(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 21/02 20060101AFI20240122BHJP
B65D 21/032 20060101ALI20240122BHJP
B65D 23/10 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
B65D21/02 510
B65D21/032
B65D23/10 A
(21)【出願番号】P 2018154176
(22)【出願日】2018-08-20
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 充史
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-170943(JP,A)
【文献】特開平10-278935(JP,A)
【文献】特開2012-121578(JP,A)
【文献】登録実用新案第3208343(JP,U)
【文献】特開2013-189215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/02
B65D 21/032
B65D 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が開口した箱体部を有する容器本体と,前記容器本体の上部に脱着可能に取り付けられる上下両端が開口した上枠体とを有し,前記容器本体に前記上枠体を取り付けた状態にて,長尺状の収容物を立てた状態で収容する容器であって,
前記箱体部および前記上枠体はいずれも,下方ほど狭く上方ほど広い斜面体形状であり,
前記容器本体には,
前記箱体部の開口部の外側に形成された本体当接面部と,
前記本体当接面部の裏面側の位置に形成された,前記容器本体から前記上枠体を取り外して容器本体同士で段積みしたときに下の容器本体の本体当接面部の表面(おもてめん)に当接することで箱体部同士の密着を防ぐ第1ストッパリブと,
前記本体当接面部の外縁から下向きに延びて形成された,上方ほど狭く下方ほど広い逆斜面体形状の外壁部と,が設けられており,
前記上枠体には,
上端の開口部の外側に形成された表面が平坦な上側当接面部と,
前記上側当接面部の裏面側に形成された,前記上枠体を前記容器本体から取り外して上枠体同士で段積みしたときに下の上枠体の上側当接面部の表面(おもてめん)に当接することで上枠体同士の密着を防ぐ第2ストッパリブと,が設けられており,
前記外壁部には,前記容器本体から取り外して上下逆さにした前記上枠体の上に前記容器本体を重ねたときに,前記第2ストッパリブに当接することで前記上枠体と前記外壁部との密着を防ぐ底部が形成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項
1に記載の容器であって,前記上枠体には,
上端の開口部に沿って上側窓部が形成されており,
前記上側窓部の上辺に沿って,外向きに延びて形成された持ち手リブが設けられていることを特徴とする容器。
【請求項3】
請求項
1に記載の容器であって,
前記第1ストッパリブは,前記本体当接面部の裏面と,前記箱体部の外面もしくは前記外壁部の内面とにわたって形成されていることを特徴とする容器。
【請求項4】
請求項1から請求項
3までのいずれか1つに記載の容器であって,前記上枠体は,
下端の開口部の外側に形成された,前記容器本体に前記上枠体を取り付けた状態で前記本体当接面部の上に重なって位置する上枠当接面部と,
前記上枠当接面部の内縁から上方に突出して形成された,前記上枠体を前記容器本体から取り外して前記容器本体に上下逆さに被せた被せ状態にて前記箱体部の開口部の内面側に進入する突出部とを有することを特徴とする容器。
【請求項5】
請求項4に記載の容器であって,
前記外壁部の外形寸法と前記上枠体の内法(うちのり)寸法とが,前記被せ状態にて前
記本体当接面部上に前記上枠体の前記上枠当接面部の上面を重ねた際に,前記外壁部の外
面と前記上枠体の内面との間に隙間ができる関係になっていることを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,長尺状の収容物を立てた状態で収容する用途に用いて好適な容器に関する。さらに詳細には,容器本体とその上部に脱着可能に取り付けられる上枠体とにより構成される容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,花卉(かき)や傘などの長尺物の収容には,その用途に特化した容器が用いられることがある。特許文献1にその一例が記載されている。同文献の
図1に描かれている容器(1)は,下側の容器本体(10)とその上の上枠体(20)とにより構成されている。これにより前述のような長尺物を,立てた状態で収容できるようになっている。容器本体(10)と上枠体(20)とは脱着可能となっている。そして同文献には,容器(1)の保管時の状態も記載されている。すなわち同文献の
図10には容器本体(10)の上に上枠体(20)を逆さに伏せた状態が,
図11には容器本体(10)同士を重ねた状態が,
図12には上枠体(20)同士を重ねた状態が,それぞれ描かれている。このうち
図11や
図12の積み重ねでは多段積みも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記した従来の長尺物用の容器には,次のような問題点があった。保管時の状態にすると,部材同士の密着が起こるのである。すなわち特許文献1の
図10~
図12の状態でそれぞれ,重ねられている容器本体(10)や上枠体(20)の斜面部分同士が密着してしまう。このためこれらの状態で長期間保管すると,部材同士を分離しにくくなることがあった。特に,
図11や
図12の積み重ねで多段積みすると,下の段の容器本体(10)や上枠体(20)が過重により変形してしまうこともある。これらの問題により次回の再使用に支障が出る場合があった。
【0005】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,保管時の状態においても部材の斜面部分同士の密着が起こらず,次回の再使用に支障を来さない容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は,上端が開口した箱体部を有する容器本体と,容器本体の上部に脱着可能に取り付けられる上下両端が開口した上枠体とを有し,容器本体に上枠体を取り付けた状態にて,長尺状の収容物を立てた状態で収容する容器であって,箱体部および上枠体はいずれも,下方ほど狭く上方ほど広い斜面体形状であり,容器本体には,箱体部の開口部の外側に形成された本体当接面部と,本体当接面部の裏面側の位置に形成された,容器本体から上枠体を取り外して容器本体同士で段積みしたときに下の容器本体の本体当接面部の表面(おもてめん)に当接することで箱体部同士の密着を防ぐ第1ストッパリブと,が設けられており,上枠体には,上端の開口部の外側に形成された表面が平坦な上側当接面部と,上側当接面部の裏面側に形成された,上枠体を容器本体から取り外して上枠体同士で段積みしたときに下の上枠体の上側当接面部の表面(おもてめん)に当接することで上枠体同士の密着を防ぐ第2ストッパリブと,が設けられている容器(以下、「上記容器」という。)に関するものである。
【0007】
上記容器では,容器本体の上部に上枠体を取り付けた本来の使用状態の他に,容器本体同士あるいは上枠体同士を重ね合わせた保管状態を取ることができる。容器本体同士を重ね合わせた保管状態では,下の容器本体の本体当接面部の表面に,上の容器本体の第1ストッパリブが当接している状態となる。これにより,上下の容器本体の箱体部同士の密着が防止される。ここで第1ストッパリブは,本体当接面部の裏面側の位置に存在するものであるが,本体当接面部の裏面に繋がっていることが必須な訳ではない。上枠体同士を重ね合わせた保管状態では,下の上枠体の上側当接面部の表面に,上の上枠体の第2ストッパリブが当接している状態となる。これにより,上下の上枠体同士の密着が防止される。ここで,上枠体の保管状態では,各上枠体を上下逆さにした状態で重ね合わせることも多々ある。その場合には,下の上枠体の第2ストッパリブに上の上枠体の上側当接面部の表面が当接することとなるが,同じことである。このため,容器本体,上枠体とも,保管状態から容易に単体を取り出して再使用に供することができる。
【0008】
本発明の一態様における容器では,上記容器であってさらに,上枠体には,上側窓部の上辺の両端の位置にそれぞれ第2ストッパリブが形成されており,持ち手リブは,上側窓部の上辺の両端の第2ストッパリブを結んで形成されている。このようになっていると,持ち手リブの掴みやすさや上枠体における該当箇所の強度上有利である。
【0009】
本発明の一態様における容器ではさらに,容器本体には,本体当接面部の外縁から下向きに延びて形成された,上方ほど狭く下方ほど広い逆斜面体形状の外壁部が設けられている。外壁部は,容器本体を単体で,もしくは上枠体を取り付けた状態で立てておく姿態を安定させるものである。
【0010】
本発明の一態様における容器ではさらに,外壁部には,容器本体から取り外して上下逆さにした上枠体の上に容器本体を重ねたときに,第2ストッパリブに当接することで上枠体と外壁部との密着を防ぐ底部が形成されている。このようになっていると,上記のような容器本体同士あるいは上枠体同士を重ね合わせた保管状態の他に,上下逆さにした上枠体の上に容器本体を重ねた保管状態をとることもできる。この保管状態では,下の上枠体の第2ストッパリブに,上の容器本体の底部が当接している状態にある。この当接により,上枠体と容器本体の外壁部との密着が防止されている。
【0011】
本発明の一態様における容器ではさらに,上枠体には,上端の開口部に沿って上側窓部が形成されており,上側窓部の上辺に沿って,外向きに延びて形成された持ち手リブが設けられているものとすることができる。このようになっていると,上枠体同士を重ね合わせた保管状態から最上位置の1つの上枠体を取り出す時に,持ち手リブを掴んで持ち上げればよく,容易である。
【0012】
本発明の一態様における容器ではまた,第1ストッパリブは,本体当接面部の裏面と,箱体部の外面もしくは外壁部の内面とにわたって形成されていることが望ましい。このようになっていれば,容器本体における第1ストッパリブおよびその周辺部位の強度上,有利である。
【0013】
上記のいずれかの態様の容器では,上枠体は,下端の開口部の外側に形成された,容器本体に上枠体を取り付けた状態で本体当接面部の上に重なって位置する上枠当接面部と,上枠当接面部の内縁から上方に突出して形成された,上枠体を容器本体から取り外して容器本体に上下逆さに被せた被せ状態にて箱体部の開口部の内面側に進入する突出部とを有することが望ましい。このようになっていると,上枠体を上下逆さにして容器本体の上に重ねた保管状態が安定する。当該保管状態では,上枠体の突出部が下向きになっており,さらに,下の容器本体の箱体部の開口部の内面側に進入した形になっているからである。このため,下の容器本体に対する上の上枠体の水平移動が規制されるからである。
【0014】
外壁部と突出部とをいずれも有する態様の容器では,外壁部の外形寸法と上枠体の内法(うちのり)寸法とが,被せ状態にて本体当接面部上に上枠体の上枠当接面部の上面を重ねた際に,外壁部の外面と上枠体の内面との間に隙間ができる関係になっていることが望ましい。このようになっていれば,上枠体を上下逆さにして容器本体の上に重ねた保管状態にて,外壁部の外形寸法と上枠体の内法寸法との関係により,容器本体の外壁部と上枠体との密着が防止されるからである。
【発明の効果】
【0015】
本構成によれば,保管時の状態においても部材の斜面部分同士の密着が起こらず,次回の再使用に支障を来さない容器が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に係る容器の全体形状を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る容器における容器本体を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る容器における上枠体を示す斜視図である。
【
図4】容器本体同士を複数個積み重ねた状態で,さらに縦に切断した状態で示す斜視図である。
【
図5】容器本体同士を複数個積み重ねた状態の正面図である。
【
図6】逆さにした上枠体同士を複数個積み重ねた状態で,さらに縦に切断した状態で示す斜視図である。
【
図7】逆さにした上枠体同士を複数個積み重ねた状態の正面図である。
【
図8】逆さにした上枠体を容器本体の上に被せた状態で,さらに縦に切断した状態で示す斜視図である。
【
図9】
図3の上枠体を縦に半分に切断した状態で示す斜視図である。
【
図10】逆さにした上枠体を容器本体の上に被せた状態の正面図である。
【
図11】
図10に示したものを2段積み重ねた状態を示す斜視図である。
【
図12】逆さにした上枠体の上に容器本体を載せた状態で,さらに縦に切断した状態で示す斜視図である。
【
図13】逆さにした上枠体の上に容器本体を載せた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,
図1に示す容器60として本発明を具体化したものである。
図1の容器60は,容器本体4と,その上の上枠体6とにより構成されている。上枠体6は,容器本体4の上部に対して脱着可能である。容器60は,容器本体4と上枠体6とを合わせた全体として縦長の箱状をなしており,長尺物を立てて収容するのに適したものである。なお,容器60を上方から見ると,コーナー部が丸められた正方形状である。容器本体4と上枠体6とはいずれも,合成樹脂製である。
【0018】
図2に,容器本体4の単体を示す。容器本体4は,箱体部11を有している。箱体部11は,上端が開口した箱状の部分であり,下方がやや狭く上方がやや広い斜面体形状とされている。容器本体4はさらに,外壁部13を有している。外壁部13は,箱体部11の外側に位置し,箱体部11の斜面体形状とは逆に,上方が狭く下方が広い逆斜面体形状とされている。容器本体4の接地箇所は外壁部13の底部14であり,箱体部11の底部15は地面からやや浮いている。
【0019】
容器本体4における箱体部11と外壁部13とは,上端部で互いに繋がっており一体となっている。その上端部には,箱体部11の開口部16を囲む上向きの平坦面である本体フランジ面17が形成されている。外壁部13にはさらに,底部14寄りの下窓18と,本体フランジ面17寄りの上窓19とが形成されている。外壁部13のうち下窓18と上窓19との間の横方向の部分が,下桟部21である。また,外壁部13のうち上窓19と本体フランジ面17との間の横方向の部分が,垂れ部22である。垂れ部22の一部が,他の部分より凹んだ凹部24となっている。凹部24を含めた垂れ部22は,容器本体4の上端から箱体部11の外側かつ下方向きに形成されている。
【0020】
図3に,上枠体6の単体を示す。上枠体6は,上下両端がいずれも開口した角筒状の部材である。上枠体6は,下方が狭く上方が広い斜面体形状とされている点で箱体部11の形状と共通する。上枠体6の上端には,四隅に位置し表(おもて)面が平坦なトップ当接面部25が設けられている。トップ当接面部25は,上枠体6の上端の開口部26の外側に位置する。上枠体6の下端付近には,開口部27を囲んでフランジ部28が形成されている。
【0021】
上枠体6にはまた,フランジ部28寄りの下窓29と,トップ当接面部25寄りの上窓31とが形成されている。上枠体6はさらに,フランジ部28と下窓29との間の横方向の壁部分である下壁部32と,下窓29と上窓31との間の横方向の壁部分である中壁部33と,上窓31とトップ当接面部25との間の横方向の壁部分である上壁部34と,を有している。このうちの下壁部32は,フランジ部28の外側の縁から上向きに形成されている。さらに,下壁部32の一部分から下方に向かって,係止部35が形成されている。
【0022】
上記の容器60では,容器本体4に上枠体6を取り付けた
図1の状態にて,長尺状の収容物を立てた状態で収容することができる。収容できる長尺状の収容物の例としては,花卉や雨傘等を挙げることができる。なお,容器本体4のみの状態であっても,さほど長くない収容物なら収容可能である。
図1の状態では,容器本体4の凹部24に上枠体6の係止部35が引っ掛かることで,容器本体4に上枠体6が固定されている。
【0023】
本形態の容器60は,
図1に示した使用状態の他に,保管状態を取ることができる。以下,容器60の保管状態について説明する。容器60の保管状態には,3通りの状態がある。第1の保管状態は,容器本体4同士を多数積み重ねた状態である。第2の保管状態は,上枠体6同士を多数積み重ねた状態である。第3の保管状態は,容器本体4と上枠体6とを,
図1のように取り付けるのではなく,上枠体6のみ上下逆さにして重ねた状態である。以下,順に説明する。
【0024】
図4に,第1の保管状態を示す。
図4に示される状態では,2個の容器本体4同士が積み重ねられている。
図4はこの積み重ね状態を垂直な面で切断して示している。
図4に示される状態では,下の容器本体4の箱体部11の中に上の容器本体4の箱体部11が入り込んでいる。また,下の容器本体4の外壁部13の外側に上の容器本体4の外壁部13が覆い被さっている。したがって,上の容器本体4における外壁部13と箱体部11との間に,下の容器本体4の本体フランジ面17が入り込んでいる。このようなことが可能なのは,前述のように箱体部11および外壁部13がそれぞれの向きの斜面体形状とされているからである。なお,3個以上の容器本体4を積み重ねることもできる。
【0025】
図4に示されるように本形態の容器本体4には,外壁部13と箱体部11との間に,第1ストッパリブ45が設けられている。第1ストッパリブ45は,縦方向の平板リブ状の部位であり,その上端は本体フランジ面17の裏面に繋がっている。第1ストッパリブ45における上端以外の箇所は,外壁部13の内面に繋がっている。
【0026】
図4の積み重ね状態では,上の容器本体4の第1ストッパリブ45の下端が,下の容器本体4の本体フランジ面17に当接している。この当接により,
図4の積み重ね状態における上下の容器本体4同士の間隔が規定されている。そしてこのことにより,上下の容器本体4間で箱体部11同士や外壁部13同士が密着しないようになっている。つまり
図4の積み重ね状態においては,下の箱体部11の内面と上の箱体部11の外面との間に隙間が残されており,密着していない。同様に下の外壁部13の外面と上の外壁部13の内面との間にも隙間が残されており,密着していない。
【0027】
このため,
図4の状態で長期間放置しても,容器本体4同士が貼り付いてしまい外しにくくなることはない。もし第1ストッパリブ45が設けられていないと,
図4のように積み重ねた際に,箱体部11同士や外壁部13同士がいずれも密着することになる。その状態で長期間放置すると,容器本体同士の貼り付きにより外れにくくなることがある。特に多数個の容器本体を積み重ねた場合の下の方の階層においては,荷重が掛かることもあり貼り付きが生じやすい。しかし本形態では,第1ストッパリブ45が設けられているのでそのような弊害はない。
【0028】
2個の容器本体4を
図4の積み重ね状態にするには,一方の容器本体4の上方にもう一方の容器本体4が位置する状況とし,その状況から,上方の容器本体4を下降させていけばよい。この作業は手作業で十分可能である。このとき,上下の容器本体4の箱体部11同士や外壁部13同士が密着するよりも前に,上の容器本体4の第1ストッパリブ45の下端が,下の容器本体4の本体フランジ面17に当接する。このためそれ以上は上方の容器本体4が下降することはない。したがって,箱体部11同士や外壁部13同士が密着する状況には至らない。
図4の積み重ね状態を解除するには,上段の容器本体4をそのまま持ち上げるだけでよい。この作業も手作業で十分可能である。また,
図4に示される容器本体4の積み重ね状態の,切断していない本来の正面図を
図5に示す。
【0029】
次に,第2の保管状態を
図6に示す。
図6に示される状態では,2個の上枠体6同士が積み重ねられている。ただし各上枠体6はいずも,
図1や
図3中に描かれている状態に対して上下逆さにされている。
図6はこの積み重ね状態を垂直な面で切断して示している。
図6に示される状態では,下の上枠体6の角筒状の内部空間の中に上の上枠体6が入り込んでいる。このような積み重ねが可能なのはむろん,前述のように斜面体形状とされているからである。なお,3個以上の上枠体6を積み重ねることもできる。
【0030】
図6に示されるように本形態の上枠体6には,外面側に第2ストッパリブ46が設けられている。第2ストッパリブ46は,縦方向の平板リブ状の部位であり,その上端(
図6中においては下端)はトップ当接面部25の裏面に繋がっている。第2ストッパリブ46における上端以外の箇所は,上枠体6の外面に繋がっている。また,第2ストッパリブ46は,上窓31の上辺(
図6中では下辺)の両端にそれぞれ設けられている。そして,それら2つの第2ストッパリブ46を結んで,持ち手リブ47が設けられている。持ち手リブ47は,上窓31の上辺(
図6中では下辺)に沿って,そこから外向きに延びて形成されている部位である。
【0031】
図6の積み重ね状態では,上の上枠体6のトップ当接面部25(
図6中では下向き)が,下の上枠体6の第2ストッパリブ46の下端(
図6中においては上端)に当接している。この当接により,
図6の積み重ね状態における上下の上枠体6同士の間隔が規定されている。そしてこのことにより,上下の上枠体6同士が密着しないようになっている。つまり
図6の積み重ね状態においては,下の上枠体6の外面と上の上枠体6の内面との間に隙間が残されており,密着していない。
【0032】
このため,
図6の状態で長期間放置しても,上枠体6同士が貼り付いてしまい外しにくくなることはない。もし第2ストッパリブ46が設けられていないと,
図6のように積み重ねた際に,上枠体同士が密着することになる。その状態で長期間放置すると,上枠体同士の貼り付きにより外れにくくなることがある。特に多数個の上枠体を積み重ねた場合の下の方の階層においては,荷重が掛かることもあり貼り付きが生じやすい。しかし本形態では,第2ストッパリブ46が設けられているのでそのような弊害はない。
【0033】
2個の上枠体6を
図6の積み重ね状態にするには,逆さにした一方の上枠体6の上方に,これまた逆さにしたもう一方の上枠体6が位置する状況とし,その状況から,上方の上枠体6を下降させていけばよい。このとき,上下の上枠体6同士が密着するよりも前に,上の上枠体6のトップ当接面部25下の上枠体6の第2ストッパリブ46の下端(
図6中においては上端)に当接する。このためそれ以上は上方の上枠体6が下降することはない。したがって,上枠体6同士が密着する状況には至らない。
図6の積み重ね状態を解除するには,上段の上枠体6をそのまま持ち上げるだけでよい。これらの作業は,持ち手リブ47に手を掛けながら容易に行うことができる。また,
図6に示される上枠体6の積み重ね状態の,切断していない本来の正面図を
図7に示す。
【0034】
図6,
図7の積み重ね状態ではまた,係止部35が上向きに突出した状況となっている。これは前述のように,この状態では各上枠体6が上下逆さとされているからである。すなわちこの状態での接地箇所は,下段の上枠体6のトップ当接面部25である。係止部35を接地箇所とすることは好ましくないので,各上枠体6を上下逆さとしたのである。係止部35は,多数の上枠体6の荷重を受けることを前提とする部位ではないからである。
【0035】
ただし,上枠体6同士の積み重ね自体は正立状態でも可能である。例えば,
図1中に示されるように容器本体4の上部に取り付けられている上枠体6の上側に,さらに上枠体6を積み重ねていくことで,上枠体6同士の正立状態での積み重ねを,係止部35に過度の荷重を掛けることなく実現することができる。また,単体としての上枠体6が,係止部35が下向きに突出しない形状のものである場合にも,正立状態での積み重ねに特段の不都合はない。それらの場合でも前述の第2ストッパリブ46による上枠体6同士の密着防止機能は有効である。
【0036】
多数の容器60を使用しない状態で保管する場合には,容器本体4同士,上枠体6同士で
図4,
図6の積み重ね状態とすることができる。これにより,各容器60を
図1の使用状態としたまま保管するよりも,大幅に保管スペースを節約することができる。
【0037】
なお,第1ストッパリブ45および第2ストッパリブ46は,
図1の本来の使用状況では,部材間の密着防止機能を別段果たしてはいない。しかしこの状態でも第1ストッパリブ45および第2ストッパリブ46は,容器本体4および上枠体6における取り付け箇所付近の剛性をある程度向上させる効果を奏している。また,上窓31の上辺と2箇所の第2ストッパリブ46と持ち手リブ47との上記の位置関係は,持ち手リブ47の掴みやすさや上枠体6における該当箇所の強度上有利な位置関係である。
【0038】
続いて,第3の保管状態を説明する。第3の保管状態にはさらに,第1パターンと第2パターンとがある。
図8に,第3の保管状態の第1パターンを示す。
図8に示される状態では,容器本体4の上に,上枠体6が上下逆さにして被せられている。
図8はこの重ね状態を垂直な面で切断して示している。
図8に示される状態では,容器本体4の本体フランジ面17に,上枠体6のフランジ部28の上面(
図8中では下向き)の上に重なって位置している。
【0039】
なお,
図8中にて「17」,「28」の符号で指し示している位置は,
図2,
図3にて同じ符号で指し示している位置の裏面に相当する位置であることに注意されたい。
図8ではまた,下の容器本体4の外壁部13の外側に,上の上枠体6が覆い被せられた形となっている。また,
図8では,
図4に示した第1ストッパリブ45が現れていないが,これは
図4と
図8とで切断位置が異なるためである。
【0040】
この
図8の状態においても,下の容器本体4の外壁部13の外面と上の上枠体6の内面とが密着しないようになっている。具体的には,上枠体6の内法(うちのり)寸法が,外壁部13の外形寸法に対して余裕のある設定となっている。これにより
図8の状態にて,外壁部13の外面と上の上枠体6の内面との間に隙間ができるようにされている。このため
図8の状態でも,容器本体4と上枠体6との貼り付きが防止されている。
【0041】
本形態ではさらに,この
図8の状態において,下の容器本体4に対して上の上枠体6がガタつかないようになっている。このことの説明のため,
上枠体6について
図9によりさらに述べる。
図9は,正立状態の上枠体6を縦に半分に切断した状態の斜視図である。
図9においては,下壁部32や中壁部33,上壁部34の主として裏面(内面)が見えている。
図9に示されるように,上枠体6のフランジ部28における辺部の中腹部位には,開口状の貫通部36が形成されている。そして,フランジ部28における貫通部36の内側,すなわち開口部27に臨む内縁の部位に突出部48が形成されている。突出部48は,フランジ部28に対して
図9中で上向きに突出した形状の部分である。突出量は2~3mm程度で十分である。
【0042】
図8にも突出部48が現れている。
図8中における突出部48は,上枠体6のフランジ部28に対して下向きとなっている。このため,下の容器本体4の箱体部11の内部に少し進入している。これにより容器本体4に対する上枠体6の水平移動が規制されている。こうして,下の容器本体4に対する上の上枠体6のガタつきが抑制されている。
【0043】
図8に示される重ね状態の,切断していない本来の正面図を
図10に示す。
図8および
図10の状態でも,
図1に示した使用状態に比べれば全高が小さい。このため,1つの容器60を保管する場合には,
図1の状態のままよりは
図8,
図10の状態にした方が保管スペースが少なくて済む。なお,
図8,
図10の状態での接地箇所は,容器本体4の外壁部13の底部14である。
【0044】
図8,
図10に示した状態をさらに2段積み重ねた状態(切断なし)の斜視図を
図11に示す。本形態では,
図11のように複数段積んでいる場合でも,全体の積層状態は安定している。前述の突出部48により,容器本体4に対するその上の上枠体6のガタつきが規制されているからである。
【0045】
続いて
図12により,第3の保管状態の第2パターンを説明する。
図12の第2パターンは,
図8の第1パターンに対して,容器本体4と上枠体6とを上下に入れ替えたものである。すなわち
図12では,上枠体6が下にあり容器本体4が上にある。むろん
図12の状態でも,上枠体6は上下逆さにされた状態にある。
図12はこの重ね状態を垂直な面で切断して示している。
【0046】
図12に示される状態では,上の容器本体4の外壁部13の底部14が,下の上枠体6の第2ストッパリブ46の下端(
図12中においては上端)に当接している。この当接により,
図12の重ね状態における上の容器本体4と下の上枠体6との間隔が規定されている。そしてこのことにより,下の上枠体6の外面と上の容器本体4の外壁部13の内面とが密着しないようになっている。このため
図12の状態でも,容器本体4と上枠体6との間に隙間が確保され,貼り付きが防止されている。
【0047】
図12の状態でも,
図1の使用状態に比べれば全高が小さい。
図12の状態を前述の第1パターン(
図8)と比較すると,やや全高が高く,省保管スペースという点ではやや不利である。しかし
図12の状態では,
図8の状態と異なり,係止部35が突出していない。この点では
図8の状態より
図12の状態の方が有利である。係止部35は上枠体6の中では比較的脆弱な部位であるためである。
図12に示した状態そのものでは,前述の突出部48によるガタつき防止機能は奏されない。しかし,
図12の重ね状態をさらに多段積みすることも可能であり,その場合には突出部48によるガタつき防止機能が発揮される。
図12に示される重ね状態の,切断していない本来の正面図を
図13に示す。
【0048】
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば,容器本体4に設けた第1ストッパリブ45や上枠体6に設けた第2ストッパリブ46により,保管のための重ね状態での部材同士の密着を防止するようにしている。これにより,容器本体4や上枠体6を保管状態で長期間放置しても,容器本体4や上枠体6の保管状態からの取り出しが容易にできるようにしている。こうして,長期間の保管後であってもその後の再使用に支障が生じない容器60が実現されている。
【0049】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,前記形態では容器60を上方から見た形状を略正方形状であることとしたが,長方形状でも他の多角形状でもよいし,円形状や楕円形状でもよい。また,第2ストッパリブ46の位置は,前述のように持ち手リブ47と繋がる位置に限定されない。上枠体6におけるコーナー部の外面位置に第2ストッパリブ46が設けられていてもよい。
【0050】
また,第1ストッパリブ45について前記形態では,本体フランジ面17の裏面と外壁部13の内面とにわたって繋がっているとした。しかし,第1ストッパリブ45は,本体フランジ面17の裏面と,外壁部13の内面と,箱体部11の外面とのうち少なくとも1つと繋がっていればよい。ただし,第1ストッパリブ45の強度上という観点からは,前記形態のようになっているか,または,本体フランジ面17の裏面と箱体部11の外面とにわたって繋がっている方が有利である。本体フランジ面17の裏面と外壁部13の内面と箱体部11の外面とのいずれ対しても繋がっている構成であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
4 容器本体
6 上枠体
11 箱体部
13 外壁部
14 底部
16 開口部
17 本体フランジ面(本体当接面部)
19 上窓
22 垂れ部
25 トップ当接面部(上側当接面部)
26 開口部
27 開口部
28 フランジ部
32 下壁部
45 第1ストッパリブ
46 第2ストッパリブ
47 持ち手リブ
48 突出部
60 容器