(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20240122BHJP
B01J 19/08 20060101ALI20240122BHJP
A23L 5/30 20160101ALI20240122BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20240122BHJP
A23L 3/26 20060101ALN20240122BHJP
A23L 3/365 20060101ALN20240122BHJP
A23B 7/015 20060101ALN20240122BHJP
A23B 4/015 20060101ALN20240122BHJP
A23B 9/06 20060101ALN20240122BHJP
A23L 7/10 20160101ALN20240122BHJP
C12G 1/00 20190101ALN20240122BHJP
A23L 27/50 20160101ALN20240122BHJP
C13B 30/02 20110101ALN20240122BHJP
【FI】
B01J19/12 Z
B01J19/08 D
A23L5/30
A23L5/10 D
A23L3/26
A23L3/365 Z
A23B7/015
A23B4/015
A23B9/06
A23L7/10 A
C12G1/00
A23L27/50 104Z
C13B30/02
(21)【出願番号】P 2023092435
(22)【出願日】2023-06-05
(62)【分割の表示】P 2023053156の分割
【原出願日】2018-12-31
【審査請求日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2017255302
(32)【優先日】2017-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018021666
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018143020
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018144637
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514139511
【氏名又は名称】エバートロン ホールディングス ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100207066
【氏名又は名称】米山 毅
(72)【発明者】
【氏名】田中 久雄
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/132046(WO,A1)
【文献】特開昭48-023044(JP,A)
【文献】特開2016-129672(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183586(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/117341(WO,A1)
【文献】特開2003-343961(JP,A)
【文献】特開平01-160472(JP,A)
【文献】バックナンバー2017年10月24日放送第787回 鮮度が命!驚きの技術,[オンライン],日本,2017年10月24日,URL ; https://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber4/preview_20171024.html
【文献】[ガイアの夜明け] 「鮮度」が命!驚きの技術! 日経スペシャル ガイアの夜明け,日本,URL:https//lovely-lovely.net/business/evertron
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/08-19/12
A23L 3/26
A23L 3/30
A23L 3/32
A23L 5/30
A47J 37/12
B01F 21/00-25/90
B01F 29/00-33/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電極と、前記電極に対して印加する電圧
の電圧値及び周波数を制御可能なコントローラを備える制御装置であって、
前記コントローラは、前記電極に
前記電圧が印加される前に、物質の種類または状態に適した制御パラメータを設定し、
前記制御パラメータとしては少なくとも界面張力を含み、前記電圧の
前記電圧値を0V~2000Vの範囲で、又は、前記電圧の交流成分の周波数を0Hz~1MHzの範囲で、物質の種類または状態に適した制御パラメータに従って、前記電圧
値及び前記周波数を選択することによって、前記電圧
値及び前記周波数の
前記電圧を前記電極に印加し、前記電極から発生する電場、
空間電場、磁場、電磁場、及び、電磁波の中の少なくともいずれか1つを調整することによって、前記物質内の水分の配列方
向を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
少なくとも1つの電極と、前記電極に対して印加する電圧
の電圧値及び周波数を制御可能なコントローラを備える制御装置であって、
前記コントローラは、前記電極に
前記電圧が印加される前に、物質の種類または状態に適した制御パラメータを設定し、
前記制御パラメータとしては少なくとも界面張力を含み、前記電圧の
前記電圧値を0V~2000Vの範囲で、又は、前記電圧の交流成分の周波数を0Hz~1MHzの範囲で、物質の種類または状態に適した制御パラメータに従って、前記電圧
値及び前記周波数を選択することによって、前記電圧
値及び前記周波数の
前記電圧を前記電極に印加し、前記電極から発生する電場、
空間電場、磁場、電磁場、及び、電磁波の中の少なくともいずれか1つを調整することによって、
前記物質内の水分の配列方向
を制御すると共に、
前記物質内の水分活性、
前記物質内の水相と油相との界面分極、
前記物質内の水相と油相との界面張力、又は、
前記物質内のエマルジョンの状態
の少なくともいずれか1つを制御することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
前記物質の種類または状態を検出するように構成されたセンサをさらに備え、
前記コントローラは、前記センサの出力に応答して、
前記電圧値及び前記周波数を選択することを特徴とする請求項1
又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記センサは、前記物質の画像を撮影するためのカメラで構成されることを特徴とする請求項
3に記載の制御装置。
【請求項5】
前電圧が前記電極に印加される前に、設定された制御パラメータを記憶するように構成された記憶装置を備えることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記記憶装置は、取り外し可能なメモリを含むことを特徴とする請求項
5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記記憶装置に格納された制御パラメータは、予め書き換えられることを特徴とする請求項
5に記載の制御装置。
【請求項8】
前記記憶装置に格納された制御パラメータは、通信機を介してサーバから書き換えられることを特徴とする請求項
7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記
電圧を前記電極に印加することにより、
前記物質の導電率が増大すること、
界面張力を低下させること、
界面張力を制御すること、
水分粒子を微細化すること、又は、
前記物質の中に存在する水分中の水分子を略一定方向に配向させること、
の中のいずれか少なくとも1つのことを行うことを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記コントローラは、管理サーバと通信して、制御情報を受け取ることを特徴とする請求項1~
9のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記物質は、固体、液体及び気体の少なくとも1つを含み、
水分を含む限りにおいて任意の物質に対して適用可能であることを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記電極に対向して配置された物質は、前記電極から発生された電場、
空間電場、磁場、電磁場、又は、電磁波が解除された後にも前記物質の中の水分の状態が所定期間にわたり持続されていることを特徴とする請求項1~
11のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記
配列方向が制御された水の分子又は粒子の集合における電位は略同一であることを特徴とする請求項1~
12のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項14】
前記電極に印加される
電圧は、前記直流成分に加えて、交流成分を含んでいることを特徴とする請求項1~
13のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記電極は少なくとも2つ以上の電極を含み、
前記電極の少なくとも1つに印加される前記
電圧は、
前記電圧値、前記周波数及び位相の少なくとも1つが異なることを特徴とする請求項1~
14のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記電極に印加される前記電圧の直流成分は、100V以下であることを特徴とする請求項1~
15のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項17】
製造分野、流通分野、物流分野、保管分野、販売分野、工業分野、建築分野、土木分野、機械分野、電気分野、電子分野、通信分野、光学分野、化学分野、石油化学分野、エネルギー分野、畜産分野、農業分野、商業分野、水産分野、食品分野、飲食分野、調理分野、サービス分野、医療分野、健康分野、福祉分野、及び、介護分野の少なくとも1つの分野に適用されることを特徴とする請求項1~
16のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項18】
少なくとも1つの電極と、前記電極に対して印加する電圧
の電圧値及び周波数を制御可能なコントローラと、を用いる制御方法であって、
前記コントローラは、前記電極に
前記電圧が印加される前に、物質の種類または状態に適した制御パラメータを設定し、
前記制御パラメータとしては少なくとも界面張力を含み、前記電圧の
前記電圧値を0V~2000Vの範囲で、又は、前記電圧の交流成分の周波数を0Hz~1MHzの範囲で、物質の種類または状態に適した制御パラメータに従って、前記電圧
値及び前記周波数を選択することによって、前記電圧
値及び前記周波数の
前記電圧を前記電極に印加し、前記電極から発生する電場、
空間電場、磁場、電磁場、及び、電磁波の中の少なくともいずれか1つを調整することによって、前記物質内の水分の配列方向を制御することを特徴とする制御方法。
【請求項19】
少なくとも1つの電極と、前記電極に対して印加する電圧
の電圧値及び周波数を制御可能なコントローラと、を用いる制御方法であって、
前記コントローラは、前記電極に
前記電圧が印加される前に、物質の種類または状態に適した制御パラメータを設定し、
前記制御パラメータとしては少なくとも界面張力を含み、前記電圧の
前記電圧値を0V~2000Vの範囲で、又は、前記電圧の交流成分の周波数を0Hz~1MHzの範囲で、物質の種類または状態に適した制御パラメータに従って、前記電圧
値及び前記周波数を選択することによって、前記電圧
値及び前記周波数の
前記電圧を前記電極に印加し、前記電極から発生する電場、
空間電場、磁場、電磁場、及び、電磁波の中の少なくともいずれか1つを調整することによって、
前記物質内の水分の配列方向
を制御すると共に、
前記物質内の水分活性、
前記物質内の水相と油相との界面分極、
前記物質内の水相と油相との界面張力、又は、
前記物質内のエマルジョンの状態
の少なくともいずれか1つを制御することを特徴とする制御方法。
【請求項20】
請求項18または19記載の制御方法をコンピュータにより実行することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質に含まれる水分を制御する制御装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の範囲の周波数の電磁波が発生している空間内で食物の加熱調理を行うことにより、調理された食物の食味が非常に優れるフライヤーが知られている(特許文献1参照)。なお、本明細書中に特許文献1の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参考として取り込むものとする。所定の範囲の周波数の電磁波が発生している空間内で食物の調理を行うことにより、食用油の酸化・劣化防止、調理された食物の食味向上等の優れた効果を得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のフライヤー及び加熱調理方法では、食味向上の原理について十分に考察されておらず、食味向上の効果を得るための技術を全ての食物に適用することや、他の調理方法へ適用することや、あるいは、食物以外のものに適用することは困難であった。
【0005】
本発明者等は所定の範囲の周波数の電磁波が食物に与える影響について様々な観点から分析を重ねてきた。その結果、食物中に含まれる水分(自由水等を含む)の制御が重要であり、この水分を制御する方法を見出し、さらに、水分の制御は食物以外のものについても重要であることを見出し、本発明の水分制御装置及び水分制御方法を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の目的は、水分を制御することにより、物質の特性を向上することができる水分制御装置、水分制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した本発明の目的を達成するため一実施形態に係る制御装置は、少なくとも1つの電極と、前記電極に対して印加する電圧の電圧値及び周波数を制御可能なコントローラを備える制御装置であって、前記コントローラは、前記電極に前記電圧が印加される前に、物質の種類または状態に適した制御パラメータを設定し、前記制御パラメータとしては少なくとも界面張力を含み、前記電圧の前記電圧値を0V~2000Vの範囲で、又は、前記電圧の交流成分の周波数を0Hz~1MHzの範囲で、物質の種類または状態に適した制御パラメータに従って、前記電圧値及び前記周波数を選択することによって、前記電圧値及び前記周波数の前記電圧を前記電極に印加し、前記電極から発生する電場、空間電場、磁場、電磁場、及び、電磁波の中の少なくともいずれか1つを調整することによって、前記物質内の水分の配列方向を制御することを特徴とする。
また、本発明の一実施形態に係る制御方法は、少なくとも1つの電極と、前記電極に対して印加する電圧の電圧値及び周波数を制御可能なコントローラと、を用いる制御方法であって、前記コントローラは、前記電極に前記電圧が印加される前に、物質の種類または状態に適した制御パラメータを設定し、前記制御パラメータとしては少なくとも界面張力を含み、前記電圧の前記電圧値を0V~2000Vの範囲で、又は、前記電圧の交流成分の周波数を0Hz~1MHzの範囲で、物質の種類または状態に適した制御パラメータに従って、前記電圧値及び前記周波数を選択することによって、前記電圧値及び前記周波数の前記電圧を前記電極に印加し、前記電極から発生する電場、空間電場、磁場、電磁場、及び、電磁波の中の少なくともいずれか1つを調整することによって、前記物質内の水分の配列方向を制御することを特徴とする。
本発明の一実施形態に係るプログラムは、上記制御方法をコンピュータにより実行することを特徴とする。
【0008】
なお、水分としての自由水とは、化学的には種々の程度はあるが、結合している状態にある水を結合水というのに対し、それ以外の自由に移動できる通常の状態の水のことである。また、自由水は、食品では、組織間にあり、機械的に保持されている水で、普通の水の性質を示す水である(参考資料:日本大百科全書(ニッポニカ)、デジタル大辞泉、栄養・生化学辞典)。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る水分制御装置、水分制御方法、及びプログラムによれば、水分を制御することにより、物質の特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】水分子の模式図であり、
図2Aは自由に活動している状態の水分子であり、
図2Bは連珠配列のときの水分子である。
【
図3】自由水の顕微鏡写真であり、
図3Aは電場を印加する前の自由水の状態を示し、
図3Bは電場を印加した際の自由水の状態を示す。
【
図4】水粒子の電位のシミュレーション結果であり、
図4Aはシミュレーションモデルの説明図であり、
図4Bは電位シミュレーションの結果である。
【
図6】もやしを10日間保蔵した結果の写真である。
【
図7】豆苗を35日間保蔵結果した結果の写真である。
【
図8】かいわれを10日間保蔵した結果の写真である。
【
図9】まぐろの切り身を10日間保蔵結果した結果の写真である。
【
図10】サラダを6日間保蔵した結果の写真である。
【
図11】白菜を79日間保蔵結果した結果の写真である。
【
図12】鯛を1時間だけ本実施形態の装置で処理した結果の写真である。
【
図13】イチゴを1時間だけ本実施形態の装置で処理した結果の写真である。
【
図15】食用油中で調理された食物の状態を示した写真である。
【
図16】食用油中で調理されたとんかつの状態を示した写真である。
【
図17】ロック型氷砂糖を製造した結果の写真である。
【
図20】アクアリウムの防汚についての比較結果である。
【
図23】糖尿病に対する血糖値改善についての比較グラフである。
【
図24】糖尿病に対するHbA1c値改善についての比較グラフである。
【
図25】ゴーカートによるガソリンの燃費改善についての比較結果である。
【
図26】印加電圧の周波数と電圧値(0~75V)を変化させた際の食用油と水の界面張力のグラフである。
【
図27】電極への印加電圧の周波数と電圧値(0~150V)を変化させた際の食用油と水の界面張力のグラフである。
【
図29】油中での水滴周囲の微粒子についての写真である。
【
図31】実施形態2の変形例に係る電極の概念図であり、
図31Aは1つの電極を用いる例であり、
図31Bは1つの電極と当該電極に対向する2つの電極を用いる例である。
【
図32】実施形態3に係る異なる周波数の電圧を用いた場合の波形図である。
【
図33】実施形態3に係る異なる位相の電圧を用いた場合の波形図である。
【
図34】実施形態4に係る電極13,14を既存の冷蔵庫に設置した例である。
【
図35】実施形態4に係る電極13,14を既存のコンテナに設置した例である。
【
図36】実施形態4に係る電極13,14を既存のフライヤーに設置した例である。
【
図42】実施形態5に係る水分制御装置1のブロック図である。
【
図43】実施形態6に係る電圧値、電流値及び周波数のスイーブを説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る水分制御装置、水分制御方法、及びプログラムについて説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するための水分制御装置、水分制御方法、及びプログラムを例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。なお、実施形態では物質に含まれる水分としての自由水を例に挙げて説明しているが、本発明では物質に含まれる水分としては自由水に限定されるものではなく、例えば水溶液、水、エマルションに含まれる微小水滴等に広く適用可能である。
【0012】
[実施形態1]
図1~
図9を参照して、実施態様1に係る水分制御装置、水分制御方法、及びプログラムについて説明する。
【0013】
図1は水分制御装置1の概念図である。水分制御装置1は、コントローラ10と、一対の電極13、14とを、備えている。コントローラ10は、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12を備えている。コントローラ10の実際の回路構成においては、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12を別々に設ける必要はなく、両者の機能を兼ねる回路構成とすることもできる。
【0014】
コントローラ10には、通信部35、CPU36及び記憶部37が設けられている。通信部35はサーバ40と通信することにより、制御パラメータや制御値をサーバ40から受信する。記憶部37にはプログラムが記憶されており、CPU36は記憶部37に記憶されているプログラムにより、サーバから受信した制御パラメータや制御値に基づいて、コントローラ10に内蔵された交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12を制御することにより、出力電圧及び/又は出力電流を制御する。このプログラムは、通信部35を介してサーバ40から書き換え可能である。なお、プログラムをフラッシュメモリ等のリムーバブルメモリに記憶させておき、リムーバブルメモリを用いてコントローラ10のプログラムを書き換えることも可能である。
【0015】
また、コントローラ10には電極間に配置される物質の種類及び/又は状態を検出するための物質検出センサ32が接続されており、コントローラ10は、物質の種類及び/又は状態を把握することにより、物質の種類及び/又は状態に応じて適切な出力電圧及び/又は出力電流となるように内蔵された交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12を制御する。なお、コントローラ10に内蔵された交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12は、後述のように直流-直流変換、直流-交流変換、交流-直流変換、及び、交流-交流変換の少なくとも一つの機能を有している。
【0016】
また、コントローラ10にはマンマシンインターフェイス31が接続されており、オペレータによる操作が可能である。マンマシンインターフェイス31としては、例えばディスプレイ、タッチパネル、キーボード及びマウス等が含まれる。なお、スマートフォン、タブレット端末、又は、ノート型パソコン等のパーソナルコンピュータ(以下PCという)等によりコントローラ10を操作する場合には、スマートフォン等がマンマシンインターフェイス31及び通信部35等の機能を兼ねることが可能である。
【0017】
また、コントローラ10は外部電源39に接続されている。外部電源39としては、交流電源とすることも、直流電源とすることもでき、また直流電源としては、一次電池及び二次電池等を含む電池とすることもできる。水分制御装置1が移動、搬送又は携帯が可能な場合には、外部電源39を電池とすると電源を確保する上で便利である。
【0018】
また、コントローラ10は後述の検出器38からの検出信号に基づいて電極に印加される電流値、電圧値、周波数及び位相の少なくとも1つをフィードバック制御する。
【0019】
電極13,14の間には、処理対象とする物質が配置されるようにする。処理対象とする物質としては、固体、液体及び気体の少なくとも1つものであれば、特に限定されるものではなく、後述のとおり多様な物質を対象とすることができる。
【0020】
[電極について]
図1では一対の電極13,14として板状電極が例示されているが、電極13,14の態様は板状に限定されるものではなく、箔状、膜状又は層状とすることもでき、さらに、棒状、球状、半球状、円柱状、半円柱状、円錐状、半円錐状、略L字状、略コ字状、多角形状、多角柱状、多角錐状、曲面状、又は、屈曲状等、多様な形状を採用可能である(後述の
図34~
図41等を参照)。また、電極13,14が箔状及び膜状の場合には、電極の厚みを非常に薄くできるため、電極の設置スペースを小さくすることができると共に、形状を自由に設定することができ、軽量化することもでき、さらに、電極の設置が容易である。層状の場合には、例えば所定の基体に対して重ねるように薄膜状の電極を設けられているもの等も含まれる。
【0021】
電極13,14の形状は、平板状に限られるものではなく、どのような形状であってもかまわない。箔状の電極13,14を用いる場合には、設置場所の形状に沿って、電極を任意の形状に成形することができるので、例えば電極を曲面状とすることも可能である。
【0022】
電極13,14には複数の貫通孔を設けることもできる。電極に複数の貫通孔を設けると電極から電磁波を発生させる際の特性を改善することが可能であると共に、通気性を有し、さらに、電極を通して視認性を確保することもできる。孔の形状は、円形、楕円形、多角形、スリット状、線分状、これらの組み合わせ等、多様なものを採用でき、例えば6角形の孔を設けることもできる。
【0023】
電極13,14の材質は、導電性を有する材質であれば特に限定されるものではないが、例えば銅、鉄、ステンレス、アルミニウム、チタン、金、銀、プラチナ等の導電性金属等、これらの金属の合金等、あるいは、導電性酸化物、導電性ガラス等の導電性材料等が採用される。また、電極13,14の表面を絶縁材により被覆することもできる。なお、例えば電極をフライヤーに配置する場合には、フライヤーの内面と電極との間は絶縁される。また、例えばコンテナの内面に電極を配置する場合には、コンテナの内面と電極との間には絶縁を施すことが望ましい。一対の電極13,14の一方と他方を別の材質とすることも可能である。例えば電極13の材質をステンレスとし、電極14の材質をチタンとすることができ、この他、ステンレスとアルミニウム、ステンレスと銅との組み合わせ等も可能である。電極13,14の材質を変更することによって、その電極から発生させる電磁波の特性を調整することが可能である。この場合、電極13と電極14との材質を取り換えることによっても、電磁波の特性を調整することが可能である。後述のとおり、電極の数は、一対に限らず、1枚の場合、3枚以上の場合、二対以上の場合等、適宜設定することが可能であり、この場合にも、各電極の材質を適宜選択することにより、その電極から発生させる電磁波の特性を調整することが可能である。例えば、二対の電極を用いる場合に、一対の電極の材質をステンレスとし、もう一対の電極の材質を銅にすることによって、これら電極から発生させる電磁波の特性を調整することが可能である。電極13,14は、電場、磁場、電磁場、電磁波、音波及び超音波の中の少なくとも1つを発生するものであるが、音波又は超音波のみを発生させる場合には、電極13,14の材質は導電性材料に限られるものではなく、例えば樹脂等の導電性のない材料を用いることができる。
【0024】
水分制御装置1を設置するために専用の筐体を設けることもできるが、これに限定されるものではなく、例えば既存の筐体に設置することも可能である。水分制御装置1を設置できる既存の筐体としては、冷蔵庫、冷凍庫、冷蔵倉庫、冷凍倉庫、貯蔵庫、倉庫、冷蔵車、冷凍車、クーラーボックス、搬送用コンテナ、保管用コンテナ、ショーケース、棚、引き出し、フライヤー、栽培容器(水耕栽培用等)、燃料タンク、パソコン、携帯電話、椅子ベッド、家具、寝具、家電機器、工場内の各種製造機器、加工機器、医療機器、健康機器、美容機器、調理機器、研磨機器、乗り物、半導体の洗浄機器、製錬工程、焼き付け工程、乾燥工程で冷却時に出る水蒸気の制御機器等多様な筐体を選択することができる。
【0025】
冷蔵庫の場合には、一対の電極13,14を例えば冷蔵庫内の天井面と底面に沿って、対向する側壁面に沿って、天井面や棚板や底面に沿って、天井面や底面と側面とに沿って、又は、扉側内面と奥側側面とに沿って配置することができる。フライヤーの場合には、例えば油容器の内側の両側面に沿って配置される。すなわち、一対の電極13,14が対向するように配置されていれば、どのように配置しても構わない。また、一対の電極が平行になるように配置する必要なく、例えば両電極が垂直となる位置関係とすることも可能であり、両電極の間に処理対象となる物質を配置できる空間を設けることができれば両電極はどのような配置としても構わない。電極の個数、配置、形状は、特に特定されるものではなく、その個数は一対に限定されるものではく、1枚でも、3枚以でも、2対以上でもよく、例えば後述の
図30~41等を参照されたい。
【0026】
水分制御装置1を設置する対象としては、筐体である必要はなく、一対の電極13,14が配置できる場所であれば、どのような場所にでも配置することができる。例えば、棚や壁等、一対の電極13,14が対向して配置できれば、どのような場所であっても設置可能であり、また、電極13,14を固定するために例えば衝立状の部材を用いることも可能である。例えばまな板として構成することもできる。また、例えば電極の個数は一対に限定されるものではく、1枚でも、3枚以でも、2対以上でもよく、例えば後述の
図30~41等を参照されたい。
【0027】
[電極に印加される電圧について]
コントローラ10から一対の電極13,14には、少なくとも直流成分電圧が印加され、これに加えて、交流成分電圧を印加することも可能である。直流成分電圧は特に限定されるものではないが、例えば0Vから2000Vの間で調整可能であり、例えば0V~500Vの間で調整することも可能であり、例えば0V~200Vの間で調整することも可能であり、例えば0V~100Vの間で調整することも可能であり、また、例えば5V~20Vの間で調整することも可能であり、さらに、例えば10V~15Vの間で調整することも可能である。また、極性は正とすることも負とすることもできる。すなわち、例えば0V~200Vの間で調整する場合、正負両極性を考慮した場合には、-200V~+200Vの間で調整することができる。電源電圧については、直流電源を用いるようにしてもよいし、交流電源を用いるようにしてもよい。直流電源を用いるようにした場合には、電源として例えば電池を用いることができるため、可搬性に優れる。また、交流電源を用いるようにした場合には、例えば商用電源を用いることができるため、容易に電源を確保することができる。電源電圧については、例えば交流100V~400Vとすることができる、例えば直流5V~20Vとすることができ、また、例えば直流10V~15Vとすることができる。
【0028】
一対の電極13,14には、少なくとも直流成分電圧が印加されるため、例えば交流成分電圧を0Vとし、直流成分電圧のみを印加することも可能である。
【0029】
直流成分電圧の向きは、プラス(+)とすることも、マイナス(-)とすることもできる。本実施形態では、電極14の電位が電極13(アース電位)の電位よりも高くなるときの直流成分電圧の向きをプラスとし、逆に、電極14の電位が電極13の電位よりも低くなるときの直流電圧の向きをマイナスとする。直流成分電圧がプラスの場合でも、マイナスの場合でも、物質の性質を向上する効果を奏する。
【0030】
また、一対の電極13,14には、直流成分電圧に加えて、交流成分電圧を印加することができる。交流成分電圧の周波数は特に限定されるものではないが、例えば0~1MHzの間で調整可能であり、例えば50Hz~500kHzの間で調整可能であり、例えば5kHz~200kHzの間で調整可能であり、また、例えば50kHz~100kHzの間で調整可能である。
【0031】
また、交流成分電圧の電圧は特に限定されるものではないが、1cm当たりの空間電場がピーク間において、例えば0~2000Vpp/cmの間で調整可能であり、また、例えば50~500Vpp/cmの間で調整することも可能であり、さらに、例えば100V~250Vpp/cmの間で調整することも可能である。あるいは、例えば電極に対して、0V~2000Vppの間で電圧を調整することが可能であり、例えば50~500Vppの間で調整することも可能であり、さらに、例えば100V~250Vppの間で調整することも可能である。例えば一対の電極の場合に、電極間電圧は例えば0V~2000Vppの間、例えば50~500Vppの間で、また例えば100V~250Vppの間で調整される。
【0032】
なお、直流成分電圧を印加すると物質の性質を向上する効果が高いが、交流成分電圧のみを印加した場合でも効果は得られ、この場合、直流成分電圧は0Vとされる。
【0033】
上述のとおり、外部電源の電圧は直流電圧であっても、交流電圧であっても外部電源としては、交流電源とすることも、直流電源とすることもできる。交流電源としては、例えば商用電源を利用可能である。また直流電源としては、例えば一次電池及び二次電池等を含む電池とすることができ、例えば12Vバッテリーや乾電池等、様々な電池を利用可能である。
【0034】
コントローラ10において直流成分電圧の電圧値を調整するためには、直流電源をDC-DCコンバータによって電圧を制御する方法、交流電源をAC-DCコンバータにより整流する際に、または、整流後に、DC-DCコンバータによって電圧を制御する方法等がある。また、コントローラ10において交流成分電圧の電圧値及び周波数を調整するためには、直流電源をDC-ACコンバータ(インバータ)によって制御する方法、交流電源をAC-DCコンバータにより整流した後にDC-ACコンバータ(インバータ)によって制御する方法、交流電源をAC-ACコンバータにより制御する方法等がある。
【0035】
なお、直流成分電圧の目標電圧値が直流電源の電源電圧と等しい場合には、直流成分電圧として直流電源の電源電圧をそのまま用いることも可能である。同様に、交流成分電圧の目標電圧及び目標周波数が交流電源の電源電圧及び周波数と等しい場合には、交流成分電圧として交流電源の電源電圧及び周波数をそのまま用いることも可能である。
【0036】
そして、直流成分電圧と交流成分電圧とが加算されて、すなわち、交流成分電圧に対してオフセット電圧として、直流成分電圧が加算されて、この加算された電圧が、一対の電極13,14間に印加される。また、例えばDC-ACコンバータでの電力変換において交流成分電圧を制御する際に、直流成分電圧を併せて制御することも可能である。
【0037】
電極に印加する電圧の交流成分としては、正弦波状電圧が挙げられるが、本実施形態の交流電圧成分は正弦波状に限定されるものではく、例えば矩形波状、PWM波形等、あらゆる波形のものを含む。なお、正弦波及び矩形波とは、厳密な意味の正弦波や矩形波だけを意味するのではなく、ノイズ、歪み等を考慮した上での波形を意味している。また、電極に印加する電圧の直流成分としては、一定電圧だけを意味するものではなく、時間と共に変化する直流成分電圧を用いることも可能である。
【0038】
コントローラ10における電圧を制御手段としては、アナログ式の回路、デジタル式の回路、及び、アナログ回路とデジタル回路とを組み合わせた回路のいずれでも構わない。例えば、正弦波状の電圧をアナログ回路で発生させることもできるし、また、PWM波形により等価的な正弦波を発生させることもできる。また、例えば、矩形波状の電圧を発生する回路としては、デジタル式の回路を用いることもできるが、アナログ式の回路を用いることもできる。
【0039】
また、コントローラ10が発生する電圧ないし電流は、
(1)物質の界面張力を低下させる電圧ないし電流であること、
(2)飲食物、液体の腐食を防止する電圧ないし電流であること、
(3)生花保存、飲料水保存、水耕栽培の育成促進ないし環境良化、発芽率向上、孵化率向上、アクアリウムの防汚ないし浄化、水質良化、氷砂糖成長促進、燃料改質、又は、燃費向上のいずれか少なくとも1つに資する電圧ないし電流であること、
(4)血液ないし血液成分の保存、糖尿病改善、慢性腎臓病改善、人工透析の改善、血流改善、血管再生、末梢神経障害改善、関節症ないしリウマチ改善、臓器保存、抗腫瘍効果、虚血改善、リンパ浮腫改善、褥瘡改善、壊死予防ないし改善、循環器系疾患改善、又は、感染症対策のいずれか少なくとも1つに資する電圧ないし電流であること、
(5)蓄電器の充電ないし放電、発電機、又は、送電設備のいずれか少なくとも1つの効率を向上させる電圧ないし電流であること、
(6)エマルションの乳化ないし生成を促進する電圧ないし電流、又は、エマルションの状態維持期間を向上する電圧ないし電流であること、
(7)空気清浄器又はイオナイザーの効果を向上する電圧ないし電流であること、
(8)原子ないし分子を種類ごとに分離させる電圧ないし電流であること、
(9)空間の温度ないし湿度を制御する電圧ないし電流であること、及び、
(10)バクテリア、細菌、ウイルス、又は、微生物のいずれか少なくとも1つと、水分とを分離させる電圧ないし電流であること、
(11)ケミカルポリッシング、メカニカルポリッシング、ケミカルメカニカルポリッシング、又は、磁気研磨を促進する電圧ないし電流であること、
からなる群の中から選択される少なくとも1つの電圧ないし電流である。
【0040】
[コントローラの制御について]
水分制御装置1は、コントローラ10により駆動され、一対の電極13,14間に電場が発生する。このとき、電極13,14は、アンテナとして機能し、両電極13,14間に電磁波が放射されることにより、電磁場が発生する。また、電極13,14に対して、電気的、磁気的あるいは機械的な手段により振動を与えることにより、電極間に音波及び/又は超音波を発生させることもできる。電極間に音波及び/又は超音波を発生させる手段としては例えばピエゾ素子等の圧電素子を用いることができる。したがって、両電極13,14間には、電場、磁場、電磁場、電磁波、音波及び超音波の中の少なくとも1つが発生する。電場、磁場、電磁場又は電磁波に加えて、音波及び/又は超音波を用いることにより、物質の特性を向上する効果が増大する。
【0041】
コントローラ10は検出器38からの検出信号に基づいて電極に印加される電流値、電圧値、周波数及び位相の少なくとも1つをフィードバック制御する。検出器38は電極に印加される電圧を検出する電圧センサ、電極に印加される電流を検出する電流センサ、電極に印加される電圧及び/又は電流の周波数を検出する周波数センサ、電極に印加される電圧及び/又は電流の位相を検出する位相センサ、両電極13,14間の磁場を検出する磁場センサ、両電極13,14間の電場を検出する電場センサ、両電極13,14間の音波の大きさや周波数を検出する音波センサ、及び、両電極13,14間の超音波の大きさや周波数を検出するや超音波センサの少なくとも1つを含む。
【0042】
また、電極にセンサを設けることもできる。電極自体をセンサとして用いることも可能である。電極にセンサを設けた場合には、電極へ電力を供給する電源線に加え、センサのための配線(例えば2本)が必要となる。コントローラ10と電極との間の配線数は少ない方が望ましいため、電源線とセンサ線とをまとめて単一のコードとするとよい。この場合の単一コードは少なくとも絶縁性を有する素材で被覆されているものを利用する。さらに、耐久性や耐熱性があることも望ましい。さらに、冷凍室での使用も考慮すると低温にも耐えられることが望ましい。例えばフライヤーでの使用を考慮すると絶縁性に加え、耐久性及び耐熱性が求められるため、コードの被覆素材としては、例えばフッ素樹脂等を採用することができる。一対の電極を設ける場合には、一方の電極のみにセンサを設けるようにすることも可能である。あるいは、両方の電極にセンサを設けた場合には、一方の電極のセンサにより他方の電極が発生する物理量を検出することが可能である。3個以上の電極の場合には、少なくとも1個の電極にセンサを設けるようにすることができるが、これに限定されるものではなく、複数の電極、あるいは、全ての電極にセンサを設けることも可能である。
【0043】
コントローラ10における電流値、電圧値、周波数及び位相の少なくとも1つの制御目標値は、対象とする物質の種類や状態に応じて設定される。この制御目標値の設定は、図示されない通信器を介して、遠隔で設定することが可能である。また、コントローラ10の制御パラメータや制御量を遠隔制御することも可能である。これにより、複数の水分制御装置1のコントローラ10を遠隔地にあるサーバ40で集中管理し、各コントローラ10を適切に制御することが可能である。ただし、コントローラ10の制御の態様は、サーバ40からの遠隔制御に限定されるものではなく、例えば各コントローラ10に直接、制御目標値を設定したり、制御パラメータを設定したりすることにより、各水分制御装置1のコントローラ10を個別に制御することも可能である。
【0044】
なお、コントローラ10には記憶部37が設けられており、当該記憶部37には制御プログラムが記憶されている。コントローラ10はこの制御プログラムに基づいて制御される。この制御プログラムは通信又は記憶媒体を介して書き換え可能であるため、適時プログラムを更新し、バージョンアップすることが可能である。さらに、コントローラ10とサーバ40は通信可能であり、サーバ40から送られてくる制御パラメータ、制御量、制御プログラムないし各種設定値は、記憶部37に記憶される。また、制御プログラムは適宜の記憶媒体に記憶することが可能である。
【0045】
図2は水分子の模式図であり、
図2Aは自由に活動している状態の水分子であり、
図2Bは連珠配列のときの水分子である。
【0046】
対象となる物質、例えば、肉、魚、野菜等の食品等、飲料、動植物細胞、及び、油等は、自由水等の水分としての水分子を含んでいる。
【0047】
通常、水分子(H
2O)は、
図2Aに示すように、不規則に配列している。そのため、水素原子Hが活性酸素30を取り込んだり、水素結合を発生したりし、水分子のサイズが大きくなり、水分子の動きが鈍くなる。そして、水分子の酸化が始まる。
【0048】
これに対して、一対の電極13,14間に電場が発生すると、水分子は、一定の向きに配列しようとする。なぜならば、水分子は、電子を引っ張る力が強い酸素原子Oが少しマイナスに、電子を出しやすい水素原子Hが少しプラスなり、それぞれが一対の電極13,14との間の電場の方向に向こうとするからである。
【0049】
コントローラ10により交流成分電圧を発生させると、水分子は交互に向きを変える。この時、水分子は交流成分電圧と同じ周波数で向きを変え、振動しているような状態となる。そして、この振動を繰り返すうち、水分子は、
図2Bに示すように、活性酸素30又は他の成分との水素結合が切り離されて、徐々に水分子がそれぞれ規則的に細粒化して配列するようになる。
【0050】
物質内に存在する自由水等の水分としての水粒子(微細な水滴)間についても同様の作用があるため、一対の電極13,14間の電場によって、水粒子同士が引き合うようにして連珠配列を形成する。
【0051】
一対の電極13,14間に直流成分電圧が印加される場合には、この直流成分電圧による電場の向きに沿って、水分子が配列しようとする力の成分が存在する。このため、直流成分電圧のみを一対の電極13,14間に印加した場合にも、水分子は規則的に配列するようになる。さらに、直流成分電圧に対して交流成分電圧が印加されると、水分子は交流成分電圧と同じ周波数で向きを変え、かつ、一方向に水分子が配列しようとする力の成分も存在するため、水分子がより規則的に配列しやすくなる。水粒子の状態についても、これと同様に、一対の電極13,14間の電場によって、自由水等の水分としての水粒子同士が引き合うようにして連珠配列を形成する。
【0052】
なお、一対の電極13,14間に印加する電圧に直流成分電圧が含まれていない場合にも、交流成分電圧によって、水分子は交流成分電圧と同じ周波数で向きを変え、振動しているような状態となる。そして、この振動を繰り返すうち、水分子は、活性酸素30又は他の成分との水素結合が切り離されて、徐々に水分子がそれぞれ規則的に細粒化して配列するようになる。また、一対の電極13,14間に印加する電圧に直流成分電圧が含まれていない場合に、交流成分電圧による作用は、水粒子の状態についても同様に、一対の電極13,14間の電場によって、自由水等の水分としての水粒子同士が引き合うようにして連珠配列を形成する。
【0053】
なお、音波又は超音波には水分子を振動させる作用があるため、一対の電極13,14間に直流成分電圧及び/又は交流成分電圧を印加する際に、さらに所定の周波数及び強度の音波及び/又は超音波を電極間に発生させることにより、水分子の配列を促進する効果を奏する。また、所定の音波及び/又は超音波により水分子を振動させた場合には、電極間に電圧を印加しない場合であっても、水分子を整列させることが可能である。
【0054】
水は、「結合水」と「自由水」とに分けることができる。結合水は、他の成分と水素結合により結びつき安定した状態である。これに対して、自由水は、自由に活動している状態であり、物質が食品である場合には食品が新鮮でみずみずしい状態である。しかしながら、自由水は、分子が他の成分と結合しやすく、自由水を含む食品は腐敗しやすい。すなわち、雑菌、ウィルス、微生物又は、活性酵素が自由水と結合することで腐食が進みやすい。また、結合水の状態においても時間経過や温度上昇、乾燥環境の中では結合水が自由水になり、その時、水素結合していた細胞の成分の一部をもぎ取ることで腐敗しやすくなる。そこで、自由水を連珠配列した結合状態(上記「結合水の状態」とは区別される。)または他の細胞等に結合した状態にすることで鮮度維持を可能にする。
【0055】
本実施形態の水分制御装置1によって連珠配列された水分子は、自由水同士が結合して結合水のような安定した状態となる構造を形成すると考えられる。すなわち、本実施形態の水分制御装置1によって規則的に配列された水分子は、物質内に保持されながら、他の成分と結合しないため、食品を新鮮でみずみずしい状態に保つことができる。
【0056】
したがって、本実施形態の水分制御装置1を容器に設置しておけば、容器内の物質の自由水の配列を制御することができ、物質が食品、薬品、細胞である場合には、食品、薬品、細胞の鮮度を維持することが可能となる。例えば、水分制御装置1を輸送容器として使用することで、従来よりも長距離の輸送でも鮮度を維持したまま食品を輸送することができる。なお、容器は例えば発泡スチロール等でもよく、本実施形態の水分制御装置1を既存の発泡スチロール等に取り付けることで、輸送容器を構成することができる。
【0057】
また、本実施形態の水分制御装置1によって一度規則的に配列した水分子は、数日間、規則的に配列した状態で保持される。したがって、対象となる物質が食品、薬品、細胞である場合、本実施形態の水分制御装置1により自由水を連珠配列の状態にした後に、別の容器に移して保存しても、食品、薬品、細胞の鮮度を維持することが可能となる。
【0058】
また、電極13,14に所定の電圧が印加されると、物質の水分中の水分子は、電気的に整列し、略一定方向(電場の向き)に配向する。この時、水分子が整列することによって、物質の導電率が増大する。物質が液体の場合にも水分子を整列させることが可能であり、これにより例えば純水の場合にも、導電率を上昇させることができる。また、水分子は電場中では一定の周波数で微振動するため、0℃付近では結晶化しない。
【0059】
また、電極13,14に所定の電圧が印加されると、物質中の水分子の水素結合が抑制されるため、水素結合が少なくなるため、例えば生理的な水を得ることが可能である。さらにこの水に対して、マイクロバルブ、マイクロナノバブル又はナノバブル等の微小気泡を添加することにより、より高機能な水を得ることができる。このような電場及び微小気泡による液体の高機能化は水だけに限定されるものではなく、例えば水溶液、エマルジョン、油等にも適用可能である。
【0060】
また、電極13,14に所定の電圧が印加されると、物質の水分中の水分子の水和が促進される。例えば、物質に含まれる蛋白質等が水和され、水分子と結合して蛋白質等が水分子で囲まれた状態となると、物質の劣化を抑制することができる。
【0061】
図3は自由水の顕微鏡写真であり、
図3Aは電場を印加する前の自由水の状態を示し、
図3Bは電場を印加した際の自由水の状態を示す。
図3Bに示すように、電場を印加した際の自由水では、白色の下線でマーキングした箇所において、水粒子の連珠配列が確認できる。これに対して、
図3Aに示すように、電場を印加する前の自由水では、水粒子の連珠配列は確認できない。
図3より、本実施形態の水分制御装置1により自由水を連珠配列の状態にすることができることが確認できた。
【0062】
図4は水粒子の電位のシミュレーション結果であり、
図4Aはシミュレーションモデルの説明図であり、
図4Bは電位シミュレーションの結果である。
図4Aに示すようにシミュレーションモデルは自由水として、中央部に4個の連珠配列の水粒子が存在し、その左側には独立した2個の水粒子が存在するものである。
【0063】
図4Bでは水粒子の縦方向に沿った鉛直方向断面における等電位の領域が3箇所示されている。一番右側の断面において、水粒子が連珠配列している箇所では、連珠配列内の水粒子内は等電位であることが示されている。また、図面の中央部に存在する4個の連珠配列の水粒子の領域は略同じ色によって着色されていることから、4個の連珠配列の水粒子の領域の電位は略等しいことが分る。
【0064】
連珠配列している4個の水粒子には電気力線が走っていることから、この4個の水粒子が引き付け合っていること分かる。さらに、連珠配列している4個の水粒子から左側に離れて存在する2個の独立した水粒子に対しても連珠配列している4個の水粒子からの電気力線が走っていることから、これら2個の独立した水粒子に対しても、連珠配列している4個の水粒子へ引き付ける方向の力が作用していることが考えられ、2個の独立した水粒子にが、連珠配列している4個の水粒子の配列に加わる可能性が考えられる。
【0065】
図5は鯛を5日間保蔵した結果の写真である。左の写真は普通の冷蔵庫にて保蔵した結果の写真であり、右の写真は本実施形態の水分制御装置1により電磁場を加えた場合の写真である。左の写真では、雑菌、ウィルス、又は、活性酵素が自由水と結合することで腐敗している。一方、右の写真では、自由水としての水粒子が連珠配列するため、雑菌、ウィルス、又は、活性酵素が自由水と切り離されているため、腐敗が進みにくい。
【0066】
また、鯛を普通の冷蔵庫で48時間保蔵したものと、本実施形態の水分制御装置1により電磁場を1時間加えた後に47時間保蔵したものとを比較すると、後者の方が腐食が進みにくかった。このことから、本実施形態の水分制御装置1により物質に電磁場を加えることにより、物質内の自由水としての水粒子が一旦連珠配列すると、電磁場から取り出した後にも、所定の時間にわたり水粒子の連珠配列が維持されるという効果を奏する。
【0067】
図6はもやしを10日間保蔵した結果の写真である。左の写真は普通の冷蔵庫にて保蔵した結果の写真であり、右の写真は本実施形態の水分制御装置1により電磁場を加えた場合の写真である。左の写真ではもやしの中に含まれる自由水が漏れ出し、水分のドリップ量が27gであった。これに対して、右の写真ではもやしの中に含まれる自由水としての水粒子が連珠配列するために、もやしの内部に保持された状態となるため、水分のドリップ量が1gであった。
【0068】
図7は豆苗を35日間保蔵結果した結果の写真である。左の写真は普通の冷蔵庫にて保蔵した結果の写真であり、右の写真は本実施形態の水分制御装置1により電磁場を加えた場合の写真である。左の写真では豆苗の中に含まれる自由水が抜け出して鮮度が落ちており、水分の蒸発により重量が15%減少していたい。右の写真では豆苗の中に含まれる自由水としての水粒子が連珠配列して互いに結合状態となるために、自由水が蒸発しにくくなり鮮度が維持できる。右の写真では重量の減少は8%に抑えられている。
【0069】
図8はかいわれを10日間保蔵した結果の写真である。左の写真は普通の冷蔵庫にて保蔵した結果の写真であり、右の写真は本実施形態の水分制御装置1により電磁場を加えた場合の写真である。左の写真ではかいわれの中に含まれる自由水が抜け出して鮮度が落ちており、葉が変色している。右の写真ではかいわれの中に含まれる自由水としての水粒子が連珠配列して互いに結合状態となるために、自由水が蒸発しにくくなり鮮度が維持できており、葉の変色はほとんど無い。
【0070】
図9はまぐろの切り身を10日間保蔵結果した結果の写真である。
図9において、上側の写真は普通の冷蔵庫にて保蔵した結果の写真であり、下側の写真は本実施形態の水分制御装置1により電磁場を加えながら冷蔵庫にて保蔵した場合の写真である。左が保蔵1日目の結果、中央が保蔵5日目の結果、右が保蔵10日目の結果である。上側の写真では保蔵日数が経過するにつれて表面の色が大きく変色している。これに対して、下側の写真では、変色がほとんど見られなので、実施形態の水分制御装置1によって、まぐろの切り身の鮮度が保持されていることが分る。
【0071】
図10はサラダを6日間保蔵した結果の写真である。左の写真は普通の冷蔵庫にて保蔵した結果の写真であり、右の写真は本実施形態の水分制御装置1により電磁場を加えながら冷蔵庫にて保蔵した場合の写真である。左の写真ではスプラウトが腐食し、レタスが変色している。全体的にしなしなであり、腐敗臭もあり食べられない。右の写真では、野菜の中に含まれる自由水としての水粒子が連珠配列して互いに結合状態となるために、自由水が蒸発しにくくなると共に、自由水が細菌と結びつくことが防止されることにより、腐敗が防止され、野菜の鮮度が維持できている。また、右の写真では、野菜のシャキシャキ感が維持されており、腐敗しやすいスプラウトもほとんど変化が無く、このサラダを食べてもフレッシュさが感じられた。
【0072】
図11は白菜を79日間保蔵結果した結果の写真である。保蔵時には、本実施形態の水分制御装置1により電磁場を加えた。79日間の保蔵後には、表面は少し変色しているものの、カットした断面はきれいな状態であった。痛みやすい葉部分も、腐食することもなく、大きな変化はなかった。通常カットされた白菜でも成長を続けるため、エネルギーを消費して鮮度が落ちるが、本実施形態の水分制御装置1により電磁場を加えた場合には、鮮度が維持できている。
【0073】
図12は鯛を1時間だけ本実施形態の水分制御装置1で処理した結果の写真である。右の写真は普通の冷蔵庫にて48時間保蔵した結果の写真であり、左の写真は本実施形態の水分制御装置1により1時間だけ電磁場を加え、その後普通の冷蔵庫にて47時間保蔵した結果の写真である。右の写真では内蔵の変色が大きく、鮮度が落ちている。左の写真では内蔵の変色はほとんど無く、鮮度が維持されている。すわなり、本実施形態の水分制御装置1で鯛に電磁場を与えたのは最初の1時間だけであるが、その後の電磁場を与えない状態においても鮮度保持効果が維持されていることが分る。最初に電磁場を印加する時間は1時間に限られるものではなく、例えば20分~60分程度で効果があり、例えば10分~20分程度でも効果がある。なお、60分以上電磁波を印加しても効果があることはもちろんであり、例えば60分~120分の間で適宜決定することもできる。
【0074】
図13はイチゴを1時間だけ本実施形態の装置で処理した結果の写真である。左の写真は普通の冷蔵庫にて33日間保蔵した結果の写真であり、右の写真は本実施形態の水分制御装置1により1時間だけ電磁場を加え、その後普通の冷蔵庫にて33日間、普通の冷蔵庫にて保蔵した結果の写真である。左の写真には、数か所にカビの発生がみられると共に、表面の状態から見て大きく鮮度が落ちている。右の写真では外見もみずみずしさを維持し、カビの発生はなかった。すなわり、本実施形態の水分制御装置1でイチゴに電磁場を与えたのは最初の1時間だけであるが、その後の電磁場を与えない状態においても鮮度保持効果が維持されていることが分る。最初に電磁場を印加する時間は1時間に限られるものではなく、例えば20分~60分程度で効果があり、例えば10分~20分程度でも効果がある。なお、60分以上電磁波を印加しても効果があることはもちろんであり、例えば60分~120分の間で適宜決定することもできる。
【0075】
図14はマグロさくを解凍した結果の写真である。右の写真は普通の冷蔵庫にて冷凍のマグロさくを解凍した結果の写真であり、左の写真は本実施形態の水分制御装置1により電磁場を加えながら冷蔵庫にて解凍した結果の写真である。右の写真では、ドリップが認められる。これは、冷凍時には細胞内の凍っていた水分が液体となることに伴い、細胞内で体積の変化が起こり、これにより細胞膜が破壊されて、水分がドリップとして外に流出する。これに対して、左の写真では、解凍後にもドリップはほとんど見られない。本実施形態の水分制御装置1により電磁場を加えることにより、細胞内の自由水としての水粒子が連珠配列して互いに結合状態となるために、解凍に伴う体積変動を生じることを防止できる。このため、細胞膜を破壊することが防止されるので、解凍後にもドリップがほとんど見られない。
【0076】
表1はマグロの刺身の細菌数の検査結果である。市販のマグロ冷凍刺身を5℃の冷蔵庫に入れて経過時間ごとに菌検査し、本実施形態の水分制御装置1により電磁場を加えながら冷蔵庫にて保蔵した場合と、未処理の状態で冷蔵庫にて保蔵した場合とを比較した。一般細菌数は未処理の状態では時間の経過と共に菌数が多くなっていくのに対して、本実施形態の水分制御装置1により電磁場を印加した場合には細菌数がほとんど変化していない。
【表1】
【0077】
[界面張力の低下について]
W/Oエマルション(例えば食用油中の微小水滴)において、本実施形態の水分制御装置1によって電磁場を印加した場合に、界面張力を低下させることができる。この場合、界面張力の低下は例えば10%以上を実現することができ、また電磁場の条件によっては20%以上を実現することができ、さらに、例えば直流成分電圧及び交流成分電圧を適切に制御すると、界面張力を60%以上低下させることができる。これは、電磁場の印加によって形成される界面分極の増大によるものと考えられる。
【0078】
例えば食用油中で食物を調理するとき、食物に含まれる水分が食用油中で水蒸気となる際に、食物から食用油中に離脱する水滴は、微小水滴であり。このような微小水滴に、界面張力を低下させるのに十分な界面分極が生じていると、双極子間引力による微小水滴の連珠配列が形成される。
【0079】
フライヤーを用いて食用油で食物を揚げる場合に、フライヤーに対して本実施形態の水分制御装置1の一対の電極13,14を設置しておくと、油/水界面の界面張力を低下させることができる。一般に、食物の加熱調理を行うと、食物に内包される水分は、食用油中で水蒸気となって、突沸が発生する。本実施形態の水分制御装置1によれば、所定の電磁場を発生させることにより、油/水界面の表面張力を低下させることができる。これにより、食物に内包される水分が離脱する際に、食用油中で粒径の小さな微小水滴となって分散しやすくなるため、加熱されている食用油中で水蒸気となって気化しても、発生する突沸は小さくなる。また、食物に内包される自由水は印加される電磁場によって連珠配列されることにより、食材から水分が離脱しにくくなる。このように食物に内包される水分を制御して突沸を抑制することで食物内への油分の浸透を抑制する効果を奏する。また、それにより、調理された食物の食感及び食味が非常に優れたものとなる。
【0080】
図15は食用油中で調理された食物の油分の状態を示した写真である。左上の写真は従来のフライヤーによって調理された食物の様子であり、右上の写真はフライヤーに対して本実施形態の水分制御装置1の一対の電極13,14を設置した場合の調理された食物の様子である。下側の写真は調理された食物の下に敷いてあった油切紙の様子であり、右下の写真の油の跡は、左下の写真の油の跡よりも小さくなっていることから、右上の本実施形態の水分制御装置1を用いて調理された食物の方が、左上の従来のフライヤーによって調理された食物よりも油の吸収量が少ないことが分る。本実施形態の水分制御装置1を用いて調理された食物の油吸収量は、従来のフライヤーによって調理された食物の油吸収量よりも約50%少なかった。これにより、実施形態の水分制御装置1を用いると、食用油中で調理された食物を調理後長時間にわたり食感を良好にすることができると共に、油の量を削減でき、さらに、健康の観点から油の摂取量を控えることもできる。
【0081】
図16は食用油中で調理された冷凍とんかつの状態を示した写真である。左の写真は従来のフライヤーによって調理された結果の写真であり、右の写真はフライヤーに対して本実施形態の水分制御装置1の一対の電極13,14を設置し、電磁場を印加して調理された結果の写真である。左の写真では断面にパサつきが目立ち、ジューシーさが失われている。これに対し、右の写真では断面がきれいで、ジューシーさが保持された状態となっている。フライヤーに対して本実施形態の水分制御装置1の一対の電極13,14を設置し、電磁場を印加しながら調理すると、油の吸収を防いだり、ジューシーさを保持したり、様々な良好な効果が得られるが、所定時間電磁場を印加し、その後は電磁場が無い状態としても、フライヤーの良好な状態を保持できることが分っている。例えば30分~2時間程度、電磁波を印加した後に、水分制御装置1をオフにして電磁波がない状態としても、フライヤーは効果を持続できる。
【0082】
表2はフライヤーでの調理時間の測定結果である。フライヤーに本実施形態の水分制御装置1の一対の電極13,14を設置して電磁場を印加しながら調理した場合と、普通のフライヤーで調理した場合とで、食材の中の芯温が65℃に到達するまでの揚げ時間を比較した。表2のいずれの食材でも、本実施形態の水分制御装置1で電磁場を印加しながら調理した方が、調理時間が短くなった。
【表2】
【0083】
表3はフライヤーで調理した食品のカロリーの測定結果である。フライヤーに本実施形態の水分制御装置1の一対の電極13,14を設置して電磁場を印加しながら調理した場合と、普通のフライヤーで調理した場合とで、調理された食品のカロリーを比較した。フライドポテトの場合も、コロッケの場合も、本実施形態の水分制御装置1により電磁場を印加した方が、カロリーが抑えられている。
【表3】
【0084】
表4はフライヤーで調理した食品の水分含有量の測定結果である。フライヤーに本実施形態の水分制御装置1の一対の電極13,14を設置して電磁場を印加しながら調理した場合と、普通のフライヤーで調理した場合とで、調理された食品の水分含有量を比較した。フライドポテトの場合も、コロッケの場合も、本実施形態の水分制御装置1により電磁場を印加した方が、水分含有量が多いことが示されている。
【表4】
【0085】
表5はフライヤーの油の劣化度を測定した結果である。フライヤーに本実施形態の水分制御装置1の一対の電極13,14を設置して電磁場を印加しながら調理した場合と、普通のフライヤーで調理した場合とで、油の酸化度合いを示す、TPM油劣化測定装置の数値を比較した。TPM値が大きい方が油の酸化が進んでいることを示す。TPMの値はTESTOデジタル食用油テスターを用いて測定した。テスターの仕様は、
・計測範囲:0.5~40%、
・精度±1digit:±2.0%TPM(+40~+190℃)、
・温度範囲:+40~+190℃、
・分解能:0.5%
であり、1日分の全揚げ物終了後のTPM値を測定した(同体積換算)。本実施形態の水分制御装置1により電磁場を印加した方が、3日後~5日後で、TPM値が小さく抑えられている。
【表5】
【0086】
図17はロック型氷砂糖を製造した結果の写真である。ステンレス製容器に約8Lの母液蜜を投入し、恒温水槽で70℃に保持したものに所定時間、本実施形態の水分制御装置1の一対の電極13,14を設置し、電磁場を印加した。その後は、通常と同様の手順で、結晶皿で結晶成長させた。複数段の結晶皿の一番上の結晶皿での結晶成長を、本実施形態の水分制御装置1で処理したものと、未処理のものとで比較したところ、本実施形態を用いたものは、育晶期間3日目で起晶しはじめ、未処理のものよりも1日~2日程、早い結晶化経過が見られた。できあがった氷砂糖の品質については未処理のものと同等であった。
【0087】
表6は、ワインの官能味覚検査の結果を示す。本実施形態の水分制御装置1の電極により10分間、電磁場を印加した場合のワインと、未処理のワインとについて、官能味覚検査を行った。試験に用いたワインは市販の安価なワイン(ローソン、380円ワイン、開栓後10分後のものを使用)を用い、テスト人数は100人、官能検査は6段階評価(6:とても良い、5:良い、4:やや良い、3:やや悪い、2:悪い、1:とても悪い)とした。1日目、2日目、3日目共に、本実施形態の水分制御装置1の電極により処理したワインの方が、香り、味共に得点が高く、総合でも評価が高かった。この試験では電磁場を印加する時間は、10分としたが、この時間は特に限定されるものではなく、例えば3分~20分程度でもよく、また、これより長い時間であっても効果はある。電極としては、例えば、後述の
図41に示すものを使用することができる。
【表6】
【0088】
表7は、醤油の官能味覚検査の結果を示す。本実施形態の水分制御装置1の電極により10分間、電磁場を印加した場合の醤油と、未処理の醤油とについて、官能味覚検査を行った。試験に用いた醤油は市販の醤油(キッコーマン醤油、開栓後10分後のものを使用)を用い、テスト人数は100人、官能検査は6段階評価(6:とても良い、5:良い、4:やや良い、3:やや悪い、2:悪い、1:とても悪い)とした。1日目、2日目、3日目共に、本実施形態の水分制御装置1の電極により処理した醤油の方が、香り、味共に得点が高く、総合でも評価が高かった。表1の場合と同様に、この試験では電磁場を印加する時間は、10分としたが、この時間は特に限定されるものではなく、例えば3分~20分程度でもよく、また、これより長い時間であっても効果はある。電極としては、例えば、後述の
図41に示すものを使用することができる。
【表7】
【0089】
表8は、レモンの官能味覚検査の結果を示す。本実施形態の水分制御装置1の電極により10分間、電磁場を印加した場合のレモンと、未処理のレモンとについて、官能味覚検査を行った。試験に用いたレモンは市販のレモンであり、カットして10分後のものを使用し、テスト人数は100人、官能検査は6段階評価(6:とても良い、5:良い、4:やや良い、3:やや悪い、2:悪い、1:とても悪い)とした。1日目、2日目、3日目共に、本実施形態の水分制御装置1の電極により処理したレモンの方が、味についての評価が高かった。この試験では電磁場を印加する時間は、10分としたが、この時間は特に限定されるものではなく、例えば3分~20分程度でもよく、また、これより長い時間であっても効果はある。電極としては、例えば一対の平板状電極を2枚同一平面上に隣接して並べ、その上に容器に入れたレモンを配置することができる。
【表8】
【0090】
表9は、温蔵庫に入れたおにぎりの官能味覚検査の結果を示す。温蔵庫中で、本実施形態の水分制御装置1の電極により所定時間、電磁場を印加した状態で保温した場合のおにぎりと、温蔵庫中で未処理の状態で保温したおにぎりとについて、官能味覚検査を行った。試験に用いたおにぎりは市販の梅干しおにぎりであり、60℃の温蔵庫にいれて所定時間保温した後のものを使用し、テスト人数は30人、官能検査は6段階評価(6:とても良い、5:良い、4:やや良い、3:やや悪い、2:悪い、1:とても悪い)とした。1日目、2日目、3日目共に、本実施形態の水分制御装置1の電極により処理したおにぎりの方が、外観、味共に得点が高く、総合でも評価が高かった。電磁場を印加する時間は特に限定されるものではなく、例えば10分程度でよく、また、例えば3分~20分程度でもよく、また、これより長い時間であっても効果はある。電極としては、例えば温蔵庫の天井面と底面とに一対の電極を設けたものを用いることができる。なお、電極の個数、配置、形状は、特に特定されるものではなく、その個数は一対に限定されるものではく、1枚でも、3枚以でも、2対以上でもよく、例えば後述の
図30~41等を参照されたい。
【表9】
【0091】
表10は、本実施形態の水分制御装置1により処理したワインをソムリエがテイスティングすることによって得られた感応テスト結果である。3種類の電極を使用してそれぞれ10分間処理した4種のワインについて感応テストによる分析を行った。パイプ型の電極によると少し効果が感じられるが、メッシュ型又はフレーム型電極を用いた方が、より効果が高く、3種類の中ではメッシュ型が最も効果が高い。水分制御装置1によれば、ワインだけでなく、他の飲料、例えば、カクテル、日本酒、焼酎、ウイスキーについても食味や香りの向上効果がある。水分制御装置1による飲料の食味や香りの向上や熟成促進には、エマルション効果が寄与している。なお、電極としては、例えば、後述の
図41に示すもの(メッシュ型の一例)を使用することができる。
【表10】
【0092】
表10は、米の浸漬時間を比較した結果である。洗米していない米300gをビーカーに入れ、水分制御装置1で処理した水260gを注ぎ、10分ごとの重量を測定した。米は細かい網目の水切り袋に入れたものを、水切り器で脱水後に重量を測った。水分制御装置1による処理方法としては、水中に鍵括弧タイプ電極を入れ、5分又は10分処理した。通常、米の重量の1.2~1.3倍が浸漬完了時の重量とされているので、米300gの浸漬完了重量の目安は360g程度である。5分処理したもの、10分処理したものはいずれも、未処理のものと比べて米の浸漬時間が改善されている。
【表11】
【0093】
[適用対象について]
自由水の配列を制御する作用は食品に限られたものではなく、対象とする物質としては、例えば
(1)農産物、生花、畜産物、水産物、加工食品、健康食品、飲料、酒類、乾物、出汁、スープ又は調味料を含む食料品、
(2)樹脂、ゴム、ガラス、レンズ、陶器、木材、セメント、コンクリート、鉱物、紙、インク、染料、繊維、セラミック、研磨剤、洗浄剤、添加物、プリント基板、メッキ、精錬、塗料、墨汁、撥水加工、ケミカル製品、肥料、飼料、微生物、水、布又は火薬を含む製品、
(3)ガソリン、軽油、重油、灯油又は石油を含む燃料、
(4)血液、ワクチン、薬品、臓器、細胞、軟膏、透析又は治療器を含む医療品、
(5)化粧品、洗剤、石鹸、シャンプー又はヘアーケアー用品を含む日用品
(6)発電、蓄電、送電、又は、燃焼のための装置、
(7)品質維持、乾燥、保蔵、冷凍、又は、解凍される製品、
(8)エマルション、酸化還元、吸水、抽出による物質、
(9)ケミカルポリッシング、メカニカルポリッシング、ケミカルメカニカルポリッシング、又は、磁気研磨の少なくとも1つを含む研磨における研磨材ないし砥粒、及び、
(10)健康器具、運動器具、筋肉訓練器具又は遊戯用器具を含む器具、
等、からなる群から選択される少なくとも1つを採用可能であるが、特に限定されるものではなく水分(例えば自由水)を含む限りにおいて任意の物質に対して適用可能である。
【0094】
本実施形態の水分制御装置1により、農産物、生花(
図19参照)、畜産物、水産物において、良好な効果を奏する。例えば、種や球根の発芽促進、発芽率の向上、植物の発育促進と植物の発育環境の向上(
図18参照)、卵からの孵化率の向上と孵化の促進、稚魚の発育促進、養殖水産物の生産性向上、養殖環境の改善等が挙げられる。
【0095】
本実施形態の水分制御装置1により、飲料、出汁、スープ等の抽出の改善を行い、食味の向上、抽出時間の短縮等の効果を奏する。飲料としては、例えばコーヒー、紅茶、日本茶等を始めとするあらゆる飲料が含まれる。この中で、コーヒーについては、生豆の乾燥や保管、生豆の焙煎、コーヒーのドリップ、及び、ドリップしたコーヒーの保温の各段階において、本実施形態の水分制御装置1を用いることによる効果を奏するため、風味豊かなコーヒーを提供することができる。ワインに関しては、葡萄の搾汁、ワインの醸造、ワインの熟成、ワインボトルの保蔵、及び、ボトル開封時(
図41を参照。開封時または開封後のワインボトルを電極間に配置することにより、ワインの風味、食味、香りを向上することができる。)の各段階において、本実施形態の水分制御装置1を用いることによる効果を奏するため、ワインの風味、食味、香りを向上することができる。出汁やスープについては、本実施形態の水分制御装置1を用いることにより、抽出時間の短縮、抽出量の増加、風味の向上等の効果を奏する。また、薬、例えば漢方薬の抽出等にも効果を発揮する。
【0096】
本実施形態の水分制御装置1により、飲食物の品質、食味の向上の効果を奏する。例えば、ステーキ肉については、保蔵時に水分制御装置1を用いることにより、加熱料理時にドリップが出にくいため、肉の内部に旨味を閉じ込めておくことができ、焼く、煮る、蒸す等の各種の調理法に対して肉汁のドリップを防ぎ、柔らかい仕上がりとなる。また、加熱料理時に本実施形態の水分制御装置1を使用することも可能である。また、例えばパスタ、蕎麦、ラーメン等の製麺前に本実施形態の水分制御装置1により処理を行うことにより、艶が良く、コシがあり、風味の良い麺を製造することができる。また、本実施形態の水分制御装置1は、まな板、調理台、流し台等にも適用することができる。
【0097】
例えば陶器内に含まれる自由水を電磁場によって連珠配列とすることにより、自由水が陶器内に保存され、陶器のひび割れを低減することができる。また、同様に、電磁場を加えて物質内に含まれる自由水を連珠配列とすることにより、セメントやコンクリートの強度を高め、ひび割れを低減することができる。また、鉱物、例えば鉄鉱石が内在している水分を保持することにより、輸送時の水分の漏出を抑制することができる。
【0098】
例えばガソリンや軽油等の燃料に対して電磁場を加えると、W/Oエマルションの表面張力を低下させることができるため、水粒子は粒径の小さな微小水滴となって分散しやすくなり、かつ、水粒子同士が連珠配列することにより、燃料の改質効果が向上し、また、燃費が向上する。
【0099】
例えば血液、ワクチン、薬品、臓器、細胞等に対して電磁場を加えて、内部に含まれる自由水を連珠配列とすることにより、良好な保存状態とすることができ、保存期間を向上することができる。
【0100】
さらに、例えば化粧品等に対して電磁場を加えることにより、内部に含まれる水粒子が粒径の小さな微小水滴となって分散しやすくなり、さらに、この微小水滴を連珠配列とすることにより、化粧品等の特性を良好にすることができる。
【0101】
さらに、本実施形態の水分制御装置1により、例えば、発電、蓄電、送電、又は、燃焼のための装置の効率を向上することが可能である。例えば蓄電装置の充放電に関する化学反応の改善効果により、電力システムにおいて効率改善を行うことができると共に、蓄電装置等の寿命を延ばすことも可能である。燃焼システムにおいては、燃焼効率を向上することに加え、例えば冷却手段や熱交換器における液体の改質により、さらなる効率改善を行うことができると共に、メンテナンスを低減することができる。
【0102】
さらに、本実施形態の水分制御装置1により、例えばエマルションの乳化ないし生成を促進すると共に、エマルションの状態維持期間を向上することができる。本実施形態の水分制御装置1は、界面張力の低下により、エマルションに含まれている液体を微粒子化することができるため、エマルションの乳化ないし生成を促進すると共に、エマルションの状態維持期間を向上することができる。
【0103】
さらに、本実施形態の水分制御装置1により、例えば空気清浄器又はイオナイザーの効果を向上することができる。本実施形態の水分制御装置1には防カビ効果がある上に、触媒が水分と共に作用する場合には、触媒の作用を向上することができ、さらに、イオナイザーにおける水分子にも作用する。さらに、本実施形態の水分制御装置1により、例えば原子ないし分子を種類ごとに分離させることができる。
【0104】
さらに、本実施形態の水分制御装置1の一対の電極を設置し、電磁場を印加すると、その電極間の空間の湿度を一定に保持する効果がある。この場合に、その空間を壁などで仕切る必要はない。湿度を一定に保つと、摩擦が生じなくなるため、温度保持効果も奏する。これにより、本実施例の水分制御装置1により、空間の温度及び湿度を制御することが可能である。
【0105】
さらに、本実施形態の水分制御装置1により、例えばバクテリア、細菌、ウイルス、及び、微生物等から水分を分離させることができる。バクテリア、細菌、ウイルス、及び、微生物等は、自由水と結びつくことにより活性化するため、本実施形態の水分制御装置1は水分に作用し、バクテリア、細菌、ウイルス、及び、微生物等から水分を分離させることにより、感染防止装置、静菌装置、殺菌装置、及び、滅菌装置等に適用することができる。
【0106】
さらに、例えば、本実施形態の水分制御装置1により、ケミカルポリッシング、メカニカルポリッシング、ケミカルメカニカルポリッシング、又は、磁気研磨における研磨材(研磨剤)ないし砥粒の改質を行うことが可能となり、研磨の質を向上することが可能となる。例えば、ケミカルメカニカルポリッシングにおいては、砥粒と加工液(加工液は研磨材の一種に含まれる)との結合が良好となること等により、研磨の質が向上する。磁気研磨は、曲面や複雑な形状に対しても適用可能であり、磁性砥粒を用いる。磁性砥粒は砥粒と磁性体との混合物であり、化学反応によって混合させることもあるが、水分制御装置1により磁性砥粒の混合状態を良好にすること等により、磁気研磨の質を向上することができる。
【0107】
また、水分制御装置1は、例えば、感染防止装置、静菌装置、殺菌装置、滅菌装置、酸化還元装置、水分活性装置、腐敗防止装置、雑菌増殖防止装置、乾燥防止装置、味覚安定装置、味覚向上装置、味覚復帰装置、及び、鮮度復帰装置等に適用できる。
【0108】
また、水分制御装置1は、例えば、製造分野、流通分野、物流分野、保管分野、販売分野、工業分野、建築分野、土木分野、機械分野、電気分野、電子分野、通信分野、光学分野、化学分野、石油化学分野、エネルギー分野、畜産分野、農業分野、商業分野、水産分野、食品分野、飲食分野、調理分野、サービス分野、医療分野、健康分野、福祉分野、及び、介護分野等の少なくとも1つの分野に適用することができるが、これに限定されるものではなく、さらに広く対象となる物質を扱うあらゆる分野に適用可能である。
【0109】
図18は水耕栽培の比較結果である。上の3枚の写真は従来の栽培方法であり、下の3枚の写真は本実施形態の水分制御装置1により水を処理した栽培方法である。左から順に、1日目、7日目、12日目の写真である。従来の栽培方法(
図18の上の3枚の写真)では、葉物野菜の育成状況が場所によって異なり、また、藻が発生している。これに対して、本実施形態の水分制御装置1により水を処理した栽培方法(下の3枚の写真)の方が、葉物野菜の育成状況が良好であり、成長の程度は場所によらず揃っており、育成も早く、さらに、藻の発生も低減することができる。
【0110】
図19は生花の保存の比較結果であり、保存を開始し、26日後の写真である。右の写真は本実施形態の水分制御装置1の電極を設置し、電磁場を印加した場合の結果であり、左の写真は未処理の場合の結果である。左の写真では花がしおれている。これに対して、右の写真では花が生き生きとした状態を保っており、保存を介した当時と大きな変化がない。また、
図19では開花した状態のバラを用いたが、他の花でも同様に効果が有り、また、つぼみの状態で保存した場合には、つぼみの状態を維持することができる。例えば、つぼみの状態で本実施形態の水分制御装置1によりの電磁場を印加し、電磁場を印加している間はつぼみの状態で保存され、水分制御装置1の電源をオフすると、通常の速度で開花が始まる。これにより、生花を見ごろの状態で保存することができる。電極の配置方法としては、一対の平板状電極を花の左右又は上下に配置する方法、一対の平板電極を同一平面上に隣接して配置して、その上に花を置く方法等がある。花を保蔵する冷蔵倉庫に電極を配置する場合には、例えば一対の電極を、冷蔵倉庫の天井面と床面に配置する方法、天井面と1つの壁面に配置する方法、一対の壁面に配置する方法等がある。なお、電極の個数、配置、形状は、特に特定されるものではなく、その個数は一対に限定されるものではく、1枚でも、3枚以でも、2対以上でもよく、例えば後述の
図30~41等を参照されたい。
【0111】
本実施形態の水分制御装置1によりの球根や種に電磁場を印加することにより、発芽率を向上させることができる。通常の発芽率が70~85%程度なのに比較し、本実施形態の水分制御装置1を用いると発芽率を98%程度まで向上することができる。卵の孵化率についても、同様に向上することができる。例えば一対の電極により直接電磁場を印加する方法の他に、水分制御装置1により所定時間処理した水を供給する方法よっても、改善効果を奏する。
【0112】
本実施形態の水分制御装置1の一対の電極13,14を設置し、電磁場を印加すると、その電極間の空間の湿度を一定に保持する効果がある。湿度を一定に保つと、摩擦が生じなくなるため、温度保持効果も奏する。これにより、本実施例の水分制御装置1により、空間の温度及び湿度を制御することが可能である。
【0113】
図20はアクアリウムの防汚についての比較結果である。上の写真は設置時の写真であり、右上が本実施形態の水分制御装置1の一対の電極13,14を設置したもの、左上が、未処理のものである。下の写真は67日後の写真であり、左下が本実施形態の水分制御装置1の一対の電極13,14を設置したもの、右下が未処理のものである。右下の写真では汚れが目立つの対して、左下の写真ではほとんど汚れがついていない。なお、アクアリウムの水中に一対の電極を配置した。
【0114】
図21は血流改善についての比較グラフである。マウス下肢虚血モデルとして、マウス、BALB/c、♂ 8週齢(モデル作製時)を用い、次の手順で下肢虚血モデルマウスを作成した。
1) マウスを2%イソフルラン吸入麻酔下にて,仰臥位に固定
2) 左大腿動脈を露出させる.大腿動脈起始部を絹糸で結紮
3) 大腿動脈と浅腹壁動脈の分岐部直前を結紮
4) 結紮後,大腿動脈を切除
このモデルを本実施形態の水分制御装置1の電極により電磁波を印加したものと、未処理のものとに分け、比較した。
図21の血流比のグラフ、すなわち血流比=虚血肢の血流量/正常肢の血流量から、14日後に本実施形態の水分制御装置1により優位な効果が有ることが示されている。なお、電極の配置としては、例えば一対の電極を、マウスのケージの内面の中、天井面と床面とに配置する方法、一対の対向する側面に配置する方法、1つの側面と天井面又は床面とに配置する方法があり、このような方法の場合、患部だけに電極を固定するような必要がないため、実際の治療に際しても有用である。また、電極の個数、配置、形状は、特に特定されるものではなく、その個数は一対に限定されるものではく、1枚でも、3枚以でも、2対以上でもよく、例えば後述の
図30~41等を参照されたい。
【0115】
図22は血流改善についての血流画像である。
図22は、血流画像化装置moorFLPI (Moor Instruments Ltd.)を 用いて両肢の血流量を測定した血流画像である。下の写真が本実施形態の水分制御装置1の電極により電磁波を印加したモデルであり、上の写真が未処理のモデルである。向かって右側足が下肢虚血処理を施した方の足であり、向かって左側の足が正常な状態である。向かって右側足が下肢虚血処理を施した方の足で比較すると、14日後に下の写真の方が白い部分が多く、より血流が改善されていることが示されている。
【0116】
図23は糖尿病に対する血糖値改善についての比較グラフである。実験にはマウスを使用し、遺伝子製肥満KK-Ay(黄色)、KK(白)、及び正常のC57BL/6J(黒)の雌マウスをもちいた。KK-Ay、KKの体重はC57BL/6Jの約2倍、50g以上である。このマウスを本実施形態の水分制御装置1の電極により電磁波を印加したものと、未処理のものとに分け、比較した。
図23では、試験開始から7日目~14日目にかけて本実施形態の水分制御装置1による優位性が示された。なお、電極の配置としては、例えば一対の電極を、マウスのケージの内面の中、天井面と床面とに配置する方法、一対の対向する側面に配置する方法、1つの側面と天井面又は床面とに配置する方法があり、このような方法の場合、患部だけに電極を固定するような必要がないため、実際の治療に際しても有用である。また、電極の個数、配置、形状は、特に特定されるものではなく、その個数は一対に限定されるものではく、1枚でも、3枚以でも、2対以上でもよく、例えば後述の
図30~41等を参照されたい。
【0117】
図24は糖尿病に対するHbA1c値改善についての比較グラフである。
図23の場合と同様の実験により、マウスのHbA1c値改善を比較した。調査期間の3週間にわたって、HbA1cの値は、本実施形態の水分制御装置1を用いた方が、未処理のものを下回った。
【0118】
血流改善効果があるため、本実施形態の水分制御装置1は、褥瘡改善、壊死予防ないし改善、循環器系疾患改善にも効果があることが分る。また、本実施形態の水分制御装置1は、血液ないし血液成分の保存、糖尿病改善、慢性腎臓病改善、人工透析の改善、血流改善、血管再生、末梢神経障害改善、関節症ないしリウマチ改善、臓器保存、抗腫瘍効果、虚血改善、リンパ浮腫改善、褥瘡改善、壊死予防ないし改善、循環器系疾患改善、又は、感染症対策等にも効果がある。例えば本実施形態の水分制御装置1を医療分野に適用した場合には、例えば人工透析、糖尿病治療、褥瘡防止、壊死防止、及び、循環器障害の防止等にも効果を奏する。
【0119】
本実施形態の水分制御装置1は、血液ないし血液成分の保存にも利用できる。血液成分のうち、血小板は使用期限まで4日しかないため、輸血の需要状況に応じた献血が必要となる。また、血小板の保存では雑菌増殖が問題となる。本実施形態の水分制御装置1は、雑菌の繁殖を抑える効果があることから、血小板の保存にも適用可能である。また、血小板だけでなく、血液ないし血液成分の保存にも適用可能である。電極は血液の容器ごとに設ける必要は無く、例えば、血液容器を保管する所定のスペースに対して、一対の電極を対向するように設ければよい。
【0120】
図25はゴーカートによるガソリンの燃費改善についての比較結果である。左の写真は実験に使用したゴーカートであり、右の写真はガソリン残量の計測結果である。ガソリンに対して本実施形態の水分制御装置1の電極により1時間、電磁場を印加したものと、同一のガソリンであって処理しないものとを準備し、中を洗浄したゴーカートのエンジンにガソリンを給油して1時間アイドリングさせた後のそれぞれのガソリンの残量を計測した結果、本実施形態の水分制御装置により燃焼効率が5%向上することが示された。
【0121】
表12は、自動車の燃費検証実験の結果である。エンジンはホンダL15A、エンジン制御はMOTEC、エンジン回転数は2000RPM、油温75℃±5℃の条件で測定した。
項番1のコントロール1は未処理のガソリンを用いて、燃料自動調整機能OFFとして、負荷のある状態で測定した。項番2~6は、平板電極でガソリンが入ったポリジョウゴを挟んで、30分間処理したガソリンを使用した。項番7~8は、フレキシブル電極をガソリン内に沈めて30分間処理した。項番9のコントロール2は未処理のガソリンを用いて、燃料自動調整機能OFFとして、無負荷の状態で測定した。項番10は、平行電極を水平に設置した上にガラス容器に入れたガソリンを乗せて、30分間処理したガソリンを用いて、燃料自動調整機能OFFとして、無負荷の状態で測定した。表12に示されているように、本実施形態の水分制御装置1により燃料消費率が改善していることが分かる。
【表12】
【0122】
図26及び
図27には、本実施形態の水分制御装置1により食用油と水との界面張力が低下することを示すグラフである。
図26は、印加電圧の周波数と電圧値(0~75V)を変化させた際の食用油と水の界面張力のグラフであり、
図27は、電極への印加電圧の周波数と電圧値(0~150V)を変化させた際の食用油と水の界面張力のグラフである。
図26及び
図27は、前述の[界面張力の低下について]の項目で説明した測定装置と異なり、円筒状の容器内に、下層に水を、上層に食用油を、両者の界面が接する状態で入れ、この容器内に一対のステンレス電極を挿入し、様々な周波数及び電圧値の交流電圧を印加しながら、食用油と水との界面張力を測定した。界面張力の測定にはFace Automatic Surface Tensiometer(協和界面科学株式会社)を用いた。なお、電極としては一対の平板電極を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば円筒状の容器の内壁に沿うような曲面状の電極、あるいは、ステンレス箔のようなフレキシブルな電極を容器の内面に沿うように配置させてもよい。
【0123】
図26は、電極に印加した交流電圧は、周波数を10kHz~50kHz、電圧を0V~75Vの間で変化させた時の食用油と水の界面張力のグラフである。
図26から、食用油と水の界面張力は、電極に印加される交流電圧の周波数及び電圧値と関連性を有することが分かる。すなわち、周波数が50kHzから、20kHzへ、さらに、10kHzに低下するほど、界面張力が減少している。また、電圧値が0Vから75Vへ上昇するほど、界面張力は減少している。したがって、これらの界面張力と電極に印加される交流電圧の周波数及び電圧値と関連性とを利用することにより、水分制御装置1は印加電圧を調整することにより、界面張力を制御することが可能である。例えば、水分制御装置1をフライヤーに適用する場合には、前述のように界面張力が低下すると食物に内包される水分が離脱する際に、食用油中で粒径の小さな微小水滴となって分散しやすくなるため、加熱されている食用油中で水蒸気となって気化しても、発生する突沸は小さくなるが、この際に、水分制御装置1により界面張力を制御することにより、突沸の程度を調節できるようになるため、様々なフライヤーによる調理条件、食材の種類や状態や量等に応じた電極への印加電圧の設定が可能となる。これにより、フライヤーによる調理条件が異なる場合にも、適切な電圧を電極に印加することにより、界面張力を適正に制御できるので、調理された食物の食感及び食味が非常に優れたものとなる。これは、電極に印加する電圧をフィードバック制御する場合にも有用である。また、界面張力は測定ないし予測可能であるため、界面張力を制御パラメータの1つとして利用することも可能である。
【0124】
図27は、電極に印加した交流電圧は、周波数を10kHz~20kHz、電圧を0V~160Vの間で変化させた時の食用油と水の界面張力のグラフである。
図27は、特定の実験装置による測定例であり、この測定結果を全ての測定系に拡大することはできないまでも、界面張力と電極に印加される交流電圧の周波数及び電圧値と関連性があることが示されている。この関連性を利用して、電極に印加される交流電圧の周波数及び電圧値を調整することにより、界面張力の最適化が可能となる。本実施形態の水分制御装置1の効果と、界面張力との関係が明らかになったことにより、フライヤーの場合だけは無く、他の適用対象、例えば保冷や保蔵等に用いる場合にも、界面張力との関係からその効果の最適化を図ることが可能となる。上述の界面張力の測定は比較的容易であるため、本実施形態の水分制御装置1の最適化を、界面張力との関係から分析できることにより、電極に印加する電圧の制御をより適切に、かつ、より容易に行うことができる。
【0125】
図28は、油中での水滴滴下についての写真であり、食用油中に細い管(直径1.0mmの金属ストロー)から生理食塩水を滴下する際に、細い管の先端周囲を囲むように環状電極を設け、細い管と環状電極との間に100Vの電圧を印加した場合の様子が示されている。電圧を印加しない場合、
図28Aのように、水滴は油中に滴下しない。電圧を印加すると食用油と生理食塩水との界面張力が低下し、
図28Bにように、水滴が油中に滴下される。
図28Cは、
図28Bの滴下の様子を拡大したものである。
図28Cでは、滴下される水滴の周囲に、微小水泡が散らばっている様子が確認できる。電圧を印加すると界面張力が低下するため、水滴の粒径が小さくなることに加え、水滴の滴下に伴い、微小水泡が生成される。
【0126】
図29は、
図28の実験の拡大図である。電圧を印加した際に、食用油中に生理食塩水の水滴が滴下されるが、この水滴の滴下の瞬間をハイスピードカメラにて観察したものである。
図29Aは電圧印加前、
図29Bが電圧印加開始時、
図29Cが電圧印加後の様子を示し、時系列に
図29A、
図29B、
図29Cの順番となる。電圧を印加すると
図29B及び
図29Cに示されているように、微細水泡が確認できる。なお、電気分解により電極から発生する気体との区別が鮮明でない部分もある。
【0127】
[実施形態2]
図30を参照して、実施態様2に係る水分制御装置、水分制御方法、及びプログラムについて説明する。
図30は、実施形態2に係る電極の概念図である。
図1~
図29と同様の構成については同一の符号を用いると共に、その説明を省略する。実施態様2に係る水分制御装置は、電極を2対とした点で実施形態1に係る水分制御装置と異なる。
【0128】
水分制御装置1Aは、コントローラ10A,10Bと、二対の電極としての第1電極13,14及び第2電極15,16を、備えている。コントローラ10A,10Bはそれぞれ、交流成分電圧発生部及び直流成分電圧発生部を備えている。コントローラ10A,10Bの実際の回路構成においては、交流成分電圧発生部及び直流成分電圧発生部を別々に設ける必要はなく、両者の機能を兼ねる回路構成とすることもできる。また、2つのコントローラ10A,10Bを1つのコントローラとして構成することも可能である。そして、第1電極13,14及び第2電極15,16から同様な電磁波を発生させるのであれば、1つのコントローラから第1電極13,14及び第2電極15,16の両方に電圧を印加するようにしてもよい。
【0129】
水分制御装置1Aは、コントローラ10A及び10Bにより駆動され、第1電極の一対の電極13,14間、及び、第2電極の一対の電極15,16間に電場が発生する。このとき、電極13~16はそれぞれアンテナとして機能し、第1電極の両電極13,14間、及び第2電極の両電極15,16間にそれぞれ電磁波が放射されることにより、電磁場が発生する。したがって、両電極13~14,15~16間には、電場、磁場、電磁場及び電磁波の中の少なくとも1つが発生する。また、実施形態1と同様に、電極13,14に対して、電気的、磁気的あるいは機械的な手段により振動を与えることにより、電極間に音波及び/又は超音波を発生させることもでき、さらに、所定の音波及び/又は超音波により水分子を振動させた場合には、電極間に電圧を印加しない場合であっても、水分子を整列させることが可能である。
【0130】
第1電極13,14間及び第2電極15,16間には、処理対象とする物質が配置されるようにする。処理対象とする物質としては、実施形態1と同様に、固体、液体及び気体の少なくとも1つものであれば、特に限定されるものではない。本実施形態の水分制御装置1Aを冷蔵庫に設置する場合には、例えば第1電極13,14を冷蔵庫内の側面に設置し、第2電極15,16を冷蔵庫の天井面、底面又は棚板に設置することができる。
図30では、第1電極13,14と第2電極15,16とが直交するように配置される例が示されているが、本発明はこれに特定されるものではなく、第1電極13,14により発生する電磁場と第2電極15,16により発生する電磁場との少なくとも一部が処理対象とする物質に作用するのであれば、第1電極13,14と第2電極15,16とはどのような配置でも構わない。
【0131】
コントローラ10A,10Bは図示されない検出器からの検出信号に基づいて電極に印加される電流値、電圧値、周波数及び位相の少なくとも1つをフィードバック制御する。検出器は電極に印加される電圧を検出する電圧センサ、電極に印加される電流を検出する電流センサ、電極に印加される電圧及び/又は電流の周波数を検出する周波数センサ、両電極13~14、15~16間の磁場を検出する磁場センサ、及び、両電極13~14、15~16間の電場を検出する電場センサ、電圧の位相検出センサ、電流の位相検出センサ、及び、電圧と電流との位相検出センサの少なくとも1つを含む。
【0132】
コントローラ10A,10Bにおける電流値、電圧値、周波数及び位相の少なくとも1つの制御目標値は、処理対象とする物質の種類や状態に応じて設定される。そして、コントローラ10Aから第1電極13,14に印加する電流、電圧、周波数及び位相は、それぞれコントローラ10Bから第2電極15,16に印加する電流、電圧、周波数及び位相と同一であっても、異なっていても構わない。例えば、両者の電圧と周波数とを異なるものとすること、両者の周波数のみを異なるものとすること、両者の周波数と位相とを異なるものとすること等、各種の組み合わせが可能である。
【0133】
この制御目標値の設定は、図示されない通信器を介して、遠隔で設定することが可能である。また、コントローラ10A,10Bの制御パラメータや制御量を遠隔制御することも可能である。これにより、複数の水分制御装置1Aのコントローラ10A,10Bを遠隔地にあるサーバ40で集中管理し、各コントローラ10A,10Bを適切に制御することが可能である。ただし、コントローラ10A,10Bの制御の態様は、サーバ40からの遠隔制御に限定されるものではなく、例えば各コントローラ10A,10Bに直接、制御目標値を設定したり、制御パラメータを設定したりすることにより、各水分制御装置1Aのコントローラ10A,10Bを個別に制御することも可能である。
【0134】
なお、
図31は実施形態2の変形例に係る電極の概念図であり、
図31Aは1つの電極を用いる例であり、
図31Bは1つの電極と当該電極に対向する2つの電極を用いる例である。実施形態1では一対の電極を用いる例を、実施形態2では二対の電極を用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば1個の電極を用いること、3個等の奇数の電極を用いること等も可能である。例えば
図31Aに示すように、1個の電極17によっても電磁波を発生することができる。また、例えば3個の電極を用いる場合には、
図31Bに示すように1個の電極18に対して2個の電極19,20を対向させることや、あるいは、3個の電極から異なる電磁波を発生させることも可能である。したがって、電極の個数や配置は任意に設定でき、限定されるものではない。
【0135】
[実施形態3]
図32及び
図33を参照して、本発明の実施態様3に係る水分制御装置、水分制御方法、及びプログラムについて説明する。
図32は、実施形態3に係る異なる周波数の電圧を用いた場合の波形図であり、
図33は、実施形態3に係る異なる位相の電圧を用いた場合の波形図である。
図1~
図31と同様の構成については同一の符号を用いると共に、その説明を省略する。実施態様3に係る水分制御装置1Bは、一対の電極から、それぞれ異なる電磁波を発生させた点で実施形態1及び実施形態2に係る水分制御装置と異なる。
【0136】
図32では、一対の電極21A,21Bの一方の電極21Aから50kHzの周波数の電磁波(P波)を発生させ、他方の電極21Bから47kHzの周波数の電磁波(Q波)を発生させている。ここで、電磁波の振幅をAとすると、P波及びQ波はそれぞれ次の式で表される。なお、時刻t=0において、共にV(t)=0となる位置(例えば両電極21A,21Bのちょうど中間の位置)での式として表す。
P波:V(t)=Asin(2πf
1t),f
1=50kHz
Q波:V(t)=Asin(2πf
2t),f
2=47kHz
これにより、一対の電極21A,21B間には、
図32CのようにP波+Q波の電磁波が印加されることになる。
【0137】
図33A及び
図33Bでは、一対の電極22A,22Bの一方の電極22Aから50kHzの周波数の電磁波(P波)を発生させ、他方の電極22Bから30kHzの周波数の電磁波(Q波)を発生させている。両波形の位相αは両者ともα=0で一致している。ここで、電磁波の振幅をAとすると、P波及びQ波はそれぞれ次の式で表される。なお、時刻t=0において、共にV(t)=0となる位置(例えば両電極22A,22Bのちょうど中間の位置)での式として表す。
P波:V(t)=Asin(2πf
1t),f
1=50kHz
Q波:V(t)=Asin(2πf
2t),f
2=30kHz
これにより、一対の電極22A,22B間には、
図33BのようにP波+Q波の電磁波が印加されることになる。
【0138】
図33C及び
図33Dでは、一対の電極23A,23Bの一方の電極23Aから周波数50kHz、位相α=0の周波数の電磁波(P波)を発生させ、他方の電極23Bから周波数30kHz、位相α=π/2の電磁波(Q波)を発生させている。すなわち両波形の位相はπ/2に設定されている。ここで、電磁波の振幅をAとすると、P波及びQ波はそれぞれ次の式で表される。なお、時刻t=0において、P波V(t)=0、Q波V(t)=Aとなる位置(例えば両電極23A,23Bのちょうど中間の位置)での式として表す。
P波:V(t)=Asin(2πf
1t),f
1=50kHz
Q波:V(t)=Asin(2πf
2t+π/2),f
2=30kHz
これにより、一対の電極23A,23B間には、
図33DのようにP波+Q波の電磁波が印加されることになる。
【0139】
図32,
図33A,
図33Bでは両電極からそれぞれ周波数の異なる電磁波を発生させ、
図33C,
図33Dでは両電極から周波数及び位相の異なる電磁波を発生させたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば両電極に印加する交流成分電圧を調整して電磁波のピーク間電圧を制御することや、両電極に印加する直流成分電圧を調整して、交流成分電圧に対してオフセット電圧として直流成分電圧を印加することや、両電極に印加する直流成分電圧を異ならせることや、両電極に印加する交流成分電圧のピーク間電圧値、周波数及び位相を異ならせること等も可能である。
【0140】
[実施形態4]
図34~
図41を参照して、本発明の実施態様4に係る水分制御装置、水分制御方法、及びプログラムについて説明する。
図34は、電極13A,14Aを既存の冷蔵庫に設置した例であり、
図35は、電極13B,14Bを既存のコンテナに設置した例であり、
図36は、電極13C,14Cを既存のフライヤーに設置した例である。
図1~
図33と同様の構成については同一の符号を用いると共に、その説明を省略する。実施態様4に係る水分制御装置では、電極13,14の具体的な配置が例示されており、電極13,14の態様は、実施形態1~3と同様である。
【0141】
図34では、電極13A,14Aは既存の冷蔵庫に設置されている。筐体50Aとしての冷蔵庫に設置される電極13A,14Aは断面略L字状の導電性(例えば銅、鉄、ステンレス、アルミニウム等)の板状部材から構成され、特に限定されるものではないが、底板には複数の孔(例えば6角形等の多角形や円形の孔)が設けられている。両電極13A,14Aの間は連結具41により連結されている。連結具41は、例えばポリテトラフルオロエチレン(例えばテフロン(登録商標))等のフッ素樹脂などの絶縁性材料からなる略長方形状の薄板である。なお、筐体50Aとしての冷蔵庫としては、家庭用の冷蔵庫や、業務用の大型冷蔵庫等、多様な態様の冷蔵庫を包含する。
【0142】
電極の形状は略L字形状に限定されるものではなく、例えば平板状や薄膜状であってもよい。この場合、各電極13A,14Aを筐体50Aとしての冷蔵庫の内壁に対向して設置することもできる。あるいは、各電極13A,14Aを冷蔵庫の天井面、床面、あるいは、棚に対向して設置することができる。あるいは、各電極13A,14Aを扉側の面と、奥側の面とに対向して設けることもできる。また、電極の数は少なくとも1個であればよく、例えば2個でも、4個でも、6個でも構わない。
【0143】
筐体50Aとしての冷蔵庫に設置される電極13A,14Aから、庫内の食物に電磁場が印加されると、食物内に包含される自由水等の水分としての水粒子同士が引き合うようにして連珠配列を形成する。このように規則的に配列された水分子は、物質内に保持されながら、他の成分と結合しないため、食品を新鮮でみずみずしい状態に保つことができる。
【0144】
図35では、電極13B,14Bは既存のコンテナに設置されている。筐体50Bとしてのコンテナに設置される電極は断面略L字状、あるいは、断面略コ字状の導電性(例えば銅、鉄、ステンレス、アルミニウム等)の板状部材から構成され、特に限定されるものではないが、底板には複数の孔(例えば6角形等の多角形や円形の孔)が設けられている。両電極13B,14Bの間は、必要に応じて連結具41Bにより連結されている。連結具41Bは、例えばポリテトラフルオロエチレン(例えばテフロン(登録商標))等のフッ素樹脂などの絶縁性材料からなる略長方形状の薄板である。なお、
図35には比較的大型のコンテナが図示されているが、筐体50Bとしてのコンテナとしては、携帯可能な小型のコンテナや、大型貨物用のコンテナ等、多様な態様のコンテナが包含される。
【0145】
電極の形状は略L字形状に限定されるものではなく、例えば平板状や薄膜状であってもよい。この場合、各電極13B,14Bを筐体50Bとしてのコンテナの内壁に対向して設置することもできる。あるいは、各電極13B,14Bをコンテナの天井面及び床面に対向して設置することができる。あるいは、各電極13B,14Bを扉側の面と、奥側の面とに対向して設けることもできる。また、電極の数は少なくとも1個であればよく、例えば2個でも、4個でも、6個でも構わない。
【0146】
筐体50Bとしてのコンテナに設置される電極13B,14Bから、例えばコンテナ内の食物に電磁場が印加されると、食物内に包含される自由水等の水分としての水粒子同士が引き合うようにして連珠配列を形成する。このように規則的に配列された水分子は、物質内に保持されながら、他の成分と結合しないため、食品を新鮮でみずみずしい状態に保つことができる。また、電極13B,14Bが設置されたコンテナは、冷蔵倉庫や冷凍倉庫や鮮度維持倉庫等に配置して、所望の保蔵温度帯の中で管理されてもよいが、特別な鮮度維持機能を備えていない倉庫に配置した場合にも、電極13B,14Bが設置されたコンテナは、食品の鮮度を保持することが可能である。
【0147】
図36では、電極13C,14Cは既存のフライヤー(筐体50C)の油槽内に設置されている。筐体50Cとしてのフライヤーに設置される電極13C,14Cは断面略L字状の導電性(例えば銅、鉄、ステンレス、アルミニウム等)の板状部材から構成され、特に限定されるものではないが、底板には複数の孔(例えば6角形等の多角形や円形の孔)が設けられている。また、電極13C,14Cの底面はフライヤーの油槽内の底面に沿うように設置される。フライヤーの油槽の外側、
図36の例では油槽の底面の外側には、加熱部51が設けられている。電極13C,14Cにはそれぞれコントローラ10と電気的に接続されており、コントローラ10の出力電圧は各電極13C,14Cに印加される。
【0148】
電極13C,14Cから、フライヤーの油槽内に電磁場が印加されると、油/水界面の界面張力は低下し、また、食物に内包される自由水は印加される電磁場によって連珠配列されることにより、食材から水分が離脱しにくくなる。このように食物に内包される水分を制御して突沸を抑制することで食物内への油分の浸透を抑制する効果を奏する。また、それにより、調理された食物の食感及び食味が非常に優れたものとなる。
【0149】
実施形態4では、両電極13,14に常に電圧及び/又は電流を印加する例を説明したが、本発明はこれに限定されるもではなく、物質が載置されている筐体50内の両電極13,14に対して常に電圧及び/又は電流を印加するのではなく、所定のタイミングないし所定の時間だけ電圧及び/又は電流を印加するようにしてもよい。例えば、筐体50Aが冷蔵庫の場合に、電極13A,14Aにより庫内の食物に電磁場を1時間印加し、その後47時間は電極13A,14Aに電圧及び/又は電流を印加しないで、その後また庫内の食物に電磁場を1時間印加するという電磁場の印加パターンにより、庫内の食物の鮮度を常に保持することが可能であり、また、そのために電力消費を低減することができる。これは、電極13A,14Aにより庫内の食物に電磁場を1時間程度印加することにより、食物内に包含される自由水等の水分としての水粒子同士が引き合うようにして連珠配列を形成し、その後は電磁場が無い状態でも所定の時間は水分子の連珠配列が維持されるためであると考えられる。電極13A,14Aにより庫内の食物に電磁場を印加する時間、及び、その後電極13A,14Aに電圧及び/又は電流を印加しない時間は、庫内の食物の種類や状態、保蔵温度・湿度等に応じて、適宜設定することができる。また、庫内に新たに食品が入庫されたタイミングで、庫内の食物に電磁場を印加する期間を設けるようにするとよい。なお、庫内に新たに食品が入庫されたことは、例えば庫内カメラや扉の開閉により検知することが可能である。
【0150】
例えば筐体50Bがコンテナの場合にも、電極13B,14Bによりコンテナ内の食物に電磁場が1時間程度印加されると、食物内に包含される自由水等の水分としての水粒子同士が引き合うようにして連珠配列を形成し、一旦水分子が連珠配列となると、その状態は電磁場が無い状態でも所定の時間は維持される。このため、電極13B,14Bによりコンテナ内の食物に電磁場を印加した期間の後に、所定時間の電磁場を印加しない期間を設け、また電磁場を印加する期間を設けることにより、電力消費を低減した鮮度維持が可能となる。特に、電源がバッテリーである場合には、消費電力が低減されることにより、一回の充電当たりの鮮度維持期間を長くすることが可能である。電磁場を印加する期間は1時間に限定されるものではなく、また、電磁場を印加しない期間も適宜設定可能であり、これらの期間は、コンテナ内の物質の種類や状態、コンテナを保管する温度や湿度等に応じて適宜調整することができる。また、コンテナ内に新たに物質が載置されたタイミングで、コンテナ内の物質に電磁場を印加する期間を設けるようにするとよい。なお、コンテナ内に新たに物質が入庫されたことは、例えばコンテナ内カメラ、マンマシンインターフェイス31からの信号や、コンテナが入庫された倉庫の管理データベースの情報等により、検知することが可能である。
【0151】
また、例えば筐体50Cがフライヤーの場合にも、電極13C,14Cからフライヤーの油槽内に電磁場を常時印加する必要はなく、電極13C,14Cによりフライヤーの油槽内に電磁場を印加した期間の後に、所定時間の電磁場を印加しない期間を設け、また電磁場を印加する期間を設けることができる。この場合にも、食物に内包される水分を制御して突沸を抑制して食物内への油分の浸透を抑制し、また、それにより、調理された食物の食感及び食味が非常に優れたものとなるという効果を持続することが可能である。フライヤーの油槽内に電磁場を印加する期間及び電磁場を印加しない期間は、調理する食物、油の種類及び油の温度等に応じて適宜決定することができる。
【0152】
図37~
図41は、様々な形状の電極の例を示す。なお、本実施例の電極の形状、配置、及び、電圧印加パターンは、
図1~
図41のものに限定されるものではなく、これ以外の変形例や各実施例を組わせたものを包含する。
図37は、二対の電極A、A'、B、B'、又は、一対の電極A、Bの形状、配置及び電圧印加パターンの別の実施例である。
図37Aは、対向する一対の平板電極A及びA'と、対向する一対の平板電極B及びB'とに対してそれぞれ電圧を印加するものである。
図37Bは、隣接する面に設けられた一対の平板電極A及びA'と、隣接する面に設けられた一対の平板電極B及びB'とに対しそれぞれ電圧を印加するものである。
図37Cは、対向する屈曲電極A及びBに対して電圧を印加するものである。
図37Dは、平板電極A及び平板電極Bを一辺に併設し、平板電極A及び平板電極Bにそれぞれ電圧を印加するものである。
【0153】
図38は、二対の電極A、A'、B、B'、又は、一対の電極A、Bの形状、配置及び電圧印加パターンのまた別の実施例である。
図38Aは、対向する一対の平板電極A及びA'と、対向する平板電極B及びB'とに対してそれぞれ電圧を印加するものである。
図38Bは、対向する一対の平板電極A及びA'と、隣接する面に設けられた一対の平板電極B及びB'とに対してそれぞれ電圧を印加するものである。
図38Cは、対向するコ字型電極A,Bに電圧を印加するものである。
【0154】
図39は、一対の曲面電極A、Bの形状、配置及び電圧印加パターンのまた別の実施例である。
図39Aは、半球面を半分に切った形状の電極A、Bに対して電圧を印加するものである。
図39Bは、対向する半球面状の電極A、Bに対して電圧を印加するものである。
図39Cは、円筒を高さ方向に沿って半分に切った形状の一対の電極A、Bに対して電圧を印加するものである。
図39Dは、有底円筒を高さ方向に沿って半分に切った形状の一対の電極A、Bに足して電圧を印加するものである。
【0155】
図40は、フライヤーに用いられる電極であり、幅方向に二つの電極に分割され、両者が電気的に絶縁された状態で一体に構成されている電極であり、一対の電極間に電圧が印加される。
図41では、円筒状に沿った形状であり、メッシュ状の複数の切込みが入った一対の電極が、両者が絶縁された状態で、基体(底面の黒色の部分)に設けられており、一対の電極間に電圧が印加される。
【0156】
[実施形態5]
図42を参照して、本発明の実施態様5に係る水分制御装置、水分制御方法、及びプログラムについて説明する。
図42は、水分制御装置1のブロック図である。
図1~
図41と同様の構成については同一の符号を用いると共に、その説明を省略する。
【0157】
図42は
図1に対応するブロック図である。ただし、通信部35、記憶部37及び外部電源39等は省略されている。すなわち、実際にはCPU36は、通信部35を介してサーバ等と通信を行い、記憶部37との間でデータの入出力を行い、外部電源39から電力が供給されているが、それらの動作は
図42では省略されている。また、
図1では、コントローラ10は筐体50の外部に示されているが、これに限定されるものではなく、例えばコントローラ10を筐体50の内部に設けることもできる。
【0158】
図42におけるフロー(a)~(h)について、順に説明する。フロー(a)では、マンマシンインターフェイス31からの入力により、コントローラ10のオン・オフ、動作モード、物質の種類や状態、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流の設定等のコントローラ10の設定が入力される。動作モードとしては、例えば、自動モード、物質入力モード、及び、手動設定モード等がある。自動モードでは、例えば、後述のように物質検出センサ32からの検出信号、検出器38からの検出信号及びサーバ40からの制御パラメータや制御値に応じて、物質が適切な状態となるようにコントローラ10が自動的に制御される。物質入力モードでは、例えばマンマシンインターフェイス31から物質の種類や状態を入力することにより、物質に応じてコントローラが適切に制御される。手動設定モードでは、例えば交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流を手動で設定する。以下では、特に説明がない限りは、自動モードの場合を例に挙げて説明する。また、フロー(a)では、さらに筐体50が自動調整機能を有する場合には、マンマシンインターフェイス31から筐体50に対する筐体に対する設定値を入力できるようにしてもよい。
【0159】
フロー(b)では、CPU36からの指令により、物質検出センサ32から物質に関する情報が収集される。例えば筐体50が冷蔵庫の場合、物質検出センサ32により収集される物質に関する情報としては、庫内カメラの映像、水分量センサによる食品の水分に関する検出信号、及び、温度センサや湿度センサの検出信号(冷蔵庫に内蔵されたセンサからの検出信号も含む)等が含まれる。また、例えば筐体50がコンテナの場合、物質検出センサ32により収集される物質に関する情報としては、コンテナ内カメラの映像、コンテナ内の温度センサや湿度センサの検出信号、及び、コンテナに設けられたGPSからの信号(なお、GPSをコントローラ10に設けることも可能である)等が含まれる。また、例えば筐体50がフライヤーの場合、物質検出センサ32により収集される物質に関する情報としては、調理される食品を撮影したカメラの映像、水分量センサによる食品の水分に関する検出信号、食品の温度の検出信号、フライヤーの油の温度の検出信号、フライヤーの油の種類についての情報、フライヤーの油の交換時期についての情報等が含まれる。
【0160】
フロー(c)では、CPU36からの指令により物質検出センサ32から収集された物質に関する情報は、通信部35を介してサーバ40に送信される。なお、フロー(a)における設定が物質入力モードの場合は、例えばマンマシンインターフェイス31から入力された物質の種類や状態の情報が、サーバ40に送信される。
【0161】
また、フロー(a)における設定が手動設定モードである場合には、例えば、サーバ40に交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流についての情報を送信し、サーバ40において所定の補正を行ったうえで、所定の制御パラメータや制御値をサーバ40からCPU36に対して送信するようにしてもよい。また、例えば、サーバ40における情報収集のために、手動で設定された交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流をサーバ40に送信し、制御値はCPU36において計算するようにしてもよい。また、例えば、サーバ40において上述の制御値の補正や情報収集が不要である場合には、フロー(c)においてサーバ40に出力電圧及び/又は出力電流の情報を送信する必要はない。
【0162】
サーバ40においては、物質の種類及び状態に対して適切な制御パラメータや制御値が計算される。さらに、サーバ40においては、制御パラメータや制御値を計算する際に、物質の種類及び状態以外にも、季節、天候、気象予報、日時、場所、需給予想、冷蔵庫の入出庫や収納状況、コンテナの輸送経路と交通状況、当該コンテナと関連する一群のコンテナの状況、在庫管理情報、店舗の混雑状況、経済指標、ウェッブ上の情報等の情報を、外部サーバ及びデータベース45と通信することにより参照することができる。
【0163】
物質検出センサ32により収集される物質に関する情報の中、カメラの映像からは、サーバ40において、物質の種類や状態を画像認識により判別することができる。この画像認識の際には、例えばディープラーニングを用いたAIを使用することにより、物質の種類や状態を正確に認識することができる。すなわち、食品のカメラの映像とその食品の実際の種類や状態とのデータにより訓練されたニューラルネットワークを用いて、カメラの映像から物質の種類や状態を正確に認識することができる。サーバは他のコントローラ10とも通信を行うことにより、多くの画像認識データを蓄積することができ、それにより、多様な物質に対して画像認識の精度をより高めることが可能となる。なお、コントローラ10がAIのプログラムを備えている場合には、CPU36において、画像認識を行い、フロー(c)においては画像認識の結果をサーバ40に送信することもできる。このようにコントローラ10において画像認識を行った場合には、フロー(c)におけるデータ送信の通信量を低減することができる。
【0164】
フロー(d)では、サーバ40において計算された制御パラメータや制御値がコントローラ10のCPU36に送信される。
【0165】
フロー(e)では、CPU36は、サーバ40から送信された制御パラメータや制御値を用いて、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流を制御する。
【0166】
フロー(f)では、CPU36は、検出器38により検出された検出信号に基づいて各電極13,14に印加される電流値、電圧値、周波数及び位相の少なくとも1つをフィードバック制御する。なお、検出器38により検出された検出信号には、電極に印加される電圧、電極に印加される電流、電極に印加される電圧及び/又は電流の周波数及び/又は位相、両電極13,14間の磁場、両電極13,14間の電場、及び、両電極13,14間の音波及び/又は超音波の少なくとも1つを含む。この時、フィードバックされる制御値は、CPU36において計算された制御値であってもよいが、サーバ40において計算された制御値でもよい。
【0167】
ここで、フィードバックされる制御値がCPU36において計算された制御値である場合には、フロー(d)においてサーバ40からCPU36には制御目標値が送信されている。あるいは、手動モードの場合には、フロー(a)において、制御目標値としての設定値が入力される。なお、制御目標値は、物質検出センサ32により収集される物質に関する情報に応じて時間に対して可変に設定されることができる。また、フィードバックされる制御値がサーバ40において計算された制御値である場合には、サーバ40において、フィードバックされる制御値を計算するために、フロー(c)において検出器38により検出された検出信号をサーバ40に送信し、サーバ40においてフィードバックされる制御値が計算され、フロー(d)によりサーバ40からCPU36に制御値が送信される。
【0168】
本実施形態では、検出器38を用いる例を説明したが、検出器38を用いない制御も可能である。この場合、フロー(f)は省略され、フロー(e)により交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流が制御される。なお、この場合の制御にはセンサレス制御やオープンループ制御等、各種制御が適用可能である。
【0169】
フロー(g)は、筐体50が自動調整機能を持つ場合には、CPU36からの制御指令が筐体50に送信されるようにしてもよい。筐体50が冷蔵庫である場合には、制御指令は、例えば制御指令は庫内の温度や湿度の設定値である。また、筐体50がコンテナであってコンテナに温度や湿度を調整する機能がある場合には、制御指令は、例えばコンテナに対する温度や湿度の設定値である。また、筐体50がコンテナであって、コンテナが温度や湿度を調整可能な倉庫に格納されている場合には、後述のようにフロー(i)により当該コンテナの温度や湿度の調整に関する情報が、外部サーバ及びデータベース45としての当該倉庫の管理サーバに対して送信され、他のコンテナを含めた全てのコンテナの温度や湿度の状態を適切に調整するために用いられる。また、筐体50がフライヤーである場合には、制御指令は、例えば油槽中の油の温度設定値であり、また必要に応じて、油の交換時期であることを報知してもよい。なお、筐体50が自動調整機能を有しない場合には、フロー(g)は必須の構成ではなく、この場合、例えば後述のフロー(h)において、マンマシンインターフェイス31に、CPU36からの制御指令に関する情報が表示される。
【0170】
フロー(h)では、CPU36における制御の状況として、例えば交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流の制御状況、現在扱っている物質の種類及び状態の情報、筐体50の状況(物質検出センサ32の検出情報)、筐体50が自動調整機能を有しない場合には、CPU36からの筐体50に対する制御指令に関する情報が、マンマシンインターフェイス31に表示される。また、これらの情報に加えて、マンマシンインターフェイス31には、必要に応じて、あるいは、マンマシンインターフェイス31からの操作に応じて、フロー(d)においてサーバ40から制御パラメータや制御値に加えて送られてくる情報として、例えば、季節、天候、気象予報、日時、場所、需給予想、冷蔵庫の入出庫や収納状況、コンテナの輸送経路と交通状況、当該コンテナと関連する一群のコンテナの状況、在庫管理情報、店舗の混雑状況、経済指標、及び、ウェッブ上の情報等の情報を表示することができる。これらの情報を参酌することにより操作者は物質を適切に生産、管理することができる。
【0171】
マンマシンインターフェイス31は、コントローラ10に一体とすることができる。または、マンマシンインターフェイス31は、コントローラと10と別体とすること、あるいは、コントローラ10の一部の機能と共に別体とすることもでき、この場合、マンマシンインターフェイス31を、通信機能を有する携帯端末、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、PCとして構成することができる。マンマシンインターフェイス31を、コントローラ10の一部の機能と共に別体とする場合には、コントローラ10の中の、通信部35の機能、記憶部37の機能、及び、CPU36の演算機能のいずれか少なくとも1つ、または、その一部の機能をマンマシンインターフェイス31と共に別体とすることができる。さらに、マンマシンインターフェイス31と共に、物質検出センサ32の機能や検出器38の機能又はそれらの機能の一部を一体化することも可能である。例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、又は、PCに内蔵されているカメラ機能は、物質検出センサ32として利用することが可能である。
【0172】
フロー(i)では、サーバ40は、外部サーバ及びデータベース45と通信することにより、物質の管理に必要な情報の送受信やデータ収集を行っている。サーバ40は、インターネットを介して、必要な外部サーバとの間で通信を行うことができる。このため、筐体50がコンテナである場合には、例えば当該コンテナを管理している倉庫の管理データベースや管理サーバにアクセスすることができる。
【0173】
筐体50が冷蔵庫である場合の構成例として、マンマシンインターフェイス31としてタブレット端末を用い、冷蔵庫が庫内カメラ、温度・湿度センサ、及び、温度・湿度の自動調整機能を備える例を用いて、本実施形態の作用を説明する。一例として、タブレット端末により、動作モードとして「自動モード」が、冷蔵温度として「弱」が選択され、フロー(a)によりCPUに送信された場合を説明する。
【0174】
物質検出センサ32としての冷蔵庫内のカメラにより庫内の少なくとも両電極間に保蔵されている食品を含む範囲が撮影され、その情報はフロー(b)及びフロー(c)により、サーバ40に送信され、サーバ40においては対象とする食品の種類及び状態を、例えばAIを用いた画像認識により判定する。カメラによる庫内の撮像範囲は保蔵食品の全体を撮像できることが望ましく、必要に応じて複数のカメラを配置することもできる。さらに、物質検出センサ32としての庫内の温度及び湿度センサにより検出された情報が、フロー(b)及びフロー(c)により、サーバ40に送信される。サーバ40では、画像認識により判別された食品の種類及び状態と、送信されてきた庫内の温度及び湿度の情報を用いて、両電極13,14から発生させる電磁場を考慮し、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流に関する制御パラメータや制御値を演算する。保蔵する食品の種類及び状態に応じて、例えば葉物野菜を保蔵する場合と、生の鯛を保蔵する場合と、煮物として調理済みの鯛を保蔵する場合とでは、制御パラメータや制御値が異なる。
【0175】
フロー(d)において、制御パラメータや制御値がCPU36に送信され、それらに基づいて、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流が適切に制御される。さらに、フロー(f)において、検出器38の検出値に基づいて、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流はフィードバック制御される。また、フロー(g)において、冷蔵庫の温度及び湿度がフロー(a)の情報(冷蔵温度「弱」)及びサーバ40により演算された情報等に基づいて適切に制御される。
【0176】
フロー(h)においては、保蔵されている食品に関する多様な情報を、サーバ40から送られてきた情報と共に、タブレット端末に表示可能である。タブレット端末に表示可能な情報の一例としては、保蔵されている食品の種類、状態、入庫日、賞味期限、賞味期限が近い食品の報知、保蔵されている食品を用いた料理のメニュー、調理の方法、及び、お買い物リスト等の中の少なくとも1つが挙げられる。また、フロー(i)としては、サーバ40における演算に必要なデータの取得が挙げられる。なお、サーバで入手したものと同様な情報をタブレット端末の通信機能により入手することもできるため、フロー(d)及びフロー(h)においてはURL等を送信するようにすれば、フロー(d)及びフロー(h)の通信量を低減することができる。
【0177】
次に、筐体50がコンテナである場合の構成例として、マンマシンインターフェイス31としてタブレット端末を用い、コンテナがGPSを備え、コンテナが入庫された倉庫に管理データベース及び管理サーバを備える例を用いて、本実施形態の作用を説明する。一例として、タブレット端末により、動作モードとして「自動モード」が、物質の種類及び状態として「X年Y月Z日に収穫(収穫直後)のリンゴ」との情報が、フロー(a)によりCPUに送信された場合を説明する。
【0178】
物質検出センサ32としてのGPSはコンテナの位置情報を、物質の種類及び状態の情報と共に、フロー(b)及びフロー(c)により、サーバ40に送信し、サーバ40はコンテナの位置を把握しており、例えば「X年Y月Z日に収穫のリンゴ」が搭載されたコンテナが産地から陸路で輸送され、所定の倉庫に入庫されたことを記憶している。サーバ40はインターネット回線を通じて、該当する倉庫の管理データベースにもアクセス(上記フロー(i))することができるため、コンテナの倉庫での管理状況のデータを把握することができる。
【0179】
サーバ40では、コンテナの位置情報、物質の種類及び状態、倉庫内の状態、場所、季節、天候、気象予報、及び、当該コンテナと関連する一群のコンテナの状況等のフロー(i)により取得した情報を含む各情報を用いて、両電極13,14から発生させる電磁場を考慮し、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流に関する制御パラメータや制御値を演算する。これにより、サーバ40では、「X年Y月Z日に収穫のリンゴ」を所定の倉庫で保管する場合に適切な制御パラメータや制御値を算出することができる。
【0180】
フロー(d)において、制御パラメータや制御値がCPU36に送信され、それらに基づいて、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流が適切に制御される。さらに、フロー(f)において、検出器38の検出値に基づいて、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流はフィードバック制御される。ここでは、コンテナが温度制御機能等を有しない例として説明しているため、フロー(g)は省略される。
【0181】
フロー(h)においては、コンテナに搭載されている物質に関する多様な情報を、サーバ40から送られてきた情報と共に、タブレット端末に表示可能である。タブレト端末に表示可能な情報の一例としては、コンテナに搭載されている食品の種類、状態、輸送ルートと履歴、今後の流通予定、現在格納されている倉庫、倉庫での管理状況、食べごろの時期、賞味期限、及び、他の関連するコンテナの情報の中の少なくとも1つが挙げられる。また、フロー(i)としては、当該コンテナの管理に必要な情報が、サーバ40から直接、当該コンテナが格納されている倉庫の管理データベースの管理用サーバに送られ、倉庫の管理に利用される。
【0182】
次に、筐体50がフライヤーである場合の構成例として、マンマシンインターフェイス31としてタブレット端末を用い、物質検出センサのカメラの替わりにタブレト端末のカメラを利用し、フライヤーの油温度の自動調整機能を有する例を用いて、本実施形態の作用を説明する。一例として、タブレット端末により、動作モードとして「自動モード」が、油温度として「自動」が選択され、フロー(a)によりCPUに送信された場合を説明する。
【0183】
物質検出センサ32のカメラの替わりに、タブレット端末のカメラを用いてフライヤーで調理する食品を撮影して、フロー(c)によりその情報をサーバ40に送信する。なお、タブレット端末のカメラを用いることに替えて、物質検出センサ32としてのフライヤーに備え付けのカメラを用いることもできる。なお、食品を撮影するのは、調理する食材が変更された最初だけでよい。物質検出センサ32としてのフライヤーからの油温度の情報もフロー(b)及びフロー(c)によって、サーバ40に送信される。さらに、必要に応じて、食品の水分量を測定するセンサや食品の温度を測定するセンサ等を設け、これらの情報をフロー(b)及びフロー(c)によって、サーバ40に送信することもできる。
【0184】
サーバ40においては対象とする食品の種類及び状態を、例えばAIを用いた画像認識により判定する。サーバ40では、画像認識により判別された食品の種類及び状態と、フロー(c)により送信されてきた各種情報、及び、フロー(i)で取得された季節、天候、気象予報、日時、場所、及び、店舗の混雑状況等の情報を用いて、フライヤーの油の温度を設定すると共に、両電極13,14から発生させる電磁場を考慮し、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流に関する制御パラメータや制御値を演算する。調理する食品の種類及び状態等に応じて、例えばエビフライを調理する場合と、ポテトフライを調理する場合と、鶏のから揚げを調理する場合とでは、制御パラメータや制御値、及び、フライヤーの油の温度が異なる。
【0185】
フロー(d)において、制御パラメータや制御値がCPU36に送信され、それらに基づいて、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流が適切に制御される。さらに、フロー(f)において、検出器38の検出値に基づいて、交流成分電圧発生部11及び直流成分電圧発生部12の出力電圧及び/又は出力電流はフィードバック制御される。また、フロー(g)において、フライヤーの油の温度がサーバ40により演算された情報に基づいて適切に制御される。
【0186】
フロー(h)においては、調理する食品に関する多様な情報を、サーバ40から送られてきた情報と共に、タブレット端末に表示可能である。タブレット端末に表示可能な情報の一例としては、調理される食品の種類、状態、フライヤーの油の温度、料理する個数、調理した食品の履歴、及び、次に調理する食品の予定の中の少なくとも1つが挙げられる。また、フロー(i)としては、サーバ40における演算に必要なデータの取得が挙げられる。なお、サーバで入手したものと同様な情報をタブレット端末の通信機能により入手することもできるため、フロー(d)及びフロー(h)においてはURL等を送信するようにすれば、フロー(d)及びフロー(h)の通信量を低減することができる。
【0187】
[実施形態6]
図43を用いて、本発明の実施態様6に係る水分制御装置、水分制御方法、及びプログラムについて説明する。
図1~
図42と同様の構成については同一の符号を用いると共に、その説明を省略する。実施形態1~5の水分制御装置1においては、電流ないし電圧は、電流値ないし電圧値、及び、周波数は所定の値に設定されていたが、実施形態6では、電流値ないし電圧値、及び/又は、周波数を所定の規則で、かつ、所定の範囲内で変化させる、すなわち、スイーブさせる。
図43Aは、電圧値、電流値又は周波数を直線状に連続的にスイーブさせる例を示す。
図43Bは、電圧値、電流値又は周波数を直線状にステップ状に変化させる例を示す。また、
図43Cは、例えば電圧値をステップ状に変化させると共に、周波数を直線状に連続的にスイーブさせるものであり、また例えば、周波数をステップ状に変化させると共に、電圧値を直線状に連続的にスイーブさせるものである。これによりどのような対象に対しても、自動的に、適切な電流値ないし電圧値、及び/又は、適切な周波数の電磁波を発生させることが可能となる。すなわち、スイーブの範囲内の所定のタイミングでは適切な電流値、電圧値又は周波数が発生されていることになる。なお、
図43Cは一例にすぎずこれに限定れるものでは無い。
図43Cでは一方の値が一定の間に他方の値が0からピークまでの間を一往復しているが、これに限られない。例えば、一方の値が一定の間に他方の値が0からピークまで増加し、次に、一方の値がステップ状に変化してその値で一定となった時に他方の値がピークから0へ減少するというような変化を繰り返すものとしてもよい。さらに、
図43Cにおいて一方の値がステップ状に変化して、他方の値が0からピークまでの間を連続的かつ頻繁に変化しているが、これに限定されるものではなく、例えば、一方の値がゆるやかに連続的に変化し、他方の値が0からピークまでの間を連続的かつ頻繁に変化するものとすることもできる。
【0188】
スイーブさせる規則は
図43に限定されるものではなく、直線状やステップ状の変化の他に、例えば曲線状の変化、正弦波状の変化、アナログ的な滑らかに変化、離散的な変化、ランダムな変化等であってもよい。交流電圧値、直流電圧値、交流電流値、直流電流値、周波数等を変化させることができ、この場合に、各値を1つずつ変化させること、複数の値を関連させて変化させること(例えば
図43Cの例を参照。)、複数の値を同時に変化させること等もできる。スイーブの範囲については、例えば実施形態1~5で規定した範囲内で行うことができ、あるいは、それよりもさらに広い範囲に広げることも可能である。
【0189】
任意の対象に対して、スイーブの範囲内の所定のタイミングでは適切な電流値、電圧値又は周波数が発生されていることになるが、物質検出センサ32等によるフィードバックによりコントローラ10が対象の状態を把握し、スイーブの変化のパターンと対応させて分析することにより、あるいは、サーバ側で分析することにより、自動的に適切な(あるいは最適な)電流値、電圧値又は周波数を検出することも可能になる。検出された適切な値は、その後のコントローラ10の制御に利用されると共に、サーバを介して、他のコントローラ10においても共有するようにすることも可能である。
【0190】
実施形態1では、
図5~25、表1~9において、本実施形態の水分制御装置1により電磁場を加えた場合の効果を具体的に示したが、これらの効果は実施形態2~6についても同様である。
【0191】
以上説明した実施形態1~6は、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。また、実施形態1~6を適宜変更したり、各実施形態を適宜組み合わせたりすることもできる。
【0192】
本出願は、2017年5月19日に出願された日本国特許出願2017-100354、2017年6月28日に出願された日本国特許出願2017-126102、2017年8月3日に出願された日本国特許出願2017-151155、2017年8月8日に出願された日本国特許出願2017-153591、平成29年12月31日に出願された特願2017-255302、平成30年2月9日に出願された特願2018-021666、及び、平成30年7月30日に出願された特願2018-143020に基づく。本明細書中に日本国特許出願2017-100354、日本国特許出願2017-126102、日本国特許出願2017-151155、日本国特許出願2017-153591、特願2017-255302、特願2018-021666、及び、特願2018-143020の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【符号の説明】
【0193】
1 水分制御装置
10 コントローラ
11 交流成分電圧発生部
12 直流成分電圧発生部
13~23 電極
30 活性酸素
31 マンマシンインターフェイス
32 物質検出センサ
35 通信部
36 CPU
37 記憶部
38 検出器
39 外部電源
40 サーバ
41 連結具
45 データベース
50 筐体
51 加熱部