IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クロネス アーゲーの特許一覧

<>
  • 特許-容器クロージャの処理装置 図1
  • 特許-容器クロージャの処理装置 図2
  • 特許-容器クロージャの処理装置 図3
  • 特許-容器クロージャの処理装置 図4
  • 特許-容器クロージャの処理装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】容器クロージャの処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/04 20060101AFI20240122BHJP
   B65B 55/10 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
B65B55/04
B65B55/10 A
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019100345
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020023355
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】10 2018 113 291.3
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】セルナー ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー ホルガー
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0074086(US,A1)
【文献】特開平08-164925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B53/00-55/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器クロージャ(4)を処理する装置(1)、好ましくは飲料充填プラント(8)において容器を閉止する容器クロージャ(4)を殺菌する装置(1)であって、
容器クロージャ(4)を処理する処理チャンバ(2)と、
前記処理チャンバ(2)を通るように容器クロージャ(4)を搬送する搬送装置(3)と、
を備えており、
前記搬送装置(3)は、リニアドライブ(30)を備えており、
前記リニアドライブ(30)は、搬送方向(9)および当該搬送方向と逆の方向(10)に動作可能であることにより、前記処理チャンバ(2)内に位置する前記容器クロージャ(4)を、前記処理チャンバ(2)外へ前記搬送方向(9)と逆方向に戻すことができる
装置(1)。
【請求項2】
前記搬送装置(3)は、
長尺ステータ(31)と、
処理に供される少なくとも一つの容器クロージャ(4)を収容するために前記長尺ステータ(31)に沿って個別に駆動されうる、好ましくは複数のキャリッジ(32)と、を備えている、
請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記キャリッジ(32)は、供給シュート(50)から容器クロージャ(4)を取り出すキャリア(33)を備えている、
請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記キャリッジ(32)は、それぞれ複数の容器クロージャ(4)を搬送する、
請求項2または3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記搬送装置(3)は、複数の容器クロージャ(4)を一時的に貯留するためのバッファ(35)を備えている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記搬送装置(3)は、トラックスイッチ(36、37)を備えており、
前記バッファ(35)は、前記トラックスイッチ(36、37)を介して前記搬送装置(3)の主搬送ライン(34)に接続されており、
好ましくは、前記バッファ(35)に接続するための第一トラックスイッチ(36)が前記主搬送ライン(34)の第一位置に設けられており、前記バッファ(35)に接続するための第二トラックスイッチ(37)が前記主搬送ライン(34)の第二位置に設けられている、
請求項5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記搬送装置(3)は、前記容器クロージャ(4)を、当該容器クロージャ(4)で容器を閉止するキャッパ(6)へ直接供給するように構成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記処理チャンバ(2)は、前記容器クロージャ(4)と前記容器のプリフォーム(12)の双方を殺菌するチャンバとして構成されている、
求項1から7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記処理チャンバ(2)の上流に配置されており、処理に供される容器クロージャ(4)を清掃する清掃装置(13)を備えている、
請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記搬送装置(3)は、ツイスト部(38)を備えており、
前記ツイスト部(38)において、前記搬送装置(3)により搬送される容器クロージャ(4)の姿勢が主搬送方向について変更されるように構成されており、
好ましくは、前記ツイスト部(38)は、前記清掃装置(13)の領域に配置されている、
請求項9に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器クロージャを処理する装置、特に飲料充填プラントにおいて容器を閉止するための容器クロージャを消毒する装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
飲料充填プラントにおいては、充填済みの容器を閉止するために装着される前に、容器クロージャを処理することが一般的である。具体的には、細菌などの汚染物質が容器クロージャを通じて充填済み容器(特に容器内に収容された充填物)へ侵入できないように、容器クロージャが消毒される。
【0003】
従来のプラントにおいては、カスケードコンベアによって容器クロージャが所望の方向へ仕分けされるとともに、上方の消毒のために処理チャンバへ送られている。処理チャンバは、例えば、クリーンルーム内に配置されたキャッパへ重力のみによって移送されることを可能にするために、当該クリーンルームの上方に配置されうる。
【0004】
これに関連して、例えば無菌の容器充填プラントでは、容器クロージャの消毒システムを利用することが知られている。これにより、充填済み容器に装着される容器クロージャの殺菌や消毒がなされる。処理チャンバ内では、容器クロージャを殺菌するために、過酢酸や過酸化水素が蒸気の形態で使用されることが一般的である。こうした容器クロージャの殺菌システムは、殺菌や消毒がなされる容器クロージャが重力で滑り落ちるガイドシュートなどを備えている。滑落中の容器クロージャは、殺菌剤や消毒剤を浴びる。
【0005】
この種の容器クロージャ処理装置は、かなりの高さ寸法を有しており、当該装置を収容するために天井高が10mに及ぶホールを必要とする。必要な容器クロージャのスループットを得るために、処理チャンバのガイドシュートには同時に複数の容器クロージャが存在する。したがって、ガイドシュートを通じて搬送される他の容器クロージャからの圧力が、ガイドシュート内における容器クロージャの割り込みや詰まりを引き起こしうる。
【0006】
処理チャンバを通じて容器クロージャを正しい姿勢で問題なくキャッパまで搬送できるようにするために、ガイドシュートは、使用される容器クロージャの種別に応じた設計がなされることが求められる。使用される容器の種別に変更があると、ガイドシュートは交換されることを要する。あるいは、処理チャンバ内に相違するガイドシュートが併設され、これらの間で切り替えが可能とされる。
【0007】
容器クロージャの処理がなされる処理チャンバの末端において、ガイドシュートは、ストッパを備えうる。ストッパは、容器クロージャがそれ以上ガイドシュートを滑落するのを防ぐ。ストッパは、処理チャンバ内で各容器クロージャ(容器クロージャの列の先頭に位置するものであっても)に対する十分な処理時間を確保するために必要である。
【0008】
処理チャンバ内の過酷な環境(特に高いチャンバ内温度と殺菌剤濃度)に鑑みると、処理チャンバ内における容器クロージャの滞在時間は、適切な正確さで管理されることを要する。
【0009】
処理チャンバ内の滞在時間が短すぎると、容器クロージャの殺菌が適切になされない虞がある。他方、例えばガイドシュートにおける詰まりやプラントの停止によって処理チャンバ内の滞在時間が長くなりすぎた容器クロージャは、排除されなければならず、容器の閉止には使用できない。容器クロージャの素材は、長すぎる熱処理や過剰な処理剤に供されることによってダメージを受けるからである。処理チャンバ内に長く滞在しすぎた容器クロージャは、高温と他の容器クロージャからの圧力によって変形しうることも一因である。
【0010】
ガイドシュートは、重力によって容器クロージャを一方向のみに搬送可能なので、過剰な処理に供されたなどの理由で使用不可能となった容器クロージャは、下方へ排出されることを要する。それらは、飲料充填プラントにおけるアイソレータの床に落下することが一般的である。しかしながら、アイソレータを開放して容器クロージャを除去すると、アイソレータのクリーンルーム状態を破るので、インターリム殺菌が必要になる。これを回避するための試みがなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記に鑑み、本発明は、改善された容器クロージャの処理装置(特に飲料充填プラントにおいて容器クロージャを殺菌する装置)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する装置により達成される。当該装置は、容器クロージャを処理する装置、好ましくは飲料充填プラントにおいて容器を閉止する容器クロージャを殺菌する装置である。さらなる有利な構成は、従属請求項、明細書、および添付図面に記載の特徴により得られる。
【0013】
したがって、容器クロージャを処理する装置、好ましくは飲料充填プラントにおいて容器を閉止する容器クロージャを殺菌する装置であって、
容器クロージャを処理する処理チャンバと、
前記処理チャンバを通るように容器クロージャを搬送する搬送装置と、
を備えており、
前記搬送装置は、リニアドアライブを備えており、
前記リニアドライブは、搬送方向および当該搬送方向と逆の方向に動作可能であるものが提案される。
【0014】
搬送装置がリニアドライブを備えていることにより、少なくとも一つの容器クロージャの処理チャンバ内における動きが個別に変更・調節されうる。したがって、処理チャンバ内における容器クロージャの処理時間を変更できる。これに加えてあるいは代えて、処理に供される容器クロージャの種別に応じて処理時間を適応させることができる。これにより、同じ大きさを有する処理チャンバが、様々な種別の容器クロージャに使用されうる。すなわち、単一の処理チャンバを用いて、搬送経路や処理時間が相違する様々な種別の容器クロージャを提供できる。
【0015】
さらに、搬送装置がリニアドライブを備えていることにより、処理に供される容器クロージャが先ずマスフローコンベアによって持ち上げられ、続いてガイドシュートを通じて重力により滑り落とされる必要がない。これに代えて、リニアドライブは、水平方向の動きと垂直方向の動き(重力方向とその逆方向の双方)を許容する。よって、容器クロージャの処理を、地面に近い所で行なえる。したがって、容器クロージャを搬送、仕分け、落下させるためのスペースや技術的手段を上方の領域に設ける必要がなく、当該目的のために必要なプラント要素や装置を検査・保守するスペースや技術的手段も不要である。
【0016】
リニアドライブが搬送方向および当該搬送方向と逆の方向に動作可能であることにより、処理チャンバ内に位置する容器クロージャを、処理チャンバ外へ搬送方向と逆方向に戻すことができる。具体的には、プラントの停止が生じた場合において、処理チャンバ内に位置する容器クロージャを、処理チャンバ外へ送り戻すことができる。続いてプラントの操業が再開されると、当該容器クロージャを、再び処理チャンバ内へ送り込むことができる。これにより、容器クロージャについて中断された処理の再開ややり直しができる。
【0017】
逆送により容器クロージャが処理チャンバの外へ出されることにより、別の搬送部やバッファ部を処理チャンバの下流側に設ける必要がない。したがって、容器を容器クロージャで閉止するためのキャッパが、処理チャンバのすぐ下流側に配置されうる。これにより、容器クロージャを処理する装置を備えるプラントを、非常にコンパクトに設計できる。
【0018】
容器クロージャを処理する装置を備えるプラント(例えば飲料充填プラント)に停止が生じた場合、処理チャンバ内に位置する容器クロージャは、リニアドライブによって能動的に処理チャンバ外へ搬出される。これにより、過剰処理による容器クロージャへの損傷が回避されうる。好ましくは、プラントの停止中に処理チャンバ外に搬出された容器クロージャは、操業の再開後に処理チャンバへ搬入し直される。これにより、プラントの停止発生により廃棄される容器の数が顕著に削減されうる。
【0019】
容器クロージャがリニアドライブによって能動的に搬送されることにより、容器クロージャの変形も回避されうる。容器クロージャ同士がほぼ接触することなく搬送されうるので、各容器クロージャに他の容器クロージャから圧力がかからないからである。
【0020】
加えて、リニアドライブによれば、下流側に位置するキャッパに対して、正確な間隔で容器クロージャを搬送できる。よって、搬送装置とキャッパの間に追加のストッパを設けたり、キャッパに対してピックアンドプレースステーションや位置決めシステムを設けたりする必要がない。
【0021】
リニアドライブを用いることにより、エアロックを経由しての処理チャンバに対する容器クロージャの搬入と搬出が、非常に効率的に遂行されうる。具体的には、容器クロージャの搬入と搬出の少なくとも一方のために処理チャンバがマルチドアエアロックを備える場合、当該エアロックの第一ドアを通じて導入された容器クロージャの搬送は、当該第一ドアが再び閉じられるのに続いて第二ドアが開かれるまで、当該エアロック内において停止または減速されうる。容器クロージャが処理チャンバから搬出される際においても、同様の手続きが行なわれうる。加えて、エアロックの封止性が向上することにより、消毒液の漏出が抑制されるので、消毒液の消費量が削減されうる。
【0022】
したがって、リニアドライブを備えた搬送装置を設置することにより、非常にコンパクトで効率性および簡潔背の高い構成を備えた容器クロージャの処理装置が提供されうる。
【0023】
別の好ましい実施形態においては、前記搬送装置は、
長尺ステータと、
処理に供される少なくとも一つの容器クロージャを収容するために前記長尺ステータに沿って個別に駆動されうる、好ましくは複数のキャリッジと、
を備えている。
【0024】
リニアドライブは、リニアモータの形態で構成されうる。この場合、ステータは、搬送路を規定する長尺ステータの形態で提供され、キャリッジは、個別に当該長尺ステータ上を移動する。
【0025】
個別に駆動されうるキャリッジにより、処理チャンバへ進入し通過する少なくとも一つの容器クロージャの位置と動きの制御と調節の少なくとも一方を個別に行なえる。また、供給装置からの容器クロージャの取り出しや、キャッパへの容器クロージャの搬送を、正確なタイミングで行なえる。長尺ステータは、キャリッジの移動経路(すなわち、キャリッジの巡回路または主搬送ライン)を提供することが好ましい。
【0026】
複数の容器クロージャを各キャリッジで搬送することも可能である。この場合、より少ない数のキャリッジで効率よく容器クロージャを搬送できる。
【0027】
別の好ましい実施形態においては、前記長尺ステータは、前記処理チャンバの壁の外側に配置されうる。この場合、前記キャリッジは、当該壁の外側に設けられたガイドに沿って前記処理チャンバへ案内されうる。これにより、長尺ステータが処理チャンバ内の処理媒体と接触することが防止される。
【0028】
別の好ましい実施形態として、前記キャリッジが、供給シュートから容器クロージャを取り出すキャリアを備えている場合、当該キャリッジは、当該供給シュートに対するストッパとしても機能しうる。
【0029】
好ましくは、容器クロージャが供給シュート(例えば仕分け装置の供給シュート)から取り出される際に、キャリッジは、常に供給シュートの出口に配置される。供給シュートから容器クロージャが脱落するのを防止するためである。キャリアは、当該キャリアを有するキャリッジが供給シュートから離れる際に、当該キャリッジが供給シュートから移された容器クロージャを確実に搬送することを可能にする。加えて、先のキャリッジが供給シュートから離れた後に次のキャリッジが先のキャリッジの位置へ着くとき、次のキャリッジのキャリアは、別の容器クロージャを引き取れる。好ましくは、そのキャリアにより、当該別の容器クロージャが供給シュートから滑り落ちることが防がれる。
【0030】
加えて、前記搬送装置が、複数の容器クロージャを一時的に貯留するためのバッファを備えている場合、例えばプラントの停止中に処理チャンバから搬出された容器クロージャを、一時的に保管することができる。これにより、プラントや装置の部品に不具合が生じた場合(例えば搬送装置への容器クロージャの供給途絶が生じた場合)に、顕著な中断なくプラントの操業を継続できる。
【0031】
別の好ましい実施形態においては、
前記搬送装置は、トラックスイッチを備えており、
前記バッファは、前記トラックスイッチを介して前記搬送装置の主搬送ラインに接続されており、
好ましくは、前記バッファに接続するための第一トラックスイッチが前記主搬送ラインの第一位置に設けられており、前記バッファに接続するための第二トラックスイッチが前記主搬送ラインの第二位置に設けられている。
これにより、処理チャンバから導き出された容器クロージャを、トラックスイッチ(好ましくは第一トラックスイッチ)を経由してバッファへ搬入でき、一時的な貯留の後、再びトラックスイッチ(第一トラックスイッチと第二トラックスイッチのいずれか)を経由して、容器クロージャを主搬送ラインに送り戻すことができる。第二トラックスイッチは、通常稼働時において巡回路を形成する主搬送ラインの少なくとも一部を、別のバッファ部として使用可能にもできる。
【0032】
前記搬送装置が、前記容器クロージャを、当該容器クロージャで容器を閉止するキャッパへ直接供給するように構成される場合、上記の処理装置を備えたプラント(特に容器充填プラント)を、より簡潔な構成にできる。
【0033】
別の好ましい実施形態においては、
前記処理チャンバは、容器を殺菌するチャンバとして構成されており、
殺菌は、好ましくは前記容器のプリフォームだけでなく、当該容器を閉止する容器クロージャに対して行なわれる。
これにより、容器(好ましくは容器のプリフォーム)と容器クロージャの双方を、共通の処理チャンバ内で処理できる。第一に、リニアドライブが地面の近くで処理が行なわれることを可能にしているからであり、第二に、容器チャンバ内で処理に供される容器クロージャの位置と移動速度の少なくとも一方が個別に制御されうることにより、処理チャンバ内の容器クロージャおよび容器の滞留時間あるいは処理時間を、互いに独立して個別に調節できるからである。
【0034】
換言すると、同じ処理チャンバ内における容器クロージャの滞留時間または処理時間と容器あるいは容器のプリフォームの滞留時間または処理時間は、実質的に異なる。結果として、容器クロージャまたは容器のために別の処理チャンバを用意すること(ひいては別の殺菌媒体気化器、熱交換器を備えた空調装置、処理チャンバの調節システム、これらの要素の管理装置)を不要にできる。よって、上記の処理装置を備えたプラントは、従来のプラントと比較すると、よりコンパクトで簡潔な構成を有しうる。加えて、プロセスの信頼性が高まる。さらに、このように構成された容器クロージャの処理装置に求められる最大設置高さ寸法は、従来の処理装置よりも小さい。
【0035】
別の好ましい実施形態においては、前記複数のキャリッジの各々が、個別に制御可能である。よって、各キャリッジの経路に沿う速度は、個別に調節・制御されうる。この手法により、例えば、プラントに停止が生じた場合に、処理チャンバの処理部の大半を通過したクロージャを保持しているキャリッジが、高速で逆方向に駆動されうる。これにより、逆送中のクロージャが過剰に長い処理時間に曝されることを回避する。プラントが操業を再開すると、逆方向に駆動されていたクロージャが、理想条件下の処理チャンバを(必要な、あるいは意図された残り時間だけ)再び通るように駆動される。
【0036】
処理に供される新たなキャップをキャリッジに供給するクロージャサプライとキャッパの間の戻り経路において、キャリッジは、クロージャサプライから処理チャンバの間、および処理チャンバ内と比較して、高速から超高速で駆動されることが好ましい。キャリッジが経路の当該部分を高速で通過し終えることにより、同じ処理結果を得るためにライン全体で使用されうるキャリッジの数が減る。
【0037】
処理チャンバに搬入される前の容器クロージャを清掃するために、具体的には粗い汚れを除去するために、処理に供される容器クロージャから汚れを除去するための清掃装置が処理チャンバの上流に配置されうる。清掃装置は、容器クロージャを清掃または予備清掃する液状洗浄媒体を用いる洗浄装置や気体(好ましくは清浄な空気)を用いる送風装置として構成されることが好ましい。
【0038】
特に、処理チャンバに搬入される前の容器クロージャに対する予備清掃は、搬送装置がその主搬送方向についてツイストした部分を有する場合に、より有効でありうる。ツイスト部は、搬送装置により搬送される容器クロージャの姿勢が変更されるように構成される。ツイスト部は、清掃装置の領域に配置されることが好ましい。ツイスト部においては、容器クロージャの少なくとも一部がキャリッジに保持されることが好ましい。
【0039】
この場合、容器クロージャは、ツイスト部の上流(すなわち進入前)において搬送装置に対して水平位置をとり、ツイスト部において容器クロージャが搬送装置の側方や下方に位置するように転回や回動による姿勢変更がなされることが好ましい。この場合、清掃装置は、搬送装置の下方に配置されることが好ましい。これにより、清掃装置からの清掃媒体(好ましくは清掃液、ガス、またはガス混合物)が、清掃対象の容器クロージャに下方から吹き付けられうる。また、清掃前に、あるいは遅くとも清掃後に、粗い汚れ粒子を容器クロージャから重力の作用で落下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明のさらなる好適な実施形態と態様は、以下に列挙する図面と以降の記載を通じてより詳細に説明される。
【0041】
図1】容器クロージャを処理する装置を模式的に示している。
図2図1に記載された装置の通常動作を模式的に示している。
図3図1に記載された装置の飲料充填プラントの停止直後の状態を模式的に示している。
図4】別実施形態に係る容器クロージャを処理する装置を模式的に示している。
図5】別実施形態に係る容器クロージャを処理する装置を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図面の補助を得つつ、好適な実施形態の例が以下に記載される。各図においては、同一または同様の要素、あるいは同一の効果を奏する要素は、同一の参照符号により指示される。これらの要素について繰り返しとなる説明の一部は、冗長性を避けるために省略される。
【0043】
図1は、容器クロージャ4を処理する装置1を模式的に示している。装置1は、飲料充填プラント8内に組み上げられている。飲料充填プラント8は、容器クロージャ4を仕分けする仕分け装置5、キャッパ6、およびアイソレータ7も備えている。キャッパ6は、アイソレータ7に配置されており、容器を容器クロージャ4で閉止する。
【0044】
仕分け装置5、キャッパ6、およびアイソレータ7は、装置1の一部としても構成されうる。
【0045】
装置1は、処理チャンバ2を有している。本例においては、処理チャンバ2は、内部で容器クロージャ4を殺菌するように構成されている。本例においては、処理チャンバ2は、飲料充填プラント8のアイソレータ7と結合されている。あるいは、処理チャンバ2は、アイソレータ7から独立して設けられうる。装置1は、搬送装置3も備えている。搬送装置3は、リニアドライブ30を備えている。リニアドライブ30は、長尺ステータ31と複数のキャリッジ32を備えている。複数のキャリッジ32の各々は、長尺ステータ31を介して、処理対象となる容器クロージャ4を収容すべく個別に駆動されうる。したがって、リニアドライブ30は、リニアモータの形態で構成されている。複数のキャリッジ32は、長尺ステータ31上を移動し、個別に駆動されうる。
【0046】
各キャリッジ32は、搬送される容器クロージャ4を仕分け装置5の供給シュート50から受け付けるキャリア33を備えている。キャリッジ32とキャリア33は、複数の容器クロージャ4を受け付けて搬送に供するように構成されうる。二つ以上(例えば四つ、六つ、八つなど)の容器クロージャ4がキャリッジ32で搬送されうる。
【0047】
本実施形態においては、リニアドライブ30は、搬送方向(図2参照)と当該搬送方向と逆方向(図3参照)の双方に動作可能である。すなわち、キャリッジ32は、搬送装置3に沿って二方向に変位されうる。
【0048】
搬送装置3は、さらにバッファ35を備えている。バッファ35は、容器クロージャ4を一時的に貯留するために設けられている。バッファ35は、第一トラックスイッチ36と第二トラックスイッチ37を介して搬送装置3の主搬送ライン34に接続されている。第一トラックスイッチ36は、主搬送ライン34における供給シュート50と処理チャンバ2の間に配置されている。第二トラックスイッチ37は、搬送装置3におけるキャッパ6とアイソレータ7の下流に配置されている。
【0049】
図2は、図1に記載された装置1の通常動作を模式的に示している。搬送装置3は、搬送方向9に沿って複数のキャリッジ32を個別に移動させている。仕分け装置5から供給シュート50を通じて搬送装置3へ供給された容器クロージャ4は、供給シュート50の終端から個別に一つのキャリッジ32へ引き取られる。供給シュート50の終端において容器クロージャ4がキャリッジ32に引き取られると、容器クロージャ4を搬送するキャリッジ32は、エアロックを通過して処理チャンバ2へ進入する。処理チャンバ2内においては、容器クロージャ4は、蒸気性処理媒体(本例においては蒸気化された過酸化水素)に曝される。あるいは、過酢酸などの公知の別処理媒体が、処理チャンバ2における容器クロージャの処理を遂行するために使用されうる。
【0050】
各容器クロージャ4の処理チャンバ2における滞留時間あるいは処理時間は、各キャリッジ32について設定された速度に支配されるので、正確に調節されうる。したがって、過剰処理や処理不足が効果的に回避されうる。処理済みの容器クロージャ4がエアロックを通過して処理チャンバ2を退出した後は、さらにアイソレータ7へ搬送され、所定の間隔で正確かつ確実にキャッパ6へと送られる。容器クロージャ4がキャッパ6へ送られた後、キャリッジ32は、アイソレータ7を退出し、搬送装置3の主搬送ライン34回路に沿って供給シュート50に向かって移動する。これにより、新たな容器クロージャ4のピックアップが可能とされる。この「復路」において、空の各キャリッジ32は、高速で移動されうる。これにより、必要とされるキャリッジ32の数を最小限にする。
【0051】
図3は、図1に記載された装置1の飲料充填プラント8の停止直後の状態を模式的に示している。停止が生じた際に既に処理チャンバ2内にある容器クロージャ4の過剰処理を避けるために、それらは通常の搬送方向9(図2参照)と反対の方向10へ戻され、処理チャンバ2の外へ出される。このとき、クロージャを運搬して既に50%を超える処理が済んでいるキャリッジ32は、特に高速で処理チャンバ2から送り出される。
【0052】
キャリッジ32は、第一トラックスイッチ36を経由してバッファ35に到達および進入する。バッファ35に格納可能な数よりも多くのキャリッジ32が処理チャンバ2内に存在する場合にプラントが停止すると、当該キャリッジ32の幾つかは、第二トラックスイッチ37を経由して主搬送ライン34へ送られる。換言すると、アイソレータ7を退出したキャリッジ32の逆送のために設けられた主搬送ライン34の領域は、追加のバッファ(すなわちバッファ35の拡張部)として機能する。
【0053】
プラントの停止状態が終了すると、バッファ35および追加のバッファ内に位置するキャリッジ32は、再び搬送方向9へ処理チャンバ2まで送られる。処理チャンバ2に進入した容器クロージャ4は、本来の殺菌処理に供される。バッファ35および追加のバッファが空になると、新たな容器クロージャ4が再び供給シュート50から取り出され、図2に示される通常動作として処理チャンバ2を通過する。
【0054】
図4は、別実施形態に係る容器クロージャ4を処理する装置1を模式的に示している。本装置は、図1に示される装置と実質的に対応している。しかしながら、処理チャンバ2は、容器クロージャ4を処理するためだけに設けられているのではない。本実施形態においては、処理チャンバ2は、容器プリフォーム12の殺菌チャンバとして構成されている。容器プリフォーム12は、ブロー成型後に充填物で充填され、キャッパ6において容器クロージャ4により閉止される。処理チャンバ2は、容器を閉止する容器クロージャ4を処理するようにも構成されている。殺菌は、搬送装置3によって処理チャンバ2を通過させられる容器クロージャ4と、プリフォーム搬送装置11によってやはり処理チャンバ2を通過させられるプリフォーム12の双方について行なわれる。プリフォーム搬送装置11は、搬送装置3とは独立して設けられている。この場合、容器クロージャ4とプリフォーム12の処理時間は相違する。処理時間は、適用される成形品に適合される。プリフォーム12と容器クロージャ4の双方を、処理チャンバ2内で最適な時間の処理に供させることができる。
【0055】
図5は、別実施形態に係る容器クロージャ4を処理する装置1を模式的に示している。本装置は、図1に示される装置と実質的に対応している。しかしながら、本実施形態においては、バッファが設けられていない。あるいは、図5に示される装置1は、前述の実施形態に係るバッファを備えうる。供給シュート50と処理装置2の間において、搬送装置は、ツイスト部38を有している。このツイスト部38においては、各キャリッジ32は、姿勢変更に供される。供給シュート50の終端では、各キャリッジ32における容器クロージャ4の受け口は、上方(すなわち重力方向と逆)を向いている。他方、ツイスト部38では、各キャリッジ32における容器クロージャ4の受け口が下方(すなわち重力方向)を向くように姿勢転回がなされる。したがって、逆転されたキャリッジ32内に保持あるいは収容されている容器クロージャ4もまた、下方を向く。ツイスト部38の下方には、清掃装置13が配置されている。清掃装置13は、処理チャンバ2に進入する前の容器クロージャ4から粗い汚れや塵を除去する。本例においては、圧縮空気を吹き付けることにより汚れや塵の除去がなされる。容器クロージャ4が清掃装置13によって予備清掃された後、当該容器クロージャ4を収容するキャリッジ32は、ツイスト部38の残りの部分においてさらなる転回に供され、元の姿勢に復帰する。
【0056】
発明の範囲から逸脱することなく可能な限りにおいて、各実施形態例について記載された各特徴は、組合せと交換の少なくとも一方が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:装置、2:処理チャンバ、3:搬送装置、30:リニアドライブ、31:長尺ステータ、32:キャリッジ、33:キャリア、34:主搬送ライン、35:バッファ、36:第一トラックスイッチ、37:第二トラックスイッチ、38:ツイスト部、4:容器クロージャ、5:仕分け装置、50:供給シュート、6:キャッパ、7:アイソレータ、8:飲料充填プラント、9:搬送方向、10:搬送方向と逆の方向、11:プリフォーム搬送装置、12:プリフォーム、13:清掃装置
図1
図2
図3
図4
図5