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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】仕切部材および包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/49 20060101AFI20240122BHJP
   B65D 77/26 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
B65D5/49 110
B65D77/26 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020027162
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021130492
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】宮原 千嘉
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-231695(JP,A)
【文献】特開2002-080032(JP,A)
【文献】特開昭58-090037(JP,A)
【文献】特開2013-241217(JP,A)
【文献】独国実用新案第07712842(DE,U1)
【文献】登録実用新案第3171862(JP,U)
【文献】特開平10-310127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/49
B65D 77/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を折り曲げて形成される仕切部材(3~6)であって、
第1仕切板(11)と、
前記第1仕切板の下端に第1折曲線(L1)を介して連設された第1平板(12)と、
前記第1折曲線に隣接する前記第1仕切板の一部を切り取ることで前記第1平板から前記第1仕切板に向かって突設される第1突起(13)と、
前記第1折曲線に隣接する前記第1仕切板の一部を切り取ることで開口する貫通穴(14)と、
前記第1仕切板に重ねて結合された第2仕切板(21)と、
前記第2仕切板の下端に第2折曲線(L2)を介して連接された第2平板(22)と、
前記第2折曲線に隣接する前記第2仕切板の一部を切り取ることで前記第2平板から前記第2仕切板に向かって突設される第2突起(23)と、を備え、
前記第1仕切板と前記第2仕切板と、前記第2折曲線を前記第1折曲線よりも下方にずらして段差(D)を設けた状態で前記第1突起と前記第2突起との周囲において互いに離れるように前記第1突起と前記第2突起との周囲を避けた位置において接着され、前記第1平板と前記第2平板とが、前記第1仕切板と前記第2仕切板とに対して折り曲げられていない状態で互いに重なることで、前記仕切部材は折り畳まれた状態になり、
前記仕切部材が折り畳まれた状態から、前記第1平板が前記第1折曲線で谷折りされ、前記第2平板が前記第2折曲線で谷折りされ、前記第1平板と前記第2平板とに対して前記第1仕切板と前記第2仕切板とが起立する過程において、前記第1突起は、前記第1仕切板から離脱し、前記段差を乗り越えて前記第2平板を押し上げながら前記第2平板の下側に配置され、前記第2突起は、前記第2仕切板から離脱し、前記貫通穴を貫通し、前記段差を乗り越えて前記第1平板を押し下げながら前記第1平板の上側に配置されることを特徴とする仕切部材。
【請求項2】
前記貫通穴は、前記第1仕切板から前記第1突起が離脱した位置に開口し、
前記第1突起は、前記第2突起よりも突出量が小さく形成され、
前記仕切部材が折り畳まれた状態から、前記第1平板と前記第2平板とが谷折りされ、前記第1仕切板と前記第2仕切板とが起立する過程において、前記第1突起は、その先端部を前記第2突起の裏面に接触させて前記第2突起を押圧し、前記第1仕切板と前記第2仕切板との非接着部分を引き離しながら前記第2平板の下側まで移動し、前記第1突起の先端部が前記第2突起の根本部を乗り越えると、前記第2平板の下側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の仕切部材。
【請求項3】
前記貫通穴は、前記第1突起との間に隙間(14A)を有し、
前記第2突起は、前記貫通穴に遊挿可能な大きさに形成されたことを特徴とする請求項2に記載の仕切部材。
【請求項4】
前記第1折曲線と前記第2折曲線との前記段差は、前記シート材の厚さ以上、前記シート材の厚さの5倍以下の範囲で設定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の仕切部材。
【請求項5】
前記第1仕切板と前記第2仕切板との上端は、折返し線(L3)を介して連設され、
前記第2折曲線と前記折返し線との間の距離(H2)は、前記第1折曲線と前記折返し線との間の距離(H1)よりも長く設定されたことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の仕切部材。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の仕切部材(3~6)と、
前記仕切部材によって内部空間(S)を仕切られた箱本体(2)と、を備えたことを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱本体の内部空間を仕切る仕切部材および包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
山折り線を介して連設された一対の起立板と、一対の起立板の両端に谷折り線を介して連設された一対の底平板と、を有した仕切り板が開示されている(特許文献1)。一方の起立板には先端が幅広い繋止切片が形成され、他方の起立板には繋止切片を繋止する繋止開口が開口している。一対の起立板が山折り線で山折りされ、一対の底平板が谷折り線で谷折りされることで、一対の起立板が立設される。その後、繋止切片を繋止開口に繋止させることで、余分な貼着工程を必要とせず、一対の起立板が立設した状態に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-310127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した仕切り板では、作業者が、起立板と底平板とを折り曲げた後に繋止切片を繋止開口に繋止させる作業が別途必要になるため、仕切り板の組立作業に多くの手間と時間がかかるという問題があった。つまり、上記した仕切り板は簡単に組み立てることができなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、簡単に組み立てることができる仕切部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シート材を折り曲げて形成される仕切部材であって、第1仕切板と、前記第1仕切板の下端に第1折曲線を介して連設された第1平板と、前記第1折曲線に隣接する前記第1仕切板の一部を切り取ることで前記第1平板から前記第1仕切板に向かって突設される第1突起と、前記第1折曲線に隣接する前記第1仕切板の一部を切り取ることで開口する貫通穴と、前記第1仕切板に重ねて結合された第2仕切板と、前記第2仕切板の下端に第2折曲線を介して連接された第2平板と、前記第2折曲線に隣接する前記第2仕切板の一部を切り取ることで前記第2平板から前記第2仕切板に向かって突設される第2突起と、を備え、前記第1仕切板と前記第2仕切板とは、前記第2折曲線を前記第1折曲線よりも下方にずらして段差を設けた状態で互いに結合され、前記第1平板が前記第1折曲線で谷折りされ、前記第2平板が前記第2折曲線で谷折りされ、前記第1平板と前記第2平板とに対して前記第1仕切板と前記第2仕切板とが起立する過程において、前記第1突起は、前記第1仕切板から離脱し、前記段差を乗り越えて前記第2平板を押し上げながら前記第2平板の下側に配置され、前記第2突起は、前記第2仕切板から離脱し、前記貫通穴を貫通し、前記段差を乗り越えて前記第1平板を押し下げながら前記第1平板の上側に配置される。
【0007】
この場合、前記貫通穴は、前記第1仕切板から前記第1突起が離脱した位置に開口し、前記第1突起は、前記第2突起よりも突出量が小さく形成され、前記第1平板と前記第2平板とが谷折りされる過程において前記第2突起の裏面に接触しながら前記第2平板の下側まで移動してもよい。
【0008】
この場合、前記貫通穴は、前記第1突起との間に隙間を有し、前記第2突起は、前記貫通穴に遊挿可能な大きさに形成されてもよい。
【0009】
この場合、前記第1折曲線と前記第2折曲線との前記段差は、前記シート材の厚さ以上、前記シート材の厚さの5倍以下の範囲で設定されてもよい。
【0010】
この場合、前記第1仕切板と前記第2仕切板とは、前記第1突起と前記第2突起との周囲を避けた位置において接着されてもよい。
【0011】
この場合、前記第1仕切板と前記第2仕切板との上端は、折返し線を介して連設され、前記第2折曲線と前記折返し線との間の距離は、前記第1折曲線と前記折返し線との間の距離よりも長く設定されてもよい。
【0012】
本発明の包装箱は、上記のいずれかの仕切部材と、前記仕切部材によって内部空間を仕切られた箱本体と、を備えた。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、仕切部材を簡単に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る仕切部材のブランクを示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る仕切部材を折り畳んだ状態を示す底面図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る仕切部材(組み立てた状態)を示す上方斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る仕切部材(組み立てた状態)を示す下方斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る仕切部材を組み立てる過程を示す断面図である。
図8図5のVIII-VIII断面図である。
図9図5のIX-IX断面図である。
図10A】本発明の一実施形態の第1変形例に係る仕切部材のブランクを示す平面図である。
図10B】本発明の一実施形態の第1変形例に係る仕切部材を示す断面図である。
図11】本発明の一実施形態の第2変形例に係る仕切部材のブランクを示す平面図である。
図12】本発明の一実施形態の第3変形例に係る仕切部材のブランクを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、本明細書において、方向や位置を示す用語は、包装箱や仕切部材を組み立てて使用する状態での方向や位置を基準にしている。
【0016】
[包装箱の概要]
図1および図2を参照して、包装箱1について説明する。図1は包装箱1を示す斜視図である。図2は仕切部材3のブランク3Aを示す平面図である。
【0017】
包装箱1は、箱本体2と、仕切部材3と、を備えている。箱本体2は略直方体状の外観を有し、仕切部材3は箱本体2の内部空間Sに配置されている。
【0018】
<箱本体>
箱本体2は、長方形状に形成された底壁2Aと、角筒状に形成され、底壁2Aの周縁部に立設された筒体2Bと、を有し、上面を開口したトレイ状に形成されている。箱本体2は、箱用ブランク(図示せず)を折り曲げることで形成される。箱用ブランクは、例えば、多層抄きの板紙(厚紙)や段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。なお、包装箱1は、箱本体2の上面開口を閉塞するための蓋体(図示せず)を有していてもよい。
【0019】
箱本体2の内部空間Sは、底壁2A上に配置された仕切部材3によって仕切られている。本実施形態に係る仕切部材3は、一例として、内部空間Sを3つに区画している。仕切部材3によって仕切られた内部空間Sには物品(図示せず)が収容される。
【0020】
<仕切部材>
仕切部材3は、板紙(シート材)から成るブランク3A(図2参照)を折り曲げて形成される。ブランク3Aは、一枚の板紙を抜型等で打ち抜いて形成されている。なお、図2は、板紙の表面を示している。また、図面に示す「X」は紙の繊維(紙目)が延びる「紙目方向」を示し、「Y」は紙目方向に直交する「幅方向」を示している。
【0021】
[ブランク]
次に、仕切部材3のブランク3Aについて説明する。図2に示すように、ブランク3Aは、紙目方向に並設された一対の仕切部10を備え、全体として紙目方向に長い長方形状に形成されている。なお、一対の仕切部10は、ブランク3Aを紙目方向に二等分する中心線を軸として線対称に配置されているため、以下、1つの仕切部10に着目して説明する。
【0022】
<仕切部>
仕切部10は、第1仕切板11と、第1平板12と、第1突起13と、貫通穴14と、第2仕切板21と、第2平板22と、第2突起23と、を備えている。なお、第2平板22は、一対の仕切部10で兼用されている。
【0023】
<第1仕切板、第1平板>
第1仕切板11および第1平板12は、それぞれ、幅方向に長い略長方形状に形成されている。第1平板12は、第1仕切板11の紙目方向の一端(下端)に第1折曲線L1を介して連設されている。
【0024】
<第1突起、貫通穴>
第1突起13は、第1折曲線L1に隣接する第1仕切板11の一部を切り取ることで第1平板12から第1仕切板11に向かって突設されている。貫通穴14は、第1折曲線L1に隣接する第1仕切板11の一部を切り取ることで開口している。第1突起13および貫通穴14は、第1仕切板11の幅方向の中央付近において同一の位置に形成されている。具体的には、第1突起13は、第1平板12の端部から貫通穴14の内側に向かって突設されている。第1突起13は略半円形状(扇形状)に形成され、貫通穴14は角部を丸めた略台形状に形成されている。貫通穴14は、第1突起13よりも一回り大きく形成され、第1突起13との間に隙間14Aを有している。詳細は後述するが、貫通穴14は、第1仕切板11から第1突起13が離脱した位置に開口する。なお、第1折曲線L1は、貫通穴14によって分断され、第1突起13には形成されていない。
【0025】
<第2仕切板、第2平板>
第2仕切板21および第2平板22は、それぞれ、幅方向に長い略長方形状に形成されている。第2仕切板21は、第1仕切板11の紙目方向の他端(上端)に折返し線L3を介して連設されている。第2平板22は、第2仕切板21の紙目方向の他端(下端)に第2折曲線L2を介して連設されている。なお、一対の仕切部10で兼用される第2平板22は、一対の仕切部10の一対の第2仕切板21を連結させている。第2平板22は、第1平板12よりも紙目方向に長く形成されている。
【0026】
第2仕切板21は、第1仕切板11よりも僅かに紙目方向に長く形成されている。換言すれば、第2折曲線L2と折返し線L3との間の距離H2は、第1折曲線L1と折返し線L3との間の距離H1よりも長く設定されている。本実施形態では、一例として、距離H2は、距離H1よりも板紙(シート材)の厚さt(図4参照)だけ長く設定されている。なお、距離H1と距離H2との差分(ΔH=H2-H1)は、板紙(シート材)の厚さt以上、当該厚さtの5倍(5t)以下の範囲で設定されるとよい(t≦ΔH≦5t)。
【0027】
<第2突起>
第2突起23は、第2折曲線L2に隣接する第2仕切板21の一部を切り取ることで第2平板22から第2仕切板21に向かって突設されている。第2突起23は、第2仕切板21の幅方向の中央付近において、略半円形状(扇形状)に形成されている。先に説明した第1突起13は、第2突起23よりも突出量が小さく形成されている(P1<P2)。また、第2突起23は、貫通穴14に遊挿可能な大きさに形成されている。すなわち、第2突起23は、第1突起13よりも大きく、かつ貫通穴14よりも小さく形成されている。なお、第1突起13の突出量P1と第2突起23の突出量P2との差分(ΔP=P2-P1)は、自由に設定してよいが、例えば、上記した第1仕切板11と第2仕切板21との差分(ΔH)(後述する段差D)と同等の範囲で設定することができる。また、第2折曲線L2は、第2突起23には形成されていない。また、詳細は後述するが、第2突起23が第2仕切板21から離脱することで第2仕切板21には第2の貫通穴24が開口する。
【0028】
なお、第1折曲線L1、第2折曲線L2および折返し線L3は、それぞれ、板紙の表面から直線状に凹ませた汎用罫線である。本実施形態では、第1および第2折曲線L1,L2では、板紙が表面を内側に向けるように折り曲げられる(谷折りされる)。また、折返し線L3では、板紙が裏面を内側に向けるように折り曲げられる(山折りされる)。第1および第2折曲線L1,L2および折返し線L3は、汎用罫線に限らず、汎用罫線上に複数の切目を入れる等してもよく、板紙を所望の方向に折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0029】
[仕切部材の折り畳み]
以上説明した仕切部材3(ブランク3A)は、第2仕切板21を第1仕切板11に重ねて結合し、折り畳まれた状態でユーザのもとに納品される。以下、図2図3および図4を参照して、仕切部材3を折り畳み手順について説明する。図3は仕切部材3を折り畳んだ状態を示す底面図である。図4は、図3のIV-IV断面図である。なお、仕切部材3の折畳作業は、作業者によって手作業で行われてもよいし、製造装置によって全自動または半自動で行われてもよい。ここでは、一例として、作業者が手作業で仕切部材3を折り畳む場合について説明する。また、引き続き1つの仕切部10に着目し、1つの仕切部10に含まれる第1および第2仕切板11,21の結合について説明する。
【0030】
まず、図2に示すように、作業者は、第2仕切板21の第2突起23を避けた所定位置に接着剤Gを付着させる。具体的には、接着剤Gは、第2仕切板21の裏面の折返し線L3の近傍において、折返し線L3に沿って帯状に付着される。つまり、第2仕切板21の第2折曲線L2の近傍(下部)は非接着になる。なお、接着剤Gとしては、例えば、両面テープ、ホットメルト接着剤またはエマルジョン系接着剤等を用いることができる。また、接着剤Gは、第1仕切板11に付着させてもよい。また、接着剤Gに限らず、粘着テープ(図示せず)を用いて、第1仕切板11と第2仕切板21とを結合してもよい。
【0031】
次に、図3および図4に示すように、作業者は、第1仕切板11を折返し線L3に沿って折り返し、第1仕切板11を第2仕切板21に重ねる。第1仕切板11と第2仕切板21とは、第1突起13と第2突起23との周囲を避けた位置において接着剤Gを介して接着される。第1仕切板11と第2仕切板21は結合されて二重壁構造の仕切壁10Wを構成する。また、第1平板12は、第2平板22の裏面に重なる。
【0032】
以上によって、仕切部材3が折り畳まれた状態になる。この状態で、図3および図4に示すように、第1仕切板11と第2仕切板21は紙目方向の長さ(高さ)に差があるため、第2折曲線L2は第1折曲線L1よりも紙目方向の内側(下方)にずれている。すなわち、第1仕切板11と第2仕切板21とは、第2折曲線L2を第1折曲線L1よりも紙目方向の内側(下方)にずらして段差D(=差分ΔH)を設けた状態で互いに結合されている。
【0033】
詳細は後述するが、仕切部材3を組み立てる際に第1突起13が第2突起23に接触しながら傾倒することを妨げないように、第1および第2仕切板11,21は第1および第2突起13,23から離れた位置で接着され、第1および第2突起13,23の周囲において第1および第2仕切板11,21が互いに離れるようになっている。このため、第1仕切板11と第2仕切板21とは、第1突起13(貫通穴14)や第2突起23から、できる限り離れた位置で接着することが好ましい。具体的には、接着剤Gは、第1突起13等の周囲に設定された非接着領域R(図2の二点鎖線参照)よりも外側に付着させるとよい。非接着領域Rの大きさは第1仕切板11等の大きさによって異なるが、例えば、第1突起13、貫通穴14および第2突起23のうち最も大きいものの輪郭(本実施形態では貫通穴14の輪郭)から5mm以上離れた線で区画される領域を非接着領域Rとするとよい。
【0034】
[仕切部材の組立]
次に、図5ないし図9を参照して、仕切部材3の組立手順(作用)について説明する。図5は仕切部材3(組み立てた状態)を示す上方斜視図である。図6は仕切部材3(組み立てた状態)を示す下方斜視図である。図7は仕切部材3を組み立てる過程を示す断面図である。図8は、図5のVIII-VIII断面図である。図9は、図5のIX-IX断面図である。なお、一対であることを明記した場合を除き、1つの仕切部10に着目し、1つの仕切部10の組立(作用)について説明する。
【0035】
ユーザは、折り畳まれた仕切部材3を組み立てて仕切りとして使用できる状態にする。具体的には、ユーザは、第2平板22等を上方に向けて仕切部材3の一対の仕切壁10Wを両手で持ち、下側(裏側)の一対の第1平板12の自由端に指を掛け、第1折曲線L1と第2折曲線L2とを支点として一対の第1平板12を引き上げる。すると、図5および図6に示すように、一対の第1平板12は第1折曲線L1で谷折りされながら反転する。一対の仕切壁10W(第2仕切板21)は第2折曲線L2で谷折りされながら立ち上げられる。換言すれば、相対的に第2平板22が第2折曲線L2で谷折りされる。第1平板12が第2平板22と略同一平面を成すまで反転されると、第1平板12と第2平板22とに対して第1仕切板11と第2仕切板21と(仕切壁10W)が起立した姿勢になる。
【0036】
ところで、図7に示すように、第1平板12と第2平板22とが谷折りされ、仕切壁10Wが起立する過程において、第1突起13は、第1仕切板11から離脱し、第2突起23の裏面に接触しながら下方に移動する(図7の白抜き矢印参照)。第1平板12等の谷折りが進むと、第1突起13は、第2突起23を押圧し、第1仕切板11と第2仕切板21との下部(非接着部分)を引き離しながら更に下方に移動する(図7の白抜き矢印参照)。図6および図8に示すように、第1突起13の先端部が第2突起23の根本部(第2折曲線L2)を乗り越えると、第1突起13は第2平板22の下側に配置される。この際、第1突起13は、第1仕切板11と第2仕切板21との段差D(図9参照)を乗り越えて第2平板22を押し上げながら第2平板22の下側に配置される。
【0037】
一方、図7に示すように、第2平板22の相対的な谷折りに伴って、第2突起23は第2仕切板21から第1仕切板11の側に離脱しようとするが、第1突起13の先端部が第2突起23を押圧している間は、第2突起23は第1仕切板11の側に離脱することができない。詳細には、第2突起23は、第1仕切板11とは逆側に僅かに離脱している。第1平板12等の谷折りが進み、第1突起13の先端部が第2突起23の根本付近まで移動すると、図5および図8に示すように、第2突起23は、第2仕切板21から離脱し、貫通穴14を貫通し、第1平板12の上側に配置される。この際、第2突起23は、段差D(図9参照)を乗り越えて第1平板12を押し下げながら第1平板12の上側に配置される。なお、第2突起23が第2仕切板21から離脱するため、第2仕切板21には第2の貫通穴24が開口する。
【0038】
以上によって、折り畳まれた仕切部材3が、組み立てられて仕切りとして使用できる状態になる(図5参照)。組み立てられた仕切部材3は箱本体2の底壁2A上に載置され、起立姿勢となった一対の仕切壁10Wによって箱本体2の内部空間Sを3つに区画する(図1参照)。なお、第1および第2平板12,22は、底壁2A上に敷かれ、物品への衝撃を緩和するためのパッドとしての機能を有している。
【0039】
ところで、仮に、仕切部材3に第1および第2突起13,23が存在しない場合、第1および第2平板12,22は、第1および第2折曲線L1,L2に沿って折れているだけであるため、根元から垂れ下がることになる。このような仕切部材3をユーザが箱本体2にセットする場合、垂れ下がった第1および第2平板12,22の先端部が底壁2Aに突き当たって、仕切部材3を所望の位置にセットすることができないことがあった。すなわち、第1および第2平板12,22が垂れ下がっていると、仕切部材3を底壁2A上に配置する作業を素早く正確に行うことができず、作業効率が悪化するという問題があった。
【0040】
これに対し、以上説明した本実施形態に係る仕切部材3では、図9に示すように、第1仕切板11と第2仕切板21とが段差Dを設けて結合され、第2仕切板21の下端が第1仕切板11の下端よりも僅かに下方に位置していた。また、図8に示すように、仕切部材3を組み立てた状態で、第1突起13は段差Dを乗り越えて第2平板22の下側に配置され、第2突起23は段差Dを乗り越えて第1平板12の上側に配置されていた。第1および第2突起13,23は段差Dを乗り越える際に弾性変形するため、第1および第2突起13,23の根本部分には復元力が生じる(図8の白抜き矢印参照)。この構成によれば、第1突起13と第2突起23とは復元力をもって第1および第2平板12,22を挟み込むため、第1および第2平板12,22を谷折りした状態に保持することができる。第1および第2平板12,22の先端側は自重によって若干垂れ下がるものの、第1および第2平板12,22の根元側は略水平な状態に保持され、第1および第2平板12,22の全体の垂れ下がりを抑制することができる。すなわち、第1および第2仕切板11,21に対して第1および第2平板12,22を谷折りするだけで、第1および第2平板12,22の垂れ下がりを抑えた仕切部材3を簡単に組み立てることができる。その結果、仕切部材3を底壁2A上に配置する作業を素早く正確に行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る仕切部材3では、第1突起13の突出量P1が、第2突起23の突出量P2よりも小さく、第2突起23に対向配置されていた(図2参照)。この構成によれば、仕切部材3を組み立てる過程で、先に第1突起13を第2突起23の裏面に接触させることができる(図7参照)。これにより、第1突起13によって第2仕切板21からの第2突起23の離脱を規制しながら、円滑に第1突起13を第2平板22の下側に入れ込むことができる。
【0042】
また、本実施形態に係る仕切部材3によれば、第1突起13と貫通穴14との間に隙間14Aが形成されているため(図2参照)、仕切部材3を組み立てる過程で、第1突起13は貫通穴14の縁に干渉することなく円滑に離脱することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る仕切部材3によれば、第1折曲線L1と第2折曲線L2との段差D(=差分ΔH)は、板紙(シート材)の厚さt以上、板紙の厚さtの5倍(5t)以下の範囲で設定されていた。この範囲で段差Dを設定することで、仕切部材3を組み立てた状態で、第1および第2突起13,23が復元力をもって第1および第2平板12,22を挟み込み、第1および第2平板12,22を谷折りした状態に保持する機能を発揮することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る仕切部材3によれば、第1および第2仕切板11,21が第1および第2突起13,23の周囲(非接着領域R)を避けた位置で接着されているため(図2および図3参照)、第1突起13が第2突起23に接触しながら移動する際に、第1仕切板11と第2仕切板21とを引き離すことができる(図7参照)。これにより、第1突起13を第2平板22の下側まで円滑に移動することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る仕切部材3によれば、第1仕切板11と第2仕切板21とが折返し線L3で連設されているため、仕切部材3を1枚のシート材で形成することができる(図2参照)。これにより、第1仕切板11と第2仕切板21の何れか一方を折返し線L3に沿って折り返すことで、簡単に段差Dを付けた状態で第1および第2仕切板11,21を結合することができる。
【0046】
なお、本実施形態に係る仕切部材3では、一対の仕切部10(一対の仕切壁10W)が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。仕切部10(仕切壁10W)は、1つ以上設けられていればよい。例えば、図10Aに示すように、第1変形例に係る仕切部材4(ブランク4A)として、1つの仕切部10(仕切壁10W)が設けられてもよい。図10Bに示すように、仕切部材4は、折返し線L3で略半分に折り畳まれる。ユーザは、第1平板12の下端部と第2平板22の下端部とに指を掛け、第1折曲線L1と第2折曲線L2とを支点として第1平板12と第2平板22とを引き上げることで、仕切部材3を組み立てる(図10Bの二点鎖線参照)。
【0047】
また、本実施形態に係る仕切部材3では、第1仕切板11と第2仕切板21とが折返し線L3で連設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図11に示すように、第2変形例に係る仕切部材5(ブランク5A)として、第1仕切板11と第2仕切板21とが分割されてもよい。つまり、ブランク5Aが、3つのパーツに分かれていてもよい。この場合でも、第2折曲線L2を第1折曲線L1よりも下方にずらして段差Dを設けた状態で、第1仕切板11と第2仕切板21とを接着する。なお、第2変形例に係る仕切部材5の特徴を、第1変形例に係る仕切部材4に適用してもよい(図示せず)。
【0048】
また、本実施形態に係る仕切部材3では、第1突起13が第1仕切板11から離脱することで、貫通穴14が開口していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図12に示すように、第3変形例に係る仕切部材6(ブランク6A)として、貫通穴14が、第1仕切板11において第1突起13とは別の位置に形成され、第2突起23が第2仕切板21において貫通穴14に対応する位置に形成されてもよい。つまり、第1突起13と、貫通穴14(第2突起23)とが幅方向に異なる位置に形成されてもよい。この場合、仕切部材6を組み立てる過程において、第1突起13(の先端部)は第2仕切板21の裏面に接触しながら移動する。また、この場合、非接着領域Rは、第1突起13と貫通穴14の両方を避けた位置に設定される。なお、第3変形例に係る仕切部材6の特徴を、第1変形例または第2変形例に係る仕切部材4,5に適用してもよい(図示せず)。
【0049】
また、本実施形態(第1~第3変形例を含む。以下同じ。)に係る仕切部材3~6では、第1突起13(貫通穴14)および第2突起23が、それぞれ、1つ形成されていたが、これに限らず、複数形成されてもよい(図示せず)。
【0050】
また、本実施形態に係る仕切部材3~6では、貫通穴14が、第1突起13よりも大きく、第1突起13とは異なる形状であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、貫通穴14は、第1突起13よりも大きく、第1突起13と相似となる形状であってもよい(図示せず)。また、第2突起23および第2の貫通穴24と同様に、第1突起13が第1仕切板11を離脱することで貫通穴14が開口してもよい。つまり、貫通穴14は、第1突起13との間に隙間14Aを有さず、第1突起13と略合同となる形状であってもよい(図示せず)。
【0051】
また、本実施形態に係る仕切部材3~6では、第1突起13が第2突起23よりも小さく(P1<P2)形成されていたが、これに限らず、第1突起13と第2突起23とが略同じ大きさ(P1=P2)に形成されてもよい(図示せず)。また、第1突起13および第2突起23が、略半円形状に形成されていたが、これに限らず、三角形状や四角形状等の多角形状に形成されてもよい(図示せず)。
【0052】
また、本実施形態に係る仕切部材3~6は、板紙で形成されていたが、これに限らず、例えば、樹脂製の板、紙製または樹脂製の段ボールシート等で形成されていてもよい。
【0053】
なお、本実施形態では、箱本体2がトレイ状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。箱本体2は、例えば、角筒体の上下両面をフラップで閉塞するA式の箱(図示せず)等、仕切部材3を配置可能な内部空間Sを有する箱であれば如何なるものでもよい。
【0054】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る仕切部材および包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0055】
1 包装箱
2 箱本体
3,4,5,6 仕切部材
11 第1仕切板
12 第1平板
13 第1突起
14 貫通穴
21 第2仕切板
22 第2平板
23 第2突起
L1 第1折曲線
L2 第2折曲線
L3 折返し線
S 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12