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特許7423201光学素子を洗浄するためのモジュール、又は光学素子を保護するための装置、及び関連する運転支援システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】光学素子を洗浄するためのモジュール、又は光学素子を保護するための装置、及び関連する運転支援システム
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
B60S1/62 110A
B60S1/62 110B
B60S1/62 120A
B60S1/62 120B
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019113005
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2019218048
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】1855404
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、カイユ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ミシェル、ジャラソン
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、イザベル
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-155497(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015218682(DE,A1)
【文献】特開2014-080167(JP,A)
【文献】特開2017-165413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0036132(US,A1)
【文献】国際公開第2013/045396(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0151933(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/62
B60S 1/60
B60S 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子の保護装置(3)を洗浄するためのモジュール(10)であって、前記保護装置(3)は回転軸(A)の周囲にある回転面(5)を有し、
前記洗浄モジュール(10)は、前記保護装置(3)の回転軸(A)に対して平行な第1全体方向(D1)において延びるように構成されたワイパーブレード(11)を含み、
前記ワイパーブレード(11)は、前記ワイパーブレード(11)から前記回転面(5)に向かって、前記ワイパーブレード(11)が延びる前記第1全体方向(D1)に対して垂直な第2全体方向(D2)において延びるように構成されたワイパーゴム(111)を含むモジュール(10)において、
・前記ワイパーゴム(111)は、前記ワイパーブレード(11)と前記保護装置(3)との前記回転軸(A)周りの相対回転運動中に、前記保護装置(3)の前記回転面(5)を払拭するように構成され、
・前記洗浄モジュール(10)は、前記ワイパーブレード(11)に固定されて前記ワイパーブレード(11)とともに前記第1全体方向(D1)に延びる洗浄液供給管(13)を更に含み、前記洗浄液供給管(13)は、洗浄液をスプレーするための複数の開口(131)を含み、前記開口(131)は、前記第2全体方向(D2)に対して0°乃至15°の角度(α)を形成する洗浄液スプレー方向を規定するように配置され、前記複数の開口(131)は、前記第1全体方向(D1)と平行な少なくとも一本の列をなす、
ことを特徴とするモジュール(10)。
【請求項2】
前記洗浄液供給管(13)は、前記ワイパーブレード(11)に、前記ワイパーゴム(111)の反対側において固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄モジュール(10)。
【請求項3】
前記ワイパーブレード(11)は、前記第1全体方向(D1)において延びる少なくとも1つの補強スパイン(115)を更に含み、
前記補強スパイン(115)は、前記ワイパーブレード(11)に、前記ワイパーゴム(111)の反対側において配置される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄モジュール(10)。
【請求項4】
前記洗浄液供給管(13)を前記ワイパーブレード(11)に連結するように構成された少なくとも2つのクリップ手段(15a、15b)を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の洗浄モジュール(10)。
【請求項5】
前記ワイパーブレード(11)の長手方向端部に設けられた第1端部キャップ(17a)及び第2端部キャップ(17b)を更に含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の洗浄モジュール(10)。
【請求項6】
前記洗浄液供給管(13)は、前記洗浄液供給管(13)に洗浄液を供給するための入口(133)であって、前記洗浄液供給管(13)の第1端部(13a)に設けられた入口(133)を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の洗浄モジュール(10)。
【請求項7】
前記ワイパーブレード(11)の長手方向端部に設けられた第1端部キャップ(17a)及び第2端部キャップ(17b)を更に含み、
前記洗浄液供給管(13)の前記入口(133)は、前記第1端部キャップ(17a)と協働し、
前記第1端部キャップ(17a)は、前記洗浄液供給管(13)の前記入口(133)と、前記洗浄液供給管(13)に洗浄液を供給することを意図された主管(7)と、の間の連結部となるように構成される、
ことを特徴とする請求項に記載の洗浄モジュール(10)。
【請求項8】
前記洗浄液供給管(13)は、前記洗浄液供給管(13)に洗浄液を供給するための入口(133)を含み、
前記入口(133)は、前記洗浄液供給管(13)の第1端部(13a)及び第2端部(13b)に対してオフセットした態様で設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の洗浄モジュール(10)。
【請求項9】
前記洗浄液供給管(13)の前記入口(133)は、前記洗浄液供給管(13)に洗浄液を供給するように構成された主管(7)に直接連結される、
ことを特徴とする請求項6又は8のいずれか一項に記載の洗浄モジュール(10)。
【請求項10】
・前記モジュール(10)は、前記洗浄液供給管(13)の端部に配置された少なくとも1つの第1クリップ手段(15a)と少なくとも1つの第2クリップ手段(15b)とを含み、
・前記第1クリップ手段(15a)は、前記洗浄液供給管(13)の前記入口(133)に設けられるとともに、前記入口(133)と前記洗浄液供給管(13)に洗浄液を供給することが意図された主管(7)との間の連結部となるように構成される、
ことを特徴とする請求項6又は8のいずれか一項と組み合わせた請求項4に記載の洗浄モジュール(10)。
【請求項11】
少なくとも1つの光学素子と、前記少なくとも1つの光学素子を保護するための少なくとも1つの装置(3)であって、回転軸(A)の周囲にある回転面(5)を有する装置(3)とを含む運転支援システム(1)において、
前記運転支援システム(1)は、
・前記少なくとも1つの保護装置(3)を洗浄するための、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのモジュール(10)と、
前記保護装置(3)と前記洗浄モジュール(10)の前記ワイパーブレード(11)との前記保護装置(3)の相対回転運動を、前記回転軸(A)の周りに生じさせるように構成された少なくとも1つのアクチュエータ(9)と、
を更に備えることを特徴とする運転支援システム(1)。
【請求項12】
前記保護装置(3)は自動車両に取り付けられて固定されるように構成され、前記ワイパーブレード(11)は前記保護装置(3)に対して移動可能に取り付けられるように構成される、
ことを特徴とする請求項11に記載の運転支援システム(1)。
【請求項13】
前記ワイパーブレード(11)は自動車両に取り付けられて固定されるように構成されに、前記保護装置(3)は前記ワイパーブレード(11)に対して移動可能に取り付けられるように構成される、
ことを特徴とする請求項11に記載の運転支援システム(1)。
【請求項14】
前記洗浄モジュール(10)による前記保護装置(3)の洗浄を制御するように構成された電子制御ユニットを更に含む、
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の運転支援システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援の分野に関し、特に自動車両に設置された運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
運転支援システムは、少なくとも1つの光学素子を含み得る。より具体的には、本発明は、運転支援システムのこの種の光学素子を保護するための装置を洗浄するモジュールに関する。
【0003】
運転支援システムの光学素子は、道路の情景又は自動車両の周囲環境を判定するように、光学信号を発信及び/又は捕捉するように構成されている。光学信号を捕捉する光学素子の場合、このような光学素子は、例えば、少なくとも1つのレンズを含むビデオカメラであり得る。また、光学信号を発信及び捕捉する素子の場合、このような光学素子は、ライダー(光検出及び測距)技術を利用し得る。
【0004】
現在、多数の自動車両に、駐車を簡単にするように、又は自動車両にある程度の自律性を提供するように、多くの光学素子が設けられている。後者の場合、ライン横断検出器、自動緊急ブレーキシステム、適応型速度レギュレータ、死点検出装置(死角検出装置)、又は自律車両等の車両用ライダー技術のような機器が非限定的に挙げられる。
【0005】
このような光学素子は、一般に、自動車両の外側、例えば、ルーフ、フロント又はリアウイング、ウイングミラー又は自動車両のフロントガラス側面のピラーのレベルに設置される。したがって、これらの光学素子は、有機又は無機の汚れ、例えば埃又は昆虫に強くさらされ、更には、例えば視野及び/又は光学素子の発光に水跡を残し得る悪天候にもさらされる。これらは、光学素子の正しい動作、ひいては運転支援システムの正しい動作を損ない得る。
【0006】
ますます多くの運転システムが、例えば自動車両の周囲全体の道路の情景を捕捉可能であるように回転面を有するとともに、一般に比較的小さい曲率半径、すなわちきつい湾曲を有するようになっている。これは、例えば空気力学的理由から、更に又は運転支援システムの全体サイズ、具体的には検出光学素子又は機器の全体サイズを縮小するためである。
特に、ライダー技術を用いた運転支援システムが挙げられる。
【0007】
例えば、文書US2016/0244028から、運転支援システムの光学素子を取り囲むとともに回転軸を有する保護装置を洗浄するためのモジュールが知られている。洗浄モジュールは、洗浄液を保護装置にスプレーするようにワイパーブレード及び洗浄液供給管を使用する。保護装置を洗浄可能となるように、これらの要素を、保護装置の回転軸を中心としてモータにより回転させることが意図されている。しかしながら、洗浄液をスプレーしてから洗浄液が存在する保護装置の表面を払拭するまでに必要とされる時間が長い場合がある。これにより、視野内の洗浄液の存在や、又は保護装置の内部に収容された光学素子の発光を理由として、運転支援システムの操作性が阻害される。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、回転面を有する光学素子を保護するための装置を洗浄するためのモジュールであって、保護装置の洗浄中の運転支援システムの正しい動作を保証する洗浄モジュールを提案することによって、上述の従来技術の欠点を少なくとも部分的に軽減することである。
前述の目的とは異なる本発明の他の目的は、自動車両が移動中であっても静止中であっても洗浄が効果的且つ簡単に実行できる運転支援システムを提案することである。
【0009】
この目的のために、上述の目的の少なくとも一方を少なくとも部分的に達成するように、本発明は、特に自動車両に搭載することが意図された、光学素子の保護装置を洗浄するためのモジュールからなる。保護装置は、回転軸の周囲にある回転面を有する。
【0010】
洗浄モジュールは、保護装置の回転軸に対して平行な第1全体方向に延びるように構成されたワイパーブレードを含む。ワイパーブレードは、ワイパーブレードから回転面に向かって、ワイパーブレードが延びる第1全体方向に対して垂直な第2全体方向において延びるように構成されたワイパーゴムを含む。ワイパーゴムは、ワイパーブレードと保護装置との回転軸周りの相対回転運動中に、保護装置の回転面を払拭するように構成される。
【0011】
洗浄モジュールは、ワイパーブレードに固定された洗浄液供給管を更に含む。洗浄液供給管は、洗浄液をスプレーするための少なくとも1つの開口を含む。開口は、第2全体方向に対して0°乃至15°の角度を形成する洗浄液スプレー方向を規定するように配置される。
【0012】
ワイパーブレードに固定された洗浄液供給管の存在により、保護装置の回転軸を中心とするワイパーブレードに対する保護装置の相対回転運動中に、ワイパーゴムによる迅速な払拭を可能とするように、ワイパーゴムのできるだけ接近して洗浄液をスプレーすることが可能となる。したがって、保護装置の洗浄時の運転支援システムの操作性が維持される。また、洗浄液供給管を連結できるため、洗浄モジュールの幅が制限され得る。これにより、保護装置の洗浄中に、保護装置上の洗浄モジュールによって遮られる光学素子の視野の範囲が制限され得る。
【0013】
本発明による洗浄モジュールは、以下の単数又は複数の特徴を別個に又は組み合わせて更に有し得る。
【0014】
特定の一実施形態によれば、洗浄液供給管は、一列に配置された複数の開口を含む。
【0015】
特定の実施形態の一変形例によれば、開口により形成された列は、ワイパーブレードが全体として延びる第1方向に対して平行に配置される。
【0016】
一態様によれば、洗浄液供給管は、ワイパーブレードに、ワイパーゴムの反対側において固定される。
【0017】
ワイパーゴムは、保護装置の回転面にできるだけ接近して配置される。
【0018】
ワイパーゴムは、保護装置の回転面に接触配置されるように構成された接触ワイパーゴムに対して反対側の端部に配置された少なくとも1つのヒールピースを含み得る。
【0019】
ワイパーブレードは、第1全体方向において延びる少なくとも1つの補強スパインを更に含み、前記補強スパインは、ワイパーブレードに、ワイパーゴムの反対側において配置される。当該補強スパインは、ワイパーゴムを保護装置の回転面に接触した状態に維持するように構成される。
【0020】
補強スパインは、洗浄液供給管を支持する役割を果たし得る。
【0021】
特定の一実施形態によれば、ワイパーブレードは、ワイパーゴムの両側に配置された2つの補強スパインを含み得る。
【0022】
或いは、ワイパーブレードは、単一の補強スパインを含み得る。
【0023】
補強スパインは、ワイパーゴムのヒールピースの少なくとも一部を挟み込むように、C形状の断面、又は爪形状を有し得る。
【0024】
補強スパインは、例えばブレードの形状を有し、ヒールピースに配置され得る。
【0025】
補強スパインは、ワイパーブレードの長さの全体に亘って、又はその一部のみに亘って延び得る。
【0026】
ワイパーブレードは、前記ワイパーブレードをアームに固定するための少なくとも1つの要素を更に含み得る。
【0027】
第1態様によれば、固定要素は、ワイパーブレードの実質的に中央に配置される。
【0028】
別の態様によれば、固定要素は、ワイパーブレードの一端部のレベルに配置される。
【0029】
洗浄液供給管は、前記洗浄液供給管をワイパーブレードに連結するように構成された少なくとも2つのクリップ手段を含む。
【0030】
特定の一実施形態によれば、少なくとも2つのクリップ手段は、洗浄液供給管に取り付けられる。
【0031】
別の特定の実施形態によれば、クリップ手段は、洗浄液供給管と一体の部品である。
【0032】
洗浄モジュールは、ワイパーブレードの長手方向端部に配置された第1及び第2端部キャップを更に含む。
【0033】
第1及び第2端部キャップは、ワイパーゴムの反対側において、ワイパーブレードと協働する。
【0034】
第1及び第2端部キャップは、少なくとも1つの補強スパインとも協働する。
【0035】
第1態様によれば、洗浄液供給管は、洗浄液供給管に洗浄液を供給するための入口であって、洗浄液供給管の第1端部に配置された入口を含む。
【0036】
本第1態様の特定の一実施形態によれば、洗浄液供給管の入口は、第1端部キャップと協働し、前記第1端部キャップは、洗浄液供給管の入口と洗浄液供給管に洗浄液を供給することが意図された主管との間の連結部となるように構成される。
【0037】
第1変形例によれば、第2端部キャップは、洗浄液供給管の第1端部と反対側の第2端部と協働し得る。
【0038】
この第1変形例によれば、洗浄液供給管の第2端部は、第2端部キャップにより支承されるピンと協働するように構成された開口を含む。
【0039】
別の変形例によれば、洗浄液供給管の第2端部は、中実であり得る。
【0040】
第3変形例によれば、第2端部キャップは、洗浄液供給管に収容された洗浄液の漏出を防止するように、洗浄液供給管の第2端部と協働するように構成されたシール装置を含み得る。
【0041】
第2態様によれば、洗浄液供給管は、洗浄液供給管に洗浄液を供給するための入口を含み、前記入口は、洗浄液供給管の第1及び第2端部に対してオフセットした態様で配置される。
【0042】
本第2態様の特定の一実施形態によれば、洗浄液供給管の入口は、ワイパーゴムの第2全体方向により規定される平面内に配置される。
【0043】
第1変形例によれば、洗浄液供給管の第1及び第2端部は、中実であり得る。
【0044】
第2変形例によれば、洗浄液供給管の第1及び第2端部は、それぞれ開口を含む。
【0045】
これらの第1及び第2変形例によれば、第1及び第2端部キャップは、それぞれ、洗浄液供給管の第1及び第2端部に連結される。
【0046】
この第2変形例によれば、第1及び第2端部キャップは、洗浄液供給管に収容された洗浄液の漏出を防止するように、洗浄液供給管の第1及び第2端部における開口と協働するように構成されたシール装置をそれぞれ含み得る。
【0047】
特定の一実施形態によれば、洗浄液供給管の入口は、洗浄液供給管に洗浄液を供給するように構成された主管に直接連結され得る。
【0048】
別の特定の一実施形態によれば、洗浄モジュールは、洗浄液供給管のワイパーブレードとの協働を確保するように、洗浄液供給管の端部に配置された1つの第1クリップ手段と1つの第2クリップ手段とを含む。第1クリップ手段は、洗浄液供給管の入口に配置されるとともに、入口と洗浄液供給管に洗浄液を供給することが意図された主管との間の連結部となるように構成される。
【0049】
第2クリップ手段は、洗浄液供給管の第2端部に配置され得るとともに、洗浄液供給管に収容された洗浄液の漏出を防止するように、洗浄液供給管の第2端部における開口を閉鎖するように構成されたシール装置を含み得る。
【0050】
洗浄モジュールは、追加のクリップ手段を更に含み得る。前記追加のクリップ手段は、洗浄液供給管の実質的に中央に配置される。
【0051】
一態様によれば、ワイパーブレードは、加熱ワイパーブレードであり得る。
【0052】
別の態様によれば、洗浄液供給管は、洗浄液を保護装置の回転面にスプレーする前にこれを加熱するための加熱管であり得る。
【0053】
また、本発明は、少なくとも1つの光学素子と、前記少なくとも1つの光学素子を保護するための少なくとも1つの装置であって、回転軸を中心とする回転面を有する装置とを含む運転支援システム、特に自動車両用の運転支援システムにおいて、
前記運転支援システムは、
・前記少なくとも1つの保護装置を洗浄するための、上述の少なくとも1つのモジュールであって、保護装置の回転軸に対して平行な第1全体方向において延びるように構成されたワイパーブレードを含む洗浄モジュールと、
前記保護装置と前記洗浄モジュールの前記ワイパーブレードとの相対回転運動を、前記保護装置の前記回転軸周りに生じさせるように構成された少なくとも1つのアクチュエータと、
を更に備えることを特徴とする運転支援システム、からなる。
【0054】
運転支援システムは、以下の単数又は複数の特徴を別個に又は組み合わせて更に有し得る。
【0055】
保護装置は、少なくとも部分的に自動車両の車体要素の外側に配置され得る。
【0056】
一態様によれば、保護装置は、自動車両の車体要素に対して突出し得る。
【0057】
特定の一実施形態によれば、保護装置は円筒形状を有する。
【0058】
一態様によれば、保護装置は光学要素の一部である。
【0059】
代替例によれば、保護装置は光学要素とは別個の要素であり、回転面は前記少なくとも1つの光学要素の周囲に配置されるように構成される。
【0060】
光学要素は、光学センサ、又は光学エミッタに結合された光学センサの中から選択され得る。
【0061】
特定の一実施形態によれば、運転支援システムは、自動車両の別の物体からの離間距離を測定するようにレーザービームを発光すること、及び受信したエコーを検出することに対応するライダー技術を利用する。
【0062】
第1特定実施形態によれば、保護装置は自動車両に取り付けられて固定されるように構成され、ワイパーブレードは保護装置に対して移動可能に取り付けられるように構成される。
【0063】
第2特定実施形態によれば、ワイパーブレードは自動車両に取り付けられて固定されるように構成され、保護装置はワイパーブレードに対して移動可能に取り付けられるように構成される。
【0064】
少なくとも1つのアクチュエータは、空気式、電気式、又は磁気式アクチュエータの中から選択され得る。
【0065】
一態様によれば、少なくとも1つのアクチュエータは、ワイパーブレードを保護装置に対して5乃至30回転/分の速度で移動させるように構成される。
【0066】
ワイパーブレードは、保護装置の実質的に全長に亘って延び得る。
【0067】
運転支援システムは、洗浄モジュールによる保護装置の洗浄を制御するように構成された電子制御ユニットを更に含み得る。
【0068】
一態様によれば、電子制御ユニットは、保護装置の洗浄を開始するように構成され得る。前記洗浄は、
・洗浄液を保護装置の回転面にスプレーするステップを実行するように、洗浄液供給管に洗浄液を供給するステップと、
・洗浄モジュールのワイパーブレードと保護装置との相対回転中に、回転面を払拭するステップと、
を含む。
【0069】
第1変形例によれば、電子制御ユニットは、運転支援システムの所定の使用時間後に、保護装置の洗浄を開始するように構成され得る。
【0070】
別の変形例によれば、電子制御ユニットは、保護装置上の汚れの存在が光学要素により検出されたとき、保護装置の洗浄を開始するように構成され得る。
【0071】
電子制御ユニットは、洗浄液供給管に供給するステップにおいて、洗浄液供給管内への洗浄液の流量を制御するように、洗浄液供給管の入口を制御するように構成され得る。
【0072】
特定の一実施形態によれば、洗浄液供給管は、払拭ステップにおいてワイパーゴムの通過前に回転面に洗浄液をスプレーするような態様で、ワイパーブレードに配置される。
【0073】
一態様によれば、保護装置を洗浄する方法は、自動車両の停止中に開始され得る。
【0074】
別の態様によれば、保護装置を洗浄する方法は、自動車両の移動中に開始され得る。
【0075】
或いは、保護装置を洗浄する方法は、保護装置に依然として存在する汚れの検出を可能とするように洗浄液のスプレーを停止するステップを含み得る。
【0076】
変形例によれば、保護装置を洗浄する方法は、保護装置上の汚れの存在を検出可能とするように、保護装置に対するワイパーブレードの相対回転運動及び洗浄液のスプレーが停止される一時停止ステップを含み得る。
【0077】
電子制御ユニットは、保護装置の洗浄の持続時間が2分未満であるように構成され得る。
【0078】
本発明の他の特徴及び利点は、日制限的な例としてなされる以下の説明及び添付図面からより明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】洗浄モジュールを含む運転支援システムの概略斜視図。
図2A】一実施形態による洗浄モジュールの概略斜視図。
図2B】第1変形例による図2Aの洗浄モジュールの断面における正面図。
図2C】第2変形例による図2Aの洗浄モジュールの断面における概略正面図。
図3】他の実施形態による洗浄モジュールの概略斜視図。
図4A】特定の一実施形態による洗浄モジュールの概略分解図。
図4B図4Aから組み立てられた洗浄モジュールの断面における概略図。
図4C図4Bの洗浄モジュールの断面における概略図。
図4D図4Cの変形例による洗浄モジュールの断面における概略図。
図4E図4Cの他の変形例による洗浄モジュールの断面における概略図。
図5A】他の特定実施形態による洗浄モジュールの概略分解図。
図5B図5Aから組み立てられた洗浄モジュールの断面における概略図。
図5C図5Bの洗浄モジュールの断面における概略図。
図6】保護装置を洗浄する方法の種々のステップを示すフローチャート概略図。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図面中の同一要素には同じ参照符号を付す。
【0081】
以下の実施形態は一例である。1つ以上の実施形態について言及されるが、これは必ずしも各言及が同じ実施形態に関すること、又は特徴が1つの実施形態のみに適用されることを意味しない。異なる実施形態の単一の特徴は、他の実施形態を提供するように組み合わせる及び/又は交換することが可能である。
【0082】
以下の説明において、第1及び第2全体方向、第1及び第2端部キャップ、洗浄液供給管の第1及び第2端部、第1及び第2クリップ手段、第1クリップ手段の第1及び第2協働手段、及び第1及び第2協働要素について言及がなされる。このような順番付けは、単に似ているが同一ではない要素を区別してするためのものである。また、このような順番付けは、運転支援システムを構成する、又は洗浄モジュール構成する種々の要素の配置を評価するための時間的な順序を意味するものでもない。
【0083】
以下の説明では、図1乃至5Cに示す二面体D1、D2において任意に示されるような第1及び第2全体方向により規定される配向(配置)について言及する。これらの方向の配向(配置)は、運転支援システムに設置された際の洗浄モジュールの全体配向(全体配置)に従って選択される。しかしながら、これは、洗浄モジュールが運転支援システムへの適用において想定され得る配向(配置)を限定するものではない。
【0084】
運転支援システム
図1を参照すると、少なくとも1つの光学素子と、少なくとも1つの保護装置3と、各保護装置3用の洗浄モジュール10とを含む特に自動車両用の運転支援システム1が部分的に示されている。また、運転支援システム1は、少なくとも1つのアクチュエータ9を含む。単数又は複数のアクチュエータ9が、各保護装置3に又は各洗浄モジュール10に設けられ得る。
【0085】
光学素子は、例えば道路の情景(状況、眺め)を捕捉して送信するビデオカメラ等の光学センサ、又は、例えば自動車両の別の物体からの離間距離を測定するようにレーザービームを発光すること、及び受信したエコーを検出することに対応するライダー技術の光学エミッタに結合された光学センサ、更に又はこれらの素子を組み合わせたものの中から選択され得る。光学素子は、対応する保護装置3に収納されることが意図されている。本例において、保護装置3は、光学素子とは別個であり、これに取り付けられた要素である。変形例によれば、保護装置3は光学素子の一部であり得る。
【0086】
また、運転支援システム1は、共通の保護装置3に収納され得る複数の光学素子を含み得る。これらの光学素子は、自動車両の周囲全体の種々の道路情景を捕捉するように、それぞれの視野が異なる方向に配向されるように配置され得る。
【0087】
したがって、光学素子は、光学素子の部品の個数及び種類に応じて異なる視野角を有し得る。好適には、各光学素子の視野角は、60°乃至360°である。この種の光学素子を有した状態で、運転支援システム1は、例えば自律車両に搭載され得る。
【0088】
保護装置3は、回転軸Aを中心とする回転面5を含む。特に砂利や昆虫等の無機又は有機物起源の個体要素により光学素子が被り得る劣化から光学素子を保護するように、この回転面5は、光学素子の周囲に配置されるように構成され得る。変形例において、回転面5は、光学素子と一体の部分である。
【0089】
回転面5は、例えば円筒形である。本特定実施形態によれば、保護装置3は、例えば50mm乃至350mm、特に250mm乃至300mmであり得る長さLを有する。一方、保護装置3は、例えば60mm乃至800mmの直径を有する。したがって、保護装置3は、小さな曲率半径(すなわちきつい湾曲)を有している。
【0090】
また、保護装置3は、少なくとも部分的に自動車両の車体要素の外側に配置されることが意図されている。より具体的には、保護装置3は、自動車両の車体要素に対して突出し得る。したがって、保護装置3の内部に配置された光学素子は、例えば、自動車両の側方ピラーにより生じ得る道路の情景に妨害されることなく、自動車両の周囲全体の道路情景を捕捉し得る。
【0091】
洗浄モジュール10の別の実施形態を図2A乃至5Cに示す。洗浄モジュール10は、特に、ワイパーブレード11と、ワイパーブレード11に固定された洗浄液供給管13(図4D及び4Eには図示せず)とを含む。
【0092】
ワイパーブレード11は、第1全体方向D1において延びる。ワイパーブレード11は、長手方向に延びる。図1に示すように、第1全体方向D1は、例えば、保護装置3の回転軸Aに対して平行である。
【0093】
図1、2A乃至3、4C乃至4E及び5Cを参照すると、ワイパーブレード11は、ワイパーブレード11から回転面5に向かって、ワイパーブレード11が延びる第1全体方向D1に対して垂直な第2全体方向D2において延びるように構成されたワイパーゴム111を含む。ワイパーゴム111は、ワイパーブレード11と保護装置3との回転軸Aを中心とする相対回転運動中に、保護装置3の回転面5を払拭するように構成される。ワイパーゴム111を付帯するこの種のワイパーブレード11は、単純な構造を有する。
【0094】
ワイパーブレード11は、保護装置3の長さLの実質的に全体に亘って延びている(図1参照)。したがって、少なくとも1つの光学素子の正しい動作を保証するように、ワイパーゴム111(例えば図2B及び2Cに示す)は、回転面5の全体を払拭することができる。図示しない変形例によれば、ワイパーブレード11は、保護装置3の長さLの一部のみに亘って延び得る。この変形例によれば、ワイパーブレード11及びより具体的にはワイパーゴム111は、少なくとも1つの光学素子の視野に配置された少なくとも回転面5を払拭可能であるように延びる。この変形例では、ワイパーブレード11のサイズが縮小され得るとともに、洗浄モジュール10のコストが制限され得る。
【0095】
また、ワイパーブレード11は、加熱ワイパーブレードであり得る。特に、これにより、ワイパーブレード11の柔軟性が向上し得るため、ワイパーゴム111は保護装置3の回転面5の曲率に追従する。実際に、例えば、寒波でヒンジ上に氷が蓄積した場合でも、加熱機能により氷を解かすことによってワイパーゴム111の旋回が向上し得る。
【0096】
ワイパーブレード11は、例えば、ワイパーゴム111の少なくとも1つのヒールピース113(図2A乃至5Cに示す)を更に含む。ヒールピース113は、保護装置3の回転面5を払拭することが意図されたワイパーゴム111の端部に対して反対側の端部に配置される。
【0097】
ワイパーブレード11は、第1端部キャップ17a及び第2端部キャップ17bを更に含み得る(図2A、3乃至4B、5A及び5Bを参照)。端部キャップ17a、17bは、ワイパーブレード11の長手方向端部に配置される。これらは、例えば、ワイパーブレード11の少なくともヒールピース113と協働する。
【0098】
また、選択的に、ワイパーブレード11は、第1全体方向D1において延びる少なくとも1つの補強スパイン115(図4A乃至5Cに示す)を含み得る。この種の補強スパイン115は、スプラインとも称され得る。補強スパイン115は、ワイパーブレード11に、ワイパーゴム111の反対側において配置される。補強スパイン115のワイパーブレード11への配置の種々の変形例については、以下で詳述する。
【0099】
また、洗浄モジュール10は、ワイパーブレード11をアーム(図示せず)に固定するための少なくとも1つの固定要素117を含み得る。アームは、ワイパーブレード11をを自動車両に固定するためのものである。図2Aの特定の実施形態によれば、固定要素117は、ヒールピース113に、ワイパーブレード111の実質的に中央において配置される。図示しない代替例によれば、固定要素117は、他の場所、例えば、ワイパーブレード11の端部に配置され得る。
【0100】
図2A乃至4C及び5A乃至5Cを参照すると、洗浄液供給管13は、例えば、ゴム、プラスチック、更に又は金属から構成され得る。
【0101】
洗浄液供給管13は、洗浄液をスプレー、噴霧、吹きかけるための少なくとも1つの開口131(図2B及び2Cに示す)を含む。少なくとも1つの開口131は、例えば、レーザーにより作製される。
【0102】
洗浄液供給管13は、少なくとも一本の列をなす複数の開口131を含み得る。この変形例によれば、開口131により形成される少なくとも1本の列は、例えばワイパーブレード11が延びる第1全体方向D1に対して平行に配置され得る。
【0103】
少なくとも1つの開口131は、洗浄液供給管13に、第2全体方向D2に対して0°乃至15°の角度α(図2Cに示す)、好適には10°以下の角度αを形成する、矢印F2で概略的に示す洗浄液スプレー方向を規定するように配置される。図2Bの実施形態によれば、第2全体方向D2に対する洗浄液スプレー角度αは0である。図2Cの実施形態によれば、角度αは非ゼロである(ゼロではない)。
【0104】
実際に、回転面5の曲率半径は小さいため、スプレー角度αは、洗浄液の回転面5へのスプレーが可能とされるように十分小さく選択される。
【0105】
また、洗浄液は、単数又は複数の開口131を介して、回転面5にワイパーゴムの付近においてスプレーされ得る。この目的は、ワイパーゴム111が、スプレーされた洗浄液をスプレー直後に払拭することである。これにより、洗浄液のスプレーが実施される領域において、光学素子の視野が妨げられることが制限され得る。
【0106】
回転面5に対する洗浄液のスプレー角度αを、その曲率半径に応じて調整することにより、回転面5の効果的な洗浄を保証するように効果的に洗浄液をスプレーすることができる。回転面5に対する洗浄液のスプレー角度αは、例えば、洗浄液供給管13のワイパーブレード11への設置に際して、洗浄液供給管13の中心軸(図示せず)を中心として当該管を回動することにより調節され得る。洗浄管13の中心軸は、本例において、ワイパーブレード11の第1全体方向D1に対して平行である。
【0107】
したがって、保護装置3は、その曲率半径がどのようなものであっても、ワイパーブレード11と保護装置3との相対回転運動中に効果的に洗浄され得る。
【0108】
特定の一実施形態によれば、洗浄液供給管13は、例えば、保護装置3の回転面5を除氷するように、洗浄液が回転面5にスプレーされる前にこれを加熱する加熱管であり得る。
【0109】
また、図2A乃至2Cに示すように、洗浄液供給管13は、ワイパーブレード11に、ワイパーゴム111の反対側において固定されている。ヒールピース113は、より具体的には、洗浄液供給管13を支持する役割を果たし得る。
【0110】
また、洗浄液供給管13は、長手方向に延び得るとともに、第1端部13a及び第2端部13bを含み得る。第2端部13bは、長手方向において第1端部13aの反対側にある。
【0111】
また、洗浄液供給管13は、洗浄液供給管13に洗浄液を供給するように構成された入口133(図2A、3乃至4C及び5A)を含む。
【0112】
図2Aの特定の実施形態によれば、入口133は、洗浄液供給管13の第1端部13aに配置され得るか、又は第1端部13aに合わせて配置され得る。入口133は、洗浄液供給管13に洗浄液を供給するように構成された主管7(図4A、4B、図5A及び図5Bに示す)に直接連結され得る。この特定の実施形態によれば、洗浄液供給管13は、比較的単純な構造を有する。
【0113】
図2A及び3乃至4Bを参照すると、以下で詳述するように、第1端部キャップ17a及び第2端部キャップ17bは、それぞれ、洗浄液供給管13の第1端部13a又は第1端部13bと協働し得る。
【0114】
図示しない変形例によれば、洗浄液供給管13の第1端部13aに配置された洗浄液供給管13の入口133は、第1端部キャップ17aと協働し得る。この場合、端部キャップ17aは、洗浄液供給管13の入口133と、洗浄液供給管13に洗浄液を供給することが意図された主管7との間の連結部を提供するように構成される。したがって、第1端部キャップ17aは、それを主管7に連結するための手段を含む。
【0115】
図2A及び3乃至4Bを参照すると、第2端部キャップ17bは、例えば、洗浄液供給管13の第2端部13bと協働する。第2端部キャップ17bは、洗浄液供給管13の第2端部13bにおける開口を閉鎖するように設計され得る。有利には、洗浄液の漏出を防止するように、第2端部キャップ17bは、洗浄液供給管13の第2端部13bと協働するように構成されたシール装置を含む。
【0116】
図2A、3乃至4B、5A及び5Bに示す実施形態によれば、洗浄液供給管13は、ワイパーブレード11の実質的に全体に亘って延びる。
【0117】
図示しない別の変形例によれば、洗浄液供給管13は、ワイパーブレード11の一部のみに亘って延び得る。この別の変形例によれば、洗浄液を当該洗浄液供給管13内に保持するように、洗浄液供給管13の第2端部13bは中実である。
【0118】
図3を参照すると、代替実施形態による洗浄液供給管13が示される。この代替実施形態は、図2Aの実施形態と、洗浄液供給管13の入口133が、洗浄液供給管13の第1端部13a及び第2端部13bに対してオフセットした態様で配置されている点で異なる。より具体的には、入口133は、図3の要素配置において、払拭ゴム111の上方であって、方向D1及びD2により規定される平面P内に配置される。入口133は、ワイパーアーム11に、回転面5(図3に図示せず)に対面することが意図された側に対して反対側に配置される。したがって、洗浄液供給管13の入口133は、ワイパーゴム111及びヒールピース113により見えなくされ、これにより少なくとも1つの光学素子の視界に存在しない。
【0119】
図3乃至4Bを参照すると、第1端部キャップ17aは、例えば洗浄液供給管13の第1端部13aと協働し得る。これらの図面に支援する特定の実施形態によれば、第1端部キャップ17aは、洗浄液供給管13の第1端部13aを閉鎖するように設計され得る。洗浄液の漏出を防止するように、有利には、第1端部キャップ17aは、洗浄液供給管13の第1端部13aと協働するように構成されたシール装置を含む。
【0120】
図示しない本代替実施例の変形例によれば、洗浄液供給管13は、ワイパーブレード11の一部のみに亘って延びる。この変形例によれば、洗浄液供給管13の第1端部13a及び第2端部13bは、この洗浄液供給管13に収容された洗浄液の漏出を防止するように、中実であり得る。この変形例により、とりわけ、洗浄液供給管13の第1端部13a及び第2端部13bと協働するシール装置を使用する必要がなくなるため、洗浄モジュール10の構造が単純化され得る。
【0121】
図4A乃至4Cを参照すると、特定の一実施形態による洗浄モジュール10が示される。この特定の実施形態によれば、ワイパーブレード11は、ワイパーブレード11の両側に配置された、より具体的にはワイパーブレード11のヒールピース113の両側に配置された、換言すればワイパーブレード11のヒールピース113を挟むように配置された2つの補強スパイン115を含む。
【0122】
図4A及び4Bに示すように、第1端部キャップ17a及び第2端部キャップ17bは、少なくとも1つの補強スパイン115と協働するとともに、洗浄液供給管13の第1端部13a及び第2端部13bと協働する。
【0123】
本実施形態によれば、洗浄液供給管13の入口133を、洗浄液供給管13の第1端部13a及び第2端部13bに対してオフセットした態様で配置することが想定される。また、この洗浄液供給管13は、主管7に直接連結される。洗浄モジュール10のこの種の構成は、製造や組付が比較的単純であり、これにより、特に、この種の洗浄モジュール10が設けられる運転支援システム1(図1に示す)に関するコストが制限され得る。この種の構造は、補強スパイン115を含むワイパーブレード11の場合に限らず、他の実施形態に適用され得る。
【0124】
また、図4Cに示すように、洗浄液供給管13の入口133は、洗浄液供給管13の第1端部13aの実質的に上方に配置される。この種の構成により、特に、洗浄モジュール10の幅を縮小でき、少なくとも1つの光学素子により捕捉される画像が妨害されることがない。
【0125】
図4D及び4Eを参照すると、図4Cの2つの変形例が示される。煩雑さを避けるため、洗浄液供給管13はこれらの図面では省略されている。図4D及び4Eは、補強スパイン115の構造に対応する2つの実施形態を示す。
【0126】
図4Dに示す第1変形例において、ワイパーブレード11は、ワイパーゴム111のヒールピース113を保持する単一の補強スパイン115を有する。この補強スパイン115は、ヒールピース113の少なくとも一部を挟み込むように、例えばC形状の断面、又は爪形状を有する。したがって、ヒールピース113の少なくとも一部は、補強スパイン115のC形状の内部に収納される。有利には、ヒールピース113の少なくとも一部は、補強スパイン115に対して相補的な形状を有する。例えば、ヒールピース113は、ヒールピース113と補強スパイン115の「C」の端部との協働を可能とするように溝を含み得る。
【0127】
この変形例によれば、固定要素117は、補強スパイン115上に配置される。また、この特定の実施形態によれば、補強スパイン115は、洗浄液供給管13の支持体としての役割を果たし得る。
【0128】
図4Eに示す別の変形例によれば、ワイパーブレード11は、ワイパーゴム111のヒールピース113上に配置された、例えばブレード形状の補強スパイン115を含む。補強スパイン115は、ヒールピース113が接着されることで、ヒールピース113と協働し得る。
【0129】
この別の変形例によれば、補強スパイン115は、ヒールピース113と固定要素117との間にも配置され得る。
【0130】
図4C乃至4Eに示す種々の実施形態によれば、少なくとも1つの補強スパイン115は、ワイパーブレード11の全長に亘って延びてもよいし、この長さの一部のみに亘って延びてもよい。
【0131】
図5A乃至5Cを参照すると、図4A乃至4Cを参照して説明した特定の実施形態の変形例による洗浄モジュール10が示される。この変形例によれば、洗浄モジュール10は、洗浄液供給管13をワイパーブレード11に固定するための少なくとも2つのクリップ手段15a、15bを更に含む。
【0132】
この変形例によれば、洗浄液供給管13は、ワイパーブレードに3つのクリップ手段15a、15b、15cによって連結される。洗浄液供給管13をワイパーブレード11に固定するために、クリップ手段15a、15b、15cは、ワイパーブレード11を挟みこむように、より具体的には、ヒールピース113及び少なくとも1つの補強スパイン115(存在する場合)を挟みこむように構成される。
【0133】
より具体的には、洗浄モジュール10は、少なくとも1つの第1クリップ手段15a及び1つの第2クリップ手段15bを含む。第1クリップ手段15a及び第2クリップ手段15bは、洗浄液供給管13がワイパーブレード11と協働するように、洗浄液供給管13の端部に配置される。
【0134】
第1クリップ手段15aは洗浄液供給管13の入口133に配置されるとともに、入口133と洗浄液供給管13に洗浄液を供給することが意図された主管7との間の連結部となるように構成される。この目的のために、第1クリップ手段15aは、第1クリップ手段15aと洗浄液供給管の入口133との間の連結部となるように構成された第1協働手段151と、第1クリップ手段15aと主管7との間の連結部となるように構成された第2協働手段153とを含む。
【0135】
また、第2クリップ手段15bは、洗浄液供給管13の第2端部13bに配置される。この特定の実施形態によれば、第2クリップ手段15bは、洗浄液供給管13の第2端部13bと協働する、より具体的には、洗浄液供給管13の第2端部13bの開口と協働するように構成された協働手段155を含む。第2クリップ手段15bの協働手段155は、洗浄液供給管13に収容された洗浄流体の漏出を防止するように、洗浄液供給管13の第2端部13bの開口を閉鎖するように構成されたシール装置を含み得る。
【0136】
また、この特定の実施形態によれば、第1クリップ手段15a及び第2クリップ手段15bは、第1端部キャップ17a及び第2端部キャップ17bとそれぞれ協働するように構成された第1協働要素157a及び第2協働要素157bをそれぞれ含む。
【0137】
また、洗浄モジュール10は、追加のクリップ手段15cを更に含み得る。追加のクリップ手段15cは、洗浄液供給管13の実質的に中央に配置され、洗浄液供給管13とワイパーブレード11との協働を強化する。
【0138】
図5A乃至5Cに示す特定の実施形態によれば、クリップ手段15a、15b、15cは、洗浄液供給管13に取り付けられている。図示しない変形例によれば、クリップ手段15a、15b、15cは、洗浄液供給管13と一体の部品であり得る。
【0139】
図1を参照すると、運転支援システム1は、選択的に、回転面5に行き渡った洗浄液を収集するように構成された洗浄液回収チャネル8を含み得る。この回収チャネル8は、例えば、保護装置3が突出する車体要素に接触するようにして設けられる。また、洗浄液を洗浄液供給管13の入口133の方向に再循環させるためのシステム(図示せず)を設けることができる。この目的は、このようにして回収された洗浄液を再利用可能とすることである。この再循環システムは、特に、再循環した洗浄液中に存在する個体粒子を留置(保持、せき止める)するように構成されたフィルタ装置を含み得る。
【0140】
また、図1の実施形態によれば、少なくとも1つのアクチュエータ9は、図2B及び2Cにおいて矢印F1で示すように、保護装置3と洗浄モジュール10のワイパーブレード11との相対回転運動を、保護装置3の回転軸Aを中心として生成するように構成されている。少なくとも1つのアクチュエータ9は、特に、空気式、電気式又は磁気式アクチュエータの中から選択することができる。また、図1の特定の実施形態によれば、少なくとも1つのアクチュエータ9は、ワイパーブレード11を保護装置3に対して、5乃至30回転/分の速度で移動させるように構成される。実際に、保護装置3に対するワイパーブレード11の相対移動の速度は、少なくとも1つの光学素子により捕捉される画像の乱れ、又はライダー技術の場合光信号の発光の乱れを制限するように遅すぎてはならない。しかしながら、この回転速度は、高すぎてもならない。これは、ワイパーゴム111の変形を防ぐため、ワイパーゴム111の反転を防ぐため、ワイパーゴム111の早期の消耗を防ぐため、更に又はワイパーゴム111とヒールピース113と断裂を防ぐためである。
【0141】
運転支援システム1の特定の一実施形態によれば、保護装置3は自動車両に取り付けられて(装着されて、搭載されて)固定されるように構成され、ワイパーブレード11は保護装置3に対して可動であるように取り付けられ(装着され、搭載され)るように構成される。この特定の実施形態によれば、したがって、アクチュエータ9は、ワイパーブレード11の移動を生じさせる。この特定の実施形態によれば、より具体的には、アクチュエータ9は、ワイパーブレード11が取り付けられたアームを、保護装置3の回転軸Aを中心として回転する固定要素117を介して移動させるように構成される。
【0142】
代替的な運転支援システム1によれば、ワイパーブレード11は自動車両に取り付けられて(装着されて、搭載されて)固定されるように構成され、保護装置3はワイパーブレード11に対して可動であるように取り付けられ(装着され、搭載され)るように構成される。この変形例によれば、アクチュエータ9は、保護装置3を、その回転軸Aを中心として回転駆動するように構成される。
【0143】
更なる変形例によれば、保護装置3は回転軸Aを中心として第1方向において回転運動可能であり得るとともに、ワイパーブレード11は回転軸Aを中心として第1方向に対して反対の第2方向において回転運動可能であるように取り付けられ得る。この変形例によれば、運転支援システム1は2つのアクチュエータ9を含む。一方は、第1方向の運動を生じさせるように構成され、他方は第2方向の運動を生じさせるように構成される。
【0144】
運転支援システム1(図1に示す)は、電子制御ユニット(図示せず)を更に含み得る。電子制御ユニットは、保護装置3を洗浄するプロセス100を開始するように構成される。電子制御ユニットは、少なくとも1つの光学素子に連結され得るとともに、少なくとも1つの保護装置3上の汚れを検出可能であるように構成される。
【0145】
保護装置3を洗浄するプロセス100
図6を参照すると、図1乃至5Cを参照して説明した洗浄モジュール10を使用して保護装置3を洗浄するプロセス100において実行させる種々のステップを含むチャートが概略的に示される。
【0146】
保護装置3を洗浄するプロセス100は、洗浄液供給管13(図2A乃至4C及び5A乃至5C)に洗浄液を供給する少なくとも1つのステップE1と、これに続き、洗浄液を保護装置3(図1)の回転面5にスプレーするステップE2と、洗浄モジュール10のワイパーブレード11と保護装置3との相対運動によって回転面5を払拭するステップE3と含む。
【0147】
特定の一実施形態によれば、電子制御ユニットは、洗浄液供給管13に供給するステップE1において、洗浄液供給管13内への洗浄液の流量を制御するように、洗浄液供給管13の入口133を制御するように構成され得る。
【0148】
選択的に、保護装置3を洗浄するプロセス100は、保護装置3の回転面5上の汚れの存在を検出するステップE0を含み得る。この検出ステップE0は、供給ステップE1の前に実行される。電子制御ユニットは、保護装置3の回転面5上に汚れが検出された場合、光学要素により保護装置3上の汚れの存在が検出されたときに、保護装置3を洗浄するプロセス100を開始するように構成され得る。代替例によれば、電子制御ユニットは、運転支援システム1の所定の使用時間後に、保護装置3を洗浄するプロセス100を開始するように構成され得る。この代替例の場合、検出ステップE0は必要ない。
【0149】
更に、同様に選択的に、保護装置3を洗浄するプロセス100は、保護装置3上に依然として存在する汚れを検出可能とするように、洗浄液のスプレーを停止するステップE4を含み得る。この液体スプレー停止ステップE4において、払拭ステップE3が継続され得る。これにより、特に回転面5に存在し得る洗浄液の残存跡を除去するように、ワイパーゴム111は、保護装置3の回転面5を払拭する。液体スプレー停止ステップE4の実行により、とりわけ、保護装置3の回転面5が乾燥され得るため、運転支援システム1は、保護装置3の洗浄後に迅速に良好な作動に復帰する。
【0150】
更に、同様に選択的に、保護装置3を洗浄するプロセス100は、保護装置3上の汚れの存在を検出可能とするように、保護装置3に対するワイパーブレード11の相対回転運動及び洗浄液のスプレーが停止される一時停止ステップE4’を含み得る。
【0151】
保護装置3の洗浄による妨害を制限するように、電子制御ユニットは、洗浄プロセス100、より具体的にはスプレーステップE2及び払拭ステップE3の実行の持続時間が2分未満であるように、好適には50秒未満であるように構成され得る。
【0152】
また、図2B及び2Cに示すように、洗浄液管13は、払拭ステップE3において、ワイパーゴム111が通過する前に洗浄液を回転面5にスプレーするようにワイパーブレード11に配置される。したがって、洗浄液は、回転面5にスプレーされた直後に払拭され、これにより、保護装置3を洗浄するためのプロセス100を実行中の運転支援システム1が妨害されることが制限可能となる。保護装置3の洗浄100語に万一汚れが検出された場合、洗浄液が例えば汚れを湿らせる時間が長くなるように、ワイパーブレード11の2つの連続する移動間の速度が適合され得る、具体的には減少され得る。
【0153】
また、保護装置3を洗浄するプロセス100は、自動車両の停止中又は移動中に電子制御ユニットによって開始され得る。
【0154】
上述の特定の例は、非制限的な例示として提供されるものである。実際に、当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、固定要素117をワイパーブレード11上の他の位置に配置することが可能である。また、洗浄液供給管13の入口133の位置、洗浄液供給管13とワイパーブレード11との協働、更に又は管の入口13と主管7との間の連結部を、本発明の範囲から逸脱することなく適合させ得る。
【0155】
したがって、上述の洗浄モジュール10により、運転支援システム1の光学要素の保護装置3であって、小さい曲率半径の回転面5を有する保護装置3の効果的な洗浄が可能とされる。より具体的には、洗浄液を小さいスプレー角度αを以て回転面5にスプレーしつつワイパーゴム111により回転面5を払拭することで、保護装置3のこのような効果的な洗浄が可能とされる。また、洗浄液供給管13の配置により、洗浄流体をワイパーゴム111にできるだけ接近してスプレーすることが可能になり、これにより、特に、保護装置3を洗浄するプロセス100の実行中、運転支援システム1が妨害されることが制限され得る。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図6