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  • 特許-NFTマーケットプレイスシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】NFTマーケットプレイスシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/38 20120101AFI20240122BHJP
【FI】
G06Q20/38 310
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023172093
(22)【出願日】2023-10-03
【審査請求日】2023-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523131726
【氏名又は名称】株式会社美利善
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 雄策
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特許第7180943(JP,B1)
【文献】特表2022-511393(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2023-0097794(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー端末がインターネットを介して接続するサーバーと、
前記サーバーに接続されたデータベースと、
複数のノードからなるブロックチェーンに対してデータの読取/書込が可能なプロバイダーと、から構成されるNFTマーケットプレイスシステムであって、
前記サーバーは、事前に作成され前記ブロックチェーンに公開すべき情報が記録されたNFTの取引が可能に構成され、
前記データベースには、前記NFTのトークンIDに関連付けて限定公開とすべき情報が登録され、
ユーザーが前記ユーザー端末を用いて前記サーバーに接続し、前記NFTを購入した場合、前記サーバーは、前記プロバイダーを介して、前記ブロックチェーンに公開すべき情報として前記NFTの取引履歴を記録するとともに、
前記NFTの購入時に前記ユーザー端末に表示された決済画面において、前記NFTを購入した前記ユーザーが決済手続を完了し、かつ、前記ブロックチェーンに記録された前記NFTの取引履歴を確認した前記プロバイダーから、前記NFTの購入処理が完了した旨の結果が返された場合にのみ、前記NFTを購入したユーザーの前記ユーザー端末に、前記データベースに登録された限定公開とすべき情報を表示する、ように構成されるNFTマーケットプレイスシステム。
【請求項2】
前記限定公開とすべき情報が、少なくとも候補日時を含むアポイントメント関連情報を含む、請求項1に記載のNFTマーケットプレイスシステム。
【請求項3】
前記NFTを購入したユーザーの前記ユーザー端末に表示された前記候補日時から、前記NFTを購入したユーザーが日時を選択した場合、前記サーバーは、前記NFTのトークンIDに関連付けて選択された日時を前記データベースに登録する、請求項2に記載のNFTマーケットプレイスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NFTマーケットプレイスを実現するシステムに関し、より具体的には、NFT(非代替性トークン)の取引の透明性の担保と、プライバシーの確保の両立を実現するNFTマーケットプレイスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1,2に開示される様に、パブリック・ブロックチェーン技術を活用して、インターネット上でNFT(非代替性トークン)の取引を行うNFTマーケットプレイスが展開されている。
【0003】
このようなNFTマーケットプレイスにおいては、NFTの取引に必要な情報(ユーザーのウォレットアドレス、NFTの内容及び販売価格等)が開示され、パブリック・ブロックチェーン上に構築された自動執行プログラム(スマートコントラクト)に従い、ユーザー間で直接取引が行われる。
【0004】
そして、その取引履歴は、パブリック・ブロックチェーンに参加する不特定多数のコンピュータに記録されるため、取引履歴の改ざんや消去が極めて困難になっている。また、取引に必要な情報と同様に、取引履歴についても、誰もが自由に閲覧することが可能となっている。
【0005】
このため、パブリック・ブロックチェーン技術を活用したNFTマーケットプレイスでは、小規模な個人間の直接取引を迅速性・確実性・透明性を担保した形で行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2023-000072号公報
【文献】特許第7180943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方で、パブリック・ブロックチェーン技術を活用したNFTマーケットプレイスにおいては、上述するように、NFTの取引に必要な情報及びその取引履歴は誰もが自由に閲覧することが可能であり、かつ、取引履歴の消去が困難であることから、ユーザーのプライベートな情報(実名、スケジュール、連絡先などの個人のプライバシーに関わる情報)を開示することには適していない。
【0008】
しかしながら、例えば、役務の提供を伴うNFTの売買など、取引の性質によっては、相手方にプライベートな情報を提供しなければならない場合がある。このような場合、従来はNFTの取引を行うNFTマーケットプレイスとは別のサイト(オフチェーン)上で、連絡先などの個人情報の提供や、個別にスケジュールのやり取りをしなければならず、手間が掛かっていた。また、全く面識のない個人ユーザーに対して、各自の判断でプライベートな情報を提供することは、取引の確実性に欠けるのみならず、安全面からもあまり好ましくない。
【0009】
本発明では、このような現状に鑑み、NFTの取引の迅速性・確実性・透明性の担保と、ユーザーのプライバシーの確保の両立を実現することができるNFTマーケットプレイスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述するような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、本発明のNFTマーケットプレイスシステムは、以下のように構成されたものを含む。
【0011】
[1] ユーザー端末がインターネットを介して接続するサーバーと、
前記サーバーに接続されたデータベースと、
複数のノードからなるブロックチェーンに対してデータの読取/書込が可能なプロバイダーと、から構成されるNFTマーケットプレイスシステムであって、
前記サーバーは、事前に作成され前記ブロックチェーンに公開すべき情報が記録されたNFTの取引が可能に構成され、
前記データベースには、前記NFTのトークンIDに関連付けて限定公開とすべき情報が登録され、
ユーザーが前記ユーザー端末を用いて前記サーバーに接続し、前記NFTを購入した場合、前記サーバーは、前記プロバイダーを介して、前記ブロックチェーンに公開すべき情報として前記NFTの取引履歴を記録するとともに、
前記NFTの購入時に前記ユーザー端末に表示された決済画面において、前記NFTを購入した前記ユーザーが決済手続を完了し、かつ、前記ブロックチェーンに記録された前記NFTの取引履歴を確認した前記プロバイダーから、前記NFTの購入処理が完了した旨の結果が返された場合にのみ、前記NFTを購入したユーザーの前記ユーザー端末に、前記データベースに登録された限定公開とすべき情報を表示する、ように構成されるNFTマーケットプレイスシステム。

【0012】
[2] 前記限定公開とすべき情報が、少なくとも候補日時を含むアポイントメント関連情報を含む、[1]に記載のNFTマーケットプレイスシステム。
【0013】
[3] 前記NFTを購入したユーザーの前記ユーザー端末に表示された前記候補日時から、前記NFTを購入したユーザーが日時を選択した場合、前記サーバーは、前記NFTのトークンIDに関連付けて選択された日時を前記データベースに登録する、[2]に記載のNFTマーケットプレイスシステム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、NFTマーケットプレイスにおいて取引が行われた際に、NFTの取引の透明性のために公開すべき取引に必要な情報やその取引履歴のみをパブリック・ブロックチェーンに記録するとともに、取引当事者間でのみ共有すべきユーザーのプライベートな情報はオフチェーンに記録することで、NFTの取引の透明性の担保と、プライバシーの確保の両立を図ることができる。
【0015】
さらには、NFTの取引とプライベートな情報のやり取りを同一のNFTマーケットプレイス上で行えるようにすることで、ユーザーの手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態におけるNFTマーケットプレイスシステムの構成を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいて、より詳細に説明する。
なお、本明細書において、NFTマーケットプレイスシステムの運営を行う者を「サービス管理者」、NFTマーケットプレイスシステムを利用して取引に必要な情報やその取引履歴を閲覧する者を「利用者」、利用者のうち、NFTの取引を行う相談者及びアドバイザーの総称を「ユーザー」と呼ぶ。
【0018】
また、本明細書において、「公開すべき情報」とは、インターネットに接続した利用者の誰もが閲覧可能な情報であり、「限定公開とすべき情報」とは、NFTの取引当事者であるユーザーのみが閲覧可能な情報であり、「非公開とすべき情報」とは、その情報を登録したユーザー本人のみが閲覧可能な情報である。なお、「限定公開とすべき情報」及び「非公開とすべき情報」であっても、NFTマーケットプレイスの運営にあたり必要な情報は、サービス管理者にも閲覧可能な状態とすることが好ましい。
【0019】
図1は、本実施形態におけるNFTマーケットプレイスシステムの構成を説明する模式図である。
図1に示すように、本実施形態におけるNFTマーケットプレイスシステム10は、利用者端末50並びにユーザー端末50A及び50Bがインターネット70を介して接続するサーバー20を備える。
【0020】
サーバー20は、オフチェーン型のサーバーであり、例えば、ウェブサーバー、メールサーバー、カレンダーサーバー、ウェブ会議サーバー、ファイルサーバー、などの機能を有し、1台もしくは複数台のコンピュータにより構成される。
【0021】
また、サーバー20は、データベース22を備える。データベース22には、後述するように、ユーザーがウェブサイトから入力したユーザーのプライベートな情報や、アドバイザーがウェブサイトから入力したアドバイス実施の基本契約に関する情報、ブロックチェーン60から取得した取引に必要な情報及びその取引履歴が記録される。
【0022】
また、サーバー20は、プロバイダー30を備える。プロバイダー30は、複数のノード60A~60Fから構成されるブロックチェーン60に対してデータの読取/書込が可能な構成を有し、オフチェーンネットワーク(インターネット70)側と、ブロックチェーンネットワーク(ブロックチェーン60)との間でデータのやり取りを行う。
【0023】
なお、プロバイダー30は、ブロックチェーン60に対してデータの読取/書込が可能に構成されていればよく、ブロックチェーン60のノードとして構成されていてもよいし、ノードとして機能しなくとも構わない。
【0024】
ブロックチェーン60のノード60A~60Fは、各ノードが、他のノードとピア・ツー・ピアでの通信を行い、データのやり取りを行えるように構成される。各ノード60A~60Fの少なくともいずれかのノード(以下、「フルノード」と呼ぶ。)には、NFTマーケットプレイスシステム10において行われたNFTの取引について、取引に必要な情報及びその取引履歴のすべてが記録されている。フルノード以外のノード(以下、「SPVノード」と呼ぶ。)には、取引に必要な情報及びその取引履歴のうち一部の情報だけが記録されている。なお、このようなノード60A~60Fはコンピュータにより構成される。また、ノードは複数あればよく、数は限定されるものではない。なお、このようなブロックチェーン60としては、特に限定されるものではないが、例えば、イーサリアムなどのパブリック・ブロックチェーンを利用することもできる。
【0025】
なお、メールサーバー、カレンダーサーバー、ウェブ会議サーバー、ファイルサーバー、データベース22、プロバイダー30などの一部の機能については、サーバー20に実装するのではなく、例えば、Gmail(登録商標)、Google カレンダー(登録商標)、Google Meet(登録商標)、web3.storage、MetaMask、Alchemyなど、同等の機能を有した外部のサービスを利用するように構成することもできる。
【0026】
利用者端末50並びにユーザー端末50A及び50Bは、インターネット70を介して本実施形態のNFTマーケットプレイスシステム10に接続する利用者及びユーザーが利用する端末であり、例えば、スマートフォンやタブレット型コンピュータ、パーソナルコンピュータなどを用いることができる。
【0027】
このような本実施形態のNFTマーケットプレイスシステム10は、以下のように動作するよう構成される。
なお、本実施形態においては、アドバイザーがウェブ会議システムを利用して相談者にアドバイスを提供するという役務をNFTとして商品化し、NFTマーケットプレイスシステム10において販売を行い、NFTを購入した相談者が役務の提供を受ける場合を例として挙げているが、これに限らず、様々なNFTの取引に用いることができる。
【0028】
<相談者のユーザー登録>
ユーザーである相談者は、ユーザー(相談者)端末50Aを用いて、NFTマーケットプレイスシステム10を利用してNFTを購入するために、ユーザー登録を行う。
【0029】
具体的には、相談者は、ユーザー端末50Aを用いて、サーバー20に接続し、表示されたウェブサイト上で、例えば、実名、生年月日、郵便番号、住所、メールアドレス、電話番号、決済方法に関する情報などの相談者情報を入力する。ウェブサイト上で入力されたこれらの相談者情報は、非公開とすべき情報として、データベース22に登録され、相談者本人及びサービス管理者以外には非公開の状態で保管される。
【0030】
なお、メールサーバー、カレンダーサーバー、ウェブ会議サーバーなどの一部の機能について、外部のサービスを利用する場合には、外部サービスのアカウントについても相談者情報として入力するようにしておき、事前に、外部サービスを利用するための認証を行っておくことが好ましい。
【0031】
また、決済方法に関する情報としては、例えば、ウォレットアドレス、クレジットカードやデビットカードなどの情報、外部の決済サービス(例えば、Google Pay(登録商標)やApple Pay(登録商標)など)の管理アカウント、共通ポイントサービス(例えば、楽天ポイント(登録商標)やdポイント(登録商標)など)の管理アカウントなどが挙げられる。
【0032】
また、NFTマーケットプレイスとして独自ポイントを発行するようにし、相談者がこの独自ポイントを決済方法として利用できるようにしてもよい。この場合、独自ポイントは、NFTの購入に対して付与するようにしてもよいし、相談者が事前に独自ポイントを購入できるようにしてもよい。
【0033】
<アドバイザーのユーザー登録及び商品登録>
ユーザーであるアドバイザーは、ユーザー(アドバイザー)端末50Bを用いて、NFTマーケットプレイスシステム10を利用してNFTを販売するために、ユーザー登録及び商品登録を行う。
【0034】
具体的には、アドバイザーは、ユーザー端末50Bを用いて、サーバー20に接続し、表示されたウェブサイト上で、例えば、郵便番号、住所、メールアドレス、電話番号、送金先に関する情報などのアドバイザー情報を入力する。ウェブサイト上で入力されたこれらのアドバイザー情報は、非公開とすべき情報として、データベース22に登録され、アドバイザー本人及びサービス管理者以外には非公開の状態で保管される。
【0035】
なお、メールサーバー、カレンダーサーバー、ウェブ会議サーバーなどの一部の機能について、外部のサービスを利用する場合には、外部サービスのアカウントについてもアドバイザー情報として入力するようにしておき、事前に、外部サービスを利用するための認証を行っておくことが好ましい。
【0036】
なお、アドバイザーについては、サービスの提供者であることから、本人確認を厳密に行うことが好ましい。このため、eKYC(Electronic Know Your Customer)などのオンライン本人確認システムを利用したり、入力されたアドバイザー情報に基づき、サービス管理者がアドバイザーに電話や電報、本人限定受取郵便などを利用して、本人確認をすることが好ましい。
【0037】
また、商品登録に際しては、アドバイザーは、ユーザー端末50Bを用いて、ウェブサイト上で、例えば、実名、アドバイスのテーマ、イメージ画像、販売価格、アドバイス実施時間の長さ、実施期限、販売期間などのアドバイス実施の基本契約に関する情報、及び、アドバイス実施候補日時などのアポイントメント関連情報を入力する。ウェブサイト上で入力されたアドバイス実施の基本契約に関する情報は、公開すべき情報として、データベース22に登録されるとともに、それらの一部の情報は、サーバー20からプロバイダー30に送信され、プロバイダー30を介してブロックチェーン60に記録されNFT化される。
【0038】
一方で、ウェブサイト上で入力されたアポイントメント関連情報は、限定公開とすべき情報として、データベース22のみに登録される。この場合、アドバイス実施の基本契約に関する情報とアポイントメント関連情報が関連付けられて、データベース22に登録される。
【0039】
<商品の販売>
上述するように作成されたNFTは、利用者端末50並びにユーザー端末50A及び50Bを用いてサーバー20に接続し、表示されるウェブサイト上で公開される。
【0040】
また、NFT化に伴い発生する手数料(いわゆる「ガス代」。)や処理遅延の軽減のため、データベース22に登録されたアドバイス実施の基本契約に関する情報を、サーバー20からプロバイダー30を介してブロックチェーン60に記録することなくウェブサイト上で表示し、後述するNFTの購入処理が完了した時点で、その取引履歴のみをプロバイダー30を介してブロックチェーン60に記録するようにしてもよい。
【0041】
<商品の購入>
相談者はユーザー端末50Aを用いて、サーバー20に接続し、表示されたウェブサイト上で公開されているNFTから購入するNFTを選択する。この場合、ウェブサイト上では、NFT毎にアドバイス実施の基本契約に関する情報が表示され、相談者は、アドバイス実施の基本契約に関する情報を確認しながら、購入するNFTの選択を行うことができる。なお、ウェブサイト上に表示するアドバイス実施の基本契約に関する情報は、データベース22に登録されている情報を表示するようにしてもよいし、また、プロバイダー30を介してブロックチェーン60に記録されたデータを取得して表示するようにしてもよい。
【0042】
購入するNFTが決定すると、ウェブサイト上に決済画面が表示され、相談者は、表示された決済画面に従って決済手続を完了する。なお、決済手続においては、事前に登録した決済方法に関する情報を利用してもよいし、ここで、決済方法に関する情報を追加で入力して、追加された決済方法に関する情報を利用するようにしてもよい。
【0043】
なお、NFTの購入に際しては、ウェブサイト上に表示された決済画面において、相談者が決済手続を完了すると、サーバー20はプロバイダー30を介して、ブロックチェーン60にNFTの購入処理を依頼し、ブロックチェーン60上に実装されたスマートコントラクトに従い、NFTの購入処理が行われる。
【0044】
NFTの購入処理が完了した場合、ブロックチェーン60には、取引当事者(相談者及びアドバイザー)のウォレットアドレス、NFTを識別するトークンID、購入したNFTマーケットプレイス名(コントラクトアドレス)、購入日時などの取引履歴が追加される。
【0045】
なお、NFTの購入処理が完了した時点で、その取引履歴のみをプロバイダー30を介してブロックチェーン60に記録するようにした場合、ブロックチェーン60には、アドバイザーのウォレットアドレスは記録されない。
【0046】
なお、決済方法としてクレジットカードなど暗号資産以外の決済方法を用いた場合には、決済代行サービスを用いてNFTの購入を行うことになる。この場合、ブロックチェーン60には、取引当事者のウォレットアドレスだけではなく、決済代行サービス業者のウォレットアドレスも記録される。
【0047】
<スケジュールの決定>
サーバー20は、プロバイダー30に対して、定期的に、NFTの購入状況を確認する。プロバイダー30は、サーバー20からNFTの購入状況を確認されると、ブロックチェーン60に記録されたNFTを確認し、購入処理が完了しているか否かを確認し、その結果をサーバー20に返す。
【0048】
サーバー20は、ウェブサイト上に表示された決済画面において相談者が決済手続を完了し、かつ、プロバイダー30からNFTの購入処理が完了した旨の結果が返された場合にのみ、相談者に対し、ウェブサイト上にスケジュールの選択画面を表示する。
【0049】
スケジュールの選択画面では、データベース22に登録されたアドバイス実施候補日時を含むアポイントメント関連情報が表示され、相談者は表示されたアドバイス実施候補日時から希望するアドバイスの実施日時を1つ選択する。選択されたアドバイスの実施日時はNFTのトークンIDと関連付けられてデータベース22に登録され、これにより、アドバイス実施日時(アポイントメント)が確定する。
【0050】
アドバイス実施日時が確定すると、サーバー20は、カレンダーサーバーの機能で実現される相談者及びアドバイザーのカレンダーにアドバイス実施日時及びウェブ会議用URLを登録する。また、サーバー20は、メールサーバーの機能を用いて、相談者及びアドバイザーのメールアドレス宛に、アドバイス実施日時及びウェブ会議用URLが記載されたメールを送信する。
【0051】
なお、アドバイス実施日時が確定する前に、例えば、相談者がブラウザを終了させてしまったなど、スケジュールの選択画面が閉じられてしまった場合には、相談者がユーザー端末50Aを用いて改めてウェブサイトを表示した際に、アポイントメント関連情報が表示され、スケジュールの選択ができるように構成することが好ましい。
【0052】
また、決済方法としてクレジットカードなど暗号資産以外の決済方法を用いてNFTを購入する場合において、一旦、外部サービスのウェブサイトに遷移する必要があるときは、NFTの購入処理完了と同期的にスケジュールの選択画面を表示することができないため、上述するのと同様に、NFTの購入処理完了後に、相談者がユーザー端末50Aを用いて改めてウェブサイトを表示した際に、アポイントメント関連情報が表示され、スケジュールの選択ができるように構成することが好ましい。
【0053】
例えば、相談者がユーザー端末50Aを用いてサーバー20に接続した際に表示するウェブサイト上に、相談者が保有するNFTを表示し、データベース22にそのNFTのトークンIDに関連付けてアドバイス実施日時が登録されていない場合には、アポイントメント関連情報を表示するためのリンクをウェブサイト上に表示し、スケジュールの選択ができるように構成することができる。この場合、サーバー20はプロバイダー30を介して、ブロックチェーン60に記録されるNFTの保有者情報を取得して、相談者がブロックチェーン60上でNFTを保有しているかを確認するように構成する必要がある。
【0054】
また、サーバー20は、アドバイス実施日時が近づいてきた場合、メールサーバーの機能を用いて、相談者及びアドバイザーのメールアドレス宛に、リマインドのためのメールを送信するように構成することもできる。
【0055】
なお、サーバー20は、相談者とアドバイザーとの間でメッセージのやり取りを行うためのメッセージ画面をウェブサイト上に表示するように構成することもできる。具体的には、相談者がメッセージ画面に入力したメッセージは、データベース22に登録され、アドバイザーがユーザー端末50Bを用いてサーバーに接続して表示されたウェブサイト上に、当該メッセージを表示するように構成することができる。
【0056】
<アドバイスの実施>
相談者及びアドバイザーは、それぞれ、ユーザー端末50A及び50Bを用いて、アドバイス実施日時にウェブ会議用URLをブラウザなどで開くことで、サーバー20に接続し、サーバー20は、ウェブ会議サーバーの機能を用いて、ユーザー端末50Aとユーザー端末50Bとの間で音声や映像のやり取りなどが可能な状態となる。なお、ユーザー端末50Aとユーザー端末50Bとの通信は、サーバー20を介して行うように構成してもよいし、ユーザー端末50Aとユーザー端末50Bとがピア・ツー・ピアでの通信を行うように構成してもよい。
【0057】
アドバイザーは、このように準備されたウェブ会議により相談者に対してアドバイスを実施する。
なお、サーバー20は、アドバイス実施日時の経過後、プロバイダー30を介して、ブロックチェーン60に記録されたNFTのトークンIDに関連付けて、アドバイス実施が終了した旨の情報を追加するとともに、データベース22に登録されたアドバイス実施の基本契約に関する情報に関連付けて、アドバイス実施が終了した旨の情報を登録することもできる。
【0058】
このように、NFTマーケットプレイスシステム10が、取引当事者間でのみ共有すべきユーザーのプライベートな情報はオフチェーンのデータベース22のみに登録し、取引に必要な情報やその取引履歴など公開すべき情報はデータベース22に登録するとともにブロックチェーン60にも記録するように構成することで、ユーザーの手間を増やすことなく、NFTの取引の迅速性・確実性・透明性の担保と、ユーザーのプライバシーの確保の両立を実現することができる。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 NFTマーケットプレイスシステム
20 サーバー
22 データベース
30 プロバイダー
50 利用者端末
50A ユーザー(相談者)端末
50B ユーザー(アドバイザー)端末
60 ブロックチェーン
60A ノード
60B ノード
60C ノード
60D ノード
60E ノード
60F ノード
70 インターネット
【要約】      (修正有)
【課題】NFT(非代替性トークン)の取引の迅速性・確実性・透明性の担保とユーザーのプライバシー確保を実現するNFTマーケットプレイスシステムを提供する。
【解決手段】ユーザー端末50Aと、データベース22及び複数のノード60A~60Fからなるブロックチェーン60に対してデータの読取/書込が可能なプロバイダー30を有するサーバー20とが、インターネット70を介して接続するシステム10において、データベースには、NFTのトークンIDに関連付けて限定公開とすべき情報が登録され、サーバーは、事前に作成されブロックチェーンに公開すべき情報が記録されたNFTの取引が可能で、ユーザーがユーザー端末を用いて接続してNFTを購入した場合、プロバイダーを介してブロックチェーンに公開すべき情報としてNFTの取引履歴を記録するとともに、購入したユーザー端末に、データベースに登録された限定公開とすべき情報を表示する。
【選択図】図1
図1