(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】血管閉塞物捕捉装置のための継手アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
A61B17/22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019181891
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-09-12
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダン・ケーシー
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ベイル
(72)【発明者】
【氏名】メーブ・ホリアン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・フェイ
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0135826(US,A1)
【文献】特表2013-542758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体及び拡大端部を備えるシャフトと、
スロットを備える近位ストラットであって、該スロットが該シャフトの該拡大端部に係合する、近位ストラットと、
近位面及び遠位面を備え、かつ該シャフトの該拡大端部及び該近位ストラットの該スロットを少なくとも部分的に覆う係止カラーと、を備
え、
前記係止カラーが、第1の側面及び第2の側面を備え、第1のスリットが、前記係止カラーの前記遠位面から該係止カラーの該第1の側面の少なくとも一部分まで形成され、第2のスリットが、該係止カラーの該遠位面から該係止カラーの該第2の側面の少なくとも一部分まで形成されている、血管内装置用の継手アセンブリ。
【請求項2】
本体及び拡大端部を備えるシャフトと、
スロットを備える近位ストラットであって、該スロットが該シャフトの該拡大端部に係合する、近位ストラットと、
近位面及び遠位面を備え、かつ該シャフトの該拡大端部及び該近位ストラットの該スロットを少なくとも部分的に覆う係止カラーと、を備え、
前記係止カラーが、第1の側面及び第2の側面を備え、第1のスリットが、前記係止カラーの前記遠位面から該係止カラーの前記第1の側面の少なくとも一部分まで形成され、多角形開口部が、該係止カラーの前記第2の側面に形成されている、血管内装置用の継手アセンブリ。
【請求項3】
前記拡大端部の少なくとも一部分が、前記近位ストラット
の前記スロット内に受容されている、請求項1
又は2に記載の継手アセンブリ。
【請求項4】
前記シャフトの前記拡大端部が、前記シャフトの前記本体と共にシャフト段差を画定する、請求項1
又は2に記載の継手アセンブリ。
【請求項5】
前記係止カラーが概ね円筒形である、請求項1
又は2に記載の継手アセンブリ。
【請求項6】
前記係止カラーが概ね楕円筒形である、請求項1
又は2に記載の継手アセンブリ。
【請求項7】
前記近位ストラットが、前記近位ストラット
の前記スロットの代わりに十字形部材を含む、請求項1
又は2に記載の継手アセンブリ。
【請求項8】
前記第1のスリット及び前記第2のスリットがテーパ状である、請求項
1に記載の継手アセンブリ。
【請求項9】
前記継手アセンブリが、血塊係合部分と細長いシャフトとの間で、血管内装置に一体的に接合されている、請求項1
又は2に記載の継手アセンブリ。
【請求項10】
前記係止カラーが、前記シャフトの前記拡大端部及び前記近位ストラットの前記スロットを少なくとも部分的に覆うとき、該係止カラーが、該近位ストラットを拘束して、これにより、該継手アセンブリが血塊回収装置内に搭載されかつ該血塊回収装置が負荷下にあるときに、該近位ストラット
の前記スロットが該シャフトの該拡大端部から係合が外れないようになる、請求項1
又は2に記載の継手アセンブリ。
【請求項11】
継手アセンブリを組み立てる方法であって、
本体及び拡大端部を備えるシャフトと、該シャフトの該拡大端部に係合するスロットを備える近位ストラットと、近位面及び遠位面を備え、かつ該シャフトの該拡大端部及び該近位ストラットの該スロットに係合する係止カラーと、を提供する工程と、
該係止カラーを該シャフトの該本体上に摺動させる工程と、
該近位ストラットの少なくとも一部分を、該シャフトの該拡大端部の近くに位置決めする工程と、
該シャフトの該拡大端部及び該近位ストラットの該スロットを少なくとも部分的に覆うように、該
係止カラーを再配置する工程と、
を含
み、
前記係止カラーが、第1の側面及び第2の側面を備え、第1のスリットが、前記係止カラーの前記遠位面から該係止カラーの該第1の側面の少なくとも一部分まで形成され、第2のスリットが、該係止カラーの該遠位面から該係止カラーの該第2の側面の少なくとも一部分まで形成されている、方法。
【請求項12】
継手アセンブリを組み立てる方法であって、
本体及び拡大端部を備えるシャフトと、該シャフトの該拡大端部に係合するスロットを備える近位ストラットと、近位面及び遠位面を備え、かつ該シャフトの該拡大端部及び該近位ストラットの該スロットに係合する係止カラーと、を提供する工程と、
該係止カラーを該シャフトの該本体上に摺動させる工程と、
該近位ストラットの少なくとも一部分を、該シャフトの該拡大端部の近くに位置決めする工程と、
該シャフトの該拡大端部及び該近位ストラットの該スロットを少なくとも部分的に覆うように、該係止カラーを再配置する工程と、
を含み、
前記係止カラーが、第1の側面及び第2の側面を備え、第1のスリットが、前記係止カラーの前記遠位面から該係止カラーの前記第1の側面の少なくとも一部分まで形成され、多角形開口部が、該係止カラーの前記第2の側面に形成されている、方法。
【請求項13】
前記係止カラーが再配置されるとき、前記係止カラーが、前記シャフトの前記拡大端部及び前記近位ストラットの前記スロットを少なくとも部分的に包囲する、請求項
11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記近位ストラットが、前記近位ストラット
の前記スロットの代わりに十字形部材を更に含む、請求項
11又は12に記載の方法。
【請求項15】
前記十字形部材が
前記係止カラーと係止係合する、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記継手アセンブリを、血塊係合部分と細長いシャフトとの間で血管内装置に一体的に接合することを更に含む、請求項
11又は12に記載の方法。
【請求項17】
前記係止カラーが再配置されるとき、前記
係止カラーが前記近位ストラットを拘束し、これにより、前記継手アセンブリが血塊回収装置内に搭載されかつ該血塊回収装置が負荷下にあるときに、該近位ストラット
の前記スロットが前記シャフトの前記拡大端部から係合が外れないようになる、請求項
11又は12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に血管内装置及び方法に関し、より詳細には、血管閉塞物を除去するために使用される血管内装置の構成要素として使用することができる血管内継手アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の臨床研究では、機械的血栓除去術が、血管から急性閉塞物を除去する効果的な方法であることがますます明らかになっている。急性の閉塞物としては、血塊、誤配置された装置、移動された装置、大きな塞栓などを挙げることができる。虚血性脳卒中は、脳の血管系内に閉塞物が詰まった場合に結果として生じ得る。肺塞栓症は、血塊などの閉塞物が静脈系で又は心臓の右側で発生し、かつ肺動脈又はその支脈内で詰まった場合に、結果として生じ得る。機械的血栓除去術は、典型的には、血栓除去装置又はステントリーバーを閉塞性血塊位置まで前進させることと、その血塊に係合させることと、近位側に配置されたガイド又はシースの安全装置内にその血塊を後退させることとを伴う。
【0003】
しかしながら、機械的血栓除去装置によって提供される利益があるものの、制限が存在する。例えば、装置構成要素上に過度の張力又は圧縮を生じさせ得る処置課題が数多く存在する。アクセスが大動脈弓を誘導することを伴う場合(冠状動脈閉塞又は脳閉塞など)、一部の患者における大動脈弓の形状は、ステントリーバーを位置付けることを困難にする。これらの困難な大動脈弓の形状は、II型又はIII型のいずれかの大動脈弓として分類され、III型大動脈弓が最も困難である。蛇行の問題は、脳に近づく動脈において更により深刻である。例えば、装置が、180°の屈曲、90°の屈曲、及び360°の屈曲を有する血管部分を数センチメートルの血管にわたって間断なく進まなければならないことは、内頸動脈の遠位端では珍しくない。曲がりくねった解剖学的構造を介して標的位置に装置を送達することによって、装置構成要素と、遠位部分とシャフトとの間の継手とに、圧縮負荷がかかる可能性がある。更に、血管内の閉塞物の変位力と、脈管構造の蛇行を通って回収することにより、継手に大きな引張負荷がかかる可能性がある。閉塞物をアクセスカテーテル内へ回収する際にも、装置構成要素及びシャフトの近位継手に大きな力がかかる可能性がある。
【0004】
これらの血管内装置は、多くの場合、血塊係合部を細長いシャフトに接続する継手アセンブリと共に一体的に形成され得る。これらのアセンブリは、接着剤若しくは溶接結合、又は接合部のはんだ付けに依存することができる。接着剤は、構成要素が正しい位置及び向きを維持することを確実にするために塗布することができるが、場合によっては、接合強度及び一体性を高めることが望ましいことがある。
図1に示すように、以前に開示されている継手アセンブリは、本体12及び拡大段差14を備えたシャフト10と、シャフト10に係合する近位ストラット18と、本体12の少なくとも一部分及び近位ストラット18の少なくとも一部を係合受容してアセンブリを定位置に係止する係止カラー16とを含み得る。しかしながら、
図2に示されるように、過度な張力がかかると、シャフトに対してかなりの引張応力を誘発することがあり、これにより近位ストラットは、シャフトの拡大段差から係合が外れ、拡大端部が変形することがある。これによって、閉塞物の除去中、又は曲がりくねった血管の屈曲部の周りで近位側に引っ張られるとき、ステントリーバー又は血栓除去装置の継手装置が外れることがあり、あるいは捕捉された血塊を逃してしまう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、患者から安全に回収するために、閉塞物を効果的に捕捉するのに十分な一体性を有する血管内装置の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の必要性に対処することができる本発明の様々な例示的装置が本明細書に開示されており、この装置は、一般にシャフト、近位ストラット、及び係止カラーを含み得る継手アセンブリであり得る。この継手アセンブリは、血塊係合部分と細長いシャフトとの間で、血管内装置に一体的に接合され得る。このようにして、この継手アセンブリは、継手アセンブリによって提供される増加した荷重支持を有する血管内装置の血塊係合部分によって閉塞物を捕捉することを可能にする。
【0007】
一実施例では、血管内装置用のこの継手アセンブリは、本体及び拡大端部を有するシャフトと、シャフトの拡大端部に係合するスロットを備える近位ストラットと、近位面及び遠位面を含み、かつシャフトの拡大端部及び近位ストラットのスロットを少なくとも部分的に覆う係止カラーと、を備え得る。いくつかの実施形態では、この拡大端部の少なくとも一部分は、近位ストラットスロット内に受容されている。いくつかの実施形態では、このシャフトの拡大端部は、シャフトの本体と共にシャフト段差を画定する。
【0008】
別の一実施例では、血管内装置用のこの継手アセンブリは、本体及び拡大端部を備えるシャフトと、シャフトの本体を受容するスロットを備える近位ストラットと、近位面、遠位面を有し、かつシャフトの拡大端部及び近位ストラットのスロットを少なくとも部分的に覆う係止カラーと、を含み得る。いくつかの実施形態では、この近位ストラットスロットは、第1の高さ及び第2の高さを含み得る。いくつかの実施形態では、このシャフトの本体は、第1の高さのところで近位ストラットスロットに挿入され、この拡大端部は、第2の高さのところで近位ストラットスロットに係合し、この近位ストラットスロットは、第2の高さから、かつ拡大端部から離れる方向に向かって下方に傾斜する。
【0009】
別の一実施例では、血管内装置用のこの継手アセンブリは、本体及び拡大端部を備えるシャフトと、十字形部材を有する近位ストラットと、近位面、遠位面を備え、かつシャフトの拡大端部及び近位ストラットのスロットを少なくとも部分的に覆う係止カラーと、を含み得る。いくつかの実施形態では、この十字形部材は、係止カラーの遠位面に係合する。
【0010】
別の一実施例では、この継手アセンブリを組み立てる方法は、本体及び拡大端部を備えるシャフトと、シャフトの拡大端部に係合するスロットを備える近位ストラットと、近位面及び遠位面を有し、かつシャフトの拡大端部及び近位ストラットのスロットを少なくとも部分的に覆う係止カラーと、を提供する工程と、この係止カラーをシャフトの本体上に摺動させる工程と、この近位ストラットの少なくとも一部分を、シャフトの拡大端部の近くに位置決めする工程と、シャフトの拡大端部及び近位ストラットのスロットを少なくとも部分的に覆うように、カラーを再配置する工程と、を含み得る。いくつかの実施形態では、係止カラーが再配置されるとき、カラーが近位ストラットを拘束し、これにより、継手アセンブリが血管内装置内に搭載されかつこの血管内装置が負荷下にあるときに、近位ストラットスロットがシャフトの拡大端部から係合が外れないようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の上述の態様及び更なる態様は、添付図面と共に以下の説明を参照することによって更に詳しく説明され、添付図面において、種々の図の同様の数字は同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することに主眼が置かれている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明のデバイスの1つ又は2つ以上の実装形態を描写している。
【
図1】例示的な先行技術の継手アセンブリの構成を示す。
【
図2】引張負荷下にある例示的な先行技術の継手アセンブリの構成を示す。
【
図3】本発明の例示的な継手アセンブリの斜視図である。
【
図4A】本発明の継手アセンブリの例示的な係止カラーの側面図及び端面図である。
【
図4B】本発明の継手アセンブリの例示的な係止カラーの側面図及び端面図である。
【
図5A】本発明の継手アセンブリの組み立て方法を示す。
【
図5B】本発明の継手アセンブリの組み立て方法を示す。
【
図5C】本発明の継手アセンブリの組み立て方法を示す。
【
図6A】本発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図6B】本発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図6C】本発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図6D】本発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図7A】発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図7B】発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図7C】発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図7D】発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図8A】本発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図8B】本発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図8C】本発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図9A】本発明の例示的な継手アセンブリの側面図である。
【
図9B】本発明の例示的な継手アセンブリの側面図である。
【
図10A】本発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図10B】本発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図10C】本発明の例示的な継手アセンブリの構成を示す。
【
図11】本発明の例示的な継手アセンブリの斜視図である。
【
図12A】血管内装置に一体的に形成された例示的な継手アセンブリの斜視図である。
【
図12B】血管内装置に一体的に形成された例示的な継手アセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の具体的な実施形態が、ここで図面を参照して詳細に説明されるが、同一の参照番号は、同一又は機能的に類似した要素を示す。用語「遠位」又は「近位」とは、以下の記載において、治療する医師に対する位置又は方向に関して使用される。「遠位」又は「遠位に」とは、医師から離れた位置又は医師から離れる方向である。「近位」又は「近位に」とは、医師に近い位置又は医師に向かう方向である。
【0013】
大脳、冠状動脈、及び肺静脈にアクセスすることは、多数の市販の製品及び従来の処置工程を使用することを伴う。ステントリーバー及び血栓除去装置などのアクセス製品は、他のところで記述されており、血管内処置において常用される。以下の記述において、これらの製品及び方法は、本発明の装置及び方法と併せて用いられることが想定され、そのことを詳細に説明する必要はない。
【0014】
以下の詳細な説明は、本質的に単に例示的なものであり、本発明又は本発明の用途及び使用を制限することを意図するものではない。本発明の説明は、多くの場合は血管閉塞の処置との関連におけるものであるが、本発明はまた、本明細書に記述されるようなその他の身体通路においても使用され得る。
【0015】
図3に示すように、継手アセンブリの一実施例は、シャフト100、近位ストラット120、及び係止カラー130を有し得る。近位ストラット120は、シャフトの遠位にあるが、ステントリーバーの近位端にある(
図12Aを参照)。いくつかの実施形態では、シャフト100は、本体110及び拡大端部112を含み得る。いくつかの実施形態では、近位ストラット120はスロット122を含み得る。いくつかの実施形態では、スロット122は、シャフト100の拡大端部112に係合することができる。いくつかの実施形態では、係止カラー130は、シャフト100の拡大端部112及び近位ストラット120のスロット122を少なくとも部分的に覆うことができる。いくつかの実施形態では、拡大端部112の少なくとも一部分は、近位ストラットスロット122内に受容されている。いくつかの実施形態では、シャフト100の拡大端部112は、シャフト100の本体110と共にシャフト段差を画定する。いくつかの実施形態では、近位ストラットは尾部124を更に含む。いくつかの実施形態では、近位ストラット120のスロット122又は二次スロットは、尾部124に隣接していてよく、近位ストラット120への接着剤の毛管作用を促進して、継手アセンブリ構成要素の適切な向きを維持することができる。
【0016】
シャフト、近位ストラット、及びカラーを形成するのに好適な材料は、理想的には例えば、UHMWPE、アラミド、LCP、PET若しくはPENなどのポリマー材料、又はタングステン、MP35N、ステンレス鋼若しくはニチノールなどの金属など、製造可能性及び使用のための十分な一体性を作り出すことができるような高い引張強度を有する。近位ストラットスロット122は、拡大端部112に係合するための任意の好適な形状とすることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、この継手アセンブリは、神経血管装置送達に使用されるマイクロカテーテルに適合する任意の好適なサイズ及び形状であり得る。近位ストラットスロット122に好適な形状としては、概ね正方形、概ね矩形、概ね円形などを挙げることができる。係止カラー130は、近位ストラットスロット122及びシャフト100の拡大端部112の少なくとも一部分を覆う又は取り囲むための任意の好適な形状とすることができる。係止カラー130に好適な形状としては、概ね円筒形、概ね楕円筒形などを挙げことができる。シャフト100の本体110及び拡大端部112は、近位ストラット120に係合し、かつ、係止カラー130内に少なくとも部分的に受容されるための任意の好適なサイズ及び形状であり得る。本体110に好適な形状としては、概ね円筒形、概ね楕円筒形などを挙げることができる。拡大端部112に好適な形状としては、概ね円筒形、概ね楕円筒形などを挙げることができる。いくつかの実施形態では、この継手アセンブリは、内径0.027インチ以下(例えば、0.026インチ、0.024インチ、0.022インチ、0.019インチ、0.017インチ、0.015インチ、0.013インチ、0.011インチ、0.009インチ、0.007インチ、0.005インチ、0.003インチ、0.001インチ)の内径を有するマイクロカテーテル、好ましくは0.021インチ以下(例えば、0.019インチ、0.017インチ、0.015インチ、0.013インチ、0.011インチ、0.009インチ、0.007インチ、0.005インチ、0.003インチ、0.001インチ)の内径を有するマイクロカテーテルに適合するサイズであり得る。
【0018】
図4A及び4Bに示されるように、いくつかの実施形態では、係止カラー130は、近位面136及び遠位面134を含み得る。いくつかの実施形態では、係止カラーは、第1及び第2のスリット132を含み得る。
図5A~
図5Cに示されるように、いくつかの実施形態では、継手アセンブリの組み立ては、シャフト100、近位ストラット120、及び係止カラー130を提供することを含み得る。
図5Aに示すように、組み立ては、係止カラー130をシャフト100の本体110上で、拡大端部112から離れるように摺動させることを更に含み得る。
図5Bに示すように、組み立ては、近位ストラット120の少なくとも一部分を、シャフト100の拡大端部112の近くに位置決めすることを更に含み得る。
図5Cに示すように、組み立ては、シャフト100の拡大端部112及び近位ストラット120のスロット122を少なくとも部分的に覆うように、カラー130を再配置することを更に含み得る。いくつかの実施形態では、係止カラーが再配置されるとき、係止カラー130が、シャフト100の拡大端部112及び近位ストラット120のスロット122を少なくとも部分的に包囲する。この構成の結果として、この継手アセンブリが張力下にあるとき、係止カラー130は、拡大端部112を支持して、
図2の以前に開示されている継手に示される変形を最小化する。これにより、この継手アセンブリはより堅牢となり、従来の設計よりも大きい引張負荷に耐えることができる。
【0019】
図6Aに示すように、いくつかの実施形態では、近位ストラットスロット140は、第1の高さ144及び第2の高さ146を含み得る。いくつかの実施形態では、シャフト100の本体110は、第1の高さ144のところで近位ストラットスロット142に挿入され、拡大部材112は、第2の高さのところで近位ストラットスロット142に係合する。
図6B~
図6Dに示されるように、いくつかの実施形態では、近位ストラット640は、第1の高さ644と第2の高さ646とを含む近位ストラットスロット642を含む。いくつかの実施形態では、シャフト600は、本体610及び拡大端部612を含み得、これによって、シャフト600が第1の高さ644のところで近位ストラットスロット642内に挿入され、かつ近位ストラットスロット642が第2の高さのところで拡大部材612に係合し、第1の高さ644から下方にかつ第1の高さ644から離れる方向にテーパ状になっていてよい。このテーパ形状が、近位ストラット640がシャフト拡大端部612の遠位端に係合するのを支援する。これにより、この継手アセンブリを通ってシャフト600から継手アセンブリの遠位端に伝達され得る引張力及び圧縮力を増加させる。係止カラー130は、近位ストラット122が、約2N~15N(例えば、3N、4N、5N、6N、7N、8N、9N、10N、11N、12N、13N、14N)までの力の引張負荷下で拡大端部112との係合を維持するように、拡大端部112に対して近位ストラット122を拘束する。
【0020】
図7A~7Dに示されるように、係止カラー150は、近位面152及び遠位面156を更に含んでよく、近位ストラット160は、十字形部材162を含んでもよい。いくつかの実施形態では、十字形部材162は、係止カラー150の近位面152に係合することができる。いくつかの実施形態では、十字形部材162は、係止カラー150の近位面152に係止係合することができる。いくつかの例では、十字形部材162を使用して、近位ストラット160が回転するのを防止することができ、あるいは更なる係止支持を提供することができる。特定の実施例では、係止カラー150は卵形を有してよく、十字形部材162は、この楕円形の長軸が十字形のアームよりも長いため、遠位面156から近位面152へと係止カラー150内を通過する。次いで、十字形部材162を90°回転させて、近位面152上のスリットに係合させる。このようにすると、楕円形の短軸は、十字形のアームよりも短い。いくつかの実施形態では、この継手アセンブリは、シャフト及び拡大端部(図示せず)を更に含み得る。
【0021】
図8A~
図8Cに示されるように、いくつかの実施形態では、係止カラー170は、係止カラー170の近位面に形成された第1のスリット180と、第1のスリット180の反対側に位置付けられた多角形開口部174とを含み得る。いくつかの実施形態では、近位ストラット172の少なくとも一部分が、第1のスリット180に係合してもよい。いくつかの実施形態では、近位ストラットの少なくとも一部分が、多角形開口部174に係合することができる。いくつかの実施形態では、近位ストラットスロット178を取り囲む近位ストラット172の一部分が、第1のスリット180及び多角形開口部174に係合することができる。いくつかの実施形態では、近位ストラットスロット178を取り囲む近位ストラット172の一部分が、第1のスリット180及び多角形開口部174に係止係合することができる。いくつかの実施形態では、第1のスリット180は、カラー170の遠位面からカラー170の第1の側面の少なくとも一部分まで形成されてもよく、多角形開口部174は、カラー170の第2の側面に形成されている。この設計は、例示的な継手アセンブリが大きな引張力を受けるとき、係止カラー170の変形を最小限に抑えることができる。
【0022】
図9A及び
図9Bに示されるように、いくつかの実施形態では、例示的な継手アセンブリは、本体210と、拡大端部212と、近位ストラット220と、第1及び第2のスリット232を含むカラー230とを含むシャフト200を含み得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2のスリット232はテーパ状であってもよい。いくつかの実施形態では、近位ストラット220は、第1及び第2のテーパ状スリット232に係合することができる。いくつかの実施形態では、係止カラー230は、シャフト200の拡大端部212に当接することができる。いくつかの実施形態では、近位ストラット220は、係止カラー230のテーパ状スリット232に係合することができ、これにより係止カラー230、シャフト200、及び近位ストラット220が係止係合される。いくつかの実施形態では、近位ストラット220は、係止カラー230のテーパ状スリット232に係合することができ、これにより係止カラー230、シャフト200、及び近位ストラット220が摩擦嵌め合いにより係止係合される。いくつかの実施形態では、近位ストラット220は、係止カラー230のテーパ状スリット232に係合することができ、これにより係止カラー230、シャフト200、及び近位ストラット220が摩擦嵌め合いにより係止係合され、これにより、継手アセンブリが血管内装置に一体的に形成され、かつ血管内装置が負荷下にあるときにも、近位ストラット220は、シャフト200の拡大端部212から係合が外れることはない。スリットのテーパは、組み立て中の構成要素寸法公差を補償することができ、近位ストラット220がシャフト200の拡大端部212と確実に接触しているようにすることができる。
【0023】
図10Aに示すように、いくつかの実施形態では、例示的な継手アセンブリは、シャフト300と、近位ストラットスロット322を含む近位ストラット320と、係止カラー330とを含み得る。いくつかの実施形態では、シャフト300は、本体310及びシャフトフック302を含み得る。
図10Bに示すように、組み立てられたときに、シャフト300のシャフトフック302は、近位ストラットスロット322に引っ掛かることができる。
図10Cに示すように、組み立ては、シャフト300のシャフトフック302及び近位ストラット320の近位ストラットスロット322を少なくとも部分的に覆うように、カラー330を再配置することを更に含み得る。これにより、シャフトフック302が近位ストラットスロット322から引っ掛かりが外れるのを防止することができる。シャフトフック300は、ヒートセット又は切断成形によって形成され得る。いくつかの実施形態では、カラー330はシャフトフック302を完全に覆い、継手アセンブリが挿入される容器の壁にフックが傷をつけないことを確実にすることができる。
【0024】
図11に示すように、いくつかの実施形態では、例示的な継手アセンブリは、シャフト400と、近位ストラット420と、係止カラー430とを含み得る。シャフト400は、本体410及び拡大端部412を含み得る。いくつかの実施形態では、近位ストラット420は、近位ストラットスロット422と、近位ストラットスロット422のいずれかの側の近位ストラット420から突出する近位ストラットアーム424とを更に含み得る。係止カラー430は、係止スリット432を更に含み得る。いくつかの実施形態では、組み立て中、近位ストラット420は係止カラー430に係合することができ、これによって、近位ストラットアーム424が係止カラースリット432に挿入され回転されて係止カラースリット432に係止係合する。実施例にはまた、バヨネットタイプの取り付けも含まれ得る。
【0025】
図12A及び
図12Bは、血管内装置に一体的に接合された例示的な継手アセンブリを示す。いくつかの実施形態では、継手アセンブリ560は、血塊係合部分540と細長いシャフト550との間で、血管内装置に一体的に接合され得る。血管内装置の例としては、ステントリーバー、血栓除去装置、コイルリトリーバー、現在知られている若しくは後に発見された等価物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0026】
本明細書に含まれる記述は、本発明の実施形態の例であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。本明細書に記載されるように、本発明は、継手アセンブリの数多くの変形及び修正が想到され、これには例えば、シャフト、近位ストラット、及びカラーの様々な配置、各要素又は部材の多数の材料の任意のものの利用、追加要素又は部材の組み込みが挙げられる。これらの修正形態は、本発明の関連技術分野の当業者に明らかであろうし、かつ、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【0027】
〔実施の態様〕
(1) 本体及び拡大端部を備えるシャフトと、
スロットを備える近位ストラットであって、該スロットが該シャフトの該拡大端部に係合する、近位ストラットと、
近位面及び遠位面を備え、かつ該シャフトの該拡大端部及び該近位ストラットの該スロットを少なくとも部分的に覆う係止カラーと、を備える、血管内装置用の継手アセンブリ。
(2) 前記拡大端部の少なくとも一部分が、前記近位ストラットスロット内に受容されている、実施態様1に記載の継手アセンブリ。
(3) 前記シャフトの前記拡大端部が、前記シャフトの前記本体と共にシャフト段差を画定する、実施態様1に記載の継手アセンブリ。
(4) 前記係止カラーが概ね円筒形である、実施態様1に記載の継手アセンブリ。
(5) 前記係止カラーが概ね楕円筒形である、実施態様1に記載の継手アセンブリ。
【0028】
(6) 前記近位ストラットが、前記近位ストラットスロットの代わりに十字形部材を含む、実施態様1に記載の継手アセンブリ。
(7) 本体及び拡大端部を備えるシャフトと、
スロットを備える近位ストラットであって、該シャフトの該本体が該スロット内に受容されている、近位ストラットと、
近位面及び遠位面を備え、かつ該シャフトの該拡大端部及び該近位ストラットの該スロットを少なくとも部分的に覆う係止カラーと、を備える、血管内装置用の継手アセンブリ。
(8) 前記近位ストラットスロットが、第1の高さ及び第2の高さを備える、実施態様7に記載の継手アセンブリ。
(9) 前記シャフトの前記本体が、前記第1の高さのところで前記近位ストラットスロットに挿入され、前記拡大端部が、前記第2の高さのところで該近位ストラットスロットに係合し、該近位ストラットスロットは、該第2の高さから、かつ該拡大端部から離れる方向に向かって下方に傾斜する、実施態様8に記載の継手アセンブリ。
(10) 前記係止カラーが、第1の側面及び第2の側面を備え、第1のスリットが、前記カラーの前記遠位面から該カラーの該第1の側面の少なくとも一部分まで形成され、第2のスロットが、該カラーの該遠位面から該カラーの該第2の側面の少なくとも一部分まで形成されている、実施態様1に記載の継手アセンブリ。
【0029】
(11) 前記第1のスリット及び前記第2のスリットがテーパ状である、実施態様10に記載の継手アセンブリ。
(12) 第1のスリットが、前記カラーの前記遠位面から該カラーの前記第1の側面の少なくとも一部分まで形成され、多角形開口部が、該カラーの前記第2の側面に形成されている、実施態様1に記載の継手アセンブリ。
(13) 前記継手アセンブリが、血塊係合部分と細長いシャフトとの間で、血管内装置に一体的に接合されている、実施態様1に記載の継手アセンブリ。
(14) 前記係止カラーが、前記シャフトの前記拡大端部及び前記近位ストラットの前記スロットを少なくとも部分的に覆うとき、該係止カラーが、該近位ストラットを拘束して、これにより、該継手アセンブリが血塊回収装置内に搭載されかつ該血塊回収装置が負荷下にあるときに、該近位ストラットスロットが該シャフトの該拡大端部から係合が外れないようになる、実施態様1に記載の継手アセンブリ。
(15) 継手アセンブリを組み立てる方法であって、
本体及び拡大端部を備えるシャフトと、該シャフトの該拡大端部に係合するスロットを備える近位ストラットと、近位面及び遠位面を備え、かつ該シャフトの該拡大端部及び該近位ストラットの該スロットに係合する係止カラーと、を提供する工程と、
該係止カラーを該シャフトの該本体上に摺動させる工程と、
該近位ストラットの少なくとも一部分を、該シャフトの該拡大端部の近くに位置決めする工程と、
該シャフトの該拡大端部及び該近位ストラットの該スロットを少なくとも部分的に覆うように、該カラーを再配置する工程と、
を含む、方法。
【0030】
(16) 前記係止カラーが再配置されるとき、前記係止カラーが、前記シャフトの前記拡大端部及び前記近位ストラットの前記スロットを少なくとも部分的に包囲する、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記近位ストラットが、前記近位ストラットスロットの代わりに十字形部材を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記十字形部材がカラーと係止係合する、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記継手アセンブリを、血塊係合部分と細長いシャフトとの間で血管内装置に一体的に接合することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記係止カラーが再配置されるとき、前記カラーが前記近位ストラットを拘束し、これにより、前記継手アセンブリが血塊回収装置内に搭載されかつ該血塊回収装置が負荷下にあるときに、該近位ストラットスロットが前記シャフトの前記拡大端部から係合が外れないようになる、実施態様15に記載の方法。