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特許7423191螺旋状バルーン補助装置及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】螺旋状バルーン補助装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019066459
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2019181186
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】15/941,166
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】カーク・ジョンソン
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-223663(JP,A)
【文献】米国特許第04762130(US,A)
【文献】米国特許第06409652(US,B1)
【文献】特表2004-529741(JP,A)
【文献】国際公開第02/102451(WO,A1)
【文献】特開2001-009045(JP,A)
【文献】特表2014-508574(JP,A)
【文献】特表2016-501679(JP,A)
【文献】特開昭63-192457(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0074437(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルに取り付けられて前記カテーテル位置決め補助する螺旋状バルーン補助装置であって、前記螺旋状バルーン補助装置は、前記カテーテルの外側に摺動可能に係合するように前記カテーテルに沿って取り付けられており、
非膨張状態で、直線部分と螺旋状部分とを有する管状バルーンと、
前記管状バルーンと密封状態で連通し、前記管状バルーンから近位方向に延びる膨張管と、を備え、
記管状バルーンの内側に配置され、直線部と螺旋部備える内側芯部材を更に備え、
前記内側芯部材の前記螺旋部が、前記管状バルーンの壁に沿って螺旋状に延び複数の螺旋形状に形成され、前記螺旋形状が前記管状バルーンの前記螺旋状部分を支持している、螺旋状バルーン補助装置。
【請求項2】
前記内側芯部材が、弾性材料で形成されている、請求項1に記載の螺旋状バルーン補助装置。
【請求項3】
前記内側芯部材が、前記管状バルーンに固定されている、請求項1に記載の螺旋状バルーン補助装置。
【請求項4】
前記内側芯部材が、螺旋軸に最も近いバルーン壁の内側部分に固定されている、請求項3に記載の螺旋状バルーン補助装置。
【請求項5】
前記内側芯部材が、螺旋軸から最も遠いバルーン壁の内側部分に固定されている、請求項3に記載の螺旋状バルーン補助装置。
【請求項6】
前記内側芯部材が、接着剤によって、溶接によって、又は機械的締結によってバルーン壁に固定されている、請求項3に記載の螺旋状バルーン補助装置。
【請求項7】
カテーテルに取り付けられて前記カテーテル位置決め補助する螺旋状バルーン補助装置であって、前記螺旋状バルーン補助装置は、前記カテーテルの外側に摺動可能に係合するように前記カテーテルに沿って取り付けられており、
非膨張状態で、直線部分と螺旋状部分とを有する管状バルーンと、
前記管状バルーンと密封状態で連通し、前記管状バルーンから近位方向に延びる膨張管と、を備え、
記管状バルーンの内側に配置され、直線部と螺旋部備える内側芯部材を更に備え、
前記内側芯部材の前記螺旋部が、前記管状バルーンの壁に沿って螺旋状に延びる複数の螺旋形状に形成され、前記螺旋形状が前記管状バルーンの前記螺旋状部分を支持しており
前記内側芯部材が、前記管状バルーンに固定されていない、螺旋状バルーン補助装置。
【請求項8】
前記管状バルーンが弾性材料を含む、請求項1または7に記載の螺旋状バルーン補助装置。
【請求項9】
前記管状バルーンが非弾性材料を含む、請求項1または7に記載の螺旋状バルーン補助装置。
【請求項10】
カテーテルと、
求項1から9のいずれか1つに記載の螺旋状バルーン補助装置であって、
前記管状バルーンと密封状態で連通し、近位方向に延びる前記膨張管と、を備える、螺旋状バルーン補助装置と、を備える、螺旋状バルーン補助カテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的には血管手術用の器具の分野に関する。より詳細には、本開示は血管手術中に血管を閉塞するためのバルーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バルーンガイドカテーテルは、血管内装置の挿入、及び虚血的用途における血流の制御/制限を容易とする。バルーンガイドカテーテルは、血栓の捕捉性を最大化するための大きな管腔を有する設計を有し、血栓回収装置用の導管としての使用に適応される。バルーンがこれらの装置上のアセンブリの一体部分となっていることから、装置のプロファイルは、6F(2.0mm)径でありうる通常の大きな内径のガイドカテーテルと比較して、例えば8F(2.7mm)(フレンチ「F」=0.33mm)と非常に大きい。また、システムの全体的な可撓性は、必要とされる膨張管腔及び遠位バルーンを膨張させるために必要とされる二層構造のために低くなっている。全体的なプロファイルが大きいことと遠位の可撓性に乏しいこととが相まって、神経血管の解剖学的構造内でこれらの装置を辿ることは困難である。したがって、これらの装置の使用は、近位の脳血管系に専ら限定されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
従来技術におけるこれらの難点を解消するため、螺旋状バルーン補助装置は、非膨張状態で、独立した螺旋状の形状に少なくとも部分的に形成される管状バルーンと、バルーンと密封状態で連通し、螺旋状バルーン補助装置から近位方向に延びる膨張管と、を備えることができる。螺旋状バルーン補助装置は、独立した螺旋形状に少なくとも部分的に形成され、管状バルーンの螺旋形状を支持する内側芯部材を更に有することができる。各例において、内側芯部材は弾性材料で形成されることができる。
【0004】
他の例は、バルーンに固定されるか、又は螺旋軸に最も近いか若しくは螺旋軸から最も遠いバルーン壁の内側部分に固定された内側芯部材を有する。内側芯部材は、接着剤によって、溶接によって、又は機械的締結によってバルーン壁に固定されることができる。他の例は、バルーンに固定されていない内側芯部材を有する。内側芯部材は、管状バルーンの壁に沿って螺旋状に延在する第2の螺旋を含む複数の螺旋形状に形成することができる。バルーンの例としては、弾性材料又は非弾性材料で形成されたバルーンが挙げられる。
【0005】
螺旋状バルーン補助装置は、弾性材料から作製されたポジショナーを更に有してもよく、特定の例では、ポジショナーは膨張管である。ポジショナーは、螺旋状バルーン補助装置を半径方向で位置決めするように構成されることができる。
【0006】
螺旋状バルーン補助装置は、カテーテルと、カテーテルの外側に摺動可能に係合する螺旋状バルーン補助装置とを有するカテーテルシステムと組み合わせることができる。
【0007】
螺旋状バルーン補助装置を使用する例示的な方法は、螺旋状バルーン補助装置のバルーンの遠位の巻きを変形させて、螺旋状バルーン補助装置のバルーンの巻きの間に隙間を形成又は拡張する工程と、次に、バルーンの巻きの間の隙間に通してカテーテルを挿入する工程と、螺旋状バルーン補助装置をカテーテル上に完全に装着するように螺旋状バルーン補助装置を捻る工程と、膨張管又はポジショナーを使用して、カテーテルに沿って螺旋状バルーン補助装置を、患者の脈管構造内の治療部位に摺動させる工程と、を含むことができる。本方法は、膨張管を使用して螺旋状バルーン補助装置のバルーンを膨張させる工程と、次いで臨床手技を実施する工程と、その後、膨張管を使用して螺旋状バルーン補助装置のバルーンを収縮させる工程と、螺旋状バルーン補助装置を患者から引き抜く工程と、を更に含むことができる。これらの例において、螺旋状バルーン補助装置のバルーンを膨張させることは、治療部位に隣接する患者の血管の少なくとも部分的な閉塞を生じさせる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の開示に基づく、基本的な構成要素を示す螺旋状バルーン補助装置の図である。
図2】本発明の開示に基づく、収縮状態にあるバルーンを示す、螺旋状バルーン補助装置のバルーンアセンブリの図である。
図3】本発明の開示に基づく、膨張状態にあるバルーンを示す、螺旋状バルーン補助装置のバルーンアセンブリの図である。
図4A】本発明の開示に基づく、カテーテルの外径に近いバルーン内部に配置された内側芯部材の一例を示す、螺旋状バルーン補助装置のバルーンアセンブリの断面図である。
図4B】本発明の開示に基づく、カテーテルの外径から遠いバルーン内部に配置された内側芯部材の一例を示す、螺旋状バルーン補助装置のバルーンアセンブリの断面図である
図4C】本発明の開示に基づく、バルーンの壁の内部に配置された内側芯部材の一例を示す、螺旋状バルーン補助装置のバルーンアセンブリの断面図である
図4D】本発明の開示に基づく、複数の螺旋形状でバルーン内部に配置された内側芯部材の一例を示す、螺旋状バルーン補助装置のバルーンアセンブリの断面図である。
図5】本発明の開示に基づく、カテーテル本体の近位端に螺旋状バルーン補助装置を取り付ける図である。
図6】本発明の開示に基づく、カテーテル本体の近位端に完全に取り付けられた螺旋状バルーン補助装置を取り付ける図である。
図7】本発明の開示に基づく、カテーテル本体に取り付けられ、カテーテルの遠位端に配置された螺旋状バルーン補助装置の図である。
図8】本発明の開示に基づく、カテーテルの遠位端で膨張させられた螺旋状バルーン補助装置の図である。
図9】本発明の開示に基づく、患者の脈管構造内に配置され、螺旋状バルーン補助装置がカテーテル本体の近位端に取り付けられたカテーテルの図である。
図10】本発明の開示に基づく、患者の脈管構造内に配置され、螺旋状バルーン補助装置が治療部位においてカテーテル本体の遠位端に配置されたカテーテルの図である。
図11】本発明の開示に基づく、患者の脈管構造内に配置され、バルーンが治療部位で膨張させられて血管を閉塞しているカテーテルの図である。
図12】本発明の開示に基づく、螺旋状バルーン補助装置を使用するための方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、同様の部材に同様の符号を付した図面を参照し、螺旋状バルーン補助装置のさまざまな例及びその使用方法を詳細に開示する。図1は、基本的な構成要素を示す螺旋状バルーン補助装置の図である。螺旋状バルーン補助装置100は、バルーンアセンブリ200、膨張管104、及び膨張ポート106を有している。図2は、バルーンアセンブリ200をより近くで見た図である。バルーンアセンブリは、内側芯部材204によって支持されたバルーン202を有している。バルーン202は、ポリイミドなどの弾性又は半弾性材料で形成することができる。バルーン202は、近位端210から遠位端212まで軸208に沿って軸208を中心として螺旋状に延びている。内側芯部材204は、バルーン202を支持する螺旋状要素である。一実施例では、内側芯部材204はワイヤとすることができる。バルーン202の特定の形状が示されているが、本開示は図に示される形状に限定されない。
【0010】
バルーン202は、軸208と平行に延びる直線部分214を一方又は両方の端部に有することができる。直線部分214は、膨張管104との結合の頑丈さを向上させることができ、カテーテル240上のバルーン202の把持性を高めることができ、又はカテーテル240に沿ったバルーン202の辿りやすさを向上させることができる。また、バルーン202は、純粋に螺旋状であってもよい。バルーン202の螺旋状部分250は、管直径252、バルーン202の各巻きと軸208との間の距離を規定する公称直径254、及びバルーン202の各巻きの間のピッチ256によって記述される。管直径252は、一定であっても変化してもよい。いくつかの例では、管直径252は、バルーン202の端部212に向かってテーパしてもよい。ピッチ256は、一定であってもよく又は変化してもよい。1つの例(図示せず)では、バルーン202は、巻きの一部が螺旋状ではなく、代わりに、螺旋状圧縮ばねの「閉じた」端部と同様、ピッチが0で、軸208に対して垂直な平面に沿ってカテーテルの周囲に巻き付く、「閉じた」端部を有してもよい。
【0011】
バルーン202は、膨張管104を使用して膨張される。滅菌水、生理食塩水、又は別の適切な溶液を膨張ポート106において膨張管104に導入することができる。膨張ポート106は、当業界で周知のいくつかのタイプのうちの1つであってよい。膨張管104は、バルーン202の内部で終端する開放端218を有している。膨張管104の外周は、その開放端218の近位側の位置においてバルーン202と結合されている。この結合は、螺旋状バルーン補助装置100の使用中の力に耐えうる気密シール及び頑丈な機械的取り付けを与える。
【0012】
膨張管104は、カテーテル240に沿ったバルーン202の押し込み性を高めるための金属で、可撓性を与えるためのポリイミドなどのポリマー材料で、又は近位端210の金属と、遠位端212に向かって延びるにしたがって移行するポリマー材料との組み合わせで形成することができる。いくつかの例では、膨張管104を使用して螺旋状バルーン補助装置100を遠位方向にカテーテル240に沿って配置し、また、これを近位方向に後退させることができる。いくつかの例では、膨張管104は、内側芯部材204に取り付けられてもよい。他の例では、別のポジショナー(図示せず)をバルーン202及び/又は内側芯部材204に取り付けて螺旋状バルーン補助装置100をカテーテル240に沿って遠位方向に前進させ、また、これを近位方向に後退させるようにすることで、膨張管104の可撓性を高めることができる。ポジショナーは、スプリングテンパーステンレス鋼、又はより好ましくはニチノールのような弾性材料で形成することができる。いくつかの例では、ポジショナーは、ポジショナー、内側本体104、及び/又はバルーン202の材料に応じて適切となりうるように、例えばレーザー又は超音波手段により、接着剤により、圧着によって、又は熱かしめによって取り付けることができる。
【0013】
バルーンアセンブリ200の長さLは、軸方向に比較的短くてもよい。1つの例では、バルーンアセンブリ200は、カテーテル240の外径Dの2倍以下とすることができる(図6参照)。別の例では、バルーンアセンブリ200は、カテーテル240の外径D以下とすることができる。短い長さLは、バルーンアセンブリ200がバルーンアセンブリをガイドするカテーテル240のより小さな曲率半径の曲がりを辿ることを可能にする。
【0014】
図4A図4Dは、内側芯部材204の各例を示す。1つの例では、内側芯部材204は、スプリングテンパーステンレス鋼などの弾性材料、又はより好ましくはニチノールなどの超弾性材料で形成される。内側芯部材204は、バルーン202を支持する螺旋状の形状を有している。内側芯部材204はバルーン202に固定されてもよく、又はバルーン202内で固定されなくてもよい。内側芯部材204は、接着剤によって、超音波溶接によって、機械的締結具によって、熱かしめによって、又は当業者には周知の他の手段によって固定されてもよい。バルーン202に固定される場合、内側芯部材204は、バルーン202の内部216、バルーン202の外部、又は図4Cに示されるようにバルーン202の壁220内に固定することができる。内側芯部材204は膨張管104に、接着剤によって、超音波溶接によって、機械的締結具によって、熱かしめによって、又は当業者には周知の他の手段によって固定することもできる。1つの例では、図4Aに示されるように、内側芯部材204は、カテーテル240に最も近いバルーン202の壁220を辿る螺旋状、すなわち、カテーテル240の外径242と同様の公称直径を有する螺旋状に形成することができる。別の例では、内側芯部材204は、図4Bに示されるように、カテーテル240から最も遠いバルーン202の壁220を辿る螺旋状、すなわち、カテーテル240の外径D(円周242によって示される)にバルーン202の管直径の2倍を加えたものにほぼ等しい公称直径を有する螺旋状に形成することができる。
【0015】
別の例では、内側芯部材204は、図4Dに示されるように、バルーン202の螺旋形状の内壁220を螺旋状に辿る複数の螺旋222に形成することができる。複数の螺旋222は、バルーンの管直径にほぼ等しい公称直径を有し、バルーン管の中心を辿るスプラインを近似する軸に沿って螺旋状に巻いている。したがって、複数の螺旋222は、カテーテル240の周囲に巻かれた長いコイルばねに似ている。複数の螺旋222は、例えば、機械的に、又は型上で内側芯部材204を熱処理することによって形成されてもよい。
【0016】
図5図8は、螺旋状バルーン補助装置100の基本的な動作を示す。図5は、バルーン補助装置がコルク栓抜き状に捻られることによって一時的に変形され、カテーテル上に取り付けられている様子を示す。バルーン202の遠位端212は、バルーン202の最遠位の巻きと最近位の巻きとの間に隙間226が形成されるように変形されている。図6は、近位位置230においてカテーテル上に完全に取り付けられた螺旋状バルーン補助装置を示す。次いで、膨張管104又は別のポジショナー(図示せず)を使用して螺旋状バルーン補助装置100をカテーテル240に沿って摺動させる。図7は、カテーテル240に沿って摺動した後で遠位位置232においてカテーテル240上に取り付けられた螺旋状バルーン補助装置100を示す。次に、図8に示すように、膨張管104を用いてバルーン202を膨張させる。
【0017】
図9図11は、医療手技の間の螺旋状バルーン補助装置100の基本的な動作を示す。図9は、臨床医によって患者の脈管構造252内の治療部位250に既に配置されていてよいカテーテル240上の近位位置230に完全に取り付けられた螺旋状バルーン補助装置100を示す。次いで、膨張管104又は別のポジショナー(図示せず)を使用して螺旋状バルーン補助装置100をカテーテル240に沿って治療部位250に摺動させる。図10は、治療部位250においてカテーテル240上の遠位位置232に取り付けられた螺旋状バルーン補助装置100を示す。次いで、図11に示されるように、バルーン202を膨張管104を使用して膨張させて、患者の血管構造252の一部を閉塞する。いくつかの例では、螺旋状バルーン補助装置100を臨床手技の間に使用して、血流を閉塞するか、処置によって遊離した組織、血栓、若しくは破片を閉塞又は捕捉するか、又は血管内の定位置にカテーテル240を保持することができる。
【0018】
図12は、螺旋状バルーン補助装置100を使用する各工程を示したフローチャートである。1200において、バルーンの遠位端を変形させて螺旋の巻きの間に隙間226を形成するか又は拡張する。1202において、カテーテル240をバルーン202の巻きの間の隙間226に通して挿入する。1204において、螺旋状バルーン補助装置100をコルク栓抜き状にカテーテル240上に完全に捻る。1206において、膨張管104又はポジショナーを使用して、螺旋状バルーン補助装置100をカテーテル240に沿って患者の脈管構造252内の治療部位250へと摺動させる。いくつかの実施例では、ポジショナーは膨張管104であってよい。1208において、螺旋状バルーン補助装置100を、膨張管104を使用して治療部位250で膨張させる。残りの工程は、臨床手技に応じて任意選択的である。1210において、膨張された螺旋状バルーン補助装置100が治療部位250において血管を閉塞している間に手技を行う。1212において、螺旋状バルーン補助装置100を収縮させる。1214において、収縮した螺旋状バルーン補助装置100を引き抜く。
【0019】
開示される技術の原理と特徴とを理解するのを容易にするために、例示的な実施例を上記で説明してきた。開示される技術のさまざまな要素を構成するものとしてここに説明される構成要素は、例示的なものであって、制限的なものではないことが意図されている。本明細書に説明された構成要素と同じか又は類似の機能を果たす多くの好適な構成要素は、開示される装置及び方法の範囲内に含まれるものとする。本明細書において説明されていない他の構成要素には、例えば、開示される技術の開発後に開発された構成要素が挙げられ得るが、それに限定されない。
【0020】
各例は、螺旋状バルーン補助装置をカテーテル上に取り付けることについて述べているが、螺旋状バルーン補助装置は同様に、ガイドワイヤ、管腔、又は任意の同様に細長い血管外科用器具と共に使用することができる。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、複数の指示対象をも含むことにもまた、留意しなければならない。「備える、含む(comprising)」又は「含有する(containing)」又は「含む(including)」は、少なくとも言及された要素又は方法工程が物品又は方法に存在するが、他の要素又は方法工程の存在を、たとえこれらの他の要素又は方法工程が言及されたものと同じ機能を有するものであっても除外しないことを意味する。
【0022】
また、1つ又は2つ以上の方法工程への言及が、明示的に特定されたそれらの工程間の追加の方法工程又は介在する方法工程の存在を除外しないことも理解されたい。同様に、装置又はシステムの1つ又は2つ以上の構成要素への言及が、明示的に特定された構成要素間の追加の構成要素又は介在する構成要素の存在を排除しないことも理解されたい。
【0023】
本出願書において説明される設計及び機能性は、本質的に例示的なものであることが意図され、本開示をいかなる方法でも制限することを意図しない。当事者であれば、本開示の教示は、本明細書において開示される形態及び当業者に知られている追加的形態を含む、さまざまな好適な形態で実施し得るということを理解するであろう。
【0024】
この技術の特定の例は、フロー図を参照して上記に説明されている。本開示のいくつかの実施例によれば、ブロック図及びフロー図のいくつかのブロックは必ずしも示される順序で実行される必要はなく、又は必ずしも実行される必要はない。
【0025】
本開示の特定の実施例を、現段階で最も実用的な形態と考えられるもの及びさまざまな実施例と関連させてここまで説明してきたが、本開示は、開示された実施例に限定されず、むしろ、添付の特許請求の範囲に含まれるさまざまな修正例及び均等な構成を含むことが意図されていることを理解すべきである。本明細書において特定の用語が用いられるが、それらは、限定の目的のためではなく、一般的かつ説明的な意味で使用されている。
【0026】
この説明書類は例を用いて、本技術のある特定の実施例を開示し、当業者が、例えば、任意の装置又はシステムを作製し使用すること、及び任意の組み込まれた方法を実行することを含む、本技術のある特定の実施例を実践することを可能にするものである。本技術のある特定の実施例の特許請求可能な範囲は、請求項に定義されるが、当業者が考えつくその他の実施例を含み得る。そのような他の例は、それらが、特許請求の範囲の字義どおりの言語と異ならない構造的要素を有する場合、又はそれらが、特許請求の範囲の字義どおりの言語とごくわずかに異なる均等の構造的要素を含む場合、請求項の範囲内であることが意図される。
【0027】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルに取り付けられて前記カテーテルの位置決めを補助する螺旋状バルーン補助装置であって、前記螺旋状バルーン補助装置は、前記カテーテルの外側に摺動可能に係合するように前記カテーテルに沿って取り付けられており、
非膨張状態で、直線部分と螺旋状部分とを有する管状バルーンと、
前記管状バルーンと密封状態で連通し、前記管状バルーンから近位方向に延びる膨張管と、を備え、
前記管状バルーンの内側に配置され、直線部と螺旋部を備える内側芯部材を更に備え、
前記内側芯部材の前記螺旋部が、前記管状バルーンの壁に沿って螺旋状に延びる複数の螺旋形状に形成され、前記螺旋形状が前記管状バルーンの前記螺旋状部分を支持している、螺旋状バルーン補助装置。
(2) 前記内側芯部材が、弾性材料で形成されている、実施態様1に記載の螺旋状バルーン補助装置。
(3) 前記内側芯部材が、前記バルーンに固定されている、実施態様に記載の螺旋状バルーン補助装置。
(4) 前記内側芯部材が、螺旋軸に最も近いバルーン壁の内側部分に固定されている、実施態様に記載の螺旋状バルーン補助装置。
【0028】
(5) 前記内側芯部材が、螺旋軸から最も遠いバルーン壁の内側部分に固定されている、実施態様に記載の螺旋状バルーン補助装置。
(6) 前記内側芯部材が、接着剤によって、溶接によって、又は機械的締結によってバルーン壁に固定されている、実施態様に記載の螺旋状バルーン補助装置。
(7) カテーテルに取り付けられて前記カテーテルの位置決めを補助する螺旋状バルーン補助装置であって、前記螺旋状バルーン補助装置は、前記カテーテルの外側に摺動可能に係合するように前記カテーテルに沿って取り付けられており、
非膨張状態で、直線部分と螺旋状部分とを有する管状バルーンと、
前記管状バルーンと密封状態で連通し、前記管状バルーンから近位方向に延びる膨張管と、を備え、
前記管状バルーンの内側に配置され、直線部と螺旋部を備える内側芯部材を更に備え、
前記内側芯部材の前記螺旋部が、前記管状バルーンの壁に沿って螺旋状に延びる複数の螺旋形状に形成され、前記螺旋形状が前記管状バルーンの前記螺旋状部分を支持しており、
前記内側芯部材が、前記管状バルーンに固定されていない、螺旋状バルーン補助装置。
(8) 前記バルーンが弾性材料を含む、実施態様1または7に記載の螺旋状バルーン補助装置。
【0029】
(9) 前記バルーンが非弾性材料を含む、実施態様1または7に記載の螺旋状バルーン補助装置。
(10) カテーテルと、
実施態様1から9のいずれか1つに記載の螺旋状バルーン補助装置であって、
前記管状バルーンと密封状態で連通し、近位方向に延びる前記膨張管と、を備える、螺旋状バルーン補助装置と、を備える、螺旋状バルーン補助カテーテルシステム。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12