分が第2ガイド溝にはめ込まれる。このため、第1の電線における複数の第1の端子から引き出される部分、及び第2の電線における複数の第2の端子から引き出される部分において、隣り合う電線同士が互いに絡まるのを確実に防止することができる。
【0017】
(4)好ましくは、前記第1支持部には、前記前後方向の一方に向かって当該第1支持部の厚みが薄くなるように設けられることで形成された第1傾斜面が設けられており、前記第2支持部には、前記前後方向の他方に向かって当該第2支持部の厚みが薄くなるように設けられることで形成された第2傾斜面が設けられている。
【0018】
この構成によると、第1支持部には、第1傾斜面が設けられており、第2支持部には、第2傾斜面が設けられている。そして、第1傾斜面は、ハウジングの前後方向の一方に向かって第1支持部の厚みが薄くなるように設けられることで形成されている。また、第2傾斜面は、ハウジングの前後方向の他方に向かって第2支持部の厚みが薄くなるように設けられることで形成されている。このため、第1の電線は、第1傾斜面に案内されて第1ガイド溝の延びる方向に沿って容易に嵌められる。また、第2の電線は、第2傾斜面に案内されて第2ガイド溝の延びる方向に沿って容易に嵌められる。これにより、第1の電線を第1ガイド溝に、第2の電線を第2ガイド溝に沿って容易に嵌めることができる。
【0019】
(5)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに保持される複数の端子と、を備え、前記ハウジングには、電線の一部の部分を保持するように構成された電線保持部が設けられており、前記電線保持部は、前記端子に接続された状態で前記端子から引き出されて延びる前記電線における端部を除く部分のうちの一部の部分であって、前記端子から引き出されて延びる前記電線における屈曲部分を経た先において更に延びる部分を保持するように構成され、又は、当該コネクタとは異なる他のコネクタに接続された状態で前記他のコネクタから引き出されて延びる前記電線における端部を除く部分のうちの一部の部分を保持するように構成されている。
【0020】
好ましくは、ハウジングと、ハウジングに保持される複数の端子と、を備えており、ハウジングには、電線の一部の部分を保持するように構成された電線保持部が設けられている。そして、電線保持部は、端子から延びる電線の端部を除く一部の部分であって、当該電線における屈曲部分を経た先において更に延びる部分を保持するように構成されている。或いは、当該コネクタとは異なる他のコネクタから延びる電線の端部を除く一部を保持するように構成されている。
【0021】
電線保持部が、端子から延びる電線の端部を除く一部の部分であって、当該電線における屈曲部分を経た先において更に延びる部分を保持する場合、上記電線の部分を電線保持部において保持することができる。これにより、コネクタを搬送する際において、コネクタから延びる電線が邪魔になってしまうことを抑制でき、接続対象部材に対して接続及び設置する作業を容易に行うことができる。
【0022】
また、電線保持部が当該コネクタとは異なる他のコネクタから延びる電線の端部を除く一部を保持する場合、コネクタの搬送作業を行う作業者は、他のコネクタから延びる電線を当該コネクタの電線保持部に保持させることが可能となり、コネクタを接続及び設置する際において電線が邪魔になってしまうことを抑制することができる。これにより、作業者は、電線が邪魔になってしまうことを抑制でき、接続対象部材に対して接続及び設置する作業を容易に行うことができる。
【0023】
従って、この構成によれば、コネクタを接続して設置する作業に際して電線が邪魔になってしまうことを抑制でき、接続対象部材に対して接続して設置する作業を容易に行うことができる。
【0024】
(6)好ましくは、前記電線保持部は、前記電線がはめ込まれる溝状に形成された保持溝である。
【0025】
この構成によると、電線保持部は、溝状に形成された保持溝として構成されている。このため、端子から引き出される電線は保持溝にはめ込まれて保持される。これにより、電線は、電線保持部にはめ込まれて確実に保持され、コネクタを搬送する際においても電線が電線保持部から外れるのを防ぐことができる。その結果、コネクタを設置する際において電線が作業の邪魔になるのをより確実に防ぐことができる。
【0026】
(7)好ましくは、前記保持溝は、前記端子に接続された前記電線が引き出される方向と平行に延びるように設けられている。
【0027】
この構成によると、端子に接続された電線が引き出される方向と、保持溝が延びる方向とが平行である。このため、保持溝は、電線の端子から引き出される部分を、直線状に延びた状態で保持することができる。これにより、コネクタは、電線のハウジングから引き出される部分をコンパクトなスペースで効率良く保持することができる。
【0028】
(8)好ましくは、前記保持溝の内面には、当該保持溝の内側にはめ込まれた前記電線が前記保持溝の外側へ移動することを規制する突起が設けられている。
【0029】
この構成によると、保持溝の内面には突起が設けられており、当該突起は、保持溝にはめ込まれた電線が保持溝の外側へ移動するのを規制する。このため、保持溝にはめ込まれた電線は、突起に引っ掛かり保持溝から脱落しにくくなる。これにより、作業者は、コネクタを搬送する際において、電線が保持溝から外れて作業の邪魔になるのを確実に防止することができる。
【0030】
(9)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに保持された複数の端子と、を備え、前記ハウジングは、電線が接続される前記端子を保持するハウジング本体部と、前記ハウジング本体部から突出する一対の突出部と、を有し、前記一対の突出部は、前記ハウジング本体部から、当該ハウジング本体部に保持された前記端子から前記電線が引き出される方向に対して垂直な方向における両側に向けて突出しており、前記一対の突出部のそれぞれは、複数のスライド面を有し、当該コネクタが位置決めされる際に用いられるように構成された部分としての位置決め部と、当該コネクタを保持するための保持具によって保持される部分としての被保持部と、を有する。
【0031】
好ましくは、ハウジングと、ハウジングに保持された複数の端子と、を備え、ハウジングにおいては、ハウジング本体部と、ハウジング本体部から突出する一対の突出部と、を有する。また、一対の突出部は、ハウジング本体部から、当該ハウジング本体部に保持された端子から電線が引き出される方向に対して垂直な方向における両側に向けて突出している。そして、一対の突出部のそれぞれは、当該コネクタを保持するための保持具によって保持される部分としての被保持部を有する。このため、個々のコネクタを保持具によって被保持部において保持し搬送することができる。
【0032】
また、一対の突出部のそれぞれは、複数のスライド面を有し、当該コネクタが位置決めされる際に用いられるように構成された部分としての位置決め部を有している。このため、例えば、コネクタを複数積み重ねることができるようにスライド面に対応した形状を有するレール部材を設置することで、複数のコネクタを積み重ねられた状態にして一つにまとめることが可能となる。その結果、作業者は、複数のコネクタを把持して搬送する作業を容易に行うことができる。また、作業者は、上述の一対の突出部を有することで、積み重ねて一つにまとめた複数のコネクタを順番に一つずつ把持して個々に搬送する作業も容易に行うことができる。
【0033】
従って、この構成によれば、複数のコネクタをコンパクトにまとめるために個々のコネクタを把持して搬送する作業を容易に行うことができるとともに、複数のコネクタをコンパクトにまとめた状態から個々のコネクタを順番に把持して搬送する作業を容易に行うことができる。
【0034】
(10)好ましくは、前記位置決め部は、溝状に設けられ、前記被保持部は、前記保持具が嵌まるよう凹状に形成された凹部と、前記凹部に対して前記ハウジングの高さ方向に並ぶとともに、前記凹部に対して段差状に設けられた段差部と、を有し、前記ハウジングにおける前記電線の引き出し方向と平行な方向における一方の端部と他方の端部のそれぞれに前記一対の突出部が設けられ、前記一方の端部の前記一対の突出部と前記他方の端部の前記一対の突出部の間には、相手側コネクタに係止してロックするロック部が設けられている。
【0035】
この構成によると、コネクタにおける位置決め部は、溝状に設けられている。このため、コネクタが複数積み重ねられる際、溝状に設けられたコネクタの位置決め部が、スライド面に対応した形状を有するレール部材に対して確実に嵌まるように構成される。これにより、コネクタは、レール部材に対して安定した状態でスライド移動することができる。
【0036】
また、この構成によると、被保持部は、保持具が嵌まるように凹状に形成された凹部を有する。このため、コネクタは、凹部において保持具が嵌められた状態で保持される。また、被保持部は、凹部に対してハウジングの高さ方向に並ぶとともに、凹部に対して段差状に設けられた段差部を有する。このため、コネクタは、段差部によって形成される段差に対応する形状の保持具によって保持されることで、高さ方向にずれない状態で安定して保持される。
【0037】
更に、この構成によると、ハウジングにおける電線の引き出し方向と平行な方向における一方の端部と他方の端部のそれぞれに一対の突出部が設けられている。そして、一方の端部の一対の突出部と他方の端部の一対の突出部の間には、相手側コネクタに係止してロックするロック部が設けられている。即ち、一対の突出部が、ハウジングの一方の端部と、他方の端部の両端部にそれぞれ設けられており、ロック部は、これらそれぞれの一対の突出部の間において、相手側コネクタに対して係止するように設けられている。このため、コネクタにおいては、ロック部がハウジングの両端部の間の重心位置或いは重心に近い位置において相手側コネクタに対して係止するため、より安定して強固な接続状態をより確実に維持することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によると、複数の電線をコネクタに高密度に配置することができる。また、コネクタを接続して設置する作業に際して電線が邪魔になってしまうことを抑制でき、接続対象部材に対して接続して設置する作業を容易に行うことができる。また、複数のコネクタをコンパクトにまとめるために個々のコネクタを把持して搬送する作業を容易に行うことができるとともに、複数のコネクタをコンパクトにまとめた状態から個々のコネクタを順番に把持して搬送する作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタについて基板に実装された相手側コネクタとともに示す図であって、相手側コネクタに接続した状態で示す斜視図である。
図2図1に示すコネクタを示す図であって、コネクタを相手側コネクタから外した状態で示す斜視図である。
図3図1に示す相手側コネクタを示す斜視図である。
図4図1に示す相手側コネクタを示す平面図である。
図5図1に示すコネクタを保持具とともに示す斜視図である。
図6図5に示すコネクタの前側の部分について拡大して示す図である。
図7図1に示すコネクタの被保持部について拡大して保持具とともに示す図である。
図8図1に示すコネクタについて示す図であって、相手側コネクタに接続した状態で示す平面図である。
図9図1に示すコネクタのA-A線矢視位置における断面について示す断面図である。
図10】一方のコネクタにおける電線保持部が他のコネクタから延びる電線を保持する形態についての一例を示す図である。
図11】コネクタがレール部材に沿って積み重ねられる際の状態について示す斜視図である。
図12図11に示すコネクタ及びレール部材について示す正面図である。
図13図11に示すコネクタ及びレール部材について示す側面図である。
図14】複数積み重ねたコネクタを結束部材で結束した状態について示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、接続対象部材に複数の電線を接続するためのコネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。本実施形態においては、複数の電線をコネクタに接続するための接続対象部材として基板が用いられており、当該基板は、例えば、液晶表示装置の液晶パネルに取り付けられて当該液晶パネルに光を当てるバックライト装置の一部を構成する。
【0041】
図1は、本発明の一実施形態に係るコネクタ1について基板に実装された相手側コネクタ2とともに示す図であって、相手側コネクタ2に接続した状態で示す斜視図である。図2は、図1に示すコネクタ1であって、コネクタ1を相手側コネクタ2から外した状態で示す斜視図である。
【0042】
尚、以下において、コネクタ1の幅方向Wを単に幅方向Wと称し、コネクタ1の幅方向Wに対して垂直な方向を単に前後方向Xと称する。図2及び図5を参照して、本実施形態においては、コネクタ1の前後方向Xのうち、端子から直線状に引き出されて延びる第1の電線3aが引き出される側を後側とし、端子から直線状に引き出された後に逆方向に屈曲されている第2の電線3bが引き出される側を前側とする。また、コネクタ1において、コネクタ1が相手側コネクタ2に対向する側を下側とし、その反対側を上側と称する。更に、コネクタ1、後述するハウジング21、及び、相手側コネクタ2の厚み方向を高さ方向Hと称する。
【0043】
コネクタ1は、電線3を接続対象部材に接続するための装置であり、本実施形態においては、コネクタ1は、接続対象部材である基板4に実装された相手側コネクタ2に接続されることで、複数の電線3を基板4に接続するものである。コネクタ1が相手側コネクタ2に接続された状態(以下において、接続状態と称する)において、電線3は、基板4に対して電気的に接続された状態となる。本実施形態における電線3は複数本で構成されており、より具体的には、2本の第1の電線3aと、2本の第2の電線3bと、によって構成されている。第1の電線3aは後述する複数の第1の端子50に接続されて引き出されており、第2の電線3bは、後述する複数の第2の端子51に接続されて引き出されている。
【0044】
本実施形態に係るコネクタ1の詳細について説明するに先立って、先ず、コネクタ1が接続される相手側コネクタ2について図1乃至図4を参照して説明する。
【0045】
図3は、図1に示す相手側コネクタ2を示す斜視図である。図4は、図1に示す相手側コネクタ2を示す平面図である。
【0046】
相手側コネクタ2は、例えば、図示を省略したLED(Light Emitting Diode、発光素子)を実装した基板4に実装されている。相手側コネクタ2は、コネクタ1を基板4に対して機械的及び電気的に接続するための部品として構成されている。相手側コネクタ2は、図1及び図2に示すように、基板4の略中央部分に設けられている。相手側コネクタ2は、相手側ハウジング5と、タブ6と、複数の相手側端子7と、を有している。
【0047】
相手側ハウジング5は、コネクタ1が嵌められる部分として構成されている。図3及び図4を参照して、相手側ハウジング5は、ベース部8と、ベース突出部9と、タブ収容部10と、溝部11と、を有している。
【0048】
ベース部8は、略板状に形成されている。ベース部8は、基板4の上側の面に配置されている。
【0049】
ベース突出部9は、コネクタ1を相手側コネクタ2に対して位置決めするための部分として設けられている。ベース突出部9は、相手側コネクタ2の略中央部に設けられている。ベース突出部9は、コネクタ1が相手側コネクタ2の適切な位置に対して嵌まるように案内する。
【0050】
タブ収容部10は、相手側コネクタ2を基板4に固定するための部分として構成されている。
【0051】
溝部11は、コネクタ1が接続されるための溝状の部分として構成されている。溝部11には、後述するロック部26が係止される。溝部11は、相手側コネクタ2において4箇所設けられている。溝部11は、タブ収容部10の内側の側面において溝状に形成されている。
【0052】
タブ6は、相手側コネクタ2を基板4に固定するための部材として設けられている。タブ収容部10の下面から突出したタブ6の先端部分は、基板4に圧入されて固定されている。
【0053】
複数の相手側端子7は、コネクタ1の後述する複数の端子20が接続される部分として構成されている。複数の相手側端子7は、相手側ハウジング5によって保持されており、基板4に対して機械的及び電気的に接続されている。複数の相手側端子7は、板状に形成され、一部分が相手側コネクタ2のベース突出部9から露出するように設けられている。
【0054】
以下、本実施形態に係るコネクタ1について説明する。
【0055】
図5は、図1に示すコネクタ1を後述する保持具34とともに示す斜視図である。図6は、図5に示すコネクタ1の前側の部分について拡大して示す図である。図7は、図1に示すコネクタ1の被保持部32について拡大して保持具34とともに示す図である。図8は、図1に示すコネクタ1について示す図であって、相手側コネクタ2に接続した状態で示す平面図である。図9は、図1に示すコネクタ1のA-A線矢視位置における断面について示す断面図である。
【0056】
コネクタ1は、電線3を接続対象部材である基板4に電気的に接続するための装置である。より具体的には、コネクタ1は、基板4に実装された相手側コネクタ2に対して接続される。コネクタ1は、複数の端子20と、ハウジング21と、を有している。
【0057】
複数の端子20は、複数の相手側端子7に対して接触し電気的に接続される部分である。複数の端子20は、後述するハウジング21に保持される。複数の端子20は、コネクタ1の略中央部分に配置されている。本実施形態における複数の端子20は、コネクタ1において4つ設けられている。複数の端子20のそれぞれには、電線3が接続されている。
【0058】
図2図5、及び図7を参照して、複数の端子20は、複数の第1の端子50と、複数の第2の端子51とで構成されている。即ち、コネクタ1は、複数の第1の端子50と、複数の第2の端子51と、を備える。複数の第1の端子50及び複数の第2の端子51は、ハウジング21によって保持されている。
【0059】
図8を参照して、複数の第1の端子50及び複数の第2の端子51は、それぞれハウジング21の幅方向Wに沿って並ぶ。本実施形態における複数の第1の端子50は、ハウジング21の幅方向Wに沿って2つ並んでいる。また、複数の第2の端子51も同様に、ハウジング21の幅方向Wに沿って2つ並んでいる。
【0060】
また、ハウジング21の幅方向Wに沿って並ぶ複数の第1の端子50と、幅方向Wに沿って並ぶ複数の第2の端子51とは、ハウジング21における幅方向Wに垂直な前後方向Xに並んで当該ハウジング21において配置されている。本実施形態における複数の第1の端子50は、ハウジング21の前後方向Xにおける前側に配置されている。また、複数の第2の端子51は、ハウジング21の前後方向Xにおける後側に配置されている。
【0061】
複数の第1の端子50のそれぞれには、第1の電線3aが接続されるとともに複数の第2の端子51のそれぞれに第2の電線3bが接続された状態で構成されている。そして、複数の第1の端子50に接続された状態の第1の電線3aが複数の第1の端子50のそれぞれからハウジング21の前後方向Xの一方に引き出されるように構成されている。また、複数の第2の端子51に接続された状態の第2の電線3bが複数の第2の端子51のそれぞれからハウジング21の前後方向Xの他方に引き出されるように構成されている。本実施形態における複数の第1の端子50に接続された第1の電線3aは、ハウジング21の前側に引き出されるように構成されている。また、複数の第2の端子51に接続された第2の電線3bは、ハウジング21の後側に引き出されるように構成されている。
【0062】
ハウジング21は、電線3が接続された複数の端子20を保持する。ハウジング21は、ハウジング本体部22と、一対の突出部23,23と、を有する。尚、一対の突出部23,23は、ハウジング21の前後方向Xにおける前後の両端において設けられている。
【0063】
ハウジング本体部22は、コネクタ1の本体部分として構成されている。ハウジング本体部22は、図5に示すように、電線3が接続される端子20を保持する。ハウジング本体部22は、接続状態において、コネクタ1の幅方向Wの外側に配置される相手側コネクタ2のタブ収容部10の間に配置される。ハウジング本体部22は、ロック部26と、ロック操作部27と、電線保持部28と、ロック支持部29と、を有する。
【0064】
図5図6、及び図9を参照して、ロック部26は、接続状態において、ハウジング21における電線3の引き出し方向と平行な方向における一方の端部の後述する一対の突出部23,23と他方の端部の一対の突出部23,23の間に設けられている。ロック部26は、相手側コネクタ2に係止してロックするための部分として構成されている。ロック部26は、コネクタ1の前後の両側に設けられた後述する一対の突出部の間に設けられている。より具体的には、図5及び図9を参照して、ロック部26は、コネクタ1の前後方向Xにおける中央部分における相手側コネクタ2に接続する側の面に設けられており、相手側コネクタ2の溝部11に係止するように構成されている。
【0065】
ロック操作部27は、溝部11に係止されたロック部26の係止を解除するための部分として設けられている。ロック操作部27が押圧操作されると、ロック部26は、ハウジング21の幅方向Wに変位する。ロック操作部27は、ハウジング21の幅方向Wの両端部分且つ前後方向Xの略中央部分に配置されている。
【0066】
電線保持部28は、ハウジング21の前後方向Xの外側に引き出される電線3の一部の部分を保持するように構成されている。例えば、電線保持部28は、図5に示すように、端子20に接続された状態で端子20から引き出されて延びる電線3における端部を除く部分のうち一部の部分であって、端子20から引き出されて延びる電線3における屈曲部分を経た先において更に延びる部分を保持するように構成されている。本実施形態における電線3の屈曲部分は、複数の第1の端子50から一旦前側に引き出された電線3が後側に向かって折り返される部分として構成されている。電線3の屈曲部分では、複数の第1の端子50から一旦前側に引き出された電線3のそれぞれが、幅方向に沿って屈曲されて延び、更に前後方向Xに沿って後側に屈曲されて延びる。電線保持部28は、このハウジング21の前後方向Xの引き出し方向の逆側に屈曲されて更に延びる部分を保持する。
【0067】
図10は、一方のコネクタ1における電線保持部28が他のコネクタ1aから延びる電線3を保持する形態についての一例を示す図である。図10においては、当該コネクタ1を、当該コネクタ1と同様に構成される他のコネクタ1aとともに並んだ状態で示している。他のコネクタ1aは、基板4aに対して接続されるように構成されている。尚、図10に示す他のコネクタ1aについては、コネクタ1と同様の構成であるため、コネクタ1と同じ符号を付している。
【0068】
図10に示すように、電線保持部28は、当該コネクタ1とは異なる他のコネクタ1aに接続された状態で他のコネクタから引き出されて延びる電線3における端部を除く部分のうちの一部の部分を保持するように構成されていてもよい。例えば、電線保持部28は、図10に示すように、コネクタを2つ並べて配置する場合において、一方のコネクタ1の電線保持部28に他方のコネクタ1aから引き出されて延びる電線3の一部の部分を保持するように構成されている。即ち、図10においては、2つのコネクタ1,1aがそれぞれの電線保持部28において、他方から引き出されて延びる電線3の一部の部分を互いに保持するように構成される形態について示している。尚、電線保持部28は、図示されたコネクタ以外のコネクタから引き出されて延びる電線3の一部の部分を保持するものであってもよい。また、電線保持部28に保持される他のコネクタ1aから引き出されて延びる電線3は、端子20から引き出されて直線状に延びる部分を保持するものであってもよい。即ち、電線保持部28は、他のコネクタ1aから引き出されて屈曲部分を経ずに延びる電線3の一部の部分を保持するものであってもよい。
【0069】
電線保持部28は、電線3がはめ込まれる溝状に形成された保持溝30として構成されている。電線保持部28は、ハウジング本体部22の幅方向Wの両側に設けられている。ハウジング本体部22の幅方向Wの両側に設けられた電線保持部28は、互いに平行に配置されている。
【0070】
ロック支持部29は、ロック操作部27が押圧操作された際に、ロック部26がハウジング21の幅方向Wに変位可能なように、ロック部26及びロック操作部27を支持する部分として構成されている。ロック支持部29は、ハウジング21の幅方向Wの両側において、前後方向Xに架け渡すように設けられている。ロック支持部29は、幅方向Wに弾性変形可能に構成されている。ロック支持部29は、電線保持部28よりも幅方向Wの外側に配置されている。
【0071】
保持溝30は、端子20に接続された電線3が引き出される方向と平行に延びるように設けられている。保持溝30は、突起31を有している。
【0072】
突起31は、保持溝30の内側にはめ込まれた電線3が保持溝30の外側へ移動することを規制するための部分として設けられている。突起31は、保持溝30の内面に設けられている。突起31は、保持溝30の開口部分の幅方向Wにおける両側に設けられている。突起31は、ハウジング本体部22の前後方向Xに亘って複数設けられている。
【0073】
一対の突出部23,23は、図5乃至図9において示すように、個々のコネクタ1が搬送されるに際してコネクタ1を保持するための保持具34によって保持される部分であり、また、一対の突出部23,23は、複数積み重ねられた状態で搬送されるに際して結束される部分として構成されている。本実施形態における保持具34は、コネクタ1を搬送する機構として使用するロボットアーム(図示省略)の先端部分であって、コネクタ1を把持する部分として構成されている。一対の突出部23,23は、ハウジング本体22から突出するように設けられている。一対の突出部23,23は、ハウジング本体部22から、当該ハウジング本体部22に保持された端子20から電線3が引き出される方向に対して垂直な方向における両側に向けて突出している。そして更に、一対の突出部23,23は、ハウジング21における電線3の引き出し方向と平行な方向における一方の端部と他方の端部のそれぞれに設けられている。即ち、一対の突出部23,23は、コネクタ1の前後方向Xにおいて前側と後側とに設けられており、それぞれハウジング21の幅方向Wに沿って両側に突出している。一対の突出部23,23のそれぞれは、被保持部32と、位置決め部33と、を有している。
【0074】
被保持部32は、コネクタ1が個々に搬送される際、コネクタ1を保持するための保持具34によって保持される部分である。被保持部32は、凹部35と、段差部36と、を有している。尚、保持具34は、コネクタ1を搬送する際、或いは、コネクタ1を相手側コネクタ2に対して接続する際において、コネクタ1を保持及び移動させるための装置である。保持具34のそれぞれは、コネクタ保持部37と、軸部38と、を有する。
【0075】
コネクタ保持部37は、コネクタ1を下方から支持するとともに、コネクタ1を幅方向Wから挟持して保持するための部分である。コネクタ保持部37は、図5及び図7に示すように、後述する軸部38よりも径が大きく形成されており、円盤状に形成されている。より具体的には、コネクタ保持部37は、後述する段差部36を幅方向Wから挟むようにしてコネクタ1を保持する。
【0076】
軸部38は、コネクタ1を後述する保持具34に対して適切な位置に位置決めするとともにコネクタ1を保持するための部分である。軸部38は、円柱状に形成されている。軸部38は、先端部分においてコネクタ保持部37を支持する。より具体的には、軸部38は、後述する凹部35を幅方向Wから挟むようにしてコネクタ1を保持する。即ち、軸部38は、コネクタ1をコネクタ保持部37と協働して挟んだ状態で保持する。軸部38は、コネクタ保持部37を回転自在に支持するものであってもよい。
【0077】
凹部35は、図5及び図7に示すように、コネクタ1が保持される際に、保持具34の軸部38によって把持される部分として構成されている。凹部35は、保持具34が嵌まるように凹状に形成されている。本実施形態における凹部35は、一対の突出部23,23のそれぞれの幅方向Wの両側における先端部分に形成されている。一対の突出部23,23のそれぞれに形成される凹部35は、ハウジング21の幅方向Wにおいて外側にむけて開口するように構成されている。より具体的には、凹部35は、2つの平面状の斜面によって構成されている。コネクタ1が保持具34によって保持されている状態において、軸部38は、凹部35に対して2箇所で線接触する。
【0078】
本実施形態における凹部35は、外側に向けて開口するように2つの斜面によって構成されているため、凹部35がずれた状態で軸部38によって挟まれた場合であっても、軸部38は凹部35を適切な位置に案内する。即ち、凹部35が外側に向けて開口するように2つの平面状の斜面によって構成されていることで、コネクタ1が保持具34によって保持される際、コネクタ1が保持具34に対して適切な位置に位置決めされる。
【0079】
段差部36は、コネクタ1を保持具34で保持した際においてコネクタ1がハウジング21の高さ方向Hにずれないようにするための部分として構成されている。段差部36は、凹部35に対して、ハウジング21の高さ方向Hに並ぶとともに、凹部35に対して段差状に設けられている。即ち、凹部35は、コネクタ1が保持具34によって保持された際、コネクタ保持部37の上面に載置された状態となる。このため、コネクタ1は、コネクタ保持部37によって落下しないように段差部36において下方から支持される。
【0080】
尚、コネクタ1の搬送の作業性を向上させるためコネクタ1を複数個まとめて搬送することが望まれるが、本実施形態においては、コネクタ1を搬送するに際し、高さ方向Hに複数積み重ねられる。この際、複数のコネクタ1を正確に積み重ねるためにレール部材39及び結合部材40が用いられる。
【0081】
図11は、コネクタ1がレール部材39に沿って積み重ねられる際の状態について示す斜視図である。図12は、図11に示すコネクタ1及びレール部材39について示す正面図である。図13は、図11に示すコネクタ1及びレール部材39について示す側面図である。図14は、複数積み重ねたコネクタ1を結束部材38で結束した状態について示す斜視図である。
【0082】
図11乃至図13を参照して、レール部材39は、コネクタ1を高さ方向Hに複数積み重ねるに際し、コネクタ1を互いにずれなく積み重ねるために用いられる部材である。レール部材39は、コネクタ1の高さ方向Hに沿って互いに平行に設置される。コネクタ1は、ロボットアームの保持具34によって個々に幅方向Wの両側から把持された状態で持ち上げられ搬送される。保持具34に把持されて個々に搬送されたコネクタ1は、レール部材39の間に嵌まるようにレール部材39の上方の対応する位置で開放される。レール部材39の対応する位置で開放されたコネクタ1は、レール部材39の上方からレール部材39に沿って下方に落とし込まれる。そして、レール部材39に沿って落とし込まれたコネクタ1は、図12及び図13に示すように、レール部材39に沿って隙間なく複数積み重ねられる。レール部材39に沿って積み重ねられたコネクタ1は、複数個コンパクトにまとまった状態となる。コネクタ1は、このように積み重ねられた状態で、結束部材38によって結束される。
【0083】
尚、コネクタ1は、レール部材39に沿って落とし込まれる際、後述する複数のスライド面41に対してスライド移動するように構成されている。レール部材39は、互いに対向する内側において設けられハウジング本体部22に対して対向するハウジング対向面39aと、一対の突出部23,23において幅方向Wの内側に形成された側面に対して対向する突出部幅方向面39bと、一対の突出部23,23の前後方向Xの外側に形成された側面に対して対向する突出部前後面39cと、を有して構成されている。
【0084】
図14を参照して、結合部材40は、高さ方向Hに複数積み重ねられたコネクタ1に固定される部材であって、複数積み重ねられた状態のコネクタ1を保持するものである。本実施形態においては、複数積み重ねられたコネクタ1が、互いに対向する一対の結合部材40によって結束される。また、複数積み重ねられたコネクタ1は、一対の突出部23,23におけるコネクタ1の前後方向Xの外側において結束される。
【0085】
図5乃至図8、及び図11を参照して、位置決め部33は、コネクタ1が位置決めされる際に用いられるように構成された部分であり、コネクタ1を複数積み重ねる際に、それぞれのコネクタ1をガイドするレール部材39に対して位置決めされる部分として構成されている。位置決め部33は、溝状に設けられている。位置決め部33は、一対の突出部23,23のそれぞれにおいて形成されており、複数積み重ねられるコネクタ1が位置決めされる際に用いられるように構成される部分である。位置決め部33は、複数のスライド面41を有する。
【0086】
複数のスライド面41は、コネクタ1を複数積み重ねる際において、レール部材39に沿ってスライドする面として構成されている。複数のスライド面41は、コネクタ1の前後方向Xの両端部分において設けられている。複数のスライド面41は、第1スライド面42と、第2スライド面43と、第3スライド面44と、を有している。
【0087】
第1スライド面42は、コネクタ1を複数積み重ねる際に、レール部材39に対してスライドする第1の面として設けられている。第1スライド面42は、図5図8、及び図11に示すように、ハウジング本体部22の幅方向Wにおける両側面において設けられている。第1スライド面42は、コネクタ1の前後方向Xの両端部分において設けられている。第1スライド面42は、ハウジング対向面39aに対してスライド移動するように構成されている。
【0088】
第2スライド面43は、コネクタ1を複数積み重ねる際に、レール部材39に対してスライドする第2の面として設けられている。第2スライド面43は、コネクタ1の前後方向Xの両端部分において設けられている。第2スライド面43は、一対の突出部23,23のそれぞれの側面において設けられている。第2スライド面43は、第1スライド面42に対向する位置に設けられている。第1スライド面42及び第2スライド面43は、レール部材39がスライド自在の状態で嵌る溝状の部分を形成する。第2スライド面43は、突出部幅方向面39bに対してスライド移動するように構成されている。
【0089】
第3スライド面44は、コネクタ1を複数積み重ねる際に、レール部材39に対してスライドする第3の面として設けられている。第3スライド面44は、コネクタ1の前後方向Xの両側に設けられている2組の一対の突出部23,23のそれぞれにおいて設けられている。第3スライド面44は、当該一対の突出部23,23の前後方向Xにおける外側に位置する側面に設けられている。第3スライド面44は、突出部前後面39cに対してスライド移動するように構成されている。
【0090】
コンパクトにまとめられた状態の複数のコネクタ1は、基板4に接続されるに際して、結束部材38が取り外されて個々順番に把持されるとともに設置場所に搬送される。具体的には、コネクタ1は、ロボットアームの保持具34によって幅方向Wの両側から被保持部32が把持された状態で1つずつ上方に持ち上げられ搬送される。
【0091】
図1図2図5及び図8を参照して、第1支持部24及び第2支持部25は、ハウジング本体部22に含まれる。第1支持部24及び第2支持部25は、電線3の一部の部分を支持するように構成されている。第1支持部24は、複数の第1の端子50のそれぞれに第1の電線3aが接続された状態で第1の電線3aにおける複数の第1の端子50のそれぞれから引き出される部分を支持するように構成されている。第1支持部24は、プレート状に構成されている。第1支持部24は、ハウジング21の前後方向Xにおける一方側に設けられている。具体的には、本実施形態における第1支持部24は、ハウジング21の前側に配置されている。
【0092】
第2支持部25は、複数の第2の端子51のそれぞれに第2の電線3bが接続された状態で第2の電線3bにおける複数の第2の端子51のそれぞれから引き出される部分を支持するように構成されている。第2支持部25は、プレート状に構成されている。第2支持部25は、ハウジング21の前後方向Xにおける他方側に設けられている。具体的には、本実施形態における第2支持部25は、ハウジング21の後側に配置されている。
【0093】
第1支持部24及び第2支持部25はいずれも、一対の突出部23,23の間に配置されている。本実施形態における第1支持部24及び第2支持部25はそれぞれ、ハウジング21の前後方向Xにおける両端部分に配置されている。より具体的には、第1支持部24は、前側に配置された一対の突出部23,23の幅方向Wにおける中央部に配置されている。第2支持部25は、後側に配置された一対の突出部23,23の幅方向Wにおける中央部に配置されている。第1支持部24には、第1傾斜面45と、第1ガイド溝47とが設けられている。また、第2支持部25には、第2傾斜面46と、第2ガイド溝48とが設けられている。
【0094】
第1傾斜面45は、第1の電線3aを後述する第1ガイド溝47にはめ易くするための斜面として設けられている。第1傾斜面45は、前後方向Xの一方に向かって第1支持部24の厚みが薄くなるように設けられることで形成されている。本実施形態においては、第1傾斜面45は、第1支持部24において前側に向かって薄くなるように設けられている。第1傾斜面45は、第1支持部24のそれぞれの上側の面において形成されている。
【0095】
第2傾斜面46は、第2の電線3bを後述する第2ガイド溝48にはめ易くするための斜面として設けられている。第2傾斜面46は、前後方向Xの一方に向かって第2支持部25の厚みが薄くなるように設けられることで形成されている。本実施形態においては、第2傾斜面46は、第2支持部25において後側に向かって薄くなるように設けられている。第2傾斜面46は、第1支持部24のそれぞれの上側の面において形成されている。
【0096】
第1ガイド溝47は、第1の電線3aにおける複数の第1の端子50のそれぞれに接続されて引き出される部分がはめ込まれる溝として構成されている。第1ガイド溝47は、複数の第1の端子50の前側に設けられている。第1ガイド溝47は、第1支持部24において前後方向Xに延びる溝として設けられている。本実施形態における第1ガイド溝47は、複数の第1の端子50に対応するように2つ設けられている。第1ガイド溝47のそれぞれは、互いに平行に配置されている。
【0097】
第2ガイド溝48は、第2の電線3bにおける複数の第2の端子51のそれぞれに接続されて引き出される部分がはめ込まれる溝として構成されている。第2ガイド溝48は、複数の第2の端子51の前側に設けられている。第2ガイド溝48は、第2支持部25において前後方向Xに延びる溝として設けられている。本実施形態における第2ガイド溝48は、複数の第2の端子51に対応するように2つ設けられている。第2ガイド溝48のそれぞれは、互いに平行に配置されている。第1ガイド溝47及び第2ガイド溝48は、互いに平行に配置されている。第1ガイド溝47及び第2ガイド溝48のそれぞれは、ハウジング本体部22の幅方向Wにおいて電線保持部28よりも外側に配置されている。第1ガイド溝47及び第2ガイド溝48のそれぞれは、電線保持部28に対して平行に配置されている。
【0098】
上述のコネクタ1においては、先端部分において端子20が加締められた状態の電線3がハウジング21に嵌められている。ハウジング21に嵌められた電線3は、その端子20から引き出された部分が第1ガイド溝47又は第2ガイド溝48に嵌め込まれる。また、電線3は、端部を除く一部の部分が電線保持部28によって保持されている。例えば、端子20から引き出されて延びる電線3における屈曲部分を経た先において更に延びる部分、又は、他のコネクタ1aから引き出されて延びる電線3における端部を除く部分のうちの一部の部分を保持する。そして、上記のコネクタが基板4に接続されて、ロック部26によって固定される。
【0099】
〔実施形態の作用効果〕
本実施形態におけるコネクタ1によると、複数の第1の端子50及び複数の第2の端子51が、ハウジング21の幅方向Wに沿って並び、更に、当該ハウジング21において、幅方向Wに沿って並ぶ複数の第1の端子50と、複数の第2の端子51とが、幅方向Wに垂直なハウジング21の前後方向Xに並んで配置されている。そして、複数の第1の端子50のそれぞれには第1の電線3aが接続され当該第1の電線3aがハウジング21の前後方向Xの一方に引き出されるとともに、複数の第2の端子51のそれぞれに第2の電線3bが接続され当該第2の電線3bがハウジング21の前後方向Xの他方に引き出されるように構成されている。即ち、電線をハウジング21の前後方向Xにおける一方に配置するだけでなく、ハウジング21の前後方向Xにおける他方にも配置することが可能となる。これにより、電線をハウジング21の前後方向Xに沿って前後の両側に引き出すことができる。その結果、コネクタ1に複数の電線を高密度に配置することができる。
【0100】
従って、この構成によれば、複数の電線を高密度に配置することができるコネクタ1を提供できる。
【0101】
本実施形態におけるコネクタ1によると、ハウジング21は、プレート状の第1支持部24及び第2支持部25を有している。そして、第1支持部24は、第1の電線3aが接続された状態で当該第1の電線3aにおける複数の第1の端子50のそれぞれから引き出される部分を支持するように構成される。また、第2支持部25は、第2の電線3bが接続された状態で当該第2の電線3bにおける複数の第2の端子51のそれぞれから引き出される部分を支持するように構成される。このため、電線の端子から引き出される部分が、下方に垂れ下がるなどして屈曲するのを防止することができる。これにより、電線の端子から引き出される部分を保護することができる。
【0102】
本実施形態におけるコネクタ1によると、第1の電線3aにおける複数の第1の端子50から引き出される部分が第1ガイド溝47にはめ込まれ、第2の電線3bにおける複数の第2の端子51から引き出される部分が第2ガイド溝48にはめ込まれる。このため、第1の電線3aにおける複数の第1の端子50から引き出される部分、及び第2の電線3bにおける複数の第2の端子51から引き出される部分において、隣り合う電線同士が互いに絡まるのを確実に防止することができる。
【0103】
本実施形態におけるコネクタ1によると、第1支持部24には、第1傾斜面45が設けられており、第2支持部25には、第2傾斜面46が設けられている。そして、第1傾斜面45は、ハウジング21の前後方向Xの一方に向かって第1支持部24の厚みが薄くなるように設けられることで形成されている。また、第2傾斜面46は、ハウジング21の前後方向Xの他方に向かって第2支持部25の厚みが薄くなるように設けられることで形成されている。このため、第1の電線3aは、第1傾斜面45に案内されて第1ガイド溝47の延びる方向に沿って容易に嵌められる。また、第2の電線3bは、第2傾斜面46に案内されて第2ガイド溝48の延びる方向に沿って容易に嵌められる。これにより、第1の電線3aを第1ガイド溝47に、第2の電線3bを第2ガイド溝48に沿って容易に嵌めることができる。
【0104】
本実施形態におけるコネクタ1によると、ハウジング21と、ハウジング21に保持される複数の端子20と、を備えており、ハウジング21には、電線3の一部の部分を保持するように構成された電線保持部28が設けられている。そして、電線保持部28は、端子20から延びる電線3の端部を除く一部の部分であって、当該電線3における屈曲部分を経た先において更に延びる部分を保持するように構成されている。或いは、当該コネクタ1とは異なる他のコネクタ1aから延びる電線3の端部を除く一部を保持するように構成されている。
【0105】
電線保持部28が、端子20から延びる電線3の端部を除く一部の部分であって、当該電線3における屈曲部分を経た先において更に延びる部分を保持する場合、上記電線3の部分を電線保持部28において保持することができる。これにより、コネクタ1を搬送する際において、コネクタ1から延びる電線が邪魔になってしまうことを抑制でき、接続対象部材に対して接続及び設置する作業を容易に行うことができる。
【0106】
また、電線保持部28が当該コネクタ1とは異なる他のコネクタ1aから延びる電線3の端部を除く一部を保持する場合、コネクタ1の搬送作業を行う作業者は、他のコネクタ1aから延びる電線3を当該コネクタ1の電線保持部28に保持させることが可能となり、コネクタ1を接続及び設置する際において電線3が邪魔になってしまうことを抑制することができる。これにより、作業者は、電線3が邪魔になってしまうことを抑制でき、接続対象部材に対して接続及び設置する作業を容易に行うことができる。
【0107】
従って、この構成によれば、コネクタ1を接続して設置する作業に際して電線3が邪魔になってしまうことを抑制でき、接続対象部材に対して接続して設置する作業を容易に行うことができる。
【0108】
本実施形態におけるコネクタ1によると、電線保持部28は、溝状に形成された保持溝30として構成されている。このため、端子20から引き出される電線3は保持溝30にはめ込まれて保持される。これにより、電線3は、電線保持部28にはめ込まれて確実に保持され、コネクタ1を搬送する際においても電線3が電線保持部28から外れるのを防ぐことができる。その結果、コネクタ1を設置する際において電線3が作業の邪魔になるのをより確実に防ぐことができる。
【0109】
本実施形態におけるコネクタ1によると、端子20に接続された電線3が引き出される方向と、保持溝30が延びる方向とが平行である。このため、保持溝30は、電線3の端子20から引き出される部分を、直線状に延びた状態で保持することができる。これにより、コネクタ1は、電線3のハウジング21から引き出される部分をコンパクトなスペースで効率良く保持することができる。
【0110】
本実施形態におけるコネクタ1によると、保持溝30の内面には突起31が設けられており、当該突起31は、保持溝30にはめ込まれた電線3が保持溝30の外側へ移動するのを規制する。このため、保持溝30にはめ込まれた電線3は、突起31に引っ掛かり保持溝30から脱落しにくくなる。これにより、作業者は、コネクタ1を搬送する際において、電線3が保持溝30から外れて作業の邪魔になるのを確実に防止することができる。
【0111】
本実施形態におけるコネクタ1によると、ハウジング21と、ハウジング21に保持された複数の端子20と、を備え、ハウジング21においては、ハウジング本体部22と、ハウジング本体部22から突出する一対の突出部23,23と、を有する。また、一対の突出部23,23は、ハウジング本体部22から、当該ハウジング本体部22に保持された端子20から電線3が引き出される方向に対して垂直な方向における両側に向けて突出している。そして、一対の突出部23,23のそれぞれは、当該コネクタ1を保持するための保持具34によって保持される部分としての被保持部32を有する。このため、個々のコネクタ1を保持具34によって被保持部32において保持し搬送することができる。
【0112】
また、一対の突出部23,23のそれぞれは、複数のスライド面41を有し、当該コネクタ1が位置決めされる際に用いられるように構成された部分としての位置決め部33を有している。このため、例えば、コネクタ1を複数積み重ねることができるようにスライド面41に対応した形状を有するレール部材39を設置することで、複数のコネクタ1を積み重ねられた状態にして一つにまとめることが可能となる。その結果、作業者は、複数のコネクタ1を把持して搬送する作業を容易に行うことができる。また、作業者は、上述の一対の突出部23,23を有することで、積み重ねて一つにまとめた複数のコネクタ1を順番に一つずつ把持して個々に搬送する作業も容易に行うことができる。
【0113】
従って、この構成によれば、複数のコネクタ1をコンパクトにまとめるために個々のコネクタ1を把持して搬送する作業を容易に行うことができるとともに、複数のコネクタ1をコンパクトにまとめた状態から個々のコネクタ1を順番に把持して搬送する作業を容易に行うことができる。
【0114】
本実施形態におけるコネクタ1によると、位置決め部33は、溝状に設けられている。このため、コネクタ1が複数積み重ねられる際、溝状に設けられたコネクタ1の位置決め部33が、スライド面41に対応した形状を有するレール部材39に対して確実に嵌まるように構成される。これにより、コネクタ1は、レール部材39に対して安定した状態でスライド移動することができる。
【0115】
また、この構成によると、被保持部32は、保持具34が嵌まるように凹状に形成された凹部35を有する。このため、コネクタ1は、凹部35において保持具34が嵌められた状態で保持される。また、被保持部32は、凹部35に対してハウジング21の高さ方向Hに並ぶとともに、凹部35に対して段差状に設けられた段差部36を有する。このため、コネクタ1は、段差部36によって形成される段差に対応する形状の保持具34によって保持されることで、高さ方向Hにずれない状態で安定して保持される。
【0116】
更に、この構成によると、ハウジング21における電線3の引き出し方向と平行な方向における一方の端部と他方の端部のそれぞれに一対の突出部23,23が設けられている。そして、一方の端部の一対の突出部23,23と他方の端部の一対の突出部23,23の間には、相手側コネクタ2に係止してロックするロック部26が設けられている。即ち、一対の突出部23,23が、ハウジング21の一方の端部と、他方の端部の両端部にそれぞれ設けられており、ロック部26は、これらそれぞれの一対の突出部23,23の間において、相手側コネクタ2に対して係止するように設けられている。このため、コネクタ1においては、ロック部26がハウジング21の両端部の間の重心位置或いは重心に近い位置において相手側コネクタ2に対して係止するため、より安定して強固な接続状態をより確実に維持することができる。
【0117】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
【0118】
(1)前述の実施形態では、一対の突出部23,23がコネクタ1の前後方向Xにおける前側及び後側の両側においてそれぞれ設けられている場合を例に説明したがこの通りでなくてもよい。例えば、一対の突出部23,23は、一つのコネクタ1に対して1組のみ設けられているものであってもよい。
【0119】
(2)また、前述の実施形態では、一対の突出部23,23が、ハウジング21における前後方向Xにおける前側及び後側の両側において設けられている場合を例に説明したがこの通りでなくてもよい。例えば、一対の突出部23,23が、ハウジング21における前後方向Xの中央部分に設けられていてもよい。
【0120】
(3)また、前述の実施形態では、凹部35は、2つの斜面によってハウジング21の幅方向Wにおいて外側にむけて開口するように構成されている場合を例に説明したが、例えば、凹部35は、ハウジング21の幅方向Wにおいて外側にむけて開口するように3つ以上の斜面によって構成されていてもよく、更には、曲面形状で構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、接続対象部材に複数の電線を接続するためのコネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0122】
1 コネクタ
3a 第1の電線
3b 第2の電線
21 ハウジング
50 複数の第1の端子
51 複数の第2の端子
W 幅方向
X 前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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