(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】セラミックマトリックス複合材タービンノズルシェルおよび組立の方法
(51)【国際特許分類】
F01D 9/02 20060101AFI20240122BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20240122BHJP
C04B 35/80 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
F01D9/02 102
F02C7/00 C
F02C7/00 D
C04B35/80
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019166776
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-09-02
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・デ ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エリントン・グリーネ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ランドール・ホバート
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ジョセフ・マレー
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-148105(JP,A)
【文献】特開2008-133183(JP,A)
【文献】特表2015-514026(JP,A)
【文献】特開2017-025916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0251939(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/80
F01D 9/02
F01D 25/00
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックマトリックス複合材(CMC)タービンノズ
ルシェル(70)の製造方法であって、
第1の複数のプラットフォームプライ(100)を積み重ねて減量し、一次外側ノズルプラットフォーム(72)を組み立てる
ステップと、
第2の複数のプラットフォームプライ(120)を積み重ねて減量し、一次内側ノズルプラットフォーム(76)を組み立てる
ステップと、
複数の後縁プライ(182)をV字形に積み重ねる
ステップと、
複数のコアプライ(140)を幅広の端部(147)
及び幅狭の端部(148)を有するツール(145)の周りに巻き付けて中空の翼形部形状を画定することによって、
及び前記積み重ねられた後縁プライ(182)を前記複数のコアプライ(140)の前記幅狭の端部(148)に隣接して配置することによってコア
及び後縁プリフォーム(160)を組み立てる
ステップと、
一組の複合材ラッププライ(110)を前記コア
及び後縁プリフォーム(160)の周りに円周方向に巻き付けることによって翼形部形状の本体(74)を組み立てる
ステップであって、前記
一組の複合材ラッププライ(110)の各複合材ラッププライ(110)
が、前記
CMCタービンノズル
シェルの長手方向軸(170)に平行に配向された第1の一方向繊維の第1の層
及び前記第1の一方向繊維に対して横方向に配向された一方向繊維を有する第2の層を有し
ており、各複合材
ラッププライ(110)
が、第1の長手方向縁部(142、146)
及び第2の長手方向縁部(152、156)を有
しており、前記翼形部形状の本体(74)を組み立てるステップが、さらに、前記第1の長手方向縁部(142、146)
及び前記第2の長手方向縁部(152、156)をフィンガ(118、118a、158、158a)に切断する
こと、及び前記フィンガ(118、118a、158、158a)を前記コアプライ(140)から離れる横方向に折り畳
んで各複合材ラッププライ(110)の前記フィンガ(118、118a、158、158a)を二次プラットフォームプライの間に交互配置することによって二次内側ノズルプラットフォーム(176)と二次外側ノズルプラットフォーム(172)を画定すること
を含んでいる、ステップと、
前記一次外側ノズルプラットフォーム(72)を前記二次外側ノズルプラットフォーム(172)に接合する
ステップと、
前記一次内側ノズルプラットフォーム(76)を前記二次内側ノズルプラットフォーム(176)に接合する
ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記一次外側ノズルプラットフォーム(72)を
組み立てるステップ
と前記一次内側ノズルプラットフォーム(76)を
組み立てるステップ
とが、同時に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数のプラットフォームプライ(100)の前記プラットフォームプライ(100)が、第1の繊維方向に配向された一方向繊維の第1のプラットフォームプライと、前記第1の繊維方向を横断する第2の繊維方向に配向された一方向繊維の第2のプラットフォームプライとを含み、前記一次外側ノズルプラットフォーム(72)
を組み立てるステップにおける前記第1の複数のプラットフォームプライ(100)の前記積み重ね
及び減量が、前記第1のプラットフォームプライを前記第2のプラットフォームプライと交互にすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記一次外側ノズルプラットフォーム(72)
を組み立てるステップが、前記積み重ねられて減量された第1の複数のプラットフォームプライ(202)のグリーン加工をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の複数のプラットフォームプライ(120)の前記プラットフォームプライ(120)が、第3の繊維方向に配向された一方向繊維の第3のプラットフォームプライと、前記第3の繊維方向を横断する第4の繊維方向に配向された一方向繊維の第4のプラットフォームプライとを含み、前記一次内側ノズルプラットフォーム(76)
を組み立てるステップにおける前記第2の複数のプラットフォームプライ(120)の前記積み重ね
及び減量が、前記第3のプラットフォームプライを前記第4のプラットフォームプライと交互にすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記一次外側ノズルプラットフォーム(72)
を組み立てるステップが、前記積み重ねられて減量された第2の複数のプラットフォームプライ(204)のグリーン加工をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記翼形部形状の本体(74)を組み立てるステップが、各第1の層
及び各第2の層が前記コアプライ(140)の周りに交互配置で巻き付けられるように、前記
一組の複合材
ラッププライ(110)の各複合材
ラッププライ(110)を前記コア
及び後縁プリフォーム(160)の周りに円周方向に巻き付けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記翼形部形状の本体(74)
を組み立てるステップが、実質的に均一なプライ層が前記二次プラットフォームプライの間に交互配置されるように、各複合材ラッププライ(110)の前記折り畳まれたフィンガ(118、118a、158、158a)の半径方向外方に複数のフィラーパネル(130)を配置することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1
又は複数のプライを巻き上げて第1の凹面フィレットを生産する
ステップと、前記翼形部形状の本体(74)と前記二次外側ノズルプラットフォーム(172)との間の接合部で前記翼形部形状の本体(74)を前記第1の凹面フィレットと外接させる
ステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
1
又は複数のプライを巻き上げて第2の凹面フィレットを生産する
ステップと、前記翼形部形状の本体(74)と前記二次内側ノズルプラットフォーム(176)との間の接合部で前記翼形部形状の本体(74)を前記第2の凹面フィレットと外接させる
ステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記一次外側ノズルプラットフォーム(72)を前記翼形部形状の本体(74)の前記二次外側ノズルプラットフォーム(172)に接合するステップ、
及び前記一次内側ノズルプラットフォーム(76)を前記翼形部形状の本体(74)の前記二次内側ノズルプラットフォーム(176)に接合するステップの後、前記翼形部形状の本体(74)、前記外側ノズルプラットフォーム(72)、
及び前記内側ノズルプラットフォーム(76)を剛性化するステップをさらに含み、剛性化するステップ
が、剛性化されたCMCタービンノズル(40)を生産する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
溶融浸透プロセスを使用して前記剛性化されたCMCタービンノズル(40)を高密度化することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セラミックマトリックス複合材物品およびそれらの生産のためのプロセスの分野に関する。より詳細には、本開示は、別々に組み立てられたプリフォームが組み合わされてセラミックマトリックス複合材(CMC)ノズルを形成する、ガスタービン用のCMCノズルを生産するためのより効率的なプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンシステムなどのいくつかの従来のターボ機械は、電力を生成するために利用される。一般に、ガスタービンシステムは、圧縮機と、1つまたは複数の燃焼器と、タービンとを含む。空気をその入口を介して圧縮機に引き込むことができ、圧縮機において、空気は多段の回転ブレードおよび静止ノズルを通過することによって圧縮される。圧縮された空気は、1つまたは複数の燃焼器に導かれ、燃焼器では燃料が導入され、燃料/空気混合物の点火および燃焼によって燃焼生成物が形成される。燃焼生成物は、タービンの動作流体として機能する。
【0003】
次いで、動作流体は、タービンの流体流路を通って流れ、流路は、各組の回転ブレードおよび各対応する組の静止ノズルがタービン段を画定するように、複数の回転ブレードと回転ブレードの間に配置された複数の静止ベーンとの間に画定される。複数の回転ブレードがガスタービンシステムのロータを回転させると、ロータに結合された発電機は、ロータの回転から動力を生成することができる。タービンブレードの回転はまた、ロータに結合される圧縮機ブレードの回転を引き起こす。
【0004】
より具体的には、ガスタービンノズルは、タービンセクションの静的構成要素であり、これは、高温ガス(2200°Fを超える温度)をタービンの回転部分への高温ガス経路に誘導してロータの回転運動を達成するように構成される。典型的には、ガスタービンノズルおよびブレードは、遮熱コーティングでコーティングされる、および/または洗練された空冷特徴が設けられる超合金(金属)材料で作製される。しかしながら、タービン構成要素に迂回される空気は、ガスタービンの寄生損失となり、ガスタービンの全体的な効率を低下させる。
【0005】
高温ガス流路の高温条件に耐えることができるさらなる先進材料を使用することによって、構成要素を冷却するために必要な冷却空気の量を減らすことができる。セラミックマトリックス複合材(CMC)は、このような先進材料の一例である。それらの特性によりそれぞれの部品の冷却要件が軽減されるため、従来のガスタービンと比較してガスタービン効率が向上する。
【0006】
特に構成要素が複雑な幾何学的形状を含む場合、セラミックマトリックス複合材構成要素の組立には時間がかかる場合がある。例えば、タービンノズルは、内側ノズルプラットフォームと外側ノズルプラットフォームとの間に位置決めされる実質的に中空の翼形部形状の本体を含む。CMC構成要素を組み立てるより効率的な方法は、これらの構成要素の生産時間を短縮する。
【0007】
場合によっては、CMC材料で達成された熱性能の向上にもかかわらず、タービンノズルは、垂直方向に配向された翼形部本体と水平方向に配向された内側および外側プラットフォーム壁との間の接合部で応力を受ける可能性がある(亀裂が生じる可能性がある)。したがって、これらの接合部を強化する改善された方法は、これらの構成要素の耐久性および耐用年数を向上させる。
【発明の概要】
【0008】
セラミックマトリックス複合材(CMC)タービンノズルシェルの製造方法が提供される。方法は、一次外側ノズルプラットフォーム、一次内側ノズルプラットフォーム、コアおよび後縁プリフォーム、ならびに翼形部形状の本体を組み立てることと、一次外側ノズルプラットフォームを翼形部形状の本体の二次外側ノズルプラットフォームに接合することと、一次内側ノズルプラットフォームを翼形部形状の本体の二次内側ノズルプラットフォームに接合することとを含む。
【0009】
一次外側ノズルプラットフォームは、第1の複数のプラットフォームプライを積み重ねて熱減量することによって組み立てられ、一次内側ノズルプラットフォームは、第2の複数のプラットフォームプライを積み重ねて熱減量することによって組み立てられる。後縁プリフォームは、複数の後縁プライをほぼV字形に積み重ねて熱減量することによって組み立てられる。コアおよび後縁プリフォームは、複数のコアプライを幅広の端部および幅狭の端部を有するツールの周りに巻き付けることによって、および積み重ねられた後縁プライを複数のコアプライの幅狭の端部に隣接して配置することによって組み立てられる。
【0010】
翼形部形状の本体は、一組の複合材ラッププライをコアおよび後縁プリフォームの周りに円周方向に巻き付けることによって組み立てられる。組の複合材ラッププライの各複合材ラッププライは、タービンノズルの長手方向軸に平行に配向された第1の一方向繊維の第1の層および第1の一方向繊維に対して横方向に配向された第2の一方向繊維の第2の層を有する。複合材ラッププライは、第1の長手方向縁部および第2の長手方向縁部を有する。第1の長手方向縁部および第2の長手方向縁部は、フィンガに切断され、フィンガは、コアプライから離れる横方向に折り畳まれ、二次プラットフォームプライの間に交互配置されて二次内側ノズルプラットフォームと二次外側ノズルプラットフォームを画定する。一次外側ノズルプラットフォームは、二次外側ノズルプラットフォームに接合され、一次内側ノズルプラットフォームは、二次内側ノズルプラットフォームに接合される。
【0011】
本明細書は、当業者を対象として、本システムおよび方法の完全かつ可能な開示を、それを使用する最良の形態を含んで記載する。本明細書は、添付の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の様々な実施形態を組み込むことができる例示的なガスタービンの機能ブロック図である。
【
図2】本開示の一態様による、タービンノズルの分解図である。
【
図3】本開示の一態様による、翼形部プリフォームの組立で使用される構成要素の概略図である。
【
図4】本開示による、コアプリフォームの概略俯瞰平面図である。
【
図5】本開示による、後縁プリフォームの概略俯瞰平面図である。
【
図6】周りに例示的な一対の複合材ラッププライが巻き付けられる、
図4および
図5のコアおよび後縁プリフォームの概略俯瞰平面図である。
【
図7】複合材ラッププライとして積み重ねる前の、0度プライおよび90度プライの概略図である。
【
図8】
図7の0度プライおよび90度プライを使用して組み立てられる、複合材ラッププライの概略図である。
【
図9】
図3の翼形部プリフォームの構築中に実行される初期ステップを示す、例示的な翼形部プリフォームの一部の斜視図である。
【
図10】
図3の翼形部プリフォームの一部の概略断面図である。
【
図11】
図2のセラミックマトリックス複合材ノズルプリフォームの一部の概略断面図である。
【
図12A】本セラミックマトリックス複合材ノズルプリフォームを製造するためのプロセスを説明するフローチャートである。
【
図12B】本セラミックマトリックス複合材ノズルプリフォームを製造するためのプロセスを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の様々な実施形態について詳しく説明するが、その1つまたは複数の例が、添付の図面に示されている。詳細な説明は、図面の特徴を参照するために、数字および文字の符号を使用する。図面および説明における同様または類似の符号は、本開示の同様または類似の部分を指して使用されている。
【0014】
本セラミックマトリックス複合材ノズルおよびその構成要素を明確に説明するために、本開示の範囲内の関連する機械構成要素を参照し説明するために特定の専門用語が使用される。可能な限り、一般的な業界専門用語が、用語の一般的な意味と一致する方法で使用されて用いられる。別途記載のない限り、このような専門用語は、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と一致する広義の解釈を与えられるべきである。当業者であれば、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なるまたは重複する用語を使用して参照されることがあることを理解するであろう。単一の部品であるとして本明細書に記載され得るものは、複数の構成要素からなるものとして別の文脈を含み、かつ別の文脈で参照されてもよい。あるいは、複数の構成要素を含むものとして本明細書に記載され得るものは、単一の一体型部品として他の場所で参照されてもよい。
【0015】
加えて、以下に記載されるように、いくつかの記述的用語が本明細書で規則的に使用され得る。「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の場所または重要性を示すことを意図するものではない。
【0016】
多くの場合、異なる半径方向、軸方向および/または円周方向の位置にある部品を説明することが要求される。
図1に示すように、「A」軸は、軸方向の配向を表す。本明細書で使用する場合、「軸方向の」および/または「軸方向に」という用語は、ガスタービンシステムの回転軸に実質的に平行な軸Aに沿った対象物の相対的な位置/方向を指す。対象のノズルおよび翼形部プリフォームなどの特定の部品の文脈では、「軸方向の」および/または「軸方向に」という用語は、部品の長さに沿ってその中心線を通って延びる軸Aに沿った対象物の相対的な位置/方向を指す(
図3に示すように)。さらに本明細書で使用する場合、「半径方向の」および/または「半径方向に」という用語は、ただ1つの場所において軸Aと交差する軸「R」に沿った対象物の相対的な位置または方向を指す。いくつかの実施形態では、軸Rは、軸Aに実質的に垂直である。最後に、「円周方向の」という用語は、軸A(例えば、軸「C」)周りの移動または位置を指す。「円周方向の」という用語は、それぞれの対象物(例えば、ロータまたは部品の長手方向軸)の中心の周りを延びる寸法を指すことができる。
【0017】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定を意図するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「この(the)」は、特に明示しない限り、複数形も含むことが意図される。「備える(comprise)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組が存在することまたは追加することを除外しないことがさらに理解されよう。
【0018】
各例は、限定ではなく、説明のために提供される。実際には、本開示の範囲および精神から逸脱せずに、修正および変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施形態で使用し、さらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるそのような修正および変更を包含することが意図されている。
【0019】
本開示の例示的な実施形態は、説明のために陸上発電用ガスタービンのタービンノズルの製造に関連して一般的に説明されるが、当業者であれば、本開示の実施形態が、ターボ機械内の他の場所に適用可能であり、特許請求の範囲に具体的に記載されていない限り、陸上発電用ガスタービンのタービン構成要素に限定されないことが容易に理解されよう。
【0020】
ここで図面を参照すると、
図1は、例示的なガスタービン10を概略的に示す。ガスタービン10は、一般に、入口セクション12と、入口セクション12の下流に配置された圧縮機セクション14と、圧縮機セクション14の下流に配置された燃焼セクション16と、燃焼セクション16の下流に配置されたタービンセクション18と、タービンセクション18の下流に配置された排気セクション20とを含む。加えて、ガスタービン10は、圧縮機セクション14をタービンセクション18に結合する1つまたは複数のシャフト22(「ロータ」としても知られる)を含むことができる。シャフト22は、ガスタービン10、具体的には、タービンセクション18の長手方向軸と同軸である。
【0021】
動作中、空気24は、入口セクション12を通って圧縮機セクション14に流れ、そこで空気24が次第に圧縮され、これにより圧縮された空気26が燃焼セクション16に提供される。圧縮された空気26の少なくとも一部は、燃焼セクション16の1つまたは複数の燃焼器内で燃料28と混合され、燃焼されて燃焼ガス30を生産する。燃焼ガス30は、燃焼セクション16からタービンセクション18に流れ、そこで熱および/または運動エネルギーが燃焼ガス30からシャフト22に取り付けられたロータブレード(図示せず)に伝達され、それによってシャフト22を回転させる。次いで、機械的回転エネルギーは、シャフト22に結合された発電機21を介して、圧縮機セクション14に動力を供給すること、および/または電気を生成することなどの様々な目的に使用することができる。タービンセクション18から出た燃焼ガス30は次に、排気セクション20を介してガスタービン10から排出される。
【0022】
タービンセクション18内において、ロータブレードの各列は、外側側壁60と内側側壁80との間に位置決めされ、それらに取り付けられる静止ノズル40の対応する列を有する。集合的に、ロータブレードの列および隣接する静止ノズルは、タービン段を画定する。一般に、ロータブレードおよび静止ノズルの長さは各段で長くなり、発電に使用される多くの重構造ガスタービン10は、3つまたは4つのタービン段を有する。
【0023】
ガスタービン10は、非常に高い温度で(例えば、ガスがタービンセクション18に入るときに燃焼ガス温度が2,200°Fを超えて)日常的に動作する。このような高温では、構成要素の応力または故障を防止するためにタービンブレードおよびノズルを冷却する必要がある。ブレードおよびノズル40を冷却するためにタービンセクション18に迂回される空気の量は、ガスタービン10の効率に悪影響を及ぼす。したがって、発電と高効率の競合する要求に対処するために、一部のガスタービン製造業者は、セラミックマトリックス複合材(CMC)材料を使用して1つまたは複数のタービン段のブレードおよび/またはノズルを作成することを検討している。特に、より高い温度にさらされるタービンセクション18の入口端部のブレードおよび/またはノズルは、CMC材料で作製されてもよい。
【0024】
2つのそのような静止タービンノズル40が
図2の分解図に示されている。以下に説明するように、各タービンノズル40は、タービンセクション18(その一部が
図2に示されている)の内部に外接する外側側壁60を通して概して半径方向に設置される。タービンノズル40の半径方向内側端部は、円周方向内側側壁80(その一部が
図2に示されている)に固定される。内側および外側側壁80、60は、所与のタービン段において互いに半径方向に離間しており、内側および外側側壁80、60の間の高温ガス経路の一部を画定する。
【0025】
各タービンノズル40は、ノズル40の基礎としての役割を果たす金属(例えば、超合金)桁50を含む。金属桁50は、装着フランジ52と、装着フランジ52から延びる中空の翼形部形状の本体54とを含む。金属桁50は、サイズおよび形状が金属桁50の翼形部形状の本体54に対応する外側側壁60の開口部64を通して設置される。開口部64は、外側側壁60の表面66から半径方向外方に突出する装着棚62によって囲まれている。金属桁50が設置されると、金属桁50の装着フランジ52は、装着棚62と接触し、ボルト(図示せず)などの取り外し可能な機械的留め具を使用して装着棚62に固定される。
【0026】
CMCノズルシェル70は、金属桁50の翼形部形状の本体54の上に位置決めされる。CMCノズルシェル70は、一次外側ノズルプラットフォーム72と、一次内側ノズルプラットフォーム76と、一次内側ノズルプラットフォーム76と一次外側ノズルプラットフォーム72との間で半径方向に延びる翼形部形状の本体74とを含む。翼形部形状の本体74は、冷却空気の流れを受け入れるために中空または実質的に中空である。金属桁50の翼形部形状の本体54を収容するサイズおよび形状のキャビティ75は、翼形部形状の本体74を通って一次外側ノズルプラットフォーム72から一次内側ノズルプラットフォーム76に延びる。翼形部形状の本体74は、前縁77と、後縁78とを含む。
【0027】
内側側壁80は、タービンセクションの内部に外接する表面82と、表面82から半径方向外方に突出する複数の翼形部形状の延長部84とを含む。各翼形部形状の延長部84は、対応するCMCノズルシェル70のキャビティ75内に適合するサイズおよび形状である。機械的留め具90は、内側側壁80を金属桁50に固定し、外側側壁60と内側側壁80との間にCMCノズルシェル70を捕捉するために使用される。
【0028】
セラミックマトリックス複合材ノズルシェル70の製造プロセスは、典型的には、金属ベーンを作製するために使用される従来のインベストメント鋳造技術と同じように、翼形部形状の本体74を製造プロセス中に一部品として一次内側ノズルプラットフォーム76および一次外側ノズルプラットフォーム72と一体化することを伴う。しかしながら、ノズルシェル70の詳細な幾何学的形状と、本体74と一次ノズルプラットフォーム72、76との間の接合部における応力を低減する必要性は、CMC構成要素を設計、製造、およびタービン用途向けの手頃な生産可能な設計に一体化することへの課題をもたらす。
【0029】
CMCノズルシェルを製造する1つの方法は、溶融浸透(MI)プロセスとして知られる方法である。MIプロセスを使用した製造方法の1つでは、CMCは、炭化ケイ素(SiC)含有繊維を含む「プリプレグ」プライを使用して生産され、各プリプレグプライは、所望の強化材料、CMCマトリックス材料の前駆体、および1つまたは複数のバインダを含むテープ状の構造の形態である。「プライ」という用語が本明細書で使用されるとき、特に明記しない限り、プリプレグ、繊維強化プライを記述するものとして理解されるべきである。「炭化ケイ素含有繊維」という用語は、炭化ケイ素を含み、好ましくは実質的に炭化ケイ素である組成を有する繊維を指す。例えば、繊維は、炭素で囲まれた炭化ケイ素コアを有してもよく、逆に、炭化ケイ素で囲まれたまたはカプセル化された炭素コアを有してもよい。「マトリックスプライ」は、CMCマトリックス材料の前駆体と1つまたは複数のバインダで作製されたテープ状の構造を指し、繊維強化材料は省略されている。
【0030】
2つのプリプレグプライを使用して複合材プライ110(
図3、
図7、および
図8に示す)を生産することができ、この場合、1つのプライ112は、第1の方向に配向された(例えば、ノズルシェル70の長手方向軸に平行な0度で)一方向繊維を有し、1つのプライ114は、第1の方向を横断する第2の方向に配向された(例えば、0度繊維に垂直な90度で)一方向繊維を有する。任意選択で、複合材プライ110は、0度プライ112の0度繊維に対して+30度~-30度の配向の繊維を有するプライなど、他の配向の繊維を含有するプライ111を含んでもよい。
【0031】
図3は、本開示の一態様による、CMCノズルシェル70および翼形部形状の本体プリフォーム74を生産するために使用される構成要素を示す。CMCノズルシェル70は、一次外側ノズルプラットフォーム72と、一次内側ノズルプラットフォーム76と、それらの間に延びる翼形部形状の本体プリフォーム74とを含む。
【0032】
具体的には、翼形部形状の本体プリフォーム74は、外側プラットフォームプライ100a、100b、…100nとして個々にラベル付けされる、第1の(外側)組のプラットフォームプライ100と、そのうちの1つが0度プライ112、90度プライ114、ならびに0度および90度以外の配向の繊維を有する任意の第3のプライ111を含むように示されている、一組の複合材ラッププライ110と、内側プラットフォームプライ120a、120b、…120nとして個々にラベル付けされる、第2の(内側)組のプラットフォームプライ120とを含む。外側プラットフォームプライ100は、二次外側ノズルプラットフォーム172を画定し、内側プラットフォームプライ120は、二次内側ノズルプラットフォーム176を画定する(
図10に示すように)。外側プラットフォームプライ100は、キャビティ75のサイズおよび形状に対応する、貫通する開口部102を画定する。同様に、内側プラットフォームプライは、キャビティ75のサイズおよび形状に対応する、貫通する開口部122を画定する。
【0033】
様々な数のプライ100、110、および120を使用し、一体化された二次外側ノズルプラットフォーム172および一体化された二次内側ノズルプラットフォーム176を含む、翼形部本体プリフォーム74を生産することができる。具体的には、組の複合材プライ110の複合材ラッププライの数は、設計の必要性に応じて変化し得る。複合材プライ110の1つの例示的な範囲は、5プライ~25プライであり得る。プラットフォームプライ100、120の数「n」は、設計の必要性に応じて変化し得るが、二次外側ノズルプラットフォーム172および二次内側ノズルプラットフォーム176の各々において3~10の範囲であり得る。一実施形態では、二次内側ノズルプラットフォーム176の内側プラットフォームプライ120の数は、二次外側ノズルプラットフォーム172の外側プラットフォームプライ100の数に等しい。
【0034】
以下のさらなる説明から明らかなように、プラットフォームプライ100、120の数は、一次外側ノズルプラットフォーム72および一次内側ノズルプラットフォーム76のプラットフォームプライの数を補うものである(
図11により詳細に示される)。
【0035】
複合材ラッププライ110に加えて、翼形部形状の本体プリフォーム74は、
図6に示すように、内部プリフォーム160をさらに含む。
図4に示すように、コアプリフォーム138は、CMCノズルシェル70の内部キャビティ75を画定するためにツールまたはモールド145の周りに円周方向に巻き付けられる、一組のコアプライ140によって画定される(
図6に示すように)。ツール145は、翼形部形状の本体74の前縁77に対応する幅広の端部147と、後縁インサート180と相互作用する幅狭の端部148とを有する(
図5に示す)。最も内側のコアプライ141は非強化マトリックスプライであり、残りのコアプライ140は繊維強化されている。コアプライ140の継ぎ目は、キャビティ75の周囲の周りにほぼ均一な厚さを達成するために互い違いにされてもよい。
【0036】
後縁インサート180は、所望の翼形部形状を補うようにコアプライ140の幅狭の端部に位置決めされる。後縁インサート180は、V字形の断面プロファイルを画定するように積み重ねられる多数の繊維強化プライ182を含む。所望であれば、後縁インサート180を形成するプライ182は、交互の繊維配向で積み重ねられてもよい。積層後、後縁インサート180は、本明細書でさらに説明されるように、熱減量およびグリーン加工され得る。
【0037】
図6に示すように、複合材ラッププライ110は、正圧(凹面)側の翼形部形状のプリフォーム74の後縁(78)から負圧(凸面)側のプリフォーム74の後縁78まで(またはその逆)コアプライ140および後縁インサート180の周りに円周方向に巻き付けられる。
図6は2つの例示的な複合材ラッププライ110を示すが、3つ以上の複合材ラッププライ110が典型的には使用されることを理解されたい。各複合材ラッププライ110は、少なくとも1つの0度プライ112と、少なくとも1つの90度プライ114とを含む。
【0038】
翼形部本体プリフォーム74の最も外側の表面は、所望のセラミックマトリックス材料の適切な前駆体を含むが、コアプライ140および複合材ラッププライ110に見られる強化繊維を除外する1つまたは複数のマトリックスプライ150(
図10に示す)によって生産される。非強化マトリックスプライ(1つまたは複数)150は、構築プロセスの完了中に翼形部プリフォーム74の表面で補強繊維を保護する。
【0039】
図7に示すように、上述の複合材プライ110は、0度プライ112および90度プライ114を含み、これらは各々、一般に長方形であり、長さ212、およびそれぞれ長さ212未満の幅222、274を有する。0度プライ112は、外側長手方向縁部142と、内側長手方向縁部146とを有し、幅222は、長手方向縁部142、146の間に画定される。90度プライ114は、外側長手方向縁部152と、内側長手方向縁部156とを有し、幅274は、長手方向縁部152、156の間に画定される。
【0040】
各0度プライ112の幅222は、翼形部形状の本体プリフォーム74(
図3に示す)の高さ174よりも大きく、各90度プライ114の幅274よりも大きい。各90度プライ114の幅274はまた、翼形部形状の本体プリフォーム74の高さ174よりも大きいが、0度プライ112の幅222よりも小さくてもよい。複合材プライ110で使用される0度プライ112の幅222は変化してもよく、すなわち、翼形部形状の本体プリフォーム74の長手方向軸170の近くに半径方向に配置される0度プライ112は、プリフォーム74の外側表面に向かって半径方向に配置される0度プライ112よりも広くてもよい。
【0041】
以下でさらに説明するように、0度プライ112および90度プライ114と外側および内側プラットフォームプライ100、120との交互配置を容易にするために、0度プライ112の長手方向縁部142、146および90度プライ114の長手方向縁部152、156は、所定のパターンに従って切断される。0度プライ112および90度プライ114に対する切断は、翼形部形状のプリフォーム74の長手方向軸170に実質的に垂直かつそこから離れる方向に複合材層で折り畳まれるプライフィンガ118、158を生産し、各個々の複合材プライ110の隣接するフィンガ118の重なりがほとんどまたは全くない周囲をキャビティ75の周りに形成する。場合によっては、湾曲したキャビティ75の正圧側および負圧側の周りに折り畳まれたときにフィンガ118、158が確実に平らになるように、長手方向縁部142、146、152、156から材料116を除去する必要がある。
【0042】
0度プライ112の中心パネル113は、所望の幅を有するフィンガ118を生産するのに十分な余裕を持って長手方向縁部142と長手方向縁部146との間に配置される。
図8に示すように、予め切断されたフィンガ158を有する90度プライ114は、90度プライ114の中心部分が0度プライ112の中心パネル113と位置合わせされて複合材ラッププライ110を画定するように、予め切断されたフィンガ118を有する0度プライ112と積み重ねられ得る。紙または箔ストリップを使用し、フィンガ118、158が置かれるときまで、1つの複合材ラッププライ110の切断されたフィンガ118、158を互いにおよび/または隣接する複合材ラッププライ110の切断されたフィンガ118、158から分離することができる。
【0043】
複合材ラッププライ110(そのうちの1つが
図9に複合材ラッププライ110aとして示されている)は、翼形部形状の本体74を越えて延び、翼形部形状のプリフォーム74の二次外側ノズルプラットフォーム172および二次内側ノズルプラットフォーム176に組み込まれるフィンガ118、158(
図10に示すように)に切断される長手方向縁部(例えば、142、152)を有する。複合材プライ110aは、キャビティ75の内部を画定するコアプライ140(
図10に示す)の周りに巻き付き、フィンガ118a、158aは、翼形部形状の本体74の正圧側および負圧側の湾曲形状に適合するように長手方向軸170を横断し、かつそこから離れる方向に折り畳まれる。場合によっては、隣接するフィンガ118a、158aの間の材料116aが除去され、その結果、フィンガ118a、158aは、外側プラットフォームプライ100aに対してより平らにすることができるようになる。
【0044】
複合材プライ110aのすべてのフィンガ118a、158aが折り畳み込まれると、フィンガ118a、158aによって覆われていない外側プラットフォームプライ100aの角にいくつかの領域が存在し得る。これらの領域では、後続の外側プラットフォームプライ100bの適用および別の0度プライ112(例えば、112b、この図には図示せず)のフィンガ118、158を折り畳み込む前に均一な厚さの層を作成するために、フィラーパネル130を含むことが望ましい。フィラーパネル130は、除去された材料116aで、または0度プライ112aと同じまたは異なる繊維配向を有する追加の繊維強化プライから作製されてもよい。
【0045】
外側プラットフォームプライ100aは、外側プラットフォームプライ100bと同じまたは異なる繊維配向を有してもよい。一実施形態では、外側プラットフォームプライ100aは、0度に配向した繊維を有してもよく、一方、外側プラットフォームプライ100bは、90度(または他の非ゼロ角度)に配向した繊維を有してもよい。外側プラットフォームプライ100の繊維配向は、層ごとに変化し得る。加えて、複合材ラッププライ110の折り畳まれたフィンガ118、158の間に挿入するための単一の外側プラットフォームプライ100が示されているが、必要に応じて、異なる数(例えば、2つ以上)の外側プラットフォームプライ100が複合材ラッププライ110の折り畳まれたフィンガ118、158の間に共に挿入されてもよいことを理解されたい。
【0046】
複合材ラッププライ110のフィンガ118、158を折り畳み、フィラーパネル130を位置決めし、次いで外側プラットフォームプライ100を適用するプロセスは、すべての複合材ラッププライ110が折り畳まれるまで続く。同様に、内側ノズルプラットフォーム176用の内側プラットフォームプライ120を用いてプロセスが繰り返される。
【0047】
複合材ラッププライ110のフィンガ118、158の折り畳みは、単一の複合材ラッププライ110のフィンガ118、158が隣接するプラットフォームプライ100(または120)の間に配置されるように、0度フィンガ118と90度フィンガ158を一致させて折り畳むことを伴うものとして説明されている。しかしながら、所望であれば、個々の複合材ラッププライ110の0度フィンガ118および90度フィンガ158は、中間に位置決めされたプラットフォームプライ100(または120)によって分離されてもよいことを理解されたい。この構成では、プラットフォームプライ100、120の数は、各複合材プライ110のフィンガ118、158が同時に折り畳まれる実施形態で使用されるプラットフォームプライ100、120の数よりも多くなる。
【0048】
翼形部形状の本体プリフォーム74の一部の断面が
図10に示されている。コアラップ140は、翼形部形状の本体プリフォーム74の長手方向軸170の半径方向外方に配置される。本体は、交互の複合材ラッププライ110(90度プライ114および0度プライ112で作製される)(例えば、110a、110b、110c)を含み、その長手方向縁部142、152は、長手方向軸170に対して横方向に折り畳まれるフィンガ118、158に切断されている。フィンガ118、158および任意の必要なフィラーパネル130は、外側プラットフォームプライ100(例えば、100a、100b、100c)の間に交互配置され、翼形部形状の本体74と一体の二次外側ノズルプラットフォーム172を形成する。
【0049】
同様に、フィンガ118、158および任意の必要なフィラーパネル130は、内側プラットフォームプライ120(例えば、120a、120b、120c)の間に交互配置され、二次外側ノズルプラットフォーム172の反対側の翼形部形状の本体74と一体の二次内側ノズルプラットフォーム176を形成する。非強化マトリックスプライ150は、翼形部形状の本体プリフォーム74の外部に滑らかな表面を形成する。プライ112、114がツールに適用されると、プライ112、114は、翼形部形状の本体74と二次外側ノズルプラットフォーム172および二次内側ノズルプラットフォーム176の各々との間に丸みを帯びた角度を形成する凹面フィレット(図示せず)を生産する。
【0050】
必要に応じて、追加の繊維強化プライ(図示せず)を巻き上げて長い「ヌードル」にし、巻き上げられた「ヌードル」プライが複合材ラッププライ110とプラットフォームプライ100、120との間の空隙内、または任意の他の空隙の場所に配置されるように、翼形部形状の本体プリフォーム74の周囲の周りに円周方向に巻き付けることができる。
【0051】
従来の翼形部形状の本体プリフォームでは、90度プライは切り取られ、二次ノズルプラットフォームに組み込むために折り重ねられない。むしろ、0度プライのみが、翼形部形状の本体プリフォームの翼形部部分とプラットフォーム部分との間の接合部の強化層として使用される。その結果、結果として生じるCMCノズルシェルは、接合部で脆弱化したり亀裂を生じる傾向があり得る。
【0052】
対照的に、本明細書に記載の本実施形態は、0度プライ112と90度プライ114の両方をプラットフォームプライ100、120と折り畳んで交互配置し、それによって翼形部形状の本体プリフォーム74と後続のCMCノズルシェル70の接合部を強化する。
【0053】
図11は、CMCノズルシェル70の部分断面図を示し、一次外側ノズルプラットフォーム72および一次内側ノズルプラットフォーム76は、その一体の二次外側ノズルプラットフォーム172および一体の二次内側ノズルプラットフォーム176と共に翼形部形状の本体プリフォーム74に接合される。一次外側ノズルプラットフォーム72および一次内側ノズルプラットフォーム76は各々、積み重ねられた組の繊維強化プラットフォームプライ202、204から形成される。各プラットフォームプライ202、204は、(外側プラットフォームプライ100および内側プラットフォームプライ120と同様に)CMCノズルシェル70のキャビティ75を囲む開口部を内部に含む。一次外側ノズルプラットフォーム72は、一次内側ノズルプラットフォーム76と同じ数のプラットフォームプライ202、204を有することができる。一実施形態では、合計10~20個のプラットフォームプライが外側ノズルプラットフォーム72および内側ノズルプラットフォーム76の各々に使用され、プライ202(第1の方向の繊維で強化された)とプライ204(第2の横方向の繊維で強化された)の任意の組合せを含む。
【0054】
プラットフォームプライ202は、第1の繊維配向を有してもよく、一方、プラットフォームプライ204は、第1の繊維配向を横断する第2の繊維配向を有してもよい。一実施形態では、プラットフォームプライ202およびプラットフォームプライ204は、互いに90度オフセットして配置される繊維を有することができる。プラットフォームプライ202、204は、交互にまたはパターン状に配置されてもよい。
【0055】
一次外側ノズルプラットフォーム72および一次内側ノズルプラットフォーム76は、それぞれのプラットフォームプライ202、204が積み重ねられた後に減量およびグリーン加工される。
【0056】
図12Aおよび12Bは、本開示による、CMCノズルシェル70の構成要素を製造し、CMCノズルシェル70を組み立てるためのプロセス300を定義する。ステップ310において、1つまたは複数のマトリックスプライ150は、CMCノズルシェル70の外側形状を画定するツール(図示せず)の周りに円周方向に配置される。マトリックスプライ150は、繊維強化複合材プライ110、外側プラットフォームプライ100、および内側プラットフォームプライ120上に滑らかな保護表面を提供する1つまたは複数の層を画定してもよい。
【0057】
ステップ320は、後縁プリフォーム180、内側ノズルプラットフォームプリフォーム76、および外側ノズルプラットフォームプリフォーム72を含む、CMCノズルシェル70を生産するために使用されるいくつかのプリフォーム構造の生産を定義する。
【0058】
ステップ322において、後縁(TE)プリフォーム180(
図5に示す)が組み立てられ、これはコアおよび後縁プリフォーム160(
図6参照)の一部として組み込まれる。後縁プライ182は、コアプライ140に結合されるV字形の後縁プリフォーム180を画定するように共に積み重ねられてもよい。積み重ねられた後縁プライ182は、コアプライ140と結合される前に減量およびグリーン加工され得る。
【0059】
ステップ324において、内側ノズルプラットフォーム76は、複数のプラットフォームプライ202、204を互いに積み重ねることによって生産される。プラットフォームプライ202、204は、一方向繊維強化プライであってもよく、プラットフォームプライ202の繊維配向は、プラットフォームプライ204の繊維配向を横断してもよい。一実施形態では、プラットフォームプライ202の繊維は、プラットフォームプライ204の繊維に垂直であってもよい。プラットフォームプライ202、204は、交互のパターン(例えば、202-204-202-204など)で積み重ねられてもよく、または何らかの他のパターン(例えば、202-202-204-202-202-204など)で積み重ねられてもよい。
【0060】
ステップ326において、外側ノズルプラットフォーム72は、複数のプラットフォームプライ202、204を互いに積み重ねることによって生産される。プラットフォームプライ202、204は、一方向繊維強化プライであってもよく、プラットフォームプライ202の繊維配向は、プラットフォームプライ204の繊維配向を横断してもよい。一実施形態では、プラットフォームプライ202の繊維は、プラットフォームプライ204の繊維に垂直であってもよい。プラットフォームプライ202、204は、交互のパターン(例えば、202-204-202-204など)で積み重ねられてもよく、または何らかの他のパターン(例えば、202-202-204-202-202-204など)で積み重ねられてもよい。
【0061】
外側ノズルプラットフォーム72および内側ノズルプラットフォーム76を形成するプラットフォームプライ202、204が積み重ねられると、積み重ねられたプライ202、204は、減量および「グリーン加工」され得、プライ202、204は、ほぼ所望の最終形状に機械加工される。グリーン加工は、当技術分野で知られているように、切断、フライス加工、および研削を含み得る。プラットフォーム72、76は、剛性化および高密度化する前に「グリーン」状態で機械加工する方が容易である。
【0062】
ステップ310、322、324、および326は、任意の順序で実行されてもよい。有利には、これらのステップ310、322、324、および326は、製造時間を短縮するために同時に実行され得る。
【0063】
ステップ330において、コアプライ140は、ツール145(
図4に示す)の周りに円周方向に巻き付けられてCMCノズルシェル70のキャビティ75を画定する。コアプライ140は、各プライ140の縁部が互いに円周方向にオフセットされ、それによってキャビティ75の周りに均一な厚さを提供するように互い違いにされてもよい。最も内側のコアプライ140は、繊維のないマトリックスプライであってもよい。後縁インサート180は、ツール145の狭い端部および巻き付けられたコアプライ140と位置合わせされ、それによってコアおよび後縁プリフォーム160を形成する。
【0064】
ステップ340は、その一体の外側および内側ノズルプラットフォーム172、176を有する翼形部形状の本体74の生産をもたらす。ステップ342において、0度プライ112および90度(または横断)プライ114を含む複合材ラッププライ110は、コアおよび後縁プリフォーム160の周りに円周方向に巻き付けられて翼形部形状の本体プリフォーム74の本体を画定する。複合材ラッププライ110は、交互配置の0度プライ112と90度(または横断)プライ114を生産するように適用される。0度プライ112の長手方向縁部142、146および90度プライ114の長手方向縁部152、156は、所定のパターンに従って予め切断され、プラットフォームプライ120と交互配置されて一体の内側ノズルプラットフォーム176を形成し(ステップ344)、プラットフォームプライ100と交互配置されて一体の外側ノズルプラットフォーム172を形成する(ステップ346)フィンガ118、158を生産する。上述のように、フローチャートには特に記載されていないが、フィンガ118、158によって覆われていないプラットフォームプライ100または120の領域は、コアプライ140から折り畳まれたとき、フィラーパネル130で覆われてもよい。ステップ344および346は、どちらの順序で実行されてもよい。翼形部形状の本体プリフォーム74は、ステップ350の前に、必要に応じて減量および/またはグリーン加工されてもよい。
【0065】
ステップ350において、翼形部形状の本体プリフォーム74は、外側ノズルプラットフォーム72(ステップ326で形成)および内側ノズルプラットフォーム76(ステップ324で形成)に接合される。ステップ352において、外側ノズルプラットフォーム72は、翼形部形状の本体プリフォーム74の一体の外側ノズルプラットフォーム172に接合される。ステップ354において、内側ノズルプラットフォーム76は、翼形部形状の本体プリフォーム74の一体の内側ノズルプラットフォーム176に接合される。ステップ352および354は、どちらの順序で実行されてもよい。
【0066】
次いで、剛性化プロセスのためのコールシート(図示せず)または他の既知のツール構成要素は、剛性化の準備として非剛性化CMCノズルシェル70の表面に適用することができる(ステップ360)。コールシートはゴム状であり、剛性の工具よりも高速で膨張するため、コールシートはオートクレーブサイクル中に圧力を適用するのに有用である。コールシートは、剛性の工具によってブロックされる領域で複合材構成要素に圧縮力を提供し、所望の幾何学的形状を有する高密度化された複合材の形成を可能にする。「非剛性化」(およびその文法的同等物)という用語は、全く剛性化されていないか、または少なくとも、剛性化が実質的ではない点まで部分的に剛性化されている対象物を説明する。
【0067】
次に、非剛性化ベーンプリフォームを剛性化し、プリプレグプライの可塑剤を圧縮および硬化することができる(ステップ370)。構成要素は、昇温昇圧でオートクレーブ内で剛性化することができる。そのように限定されないが、構成要素は、約200℃~約400℃の温度および約50psig~約300psigの圧力で剛性化されてもよい。追加的または代替的に、剛性化は、硬化(例えば、加熱による)、圧縮成形、ブラダ成形、またはCMCノズルシェル70を堅牢化する他の適切な方法を含むことができる。
【0068】
「部分的に剛性化する」(およびその文法的同等物)という用語は、検出可能な点まで剛性化するが、完全に剛体化される点まで剛性化しないことを含む。「完全に剛性化された」という用語は、対象物が所望の終了点に剛性化される点まで剛性化することを含む。剛性化するという用語は、近接する用語間で一部重複する階層を形成する。たとえば、非剛性化、部分的に剛性化された、および完全に剛性化されたという用語は、剛性化の量の増加を表す(一部重複する)。
【0069】
「共剛性化する」(およびその文法的同等物)という用語は、実質的に同時に剛性化すること、または少なくとも、2つの対象物が剛性化される重複期間を含む。共剛性化により、翼形部74、外側ノズルプラットフォーム72、および内側ノズルプラットフォーム76の間の連結の強化によって提供されると考えられる追加の強度(理論によって制限されることを意図しないが)を有する実質的に連続したマトリックス相を生産することができる。
【0070】
例示的な実施形態では、翼形部本体74、外側ノズルプラットフォーム72、および内側ノズルプラットフォーム76を含むプリフォームは、最初の部分的剛性化と後続の剛性化で共剛性化することができる。すべての実施形態において、剛性化が実質的に完了すると、剛性化されたベーンプリフォームが形成される。
【0071】
剛性化後、構成要素は、バーンアウトまたはガス抜きステップを受ける場合がある(フローチャートには別々に含まれない)。このステップでは、可塑剤などの有機成分が炭素に変換される。
【0072】
次に、剛性化されたベーンプリフォームは、1つまたは複数のステップで高密度化される(ステップ380)。例えば、ベーンプリフォームは、(当技術分野で知られている)炭素含有スラリーを剛性化されたベーンプリフォームの多孔部に導入することによって部分的に高密度化することができ、(当技術分野で知られている)溶融浸透プロセスを経て、少なくともケイ素、あるいはホウ素ドープケイ素でさらに高密度化されて仕上げられたCMCノズルシェル70を形成することができる。
【0073】
本開示による構成要素を形成するための他の技術は、ポリマー浸透および熱分解(「PIP」)を含む。このプロセスでは、炭化ケイ素繊維プリフォームにポリシラザンなどのプレセラミックポリマーを浸透させ、次に熱処理してSiCマトリックスを形成する。あるいは、構成要素は、酸化物/酸化物プロセスを含んでもよい。このタイプの処理では、アルミニウムまたはアルミノケイ酸塩繊維をプリプレグし、その後、予め選択された幾何学的形状に積層し、続いて加熱してセラミックマトリックスを形成することができる。構成要素は、炭素繊維強化炭化ケイ素マトリックス(C/SiC)CMCから構築することもできる。C/SiC処理は、予め選択された幾何学的形状での炭素繊維状プリフォームをレイアップすることを含む。SiC/SiCのスラリーキャスト法で利用されるように、ツールは、グラファイト材料で作製されてもよい。繊維状プリフォームが約1200℃の化学蒸気浸透プロセス中に工具によって支持されることで、C/SiC CMC構成要素が形成される。
【0074】
その後、CMCノズルシェル70を機械加工し(ステップ390)、所望の最終幾何学的形状を提供することができる。この実施形態では、外側壁および内側ノズルプラットフォーム72、76は、SiC被覆繊維およびポリマーベースのマトリックスを含むことができる。必要に応じて、低融点合金、機械加工用ワックス、および/または高分子材料などの材料を使用し、プラットフォーム72、76をカプセル化することができる。一部の機械加工液に存在する汚染物質の吸着を避けるために、CMCノズルシェル70は、機械加工中に水で冷却される。切断および/または研削方向は、繊維状材料が引き裂かれるのを避けるために予め決定され得る。表面における繊維の剥離または除去の形でのCMCノズルシェル70への損傷を避けるために、切断および/または研削速度も予め決定され得る。
【0075】
本CMCノズルシェルの例示的な実施形態およびCMCノズルを製造するためのプロセスは、上記で詳細に説明されている。本明細書に記載の方法および構成要素は、本明細書に記載の具体的な実施形態に限定されるものではなく、むしろ、方法および構成要素の態様は、本明細書に記載の他の構成要素から独立してかつ別々に利用することが可能である。例えば、本明細書に記載の方法および構成要素は、本明細書に記載のように、発電用ガスタービンのタービンノズルを用いた実施に限定されない他の用途を有することができる。むしろ、本明細書に記載の方法および構成要素は、様々な他の産業において実施および利用することが可能である。
【0076】
技術的進歩を様々な具体的な実施形態に関して説明してきたが、当業者であれば、技術的進歩を特許請求の範囲の趣旨および範囲内において修正を加えて実施することができることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0077】
10 ガスタービン
12 入口セクション
14 圧縮機セクション
16 燃焼セクション
18 タービンセクション
20 排気セクション
21 発電機
22 シャフト
24 空気
26 空気
28 燃料
30 燃焼ガス
40 静止タービンノズル
50 金属桁
52 装着フランジ
54 本体
60 外側側壁
62 装着棚
64 開口部
66 表面
70 セラミックマトリックス複合材(CMC)ノズルシェル
72 一次外側ノズルプラットフォーム、外側ノズルプラットフォームプリフォーム
74 翼形部形状の本体、翼形部形状の本体プリフォーム、翼形部プリフォーム、翼形部本体プリフォーム、翼形部、翼形部本体
75 キャビティ
76 一次内側ノズルプラットフォーム、内側ノズルプラットフォームプリフォーム
77 前縁
78 後縁
80 内側側壁
82 表面
84 翼形部形状の延長部
90 機械的留め具
100 外側プラットフォームプライ
100a 外側プラットフォームプライ
100b 外側プラットフォームプライ
100c 外側プラットフォームプライ
100n 外側プラットフォームプライ
102 開口部
110 複合材ラッププライ
110a 複合材ラッププライ
110b 複合材ラッププライ
110c 複合材ラッププライ
111 第3のプライ
112 0度プライ
112a 0度プライ
112b 0度プライ
113 中心パネル
114 90度プライ
116 材料
116a 除去された材料
118 プライフィンガ
118a フィンガ
120 内側プラットフォームプライ
120a 内側プラットフォームプライ
120b 内側プラットフォームプライ
120c 内側プラットフォームプライ
120n 内側プラットフォームプライ
122 開口部
130 フィラーパネル
138 コアプリフォーム
140 コアプライ、コアラップ
141 最も内側のコアプライ
142 外側長手方向縁部
145 ツール、モールド
146 内側長手方向縁部
147 幅広の端部
148 幅狭の端部
150 非強化マトリックスプライ
152 外側長手方向縁部
156 内側長手方向縁部
158 プライフィンガ
158a フィンガ
160 内部プリフォーム、後縁プリフォーム
170 長手方向軸
172 二次外側ノズルプラットフォーム
174 高さ
176 二次内側ノズルプラットフォーム
180 後縁プリフォーム、後縁インサート
182 後縁プライ、繊維強化プライ
202 繊維強化プラットフォームプライ
204 繊維強化プラットフォームプライ
212 長さ
222 幅
274 幅
300 プロセス
A 軸
C 軸
R 軸