(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】自動洗浄装置の改装方法、および該方法に用いられる止水プラグ
(51)【国際特許分類】
E03D 5/10 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
E03D5/10
(21)【出願番号】P 2020041116
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】396017796
【氏名又は名称】株式会社ミナミサワ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】南澤 宏一
(72)【発明者】
【氏名】南澤 俊文
(72)【発明者】
【氏名】吉越 淳弥
(72)【発明者】
【氏名】小山 夏代
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120015(JP,A)
【文献】特開平10-122475(JP,A)
【文献】特開平11-257230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取水口から送水口へ連通して洗浄水を通流させる主流路と、前記主流路の開閉を行う差圧移動式のピストンバルブと、一端が前記ピストンバルブの移動空間となるシリンダ室の外壁に開口形成された第1開口孔を介して前記シリンダ室と連通すると共に他端が前記主流路の前記ピストンバルブが配設される位置よりも下流側となる位置に開口形成された第2開口孔を介して前記主流路と連通する副流路と、前記副流路を開閉する副電磁弁と、が設けられた本体部、ならびに、使用者を感知するセンサおよび前記センサの感知信号により前記副電磁弁の駆動を行う駆動制御部、を壁内もしくは壁近傍部に備えて、前記副電磁弁の駆動により前記副流路が開通することで前記シリンダ室内が減圧されて前記ピストンバルブが移動して前記主流路が開通することによって前記洗浄水が通流して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法であって、
前記本体部から前記副流路の全部もしくは一部および前記副電磁弁を取外して、前記第2開口孔を露出させる工程と、
止水プラグによって前記第2開口孔の封止を行う工程と、を備え、
前記止水プラグは、
板状もしくは棒状のベース部と、
前記ベース部の第1端部に設けられ、外周にシール部材を有して前記本体部の前記第2開口孔に嵌設される円柱状の止水部と、
前記ベース部の第2端部に設けられ、前記本体部に係止される係止部と、を備え、
前記止水プラグによって前記第2開口孔の封止を行う工程は、
前記止水プラグの前記止水部を前記第2開口孔に嵌設する工程と、
前記止水プラグの前記係止部を前記本体部に係止する工程と、を備え
、
前記本体部は、前面部から前記第2開口孔の内壁面に貫通するように形成された押しネジ用ネジ孔を備え、
前記止水プラグの前記係止部を前記本体部に係止する工程は、
前記係止部に設けられる第1係止ネジを回動してヘッド部と逆側の先端部を前記押しネジ用ネジ孔の少なくとも雌ネジ部が形成されていない位置まで進入させて係止する工程を備えること
を特徴とする自動洗浄装置の改装方法。
【請求項2】
取水口から送水口へ連通して洗浄水を通流させる主流路と、前記主流路の開閉を行う差圧移動式のピストンバルブと、一端が前記ピストンバルブの移動空間となるシリンダ室の外壁に開口形成された第1開口孔を介して前記シリンダ室と連通すると共に他端が前記主流路の前記ピストンバルブが配設される位置よりも下流側となる位置に開口形成された第2開口孔を介して前記主流路と連通する副流路と、前記副流路を開閉する副電磁弁と、が設けられた本体部、ならびに、使用者を感知するセンサおよび前記センサの感知信号により前記副電磁弁の駆動を行う駆動制御部、を壁内もしくは壁近傍部に備えて、前記副電磁弁の駆動により前記副流路が開通することで前記シリンダ室内が減圧されて前記ピストンバルブが移動して前記主流路が開通することによって前記洗浄水が通流して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法であって、
前記本体部から前記副流路の全部もしくは一部および前記副電磁弁を取外して、前記第2開口孔を露出させる工程と、
止水プラグによって前記第2開口孔の封止を行う工程と、を備え、
前記止水プラグは、
板状もしくは棒状のベース部と、
前記ベース部の第1端部に設けられ、外周にシール部材を有して前記本体部の前記第2開口孔に嵌設される円柱状の止水部と、
前記ベース部の第2端部に設けられ、前記本体部に係止される係止部と、を備え、
前記止水プラグによって前記第2開口孔の封止を行う工程は、
前記止水プラグの前記止水部を前記第2開口孔に嵌設する工程と、
前記止水プラグの前記係止部を前記本体部に係止する工程と、を備え、
前記本体部は、前面部に前記副電磁弁の固定を行う固定用ネジ孔を備え、
前記止水プラグの前記係止部を前記本体部に係止する工程は、
前記係止部に設けられる第2係止ネジを回動して前記固定用ネジ孔に螺合させて係止する工程を備えること
を特徴とする自動洗浄装置の改装方法。
【請求項3】
取水口から送水口へ連通して洗浄水を通流させる主流路と、前記主流路の開閉を行う差圧移動式のピストンバルブと、一端が前記ピストンバルブの移動空間となるシリンダ室の外壁に開口形成された第1開口孔を介して前記シリンダ室と連通すると共に他端が前記主流路の前記ピストンバルブが配設される位置よりも下流側となる位置に開口形成された第2開口孔を介して前記主流路と連通する副流路と、前記副流路を開閉する副電磁弁と、が設けられた本体部、ならびに、使用者を感知するセンサおよび前記センサの感知信号により前記副電磁弁の駆動を行う駆動制御部、を壁内もしくは壁近傍部に備えて、前記副電磁弁の駆動により前記副流路が開通することで前記シリンダ室内が減圧されて前記ピストンバルブが移動して前記主流路が開通することによって前記洗浄水が通流して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法として、前記本体部から前記副流路の全部もしくは一部および前記副電磁弁を取外して前記第2開口孔を露出させる工程と、止水プラグによって
前記第2開口孔の封止を行う工程と、を備える改装方法に用いられる前記止水プラグであって、
板状もしくは棒状のベース部と、
前記ベース部の第1端部に設けられ、外周にシール部材を有して前記本体部の前記第2開口孔に嵌設される円柱状の止水部と、
前記ベース部の第2端部に設けられ、前記本体部に係止される係止部と、を備えること
を特徴とする止水プラグ。
【請求項4】
前記本体部は、前面部から前記第2開口孔の内壁面に貫通するように形成された押しネジ用ネジ孔を備え、
前記係止部は、回動によりヘッド部と逆側の先端部を前記押しネジ用ネジ孔の少なくとも雌ネジ部が形成されていない位置まで進入させる第1係止ネジが設けられていること
を特徴とする請求項
3記載の止水プラグ。
【請求項5】
前記本体部は、前面部に前記副電磁弁の固定を行う固定用ネジ孔を備え、
前記係止部は、回動により前記固定用ネジ孔に螺合させる第2係止ネジが設けられていること
を特徴とする請求項
3記載の止水プラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者を感知して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法、および該方法に用いられる止水プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、
図1、
図2、
図4、
図5に例示されるような、壁内(もしくは壁近傍部)に使用者を感知するセンサ、および差圧移動式のピストンバルブを有する本体部が配設される壁埋め込み型ユニットを用いて男性用の小便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置が実用化されている。
【0003】
その後、便器メーカーの技術改良によって、特許文献1(特開2008-031825号公報)、特許文献2(特開2008-248549号公報)に開示されるような、小便器に直接、センサが埋設される構造のものも登場している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-031825号公報
【文献】特開2008-248549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既に旧式の部類に属する
図1、
図2に例示の自動洗浄装置2(2A)や、
図4、
図5に例示の自動洗浄装置2(2B)、2(2C)においては、経年によって、センサの故障が少なからず発生するようになってきた一方で、センサの製造・提供が終了するという問題に直面している。すなわち、センサの故障時に、現状復帰が不可能(もしくは困難)となるために、自動洗浄機能を維持することができず、小便器全体を交換しなければならない等、大規模な改修と多大な経費が発生する課題が生じることとなる。
【0006】
さらに、上記の外部要因に加えて、現場の壁埋め込み型ユニットにおける壁内の状況は、一辺が約100[mm]の立方空間という非常に限定された極小スペース内での改装施工作業を取らざるを得ない点も大きな課題となっている。特に、改装作業を正面方向のみの開口部で行うしか無いため、プラスマイナスのドライバー程度の工具に限定した改装方法の案出が必要となる。
【0007】
こうした種々の課題に対して、それらの解決を可能とする改装方法および改装器具が市場において要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、壁内もしくは壁近傍部に使用者を感知するセンサを備え、差圧移動式のピストンバルブによって主流路の開閉を行う自動洗浄装置のセンサが故障した際に、壁埋め込み型ユニットの本体部を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰させる改装方法を提供することを目的とし、併せて、当該方法に用いられる止水プラグを提供することを目的とする。
【0009】
一実施形態として、以下に開示するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
開示の改装方法は、取水口から送水口へ連通して洗浄水を通流させる主流路と、前記主流路の開閉を行う差圧移動式のピストンバルブと、一端が前記ピストンバルブの移動空間となるシリンダ室の外壁に開口形成された第1開口孔を介して前記シリンダ室と連通すると共に他端が前記主流路の前記ピストンバルブが配設される位置よりも下流側となる位置に開口形成された第2開口孔を介して前記主流路と連通する副流路と、前記副流路を開閉する副電磁弁と、が設けられた本体部、ならびに、使用者を感知するセンサおよび前記センサの感知信号により前記副電磁弁の駆動を行う駆動制御部、を壁内もしくは壁近傍部に備えて、前記副電磁弁の駆動により前記副流路が開通することで前記シリンダ室内が減圧されて前記ピストンバルブが移動して前記主流路が開通することによって前記洗浄水が通流して便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置の改装方法であって、前記本体部から前記副流路の全部もしくは一部および前記副電磁弁を取外して、前記第2開口孔を露出させる工程と、止水プラグによって前記第2開口孔の封止を行う工程と、を備え、前記止水プラグは、板状もしくは棒状のベース部と、前記ベース部の第1端部に設けられ、外周にシール部材を有して前記本体部の前記第2開口孔に嵌設される円柱状の止水部と、前記ベース部の第2端部に設けられ、前記本体部に係止される係止部と、を備え、前記止水プラグによって前記第2開口孔の封止を行う工程は、前記止水プラグの前記止水部を前記第2開口孔に嵌設する工程と、前記止水プラグの前記係止部を前記本体部に係止する工程と、を備え、前記本体部は、前面部から前記第2開口孔の内壁面に貫通するように形成された押しネジ用ネジ孔を備え、前記止水プラグの前記係止部を前記本体部に係止する工程は、前記係止部に設けられる第1係止ネジを回動してヘッド部と逆側の先端部を前記押しネジ用ネジ孔の少なくとも雌ネジ部が形成されていない位置まで進入させて係止する工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
開示の改装方法によれば、前述の課題解決が可能となり、男性用小便器に例示される便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置において、壁内もしくは壁近傍部に使用者を感知するセンサを備え、差圧移動式のピストンバルブによって主流路の開閉を行う自動洗浄装置のセンサが故障した際に、壁埋め込み型ユニットの本体部を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰させる改装を実現することができる。したがって、センサの故障時等において、便器全体を取換えなければならないような大規模な改修と多大な経費の発生を抑制することが可能となり、簡易に、且つ、低コストでの改装が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る改装方法の適用対象となる壁埋め込み型ユニットを備える自動洗浄装置の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図2】
図1に示す自動洗浄装置の構成例を説明する説明図(側面図)である。
【
図3】
図1に示す自動洗浄装置に対して本実施形態に係る改装方法を適用して改装を行った自動洗浄装置の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図4】本発明の実施形態に係る改装方法の適用対象となる壁埋め込み型ユニットを備える自動洗浄装置の他の例を示す概略図(側面図)である。
【
図5】本発明の実施形態に係る改装方法の適用対象となる壁埋め込み型ユニットを備える自動洗浄装置の他の例を示す概略図(側面図)である。
【
図6】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視図)である。
【
図7】本発明の実施形態に係る改装方法の適用対象となる壁埋め込み型ユニットの本体部の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図8】本発明の実施形態に係る改装方法の適用対象となる壁埋め込み型ユニットの本体部の他の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図9】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視図)である。
【
図10】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面図)である。
【
図11】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(本体部の拡大図)である。
【
図12】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面図)である。
【
図13】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(本体部の拡大図)である。
【
図14】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面図)である。
【
図15】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(正面図)である。
【
図16】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視図)である。
【
図17】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視図)である。
【
図18】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視図)である。
【
図19】本発明の実施形態に係る改装方法を説明する説明図(斜視図)である。
【
図20】
図4、
図5に示す自動洗浄装置に対して本実施形態に係る改装方法を適用して改装を行った自動洗浄装置の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図21】
図4に示す自動洗浄装置に対して本実施形態に係る改装方法を適用して改装を行った自動洗浄装置の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図22】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる止水プラグの例を示す概略図(上面側斜視図、側面図)である。
【
図23】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる止水プラグの他の例を示す概略図(上面側斜視図、下面側斜視図)である。
【
図24】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる止水蓋の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図25】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる電磁弁の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図28】本発明の実施形態に係る改装方法に用いられる電磁弁の他の例を示す概略図(斜視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(改装方法)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0014】
先ず、本発明の実施形態に係る自動洗浄装置の改装方法について、概要を説明する。 当該改装方法の対象となる従来の自動洗浄装置は、
図1、
図2に例示の自動洗浄装置2(2A)や、
図4、
図5に例示の自動洗浄装置2(2B)、2(2C)である。いずれも、使用者を感知するセンサ16、およびその感知に基づく信号によって主流路の開閉を行う開閉動作がなされるピストンバルブを有する本体部11が壁内に配設された壁埋め込み型ユニット3を備える構成である。すなわち、壁埋め込み型ユニット3の本体部11を活用しつつ自動洗浄機能を復帰させる改装方法であることに特徴を有する。
【0015】
ここで、
図1、
図2に例示の自動洗浄装置2(2A)のように、壁外の配管Pが十分な長さを有している場合には、上記センサの故障時に、当該配管Pの位置に外部型ユニット5を設けることによって、壁埋め込み型ユニット3から外部型ユニット5に改装する改装方法を採ることができる(
図3参照)。この場合、本体部11に設けられている主流路28を、開閉機能を有しない単純流路化する改装を行うこととなる(第1例)。
【0016】
一方、
図4、
図5に例示の自動洗浄装置2(2B)、2(2C)のように、壁外の配管Pが十分な長さを有していない場合や、壁外の配管自体が設けられていない場合には、上記センサの故障時に、上記のように壁埋め込み型ユニットから外部型ユニットに改装する改装方法を採ることができない。この場合、主流路28の開閉を行う機構を差圧移動式のピストンバルブ32から本体部11に取付ける電磁弁120に切替える改装を行うこととなる(第2例)。なお、この改装方法は、上記の自動洗浄装置2(2A)に対して適用することもできる。
【0017】
続いて、本発明の実施形態に係る自動洗浄装置の改装方法について、詳しく説明する。
【0018】
第1例および第2例に共通の工程として、
図6に示すように、従来の自動洗浄装置2から、壁埋め込み型ユニット3の前面プレート12を取外す工程を実施する(工程S1)。この前面プレート12は、金属製であって中央にセンサ窓14を有し、当該センサ窓14の裏面(壁内側)に使用者を感知するためのセンサ16が設置されている。また、符号17は、センサ16の感知信号により後述の副電磁弁42の駆動制御等を行う駆動制御部である。なお、前面プレート12は、通常、壁面WLに固定されている枠部材18に対して、マグネット22を用いて固定されている。
【0019】
次に、工程S1よりも後に、同
図6に示すように、壁埋め込み型ユニット3の駆動制御部17に接続された制御配線24、および電源配線26を取外して、壁埋め込み型ユニット3から、前面プレート12、センサ16、および駆動制御部17を縁切りして取外す工程を実施する(工程S2)。ここで、電源配線26に供給される電源としては、AC100Vの商用電源が用いられる構成(以下、「100Vタイプ」と称する)、もしくは電池による直流電源が用いられる構成(以下、「電池タイプ」と称する)がある。なお、各工程図は特に明示しない限り100Vタイプの例で図示している。
【0020】
ここで、壁埋め込み型ユニット3は、100Vタイプの場合、
図7に示す本体部11(11A)を備えている。この本体部11(11A)は、前面部11bの位置に、第2開口孔15(後述)の内壁面15aに貫通するように形成されたネジ孔11aと、当該ネジ孔11aに挿通される押しネジ43とを備えている。また、前面部11cの位置に、アース配線(不図示)の接続を行うための接続用ネジ孔20を備えている。一方、電池タイプの場合、
図8に示す本体部11(11B)を備えている。この本体部11(11B)は、前面部11bの位置に、上記ネジ孔11aおよび押しネジ43に相当する構成を備えていない。また、前面部11cの位置に、副電磁弁42(後述)の固定を行うための固定用ネジ孔21を備えている。
【0021】
次に、工程S1よりも後に(好適には工程S2よりも後に)、
図9に示すように、壁埋め込み型ユニット3の主流路28の止水栓30を閉め噴水防止措置を取った後、本体部11からシリンダ室31の開口端部31aを密閉している密閉蓋27を取外し、次いで、シリンダ室31内を移動して主流路28の通水・止水を行う差圧移動式のピストンバルブ32を当該シリンダ室31から取外す工程を実施する(工程S3)。ここで、主流路28は、給水管34に連結された取水口35から取水し、本体部11内を通り、送水口37に連結された排水管36に送水する作用をなす流路である。本体部11内において、主流路28は開口28aからシリンダ室31内を経て開口28bへと通流させる流路となっている。したがって、ピストンバルブ32が奥側(開口端部31aとは逆側)に移動し、ピストンバルブ32の先端部32aに設けられた弁体33がシリンダ室31の奥側の内壁(弁座となる)31bに密着することで主流路28が閉じられて洗浄水が止水される。一方、ピストンバルブ32が開口端部31a側に移動し、ピストンバルブ32の先端部32aの弁体33がシリンダ室31の奥側の内壁(弁座)31bから離れることで、主流路28が開かれて開口28aから開口28bへと洗浄水が通水される。このように、ピストンバルブ32がシリンダ室31内を移動することによって、給水管34から排水管36を介して便器1へ通流させる洗浄水の通水・止水作用が得られる。
【0022】
次に、工程S3よりも後に、
図10に示すように、壁埋め込み型ユニット3のピストンバルブ32の後端部32bに作用する圧力を変化させて当該ピストンバルブ32を動作させる副流路38(構造に応じて全部もしくは一部)および当該副流路38を開閉する副電磁弁42をそれぞれ取外し、後述の第2開口孔15を露出させる工程を実施する(工程S4)。なお、副電磁弁42は、電源のオン・オフにより内部のピストン(不図示)が動作して副流路38を開閉可能なように構成されている。ちなみに、副電磁弁42は、内部の流路が副流路38の一部を構成している。
【0023】
ここで、
図7および
図8に示す本体部11の概略図を用いて壁埋め込み型ユニット3が備える副流路38の構成について説明する。副流路38は、一端が主流路28(ここではシリンダ室31)においてピストンバルブ32の後端部32b側となる位置(すなわちシリンダ室31において開口端部31a側となる位置)に開口形成された第1開口孔13を介して当該主流路28に連通している。また、他端が主流路28においてピストンバルブ32が配設される位置(すなわち開口28bが設けられる位置)よりも下流側となる位置に開口形成された第2開口孔15を介して当該主流路28に連通している。本実施形態においては、シリンダ室31の外壁に突設されて外周にネジ部を有する突起部39が設けられており、当該突起部39の中心(径方向の中心)に第1開口孔13が形成されている。一例として、副流路38は、ユニオンナット40を用いて突起部39のネジ部に固定される構成である。
【0024】
なお、上記構成を有する副流路38の本来の作用としては、センサ16が使用者を感知すると、その感知信号により駆動制御部17が副電磁弁42を駆動(励磁)させると、副流路38が開かれた状態となる。このとき、副流路38は第2開口孔15を介して主流路28さらには送水口37および排水管36に連通しているため、副流路38内の圧力が大気解放された状態となる。したがって、第1開口孔13を介してピストンバルブ32の後端部32b側の圧力が減圧されるため、当該ピストンバルブ32がシリンダ室31内において奥側(内壁31b側)から開口端部31a側へと移動する。これによって、主流路28が開いた状態となるため、前述の説明のように主流路28を洗浄水が流れることとなる。ちなみに、その後の動作としては、副電磁弁42が消磁すると、副流路38が閉じられた状態となる。ここで、ピストンバルブ32は先端部32a側と後端部32b側とを連通する小孔(不図示)を備えており、開口28aから当該小穴を通じて徐々にピストンバルブ32の後端部32b側へと洗浄水が満ちてくる。さらにピストンバルブ32の後端部32bにはリターンスプリング(不図示)が設けられており、それらの作用によって、ピストンバルブ32の先端部32aの弁体33がシリンダ室31の奥側の内壁(弁座)31bに当接する状態となるため、主流路28が閉じられて、洗浄水の通水が停止することとなる。以上の作用により、差圧移動式のピストンバルブ32が動作する。
【0025】
次に、工程S3よりも後に(好適には工程S4よりも後に)、副流路38を取外して第2開口孔15を露出させた箇所に対する処置として、第2開口孔15に止水プラグ210を取付けて、第2開口孔15の封止を行う工程を実施する(工程S5)。100Vタイプの場合、
図11、
図12に示すように、本体部11(11A)に対して、止水プラグ210(210A)を取付ける。一方、電池タイプの場合、
図13、
図14に示すように、本体部11(11B)に対して、止水プラグ210(210B)を取付ける。いずれも、止水プラグ210の止水部214を第2開口孔15に嵌設する工程と、係止部216を本体部11に係止する工程とを備えている。これによれば、主流路28に連通する第2開口孔15の封水を行うことが可能となる。なお、止水プラグ210の詳細な構成については後述する。
【0026】
ここから、第1例の場合の工程例について説明する(本体部11Aの場合として図示する)。
【0027】
第1例の場合には、工程S3よりも後に(好適には工程S5よりも後に)、主流路28のピストンバルブ32を取り外した箇所、並びに副流路38を取り外した箇所に対して以下の処置を施して、主流路28を開閉機能を有しない単純流路化を図る工程を実施する。
【0028】
より詳しくは、
図15に示すように、ピストンバルブ32を取り外した箇所に対する処置として、シリンダ室31の開口端部31aに止水蓋44(詳細は後述)を取り付けて、シリンダ室31(開口端部31a)の封止を行う工程を実施する(工程S6A)。なお、止水蓋44は、シール部材45を第1開口孔13の位置よりも奥側(内壁31b側)となる位置に備える場合、開口端部31aおよび第1開口孔13の両方の封止を行うことができる。一方、シール部材45を第1開口孔13の位置よりも手前側(開口端部31a側)となる位置に備える場合、開口端部31aの封止を行うことができるが、第1開口孔13の封止を行うことができないため、突起部39に取付けて第1開口孔13を封止する封水部品(一例として、袋ナット)を別途設ければよい。
【0029】
以上のようにして、給水管34と排水管36とが、間に開閉機構を有しない単純な流路(配管)としての主流路28で接続された状態となる。すなわち、壁内にセンサおよびピストンバルブが配設される壁埋め込み型ユニット3を、その本体部11を残したまま主流路28の単純流路化を図ることが可能となる。これにより、当該壁埋め込み型ユニットを、壁外で且つ便器の上方位置に配設されるセンサ式外部型ユニットもしくは手動式外部型ユニットに改装することが可能となる。
【0030】
一例として、上記の工程S6Aよりも後に、金属製の第3前面プレート77を用意して、当該第3前面プレート77を、枠部材18に設けられたマグネット22に吸着させて取付ける工程、および、壁外で且つ便器1の上方位置(ここでは、配管Pの位置)にセンサおよびピストンバルブが内蔵された公知の外部型ユニット5(例えば、株式会社ミナミサワ製FM6TW、等)を取付ける工程を実施する(工程S7A)。
【0031】
一例として、
図3において、外部型ユニット5を備える自動洗浄装置に改装された例を示す。なお、この例は電池式の外部型ユニット5を用いる場合の例である。その他にも、図示は省略するが、外部型ユニット5として、AC100V式のものを用いることも可能である。
【0032】
続いて、第2例の場合の工程例について説明する(本体部11Aの場合として図示する)。
【0033】
第2例の場合には、工程S4よりも後に(好適には工程S5よりも後に)、主流路28の開閉を行う電磁弁120(詳細は後述)をシリンダ室31に挿入し、電磁弁120を本体部11に固定すると共に、シリンダ室31の開口端部31aの封止を行う工程を実施する(工程S6B)。
【0034】
ここで、工程S6Bにおいて、電磁弁120を本体部11に固定する工程として、以下の方法が考えられる。第1の固定方法は、ベース部122の外周に雄ネジ部128を備える電磁弁120(120A)を用意して、シリンダ室31の内壁の雌ネジ部31cに螺合させるように、電磁弁を回転させながら取付ける方法である(
図16、
図17参照)。
【0035】
一例として、同
図16、
図17に示すように、回動工具Tの回動力を電磁弁120に伝達する着脱可能な工具連結治具110を電磁弁120に取付けた後、回動工具T(一例として、六角レンチ)を工具連結治具110に連結して回動することにより電磁弁120を回動させて、電磁弁120の外周部に設けられる雄ネジ部128を、シリンダ室31の内壁に設けられる雌ネジ部31cに直接、螺合させることにより固定する。なお、径が合わない場合には、アダプタ(不図示)を介在させて固定する方法としてもよい。
【0036】
第2の固定方法は、ベース部122の外周に雄ネジ部が設けられていない電磁弁120(120B)を用意して、シリンダ室31に挿入した後、本体部11に固定用部材90を取付けて、電磁弁120がシリンダ室31から抜け出さないように本体部11に固定する方法である(
図18参照)。
【0037】
第1の固定方法および第2の固定方法のいずれの方法においても、本体部11に固定された電磁弁120は、第1開口孔13の位置よりも奥側(内壁31b側)において開口端部31aを封止した状態となるため、同時に第1開口孔13に対しても封止した状態、すなわち、開口端部31aおよび第1開口孔13のいずれからも噴水しない状態が確保される。この電磁弁120の作用として、電源のオン・オフにより内部のピストン(不図示)が動作して主流路28を開閉可能なように構成されている。したがって、取外した差圧移動式のピストンバルブ32に代えて、主流路28の開閉動作を生じさせることができる。
【0038】
あるいは、電磁弁120の変形例(不図示)として、電磁弁120のシール部が設けられる所定位置をシリンダ室31内において第1開口孔13よりも手前側(開口端部31a側)の位置となるように設定する構成としてもよい。その場合は、シリンダ室31の開口端部31aが封止された状態となる一方、第1開口孔13は封止されていない状態となるため、別途、突起部39に例えば袋ナットのような封止部材(不図示)を外嵌させることによって、第1開口孔13を封止する構成としてもよい。
【0039】
次に、工程S6Bよりも後に、
図19に示すように、使用者を感知する第2センサ72および当該第2センサ72の感知信号により電磁弁120の駆動を行う第2駆動制御部74を、枠部材18に取付ける工程を実施する(工程S7B)。一例として、第2センサ72および第2駆動制御部74(ここでは、一体型である)が裏面側(背面側)に固定された金属製の第2前面プレート76を用意して、先に、電源配線26をソケット(不図示)に接続し、当該ソケットにACアダプタ(不図示)を介して第2駆動制御部74を接続すると共に、電磁弁120の配線170を第2駆動制御部74に接続する(なお、変形例として、電源配線26を直接、第2駆動制御部74に接続する構成も考えられる)。次いで、第2前面プレート76を、枠部材18に設けられたマグネット22に吸着させて取付ける構成としている。当該工程S7B迄が完了した状態を
図20(
図4、
図5の構成の場合)、
図21(
図4の構成の場合)に示す。
【0040】
以上説明した通り、壁内(もしくは壁近傍部)にセンサ16およびピストンバルブ32が配設される壁埋め込み型ユニット3を備える自動洗浄装置2(一例として、
図2に示す2A、
図4に示す2B、
図5に示す2C)に関し、例えば壁内のセンサ16が故障した場合等において、壁埋め込み型ユニット3の本体部11を活用しつつ、主流路28の開閉を行う機構を、従来の差圧移動式のピストンバルブ32から外部型ユニット5(第1例)もしくは電磁弁120(第2例)に切替えることができる。したがって、便器全体を後発品等に交換する等の改修を行うことなく、自動洗浄機能を復帰(別構成により実現)させる改装方法を実現することが可能となる。
【0041】
すなわち、壁埋め込み型ユニット3における枠部材18、本体部11(特に主流路28)、給水管34、排水管36等をそのまま流用できるため、便器の交換や、壁を取壊しての機器・配管類の交換・新設が必要なく、改装のための作業を簡素にすることができる。したがって、部品コストおよび作業コストを大幅に低減することができる。
【0042】
(止水プラグ)
続いて、本実施形態に係る改装方法に用いられる止水プラグについて説明する。先ず、壁埋め込み型ユニット3が、本体部11Aを備える場合に適用される止水プラグ210Aについて説明する。止水プラグ210Aの上面側斜視図を
図22(a)に、側面図を
図22(b)にそれぞれ示す。
【0043】
止水プラグ210(210A)は、板状(もしくは棒状等でもよい)の金属材料を用いて形成されたベース部212(212A)を備えている。また、ベース部212(212A)の第1端部212aには、外周にシール部材220(220A)を有して本体部11(11A)の第2開口孔15に嵌設される円柱状の止水部214(214A)が設けられている。また、ベース部212(212A)の第2端部212bには、本体部11(11A)に係止される係止部216(216A)が設けられている。なお、シール部材220(220A)は、第2開口孔15の内壁面15aに密着して封止可能な構成を有し、一例として、ゴム製のOリングが用いられる。
【0044】
ここで、止水プラグ210(210A)における係止部216(216A)には、回動によりヘッド部222aと逆側の先端部222bを本体部11(11A)の押しネジ43用のネジ孔11aの少なくとも雌ネジ部が形成されていない位置まで進入させる第1係止ネジ222が設けられている。
【0045】
これによれば、止水プラグ210(210A)の止水部214(214A)を第2開口孔15に嵌設し、係止部216(216A)を本体部11(11A)に係止することによって、主流路28に連通する第2開口孔15の封水を行うことができる。
【0046】
このとき、第1係止ネジ222を押しネジ用ネジ孔11aの少なくとも雌ネジ部が形成されていない位置まで進入させて係止させることによって、止水部214(214A)に主流路28からの水圧が作用しても、第2開口孔15から抜け出してしまうことが防止できる。
【0047】
続いて、壁埋め込み型ユニット3が、本体部11Bを備える場合に適用される止水プラグ210Bについて説明する。止水プラグ210Bの上面側斜視図を
図23(a)に、下面側斜視図を
図23(b)にそれぞれ示す。
【0048】
止水プラグ210(210B)は、板状(もしくは棒状等でもよい)の金属材料を用いて形成されたベース部212(212B)を備えている。また、ベース部212(212B)の第1端部212aには、外周にシール部材220(220B)を有して本体部11(11B)の第2開口孔15に嵌設される円柱状の止水部214(214B)が設けられている。また、ベース部212(212B)の第2端部212bには、本体部11(11B)に係止される係止部216(216B)が設けられている。なお、シール部材220(220B)は、第2開口孔15の内壁面15aに密着して封止可能な構成を有し、一例として、ゴム製のOリングが用いられる。
【0049】
ここで、止水プラグ210(210B)における係止部216(216B)には、回動により本体部11(11B)の固定用ネジ孔21に螺合させる第2係止ネジ224が設けられている。
【0050】
これによれば、止水プラグ210(210B)の止水部214(214B)を第2開口孔15に嵌設して、係止部216(216B)を本体部11(11B)に係止することによって、主流路28に連通する第2開口孔15の封水を行うことができる。
【0051】
このとき、第2係止ネジ224を固定用ネジ孔21に螺合させることによって、止水部214(214B)に主流路28からの水圧が作用しても、第2開口孔15から抜け出してしまうことが防止できる。
【0052】
(止水蓋)
続いて、本実施形態に係る改装方法に用いられる止水蓋44について説明する。
【0053】
本実施形態に係る止水蓋44は、
図24に示すように、密閉蓋27のネジ部(雄ネジ部)と同径・同ピッチであってシリンダ室31の開口端部31aのネジ部(雌ネジ部)に螺合可能なネジ部(雄ネジ部)44aを有すると共に、螺合させる際に用いる回動工具(ここでは、六角レンチ)を差し込む孔44bを有している。また、外周には、シリンダ室31の内壁面に密着して封止可能なシール部材45を有している。当該シール部材45には、一例として、ゴム製のOリングが用いられる。
【0054】
この構成によれば、止水蓋44をシリンダ室31(開口端部31a)に固定することが可能となるため、シリンダ室31の開口端部31aの封水を行うことが可能となる。
【0055】
(電磁弁)
続いて、本実施形態に係る改装方法に用いられる電磁弁120(120A)について説明する。
【0056】
本実施形態に係る電磁弁120(120A)の斜視図(概略図)を
図25に、平面図(概略図)を
図26に、正面断面図(概略図)を
図27にそれぞれ示す。電磁弁120の概略構成として、中央に配置されるベース部122と、ベース部122の第1端部122aに固定キャップ132を介して固定されるソレノイド部124と、ベース部122の内部に保持されると共に第2端部122bから突出させて設けられる弁部126と、を備えて構成されている。
【0057】
先ず、ベース部122は、金属材料(一例として、黄銅)を用いて形成されている。具体的な構成として、シリンダ室31の内壁に設けられる雌ネジ部31cに対して螺合可能な雄ネジ部128を外周に有する円筒状に形成されており、第1端部122aにおいて径方向外方に突設される鍔状部130を備えている。
【0058】
この構成によれば、ベース部122の雄ネジ部128をシリンダ室31の内壁の雌ネジ部31cに螺合させて固定することにより、電磁弁120を本体部11へ固定することが可能となる。特に、この部分に金属材料を用いることで、漏水を防止した確実な固定が可能となる。
【0059】
次に、固定キャップ132は、樹脂材料(一例として、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂等)を用いて形成されている。具体的な構成として、ソレノイド部124を中心として挟み込む配置で、工具連結治具110を着脱可能に取付ける治具取付け部136が複数個所設けられている。一例として、ソレノイド部124を挟み込んで対向する二つの位置に設けられている。なお、本実施形態に係る治具取付け部136は、ソレノイド部124(具体的にはステー140が固定される固定板142)を固定キャップ132に固定する固定溝部134と兼用で設けられている。
【0060】
治具取付け部136すなわち固定溝部134は、周方向の両端において軸方向に沿って形成される壁部134aが、回動工具T(一例として、六角レンチ)によって回動される工具連結治具110の回動力を受ける回動力作用部となる。
【0061】
次に、弁部126は、コイルスプリング150等の金属部分を除いて基本的に樹脂材料(一例として、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂等であり、シール部はエラストマ材料)を用いて形成されている。弁部126の概略構成として、ベース部122の第2端部122bから遠い側の先端部126aにおいて、外周に流入口152、径方向中心に流出口154がそれぞれ開口形成されている。さらに、流入口152から流出口154へ連通して洗浄水を通流させる通流路156と、通流路156の開閉を行う差圧移動式のダイヤフラム弁158(弁体158a、弁座158b)と、一端がダイヤフラム弁158の移動空間となる弁箱158cに連通すると共に他端がダイヤフラム弁158の配設される位置よりも下流側となる位置で通流路156に連通する排圧ドレン流路160と、ソレノイド部124の可動鉄芯148に弁体162aが連結されて排圧ドレン流路160を開閉するパイロット弁162(弁体162a、弁座162b)とが設けられている。また、先端部126aにおける流出口154の周囲に、シリンダ室31の奥側の内壁31bに密着させる先端シール部174(一例として、エラストマ材料を用いた環状に形成されている)が設けられている。
【0062】
これによれば、以下の作用が得られる。具体的には、第2センサ72が使用者を感知すると、その感知信号により第2駆動制御部74が電磁弁120のソレノイド部124(コイル144)に通電を行い、固定鉄芯146等が励磁されることによって、可動鉄芯148が固定鉄芯146に吸引される方向に動作し、パイロット弁162の弁体162aが弁座162bから離れるため、排圧ドレン流路160が開かれた状態となる(一例として、数秒程度に設定される)。このとき、排圧ドレン流路160は、ダイヤフラム弁158の配設される位置よりも下流側となる位置で通流路156に連通しているため、排圧ドレン流路160内の圧力が大気解放された状態となる。したがって、排圧ドレン流路160と連通しているダイヤフラム弁158の弁箱158cの部分(弁体158aに対して弁座158bが設けられる側と逆側の部分)の圧力が減圧されるため、弁体158aが弁箱158c内において弁座158bが設けられる側から弁座158bが設けられる側と逆側へと移動する。これによって、通流路156が開いた状態となるため、流入口152から流出口154へ洗浄水が流れることとなる。一方、その後の動作としては、電磁弁120が消磁すると、可動鉄芯148が固定鉄芯146に吸引された状態が解消し、リターンスプリング(コイルスプリング)172の作用によって、パイロット弁162の弁体162aが弁座162bに密着して排圧ドレン流路160が閉じられた状態となる。ここで、ダイヤフラム弁158の弁体158aは、弁座158bが設けられる側と弁座158bが設けられる側と逆側とを連通する小孔158dを備えているため、ダイヤフラム弁158の弁箱158c内は、流入口152側から当該小孔158dを通じて徐々に弁体158aの裏側(弁座158bが設けられる側と逆側)へと洗浄水が満ちてくる。さらに弁体158aの裏側にはリターンスプリング(コイルスプリング)150が設けられており、それらの作用によって、弁体158aが弁座158bに当接する状態となるため、通流路156、すなわち主流路28が閉じられて、洗浄水の通水が停止する。
【0063】
ここで、本実施形態に特徴的な構成として、弁部126は、外周部において、シリンダ室31の内壁との間でシールを行う部材として、ベース部122(第2端部122b)に対して近い位置に第1シール部164が嵌設されており、ベース部122(第2端部122b)に対して遠い位置に第2シール部166が嵌設されている。一例として、第1シール部164には、エラストマ材料を用いたOリングが使用されている。また、第2シール部166には、エラストマ材料を用いたセルフシール型のUパッキンが使用されており、主流路28(開口28a)からの流体圧力によって密閉性が確保される作用が得られる。
【0064】
また、第1シール部164は、電磁弁120が本体部11の所定位置に固定された状態となったときに、本体部11の第1開口孔13の位置に対して、シリンダ室31の奥側となる位置すなわち電磁弁120の第2端部120b寄り(弁部126の先端部126a寄り)となる位置に配置されている。
【0065】
さらに、排圧ドレン流路160は、弁部126における第1シール部164と第2シール部166との間の外周部に形成された外周流路168を有している。この外周流路168は、パイロット弁162を間に介在させて、ダイヤフラム弁158の弁箱158c内の所定位置(弁体158aに対して弁座158bが設けられる側と逆側の位置)に連通し、且つ、ダイヤフラム弁158が配設される位置よりも下流側となる位置で通流路156に連通する構成となっている。
【0066】
上記の構成によれば、所望の作用をなす排圧ドレン流路160を備える弁部126を金属材料ではなく樹脂材料で形成することが可能となる。その結果、電磁弁120の軽量化、材料費の低減、製造工程の簡素化・容易化、信頼性の向上を図ることが可能となる。特に、排圧ドレン流路160が金型を用いた成形によって全てもしくはほとんどが形成できるため、機械加工が不要となるもしくは極めて簡素となる。より具体的には、仮に、弁部126を金属材料で形成した場合には機械加工上の制約から、例えば排圧ドレン流路160をなす流路の一部を外周部から穿設した後に球状金属材料で穴埋めする必要が生じる等、製造工程の複雑化や流路(穴埋め部分)の信頼性低下(漏水リスク)といった課題が生じ得るが、上記の構成によればその解決を図ることが可能となる。
【0067】
以上が電磁弁120(120A)の構成である。一方、電磁弁120(120B)に関しても、基本的な構成は電磁弁120(120A)と同様であるが、ベース部122の外周に雄ネジ部が設けられていない点において相違する(
図28参照)。この電磁弁120(120B)は、回転させずに本体部11に取付け可能なため、配線170の断線等のリスクを解消できる。
【0068】
以上説明した通り、開示の改装方法、および当該改装方法に用いられる止水プラグによれば、前述の課題解決が可能となり、男性用小便器に例示される便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置において、壁内もしくは壁近傍部に使用者を感知するセンサを備え、差圧移動式のピストンバルブによって主流路の開閉を行う自動洗浄装置のセンサが故障した際に、壁埋め込み型ユニットの本体部を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰(別構成により実現)させる改装を行うことが可能となる。したがって、センサの故障時等において、便器全体を取換えなければならないような大規模な改修と多大な経費の発生を抑制することが可能となり、簡易に、且つ、低コストでの改装が実現可能となる。特に、改装対象となる自動洗浄装置における壁外の配管が十分な長さを有していない場合や、壁外の配管自体が設けられていない場合においては、外部型ユニットに改装する方法が採用できないため、本発明に係る改装方法が有効な手段となる。
【0069】
また、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0070】
例えば、以上の実施形態においては、枠部材および前面プレートが正方形(略正方形を含む)の場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、枠部材および前面プレートが長方形の場合にも同様に適用し得る。
【0071】
また、以上の実施形態においては、使用者を感知するセンサおよび駆動制御部を有するユニットが壁内に設けられる構成に適用する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は、前述の通り、センサおよび駆動制御部を有するユニットが壁内のみならず、壁近傍部(例えば、便器の上方であって、壁面の前方となる位置等)に設けられる構成に対しても同様に適用し得るものである(いずれの構成においても、便宜的に「壁埋め込み型ユニット」と記載して説明)。
【符号の説明】
【0072】
1 便器
2、2A、2B、2C 自動洗浄装置
3 壁埋め込み型ユニット
5 外部型ユニット
10 ケース部材
11、11A、11B 本体部
12 前面プレート
13 第1開口孔
15 第2開口孔
18 枠部材
21 固定用ネジ孔
28 主流路
31 シリンダ室
38 副流路
39 突起部
42 副電磁弁
44 止水蓋
90 固定用部材
110 工具連結治具
120、120A、120B 電磁弁
210、210A、210B 止水プラグ
P 配管
T 回動工具
WL 壁面