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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】コンクリート自動打設システム
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20240122BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240122BHJP
【FI】
E04G21/02 ESW
G06Q50/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019219139
(22)【出願日】2019-12-03
(65)【公開番号】P2021088847
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-10-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔1〕 ウェブサイトの掲載日 平成31年1月7日 ウェブサイトのアドレス https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2019/2018043.html https://www.shimz.co.jp/solution/tech361/ <資 料> 清水建設株式会社 ウェブサイトプリントアウト 〔2〕 発行日 平成31年1月8日 刊行物 日刊建設工業新聞 〔電子版:https://www.decn.co.jp/?p=104868〕 <資 料> 日刊建設工業新聞 平成31年1月8日付 紙面記事 <資 料> 日刊建設工業新聞 平成31年1月8日付 電子版記事 〔3〕 発行日 平成31年1月8日 刊行物 日刊建設産業新聞 <資 料> 日刊建設産業新聞 平成31年1月8日付 紙面記事 〔4〕 発行日 平成31年1月8日 刊行物 建設通信新聞 <資 料> 建設通信新聞 平成31年1月8日付 紙面記事 〔5〕 発行日 平成31年1月11日 刊行物 日刊工業新聞 〔電子版:https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00502066〕 <資 料> 日刊工業新聞 平成31年1月11日付 紙面記事 <資 料> 日刊工業新聞 平成31年1月11日付 電子版記事 〔6〕 公開日 発表日 令和1年6月10日(表彰式 令和1年6月11日) 公開名 2019年度 日本建設機械施工大賞 大賞部門 最優秀賞 ウェブサイトアドレス https://jcmanet.or.jp/kyokai-katsudo/commendation/seko-taisho/ <資 料> 日本建設機械施工大賞 受賞発表 ウェブサイトプリントアウト <資 料> 日本建設機械施工大賞 受賞技術論文概要 〔7〕 発行日 令和1年6月14日 刊行物 日刊建設工業新聞 〔電子版:https://www.decn.co.jp/?p=107894〕 <資 料> 日刊建設工業新聞 令和1年6月14日付 紙面記事 <資 料> 日刊建設工業新聞 令和1年6月14日付 電子版記事 〔8〕 発行日 令和1年6月14日 刊行物 日刊建設産業新聞 <資 料> 日刊建設産業新聞 令和1年6月14日付 紙面記事
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔9〕 ウェブサイトの掲載日 令和1年6月14日 ウェブサイトのアドレス https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP512114_U9A610C1000000/ <資 料> プレスリリース ウェブサイトプリントアウト <資 料> プレスリリース 資料 〔10〕 発行日 令和1年6月20日 刊行物 日刊工業新聞 〔電子版:https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00520923〕 <資 料> 日刊工業新聞 令和1年6月20日付 紙面記事 <資 料> 日刊工業新聞 令和1年6月20日付 電子版記事 〔11〕 発行日 令和1年6月24日 刊行物 日経コンストラクション (2019 6.24) <資 料> 日経コンストラクション (2019 6.24)抜粋 〔12〕 ウェブサイトの掲載日 令和1年6月24日 刊行物 日経コンストラクション (2019 6.24)電子版 〔電子版:https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/mag/ncr/18/00031/061700014/〕 <資 料> 日経コンストラクション (2019 6.24)電子版 プリントアウト 〔13〕 発行日 令和1年6月25日 刊行物 電気新聞〔電子版:https://www.denkishimbun.com/sp/42402〕 <資 料> 電気新聞 令和1年6月25日付 電子版記事 〔14〕 ウェブサイトの掲載日 令和1年6月29日 ウェブサイトのアドレス https://www.kensetsunews.com/web-kan/335683 <資 料> 建設通信新聞DEGITAL公式ブログ記事 プリントアウト 〔15〕 発行日 令和1年8月1日 刊行物 令和元年度 土木学会全国大会 第74回年次学術講演会 講演概要集 <資 料> 講演概要集抜粋 〔16〕 ウェブサイトの掲載日 令和1年8月19日 ウェブサイトのアドレス https://www.shimztechnonews.com/hotTopics/news/2019/2019-02.html <資 料>ウェブサイト テクノアイ清水建設の技術 発表記事 プリントアウト
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔17〕 ウェブサイトの掲載日 令和1年8月26日 ウェブサイトのアドレス https://www.shimztechnonews.com/topics/engineer/2019/2019-02.html <資 料>ウェブサイト テクノアイ清水建設の技術 インタビュー記事 プリントアウト 〔18〕 開催日(公開日) 令和1年9月5日 集会名 令和元年度 土木学会全国大会 第74回年次学術講演会 <資 料> 学術講演会プログラム抜粋 〔19〕 発行日 令和1年9月10日 刊行物 月刊ダム日本(2019 9) No.899 P60~P68 <資 料> 月刊ダム日本(2019 9) No.899 P60~P68抜粋
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】山下 哲一
(72)【発明者】
【氏名】立花 すばる
(72)【発明者】
【氏名】森山 忍
(72)【発明者】
【氏名】森 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 俊久
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-164754(JP,A)
【文献】特開平07-330288(JP,A)
【文献】特開平11-209072(JP,A)
【文献】実開平05-030906(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0315016(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/00-21/10
E02B 7/00
B66C 13/18-13/38
B66C 13/46-13/50
B66C 15/00
B66C 21/00-21/10
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計された配合によりコンクリート構成材料を混錬してコンクリートを製造及び供給するコンクリートプラントと、
前記コンクリートプラントにより供給されたコンクリートを収容するコンクリートバケットと、
前記コンクリートの打設対象の上方に張られたワイヤロープに沿って前記コンクリートバケットを移動させるケーブルクレーンと、
前記コンクリートの打設位置と前記打設位置に応じたコンクリートの配合とを管理する管理情報に基づいて、前記コンクリートプラントを稼働させてコンクリートを生成すると共に、前記ケーブルクレーンを制御して前記コンクリートが収容された前記コンクリートバケットを前記打設位置に移動させる管理装置と、を備え
前記ケーブルクレーンは、
前記打設対象の上方に張られた主ケーブルと、
前記主ケーブルに沿って移動する第1駆動装置と、
前記主ケーブルに交差する方向に張られた走行ケーブルと、
前記主ケーブルの両端のうち一つの端部を前記走行ケーブルに沿って移動させる第2駆動装置と、
前記コンクリートバケットを吊下るワイヤの繰り出し量を調整するウインチと、を備え、
前記管理装置は、前記管理情報に基づいて前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置を制御して前記コンクリートバケットを前記打設位置に移動させ、
前記管理装置は、前記ケーブルクレーンを制御して、前記コンクリートバケットの帰還動作中に前記主ケーブルが次回の打設位置の上方となるように前記第2駆動装置の位置を調整する
コンクリート自動打設システム。
【請求項2】
前記コンクリートプラントは、
コンクリート構成材料を混錬してコンクリートを製造するバッチャープラントと、
前記バッチャープラントにより配合されたコンクリートを積載して移動し、前記コンクリートバケットに前記コンクリートを荷下ろしするトランスファーカと、を備えることを特徴とする、
請求項1に記載のコンクリート自動打設システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記トランスファーカが前記コンクリートバケットに前記コンクリートを投下して前記バッチャープラントに帰還させる際、前記トランスファーカが前記コンクリートバケットから所定距離以上離間した後に前記コンクリートバケットの移動を開始させる、
請求項2に記載のコンクリート自動打設システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記主ケーブルと前記走行ケーブルとの張力に基づいて、前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置の加速及び減速を制御し、前記主ケーブル及び前記走行ケーブルに生じる揺動を抑制する、
請求項からのうちいずれか1項に記載のコンクリート自動打設システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記主ケーブル、走行ケーブル、及び前記ワイヤの張力に基づいて、前記第1駆動装置、前記第2駆動装置、及び前記ウインチを制御して、前記コンクリートバケットが前記コンクリートを放出した際の反動による前記コンクリートバケットの位置の変化を抑制する、
請求項からのうちいずれか1項に記載のコンクリート自動打設システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダム等の建設現場におけるコンクリートの打設を自動化するコンクリート自動打設システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートダムなどのコンクリート構造物を施工する場合、大量のコンクリートを打設する。特にコンクリート重力式ダムの施工においては、コンクリート打設工事は、コンクリートの製造、運搬、打設の繰り返し工程を数年に渡り実施するもので、工期の約5割を占める場合がある。コンクリート打設に係わる一連の作業は各設備に人員を配置し管理する必要があることから、多くの設備管理技能者が必要とされていた。特に、コンクリートの運搬及び打設に軌索式ケーブルクレーンを採用した際、クレーン操作には熟練の技術が必要となる。しかしながら、近年熟練した技術者の人手不足が深刻化している。
【0003】
これに関連して出願人は既にコンクリートの打設に関する施工を管理するシステムを提案している(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された技術によれば、コンクリートの打設位置にコンクリートを打設する管理をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-83353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、コンクリートの打設に関する工程を管理することを提案しているが、コンクリートの製造や打設の工程を実際に制御することについてはまだ提案していなかった。発明者らは、コンクリートの打設の自動化について鋭意研究を重ねてきた。ダム施工におけるコンクリート打設の一連の作業を自動化し、繰返し作業を効率化することは今後の熟練技能者の減少に対する課題を解消するものとして期待される。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、コンクリートの生成とコンクリート打設を自動化するコンクリート自動打設システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達するために、本発明は、設計された配合によりコンクリート構成材料を混錬してコンクリートを製造及び供給するコンクリートプラントと、前記コンクリートプラントにより供給されたコンクリートを収容するコンクリートバケットと、前記コンクリートの打設対象の上方に張られたワイヤロープに沿って前記コンクリートバケットを移動させるケーブルクレーンと、前記コンクリートの打設位置と前記打設位置に応じたコンクリートの配合とを管理する管理情報に基づいて、前記コンクリートプラントを稼働させてコンクリートを生成すると共に、前記ケーブルクレーンを制御して前記コンクリートが収容された前記コンクリートバケットを前記打設位置に移動させる管理装置と、を備え、前記ケーブルクレーンは、前記打設対象の上方に張られた主ケーブルと、前記主ケーブルに沿って移動する第1駆動装置と、前記主ケーブルに交差する方向に張られた走行ケーブルと、前記主ケーブルの両端のうち一つの端部を前記走行ケーブルに沿って移動させる第2駆動装置と、前記コンクリートバケットを吊下るワイヤの繰り出し量を調整するウインチと、を備え、前記管理装置は、前記管理情報に基づいて前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置を制御して前記コンクリートバケットを前記打設位置に移動させ、前記管理装置は、前記ケーブルクレーンを制御して、前記コンクリートバケットの帰還動作中に前記主ケーブルが次回の打設位置の上方となるように前記第2駆動装置の位置を調整する、コンクリート自動打設システムである。
【0008】
本発明によれば、管理装置によりコンクリートプラントによりコンクリートを自動的に生成すると共に、生成されたコンクリートをケーブルクレーンで打設位置に自動的に運搬することで工期を大幅に短縮することができる。
また、交差する2本のワイヤケーブルを備えるケーブルクレーンによりコンクリートバケットを自動的に移動するため、構成及び制御を簡略化できる。
また、第1駆動装置及び第2駆動装置の2つの装置の制御をすることでコンクリートバケットを打設位置に移動させるため、制御を簡略化できる。
さらに、コンクリートバケットが打設位置から帰還する間に主ケーブルが次の打設位置の上方となるように移動させることにより、次回のコンクリートバケットの移動は、主ケーブルに沿って移動するだけとなるため、コンクリートの打設に関する作業時間を短縮できる。
【0009】
また、本発明は、前記コンクリートプラントは、コンクリート構成材料を混錬してコンクリートを製造するバッチャープラントと、前記バッチャープラントにより配合されたコンクリートを積載して移動し、前記コンクリートバケットに前記コンクリートを荷下ろしするトランスファーカと、を備えるように構成されていてもよい。
【0010】
本発明によれば、管理装置によりバッチャープラントを自動的に制御することができる。
【0011】
また、本発明は、前記管理装置は、前記トランスファーカが前記コンクリートバケットに前記コンクリートを投下して前記バッチャープラントに帰還させる際、前記トランスファーカが前記コンクリートバケットから所定距離以上離間した後に前記コンクリートバケットの移動を開始させるように構成されていてもよい。
【0012】
本発明によれば、熟練した作業者が行っていたコンクリートバケットの移動の開始のタイミングの判断を管理装置による制御によって自動化することで、操作を簡便化できる。
【0019】
また、本発明は、前記管理装置は、前記主ケーブルと前記走行ケーブルとの張力に基づいて、前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置の加速及び減速を制御し、前記主ケーブル及び前記走行ケーブルに生じる揺動を抑制するように構成されていてもよい。
【0020】
本発明によれば、熟練したオペレータによらずケーブルクレーンに生じる揺動を自動的に抑制できる。
【0021】
また、本発明は、前記管理装置は、前記主ケーブル、走行ケーブル、及び前記ワイヤの張力に基づいて、前記第1駆動装置、前記第2駆動装置、及び前記ウインチを制御して、前記コンクリートバケットが前記コンクリートを放出した際の反動による前記コンクリートバケットの位置の変化を抑制するように構成されていてもよい。
【0022】
本発明によれば、熟練したオペレータによらずコンクリートバケットの位置の変化を自動的に抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コンクリートの生成とコンクリート打設を自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るコンクリート自動打設システムの構成を示す図である。
図2】コンクリートプラントの構成を示す図である。
図3】ケーブルクレーンの構成を示す図である。
図4】コンクリート自動打設システムの構成を示すブロック図である。
図5】コンクリートの打設位置と配合との関係を示す図である。
図6】管理情報の内容を示す図である。
図7】ケーブルクレーンの使用方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るコンクリート自動打設システムの実施形態について説明する。コンクリート自動打設システムは、ダム等のコンクリート構造物の建設現場においてコンクリートの施工を管理すると共に、自動的にコンクリートの製造及び打設を行うシステムである。コンクリート自動打設システムにより施工及び管理される対象のダムは、例えば、コンクリート重力式のダムである。
【0026】
図1示されるように、コンクリート自動打設システム1は、コンクリートを製造するコンクリートプラント10と、コンクリートを収容するコンクリートバケット40と、コンクリートバケット40を運搬する運搬装置80と、システムを統合的に制御する管理装置100とを備える。
【0027】
コンクリートプラント10は、コンクリートCを製造及び供給するプラントである。コンクリートプラント10は、ダムDの建設現場における左右岸のうち右岸又は左岸のいずれか一方の岸側に設けられる。
【0028】
図2に示されるように、コンクリートプラント10は、コンクリート構成材料を貯蔵する貯蔵部30と、貯蔵部30からコンクリート構成材料を供給する供給装置50と、コンクリート構成材料を混錬してコンクリートを生成するバッチャープラント11と、生成されたコンクリートを移動して荷下ろしするトランスファーカ20と、を備える。
【0029】
バッチャープラント11は、上部に設けられたターンヘッド12と、ターンヘッド12の下方に設けられた複数のトップビン13と、トップビン13の下方に設けられた各コンクリート構成材料を計量する計量槽14と、計量槽14の下方に設けられた計量されたコンクリート構成材料を混錬するコンクリートミキサ15と、コンクリートミキサ15の下方に設けられた混錬されたコンクリートの供給口となるホッパ16とを備える。バッチャープラント11は、貯蔵部30から供給されたそれぞれのコンクリート構成材料を所定の配合となるように混錬し、コンクリートCを製造、供給する。
【0030】
貯蔵部30は、例えば各コンクリート構成材料の種類に応じて設けられた複数の貯蔵容器を備える。各コンクリート構成材料は、例えば、細骨材、粗骨材、セメント、水、混和剤等が含まれる。貯蔵容器は、セメントを貯蔵するセメントサイロ31、骨材の種類に応じて設けられた骨材貯蔵ビン32、水を貯蔵する水タンク33、混和剤を貯蔵する混和剤タンク34等により構成される。骨材貯蔵ビン32は、例えば細骨材貯蔵ビン32Aと粗骨材貯蔵ビン32Bとを備える。貯蔵部30に貯蔵されたそれぞれのコンクリート構成材料は、供給装置50によりバッチャープラント11に供給される。
【0031】
供給装置50は、貯蔵部30とバッチャープラント11との間に設けられたエアポンプ51、ベルトコンベア52、ポンプ53等の装置を含む。エアポンプ51は、セメントサイロ31からセメントをトップビン13にエア圧送する。ベルトコンベア52は、骨材貯蔵ビン32から投下される骨材をターンヘッド12に供給する。ポンプ53は、水用のポンプ54と、混和剤用のポンプ55とを備える。水用のポンプ54は、水タンク33から水用のトップビン13に水を供給する。混和剤用のポンプ55は、混和剤タンク34から混和剤用のトップビン13に混和剤を供給する。
【0032】
ターンヘッド12は、回転式の振り分け装置である。ターンヘッド12は、セメントや各骨材のコンクリート構成材料を複数のトップビン13に種類に応じて供給する。ターンヘッド12は、ベルトコンベア52で貯蔵容器から各骨材が運搬されると、供給口が骨材の種類に応じたトップビン13に合わせるように回転し、トップビン13に応じた骨材を供給する。ターンヘッド12は、例えば細骨材がベルトコンベア52で運搬されると、供給口を細骨材用のトップビン13に合わせるように回転し、細骨材を投入する。
【0033】
トップビン13は、バッチャープラント11の装置の上方に設けられた収容容器である。トップビン13は、コンクリート構成材料の種類に応じて設けられている。複数のトップビン13には、上方からそれぞれのコンクリート構成材料が供給される。骨材用のトップビン13は、例えば、ターンヘッド12から骨材が供給されるように円形に配置されている。トップビン13には、貯蔵容器の引出し部に設けられたセンサとターンヘッド12を駆動させるための可動信号を連動させることで各骨材の振り分けが行われる。
【0034】
複数のトップビン13は、下方からそれぞれのコンクリート構成材料を計量槽14に落下させる。複数のトップビン13は、コンクリート構成材料の収容量を検出するセンサを備える。コンクリート構成材料の収容量は、センサにより管理されている。複数のトップビン13のコンクリート構成材料の収容量は、センサによる検出結果に基づいて自動的に調整される。
【0035】
コンクリートCの打設の進捗に伴い、トップビン13内の各材料が消費され一定数量を下回ると、トップビン13内に設けられたセンサから供給信号が発信される。供給信号に基づいて、貯蔵部30から各材料が供給装置50により供給され、ターンヘッド12を介してトップビン13に自動供給される。複数のトップビン13から下方の複数の計量槽14にコンクリート構成材料がそれぞれ自動的に供給される。
【0036】
計量槽14は、上方からコンクリート構成材料が投入され、下方からコンクリート構成材料をコンクリートミキサ15に投下するように形成されている。計量槽14には、コンクリート練混ぜに際し、自動的にトップビン13からコンクリート構成材料が投入される。コンクリート構成材料は、打設位置に応じた配合種別毎に定められた配合設計に基づいて計量が行われる。計量槽14により計量されたコンクリート構成材料は、コンクリートミキサ15に投下される。
【0037】
細骨材を計量する計量槽14には、更に、細骨材の表面に付着した水の表面水率を自動測定する非接触式の水分計が設けられている。水分計により測定された細骨材の表面水率のデータは、コンクリートミキサ15に供給される水の供給量の調整にフィードバックされ、水用のトップビン13から供給されるコンクリートの練混ぜ水量が自動調整される。
【0038】
計量槽14で計量されたコンクリート構成材料は、コンクリートミキサ15に投下される。コンクリートミキサ15は、計量槽14から投下されたコンクリート構成材料を配合設計に基づいた配合により混錬し、コンクリートCを生成する。コンクリートCの配合は、ダムDの打設位置に応じて設定されている。コンクリートCの打設位置と配合との関係については後述する。
【0039】
コンクリートミキサ15は、所定の配合でコンクリート構成材料を混錬し、コンクリートCを生成する。コンクリートミキサ15により生成されたコンクリートCは、ホッパ16に投下される。ホッパ16は、下方の開口が上方の開口より狭くなるように形成されている。ホッパ16は、上方から投下されたコンクリートCを下方に設置されたトランスファーカ20に投下する。
【0040】
トランスファーカ20は、ホッパ16から投下されたコンクリートCを積載してコンクリートバケット40に自動的に運搬し、移送するための移動体である。トランスファーカ20は、レール上を走行する台車21と、コンクリートを収容する容器22とを備える。トランスファーカ20は、コンクリートCを収容した後、レール上を移動してコンクリートバケット40の近傍まで移動する。その後、トランスファーカ20は、容器22が傾いて容器22内のコンクリートCをコンクリートバケット40内に落下させる。
【0041】
コンクリートバケット40は、トランスファーカ20から荷下ろしされたコンクリートを収容すると共に、コンクリートCを所定の打設位置に打設するための容器である。コンクリートバケット40は、上方に開口を有し、コンクリートCを収容する。コンクリートバケット40は、運搬装置80により所定の打設位置に移動し、打設位置において底部が開放され、コンクリートCを打設する。
【0042】
コンクリートCを打設した後、コンクリートバケット40は、コンクリートCを荷受けする位置に設置されたバケット受台41(ローリングストーン)の位置まで戻される。バケット受台41は、上方に向かうほど開口が広がるように逆円錐台状に形成されている。バケット受台41は、トランスファーカ20からコンクリートCを荷受けする位置に切欠き(不図示)が形成されている。バケット受台41は、コンクリートバケット40の着床姿勢を常に一定にする。
【0043】
図3に示されるように、運搬装置80は、ワイヤロープの繰り出し量を調整してコンクリートバケット40を三次元的に移動させるケーブルクレーン装置である。運搬装置80は、ダムDの両岸に渡す方向(川の左右岸方向)に張られた主ケーブル81と、主ケーブル81と交差する方向(川の上下流方向)に張られた走行ケーブル82と、コンクリートバケット40を吊下げるワイヤ83(図2参照)とを備える。運搬装置80は、走行ケーブル82に沿って移動する第1駆動装置84と、走行ケーブル82に沿って移動する第2駆動装置85と、ワイヤ83の繰り出し量を調整するウインチ86(図2参照)とを備える。
【0044】
主ケーブル81と走行ケーブル82とは、丁字状に配置されている。主ケーブル81は、コンクリートCの打設対象となるダムDの上方に張られている。主ケーブル81は、一端81AがダムDの右岸、左岸のいずれか一方の岸側に設けられた支柱に支持されている。主ケーブル81は、他端81Bが他方の岸側に設けられた走行ケーブル82に第2駆動装置85を介して支持されている。主ケーブル81の一端が支持されている一方の岸側には、コンクリートプラント10が設けられている。
【0045】
走行ケーブル82は、ダムDの他方の岸に主ケーブル81と交差する方向に両端が支柱によって支持されている。走行ケーブル82には、第2駆動装置85が走行自在に設けられている。第2駆動装置85は、主ケーブル81の他端81B(両端のうちの一つの端部)を走行ケーブル82に沿って移動させることができる。
【0046】
主ケーブル81には、第1駆動装置84が走行自在に設けられている。第1駆動装置84には、ウインチ86及びコンクリートバケット40が設けられている。第1駆動装置84は、コンクリートバケット40を主ケーブル81に沿って移動させる。これにより、コンクリートバケット40は、主ケーブル81に沿って移動自在に構成される共に、主ケーブル81の他端81Bを移動させることにより、主ケーブル81と交差する方向にも移動自在に構成される。
【0047】
ワイヤ83は、ウインチ86より繰り出し、巻き取りされることにより長さが調整される。これによりコンクリートバケット40の上下方向の位置が調整される。コンクリートバケット40の水平方向の位置は、コンクリートバケット40を主ケーブル81に沿った移動量と、主ケーブル81の他端の移動量により調整される。
【0048】
上記構成によりコンクリートバケット40は、平面視して主ケーブル81が移動する三角形の領域R内を自在に移動すると共に、この領域R内において上下方向に移動することで任意の打設位置に三次元的に移動できる。
【0049】
上述したコンクリートプラント10の稼働、運搬装置80によるコンクリートバケット40の移動は、管理装置100により自動的に行われる。
【0050】
図4に示されるように、管理装置100は、データを取得する取得部102と、ダムDの施工を管理する管理部104と、コンクリートプラント10を制御するコンクリート生成部106と、コンクリートバケット40及び運搬装置80を制御する運搬制御部108と、ダムDの施工に関する情報を記憶する記憶部110と、ダムDの施工状況を表示する表示部112とを備える。
【0051】
管理装置100は、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン等の端末装置により実現される。管理装置100は、ダムDの建設現場において有線又は無線によりコンクリート自動打設システム1を管理及び制御する。管理装置100は、ネットワークを通じてダムDの建設現場から遠隔地においてコンクリート自動打設システム1を管理及び制御するものであってもよい。
【0052】
取得部102は、コンクリートプラント10、コンクリートバケット40及び運搬装置80に設けられた各センサから出力された各種データを取得する。取得部102は、例えば、貯蔵部30、供給装置50の動作、ターンヘッド12、トップビン13、計量槽14、コンクリートミキサ15、ホッパ16、トランスファーカ20、コンクリートバケット40、第1駆動装置84、第2駆動装置85、ウインチ86に設けられた各センサにより検出された各コンクリート構成材料の量、装置のオンオフ状態、移動量、張力等の計量や動作に関するデータを取得する。
【0053】
管理部104は、記憶部110に記憶された管理情報Kに基づいて、コンクリートCの生成、コンクリートCの打設等のダムDの施工をリアルタイムに管理する。管理部104は、管理情報Kに基づいて、コンクリートCの打設位置とコンクリートCの配合とを対応付けて管理する。管理部104は、管理情報Kに基づいて、コンクリート生成部106に打設位置に応じた配合の情報を出力する。管理部104は、管理情報Kに基づいて、運搬制御部108に打設位置の情報を出力する。管理情報Kの内容については後述する。
【0054】
コンクリート生成部106は、管理部104から取得した配合に関する情報に基づいて、コンクリートプラント10を制御して、コンクリートCを生成させる。
【0055】
運搬制御部108は、管理部104から取得した打設位置の情報に基づいて、運搬装置80を制御してコンクリートバケット40を打設位置まで移動させる。
【0056】
管理部104、コンクリート生成部106、運搬制御部108の構成要素のうち少なくとも一つは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。これらの各機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0057】
プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0058】
記憶部110は、管理情報Kが記憶された記憶媒体である。記憶部110は、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体により構成された記憶装置である。
【0059】
表示部112は、ダムDの施工状況を画像によりリアルタイムに表示する。表示部112は、管理部104により生成された情報に基づいてダムDの施工状況に関する画像を表示する。表示部112は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置である。表示部112は、必ずしも管理装置100に設けられていなくてもよく、管理装置100と無線又は有線で接続されるパーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン等の他の端末装置により実現されてもよい。
【0060】
次に、管理情報Kについて説明する。
【0061】
図5に示されるように、打設位置の3次元座標は、予め設計された建設現場のCAD図に基づいて決定される。打設位置は、コンクリートCの打設領域の高さ毎にメッシュ状に区切られて番号が付与されると共に、各メッシュの中心位置の3次元座標により設定される。打設位置に応じてコンクリートCの配合が設定される。
【0062】
配合は、例えば、6種類程度に分類される。例えば、ダムDの外気に触れる部分は、セメント量、骨材の量が多く強度が高いA配合が設定される。ダムDの内部には、セメント量がA配合よりも少なく、強度が低いB配合が設定される。ダムDの内部の水路には、鉄筋コンクリート用にセメント量が多く、骨材の量がA配合よりも少ないC配合が設定される。
【0063】
図6に示されるように、管理情報Kは、コンクリートCの打設位置の3次元座標と配合と打設量とを対応付けて設定される。図においてNo.1の打設位置のM配合とは、例えば、地表との継ぎ目に使用されるモルタルの配合である。管理情報Kは、現場の状況に応じて適宜修正されてもよい。例えば、管理情報KのコンクリートCの打設量は、打設位置の3次元計測結果に基づいて、適宜修正されてもよい。
【0064】
次にコンクリート自動打設システム1の動作について説明する。コンクリート生成部106は、管理情報Kに基づいて所定量のコンクリート構成材料を貯蔵部30から供給装置50によりバッチャープラント11に供給させる。
【0065】
コンクリート生成部106は、管理情報Kに基づいてバッチャープラント11においてコンクリート構成材料を計量し、配合設計に合わせて所定量のコンクリート構成材料をコンクリートミキサ15に投入し混錬しコンクリートCを生成させる。コンクリート生成部106は、生成したコンクリートCをホッパ16に投下させる。コンクリート生成部106は、トランスファーカ20の位置を判定する。コンクリート生成部106は、トランスファーカ20がホッパ16の下方に位置している場合、ホッパ16からコンクリートCをトランスファーカ20に投下させる。
【0066】
次に、コンクリート生成部106は、トランスファーカ20をバケット受台41に隣接する位置まで走行させる。コンクリート生成部106は、容器22を傾けてコンクリートCをコンクリートバケット40に投下する。コンクリート生成部106は、トランスファーカ20をバケット受台41からホッパ16の下方に帰還させる。
【0067】
運搬制御部108は、トランスファーカ20からコンクリートバケット40にコンクリートCが投下された後、ウインチ86を制御してコンクリートバケット40を上方に移動させる。この時、運搬制御部108は、トランスファーカ20とコンクリートバケット40とが接触しないようにウインチ86を制御する。運搬制御部108は、トランスファーカ20に設置した距離センサによりトランスファーカ20とバケット受台41との間の距離を判定する。距離センサは、レーザ距離計、台車21の駆動部のエンコーダ等が用いられる。
【0068】
運搬制御部108は、トランスファーカ20とコンクリートバケット40との間が所定距離離間したと判定した場合、ウインチ86を制御してコンクリートバケット40の上方への移動を開始させる。所定距離は、例えば、コンクリートバケット40の幅の2つ分に相当する距離に設定される。運搬制御部108は、管理部104から取得した打設位置の情報に基づいて、運搬装置80を制御してコンクリートバケット40の位置を3次元的に調整し、打設位置まで移動させる。
【0069】
このような制御をすることにより、コンクリートバケット40発進のタイミングがオペレータの経験に依存しないことから、サイクルタイムにロスが生じるのを抑制できる。また、未熟練オペレータでも熟練オペレータと同様のコンクリート運搬が可能となる。そして、コンクリート運搬が合理化されることによりサイクルタイムが向上する。
【0070】
運搬制御部108は、管理部104から打設位置の情報を取得し、打設位置の3次元座標を第1駆動装置84の移動量、第2駆動装置85の移動量、ウインチ86の繰り出し量を含む制御情報に変換する。運搬制御部108は、制御情報に基づいて、コンクリートバケット40を打設位置まで移動させる。運搬制御部108は、第1駆動装置84及び第2駆動装置85の移動量を調整し、平面視してコンクリートバケット40を打設位置まで移動させる。
【0071】
運搬制御部108は、打設位置においてウインチ86を制御してコンクリートバケット40をコンクリートCの打設面の上方の所定の位置(例えば、2[m])まで降下させる。運搬制御部108は、コンクリートバケット40を制御して打設位置にコンクリートCを打設する。
【0072】
このように、コンクリートバケットを巻上げながら左右岸方向に移動させ、さらに上下流方向にも調整を行う複雑な3次元的な操作を自動的に制御することで、コンクリートCの運搬効率を最適化できる。コンクリート自動打設システム1によれば、未熟練オペレータでも確実にコンクリートバケット40の自動位置を制御してコンクリートCを打設位置まで確実に移動できる。
【0073】
コンクリートバケット40からコンクリートCを打設する工程については、手動で行うようにしてもよい。また、その他の工程においても適宜、自動と手動を切り替えるようにしてもよい。手動又は自動の制御の切替えは、表示部112に入力される操作や操作レバー(不図示)により行われる。これにより、緊急時には自動から手動へと瞬時に切り替えられるため、安全性を向上できる。
【0074】
運搬制御部108は、取得部102から取得される情報に基づいて、運搬装置80をフィードバック制御する。運搬制御部108は、第1駆動装置84及び第2駆動装置85の加速、減速に伴う主ケーブル81、走行ケーブル82の揺動を抑制するため、主ケーブル81、走行ケーブル82の張力に基づいて、第1駆動装置84及び第2駆動装置85の加速、減速を制御し、主ケーブル81及び走行ケーブル82の揺動を最小化するように抑制する。
【0075】
運搬制御部108は、例えば、主ケーブル81及び走行ケーブル82の揺動により主ケーブル81及び走行ケーブル82に生じる張力の変化を打ち消す方向の張力が生じるように第1駆動装置84及び第2駆動装置85を制御する。
【0076】
運搬制御部108は、コンクリートCを放出した際の反動によるコンクリートバケット40の持ち上がりを抑制するために、主ケーブル81、走行ケーブル82、ワイヤ83の張力に基づいて、第1駆動装置84、第2駆動装置85、ウインチ86を制御する。運搬制御部108は、例えば、コンクリートバケット40の持ち上がりによりワイヤ83に生じる張力の変化を打ち消す方向の張力が生じるように第1駆動装置84、第2駆動装置85、ウインチ86を制御する。
【0077】
運搬制御部108は、コンクリートCを打設した後、運搬装置80を制御してコンクリートバケット40をバケット受台41に帰還させる。このように運搬装置80の自動化によりコンクリートCの打設に係るクレーンオペレーターの配員は2名を要していたが、1名に削減できる。
【0078】
図7に示されるように、運搬制御部108は、第2駆動装置85を制御して、コンクリートバケット40の帰還動作中に主ケーブル81が打設終了した打設位置G1から次回の打設位置G2の上方となるように第2駆動装置85の位置を調整する。これにより、次回の打設においてコンクリートバケット40の位置調整にかかる時間を短縮できる。
【0079】
上述したようにコンクリート自動打設システム1によれば、コンクリートCの生成、運搬、打設を自動化することができ、ダム建設の工期を10%程度短縮できる。コンクリート自動打設システム1によれば、熟練技術を必要としていたコンクリートバケットの発進および帰還の3次元的な移動に関する操作を自動化し、施工を容易とすると共に工期を短縮することができる。コンクリート自動打設システム1によれば、各設備を自動化することにより配員を2/3に削減できる。
【0080】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、コンクリート自動打設システムは、重力式ダムに適用される実施形態を例示したが、これに限らず他のコンクリートダムや他のコンクリート建設物の施工に適用してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…コンクリート自動打設システム、10…コンクリートプラント、11…バッチャープラント、12…ターンヘッド、13…トップビン、14…計量槽、15…コンクリートミキサ、16…ホッパ、20…トランスファーカ、21…台車、22…容器、30…貯蔵部、31…セメントサイロ、32…骨材貯蔵ビン、32A…細骨材貯蔵ビン、32B…粗骨材貯蔵ビン、33…水タンク、34…混和剤タンク、40…コンクリートバケット、41…バケット受台、50…供給装置、51…エアポンプ、52…ベルトコンベア、53、54、55…ポンプ、80…運搬装置(ケーブルクレーン)、81…主ケーブル、82…走行ケーブル、83…ワイヤ、84…第1駆動装置、85…第2駆動装置、86…ウインチ、100…管理装置、102…取得部、104…管理部、106…コンクリート生成部、108…運搬制御部、110…記憶部、112…表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7