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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/127 20060101AFI20240122BHJP
   A01D 69/00 20060101ALI20240122BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A01D41/127
A01D69/00 301
A01D41/12 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019121783
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021007310
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】林 壮太郎
(72)【発明者】
【氏名】中林 隆志
(72)【発明者】
【氏名】迫 和志
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-070799(JP,A)
【文献】特開2017-175951(JP,A)
【文献】特開2018-121615(JP,A)
【文献】特開平09-238554(JP,A)
【文献】特開2009-017815(JP,A)
【文献】特開2010-081843(JP,A)
【文献】特許第5019159(JP,B2)
【文献】特許第6035162(JP,B2)
【文献】特開2015-104377(JP,A)
【文献】特許第5586910(JP,B2)
【文献】特許第6257246(JP,B2)
【文献】特開2015-104376(JP,A)
【文献】特開2017-012040(JP,A)
【文献】特開2018-186728(JP,A)
【文献】特開2019-010027(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0049369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
A01D 41/00 - 41/16
A01D 67/00 - 69/12
A01F 12/00 - 12/16
G05D 1/00 - 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体の周辺を撮影して撮影画像を生成する前カメラ、後カメラ、第1側部カメラ及び第2側部カメラと、
前記機体の外観形状を示す機体データを記憶する記憶部と、
前記前カメラ、前記後カメラ、前記第1側部カメラ及び前記第2側部カメラが生成した前記撮影画像と、前記記憶部に記憶された前記機体データとに基づいて前記機体と前記機体の周辺とを示す合成画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部が生成した前記合成画像を表示する表示部(ただし、前記合成画像と前記撮影画像とを並べて表示するものを除く。)と、を備え、
前記機体は、圃場の作物を収穫する収穫部と、前記収穫部の後方に設けられた運転部と、前記運転部の側方に設けられると共に前記収穫部により収穫された収穫物を搬送する搬送部と、前記搬送部の後方に設けられると共に前記搬送部により搬送された収穫物を脱穀処理する脱穀装置と、前記運転部の後方且つ前記脱穀装置の側方に設けられると共に前記脱穀装置により得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記穀粒タンクの後方に設けられると共に前記穀粒タンクに貯留された穀粒を外部に排出する排出装置と、前記排出装置又は前記脱穀装置を後方から覆う後部カバー部と、を備えており、
前記前カメラは、前記運転部における前部に設けられており、
前記後カメラは、前記後部カバー部に設けられており、
前記第1側部カメラは、前記運転部における機体左右方向外側の側部又は前記穀粒タンクにおける機体左右方向外側の側部に設けられており、
前記第2側部カメラは、前記脱穀装置における機体左右方向外側の側部に設けられており、
前記前カメラは、撮影領域に前記収穫部の全部及び前記収穫部の周囲の領域を含み、
前記画像合成部は、作業姿勢または非作業姿勢の前記収穫部及び前記脱穀装置が前記機体データに基づいて生成された機体画像により示される前記合成画像と、前記収穫部の全部及び前記収穫部の周囲の領域が前記前カメラによって撮影された前記撮影画像により示され、かつ、前記脱穀装置が前記機体画像により示される前記合成画像と、を選択的に生成する収穫機。
【請求項2】
機体と、
前記機体の周辺を撮影して撮影画像を生成する前カメラ、後カメラ、第1側部カメラ及び第2側部カメラと、
前記機体の外観形状を示す機体データを記憶する記憶部と、
前記前カメラ、前記後カメラ、前記第1側部カメラ及び前記第2側部カメラが生成した前記撮影画像と、前記記憶部に記憶された前記機体データとに基づいて前記機体と前記機体の周辺とを示す合成画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部が生成した前記合成画像を表示する表示部(ただし、前記合成画像と前記撮影画像とを並べて表示するものを除く。)と、を備え、
前記機体は、圃場の作物を収穫する収穫部と、前記収穫部の後方に設けられた運転部と、前記運転部の側方に設けられると共に前記収穫部により収穫された収穫物を搬送する搬送部と、前記搬送部の後方に設けられると共に前記搬送部により搬送された収穫物を脱穀処理する脱穀装置と、前記運転部の後方且つ前記脱穀装置の側方に設けられると共に前記脱穀装置により得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、を備えており、
前記前カメラは、前記運転部における前部に設けられており、
前記後カメラは、前記脱穀装置又は前記穀粒タンクにおける後部に設けられており、
前記第1側部カメラは、前記運転部における機体左右方向外側の側部又は前記穀粒タンクにおける機体左右方向外側の側部に設けられており、
前記第2側部カメラは、前記脱穀装置における機体左右方向外側の側部に設けられており、
前記前カメラは、撮影領域に前記収穫部の全部及び前記収穫部の周囲の領域を含み、
前記画像合成部は、作業姿勢または非作業姿勢の前記収穫部及び前記脱穀装置が前記機体データに基づいて生成された機体画像により示される前記合成画像と、前記収穫部の全部及び前記収穫部の周囲の領域が前記前カメラにより撮影された前記撮影画像により示され、かつ、前記脱穀装置が前記機体画像により示される前記合成画像と、を選択的に生成する収穫機。
【請求項3】
前記機体は、前記運転部を覆うキャビンを備えており、
前記キャビンは、ルーフ部と、前記ルーフ部を支持するキャビンフレームと、を備えており、
前記ルーフ部は、左のサイドガラスよりも機体左方向外側に突出する左突出部を備えており、
前記前カメラは、前記左突出部の真下に設けられ、前記キャビンフレームに支持されている請求項1又は2に記載の収穫機。
【請求項4】
前記前カメラ及び前記後カメラは、前記機体の左右方向の中央部に位置するように設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載の収穫機。
【請求項5】
前記前カメラは、前記運転部の前部において前記搬送部側に隣接する状態で設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の収穫機。
【請求項6】
前記第1側部カメラは、前記運転部の後部において機体左右方向外側に隣接する状態で設けられている請求項1から5のいずれか1項に記載の収穫機。
【請求項7】
前記第1側部カメラは、前記運転部が備える運転座席よりも後側に設けられている請求項1から6のいずれか1項に記載の収穫機。
【請求項8】
前記運転座席よりも下側に設けられたエンジンと、
前記エンジンに対して前記搬送部と反対側に設けられたラジエータと、
前記ラジエータに対して前記搬送部と反対側に設けられると共に前記ラジエータに供給される外気の塵埃を除去する防塵部と、を備えており、
前記第1側部カメラが前記防塵部の上方に設けられている請求項7に記載の収穫機。
【請求項9】
前記機体は、前記運転部を覆うキャビンを備えており、
前記キャビンは、ルーフ部と、前記ルーフ部を支持するキャビンフレームと、を備えており、
前記ルーフ部は、右のサイドガラスよりも機体右方向外側に突出する右突出部を備えており、
前記第1側部カメラは、前記右突出部の真下に設けられている請求項1から8のいずれか1項に記載の収穫機。
【請求項10】
前記第1側部カメラは、前記穀粒タンクの前部において機体左右方向外側に隣接する状態で設けられている請求項1から5のいずれか1項に記載の収穫機。
【請求項11】
前記第2側部カメラは、前記脱穀装置の前部において機体左右方向外側に隣接する状態で設けられている請求項1から10のいずれか1項に記載の収穫機。
【請求項12】
前記脱穀装置は、本体部と、前記本体部の上面に設けられた開口を開閉する天板と、を備えており、
前記第2側部カメラは、前記脱穀装置の前部において、前記本体部の上面における前記天板より外側部分に設けられている請求項1から10のいずれか1項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両周囲の様子を運転者に認識させるために、俯瞰映像を表示装置に表示する技術が用いられている。特許文献1に記載された車両用運転支援装置は、車両の前方、後方、左右両側方の各領域の映像を4つの車載カメラでそれぞれ撮影し、撮影された映像を自車上方の仮想視点から見下ろした映像に視点変換するとともに繋ぎ合わせて、この繋ぎ合わせた映像に仮想自車画像を重畳して、自車周囲の様子を運転者に認識させるための1つの俯瞰映像として表示する。
【0003】
特許文献1に記載されている車両用運転支援装置は、各図面に示される通り、乗用車を対象とするものであり、駐車の支援を目的とするものである。4つの車載カメラは、フロントバンパー、リアバンパー、及び左右のサイドミラーに設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-183877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、乗用車において俯瞰映像を表示する技術を開示するにとどまり、コンバイン等の収穫機において周囲の様子を認識させるための映像を表示させる点や、収穫機に適した車載カメラの位置については、開示も示唆もされていない。
【0006】
本発明の目的は、収穫機の周囲の作業環境を把握し易くする手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための収穫機の特徴構成は、機体と、前記機体の周辺を撮影して撮影画像を生成する前カメラ、後カメラ、第1側部カメラ及び第2側部カメラと、前記機体の外観形状を示す機体データを記憶する記憶部と、前記前カメラ、前記後カメラ、前記第1側部カメラ及び前記第2側部カメラが生成した前記撮影画像と、前記記憶部に記憶された前記機体データとに基づいて前記機体と前記機体の周辺とを示す合成画像を生成する画像合成部と、前記画像合成部が生成した前記合成画像を表示する表示部(ただし、前記合成画像と前記撮影画像とを並べて表示するものを除く。)と、を備え、前記機体は、圃場の作物を収穫する収穫部と、前記収穫部の後方に設けられた運転部と、前記運転部の側方に設けられると共に前記収穫部により収穫された収穫物を搬送する搬送部と、前記搬送部の後方に設けられると共に前記搬送部により搬送された収穫物を脱穀処理する脱穀装置と、前記運転部の後方且つ前記脱穀装置の側方に設けられると共に前記脱穀装置により得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記穀粒タンクの後方に設けられると共に前記穀粒タンクに貯留された穀粒を外部に排出する排出装置と、前記排出装置又は前記脱穀装置を後方から覆う後部カバー部と、を備えており、前記前カメラは、前記運転部における前部に設けられており、前記後カメラは、前記後部カバー部に設けられており、前記第1側部カメラは、前記運転部における機体左右方向外側の側部又は前記穀粒タンクにおける機体左右方向外側の側部に設けられており、前記第2側部カメラは、前記脱穀装置における機体左右方向外側の側部に設けられており、前記前カメラは、撮影領域に前記収穫部の全部及び前記収穫部の周囲の領域を含み、前記画像合成部は、作業姿勢または非作業姿勢の前記収穫部及び前記脱穀装置が前記機体データに基づいて生成された機体画像により示される前記合成画像と、前記収穫部の全部及び前記収穫部の周囲の領域が前記前カメラによって撮影された前記撮影画像により示され、かつ、前記脱穀装置が前記機体画像により示される前記合成画像と、を選択的に生成する点にある。
【0008】
上記の特徴構成によれば、前カメラ、後カメラ、第1側部カメラ、及び第2側部カメラが生成した撮影画像と機体データとに基づく合成画像が表示部に表示されて、機体とその周辺が示される。すなわち、収穫機の周囲の状況が表示部に表示されるので、作業環境の把握が容易になる。そして前カメラが運転部における前部に設けられ、後カメラが後部カバー部に設けられ、第1側部カメラが運転部における機体左右方向外側の側部又は穀粒タンクにおける機体左右方向外側の側部に設けられ、第2側部カメラが脱穀装置における機体左右方向外側の側部に設けられるので、収穫部、運転部、脱穀装置、穀粒タンク及び後部カバー部が上記の通り配置される収穫機において、機体の四方の広い範囲を撮影することが可能となる。これにより、合成画像に機体の周囲の広い範囲を示すことができ、収穫機の周囲の作業環境を把握し易くすることができる。
【0009】
上記目的を達成するための収穫機の特徴構成は、機体と、前記機体の周辺を撮影して撮影画像を生成する前カメラ、後カメラ、第1側部カメラ及び第2側部カメラと、前記機体の外観形状を示す機体データを記憶する記憶部と、前記前カメラ、前記後カメラ、前記第1側部カメラ及び前記第2側部カメラが生成した前記撮影画像と、前記記憶部に記憶された前記機体データとに基づいて前記機体と前記機体の周辺とを示す合成画像を生成する画像合成部と、前記画像合成部が生成した前記合成画像を表示する表示部(ただし、前記合成画像と前記撮影画像とを並べて表示するものを除く。)と、を備え、前記機体は、圃場の作物を収穫する収穫部と、前記収穫部の後方に設けられた運転部と、前記運転部の側方に設けられると共に前記収穫部により収穫された収穫物を搬送する搬送部と、前記搬送部の後方に設けられると共に前記搬送部により搬送された収穫物を脱穀処理する脱穀装置と、前記運転部の後方且つ前記脱穀装置の側方に設けられると共に前記脱穀装置により得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、を備えており、前記前カメラは、前記運転部における前部に設けられており、前記後カメラは、前記脱穀装置又は前記穀粒タンクにおける後部に設けられており、前記第1側部カメラは、前記運転部における機体左右方向外側の側部又は前記穀粒タンクにおける機体左右方向外側の側部に設けられており、前記第2側部カメラは、前記脱穀装置における機体左右方向外側の側部に設けられており、前記前カメラは、撮影領域に前記収穫部の全部及び前記収穫部の周囲の領域を含み、前記画像合成部は、作業姿勢または非作業姿勢の前記収穫部及び前記脱穀装置が前記機体データに基づいて生成された機体画像により示される前記合成画像と、前記収穫部の全部及び前記収穫部の周囲の領域が前記前カメラにより撮影された前記撮影画像により示され、かつ、前記脱穀装置が前記機体画像により示される前記合成画像と、を選択的に生成する点にある。
また、本発明に係る収穫機の別の特徴構成は、前記機体は、前記運転部を覆うキャビンを備えており、前記キャビンは、ルーフ部と、前記ルーフ部を支持するキャビンフレームと、を備えており、前記ルーフ部は、左のサイドガラスよりも機体左方向外側に突出する左突出部を備えており、前記前カメラは、前記左突出部の真下に設けられ、前記キャビンフレームに支持されている点にある。
【0010】
上記の特徴構成によれば、前カメラ、後カメラ、第1側部カメラ、及び第2側部カメラが生成した撮影画像と機体データとに基づく合成画像が表示部に表示されて、機体とその周辺が示される。すなわち、収穫機の周囲の状況が表示部に表示されるので、作業環境の把握が容易になる。そして前カメラが運転部における前部に設けられ、後カメラが脱穀装置又は穀粒タンクにおける後部に設けられ、第1側部カメラが運転部における機体左右方向外側の側部又は穀粒タンクにおける機体左右方向外側の側部に設けられ、第2側部カメラが脱穀装置における機体左右方向外側の側部に設けられるので、収穫部、運転部、脱穀装置、及び穀粒タンクが上記の通り配置される収穫機において、機体の四方の広い範囲を撮影することが可能となる。これにより、合成画像に機体の周囲の広い範囲を示すことができ、収穫機の周囲の作業環境を把握し易くすることができる。
【0011】
本発明に係る収穫機の別の特徴構成は、前記前カメラ及び前記後カメラは、前記機体の左右方向の中央部に位置するように設けられている点にある。
【0012】
上記の特徴構成によれば、前カメラ及び後カメラが機体の左右方向の中央部に位置するので、機体の前方及び後方の広い範囲を撮影することが可能となる。これにより、合成画像に機体の前方及び後方の広い範囲を示すことができ、収穫機の周囲の作業環境を更に把握し易くすることができる。
【0013】
本発明に係る収穫機の別の特徴構成は、前記前カメラは、前記運転部の前部において前記搬送部側に隣接する状態で設けられている点にある。
【0014】
上記の特徴構成によれば、前カメラが運転部の前部において搬送部側に隣接する状態で設けられるので、前カメラが機体の左右方向の中央寄りに位置することになる。これにより、合成画像に機体の前方の広い範囲を示すことができ、収穫機の周囲の作業環境を更に把握し易くすることができる。
【0015】
本発明に係る収穫機の別の特徴構成は、前記第1側部カメラは、前記運転部の後部において機体左右方向外側に隣接する状態で設けられている点にある。
【0016】
上記の特徴構成によれば、第1側部カメラが運転部の後部において機体左右方向外側に隣接する状態で設けられるので、第1側部カメラが機体の前後方向の中央寄りに位置することになる。これにより、合成画像に機体の側方の広い範囲を示すことができ、収穫機の周囲の作業環境を更に把握し易くすることができる。
【0017】
本発明に係る収穫機の別の特徴構成は、前記第1側部カメラは、前記運転部が備える運転座席よりも後側に設けられている点にある。
【0018】
上記の特徴構成によれば、第1側部カメラが運転部の備える運転座席よりも後側に設けられるので、第1側部カメラが機体の前後方向の中央寄りに位置することになる。これにより、合成画像に機体の側方の広い範囲を示すことができ、収穫機の周囲の作業環境を更に把握し易くすることができる。
【0019】
本発明に係る収穫機の別の特徴構成は、前記運転座席よりも下側に設けられたエンジンと、前記エンジンに対して前記搬送部と反対側に設けられたラジエータと、前記ラジエータに対して前記搬送部と反対側に設けられると共に前記ラジエータに供給される外気の塵埃を除去する防塵部と、を備えており、前記第1側部カメラが前記防塵部の上方に設けられている点にある。
【0020】
上記の特徴構成によれば、第1側部カメラが防塵部の上方に設けられるので、第1側部カメラが機体の前後方向の中央寄り且つ上寄りに位置することになる。これにより、合成画像に機体の側方の広い範囲を示すことができ、収穫機の周囲の作業環境を更に把握し易くすることができる。
【0021】
本発明に係る収穫機の別の特徴構成は、前記機体は、前記運転部を覆うキャビンを備えており、前記キャビンは、ルーフ部と、前記ルーフ部を支持するキャビンフレームと、を備えており、前記ルーフ部は、右のサイドガラスよりも機体右方向外側に突出する右突出部を備えており、前記第1側部カメラは、前記右突出部の真下に設けられている点にある。
【0022】
上記の特徴構成によれば、第1側部カメラが右突出部の真下に設けられるので、右突出部により第1側部カメラへの直射日光の入射が抑制され、第1側部カメラが生成する撮影画像の品質を高めることができる。これにより、収穫機の周囲の作業環境を更に把握し易くすることができる。
【0023】
本発明に係る収穫機の別の特徴構成は、前記第1側部カメラは、前記穀粒タンクの前部において機体左右方向外側に隣接する状態で設けられている点にある。
【0024】
上記の特徴構成によれば、第1側部カメラが前記穀粒タンクの前部において機体左右方向外側に隣接する状態で設けられるので、第1側部カメラが機体の前後方向の中央寄りに位置することになる。これにより、合成画像に機体の側方の広い範囲を示すことができ、収穫機の周囲の作業環境を更に把握し易くすることができる。
【0025】
本発明に係る収穫機の別の特徴構成は、前記第2側部カメラは、前記脱穀装置の前部において機体左右方向外側に隣接する状態で設けられている点にある。
【0026】
上記の特徴構成によれば、第2側部カメラが脱穀装置の前部において機体左右方向外側に隣接する状態で設けられるので、第2側部カメラが機体の前後方向の中央寄りに位置することになる。これにより、合成画像に機体の側方の広い範囲を示すことができ、収穫機の周囲の作業環境を更に把握し易くすることができる。
【0027】
本発明に係る収穫機の別の特徴構成は、前記脱穀装置は、本体部と、前記本体部の上面に設けられた開口を開閉する天板と、を備えており、前記第2側部カメラは、前記脱穀装置の前部において、前記本体部の上面における前記天板より外側部分に設けられている点にある。
【0028】
上記の特徴構成によれば、第2側部カメラが脱穀装置の前部において本体部の上面における天板より外側部分に設けられるので、第2側部カメラが機体の前後方向の中央寄り且つ上寄りに位置することになる。これにより、合成画像に機体の側方の広い範囲を示すことができ、収穫機の周囲の作業環境を更に把握し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】普通型コンバインの機体の右側面図である。
図2】普通型コンバインの機体の平面図である。
図3】普通型コンバインの機体の左側面図である。
図4】普通型コンバインの機体の正面図である。
図5】普通型コンバインの機体の後面図である。
図6】制御構成を示すブロック図である。
図7】合成画像の例を示す図である。
図8】合成画像の例を示す図である。
図9】普通型コンバインの機体の平面図である。
図10】自脱型コンバインの機体の右側面図である。
図11】自脱型コンバインの機体の平面図である。
図12】自脱型コンバインの機体の左側面図である。
図13】自脱型コンバインの機体の正面図である。
図14】自脱型コンバインの機体の後面図である。
図15】自脱型コンバインの機体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1実施形態〕
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」、矢印Lの方向を「機体左側」、矢印Rの方向を「機体右側」とする。
【0031】
〔コンバインの全体の構成〕
図1-5に、収穫機の一例である普通型コンバインが示されている。この普通型コンバインの機体Vには、機体フレーム1と、左右一対のクローラ走行装置2と、が備えられている。機体Vの前部には、圃場の植立穀稈を刈り取る刈取部3(収穫部の一例)が設けられている。刈取部3には、植立穀稈を掻き込む掻込リール4と、植立穀稈を切断する刈刃5と、刈取穀稈を掻き込む掻込オーガ6と、が備えられている。刈取部3に、圃場の植立穀稈を刈取対象と非刈取対象に分ける左右一対のデバイダ7が備えられている。刈取部3は、機体幅よりも幅広の刈幅を有している。刈取部3の後端部に、左右方向に延びる刈取フレーム3aが設けられている。
【0032】
機体Vにおいて刈取部3の後方に、運転部8と、運転部8を覆うキャビン9と、が設けられている。運転部8は、機体Vの前部における右側に位置する。運転部8の左方に、刈取部3により収穫された収穫物を搬送するフィーダ10(搬送部の一例)が設けられている。
【0033】
フィーダ10の後方に、フィーダ10により搬送された収穫物を脱穀処理する脱穀装置11が設けられている。脱穀装置11は、本体部11aと、本体部11aの上面に設けられた開口を開閉する天板11bと、を備えている。天板11bは、前後方向に延びる回転軸の周りに回転可能な状態で、その左端部が本体部11aに支持されている。脱穀装置11の後部に、排藁を切断処理する排藁処理装置11cが設けられている。
【0034】
運転部8の後方且つ脱穀装置11の右方に、脱穀装置11により得られた穀粒を貯留する穀粒タンク12が設けられている。穀粒タンク12の後方に、穀粒タンク12に貯留された穀粒を外部に排出する排出装置13が設けられている。機体Vの後部に、穀粒タンク12及び排出装置13を後方から覆う後部カバー部14が設けられている。
【0035】
排出装置13は、穀粒タンク12に接続され上下方向に沿って延びる縦搬送部13aと、縦搬送部13aの上端部に上下揺動可能に連結された横搬送部13bと、を備えている。排出装置13は、上下方向に延びる旋回軸心周りで旋回可能である。
【0036】
運転部8には、運転者が着座する運転座席8aが備えられている。キャビン9には、ルーフ部9aと、ルーフ部9aを支持するキャビンフレーム9bと、が備えられている。キャビンフレーム9bは、キャビン9のフロントガラス9c、ドア9d、及びサイドガラス9e等を支持する。
【0037】
運転座席8aよりも下側に、エンジン15が設けられている。エンジン15に対してフィーダ10と反対側、すなわちエンジン15の右方に、ラジエータ16が設けられている。ラジエータ16に対してフィーダ10と反対側、すなわちラジエータ16の右方に、ラジエータ16に供給される外気の塵埃を除去する防塵ケース17(防塵部の一例)が設けられている。
【0038】
GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信して、その信号に基づいて自車位置を検出する衛星測位モジュール18が設けられている。衛星測位モジュール18は、運転部8の前部における左側部分に設けられている。衛星測位モジュール18は、ルーフ部9aよりも上側に設けられている。
【0039】
〔カメラ〕
普通型コンバインの機体Vに、前カメラ21、後カメラ22、右カメラ23(第1側部カメラの一例)、及び左カメラ24(第2側部カメラの一例)が設けられている。これら4つのカメラは、撮影画像を生成し、画像処理装置30(後述)へ出力する。本実施形態では、4つのカメラは主として機体Vの周辺の圃場、畦、道路等を撮影するが、加えて機体Vの一部を撮影してもよい。これに伴い、撮影画像に機体Vの一部が示されてもよい。本実施形態において撮影画像、後述する予備合成画像、及び合成画像とは、静止画であってもよいし、静止画を連続的に表示させるものである動画及び映像であってもよい。各カメラの撮影範囲(画角)は、光軸(撮影方向)を水平方向に向けた場合に、光軸を中心として水平方向に180°以上(例えば195°)、垂直方向に100°以上(例えば120°)である。
【0040】
〔前カメラの配置〕
図2-4に示されるように、前カメラ21は、機体Vの左右方向の中央部に位置するように、運転部8における前部に設けられている。詳しくは、前カメラ21は、運転部8の前部において脱穀装置11の側に隣接する状態で設けられている。換言すれば、前カメラ21は、運転部8の前部の左側面に配置されている。
【0041】
前カメラ21は、ステーを介してキャビンフレーム9bに支持されている。運転部8が備えるルーフ部9aは、サイドガラス9eよりも左に突出する突出部9f(左突出部に相当)を備えている。前カメラ21は、突出部9fの真下に設けられている。前カメラ21は、衛星測位モジュール18よりも下側に設けられている。
【0042】
前カメラ21の撮影方向21aは、前斜め下方向に向けられており、換言すれば、刈取部3に向けられている。前カメラ21は、その撮影領域21bに、刈取部3の全部及び刈取部3の周囲の領域(圃場の一部)を含むように設けられている。換言すれば、前カメラ21の撮影領域21bに、刈取フレーム3a、掻込リール4、掻込オーガ6、デバイダ7、フィーダ10の一部、刈取部3よりも前側の領域、刈取部3よりも後側の領域、刈取部3よりも右側の領域、及び刈取部3よりも左側の領域が含まれている。
【0043】
〔後カメラの配置〕
図1-3、5に示されるように、後カメラ22は、機体Vの左右方向の中央部に位置するように、後部カバー部14の上部に設けられている。詳しくは、後カメラ22は、後部カバー部14の上面における左端部に設けられている。後カメラ22は、ステーを介して後部カバー部14に支持されている。後カメラ22は、衛星測位モジュール18よりも下側に設けられている。
【0044】
後カメラ22の撮影方向22aは、後斜め下方向に向けられており、換言すれば、排藁処理装置11cの後方に向けられている。後カメラ22は、その撮影領域22bに、排藁処理装置11cの全部及び排藁処理装置11cの周囲の領域(圃場の一部)を含むように設けられている。換言すれば、後カメラ22の撮影領域22bに、排藁処理装置11c、排藁処理装置11cよりも後側の領域、排藁処理装置11cよりも右側の領域、及び排藁処理装置11cよりも左側の領域が含まれている。
【0045】
〔右カメラの配置〕
図1,2,4,5に示されるように、右カメラ23は、機体Vの前後方向の中央部に位置するように、運転部8における右の側部に設けられている。詳しくは、右カメラ23は、運転部8の後部において右側に隣接する状態で設けられている。換言すれば、右カメラ23は、運転部8の後部の右側面に配置されている。右カメラ23は、運転部8が備える運転座席8aよりも後側に設けられている。
【0046】
右カメラ23は、ステーを介してキャビンフレーム9bに支持されている。運転部8が備えるルーフ部9aは、ドア9dよりも右に突出する突出部9g(右突出部に相当)を備えている。右カメラ23は、突出部9gの真下に設けられている。右カメラ23は、防塵ケース17の上方に設けられている。右カメラ23は、衛星測位モジュール18よりも下側に設けられている。
【0047】
右カメラ23の撮影方向23aは、右斜め下方向に向けられており、換言すれば、運転部8の右方に向けられている。右カメラ23は、その撮影領域23bに、運転部8よりも右側の領域、穀粒タンク12よりも右側の領域、及び刈取部3よりも右側の領域を含むように設けられている。
【0048】
〔左カメラの配置〕
図2-5に示されるように、左カメラ24は、機体Vの前後方向の中央部に位置するように、脱穀装置11における左の側部に設けられている。詳しくは、左カメラ24は、脱穀装置11の前部において左側に隣接する状態で設けられている。換言すれば、左カメラ24は、脱穀装置11の前部の左側面に配置されている。
【0049】
左カメラ24は、ステーを介して脱穀装置11に支持されている。詳しくは、左カメラ24は、脱穀装置11の左の側部に開閉可能に設けられたカバー11dの上部に設けられている。左カメラ24は、衛星測位モジュール18よりも下側に設けられている。
【0050】
左カメラ24の撮影方向24aは、左斜め下方向に向けられており、換言すれば、脱穀装置11の左方に向けられている。左カメラ24は、その撮影領域24bに、脱穀装置11よりも左側の領域、フィーダ10よりも左側の領域、及び刈取部3よりも左側の領域を含むように設けられている。
【0051】
〔画像処理装置〕
以下、図6のブロック図を参照しながら、普通型コンバインに備えられた画像処理装置30に係る構成について説明する。
【0052】
普通型コンバインの機体Vに、画像処理装置30と表示部40とが備えられている。画像処理装置30は、前カメラ21、後カメラ22、右カメラ23、及び左カメラ24から出力された撮影画像に基づいて合成画像を生成し、表示部40へ出力する。表示部40は、画像処理装置30が出力した合成画像を表示する。画像処理装置30は、マイクロコンピュータを備えて構成され、予め設定されているプログラムに従って画像処理を実行する。画像処理装置30及び表示部40は、運転部8に設けられている。
【0053】
画像処理装置30に、前カメラ21、後カメラ22、右カメラ23、及び左カメラ24が接続されている。画像処理装置30に、前撮影画像が前カメラ21から入力され、後撮影画像が後カメラ22から入力され、右撮影画像が右カメラ23から入力され、左撮影画像が左カメラ24から入力される。
【0054】
画像処理装置30に、視点操作部41と、機体制御装置42と、が接続されている。視点操作部41は、作業者からの視点の変更・指定の操作を受け付けて、操作データを画像処理装置30へ出力する。視点操作部41は例えば、ボタン、ボリューム、ジョイスティック等の操作具であってもよいし、表示部40に設けられたタッチパネル等の入力手段であってもよい。
【0055】
機体制御装置42は、普通型コンバインの機体Vの動作状態を示す動作状態データを画像処理装置30へ出力する。動作状態データには、機体Vの前進、後進、旋回、停止等の動作状態を示すデータ、刈取部3の作動、停止、作業姿勢、非作業姿勢、揺動位置等の動作状態を示すデータ、排出装置13の作動、停止、格納姿勢、排出姿勢、旋回位置等の動作状態を示すデータが含まれる。
【0056】
機体制御装置42に、操向操作具43、主変速レバー44、刈取昇降スイッチ45、リール昇降スイッチ46、及び排出操作具47等の操作具が接続されている。機体制御装置42は、これら操作具に入力された操作に基づいて動作状態データを生成し、画像処理装置30へ出力する。なお、機体制御装置42が、これらの操作具や刈取部3、排出装置13等に設けられたセンサ(図示なし)の出力に基づいて、動作状態データを生成してもよい。
【0057】
画像処理装置30は、視点決定部31と、記憶部32と、画像合成部33と、を備えている。
【0058】
視点決定部31は、視点操作部41から出力された操作データ、又は、機体制御装置42から入力された動作状態データに基づいて、画像合成部33が生成する合成画像の視点となる合成視点を決定し、当該合成視点を示すデータを視点データとして画像合成部33へ出力する。具体的には、視点決定部31は、合成視点を、機体Vを真上から見る視点、機体Vを斜め上から見る視点、機体Vを前後又は左右から見る視点へ決定する。「機体Vを斜め上方から視る視点」とは、例えば、機体Vを前斜め上方から視る視点や、機体Vを後ろ斜め上方から視る視点や、機体Vを右斜め上方から視る視点や、機体Vを左斜め上方から視る視点などである。
【0059】
記憶部32は、機体Vの外観形状を示す機体データを記憶する。機体データは、機体Vの立体的な形状を示すデータであって、例えば、機体Vの3Dモデルを示すデータである。機体データには、クローラ走行装置2の外観形状を示すデータ、刈取部3の外観形状を示すデータ、及び排出装置13の外観形状を示すデータが含まれる。
【0060】
また機体データには、作業姿勢の刈取部3の外観形状を示すデータ、非作業姿勢の刈取部3の外観形状を示すデータ、格納姿勢の排出装置13の外観形状を示すデータ、排出姿勢の排出装置13の外観形状を示すデータが含まれる。機体データは、予め準備され記憶部32に記憶される。
【0061】
画像合成部33は、前カメラ21、後カメラ22、右カメラ23、及び左カメラ24から入力された4つの撮影画像と、記憶部32に記憶された機体データとに基づいて、視点決定部31が決定した視点から視る画像であって、機体V及びその周辺を示す画像である合成画像を生成し、表示部40へ出力する。合成画像には、カメラにより撮影された機体Vの一部の部位が示されることになる。ただし、視点決定部31が決定した視点が、これらの機体Vにおける部位のいずれかが見えない視点である場合には、その部位は合成画像に示されない。
【0062】
まず画像合成部33は、4つのカメラからの撮影画像に対して、視点の変換及び合成の画像処理を行い、視点決定部31から入力された視点データが示す合成視点からの画像へ変換して、予備合成画像を生成する。予備合成画像は、4つのカメラが撮影して生成した撮影画像を1つの画像へ合成した画像である。画像処理の具体的な手法としては、ホモグラフィ行列を用いた平面射影変換や、三次元空間での投影処理などを用いることができる。
【0063】
次に画像合成部33は、記憶部32から機体データを読み出して、視点データが示す視点から視た機体Vの画像(機体画像)を機体データから生成する。このとき画像合成部33は、機体制御装置42から入力された動作状態データを参照して、刈取部3及び排出装置13の動作状態に応じた機体データを用いて、動作状態に合致する機体画像を生成する。そして画像合成部33は、先に生成した予備合成画像へ機体画像を合成して、合成画像を生成する。
【0064】
〔合成画像の例〕
普通型コンバインが圃場にて前進しながら収穫作業を行っているとする。このときに画像合成部33が生成する合成画像の例を、合成画像50として図7に示す。
【0065】
このときの機体Vの動作状態としては、機体Vは前進及び直進状態にあり、刈取部3は作業姿勢にあって動作しており、排出装置13は格納姿勢にあって停止している。機体制御装置42は、上述した機体Vの動作状態を示す動作状態データを画像処理装置30へ出力する。
【0066】
視点操作部41が、平面視視点を指定する操作を受け付けたとする。視点操作部41は、平面視視点を示す操作データを視点決定部31へ出力する。画像処理装置30の視点決定部31は、操作データの入力を受けたことに基づいて、画像合成部33が合成する合成画像の視点(合成視点)を平面視視点に決定し、その旨を示す視点データを画像合成部33へ出力する。
【0067】
画像合成部33は、4つのカメラから入力された撮影画像に対して平面視視点への視点の変換及び合成の画像処理を行い、予備合成画像を生成する。続いて画像合成部33は、機体制御装置42から入力された動作状態データと、視点決定部31から入力された視点データとを参照して、機体画像を生成する。具体的には、作業姿勢の刈取部3及びフィーダ10の外観形状を示すデータ、格納姿勢の排出装置13の外観形状を示すデータ、及び機体Vのその余の部位に係る機体データを用いて、平面視視点からの機体Vを示す機体画像を生成する。そして画像合成部33は、予備合成画像へ機体画像を合成して、合成画像50を生成する。
【0068】
図7に、画像合成部33によって生成された合成画像50が示されている。合成画像50おける境界線Eの外側の領域50aは、予備合成画像に由来する画像であり、4つのカメラにより撮影された撮影画像に由来する画像である。この領域50aに、撮影された刈取部3(刈取フレーム3a、掻込リール4、掻込オーガ6、デバイダ7)、フィーダ10、排藁処理装置11c、刈取部3よりも後側の領域、排藁処理装置11cよりも後側の領域、機体Vの右方及び後方の既刈り地H、及び、機体Vの左方及び前方の未刈り地Gが示されている。合成画像50における境界線Eの内側の領域50bは、機体画像に由来する領域である。領域50bには、運転部8、フィーダ10、脱穀装置11、穀粒タンク12、及び排出装置13等が示されている。
【0069】
図8に、合成画像50の別の例が示されている。先の例と同様に、合成画像50おける境界線Eの外側の領域50aは、予備合成画像に由来する画像であり、4つのカメラにより撮影された撮影画像に由来する画像である。合成画像50における境界線Eの内側の領域50bは、機体画像に由来する領域である。図8の例では、領域50aに、機体Vの右方及び後方の既刈り地H、及び、機体Vの左方及び前方の未刈り地Gが示されている。領域50bに、刈取部3(刈取フレーム3a、掻込リール4、掻込オーガ6、デバイダ7)、運転部8、フィーダ10、脱穀装置11、排藁処理装置11c、穀粒タンク12、及び排出装置13等が示されている。
【0070】
つまり、図7の例では、刈取部3、刈取フレーム3a、掻込リール4、掻込オーガ6、デバイダ7、排藁処理装置11cが、合成画像50において前カメラ21及び後カメラ22により撮影された画像にて示されている。図8の例では、刈取部3、刈取フレーム3a、掻込リール4、掻込オーガ6、デバイダ7、排藁処理装置11cが、合成画像50において、機体データに基づいて生成された画像(機体画像)により示されている。以上述べたような画像の態様の変更は、画像合成部33による画像処理の方式や設定等を変更することにより実現可能である。
【0071】
〔合成画像の視点切り替え〕
以上説明した本実施形態に係る普通型コンバインでは、表示部40に表示される合成画像の視点が、視点操作部41が受け付ける運転者による操作や、機体Vの動作状態の変化に応じて随時切り替えられる。具体的には、視点操作部41は、運転者から視点を指定する操作を受け付けたことに応じて、当該視点を示す操作データを視点決定部31へ出力する。機体制御装置42は、機体Vの動作状態が変化したことに応じて、機体Vの動作状態を示す動作状態データを視点決定部31へ出力する。視点決定部31は、操作データ及び動作状態データの入力を受ける度に、合成視点を決定し、当該合成視点を示す視点データを画像合成部33へ出力する。画像合成部33は、生成する合成画像の視点が、入力された視点データが示す合成視点となるように、合成画像を生成して表示部40へ出力する。以上のようにして、表示部40に表示される合成画像の視点が切り替えられる。
【0072】
機体制御装置42から入力された動作状態データに応じて視点決定部31が合成視点を決定する場合に、機体Vを斜め上方から視る複数の視点のうちから選択して合成視点を決定するよう、視点決定部31が構成されてもよい。例えば、入力された動作状態データが機体Vが前進している旨を示すことに応じて機体Vを後ろ斜め上方から視る視点へ合成視点を決定し、機体Vが後進している旨を示すことに応じて機体Vを前斜め上方から視る視点へ合成視点を決定し、排出装置13が穀粒を排出している旨を示すことに応じて機体Vを左斜め上方から視る視点へ合成視点を決定するよう、視点決定部31が構成されてもよい。
【0073】
〔第1実施形態の変形例〕
〔1〕以下の説明では、上記の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する場合がある。図9に、普通型コンバインの他の形態が示されている。この普通型コンバインでは、右カメラ23は、機体Vの前後方向の中央部に位置するように、穀粒タンク12における右の側部に設けられている。詳しくは、右カメラ23は、穀粒タンク12の前部において右側に隣接する状態で設けられている。換言すれば、右カメラ23は、穀粒タンク12の前部の右側面に配置されている。右カメラ23は、ステーを介して穀粒タンク12に支持されている。
【0074】
左カメラ24は、機体Vの前後方向の中央部に位置するように、脱穀装置11の前部において、本体部11aの上面における天板11bより左側部分に設けられている。換言すれば、左カメラ24は、天板11bよりも左に位置している。
【0075】
〔2〕上記実施形態では、後部カバー部14が穀粒タンク12及び排出装置13の両方を後方から覆っているが、後部カバー部14が穀粒タンク12及び排出装置13の何れか一方を覆う形態も可能である。
【0076】
〔第2実施形態〕
本発明の別の実施形態を図面に基づいて説明する。図10-14に、収穫機の一例である自脱型コンバインが示されている。この自脱型コンバインの機体Wには、機体フレーム61と、左右一対のクローラ走行装置62と、が備えられている。機体Wの前部には、圃場の植立穀稈を刈り取る刈取部63(収穫部の一例)が設けられている。
【0077】
機体Wにおいて刈取部63の後方に、運転部68と、運転部68を覆うキャビン69と、が設けられている。運転部68は、機体Wの前部における右側に位置する。運転部68の左方に、刈取部63により収穫された収穫物を搬送する搬送部70が設けられている。
【0078】
搬送部70の後方に、搬送部70により搬送された収穫物を脱穀処理する脱穀装置71が設けられている。脱穀装置71の後部に、排藁を切断処理する排藁処理装置71cが設けられている。
【0079】
運転部68の後方且つ脱穀装置71の右方に、脱穀装置71により得られた穀粒を貯留する穀粒タンク72が設けられている。穀粒タンク72の後方に、穀粒タンク72に貯留された穀粒を外部に排出する排出装置73が設けられている。
【0080】
排出装置73は、穀粒タンク72に接続され上下方向に沿って延びる縦搬送部73aと、縦搬送部73aの上端部に上下揺動可能に連結された横搬送部73bと、を備えている。排出装置73は、上下方向に延びる旋回軸心周りで旋回可能である。
【0081】
運転部68には、運転者が着座する運転座席68aが備えられている。キャビン69には、ルーフ部69aと、ルーフ部69aを支持するキャビンフレーム69bと、が備えられている。キャビンフレーム69bは、キャビン69のフロントガラス69c、ドア69d、及びサイドガラス69e等を支持する。
【0082】
運転座席68aよりも下側に、エンジン75が設けられている。エンジン75に対して刈取部63と反対側、すなわちエンジン75の右方に、ラジエータ76が設けられている。ラジエータ76に対して刈取部63と反対側、すなわちラジエータ76の右方に、ラジエータ76に供給される外気の塵埃を除去する防塵ケース77(防塵部の一例)が設けられている。
【0083】
GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信して、その信号に基づいて自車位置を検出する衛星測位モジュール78が設けられている。衛星測位モジュール78は、運転部68の前部における左側部分に設けられている。衛星測位モジュール78は、ルーフ部69aよりも上側に設けられている。
【0084】
刈取部63は、圃場の植立穀稈を刈取対象と非刈取対象に分ける左右一対のデバイダ63aと、植立穀稈を引き起こす引き起こし装置63bと、植立穀稈を切断する刈刃63cと、切断された刈取穀稈を合流させて搬送部70へ搬送する合流搬送部63dと、を備えている。
【0085】
搬送部70は、刈取部63の合流搬送部63dから刈取穀稈を受け取って脱穀装置71へ向けて搬送する第1搬送装置70aと、第1搬送装置70aから刈取穀稈を受け取って脱穀装置71へ向けて搬送する第2搬送装置70bと、を備えている。第1搬送装置70a及び第2搬送装置70bは、刈取穀稈の株元側の部分を搬送する。第1搬送装置70aは、その姿勢を変化させることにより、扱深さを調節可能なように構成されている。
【0086】
搬送部70の第2搬送装置70bにより搬送された刈取穀稈を後方に搬送するフィードチェーン70cと、フィードチェーン70cと上下に対向する位置でフィードチェーン70cと共に刈取穀稈を挟持するレール台70dと、が備えられている。脱穀装置71は、フィードチェーン70cにより搬送される刈取穀稈を脱穀処理する。
【0087】
〔カメラ〕
自脱型コンバインの機体Wに、前カメラ81、後カメラ82、右カメラ83(第1側部カメラの一例)、及び左カメラ84(第2側部カメラの一例)が設けられている。これら4つのカメラは、撮影画像を生成し、機体Wが備える画像処理装置30へ出力する。本実施形態では、4つのカメラは主として機体Wの周辺の圃場、畦、道路等を撮影するが、加えて機体Wの一部を撮影してもよい。これに伴い、撮影画像に機体Wの一部が示されてもよい。本実施形態において撮影画像、後述する予備合成画像、及び合成画像とは、静止画であってもよいし、静止画を連続的に表示させるものである動画及び映像であってもよい。各カメラの撮影範囲(画角)は、光軸(撮影方向)を水平方向に向けた場合に、光軸を中心として水平方向に180°以上(例えば195°)、垂直方向に100°以上(例えば120°)である。
【0088】
〔前カメラの配置〕
図11-13に示されるように、前カメラ81は、機体Wの左右方向の中央部に位置するように、運転部68における前部に設けられている。詳しくは、前カメラ81は、運転部68の前部において脱穀装置71の側に隣接する状態で設けられている。換言すれば、前カメラ81は、運転部68の前部の左側面に配置されている。
【0089】
前カメラ81は、ステーを介してキャビンフレーム69bに支持されている。運転部68が備えるルーフ部69aは、サイドガラス69eよりも左に突出する突出部69f(左突出部に相当)を備えている。前カメラ81は、突出部69fの真下に設けられている。前カメラ81は、衛星測位モジュール78よりも下側に設けられている。
【0090】
前カメラ81の撮影方向81aは、前斜め下方向に向けられており、換言すれば、刈取部63に向けられている。前カメラ81は、その撮影領域81bに、刈取部63の全部及び刈取部63の周囲の領域(圃場の一部)を含むように設けられている。換言すれば、前カメラ81の撮影領域81bに、デバイダ63a、引き起こし装置63b、合流搬送部63d、刈取部63よりも前側の領域、刈取部63よりも後側の領域、刈取部63よりも右側の領域、及び刈取部63よりも左側の領域が含まれている。
【0091】
〔後カメラの配置〕
図10-12,14に示されるように、後カメラ82は、機体Wの左右方向の中央部に位置するように、脱穀装置71における後部に設けられている。詳しくは、後カメラ82は、脱穀装置71の排藁処理装置71cの上面における右寄りの位置に設けられている。後カメラ82は、ステーを介して脱穀装置71に支持されている。後カメラ82は、衛星測位モジュール78よりも下側に設けられている。
【0092】
後カメラ82の撮影方向82aは、後斜め下方向に向けられており、換言すれば、排藁処理装置71cの後方に向けられている。後カメラ82は、その撮影領域82bに、排藁処理装置71cの全部及び排藁処理装置71cの周囲の領域(圃場の一部)を含むように設けられている。換言すれば、後カメラ82の撮影領域82bに、排藁処理装置71c、排藁処理装置71cよりも後側の領域、排藁処理装置71cよりも右側の領域、及び排藁処理装置71cよりも左側の領域が含まれている。
【0093】
〔右カメラの配置〕
図10,11,13,14に示されるように、右カメラ83は、機体Wの前後方向の中央部に位置するように、運転部68における右の側部に設けられている。詳しくは、右カメラ83は、運転部68の後部において右側に隣接する状態で設けられている。換言すれば、右カメラ83は、運転部68の後部の右側面に配置されている。右カメラ83は、運転部68が備える運転座席68aよりも後側に設けられている。
【0094】
右カメラ83は、ステーを介してキャビンフレーム69bに支持されている。運転部68が備えるルーフ部69aは、ドア69dよりも右に突出する突出部69g(右突出部に相当)を備えている。右カメラ83は、突出部69gの真下に設けられている。右カメラ83は、防塵ケース77の上方に設けられている。右カメラ83は、衛星測位モジュール78よりも下側に設けられている。
【0095】
右カメラ83の撮影方向83aは、右斜め下方向に向けられており、換言すれば、運転部68の右方に向けられている。右カメラ83は、その撮影領域83bに、運転部68よりも右側の領域、穀粒タンク72よりも右側の領域、及び刈取部63よりも右側の領域を含むように設けられている。
【0096】
〔左カメラの配置〕
図11-14に示されるように、左カメラ84は、機体Wの前後方向の中央部に位置するように、脱穀装置71における左の側部に設けられている。詳しくは、左カメラ84は、脱穀装置71の前部において左側に隣接する状態で設けられている。換言すれば、左カメラ84は、脱穀装置71の前部の左側面に配置されている。左カメラ84は、ステーを介して脱穀装置71に支持されている。左カメラ84は、衛星測位モジュール78よりも下側に設けられている。
【0097】
左カメラ84の撮影方向84aは、左斜め下方向に向けられており、換言すれば、脱穀装置71の左方に向けられている。左カメラ84は、その撮影領域84bに、脱穀装置71よりも左側の領域、搬送部70よりも左側の領域、及び刈取部63よりも左側の領域を含むように設けられている。
【0098】
自脱型コンバインには、第1実施形態で説明した普通型コンバインと同様に、画像処理装置30及び表示部40が備えられている。画像処理装置30に、前カメラ81、後カメラ82、右カメラ83、及び左カメラ84が接続される。普通型コンバインにおいても、上記実施形態と同様に合成画像の画像処理装置30での生成及び表示部40での表示が行われる。
【0099】
〔第2実施形態の変形例〕
図15に、自脱型コンバインの他の形態が示されている。この自脱型コンバインでは、後カメラ82は、機体Wの左右方向の中央部に位置するように、穀粒タンク72における後部に設けられている。詳しくは、後カメラ82は、穀粒タンク72の上面における左寄りの位置に設けられている。後カメラ82は、ステーを介して穀粒タンク72に支持されている。
【0100】
右カメラ83は、機体Wの前後方向の中央部に位置するように、穀粒タンク72における右の側部に設けられている。詳しくは、右カメラ83は、穀粒タンク72の前部において右側に隣接する状態で設けられている。換言すれば、右カメラ83は、穀粒タンク72の前部の右側面に配置されている。右カメラ83は、ステーを介して穀粒タンク72に支持されている。
【0101】
〔他の実施形態〕
上記の第1実施形態及び第2実施形態では、普通型コンバイン及び自脱型コンバインに4つのカメラが設けられている。カメラの数は5つ以上でもよい。すなわち、前カメラ21(81)、後カメラ22(82)、右カメラ23(83)、及び左カメラ24(84)に加えて、機体の一部を撮影するカメラや、機体の下の圃場を撮影するカメラ等が普通型コンバイン及び自脱型コンバインに設けられてもよいし、これらカメラの撮影画像が合成画像50に示されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、植立する作物を走行しながら収穫する収穫機に適用可能であり、普通型コンバインや自脱型コンバイン等に適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
3 :刈取部(収穫部)
8 :運転部
8a :運転座席
9a :ルーフ部
9e :サイドガラス
9f :突出部(左突出部)
9g :突出部(右突出部)
10 :フィーダ(搬送部)
11 :脱穀装置
11a :本体部
11b :天板
12 :穀粒タンク
13 :排出装置
14 :後部カバー部
15 :エンジン
16 :ラジエータ
17 :防塵ケース(防塵部)
21 :前カメラ
22 :後カメラ
23 :右カメラ(第1側部カメラ)
24 :左カメラ(第2側部カメラ)
32 :記憶部
33 :画像合成部
40 :表示部
50 :合成画像
63 :刈取部(収穫部)
68 :運転部
68a :運転座席
69 :キャビン
69a :ルーフ部
69b :キャビンフレーム
69e :サイドガラス
69f :突出部(左突出部)
69g :突出部(右突出部)
70 :搬送部
71 :脱穀装置
72 :穀粒タンク
75 :エンジン
76 :ラジエータ
77 :防塵ケース(防塵部)
81 :前カメラ
82 :後カメラ
83 :右カメラ(第1側部カメラ)
84 :左カメラ(第2側部カメラ)
V :機体
W :機体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
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図15