(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】部品移送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/28 20060101AFI20240122BHJP
B65G 47/14 20060101ALI20240122BHJP
B65G 57/03 20060101ALI20240122BHJP
B07C 5/36 20060101ALN20240122BHJP
【FI】
B65G47/28 L
B65G47/28 B
B65G47/14 K
B65G57/03 G
B07C5/36
(21)【出願番号】P 2023005532
(22)【出願日】2023-01-18
(62)【分割の表示】P 2019103401の分割
【原出願日】2019-06-01
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390017385
【氏名又は名称】宮川工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155549
【氏名又は名称】中村 敏之
(72)【発明者】
【氏名】中川 活秀
(72)【発明者】
【氏名】仲村 泰政
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-106338(JP,A)
【文献】特開平08-073035(JP,A)
【文献】特開平08-035940(JP,A)
【文献】特開2018-195019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22 ー 47/32
B65G 47/00 ー 47/20
B65G 57/00 ー 57/32
B07C 5/00 ー 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削加工を行う加工手段によって加工された部品を載置可能な部品載置部と、
前記加工手段によって加工された部品を吊り上げて移送可能であって、吊り上げ前とは別の方向となるように部品を回転させて移送可能な移送手段と、
前記加工手段によって加工された部品の下側を支持しつつ前記移送手段によって移送可能な位置まで、当該部品を移動可能な搬送手段と、
前記移送手段の動作を制御して前記部品載置部に部品を移送する制御を行う制御手段とを備え、
前記部品載置部が所定の並び方向に複数並ぶようにして設けられた部品移送装置であって、
前記制御手段は、前記搬送手段によって搬送される部品が、前記部品載置部へ搬送する部品であるか、前記部品載置部とは別の位置へ搬送する部品であるかを判定する処理を行い、前記加工手段によって加工された部品の一部のみを前記部品載置部へ移送する制御を実行可能であって、
前記搬送手段によって搬送された部品を吊り上げてから前記部品載置部への移送を完了するまでに、吊り上げ前とは別の方向となるように部品を回転させて、当該部品を移送する制御を実行可能に構成されていることを特徴とする部品移送装置。
【請求項2】
前記部品載置部には、1の部品載置部を、他の部品載置部から独立して移動させることを可能とする移動手段と、前記部品載置部を、支持枠の外側に押し出したり、その内側に引き込ませたりすることを可能とする駆動機構とが設けられ、その駆動機構を制御することによって前記部品載置部を移動する制御が可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の部品移送装置。
【請求項3】
前記部品載置部は、前記加工手段によって加工された部品を一時的に仮置きする仮置き場所として利用することが可能であって、複数の部品を積み重ねた状態とする場合において、少なくとも一部の部品を、製造された順序とは異なる順序で積み重ねることが可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品移送装置。
【請求項4】
前記加工手段は、木材に対しての切削加工を行うことにより棒状または板状の部品を製造可能な手段によって構成され、
前記移送手段によって前記棒状または板状の部品を移送することにより、前記部品載置部の各々に前記棒状または板状の部品を仕分けられた状態にして載置することが可能に構成されていることを特徴とする請求項1
から3のいずれかに記載の部品移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレカット加工装置等に使用可能な部品移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築現場で住宅の組み付け作業を効率的に行うために、プレカット加工工場にて組み立てに必要な部品を予め加工することが可能なプレカット加工装置が知られている。プレカット加工装置としては、構造材や羽柄材などの種々の部品が加工可能な装置が知られており、加工機によって加工された部品が部品移送装置によって出荷前の梱包を待機する待機位置等に移送可能に構成される。
【0003】
プレカット加工装置によってプレカット加工した部品は、建築現場に搬送されて、建築現場で必要な部品を選択して木造住宅の組み立てが行われる。この建築現場で必要な部品を選択する作業を容易にするために、同一箇所の構成部材をプレカット加工装置で連続加工して梱包することが提案されている。これにより、梱包された多数の部品の中から必要な部品を選択するために必要となる作業場所の広さを縮小したり、作業時間を短縮したりすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プレカット加工装置で同一箇所の構成部材を連続加工する場合、梱包後の仕分けに必要な作業場所の縮小や作業時間の短縮が期待できる一方で、プレカット加工を行う順序に対しての制限が増えてしまう。この加工順序の制限によって、別の順序で加工を行えば、歩留まりを高めることができる場合においても、その順序での加工ができなくなる場合が生じ得る。このため、歩留まりを高めつつ、仕分けが容易な梱包を可能とする構成について、改良の余地がある可能性があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、部品の加工における歩留まりを高くしつつ、仕分けが容易な梱包を行い易くすることが可能な部品移送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1に記載の部品移送装置は、切削加工を行う加工手段によって加工された部品を載置可能な部品載置部と、前記加工手段によって加工された部品を吊り上げて移送可能であって、吊り上げ前とは別の方向となるように部品を回転させて移送可能な移送手段と、前記加工手段によって加工された部品の下側を支持しつつ前記移送手段によって移送可能な位置まで、当該部品を移動可能な搬送手段と、前記移送手段の動作を制御して前記部品載置部に部品を移送する制御を行う制御手段とを備え、前記部品載置部が所定の並び方向に複数並ぶようにして設けられた部品移送装置であって、前記制御手段は、前記搬送手段によって搬送される部品が、前記部品載置部へ搬送する部品であるか、前記部品載置部とは別の位置へ搬送する部品であるかを判定する処理を行い、前記加工手段によって加工された部品の一部のみを前記部品載置部へ移送する制御を実行可能であって、前記搬送手段によって搬送された部品を吊り上げてから前記部品載置部への移送を完了するまでに、吊り上げ前とは別の方向となるように部品を回転させて、当該部品を移送する制御を実行可能に構成されていることを特徴としている。
また、請求項2に記載の部品移送装置は、請求項1に記載の部品移送装置において、前記部品載置部には、1の部品載置部を、他の部品載置部から独立して移動させることを可能とする移動手段と、前記部品載置部を、支持枠の外側に押し出したり、その内側に引き込ませたりすることを可能とする駆動機構とが設けられ、その駆動機構を制御することによって前記部品載置部を移動する制御が可能に構成されていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に記載の部品移送装置は、請求項1又は2に記載の部品移送装置において、前記部品載置部は、前記加工手段によって加工された部品を一時的に仮置きする仮置き場所として利用することが可能であって、複数の部品を積み重ねた状態とする場合において、少なくとも一部の部品を、製造された順序とは異なる順序で積み重ねることが可能に構成されていることを特徴としている。
また、請求項4に記載の部品移送装置は、請求項1から3のいずれかに記載の部品移送装置において、前記加工手段は、木材に対しての切削加工を行うことにより棒状または板状の部品を製造可能な手段によって構成され、前記移送手段によって前記棒状または板状の部品を移送することにより、前記部品載置部の各々に前記棒状または板状の部品を仕分けられた状態にして載置することが可能に構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の部品移送装置によれば、部品の加工における歩留まりを高くしつつ、仕分けが容易な梱包を行い易くすることが可能な部品移送装置を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】部品移送装置を含むプレカット加工装置の斜視図
【
図2】部品移送装置における部品載置部を形成する収集ユニットの斜視図
【
図3】(A)~(C)は、部品載置部に加工部品が積載された状態を示す断面図であって、(A)が
図2のA-A線を含む切断面による縦断面図、(B)が
図2のB1-B1線を含む切断面による縦断面図、(C)が
図2のB2-B2線を含む切断面による縦断面図
【
図4】(A)は、建築物の立面図の一部を示す模式図であり、(B)は、材料木材から長尺の部品を切り出す形態を示す模式図、(C)及び(D)は、開口部を形成するための短尺の部品を複数切り出す形態を示す模式図
【
図5】加工部品移送処理のプログラムを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、部品移送装置としての上流側移送装置2と下流側移送装置3とを含むプレカット加工装置100の斜視図である。なお、
図1において、制御装置9及び加工機1についてはブロック表記で模式的に示し、また、制御装置9によって制御される各種の装置や配線等、一部の構成を省略し、下流側移送装置3における吸着パッド35の配置位置及び向きの例を参考のために図示している。
【0012】
図1に示すように、プレカット加工装置100は、材料木材を加工する加工機1と、加工機1で加工された部品(以下、加工部品10とも称す)を移送する上流側移送装置2及び下流側移送装置3と、加工機1や上流側移送装置2及び下流側移送装置3を制御する制御装置9とを備えている。
【0013】
材料木材は、プレカット加工装置100によって加工される材料として用いられる木材であり、一定の断面形状(例えば、一辺が105mm長さの正方形状や、一辺が120mm長さの正方形状)で、予め定めた長さ(例えば、4m)に加工された状態にして、プレカット加工工場へと搬入される。材料木材としては、断面の大きさが異なる複数種類の木材が用いられる場合があり、加工部品10の断面の大きさに応じた材料木材がプレカット加工装置100に投入されることで加工部品10が効率良く製造される。
【0014】
加工機1は、材料木材を切断したり、他の部品と接合するためのほぞや溝等を形成したりする切削加工を行う装置であり、切削工具や駆動機構等を備え、また、文字や記号を加工部品10に印字可能な印字装置を備えている。加工機1は、CADにより生成される加工情報に基づいた加工を材料木材に対して行って加工部品10を製造する。この加工機1の加工においては、1本の材料木材から、1つの加工部品10が製造される場合だけでなく、複数の加工部品10が製造される場合がある。この材料木材から加工部品10が製造された後の残材を少なくすることで歩留まりの高い加工を行うことができる。
【0015】
上流側移送装置2及び下流側移送装置3は、加工部品10を、梱包が容易なように仕分けられた複数の待機位置に移送する装置(部品移送装置)である。なお、本実施形態においては、加工機1に近い上流側と、加工機1から離れた下流側とに分けて配置される2つの移送装置を組み合わせた場合について説明するが、必ずしも2つの移送装置によって部品移送装置を構成する必要はなく、一体化された1つの移送装置によって部品移送装置を構成してもよいし、3つ以上の移送装置を組み合わせて部品移送装置を構成してもよい。
【0016】
上流側移送装置2は、加工機1によって製造された加工部品10を受け取り、下流側移送装置3に移送する加工部品10と、下流側移送装置3に移送しない加工部品10とを仕分ける装置である。具体例として、上流側移送装置2は、ベルトコンベアによって構成される上流側コンベア21と、上流側搬送ガイド22と、上流側ストッパ部材23と、上流側検出装置24と、押圧装置25と、傾斜台28と、水平台29とを備えている。
【0017】
上流側コンベア21は、その上面が上流側搬送ガイド22の側に傾いた状態に設置されており、加工部品10は、上流側搬送ガイド22に当接した状態となって搬送される。上流側コンベア21に支持された加工部品10は、下流側移送装置3の側へと進行する前に、上流側ストッパ部材23に接触可能となっており、上流側ストッパ部材23の上下の配置位置の違いによって、下流側移送装置3の側へ進行しないようにすることができる。上流側ストッパ部材23が上昇した位置に配置されると、その下側には、加工部品10が通過可能な隙間が形成され、これにより、加工部品10が下流側移送装置3の側へ進行可能となる。
【0018】
上流側検出装置24は、上流側ストッパ部材23よりも上流側において、上流側コンベア21にて搬送されてくる加工部品10を検出する。下流側移送装置3の側へ進行させないで、水平台29の上に待機させる必要のある加工部品10は、上流側検出装置24によって存在が検出された後、駆動機構25bを通じた押圧部材25aの動作によって、傾斜台28の側へ押し出される。このため、下流側移送装置3の側に移送される加工部品10と、下流側移送装置3の側に移送しない加工部品10とを仕分けることができ、これにより、水平台29の上が待機位置となるように一部の加工部品10を仕分けることができる。この仕分け条件としては、加工機1によって加工された加工部品10が一定の長さ以上の長尺の部品であるか、短尺の部品であるかによって仕分けてもよいし、これに代えて、または、これに加えて、断面の大きさ、使用される箇所、加工部品10の種類などのいずれか又は組合せなど、別の仕分け条件によって仕分けてもよい。
【0019】
下流側移送装置3は、加工部品10を載置可能であって、複数並ぶようにして設けられた部品載置部40と、加工部品10を部品載置部40へ移送可能な移送機構36(移送手段)とを備えている。下流側移送装置3は、制御装置9の制御によって動作が制御され、加工部品10のうち、上流側移送装置2の水平台29に移送されなかった加工部品10が部品載置部40に移送される。なお、上流側移送装置2は、必ずしも設ける必要はなく、下流側移送装置3によって、全ての加工部品10を仕分けるようにしてもよく、また、下流側移送装置3より下流側に、別の部品移送装置を設けて、別の部品載置部や水平台によって構成される待機位置にも、一部の加工部品10が移送されるようにしてもよい。
【0020】
部品載置部40は、梱包が容易なように仕分けられた複数の待機位置を構成する部位であって、所定の並び方向として、下流側コンベア31による加工部品10の搬送方向に沿って複数並ぶようにして設けられている。各部品載置部40には、複数の加工部品10を載置可能に構成され、予め定めた仕分け条件によって関連付けられた加工部品10が、1つの部品載置部40にまとめられた状態にして載置される。例えば、建築物において近接して配置される複数の加工部品10(以下、関連部品群とも称す)が1つの部品載置部40にまとめられて載置可能に構成される。本実施形態においては、建築物における各開口部61~63を単位として、各開口部61~63を形成するために利用される複数の加工部品10が別々の部品載置部40にまとめられて載置可能に構成される場合を例示して説明する。
【0021】
ここで、複数の部品載置部40の並び方向は、下流側コンベア31による加工部品10の搬送方向に沿った方向に限らず、別の方向でもよい。例えば、下流側コンベア31による加工部品10の搬送方向と直交する方向や、所定の角度だけ傾斜する方向に並ぶ構成であってもよいし、複数の列に並んだ部品載置部40が、複数列で並び方向に並ぶようにしてもよい。また、複数の部品載置部40は、直線状に並ぶ構成に限らず、これに代えて、又は、これに加えて、曲線状に並ぶ構成や、折れ曲がってジグザグに並ぶ構成であってもよいし、下流側コンベア31を中心にした周方向に並ぶ構成であってもよいし、鉛直方向において部品載置部が並ぶようにした構成であってもよい。
【0022】
下流側移送装置3には、部品載置部40を形成する収集ユニット37が、部品載置部40の数分、複数並ぶようにして設けられている。各収集ユニット37には、1の部品載置部40と、最も近くに位置する他の部品載置部40との間を区画する区画部47が設けられている。
【0023】
区画部47は、部品載置部40に載置される加工部品10の短手方向の両側に位置し、複数の加工部品10が載置される各部品載置部40を区画する。具体的には、各部品載置部40に対しては、加工部品10の下側を支持する支持台41(
図3参照)が設けられ、区画部47は、支持台41に取り付けられた支柱48に固定された鉛直方向に延びる板状の区画壁によって構成されている。この区画部47と、支持台41とによって、加工部品10が載置可能な部品載置部40が形成される。
【0024】
なお、区画部47を構成する板状の区画壁は、穴のない板を用いて構成してもよいし、網目が設けられたメッシュ状の板など穴のある板状の部材によって構成してもよく、複数のスリットが設けられた板によって構成してもよい。また、区画部47として、板状の区画壁を、各部品載置部40の間のみに設ける構成に限らず、各部品載置部40を、上方のみが開口した箱状に区画壁を配置して構成してもよい。また、区画部47は、各収集ユニット37に対して部品載置部40の一方側のみに設置し、他方側の区画部47は、他の収集ユニット37に設けられる区画部47によって区画されるように構成してもよい。また、区画部47は、板状の区画壁による構成に限らず、これに代えて、又は、これに加えて、複数の棒状の部材を並べて構成してもよい。
【0025】
また、区画部47は、支持台41と必ずしも一体化させた構成とする必要はなく、例えば、複数の部品載置部40を囲うようにして設けられる支持枠30に一体化させた部位によって構成し、隣り合う2つの部品載置部40の間に位置する複数の柱や壁を、支持枠30の一部として設けてもよい。また、区画部47は、金属部品や樹脂部品により構成してもよいが、加工部品10を下側から支持する表面部分にゴム製のシートを設ける等、部品載置部40を形成する表面部分の少なくとも一部に弾性シートを設置し、部品載置部40に落下するようにして載置される加工部品10に加わる衝撃力が和らぐように構成してもよい。
【0026】
また、区画部47としての板状の区画壁には、部品載置部40に載置される加工部品10の長手方向において、部分的に分断された形状とすることが好ましく、具体例として、加工部品10が載置される部品載置部40の長手方向における略中央部分には、
図1に示すように、隙間が設けられている。この隙間は、2箇所以上に設けてもよく、この隙間には、加工部品10を束ねるための帯状のベルトを予め部品載置部40(支持台41)の短手方向に延ばしてセットすることができ、そのベルトの上に加工部品10を載置することで、部品載置部40に加工部品10がまとめられた後に、加工部品10を容易に束ねて梱包することができる。なお、支持台41の上面における、区画部47に隙間が設けられた部分と一致する箇所に、下側に凹んだ部分を設けてもよく、例えば、金属製の支持台41の上に、区画部47の隙間に相当する部分を除いてゴム製のシートを貼付して下側に凹んだ部分を形成してもよい。これにより、厚みのあるベルトを予めセットしておいても、加工部品10を支持台41の上に、安定した状態で載置することができるし、加工部品10を支持台41の上に載置した後で、凹んだ部分にベルトを通して加工部品10を束ねることもできる。また、区画部47によって形成される部品載置部40の幅は、予め加工部品10の全体を梱包可能なビニールシートなどの梱包シートを設置してから、加工部品10を載置可能な程度に、十分広幅に構成してもよい。
【0027】
また、区画部47は、支持台41に対して移動や回動動作が可能に設置してもよく、例えば、支持台41より上側に突出した位置と、支持台41より下側に下がった位置とにスライド移動が可能な区画部47を設けて、支持台41から加工部品10を移動する際には、区画部47が邪魔にならない位置に動かせるようにしてもよい。
【0028】
下流側移送装置3には、上流側移送装置2から搬送されてきた加工部品10を受け取り、直線的に搬送可能な下流側コンベア31が設けられている。下流側コンベア31で搬送されてきた加工部品10は、移送機構36によって部品載置部40へ移送される。
【0029】
移送機構36は、加工部品10を部品載置部40へ移送可能な機構であり、具体的には、加工部品10を吊り上げて移動させる吸着パッド35が鉛直方向に移動可能なレールの下端に取り付けられた天井クレーンによって構成される。この移送機構36によって、吸着パッド35は、鉛直方向の移動と、水平方向に沿った前後及び左右の移動が可能であり、また、鉛直方向を中心にした回転動作が可能に構成される。
【0030】
吸着パッド35が加工部品10の表面(上面)に接触し、吸着パッド35の内部を減圧することで加工部品10が吸着パッド35に吸着される。その後、移送機構36の動作によって吸着パッド35が上昇して加工部品10が吊り上げられてから、下流側コンベア31から部品載置部40のいずれかへ加工部品10が移送される。
【0031】
なお、移送機構36は、天井クレーンを用いる構成に限らず、多関節ロボット等の他の機構を用いる構成であってもよい。また、吸着パッド35を用いる構成に限らず、加工部品10の2つの側面を把持して持ち上げるなど、別の機構によって加工部品10を吊り上げる部分を構成して、加工部品10を部品載置部40へ移送する構成であってもよい。
【0032】
下流側移送装置3には、下流側コンベア31の上面の角度(傾斜)を変化させることが可能な傾斜調節装置32が設けられ、部品載置部40の側が高く、反対側が低くなるように、加工部品10を支持する上面が所定の角度で傾斜した姿勢と、その上面が水平な姿勢とを取ることが可能に構成されている。このため、吸着パッド35の吸着面(下面)を水平にし、また、下流側コンベア31の上面を水平な姿勢にして、加工部品10の上面を水平に保った状態で加工部品10を吊り上げることができる。これにより、吊り上げ後の加工部品10の揺れ(ブレ)を少なくして部品載置部40へ加工部品10を短時間で移送し易くすることができる。
【0033】
また、下流側移送装置3には、下流側コンベア31に対して、部品載置部40が位置する側(前方側)とは反対側となる側(後方側)に、加工部品10が落下しないようにしつつ直線的に進行するように誘導する下流側搬送ガイド(図示せず)が設けられている。加工部品10は、下流側コンベア31が後方側に傾斜して後方側に位置した状態で下流側搬送ガイドに支持されて搬送されることとなり、加工部品10を搬送する際に、部品載置部40の側には、加工部品10が移動しにくくなっている。これにより、短尺で軽量の加工部品10などが、複数の部品載置部40のうち誤った箇所へ混入してしまう事態を回避し易くすることができる。
【0034】
また、下流側移送装置3には、下流側ストッパ部材33と下流側検出装置34とが設けられ、この下流側ストッパ部材33に加工部品10が当接したことが下流側検出装置34で検出されて、下流側コンベア31による加工部品10の進行が停止する。この停止した位置を基準にすることで、長さの異なる加工部品10の重心部分に吸着パッド35を接触させることができ、加工部品10をバランスの良い状態で吊り上げて部品載置部40へ移送することができる。
【0035】
また、下流側移送装置3には、各部品載置部40に対応して、載置予定の全ての加工部品10の載置が完了したことを報知する報知装置39が設けられている。具体的には、報知装置39は、載置予定のない場合に消灯し、載置予定はあるが載置が完了していない場合には赤色で点灯し、載置が完了している場合には緑色で点灯する発光部によって構成され、その発光部が制御装置9によって制御される。報知装置39は、部品載置部40よりも高い位置に配置されている。このため、報知装置39による報知により載置が完了したことを作業者が簡便に確認でき、載置完了後の梱包などの作業を容易に行うことができる。なお、報知装置39は、発光部によって必ずしも構成する必要はなく、これに代えて、又はこれに加えて、液晶表示画面によって構成して1つの表示画面に複数の部品載置部40の状況を一括して表示可能にしてもよく、または、作業者が所持する携帯端末に情報を通信可能な通信装置を含む構成とし、携帯端末に予めインストールしたアプリケーションによって状況に応じた音を出力したり、振動を発生させたり、携帯端末の表示画面に状況を表示可能に構成してもよい。
【0036】
このように、下流側移送装置3には、複数の部品載置部40が設けられているので、1の部品載置部40には、仕分け条件が同一の加工部品10をまとめた関連部品群を載置させることができる。このため、1の部品載置部40に載置された加工部品10を締結帯で結束したり、シートでくるんだり、箱に収容したりして梱包することで、建築現場において、各関連部品群に分類された加工部品10を、建築現場に同時に搬送されてきた多数の加工部品10から容易に選択可能とし、関連部品群の中から作業に必要となる加工部品10を容易に選択することができる。
【0037】
また、下流側移送装置3に、複数の部品載置部40が設けられているので、複数の関連部品群を構成する複数の加工部品10を、連続して加工可能としつつ、各関連部品群に対応する部品載置部40へ載置することができる。このため、加工機1において、1の関連部品群と他の関連部品群とを構成する各加工部品10の加工順序の制限を少なくすることができる。よって、部品載置部40を1つしか設けず、1の関連部品群を構成する全ての加工部品10を製造して部品載置部40に載置した後でなければ、他の関連部品群を構成する1の加工部品10の製造を行わない場合に比べて、1本の材料木材から切り出す加工部品10の組み合わせを多様化することができ、その組み合わせを最適化することで残材を減らして歩留まりを高めることができる。
【0038】
ここで、部品載置部40について、
図2及び
図3を参照して詳細に説明する。
図2は、部品移送装置(下流側移送装置3)における部品載置部40を形成する収集ユニット37の斜視図である。また、
図3(A)~(C)は、部品載置部40に加工部品10が積載された状態を示す断面図であって、
図3(A)が
図2のA-A線を含む切断面による縦断面図、
図3(B)が
図2のB1-B1線を含む切断面による縦断面図、
図3(C)が
図2のB2-B2線を含む切断面による縦断面図である。
【0039】
図2に示すように、各部品載置部40は、収集ユニット37によって形成され、収集ユニット37には、加工部品10の下側を支持する支持台41(部品支持部)が設けられている。支持台41は、下流側コンベア31が位置する一端側(後側)が、支持枠30の内側に固定された案内レール51に接続されて支えられ、反対側(前側)が、その近傍に設けられた車輪46を有する可動支持脚45(移動手段)で支えられる構成としている。このため、複数の部品載置部40の並び方向と略垂直な方向(前後方向)に所定の距離だけ移動することができる。また、各部品載置部40は、他の部品載置部40と干渉することなく個別に移動(独立して移動)することができる。
【0040】
このように、各部品載置部40には、他の部品載置部40から独立して、支持台41に支持された加工部品10を移動可能とする可動支持脚45が設けられている。このため、通常の部品載置部40の並び位置においては、他の部品載置部40との位置を詰めて限られた領域に多数の部品載置部40を配置しつつ、必要に応じて、梱包がし易いように、他の部品載置部40より作業者の側に部品載置部40を引き出して、作業者がひとまとまりの部品を移動し易くすることができる。また、部品載置部40は、一時的な仮置き場所として利用することもでき、他の待機位置等に容易に移動がし易い場所まで部品載置部40を移動することで、加工部品10を移動することができる。よって、作業者による梱包作業のし易さや、移送機構36による加工部品10の移送のし易さを高めて、効率の良い加工部品10の移送が可能な装置とすることができる。
【0041】
また、各収集ユニット37において、支持台41は、支持脚52に下側が支持された案内レール51に対して、移動規制壁42によって支持台41の長手方向に垂直な短手方向における相対的な移動が制限されて、支持台41の長手方向に沿って直線状に移動可能に構成されている。また、支持台41は、案内レール51に対して、球体や円筒ころ等の接触摩擦を低減するベアリング43(
図3参照)を介して支持され、滑らかな相対移動が可能に設けられている。更に、各収集ユニット37において、支持台41における可動支持脚45が設けられる端部には、作業者の指先を差し込み可能な把持部材44が設けられ、人力によって簡便に各部品載置部40を移動させることが可能に構成されている。
【0042】
なお、各収集ユニット37は、案内レール51に沿う一方向に所定の距離だけ引き出すことが可能な構成としているが、この構成に限らず、後側の端部にも可動支持脚45と同様の可動支持脚45を設け、案内レール51の長さの制限によらず引き出せる構成であってもよい。この場合、案内レール51は、各部品載置部40の収納位置を規制するために設ける構成であってもよいし、案内レール51は、設けない構成であってもよい。また、各部品載置部40を人力によって引き出す構成であるが、各部品載置部40を支持枠30の外側に押し出したり、その内側に引き込んだりする駆動機構を備え、その駆動機構を制御装置9により制御して、関連部品群の積載が完了することを条件にして、又は、スイッチの操作等の人の操作を条件にして部品載置部40が移動する構成であってもよい。
【0043】
図3(A)~(C)に示すように、各部品載置部40は、複数の加工部品10を、長手方向を同一の方向にして、一列で上下に積み重ねる構成としている。このため、限られた空間内に多数の部品載置部40を並べて設けることができる。なお、所定の空間内で多数の部品載置部40を設ける観点からは、各部品載置部40において、複数の加工部品10を一列で、複数の部品載置部40の並び方向に交差する方向(上下方向)に積み重ねる構成が好ましいが、加工部品10の長手方向又は短手方向に並ぶ複数列に分けて積載する構成、例えば、加工部品10の長手方向や短手方向の長さ別に、又は加工部品10の厚み別に、配置する列を分けて上下に積み重ねる構成であってもよい。
【0044】
なお、部品載置部40に複数の加工部品10が載置された状態や、関連部品群の積載が完了して梱包が行われた後において、加工部品10の確認(特定)が容易となるように、複数の加工部品10が載置された状態において、加工部品10を特定可能な情報(例えば、後述する個体識別情報)を視認し易い位置に印字する構成とすることが好ましい。この情報を印字する位置としては、例えば、複数の加工部品10が積み重ねられた状態において、作業者が視認可能なように、加工部品10が積み重ねられる鉛直方向に直交する方向側を向く側面としてもよく、
図3(B)及び
図3(C)における加工部品10の左右両側に位置する側面としてもよいし、
図3(A)における加工部品10の左右両側に位置する端面としてもよく、この端面とした場合には、多数の情報がまとめられた状態で確認し易くすることができる。
【0045】
次に、
図4を参照して、部品載置部40に、複数の加工部品10を載置する構成について説明する。
図4(A)は、建築物の立面図の一部を示す模式図であり、
図4(B)は、材料木材19から長尺の部品を切り出す形態を示す模式図、
図4(C)及び
図4(D)は、開口部61~63を形成するための短尺の部品を複数切り出す形態を示す模式図である。
図4(A)~(C)において、各加工部品10の詳細な形状は省略して模式的に示している。また、以下の説明において、窓台と窓まぐさを、「まぐさ材」と称して説明する。
【0046】
図4(A)に示すように、建築物には、上下に配置される横架材11に連結される立柱12や長尺の間柱13のような長尺の部品や、開口部61~63を構成する扉や窓等を安定的に固定するための短尺の部品が設けられる場合がある。長尺の加工部品10(例えば、立柱12や間柱13等)は、
図4(B)に示すように、1本の材料木材19(一点鎖線で示した大きさ)から1つの加工部品10が製造される。また、扉や窓等を設けるための開口部61~63を形成するため等に使用される短尺の部品(まぐさ材14a,15a,16aや間柱14b,15b,15c,16b~16d等)は、
図4(C)及び
図4(D)に示すように、1本の材料木材19から複数の加工部品10が製造可能な組合せが考慮されて、歩留まりよく製造される。
【0047】
この加工部品10の組合せは、制御装置9のプログラムを用いて決定するように構成してもよく、又は、制御装置9に入力するCADデータを生成するCADによって予め決定しておいて、その決定された組合せを制御装置9に入力するようにしてもよい。いずれの組合せの決定をした場合においても、1本の材料木材19から複数の関連部品群に属する複数の加工部品10が製造される設定を可能として歩留まりを高めつつ、複数の部品載置部40を利用して各関連部品群を容易に仕分けした状態とすることができる。
【0048】
また、扉や窓等を設置するための各開口部61~63を形成するために必要な関連部品群(複数の加工部品10)は、開口部61~63ごとに分類して、別々の部品載置部40に載置される。この関連部品群の設定として、例えば、扉を設置する開口部61は、扉の上側に位置するまぐさ材14aと、まぐさ材14aと上側の横架材11とに連結される短尺の間柱14bとが、関連部品群として設定される。また、窓を設置する開口部62には、窓の上側及び下側に位置する2つのまぐさ材15aと、それらのまぐさ材15aと上側の横架材11や下方の横架材11とに連結される間柱15b,15cとが、関連部品群として設定される。また、1つの窓の上に別の窓(明り取り用や換気用など)を設置する場合があり、このような上下に離間して複数の開口が形成される開口部63には、更に、上側の開口の下端と下側の開口の上端とを形成する2つのまぐさ材16aに連結される間柱16dが含まれるようにして、関連部品群が設定される。なお、関連部品群の設定は、上記した例に限るものでなく、他の種類の部品を含む組合せとしてもよく、例えば、開口部61~63のいずれかに、窓部分を仕切る方立が含まれる場合に、その方立を含むようにして、関連部品群を設定してもよい。
【0049】
ここで、2つの立柱12の間に形成される各開口部61~63に対して、その形成に必要な短尺の部品(まぐさ材14a,15a,16aや短尺の間柱14b,15b,15c,16b~16d)の長さや本数は、設置する扉や窓の大きさや重量によって変化する。このため、1つの部品載置部40に1の関連部品群を構成する加工部品10が収まりきらない場合があり、この場合には、2以上の部品載置部40に、1の関連部品群を構成する加工部品10が載置される。
【0050】
制御装置9は、加工部品10を移送可能な上流側移送装置2及び下流側移送装置3の動作を制御して部品載置部40に加工部品10を移送する制御を行う装置である。制御装置9は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成され、本体部分としての制御部90と、各種のデータや制御装置9によって制御される各種の装置の稼働状況を出力するディスプレイ等の表示部91と、記録媒体や他の制御装置から各種のデータを取得するための通信装置や各種の動作指示を入力するキーボード及びマウスで構成される入力部92とを備えて構成される。制御部90は、各種のプログラム及び各種のデータを記憶するROM(ICチップ)又はRAM(磁気ディスクやSSD)や一時的に各種のデータを記憶するRAM等の記憶装置、プログラムの実行や各種のデータに対する演算処理を行うCPU等の演算処理装置等を備えている。
【0051】
制御部90には、入力部92から入力される建築物のCADデータから、製造が必要な数分の加工部品10を互いに識別可能な情報(以下、個体識別情報とも称す)を抽出し、また、各加工部品10に対して必要な加工に関する情報(以下、加工情報とも称す)を抽出するプログラムが記憶されている。個体識別情報は、建築物において使用される箇所、長さ、断面の大きさ、加工部品10の種類などを含む情報によって構成され、抽出された個体識別情報は、関連部品群を設定して加工後の待機位置となる水平台29や部品載置部40の決定に用いられ、また、印字装置によって加工部品10へ個体識別情報を印字する場合に使用される。
【0052】
ここで、個体識別情報の一部として、関連部品群の各々に対応した個別の情報を含む設定とし、その個別の情報を用いて移送先の部品載置部40を選定するようにしてもよい。例えば、開口部61~63の配置位置が共通する加工部品10には、開口部61~63の配置位置の各々に対応した個別の情報(例えば、開口部の配置位置に対応して別々の数字やアルファベットが設定される開口部情報)を含むようにしてもよく、この個別の情報はCADにより予め設定するように構成することが好ましい。これにより、各加工部品10が属する関連部品群を、制御装置9の側において特定し易くして、制御装置9のプログラムを簡略化することができるし、その個別の情報を印字装置によって印字することで、加工部品10が属する関連部品群を識別し易くすることができる。
【0053】
加工情報は、建築物のCADデータから断面の大きさや長さ、接合部の形状などを含む情報によって構成され、加工機1による材料木材から加工部品10への切削加工に使用される。なお、個体識別情報や加工情報の一部を、作業者が入力部92を通じて入力し、その入力された情報を加工機1による加工の一部に利用する構成であってもよい。例えば、各関連部品群に属する部材に、各関連部品群に対応した個体識別情報を付加してもよく、開口部61~63について、開口部61に対応する関連部品群には「A」、開口部62に対応する関連部品群には「B」の情報(開口部情報)を、個体識別情報の一部として付加するようにしてもよい。
【0054】
また、制御部90には、加工機1における材料木材の切削加工を制御する材料加工処理のプログラムが記憶されている。制御装置9は、材料加工処理の実行によって加工情報に基づいて加工機1の動作を制御し、材料木材から加工部品10を製造する。
【0055】
また、制御部90には、部品載置部40を含む複数の待機位置のいずれかへ加工部品10を移送する制御を行う加工部品移送処理のプログラムが記憶されている。制御装置9は、加工部品移送処理の実行によって、上流側移送装置2及び下流側移送装置3の動作を制御し、加工部品10を、予め定められた仕分け条件に基づいて複数の部品載置部40に仕分けされた状態となるように移送する。
【0056】
図5は、加工部品移送処理のプログラムを示すフローチャートである。加工部品移送処理においては、まず、加工機1による加工が完了して、上流側移送装置2に移送された加工部品10の種別を判定する種別判定処理を行う(S1)。この種別判定処理において、個体識別情報に基づいて、長尺の部品であるか、短尺の部品であるかが判断され、また、いずれの関連部品群に属する加工部品10であるかが判断される。これにより、加工部品10の移送先となる待機位置としての水平台29や部品載置部40が決定される。
【0057】
例えば、種別判定処理(S1)によって、長尺の部品は、上流側移送装置2の水平台29が移送先として選定され、開口部61(
図4参照)を構成する加工部品10は、作業者側(
図1の左下側)から複数の部品載置部40を見た場合における右端の部品載置部40が選定される。また、開口部62(
図4参照)を構成する加工部品10は、開口部61に対応する部品載置部40の左隣の部品載置部40が選定され、開口部63(
図4参照)を構成する加工部品10は、開口部62に対応する部品載置部40の左隣の部品載置部40が選定される。
【0058】
種別判定処理(S1)によって短尺の部品であると判定された場合には、上流側移送装置2と下流側移送装置3とを制御して、移送機構36の吸着パッド35によって加工部品10を吊り上げる位置(吊上位置)まで上流側コンベア21と下流側コンベア31を動作させて加工部品10を搬送する(S2)。このS2の処理の後、移送機構36と吸着パッド35を制御して、加工部品10を吊り上げる(S3)。
【0059】
ここで、加工部品10の吊り上げ時において、吸着パッド35の向きを、加工部品10の長さなどに応じて異ならせるようにしてもよい。例えば、吸着パッド35の下面が略長方形状に形成されており、この下面の長手方向より長い加工部品10などは、加工部品10の長手方向と吸着パッド35の長手方向を一致させて吊り上げる一方、吸着パッド35の下面の長手方向よりも短い加工部品10など、一部の加工部品10については、吸着パッド35の下面の長手方向と、加工部品10の長手方向とが上面視において交差するようにして、吸着パッド35の下面に加工部品10を吸着させるようにしてもよい。
【0060】
S3の処理の後、種別判定処理(S1)で判定した関連部品群に対応して選択される部品載置部40へ向かって、吸着パッド35の回転と移動とを行い、加工部品10を移動する(S4)。S4の処理の後、加工部品10を部品載置部40へ載置して、加工部品10の移動が完了する。なお、吸着パッド35の回転は、短尺の加工部品10においては、必要がない場合があり、この場合には、加工部品10の回転を行うことなく、吸着パッド35を移動して部品載置部40へ加工部品10を移動するようにしてもよい。
【0061】
一方、種別判定処理(S1)によって長尺の部品であると判定された場合には、上流側移送装置2を制御して、押圧装置25によって加工部品10を押し出し可能な押出位置まで上流側コンベア21を動作させて加工部品10を搬送し(S6)、加工部品10を押圧装置25によって水平台29の側へ押し出す(S7)。
【0062】
このように、制御装置9は、下流側移送装置3の移送機構36の動作を制御して、加工部品10を、予め定められた仕分け条件に基づいて設定される関連部品群毎に、複数の部品載置部40に仕分けされた状態となるように移送する制御を行う。このため、加工部品10の加工における歩留まりが高くなるように、1本の材料木材から関連部品群が異なる加工部品10の組合せを設定し、それらの加工部品10を連続加工しても、関連部品群毎に、異なる部品載置部40へ、加工部品10を移送することができる。よって、加工部品10の加工における歩留まりを高くしつつ、仕分けが容易な梱包を行い易くすることが可能なプレカット加工装置100とすることができる。
【0063】
また、制御装置9によって加工部品移送処理が行われる場合に、個体識別情報としての開口部61~63の配置位置に基づいた開口部情報を利用して関連部品群を設定することができる。すなわち、加工部品移送処理には、制御装置9における関連部品群の仕分け条件として、開口部情報に基づいた仕分け条件を含むようにし、制御装置9は、加工機1を制御して開口部情報が異なる複数箇所の開口部61~63の配置位置に対応した部品が混在する順序にて加工部品10を加工し、その加工部品10を、開口部情報に基づいて仕分けられる部品載置部40へ移送する制御を実行することができる。
【0064】
ここで、仕分け条件としては、開口部情報に基づいた仕分け条件に限らず、他の種々の条件を利用することができる。例えば、開口部情報に基づいた仕分け条件に代えて、又は、これに加えて、建築物の壁を単位とした仕分け条件を用いてもよいし、通り芯を単位とした仕分け条件を用いてもよく、この仕分け条件によって仕分けられる複数の関連部品群を1本の材料木材から製造し、各関連部品群毎に別々の部品載置部40へ仕分けるようにしてもよい。
【0065】
また、制御装置9は、加工部品移送処理により、加工部品10の下側を支持しつつ移動可能に構成される上流側コンベア21及び下流側コンベア31によって搬送された加工部品10を吊り上げてから部品載置部40への移送を完了するまでに、加工部品10の長手方向が吊り上げ前とは別の方向となるように回転させて、加工部品10を部品載置部40へ移送する。このため、部品の搬送される向きとは異なる向きにして、部品載置部40へ加工部品10を移送することができる。よって、複数の部品載置部40を設定した場合において、吊上位置から大きく離間しないように各部品載置部40を配置することができ、加工部品10の移送時間(移送距離)の差を少なく設定し易くして、プレカット加工装置100の加工能力を高め易くすることができる。また、短尺の部品のみが対象となるように、加工部品10を仕分けて複数の部品載置部40へ載置することができるので、各部品載置部40の必要な長さを短くし、限られた狭い領域内に数多くの部品載置部40を設定し易くすることができる。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものであり、例えば、以下に記載するように変形して実施してもよい。
【0067】
上記実施形態において、加工機1として、木材を加工する構成について説明したが、金属や樹脂などの別の材料で成形された棒状の材料を加工する構成にしてもよい。また、棒状の材料に限らず、加工機1によって棒状とは異なる形状の材料を加工してもよく、例えば、板状の材料を切削加工して板状の部品を製造し、その製造された1又は複数の板状の部品を、部品載置部40の各々に仕分けられた状態にして載置する構成にしてもよい。これらの場合においても、複数の部品載置部40を備えた下流側移送装置3を利用して、歩留まりを高めつつ、仕分けが容易な梱包を行い易くすることができる。
【0068】
また、上記実施形態においては、複数の部品載置部40が並び方向において、移動不能な場合について説明したが、各部品載置部40が並び方向において移動可能な移動機構を設けて、制御装置9の制御によって、部品載置部40を移動させる構成にして、加工部品10を部品載置部40へ移送するようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態においては、複数の部品載置部40に載置される加工部品10の長手方向(載置方向)と、吊り上げ前の加工部品10の搬送方向とが交差するように構成したが、加工部品10の載置方向と、搬送方向とが同一となるように構成し、移送機構36による移送において回転を伴わずに、加工部品10を、吊上位置から部品載置部40へ移送可能に構成してもよい。
【0070】
また、上記実施形態においては、複数の部品載置部40が移動可能に構成される場合について説明したが、複数の部品載置部40の少なくとも一部が移動不能に構成されてもよい。
【0071】
また、上記実施形態においては、複数の収集ユニット37が同一の構成とされて、複数の部品載置部40の大きさが同一の場合について説明したが、複数種類の収集ユニットを用いて部品載置部を構成してもよく、例えば、2種以上の異なる大きさや形状の部品載置部が含まれるようにして複数の部品載置部40を構成してもよい。
【0072】
また、上記実施形態において、下流側移送装置3は、複数の開口部61~63を形成するためのまぐさ材14a,15a,16aや短尺の間柱14b,15b,15c,16b~16dを、各開口部の単位で別々の部品載置部40にまとめて載置する構成であるが、この構成に限らず、開口部61に付随して設けられる部品、例えば、屋外に通じる扉や窓を設ける開口部において、雨よけや日差しよけ等のために屋外に突出する庇を設けたり、その開口部の近傍に雨戸を設けたりする場合があり、この庇や雨戸等を設けるための部品を含めて、1の部品載置部40に載置する構成であってもよい。
【0073】
また、上記実施形態において、下流側移送装置3は、すべての開口部61~63について、各開口部61~63に対応する関連部品群を、各開口部61~63の各々に設定した部品載置部40に載置する構成であるが、この構成に限らず、2つの開口部(例えば、開口部61及び62)に対応する関連部品群を1の部品載置部40にまとめて載置するなど、関連部品群として各開口部61毎とは別の分類とする構成であってもよい。
【0074】
また、上記実施形態において、各部品載置部40は、同一の関連部品群として設定された複数の加工部品10を、加工機1により製造された順序で、下側から順に積み重ねる構成であるが、これに限らず、複数の部品載置部40のうちの一部の部品載置部40を仮置き場として利用し、少なくとも一部の加工部品10については製造された順序とは異なる順序で積み重ねるようにしてもよい。例えば、1の部品載置部40に配置すべき複数の加工部品10を長いものほど下側に位置するように積み重ねる構成を付加してもよい。
【0075】
また、上記実施形態において、加工部品10を所定の位置に移送する部品移送装置としては、下流側移送装置3の移送機構36と、複数の部品載置部40と、移送機構36の動作を制御するプログラム(移送プログラム)とを備える構成であればよく、下流側移送装置3の下流側コンベア31や、制御装置9の表示部91や入力部92など、一部の構成は省略してもよいし、区画部47を省略して下流側移送装置3を構成してもよい。また、複数の部品載置部40と移送機構36とを備えていない従来のプレカット加工装置100に、下流側移送装置3の移送機構36と、複数の部品載置部40と、移送プログラムとを組み合わせた部品移送装置を付加して、本発明の実施形態に相当するプレカット加工装置100を実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように、この発明は、プレカット加工装置等に使用可能な部品移送装置に適している。
【符号の説明】
【0077】
1…加工機、2…上流側移送装置、3…下流側移送装置(部品移送装置の一部)、9…制御装置(制御手段、部品移送装置の一部)、10…加工部品(部品)、11…横架材、12…立柱、13…長尺の間柱、14a,15a,16a…まぐさ材、14b,15b,15c,16b~16d…短尺の間柱、19…材料木材、21…上流側コンベア、22…上流側搬送ガイド、23…上流側ストッパ部材、24…上流側検出装置、25…押圧装置、28…傾斜台、29…水平台、30…支持枠、31…下流側コンベア、32…傾斜調節装置、33…下流側ストッパ部材、34…下流側検出装置、35…吸着パッド、36…移送機構、37…収集ユニット、39…報知装置、40…部品載置部、41…支持台、42…移動規制壁、43…ベアリング、44…把持部材、45…可動支持脚、46…車輪(移動手段)、47…区画部、48…支柱、51…案内レール、52…支持脚、61~63…開口部