(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】ワイパー用ブレードガードおよびワイパー
(51)【国際特許分類】
B05C 17/00 20060101AFI20240122BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20240122BHJP
B05D 5/00 20060101ALI20240122BHJP
B60S 1/38 20060101ALN20240122BHJP
【FI】
B05C17/00
B05D1/26
B05D5/00 F
B60S1/38 E
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019126368
(22)【出願日】2019-07-05
【審査請求日】2022-06-02
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、ウサ
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、ゴシェ
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ、ファリゴ、ド、ラ、ブブリー
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04019216(US,A)
【文献】米国特許第04016623(US,A)
【文献】実開昭59-165259(JP,U)
【文献】特開2009-023571(JP,A)
【文献】特開平10-087346(JP,A)
【文献】国際公開第2018/094161(WO,A1)
【文献】特表2016-520502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/04 - 1/60
B05C 7/00 - 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(200)のワイパー(100)
のワイパーブレード(60)上に配置するためのブレードガード(1)であって、該ブレードガード(1)が
、前記ワイパーブレード(60)に沿って
配置され、前記ブレードガード(1)が第1の部品(11)と第2の部品(12)とを備え、前記第1の部品(11)が前記ブレードガード(1)を前記ワイパー(100)に取り付けることができるように構成さ
れ、前記第2の部品(12)が前記車両(200)のガラス面(50)と接触するようになっており、前記第2の部品(12)が前記ガラス面(50)上に塗布される物質(69)を含有するように構成され
、
前記第1の部品(11)は、少なくとも1つの隔壁(15)と、前記少なくとも1つの隔壁(15)によって互いに分離される第1の容積(5)および第2の容積(6)と、を含み、前記第2の部品(12)が少なくとも部分的に前記第2の容積(6)内に収容され、
前記隔壁(15)は、前記第1の容積(5)を前記第2の容積(6)に接続するように構成されたオリフィスを含んでいることを特徴とするブレードガード(1)。
【請求項2】
前記第2の部品(12)に含まれる前記物質(69)を備える請求項1に記載のブレードガード(1)。
【請求項3】
前記第2の部品(12)は、前記物質(69)を含有するように構成される吸収材料によって形成される請求項1又は2に記載のブレードガード(1)。
【請求項4】
前記第2の部品(12)がその外面上で前記物質(69)を保持するように構成される請求項1から3のいずれか一項に記載のブレードガード(1)。
【請求項5】
前記物質(69)が疎水性の溶液である請求項1から4のいずれか一項に記載のブレードガード(1)。
【請求項6】
前記ブレードガード(1)が
前記ワイパーブレード(60)に沿って湾曲される第1のプロファイルと、前記ブレードガード(1)がほぼ直線状である少なくとも1つの第2のプロファイルとをとるように可撓性を有する請求項1から5のいずれか一項に記載のブレードガード(1)。
【請求項7】
前記第2の部品(12)は
、前記第2の容積(6)
に収容されて前記第1の部品(11)に保持される第1の部分(13)と、前記第2の容積(6)から突出する第2の部分(14)とを備える請求項
1~6のいずれか一項に記載のブレードガード(1)。
【請求項8】
前記第2の部品(12)を保護するように構成される保護ストリップ(20)を備える請求項1から
7のいずれか一項に記載のブレードガード(1)。
【請求項9】
少なくとも1つのワイパーブレード(60)と、該ワイパーブレード(60)上に配置される請求項1から
8のいずれか一項に記載のブレードガード(1)とを備えるワイパー(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野は、自動車両のワイパー用ブレードガードの分野であり、より一般的には、自動車両のワイパーの分野である。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、自動車両のワイパーの作用を高めるとともに、特に水がガラス面上にあるときに自動車両のガラス面上に存在する水の量を減らすことによってガラス面を通じた視認性を向上させるべく、自動車両のガラス面を一時的に疎水性にするための処理が知られている。
【0003】
既知の解決策は、自動車両のガラス面上に疎水性の溶液を手作業で塗布することを伴う。しかしながら、この解決策は、疎水性の溶液をガラス面上に塗布するユーザにとって長く面倒であるという不都合を有し、その場合、この疎水性の溶液は、ガラス面上にわたって複数回通過させることによって塗布されなければならない。更に、ユーザがガラス面上へ疎水性の溶液を均一に塗布することは困難であり、それにより、処理の有効性の低下、及び、自動車両のガラス面上の痕跡の出現をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、前述の不都合の少なくとも幾つかに対処するとともに、他の利点も与えることである。したがって、本発明の目的は、ワイパーのブレードガードを使用して自動車両のガラス面上に疎水性の溶液を塗布できるようにする解決策を提案することである。
【0005】
本発明の他の目的は、ワイパーのワイパーブレードの摩耗状態とは無関係に疎水性の溶液を塗布できるようにする解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の態様によれば、車両のワイパー用のブレードガードであって、該ブレードガードが縦軸に沿って延び、ブレードガードが第1の部品と第2の部品とを備え、第1の部品がブレードガードをワイパーに取り付けることができるように構成される、ブレードガードにおいて、第2の部品が車両のガラス面と接触するようになっており、第2の部品がガラス面上に塗布される物質を含有するように構成されるという点において革新的なブレードガードによってこの目的を達成する。
【0007】
したがって、本発明の第1の態様に係るこの形態は、ワイパーのブレードガードを使用することにより、車両のガラス面上への物質の塗布を単純化できるようにする。更に、本発明は、ワイパーのワイパーブレードの摩耗状態とは無関係に物質を塗布できるようにする。
【0008】
第2の部品は、物質を第2の部品の内側で受けて保持できる或いは物質を第2の部品外面上に、特に前記第2の部品を覆う被覆材に配置できるという点において物質を含有するようになっている。
【0009】
第2の部品は、ブレードガードを使用前に物質を蓄えるように構成され又はユーザが第2の部品上に塗布する物質を吸収するようになっている。
【0010】
本発明の第1の態様に係るブレードガードは、以下の改善のうちの少なくとも1つを有利に含み、これらの改善を成す技術的特徴は、別個に又は組み合わせて採用され得る。
【0011】
-ブレードガードが物質を備え、前記物質はブレードガードの第2の部品に含まれる。その結果、この形態は、いつでも使用できる物質を広げる機能をブレードガードに持たせることができるようにする。その後、物質は、ブレードガードの第2の部品に圧力が及ぼされるときに、特にワイパーに装着されるブレードガードが車両のガラス面上に適用されるときに解放される。前述の圧力は、好適には、自動車両用のワイパーシステムを形成するワイパーの駆動アームの圧力である。或いは、圧力は、手動であってもよく、本発明に係るブレードガードを適用して動かすユーザによって実施され得る。
【0012】
-第1の代替案によれば、第2の部品は物質を含有するように構成される吸収材料によって形成される。したがって、吸収材料は、好適には、スポンジ材料、連続気泡構造合成発泡体、フェルト又は織物ストリップであってもよい。この形態によれば、物質は、ブレードガードの第2の部品に吸収されるようになっている。したがって、第2の部品は、物質を受けて、ガラス面上でのブレードガードの使用前に物質を保持するとともに、ブレードガードがガラス面上で使用されるときに物質をガラス面上にわたって広げるのに役立つことができる。
【0013】
-第2の代替案によれば、第2の部品は物質をその外面上で保持するように構成される。第2の部品は、特に、ゴムなどのエラストマー又はシリコンから形成される部品であってもよい。
【0014】
-第2の代替案によれば、物質は第2の部品の被覆材中に含有される。この被覆材は、第2の部品の外面上に配置される層を形成する。また、この形態は、いつでも使用できるブレードガードを提供できるようにし、この場合、ブレードガードが装着されるワイパーが車両に取り付けられるときに物質が車両のガラス面上に塗布される。
【0015】
-前述の代替案のいずれかによれば、第2の部品に含有される又は第2の部品の外面上の物質は一般に液体又はマイクロカプセルの状態にある。したがって、物質を含有するマイクロカプセルは、第1の代替案に係る第2の部品の吸収材料中に或いは第2の代替案に係る第2の部品の被覆材中に存在する。これらのマイクロカプセルは、ブレードガードが車両のガラス面上で往復移動を行うときに壊れるように構成され、それにより、物質をガラス面上に塗布することができる。
【0016】
-前述のいつでも使用できるバージョンの代替案によれば、第2の部品にはユーザによって物質が充填される又は補充され得る。したがって、ブレードガードの別個のリザーバ、例えばボトル、フラスコ、及び/又は、シールされた密封拭き取り具に収容される物質は、ブレードガードの拡散機能の使用直前にユーザによって第2の部品上に塗布され得る。この形態により、ブレードガードの第2の部品に物質を補充することができ、それにより、車両のガラス面を処理するためにブレードガードを数回使用することができる。
【0017】
-第2の部品に含有される又はこの第2の部品を満たすようになっている物質は、疎水性の溶液である。この疎水性の溶液は、ワイパーによって分散される水の量を減らすことができるようにし、したがって、水の付着、特に車両のガラス面上へ投げ出される可能性が高い雨滴の付着を減少させることによって、処理されたガラス面を通じた視認性を向上させることができる。
【0018】
-ブレードガードは、好適には、ガラス面上にわたるブレードガードの20回の往復移動によって物質をガラス面上に塗布し、この場合、往復移動は、第1の位置と第2の位置との間のブレードガードの戻り移動であり、第1の位置は、ブレードガードの休止位置に対応する初期位置であり、第2の位置は、ブレードガードの作動位置に対応する最終位置である。
【0019】
車両に応じて、ガラス面がウインドスクリーンである場合、休止位置と呼ばれるブレードガードの第1の位置は、ボンネットに沿うことができ、すなわち、ガラス面に対して略水平な位置となることができ、或いは更には、側方ピラーに沿うことができ、すなわち、ガラス面に対して略垂直な位置となることができ、また、ブレードガードがその初期位置に戻るために回転方向を変える作動位置と呼ばれるブレードガードの第2の位置は、ボンネットに沿うことができ、すなわち、ガラス面に対して略水平な位置となることができ、或いは更には、側方ピラーに沿うことができ、すなわち、ガラス面に対して略垂直な位置となることができる。
【0020】
より具体的には、物質は、5~10回の往復移動によってガラス面上に塗布される。
【0021】
-ブレードガードは、ブレードガードが縦軸に沿って湾曲される第1のプロファイルと、ブレードガードが略直線状である、特に直線状である少なくとも1つの第2のプロファイルとをとるように構成される。したがって、ブレードガードは、一方では、ガラス面上への塗布以外の任意の状況でワイパーブレードを保護するというその機能を果たすためにワイパーの湾曲したプロファイルに追従できるようにするとともに、他方では、ブレードガードの往復移動中であっても車両のガラス面を顕在化させることができるようにする可撓性を有する。第1のプロファイルに係るブレードガードの第1の曲率半径は、第2のプロファイルに係るブレードガードが収まる第2の曲率半径よりも厳密に小さい。第2のプロファイルは、ガラス面が完全に平らではないという点で略直線状である。
【0022】
-第1の部品は、少なくとも1つの隔壁によって互いに分離される第1の容積と第2の容積とを画定し、この場合、第2の部品は少なくとも部分的に第2の容積内に収容される。第1の容積は、ワイパーのワイパーブレードを収容するように構成される。
【0023】
-ブレードガードはこの隔壁を備え、該隔壁は、ブレードガードの縦軸とブレードガードの縦軸に対して垂直な横軸とを含む平面内で延び、この場合、隔壁は、ブレードガードの第1の容積と第2の容積との間に距離間隔を形成する。したがって、隔壁は、ブレードガードがワイパーに装着されるときに第2の部品から第1の部品への物質の任意の移動を防止する。
【0024】
-第2の部品は、その形状が第2の容積の形状と適合する第1の部分と、第2の容積から突出する第2の部分とを備える。好適には、第2の部分は、ブレードガードの第1の部品の第2の容積から延出し、第2の部品のこの部分こそが特にガラス面と接触して物質を広げるようになっている。したがって、この形態は、第1の部品がガラス面に触れることなくブレードガードの第2の部品をガラス面に当接させることができるようにし、それにより、ガラス面に何らかの引っ掻き傷を引き起こすリスクが制限される。
【0025】
-隔壁は、第1の容積と第2の容積との間で延びる少なくとも1つのオリフィスを備えることができ、この場合、オリフィスは、ブレードガードの第2の部品上への物質の塗布を容易にすることができる。より具体的には、オリフィスによって、ブレードガードの第1の部品の第1の容積と第2の容積との間に接続部を設けることができる。したがって、物質がブレードガードの第1の容積の近傍に塗布されると、物質は、第2の容積内に収容されるブレードガードの第2の部品に向かって移動できる。したがって、好適には、物質を、第2の容積へと移動するように、したがって、ブレードガードの第2の部品と接触するように第1の容積の縦方向端部の近傍に塗布することができ、この場合、第1の容積の縦方向端部には容易にアクセスすることができる。
【0026】
-第1の部品の第1の容積は、隔壁に対して第2の容積と反対側に位置される2つの縁部によって画定される。より具体的には、2つの縁部は横軸に沿って互いの方へ向けて延びる。好適には、縁部は横軸に沿って空間により分離される。この形態により、ワイパーのワイパーブレードを少なくとも部分的に第1の容積内に収容することができる。
【0027】
-ワイパーブレードは、ブレードガードの縁部を収容するための接合部を備える。より具体的には、横軸に沿うワイパーブレードの寸法は、接合部の近傍でより小さく、したがって、2つの溝が画定され、これらの溝内にブレードガードの第1の縁部及び第2の縁部が収容される。したがって、この接合部は、ブレードガードをワイパーブレード上に保持できるようにする。
【0028】
或いは、ブレードガードは、ワイパーブレードの支持体又はエアデフレクタなどのワイパーの構造要素の近傍でワイパー上に保持され得る。
【0029】
-ブレードガードは、第2の部品を保護するように構成される保護ストリップを備える。この保護の目的は、ブレードガードの第2の部品の第2の部分が損傷する危険を減らすことである。また、保護ストリップは、外部環境に対する第2の部品の露出、したがって第2の部品に含まれる物質の露出を低減することによって第2の部品を保護する。保護ストリップは、特に、第2の部品が乾燥する危険性を減らすことができるようにし、したがって、例えばブレードガードが個別に保管される又はワイパーに取り付けられるときに、塗布される物質の保管寿命を延ばすことができる。保護ストリップは、物質をガラス面上に塗布できるようにするために、車両のガラス面上でのブレードガードの使用前に取り外されるようになっている。
【0030】
-ブレードガードの第2の部品は、ブレードガードの第1の部品と保護ストリップとの間に位置される。
【0031】
-保護ストリップは例えば第2の部品に接着される。或いは、保護ストリップは、ブレードガードの第2の部品及び/又は第1の部品に接着される。好適には、保護ストリップが第1の部品に接着されると、第2の部品はブレードガードの第1の部品の第2の容積内に完全に閉じ込められ、それにより、外部環境に対する、第2の部品の露出の減少、したがって、第2の部品が含有する物質の露出の減少が最大にされ、第2の部品に含有される物質の保管寿命が延びる。好適には、保護ストリップがブレードガードから取り外されると、第2の部品は、ブレードガードの第1の部品の第2の容積から少なくとも部分的に延出する。
【0032】
-第1の部品は合成材料から形成される。好適には、第1の部品は押出し又は成形によって得られる。
【0033】
-第1の部品及び第2の部品は共押出しによって得られる。
【0034】
-ブレードガードは、オリジナル機器として、すなわち、それが製造されるときに車両に取り付けられるように、車両製造業者向けに販売され得る。また、ブレードガードは、特にディーラーや自動車両のスペアパーツ販売会社とのスペアパーツとして、アフターセールスネットワークで販売され得る。
【0035】
-車両は自動車両である。より具体的には、自動車両は自動車又は重量物運搬車である。
【0036】
第2の態様によれば、本発明の更なる目的は、少なくとも1つのワイパーブレードと本発明の第1の態様に係るブレードガードとを備えるワイパーである。
【0037】
第2の態様に係るこの形態は、物質を車両のガラス面上に塗布するためのブレードガードを備えるワイパーを提供できるようにし、この場合、ワイパーは、いつでの使用できる、すなわち、自動車両にいつでも設置できる状態にある。
【0038】
本発明の第2の態様に係るワイパーは、以下の改善のうちの少なくとも1つを有利に含み、これらの改善を成す技術的特徴は、別個に又は組み合わせて採用され得る。
【0039】
-ワイパーブレードは、ブレードガードの第1の部品内に収容される。より具体的には、ワイパーブレードは、ブレードガードの第1の部品の第1の容積内に収容される。
【0040】
-ワイパーブレードとブレードガードの第1の部品との間に隙間が設けられる。言い換えると、ワイパーブレードは、第1の部品の隔壁又はこの第1の部品の壁に当接していない。この形態は、ブレードガードがワイパーブレードを保護できるようにし、その結果、ワイパーブレードは、いかなる衝撃からも及びブレードガードとの接触から隔離される。
【0041】
-ワイパーは、オリジナル機器として、すなわち、それが製造されるときに車両に取り付けられるように、車両製造業者向けに販売され得る。また、ワイパーは、特にディーラーや自動車両のスペアパーツ販売会社とのスペアパーツとして、アフターセールスネットワークで販売され得る。
【0042】
本発明の更なる特徴、詳細、及び、利点は、添付の概略図面を参照して、一方では以下の説明を読むと、他方では非限定的な例として与えられる幾つかの実施形態から、より明確に分かるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の第1の態様に係るブレードガードを使用して物質が塗布される自動車両の模式図である。
【
図2】本発明の第1の態様に係るブレードガードの一実施形態の斜視図である。
【
図3】
図2に示されるブレードガードの横断面図である。
【
図4】本発明の第1の態様に係るブレードガードの一実施形態の端面図である。
【
図5】本発明の第1の態様に係るブレードガードの他の実施形態の図である。
【
図6】本発明の第2の態様に係るワイパーの一実施形態の斜視図である。
【
図7】
図6に示されるワイパーのブレードガード及びワイパーブレードの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の特徴、変形、及び、様々な実施形態は、それらが互いに不適合でない又は互いに排他的ではない限りにおいて、様々な組み合わせで、互いに関連付けられ得る。以下に記載される特徴の選択のみを他の記載された特徴とは無関係に備える発明の変形例を考えることができる。ただし、この特徴の選択が技術的利点をもたらすのに又は本発明を従来技術から区別するのに足りる場合に限る。
【0045】
特に、記載される全ての変形例及び全ての実施形態を互いに組み合わせることができる。ただし、技術的観点からこの組み合わせを排除するものがない場合に限る。
【0046】
図1は自動車両200の模式図を示し、この自動車両では、ワイパー100に装着される
図1に示されないブレードガードを使用して物質が自動車両200のガラス面50上に塗布される。
【0047】
したがって、自動車両200は、自動車両200のガラス面50に当接している2つのワイパー100を備える。この場合、ガラス面50は自動車両200の前部FRに位置されるウインドスクリーンであるが、ガラス面は、自動車両200の後部RRに位置されるリアウインドウ、或いは更には、ワイパー100が装着される任意のガラス面でもあってもよい。
【0048】
ワイパーが作動されると、ワイパー100は、ガラス面50上で往復移動を行い、それにより、拭き取り面101を画定する。したがって、
図1に示されない本発明に係るブレードガードがワイパー100に装着されると、ブレードガードは、ガラス面50の拭き取り領域101の近傍に物質を塗布できるようにする。
【0049】
図2は、自動車両200のワイパー100用のブレードガード1の一実施形態を示し、この場合、ブレードガード1は本発明の第1の態様に係るブレードガードである。
【0050】
ブレードガード1は主に縦軸Xに沿って延びる。また、ブレードガード1は、横軸Yに沿って及び垂直軸Zに沿っても延び、この場合、横軸Y及び垂直軸Zは縦軸Xに対して垂直な平面Dを画定する。縦軸Xは平面XZ内で曲率を有し、その曲率は、ワイパーがガラス面に当てついて適用される前にブレードガード1がワイパーの湾曲プロファイルを顕在化させることができるようにする。ブレードガード1は、ワイパーのその使用前のプロファイルに対応する湾曲プロファイルと呼ばれる第1のプロファイルと、直線プロファイルと呼ばれる又はブレードガード1が当接するようになっている自動車両200のガラス面50の曲率に起因して略垂直と呼ばれる第2のプロファイルとをとることができるように可撓性がある。
【0051】
ブレードガード1は第1の部品11と第2の部品12とを備え、これらの部品はいずれも縦軸Xに沿うブレードガード1に沿って延びる。より具体的には、ブレードガード1は、第1の端部3と、第1の端部3に対してブレードガード1の反対側に位置される第2の端部4との間で、垂直軸Zに沿って延び、この場合、ブレードガード1の第1の部品11はブレードガード1の第1の端部3の近傍に位置され、ブレードガード1の第2の部品12はブレードガード1の第2の端部4の近傍に位置されている。また、ブレードガード1は、第1の縦方向端部67から第2の縦方向端部68まで縦軸Xに沿って延び、この場合、このブレードガード1の断面は第1の縦方向端部67から第2の縦方向端部68までほぼ同一の形状を成す。
【0052】
第2の部品12は、自動車両のガラス面を処理するために、疎水性の溶液などの物質69を受けて含有するようになっている。
【0053】
図2に示される第1の実施形態によれば、ブレードガード1は、既に物質69を含有する第2の部品12を伴って販売される。したがって、本発明のそのような形態は、物質69をガラス面上にわたって広げるようにいつでも使用できるブレードガード1を提供できるようにする。そのような実施形態において、第2の部品12は、物質69のための吸収材料、又は、物質のサプリメント、特にマイクロカプセルを含む合成材料、或いは更には、物質69から形成される又は物質69を備える被覆材の堆積物をその外面が受ける合成材料であってもよい。
【0054】
吸収材料は、好適には、スポンジ材料、物質69を含有する又は保持するための連続気泡構造合成発泡体、フェルト又は織物ストリップであってもよい。合成材料は、エラストマー、例えば、特にシリコンから形成される部品であってもよく、この合成材料上に物質69を含有する被覆材を塗布することができる。したがって、第2の部品12は、物質69を受け、ブレードガード1の使用前に物質を保持するとともに、ブレードガードが使用されるときに物質をガラス面上にわたって広げるのに役立つことができる。
【0055】
図2にも示される第2の実施形態によれば、ブレードガード1は、物質69を伴うことなく販売されるが、ガラス面上にブレードガード1により塗布される物質を備えるフラスコ80が補充される。したがって、好適には液体形態である物質69をユーザによってブレードガード1の第2の部品12の近傍に塗布することができる。そのため、この形態は、物質がフラスコ80内に蓄えられているため、ユーザが使用直前にブレードガード1の第2の部品12を充填できるようにし、それにより、物質69の保管寿命が促進される。また、この形態は、第2の部品12に物質を補充できるようにし、したがって、自動車両200のガラス面50を処理するためのブレードガード1の幾つかの使用を可能にする。
【0056】
図3は、
図2に示されるブレードガード1の横断面図を示す。言い換えると、
図3は、
図2に示されるブレードガード1の平面Dに沿う断面図である。
【0057】
ブレードガード1の第1の部品11は一体部品である。第1の部品11は第1の容積5と第2の容積6とを画定し、この場合、第1の容積5は、第1の端部3の近傍に位置されており、ワイパーのワイパーブレードを収容するようになっている。第2の端部4の近傍に位置される第2の容積6は、ブレードガード1の第2の部品12を収容する又は受ける。より具体的には、第1の部品11はフレア状に延びる2つの側面7を備え、この場合、2つの側面7は、平面XY内で延びる隔壁15によって互いに接続され、それにより、第1の容積5を第2の容積6から分離することができる。第1の容積5は、平面XY内で延びる2つの縁部8により垂直軸Zに沿って部分的に画定され、この場合、2つの縁部8はそれぞれ側面7から互いの方へ向かって延びる。空間9が2つの縁部8間に位置され、それにより、ワイパーのワイパーブレードを第1の容積5内に収容することができる。
【0058】
ブレードガード1の第2の部品12は、第1の部品11を製造するために使用される材料とは異なる材料から形成される要素である。第2の部品12は、第1の部品11に付加される又は第1の部品11と共押出しされる部分を含み得る。第2の部品12は、第1の部品11の第2の容積6内に部分的に収容される。したがって、第2の部品12は第1の部分13と第2の部分14とを備え、第1の部分13は第2の容積6に収容され、第2の部分14は、垂直軸Zに沿って、第1の部品11の隔壁15とは反対の方向で、第2の容積6から延出する。第2の部分14は自動車両のガラス面に当接するようになっている。
【0059】
第2の部品12の第2の部分14は、第1の部品11の側面7の境界に接している。より具体的には、第1の部品11は、第2の端部4の近傍で横方向に測定される第1の寸法21によって規定され、一方、第2の部分14は、第1の寸法21と同じ軸に沿って測定される第2の横方向寸法22によって規定される。第1の寸法21が第2の寸法22以下であることに留意すべきである。この形態により、ガラス面と接触する第2の部品12の表面を大きくすることができる。更に、この形態は、第1の部品11がガラス面と接触することを防止し、そのような接触は、例えば第1の部品11によって引き起こされる引っ掻き傷に起因して、ガラス面に損傷を引き起こし得る、或いは更には、物質69を使用して行われる表面処理の劣化を引き起こし得る。
【0060】
第1の部品11は一般的なフレア形状を有する。より具体的には、横軸Yに沿って測定される第1の部品11の寸法は、第2の端部4の近傍におけるよりも第1の端部3の近傍で大きい。同様に、横軸Yに沿って測定される第1の部品11の第2の容積6の寸法は、第2の端部4の近傍におけるよりも隔壁15に沿って大きい。第1の部品11の第2の容積6内に収容される第2の部品12の第1の部分13は、第2の容積6と適合する形状を有する。したがって、第1の部分13及び第2の容積6の形状は、第1の容積6内における第2の部品12の第1の部分13の垂直軸Zに沿う機械的保持を補助する。これに代えて又は加えて、ブレードガード1の第1の部品11と第2の部品12との間の接続を強化するために、第2の部品12の第1の部分13を隔壁15に対して又は第2の容積6を画定する壁に対して接着することができる。
【0061】
1つの実施形態によれば、隔壁15は、第1の容積5と第2の容積6との間に完全なシールをもたらすことができる。この目的のために、隔壁15は、一方の縦方向端部から他方の縦方向端部まで継ぎ目なく延びる。
【0062】
或いは、隔壁15は、ブレードガード1の第1の部品11の第1の容積5と第2の容積6との間で垂直軸Zに沿って延びる少なくとも1つのオリフィス17を備えることができる。オリフィス17によって、第1の容積5と第2の容積6との間に接続部を設けることができる。この形態は、ブレードガード1の第2の部品12の近傍で物質69の塗布を容易にするために使用され、この場合、第2の部品12は、特に物質がブレードガード1とは無関係にフラスコに含まれる場合及びユーザが物質69を第2の部品12の近傍に塗布しなければならない場合には、第2の容積6内に少なくとも部分的に収容されている。したがって、隔壁15は、縦軸Xに沿って配設される複数のオリフィス17を備えることができる。そのような形態は、第2の部品によって吸収される物質69の量をこの第2の部品12の後部領域に供給することによって増やすことができるようにする。
【0063】
図4は、保護ストリップ20を備えるブレードガード1の一実施形態を示し、この図はブレードガード1の縦方向端部67を示している。保護ストリップ20を除き、ブレードガード1の形態は
図1及び
図2に記載される形態と同一であり、変更すべきところは変更して
図4の図に適用できるこれらの図の説明を参照することとする。
【0064】
保護ストリップ20は、ブレードガード1の第2の部品12に当接して位置される。より具体的には、保護ストリップ20は、その前部ストリップ及びその側部ストリップに広がることにより、第2の部品12の第2の部分14に当接している。
【0065】
この形態によれば、保護ストリップ20は、外部環境に対する第2の部品12の露出を減らすことができるようにし、それにより、例えば、第2の部品12が乾燥する或いは更には紫外線に晒されるという危険を減らすことができ、したがって、例えば、ブレードガード1が保管されるとき又はそのようなブレードガード1を備えるワイパーが販売エリアで保管されるときに、
第2の部品12に含有される物質の保管寿命を延ばすことができる。
【0066】
図5は、保護ストリップ20を備えるブレードガード1の一実施形態の縦方向端部の図を示す。保護ストリップ20の位置を除き、ブレードガード1の形態は
図1及び
図2に記載された形態と同一であり、変更すべきところは変更して
図5の図に適用できるこれらの図の説明を参照することとする。
【0067】
この実施形態によれば、保護ストリップ20は、ブレードガード1の第1の部品11の側面7に当接しており、それにより、第2の部品12をブレードガード1の第1の部品11の第2の容積6内に完全に収容することができる。この例において、第2の部品12の第2の部分14は、第1の部品11の側面7に取り付けられる保護ストリップ20により、第1の部品11の第2の容積6の内側に閉じ込められる。したがって、自動車両のガラス面上に塗布される物質69を備える第2の部品12は、第1の部品11の側面7によって完全に又はほぼ完全に保護される。第2の部品12は第2の容積6内に閉じ込められ、そのような閉じ込めは、例えば、第2の部品12に関して吸収性材料、例えばスポンジ材料、連続気泡構造合成発泡体、フェルト又は織物ストリップを使用することによって可能にされる。
【0068】
ユーザが保護ストリップ20をブレードガード1から取り外す際には、自動車両のガラス面上に物質を塗布するために、第1の部品11の第2の容積6の内側に閉じ込められた第2の部品12の第2の部分14が、その後、第2の容積6から延出し、その結果、第2の部品12は、
図5に破線で示される弛緩形状16をとり、それにより、第2の部品12をガラス面上で使用することができる。
【0069】
図6は、本発明の第2の態様に係るワイパー100の斜視図を示す。
【0070】
ワイパー100は支持体70に装着されるワイパーブレード60を備え、支持体70は、ワイパー100を自動車両に装備されたワイパーシステムの駆動アーム上に組み付けるための取り付け部品71を備える。駆動アームは、それが作動されると、ワイパー100が車両のガラス面上で往復移動できるようにする。
【0071】
本発明の第1の態様に係る又は本発明の第2の態様に係るブレードガード1と協働するワイパー100は、フラットワイパーである。このフラットワイパーは、該フラットワイパーに曲率を与えてフラットワイパーの全長にわたって駆動アームからの圧力を分配する1つ以上のバーテブラを備える。また、このワイパーは、単一のバーテブラが内部に存在するトンネルを備える支持体70も備えることができ、この支持体は、ワイパーブレード60及び/又は1つ以上のエアデフレクタのための締結も行う。或いは、ワイパーブレード60を単一のバーテブラに接着することができる。更なる代案として、ワイパーブレード60は、ワイパー上の中央コネクタによって所定位置に保持される2つのバーテブラ間に挟持され得る。
【0072】
ワイパーブレード60は、ブレードガード1の第1の部品11の第1の容積5内に部分的に収容され、したがって、この場合、ブレードガード1はワイパーブレード60のための保護を行う。ブレードガード1は、ワイパーブレード60の全長にわたって縦軸Xに沿って延びる。
【0073】
ブレードガード1は、具体的には、ワイパー100がガラス面に押し付けられないときの大きな曲率と、ワイパー100がガラス面に押し付けられるときの小さい曲率、ひいては直線プロファイルとの間で、ワイパー100の曲率の変化に追従するように構成される。物質69をガラス面上にわたって正確に広げるためには、ブレードガード1がこれらの動きに追従することが必要である。
【0074】
図7は、
図6に示されるワイパー100のワイパーブレード60の端面図を示し、この場合、ワイパーブレード60は本発明の第1の態様に係るブレードガード1内に収容されている。
【0075】
ワイパーブレード60は、ブレードガード1の第1の部品11の第1の容積5内に部分的に収容される。より具体的には、ワイパーブレード60はヒール61及びチップ62を備え、ヒール61はワイパーの支持体70に締結されるようになっており、チップ62は第1の部品11の第1の容積5内に収容される。チップ62は、ブレードガード1がワイパーから取り外されて前記ワイパーがガラス面に押し付けられる際に自動車両のガラス面に当接するようになっている。
【0076】
ワイパーブレード60のチップ62は、チップ62と隔壁15との間に垂直軸Zに沿う隙間63を残しつつ、ヒール61からブレードガード1の第1の部品11の隔壁15に向かって延びる。言い換えると、ワイパーブレード60のチップ62は、隔壁15に当接しておらず、第1の部品11の側面7からも離れている。したがって、この形態は、ブレードガード1に対するワイパーブレード60の任意の意図しない接触を回避することによって、ワイパーブレード60のための保護、特にブレードガード1の第1の容積5内に収容されるチップ62のための保護を行う。
【0077】
ワイパーブレード60は、ヒール61とチップ62との間に位置される接合部64を備える。横軸Yに沿う接合部64の寸法は、ヒール61の横軸Yに沿う寸法及びチップ62の横軸Yに沿う寸法よりも小さい。したがって、接合部64は、それぞれがブレードガード1の第1の部品11の縁部8を収容する第1の溝65及び第2の溝66を画定する。したがって、ワイパーブレード60のヒール61及びチップ62は、ブレードガード1の縁部8が溝65,66内に収容された状態で、ブレードガード1をワイパーブレード60に対して保持できるようにする。
【0078】
したがって、ブレードガード1は、縦軸Xに沿うワイパーブレード60に対するブレードガード1の相対的な並進移動によってワイパーブレード60に取り付けられなければならない。ワイパーブレード60からブレードガード1を取り外す作業は、ワイパーブレード60へのブレードガード1の取り付けと同様である。
【0079】
ブレードガード1の第1の部品11の第1の容積5内に収容されるワイパーブレード60のチップ62は、ブレードガード1の第1の部品11の縁部8に対して垂直軸Zに沿って当接する。
【0080】
このように設計されると、ワイパー100及びそのブレードガード1を、車両のワイパーシステムの駆動アームに取り付けて、ガラス面に押し付け、その後、ブレードガード1が物質69をガラス面上にわたって広げるように移動させることができる。
【0081】
無論、本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなくこれらの実施形態に対して多くの変更を行うことができる。