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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】無線受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/74 20060101AFI20240122BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H04B1/74
H04B1/16 R
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019235050
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103864
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 康英
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-124474(JP,A)
【文献】特開2012-175133(JP,A)
【文献】特開平06-085698(JP,A)
【文献】特開2009-005021(JP,A)
【文献】特開2002-330040(JP,A)
【文献】米国特許第05065107(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/74
H04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側の無線通信装置において無線フレームに挿入された0系の送信装置から1系の送信装置への切替えを予告する切替予告信号を検出する切替予告信号検出部と、
前記0系の送信装置を経由する無線フレームと前記1系の送信装置を経由する無線フレームとの間のキャリア位相の誤差成分に対応するキャリア再生基準信号を生成する数値制御発振器を含むキャリア再生部と、
受信した前記無線フレームを減衰させる減衰器を含む自動利得制御部と、
前記0系の送信装置を経由する無線フレームと前記1系の送信装置を経由する無線フレームとの間のクロック位相の誤差成分によって制御される電圧制御型発振器を含むクロック再生部と、
前記キャリア再生部へと供給するパラメータを切替え可能な第1のスイッチと、
記自動利得制御部へと供給するパラメータを切替え可能な第2のスイッチと、を有し、
前記切替予告信号検出部が前記切替予告信号を検出した場合に、
前記第1のスイッチが前記キャリア再生部へと供給する前記パラメータを、復調性能を重視することを目的としてループ帯域を狭くしてノイズに対するキャリア再生ループの安定度を高くするためのパラメータ値が設定された通常動作用パラメータから、ループ帯域を広くして素早く周波数誤差を引き込むためのパラメータ値が設定された引き込み用パラメータへと切替え、
前記第2のスイッチが前記自動利得制御部へと供給する前記パラメータを、復調性能を重視することを目的としてローパスフィルタの帯域を狭くするパラメータ値が設定された通常動作用パラメータから、レベル変動に対して瞬時に引き込むように前記ローパスフィルタの帯域を広くするパラメータ値が設定された引き込み用パラメータへと切替え、
さらに、前記クロック再生部が前記クロック位相の誤差成分の検出を停止する、
ことを特徴とする無線受信装置。
【請求項2】
前記無線フレームの変調方式が四位相偏移変調である、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冗長系を有する無線通信装置に関し、特に、受信に纏わる機序としての無線受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冗長系を有する無線通信装置に関する技術として、例えば、冗長構成の切替え元装置および切替え先装置と対向装置とのコネクション維持のためにシーケンシャルなシーケンス番号管理を必要とし、管理するシーケンス番号が送達非確認である冗長構成システムであって、切替え元装置は、予め設定された一定間隔でシーケンス番号を切替え先装置に送信する手段を有し、切替え先装置は、切替え元装置から一定間隔で送信されてくるシーケンス番号を記憶する手段と、切替え元装置との切替え時にその間隔分だけ記憶しているシーケンス番号を進める手段とを有する、ものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-324833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冗長系を有する無線通信装置では、送信側において装置のメンテナンス作業や交換作業等々で装置の送信系が切替わったり(具体的には、現用系の送信系から待機系の送信系へと、または、待機系の送信系から現用系の送信系へと切替わったり)装置の異常が検出されて装置の送信系が切替わったりしたときに、受信側において、現用系の装置を経由する無線信号と待機系の装置を経由する無線信号との間のローカルの周波数オフセットやゲインオフセット(衝撃)を吸収するようにして、受信系の装置の瞬断を短くして無線フレームから伝送データを効率よく取り出すことが必要とされる。そこで、受信側で高速に引き込むためにAGC(Automatic Gain Control の略:自動利得制御)やキャリア再生について高速引き込み用のパラメータに切替える制御が行われる場合がある。しかしながら、発明者の知見によると、送信側において送信系の装置の切替えが行われたときに受信側においてクロック再生系のループ変動があり、その振る舞いがAGCやキャリア再生に影響を与える、という問題が発生する。特に、直交検波処理のデジタル化に伴い、クロックジッタの影響がキャリアジッタの原因になる構成となり、送信側における送信系の切替時のクロック再生の揺らぎが受信側においてキャリア再生の引き込みに影響を及ぼす、という問題が発生する。
【0005】
そこで本発明は、キャリア再生やAGCの引き込みを安定させることが可能な無線受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、送信側の無線通信装置において無線フレームに挿入された0系の送信装置から1系の送信装置への切替えを予告する切替予告信号を検出する切替予告信号検出部と、前記0系の送信装置を経由する無線フレームと前記1系の送信装置を経由する無線フレームとの間のキャリア位相の誤差成分に対応するキャリア再生基準信号を生成する数値制御発振器を含むキャリア再生部と、受信した前記無線フレームを減衰させる減衰器を含む自動利得制御部と、前記0系の送信装置を経由する無線フレームと前記1系の送信装置を経由する無線フレームとの間のクロック位相の誤差成分によって制御される電圧制御型発振器を含むクロック再生部と、前記キャリア再生部へと供給するパラメータを切替え可能な第1のスイッチと、前記自動利得制御部へと供給するパラメータを切替え可能な第2のスイッチと、を有し、前記切替予告信号検出部が前記切替予告信号を検出した場合に、前記第1のスイッチが前記キャリア再生部へと供給する前記パラメータを、復調性能を重視することを目的としてループ帯域を狭くしてノイズに対するキャリア再生ループの安定度を高くするためのパラメータ値が設定された通常動作用パラメータから、ループ帯域を広くして素早く周波数誤差を引き込むためのパラメータ値が設定された引き込み用パラメータへと切替え、前記第2のスイッチが前記自動利得制御部へと供給する前記パラメータを、復調性能を重視することを目的としてローパスフィルタの帯域を狭くするパラメータ値が設定された通常動作用パラメータから、レベル変動に対して瞬時に引き込むように前記ローパスフィルタの帯域を広くするパラメータ値が設定された引き込み用パラメータへと切替え、さらに、前記クロック再生部が前記クロック位相の誤差成分の検出を停止する、ことを特徴とする無線受信装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無線受信装置において、前記無線フレームの変調方式が四位相偏移変調である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、キャリア再生部へと供給するパラメータを通常動作用パラメータから引き込み用パラメータへと切替えるとともに自動利得制御部へと供給するパラメータを通常動作用パラメータから引き込み用パラメータへと切替え、さらに、クロック再生部がクロック位相の誤差成分の検出を停止するようにしているので、送信側において送信系の装置の切替えが行われた際の受信側におけるクロック再生系のループ変動の発生を回避することができ、キャリア再生部および自動利得制御部を安定的に動作させることが可能となる。特に、信号帯域に対するキャリア周波数の誤差が相対的に大きい無線通信システムの場合に、前記作用効果が顕著に現れる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、四位相偏移変調方式が用いられて行われる無線通信において上記の効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態における無線通信システムの概略構成を示す図である。
図2】この発明の実施の形態に係る無線受信装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図3図2の無線受信装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。なお、以下では、この発明の特徴的な構成について説明し、無線通信を行う際の従来と同様の仕組みについては説明を省略する。
【0012】
図1は、この発明の実施の形態における無線通信システム100の概略構成を示す図である。図1では、無線通信システム100の概略構成を示す(図1の上側)とともに、無線通信の送受信局のそれぞれに配置される無線通信装置101の概略構成の機能ブロックを示す(図1の下側)。
【0013】
無線通信システム100を構成する無線通信の送受信局のそれぞれに、無線通信装置101およびアンテナ102が配置される(図1の上側参照)。無線通信装置101同士は、アンテナ102を介して無線回線103によって接続される。
【0014】
まず、この実施の形態において無線受信装置1が適用されるベースの構成としての無線通信装置101の構成を説明する。
【0015】
無線通信装置101は、冗長系を有する無線通信装置であり、送信用として、0系MOD部120Aおよび0系TX部130A(「0系の送信装置」と呼ぶ)と、1系MOD部120Bおよび1系TX部130B(「1系の送信装置」と呼ぶ)とを備えるとともに、受信用として、0系RX部140Aおよび0系DEM部150A(「0系の受信装置」と呼ぶ)と、1系RX部140Bおよび1系DEM部150B(「1系の受信装置」と呼ぶ)とを備え、さらに、インターフェース部110と、監視制御部160と、送受信部170とを備える(図1の下側参照)。なお、この発明の説明における「0系」は「現用系」などとも呼ばれ、また、「1系」は「待機系」などとも呼ばれる。
【0016】
ここで、無線通信装置101は、送信用の機序と受信用の機序とを備えて送受信を行う装置であるところ、以下の説明では、送信用の機序を用いて送信に纏わる処理を行う場合の無線通信装置101のことを「送信側」と称し、受信用の機序を用いて受信に纏わる処理を行う場合の無線通信装置101のことを「受信側」と称する。また、以下の説明では0系の送信装置から1系の送信装置へと切替える場合について主に説明するが、1系の送信装置から0系の送信装置へと切替える場合も、1系の送信装置と0系の送信装置とを入れ換えれば動作としては同様である。
【0017】
監視制御部160は、インターフェース部110、0系MOD部120Aおよび0系TX部130A(即ち、0系の送信装置)、1系MOD部120Bおよび1系TX部130B(即ち、1系の送信装置)、0系RX部140Aおよび0系DEM部150A(即ち、0系の受信装置)、1系RX部140Bおよび1系DEM部150B(即ち、1系の受信装置)、ならびに送受信部170を監視・制御するとともに、送信スイッチ171および受信スイッチ113の切替動作を制御することにより、無線フレームの送信や受信に用いる系を、0系から1系へと切替えたり、1系から0系へと切替えたりする。
【0018】
インターフェース部110は、データ回線終端装置111(データ通信装置やデータ回線装置と呼ばれる機器を含む)を備えるとともに、送信系の仕組みとして送信ハイブリッド部112を備え、また、受信系の仕組みとして受信スイッチ113を備える。
【0019】
インターフェース部110は、通信対象の伝送データの入力を受け、前記伝送データを、データ回線終端装置111および送信ハイブリッド部112を介して、0系MOD部120Aと1系MOD部120Bとのそれぞれに対して出力する。
【0020】
0系MOD部120Aと1系MOD部120Bとは、各々、送信無線フレーム処理部121および変調部122を備える。また、0系TX部130Aと1系TX部130Bとは、各々、送信周波数変換部131を備える。さらに、送受信部170は、送信系の仕組みとして送信スイッチ171および送信フィルタ172を備えるとともに、受信系の仕組みとして受信フィルタ173、低雑音増幅器174、および受信ハイブリッド部175を備える。
【0021】
送信無線フレーム処理部121は、送信ハイブリッド部112から出力される伝送データの入力を受け、前記伝送データにフレーム同期信号を挿入して無線フレーム(送信信号)を生成し、生成した無線フレームを変調部122へと出力する。
【0022】
変調部122は、送信無線フレーム処理部121から出力される無線フレームの入力を受け、前記無線フレームに所定の周波数の搬送波信号を重畳させてデジタル変調を行い、変調した無線フレームを送信周波数変換部131へと出力する。変調部122は、前記無線フレームに、例えば400MHz程度の周波数の搬送波信号を重畳させてデジタル変調を行う。
【0023】
送信周波数変換部131は、変調部122から出力されるデジタル変調された無線フレームの入力を受け、前記無線フレームを、前記所定の周波数(例えば、400MHz程度)よりも高周波の信号に変換する。送信周波数変換部131は、前記デジタル変調された無線フレームを、周波数が例えば10GHz程度の信号に変換する。
【0024】
そして、監視制御部160の制御による送信スイッチ171の切替動作によって0系MOD部120Aおよび0系TX部130A(即ち、0系の送信装置)と送受信部170(具体的には、0系TX部130Aの送信周波数変換部131と送信フィルタ172)とが接続されているときには、0系MOD部120Aにおいてデジタル変調されるとともに0系TX部130Aにおいて周波数変換された無線フレーム(「0系の無線フレーム」と呼ぶ)が、送信スイッチ171を介するとともに、所定の周波数帯域の信号のみを通過させる送信フィルタ172を通過してアンテナ102へと出力される。これにより、0系の無線フレームが、アンテナ102から無線回線103を介して他方の(言い換えると、この通信では受信側になる)無線通信装置101のアンテナ102へと、電波として送信される。
【0025】
これに対して、監視制御部160の制御による送信スイッチ171の切替動作によって1系MOD部120Bおよび1系TX部130B(即ち、1系の送信装置)と送受信部170(具体的には、1系TX部130Bの送信周波数変換部131と送信フィルタ172)とが接続されているときには、1系MOD部120Bにおいてデジタル変調されるとともに1系TX部130Bにおいて周波数変換された無線フレーム(「1系の無線フレーム」と呼ぶ)が、送信スイッチ171を介するとともに、所定の周波数帯域の信号のみを通過させる送信フィルタ172を通過してアンテナ102へと出力される。これにより、1系の無線フレームが、アンテナ102から無線回線103を介して他方の(言い換えると、この通信では受信側になる)無線通信装置101のアンテナ102へと、電波として送信される。
【0026】
また、他方の(言い換えると、この通信では送信側になる)無線通信装置101のアンテナ102から無線回線103を介して無線フレームが当該の(言い換えると、この通信では受信側になる)無線通信装置101のアンテナ102へと電波として送信されると、アンテナ102は、受信した無線フレームを電気信号へと変換する。電気信号に変換された無線フレーム(受信波信号)は所定の周波数帯域の信号のみを通過させる受信フィルタ173を通過した上で低雑音増幅器174において増幅され、増幅された無線フレーム(受信波信号)は受信ハイブリッド部175を介して0系RX部140Aと1系RX部140Bとのそれぞれに対して出力される。
【0027】
0系RX部140Aと1系RX部140Bとは、各々、受信周波数変換部141を備える。また、0系DEM部150Aと1系DEM部150Bとは、各々、復調部151および受信無線フレーム処理部152を備える。
【0028】
監視制御部160の制御による、インターフェース部110の受信スイッチ113の切替動作によって0系DEM部150Aの受信無線フレーム処理部152とインターフェース部110とが接続されているときには、0系RX部140Aの受信周波数変換部141が、入力された無線フレーム(受信波信号)を前記高周波(例えば、10GHz程度)よりも低い周波数(例えば、400MHz程度)の信号に変換し、周波数変換した無線フレーム(受信波信号)を0系DEM部150Aの復調部151へと出力する。
【0029】
これに対して、監視制御部160の制御による、インターフェース部110の受信スイッチ113の切替動作によって1系DEM部150Bの受信無線フレーム処理部152とインターフェース部110とが接続されているときには、1系RX部140Bの受信周波数変換部141が、入力された無線フレーム(受信波信号)を前記高周波(例えば、10GHz程度)よりも低い周波数(例えば、400MHz程度)の信号に変換し、周波数変換した無線フレーム(受信波信号)を1系DEM部150Bの復調部151へと出力する。
【0030】
復調部151は、受信周波数変換部141から出力される無線フレーム(受信波信号)の入力を受け、前記無線フレーム(受信波信号)を復調し、復調した無線フレームを受信無線フレーム処理部152へと出力する。
【0031】
受信無線フレーム処理部152は、復調部151から出力される無線フレームの入力を受け、前記無線フレームに含まれているフレーム同期信号に基づいて無線フレームから伝送データを取り出し、取り出した伝送データをインターフェース部110へと出力する。
【0032】
上記の無線通信システム100では、送信スイッチ171の切替動作により、0系MOD部120Aおよび0系TX部130A(即ち、0系の送信装置)と送受信部170とが接続している状態から、1系MOD部120Bおよび1系TX部130B(即ち、1系の送信装置)と送受信部170とが接続する状態へと切替えられると、切替時に、0系の送信装置から送受信部170へと出力される0系の無線フレームと、1系の送信装置から送受信部170へと出力される1系の無線フレームとの間で、オフセットが発生する。これら無線フレームに関するオフセットとしては、具体的には、0系TX部130Aの送信周波数変換部131での高周波信号と1系TX部130Bの送信周波数変換部131での高周波信号との周波数誤差や、0系TX部130Aの送信周波数変換部131から送受信部170へと出力される0系の無線フレームの電力と1系TX部130Bの送信周波数変換部131から送受信部170へと出力される1系の無線フレームの電力との偏差が挙げられる。なお、周波数誤差が存在すると、0系の送信装置を経由する0系の無線フレームと1系の送信装置を経由する1系の無線フレームとの位相差が大きくなるという問題が生じる。また、電力の偏差が存在すると、0系の送信装置を経由する0系の無線フレームと1系の送信装置を経由する1系の無線フレームとのゲイン偏差によって受信側に衝撃が与えられるという問題が生じる。
【0033】
そこで、この発明に係る無線受信装置1は、送信側における0系の送信装置から1系の送信装置への切替時に、0系の無線信号と1系の無線信号との間のローカル周波数オフセットやゲインオフセット(衝撃)を吸収して無線フレームから伝送データを効率よく取り出すための仕掛けを備えるようにしている。
【0034】
具体的には、送信側の無線通信装置101が0系の無線フレームを送信している状態で1系の無線フレームの送信へと切替える場合に、まず、監視制御部160が、0系MOD部120Aの送信無線フレーム処理部121に対して0系の無線フレームの送信から1系の無線フレームの送信への切替えを指示するための切替制御信号を供給する。
【0035】
0系MOD部120Aの送信無線フレーム処理部121は、前記切替制御信号が入力されると、インターフェース部110から出力される伝送データに、フレーム同期信号の挿入と同時に、送信スイッチの切替えを予告する切替予告信号を挿入して無線フレーム(即ち、0系の無線フレーム)を生成する。これにより、送信側の無線通信装置101の送信スイッチ171の切替動作前に、送信側の無線通信装置101から、無線回線103を介して、伝送データにフレーム同期信号に加えて切替予告信号が挿入されて構成される0系の無線フレームが他方の(言い換えると、この通信では受信側になる)無線通信装置101へと送信される。なお、切替予告信号は、例えば、無線フレームのうちの対向局間通信用の冗長ビットを利用して、無線フレームに挿入されて発報される。
【0036】
監視制御部160は、また、切替制御信号を出力した時点から所定時間が経過した時点で、送信スイッチ171に対して、0系の送信装置との接続から1系の送信装置との接続への切替えを指示するためのスイッチ切替信号を供給する。
【0037】
送信スイッチ171は、前記スイッチ切替信号が入力されると、切替動作を行い、0系MOD部120Aおよび0系TX部130A(即ち、0系の送信装置)と送受信部170とを接続している状態から、1系MOD部120Bおよび1系TX部130B(即ち、1系の送信装置)と送受信部170とを接続している状態へと切替わる。
【0038】
無線受信装置1では、さらに、0系の送信装置と1系の送信装置との間で、0系の無線フレームと1系の無線フレームとの同期、搬送周波数の同期、および高周波信号の同期をとることにより、送信側の無線通信装置101の送信スイッチ171の切替動作時に発生する0系の無線フレームと1系の無線フレームとの間の位相オフセットやゲインオフセットを最小限に抑えて、受信側の無線通信装置101において0系の受信装置や1系の受信装置における0系の無線フレームおよび1系の無線フレームの保持時間内で復調部151への伝送データの入力を完了させるようにしている(「高速引き込み方式」などとも呼ばれる)。
【0039】
図2は、この発明の実施の形態に係る無線受信装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。なお、図2は、上記で説明した無線通信システム100における無線通信装置101のような構成(図1参照)をベースとしつつ、この発明の特徴的な構成を分かり易く示すことを考慮して、無線通信装置101の構成のうちの一部を省略している。図2は、具体的には、上記で説明した無線通信装置101の送受信部170とインターフェース部110との間の、0系RX部140Aおよび0系DEM部150Aの0系の受信装置に相当する構成に対して適用されたり、1系RX部140Bおよび1系DEM部150Bの1系の受信装置に相当する構成に対して適用されたりする特徴的な構成を、特に受信に纏わる機序としての無線受信装置1として示している。
【0040】
この実施の形態に係る無線受信装置1は、送信側の無線通信装置101において無線フレームに挿入された0系の送信装置から1系の送信装置への切替えを予告する切替予告信号を検出する切替予告信号検出部61と、0系の送信装置を経由する無線フレームと1系の送信装置を経由する無線フレームとの間のキャリア位相の誤差成分に対応するキャリア再生基準信号を生成する数値制御発振器44を含むキャリア再生部40と、受信した無線フレームを減衰させる減衰器を含む自動利得制御部20と、0系の送信装置を経由する無線フレームと1系の送信装置を経由する無線フレームとの間のクロック位相の誤差成分によって制御される電圧制御型発振器33を含むクロック再生部30と、キャリア再生部40へと供給するパラメータを切替え可能な第1のスイッチとしてのキャリア再生制御スイッチ63と、自動利得制御部20へと供給するパラメータを切替え可能な第2のスイッチとしてのAGC制御スイッチ66と、を有し、切替予告信号検出部61が切替予告信号を検出した場合に、キャリア再生制御スイッチ63がキャリア再生部40へと供給するパラメータを切替え、AGC制御スイッチ66が自動利得制御部20へと供給するパラメータを切替え、さらに、クロック再生部30がクロック位相の誤差成分の検出を停止する、ようにしている。
【0041】
この実施の形態に係る無線受信装置1は、自動利得制御部20と、クロック再生部30と、キャリア再生部40とを含む機序として構成される。
【0042】
自動利得制御部20(「AGC(Automatic Gain Control の略)」とも呼ばれる)は、ATT21、電力検出器22、D/A変換器23、およびローパスフィルタ24を備える。
【0043】
ATT21は、減衰器(「アッテネータ(attenuator)」とも呼ばれる)を含み、送受信部170から出力される無線フレーム(受信波信号)を、外部からの信号に応じて減衰量を調整して減衰させる。ATT21における減衰量は、電力検出器22による電力の検出結果に応じて所定の制御が行われて変化する。
【0044】
電力検出器22は、帯域制限部17から出力される信号の電力を検出する。電力検出器22の出力は、D/A変換器23へと入力されてD/A変換器23においてデジタル-アナログ変換処理が施された上で、ローパスフィルタ24へと入力される。
【0045】
ローパスフィルタ24は、D/A変換器23から出力される、電力検出器22における検出電力のアナログ信号の入力を受け、前記検出電力のアナログ信号を平滑化した上でATT21に対して出力する。そして、ATT21は、ローパスフィルタ24から出力される検出電力のアナログ信号によって制御される。
【0046】
検波回路13は、ATT21から出力される減衰処理後の無線フレーム(受信波信号)の入力を受け、前記無線フレームに対して直交復調処理を施して同相成分のベースバンド信号Iおよび直交成分のベースバンド信号Qを出力する。なお、検波回路13は同相検波回路と直交検波回路とから構成され、直交復調処理後のベースバンド信号は同相成分と直交成分とからなるが、分かり易さを考慮して、図面では、同相成分のベースバンド信号Iと直交成分のベースバンド信号Qとを1つの信号線で表す。また、ATT21から出力される減衰処理後の無線フレームは、同相検波回路および直交検波回路に対して分配供給される。
【0047】
局部発振器14は、所定の固定周波数を持つ局部発振信号を生成し、生成した局部発振信号を検波回路13へと出力し、検波回路13における周波数変換の基準となる信号を発振する。なお、局部発振器14から出力される局部発振信号は、図示していない分配器で2分配された上で、一方は0°位相の局部発振信号として同相検波回路へと供給され、他方は90°移相された上で90°位相の局部発振信号として直交検波回路へと供給される。
【0048】
A/D変換器15は、検波回路13から出力されるベースバンド信号(同相成分、直交成分)の入力を受け、前記ベースバンド信号(同相成分と直交成分とのそれぞれ)に対してアナログ-デジタル変換処理を施して受信信号(同相成分、直交成分)を出力する。
【0049】
デジタル信号処理型復調器16(図中では、DDEMと表記)は、A/D変換器15から出力される受信信号(同相成分、直交成分)の入力を受け、前記受信信号に対して復調処理を施して復調信号(同相成分、直交成分)を出力する。なお、無線通信システム100において用いられる変調方式は、特定の方式に限定されるものではないものの、例えば四位相偏移変調(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying の略)が用いられる。
【0050】
帯域制限部17は、デジタルデータ伝送における符号間干渉防止に要求される伝達特性を形成するためのフィルタであり、デジタルデータ伝送におけるROF(Roll-Off Filter の略)を用いて構成され、デジタル信号処理型復調器16から出力される復調信号(同相成分、直交成分)の入力を受け、前記復調信号に対して帯域制限処理を施して出力する。
【0051】
クロック再生部30は、クロック位相誤差検出部31、ローパスフィルタ32、および電圧制御型発振器33を備える。
【0052】
クロック位相誤差検出部31は、0系の受信装置のデジタル信号処理型復調器16から出力されて帯域制限部17を経た復調信号(同相成分、直交成分)および1系の受信装置のデジタル信号処理型復調器16から出力されて帯域制限部17を経た復調信号(同相成分、直交成分)の入力を受け、0系の無線フレームと1系の無線フレームとの間のクロック位相の誤差成分を検出し、検出したクロック位相の誤差成分をローパスフィルタ32に対して出力する。なお、クロック位相の誤差成分の検出の仕法は、特定の手法に限定されるものではないものの、例えばゼロクロッシング方式が用いられる。
【0053】
ローパスフィルタ32は、クロック位相誤差検出部31から出力されるクロック位相の誤差成分の入力を受け、前記クロック位相の誤差成分を平滑化して出力する。
【0054】
電圧制御型発振器33は、ローパスフィルタ32から出力されるクロック位相の誤差成分によって制御され、0系の無線フレームと1系の無線フレームとで位相同期したクロックをA/D変換器15のクロック入力端子に対して入力する。
【0055】
キャリア再生部40は、複素乗算回路41、キャリア位相誤差検出部42、ループフィルタ43、および数値制御発振器44を備える。
【0056】
複素乗算回路41は、A/D変換器15から出力されてデジタル信号処理型復調器16および帯域制限部17を経て入力されるデジタル信号の復調信号(同相成分、直交成分)と、数値制御発振器44から出力される局部発振信号とを乗算して混合処理し、前記デジタル信号の復調信号(同相成分と直交成分とのそれぞれ)をベースバンド帯の復調信号(同相成分、直交成分)に周波数変換する。複素乗算回路41には、周波数変換キャリアとして、数値制御発振器44から出力される局部発振信号が供給される。
【0057】
キャリア位相誤差検出部42は、0系の受信装置の複素乗算回路41から出力される復調信号(同相成分、直交成分)および1系の受信装置の複素乗算回路41から出力される復調信号(同相成分、直交成分)の入力を受け、0系の無線フレームと1系の無線フレームとの間のキャリア位相の誤差成分を検出し、検出したキャリア位相の誤差成分をループフィルタ43に対して出力する。なお、キャリア位相の誤差成分の検出の仕法は、特定の手法に限定されるものではなく、送信スイッチ171の切替動作前における0系の無線フレームの位相を基準位相としたときの、前記基準位相に対する1系の無線フレームの位相差を特定/計算することができる手法の中から適当な手法が適宜選択される。
【0058】
ループフィルタ43は、キャリア位相誤差検出部42から出力されるキャリア位相の誤差成分の入力を受け、前記キャリア位相の誤差成分を平均化した上で数値制御発振器44の周波数制御端子に対して出力する。
【0059】
数値制御発振器44(「NCO(Numerical Controlled Oscillator の略)」とも呼ばれる)は、ループフィルタ43で平均化されたキャリア位相の誤差成分に対応するキャリア再生基準信号(局部発振信号)を生成し、生成したキャリア再生基準信号を複素乗算回路41へと出力する。
【0060】
シンボル判定部51は復調信号についてシンボル判定を行い、誤差計算部52は理想シンボルと受信シンボルとの誤差を計算する。誤差計算部52は、具体的には減算器によって構成される。
【0061】
復号部53は、複素乗算回路41から出力される復調信号(同相成分と直交成分とのそれぞれ)に復号処理を施し、復号化したデータ(並列復調データ)を出力する。なお、無線通信システム100において用いられる復号方式は、特定の方式には限定されない。
【0062】
並直列変換部54は、復号部53から出力される並列復調データを並直列変換して1 系列の復調データを生成し、生成した復調データをインターフェース部110へと出力する。
【0063】
無線受信装置1は、送信側における0系の送信装置から1系の送信装置への切替時に、0系の無線フレームと1系の無線フレームとの間の位相オフセットやゲインオフセット(衝撃)を吸収して無線フレームから伝送データを効率よく取り出すための仕掛けとして、自動利得制御部20、クロック再生部30、およびキャリア再生部40のそれぞれを制御する、切替予告信号検出部61、引込制御部62、キャリア再生制御スイッチ63、AGC制御スイッチ66、およびホールド制御部69を含む機序を備える。
【0064】
切替予告信号検出部61は、復号部53から出力される復号化されたデータの入力を受け、前記復号化されたデータから切替予告信号(即ち、送信側の無線通信装置101の0系MOD部120Aの送信無線フレーム処理部121において0系の無線フレームに挿入された切替予告信号)を検出した場合に、引き込み処理の実行を指示するための引込制御実行信号を引込制御部62に対して出力する。
【0065】
引込制御部62は、引込制御実行信号が入力されると、前記引込制御実行信号が入力されてから所定時間(「切替指示時間」と呼ぶ)が経過した時点で、キャリア再生制御スイッチ63とAGC制御スイッチ66とに対して引き込み用パラメータへの切替えを指示するための引込切替信号を出力する。
【0066】
切替指示時間は、送信側において監視制御部160が0系MOD部120Aの送信無線フレーム処理部121に対して切替制御信号を出力してから送信スイッチ171に対してスイッチ切替信号を出力するまでの時間(「切替移行時間」と呼ぶ)に対応する。そこで、送信側の無線通信装置101の監視制御部160が切替制御信号を出力してから受信側の無線通信装置101の引込制御部62が引込制御実行信号の入力を受けるまでの時間差が考慮された上で、切替移行時間に基づく切替指示時間が引込制御部62に予め記憶されるようにしてもよい。
【0067】
キャリア再生制御スイッチ63は、通常時は、通常動作用パラメータが予め記憶されている通常動作用パラメータ出力部64と接続してキャリア再生部40のループフィルタ43に対して通常動作用パラメータを供給し、また、引込制御部62から出力される引込切替信号が入力されると、引き込み用パラメータが予め記憶されている引き込み用パラメータ出力部65との接続へと切替わってキャリア再生部40のループフィルタ43に対して引き込み用パラメータを供給する。
【0068】
キャリア再生部40のループフィルタ43に対して供給される引き込み用パラメータとしては、ループ帯域を広くして素早く周波数誤差を引き込むためのパラメータ値が設定される。また、通常動作用パラメータとしては、復調性能を重視することを目的として、ループ帯域を狭くしてノイズに対するキャリア再生ループの安定度を高くするためのパラメータ値が設定される。
【0069】
AGC制御スイッチ66は、通常時は、通常動作用パラメータが予め記憶されている通常動作用パラメータ出力部67と接続して自動利得制御部20のローパスフィルタ24に対して通常動作用パラメータを供給し、また、引込制御部62から出力される引込切替信号が入力されると、引き込み用パラメータが予め記憶されている引き込み用パラメータ出力部68との接続へと切替わって自動利得制御部20のローパスフィルタ24に対して引き込み用パラメータを供給する。
【0070】
自動利得制御部20のローパスフィルタ24に対して供給される引き込み用パラメータとしては、レベル変動に対して瞬時に引き込むようにローパスフィルタ24の帯域を広くするパラメータ値が設定される。また、通常動作用パラメータとしては、復調性能を重視することを目的として、ローパスフィルタ24の帯域を狭くするパラメータ値が設定される。
【0071】
引込制御部62は、引込制御実行信号が入力されると、また、切替指示時間が経過した時点で、ホールド制御部69に対して前記引込制御実行信号を転送する。
【0072】
ホールド制御部69は、引込制御実行信号が入力されると、クロック再生部30のクロック位相誤差検出部31に対して、クロック位相誤差検出部31での検出動作を一時的に停止することを指示するための検出ホールド信号を出力する。
【0073】
クロック位相誤差検出部31は、ホールド制御部69から出力される検出ホールド信号が入力されると、0系の無線フレームと1系の無線フレームとの間のクロック位相の誤差成分の検出を停止する。
【0074】
引込制御部62は、また、引込制御実行信号が入力されてから所定時間(「引込完了時間」と呼ぶ)が経過した時点で、キャリア再生制御スイッチ63とAGC制御スイッチ66とに対して通常動作用パラメータへの切替えを指示するための通常切替信号を出力するとともに、ホールド制御部69に対してクロック位相誤差検出部31での検出動作を再開することを指示するためのホールド解除信号を出力する。
【0075】
引込完了時間は、送信側における0系の送信装置から1系の送信装置への切替時に発生する0系の無線フレームと1系の無線フレームとの間の位相オフセットやゲインオフセットの衝撃によるエラー発生が終了するまでの期間、言い換えると、無線フレームのフレーム同期信号などの既知信号の受信が可能になるまでの期間に相当する。
【0076】
キャリア再生制御スイッチ63は、引き込み用パラメータ出力部65と接続してキャリア再生部40のループフィルタ43に対して引き込み用パラメータを供給している状態で、引込制御部62から出力される通常切替信号が入力されると、通常動作用パラメータ出力部64との接続へと切替わってキャリア再生部40のループフィルタ43に対して通常動作用パラメータを供給する。
【0077】
AGC制御スイッチ66は、引き込み用パラメータ出力部68と接続して自動利得制御部20のローパスフィルタ24に対して引き込み用パラメータを供給している状態で、引込制御部62から出力される通常切替信号が入力されると、通常動作用パラメータ出力部67との接続へと切替わって自動利得制御部20のローパスフィルタ24に対して通常動作用パラメータを供給する。
【0078】
ホールド制御部69は、ホールド解除信号が入力されると、クロック再生部30のクロック位相誤差検出部31に対して、前記ホールド解除信号を転送する。クロック位相誤差検出部31は、ホールド制御部69から転送されるホールド解除信号が入力されると、0系の無線フレームと1系の無線フレームとの間のクロック位相の誤差成分の検出を再開する。
【0079】
次に、このような構成の無線受信装置1の動作や作用などについて、図3も参照しながら説明する。
【0080】
まず、無線通信装置101(この通信において送信側の無線通信装置)が送信する無線フレームについて0系の無線フレームから1系の無線フレームへの切替えが行われる際に、監視制御部160が、送信する無線フレームの切替えの発動として、0系MOD部120Aの送信無線フレーム処理部121に対して切替制御信号を供給する(ステップS1)。そして、0系MOD部120Aの送信無線フレーム処理部121は、伝送データに切替予告信号を挿入して0系の無線フレームを生成して出力する。これにより、送信側の無線通信装置101から受信側の無線通信装置101に対して切替予告信号が発報される(ステップS2)。
【0081】
無線回線103を介して送信された無線フレームを受信側の無線通信装置101が受信した際に、切替予告信号検出部61は、前記無線フレームに挿入された切替予告信号を検出すると(ステップS3)、引込制御部62に対して引込制御実行信号を出力する。
【0082】
送信側の無線通信装置101では、監視制御部160が、切替制御信号を出力してから切替移行時間が経過した時点で、送信する無線フレームの切替えの指示として、送信スイッチ171に対してスイッチ切替信号を供給する(ステップS4)。そして、スイッチ切替信号が入力された送信スイッチ171が、0系の送信装置と送受信部170とを接続している状態から1系の送信装置と送受信部170とを接続している状態へと切替わる。
【0083】
受信側の無線通信装置101では、引込制御部62が、引込制御実行信号が入力されてから切替指示時間が経過した時点で、キャリア再生制御スイッチ63とAGC制御スイッチ66とに対して引込切替信号を出力する。引込切替信号が入力されたキャリア再生制御スイッチ63およびAGC制御スイッチ66は、引き込み用パラメータ出力部65,68との接続へと切替わる。これにより、キャリア再生制御スイッチ63およびAGC制御スイッチ66は、引き込み用パラメータの供給を受け、高速引き込みモードで動作する(ステップS5)。
【0084】
引込制御部62が、引込制御実行信号が入力されてから切替指示時間が経過した時点で、さらに、ホールド制御部69に対して前記引込制御実行信号を転送する。引込制御実行信号が入力されたホールド制御部69がクロック位相誤差検出部31に対して検出ホールド信号を出力し、検出ホールド信号が入力されたクロック位相誤差検出部31が0系の無線フレームと1系の無線フレームとの間のクロック位相の誤差成分の検出を停止する(ステップS5)。
【0085】
続いて、引込制御部62が、引込制御実行信号が入力されてから引込完了時間が経過した時点で、キャリア再生制御スイッチ63とAGC制御スイッチ66とに対して通常切替信号を出力するとともに、ホールド制御部69に対してホールド解除信号を出力する。
【0086】
通常切替信号が入力されたキャリア再生制御スイッチ63およびAGC制御スイッチ66が、通常動作用パラメータ出力部64,67との接続へと切替わる。これにより、キャリア再生制御スイッチ63およびAGC制御スイッチ66が、通常動作用パラメータの供給を受け、通常モードで動作する(ステップS6)。
【0087】
また、ホールド解除信号が入力されたホールド制御部69がクロック位相誤差検出部31に対して前記ホールド解除信号を転送し、ホールド解除信号が入力されたクロック位相誤差検出部31が0系の無線フレームと1系の無線フレームとの間のクロック位相の誤差成分の検出を再開する(ステップS6)。
【0088】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。具体的には、上記の実施の形態ではこの発明に係る無線受信装置1が適用されるベースの構成として図1に示す無線通信装置101を挙げたが、この発明が適用され得る無線通信装置の構成は、図1に示す無線通信装置101に限定されるものではなく、上記の実施の形態における自動利得制御部20、クロック再生部30、およびキャリア再生部40に相当する構成を含む無線通信装置であればどのような構成でもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 無線受信装置
13 検波回路
14 局部発振器
15 A/D変換器
16 デジタル信号処理型復調器
17 帯域制限部
20 自動利得制御部
21 ATT
22 電力検出器
23 D/A変換器
24 ローパスフィルタ
30 クロック再生部
31 クロック位相誤差検出部
32 ローパスフィルタ
33 電圧制御型発振器
40 キャリア再生部
41 複素乗算回路
42 キャリア位相誤差検出部
43 ループフィルタ
44 数値制御発振器
51 シンボル判定部
52 誤差計算部
53 復号部
54 並直列変換部
61 切替予告信号検出部
62 引込制御部
63 キャリア再生制御スイッチ
64 通常動作用パラメータ出力部(キャリア再生部用)
65 引き込み用パラメータ出力部(キャリア再生部用)
66 AGC制御スイッチ
67 通常動作用パラメータ出力部(自動利得制御部用)
68 引き込み用パラメータ出力部(自動利得制御部用)
69 ホールド制御部
100 無線通信システム
101 無線通信装置
102 アンテナ
103 無線回線
110 インターフェース部
111 データ回線終端装置
112 送信ハイブリッド部
113 受信スイッチ
120A 0系MOD部
120B 1系MOD部
121 送信無線フレーム処理部
122 変調部
130A 0系TX部
130B 1系TX部
131 送信周波数変換部
140A 0系RX部
140B 1系RX部
141 受信周波数変換部
150A 0系DEM部
150B 1系DEM部
151 復調部
152 受信無線フレーム処理部
160 監視制御部
170 送受信部
171 送信スイッチ
172 送信フィルタ
173 受信フィルタ
174 低雑音増幅器
175 受信ハイブリッド部
図1
図2
図3