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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240122BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240122BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240122BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240122BHJP
   G03G 21/20 20060101ALI20240122BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
G03G15/00 680
G03G15/20 555
G03G21/16 152
G03G21/00 398
G03G15/20 515
G03G21/20
H05B3/00 310A
H05B3/00 335
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019196146
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2020079936
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2018211664
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018214524
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋屋 佳吾
(72)【発明者】
【氏名】小椋 亮太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 悠二
(72)【発明者】
【氏名】並木 輝彦
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-344882(JP,A)
【文献】特開2018-080992(JP,A)
【文献】特開2017-054071(JP,A)
【文献】特表2014-521935(JP,A)
【文献】特開2005-062752(JP,A)
【文献】特開2001-290323(JP,A)
【文献】特開2011-023384(JP,A)
【文献】特開2006-258877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0150595(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0131161(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/00
G03G 21/16
G03G 21/20
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材にトナー画像を形成する画像形成装置であって、
筒状のフィルムと、交流電源から供給される電力によって発熱するヒータであって前記フィルムの内面に接触するヒータと、前記ヒータと共に記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成するローラと、前記ヒータの前記フィルムと接触する面側に設けられた前記ヒータの温度を検知する温度検知素子と、を有し、記録材に形成されたトナー画像を記録材に加熱定着する定着ユニットと、
前記ヒータへ供給する電力を制御する電力制御回路が設けられた回路基板と、
を備え、
前記定着ユニット内の回路と前記電力制御回路を合わせた回路に、前記交流電源から前記ヒータへ電力を供給する第1の回路と、前記第1の回路と電気的に絶縁されている第2の回路と、前記第1の回路及び前記第2の回路の両方に対して絶縁されている第3の回路と、が設けられており、
前記第3の回路が、前記温度検知素子及び前記温度検知素子の信号線が接続される温度検知回路を有しており、
前記回路基板の少なくとも一つの面には、前記第1乃至第3の回路が全て設けられており、
前記回路基板の前記一つの面の中の前記第1乃至第3の回路が全て存在する直線上では、前記第1乃至第3の回路が、前記第1の回路、前記第3の回路、前記第2の回路の順番に配置されており、
前記第1の回路と前記第3の回路の間の距離及び前記第3の回路と前記第2の回路の間の距離は、共に、強化絶縁を満たす距離より短く基礎絶縁を満たす距離になっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の回路と前記第3の回路はユーザが触ることができる電気部品や配線を有していない回路であり、前記第2の回路はユーザが触ることができる電気部品や配線を有する回路であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
記録材にトナー画像を形成する画像形成装置であって、
筒状のフィルムと、交流電源から供給される電力によって発熱するヒータであって前記
フィルムの内面に接触するヒータと、前記ヒータと共に記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成するローラと、前記ヒータの前記フィルムと接触する面側に設けられた前記ヒータの温度を検知する温度検知素子と、を有し、記録材に形成されたトナー画像を記録材に加熱定着する定着ユニットと、
前記ヒータへ供給する電力を制御する電力制御回路が設けられた、第1の回路基板と前記第1の回路基板と重ねて配置されている第2の回路基板と、
を備え、
前記定着ユニット内の回路と前記電力制御回路を合わせた回路に、前記交流電源から前記ヒータへ電力を供給する第1の回路と、前記第1の回路と電気的に絶縁されている第2の回路と、前記第1の回路及び前記第2の回路の両方に対して絶縁されている第3の回路と、が設けられており、
前記第3の回路が、前記温度検知素子及び前記温度検知素子の信号線が接続される温度検知回路を有しており、
前記第1の回路基板の一方の面に前記第1の回路が配置され、前記第1の回路基板の他方の面と、前記第1の回路基板と対向する面である前記第2の回路基板の一方の面と、の間に前記第3の回路が配置され、前記第2の回路基板の他方の面に前記第2の回路が配置されており、
前記第1の回路基板の厚み及び前記第2の回路基板の厚みが、共に、強化絶縁を満たす厚みより薄く基礎絶縁を満たす厚みになっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の回路と前記第3の回路はユーザが触ることができる電気部品や配線を有していない回路であり、前記第2の回路はユーザが触ることができる電気部品や配線を有する回路であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
記録材にトナー画像を形成する画像形成装置であって、
筒状のフィルムと、交流電源から供給される電力によって発熱するヒータであって前記フィルムの内面に接触するヒータと、前記ヒータと共に記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成するローラと、前記ヒータの前記フィルムと接触する面側に設けられた前記ヒータの温度を検知する温度検知素子と、を有し、記録材に形成されたトナー画像を記録材に加熱定着する定着ユニットと、
前記ヒータへ供給する電力を制御する電力制御回路が設けられた回路基板と、
を備え、
前記定着ユニット内の回路と前記電力制御回路を合わせた回路に、前記交流電源から前記ヒータへ電力を供給する第1の回路と、前記第1の回路と電気的に絶縁されている第2の回路と、前記第1の回路及び前記第2の回路の両方に対して絶縁されている第3の回路と、が設けられており、
前記第3の回路が、前記温度検知素子及び前記温度検知素子の信号線が接続される温度検知回路を有しており、
前記回路基板の第1の面に前記第1の回路が配置され、前記第1の面の裏面である第2の面の領域であって前記第1の回路が設けられた領域の真裏ではない領域に前記第2の回路が配置され、前記第1及び第2の面の少なくとも一方に前記第3の回路が配置されており、
前記第3の回路が前記第1の面に配置されている場合の前記第1の回路と前記第3の回路の間の距離及び前記第3の回路が前記第2の面に配置されている場合の前記第3の回路と前記第2の回路の間の距離は、共に、強化絶縁を満たす距離より短く基礎絶縁を満たす距離になっており、
前記回路基板の厚みが強化絶縁を満たす厚みより薄く基礎絶縁を満たす厚みになっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記第3の回路は、前記第1の回路が設けられた領域の真裏、又は第2の回路が設けら
れた領域の真裏に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の回路と前記第3の回路はユーザが触ることができる電気部品や配線を有していない回路であり、前記第2の回路はユーザが触ることができる電気部品や配線を有する回路であることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
記録材にトナー画像を形成する画像形成装置であって、
記録材にトナー画像を形成する画像形成部を備えた装置本体と、
筒状のフィルムと、交流電源から供給される電力によって発熱するヒータであって前記フィルムの内面に接触するヒータと、前記ヒータと共に記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成するローラと、前記ヒータの前記フィルムと接触する面側に設けられた前記ヒータの温度を検知する温度検知素子と、を有し、記録材に形成されたトナー画像を記録材に加熱定着する定着ユニットであって、前記装置本体に着脱可能である前記定着ユニットと、
前記ヒータへ供給する電力を制御する電力制御回路が設けられた回路基板と、
前記定着ユニットと前記電力制御回路を電気的に接続するコネクタと、
を備え、
前記定着ユニット内の回路と前記電力制御回路を合わせた回路に、前記交流電源から前記ヒータへ電力を供給する第1の回路と、前記第1の回路と電気的に絶縁されている第2の回路と、前記第1の回路及び前記第2の回路の両方に対して絶縁されている第3の回路と、が設けられており、
前記第3の回路が、前記温度検知素子及び前記温度検知素子の信号線が接続される温度検知回路を有しており、
前記コネクタには、前記第1の回路、前記第3の回路、前記第2の回路の順に前記第1乃至第3の回路が並んでおり、
前記第1の回路と前記第3の回路の間の距離及び前記第3の回路と前記第2の回路の間の距離は、共に、強化絶縁を満たす距離より短く基礎絶縁を満たす距離になっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記第1の回路と前記第3の回路はユーザが触ることができる電気部品や配線を有していない回路であり、前記第2の回路はユーザが触ることができる電気部品や配線を有する回路であることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記コネクタは単一のコネクタであることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記コネクタは、前記第1の回路、前記第2の回路、および前記第3の回路のそれぞれに対応した3つのコネクタであることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記コネクタは、前記第1の回路、前記第2の回路、および前記第3の回路のうち1つが含まれる第1のコネクタと、残りの2つが含まれる第2のコネクタと、を含むことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式を利用した複写機、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に搭載される定着ユニットとして、筒状のフィルムと、フィルムの内面に接触する板状のヒータと、フィルムを介してヒータと共にニップ部を形成するローラと、を有する構成のものがある。また、ヒータ基板のフィルムと接触する面の側にサーミスタを設けることで、ニップ部の温度を精度良く検知する構成が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-194837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヒータ基板のフィルムと接触する面の側にサーミスタを設ける構成を採用する場合、絶縁耐圧を確保するための工夫が必要である。そのための構成として、サーミスタが電気的に繋がっている温度検知回路を、商用電源と電気的に繋がっている1次側回路(第1の電位群)と、1次側回路と電気的に絶縁されている2次側回路(第2の電位群)の両方に対して電気的に絶縁する構成が考えられる。
【0005】
しかしながら、各電位群間の距離を確保する必要があるので、第1の電位群と、第2の電位群と、温度検知回路を設けた電位群と、が回路基板内で混在した場合、回路基板のサイズが大きくなってしまう。回路基板の大型化は画像形成装置の小型化に不利である。
【0006】
本発明の目的は、ヒータの大型化を抑えつつヒータのフィルムとの摺動面に温度検知素子を配置することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
記録材にトナー画像を形成する画像形成装置であって、
筒状のフィルムと、交流電源から供給される電力によって発熱するヒータであって前記フィルムの内面に接触するヒータと、前記ヒータと共に記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成するローラと、前記ヒータの前記フィルムと接触する面側に設けられた前記ヒータの温度を検知する温度検知素子と、を有し、記録材に形成されたトナー画像を記録材に加熱定着する定着ユニットと、
前記ヒータへ供給する電力を制御する電力制御回路が設けられた回路基板と、
を備え、
前記定着ユニット内の回路と前記電力制御回路を合わせた回路に、前記交流電源から前記ヒータへ電力を供給する第1の回路と、前記第1の回路と電気的に絶縁されている第2の回路と、前記第1の回路及び前記第2の回路の両方に対して絶縁されている第3の回路と、が設けられており、
前記第3の回路が、前記温度検知素子及び前記温度検知素子の信号線が接続される温度検知回路を有しており、
前記回路基板の少なくとも一つの面には、前記第1乃至第3の回路が全て設けられており、
前記回路基板の前記一つの面の中の前記第1乃至第3の回路が全て存在する直線上では、前記第1乃至第3の回路が、前記第1の回路、前記第3の回路、前記第2の回路の順番に配置されており、
前記第1の回路と前記第3の回路の間の距離及び前記第3の回路と前記第2の回路の間の距離は、共に、強化絶縁を満たす距離より短く基礎絶縁を満たす距離になっていることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
記録材にトナー画像を形成する画像形成装置であって、
筒状のフィルムと、交流電源から供給される電力によって発熱するヒータであって前記フィルムの内面に接触するヒータと、前記ヒータと共に記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成するローラと、前記ヒータの前記フィルムと接触する面側に設けられた前記ヒータの温度を検知する温度検知素子と、を有し、記録材に形成されたトナー画像を記録材に加熱定着する定着ユニットと、
前記ヒータへ供給する電力を制御する電力制御回路が設けられた、第1の回路基板と前記第1の回路基板と重ねて配置されている第2の回路基板と、
を備え、
前記定着ユニット内の回路と前記電力制御回路を合わせた回路に、前記交流電源から前記ヒータへ電力を供給する第1の回路と、前記第1の回路と電気的に絶縁されている第2の回路と、前記第1の回路及び前記第2の回路の両方に対して絶縁されている第3の回路と、が設けられており、
前記第3の回路が、前記温度検知素子及び前記温度検知素子の信号線が接続される温度検知回路を有しており、
前記第1の回路基板の一方の面に前記第1の回路が配置され、前記第1の回路基板の他方の面と、前記第1の回路基板と対向する面である前記第2の回路基板の一方の面と、の間に前記第3の回路が配置され、前記第2の回路基板の他方の面に前記第2の回路が配置されており、
前記第1の回路基板の厚み及び前記第2の回路基板の厚みが、共に、強化絶縁を満たす厚みより薄く基礎絶縁を満たす厚みになっていることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
記録材にトナー画像を形成する画像形成装置であって、
筒状のフィルムと、交流電源から供給される電力によって発熱するヒータであって前記フィルムの内面に接触するヒータと、前記ヒータと共に記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成するローラと、前記ヒータの前記フィルムと接触する面側に設けられた前記ヒー
タの温度を検知する温度検知素子と、を有し、記録材に形成されたトナー画像を記録材に加熱定着する定着ユニットと、
前記ヒータへ供給する電力を制御する電力制御回路が設けられた回路基板と、
を備え、
前記定着ユニット内の回路と前記電力制御回路を合わせた回路に、前記交流電源から前記ヒータへ電力を供給する第1の回路と、前記第1の回路と電気的に絶縁されている第2の回路と、前記第1の回路及び前記第2の回路の両方に対して絶縁されている第3の回路と、が設けられており、
前記第3の回路が、前記温度検知素子及び前記温度検知素子の信号線が接続される温度検知回路を有しており、
前記回路基板の第1の面に前記第1の回路が配置され、前記第1の面の裏面である第2の面の領域であって前記第1の回路が設けられた領域の真裏ではない領域に前記第2の回路が配置され、前記第1及び第2の面の少なくとも一方に前記第3の回路が配置されており、
前記第3の回路が前記第1の面に配置されている場合の前記第1の回路と前記第3の回路の間の距離及び前記第3の回路が前記第2の面に配置されている場合の前記第3の回路と前記第2の回路の間の距離は、共に、強化絶縁を満たす距離より短く基礎絶縁を満たす距離になっており、
前記回路基板の厚みが強化絶縁を満たす厚みより薄く基礎絶縁を満たす厚みになっていることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
記録材にトナー画像を形成する画像形成装置であって、
記録材にトナー画像を形成する画像形成部を備えた装置本体と、
筒状のフィルムと、交流電源から供給される電力によって発熱するヒータであって前記フィルムの内面に接触するヒータと、前記ヒータと共に記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成するローラと、前記ヒータの前記フィルムと接触する面側に設けられた前記ヒータの温度を検知する温度検知素子と、を有し、記録材に形成されたトナー画像を記録材に加熱定着する定着ユニットであって、前記装置本体に着脱可能である前記定着ユニットと、
前記ヒータへ供給する電力を制御する電力制御回路が設けられた回路基板と、
前記定着ユニットと前記電力制御回路を電気的に接続するコネクタと、
を備え、
前記定着ユニット内の回路と前記電力制御回路を合わせた回路に、前記交流電源から前記ヒータへ電力を供給する第1の回路と、前記第1の回路と電気的に絶縁されている第2の回路と、前記第1の回路及び前記第2の回路の両方に対して絶縁されている第3の回路と、が設けられており、
前記第3の回路が、前記温度検知素子及び前記温度検知素子の信号線が接続される温度検知回路を有しており、
前記コネクタには、前記第1の回路、前記第3の回路、前記第2の回路の順に前記第1乃至第3の回路が並んでおり、
前記第1の回路と前記第3の回路の間の距離及び前記第3の回路と前記第2の回路の間の距離は、共に、強化絶縁を満たす距離より短く基礎絶縁を満たす距離になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヒータの大型化を抑えつつヒータのフィルムとの摺動面に温度検知素子を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の断面図
図2】定着ユニットの断面図
図3】実施例1におけるヒータ構成図
図4】実施例1における定着ユニット及び電力制御回路図
図5】実施例1における回路基板の構成図
図6】実施例2における回路基板の構成図
図7】実施例3における回路基板の構成図
図8】実施例4及び比較例におけるコネクタ断面図
図9】実施例5におけるコネクタ断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0011】
[実施例1]
図1は電子写真記録技術を用いた画像形成装置(レーザプリンタ)100の断面図である。プリント信号が発生すると、画像情報に応じて変調されたレーザ光をスキャナユニット21が出射し、帯電ローラ16によって所定の極性に帯電された感光体(感光ドラム)19を走査する。これにより感光体19には静電潜像が形成される。この静電潜像に対して現像器17からトナーが供給され、感光体19上に画像情報に応じたトナー画像が形成される。
【0012】
18は感光体19をクリーニングするクリーナである。本実施例では、感光体19、帯電ローラ16、現像ローラを含む現像器17、クリーナ18を含むクリーニングユニットが、プロセスカートリッジ15として、画像形成装置100の本体(装置本体)に対して着脱可能に構成されている。一方、給紙カセット11に積載された普通紙等の記録材Pは、ピックアップローラ12によって一枚ずつ給紙され、ローラ13によってレジストローラ14に向けて搬送される。さらに記録材Pは、感光体19上のトナー画像が感光体19と転写ローラ20で形成される転写位置に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ14から転写位置へ搬送される。記録材Pが転写位置を通過する過程で感光体19上のトナー画像は記録材Pに転写される。その後、記録材Pは定着ユニット200で加熱され、トナー画像が記録材Pに加熱定着される。定着済みのトナー画像を担持する記録材Pは、ローラ26、27によって画像形成装置100上部のトレイに排出される。
【0013】
なお、28は記録材Pのサイズに応じて幅調整可能な一対の記録材規制板を有する給紙トレイ(手差しトレイ)である。29は給紙トレイ28から記録材Pを給紙するピックアップローラ、30は定着ユニット200等を駆動するモータである。定着ユニット200は画像形成装置100から着脱可能である。また、商用の交流電源401に接続された電力制御回路400から、定着ユニット200へ電力供給している。上述した、感光体19、帯電ローラ16、スキャナユニット21、現像器17、転写ローラ20が、記録材Pに未定着画像を形成する画像形成部を構成している。スキャナユニットは、画像情報に応じて発光する半導体レーザ22、レーザ光を偏向するポリゴンミラー23、偏向されたレーザ光を感光体19に向って反射するミラー24を有する。
【0014】
図2は記録材に形成されたトナー画像を記録材に加熱定着する定着ユニット200の断面図である。定着ユニット200は、筒状のフィルム202と、フィルム202の内面に接触するヒータ300と、フィルム202を介してヒータ300と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ(ニップ部形成部材)208と、を有する。ヒータ300は、交流電源401(図4)から供給される電力によって発熱する。トナー画像を担持する記録材は定着ニップ部で挟持搬送される。
【0015】
フィルム202は、材質がポリイミド等の耐熱樹脂又はステンレス等の金属であるベース層と、材質がフッ素樹脂である表層を有する。ベース層と表層の間に材質がシリコーンゴム等である弾性層を設けても良い。
【0016】
加圧ローラ208は、材質が鉄やアルミニウム等の金属である芯金209と、材質がシリコーンゴム等である弾性層210を有する。
【0017】
ヒータ300は材質が液晶ポリマー等の耐熱樹脂である保持部材(ヒータホルダ)201に保持されている。保持部材201はフィルム202の回転を案内するガイド機能も有している。保持部材201は金属製のステー204によって補強されている。ステー204には、加圧ローラ208との間に圧力を掛けることにより定着ニップ部Nを形成するためのバネ(不図示)の圧力が加えられている。加圧ローラ208はモータ30(図1参照)から動力を受けて矢印方向に回転する。加圧ローラ208が回転することによって、フ
ィルム202が従動して回転する。未定着トナー画像を担持する記録材Pは、定着ニップ部Nで挟持搬送されつつ加熱されて定着処理される。
【0018】
ヒータ300は、セラミック製(絶縁性)の基板305と、基板305に印刷された発熱体(発熱抵抗体)302a、302bを有する。ヒータ300には、サーモスイッチや温度ヒューズ等の保護素子212が当接している。保護素子212は、ヒータ300が異常発熱すると内部のスイッチが切れてヒータ300に供給する電力を遮断する。
【0019】
図3(A)は、図3(B)に示す記録材Pの搬送基準位置X0におけるヒータ300の断面図である。ヒータ300は、基板305を基準にして、フィルム202の内面が摺動する側の面である摺動面層1及び摺動面層2と、摺動面層1及び摺動面層2とは反対側の面である裏面層1及び裏面層2を有する。
【0020】
ヒータ300の裏面層1には、導電体301と導電体303が設けられている。導電体301は、記録材Pの搬送方向の上流側に配置された導電体301aと、下流側に配置された導電体301bに分離されている。裏面層1には、導電体301と導電体303の間に設けられており、導電体301と導電体303を介して供給される電力により発熱する発熱体302も設けられている。発熱体302は、記録材Pの搬送方向の上流側に配置された発熱体302aと、下流側に配置された発熱体302bに分離されている。また、裏面層1には、ヒータ300の外部の給電用端子(不図示)が繋がる電極E3が設けられている。ヒータ300の裏面層2には、絶縁性のガラスを材質とする保護層308が設けられている。保護層308は、電極E3及び後述する電極E4以外の領域を覆っている。
【0021】
図3(B)は、裏面層2、裏面層1、摺動面層1の各層におけるヒータ300の平面図である。裏面層1には、導電体301と導電体303と発熱体302、電極E3の組からなる発熱ブロックHB1~HB7が、ヒータ300の長手方向に沿って7つ設けられている。なお、図中の番号302a-1は、発熱ブロックHB1中の発熱体302a-1を示しており、番号302a-2は、発熱ブロックHB2中の発熱体302a-2を示しており、末尾の番号が、対応する発熱ブロックを示している。発熱体302b、導電体303、電極E3の末尾に付いている番号の意味も同様である。符号E4、E5は電極である。電気的に、発熱体302は、一方が電極E3、他方が電極E4及びE5、に接続されている。
【0022】
保護層308は、電極E3-1~E3-7及びE4、E5の箇所を除いて設けられている。ヒータ300の外部の給電用端子(不図示)は、ヒータ300の裏面側から、電極E3-1~E3-7及びE4、E5に接続される。7つの発熱ブロックHB1~HB7は、各々独立して制御される。
【0023】
摺動面層1には、ヒータ300の温度を検知するためのサーミスタ(温度検知素子)T1-1~T1-7、T2-2~T2-6が設けられている。サーミスタT1-1~T1-7(メインサーミスタ)は、7つの発熱ブロックHB1~HB7夫々に一つずつ設けられている。メインサーミスタT1-1~T1-7は、主に、各発熱ブロックHB1~HB7の温度制御のために用いられる。そのため、ヒータ300の長手方向において、各メインサーミスタT1-1~T1-7は、各発熱ブロックHB1~HB7の略中央に設けられている。
【0024】
サーミスタT2-2~T2-6(サブサーミスタ)は、5つの発熱ブロックHB2~HB6夫々に一つずつ設けられている。サブサーミスタT2-2~T2-6は、幅が狭い記録材Pにプリントするケースにおける、ヒータ300の非通紙領域の温度を検知するために設けられている。そのため、サブサーミスタT2-2~T2-6は、発熱ブロックHB
1~HB7の各々の、搬送基準位置X0からヒータ300の長手方向に最も離れた位置付近に配置されている。なお、発熱ブロックHB1とHB7は、ヒータ300の長手方向における領域が狭いのでサブサーミスタを省略している。
【0025】
メインサーミスタT1-1~T1-7の一方の端子は、抵抗値検出用の導電体ET1-1~ET1-7に夫々接続されており、他方の端子は共通の導電体EG9に接続されている。サブサーミスタT2-2~T2-6の一方の端子は、抵抗値検出用の導電体ET2-2~ET2-6に夫々接続されており、他方の端子は共通の導電体EG10に接続されている。ヒータ300の幅(ヒータ300の短手方向の長さ)Lはサーミスタの数が増えると大きくなってしまうが、共通の導電体EG9、EG10を採用する等の工夫により大型化が抑えられている。
【0026】
ヒータ300の摺動面層2には、ガラス等の材質でコーティングした保護層309が設けられている。保護層309は、全ての導電体ET1-1~ET1-7、ET2-2~ET2-6、EG9、EG10のヒータ300の長手方向における端部が露出するように、全てのメインサーミスタ、全てのサブサーミスタ、及び全ての導電体を覆っている。
【0027】
図4は、定着ユニット200及び電力制御回路400を示している。定着ユニット200内の回路及び電力制御回路400を合わせた回路には、交流電源401からヒータ300(発熱体302a、302b)へ電力を供給する1次側回路である第1の電位群(第1の回路)415がある。更に、第1の電位群415と電気的に絶縁されており、ヒータ300へ供給する電力を制御する2次側回路である第2の電位群(第2の回路)406がある。第1の回路415はユーザが触ることができない回路である。第2の回路406は、ユーザが触ることができる電気部品や配線を有する回路である。例えば、PC等の外部機器との接続に用いるインターフェースケーブル等の電気部品も、ユーザが触ることができるので、第2の回路406に含まれる。更に、第1の電位群415及び第2の電位群406の両方に対して絶縁されている第3の電位群(第3の回路)405がある。第3の回路405は、ユーザが触ることができる電気部品や配線を有していない(ユーザが触ることができない)回路である。この点で、第3の回路405は第2の回路406と異なる。
【0028】
ヒータ300の異常発熱等が要因でヒータ300が割れた場合、電極E3-1~E3-7、E4、E5や発熱体302a、302b等の第1の電位群415と、サーミスタT1-1~T1-7、T2-2~T2-6が電気的に繋がってしまうことが考えられる。そこで、本実施例は、両者が電気的に繋がっても、ユーザや第2の電位群406との絶縁を確保する構成になっている。具体的には、サーミスタT1-1~T1-7、T2-2~T2-6や温度検知回路402の第3の電位群405を、第1の電位群415及び第2の電位群406に対して電気的に絶縁させている。
【0029】
定着ユニット200はプリンタ100の本体に対して着脱可能である。定着ユニット200はコネクタ403を介してプリンタ100の本体と電気的に接続している。
【0030】
次に、第1の電位群415内の回路を説明する。電力制御回路400内において、商用の交流電源401は、リレー423及び424、トライアック408~414を介してコネクタ403に接続されている。一方、定着ユニット200内において、コネクタ403からの電力供給ラインはヒータ300の電極E3-1~E3-7とE4、E5に接続されている。
【0031】
次に第3の電位群405内の回路を説明する。定着ユニット200内において、サーミスタT1-1~T1-7、T2-2~T2-6の導電体ET1-1~ET1-7、ET2-2~ET2-6、EG9、EG10を経由した信号線の夫々は、温度検知回路402に
設置してあるADコンバータ404、保護回路406、407に接続される。なお、図4において、図面の簡略化のため、信号線を二本に纏めて表記してある。ADコンバータ404はサーミスタT1-1~T1-7、T2-2~T2-6のアナログ信号をデジタル信号に変換する。また、コネクタ403の接続ピン数を減らす目的で、例えばUART通信のようなデータ通信を用いる。コネクタ403は電力制御回路400に接続されている。電力制御回路400内において、コネクタ403に接続されている信号線(第3の電位群)は、絶縁カプラ(フォトトライアックカプラ)418を介して、第3の電位群405及び第1の電位群415の両方と電気的に絶縁された第2の電位群406に接続する。保護回路406、407は、サーミスタT1-1~T1-7、T2-2~T2-6のアナログ信号が所定の閾値を超えるとRL1OFF信号及びRL2OFF信号を出力し、ヒータ300への電力供給を遮断する。RL1OFF信号の信号線及びRL2OFF信号の信号線はコネクタ403に接続され、その先で電力制御回路400に接続される。電力制御回路400内部において、各信号線は、各々、絶縁カプラ425及び426を介してラッチ回路427及び428に接続される。
【0032】
最後に第2の電位群406内の回路を説明する。絶縁カプラ418を介した信号はCPU431に入力する。CPU431は、受け取ったメインサーミスタT1-1~T1-7の信号に基づいて、発熱ブロックHB1~HB7が夫々に設定された目標温度を維持するために必要な電力を、例えばPID制御を用いて決定する。CPU431は、決定した電力が発熱ブロックHB1~HB7の各々に供給されるように、トライアック408~414へ信号FSRD1~7を送信する。第2の電位群406から第1の電位群415へ信号FSRD1~7を送信するためにフォトトライアックカプラ416~422を用いることにより、第2の電位群406と第1の電位群415間の絶縁を確保している。ラッチ回路427及び428は、サブサーミスタT2-2~T2-6の温度が所定の温度以上になるとRL1OFF信号及びRL2OFF信号の論理をOFFに固定する回路である。ラッチ回路427及び428から出力するRL1OFF信号及びRL2OFF信号の信号線は各々トランジスタ429及び430に接続されている。そして、リレー423及び424のコイルに流れる電流を遮断する構成となっている。定着ユニット200には保護素子212が設置されており、電力制御回路400上の電源がコネクタ403を介して保護素子212に接続されている。保護素子212を介した電源はコネクタ403を介してリレー423及び424のコイルの電源に接続される。よってヒータ300の異常発熱により保護素子212がOFFした場合、リレー423及び424のコイルに電力が供給されなくなる。リレー423及び424がOFFすることでヒータ300への電力供給が遮断される。
【0033】
図4で示したように、電力制御回路400は、第1の電位群415、第2の電位群406及び第3の電位群405が混在する構成となっている。なお、第2の電位群と第1の電位群に跨っているリレー423及びリレー424は、リレー423及びリレー424の内部構造により両者間の絶縁を確保している。
【0034】
図5は、電力制御回路400を実装した回路基板500の平面図である。回路基板500は、第1の電位群415、第2の電位群406、及び第3の電位群405が混在する構成となっている。具体的には、回路基板500の少なくとも一つの面には、3つの電位群(第1乃至第3の回路)415、406、405が全て設けられている。第1の電位群415と第2の電位群406が混在する回路において、第1の電位群415と第2の電位群406間の距離Cは、安全規格(IEC60950-1、IEC62368-1)上の強化絶縁を満たす距離が必要となる。一方、第1の電位群415と第3の電位群405間の距離A、第3の電位群405と第2の電位群406間の距離Bは、それぞれ安全規格上の基礎絶縁を確保する距離であれば構わない。各距離の関係性は、距離C>距離A、距離C>距離Bである。ここで、基礎絶縁とは、感電に対する基礎的な保護を行うために施した
絶縁のことである。また、2重絶縁とは、基礎絶縁が故障した場合の保護を行う付加絶縁を、基礎絶縁に対して更に施したものである。強化絶縁とは、単一の絶縁で感電に対して2重絶縁と同程度の保護を施したものである。なお、本実施例では、強化絶縁と2重絶縁を総称して強化絶縁と表現する。
【0035】
図5(A)は、比較例1の回路基板1500上の各電位群の配置を示した平面図、及び直線Xの位置における断面図である。直線X上には、第1の電位群415、第2の電位群406、第3の電位群405のすべてが存在し、図5の左側から、第2の電位群406、第1の電位群415、第3の電位群405の順番で配置されている。このように配置した場合、電位群間の絶縁を確保するために必要な電位群間の距離は距離Cと距離A(<距離C)である。特に、第1の電位群415と第2の電位群406が隣り合っているので、距離Cを大きく取る必要がある。第1の電位群415と第3の電位群405間も基礎絶縁のため距離Aを必要とするので、絶縁に必要なトータルの距離は、距離A+距離Cとなる。
【0036】
図5(B)は、実施例1の回路基板500上の各電位群の配置を示した平面図、及び直線Xの位置における断面図である。直線X上には、第1の電位群415、第2の電位群406、第3の電位群405のすべてが存在し、図5の左側から、第2の電位群406、第3の電位群405、第1の電位群415の順番で配置されている。即ち、回路基板500の一つの面の中の第1乃至第3の回路415、406、405が全て存在する少なくとも一つの直線上では、第1乃至第3の回路が、第1の回路415、第3の回路405、第2の回路406の順番に配置されている。このように配置した場合、電位群間の絶縁を確保するために必要な電位群間の距離は距離B(<距離C)と距離A(<距離C)である。第2の電位群406と第3の電位群405の間は基礎絶縁でよいので距離B(<距離C)で済み、第1の電位群415と第3の電位群405間も基礎絶縁でよいので距離A(<距離C)で済む。また、(距離A+距離B)≧距離Cを満たしていれば、第1の電位群415と第2の電位群406の間で必要な強化絶縁も確保できる。よって、実施例1の回路基板500おいて絶縁の為に必要な距離A+Cは、比較例1の回路基板1500において絶縁の為に必要な距離A+Cよりも短く、比較例1よりも回路基板500の面積を小さくできる。
【0037】
以上のように、本実施例の装置は、定着ユニット200と回路基板500を合わせた回路に、交流電源401からヒータ300へ電力を供給する回路を有する第1の電位群415と、第1の電位群415と電気的に絶縁されている第2の電位群406が設けられている。更に、第1の電位群415及び第2の電位群406の両方に対して絶縁されている第3の電位群405が設けられている。更に、回路基板500の少なくとも一つの面には3つの電位群415、406、405が全て配置されている。更に、3つの電位群415、406、405が全て存在する少なくとも一つの直線上では、3つの電位群415、406、405が、第1の電位群415、第3の電位群405、第2の電位群406の順番に配置されている。
【0038】
なお、回路基板500上の任意の直線上において、電位群は必ずしも3種類存在する必要はないが、3種類存在する場合は、3つの電位群が各々一箇所のみ存在するように3つの電位群を配置することが基板の面積縮小のためには望ましい。また、3つの電位群(第1~第3の回路)415、406、405が全て存在する全ての直線上で、3つの電位群が、第1の電位群415、第3の電位群405、第2の電位群406の順番に配置されている構成がより好ましい。
【0039】
[実施例2]
図6(A)は比較例2の回路基板1501の断面図、図6(B)は実施例2の回路基板2500の断面図である。実施例2における回路基板2500は2層基板である。先に述
べた安全規格上の絶縁構成は基板厚み方向においても求められる。
【0040】
比較例である図6(A)において、直線Y上には、第3の電位群405、第1の電位群415、第2の電位群406のすべてが存在し、第3の電位群405、第1の電位群415、第2の電位群406の順番で配置されている。この場合、第1の電位群415と第3の電位群405間に必要な回路基板1501aの厚みは厚みA、第1の電位群415と第2の電位群406間に必要な回路基板1501cの厚みは厚みC(>厚みA)である。よって、回路基板1501として、最低、厚みA+Cが必要である。
【0041】
実施例2である図6(B)において、直線Y上には、第1の電位群415、第3の電位群405、第2の電位群406のすべてが存在し、第1の電位群415、第3の電位群405、第2の電位群406の順番で配置されている。この場合、第1の電位群415と第3の電位群405間に必要な回路基板2500aの厚みは厚みA、第3の電位群405と第2の電位群406間に必要な回路基板2500bの厚みは厚みB(<厚みC)である。よって、回路基板2500として、最低、厚みA+Bが必要であるが、この厚みは、回路基板1501に必要な厚みよりも薄い。
【0042】
以上のように、本実施例によれば回路基板2500の厚みを薄くできる。
【0043】
[実施例3]
図7(A)は、比較例3の回路基板1502の表面の平面図、断面図、裏面の平面図である。図7(B)、(C)は、実施例3の回路基板3501、3502の表面の平面図、断面図、裏面の平面図である。実施例3における回路基板3501、3502は両面基板である。安全規格上で求められる平面方向の距離は実施例1と同様に、距離C>距離A、且つ距離C>距離Bであり、基板厚み方向は実施例2と同様に、厚C>厚A、且つ厚C>厚Bである。
【0044】
比較例3である図7(A)において、回路基板1502の第1の面1502Aに第1の電位群415、第2の電位群406が配置され、裏面である第2の面1502Bに第3の電位群405が配置されている。第1の面1502Aに第1の電位群415と第2の電位群406が配置されるため、距離Cが必要となり、回路基板1502の面積は大きくなる。
【0045】
実施例3である図7(B)において、回路基板3501の第1の面3501Aに第2の電位群406と第3の電位群405が、裏面である第2の面3501Bに第1の電位群415が配置されている。このような配置にすることにより、隣接する電位群間の距離は距離Bとなり、図7(A)の構成よりも回路基板3501の面積を小さくできる。
【0046】
実施例3の変形例である図7(C)において、回路基板3502の第1の面3502Aに第2の電位群406が配置され、裏面である第2の面3502Bに第1の電位群415と第3の電位群405が配置されている。第2の面3502Bにおいて、第1の電位群415と第3の電位群405が配置されることにより、隣接する電位群間の距離は距離Aとなり、図7(A)の構成よりも回路基板3502の面積を小さくできる。
【0047】
以上のように本実施例の装置は、回路基板の第1の面に第1の電位群415が配置され、第1の面の裏面である第2の面に第2の電位群406が配置され、第1及び第2の面の少なくとも一方に第3の電位群405が配置されている。
【0048】
また、第2の電位群406は、第1の電位群415が設けられた領域の真裏ではない領域に設けられている。
【0049】
また、第3の電位群405は、第1の電位群415が設けられた領域の真裏、又は第2の電位群406が設けられた領域の真裏に配置されている。
【0050】
なお、厚A或いは厚Bで第1の電位群415と第2の電位群406間に必要な絶縁距離を確保できるならば、第2の電位群406の回路基板500を挟んだ真裏に第1の電位群415を配置してもよい。
【0051】
実施例2、3において、電位群が回路基板500の端部(縁の近く)に存在する場合や、基板に表面と裏面を貫通するスルーホールが存在する場合は、これらの位置で表と裏に回り込む沿面距離の考慮も必要である。
【0052】
[実施例4]
次に、コネクタの小型化に有効な構成を説明する。
【0053】
図8は、図4に示したコネクタ403の模式的断面図を示しており、第1の電位群(第1の回路)415、第2の電位群(第2の回路)406および第3の電位群(第3の回路)405それぞれに対応するコネクタ部が混在する構成となっている。
【0054】
すなわち、本実施例では、単一のコネクタ403内に、各電位群にそれぞれ対応したコネクタ部が配置されたコネクタ構成となっている。コネクタ403は、定着装置200及び画像形成装置100本体のいずれか一方に設けられたピンを備えた雄側コネクタと、該ピンに対応して他方に設けられたピン穴を備えた雌側コネクタと、で構成されている。図8図9における円は、各コネクタ部におけるピンもしくはピン穴の配置を模式的に示している。なお、図示を省略するが、コネクタ403には、ピンとピン穴との接続状態を維持すべく雄側コネクタと雌側コネクタを位置決めするための嵌合形状部が備えられている。
【0055】
第1の電位群415のコネクタ部と第3の電位群405のコネクタ部との間(第1の電位群415のコネクタ部に含まれるピンと、第3の電位群405のコネクタ部に含まれるピンとの間の最短距離)における絶縁に必要な所定の距離をAとする。同様に、第3の電位群405のコネクタ部と第2の電位群406のコネクタ部との間(第3の電位群405のコネクタ部のピンと第2の電位群406のコネクタ部のピンとの間の最短距離)において絶縁に必要な所定の距離をBとする。また、第1の電位群415のコネクタ部と第2の電位群406のコネクタ部との間(第1の電位群415のコネクタ部のピンと第2の電位群406のコネクタ部のピンとの間の最短距離)において絶縁に必要な所定の距離をCとする。ここではA=B<Cという関係となっている。A及びBは基礎絶縁相当の絶縁距離を想定したものである。Cは強化絶縁相当の絶縁距離を想定したものである。
【0056】
図8(A)は、実施例1におけるコネクタ403内における各電位群にそれぞれ対応したコネクタ部の配置構成を示した模式的断面図である。コネクタ断面左から第1の電位群415のコネクタ部、第3の電位群405のコネクタ部、第2の電位群406のコネクタ部の順番で配置されている。すなわち、第3の電位群405のコネクタ部の一方の側に第1の電位群415のコネクタ部が配置され、その反対側である他方の側に第2の電位群406のコネクタ部が配置されている。各電位群間の距離の和はA+Bとなり、各電位群間の絶縁に必要な距離を確保しつつ、各電位群間の距離の和が最少となるように各電位群を配置した例である。図8(A)では各電位群間にある配線に必要な金属部を外すことで、より絶縁に必要な距離を短くできるように配慮している。例えば、各電位群に必要な本数よりも多い本数のピンを備えたコネクタを利用して、図8(A)等に示す電位群の配置構成を実現する場合には、各電位群で利用しない空きピン及び該空きピンに対応して設けら
れている金属部をコネクタから外して使用する。こうすることで、よりコンパクトなコネクタ(よりピン数の少なくコネクタ)を用いて、必要な絶縁距離を確保した電位群の配置構成を実現することができる。
【0057】
図8(B)は、比較例におけるコネクタ403内のコネクタ配置を示した模式的断面図である。比較例においては、コネクタ断面左から第1の電位群415のコネクタ部、第2の電位群406のコネクタ部、第3の電位群405のコネクタ部の順番で配置されている。このように配置した場合の各電位群間の距離の和はC+Bとなり、図8(A)で示した距離の和A+Bより大きな値となっている。よって必要なコネクタサイズが大きくなってしまう。
【0058】
図8(C)は、コネクタ403内でピン及びピン穴が2列に並んだ場合の断面を示した図である。1列目と2列目は同じ電位になるように配置されており、1列目と2列目の距離が近づけられるように配置されている。また、図8(A)と同様にコネクタ断面左から第1の電位群415のコネクタ部、第3の電位群405のコネクタ部、第2の電位群406のコネクタ部の順番で配置している。このように配置することで各電位群間の絶縁に必要な距離を確保しつつ、各電位群間の距離の和が最少となる。
【0059】
したがって、本実施例の回路構成によれば、コネクタの小型化を図ることができ、定着装置の小型化が可能となる。
なお、実施例4で示した配置は、あくまで、各電位群の間に電気的な絶縁に必要な所定の距離が確保され、かつ各電位群の間の距離の和が最小となる配置の一例でしかない。電位群の数や絶縁必要距離の大小の組み合わせに応じて、種々の構成が採用し得る。
【0060】
[実施例5]
図9は、実施例5におけるコネクタ配置を示した図である。本実施例では、各電位群にそれぞれ対応した複数のコネクタ403を備えた構成となっている。すなわち、各電位群ごとに独立したコネクタ403を設けている。
なお、実施例5において、実施例4と共通する構成部分については、説明を省略する。実施例5においてここで特に説明しない事項は、実施例4と同様である。
【0061】
図9(A)は、コネクタ403(a)、403(b)および403(c)を一直線上に並べた図である。コネクタ403(a)には第1の電位群415、コネクタ403(b)には第3の電位群405、コネクタ403(c)には第2の電位群406が接続されている。実施例1と同様に、第1の電位群415と第3の電位群405の絶縁に必要な所定の距離をAとする。同様に、第3の電位群405と第2の電位群406の絶縁に必要な所定の距離をBとし、第1の電位群415と第2の電位群406の絶縁に必要な所定の距離をCとする。ここでも実施例1と同様、A=B<Cという関係となっている。
【0062】
図9(A)で示しているように、コネクタが各電位群に分かれていたとしても、各コネクタの配置をコネクタ断面左から第1の電位群415、第3の電位群405、第2の電位群406の順番で配置することで、実施例1と同様の効果を得ることができる。すなわち、各電位群間の絶縁に必要な距離を確保しつつ、最小のスペースでコネクタを配置することができる。
【0063】
図9(B)は、各コネクタ内でピン及びピン穴が2列に並んだ場合の断面を示した図である。1列目と2列目は同じ電位になるように配置されており、1列目と2列目の距離が近づけられるように配置されている。また図9(A)と同様にコネクタ断面左から第1の電位群415、第3の電位群405、第2の電位群406の順番でコネクタを配置している。このように配置することで各電位群間の絶縁に必要な距離を確保しつつ、最小のスペ
ースでコネクタを配置することができる。
【0064】
図9(C)は、コネクタ403(a)、403(b)および403(c)を三角形上に並べた図である。この時、電位群間の絶縁に必要な距離を確保しつつ、各電位群間の距離の和が最少となる配置は、図9(C)に示すようにCの距離が斜辺となるようにコネクタ403(a)、403(b)および403(c)を並べる配置となる。すなわち、コネクタ403(a)、403(b)および403(c)の間に、長さをAとする第1の辺と長さをBとする第2の辺とを等辺とし、長さをCとする第3の辺を底辺とする、二等辺三角形を描けるような配置である。
【0065】
なお、実施例5で示したコネクタの構成は、あくまで一例でしかない。例えば、第1の電位群415と第3の電位群405を一つのコネクタに含め、第2の電位群406は別のコネクタに含めるような構成としてもよい。すなわち、電位群の数や絶縁必要距離の大小の組み合わせに応じて、種々の構成が採用し得る。
【符号の説明】
【0066】
200…定着装置(像加熱装置)、300…ヒータ、305…基板、302a-1~302a-7、302b-1~302b-7…発熱体、408~414…トライアック、T1-1~T1-7、T2-1~T2-6…サーミスタ、400…制御回路、402…温度検知回路、403…コネクタ、405…第3の電位群(サーミスタ電位など)、406…第2の電位群、415…第1の電位群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9