(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】ローラの製造方法
(51)【国際特許分類】
B60B 33/00 20060101AFI20240122BHJP
A47L 9/02 20060101ALN20240122BHJP
A47L 9/00 20060101ALN20240122BHJP
【FI】
B60B33/00 503D
A47L9/02 B
A47L9/00 102Z
(21)【出願番号】P 2020152533
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000228822
【氏名又は名称】日本シール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100221718
【氏名又は名称】藤原 誠悟
(72)【発明者】
【氏名】樋野 裕介
(72)【発明者】
【氏名】加田 晶三
(72)【発明者】
【氏名】入口 椋
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-343903(JP,A)
【文献】特開2006-102303(JP,A)
【文献】実開平04-076603(JP,U)
【文献】特開2014-018256(JP,A)
【文献】特開2012-065870(JP,A)
【文献】特開2008-049400(JP,A)
【文献】特開2003-086660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0056667(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0025595(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00
A47L 9/02
A47L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機の移動を補助するローラの製造方法であって、
合成繊維のフェルトにゴムを含浸して、ローラ幅の板厚さに形成された基板からローラを切り出す切断工程を有し、
前記切断工程は、
前記基板の表面に、当該基板の板厚さの方向からレーザー光を照射し、及び前記ローラを形成する領域を含む円形の切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、
前記レーザー光の照射により、前記切断予定ラインに沿って前記基板を溶融及び切断して、前記ローラを前記基板から切り出す
ことを特徴とするローラの製造方法。
【請求項2】
掃除機の移動を補助するローラの製造方法であって、
合成繊維のフェルトにゴムを含浸して形成された基板からローラを切り出す切断工程を有し、
前記切断工程は、
前記基板の表面に、前記ローラを形成する領域を含む円形の切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、
前記レーザー光の照射により、前記切断予定ラインに沿って前記基板を溶融及び切断して、前記ローラを前記基板から切り出す
ことを特徴とするローラの製造方法。
【請求項3】
前記基板は、合成繊維のフェルトに、当該合成繊維の融点より低い耐熱限界温度のゴムを含浸して形成され、
前記切断工程は、
前記レーザー光の照射により、前記基板の表面を、前記合成繊維の融点を超える温度に加熱する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のローラの製造方法。
【請求項4】
前記基板は、ポリエステル繊維のフェルトにニトリルゴムを含浸して形成され、
前記切断工程は、
前記レーザー光の照射により、前記基板の表面を、前記ポリエステル繊維の融点を超える温度に加熱する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のローラの製造方法。
【請求項5】
掃除機の移動を補助するローラの製造方法であって、
不織繊維構造体にゴム又は樹脂を含浸して形成された基板からローラを切り出す切断工程を有し、
前記切断工程は、
前記基板の表面に、前記ローラを形成する領域を含む円形の切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、
前記レーザー光の照射により、前記切断予定ラインに沿って前記基板を溶融及び切断して、前記ローラを前記基板から切り出す
ことを特徴とするローラの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機の移動を補助するローラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
掃除機の移動を補助するローラとして、特許文献1は、吸引式の掃除機に取付けられる吸込具に配置した複数のフェルトローラを開示する。各フェルトローラは、掃除機に取付けられた吸引具の裏側に回転自在に軸支される。吸引方の掃除機は、各フェルトローラの外周端面を床面等に当接することで、フェルトローラによって吸引具の移動を補助する。
特許文献1において、フェルトローラは、ポリエチレン繊維の不織布にニトリルゴムを含浸して製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のフェルトローラは、ポリエステル繊維の不織布にニトリルゴムを含浸して製造されているので、多数のポリエステル繊維がローラの外周端面から突出して毛羽立った状態となる。このように、多数のポリエステル繊維がローラの外周端面から突出する状態であると、多数のポリエステル繊維に床面上の塵埃等を含むゴミが絡みつき、フェルトローラの回転を阻害し、吸込具の移動を補助する機能を低下させる虞がある。
【0005】
本発明は、ローラへの塵埃を含むゴミの絡みつきを抑制して、掃除機の移動を補助する機能を発揮できるローラの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る請求項1は、掃除機の移動を補助するローラの製造方法であって、合成繊維のフェルトにゴムを含浸して、ローラ幅の板厚さに形成された基板からローラを切り出す切断工程を有し、前記切断工程は、前記基板の表面に、当該基板の板厚さの方向からレーザー光を照射し、及び前記ローラを形成する領域を含む円形の切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、前記レーザー光の照射により、前記切断予定ラインに沿って前記基板を溶融及び切断して、前記ローラを前記基板から切り出すことを特徴とするローラの製造方法である。
【0007】
本発明に係る請求項1によれば、切断工程は、基板の表面に、基板の板厚さの方向からレーザー光を照射しつつ、基板の表面に、円形の切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して、基板の表面に照射したレーザー光の熱エネルギーによって、切断予定ラインに沿って基板の合成繊維及びゴムを溶融及び切断することで、ローラを基板から切り出す(切り離す)ことができる。このとき、切断予定ラインに沿った切断面は、ローラの外周端面を形成し、基板の合成繊維及びゴムを切断予定ラインに沿って溶融及び切断するので、ローラの外周端面(外周面)に位置する合成繊維は、レーザー光の熱エネルギーにより溶融され、ローラの外周端面から突出しない。ローラの外周端面(外周面)は、合成繊維の突出しない略平坦な平面に形成される。基板から切り出されたローラは、切断予定ラインに沿った切断面を外周端面(外周面)とし、基板の板厚さのローラ幅を有する。
これにより、第一に、レーザー光の照射(レーザー光の熱エネルギー)により、ローラを基板から切り出すこと、及びローラの外周端面の処理(ローラの外周端面に位置する合成繊維の溶融及び切断の処理)を同時に行うことができる。
第二に、ローラの外周端面から突出する合成繊維をなくすことで、塵埃等のゴミのローラへの絡みつきを抑制することができ、ローラの回転不良をなくすことが可能となる。
【0008】
本発明に係る請求項1では、合成繊維のフェルトにゴムを含浸して、ローラ幅の板厚さに形成された基板(ゴム含有繊維基板又はフェルト基板)からローラを切り出す第1切断工程及び第2切断工程を有し、第1切断工程は、基板の表面に、当該基板の板厚さの方向からレーザー光を照射し、及び基板の表面に、円形の第1切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、レーザー光の照射(基板の表面(基板)に照射したレーザー光の熱エネルギー)により、第1切断予定ラインに沿って基板(基板の合成繊維及びゴム)を溶融及び切断して、第1切断予定ラインに沿った切断面をローラの内周端面(内周面)として形成(ローラの内周端面を形成)し、第2切断工程は、基板の表面に、当該基板の板厚さの方向からレーザー光を照射し、及び基板の表面に、ローラを形成する領域を第1切断予定ラインとの間に含む円形の第2切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、レーザー光の照射(基板の表面(基板)に照射したレーザー光の熱エネルギー)により、第2切断予定ラインに沿って基板(基板の合成繊維及びゴム)を溶融及び切断して、ローラ(第2切断予定ラインに沿った切断面を外周端面(又は外周面)とするローラ)を基板から切り出す構成も採用できる。
【0009】
本発明に係る請求項2は、掃除機の移動を補助するローラの製造方法であって、合成繊維のフェルトにゴムを含浸して形成された基板からローラを切り出す切断工程を有し、前記切断工程は、前記基板の表面に、前記ローラを形成する領域を含む円形の切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、前記レーザー光の照射により、前記切断予定ラインに沿って前記基板を溶融及び切断して、前記ローラを前記基板から切り出すことを特徴とするローラの製造方法である。
【0010】
本発明に係る請求項2によれば、基板の表面に、切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して、基板の表面に照射したレーザー光の熱エネルギーによって、切断予定ラインに沿って基板の合成繊維及びゴムを溶融及び切断することで、ローラを基板から切り出す(切り離す)ことができる。このとき、切断予定ラインに沿った切断面は、ローラの外周端面を形成し、基板の合成繊維及びゴムを切断予定ラインに沿って溶融及び切断するので、ローラの外周端面(外周面)に位置する合成繊維は、レーザー光の熱エネルギーにより溶融され、ローラの外周端面から突出しない。ローラの外周端面(外周面)は、合成繊維の突出しない略平坦な平面に形成される。
これにより、第一に、レーザー光の照射(レーザー光の熱エネルギー)により、ローラを基板から切り出すこと、及びローラの外周端面の処理(ローラの外周端面に位置する合成繊維の溶融及び切断の処理)を同時に行うことができる。
第二に、ローラの外周端面から突出する合成繊維をなくすことで、塵埃等のゴミのローラへの絡みつきを抑制することができ、ローラの回転不良をなくすことが可能となる。
【0011】
本発明に係る請求項2では、合成繊維のフェルトにゴムを含浸して形成された基板(ゴム含有繊維基板又はフェルト基板)からローラを切り出す第1切断工程及び第2切断工程を有し、第1切断工程は、基板の表面に、円形の第1切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、レーザー光の照射(基板の表面(基板)に照射したレーザー光の熱エネルギー)により、第1切断予定ラインに沿って基板(基板の合成繊維及びゴム)を溶融及び切断して、第1切断予定ラインに沿った切断面をローラの内周端面(内周面)として形成(ローラの内周端面(内周面)を形成)し、第2切断工程は、基板の表面に、ローラを形成する領域を第1切断予定ラインとの間に含む円形の第2切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、レーザー光の照射(基板の表面(基板)に照射したレーザー光の熱エネルギー)により、第2切断予定ラインに沿って基板(基板の合成繊維及びゴム)を溶融及び切断して、ローラ(第2切断予定ラインに沿った切断面を外周端面(外周面)とするローラ)を基板から切り出す構成も採用できる。
【0012】
本発明に係る請求項3は、前記基板は、合成繊維のフェルトに、当該合成繊維の融点より低い耐熱限度温度のゴムを含浸して形成され、前記切断工程は、前記レーザー光の照射により、前記基板の表面を、前記合成繊維の融点を超える温度に加熱することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のローラの製造方法である。
【0013】
本発明に係る請求項3によれば、切断工程は、レーザー光を切断予定ラインに沿って照射して、基板の表面(基板)を合成繊維の融点を超える温度に加熱することで、基板の合成繊維及びゴムを同時に溶融及び切断できる。
これより、ローラの外周端面(外周面)を、略平坦な平面に形成して、ローラを基板から切り出すことがきる。
【0014】
本発明に係る請求項3では、基板は、合成繊維のフェルトに、当該合成繊維の融点より高い耐熱限界温度のゴムを含浸して形成され、切断工程は、レーザー光の照射(基板の表面(基板)に照射したレーザー光の熱エネルギー)により、ゴムの耐熱限界温度を超える温度に加熱する構成も採用できる。
本発明に係る請求項3では、第1切断工程、及び第2切断工程は、レーザー光の照射により、基板の表面(基板)を、合成繊維の融点を超える温度に加熱する構成も採用できる。
【0015】
本発明に係る請求項4は、前記基板は、ポリエステル繊維のフェルトにニトリルゴムを含浸して形成され、前記切断工程は、前記レーザー光の照射により、前記基板の表面を、前記ポリエステル繊維の融点を超える温度に加熱することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のローラの製造方法である。
【0016】
本発明に係る請求項4によれば、切断工程は、レーザー光を切断予定ラインに沿って照射して、基板の表面(及び基板の内部)を、ポリエステル繊維の融点を超える温度に加熱することで、基板のポリエステル繊維及びニトリルゴムを同時に溶融及び切断できる。
これより、ローラの外周端面(外周面)を、略平坦な平面に形成して、ローラw基板から切り出すことがきる。
【0017】
本発明に係る請求項4では、切断工程は、レーザー光に照射(基板の表面に照射したレーザー光の熱エネルギー)により、基板の表面(基板)を、255℃~260℃の範囲に加熱する構成も採用できる。
本発明に係る請求項4では、第1切断工程、及び第2切断工程は、レーザー光の照射により、基板の表面(基板)を、ポリエステル繊維の融点を超える温度に加熱する構成も採用できる。
【0018】
本発明に係る請求項5は、掃除機の移動を補助するローラの製造方法であって、不織繊維構造体にゴム又は樹脂を含浸して形成された基板からローラを切り出す切断工程を有し、前記切断工程は、前記基板の表面に、前記ローラを形成する領域を含む円形の切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、前記レーザー光の照射により、前記切断予定ラインに沿って前記基板を溶融及び切断して、前記ローラを前記基板から切り出すことを特徴とするローラの製造方法である。
【0019】
本発明に係る請求項5によれば、基板の表面に、切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して、基板の表面に照射したレーザー光の熱エネルギーによって、切断予定ラインに沿って基板の繊維及びゴム又は樹脂を溶融及び切断することで、ローラを基板から切り出す(切り離す)ことができる。このとき、切断予定ラインに沿った切断面は、ローラの外周端面を形成し、基板の繊維(不織繊維構造体の繊維)及びゴム又は樹脂を切断予定ラインに沿って溶融及び切断するので、ローラの外周端面(外周面)に位置する不織繊維構造体の繊維は、レーザー光の熱エネルギーにより溶融及び切断され、ローラの外周端面から突出しない。ローラの外周端面(外周面)は、繊維の突出しない略平坦な平面に形成される。
これにより、第一に、レーザー光の照射(レーザー光の熱エネルギー)により、ローラを基板から切り出すこと、及びローラの外周端面の処理(ローラの外周端面に位置する不織繊維構造体の繊維の溶融及び切断の処理)を同時に行うことができる。
第二に、ローラの外周端面から突出する繊維をなくすことで、塵埃等のゴミのローラへの絡みつきを抑制することができ、ローラの回転不良をなくすことが可能となる。
【0020】
本発明に係る請求項5では、不織繊維構造体にゴム又は樹脂を含浸して形成される基板(ゴム含有繊維基板、又は樹脂含有基板)からローラを切り出す第1切断工程及び第2切断工程を有し、第1切断工程は、基板の表面に、円形の第1切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、レーザー光の照射(基板の表面(基板)に照射したレーザー光の熱エネルギー)により、第1切断予定ラインに沿って基板(基板の繊維、及びゴム又は樹脂)を溶融及び切断して、第1切断予定ラインに沿った切断面をローラの内周端面(内周面)として形成(ローラの内周端面(内周面)を形成)し、第2切断工程は、基板の表面に、ローラを形成する領域を第1切断予定ラインとの間に含む円形の第2切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、レーザー光の照射(基板の表面(基板)に照射したレーザー光の熱エネルギー)により、第2切断予定ラインに沿って基板(基板の繊維、及びゴム又は樹脂)を溶融及び切断して、ローラ(第2切断予定ラインに沿った切断面を外周端面(外周面)とするローラ)を基板から切り出す構成も採用できる。
本発明に係る請求項5では、不織繊維構造体は、フェルト又は不織布である構成も採用できる。
【0021】
本発明では、掃除機は、清掃機であって、電気掃除機、電動掃除機(ロボット掃除機等)及び手動掃除機等がある。電動掃除機は、吸引式の掃除機(清掃機)を含むものである。本発明は、吸引式の掃除機(清掃機)に取付けられる吸込具を含み、掃除機(清掃機)に取付けられる吸込具の移動を補助するローラの製造方法(又は、吸込具の移動を補助するローラの製造方法)」とする構成も採用できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、ローラへの塵埃等のゴミの絡みつきを抑制でき、掃除機の移動を補助する機能を、確実に発揮できるローラを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係るローラの製造方法において、基板(ゴム含有繊維基板又はフェルト基板)を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係るローラの製造方法において、切断工程(第1切断工程及び第2切断工程)を説明するための斜視図である。
【
図4】本発明に係るローラの製造方法において、切断工程(第切断工程、及び第2切断工程)を説明するための図であって、レーザー加工機、及び基板の関係を示す側面図である。
【
図5】本発明に係るローラの製造方法において、基板から切り出したローラ(フェルトローラ)を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係るローラの製造方法において、基板から切り出したローラ(フェルトローラ)を示す側面図である。
【
図7】本発明に係るローラの製造方法において、基板から切り出したローラ(フェルトローラ)の外周端面側(外周面側)を示す側面図である。
【
図8】吸込具を取り付けた吸引式の掃除機を示す斜視図である。
【
図12】「ローラ切り出し試験」において、試験基板から切り出した試験ローラを示す写真である。
【
図13】「絡みつき試験」において、試験態様を示す側面図である。
【
図14】「絡みつき試験」において、試験態様を示す平面図(上面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るローラの製造方法について、図面(
図1乃至
図7)を参照して説明する。
【0025】
本発明に係るローラの製造方法(以下、「ローラの製造方法」という)は、不織繊維構造体FSにゴムRBを含浸して形成された基板TAからローラROを切り出す(切り離す)。
ローラの製造方法は、基板TAの表面Taに、レーザー加工機M(レーザー加工装置)のレーザー光RYを照射して、ローラROを基板TAから切り出す(切り離す)。
基板TAから切り出したローラROは、掃除機(清掃機)に取付けられて、掃除機の移動を補助する(
図10及び
図11参照)。
【0026】
基板TAは、
図1乃至
図4、
図7に示すように、不織繊維構造体FSにゴムRBを含浸して、ローラROの幅rh(ローラ幅)の板厚さT(板厚)に形成される。不織繊維構造体FSは、多数の繊維FBを三次元的に交絡した構造であって、例えば、フェルトである(以下、「フェルトFS」という)。
フェルトFS(不織繊維構造体)は、構成繊維の素材として、化学繊維であって、合成繊維FB(有機質繊維)の長繊維、短繊維である。
合成繊維FBは、熱硬化性樹脂繊維、熱可塑性樹脂線であって、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維(ナイロン繊維)、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、フェノール繊維等である。
【0027】
基板TAにおいて、フェルトFS(不織繊維構造体)に含浸するゴムRBは、合成ゴムである。合成ゴムは、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNRB)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、シリコンゴム(VMQ)等である。
【0028】
基板TAは、合成繊維FBのフェルトFSにゴムRBを含侵して形成される。基板TAは、合成繊維FBのフェルトFSにゴムRBを含侵して、ローラ幅rhの板厚さTに形成される。
【0029】
基板TAは、合成繊維FBのフェルトFS(不織繊維構造体)に、合成繊維FBの融点(溶融点、溶融温度)より低い耐熱限界温度のゴムBRを含浸して、ローラ幅rhの板厚さT(板厚)に形成される。
基板TAは、例えば、ポリエステル繊維のフェルトFSに、ニトリルゴムRBを含浸して形成される。ニトリルゴムRBの耐熱限界温度は、120℃であり、ポリエステル繊維の融点:255℃~260℃より低い温度である。
これにより、基板TAは、合成繊維FS(ポリエステル繊維)のフェルトFS(不織繊維構造体)に合成ゴムRB(ニトリルゴム)を含浸して形成されたゴム含有繊維基板、又はフェルト基板である。
基板TAは、
図1に示すように、板幅H及び板長さL(板長)に切断される。
【0030】
ローラの製造方法において、ローラROを基板TAから切り出すレーザー加工機M(レーザー加工装置)は、
図2乃至
図4に示すように、基板TAを載置するX-Yテーブル1、基板TAの表面Taにレーザー光RYを照射するレーザー発生部2、アシストガス供給装置3を備える。
【0031】
X-Yテーブル1(ワークテーブル)は、
図2及び
図4に示すように、水平方向(X方向、Y方向)に移動自在に配置される。X-Yテーブル1は、基板TAを載置する載置面1A、及び複数の吸着穴(図示しない)を有する。載置面1Aは、X-Yテーブル1の上面に形成される。複数の吸着穴は、X方向及びY方向(水平方向)に整列して、X-Yテーブル1に形成される。
X-Yテーブル1(載置台)は、複数の吸着穴によって、載置面1Aに載置した基板TAを真空吸引して、基板TAを載置面1Aに密着した状態で保持(固定)する。
なお、X方向(X軸の方向)は、
図2乃至
図4に示すように、Y方向(Y軸の方向)に直交する方向である。Z方向(鉛直方向、Z軸の方向)は、
図1乃至
図3に示すように、X方向及びY方向に直交する方向である。
【0032】
レーザー発生部2は、
図2乃至
図4に示すように、レーザー発振器5、レーザーヘッド6及び光学ユニット7(光学器)を有する。
【0033】
レーザー発振器5は、
図2乃至
図4に示すように、例えば、気体レーザーの炭素ガスレーザー発振器(CO2レーザー発振器)であって、パルスレーザー光又は連続レーザー光(以下、「レーザー光RY」という)を出射(発生)する。
【0034】
レーザーヘッド6は、
図2乃至
図4に示すように、ノズル9を有する。レーザーヘッド6は、ノズル9をX-Yテーブル1に向けて配置される。レーザーヘッド6は、ノズル9のノズル中心線aをZ方向(鉛直方向)に向け、及びノズル9のノズル中心線aを水平方向(X方向、Y方向)に直交して配置される。
【0035】
光学ユニット7(光学器)は、
図4に示すように、レーザーヘッド6内に配置される。光学ユニット7は、反射ミラー10(反射鏡)、及び集光レンズ11を有する。
【0036】
反射ミラー10は、
図4に示すように、レーザーヘッド6内に配置されて、レーザー発振器5に対峙(対向)して位置される。集光レンズ11は、レーザーヘッド6内に配置される。集光レンズ11は、
図4に示すように、レーザーヘッド6内において、反射ミラー10及びノズル9の間に配置される。集光レンズ11は、反射ミラー10及びノズル9に対峙(対向)して配置される。
【0037】
反射ミラー10は、
図4に示すように、レーザー発振器5から出射されたレーザー光RYを反射することで、レーザー光RYの照射方向を変更して、レーザー光RYを集光レンズ11に向ける。
【0038】
集光レンズ11は、
図2乃至
図4に示すように、反射ミラー10からのレーザー光RYを、X-Yテーブル1(載置面1A)に載置(保持)した基板TAの表面Taに集光する。反射ミラー10からのレーザー光RYは、集光レンズ11によって、X-Yテーブル1(載置面1A)に載置(保持)した基板TAの表面Taに集光される。レーザー光RYは、ノズル9を通して、集光レンズ11によって基板TAの表面Taに集光(第1及び第2切断予定ラインL1,L2)される。
【0039】
アシストガス供給装置3は、
図4に示すように、基板TAの表面TaにアシストガスGS(例えば、空気、酸素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アルゴンガス等)を噴出(噴射)する。アシストガス供給装置3は、例えば、レーザーヘッド6内にアシストガスGSを供給する。アシストガス供給装置3は、ノズル9及び集光レンズ11の間において、レーザーヘッド6内にアシストガスGSを供給(導入)する。
ノズル9は、アシストガス供給装置3からレーザーヘッド6内に供給されたアシストガスGSを、X-Yテーブル1(載置面1A)に載置(保持)した基板TAの表面Taに噴射(噴出)する。
アシストガスGSは、ノズル9を通って、X-Yテーブル1(載置面1A)に載置(保持)した基板TAの表面Ta(第1及び第2切断予定ラインL1,L2)に噴出(噴射)される。
【0040】
レーザー発生部2は、
図2乃至
図4に示すように、水平方向(X方向、Y方向)に移動自在に配置されて、レーザー光RYを、円形の第1切断予定ラインL1、及び円形の第2切断予定ラインL2(切断予定ライン)に沿って照射するように移動する。
【0041】
第1切断予定ラインL1(内周端面切断予定ライン)は、
図2乃至
図4、及び
図6に示すように、ローラROの内周端面R1(内周面)に対応(相当)するライン(第1切断予定線)である。第2切断予定ラインL2(切断予定ライン/外周端面切断予定ライン)は、ローラRの外周端面R2(外周面)に対応(相当)するライン(切断予定ライン)であり、ローラROを形成する領域αを第1切断予定ラインL1の間に含む。
第1切断予定ラインL1は、ローラROの内周半径r1(内径半径)の円形に設定される。第2切断予定ラインL2(切断予定ライン)は、第1切断予定ラインL1と同心に配置されて、ローラROを形成する領域αを含む(ローラROを形成する領域αを第1切断予定ラインL1の間に含む)ローラROの外周半径r2(外径半径)の円形に設定される。これにより、ローラROの領域αは、第1切断予定ラインL1(内周端面切断予定ライン)、及び第2切断予定ラインL2(外周端面切断予定ライン)の間に形成される。
第1及び第2切断予定ラインL1,L2は、ローラROを基板TAから切り出すために基板TA(基板TAの表面Ta)に設定される。第1及び第2切断予定ラインL1,L2は、例えば、基板TA(基板TAの表面Ta)に設定される円形の仮想線である。
【0042】
レーザー加工機Mは、
図2乃至
図4に示すように、X-Yテーブル1及びレーザー発生部2を水平方向に相対移動(相対変位)して、X-Yテーブル1に載置(保持)した基板TAの表面Taに、円形の第1切断予定ラインL1に沿ってレーザー光RYを照射することで、第1切断予定ラインL1に沿って基板TA(合成繊維、ゴム)を溶融及び切断して、第1切断予定ラインL1に沿った切断面をローラROの内周端面R1(内周面)として形成する。
レーザー加工機Mは、
図2乃至
図4に示すように、X-Yテーブル1及びレーザー発生部2を水平方向に相対移動(相対変位)して、X-Yテーブル1に載置(保持)した基板TAの表面Taに、ローラROを形成する領域αを含む(ローラROを形成する領域αを第1切断予定ラインL1の間に含む)第2切断予定ラインL2に沿ってレーザー光RYを照射することで、第2切断予定ラインL2に沿って基板TA(合成繊維、ゴム)を溶融及び切断して、第2切断予定ラインL2(切断予定ライン)に沿った切断面を外周端面R2(外周面)とするローラROを基板TAから切り出す。
X-Yテーブル1及びレーザー発生部2の相対移動は、レーザー発生部2を水平方向に移動し、X-Yテーブル1を水平方向に移動し、又はX-Yテーブル1及びレーザー発生部2の両方を水平方向に移動する。
【0043】
ローラの製造方法は、
図2乃至
図4に示すように、基材TAをX-Yテーブル1(ワークテーブル)に載置して保持する載置工程と、基板TAからローラROを切り出す第1切削工程及び第2切削工程を有する。
ローラの製造方法は、載置工程、第1切断工程、及び第2切断工程(切断工程)の順に実行する。
【0044】
<載置工程>
載置工程は、
図2及び
図4に示すように、基板TAをX-Yテーブル1の載置面1Aに載置して、基板TAをX-Yテーブル1に密着した状態で保持する。
載置工程において、基板TAは、
図2及び
図4に示すように、裏面Tbを載置面1Aに当接してX-Yテーブル1に載置される。
基板TAは、板厚さTの方向をZ方向(鉛直方向)に向け、板幅Hの方向をX方向に平行し、及び板長さLの方向をY方向に平行して、X-Xテーブル1の載置面1Aに裏面Tbを当接して載置される。
載置工程において、X-Yテーブル1は、
図2乃至
図4に示すように、各吸着穴によって、基板TAの裏面Tbを真空吸引することで、基板TAを載置面1Aに密着した状態で保持(固定)する。
【0045】
<第1切断工程>
第1切削工程(内周端面切断工程)は、
図2乃至
図4に示すように、第1切断予定ラインL1に沿ってレーザー光RYを照射して、第1切断予定ラインL1に沿って基板TA(合成繊維、ゴム)を溶融及び切断する。
【0046】
第1切削工程において、レーザーヘッド6(ノズル9)は、基板TAの板厚さT方向(Z方向)において、基板TAの表面Ta(第1切断予定ラインL1)に隙間を隔てて配置される。
【0047】
第1切断工程において、レーザー加工機Mは、レーザー発生部2のレーザー発振器5からレーザー光RYを出射して、基板TAの表面Taに、基板TAの板厚さTの方向(Z方向)からレーザー光RYを照射する。レーザー発振器5から出射されたレーザー光RYは、反射ミラー10で照射方向が変更され、集光レンズ11に向けられる。レーザー光RYは、集光レンズ11を介して、板厚さTの方向(Z方向)から基板TAの表面Taの第1切断予定ラインL1に集光される。このとき、レーザー光RYは、基板TAの表面Taの第1切断予定ラインL1に焦点が一致されて、第1切断予定ラインL1に位置する基板TAに加工を施す。
【0048】
第1切削工程において、レーザー加工機Mは、アシストガス供給装置3からアシストガスGSをレーザーヘッド6内に供給する。アシストガス供給装置3から供給されるアシストガスGSは、レーザーヘッド6のノズル9を通って、基板TAの表面Taの第1切断予定ラインL1に噴出(噴射)される。
【0049】
第1切断工程において、レーザー加工機Mは、レーザー発生部2をX-Yテーブル1に対して水平方向(X方向、Y方向)に相対移動する。
第1切断工程は、レーザー発生部2の移動(X-Yテーブル1に対する相対移動)によって、基板TAの表面Taに、基板TAの板厚さTの方向(Z方向)からレーザー光RYを照射し、及び基板TAの表面Taに、円形の第1切断予定ラインL1に沿ってレーザー光RYを照射して加工する。レーザー加工機Mは、レーザー発生部2の移動(X-Yテーブル1に対する相対移動)によって、基板TAの表面Taにレーザー光RYを照射し、第1切断予定ラインL1に沿ってレーザー光RYを走査して加工する。
【0050】
第1切断工程において、レーザー光RYの照射により、第1切断予定ラインL1に沿って基板TA[基板TAの合成繊維FB(ポリエステル繊維)及びゴムRB(ニトリルゴム)]合成繊維、ゴム)を溶融及び切断して、第1切断予定ラインL1に沿った切断面をローラROの内周端面R1(内周面)として形成する。
第1切断工程において、基板TAの表面Ta(基板TA)に照射したレーザー光RYの熱エネルギーにより、第1切断予定ラインL1に沿って基板TA(合成繊維、ゴム)を溶融及び切断する。基板TAの表面Taに照射したレーザー光RYは、第1切断予定ラインL1において、基板TA[基板TAの合成繊維FB(ポリエステル繊維)及びゴムRB(ニトリルゴム)]を板厚さ方向T(Z方向)に溶融及び切断する。
このとき、第1切断工程は、レーザー光RYの照射(基板TAの表面Taに照射したレーザー光RYの熱エネルギー)により、基板TAの表面Ta(基板TA)を、合成繊維の融点(例えば、ポリエステル繊維の融点:255℃)を超える温度に加熱して、第1切断予定ラインL1に沿った基板TAの合成繊維FB(ポリエステル繊維)及びゴムRB(ニトリルゴム)を同時に溶融及び切断する。
【0051】
第1切断工程において、アシストガスGSは、レーザー発生部2の移動に伴って、第1切断予定ラインL1に沿って基板TAの表面Taに噴出される。第1切断予定ラインL1に沿って噴出(噴射)されたアシストガスGSは、基板TAの溶融及び切断で発生した溶融物(合成繊維、ゴム)を吹き飛して、第1切断予定ラインL1から溶融物を飛散する。
【0052】
第1切削工程において、レーザー加工機Mは、第1切断予定ラインL1に沿って基板TAを溶融及び切断すると、レーザー発振器5からのレーザー光RYの出射を停止する。
【0053】
<第2切断工程(切断工程)>
第2切断工程(切断工程/外周端面切断工程)は、
図2乃至
図4に示すように、第2切断予定ラインL2に沿ってレーザー光RYを照射して、第2切断予定ラインL2に沿って基板TA(合成樹脂、ゴム)を溶融及び切断して、ローラROを基板TAから切り出す。
【0054】
第2切断工程(切断工程)において、レーザー加工機Mは、レーザー発生部2を第1切断予定ラインL1から第2切断予定ラインL2に移動する。これにより、レーザーヘッド6(ノズル9)は、基板TAの表面Ta(第2切断予定ラインL2)に隙間を隔てて配置される。
【0055】
第2切断工程(切断工程)において、レーザー加工機Mは、レーザー発生部2のレーザー発振器5からレーザー光RYを出射して、基板TAの表面Taに、基板TAの板厚さTの方向(Z方向)からレーザー光RYを照射する。レーザー発振器5から出射されたレーザー光RYは、集光レンズ11を介して、板厚さTの方向(Z方向)から基板TAの表面Taの第2切断予定ラインL2に集光される。このとき、レーザー光RYは、基板TAの表面Taの第2切断予定ラインL2(切断予定ライン)に焦点が一致されて、第2切断予定ラインL2に位置する基板TAに加工を施す。
【0056】
第2切断工程(切断工程)において、レーザー加工機Mは、アストガスを基板TAの表面Taの第2切断予定ラインL2(切断予定ライン)に噴出(噴射)する。
【0057】
第2切断工程(切断工程)において、レーザー加工機Mは、レーザー発生部2をX-Yテーブル1に対して水平方向(X方向、Y方向)に相対移動する。
第2切断工程(切断工程)は、レーザー発生部2の移動(X-Yテーブル1に対する相対移動)によって、基板TAの表面Taに、基板TAの板厚さTの方向(Z方向)からレーザー光RYを照射し、及び基板TAの表面Taに、ローラRBを形成する領域αを含む円形の第2切断予定ラインL2に沿ってレーザー光RYを照射して加工する。レーザー加工機Mは、レーザー発生部2の移動(X-Yテーブルに対する相対移動)によって、基板TAの表面Taにレーザー光RYを照射し、第2切断予定ラインL2に沿ってレーザー光RYを走査して加工する。
【0058】
第2切断加工(切断加工)において、レーザー光RYの照射により、第2切断予定ラインL2に沿って基板TA[基板TAの合成繊維FB(ポリエステル繊維)及びゴムRB(ニトリルゴム)]を溶融及び切断して、第2切断予定ラインL2に沿った切断面を外周端面R2(外周面)とするローラROを基板TAから切り出す(切り離す)。
第2切断工程(切断工程)において、基板TAの表面Ta(基板TA)に照射したレーザー光RYの熱エネルギーにより、第2切断予定ラインL2に沿って基板TA[基板TAの合成繊維FB(ポリエステル繊維)及びゴムRB(ニトリルゴム)]を溶融及び切断する。基板TAに照射したレーザー光RYは、第2切断予定ラインL2において、基板TA(合成繊維、ゴム)を板厚さTの方向(Z方向)に溶融及び切断する。
このとき、第2切断工程(切断工程)は、レーザー光RYの照射(基板TAの表面Taに照射したレーザー光RYの熱エネルギー)により、基板TAの表面Taを、合成繊維の融点(例えば、ポリエステル繊維の融点:255℃)を超える温度に加熱して、第2切断予定ラインL2に沿った基板TAの合成繊維FB(ポリエステル繊維)及びゴムRM(ニトリルゴム)を同時に溶融及び切断する。
【0059】
第2切断工程(切断工程)において、アシストガスGSは、レーザー発生部2の移動に伴って、第2切断予定ラインL2に沿って基板TAの表面Taに噴出される。第2切断予定ラインL2に沿って噴出(噴射)されたアシストガスGSは、基板TAの溶融及び切断で発生した溶融物(合成繊維、ゴム)を吹き飛して、第2切断予定ラインL2から溶融物を飛散する。
【0060】
このように、ローラの製造方法は、第1切断工程、及び第2切断工程(切断工程)を実行することで、第1切断予定ラインL1に沿った切断面を内周端面R1(内周面)とし、及び第2切断予定ラインL2に沿った切断面を外周端面R2(外周円)とするローラRO(フェルトローラ)を基板TAから切り出す。
ローラの製造方法では、
図2及び
図4に示すように、レーザー発生部2を水平方向(X方向、Y方向)に移動(X-Yテーブル1に対して相対移動)して、第1切断工程、及び第2切断工程(切断工程)を繰り返し実行することで、複数のローラROを基板TAから切り出す(切り離す)。
【0061】
基板TAから切り出したローラROは、
図5乃至
図7に示すように、内周端面R1(第1切断予定ラインL1に沿った切断面)、及び外周端面R2(第2切断予定ラインL2に沿った切断面)の間に領域αを有する円筒体に形成される。
【0062】
基板TAから切り出したローラRO(フェルトローラ)において、ローラROの外周端面R2[第2切断予定ラインL2(切断予定ライン)に沿った切断面]に位置する合成繊維(ポリエステル繊維)及びゴムR(ニトリルゴム)は、
図5乃至
図7に示すように、レーザー光RY(レーザー光RYの熱エネルギー)により溶融及び切断される。
これにより、ローラROは、合成繊維(ポリエステル繊維)が外周端面R2(外周面)から突出することなく、略平坦な外周端面R2(外周面)を有する。
【0063】
基板TAから切り出したローラROにおいて、ローラROの内周端面R1(第1切断予定ラインL1に沿った切断面)に位置する合成繊維(ポリエステル繊維)及びゴムRB(ニトリルゴム)は、
図5乃至
図7に示すように、レーザー光RY(レーザー光RYの熱エネルギー)により溶融及び切断される。
これにより、ローラROは、合成繊維(ポリエステル繊維)が内周端面R1(内周面)から突出することなく、略平坦な内周端面R1(内周面)を有する。
【0064】
ローラの製造方法では、第1切断工程を実行(実施)することなく、第2切断工程(切断工程)のみを実行(実施)しても良い。第2切断工程(切断工程)によって基板TAから切り出したローラROは、外周端面R2(第2切断予定ラインL2に沿った切断面)を有する円柱体に形成される。
ローラの製造方法は、第2切断工程(外周端面切断工程)、及び第1切断工程(内周端面切断工程)の順に実行しても良い。外周端面切断工程は、基板の表面に、当該基板の厚さ方向からレーザー光を照射し、及び基板の表面に、円形の第2切断予定ライン(外周端面切断予定ライン)に沿ってレーザー光を照射して加工し、及びレーザー光の照射(基板の表面(基板)に照射したレーザー光の熱エネルギー)により、外周端面切断予定ライン(第2切断予定ライン)に沿って基板(基板の合成繊維及びゴム)を溶融及び切断して、外周端面切断予定ラインに沿った切断面をローラの外周端面(外周面)として形成(ローラの外周端面を形成)し、内周端面切断工程は、基板の表面に、当該基板の板厚さ方向からレーザー光を照射し、及び基板の表面に、ローラを形成する領域αを外周端面切断予定ラインとの間に含む円形の内周端面切断予定ラインに沿ってレーザー光を照射して加工し、内周端面切断予定ラインに沿って基板(基板の合成繊維及びゴム)を溶融及び切断して、ローラ(内周端面切断予定ラインに沿った切断面を内周端面(又は内周面)とするローラ)を基板から切り出す構成も採用できる。
【0065】
ローラの製造方法において、多数の繊維FBで成る不織繊維構造体FSは、フェルトの他に、不織布であっても良い。不織繊維構造体FSは、構成繊維の素材として、天燃繊維(植物繊維、動物繊維)、無機質繊維、半合成繊維(有機質繊維)、再生繊維(有機質量繊維)の長繊維、短繊維で構成しても良い。
天燃繊維は、綿、麻等の植物繊維、羊毛、絹等の動物繊維である。無機質繊維は、ガラス繊維等である。半合成繊維は、アセテート繊維等である。生成繊維は、レーヨン繊維等である。
ローラの製造方法において、不蘇繊維構造体FSに含浸する素材として、樹脂であっても良い。樹脂は、天燃樹脂、合成樹脂である。合成樹脂は、熱硬化性樹脂、アクリル系、ポリウレタン系等の熱可塑性樹脂である。
基板TAは、合成繊維の不職繊維構造体FS(フェルト又は不織布)に、ゴムRB又は樹脂(合成樹脂)を含浸して、ローラ幅rhの板厚さTに形成しても良い。
基板TAは、天燃繊維の不織構造体FS(フェルト又は不織布)に、ゴムRB又は樹脂(合成樹脂)を含浸して、ローラ幅rhの板厚さTに形成しても良い。
基板TAは、無機質繊維の不織繊維構造体(フェルト又は不織布)に、ゴムRB又は樹脂(合成樹脂)を含浸して、ローラ幅rhの板厚さTに形成しても良い。
基板TAは、半合成繊維又は再生繊維の不織繊維構造体FS(フェルト又は不織布)に、ゴム又は樹脂(合成樹脂)を含浸して、ローラ幅rhの板厚さTに形成しても良い。
基板TAは、不織繊維構造体FSに樹脂を含浸して形成した樹脂含有繊維基板である。
【0066】
ローラの製造方法では、不織繊維構造体(フェルト又は不織布)にゴムRB又は樹脂(合成樹脂)を含浸して形成した基板TAからローラROを切り出しても良い。このとき、不織繊維構造体にゴム又は樹脂(合成樹脂)を含浸して形成した基板に対して、積載工程、第1切断工程及、及び第2切断工程(切断工程)を順に実行して、ローラROを基板TAから切り出す(切り離す)。
【0067】
ローラの製造方法において、レーザー加工機Mのレーザー発振器5は、固定レーザーのYAGレーザー発振器、ファイバーレーザー発振器等であっても良い。
【0068】
図8乃至
図11において、ローラの製造方法で製造されたローラRO(基板TAから切り出されたローラRO)は、掃除機CL(清掃機)に取付けられて、掃除機CLの移動を補助する。掃除機CLは、清掃機であって、電気掃除機、電動掃除機(ロボット掃除機等)及び手動掃除機である。
ローラROは、
図8乃至
図11に示すように、例えば、吸引式の掃除機CL(電気掃除機)に取り付けられる吸込具SUに配置されて、吸込具SUの移動を補助する。
【0069】
吸引式の掃除機CLは、
図8に示すように、掃除機本体31、吸引ホース32及び操作部33を備える。
【0070】
掃除機本体31は、
図8に示すように、吸引ファン(図示しない)、及び吸引ファンを駆動するファン駆動モータ(図示しない)を有する。吸引ホース32は、掃除機本体31に接続される。操作部33は、吸引ホース32の中間位置に配置される。吸込具SUは、
図8に示すように、吸引ホース32の先端に接続されて、吸引式の掃除機CLに取り付けられる。
操作部33は、吸引ホース32に沿って配される配線を通して、掃除機本体31及び吸込具SUに電気的に接続される。操作部33は、使用者の操作に基づいて、掃除機本体31(ファン駆動モータ)、及び吸込具SU(ローラ駆動モータ)を作動、又は停止する。
【0071】
吸込具SUは、
図8乃至
図11に示すように、ハウジング41、接続管42(接続パイプ)、掻取ローラ43、及び複数(例えば、3つ)のローラ44,45,46を備える。
【0072】
ハウジング41は、
図9乃至
図11に示すように、左右方向LRに長い中空体に形成される。ハウジング41は、
図10に示すように、吸込空間55、及び吸込口56を有し、吸込空間55は、ハウジング41内に形成される。吸込口56は、前後方向FRにおいて、ハウジング41の前端側(先端側)に配置される。吸込口56は、
図10に示すように、ハウジング41の底壁57(底壁板)に形成される。吸込口56は、左右方向LRに延在されて、底壁57及び吸込空間55に開口する。
【0073】
接続管42は、
図9乃至
図11に示すように、前後方向FRにおいて、ハウジング41の後端に配置される。接続管42は、左右方向LRにおいて、ハウジング41の中間位置に配置されて、ハウジング41に取り付けられる。接続管42は、ハウジング41の吸込空間55に開口する。
【0074】
掻取ローラ43は、
図10に示すように、ローラ軸58(円形軸)、及び複数の掻取部59を有する。各掻取部59は、弾性変形できる材料であって、例えば、多数のブラシ毛で形成される。各掻取部59は、
図10に示すように、ローラ軸58の軸中心線bの方向において、各軸端の間に配置される。各掻取部59は、ローラ軸58に螺旋状に取付けられる。
掻取ローラ43は、
図10に示すように、ローラ軸58の軸中心線bを、左右方向LRに向けて、ハウジング41の吸込口56に配置されて、吸込空間55内に収納される。掻取ローラ43は、ローラ軸58の各軸端側をハウジング41に軸支して、ハウジング41に回転自在に取り付けられる。掻取ローラ43は、掻取部59を吸込口56からハウジング41の下方に突出して、ハウジング41に取り付けられる。掻取ローラ43は、ローラ駆動モータ(図示しない)に機械的に接続される。ローラ駆動モータは、ハウジング41内に配置され、掻取ローラ43を回転する。
【0075】
各ローラ44,45,46は、ローラの製造方法において、基板TAから切り出されたローラROである(
図1乃至
図7参照)。各ハウジング44,45,46は、ハウジング41(底壁57)に回転自在として取り付けられる。
【0076】
各ローラ44,45は、
図10及び
図11に示すように、左右方向LRに間隔を隔てて、ハウジング41の底壁57に配置される。各ローラ44,45は、前後方向FRにおいて、吸込口56より後端側のハウジング41の底壁57に配置される。
ローラ44は、
図10に示すように、左右方向LRにおいて、接続管42により左側に配置される。ローラ45は、
図10に示すように、左右方向LRにおいて、接続管42より右側に配置される。
各ローラ44,45は、ローラ軸中心線cを左右方向LRに向けて、ハウジング41に回転自在に軸支される。各ローラ44,45は、
図11に示すように、ローラの一部をハウジング41の底壁57より下方に突出して、ハウジング41(底壁57)に取り付けられる。
【0077】
ローラ46は、
図10及び
図11に示すように、吸込口56及びローラ44の間において、ハウジング41の底壁57に配置される。ローラ46は、ローラ軸中心線cを左右方向LRに向けて、ハウジング41に回転自在に軸支される。ローラ46は、
図11に示すように、ローラの一部をハウジング41の底壁57から下方に突出して、ハウジング41(底壁57)に取り付けられる。
【0078】
吸込具SUは、
図8に示すように、接続管42内に吸引ホース32の先端側を挿入して、吸引式の掃除機CLに取り付けられる。
【0079】
吸込具SUを取り付けた吸引式の掃除機CLは、吸込具SUの掻取ローラ43、及び各ローラ44,45,46を床(床面)に当接して配置する。このとき、各ローラ44,45,46は、外周端面R2(外周面)を床(床面)に当接して配置される。
【0080】
吸込具SUを取り付けた吸引式の掃除機CLは、吸込具SUの各ローラ44,45,46(外周端面R2)を床(床面)に当接した状態で、操作部33を操作して、掃除機本体31のファン駆動モータ(図示しない)、及び吸込具SUのローラ駆動モータ(図示しない)を駆動して、吸引ファン(図示しない)及び掻取ローラ43を回転して掃除を開始する。
掃除は、吸引式の掃除機CL、及び吸込具SUを前後左右に移動して行われる。
これにより、吸込具SUの掻取ローラ43は、回転によって、床等の塵埃を含むゴミを吸込口56から吸込空間55内に掻き入れる。吸込具SUの吸込空間55内に掻き入れられた螺塵埃を含みゴミは、吸引ファンの回転により、接続管42、吸引ホース32を通して、掃除機本体31内に吸引される。
掃除の際、吸込具SUを移動しても、床等(床面)に当接する各ローラ44,45,46の外周端面R2には、塵埃を含みゴミが絡みつかない。
これより、各ローラ44,45,46は、塵埃を含むゴミにより回転不能になることなく、吸込具SUの移動を確実に補助する。
【実施例】
【0081】
本発明に係るローラの製造方法の効果試験について、
図1乃至
図7、及び
図12乃至
図14を参照して説明する。
ローラの製造方法の効果試験について、<1>「ローラ切り出し試験」、<2>「絡みつき試験」を実施した。
【0082】
<1>ローラ切り出し試験
ローラ切り出し試験は、
図1乃至
図7で説明したと同様に、載置工程、第1切断工程及び第2切断工程(切断工程)を実行(実施)して、試験ローラROを試験基板TAから切り出した。
【0083】
1)試験基板TA
ローラ切り出し試験において、不織繊維構造体FSは、ニードルフェルトを使用した。
ニードルフェルトは、繊度:3d(デニール)、繊維長:76mmのポリエステル繊維でなる。
ニードルフェルト(不織繊維構造体)に含浸するゴムは、ニトリルゴムを使用した。
試験基板TAは、ポリエステル繊維のニードルフェルトに、ニトリルゴムを含浸して、板厚さT=6.0mmに形成した。
試験基板TA乾燥時において、ニードルフェルトのポリエステル繊維と、ニトリルゴムの重量比率は、ポリエステル繊維を38.5%、ニトリルゴムを61.5%とした。
試験基板TAは、
図1に示すように、板幅H=930.0mm、及び板長さL=450.0mmに切断した。
試験基板TAは、
図1に示すように、板厚さT=6.0mm、板幅H=930.0mm、及び板長さL=450.0mmとした。
【0084】
2)試験ローラRO
ローラ切り出し試験において、試験基板TAから切り出す試験ローラROは、
図6及び
図7に示すように、ローラ幅rh=6.0mm、内周半径r1=3.25mm、外周半径r2=5.75mmとした。
【0085】
3)レーザー加工機M
ローラ切り出し試験において、レーザー加工機Mは、
ユニバーサルレーザーシステム社の製品「PLS4.75 60W 1.5インチレンズ」を使用した。
【0086】
4)試験レーザー光RY
ローラ切り出し試験(第1切断工程及び第2切断工程)において、試験基板TAの表面Ta(第1及び第2切断予定ラインL1,L2)に照射する試験レーザー光RYは、
レーザー光の種類:パルスレーザー
レーザー光の出力W=100(%)[60(W)を100(%)]
レーザー光の照射時間S=3.5(%)
レーザー光の解像度のパルス数=1000
である。
なお、レーザー光の照射時間(S)は、第1切断工程、及び第2切断工程(切断工程)において、第1切断予定ラインL1及び第2切断予定ラインL2に沿ってレーザー光RYを照射した時間(%)である(「絡みつき試験」も同様)。
レーザー光の解像度は、単時間おける1インチ当たりのレーザーのパルス数を示す(「絡みつき試験」も同様)。
【0087】
5)試験ローラの製造
ローラ切り出し試験において、試験基板TAの表面Ta(第1及び第2切断予定ラインL1,L2)に、試験レーザー光RYを照射して、試験ローラROを試験基板TAから切り出した。
【0088】
6)ローラ切り出し試験の評価
ローラ切り出し試験において、試験基板TAから切り出した試験ローラを、
図12の「写真」に示す。
図12の「写真」は、試験ローラROの外周端面R2(外周面)を含む部分を拡大して示している。
図12の「写真」に示すように、試験ローラROでは、外周端面からのポリエステル繊維の突出は認められない。
これにより、本発明に係るローラの製造方法の第2切断工程(切断工程)で説明したように、基板TAの表面Ta(第2切断予定ラインL2)に、レーザー光RYを照射して、ローラROを基板TAから切り出すことで、ポリエステル繊維等の繊維が外周端面R2から突出しないローラROを得ることができる。
【0089】
<2>絡みつき試験
絡みつき試験は、実施例1~10、及び比較例1について実施した。
【0090】
A)試験ローラ
実施例1~10は、
図1乃至
図7で説明したと同様に、載置工程、第1切断工程及び第2切断工程(切断工程)を実行(実施)して、試験基板TAから切り出した試験ローラROである。
比較例1は、金型によって試験基板TAから打ち抜いた試験ローラである。
実施例1~10及び比較例1において、試験ローラは、
図6及び
図7に示すように、ローラ幅rh=6.0mm、内周半径r1=3.25mm、外周半径r2=5.75mmとした。
【0091】
B)試験基板TA
絡みつき試験は、「ローラ切り出し試験」と同一の試験基板TAを使用した。
【0092】
C)レーザー加工機M
絡みつき試験の実施例1~5において、レーザー加工機Mは、ユニバーサルレーザーシステム社の製品「PLS4.75 60W 1.5インチレンズ」を使用した。
絡みつき試験の実施例6~10において、レーザー加工機Mは、ユニバーサルレーザーシステム社の製品「PLS4.75 60W 2.0インチレンズ」を使用した。
【0093】
D)試験レーザー光
絡みつき試験機の実施例1~10において、試験基板TAの表面Ta(第1及び第1切断予定ラインL1,L2)に照射する試験レーザー光RYは、パルスレーザーであって、「表1」に示す。
「表1」において、「出力(W)」は、レーザー光の出力W、「照射時間(%)」は、レーザー光の照射時間、及び「解像度」は、レーザー光の解像度のパルス数であって、「ローラ切り出し試験」と同一である。
【0094】
【0095】
E)試験ローラの製造
絡みつき試験の実施例1~10は、第1切断工程、及び第2切断工程(切断工程)において、試験基板TAの表面Ta(第1及び第2切削予定ラインL1,L2)に、試験レーザー光RYを照射して、試験ローラROを試験基板TAから切り出した。
絡みつき試験の比較例1は、金型によって試験ローラを試験基板TAから打ち抜いた。
【0096】
F)試験態様
絡みつき試験は、
図13及び
図14に示すように、10本の糸SRを平滑面FLに並列して、実施例1~10の「試験ローラRO」、及び比較例1の「試験ローラ」を回転させながら、各糸SR上を走行させて実施した。
a)糸SRは、東洋紡株式会社の製品「コロナゴールドスパン 60番」を使用した。糸SRの長さは、50mmとした。
b)各糸SRは、糸間隔SG=10mmを隔てて、平滑面FL上に平行に並列した。
c)各試験ローラを、速度VR=10(mm/s)で各糸SR上に転がした。
d)試験ローラの走行回数
試験ローラを各糸SR上に走行した回数は、
実施例1~10:3回、
比較例1:10回
である。
【0097】
G)試験結果
絡みつき試験は、各試験ローラを各糸SR上に転がした後に、実施例1~10の「試験ローラRO」の外周端面、及び比較例1の「試験ローラ」の外周端面に絡みついた糸SRの本数を確認し、その結果を「表2」及び「表3」(「表2」及び「表3」の「糸本数」の欄)に示す。
「表2」は、実施例1~10の試験結果、「表3」は、比較例1の「試験ローラ」の試験結果である。
【0098】
【0099】
【0100】
H)絡みつき試験の評価
「表2」において、実施例1~3及び実施例5~10の糸本数は、0本であった。実施例4の「1回目」の糸本数、及び実施例10の「3回目」の糸本数は、1本であった。実施例1~10の「1回目」及び「3回目」の糸本数の平均は、0.10本となる。実施例1~10の「1回目」~「3回目」(30回)の糸本数の平均(全平均)は、0.07本となる。
「表3」において、比較例1の「1回目」及び「7回目」の糸本数は、8本であった。比較例1の「2回目」及び「4回目」の糸本数は、6本であった。比較例1の「3回目」、「5回目」及び「10回目」の糸本数は、5本であった。比較例1の「6回目」の糸本数は、10本であった。比較例1の「8回目」の糸本数は、2本であった。比較例1の「9回目」の糸本数は、7本であった。比較例1の「1回目」~「10回目」の糸本数の平均(全平均)は、6.2本となる。
【0101】
「表2」及び「表3」に示すように、実施例1~10の「試験ローラRO」は、比較例1の「試験ローラ」よりも、外周端面に絡みついた糸本数が極端に少ない。
このことは、実施例1~10の「試験ローラRO」は、ポリエステル繊維が外周端面から突出しておらず、比較例1の「試験ローラ」は、多数のポリエステル繊維が外周端面から突出していると言える。
これにより、本発明に係るローラの製造方法の第2切断工程(切断工程/外周端面切断工程)で説明したように、基板TAの表面Ta(第2切断予定ラインL2/外周端面切断予定ラインL2)に、レーザー光RYを照射して、ローラROを基板TAから切り出すことで、ポリエステル繊維等の繊維が外周端面R2から突出しないローラROを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、掃除機(清掃機)の移動を補助するローラに最適である。
【符号の説明】
【0103】
FS 不織繊維構造体(フェルト又は不織布)
FB 繊維(合成繊維)
RB ゴム
TA 基板
Ta 基板の表面
T 基板の板厚さ(板厚)
RY レーザー光
RO ローラ
α 領域(ローラを形成する領域)
L1 第1切断予定ライン(内周端面切断予定ライン)
L2 切断予定ライン(第2切断予定ライン/外周端面切断予定ライン)
CL 吸引式の掃除機(清掃機)
SU 吸込具
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