(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
A63F5/04 620
(21)【出願番号】P 2019131648
(22)【出願日】2019-07-17
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】511232514
【氏名又は名称】株式会社BOOOM
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 庸元
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悠輝
【審査官】金子 和孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-153668(JP,A)
【文献】特開2016-189945(JP,A)
【文献】特開2019-111150(JP,A)
【文献】特開2018-102528(JP,A)
【文献】特開2019-111258(JP,A)
【文献】特開2018-187091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄を変動表示又は停止表示するための回転リールと、
前記回転リールの図柄を変動表示させるためのスタートスイッチと、
前記回転リールに対応して設けられ、対応する回転リールの図柄を停止表示させるためのストップスイッチと、
複数の当せん役のいずれかに当せんしたか又はハズレかの抽せんを行う当せん抽せん手段と、
前記複数の当せん役に対応する当せん領域を記憶した役抽せんテーブルと、
前記当せん抽せん手段の抽せん結果と前記ストップスイッチの操作とに基づいて前記回転リールの図柄の停止表示に係る制御を行うリール制御手段と、
前記回転リールが図柄を停止表示した際の前記回転リールの停止位置に基づいて前記複数の当せん役のいずれかに入賞したか又は入賞しなかったかの判定を行う入賞判定手段と、
前記ストップスイッチの操作順に関する情報を報知する押し順報知制御手段と、
前記押し順報知制御手段が作動する特定遊技の実行を制御する特定遊技制御手段と、
を備え、
前記特定遊技の実行に関して遊技者にとって有利に設定された特定の状態は、遊技媒体の払い出し枚数が所定の条件を達成したときに終了するように構成されており、
前記特定の状態で当せんする小役は、前記ストップスイッチの操作タイミングによって遊技媒体の払い出し枚数が変動するように構成されており、
前記特定遊技制御手段は、前記特定の状態での遊技において、前記特定遊技を開始するか否かを抽せんする特定遊技抽せんを実行するものであり、
前記特定遊技抽せんの当せん確率は、前記特定の状態での消化ゲーム数が増加
して、予め設定されたゲーム数に到達したときに段階的に向上するように設定されていることを特徴とする、遊技機。
【請求項2】
前記特定の状態で当せんする小役は、前記ストップスイッチの操作タイミングによって遊技媒体の払い出し枚数が変動することにより、最小の払い出し枚数が遊技開始時にベットした遊技媒体数以下に設定されていることを特徴とする、請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記特定遊技を実行可能な有利区間と、前記特定遊技を実行できない通常区間と、を制御するための遊技区間制御手段を備え、
前記特定の状態は、前記有利区間であることを特徴とする、請求項1または2記載の遊技機。
【請求項4】
前記特定遊技を実行可能な有利区間と、前記特定遊技を実行できない通常区間と、を制御するための遊技区間制御手段を備え、
前記特定の状態は、前記有利区間中の一部区間であることを特徴とする、請求項1または2記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スロットマシンなどの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスロットマシンは、リールの表面に表示された図柄が予め定められた所定の図柄組合せとなったときに入賞が発生するように構成されている。こうしたスロットマシンにおいて、いわゆる押し順小役と呼ばれるものが知られている。押し順小役は所定の押し順でストップスイッチが操作されたときに入賞図柄が揃うように制御される小役である。このような押し順小役に当せんすると、正解の押し順で各ストップスイッチが操作された場合には、当該押し順小役に係る図柄を有効ライン上に引き込んで、押し順小役が入賞するようになっている。一方、正解の押し順で各ストップスイッチが操作されなかった場合には、当該押し順小役に係る図柄が有効ライン上に揃わないようにして、押し順小役が入賞しないようになっている。
【0003】
このような押し順小役は、正解の押し順を遊技者に報知するか否かにより、入賞を管理することが可能である。例えば、押し順を遊技者に報知するように制御した場合、遊技者はこの報知に従ってストップスイッチを操作することで容易に押し順小役を入賞させることができる。一方、押し順が報知されない場合、どの押し順小役に当せんしたかが分からず、正解の押し順も分からないため、遊技者は押し順小役を狙って入賞させることは困難となる。
【0004】
このような押し順報知に関し、例えば特許文献1に記載されているように、押し順報知ができない通常区間と、押し順報知が可能な有利区間と、を備えたスロットマシンが知られている。この特許文献1に記載のスロットマシンにおいては、有利区間のゲーム数を管理することにより、有利区間の終了を判断するようになっている。具体的には、有利区間ゲーム数が1500ゲームに達したときに有利区間を終了するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような従来のスロットマシンにおいて、有利区間の終了条件についてはまだまだ改良の余地があった。
そこで、本発明は、有利区間の終了を新規な発想で管理することにより、新たな遊技性を実現することができる遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
すなわち、複数の図柄を変動表示又は停止表示するための回転リールと、前記回転リールの図柄を変動表示させるためのスタートスイッチと、前記回転リールに対応して設けられ、対応する回転リールの図柄を停止表示させるためのストップスイッチと、複数の当せん役のいずれかに当せんしたか又はハズレかの抽せんを行う当せん抽せん手段と、前記複数の当せん役に対応する当せん領域を記憶した役抽せんテーブルと、前記当せん抽せん手段の抽せん結果と前記ストップスイッチの操作とに基づいて前記回転リールの図柄の停止表示に係る制御を行うリール制御手段と、前記回転リールが図柄を停止表示した際の前記回転リールの停止位置に基づいて前記複数の当せん役のいずれかに入賞したか又は入賞しなかったかの判定を行う入賞判定手段と、前記ストップスイッチの操作順に関する情報を報知する押し順報知制御手段と、前記押し順報知制御手段が作動する特定遊技の実行を制御する特定遊技制御手段と、を備え、前記特定遊技の実行に関して遊技者にとって有利に設定された特定の状態は、遊技媒体の払い出し枚数が所定の条件を達成したときに終了するように構成されており、前記特定の状態で当せんする小役は、前記ストップスイッチの操作タイミングによって遊技媒体の払い出し枚数が変動するように構成されており、前記特定遊技制御手段は、前記特定の状態での遊技において、前記特定遊技を開始するか否かを抽せんする特定遊技抽せんを実行するものであり、前記特定遊技抽せんの当せん確率は、前記特定の状態での消化ゲーム数が増加するに従って向上するように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記の通りであり、押し順報知制御手段が作動する特定遊技(例えばATやARTなどの遊技)の実行に関して遊技者にとって有利に設定された特定の状態(例えば有利区間)を備え、この特定の状態は、遊技媒体の払い出し枚数が所定の条件を達成したときに終了するように構成されている。このような構成によれば、遊技媒体の払い出し枚数が一定のレベルに達すると特定の状態が終了してしまうため、特定の状態を継続するという観点からは、遊技媒体の払い出しが少ない方が有利となる。そして、特定の状態で当せんする小役は、ストップスイッチの操作タイミングによって遊技媒体の払い出し枚数が変動するように構成されているため、あえて遊技媒体の払い出し枚数が少なくなるように遊技を行うという新たな遊技性を実現することができる。
【0009】
例えば、遊技者が特定の状態(有利区間など)をできるだけ長く継続させたい場合には、いわゆる目押しを行うことで、あえて遊技媒体の獲得枚数が少なくなるように調整することができる。このようにあえて遊技媒体の獲得枚数が少なくなるように遊技を行うことで、特定の状態の終了条件に到達するまでのゲーム数を引き延ばすことができ、特定遊技(ATやARTなどの遊技)の実行に関して有利な状態をできるだけ長く継続させることができる。
【0010】
しかも、特定遊技抽せんの当せん確率は、有利遊技の消化ゲーム数が増加するに従って向上するように設定されている。よって、有利遊技に長く滞在するほど、遊技者にとって有利となるので、あえて遊技媒体の払い出し枚数が少なくなるように遊技を行うという遊技性を強調することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】スロットマシンの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】スロットマシンの有効ラインを示す説明図である。
【
図4】スロットマシンの遊技状態の遷移を示す説明図である。
【
図6】特定遊技抽せんの当せん確率を示す図である。
【
図7】変形例に係るスロットマシンの遊技状態の遷移を示す説明図である。
【
図8】変形例に係る特定遊技抽せんの当せん確率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシン10を例に説明する。
(スロットマシン10)
スロットマシン10は、
図1に示すように、四角箱状の筐体11と、筐体11の正面側に開閉自在に取り付けられる前扉31を有する。この前扉31には、遊技者側に向かって臨む表示窓12が形成されている。
【0013】
また、前扉31の高さ方向略中央部には、スロットマシン10を作動させるための操作部31Aおよびメダル投入口14が設けられている。操作部31Aには、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50などが設けられている。
【0014】
また、操作部31Aの下方には、下パネル31Bを挟んで、メダルを払い出すためのメダル払い出し口18と、メダル払い出し口18から払い出されたメダルを貯留可能な下皿31Cが設けられている。
【0015】
上記した前扉31の表示窓12には、背後の回転リール40の図柄を見ることができる図柄表示窓13が形成されている。回転リール40は、図柄表示窓13の裏側に配置されて、回転可能にスロットマシン10に取り付けられており、外周表面に表示された複数の図柄を変動表示又は停止表示するためのものである。本実施形態においては、左リール41、中リール42、右リール43の3個の回転リール40が設けられており、それぞれの回転リール40が個別に回転可能となっている。
【0016】
上記した図柄表示窓13からは、3個の回転リール40のそれぞれについて、上段、中段、下段の3段の図柄が表示されるようになっており、計9個の図柄が図柄表示窓13を通して表示されるようになっている。そして、この計9個の図柄の表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。有効ラインとは、3個の回転リール40のそれぞれについて表示位置にある図柄を1個ずつ繋いでできるラインのうち、入賞するために有効となる図柄組合せの並びを規定したラインである。本実施の形態においては、
図3に示すように、左リール41の中段の図柄と、中リール42の中段の図柄と、右リール43の中段の図柄と、を繋ぐラインLが有効ラインとして設定されている。この有効ラインに沿って役に対応付けられた図柄組合せが表示されると、当該役に入賞となる。
【0017】
また、本実施形態では、1回のゲームを行うために、メダルを1~3枚ベットする(掛ける)ことが可能となっており、1枚のメダルをベットした場合も、2枚のメダルをベットした場合も、3枚のメダルをベットした場合も、上記したラインLが有効ラインとなるように構成されている。
このスロットマシン10の内部には、図示しないが、スロットマシン10の全体の動作を制御するための制御装置20(
図2参照)が内蔵されている。
【0018】
(入力段)
上記制御装置20の入力段には、
図2に示すように、投入スイッチ15、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、左ストップスイッチ51、中ストップスイッチ52、右ストップスイッチ53が接続されている。
なお、入力段に接続されるのは上記した各入力装置に限定されるものではない。
【0019】
(投入スイッチ15)
投入スイッチ15は、
図1に示すように、メダル投入口14の下方に内蔵されたスイッチであって、投入された遊技メダルを検知するためのものである。投入スイッチ15が遊技メダルを検知すると、最大50枚まで遊技メダルを遊技機内部に貯留(クレジット)することができるようになっている。このようにクレジットされた遊技メダルは、クレジット表示部32に数値として表示され、次ゲーム以降に使用することができる。
【0020】
(ベットスイッチ16)
ベットスイッチ16は、
図1に示すように、操作部31Aの上面に位置するスイッチである。ベットスイッチ16を押下することで、クレジットをメダル投入に代えることができる。クレジットをメダル投入に代えることで、ゲームを開始可能な状態となる。
【0021】
(精算スイッチ17)
精算スイッチ17は、
図1に示すように、操作部31Aの上面左端に位置するスイッチであって、クレジットされているメダルを払い戻すためのものである。
【0022】
(スタートスイッチ30)
スタートスイッチ30は、
図1に示すように、操作部31Aの正面左側に位置するレバーである。ゲームを開始可能な状態でスタートスイッチ30を操作すると、後述するリールユニット60の駆動が開始し、回転リール40の図柄が変動表示される。
【0023】
(ストップスイッチ50)
ストップスイッチ50は、後述するリールユニット60の駆動を停止させるためのものである。具体的には、ストップスイッチ50は、
図1に示すように、各回転リール40(左リール41,中リール42,右リール43)に対応した3個のスイッチ(左ストップスイッチ51、中ストップスイッチ52、右ストップスイッチ53)から構成され、各回転リール40の下方に一個ずつ配置されている。回転リール40に対応したストップスイッチ50の操作により、当該対応した回転リール40が回転を停止し、回転リール40の図柄が停止表示されるようになっている。
【0024】
(出力段)
前記制御装置20の出力段には、
図2に示すように、リールユニット60、ホッパーユニット65、演出部66(画像表示部67、ランプ68、スピーカ69)、の各パーツが接続されている。
なお、出力段上記した各パーツに限定されるものではない。
【0025】
(リールユニット60)
リールユニット60は、特に図示しないが枠体に固定あるいは支持された3個のステッピングモータと、各々のステッピングモータの出力軸に固定された3個の回転リール40(左リール41,中リール42,右リール43)とから構成されている。各回転リール40は、短円筒状の回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの外周面には、それぞれ20個(または21個)の図柄が等間隔で表示されている。
【0026】
(ホッパーユニット65)
ホッパーユニット65は、
図1に示すように、筐体11の内部に配置されており、ゲームの結果等に基づいてメダルを払い出すためのものである。
【0027】
(演出部66)
演出部66は、制御装置20の制御により、入賞等の報知など、種々の演出を行うものである。具体的には、演出部66は、画像表示部67と、ランプ68と、スピーカ69と、から構成されている。
【0028】
画像表示部67は、回転リール40の上方に設けられた窓部の背後に配置され、LED、ドットマトリックス、液晶画面等を用いて、入賞の報知その他の演出を表示するためのものである。なお、画像表示部67としては上記のものに限らず、例えば演出専用の回転リール40を設け、リールの図柄や文字等により演出を表示するようにしても良い。
ランプ68は、発光体の点灯又は点滅により入賞等を報知するためのものである。
スピーカ69は、入賞音の発生により入賞等を報知するためのものである。
【0029】
(制御装置20)
制御装置20は、スロットマシン10の作動を制御するためのものである。この制御装置20は、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各種の制御を実行するように構成されている。
【0030】
本実施形態に係る制御装置20は、
図2に示すように、遊技状態制御手段100、当せん抽せん手段110、役抽せんテーブル120、リール制御手段130、入賞判定手段140、ホッパー制御手段150、演出制御手段200、押し順報知制御手段210、設定手段220、特定遊技制御手段230、遊技区間制御手段240、の各手段として機能する。なお、制御装置20としては、上記した各手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
【0031】
(遊技状態制御手段100)
遊技状態制御手段100は、遊技状態の管理を行うためのものである。本実施形態に係るスロットマシン10は複数の遊技状態を備えており、遊技状態制御手段100は現在の遊技状態を記憶するとともに、遊技状態の移行契機となる所定の事象が発生したときに遊技状態を切り替える処理を実行する。この遊技状態は、リプレイ役の当せん確率等によって規定されるRT状態を含むものである。
【0032】
この遊技状態としては、例えば、工場出荷時又は設定変更時に設定される初期状態や、初期状態よりも相対的にリプレイ役の当せん確率が向上したリプレイ高確率状態などが設定されている。
【0033】
(当せん抽せん手段110)
当せん抽せん手段110は、複数の当せん役のいずれかに当せんしたか又はハズレかの抽せんを行うためのものである。すなわち、予め定めた抽せん確率に基づいて当せん役に係る抽せんを行うものである。そして、当せん抽せん手段110による抽せんの結果、所定の当せん役に当せんした場合に当せんフラグが成立し、この当せんフラグの成立中に、回転リール40の停止図柄の組み合わせが予め定められた当せん図柄と一致したことを条件に入賞し、遊技者にメダルの払い出しや、特別遊技等の利益が付与されるように設定されている。
【0034】
具体的には、当せん抽せん手段110は、乱数を所定の範囲内で発生させる乱数発生手段を備え、この乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数を役抽せんテーブル120に照合することにより抽せんを行う。本実施形態に係る当せん抽せん手段110は、16bitで乱数を発生させるため、0~65535までの65536通りの乱数を発生させるようになっている。後述する役抽せんテーブル120には、この65536通りの乱数のそれぞれに当せん領域が割り当てられており、この役抽せんテーブル120に乱数を照合することにより当せん役またはハズレを特定することができる。
【0035】
本実施形態に係るスロットマシン10は、当せん役として、入賞によりボーナスゲームを開始するボーナス役と、入賞により遊技メダルを新たに投入することなく再度のゲームを行うことができるリプレイ役と、入賞により遊技メダルを払い出す小役と、を備えている。
【0036】
(役抽せんテーブル120)
役抽せんテーブル120は、当せん抽せん手段110が抽出した乱数がいずれかの当せん役またはハズレに対応するかを定めたものである。この役抽せんテーブル120は、複数の当せん役に対応する当せん領域を記憶しており、具体的には、当せん抽せん手段110において発生する乱数と当せん役との対応表として設けられている。当せん抽せん手段110は、遊技状態や設定値等に応じてこれらの役抽せんテーブル120を切り替えて使用する。これにより、遊技状態ごとに当せん確率が変動するように構成されている。
【0037】
(リール制御手段130)
リール制御手段130は、有効なスタートスイッチ30の操作信号に基づいて回転リール40を回転させるとともに、特に図示しないがリール回転検知センサの検知信号に基づいて図柄の現在位置を認識しつつ、当せん抽せん手段110の抽せん結果および有効なストップスイッチ50の操作タイミングに基づいて、回転リール40の停止を制御するためのものである。
【0038】
このリール制御手段130は、メダルがベットされ、前ゲーム開始から所定時間(いわゆるウエイト時間)が経過しているなど、所定のゲーム開始条件を満たしている場合には、スタートスイッチ30の操作信号に基づいて全ての回転リール40の回転を開始させる。
【0039】
また、回転リール40が回転中にいずれかのストップスイッチ50が操作されると、ストップスイッチ50の操作信号に基づきストップ信号を出力し、操作されたストップスイッチ50に対応する回転リール40の回転を停止させる。
【0040】
なお、リール制御手段130は回転リール40を停止させる際、停止操作がされたときの図柄表示位置を基準として、最大4コマのスベリコマ数で図柄を回転方向に移動させて停止させることができる。このような制御により、当せん抽せん手段110の抽せん結果が「ハズレ」の場合には、3個の回転リール40の図柄が如何なる入賞の態様にも揃わないように蹴飛ばし制御を行う。また、抽せん結果が所定の当せん役に当せんの場合には、3個の回転リール40の図柄が極力当該当せんに係る入賞の態様となるように引き込み制御を行う。
【0041】
このような蹴飛ばし制御及び引き込み制御は、当せん抽せん手段110による役抽せんの結果や、ストップスイッチ50の操作タイミング、停止位置の優先順位などに基づいて計算されて実行される。例えば、2種類以上の役に同時当せんしている場合、各役に対応付けられた優先順位に従って、優先順位の高い役に対応する図柄組合せを有効ライン上に表示できるように引き込み制御が行われる。
【0042】
なお、後述する押し順小役に当せんしている場合には、正解の押し順で各ストップスイッチ50が操作された場合には、停止操作のタイミングに関わらず、当該押し順小役に係る図柄を有効ライン上に引き込んで、押し順小役を入賞させる。一方、その正解の押し順以外の押し順で各ストップスイッチ50が操作された場合には、当該押し順小役に係る図柄が有効ライン上に揃わないようにして、押し順小役が入賞しないように制御する。
【0043】
(入賞判定手段140)
入賞判定手段140は、ストップスイッチ50の操作により3個の回転リール40が停止したときに、その表示態様に基づいて、入賞したか又は入賞なしかの判定を行うためのものである。具体的には、すべての回転リール40の回転が停止した際に、いずれかの有効入賞ライン上に所定の図柄配列が揃うことを条件として、当該図柄配列に対応した当せん役に入賞したと判定する。そして、入賞がメダル払い出しを伴う場合には、ホッパーユニット65に払い出し入賞信号を出力する(もしくはメダルを払い出す代わりにクレジットに加算する)。また、入賞が遊技状態を移行させるものであれば、遊技状態制御手段100に通知して遊技状態を移行させる。また、リプレイ役が入賞した場合には、自動ベット処理を行い、遊技メダルを新たに投入することなく次ゲームを開始できるようにする。
【0044】
(ホッパー制御手段150)
ホッパー制御手段150は、入賞判定手段140からの払い出し入賞信号、精算スイッチ17の操作信号などに基づいて、ホッパーユニット65を作動させ、メダルの払い出しを制御するためのものである。なお、入賞がメダル払い出しを伴う場合に、この払い出しメダルを自動的にクレジットとして電子的に貯留し、クレジットの許容枚数を超過する払い出し分だけをホッパーユニット65から払い出させるようにしてもよい。
【0045】
(演出制御手段200)
演出制御手段200は、画像表示部67、ランプ68やスピーカ69等の演出部66の作動を制御するためのものである。この演出制御手段200は、ROMに記憶されている演出データをもとに、入賞の報知や押し順報知などの演出を行わせる。
【0046】
また、この演出制御手段200は、複数回のゲームにわたって連続演出を行わせることができる。所定の条件下においてストーリー性のある連続演出を行わせることで、遊技者に有利な状況を示唆し、ゲームを盛り上げることができるようになっている。
【0047】
(押し順報知制御手段210)
押し順報知制御手段210は、後述する有利区間において押し順報知を制御するためのものである。具体的には、この押し順報知制御手段210は、押し順小役に当せんしたときに、当該押し順小役を入賞させるための正解の押し順(ストップスイッチ50の操作順)を取得し、その正解の押し順を報知するための演出を選択する。押し順報知制御手段210が選択した演出は、演出制御手段200に通知されて実行され、これにより押し順報知が実行される。この押し順報知は、例えば、画像表示部67に操作順を表示したり、操作すべきストップスイッチ50をスピーカ69から音声で報知したり、操作すべきストップスイッチ50を光らせたりすることで行われる。
【0048】
なお、押し順小役は所定の押し順でストップスイッチ50が操作されたときに入賞図柄が揃うように制御される小役やリプレイ役である。押し順が報知されない場合、どの押し順小役に当せんしたかが分からず、正解の押し順も分からないため、押し順小役を狙って入賞させることは困難となっている。一方で、正解の押し順が報知される場合には、押し順報知に従ってストップスイッチ50を操作することで容易に押し順小役を入賞させることができるようになっている。
【0049】
押し順報知制御手段210は、一部または全部の押し順小役に関して、特定遊技(ARTまたはAT)中にのみ押し順報知が行われるように制御する。このため、特定遊技中は押し順小役が入賞しやすくなっており、一方、非特定遊技中は押し順小役が入賞しにくくなっている。
【0050】
(設定手段220)
設定手段220は、遊技者への有利度が異なる複数段階の設定値の中から設定値を設定するためのものである。この設定値は、鍵のかけられた筐体11の内部に設けられたスイッチを操作することで変更可能であり、スロットマシン10が設置されたホールの管理者によって、ホールの営業開始前あるいは営業終了後に予め設定される。図示しないが、この設定値ごとに異なる役抽せんテーブル120が設けられており、役抽せんにおいて設定値に応じた役抽せんテーブル120が用いられることにより、設定値に応じてメダルの払出率が変わるようになっている。本実施形態においては、設定値は1~6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。払出率の点からでは、設定値として6が設定されているときが遊技者にとって最も遊技に関する有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど遊技に関する有利度が段階的に低くなる。なお、本実施形態においては設定値を6段階としているが、これに限らず、設定値は5段階以下であってもよい。
【0051】
(特定遊技制御手段230)
特定遊技制御手段230は、特定遊技の実行を制御するためのものである。特定遊技とは、押し順報知制御手段210を作動させることで、遊技者に有利な操作態様を表示する指示機能を発動させた遊技であり、ART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)と呼ばれる遊技である。
【0052】
本実施形態に係るスロットマシン10では、リプレイ役の当せん確率が通常よりも高く設定されたリプレイ高確率状態において押し順報知が行われ、これによりARTが実行されるようになっている。なお、リプレイ高確率状態ではない状態で押し順報知を行うことでATを実行するようにしてもよい。ATを実行する場合でも、特定遊技制御手段230の処理に違いはない。
【0053】
この特定遊技制御手段230は、後述する有利区間中のゲームにおいて特定遊技抽せんを実行し、特定遊技抽せんに当せんしたときにARTを開始する制御を実行する。
【0054】
特定遊技制御手段230による特定遊技抽せんは、例えば、乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数を特定遊技抽せんテーブルに照合することにより行われる。特定遊技抽せんテーブルにおいては、抽出可能なすべての乱数にそれぞれ「当たり」か「ハズレ」が割り当てられているため、乱数を特定遊技抽せんテーブルに照合することにより「当たり」か「ハズレ」を特定することができる。
【0055】
なお、本実施形態に係る特定遊技抽せんは、有利区間の消化ゲーム数に応じて当せん確率が変動するように設定されている。具体的には、本実施形態においては、特定遊技抽せんで使用される特定遊技抽せんテーブルとして、当せん確率の異なる複数の特定遊技抽せんテーブルがあらかじめ用意されている。そして、特定遊技抽せんを実行するときに、これら複数の特定遊技抽せんテーブルの中から、有利区間の消化ゲーム数に基づいて1の特定遊技抽せんテーブルが選択される。そして、選択された特定遊技抽せんテーブルに規定された当せん確率に基づいて特定遊技抽せんが実行される。
【0056】
これにより、本実施形態に係る特定遊技抽せんにおいては、
図6に示すような当せん確率が設定されている。すなわち、消化した有利区間ゲーム数が500ゲーム以下の場合は1/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用され、消化した有利区間ゲーム数が501~800ゲームの場合は2/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用され、消化した有利区間ゲーム数が801~1000ゲームの場合は4/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用され、消化した有利区間ゲーム数が1001~1200ゲームの場合は16/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用され、消化した有利区間ゲーム数が1201~1300ゲームの場合は32/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用され、消化した有利区間ゲーム数が1301~1400ゲームの場合は64/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用され、消化した有利区間ゲーム数が1401ゲーム以上の場合は128/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用されるように設定されている。このように、有利区間の消化ゲーム数が多いほど、特定遊技抽せんの当せん確率が向上するように設定されている。
【0057】
なお、本実施形態においては、有利区間の消化ゲーム数が多いほど、特定遊技抽せんの当せん確率が向上するように設定しているが、これに限らず、有利区間の消化ゲーム数が多いほど、特定遊技抽せんの当せん確率が低下するように設定してもよい。
【0058】
このような当せん確率で実施される特定遊技抽せんで当せんすると、ARTが開始する。開始したARTは、付与されたARTゲーム数を消化するまで継続する。なお、ARTゲーム数は、ARTの開始時に加算されるとともに、後述する上乗せ抽せんに当せんしたときにも加算される。そして付与されたARTゲーム数を消化したら、特定遊技制御手段230はARTを終了させる。
【0059】
(遊技区間制御手段240)
遊技区間制御手段240は、遊技区間を制御するためのものである。本実施形態に係るスロットマシン10は、遊技区間として、ストップスイッチ50の押し順が報知されない通常区間と、ストップスイッチ50の押し順を報知可能な有利区間と、を備えている。
【0060】
通常区間とは、当せん役の入賞をアシストできない遊技区間である。具体的には、押し順報知制御手段210による押し順報知ができない遊技区間である。この遊技区間では上記したARTを実行することができない。
【0061】
また、有利区間とは、当せん役の入賞をアシスト可能な遊技区間である。具体的には、押し順報知制御手段210による押し順報知が可能な遊技区間である。この遊技区間では上記したARTを実行可能である(逆に言えば、ART中は必ず有利区間である。ただし、非ART中は有利区間の場合もあるし通常区間の場合もある)。
【0062】
この遊技区間制御手段240は、通常区間のゲーム中(例えばゲームの開始時)に有利区間抽せんを実行し、有利区間抽せんに当せんしたときに遊技区間を有利区間に移行する制御を実行する。遊技区間制御手段240による有利区間抽せんは、例えば、乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数を有利区間抽せんテーブルに照合することにより行われる。有利区間抽せんテーブルにおいては、抽出可能なすべての乱数にそれぞれ「当たり」か「ハズレ」が割り当てられているため、乱数を有利区間抽せんテーブルに照合することにより「当たり」か「ハズレ」を特定することができる。
【0063】
この有利区間は、予め定められた所定の有利区間ゲーム数(例えば1500ゲーム)を消化するか、または、予め定められた増加枚数(例えば2400枚)を超えるまで継続する。所定の有利区間ゲーム数を消化したか、または所定の増加枚数を超えたら、遊技区間は通常区間に移行する。なお、このような処理に加え、ARTが終了したときに有利区間が終了するようにしてもよい。
【0064】
(当せん役について)
本実施形態に係る当せん抽せん手段110は、抽せんの結果を内部フラグとしてRAMに記憶している。具体的には、当せん抽せん手段110による抽せんの結果、いずれかの役に当せんとなった場合、その当せんに対応した当せんフラグが成立する。そして、成立した当せんフラグに係る当せん役が入賞可能な状態として認識される。
【0065】
なお、ボーナス役に係る当せんフラグは、当せんフラグが成立したゲームにおいて入賞しなかったとしても、次回以降のゲームに持ち越される。すなわち、入賞するまでは当該当せん役に入賞する権利が維持される。一方、その他の当せん役に係る当せんフラグは、当せんフラグが成立したゲームにおいて入賞しなかった場合にはリセットされ、次回以降のゲームに持ち越されない。
【0066】
本実施形態に係るスロットマシン10は、
図5に示すように、当せん役として「リプレイ」「BB」「RB」「押し順ベル」「共通ベル」「スイカ」「RB中ベル」「1枚役」を備えている。なお、これらは当せん役の一部であり、この他にも当せん役を備えていてもよい。
【0067】
このうち、「リプレイ」はリプレイ役である。「リプレイ」に当せんすると、「リプレイ」を引き込む回転リール40の停止制御が実行され、「リプレイ」に入賞する。「リプレイ」に入賞すると、新たにメダルを投入することなく次ゲームを遊技可能な状態となる。
【0068】
「BB」はBB役である。「BB」に当せんすると、「BB」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。これらの図柄が表示されて「BB」に入賞すると、次ゲームからBBゲームが開始される。
【0069】
「RB」はRB役である。「RB」に当せんすると、「RB」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。これらの図柄が表示されて「RB」に入賞すると、次ゲームからRBゲームが開始される。
【0070】
「押し順ベル」は小役である。この「押し順ベル」は、ストップスイッチ50の押し順によって入賞態様が変化する押し順小役である。また、この「押し順ベル」は、ストップスイッチ50の操作タイミングによって入賞態様が異なるように設定されている。すなわち、遊技者がいわゆる「目押し」を行うことで、入賞態様を選択することができるようになっている。本実施形態においては、ストップスイッチ50の押し順およびストップスイッチ50の操作タイミングによって、15枚のメダルが払い出される第1の表示態様か、3枚のメダルが払い出される第2の表示態様か、1枚のメダルが払い出される第3の表示態様か、メダルが払い出されないハズレの表示態様か、のいずれかの図柄配列が表示されるようになっている。
【0071】
具体的には、「押し順ベル」に当せんしたゲームにおいて、正解の順序でストップスイッチ50が操作された場合には、第1の表示態様をなすように回転リール40の停止制御が実行される。第1の表示態様が表示されると、15枚のメダルが払い出される。
【0072】
一方、「押し順ベル」に当せんしたものの、正解の順序でストップスイッチ50が操作されなかった場合には、第2の表示態様、第3の表示態様、ハズレの表示態様のいずれかをなすように回転リール40の停止制御が実行される。本実施形態においては、第2の表示態様を引き込めるタイミングでストップスイッチ50が操作された場合には、第2の表示態様を表示し、3枚のメダルが払い出される。また、第2の表示態様を引き込めないが、第3の表示態様を引き込めるタイミングでストップスイッチ50が操作された場合には、第3の表示態様を表示し、1枚のメダルが払い出される。また、第2の表示態様も第3の表示態様も引き込めないタイミングでストップスイッチ50が操作された場合には、ハズレの表示態様を表示し、メダルが払い出されない。このため、遊技者は、任意の図柄を狙ってストップスイッチ50を操作することによって、入賞態様を狙い分けできるようになっている。
【0073】
「共通ベル」は小役である。「共通ベル」に当せんすると、「共通ベル」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。これらの図柄が表示されて「共通ベル」に入賞すると、所定枚数(3枚)のメダルが払い出される。
【0074】
「スイカ」は小役である。「スイカ」に当せんすると、「スイカ」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。これらの図柄が表示されて「スイカ」に入賞すると、所定枚数(3枚)のメダルが払い出される。
【0075】
「RB中ベル」はRBゲーム中にのみ当せんする小役である。「RB中ベル」に当せんすると、「RB中ベル」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。これらの図柄が表示されて「RB中ベル」に入賞すると、所定枚数(15枚)のメダルが払い出される。
【0076】
「1枚役」は小役である。「1枚役」に当せんすると、「1枚役」に対応する入賞態様をなすように回転リール40の停止制御が許容される。これらの図柄が表示されて「1枚役」に入賞すると、所定枚数(1枚)のメダルが払い出される。
【0077】
(遊技フローについて)
次に、遊技者が実際にスロットマシン10で遊技を行うときの流れについて、
図4を参照しつつ説明する。
まず、スロットマシン10のリセット後に最初に遊技を開始したときには、遊技区間が「通常区間」で遊技が開始される。この状態では、遊技者は有利区間抽せんに当せんすることを期待しつつ、通常区間で遊技を行うことになる。
【0078】
有利区間抽せんに当せんすると、遊技区間が「有利区間」に移行する。この時点では、特定遊技(ART)は開始されないので、「非特定遊技」で遊技が実行される。この状態では、遊技者は特定遊技抽せんに当せんすることを期待しつつ、遊技を行う。
【0079】
なお、この「非特定遊技」において実行される特定遊技抽せんの当せん確率は、前述したように、有利区間での消化ゲーム数が増加するに従って向上するように設定されている。
【0080】
このため、遊技者は、各ゲームにおいてできるだけ多くのメダルを獲得しつつ特定遊技への移行を目指す遊技の進め方を選択することも可能であるし、特定遊技抽せんの当せん確率を上げるためにあえてメダルの獲得枚数を抑制することで有利区間に長く留まる遊技の進め方を選択することも可能となっている。後者を選択した場合、メダルの獲得枚数が少なくなるように遊技を行うことで、有利区間の終了条件である増加枚数(2400枚)に到達するまでのゲーム数を引き延ばすように遊技を行う。
【0081】
メダルの獲得枚数が少なくなるように遊技を行う例として、遊技者は、有利区間中に当せんする押し順ベルについて、獲得メダル数が少なくなるように操作を行うことも可能である。すなわち、押し順ベルの正解の押し順が分かっている場合には、あえて不正解の押し順でストップスイッチ50を操作し、第1の表示態様(メダル15枚払い出し)が成立しないようにする。このとき、第2の表示態様(メダル3枚払い出し)ではなく、第3の表示態様(メダル1枚払い出し)またはハズレの表示態様(メダル払い出しなし)が揃うように「目押し」を行う。なお、押し順報知がされていない状況では遊技者は押し順ベルの当せんを知ることはできないが、この場合でも遊技者は第3の表示態様(メダル1枚払い出し)またはハズレの表示態様(メダル払い出しなし)が揃うように「目押し」を行う。これにより、押し順ベルに当せんしているゲームにおいて、偶然に正解の押し順とならない限りは、1枚または0枚のメダル払い出しに留めることができる。このように、遊技者が毎ゲーム目押しを行うことで、有利区間中の獲得枚数をできるだけ低く抑えることができる。
【0082】
なお、本実施形態においては、有利区間中に当せんする押し順ベル(特定の状態で当せんする小役)の最小の払い出し枚数は「0枚」である。すなわち、ストップスイッチ50の操作タイミングによって変動する押し順ベルのメダルの払い出し枚数は、「15枚」「3枚」「1枚」「0枚」のいずれかであり、その最小枚数「0枚」は、遊技開始時にベットしたメダル数(1~3枚)以下に設定されている。このため、遊技者は押し順ベルに当せんしたゲームで目押しを行うことで、有利区間中の増加枚数を積み上げることなくゲーム数を消化することができるようになっている。
【0083】
このように、遊技者は、非特定遊技において、獲得メダル数を優先するか、特定遊技抽せんの当せん確率を優先するか、を選択して遊技を行うことができる。前者を選択した場合、獲得メダル数は多くなる(またはメダルの減少が抑制される)が、特定遊技抽せんの当せん確率はあまり高くならない。反対に後者を選択した場合には、獲得メダル数は少なくなる(またはメダルの減少が激しくなる)が、特定遊技抽せんの当せん確率の向上が期待できる。なお、両者の中間の戦略を選択して、メダルの獲得と取りこぼしとを交互に行い、獲得メダル数と消化ゲーム数とのバランスを調整しながら遊技を行うことも可能である。
【0084】
そして、このような遊技を実行した結果、非特定遊技において特定遊技抽せんに当せんすると、特定遊技(ART)が開始される。特定遊技は予め決められた利益(払い出し枚数やゲーム数)を遊技者に付与するまで実行され、その後終了する。特定遊技が終了したら、非特定遊技の状態に戻る。
【0085】
なお、上記した有利区間中に、有利区間の終了条件(1500ゲーム消化、または、2400枚増加)に達した場合は、遊技区間は通常区間に移行する。通常区間に移行した場合、遊技者は再び有利区間抽せんに当せんすることを期待しつつ、遊技を行うこととなる。
【0086】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態によれば、押し順報知制御手段210が作動する特定遊技(例えばATやARTなどの遊技)の実行に関して遊技者にとって有利に設定された有利区間を備え、この有利区間は、遊技媒体の払い出し枚数が所定の条件(純増2400枚)を達成したときに終了するように構成されている。このような構成によれば、遊技媒体の払い出し枚数が一定のレベルに達すると有利区間が終了してしまうため、有利区間を継続するという観点からは、遊技媒体の払い出しが少ない方が有利となる。そして、有利区間で当せんする小役(押し順ベル)は、ストップスイッチ50の操作タイミングによって遊技媒体の払い出し枚数が変動するように構成されているため、あえて遊技媒体の払い出し枚数が少なくなるように遊技を行うという新たな遊技性を実現することができる。
【0087】
例えば、遊技者が有利区間をできるだけ長く継続させたい場合には、いわゆる目押しを行うことで、あえて遊技媒体の獲得枚数が少なくなるように調整することができる。このようにあえて遊技媒体の獲得枚数が少なくなるように遊技を行うことで、有利区間の終了条件に到達するまでのゲーム数を引き延ばすことができ、特定遊技(例えばATやARTなどの遊技)の実行に関して有利な状態をできるだけ長く継続させることができる。
【0088】
しかも、本実施形態においては、特定遊技抽せんの当せん確率は、有利区間の消化ゲーム数が増加するに従って向上するように設定されている。よって、有利区間に長く滞在することで遊技者が得られるメリットが強調されており、上記したような新たな遊技性を強調することができる。
【0089】
(変形例)
上記した実施形態においては、遊技媒体の払い出し枚数によって終了条件が管理される特定の状態として有利区間の全体を設定したが、これに限らず、有利区間中の一部区間を特定の状態として設定してもよい。
【0090】
例えば、
図7に示すように、有利区間が「通常遊技」と「有利遊技」と「特定遊技(ART)」とを含むように構成するとともに、「有利遊技」を特定の状態として設定してもよい。
なお、「有利遊技」は、特定遊技抽せんに関して「通常遊技」よりも有利な状態である。この有利遊技の具体的態様としては、以下のような態様が考えられる。
【0091】
例えば、「有利遊技」としては、「有利遊技」をいわゆるCZ(チャンスゾーン)中として設ける態様が考えられる。この場合、「通常遊技」においては特定遊技抽せんが実行されず、「有利遊技」においてのみ特定遊技抽せんが実行される。
【0092】
また、「有利遊技」の別の態様としては、「有利遊技」をART高確率状態として設ける態様が考えられる。この場合、「通常遊技」においては低確率で当せんする特定遊技抽せんが実行され、「有利遊技」においては高確率で当せんする特定遊技抽せんが実行される。
【0093】
なお、「通常遊技」から「有利遊技」への移行は、有利遊技抽せんを実行することで決定してもよい。有利遊技抽せんは、有利遊技に移行するか否かを決定するための抽せんであり、「通常遊技」において実行される。通常遊技においてこの有利遊技抽せんに当せんしたときに、有利遊技に移行するように制御してもよい。
本変形例に係る「有利遊技」は、予め定められた特定枚数のメダル(例えば210枚)を獲得したときに終了するように構成されている。
【0094】
この「有利遊技」において実行される特定遊技抽せんは、「有利遊技」の消化ゲーム数に応じて当せん確率が変動するように設定されている。具体的には、特定遊技抽せんで使用される特定遊技抽せんテーブルとして、当せん確率の異なる複数の特定遊技抽せんテーブルがあらかじめ用意されている。そして、特定遊技抽せんを実行するときに、これら複数の特定遊技抽せんテーブルの中から、有利遊技の消化ゲーム数に基づいて1の特定遊技抽せんテーブルが選択される。そして、選択された特定遊技抽せんテーブルに規定された当せん確率に基づいて特定遊技抽せんが実行される。
【0095】
これにより、本実施形態に係る特定遊技抽せんにおいては、
図8に示すような当せん確率が設定されている。すなわち、有利遊技の消化ゲーム数が100ゲーム以下の場合は8/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用され、有利遊技の消化ゲーム数が101~110ゲームの場合は32/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用され、有利遊技の消化ゲーム数が111~120ゲームの場合は46/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用され、有利遊技の消化ゲーム数が121~130ゲームの場合は64/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用され、有利遊技の消化ゲーム数が131~150ゲームの場合は90/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用され、有利遊技の消化ゲーム数が151~170ゲームの場合は128/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする特定遊技抽せんテーブルが使用され、有利遊技の消化ゲーム数が171ゲーム以上の場合は256/256の確率で特定遊技抽せんに当せんする(すなわち必ず特定遊技抽せんに当せんする)特定遊技抽せんテーブルが使用される。このように、「有利遊技」において実行される特定遊技抽せんの当せん確率は、「有利遊技」の消化ゲーム数が増加するに従って向上するように設定されている。
【0096】
この変形例に係る遊技の流れは、
図7に示すとおりである。
まず、スロットマシン10のリセット後に最初に遊技を開始したときには、遊技区間が「通常区間」で遊技が開始される。この状態では、遊技者は有利区間抽せんに当せんすることを期待しつつ、通常区間で遊技を行うことになる。
【0097】
有利区間抽せんに当せんすると、遊技区間が「有利区間」に移行する。この時点では、特定遊技(ART)は開始されないので、「非特定遊技(通常遊技)」で遊技が実行される。遊技者は、有利遊技抽せん、または特定遊技抽せんに当せんすることを期待しつつ、遊技を行う。
【0098】
有利遊技抽せんに当せんした場合、「非特定遊技(有利遊技)」で遊技が実行される。この「非特定遊技(有利遊技)」では、特定遊技抽せんに当せんしやすくなっているので、遊技者は、特定遊技抽せんに当せんすることを期待しつつ、遊技を行う。
【0099】
なお、この「非特定遊技(有利遊技)」において実行される特定遊技抽せんの当せん確率は、前述したように、有利遊技での消化ゲーム数が増加するに従って向上するように設定されている。
【0100】
このため、特定遊技(ART)に移行したい遊技者は、できるだけ有利遊技を長く続けられるように遊技を実行する。具体的には、できるだけメダルの獲得枚数が少なくなるように遊技を行うことで、有利遊技の終了条件である獲得枚数(210枚)に到達するまでのゲーム数を引き延ばすように遊技を行う。
【0101】
具体的には、遊技者は、有利遊技中に当せんする押し順ベルについて、獲得メダル数が少なくなるように操作を行う。すなわち、押し順ベルの正解の押し順が分かっている場合には、あえて不正解の押し順でストップスイッチ50を操作し、第1の表示態様(メダル15枚払い出し)が成立しないようにする。このとき、第2の表示態様(メダル3枚払い出し)ではなく、第3の表示態様(メダル1枚払い出し)またはハズレの表示態様(メダル払い出しなし)が揃うように「目押し」を行う。なお、押し順報知がされていない状況では遊技者は押し順ベルの当せんを知ることはできないが、この場合でも遊技者は第3の表示態様(メダル1枚払い出し)またはハズレの表示態様(メダル払い出しなし)が揃うように「目押し」を行う。これにより、押し順ベルに当せんしているゲームにおいて、偶然に正解の押し順とならない限りは、1枚または0枚のメダル払い出しに留めることができる。このように、遊技者が毎ゲーム目押しを行うことで、有利遊技中の獲得枚数をできるだけ低く抑えることができる。
【0102】
このように遊技を実行した結果、特定遊技抽せんに当せんすると、特定遊技(ART)が開始される。特定遊技は予め決められた利益(払い出し枚数やゲーム数)を遊技者に付与するまで実行され、その後終了する。特定遊技が終了したら、非特定遊技(通常遊技)の状態に戻る。
【0103】
なお、上記した有利区間中に、有利区間の終了条件(1500ゲーム消化、または、2400枚増加)に達した場合は、遊技区間は通常区間に移行する。通常区間に移行した場合、再び有利区間抽せんに当せんすることを期待しつつ遊技を行うこととなる。
【0104】
以上説明したように、本変形例は、特定遊技(例えばATやARTなどの遊技)の実行に関して遊技者にとって有利に設定された有利遊技を備え、この有利遊技は、遊技媒体の払い出し枚数が所定の条件(210枚獲得)を達成したときに終了するように構成されている。よって、遊技媒体の払い出し枚数が一定のレベルに達すると有利遊技が終了してしまうため、有利遊技を継続するという観点からは、遊技媒体の払い出しが少ない方が有利となる。そして、有利遊技で当せんする小役(押し順ベル)は、ストップスイッチ50の操作タイミングによって遊技媒体の払い出し枚数が変動するように構成されているため、あえて遊技媒体の払い出し枚数が少なくなるように遊技を行うという新たな遊技性を実現することができる。
【0105】
例えば、遊技者が有利遊技(CZ中やART高確率状態)をできるだけ長く継続させたい場合には、いわゆる目押しを行うことで、あえて遊技媒体の獲得枚数が少なくなるように調整することができる。このようにあえて遊技媒体の獲得枚数が少なくなるように遊技を行うことで、有利遊技の終了条件に到達するまでのゲーム数を引き延ばすことができ、特定遊技(例えばATやARTなどの遊技)の実行に関して有利な状態をできるだけ長く継続させることができる。
【0106】
しかも、本実施形態においては、特定遊技抽せんの当せん確率は、有利遊技の消化ゲーム数が増加するに従って向上するように設定されている。よって、有利遊技に長く滞在するほど、遊技者にとって有利となるので、あえて遊技媒体の払い出し枚数が少なくなるように遊技を行うという遊技性を強調することができる。
【符号の説明】
【0107】
10 スロットマシン
11 筐体
12 表示窓
13 図柄表示窓
14 メダル投入口
15 投入スイッチ
16 ベットスイッチ
17 精算スイッチ
18 メダル払い出し口
20 制御装置
30 スタートスイッチ
31 前扉
31A 操作部
31B 下パネル
31C 下皿
32 クレジット表示部
40 回転リール
41 左リール
42 中リール
43 右リール
50 ストップスイッチ
51 左ストップスイッチ
52 中ストップスイッチ
53 右ストップスイッチ
60 リールユニット
65 ホッパーユニット
66 演出部
67 画像表示部
68 ランプ
69 スピーカ
100 遊技状態制御手段
110 当せん抽せん手段
120 役抽せんテーブル
130 リール制御手段
140 入賞判定手段
150 ホッパー制御手段
200 演出制御手段
210 押し順報知制御手段
220 設定手段
230 特定遊技制御手段
240 遊技区間制御手段