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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】洗車機用防汚シートおよび洗車機
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20240122BHJP
   B08B 13/00 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
B60S3/04
B08B13/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021047123
(22)【出願日】2021-03-22
(65)【公開番号】P2022146252
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2023-09-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1) 販売日 令和2年9月14日 販売した場所 南国殖産株式会社 諏訪野町給油所 2) 販売日 令和2年9月17日 販売した場所 南国殖産株式会社 川尻給油所 3) 販売日 令和2年9月23日 販売した場所 南国殖産株式会社 保田窪給油所 4) 販売日 令和2年11月5日 販売した場所 有限会社徳永石油 5) 販売日 令和2年11月14日 販売した場所 株式会社Misumi セルフ24大塚SS 6) 販売日 令和2年11月17日 販売した場所 株式会社ヒガキ セルフMEDIC202SS 7) 販売日 令和2年11月27日 販売した場所 株式会社Misumi セルフアクアドーム前SS 8) 販売日 令和2年12月4日 販売した場所 株式会社前野石油 セルフ川辺SS 9) 販売日 令和2年12月4日 販売した場所 株式会社Misumi D.D伊藪店 10)販売日 令和2年12月15日 販売した場所 株式会社吉田石油店 飯塚SS 11)販売日 令和2年12月21日 販売した場所 株式会社山鹿ホールディングス 宇土店 12)販売日 令和2年12月22日 販売した場所 株式会社山鹿ホールディングス 須屋SS 13)販売日 令和3年1月18日 販売した場所 株式会社吉田石油店 香椎セルフSS 14)販売日 令和3年2月19日 販売した場所 LAUNDRY STORE 15)販売日 令和3年2月24日 販売した場所 株式会社Misumi セルフ託麻SS 16)販売日 令和3年3月18日 販売した場所 株式会社前野石油 D.D加世田中央SS 17)販売日 令和3年3月19日 販売した場所 株式会社Misumi セルフ武岡台SS
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521120252
【氏名又は名称】株式会社リベラルフィールズ
(74)【代理人】
【識別番号】100190160
【弁理士】
【氏名又は名称】隅田 俊隆
(72)【発明者】
【氏名】大場 俊文
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-067428(JP,A)
【文献】特開平09-291250(JP,A)
【文献】特開昭58-065778(JP,A)
【文献】実開平06-056394(JP,U)
【文献】登録実用新案第3007294(JP,U)
【文献】特開2003-191386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/06
B08B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗車機の外装面に磁力によって吸着固定される吸着面を備える磁石層と、
該磁石層の前記吸着面と反対の面側に形成され、前記磁石層が前記外装面に吸着固定されたときに表面に配置される表面層とを備えることを特徴とする洗車機用防汚シート。
【請求項2】
前記表面層は、シート材および/またはフィルム材を有する主層と、該主層を前記磁石層に粘着させる粘着剤層とを備えることを特徴とする請求項1に記載の洗車機用防汚シート。
【請求項3】
前記表面層は、前記磁石層から剥離可能であることを特徴とする請求項2に記載の洗車機用防汚シート。
【請求項4】
前記表面層は、汚れの付着を阻害する表面処理が施されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の洗車機用防汚シート。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の洗車機用防汚シートが、前記外装面に取り付けられていることを特徴する洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のボディの洗浄に用いられる洗車機の外装面に取り付けられて、洗車時に飛散する洗浄水等が当該外装面に直接付着しないようにして、外装面を汚れや錆・腐食から保護する洗車機用防汚シート及びこれを備える洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、自動車のボディの洗浄に自動洗車機が使用されている。自動洗車機の代表的な形態としては、正面視略逆凹形に形成された門型の洗車機がある。この門型洗車機は、略逆凹形の内部の上方および側方に回転式のブラシが設けられており、この内部に自動車を停車させてから、門型洗車機を前後に移動させることによって洗車が行われる。
【0003】
門型洗車機は屋外に設置されるため、大気中の砂や埃、雨によって経時的に汚れが付着していくこととなる。そこで、門型洗車機の輪郭外面の上面の縁部と縦面の上縁とで形成される角から離れるにしたがって下り勾配に傾斜する傾斜面を形成して、上面縁部に付着した雨水が、その雨水の表面張力と上面縁部と縦面とで形成される角および傾斜面との協働により、縦面に流れ落ちずに上面の縁部上を流れ落ちて、上面から外に排出されるようにした門型洗車機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の門型洗車機によれば、洗車機の輪郭外面の人目につきやすい縦面に雨筋汚れが付き難くなるので、外観上の体裁が高められる。
【0004】
一方、洗車対象の自動車を囲う門型洗車機の内側およびその周辺は、洗浄時に散布される洗剤やワックス剤を含む洗浄水と、ボディから洗い流された砂や埃、油分等に常に晒されている。このため、洗車機の当該部位の外装面には、これらからなる汚れが付着し堆積していくという不都合があった。汚れが堆積していくと、洗車機の外観が損なわれたり外装面に錆や腐食等が生じやすくなったりするだけでなく、機能にも悪影響が生じて稼働寿命を縮めてしまう虞がある。さらに、洗浄水に井戸水を使用している場合には、井戸水に含まれる鉄分や藻といった不純物も一緒に付着してしまい、汚れの付着はより深刻となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-224843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の洗車機は、あくまでも上面に溜まった雨水が流れ落ちて、側面や前面に雨筋汚れが付着しないようにするものであるため、上記のような洗浄水等に起因する汚れの付着に対処できるものでない。したがって、洗浄水等に起因する汚れの付着に対しては、定期的に清掃して対処していくこととなる。通常、外装面の清掃は、溶剤等の洗浄液や専用道具を駆使して人の手作業で行われるが、汚れの付着が強固であることに加えて、清掃範囲が広範となるために、非常に多くの時間と労力および施工コストがかかるといった問題があった。そこで、清掃作業の負担を軽減させる一策として、外装面に撥水や撥油といった防汚機能を有する被膜剤を予め塗布しておくことで、汚れを付着しにくくする試みがなされている。しかしながら、これだけでは十分な防汚機能が得られないだけでなく、被膜剤を塗布する作業が別途必要となって却って負担が増すことになってしまうため、依然として問題の解決に至っていないのが現状である。
【0007】
そこで、本発明は、洗車機の外装面のメンテナンスを短時間で簡単に行えるようにし、かつ低コストで施工を可能にする洗車機用防汚シートおよびこの洗車機用防汚シートを備えた洗車機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明が採った第一の手段は、洗車機の外装面に磁力によって吸着固定される磁石層と、該磁石層の前記吸着面と反対の面側に形成され、前記磁石層が前記外装面に吸着固定されたときに表面に配置される表面層とを備えることを特徴とする洗車機用防汚シート、である。
【0009】
この洗車機用防汚シート(以下、便宜上単に防汚シートという)は、洗車機の外装面に洗浄水等が直接付着しないように当該外装面を被覆するためのものであり、磁石層と、表面層とを備えて構成される。磁石層は、防汚シートを洗車機の外装面に磁力によって取り付けするために設けられる層である。洗車機の外装面は、磁石が吸着可能な強磁性体の金属からなる複数のパネル材が組み合わされて形成されるのが主である。そこで、本発明にかかる防汚シートは外装面への取り付けに磁力を利用して、着脱を自在に行えるようにしている。さらに、防汚シートの表面(吸着面と反対の面側)には、汚れを受け止めるための表面層が形成される。こうして形成される防汚シートを洗車機の外装面に取り付けておくことで、洗車時に飛散する洗浄水や汚れ分等が、外装面を被覆する防汚シートの表面に付着するようになるので、外装面を常にきれいな状態に保つことができるようになる。
【0010】
そして、防汚シートの表面層に汚れが堆積したときには、磁石層の磁力によって吸着している防汚シートを外装面から引き離して取り外せば、防汚シートと一緒に汚れを除去することができる。このように、本発明にかかる防汚シートは、外装面に汚れが直接付着するのを防止できるのに加え、防汚シートを取り外すだけで汚れの除去が完了するので、清掃作業にかかる負担を大幅に低減できるようになる。そして、汚れた防汚シートを取り外して、新しい防汚シートに交換すれば、引き続き汚れの付着を防止できるようになる。さらに、汚れが付着した使用済みの防汚シートは、施工現場を離れた後に洗浄して再利用することができるので、ランニングコストを低減することができる。
【0011】
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「洗車機の外装面」とは、磁石が吸着可能な強磁性体の金属からなる複数のパネル材が組み合わされて形成される洗車機の外装の表面をいい、例えば、上記の門型洗車機であれば、正面視略逆凹形の外側の上面、両側面、正面および背面と、内側の上面および両側面が含まれる。
【0012】
また、前記表面層は、シート材および/またはフィルム材を有する主層と、該主層を前記磁石層に粘着させる粘着剤層とを備えてもよく、さらに、前記磁石層から剥離可能としてもよい。
【0013】
表面層は、磁石層の一方の面を被覆するように配置されるものであるが、これをシート材やフィルム材を有する主層と、主層を磁石層と一体化させる粘着剤層とを備えて形成すれば、表面層を磁石層に貼り付けて設けることができるので、防汚シートの作製を簡単に行えるようになる。さらに、この表面層を磁石層から剥離できるように形成しておけば、洗車機から取り外された使用済みの防汚シートにおいて、表面層を磁石層から剥がすだけで汚れを一掃することができる。そして、汚れが付着した表面層を剥がした後の磁石層に新しい表面層を貼り直せばすぐに再利用が可能となるので、再利用に至るまでの作業をより簡素化できるようになる。
【0014】
また、前記表面層は、汚れの付着を阻害する表面処理が施されていてもよい。
【0015】
こうすることで、表面層に汚れが付着しにくくなるので、表面処理をしていない防汚シートよりも長期間使用することができるとともに、使用済みとして回収した後で表面層を洗浄する際には、汚れが落としやすくなって作業負担を軽減させることができる。
【0016】
さらに、上記課題を解決するために本発明が採った第二の手段は、上記のいずれかの洗車機用防汚シートが、前記外装面に取り付けられていることを特徴する洗車機、である。
【0017】
防汚シートを取り付けておけば、洗車時に散布される洗浄水や飛散する汚れが外装面に直接付着しなくなる。これにより、外装面を常にきれいな状態に保つことができるとともに、洗車機の外装の清掃を防汚シートの交換だけで済ませることができるので、メンテナンス性の良い洗車機とすることができる。
【0018】
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「洗車機」は、フルサービスタイプ、セルフタイプ、ドライブスルータイプの門型洗車機だけでなく、外装面を備える洗車機全般をいう。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る洗車機用防汚シートは、洗車機の外装面に磁力で吸着固定される磁石層と、磁石層の表面を被覆する表面層とを備える。これが洗車機の外装面に取り付けられると、洗車時に散布される洗浄水や飛散する汚れ分を外装面に付着させずに表面層に付着させることができるので、外装面を美しく保つことができる。また、外装面に磁力を利用して着脱自在に取り付けられるので、表面層に汚れが堆積したときには、防汚シートを外装面から取り外すだけで汚れを一掃でき、外装面のメンテナンスを短時間かつ簡単に行うことができる。さらに、使用済みの防汚シートは、回収後に洗浄して再利用可能なので、ランニングコストを低減することができる。
【0020】
また、本発明にかかる洗車機によれば、外装面に、磁力で吸着固定される磁石層と、磁石層の表面を被覆する表面層を備えた防汚シートを有するので、洗車時に散布される洗浄水や飛散する汚れ分は防汚シートの表面層に付着されて、長期間使用しても外装面を美しく保つことができる。また、防汚シートの表面層に汚れが堆積したときには、外装面から防汚シートを取り外すだけで汚れを一掃することができるので、外装面のメンテナンスを短時間かつ簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1に係る洗車機用防汚シートと、これが取り付けられる洗車機を示す斜視図である。
図2】実施例1に係る洗車機用防汚シートの部分断面図である。
図3】実施例2に係る洗車機用防汚シートの部分断面図であって、(a)は磁石層と表面層とが一体となった状態を示す図、(b)は磁石層から表面層を剥離した状態を示す図である。
図4】実施例2に係る洗車機用防汚シートを、洗車機の外装面に着脱する方法を説明する部分断面図であって、(a)は洗車機用防汚シートが外装面に取り付けられた状態を示す図、(b)は洗車機用防汚シートが外装面から取り外されて、磁石層から表面層が剥離された状態を示す図、(c)は表面層が交換された洗車機用防汚シートが外装面に取り付けられる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、洗車機の外装面を被覆するように取り付けられて、洗浄時に散布される洗浄水や飛散する汚れ分等が外装面に直接付着するのを防止するとともに、メンテナンスにかかる手間と時間を軽減させることができる洗車機用防汚シートと、これを備える洗車機である。
【0023】
本発明にかかる洗車機用防汚シート(以下、便宜上単に防汚シートという)は、洗車機各所の外装面に応じた形状、大きさに形成すればよい。また、防汚シートの厚みは、着脱作業の際の取り回しに支障がでない程度の厚みであれば特に限定されるものではない。
【0024】
防汚シートは、磁石層と表面層とを有して構成される。磁石層は、防汚シートを洗車機の外装面に吸着固定させる磁石を含む層である。磁石層の厚みは特に限定されるものではないが、防汚シートに剛性を付与できる程度の厚みにするのが好ましい。磁石層には、シート状に形成された磁石を用いることができる。磁石には、例えば、金属製の焼結磁石や、プラスチックや樹脂、ゴム等の非金属材料にフェライトやネオジム等の磁性材料を混合して成形した磁石を用いることができる。中でも、柔軟性を有して薄型に形成できかつ切断や穴あけ等の加工が容易なラバーマグネットを用いることが好ましい。また、着磁の種類は、片面多極着磁、両面多極着磁のいずれであっても良いが、洗車機の外装面に取り付けるときに、後に詳述する表面層がある面を誤って吸着させることがないように、片面多極着磁とするのが好ましい。さらに、磁石層の磁力は、洗車機の稼働時に生じる振動や風等を受けても容易に外れたりズレたりしない程度の強さに設定するのがよい。
【0025】
表面層は、磁石層の吸着面と反対の面側を被覆するように形成され、防汚シートが洗車機の外装面に取り付けられたときに表面に配置される層である。この表面層には、洗車時に散布される洗浄水や飛散する汚れ分等が付着される。表面層は、磁石層を被覆するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、塗料の塗布や印刷によって形成したり、ポリプロピレンやポリ塩化ビニル等の合成樹脂材料や、スチールやアルミ材料から作製されるシート材やフィルム材またはこれらを組み合わせたものを貼付して形成することができる。シート材やフィルム材を用いる場合、表面層は、シート材やフィルム材からなる主層と、この主層を磁石層に結合させる粘着剤層とから形成される。粘着剤層は、当該機能を発揮することができる既存の粘着剤から形成することができ、例えば、薄膜状の基材の両面に粘着剤が塗布されたものを用いることができる。なお、粘着剤層は、必ずしも主層の全面に形成する必要はなく、磁石層から容易に剥離しない程度に部分的に形成してもよい。
【0026】
また、表面層を主層と粘着剤層とから形成する場合には、粘着剤層を、磁石層から剥離できる程度の粘着力を有する粘着剤を用いてもよい。こうすることで、回収された使用済みの防汚シートの再生を行う際に、わざわざ洗浄をしなくても表面層を貼りかえれば再利用可能となるので、作業にかかる手間と時間を低減することができる。
【0027】
さらに、表面層には、撥水や撥油といった防汚機能を付与する表面処理を施してもよい。こうすることで、洗浄水や砂、油分等の汚れが付着しにくくなるので、メンテナンスの頻度を低減できるようになるとともに、回収された使用済みの防汚シートの洗浄も行いやすくなる。表面処理には、既存の防汚コーティングを用いることができ、例えば、光触媒系、シリカ系の親水性コーティングや、フッ素樹脂系、シリコーン系、ガラス系の撥水性コーティングを用いることができる。
【0028】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0029】
図1には、実施例1にかかる防汚シート100と、防汚シート100が取り付けられる洗車機200が示されている。洗車機200は、正面視略逆凹形の門型洗車機であり、この略逆凹形の内部の上方と両側方に回転式のブラシ201が設けられている。そして、この内部に自動車Cを停車させた後に、ブラシ201を回転させながら洗車機200を前後に移動させることによって洗車が行われるようになっている。洗車機200の正面の左右両側には、それぞれ外装面210a、210bが設けられており、内部の左右両側には、それぞれ外装面210cが設けられている。このうち、外装面210aは、パネル211aと、その下方にあるパネル212aとからなり、外装面210bは、パネル211bと、その下方にあるパネル212bとからなる。また、外装面210aのパネル211aの中腹には、洗車機200の洗車メニューなどを設定するためのボタン等が並ぶ操作部202が設けられている。なお、各外装面はいずれも磁石が吸着可能なスチール製である。
【0030】
防汚シート100は、洗車機200の外装面210aを構成するパネル211a、212aと対応する形状および大きさにそれぞれ形成された防汚シート100a、100bと、外装面210bを構成するパネル211b、212bと対応する形状および大きさにそれぞれ形成された防汚シート100c、100dと、外装面210cと対応する形状および大きさに形成された防汚シート100eとからなる。このうち、防汚シート100aには、パネル211aに取り付けられたときに操作部202を塞がないように、当該部分が切り取られて形成された開口部101が形成されている。
【0031】
図2には、防汚シート100の部分断面図が示されている。防汚シート100は、磁石層110と、表面層120の2層から形成されている。磁石層110は、合成ゴムにフェライトを混合してシート状に形成されたラバーマグネットから形成されている。磁石層110の一方の面(下面)は、洗車機200の外装面210a、210b、210cに吸着される吸着面110aを成している。そして、吸着面110aの反対の面側となる上面110bには、表面層120が設けられている。
【0032】
表面層120は、磁石層110の上面110bに塗布されたフッ素樹脂系のコーティング剤の被膜から形成されている。
【0033】
こうして形成される防汚シート100は、洗車機200の外装面210a、210b、210cに取り付けられる。すなわち、防汚シート100は、磁石層110の吸着面110aが磁力によって外装面210a、210b、210cに吸着固定される。これによって、外装面210a、210b、210cは、防汚シート100によって被覆されて、洗浄水や汚れ分等は表面層120に付着されるようになる。そして、表面層120に付着した汚れが目立つようになったら防汚シート100を取り外して、新しい防汚シート100に付け替える。こうすることで、洗車機200の外装面210a、210b、210cは、防汚シート100によって常に被覆された状態に保たれるので、外装面210a、210b、210cを長期間にわたってきれいな状態に維持できるようになる。
【0034】
そして、洗車機200から取り外された使用済みの防汚シート100は、施工現場から持ち帰った後で洗浄して再利用することができる。このとき、付着した汚れは表面層120を形成するコーティング剤の被膜の作用によって簡単に除去することが可能である。
【実施例2】
【0035】
図3および図4には、実施例2の防汚シート100が示されている。本実施例にかかる防汚シート100は、実施例1と同じく、磁石層110と、表面層120とを備えるが、表面層120が主層121と、粘着剤層122とから形成される点で実施例1と異なる。従って、ここでは実施例1と共通する構成の説明は省略し、表面層120について詳述することとする。
【0036】
表面層120は、主層121と、粘着剤層122とを備える。主層121は、ポリプロピレンからなるフィルム材から形成される。粘着剤層122は、薄膜状のプラスチックフィルムの両面に粘着剤が塗布された感圧粘着剤から形成され、主層121の下面の全面に設けられる。こうすることで、表面層120は、図3(b)に示すようにして磁石層110から剥離することができるようになる。
【0037】
図4では、実施例2の防汚シート100の洗車機200への取り付けおよび取り外しについて説明している。図4(a)に示すように、防汚シート100は、磁石層110の磁力によって洗車機200の外装面210に吸着固定される。この状態で洗車が繰り返されると、図4(b)に示すように、汚れBは防汚シート100の主層121の表面に付着し堆積していく。そして、汚れBが目立つようになったら、防汚シート100を洗車機200の外装面210から引き離して取り外す。それから、図4(c)に示すように、新しい防汚シート100を外装面210に取り付ければ作業は完了する。なお、汚れて取り外された使用済みの防汚シート100は、後から新しい表面層120nに貼り替えられて再利用されることとなる。
【0038】
このように、実施例2にかかる防汚シート100によれば、表面層120を剥離可能に形成しているので、表面層120を汚れが付いたまま剥がしてから、新しい表面層120nに貼り替えることができるので、防汚シート100の再生にかかる作業を簡単に行うことができる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施例の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせも権利範囲に含むものである。
【0040】
例えば、上記実施例では、防汚シート100は洗車機200の正面にある外装板210a、210bと、内部の左右両側にある外装板210cに取り付けられているが、これに限定されるものではなく、洗車機200の外側の側面、上面、背面や、内側の上面等に取り付けることができる。
【0041】
また、防汚シート100を取り付けようとする外装面210にボルトが螺着されているような場合には、防汚シート100がボルトの頭部に被らないようにする穴部を穿設してもよい。また、防汚シート100のボルトと対応する位置に、外装面210にあるボルト穴と同程度の大きさの穴を穿設しておき、外装面210に防汚シート100を取り付けた上からボルトを螺着させれば、防汚シート100をボルトでも保持できるようになるので、取り付けをより強固にすることができる。
【0042】
また、実施例1において、表面層120は、コーティング剤の被膜から形成されているが、これに替えてニスやペンキなどの塗料の塗布や、シルク印刷などから形成してもよい。
【0043】
また、実施例2において、表面層120を構成する主層121の表面に、実施例1で表面層120を形成するようなコーティング剤を塗布しておいてもよい。こうすることで、主層121の表面に汚れが付着しにくくなるので、表面層120の貼り替え頻度を低減させることができる。また、主層121に、文字や模様をインクジェット出力貼り、シルク印刷、オフセット印刷、クラビヤ印刷することもできる。こうすれば、防汚シート100が洗車機200に取り付けたときの美観性を高めることができるだけなく、情報を掲示する手段として利用することもできる。
【0044】
また、粘着層122は、主層121の下面に部分的に設けてもよい。こうすれば、表面層120を剥離しやすくなるので、再生にかかる作業の手間と時間をより低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る洗車機用防汚シートは、洗車機の外装面に取り付けられて洗車機に直接汚れが付着しないようにするものである。これによって、洗車機が経時的に汚れにくくなるのでメンテナンスが容易となるだけでなく、洗車機の長期間きれいな状態で使用できるようになるので産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0046】
100 洗車機用防汚シート
110 磁石層
120 表面層
121 主層
122 粘着剤層
200 洗車機
210 外装面

図1
図2
図3
図4