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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】光学機器およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20210101AFI20240122BHJP
   G02B 7/10 20210101ALI20240122BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240122BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240122BHJP
【FI】
G02B7/08 C
G02B7/10
H04N23/60
H04N23/50
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019185698
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021060541
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】本間 大貴
(72)【発明者】
【氏名】圓山 智史
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-200907(JP,A)
【文献】特開2013-057867(JP,A)
【文献】特開2010-092035(JP,A)
【文献】特開2013-61438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
G02B 7/28 - 7/40
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 -23/76
H04N 23/90 -23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変倍レンズを光軸方向に移動させるズーム操作部と、
フォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1の駆動手段と、
前記第1の駆動手段を前記光軸方向に移動させる第2の駆動手段と、
前記第2の駆動手段による前記第1の駆動手段の移動量に応じて前記第1の駆動手段の駆動を制御する制御手段とを有する光学機器であって、
前記第2の駆動手段は、前記ズーム操作部が操作されることによって駆動され、前記第2の駆動手段の駆動により前記変倍レンズは移動せず、前記フォーカスレンズが前記光軸方向に移動することを特徴とする光学機器。
【請求項2】
フォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1の駆動手段と、
前記第1の駆動手段を前記光軸方向に移動させる第2の駆動手段と、
前記第2の駆動手段による前記第1の駆動手段の移動量に応じて前記第1の駆動手段の駆動を制御する制御手段とを有する光学機器であって、
ーミングに際して前記フォーカスレンズは、第1の駆動手段と前記第2の駆動手段を共に用いて移動さ
前記制御手段は、
ズーム位置に対する前記フォーカスレンズの合焦位置に関する第1のデータと、所定時間後のズーム位置として推定される推定ズーム位置とを用いて前記フォーカスレンズの目標位置である第1のフォーカス目標位置を決定し、
前記第1のフォーカス目標位置と、前記所定時間後までに第2駆動手段により前記第1の駆動手段が移動する量として推定される第1の移動量とを用いて前記第1の駆動手段の駆動を制御することを特徴とする光学機器。
【請求項3】
前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段の両方によって移動される前記フォーカスレンズの位置を検出する位置検出手段を有し、
前記制御手段は、前記位置検出手段によって検出された前記フォーカスレンズの位置と、前記第1のフォーカス目標位置と、前記第1の移動量とから前記第1の駆動手段による前記フォーカスレンズの駆動量を算出し、前記駆動量に基づいて前記第1の駆動手段の駆動を制御することを特徴とする請求項2に記載の光学機器。
【請求項4】
フォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1の駆動手段と、
前記第1の駆動手段を前記光軸方向に移動させる第2の駆動手段と、
前記第2の駆動手段による前記第1の駆動手段の移動量に応じて前記第1の駆動手段の駆動を制御する制御手段とを有する光学機器であって、
ーミングに際して前記フォーカスレンズは、第1の駆動手段と前記第2の駆動手段を共に用いて移動さ
前記第1の駆動手段は、前記フォーカスレンズを移動させるための可動部を有し、
前記制御手段は、
ズーム位置に対する前記第1の駆動手段の前記可動部の合焦位置に関する第2のデータと、所定時間後のズーム位置として推定される推定ズーム位置とを用いて前記第1の駆動手段における前記フォーカスレンズの可動範囲内での前記フォーカスレンズの目標位置である第1の駆動目標位置を決定し、
前記第1の駆動目標位置と、前記第2の駆動手段により前記第1の駆動手段が移動した量である第2の移動量とを用いて前記第1の駆動手段の駆動を制御することを特徴とする光学機器。
【請求項5】
前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段の両方によって移動される前記フォーカスレンズの位置を検出する位置検出手段を有し
前記制御手段は、前記第2の移動量と、前記位置検出手段により検出された前記フォーカスレンズの位置とを用いて、前記第1の駆動手段における前記フォーカスレンズの可動範囲内での前記フォーカスレンズの現在位置を算出し、前記第1の駆動目標位置と前記現在位置に基づいて前記第1の駆動手段の駆動を制御することを特徴とする請求項4に記載の光学機器。
【請求項6】
フォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1の駆動手段と、
前記第1の駆動手段を前記光軸方向に移動させる第2の駆動手段と、
前記第2の駆動手段による前記第1の駆動手段の移動量に応じて前記第1の駆動手段の駆動を制御する制御手段と、
前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段の両方によって移動される前記フォーカスレンズの位置を検出する位置検出手段とを有する光学機器であって、
前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された前記フォーカスレンズの位置と、フォーカスレンズの目標位置である第2のフォーカス目標位置とを用いて前記第1の駆動手段の駆動を制御し、
前記第2のフォーカス目標位置は、前記第2の駆動手段により前記第1の駆動手段が移動した量である第2の移動量と、前記第1の駆動手段における前記フォーカスレンズの可動範囲内での前記フォーカスレンズの目標位置である第2の駆動目標位置に基づいて定められることを特徴とする光学機器。
【請求項7】
前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された前記フォーカスレンズの位置と、前記第2のフォーカス目標位置との偏差に基づいて、前記第1の駆動手段の駆動を制御することを特徴とする請求項6に記載の光学機器。
【請求項8】
フォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1の駆動手段と、
前記第1の駆動手段を前記光軸方向に移動させる第2の駆動手段と、
前記第2の駆動手段による前記第1の駆動手段の移動量に応じて前記第1の駆動手段の駆動を制御する制御手段と、
前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段の両方によって移動される前記フォーカスレンズの位置を検出する位置検出手段とを有する光学機器であって、
前記制御手段は、前記第1の駆動手段における前記フォーカスレンズの可動範囲内での前記フォーカスレンズの目標位置である第2の駆動目標位置と、前記第1の駆動手段における前記フォーカスレンズの可動範囲内での前記フォーカスレンズの現在位置とを用いて前記第1の駆動手段の駆動を制御し、
前記現在位置は、前記第2の駆動手段により前記第1の駆動手段が移動した量である第2の移動量と、前記位置検出手段により検出された前記フォーカスレンズの位置を用いて算出されることを特徴とする光学機器。
【請求項9】
前記制御手段は、前記現在位置と、前記第2の駆動目標位置との偏差に基づいて、前記第1の駆動手段の駆動を制御することを特徴とする請求項8に記載の光学機器。
【請求項10】
前記第1の駆動手段におけるベース部に対する可動部の位置を検出する可動部検出手段を有し、
前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された前記フォーカスレンズの位置と、前記可動部検出手段により検出された前記可動部の位置とを用いて、前記第2の移動量を取得することを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の光学機器。
【請求項11】
前記第1の駆動手段は、モータであり、
前記第2の駆動手段は、カムによって前記第1の駆動手段を移動させるカム機構であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の光学機器。
【請求項12】
前記第1の駆動手段および第2の駆動手段は共にモータであることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の光学機器。
【請求項13】
変倍レンズを光軸方向に移動させるズーム操作部と、フォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1の駆動手段と、前記第1の駆動手段を前記光軸方向に移動させる第2の駆動手段とを有する光学機器の制御方法であって、
前記第2の駆動手段による前記第1の駆動手段の移動量を取得するステップと、
前記第2の駆動手段による前記第1の駆動手段の移動量に応じて前記第1の駆動手段の駆動を制御するステップとを有し、
前記第2の駆動手段は、前記ズーム操作部が操作されることによって駆動され、前記第2の駆動手段の駆動により前記変倍レンズは移動せず、前記フォーカスレンズが前記光軸方向に移動することを特徴とする光学機器の制御方法。
【請求項14】
光学機器のコンピュータに、請求項13に記載の制御方法に従う処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズを移動させてズーミングやフォーカシングを行う光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
インナーフォーカスタイプのズームレンズでは、変倍レンズを移動させてズーミングを行うことにより像面位置が変化する。このため、ズーミング中における被写体に対する合焦状態を維持するようにフォーカスレンズを移動させる制御を行う。特許文献1には、変倍レンズの移動に対するフォーカスレンズの移動追従性(ピント追従性)を向上させる方法が開示されている。
【0003】
また、ズーミング中に、フォーカスレンズを移動させるフォーカスモータを移動させる構成のレンズ装置もある。この構成では、フォーカスレンズは、フォーカスモータの移動量とフォーカスモータによるフォーカスレンズの移動量との和の移動量だけ移動する。フォーカスモータは、例えば光軸回りで回転するカムを用いて移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-16513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フォーカスモータを移動させるレンズ装置において、上述した和の移動量に相当するフォーカスレンズの位置を検出する位置検出系から得られるフォーカスレンズの移動量とフォーカスモータによるフォーカスレンズの移動量とが互いに異なる。このため、フォーカスレンズの移動速度を変倍レンズの移動速度に合わせるように制御することが難しい。この結果、変倍レンズの移動に対するピント追従性が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、モータによりフォーカスレンズ等のレンズを移動させるとともに該モータを移動させる場合において、モータの駆動を良好に制御できるようにした光学機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての光学機器は、変倍レンズを光軸方向に移動させるズーム操作部と、フォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1の駆動手段と、該第1の駆動手段を光軸方向に移動させる第2の駆動手段と、第2の駆動手段による第1の駆動手段の移動量に応じて第1の駆動手段の駆動を制御する制御手段とを有し、第2の駆動手段は、ズーム操作部が操作されることによって駆動され、第2の駆動手段の駆動により変倍レンズは移動せず、フォーカスレンズが前記光軸方向に移動することを特徴とする。
本発明の一側面としての光学機器は、フォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1の駆動手段と、第1の駆動手段を前記光軸方向に移動させる第2の駆動手段と、第2の駆動手段による第1の駆動手段の移動量に応じて第1の駆動手段の駆動を制御する制御手段とを有し、ズーミングに際してフォーカスレンズは、第1の駆動手段と第2の駆動手段を共に用いて移動され、制御手段は、ズーム位置に対するフォーカスレンズの合焦位置に関する第1のデータと、所定時間後のズーム位置として推定される推定ズーム位置とを用いてフォーカスレンズの目標位置である第1のフォーカス目標位置を決定し、第1のフォーカス目標位置と、所定時間後までに第2駆動手段により第1の駆動手段が移動する量として推定される第1の移動量とを用いて第1の駆動手段の駆動を制御することを特徴とする。
本発明の一側面としての光学機器は、フォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1の駆動手段と、第1の駆動手段を光軸方向に移動させる第2の駆動手段と、第2の駆動手段による第1の駆動手段の移動量に応じて第1の駆動手段の駆動を制御する制御手段とを有し、ズーミングに際してフォーカスレンズは、第1の駆動手段と第2の駆動手段を共に用いて移動され、第1の駆動手段は、フォーカスレンズを移動させるための可動部を有し、制御手段は、ズーム位置に対する第1の駆動手段の可動部の合焦位置に関する第2のデータと、所定時間後のズーム位置として推定される推定ズーム位置とを用いて第1の駆動手段におけるフォーカスレンズの可動範囲内でのフォーカスレンズの目標位置である第1の駆動目標位置を決定し、第1の駆動目標位置と、第2の駆動手段により第1の駆動手段が移動した量である第2の移動量とを用いて第1の駆動手段の駆動を制御することを特徴とする。
本発明の一側面としての光学機器は、フォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1の駆動手段と、第1の駆動手段を光軸方向に移動させる第2の駆動手段と、第2の駆動手段による第1の駆動手段の移動量に応じて第1の駆動手段の駆動を制御する制御手段と、第1の駆動手段と第2の駆動手段の両方によって移動される前記フォーカスレンズの位置を検出する位置検出手段とを有し、制御手段は、位置検出手段により検出されたフォーカスレンズの位置と、フォーカスレンズの目標位置である第2のフォーカス目標位置とを用いて第1の駆動手段の駆動を制御し、第2のフォーカス目標位置は、第2の駆動手段により第1の駆動手段が移動した量である第2の移動量と、第1の駆動手段におけるフォーカスレンズの可動範囲内でのフォーカスレンズの目標位置である第2の駆動目標位置に基づいて定められることを特徴とする。
本発明の一側面としての光学機器は、フォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1の駆動手段と、第1の駆動手段を光軸方向に移動させる第2の駆動手段と、第2の駆動手段による第1の駆動手段の移動量に応じて第1の駆動手段の駆動を制御する制御手段と、第1の駆動手段と第2の駆動手段の両方によって移動されるフォーカスレンズの位置を検出する位置検出手段とを有し、制御手段は、第1の駆動手段におけるフォーカスレンズの可動範囲内でのフォーカスレンズの目標位置である第2の駆動目標位置と、第1の駆動手段におけるフォーカスレンズの可動範囲内でのフォーカスレンズの現在位置とを用いて第1の駆動手段の駆動を制御し、現在位置は、第2の駆動手段により第1の駆動手段が移動した量である第2の移動量と、位置検出手段により検出されたフォーカスレンズの位置を用いて算出されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の一側面としての制御方法は、変倍レンズを光軸方向に移動させるズーム操作部と、フォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1の駆動手段と、該第1の駆動手段を前記光軸方向に移動させる第2の駆動手段とを有する光学機器に適用される。該制御方法は、第2の駆動手段による前記第1の駆動手段の移動量を取得するステップと、第2の駆動手段による前記第1の駆動手段の移動量に応じて前記第1の駆動手段の駆動を制御するステップとを有し、前記第2の駆動手段は、前記ズーム操作部が操作されることによって駆動され、前記第2の駆動手段の駆動により前記変倍レンズは移動せず、前記フォーカスレンズが前記光軸方向に移動することを特徴とする。
【0009】
なお、光学機器のコンピュータに、上記制御方法に従う処理を実行させるコンピュータプログラムも、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の駆動手段によりフォーカスレンズ等のレンズを移動させるとともに該第1の駆動手段を移動させる光学機器において、第1の駆動手段の駆動を良好に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1であるレンズ交換式カメラシステムの構成を示すブロック図。
図2】実施例1におけるフォーカスレンズとフォーカス駆動部とフォーカス位置検出部との関係を示す図。
図3】実施例1におけるカム機構によるフォーカスレンズの移動量を示す図。
図4】実施例1におけるズーム-フォーカス位置データを示す図。
図5】実施例1におけるフォーカスレンズの合焦位置の算出方法を説明する図。
図6】実施例1におけるモータ駆動指令値を算出する処理を示すフローチャート。
図7】実施例1における推定ズーム位置の算出方法を説明する図
図8】実施例1におけるモータ駆動指令値の算出方法を説明する図。
図9】実施例1におけるズーム-モータ位置データを示す図。
図10】本発明の実施例2におけるモータ駆動指令値を算出する処理を示すフローチャート。
図11】実施例1におけるレンズ駆動制御部の構成を示すブロック図。
図12】実施例1におけるレンズ目標位置の生成方法を説明する図。
図13】実施例1におけるカム移動量の算出方法を説明する図。
図14】実施例1においてレンズ駆動制御部が行う処理を示すフローチャート。
図15】実施例2におけるレンズ駆動制御部の構成を示すブロック図。
図16】実施例2においてレンズ駆動制御部が行う処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1であるレンズ交換式カメラシステムの構成を示している。このレンズ交換式カメラシステムは、光学機器としての交換レンズ100と、該交換レンズ100が着脱可能に装着される撮像装置としてのカメラ本体200とにより構成され、静止画撮影と動画撮影を行うことができる。
【0014】
交換レンズ100は、カメラ本体200の撮像素子201上に被写体像を形成する撮像光学系101と、ユーザが変倍操作を行うためのズーム操作部105と、カメラ本体200内のカメラ制御部207と通信可能なレンズ制御部106とを有する。撮像光学系101は、被写体側から、変倍レンズ102、絞り103およびフォーカスレンズ104を有する。以下の説明において、撮像光学系101の光軸AXが延びる方向を光軸方向という。
【0015】
変倍レンズ102は、ユーザが操作環であるズーム操作部105を光軸AX回りで回転操作することで撮像光学系の光軸方向に移動し、撮像光学系の焦点距離を変更する(すなわち変倍を行う)。具体的には、ズーム操作部105の回転によって不図示のズームカム環が光軸AX回りで回転し、該ズームカム環に設けられたカム(溝)部によって変倍レンズ102が光軸方向に移動する。
【0016】
また変倍レンズ102の移動に伴って、フォーカスレンズ104が後述するズーム-フォーカス位置データに従って移動するように制御される。本実施例の撮像光学系は、インナーフォーカス(リアフォーカス)タイプのズームレンズであり、変倍レンズ102の移動(ズーミング)により像面位置が変化してピントがぼける。このため、レンズ制御部106は、このズーミング中の像面位置の変動を補正する(ピント補正を行う)ため、ズーム-フォーカス位置データを用いてフォーカスレンズ104の位置を制御する。
【0017】
この際、フォーカスレンズ104は、フォーカス駆動部(第1の駆動手段)110によって移動されるとともに、フォーカス駆動部110がズーム操作部105の回転により駆動されるフォーカスカム機構(第2の駆動手段)150によっても移動される。すなわち、フォーカスレンズ104の移動量は、フォーカス駆動部110による移動量と、フォーカスカム機構150によるフォーカス駆動部110の移動量との和になる。この構成により、フォーカス駆動部110によるフォーカスレンズ104の駆動範囲が短縮され、交換レンズ100の全長を短縮することが可能となる。
【0018】
本実施例では、ズーム操作部105の回転が機械的に変倍レンズ102に伝達されて変倍レンズ102が移動する場合について説明しているが、ズーム操作部105の回転を検出し、その回転検出に応じてモータにより変倍レンズ102を移動させてもよい。
【0019】
レンズ制御部106は、CPUや内部メモリ等により構成されるコンピュータである。レンズ制御部106は、メモリ107、ズーム位置検出部108、絞り駆動部109、フォーカス駆動部110およびフォーカス位置検出部(位置検出手段)111と電気的に接続されている。
【0020】
記憶手段としてのメモリ107はROMやRAM等により構成され、各種の情報やデータを記憶する。メモリ107には、ズーム-フォーカス位置データ(第1のデータ)が記憶されている。ズーム-フォーカス位置データは、後に図4を用いて説明するように、被写体距離ごとの変倍レンズ102の位置に対するフォーカスレンズ104の合焦位置(その被写体距離に対してピントが合うフォーカスレンズ104の位置)に関するデータである。ズーム-フォーカス位置データは、合焦位置を直接示すデータであってもよいし、合焦位置に変換可能なデータであってもよく、合焦位置に関するデータであればよい。
【0021】
ズーム位置検出部108は、可変抵抗等の位置センサを用いて変倍レンズ102の位置(以下、ズーム位置という)を検出し、該ズーム位置を示すズーム位置信号をレンズ制御部106に出力する。レンズ制御部106は、ズーム位置信号からズーム位置を取得する。ズーム位置検出部108により検出されるズーム位置は、変倍レンズ102の実際の位置であってもよいし、ズーム操作部105の回転位置であってもよい。
【0022】
絞り駆動部109は、ステッピングモータやボイスコイルモータ等の電動アクチュエータにより構成され、絞り103をその開口径が変化するように駆動する。絞り駆動部109は、ホール素子等の絞り103の駆動位置を検出する絞りセンサを含む。
【0023】
フォーカス駆動部110は、ステッピングモータ、振動型モータまたはボイスコイルモータ等の電動アクチュエータにより構成され、フォーカスレンズ104を光軸方向に駆動する。
【0024】
フォーカス位置検出部111は、エンコーダ等の位置センサにより構成され、フォーカスレンズ104の位置を検出し、該位置を示すフォーカス位置信号をレンズ制御部106に出力する。レンズ制御部106は、フォーカス位置信号からフォーカスレンズ104の位置(以下、フォーカス位置)を取得することができる。フォーカス位置検出部111により検出されるフォーカス位置は、フォーカス駆動部110とフォーカスカム機構150の両方により移動される位置である。すなわちフォーカス位置検出部111により検出されるフォーカス位置は前述したフォーカス駆動部110による移動量とフォーカスカム機構150によるフォーカス駆動部110の移動量との和の移動量に対応する位置である。フォーカスレンズ104、フォーカス駆動部110およびフォーカス位置検出部111の関係の詳細については後に図2を用いて説明する。
【0025】
カメラ本体200は、撮像素子201、信号処理部202、記録処理部203、電子ファインダ204、表示部205、デフォーカス検出部206、カメラ制御部207およびメモリ208を有する。撮像素子201は、撮像光学系101により形成された被写体像を光電変換(撮像)し、撮像信号を信号処理部202に出力する。撮像素子201は、撮像信号を生成するための撮像用画素に加えて、焦点検出信号を生成するための焦点検出用画素も有する。
【0026】
信号処理部202は、入力された撮像信号に対して、A/D変換、増幅、ノイズ除去および色補正等の各種処理を行って画像データを生成し、これを記録処理部203に出力する。記録処理部203は画像データを記録する。電子ファインダ204および表示部205は、画像データに対応する画像を表示する。
【0027】
デフォーカス検出部206は、撮像素子201の焦点検出用画素から得られた焦点検出信号(一対の像信号)を用いて、位相差検出方式により被写体像(撮像光学系)のデフォーカス量を算出し、該デフォーカス量のデータをカメラ制御部207に出力する。
【0028】
カメラ制御部207は、CPUや内部メモリ等を有するコンピュータであり、記録処理部203、デフォーカス検出部206およびメモリ208と電気的に接続されている。カメラ制御部207は、メモリ208に記録されたコンピュータプログラムを読み出し、該コンピュータプログラムに従って各種処理を実行したり、撮像に必要なデータをレンズ制御部106と通信したりする。またカメラ制御部207は、デフォーカス検出部206からのデフォーカス量とレンズ制御部106から受信したフォーカスレンズ104の位置とから、被写体にピントを合わせるためのフォーカスレンズ104の駆動量を算出する。そして、該駆動量を含むフォーカス指令をレンズ制御部106に送信する。レンズ制御部106は、フォーカス指令に応じてフォーカス駆動部110にフォーカスレンズ104を駆動させる。これにより、オートフォーカス(AF)が行われる。
【0029】
なお、ここでは焦点検出信号を用いた位相差検出方式のAFを行う場合について説明したが、撮像信号を用いたコントラスト検出方式のAFを行ってもよい。
【0030】
図2は、フォーカスレンズ104、フォーカス駆動部110およびフォーカス位置検出部111の関係を示している。フォーカス駆動部110は、モータベース部121とモータ可動部122とにより構成されている。モータベース部121に設けられたカムフォロワ152は、フォーカスカム環151に形成されたカム溝部(不図示)に係合している。図1に示したズーム操作部105が回転操作されると、フォーカスカム環151が光軸AX回りで回転する。カム溝部は、光軸方向に対して傾きを有するように形成されており、フォーカスカム環151の回転によってカムフォロワ152を介してフォーカス駆動部110(モータベース部121)とフォーカスレンズ104とを一体で光軸方向に移動させる。カム環151とカムフォロワ152によりフォーカスカム機構150が構成される。
【0031】
以下の説明において、フォーカスカム機構150によりフォーカス駆動部110およびフォーカスレンズ104を移動させることをカム駆動といい、カム駆動によるフォーカス駆動部110およびフォーカスレンズ104の移動量をカム移動量という。
【0032】
またフォーカス駆動部110は、前述したズーミング中のピント補正のためにレンズ制御部106から出力されたモータ駆動指令値に応じて、モータ可動部122をモータベース部121に対して移動させる。これにより、モータ可動部122により保持されたフォーカスレンズ104が移動する。以下の説明において、フォーカス駆動部110によりフォーカスレンズ104を移動させることをモータ駆動といい、モータ駆動によるフォーカスレンズ104の移動量をモータ移動量という。
【0033】
フォーカス位置検出部111は、ベース鏡筒123に固定されている。フォーカス位置検出部111とベース鏡筒123は、ズーム位置が変化してもフォーカスカム機構150によって移動されない。ただし、フォーカス位置検出部111とベース鏡筒123が、カム駆動されるフォーカスレンズ104の移動軌跡とは異なる移動軌跡で移動してもよい。
【0034】
このような構成では、ズーミング中にフォーカス位置検出部111を通じて検出されるフォーカスレンズ104の移動量とモータ移動量とが異なる。このため、ズーミング中のピント補正においてフォーカスレンズ104に必要な移動量のすべてのフォーカスレンズ104の駆動をモータ駆動で行うと、フォーカスレンズ104を適切な合焦位置に移動させることができない。本実施例では、フォーカスレンズ104を適切な合焦位置に移動させるために、フォーカス駆動部110を適切に制御する。
【0035】
図3は、ズーム位置とカム移動量との関係を示す。横軸はワイド(WIDE)端とテレ(TELE)端との間のズーム位置を、縦軸はフォーカス位置検出部111を通じて検出されるフォーカスレンズ104のワイド端での位置からの移動量(ここではカム移動量)を示している。メモリ107には、図に示したズーム位置に応じたカム移動量のデータ(第3のデータ:以下、ズーム-カム移動量データという)が記憶される。
【0036】
図3のズーム-カム移動量データは、連続した曲線のデータとなっているが、本発明はこれに限定されない。ズーム-カム移動量データは、複数の代表ズーム位置のカム移動量のみを記憶し、代表ズーム位置以外のズーム位置のカム移動量をその近傍の代表ズーム位置のカム移動量を用いた補間演算によって算出するようにしてもよい。また、複数の代表ズーム位置のカム移動量を近似した近似関数を用いて代表ズーム位置以外のズーム位置のカム移動量を算出してもよい。すなわち、ズーム-カム移動量データは、カム移動量に関するデータであればよい。
【0037】
図4は、ズーム-フォーカス位置データの具体例を示している。横軸はズーム位置を、縦軸はフォーカス位置を示している。複数の曲線はそれぞれ、互いに異なる代表被写体距離(例として無限遠、5m、3m、1m)のそれぞれにおいてズーム位置に対して合焦状態を維持するためのフォーカスレンズ104の合焦位置を示している。メモリ107は、これらの複数の代表被写体距離に対するズーム-フォーカス位置データを記憶している。
【0038】
被写体距離が代表被写体距離と一致するときは、該代表被写体距離とズーム位置に対応する合焦位置を読み出すことで、フォーカスレンズ104を移動させるべき目標位置となる合焦位置を取得することができる。代表被写体距離以外の被写体距離に対しては、その被写体距離に近い2つの代表被写体距離に対応する複数の合焦位置を用いた補間演算(線形補間)によって目標位置となる合焦位置を取得することができる。図5(a),(b)は、合焦位置の線形補間を示している。
【0039】
図5(a),(b)において、横軸はズーム位置を、縦軸はフォーカス位置を示している。図5(a)はズーム-フォーカス位置データの全体を示し、図5(b)は図5(a)に示したズーム-フォーカス位置データのうち枠で囲った部分を拡大して示している。ここでは、代表被写体距離Aと代表被写体距離Bとの間の被写体距離A′におけるワイド側ズーム位置xとテレ側ズーム位置zとの間のズーム位置yでの合焦位置を求める場合について説明する。
【0040】
まず、ズーム-フォーカス位置データからワイド側ズーム位置xにおける代表被写体距離Aに対する合焦位置と代表被写体距離Bに対する合焦位置を読み出すとともに、代表被写体距離A,Bの間の差aと被写体距離A,A′間の差bとの比b/aを算出する。そして、これら合焦位置と比b/aを用いてワイド側ズーム位置xにおける被写体距離A′での合焦位置を算出する。
【0041】
同様にズーム-フォーカス位置データからテレ側ズーム位置zにおける代表被写体距離Aでの合焦位置と代表被写体距離Bでの合焦位置を読み出す。代表被写体距離A,B間の差a′と被写体距離A,A′間の差b′との比b′/a′は、比b/aと同じである。そして、これら合焦位置と比b′/a′(=b/a)を用いてテレ側ズーム位置zにおける被写体距離A′での合焦位置を算出する。
【0042】
次に、ズーム位置xとズーム位置yとの差であるズーム移動量lと、ズーム位置yとズーム位置zとの差であるズーム移動量mとを算出する。そして、被写体距離A′におけるワイド側およびテレ側ズーム位置x,zでの合焦位置と、上記距離の比l/(l+m)とを用いて、被写体距離A′におけるズーム位置yに対する合焦位置を算出する。
【0043】
なお、メモリ107に、近似によって上記曲線を描けるような複数の代表的なズーム位置と合焦位置からなるズーム-フォーカス位置データを記憶するようにしてもよい。
【0044】
図6のフローチャートは、レンズ制御部106がズーミング中のピント補正のためのモータ駆動指令値を算出する処理を示している。コンピュータとしてのレンズ制御部106は、コンピュータプログラムに従って本処理を実行する。レンズ制御部106は、制御手段および移動量取得手段として機能する。
【0045】
まずステップS601において、レンズ制御部106は、ズーム位置検出部108により検出された現在のズーム位置を取得してメモリ107に記憶させる。
【0046】
次にステップS602では、レンズ制御部106は、フォーカス位置検出部111により検出された現在のフォーカス位置を取得する。
【0047】
次にステップS603では、レンズ制御部106は、ステップS601で取得した現在のズーム位置とメモリ107に記憶されている過去のズーム位置とを用いて、現在から所定時間後のズーム位置の推定位置である推定ズーム位置を算出(取得)する。推定ズーム位置の算出方法については、後に図7を用いて説明する。所定時間は、レンズ制御部106が次回にモータ駆動指令値を算出するまでの時間としての制御周期(第1の制御周期)である。ここでは、推定ズーム位置を算出するための実際のズーム位置の取得間隔が第1の制御周期と等しい場合について説明するが、実際のズーム位置の取得間隔と第1の制御周期とが異なっていてもよい。
【0048】
次にステップS604では、レンズ制御部106は、推定ズーム位置と、メモリ107に記憶されているズーム-フォーカス位置データ(図4)とから、所定時間後のフォーカスレンズ104の合焦位置としてのフォーカス目標位置(第1のフォーカス目標位置)を決定する。
【0049】
次にステップS605では、レンズ制御部106は、ステップS603で推定した所定時間後のズーム位置と、メモリ107に記憶されているズーム-カム移動量データ(図3)とを用いて、所定時間後の推定カム移動量(第1の移動量)を算出する。
【0050】
次にステップS606では、レンズ制御部106は、モータ駆動指令値を算出する。モータ駆動指令値はモータ駆動量とそのモータ駆動量をフォーカスレンズ104が移動する際の速度(以下、モータ駆動速度という)を含む。モータ駆動量とモータ駆動速度はステップS602で取得した現在のフォーカス位置、ステップS604で決定したフォーカス目標位置およびステップS605で算出した推定カム移動量を用いて算出される。そして本処理を終了する。
【0051】
図7(a),(b)は、レンズ制御部106がステップS603で推定ズーム位置を算出する方法を示している。縦軸はズーム位置を、横軸は時間を示している。この図は、時刻t1、t2、t3のそれぞれで検出したズーム位置z1、z2、z3を用いて時刻t4での推定ズーム位置z4を算出する例を示している。また図中の黒丸は実績値としての時刻とズーム位置を示し、白丸は推定値としての時刻とズーム位置を示している。
【0052】
図7(a)は、変倍レンズ102の移動速度(以下、ズーム速度という)の変化が少ない場合の例を示している。レンズ制御部106は、例えば、時刻t1から時刻t2までのズーム速度(b1/a1)と時刻t2から時刻t3までのズーム速度(b2/a2)の差が所定の閾値以下である場合はズーム速度の変化が少ないと判定する。ズーム速度の変化が少ない場合には、レンズ制御部106は、直前のズーム速度が維持されると仮定して推定ズーム位置を算出する。例えば、以下の式(1)を用いて時刻t4での推定ズーム位置z4を算出する。
【0053】
z4=z3+(b2/a2)×a3 (1)
図7(b)は、ズーム速度の変化が多い場合の例を示している。レンズ制御部106は、例えば、時刻t1から時刻t2までのズーム速度(b1/a1)と時刻t2から時刻t3までのズーム速度(b2/a2)の差が上記所定の閾値より大きい場合はズーム速度の変化が多いと判定する。ズーム速度の変化が多い場合には、レンズ制御部106は、直前のズーム速度の変化量(以下、ズーム加速度という)が維持されると仮定して推定ズーム位置を算出する。例えば、以下の式(2)を用いて時刻t3から時刻t4までの変倍レンズ102の移動量(以下、ズーム移動量という)b3を求める。
(b3/a3)=(b2/a2)+{(b2/a2)-(b1/a1)} (2)
さらに式(2)をb3について解き、以下の(3)を用いて、時刻t4での推定ズーム位置z4を算出する。
z4=z3+b3 (3)
ただし、変倍レンズ102の停止からの動き出し時や移動方向の反転時等、ズーム速度の急激な変化が生じる場合を考慮して、ズーム速度の変化量に上限を設けてもよい。例えば、ズーム速度が急激に減速して現在のズーム速度がゼロに近くなると、所定時間後に移動方向が反転する可能性があるが、実際に移動方向が反転するとは限らない。そのような場合においては、ズーム速度の符号が反転しない範囲で演算するようにすることで、所定時間後にズーム速度がゼロになると推定される。
【0054】
なお、ここではズーム速度とズーム加速度から推定ズーム位置を算出する方法を説明したが、他の方法で推定ズーム位置を取得してもよい。例えば、変倍レンズ102をモータで駆動する場合においては、該モータの駆動を制御するためのズーム駆動指令値とズーム位置とに一定の遅れが生じることを利用して推定ズーム位置を取得してもよい。
【0055】
図8は、図6のステップS606においてレンズ制御部106がモータ駆動指令値を算出する方法を示している。横軸は時間を、縦軸はフォーカス位置を示している。図8中の時刻t3および時刻t4は、図7(a),(b)に示した時刻t3と時刻t4と同じである。実線は時刻t3でのフォーカス位置から時刻t4でのフォーカス目標位置までのフォーカスレンズ104の移動軌跡(目標軌跡)を示し、破線は時刻t3でのフォーカス位置から時刻t4までのカム駆動によるフォーカスレンズ104の移動軌跡を示している。
【0056】
図6のフローチャートにおいて、レンズ制御部106は、時刻t3においてステップS603に進み、図7(a),(b)で説明したように時刻t4での推定ズーム位置z4を算出する。さらにステップS604において、メモリ107に記憶されたズーム-フォーカス位置データにおける推定ズーム位置z4に対する合焦位置をフォーカス目標位置f4として決定する。
【0057】
続いてレンズ制御部106は、ステップS605において、メモリ107に記憶されたズーム-カム移動量データから、時刻t3から時刻t4までのカム移動量(f4′-f3)を算出する。そしてレンズ制御部106は、ステップS606において、フォーカス目標位置f4からカム移動量(f4′-f3)を差し引いて、時刻t3から時刻t4までに必要なモータ移動量(f4-f4′)を算出する。このようにしてモータ移動量に対応するモータ駆動量とモータ駆動速度(=モータ駆動量/(t4-t3))をモータ駆動指令値として算出する。
【0058】
本実施例によれば、現在のフォーカス位置とズーミングに応じたフォーカス目標位置(合焦位置)との差からカムフォーカスカム移動量を差し引いてモータ駆動指令値を算出することにより、フォーカス駆動部110の駆動を適切に制御することができる。これにより、交換レンズ100の全長を短縮しつつ、ズーミング時のピント補正の遅れを抑制することができる。
【実施例2】
【0059】
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例において、実施例1と共通する構成要素については実施例1と同符号を付す。
【0060】
図9は、被写体距離ごとのズーム位置に対するモータ可動部122の合焦位置を示している。ここにいうモータ可動部122の合焦位置とは、フォーカスレンズ104をズーム位置に対して合焦状態が得られる位置に駆動したときのモータベース部121に対するモータ可動部122の位置である。図9の横軸はズーム位置を、モータベース部121に対するモータ可動部122の位置(以下、モータ位置という)を示している。すなわちモータ位置とは、モータ可動部122の可動範囲内における可動部122の位置ともいえる。
【0061】
複数の曲線はそれぞれ、互いに異なる代表被写体距離(例として無限遠、5m、3m、1m)のそれぞれにおけるモータ可動部122の合焦位置を示している。メモリ107は、これらの複数の代表被写体距離に対するモータ可動部122の合焦位置のデータ(第2のデータ:以下、ズーム-モータ位置データという)を、図4に示したズーム-フォーカス位置データに代えて記憶している。
【0062】
このズーム-モータ位置データは、図4に示したズーム-フォーカス位置データと図3に示したカム移動量のデータとを用いて得られる。具体的には、図4に示した被写体距離ごとのズーム位置に対するフォーカスレンズ104の合焦位置から、図3に示した同ズーム位置でのカム移動量を差し引くことにより、モータ位置としての合焦位置のデータであるズーム-モータ位置データが求められる。ズーム-モータ位置データは、合焦位置を直接示すデータであってもよいし、合焦位置に変換可能なデータであってもよく、合焦位置に関するデータであればよい。
【0063】
そして本実施例では、実施例1におけるフォーカス目標位置の算出方法と同様の方法によってモータ位置の駆動目標位置(以下、モータ目標位置)を算出することができる。
【0064】
図10のフローチャートは、本実施例においてレンズ制御部106がズーミング中のピント補正のためのモータ駆動指令値を算出する処理を示している。ステップS601からステップS603は実施例1で図6に示したステップS601からステップS603と同じである。
【0065】
ステップS1004では、レンズ制御部106は、所定時間後におけるモータ可動部122の可動範囲内におけるモータ可動部122の目標位置(第1の駆動目標位置)を決定する。第1の駆動目標位置は、ステップS603で算出した所定時間後の推定ズーム位置とメモリ107に記憶されているズーム-モータ位置データとを用いて決定される。
【0066】
次にステップS1005では、レンズ制御部106は、ステップS601で取得した現在のズーム位置、ステップS602で取得した現在のフォーカス位置およびメモリ107に記憶されているズーム-カム移動量データを用いて、現在のモータ位置を算出する。具体的には、現在のズーム位置に対応する現在のフォーカス位置から同ズーム位置に対応するカム移動量を差し引くことで現在のモータ位置を算出する。
【0067】
ステップS1006では、レンズ制御部106は、ステップS1004で決定したモータ目標位置から現在のモータ位置を差し引いて得られるモータ可動部122に必要な移動量から、モータ駆動量およびモータ駆動速度をモータ駆動指令値として算出する。そして本処理を終了する。
【0068】
以上述べたように本実施例では、現在のフォーカス位置からカム移動量を差し引いて得られる現在のモータ位置を、予め記憶されたズーム-モータ位置データにおけるモータ目標位置から差し引いてモータ駆動指令値を算出する。これにより、フォーカス駆動部110の駆動を適切に制御することができる。これにより、交換レンズ100の全長を短縮しつつ、ズーミング時のピント補正の遅れを抑制することができる。
【実施例3】
【0069】
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例は、実施例1に述べたモータ駆動指令値に基づく駆動制御の具体例について説明する実施例でもある。実施例1では、図6のフローチャートに従って、所定時間経過後にフォーカスレンズ104を所望の位置(最終フォーカス目標位置)に位置させるためのモータ駆動指令値が第1の制御周期毎に算出される。本実施例では、モータ駆動指令値が算出された後、フォーカスレンズがモータ駆動指令値に従う移動が完了するまでの間に、第2の制御周期で行われるフォーカスレンズの駆動制御について述べる。なお、第2の制御周期は第1の制御周期よりも短い。
【0070】
本実施例において、実施例1と共通する構成要素には実施例1と同符号を付す。図11は、実施例1に示したレンズ制御部106の具体的な構成例を示している。レンズ制御部106は、モータ目標位置算出部132、カム移動量取得部133、位置制御部134、加算器135および減算器136を有する。
【0071】
モータ目標位置算出部132は、カメラ本体200から与えられたフォーカス駆動指令に応じて、第2の制御周期内でのフォーカス駆動部110(モータ可動部122)の駆動目標位置であるモータ目標位置(第2の駆動目標位置)を生成する。カム移動量取得部(移動量取得手段)133は、ズーム位置検出部108からズーム位置信号を受け取る。そして、図3に示したズーム-カム移動量データから、ズーム操作部105の回転操作量(つまりはズーム位置)に応じたフォーカスカム機構150によるカム移動量を取得する。
【0072】
加算器135は、モータ目標位置とカム移動量とを加算して、第2の制御周期内でのフォーカスレンズ104の目標位置(合焦位置)としてのフォーカス目標位置(第2のフォーカス目標位置)を生成する。減算器136は、第2のフォーカス目標位置からフォーカス位置検出部111により検出されたフォーカス位置を差し引いてフォーカス位置偏差を生成し、位置制御部134に出力する。位置制御部134は、例えばPID制御器であり、フォーカス位置偏差からフォーカスレンズ104をフォーカス目標位置に移動させるためのフォーカス駆動部110の第2の制御周期内でのモータ駆動量と第2の制御周期内でのモータ駆動速度を算出する。算出されたモータ駆動量とモータ駆動速度はフォーカス駆動部110に入力され、フォーカス駆動部110はこれに応じて駆動されてフォーカスレンズ104を駆動する。
【0073】
図12~14を用いて、モータ目標位置算出部132、カム移動量取得部133および加算器135によるフォーカス目標位置の生成手順について詳細に説明する。図12は、フォーカスレンズ104が位置Pから位置P10まで移動するときのフォーカス目標位置の軌跡を示している。位置Pはフォーカス駆動指令を受けた時点(時刻T)でのフォーカス位置を、位置P~Pはそれぞれ、時刻T~Tでのフォーカス目標位置を示している。さらに位置P10は、モータ駆動の終了時点での最終フォーカス目標位置(第1のフォーカス目標位置)を示す。最終フォーカス目標位置は実施例1の図6に示したフローチャート内のS604で定められた値である。時間Tn(n=0,1,2,…,10)は、レンズ制御部106の第2の制御周期を示しており、図12では10周期でフォーカスレンズ104が最終フォーカス目標位置に到達したことを示している。
【0074】
図13(a),(b)は、図12に示したフォーカスレンズ104の駆動におけるズーム位置とカム移動量の変化を示している。図13(a)は、ワイド端からテレ端までのズーム全域のうちの特定の2点間でズーミングを行うときのフォーカスレンズ104の移動量(ここではカム移動量)を示している。図13(b)は図13(a)における上記特定の2点を拡大して示している。フォーカス駆動部110の駆動開始時のカム移動量をCとし、駆動中の制御周期nにおけるカム移動量をCを基準とした相対量としてのCとする。また駆動終了時のカム移動量をC10とする。図中のC′10は、モータ駆動指令値を生成する際に推定された推定ズーム位置(図6のステップS603)から算出された推定カム移動量である。
【0075】
図14のフローチャートは、本実施例におけるレンズ制御部106によるフォーカス駆動部110の制御を示す。レンズ制御部106は、この処理のS1402からS1409までを第2の制御周期ごとに繰り返し実行することで、フォーカスレンズ104を最終フォーカス目標位置まで移動させる。
【0076】
フォーカス駆動指令を受けたレンズ制御部106(モータ目標位置算出部132)は、ステップS1401にて第2の制御周期内でのフォーカス目標位置の初期位置Pに現在のフォーカス位置をセットする。
【0077】
ステップS1402では、レンズ制御部106は、フォーカス位置検出部111から現在のフォーカス位置(フォーカスレンズ104の現在位置)を取得する。
【0078】
次にステップS1403では、レンズ制御部106(カム移動量取得部133)は、現在のズーム位置に対応するカム移動量C(第2の移動量)を取得し、C′10の位置までのカム移動量の残量(カムフォーカス移動残量)を以下の式(4)を用いて算出する。
【0079】
カムフォーカス移動残量=C′10-C (4)
次にステップS1404では、レンズ制御部106は、フォーカス駆動部110の現在のモータ駆動速度からの所定の減速度によってフォーカスレンズ104が停止するまでに進む距離(減速距離)を算出する。現在のモータ駆動速度については後述する。例えば、等減速度(負の加速度)運動である場合は、現在のモータ駆動速度と等減速度の値とから減速距離を計算することができる。
【0080】
次にステップS1405では、レンズ制御部106は、現在のフォーカス位置、カムフォーカス移動残量および減速距離から、フォーカス駆動部110に対する減速処理を実行するか否かを判断する。減速処理を実行しない場合は第2の制御周期内でのフォーカス目標位置を更新する。減速処理を実行するか否かの判断は、以下の式(5)により行う。
【0081】
現在のフォーカス目標位置P+カムフォーカス移動残量+減速距離≧P10 (5)
すなわち、現在のフォーカス目標位置Pに対してカムフォーカス移動残量と減速距離とを加算して得られるフォーカス位置が、図6のステップS604で定められた最終フォーカス目標位置P10以上になる場合は、レンズ制御部106は減速処理を実行する。最終フォーカス目標位置P10に達しない場合は減速処理を実行せずに、フォーカス目標位置の更新を以下の式(6)~(8)を用いて行う。
【0082】
n+1=P+Mn+1+C(6)
n+1=M+Vn+1×T (7)
n+1=V+α×T (8)
はn周期目におけるモータ駆動速度を、αは加速度を、Tはフィードバック演算の演算周期(つまりは第2の制御周期)を表す。式(8)によってモータ駆動速度の目標値が更新される。このようにしてレンズ制御部106は、フォーカス駆動部110のモータ駆動速度が図6のステップS606にて算出されたモータ駆動速度に達するまで、所定の加速度αにて加速処理を行う。フォーカス駆動部110のモータ駆動速度がステップS606にて算出されたモータ駆動速度に達すると、レンズ制御部106は加速処理を止めて(α=0として)、それ以降のモータ駆動速度の目標値を固定値に設定する。
【0083】
また、式(7)のMはn周期目におけるモータ目標位置(第2の駆動目標位置)を示している。モータ目標位置算出部132は、式(7)におけるM=0として、フォーカス駆動部110がモータ駆動速度Vで駆動される際のモータ目標位置を第2の制御周期Tごとに計算する。
【0084】
第2の制御周期内でのフォーカス目標位置の更新は、式(6)により行われる。フォーカス初期位置Pにモータ目標位置算出部132により算出されるモータ目標位置Mn+1とカム移動量取得部133により取得されるカム移動量Cとが加算器135により加算されることで、更新されたフォーカス目標位置(第2のフォーカス目標位置)Pn+1が算出される。
【0085】
続いてステップS1406では、レンズ制御部106(減算器136)は、ステップS1405において更新されたフォーカス目標位置(第2のフォーカス目標位置)から現在のフォーカス位置を差し引いてフォーカス位置偏差を算出する。
【0086】
次にステップS1407では、レンズ制御部106(位置制御部134)は、フォーカス位置偏差から今回の周期におけるモータ駆動量とモータ駆動速度を演算し、ステップS1408にてこれらをフォーカス駆動部110に出力する。これにより、フォーカスレンズ104がステップS1405にて更新されたフォーカス目標位置に移動される。
【0087】
最後にステップS1409では、レンズ制御部106は、ステップS1405で算出したレンズ目標位置Pが最終フォーカス目標位置P10に到達したか否かを判定し、到達した場合は処理を終了する。到達していない場合はステップS1402に戻ってフォーカス目標位置の更新を続ける。ステップS1402~S1405の処理が第2の制御周期Tごとに繰り返し実行されることにより、図12に示したような初期フォーカス位置Pから最終フォーカス目標位置P10までの、第2の制御周期でのフォーカス目標位置の軌跡が生成される。
【0088】
本実施例によれば、実施例1と同様に、現在のフォーカス位置とフォーカス目標位置(合焦位置)との差からカムフォーカスカム移動量を差し引いてフォーカス駆動部110の駆動制御を行うことにより、フォーカス駆動部110を適切に制御することができる。
【実施例4】
【0089】
次に、本発明の実施例4について説明する。本実施例は、実施例2で説明したモータ駆動指令値に基づく駆動制御の具体例について説明する実施例でもある。実施例2では、図10のフローチャートに従って、所定時間経過後にフォーカスレンズ104を所望の位置に位置させるためのモータ駆動指令値が第1の制御周期毎に算出される。本実施例では、モータ駆動指令値が算出された後、フォーカスレンズがモータ駆動指令値に従う移動が完了するまでの間に、第2の制御周期で行われるフォーカスレンズの駆動制御について述べる。なお、第2の制御周期は第1の制御周期よりも短い。
【0090】
本実施例において、上述した各実施例と共通する構成要素には同符号を付して説明する。図15は、図1のレンズ制御部106の具体的な構成例を示している。レンズ制御部106は、モータ目標位置算出部132、カム移動量取得部133、位置制御部134および減算器136,137を有する。
【0091】
レンズ制御部106は、フォーカス位置検出部111により検出されたフォーカス位置からカム移動量を減算器137にて差し引くことでモータ位置を算出する。モータ目標位置算出部132は、実施例3にて説明した式(7),(8)を用いて第2の制御周期におけるモータ目標位置(第2の駆動目標位置)を算出する。このとき図10のS1006にて算出されたモータ駆動指令値が用いられる。減算器136は、減算器137からの第2の制御周期におけるモータ目標位置からモータ位置(現在位置)を減算してモータ位置偏差を算出する。
【0092】
前述した実施例3ではフォーカス位置検出部111により検出されたフォーカス位置とステップS1405で算出される第2の制御周期内でのフォーカス目標位置との偏差に基づいて今回の周期におけるモータ駆動量とモータ駆動速度を生成した。一方、本実施例では、フォーカス位置検出部111により検出されたフォーカス位置からカム移動量を差し引いて得られる現在のモータ位置と第2の制御周期内でのモータ目標位置との偏差に基づいて今回の周期におけるモータ駆動量とモータ駆動速度を生成する。
【0093】
図16のフローチャートは、本実施例においてレンズ制御部106がモータ目標位置を生成してフォーカス駆動部110を制御する処理を示す。レンズ制御部106は、この処理を第2の制御周期Tごとに繰り返し実行することでモータ位置をモータ目標位置(図10のステップS1004で決定したモータ目標位置)駆動することができる。
【0094】
まずステップS1701において、レンズ制御部106は、フォーカス位置検出部111から現在のフォーカス位置を取得する。
【0095】
次にステップS1702では、レンズ制御部106(減算器137)は、検出されたフォーカス位置から、カム移動量取得部133により取得されたカム移動量を差し引いて現在のモータ位置を算出する。
【0096】
次にステップS1703では、レンズ制御部106(モータ目標位置算出部132)は、第2の制御周期におけるモータ目標位置(第2の駆動目標位置)を式(7),(8)に基づいて算出する。
【0097】
次にステップS1704では、レンズ制御部106(減算器136)は、S1703で算出されたモータ目標位置からS1702で算出された現在のモータ位置を差し引いてモータ位置偏差を算出する。
【0098】
次にステップS1705では、レンズ制御部106(位置制御部134)は、モータ位置偏差から今回の周期におけるモータ駆動量とモータ駆動速度を演算する。そしてステップS1706では、算出された今回の周期におけるモータ駆動量とモータ駆動速度フォーカス駆動部110に出力する。これにより、フォーカス駆動部110(モータ可動部122)がステップS1703で算出されたモータ目標位置に駆動される。そして、図16の処理をモータ位置がステップS1004にて定められたモータ目標位置に到達するまで繰り返し行うことにより、フォーカスレンズ104が合焦位置に移動される。
【0099】
本実施例によれば、現在のモータ位置を、予め記憶されたズーム-モータ位置データにおけるモータ目標位置から差し引いてフォーカス駆動部110の駆動を制御することにより、フォーカス駆動部110を適切に制御することができる。
【0100】
実施例3,4では、カム移動量取得部133が予め記憶されたメモリズーム-カム移動量データを用いてズーム位置に応じたカム移動量を取得する場合について説明した。しかし、フォーカス駆動部110におけるモータベース部121に対するモータ可動部122の位置(モータ位置)を計測するセンサ(可動部検出手段)を設け、検出された現在のフォーカス位置から計測されたモータ位置を差し引いてカム移動量を算出してもよい。
【0101】
また実施例3,4ではフォーカスレンズ104を移動させる場合について説明したが、フォーカスレンズに限らず、移動可能なレンズを実施例3,4と同様の構成および処理によって移動させることができる。また実施例3,4でも、フォーカスカム機構に代えて第2の駆動手段としてモータを用いてもよい。
【0102】
さらに実施例1~4では、交換レンズ100においてレンズの駆動を制御する場合について説明したが、実施例1~4と同様にして光学機器としてのレンズ一体型撮像装置においてレンズの駆動を制御してもよい。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0103】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0104】
100 交換レンズ
102 変倍レンズ
104 フォーカスレンズ
106 レンズ制御部
110 フォーカス駆動部
111 フォーカス位置検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16