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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】連続回転式切断装置
(51)【国際特許分類】
   B27L 11/00 20060101AFI20240122BHJP
   B26D 1/40 20060101ALI20240122BHJP
   B26D 1/22 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
B27L11/00 E
B26D1/40 502B
B26D1/40 502D
B26D1/40 502G
B26D1/22
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020089940
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183409
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】511116432
【氏名又は名称】株式会社バンブーケミカル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100199451
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 隆滋
(72)【発明者】
【氏名】鶴羽 正幸
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-114484(JP,A)
【文献】特開2000-343506(JP,A)
【文献】特開2007-144543(JP,A)
【文献】特開2018-065393(JP,A)
【文献】米国特許第06058989(US,A)
【文献】特開2018-024168(JP,A)
【文献】特開2000-355004(JP,A)
【文献】特表2017-534452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0341082(US,A1)
【文献】特開2009-226342(JP,A)
【文献】特開2004-243731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27L 11/00
B26D 1/40
B26D 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンビルローラーと、
複数枚の刃物が設けられた刃物付ローラーと、
前記アンビルローラーと前記刃物付ローラーを回転させる駆動源と、
前記刃物付ローラーに被切断物を供給する供給部と、を有し、
前記アンビルローラーと前記刃物付ローラーは、各々の回転軸が平行となるように配置され、前記供給手段によって、被切断物が該アンビルローラーと該刃物付ローラーの間に供給され、
前記刃物は、刃物付ローラーの表面に、複数列において、所定の間隔で配列され、
前記複数列は、少なくとも第一の列と第二の列を有し、
前記第一の列に配列される前記刃物と前記第二の列に配列される前記刃物は、段違いと
なるように構成される、連続回転式切断装置。
【請求項2】
前記刃物付ローラーは、前記第一の列に配列される前記刃物と前記第二の列に配列される前記刃物の間に円周状のスリット刃を有し、
前記供給部は、被切断物が前記スリット刃にあたらないようにする供給ガイドを有している、請求項1に記載の連続回転式切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続で回転する刃物によって材料を切断する連続回転式の切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、切断装置は鋭利な刃物で長尺の対象物を切削する加工法や、上下方向に設けられた刃物をハサミの様に交差する様に動かせて対象物をせん断する加工法などがあり、どちらの加工法も刃物が対象物に当たって切削やせん断する場合は、駆動の負荷が不連続のため、大きな振動や騒音が発生して、作業環境が劣悪になる可能性がある。また、対象物によっては、刃物の寿命が短く、切れ味の劣化が短期間に発生する問題もある。現在の生産現場では、一般的にあるべき姿として、加工能率の高さ、品質の安定性、メンテナンスの容易さ、及び生産環境に秀れている加工装置が求められる。
しかしながら、例えば竹の長手方向に丸竹から6等分くらいに割れた長尺の割り竹を一定の長さに切断する場合、従来の加工法では、作業能率が悪く、寸法のバラツキかが大きく、騒音の発生、刃物の切れ味の寿命が短いなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-24168号公報
【文献】特開2000-355004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、例えば長尺の巾細の木材等の対象物を回転する刃先が鋭利な刃物で切断する場合であり、切断して出来たチップの長さは不揃いであり、また、加工時の刃物が対象物に当たる瞬間に大きな衝撃による騒音が発生するという問題が有る。更に鋭利な刃物で切断する方法のため、例えば繊維が強い竹などの切断の場合、刃物の切れ味の寿命が短くなる問題があり、頻繁に刃物の交換が必要になる。
また、特許文献2の場合、対象物を横一列に並べて上方から流体シリンダーの力で鋭利な刃物を対象物に押し当てて切断する方法であり、切断時の衝撃が大きく、切断時の騒音も大きくなり、また鋭利な刃物の切れ味寿命が短くなるという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、このようなことに鑑みてなされたものであり、比較的軟質で長尺幅細の対象物を一定の正確な長さに能率良く切断し、しかも加工時の衝撃による騒音が低く、更に刃物寿命が長期化できる連続回転式切断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、
アンビルローラー(5)と、
複数枚の刃物が設けられた刃物付ローラー(10)と、
前記アンビルローラーと前記刃物付ローラーを回転させる駆動源(3)と、
前記刃物付ローラーに被切断物を供給する供給部(15)と、を有し、
前記アンビルローラーと前記刃物付ローラーは、各々の回転軸が平行となるように配置され、前記供給手段によって、被切断物が該アンビルローラーと該刃物付ローラーの間に供給され、
前記刃物は、刃物付ローラーの表面に、複数列(10a~10e)において、所定の間隔で配列され、
前記複数列は、少なくとも第一の列(10a)と第二の列(10b)を有し、
前記第一の列に配列される前記刃物と前記第二の列に配列される前記刃物は、段違いとなるように構成される、連続回転式切断装置、
によって達成される。
【0007】
上記の目的は、
前記刃物付ローラーは、前記第一の列に配列される前記刃物と前記第二の列に配列される前記刃物の間に円周状のスリット刃(29a~29d)を有し、
前記供給部は、被切断物が前記スリット刃にあたらないようにする供給ガイド(31)を有している、上記の連続回転式切断装置、
によっても達成される。
【0008】
上記の目的は、
前記刃物付ローラーは、前記複数列毎に分割されている、上記の連続回転式切断装置、
によっても達成される。
【0009】
上記の目的は、
前記刃物に加圧力を与える加圧装置(12~14)を有する、上記の連続回転式切断装置、
によっても達成される。
【0010】
上記の目的は、
前記アンビルローラーの回転軸と前記刃物付ローラーの回転軸の各々に回転伝達部が設けられ、前記駆動部の回転力は、該アンビルローラー、前記回転伝達部、該刃物付ローラーの順番に伝達するように構成される、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の連続回転式切断装置、
によっても達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、比較的軟質で長尺幅細の対象物を一定の正確な長さに能率良く切断し、しかも加工時の衝撃による騒音が低く、更に刃物寿命が長期化できる連続回転式切断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態による連続回転式切断装置の正面図である。
図2】本発明の実施形態による連続回転式切断装置の平面図である。
図3】本発明の実施形態による連続回転式切断装置の刃物付ローラー10の部分の平面方向の断面図である。
図4】本発明の実施形態による連続回転式切断装置の左側面図である。
図5】本発明の実施形態による連続回転式切断装置の右側面図である。
図6】本発明の実施形態による連続回転式切断装置の刃物付きローラー10の部分図である。
図7】本発明の実施形態による連続回転式切断装置の刃物付きローラー10の部分図である。
図8】本発明の実施形態による連続回転式切断装置の供給ガイド31の部分の平面方向の断面図である。
図9】本発明の実施形態による連続回転式切断装置の供給ガイド31の部分の鉛直方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図1図9を用いて、本発明の実施形態による連続回転式切断装置を説明する。
尚、以下の全ての図面においては、理解を容易にする為、各構成要素の寸法や比率などは、適宜 異ならせて図示している。
【0014】
図1図9に示すように、本実施形態は、本体1と、駆動部架台2と、モーター3と、中空形ウォーム減速機4と、中空形ウォーム減速機4の出力軸に同軸で円筒形をしたアンビルローラ―5と、アンビルローラーを回転自在に支持するように、本体1の両側に垂直に取り付けられた側板7a、7bに取り付けられたベアリング6a、6bと、アンビルローラー5の片側の軸端付近に取り付けられた平歯車8a、及び両端付近に取り付けられ側板7a、7bに取り付けられたベアリング9a、9bに回転自在に支持された刃物付ローラー10で平歯車8bが軸端付近に平歯車8aと噛合うように取付けられている。刃物付ローラー10を回転自在に支持されたベアリング9aと9bは各々押さえピン12a、12bで当接され、押さえピン12a、12bは、支点12a、12bをもつ直角レバー13a、13bによって押され、この押さえる力は前記直角レバー13a、13bの間に突っ張る形で、強力圧縮バネ14が強さ調節自由に取り付けられている。次に、本体1の前部上には、供給された材料を送るためのベルトコンベア―15が設けられ、材料を搬送中に案内するガイド16a、16bが前記ベルトコンベアーの上部に、コンベアー面に対してわずかの隙間をもって取り付けられている。また、ベルトコンベアーは平ベルト17、駆動モーター18、 駆動ローラー19、従動ローラー20、伝動手段21で構成されている。次にベルトコンベアーが進む先には送り込み上ローラー22及び送り込み下ローラー23が各々モーター24、及び駆動モーター18で駆動される。また、送り込み上ロールは、位置が固定の下ローラーに対してガイド25に案内され、垂直方向に移動可能に支持されており、その上ローラーの下の方に押圧する力は、両側付近に設けられたエアーシリンダー26a、26bで与えられる。
【0015】
図7に示すように、刃物付ローラー10は、刃物付ローラー10a~10eで構成される。刃物付ローラー10a~10eの各々には、円周上に等分された間隔で複数の刃物台と刃物が取り付けられている。また、刃物付ローラー10a~10eの列毎に取り付けられた刃物台は、隣同士の列において段違いになるように配置される。図7において、刃物台および刃物の配置パターンをA~Cで示している。刃物付ローラー10aと刃物付ローラー10eの列は、配置パターンCであり、刃物付ローラー10bと刃物付ローラー10dの列は、配置パターンBであり、刃物付ローラー10cの列は、配置パターンAである。これにより、列毎の切断のタイミングを分散することが可能となるため、刃物付ローラー10の回転軸にかかる負荷が集中することを抑えることが可能になる。また、本実施形態においては、刃物付ローラー10は、刃物付ローラー10a~10eの列毎に分割されたローラーが用いられているが、分割されていない(一体物)ローラーが用いられる場合があってもよい。また、刃物付ローラー10は、各々の刃物台の両外側には、アンビルローラー5と同径のローラー27a、27bが取り付けられている。また、異物の付着をかき落とすスクレーパー28a、28bが各々ローラーとアンビルローラーに当接するように取付けられている。また、切断後の対象物の取出し部には、傾斜シュートが取り付けられている。更に刃物付ローラー10a、10b、10c、10d、10eの各列の間には、円形で刃先が鋭利なスリット刃29a、29b、29c、29dが取り付けられている。更に制御盤30から構成される連続回転式切断装置である。また、材料供給部には供給ガイド31が本体部に固定で取り付けられて、供給される対象物がスリット刃29a、29b、29c、29dの部分に極力浸入するのを防止する役割で設けられている。
【0016】
本実施形態によれば、長手方向に一定の分割数に割られた竹などを供給コンベアーの上に載せれば、モーターの駆動によって自動的にコンベアー上を移動し、上下の送り込みローラーで挟まれて、アンビルローラーと回転刃軸の刃物台部の間に送り込まれて、長尺の竹を一定の長さのチップ状に切断して、シュートから取り出される。この竹などを切断する際は、円周方向に各々に角度をズラして取付けられている刃物台上の刃物によって、切断する負荷が集中することなく 分散させることが可能であり、円滑な切断作業が実現できる。更に、前記角度を変えて取付けられている刃物台の間には、円形の外周に刃をもつスリット刃が取り付けられている為、移動台と移動台の間にまたがって送り込まれる竹のような長尺対象物に対して、切断残りが無く、全てを切断してチップに加工することが可能となる。
【0017】
本実施形態は、ゴム、軟質樹脂、合板、布製品、紙製品、割り竹などの様な比較的軟質で、長尺で幅細の材料を設定された一定の長さに切断する連続回転式の切断装置に関するものである。また、本実施形態は、特に比較的軟質で厚さがほぼ均一の長尺で幅細の材料を、回転式の2軸駆動からなる刃物軸とアンビル軸によって、対象物を一定の長さに切断する装置であり、高い生産能率と低騒音を実現すると同時に、切断駆動の負荷の集中を防いで分散させることで、切断時の衝撃を低減させて、円滑で安定した切断が出来ると同時に刃物寿命を長期化できる。
【0018】
本実施形態では、長尺の材料が供給コンベアー上に供給されて、送りこみ上下ローラーに挟まれて材料がアンビルローラーと刃物軸の刃物台の間に送り込まれて、刃物軸との両端付近に取り付けられたローラーとアンビルローラーの間に寸法が規正されて取付けられた刃によって、供給された材料が切断される。この時、材料は刃と刃の円周上の間隔の寸法に切断されて、取出し部のシュート上に取り出される。この切断の際は、刃物台の角度が隣と違う角度に取り付けられている為、切断の負荷が分散される。また、刃物台と刃物台の間に来た材料は、そのままでは完全な形で切断が出来ないため、刃物台と刃物台の間に取り付けられたスリット刃によって長手方向に切られ切断刃で切断されることになる。アンビルローラーと刃物台上の刃の当たり具合は、前記アンビルローラーと刃物軸両端付近のローラーで規制されている。また、アンビルローラーとローラー面に当てて取付けられるスクレーパーは異物が両ローラー間に入り込み、軸間距離が変わることを防止するため、異物を除去するためのものである。また、位置関係が固定のアンビルローラーに対して移動可能に支持されている刃物軸の両端付近には強力圧縮バネの力によってレバーと支点の機構で押さえピンを経由して押付け力が与えられる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は産業上では巾広い用途で使用できるが、例えば竹や廃棄木材の長尺形状の材料を一定の寸法に切断して供給ホッパーに投入して供給可能な形にして燃焼炉で燃焼し、水から温水にして、熱利用したり、蒸気タービンを回して発電するための燃料として利用できる。
【符号の説明】
【0020】
1 本体
2 駆動部架台
3 モーター
4 ウォーム減速機
5 アンビルローラー
6 ベアリング
7 側板
8 平歯車
9 ベアリング
10 刃物付ローラー
11 移動板
12 押えピン
13 直角レバー
14 圧縮バネ
15 ベルトコンベアー
16 ガイド
17 平ベルト
18 駆動モーター
19 駆動ローラー
20 従動ローラー
21 伝動手段
22 送り込み上ローラー
23 送り込み下ローラー
24 モーター
25 ガイド
26 エアーシリンダー
27a、27b ローラー
28 スクレーパー
29a~29d スリット刃
30 制御盤
31 供給ガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9