(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】食品提供装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/60 20180101AFI20240122BHJP
【FI】
G16H20/60
(21)【出願番号】P 2023075828
(22)【出願日】2023-05-01
【審査請求日】2023-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509101136
【氏名又は名称】株式会社AIVICK
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】矢津田 智子
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-185791(JP,A)
【文献】特開2010-224990(JP,A)
【文献】特開2003-196400(JP,A)
【文献】特開2013-058085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定カロリーに設定された収容量で容器に収容された食品の種類を示す食品情報が、前記食品に含まれる主要な栄養素を示す栄養素情報に対応付けて記憶される食品データベースと、
前記食品が提供される利用者の識別情報が、前記利用者が必要とする栄養素と摂取カロリーとを示す摂取必要情報に対応付けて記憶される利用者データベースと、
前記利用者データベースにおける前記摂取必要情報の前記摂取カロリーで前記栄養素が含まれるように、前記食品データベースにおける前記栄養素情報及び前記食品情報に基づいて、前記食品を容器単位で複数組み合わせた献立を決定する献立決定部と、
前記献立決定部で決定された前記献立を示す献立情報を、前記摂取必要情報に対応付けられた前記利用者の端末装置に送信する献立情報送信部と、
前記献立情報における前記献立を構成する1以上の前記食品を、前記利用者の前記端末装置からの変更指令により前記容器単位で他の食品に変更可能にする献立情報変更部と
、
前記献立情報変更部によって変更された献立及び所定期間での献立スケジュール情報が前記利用者の前記端末装置で決定された場合に、変更された献立情報及び前記献立スケジュール情報を製造工場の端末装置に送信する製造指示部と、
を有す
る食品提供装置。
【請求項2】
前記容器には、前記食品の主要な栄養素を色分けして示す栄養素マークが設けられてい
る、請求項1に記載の食品提供装置。
【請求項3】
前記献立情報における前記献立を構成する1以上の前記食品の好き嫌いを示す好き嫌い情報を前記容器単位で入力させる好き嫌い入力部を有し、
前記献立決定部は、前記好き嫌い情報に基づいて、前記摂取必要情報に適合する前記栄養素情報に対応する食品の中から好みの食品を選択し、前記献立に優先的に含め
る、請求項1に記載の食品提供装置。
【請求項4】
前記献立決定部は、前記献立を複数決定し、
前記献立情報変更部は、前記利用者の前記端末装置からの変更指令により前記複数の献立の中から選択可能にす
る、請求項1に記載の食品提供装置。
【請求項5】
前記利用者に対する問診に使用する体質調査情報を前記利用者の端末装置に送信する体質調査部と、
前記体質調査情報に対する体質回答情報に基づいて体質タイプを判別し、前記体質タイプに応じた前記摂取必要情報を求めて前記利用者データベースに格納する体質判定部と
を有す
る、請求項1に記載の食品提供装置。
【請求項6】
前記所定期間での献立スケジュール情報は、食品の写真と前記食品の主要な栄養素とが対応付けられた学習データによる機械学習が行われた学習モデルによって、食品の写真から前記食品の主要な栄養素の予測値を求める処理が実行された情報を含む、請求項1に記載の食品提供装置。
【請求項7】
所定カロリーに設定された収容量で容器に収容された食品の種類を示す食品情報が、前記食品に含まれる主要な栄養素を示す栄養素情報に対応付けて記憶される食品データベースと、前記食品が提供される利用者の識別情報が、前記利用者が必要とする栄養素を示す摂取必要情報と摂取カロリーとに対応付けて記憶される利用者データベースとにアクセス可能にされた端末装置のコンピュータに、
前記利用者データベースにおける前記摂取必要情報の前記摂取カロリーで前記栄養素が含まれるように、前記食品データベースにおける前記栄養素情報及び前記食品情報に基づいて、前記食品を容器単位で複数組み合わせた献立を決定する献立決定ステップと、
前記献立決定ステップで決定された前記献立を示す献立情報を表示する献立情報表示ステップと、
前記献立情報における前記献立を構成する1以上の前記食品を、前記利用者の変更指令により前記容器単位で他の食品に変更可能にする献立情報変更ステップと
、
前記献立情報変更ステップにおいて変更された献立及び所定期間での献立スケジュール情報が前記利用者の前記端末装置で決定された場合に、変更された献立情報及び前記献立スケジュール情報を製造工場の端末装置に送信する製造指示ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品提供装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の状況に応じた食事の情報を提供する技術に関し、特許文献1は、料理や飲料ごとに、その食材と(香辛料や香料等、調味料、使用する油、加熱の有無、生かどうかなどを含め)調理法、あるいはカロリーや塩分、糖分などの量を、分けて管理したデータベースなどを用意しておき、食材や調理法や味付け(塩分、糖分、カロリー、調味料、トッピングなど)に分けて、データベースを用いて判定可能にしておく。この判定の結果、それぞれについて利用者が食するのにOKなら、できたものもOKという考え方で、症例ごとに、安全な料理、飲料を選ぶことが出来るように構成された技術が開示されている。特許文献1の技術によれば、利用者の診断・検査情報と状況情報に基づいて、ユーザに適した食事の情報を提供することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、調理法や味付けの情報に基づいて作成された食事を利用者が別の食事に変更することを希望したときに、変更する食事の調理法や味付けの情報を再び取得し、摂取するカロリーの総量を再計算することが必要になるため、食事の変更についての利用者の希望を簡単に受け入れることができないという点においてさらなる改良の余地がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、献立の総カロリーに注意を払わせることなく、利用者に献立の食品を容易に変更させることができることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、食品の変更時において、所定カロリーの食品を収容した容器単位で変更することによって、上記の目的を達成できることを見いだした。そして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0007】
本発明は、所定カロリーに設定された収容量で容器に収容された食品の種類を示す食品情報が、前記食品に含まれる主要な栄養素を示す栄養素情報に対応付けて記憶される食品データベースと、
前記食品が提供される利用者の識別情報が、前記利用者が必要とする栄養素と摂取カロリーとを示す摂取必要情報に対応付けて記憶される利用者データベースと、
前記利用者データベースにおける前記摂取必要情報の前記摂取カロリーで前記栄養素が含まれるように、前記食品データベースにおける前記栄養素情報及び前記食品情報に基づいて、前記食品を容器単位で複数組み合わせた献立を決定する献立決定部と、
前記献立決定部で決定された前記献立を示す献立情報を、前記摂取必要情報に対応付けられた前記利用者の端末装置に送信する献立情報送信部と、
前記献立情報における前記献立を構成する1以上の前記食品を、前記利用者の前記端末装置からの変更指令により前記容器単位で他の食品に変更可能にする献立情報変更部と
を有することを特徴とする食品提供装置である。
【0008】
上記の構成によれば、利用者に必要な栄養素を含むように決定された献立の情報が提供されたときに、献立が複数の食品の組み合わせであるため、食品によっては利用者の苦手な食品である場合があることから、苦手な食品を献立情報変更部で他の食品に変更可能にされている。そして、この食品の変更時において、所定カロリーの食品を容器単位で変更するため、食品の変更に伴う献立の総カロリーとなる摂取カロリーに増減が生じない。この結果、献立の総カロリーに注意を払わせることなく、利用者に献立の食品を容易に変更させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、献立の総カロリーに注意を払わせることなく、利用者に献立の食品を容易に変更させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態の食品提供装置と各端末との情報の流れを示す説明図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の情報及び食品の流れを示す説明図である。
【
図3】
図3は、利用者データベースにデータが格納された状態を示す説明図である。
【
図4】
図4は、食品データベースにデータが格納された状態を示す説明図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の食品提供装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、食品提供プログラムのフローチャートである。
【
図7】
図7は、利用者及び指導者の処理手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下は、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明するものである。
(食品提供装置1)
図1及び
図2に示すように、食品提供装置1は、食品の変更時において、所定カロリーの食品を容器単位で変更するように構成されている。
【0012】
具体的な一例を示すと、食品提供装置1は、利用者データベースにおける摂取必要情報の摂取カロリーで栄養素が含まれるように、食品データベースにおける栄養素情報及び食品情報に基づいて、食品を容器単位で複数組み合わせた献立を決定する献立決定部13と、献立決定部13で決定された献立を示す献立情報を、摂取必要情報に対応付けられた利用者6の端末装置2に送信する献立情報送信部14と、献立情報における献立を構成する1以上の食品を、利用者6の端末装置2からの変更指令により容器単位で他の食品に変更可能にする献立情報変更部15とを有している。
【0013】
ここで、「摂取必要情報」は、利用者6が必要とする栄養素と摂取カロリーとを示す情報である。「摂取必要情報」は、体質タイプに基づいて決定されている。体質タイプは、食品提供装置1の用途により異なっている。用途としては、ダイエット用やアレルギー等の病気用、アスリート用が例示される。例えば、ダイエット用の食品提供装置1である場合は、糖質過多タイプ、脂質過多タイプ、腸内環境乱れタイプ、栄養不足タイプの4種類の体質タイプが存在する。体質タイプは、体質調査部11による問診により得られた利用者6からの回答に基づいて体質判定部12が判別することにより求められる。尚、体質タイプは、4種類に限定されるものではなく、単数種類及び複数種類の何れであってもよい。「摂取必要情報」は、食品提供装置1が利用者6に献立スケジュールを提案し易いように、一日単位の必要量が利用者6に提示されることが好ましい。例えば、「あなたの1日の摂取カロリー目安」と表示し、朝食が400kcal、昼食が500kcal、夕食が400kcalと表示されることが好ましい。尚、「摂取必要情報」は、利用者6が主体となって献立スケジュールを立て易いように、一週間や一箇月等の所定期間における総量であってもよい。
【0014】
献立スケジュールは、端末装置2に表示される
図2のカレンダー21において管理可能及び提案可能にされている。尚、
図2においては、1日単位のカレンダー21を例示しているが、1週間単位や1か月単位等のカレンダーに切り替え可能にされていてもよい。また、カレンダー21は、提案した献立に加えて、利用者6が独自に摂取した献立も記録可能にされていることが好ましい。この場合は、提案した献立と、独自の献立との摂取カロリーや摂取栄養素との差分を計算し、次の献立スケジュールを提案するための基礎データとして用いることができる。カレンダー21は、或る期間を指定したときに、指定した期間における摂取カロリーの総量と、摂取した栄養素の総量とを算出する処理を実行可能にされていることが好ましい。さらに、カレンダー21は、カメラ撮影した食品の写真を、主要な栄養素に対応付けて撮影日の箇所に添付する処理を実行可能にされていることが好ましい。これらの各処理は、端末装置2におけるカレンダー21の表示処理を含めて、端末装置2にインストールされた食品提供アプリケーションにより実行されてもよいし、食品提供装置1の食品提供プログラムにより実行されてもよいし、さらに、端末装置2の食品提供アプリケーションと食品提供装置1の食品提供プログラムとの協調動作により実行されてもよい。
【0015】
尚、カレンダー21において、食品の写真と食品の主要な栄養素とが対応付けられたデータが十分に蓄積された段階で、これらのデータを機械学習の学習データとして用いて食品の主要な栄養素を求めることが可能になる。この理由は、食品の具材が明確に分かった状態で食品が容器5に収容されることによって、食品の写真と具材(主要な栄養素)との関係が安定しているため、正確な学習データが得られるからである。機械学習による主要な栄養素の求め方を具体的に説明すると、食品の写真と食品の主要な栄養素との組み合わせからなる複数の入力要素を学習データとして用意する。そして、学習データとして用意された入力要素と、この入力要素に対応する出力値である主要な栄養素とを用いて学習を行うことによって、多層のニューラルネットワークを構築し、入力層に入力されたデータを隠れ層で処理し、最終的に出力層で主要な栄養素を予測するように学習を進める。学習の際には、入力要素と主要な栄養素とのデータセットを訓練データとテストデータとに分割し、訓練データを用いて予測や分類のためのモデルを学習させ、テストデータで性能評価を行うことにより学習精度を確認する。そして、例えば飲食店で提供された食品の写真を入力として与えた場合は、学習済みのモデルを用いて主要な栄養素の予測値を出力させるという処理によって、飲食店で提供された食品の主要な栄養素を求めることができる。
【0016】
「栄養素」は、ダイエット用である場合、食物繊維、ビタミンA、ビタミンB群、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛が例示される。「栄養素情報」は、食品に含まれる主要な栄養素を示している。主要な栄養素は、食品提供装置1の用途により異なっていてもよい。「食品」は、食材を加工した物質の総称であり、「こんがり焼いたチキンラタツゥイユ」や「豚肉のきのこのマヨポン炒め」等の商品名で区別可能にされている。「食品情報」は、所定カロリーに設定された収容量で容器5に収容された食品の種類を示している。「所定カロリー」は、100キロカロリーや200キロカロリー等の同一のカロリーの食品が容器5に収容されていることを意味する。尚、「所定カロリー」は、複数のカロリーが用途に応じて識別可能に設定されていてもよい。例えば、容器5の色や容器5に貼られたラベル4の色により、100キロカロリーの食品を収容した容器5や、300キロカロリーの食品を収容した容器5であることを識別可能にされていてもよい。この場合は、ダイエット用として100キロカロリーの黄色の容器5を使用し、アスリート用として300キロカロリーの緑色の容器5を使用することによって、各種の用途を混在して製造や搬送する場合における取り扱いミスを容易に防止することができる。容器5及びラベル4については後述する。
【0017】
「容器単位」は、食品を収容した容器5を取り扱いの単位としていることを意味する。これにより、利用者6や製造者、搬送者、料金計算者等の食品提供装置1に関係する全ての者が容器単位で各種の処理を取り扱うことが可能になっている。端末装置2は、一般的な据置型の情報処理装置、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末装置が例示される。また、「端末装置2に送信」は、電子メールの配信形式である「Eメールマガジン」等の電子メール配信や、LINE(登録商標)等のインスタントメッセージングアプリケーションにより行われたり、或いは端末装置2にインストールされた専用の食品提供アプリケーションにより行われる。
【0018】
また、食品提供装置1は、体質調査部11及び体質判定部12を有している。体質調査部11は、記憶部114から体質調査情報を読み出して端末装置2に送信する機能を有している。体質調査情報は、食品提供装置1の利用開始時における利用者6に対する問診(パーソナルチェック)に使用する情報である。具体的には、性別、年齢、身長、体重、生活活動量を尋ねるための基本チェック情報と、日頃の食習慣を尋ねるための食習慣チェック情報と、気になる自覚症状を尋ねるための自覚症状チェック情報とが例示される。そして、体質調査情報は、端末装置2に送信され、利用者6により回答可能に表示される。利用者6により回答された体質回答情報は、情報受付部17を介して記憶部114の履歴データベースに格納される。
【0019】
体質判定部12は、体組成から1日の摂取カロリーと必要栄養素とを算出し、ダイエット期間と目標体重を算出する機能を有している。具体的には、身長、年齢、体重、性別から公知の計算手法であるハリス・ベネディクト方程式で基礎代謝を計算し、ダイエット期間と目標体重を提示する。ハリス・ベネディクト方程式は、男性の場合は基礎代謝量(kcal/日)=88.36+(13.4×体重[kg])+(4.8×身長[cm])-(5.7×年齢[歳])である。一方、女性の場合は、基礎代謝量(kcal/日)=447.6+(9.2×体重[kg])+(3.1×身長[cm])-(4.3×年齢[歳])である。尚、ハリス・ベネディクト方程式により基礎代謝を求め、この基礎代謝をスマートウォッチのデータと照合するようにされてもよい。この場合は、より正確な基礎代謝値を推定することが可能になる。また、体質調査情報は、利用者データベースに格納されていてもよい。体質判定部12は、情報受付部17の履歴データベースに格納された体質回答情報に基づいて、体質タイプを判別し、体質タイプに応じた摂取必要情報を求め、利用者データベースに格納する機能を有している。そして、このように求められた体質タイプが、献立決定部13における献立の決定に用いられると共に、各利用者6に固有の改善点を提案するための情報として用いられる。これにより、食品提供装置1は、利用者6に対する問診に使用する体質調査情報を利用者6の端末装置2に送信する体質調査部11と、体質調査情報に対する体質回答情報に基づいて体質タイプを判別し、体質タイプに応じた摂取必要情報(栄養素情報、摂取カロリー情報)を求めて利用者データベースに格納する体質判定部12とを有することによって、例えば、特定の病気用に必要な栄養素を割り出したり、筋力アップやダイエットに必要な栄養素を割り出すという「食事メソッド」を実現し、この食事メソッドに従って最適な食事の組み合わせを提案及び提供することが可能になっている。
【0020】
さらに、食品提供装置1は、製造指示部18を有している。製造指示部18は、献立及び献立スケジュールが決定したときに、これらの決定したスケジュール情報を食品製造端末3に送信するようになっている。そして、食品製造端末3によりスケジュール情報を確認した製造工場7は、スケジュール情報に基づいて献立を製造し、利用者6へ配送するようになっている。これにより、食品提供装置1は、利用者6に固有の体質を判別し、判別された体質を改善するための献立や献立スケジュール等の献立情報を端末装置2を介して利用者6に提供すると共に、所定カロリーの食品を容器単位で献立スケジュールに従って利用者6に届け、利用者6からの反応を端末装置2を介して獲得し、献立情報の改善に役立てるというシステムを構築している。
【0021】
上記のように構成された食品提供装置1は、利用者6に必要な栄養素を含むように決定された献立の情報が提供されたときに、献立が複数の食品の組み合わせであるため、食品によっては利用者6の苦手な食品である場合があることから、苦手な食品を献立情報変更部15で他の食品に変更可能にされている。そして、この食品の変更時において、所定カロリーの食品を収容した容器単位で変更するため、食品の変更に伴う献立の総カロリーに増減が生じない。この結果、献立の総カロリーに注意を払わせることなく、利用者6に献立の食品を容易に変更させることができる。
【0022】
(データベース)
図3に示すように、利用者データベースは、食品が提供される利用者6の識別情報が、利用者6が必要とする栄養素と摂取カロリーとを示す摂取必要情報に対応付けるようにデータテーブルを使用して構造化されることによって、これらの情報を保存や管理、検索することを可能にしている。具体的には、利用者データベースは、利用者6の識別情報を記憶する利用者識別番号項目と、利用者6の氏名を記憶する氏名項目と、利用者6の体質タイプを記憶する体質タイプ項目とを対応付けて有している。体質タイプ項目は、糖質過多タイプ項目と脂質過多タイプ項目と腸内環境乱れタイプ項目と栄養不足タイプ項目とを対応付けて有し、フラグデータのオン(〇)/オフ(空白)により項目が指定可能にされている。これにより、例えば、使用者識別番号が「P001」の利用者6は、氏名が「山田太郎」であり、体質タイプが「体質過多タイプ」であることが分かる。また、使用者識別番号が「P002」の利用者6は、氏名が「田中花子」であり、体質タイプが「栄養不足タイプ」であることが分かる。
【0023】
尚、本実施形態においては、4つの体質タイプの中から一つの体質タイプを選択しているが、これに限定されるものではなく、フラグデータの代わりに数値データを格納することにより優先順位を設定可能にされていてもよい。例えば、糖質過多タイプに「1」が設定され、脂質過多タイプに「2」が設定されていた場合は、最初の献立スケジュールにおいて、糖質過多タイプに対応した献立が決定され、最初の献立スケジュールが終了した次の献立スケジュールにおいて、脂質過多タイプに対応した献立が決定される。これにより、体質調査部11及び体質判定部12による問診の結果、複数の体質タイプが該当した場合は、優先順位をつけて複数の体質タイプに対応した献立スケジュールを利用者6に提案することができる。
【0024】
図4に示すように、食品データベースは、所定カロリーに設定された収容量で容器5に収容された食品の種類を示す食品情報が、食品に含まれる主要な栄養素を示す栄養素情報に対応付けるようにデータテーブルを使用して構造化されることによって、これらの情報を保存や管理、検索することを可能にしている。具体的には、食品の識別番号を記憶する食品識別番号項目と、食品の名称を記憶する食品名項目と、献立要素項目と、栄養素項目とを対応付けて有している。献立要素項目は、主食(ご飯、パン)、主菜、副菜、パン、スープ、デザート、ドリンクの各献立要素を示す情報の何れか一つを記憶する。栄養素項目は、たんぱく質、食物繊維、ビタミンA、ビタミンB群、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛の各栄養素を示す情報の内の1以上を記憶する。例えば、食品識別番号項目が「f001」は、食品名が「こんがり焼いたチキンラタツゥイユ」であり、献立要素が「主菜」、栄養素が「亜鉛、たんぱく質、ビタミンB群」であることが分かる。また、食品識別番号項目が「f002」は、食品名が「豚肉のきのこのマヨポン炒め」であり、献立要素が「主菜」、栄養素が「たんぱく質、ビタミンB群、マグネシウム」であることが分かる。
【0025】
(記憶部114等)
図5に示すように、利用者データベース及び食品データベースは、記憶部114に保存されている。記憶部114は、食品提供装置1に備えられた通信部113及びインターネット等の情報通信網20を介して利用者6の端末装置2や製造工場7の食品製造端末3にデータ通信可能に接続されている。記憶部114は、ハードディスクで構成されていてもよいし、ハードディスクとメモリとの組み合わせで構成されていてもよい。ハードディスクとメモリとを組み合わせた構成の場合は、データベースが使用するデータや索引などの一部が必要に応じてメモリにキャッシュされることによって、データベースへのアクセスを高速化することが可能になる。また、記憶部114には、各端末装置2から送信された各種の情報が、履歴情報として端末装置2の利用者6の識別情報に対応付けて記憶される履歴データベースも保存されている。例えば、履歴データベースは、履歴情報に基づいて各利用者6に固有の体質タイプを判別可能にすると共に、利用者6の体質タイプに適した献立を決定可能にしている。尚、記憶部114は、食品提供装置1とは別に、情報通信網20に接続されたデータサーバであってもよい。また、記憶部114は、データベース毎に設けられた複数のデータサーバで構成されていてもよい。
【0026】
さらに、食品提供装置1は、入力受付部191に接続された入力装置112と、表示制御部192に接続された表示装置111とを有している。入力装置112は、キーボードやマウス、タッチパネル、音声入力装置等が例示される。表示装置111は、液晶表示装置等が例示される。これにより、食品提供装置1は、一般的なパーソナルコンピュータやラップトップコンピュータ等の情報処理装置により構成することが可能になっている。尚、食品提供装置1は、入力装置112及び表示装置111の少なくとも一つが欠如されていてもよい。この場合は、入力装置112及び表示装置111が図示しない外部端末に備えられるため、食品提供装置1を食品提供サーバとして使用することができる。
【0027】
(容器5・ラベル4)
図2に示すように、食品提供装置1の取り扱い単位となる容器5は、透明で高気密性の一対のプラスチック製フィルムを貼り合わせて袋状に形成したパウチからなっている。これにより、容器5は、製品の鮮度や品質を長期間に亘って保持することが可能になっていると共に、収容した食品を目視により確認させることが可能になっている。また、容器5は、底部が広がるように形成されたスタンドパウチであり、自立可能にされている。これにより、利用者6は、容器5を立てた状態で保管したり、或いは食品を食べる際に容器5を立てた状態にして食器代わりにすることが可能になっている。
【0028】
容器5は、上部の側面両端部に切り欠きを有してもよい。この場合は、切り欠きをハサミによる開封時の目印にできると共に、手による開封を可能にする。また、容器5は、容器5を握りながら開口部から食品を吸い込むことができるように、プラスチック製フィルムをチューブ状に形成すると共に、先端の開口部をキャップやフィルムの接合により密封したものであってもよい。この場合は、通勤途中や運動途中において、起立した姿勢や体を動かしながら食品を摂取することが可能になる。さらに、容器5は、収容した食品のカロリーに応じた色に少なくとも一部が着色されていてもよい。この場合は、用途に応じて異なるカロリーが容器5の着色により識別可能になる。尚、容器5は、パウチに限定されるものではなく、金属製の缶詰や密封可能なガラス製の容器であってもよい。
【0029】
容器5の一方の側面には、ラベル4が設けられている。ラベル4には、食品の主要な栄養素を色分けして示す栄養素マーク41が印刷されている。栄養素マーク41は、主要な栄養素として3種類の栄養素を識別できるように、三か所に印刷されている。これにより、利用者6は、栄養素マーク41により特に多く含まれる3種類の栄養素を把握することが可能になっている。尚、栄養素マーク41が複数印刷されている場合は、栄養素マーク41の面積の大小により栄養素の含有量を把握可能にされていてもよい。これにより、容器5は、栄養素マーク41が設けられることによって、カロリー摂取については容器単位で管理し、栄養摂取については栄養素マーク41で管理することが可能になるため、カロリーと栄養素との管理が容易になっている。
【0030】
また、ラベル4は、QRコード(登録商標)等の二次元コードやバーコード等の一次元コードのような各種の情報を含む符号化コードが印刷され、符号化コードが端末装置2により読み取り可能にされていてもよい。この場合は、ラベル4のサイズでは表現しつくせない情報を符号化コードの読み取りにより端末装置2において表示や音声により出力させることができる。符号化コードの情報としては、容器5に収容された食品のレシピの文字・画像情報や動画情報、レシピの文字・画像情報や動画情報を閲覧可能にしたウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)が例示される。
【0031】
さらに、ラベル4には、食品名称表示部42と、献立要素表示部43と、調理方法推薦部44と、カロリー表示部45との印刷領域がそれぞれ形成されている。例えば、食品名称表示部42には「こんがり焼いたチキンタトゥイユ」の食品名が印刷され、献立要素表示部43には主菜を示す「Main」が印刷され、調理方法推薦部44には「湯銭推奨」が印刷され、カロリー表示部45には「100kcal」が印刷されている。これにより、ラベル4は、食品の内容や調理方法を目視により認識可能にしている。尚、ラベル4は、収容した食品のカロリーに応じた色に少なくとも一部が着色されていてもよい。この場合は、用途に応じて異なるカロリーがラベル4の着色により識別可能になる。
【0032】
以上の食品提供装置1は、さらに、以下の構成1・2・3を備えていてもよい。
【0033】
(構成1)
図1及び
図5に示すように、食品提供装置1は、献立情報における献立を構成する1以上の食品の好き嫌いを示す好き嫌い情報を容器単位で入力させる好き嫌い入力部16を有し、献立決定部13は、好き嫌い情報に基づいて、摂取必要情報に適合する栄養素情報に対応する食品の中から好みの食品を選択し、献立に優先的に含める構成を備えていてもよい。この構成によれば、食品の好き嫌いを反映した献立が決定されるため、利用者6に固有のメニューを構築することができる。また、蓄積された好き嫌い情報に基づいて、人気のない食品を判別し、人気のない食品を別の新規の食品に入れ替えることができる。そして、このような食品の入れ替えを繰り返すことによって、人気のある食品を多く取り揃えた献立を利用者6に提示することができる。
【0034】
(構成2)
食品提供装置1における献立決定部13は、献立を複数決定し、献立情報変更部15は、利用者6の端末装置2からの変更指令により複数の献立の中から選択可能にする構成にされていてもよい。この構成によれば、献立の変更と献立に含まれる食品の変更とを可能することによって、利用者6が望む献立を容易に実現することができる。
【0035】
(構成3)
食品提供装置1は、献立決定部13において決定された献立の食品を所定カロリーの量で製造可能であり、且つ端末装置2の位置情報から所定距離内に存在する飲食店を1以上抽出し、端末装置2に送信する図示しない飲食店推薦部を有していてもよい。この場合は、食品を容器5に収容した状態で利用者6に搬送しなくても、利用者6の端末装置2から所定距離内に位置する最寄りの飲食店において作り立ての食品を摂取することができる。
【0036】
(食品提供プログラム)
図1における各部11~18・191・192は、ハードウェア及びソフトウェアの何れで構成されていてもよい。これらの各部11~18は、少なくとも制御部10の一部を構成している。各部11~18・191・192がソフトウェアにより構成されている場合は、食品提供装置1の制御部10や端末装置2の図示しない制御部であるコンピュータに、食品提供プログラムを実行させるようになっている。
【0037】
図6を用いて端末装置2のコンピュータに食品提供プログラムを実行させる場合について具体的に説明すると、食品提供プログラムは、所定カロリーに設定された収容量で容器5に収容された食品の種類を示す食品情報が、食品に含まれる主要な栄養素を示す栄養素情報に対応付けて記憶される食品データベースと、食品が提供される利用者6の識別情報が、利用者6が必要とする栄養素を示す摂取必要情報と摂取カロリーとに対応付けて記憶される利用者データベースとにアクセス可能にされた端末装置2のコンピュータに、利用者データベースにおける摂取必要情報の摂取カロリーで栄養素が含まれるように、食品データベースにおける栄養素情報及び食品情報に基づいて、食品を容器単位で複数組み合わせた献立を決定する献立決定ステップ(S1)と、献立決定ステップで決定された献立を示す献立情報を表示する献立情報表示ステップ(S2)と、献立情報における献立を構成する1以上の食品を、利用者6の変更指令により容器単位で他の食品に変更可能にする献立情報変更ステップ(S3)とを実行させるためのプログラムである。尚、食品提供プログラムは、食品提供装置1のコンピュータに、各ステップ(S1)~(S3)を実行させるプログラムであってもよい。
【0038】
上記のプログラムによれば、利用者6に必要な栄養素を含むように決定された献立の情報が端末装置2に表示されたときに、献立が複数の食品の組み合わせであるため、食品によっては利用者6の苦手な食品である場合があることから、苦手な食品を献立情報変更ステップで他の食品に変更可能にされている。そして、この食品の変更時において、所定カロリーの食品を収容した容器単位で変更するため、食品の変更に伴う献立の総カロリーに増減が生じない。この結果、献立の総カロリーに注意を払わせることなく、利用者6に献立の食品を変更させることができる。さらに、プログラムをパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置にインストールするだけの作業で、情報処理装置を食品提供装置1として機能させることができる。
【0039】
尚、スマートフォンやタブレット端末等の携帯型の端末装置2にプログラムをインストールした場合は、食品提供装置1をデータサーバとして使用し、記憶部114に各種のデータベースを保存した状態で、データの一部を端末装置2のメモリに格納して使用することが好ましい。また、プログラムは、CDROMやUSBメモリ等の記録媒体に記録された状態で配布されてもよいし、インターネット等の双方向やテレビ放送等の一方向の通信網や通信回線を介して配付されてもよい。
【0040】
(食品提供方法)
食品提供プログラムにおける一部や全部のステップがハードウェアにより構成されていてもよい。即ち、食品提供装置1は、食品提供方法を実行可能に構成されていればよい。具体的に説明すると、食品提供方法は、所定カロリーに設定された収容量で容器5に収容された食品の種類を示す食品情報が、食品に含まれる主要な栄養素を示す栄養素情報に対応付けて記憶される食品データベースと、食品が提供される利用者6の識別情報が、利用者6が必要とする栄養素を示す摂取必要情報と摂取カロリーとに対応付けて記憶される利用者データベースとにアクセス可能にされた食品提供装置1や端末装置2の食品提供方法であって、献立決定ステップ(S1)と、献立情報表示ステップ(S2)と、献立情報変更ステップ(S3)とを有している。
【0041】
(食事相談機能)
図7に示すように、本実施形態における食品提供装置1は、さらに、食事について利用者6が指導者に対して相談することができる食事相談機能を備えていてもよい。食事相談機能は、インターネット等の情報通信網20を介して食品提供装置1と利用者6の端末装置2(利用者端末2)と指導者の端末装置8(指導者端末8)とをデータ通信可能に接続し、WEBサービスやスマートフォンのアプリケーションによって、利用者6がリモートにより専門家である指導者の診断を受け、食事のレコメンドや食事相談を受けることを可能にする機能である。
【0042】
具体的には、食品提供装置1は、利用者6の情報が記憶された利用者データベースと、指導者の情報が記憶された指導者データベースと、利用者6及び指導者の予定が記憶されたスケジュールデータベースと、利用者6と指導者との相談した情報(面談動画、面談テキスト、指導者レビュー等)が記憶された相談履歴データベースが、記憶部114に格納されている。そして、これらのデータベースに相談時における各種の情報を格納しながら、利用者端末2が利用者処理手順のステップを実行する一方、指導者端末8が指導者処理手順のステップを実行することによって、専門家である指導者による利用者6に対する食事相談が行われるようになっている。
【0043】
利用者6による利用者処理手順を説明すると、利用者6は、名前や連絡先等の新規会員登録(S11)を行った後、指導者一覧の指導者プロフィールを確認しながら所望の指導者を検索し(S12)、検索した指導者の指導者スケジュールに対して相談予約を入れる(S13)。そして、利用者端末2及び指導者端末8において、両者の顔画像が表示されながら、動画及び音声による相談が可能にされると共に、テキストによる相談が可能にされる(S14)。そして、S14のビデオ相談が終了した後、指導の内容や感想を示す指導者レビューを書き込み(S15),1回分の相談を終了する。
【0044】
一方、指導者による指導者処理手順を説明すると、指導者端末8において指導者ログインを行った後(S21)、指導者プロフィールの登録を行う(S22)。そして、指導可能な日時を示す基本スケジュールの登録を行う(S23)。この後、利用者6の予約が入っていれば、その予約日時にビデオ相談を行う。即ち、利用者端末2及び指導者端末8において、両者の顔画像が表示されながら、動画及び音声による相談が可能にされると共に、テキストによる相談が可能になるビデオ相談によって、食事のレコメンドや食事相談を行う(S24)。そして、ビデオ相談が終了した後、次の予約確認を行い(S25)、1回分の相談を終了する。
【0045】
尚、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1 食品提供装置
10 制御部
11 体質調査部
111 表示装置
112 入力装置
113 通信部
114 記憶部
12 体質判定部
13 献立決定部
14 献立情報送信部
15 献立情報変更部
16 好き嫌い入力部
17 情報受付部
18 製造指示部
2 端末装置
3 食品製造端末
4 ラベル
5 容器
6 利用者
7 製造工場
【要約】
【課題】献立の総カロリーに注意を払わせることなく、利用者6に献立の食品を容易に変更可能にさせる。
【解決手段】本発明の食品提供装置1は、利用者データベースにおける摂取必要情報の摂取カロリーで栄養素が含まれるように、食品データベースにおける栄養素情報及び食品情報に基づいて、食品を容器単位で複数組み合わせた献立を決定する献立決定部13と、献立決定部13で決定された献立を示す献立情報を、摂取必要情報に対応付けられた利用者6の端末装置2に送信する献立情報送信部14と、献立情報における献立を構成する1以上の食品を、利用者6の端末装置2からの変更指令により容器単位で他の食品に変更可能にする献立情報変更部15とを有している。
【選択図】
図1