(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】機械加工製品をカスタマイズするシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/12 20200101AFI20240122BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240122BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240122BHJP
G06F 111/02 20200101ALN20240122BHJP
【FI】
G06F30/12
G05B19/418 Z
G06Q50/04
G06F111:02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019224129
(22)【出願日】2019-12-12
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】201811522946.9
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519443756
【氏名又は名称】ホーヤン ラング キー メタル プロダクツ シーオー.,エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】HEYUAN LUNG KEE METAL PRODUCTS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Long Ji Da Dao,Hi-tech Development Zone,Heyuan,Guangdong Province,China
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【氏名又は名称】横田 裕弘
(74)【代理人】
【識別番号】100130878
【氏名又は名称】鶴目 朋之
(72)【発明者】
【氏名】シウ ユハンレオ
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-114899(JP,A)
【文献】特開2007-316832(JP,A)
【文献】特開2001-175727(JP,A)
【文献】特開2002-222215(JP,A)
【文献】特開2014-10658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/398
G06Q 50/04
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットサーバに、型番の異なる複数の標準製品の製品データを記憶するための標準製品メタデータリポジトリと、各標準製品に対応するカスタム項目の置換データを記憶するためのカスタム項目メタデータリポジトリとを構築することと、
顧客が遠隔ブラウザクライアントを介して選択した標準製品の型番に基づいて、選択された型番の標準製品の2D視覚化画像を、前記サーバを経由して前記クライアントに表示し、選択された型番の標準製品に使用可能な1または複数のカスタム項目の選択候補を提供することと、
顧客の遠隔ブラウザクライアントを介した1または複数のカスタム項目の選択および選択された1または複数の追加加工項目に基づいて、選択されたカスタム項目に対応する置換データを抽出することと、
前記顧客の選択した型番の標準製品の製品データと、抽出された追加加工項目の置換データとをマージして、カスタマイズする機械加工製品のメタデータを取得することと、
を含む、カスタマイズする製品のメタデータを取得する方法。
【請求項2】
標準製品のメタデータリポジトリの構築が、
各種型番の標準製品用に材料リスト(BOM)を構築するとともに、1または複数のパラメータを用いて、材料リスト中の各部材を定義することと、
各種型番の標準製品用に加工項目リスト(BOP)を構築するとともに、1または複数のパラメータを用いて、加工項目リスト中の各加工項目を定義することと、を含み、
カスタム項目のメタデータリポジトリの構築が、
各種型番の標準製品用に1または複数の追加加工項目を限定し、1または複数のパラメータを用いて、追加加工項目の各々を定義するとともに、各パラメータの数値範囲を限定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
選択された追加加工項目の2D視覚化画像を、前記サーバを経由して前記クライアントに表示するとともに、選択された追加加工項目に使用可能な選択候補およびパラメータ範囲を提供することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ユーザによる遠隔ブラウザクライアントにおける標準製品の型番の選択に応答して、選択された標準製品のインスタンスの、BOMおよびBOPを含むメタデータを、標準製品メタデータリポジトリから検索し、初期化して当該顧客の発注書インスタンスに取り込み、
ユーザによる1または複数の追加加工項目の選択に応答して、BOMおよびBOPのメタデータを読み出すとともに、メタデータのマッピングに基づいてルールを定義し、標準製品のBOMおよびBOPのオブジェクトに対応する視覚化図形に自動変換するとともに、ブラウザに作図し、ユーザによる各追加加工項目パラメータの数値入力に応答して、ブラウザの視覚化とメタデータとの間で、ブラウザに作図される視覚化画像が対応的に変更されるように変換し、
ユーザの指示した、1または複数の追加加工項目に対する入力の完成に応答して、ブラウザは、追加加工項目の最終更新されたメタデータを、バックエンドサーバに送信し、前記バックエンドサーバは、追加加工項目のメタデータと、選択された標準製品のメタデータとをマージして、当該ユーザのカスタム製品のメタデータを得ることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ブラウザの視覚化と、Jsonフォーマットのメタデータとの間で、ブラウザに作図される視覚化画像が対応的に変更されるように変換する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記部材を定義するパラメータには、形状パラメータと規格寸法パラメータとを含み、
前記加工項目を定義するパラメータには、形状パラメータと規格寸法パラメータとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
複雑な組立体の部材は、まず各部材のサブアセンブリを定義し、1または複数のパラメータを用いて各サブアセンブリを一つずつ定義し、ツリー状構造により組み合わせて記憶する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
web技術を用いたCADシミュレーションにより、2D視覚化図形のブラウザへの作図を実現する、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
マージされたカスタム製品のメタデータから、見積もりに用いるメタデータを抽出し、抽出されたユーザ見積もりのメタデータを見積もりシステムに伝送するとともに、見積もりシステムで計算された、カスタム製品に関する価格を、ユーザのブラウザクライアントに送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
見積もりに用いるメタデータには、BOM材料の寸法情報および材質、BOP加工項目の寸法情報および加工類別、追加加工項目の寸法情報および材質が含まれる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
見積もりシステムで計算された、カスタム製品に関する価格が、マージされたメタデータ中のBOM材料の寸法情報に基づいて、各材料の重量の合計を計算するとともに、使用する材料の単価に基づいて、材料に基づく価格を計算したものと、マージされたメタデータ中の各加工項目の寸法情報に基づいて、当該加工項目に要する工数を計算するとともに、当該加工項目の単価に基づいて、加工項目の価格を計算したものとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
記憶されたサブアセンブリのツリー状階層構造の反復加算により計算された材料の価格および加工項目の価格に基づいて、カスタム製品全体の価格を得る、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
マージされたカスタム製品のメタデータから、作図を自動生成するためのメタデータを抽出するとともに、AutoCADシステムの作図自動生成APIおよび関数ライブラリを呼び出して、メタデータで示される図形オブジェクトを自動生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
マージされたカスタム製品のメタデータに基づいて、数値制御CAMソフトウェアのAPIおよび関数ライブラリを呼び出し、特定の加工項目の加工方法ライブラリを組み合わせることで、メタデータで示される加工オブジェクトを自動生成し、加工センターで実行可能な加工プログラムに自動変換可能とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ソフトウェアコマンドが記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体であって、プロセッサにより実行されるとき、前記ソフトウェアコマンドは前記プロセッサに請求項1~13のいずれかに記載の方法を実行させる、前記可読媒体。
【請求項16】
機械加工製品をカスタマイズするシステムであって、
型番の異なる複数の標準製品の製品データを記憶するための標準製品メタデータリポジトリと、
各標準製品に対応するカスタム項目の置換データを記憶するためのカスタム項目メタデータリポジトリと、
遠隔ブラウザクライアントからの顧客による標準製品の型番に対する選択に基づいて、
選択された型番の標準製品の2D視覚化画像をクライアントに表示し、選択された型番の標準製品に使用可能な1または複数のカスタム項目の選択候補を提供するための表示部材と、
顧客による遠隔ブラウザクライアントを介した1または複数のカスタム項目に対する選択および選択された1または複数の追加加工項目に基づいて、選択されたカスタム項目に対応する置換データを抽出するカスタムデータ抽出部材と、
前記顧客が選択した型番の標準製品の製品データと、抽出された追加加工項目の置換データとをマージして、カスタム製品のメタデータを得る計算部材と、
マージされたカスタム製品のメタデータから、見積もりに用いるメタデータを抽出し、計算されたカスタム製品の価格を、ユーザのブラウザクライアントに送信する見積もり部材と、を備える前記システム。
【請求項17】
標準製品メタデータリポジトリが、1または複数のパラメータを用いて材料リスト中の各部材が定義される、各種型番の標準製品の材料リスト(BOM)と、1または複数のパラメータを用いて加工項目リスト中の各加工項目が定義される、各種型番の標準製品の加工項目リスト(BOP)と、を備え、
カスタム項目メタデータリポジトリが、1または複数のパラメータを用いて追加加工項目の各々が定義されるとともに、各パラメータの数値範囲が限定される、各種型番の標準製品用に限定された1または複数の追加加工項目を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
選択された追加加工項目の2D視覚化画像を、前記サーバを経由して前記クライアントに表示するとともに、選択された追加加工項目に使用可能な選択候補およびパラメータ範囲を提供する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
計算部材が、
ユーザによる遠隔ブラウザクライアントにおける標準製品の型番の選択に応答して、選択された標準製品のインスタンスの、BOMおよびBOPを含むメタデータを、標準製品メタデータリポジトリから検索し、初期化して当該顧客の発注書インスタンスに取り込み、
ユーザによる1または複数の追加加工項目の選択に応答して、BOMおよびBOPのメタデータを読み出すとともに、メタデータのマッピングに基づいてルールを定義し、標準製品のBOMおよびBOPのオブジェクトに対応する視覚化図形に自動変換するとともに、ブラウザに作図し、また、ユーザによる各追加加工項目のパラメータ数値の入力に応答して、ブラウザの視覚化とメタデータとの間で、ブラウザに作図された視覚化画像を対応的に変更するように変換し、
ユーザの指示した、1または複数の追加加工項目に対する入力の完成に応答して、ブラウザは、追加加工項目の最終更新されたメタデータを、バックエンドサーバに送信し、前記バックエンドサーバは、追加加工項目のメタデータと、選択された標準製品のメタデータとをマージして、当該ユーザのカスタム製品のメタデータを得る、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
表示部材は、web技術を用いたCADシミュレーションにより2D視覚化図形をブラウザに作図することを実現する、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
ブラウザの視覚化と、Jsonフォーマットのメタデータとの間で、ブラウザに作図された視覚化画像を対応的に変更するように変換する、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
見積もりに用いるメタデータが、BOM材料の寸法情報および材質、BOP加工項目の寸法情報および加工類別、追加加工項目の寸法情報および材質を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
見積もり部材が、マージされたメタデータ中のBOM材料の寸法情報に基づいて、各材料の重量の合計を計算するとともに、使用する材料の単価に基づいて、材料に基づく価格を計算し、マージしたメタデータ中の各加工項目の寸法情報に基づいて、当該加工項目に要する工数を計算するとともに、当該加工項目の単価に基づいて、加工項目の価格を計算する、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
記憶されたサブアセンブリのツリー状階層構造の反復加算により計算された材料の価格および加工項目の価格に基づいて、カスタム製品全体の価格を得る、請求項21に記載の
システム。
【請求項25】
マージされたカスタム製品のメタデータから、作図を自動生成するためのメタデータを抽出するとともに、AutoCADシステムの作図自動生成APIおよび関数ライブラリを呼び出して、メタデータで示される図形オブジェクトを自動生成する製図部材をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項26】
マージされたカスタム製品のメタデータに基づいて、数値制御CAMソフトウェアのAPIおよび関数ライブラリを呼び出し、特定の加工項目の加工方法ライブラリを組み合わせることで、メタデータで示される加工オブジェクトを自動生成し、加工センターで実行可能な加工プログラムに自動変換可能である加工プログラム生産部材をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械加工製品カスタマイズ技術の分野に属し、特にインターネット回線を利用して機械加工鋼材製品をカスタマイズすることに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械加工業界では、顧客による機械加工製品のカスタマイズにおいて、図面による加工形式が長い間維持されてきた。ある製品を顧客がカスタマイズするときには、まずコンピュータ支援設計CADソフトウェアを用いて自ら図面を作成し、次に図面をメーカに送り、メーカでは受注部門の専門的な研修を受けた見積もり担当者が、顧客の提供したそのCAD図面を理解した上で、図面上の関連パラメータを見積もりシステムに入力し、見積もりシステムは、入力されたパラメータに基づいて価格を算出する。見積もり担当者は、算出された価格に基づいて顧客に見積価格を提示する。見積もりの過程で、顧客と見積もり担当者は双方が繰り返し意思疎通を行い、何度もデータを伝送して見積もりを完成させることもある。
【0003】
メーカは次に、顧客の提供したCAD図面に基づいて原材料を機械加工し、顧客の求める製品を製造する。加工システムは、顧客の提供するCAD図面の内容を認識できず、また顧客ごとに製図エンジニア、製図習慣、および元となる対象基準も千差万別であり、メーカの生産従事者に、迅速かつ正確に製品加工を完成させ、製造過程における不必要な憶測を呼ばないように、メーカのCAD設計者は、様々な顧客からのCAD図面を変換および修正し、図面を標準化、規範化して、コンピュータ支援製造CAMソフトウェアが認識可能な電子図面にする必要がある。CAMエンジニアは、電子図面で表された加工ニーズを受けて、NC加工設備が認識可能な加工プログラムにプログラミングし、こうして製造前の準備過程が完了する。準備過程の完了後、生産従事者は、プログラミングされた加工プログラムをNC工作機械にアップロードし、NC工作機械を操作して製品の加工を完成させる。
図1は、従来技術の図面に基づく加工形式の一般的なプロセスを示している。
【0004】
上記のような図面に基づく加工形式は、製品カスタマイズの複雑さの度合によって決定され、顧客の発注準備から加工プログラムができるまで、製造前の全準備段階に数時間から数日を要し、また完成には様々な専門技術者の共同作業が必要である。見積もりの過程では、顧客と見積もり担当者の双方で意思疎通するため、何度もデータの伝送が発生し、また時間的にも順番を待つなど、見積もり効率が低い。
【0005】
従来のCADソフトウェアおよびCAMソフトウェアは「多種広範な機能」であり、機械加工製品のカスタマイズ専用ではなく、あらゆる業界の製図ニーズに対応するため、非常に多くの専門的な製図機能を組み込んでおり、専門的な研修を受けなければ、習熟利用して、各々の利用上の問題をそれぞれ解決することはできない。
【0006】
図1a~
図1cは、従来技術に基づく、顧客の提供したカスタム製品の図面を元に行う人為的な見積計算および顧客への見積提示、プログラミングおよび製造に使用可能な標準CAD図面の作図、標準CAD図面の加工プログラムへの変換、の3つの単独プロセスをそれぞれ示している。
【0007】
従来の図面に基づく加工形式において、上記3つのプロセスは互いに独立しており、これに対し、顧客カスタマイズから製造まで多くのプロセスを関連付け、多段階で利用でき、専用ソフトウェアの複雑さをそれぞれで遮断し、操作者の使用上のハードルを引き下げるシステムに対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のシステムは、多段階の総合的な問題を解消する「エキスパートシステム」に属し、このシステムは、web技術に基づくネット販売のインタフェースを利用し、必要なパラメータデータを収集するとともに、視覚的な表示効果を呈し、複数分野を関連付け、多段階で利用できるとともに、専用ソフトウェアの複雑さを遮断し、操作者の使用上のハードルを引き下げる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、顧客の入力に基づいて必要なパラメータデータを自動的に収集するための、カスタマイズする機械加工製品のメタデータを取得する方法を開示する。当該方法は、インターネットサーバに、型番の異なる複数の標準製品の製品データを記憶するための標準製品メタデータリポジトリと、各標準製品に対応するカスタム項目の置換データを記憶するためのカスタム項目メタデータリポジトリとを構築することと、顧客が遠隔ブラウザクライアントを介して選択した標準製品の型番に基づいて、選択した型番の標準製品の2D視覚化画像を、前記サーバを経由して前記クライアントに表示し、選択した型番の標準製品に使用可能な1または複数のカスタム項目の選択候補を提供することと、顧客の遠隔ブラウザクライアントを介した1または複数の追加加工項目の選択および選択された1または複数の追加加工項目に基づいて、選択された追加加工項目に対応する置換データを抽出することと、前記顧客が選択した型番の標準製品の製品データと、抽出された追加加工項目の置換データとをマージして、カスタマイズする機械加工製品のメタデータを取得することと、を含む。
【0010】
本発明はさらに、機械加工製品をカスタマイズするシステムを開示し、当該システムは、型番の異なる複数の標準製品の製品データを記憶するための標準製品メタデータリポジトリと、各標準製品に対応するカスタム項目の置換データを記憶するためのカスタム項目メタデータリポジトリと、遠隔ブラウザクライアントからの顧客による標準製品の型番に対する選択に基づいて、選択された型番の標準製品の2D視覚化画像をクライアントに表示し、選択された型番の標準製品に使用可能な1または複数のカスタム項目の選択候補を提供するための表示部材と、顧客の遠隔ブラウザクライアントを介した1または複数のカスタム項目に対する選択および選択された1または複数の追加加工項目に基づいて、選択されたカスタム項目に対応する置換データを抽出するカスタムデータ抽出部材と、前記顧客が選択した型番の標準製品の製品データと、抽出された追加加工項目の置換データとをマージして、カスタム製品のメタデータを取得する計算部材と、マージされたカスタム製品のメタデータから見積もりに用いるメタデータを抽出し、計算されたカスタム製品の価格を、ユーザのブラウザクライアントに送信するための見積もり部材と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、専用のCADソフトウェアを用いることなく、web環境において、顧客が自らネット販売のプラットフォーム上で、WYSIWYGのインタラクティブ方式にて、選択した標準モールドベースの型番に基づき、製品をさらにセルフ設計できるようにするもので、この設計のプロセスはWYSIWYGであり、専用CADと類似の表示効果を有している。最も重要であるのは、本発明の機械製品カスタマイズシステムは、顧客の入力に基づいて必要なパラメータデータを自動的に収集し、収集されたニーズデータを計算して記憶し、製品加工のニーズデータを伝送できることである。これにより、後続の見積もりの自動化、CAD図面作成の自動化、およびCAMプログラミングの自動化を可能にする。
【0012】
本発明は、顧客の製品加工ニーズをデータ化した後、自動化されたプログラミングにより、生産加工前のCADおよびCAMのプロセスを全自動的に完成するもので、全自動的に生産へ直結させ、フロー時間を短縮し、人為的処理にかかるコストの削減を実現する。近年、顧客用金型の開発周期は、従来の50%まで短縮している。本発明はさらに、バックオフィス人員の関与を減らし、また一般的な営業時間の制約を受けないため、顧客カスタマイズ金型の製造効率を大きく向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
次に図面を参照し詳しく説明することで、本発明の各実施形態における上記および他の特長ならびに利点を明らかにする。
【0014】
【
図1】従来技術に係る、顧客の提供したカスタム製品の図面に基づいて加工する、図面に基づく加工形式の生産プロセスを示している。
【
図1a】従来技術に係る、顧客の提供したカスタム製品の図面を元に行う見積計算、および顧客への見積提示のフローを示している。
【
図1b】従来技術に係る、顧客の提供したカスタム製品の図面に基づく、プログラミングおよび製造に使用可能なCAD図面の作成フローを示している。
【
図1c】従来技術に係る、プログラミングおよび製造に使用可能なCAD図面を、加工プログラムに変換するフローを示している。
【
図2】本発明に係る、顧客がネット販売のプラットフォーム上でセルフ設計する製品の自動見積もり、発注書の作成、プログラミングおよび製造に使用可能なCAD図面ならびに加工プログラムの自動生成のフロー図を示している。
【
図3】本発明に係る、顧客がネット販売のプラットフォーム上でセルフ設計した製品に基づき、自動見積もりを行い、発注書を作成するフロー図を示している。
【
図4】本発明に係る、遠隔ブラウザクライアントに表示された顧客が選択した標準モールドベースの2D図形化表示401、顧客が選択した標準モールドベースに関するパラメータ、および使用可能な選択候補のリスト402を示している。
【
図5】
図4において「セルフポケット加工」を選択したときのセルフポケット加工のインタフェースを示している。
【
図6】
図5の実施例よりもさらに複雑なセルフポケット加工のインタフェースを示している。
【
図7】本発明の一実施例に係る自動作成された発注書を示している。
【
図8】本発明の一実施例に係る、ALPプログラミングシステムが、加工プログラムに要する自動取得されたメタデータに基づいて自動生成した図面を示している。
【
図9】本発明の一実施例に係る、ALPプログラミングシステムで自動生成された、NC装置に呼出しされる加工プログラムを示している。
【
図10】メタデータ中の矩形に関するメタデータの取得後に、正方形の矩形を作図する3つの方式を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学用語を含む)は、別途限定される場合を除き、本発明の属する技術分野の一般的な技術者による一般的な理解と同一の意味を有する。さらに理解されるべきは、用語(例えば、一般的に用いられている辞書で定義されるもの)は、関連の技術的背景および/または本明細書における意味と一致する意味を有していると解釈すべきであり、また、本明細書で明確に限定している場合を除き、理想化された或いは過度に形式化された意味では解釈されない。
【0016】
図2は、本発明に係る、顧客がネット販売のプラットフォーム上で、自分で製品をカスタマイズするプロセスにおける入力の収集に必要なパラメータデータに基づく、自動見積もり、発注書作成、プログラミングおよび製造に使用可能なCAD図面の自動生成、ならびに加工プログラムの自動生成のフロー図を示している。
【0017】
本発明において、ネット販売のプラットフォームを介して、システムは顧客がネット販売のプラットフォーム上でセルフ設計した製品の関連データを収集することができ、これにより後続の自動見積もり、プログラミングおよび製造に使用可能なCAD図面の自動生成、ならびに加工プログラムの自動生成を可能にする。
【0018】
図3は、本発明に係る、ネット販売のプラットフォームにより、顧客が製品をセルフ設計するとともに自動見積もりするフロー図を示している。
【0019】
図3において、30では、顧客が遠隔ブラウザクライアントを介してネット販売プラットフォームのウェブページに入り、ネット販売プラットフォームのサーバにログインし、31では、顧客が図形化されたアイコンから標準モールドベースを選択しており、複数の図形化されたアイコンは、複数の異なる標準モールドベースを表す。32では、選択した標準モールドベースに関するリストから、仕様と型番を選択する。33では、選択された型番の標準モールドベースを2D図形化表示するとともに、選択された型番の標準モールドベースに関するパラメータおよび使用可能な選択候補リストを表示し、当該選択候補リストには、寸法、材質、および使用可能な追加加工項目とそれに関連する選択候補リストが含まれ、顧客は、必要に応じて各種寸法を入力し、材質を選択し、使用可能な追加加工項目を選択することができる。34では、顧客が追加加工項目を選択する。35では、顧客が、選択した追加加工項目に関するリストから、寸法、加工位置、材質、およびその他関連パラメータを入力する。36では、顧客の入力に基づき、2D標準モールドベースに対する2D図形化された追加加工項目を表示する。37では、顧客の指示したカスタマイズ完成に応答し、カスタマイズされたモールドベースの価格を計算して表示する。38では、顧客の指示に応答してカスタマイズされたモールドベースをカートに入れて数を指定する。39では、顧客の指示に応答して顧客の注文製品の発注書を作成する。
【0020】
図4は、本発明に係る、遠隔ブラウザクライアントで表示される、顧客の選択した標準モールドベースの2D図形化表示と、顧客の選択した標準モールドベースに関連するパラメータデータと、使用可能な選択候補リストとを示している。この実施例において、顧客は固定側型板(A板)と可動側型板(B板)の厚みおよび材質をそれぞれ選択することができる。
【0021】
図4で示した実施例において、顧客が、選択した標準モールドベースに基づく付加的な加工サービス、例えば「ポケット加工」を望む場合には、
図4で示した選択候補から「セルフポケット加工」403を選択することで、オンラインセルフ設計状態に入ることができる。
【0022】
図5は、
図4で「セルフポケット加工」が選択された際のセルフポケット加工インタフェースを示している。このインタフェースにおいて、顧客は自分の製品のニーズに照らし、一連のパラメータを選択することで、
図4に示したような2D図形化された標準モールドベース上で、ポケット加工をカスタマイズすることができる。
【0023】
図6は、
図5における実施例よりもさらに複雑なセルフポケット加工のインタフェースを示している。
【0024】
図7は、本発明の一実施例に係る自動作成された発注書を示している。
【0025】
本願で開示された、web技術を用いて2D図面を実現するカスタマイズ方法は、少なくとも、標準モールドベースのメタデータリポジトリ(metadata repository)の構築、追加加工のカスタマイズ化、メタデータのマージ、顧客のカスタマイズ過程における入力に基づく必要なパラメータデータの収集、自動見積もりの実現、自動化されたCAD図面の作成、および自動化されたCAMプログラミングを含む。次に各プロセスを具体的に説明する。
【0026】
標準モールドベースのメタデータリポジトリの構築
顧客によるモールドベースのセルフカスタマイズの過程で、必要なパラメータデータを収集して、自動見積もりを行い、また後続のプログラミングおよび製造に使用可能なCAD図面の自動生成ならびに加工プログラムの自動生成を可能とするため、顧客がカスタマイズしたモールドベースのメタデータを取得する必要がある。
【0027】
以下、本発明における顧客がカスタマイズしたモールドベースのメタデータの取得方法を具体的に説明する。
【0028】
まず、メーカの各種異なる仕様および型番の標準モールドベースに対し、材料リストBOMをそれぞれ構築する。構築された各種型番の標準モールドベースの材料リストBOM上の各部材に対し、データリポジトリにおいて1または複数のパラメータおよび対応するパラメータ値を用いて、各部材(板材や部品)を定義し、この1または複数のパラメータは、例えば、立方体、円柱体、ねじ形、またはそれらの組み合わせ等、各部材の形状や、規格サイズの定義に用いられ、例えば立方体について、パラメータは、長さ、幅、厚さのデータを含み、円柱体について、パラメータは、直径や長さ等を含む。複雑な組立体については、まずそのサブアセンブリを定義し、次に各々のサブアセンブリを一つずつ定義し、その後で、ツリー状構造によりデータリポジトリ内で組み合わせを行ってもよい。
【0029】
また、各種型番の標準モールドベースに、加工項目リスト(BOP)をさらに構築する。機械加工業界において、加工項目とは、固体材料に、各種切削の手段を用いて、不必要な部分を原材料から除去する1または複数のプロセス、例えば、ポケット加工、穴あけ等を意味する。同様に、複数のパラメータを用いて、加工項目の形状および規格サイズを定義する必要がある。加工項目の形状パラメータには、立方体、円柱体、ねじ形、およびそれらの組み合わせ等が含まれ、また加工項目の規格サイズには、例えば、ポケット加工では、パラメータは長さ、幅、深さおよび傾斜度を含む。切削具の抜差しを考慮すると、パラメータにはさらにコーナーのタイプおよびサイズ、例えばR角、逃がし角、および位置する板材に対する中心座標(X,Y座標)等が含まれる。穴あけについて、パラメータは直径および深さ等を含む。各部材の定義と同様に、加工項目について、まずサブアセンブリを定義し、次に各々のサブアセンブリを一つずつ定義し、その後に、ツリー状構造によりデータリポジトリ内で組み合わせを行う必要がある。
【0030】
顧客は標準モールドベースを注文する場合、ネット販売のプラットフォームに入り、ブラウザ内のクライアントに、モールドベース見積書を作成することができる。システムは、顧客が選択した仕様と型番を読み取ると、バックエンドサーバにメタデータ作成要求を送り、メタデータリポジトリから、選択されたモールドベースのインスタンスのメタデータを検索して生成し、例えばJSONフォーマットでカプセル化してクライアントに伝送し、クライアントはこのメタデータインスタンスを受信してバッファ記憶する。顧客はこれに基づいて一連の選択を行うことで、標準モールドベースを注文することができる。
【0031】
追加加工のカスタマイズ化
本分野で慣用されるセルフ機能を有するネット販売プラットフォームでは、有限的な選択候補から固定値を選択するオプションのみが顧客に提供されている。慣用の技術とは異なり、本発明では、許可された数値範囲内で顧客が自ら任意の値を入力することができ、顧客は、理論上限度のない様々な配列組合せを有する非標準的な追加加工項目を追加することができる。
【0032】
一実施例において、顧客が、選択した特定の型番の標準モールドベースの基礎の上に、特化される加工項目の追加を望む場合には、標準モールドベースの型番を選択した後、2D図面に基づきオンライン設計を行うことで、追加加工のカスタマイズ化を行うことができ、即ち本発明は、標準モールドベースの基礎の上に、非標準のBOMおよびBOP項目の無限の組み合わせを顧客に提供することを可能にする。
【0033】
標準モールドベースのメタデータリポジトリの構築後、各種型番のモールドベースをさらにカスタマイズ可能とするため、標準モールドベースの定義に基づいて、追加加工のタイプ(基本形状と基本形状の簡単な組み合わせ)を限定し、顧客が直観的で簡単な操作のみで、所望する加工項目の定義と有効な表示ができるようにする。顧客は、製品ニーズに基づき、対応する加工項目のセルフ加工インタフェースを介して、表示された対応加工項目の2D図形に基づいて一連のパラメータを選択し、許可された範囲内で所望する数値を入力することで、追加加工のカスタマイズ化を定義することができる。
【0034】
一実施例において、顧客が、選択した標準モールドベースの基礎の上に、ポケット加工の追加を望む場合、セルフポケット加工アイコンを選択すれば、セルフポケット加工インタフェースに入ることができ、このとき、システムは自動的にJava Script(登録商標)機能を呼び出してメタデータを読み取り、それについてメタデータのマッピングによりルールを定義し、モールドベースのBOMおよびBOPのオブジェクトに対応する2D図形に自動的に変換するとともに、ブラウザ上に作図して、抽象データの動態視覚化を実現する。顧客がカスタマイズする加工を新たに追加するときには、Java Scriptプログラムを用いて、ブラウザにおける視覚化図形を、例えばJsonフォーマットのメタデータとの間で自動的に変換し、2D図形をリアルタイムかつ同期に表示する。顧客は、回数無制限にインタラクティブな操作ができ、毎回の操作では、図形がメタデータとの間で自動的に変換される。カスタマイズ操作が一旦完了して提出する際には、ブラウザは最新のメタデータをバックエンドサーバに送信し、バックエンドサーバは、顧客化したデータを、記憶された標準モールドベースのメタデータとマージして、そのモールドベースインスタンスの顧客化メタデータとして取得する。
【0035】
特定の一実施例において、顧客が、選択した標準モールドベース上にポケット加工を追加する場合には、ポケット加工項目の定義において下記パラメータを入力する必要がある。
1.座標の位置決め:板材に対する位置決めに用いられ、複数の選択があり、板材の(X,Y)平面の中心点に基づき、任意の方向にずらす(または(x,y)方向の変位量が(0,0)であるとき板材の中心に重なる)ことで、加工位置を決定することができる。
2.寸法の定義:板材の(X,Y)平面におけるその延伸範囲を決定するために用いられ、標準モールドベースの定義を参照し、どれがX方向で、どれがY方向であるかをあらかじめ決定することができる。
3.加工特性:例えば、ポケット加工の角特性を定義して、角部の特徴を明確にする。下記図で示す実施例では、基準角をR角形式、半径を13ミリメートルと定義し、残りの3つの角は逃がし角の形式とし、半径は10ミリメートルとしている。こうした特徴を主ポケットと組み合わせて、一つの組み合わせ加工とする。
【0036】
例えば、
図5で示される、
図4の標準モールドベース上にポケット加工を追加した実施例において、
501は中心変位の距離を示し、X15,Y10は、X方向右向きに15ミリメートルずらし、Y方向上向きに10ミリメートルずらすことを表している。
502はポケット加工の寸法サイズを示し、幅方向が150ミリメートル、長さ方向が250ミリメートルである。
503は4つの円弧角の度量がいずれもR角13ミリメートルであることを示し、当然ながら、顧客は別のタイプやサイズを選択することもできる。
504は深さ方向における、ポケット加工の深さを示し、これにより2Dの制約を打破し、3D加工の内容を完全に表現することができる。
505は図示されたすべての加工が、具体的な寸法によって計算され表示されていることを示す。同比率で表示され、WYSIWYGであり、必要に応じて、顧客ニーズを満たすまで自由に変更、調整が可能である。
【0037】
図5に示した「セルフポケット加工」インタフェースにおいて、顧客が一連のパラメータを選択し、具体的な数値を入力すると、図示エリアに同比率の加工図面が表示される。本発明では、追加加工の定義を視覚化する過程において、WYSIWYGで追加加工の設計を視覚化するという目標が実現される。即ち、顧客による毎回の設計操作に対し、視覚的なフィードバックを実現する。他のインターネット回線を使った設計やインタラクティブゲームと異なる点として、本発明は、顧客の毎回の設計操作に対し、自己独立した座標系を備え、表示される各図形は厳格な寸法要求を有している。各種図形のサイズと線の長さとの間は、同一の比率によって表示される(拡大するときは一緒に拡大され、縮小するときは一緒に縮小され、スクリーンの表示面積に関わらず、表示される寸法数値の比率は変更できず、メタデータにおける定義と一致する)。必要に応じて、顧客は視覚的なフィードバックに基づき、顧客ニーズが満たされるまで、パラメータを自由に変更、調整することができる。さらに、2D図面の表示に加え、ポケット加工の深さの定義が提供されることで、2Dの制約を打破し、3D加工の内容を完全に表現することができる。
【0038】
市場にはすでに、類似の顧客オンライン設計用ツールソフトウェアがある。しかし、それらは通常、CADソフトウェアを技術ベースとし、webブラウザに対する特殊な要求(特定のプラグインのインストールが必須等)があり、操作者には製図技能を求めることによって実現される。また、この機能を推奨する多くは鋼板(モールドベース)のメーカではなく、したがって、これらは通常、板材の交換など数量が有限的なカスタマイズ化しか実現することができない。このため、従来のオンライン設計用ツールソフトウェアに比べ、本発明の追加加工のカスタマイズ化過程では、許可された範囲内で任意の値を自ら入力することができ、理論上の配列組合せの数は無限的である。
【0039】
従来のオンライン設計用ツールソフトウェアに比べ、本発明は、バックグラウンドエンジンとしてのCADソフトウェアに依存せず、web技術を用いたCADシミュレーションにより、セルフ加工マンマシンインタフェースを実現する。具体的には、本発明は、web技術を用いたCADシミュレーションによる座標システムを採用し、動態図形中の各オブジェクトがいずれも「座標」および「寸法」を有し、表示装置の規格、拡大または縮小表示、実際の占有画素等に関わらず、製品および加工を表す「座標」および「寸法」が変更されることはない。
【0040】
web技術によるCADシミュレーションで用いられる「ブロック」の概念は、モールドベース業界の特徴に照らし、BOPの一部のオブジェクトを適宜組み合わせて一つの「大オブジェクト」とし、オブジェクトごとに、その専有メタデータ、図形を遮蔽する点、線など、細かい特徴を操作する。
【0041】
web技術を用いたCADシミュレーションシステムのオブジェクト選択、オブジェクト操作の機能は、従来のブラウザにおける画像では、そのうちの一部の特定オブジェクトは選択できなかったが、本発明における図形は、相互間で関連のある多くの「BOMオブジェクト」および「BOPオブジェクト」から構成され、各オブジェクトは、独立したメタデータがそれに対応し、単独またはグループで選択されて、各オブジェクトを編集、操作することができる。
【0042】
web技術によるCADシミュレーションにおいて、オブジェクトのリアルタイム操作の特徴は、あるBOPオブジェクトに対する操作が毎回、フィードバックを即時にリフレッシュすることであり、中間プロセスにおいてクライアントとサーバ間を何度も往復する必要がない。
【0043】
web技術を用いたCADシミュレーションのコンテンツの可変性は、従来の「スタンプ」や「アイコン」の概念とは異なる。「スタンプ」や「アイコン」は全体として拡大縮小が可能であり、必要に応じて配置されて、限定的なカスタマイズ機能を実現する。しかし「スタンプ」を構成する内部図形は固定的で変更することはできない。本発明は、動態的にメタデータごとに図形を作成することで、メタデータの変更時には、オブジェクトを構成するどの部分でも、変更(変形、変位、拡縮、増減)が可能である。
【0044】
メタデータのマージ
追加加工のカスタマイズの過程において、顧客が標準モールドベースの型番を選択すると、システムはまず、メタデータリポジトリから、選択された標準モールドベースのインスタンスの、BOMおよびBOPを含むメタデータを抽出し、初期化してその顧客発注書のインスタンス中に取り込み、顧客による板材に対する追加加工の定義はいずれも、このカスタマイズされたモールドベースのメタデータインスタンスにマージされる。このインスタンスのマージ後のメタデータは、後続のプロセスに流用することができ、自動見積もり、自動化された標準化CAD図面の作成、および自動化されたCAMプログラミングを実現する。
【0045】
本発明において、追加加工の定義を視覚化するプロセスで、顧客がクライアントにて行う視覚化設計における入力は、データリポジトリに記憶可能でかつ様々な各システムに転送されて計算可能なデータに変換される。データ入力やデータ抽出の全プロセスにおいて、画像を入力したり保存したりする必要がない。したがって、本発明の重要な利点の一つとして、画像の処理解析の複雑なプロセスがなくなり、また画像画素の固定化による、拡縮時の重要データ喪失の可能性(画素が極度に低い場合の、サイズ数字の識別不能あるいは誤識別など)が回避される。本発明は、顧客が入力するデータにより、顧客の特定ニーズを備えた製品のCAD図面をレストアすることができる。
【0046】
本発明はさらに、データ保存と計算表示との間の変換を実現し、クライアントにおいて2D幾何学的図形の方式で、顧客の求める加工項目をWYSIWYG方式で表示し、顧客による提出後には、顧客が入力した、図形で示されたデータは、メタデータとしてバックグラウンドデータリポジトリに記憶される。こうした顧客ニーズに基づいて調整されたデータが一旦取得されると、その後の処理プロセスでは、様々な技術を用いて複数の異なるシステムでこれらのデータを利用できるようになる。例えば、見積もりシステムのエンジンでこれらのデータを読み出せば、見積もりをリアルタイムに自動生成でき、CAD技術を用いれば、顧客のカスタム製品の図面を自動で作成して再現でき、またCAM技術を用いれば、CAMプログラミングを自動実行して、工作機械で認識可能な加工プログラムに変換することができる。メタデータにおいて、総じて言えば、見積もりシステムに関するメタデータは、これに限定されるものではないが、モールドベースの容積に関するデータを含む。例えば、顧客が標準的なモールドベース上にポケット加工をカスタマイズしたい場合、許可された数値範囲内で、ポケットのサイズ、深さ、およびそのポケット加工のモールドベース上の位置を入力することができる。これらの入力されたデータのうち、ポケット加工のサイズおよび深さは、容積に関係するため、見積もりシステムは、容積に関するそれらのメタデータを抽出して、見積もり計算を行う。他方、CAD自動製図およびCAM自動プログラミングでは、ポケット加工のサイズおよび深さのほか、ポケット加工のモールドベース上の位置も、CAD自動製図およびCAM自動プログラミングに利用される。したがって、当業者は理解可能であるように、後続の加工プロセスにおいて、マージ後の略全てのメタデータが利用可能である。
【0047】
自動見積もり
本発明の見積もりシステムにおいて、各種の様々な仕様および型番の標準モールドベースは、その材料リストBOMの各材料の重量、およびその加工項目リストBOPの各種加工に基づいて、対応的に各種標準モールドベースの基本価格を有している。
【0048】
追加加工のカスタマイズ過程では、変更されたBOMおよびBOP項目に基づいてメタデータのマージが行われるため、本発明では変更されたBOMおよびBOP項目に対し、各種標準モールドベースの基本価格の上で、新たに見積もりを行うことができるようにし、オンラインのリアルタイム動態見積もりを可能としている。
【0049】
収集されたBOM(材料リスト)およびBOP(加工リスト)から、見積もりに用いるメタデータを抽出し、必要なパラメータを見積もりシステムに送ることで、見積もり結果を直接顧客に戻すことができる。
【0050】
本発明において、見積もりシステムに関する、カスタマイズされたモールドベースメタデータの必要パラメータには、これらに限らないが、モールドベースを構成するBOM材料の寸法情報を含み、これは例えば、1個あたりの板材の幅、長さ、高さ(実物長で計測され、例えばミリメートルを単位とする)、各部品の直径および長さであり、複数の特徴がある場合は、ツリー状構造によって組み合わせる。またモールドベースにおけるBOP加工項目の寸法情報を含み、標準モールドベースで定義されたものであるか、あるいはユーザがカスタマイズした追加の加工であるかを問わず、その実施される材料に基づき、ツリー状階層構造で各加工の寸法データや、ポケット加工の記録(幅、長さ、深さ、コーナーの特徴およびサイズ)が記憶され、孔タイプの加工であれば、その直径、深さ等のパラメータが記録される。
【0051】
本発明において、モールドベースの見積もりは、基本的に材料費と加工サービス費の2部分に分かれる。材料費は2つの重要な変数を有し、一つは材質であり、材質が異なる材料の単価は通常異なり、もう一つは材料の重量であり、同様の材質の材料では、寸法が大きいほど重量も重く、費用も高い。当然ながら、特殊形状および特殊比率の材料には、特別な見積もり計算法がある。加工サービスの費用の計算では、その加工サービスの製造にはどのような設備が必要であるか、また各設備を占有する時間(工数)を参考にする。工数に対する計算能力が、加工見積もりの正確性を決定する。
【0052】
各モールドベースについてBOM(材料リスト)およびBOP(加工リスト)のメタデータがすでに収集されている場合は、BOM中の寸法メタデータを用いて、各材料アセンブリの重量を算出可能であり、その材料アセンブリで用いられる材質を参考に、各材料アセンブリの材料価格を算出することができる。BOP中の各加工項目の加工寸法データを用いれば、各主要設備を占有する時間長を算出可能であり、各主要設備の単位時間長価格を参考に、その加工項目の費用を算出することができる。これによりツリー状階層構造に基づいて反復加算すれば、モールドベースをカスタマイズする全体の価格を算出可能である。
【0053】
例えば、顧客が追加加工のカスタマイズの過程で、BOM項目に修正を行った場合、例として板材の厚みを修正したとする。見積もりシステムは、マージしたメタデータ中の修正された板材の厚み数値を受け取ると、厚くなった厚みに基づいて板材の重量を再計算する。計算された板材重量および材料単価に基づき、板材の価格を再計算することで、修正されたBOM項目の価格が得られる。加工項目についても、類似の計算を行うことが可能である。即ち、標準モールドベースの加工項目BOPの基本価格の基礎の上に、追加加工のカスタマイズ過程で修正されたまたは追加された加工項目に基づいて、その追加加工項目の価格を再計算する。例えば、顧客が追加加工のカスタマイズ過程で、新たな加工項目を追加する場合、追加された加工項目のメタデータに基づいて、加工コスト(時間および加工種類の単価)を計算することで、マージしたメタデータに基づき、オンラインでリアルタイムに再見積もりを行うことができる。
【0054】
標準化CAD図面の自動作成
CAD(Computer Aided Design)コンピュータ支援設計は、コンピュータ技術の重要な応用分野の一つである。例えば、AutoCADは米国Autodesk社の開発したインタラクティブ型製図ソフトウェアであり、2次元および3次元設計に用いられる。
【0055】
AutoCADは開放された体系構造を有し、ユーザと開発者が高級プログラミング言語を用いて拡充と修正を行う二次開発を許可している。AutoCADの二次開発は、AutoCADの開放されたAPIの基礎の上に、そのユーザインタフェース、サービスロジック、およびデータリポジトリアクセスを拡張するものである。本発明は、収集されたBOM(材料リスト)およびBOP(加工リスト)から、製図の自動生成のためのメタデータを抽出後、市場の二次開発能力を有するCADソフトウェアを用いて、二次開発ソフトウェアのインタフェースを呼び出し、例えば、AutoCADシステムの製図を自動生成するAPIおよび関数ライブラリを呼び出すことで、メタデータで示される図形オブジェクトを自動生成し、また生産ニーズに応じて、工員に知らせたい情報を自動的に図面上に追加することができる。
【0056】
慣用されるCADの二次開発ツールとしては、例えば次のようなものがある。a)AutoLISPプログラミング言語。スクリプトコマンドの方式を用いてAutoCADの関数ライブラリを呼び出し、AutoCADのビルトインコマンド等を実行して、一連の自動化あるいは半自動化タスクを完成させる。b)AutoCAD.Net API。C#言語を用いて、AutoCAD.Net APIで開発された自動作図に基づき、CAD図形コンテンツの自動化タスクを認識できる。
【0057】
例えば、
図10に示したように、メタデータから矩形に関するメタデータを取得後、下記方式に基づき、100×100の正方形の矩形を作図することができる。
1.対称座標法
左上隅座標:x:100,y:100、右下隅座標:x:200,y:200
2.位置合わせ+形状寸法
左上隅座標:x:100,y:100、幅100、高さ100
3.位置合わせ+経路
始点座標(x:100,y:100)から、xの順方向に100進み(move:x:100,y:0)、yの順方向に100進み(move:x:0,y:100)、xの逆方向に100進み(move:x:-100,y:0)、最後に始点と合わせる(close:start)。
【0058】
さらに別の方法として、例えば、ミラーmirror、ズームアップZOOMUP、ズームダウンZOOMDOWN、オフセットOffset等があり、いずれも幾何学的図形の位置とサイズを制御することができる。
【0059】
CAMプログラミングの自動実行
製品の定義完了後、製造決定前に、NC加工センターで運用可能な加工プログラムが必要である。
【0060】
図8は、ALPプログラミングシステムが、加工プログラムに要する自動取得されたメタデータに基づいて自動生成した図面を示している。
【0061】
システムによる発注書の自動作成後、マージされたメタデータをALPプログラミングシステムに送り、ALPプログラミングシステムでは、加工プログラムの作成に必要なあらゆる情報が自動取得されている。このため人が関与することなく、生産従事者に認識される図面を自動作成することができる。
【0062】
記憶されたメタデータのBOMおよびBOPに基づき、生成されたCAD図面の幾何学的図形を、座標データおよび動作データに変換し、数値制御CAMソフトウェアのAPIおよび関数ライブラリを呼び出して、特定の加工項目の加工方法ライブラリと組み合わせることで、メタデータで示される加工オブジェクトを自動生成し、加工センターで実行可能な加工プログラムに自動変換することができる。
【0063】
図9は、本発明の一実施例に係る、ALPプログラミングシステムで自動作成された、NC装置に呼出しされる加工プログラムを示している。
【0064】
次に、本発明の実施形態に基づいて開示された複数の例を示す。
【0065】
[例1]
カスタマイズする製品のメタデータを取得する方法において、インターネットサーバに、型番の異なる複数の標準製品の製品データを記憶するための標準製品メタデータリポジトリと、各標準製品に対応するカスタム項目の置換データを記憶するためのカスタム項目メタデータリポジトリとを構築することと、顧客が遠隔ブラウザクライアントを介して選択した標準製品の型番に基づいて、選択した型番の標準製品の2D視覚化画像を、前記サーバを経由して前記クライアントに表示し、選択した型番の標準製品に使用可能な1または複数のカスタム項目の選択候補を提供することと、顧客の遠隔ブラウザクライアントを介した1または複数のカスタム項目に対する選択および選択された1または複数の追加加工項目に基づいて、選択されたカスタム項目に対応する置換データを抽出することと、前記顧客の選択した型番の標準製品の製品データと、抽出された追加加工項目の置換データとをマージして、カスタマイズする機械加工製品のメタデータを取得することと、を含む。
【0066】
[例2]
例1に記載の方法に基づき、標準製品のメタデータリポジトリの構築では、各種型番の標準製品用に材料リスト(BOM)を構築するとともに、1または複数のパラメータを用いて材料リスト中の各部材を定義し、各種型番の標準製品用に加工項目リスト(BOP)を構築するとともに、1または複数のパラメータを用いて加工項目リスト中の各加工項目を定義することを含み、カスタム項目のメタデータリポジトリの構築では、各種型番の標準製品用に1または複数の追加加工項目を限定し、1または複数のパラメータを用いて追加加工項目の各々を定義するとともに、各パラメータの数値範囲を限定することを含む。
【0067】
[例3]
例2に記載の方法に基づき、選択された追加加工項目の2D視覚化画像を、前記サーバを経由して前記クライアントに表示するとともに、選択された追加加工項目に使用可能な選択候補およびパラメータ範囲を提供することをさらに含む。
【0068】
[例4]
例3に記載の方法に基づき、ユーザによる遠隔ブラウザクライアントにおける標準製品の型番の選択に応答して、選択された標準製品のインスタンスの、BOMおよびBOPを含むメタデータを、標準製品メタデータリポジトリから検索するとともに、初期化してその顧客の発注書インスタンスに取り込み、ユーザによる1または複数の追加加工項目の選択に応答して、BOMおよびBOPのメタデータを読み出すとともに、メタデータのマッピングに基づいてルールを定義し、標準製品のBOMおよびBOPのオブジェクトに対応する視覚化図形に自動変換するとともに、ブラウザに作図し、また、ユーザによる各追加加工項目のパラメータ数値の入力に応答して、ブラウザの視覚化と、例えばJsonフォーマットのメタデータとの間で、ブラウザに作図された視覚化画像を対応的に変更するように変換し、ユーザの指示した1または複数の追加加工項目に対する入力の完成に応答して、ブラウザが、追加加工項目の最終更新されたメタデータを、バックエンドサーバに送信し、前記バックエンドサーバは、追加加工項目のメタデータと、選択された標準製品のメタデータとをマージして、そのユーザのカスタム製品のメタデータを得ることをさらに含む。
【0069】
[例5]
例2に記載の方法に基づき、前記部材を定義するパラメータは、形状パラメータと規格寸法パラメータとを含み、前記加工項目を定義するパラメータは、形状パラメータと規格寸法パラメータとを含む。
【0070】
[例6]
例2に記載の方法に基づき、複雑な組立体の部材については、まず各部材のサブアセンブリを定義し、1または複数のパラメータを用いて各サブアセンブリを一つずつ定義し、ツリー状構造により組み合わせて記憶する。
【0071】
[例7]
例2に記載の方法に基づき、web技術を用いたCADシミュレーションにより、2D視覚化図形をブラウザに作図することを実現する。
【0072】
[例8]
例1に記載の方法に基づき、マージされたカスタム製品のメタデータのうち見積もりに用いるメタデータを抽出し、抽出したユーザ見積もりのメタデータを、見積もりシステムに伝送するとともに、見積もりシステムで計算された、カスタム製品に関する価格を、ユーザのブラウザクライアントに送信する。
【0073】
[例9]
例8に記載の方法に基づき、見積もりに用いるメタデータには、BOM材料の寸法情報および材質、BOP加工項目の寸法情報および加工類別、追加加工項目の寸法情報および材質を含む。
【0074】
[例10]
例8に記載の方法に基づき、見積もりシステムで計算された、カスタム製品に関する価格には、マージされたメタデータ中のBOM材料の寸法情報に基づいて、各材料の重量の合計を計算するとともに、使用する材料の単価に基づいて、材料に基づく価格を計算したものと、マージされたメタデータ中の各加工項目の寸法情報に基づいて、その加工項目に要する工数を計算するとともに、その加工項目の単価に基づいて、加工項目の価格を計算したものとを含む。
【0075】
[例11]
例9に記載の方法に基づき、記憶されたサブアセンブリのツリー状階層構造の反復加算により計算された材料の価格および加工項目の価格に基づいて、カスタム製品全体の価格を得る。
【0076】
[例12]
例1に記載の方法に基づき、マージされたカスタム製品のメタデータから、作図を自動生成するためのメタデータを抽出し、AutoCADシステムの作図自動生成APIおよび関数ライブラリを呼び出して、メタデータで示される図形オブジェクトを自動生成することをさらに含む。
【0077】
[例13]
例1に記載の方法に基づき、マージされたカスタム製品のメタデータに基づいて、数値制御CAMソフトウェアのAPIおよび関数ライブラリを呼び出し、特定の加工項目の加工方法ライブラリを組み合わせることで、メタデータで示される加工オブジェクトを自動生成し、加工センターで実行可能な加工プログラムに自動変換する。
【0078】
[例14]
ソフトウェアコマンドが記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体において、プロセッサにより実行されるとき、前記ソフトウェアコマンドは前記プロセッサに実施例1~12のいずれかの方法を実行させる。
【0079】
[例15]
機械加工製品をカスタマイズするシステムにおいて、型番の異なる複数の標準製品の製品データを記憶するための標準製品メタデータリポジトリと、各標準製品に対応するカスタム項目の置換データを記憶するためのカスタム項目メタデータリポジトリと、遠隔ブラウザクライアントからの顧客による標準製品の型番に対する選択に基づいて、選択された型番の標準製品の2D視覚化画像をクライアントに表示し、選択された型番の標準製品に使用可能な1または複数のカスタム項目の選択候補を提供するための表示部材と、顧客による遠隔ブラウザクライアントを介した1または複数のカスタム項目に対する選択および選択された1または複数の追加加工項目に基づいて、選択されたカスタム項目に対応する置換データを抽出するカスタムデータ抽出部材と、前記顧客が選択した型番の標準製品の製品データと、抽出された追加加工項目の置換データとをマージして、カスタム製品のメタデータを得る計算部材と、マージされたカスタム製品のメタデータから見積もりに用いるメタデータを抽出し、計算されたカスタム製品の価格を、ユーザのブラウザクライアントに送信する見積もり部材と、を備える。
【0080】
[例16]
例15に記載のシステムに基づき、標準製品メタデータリポジトリは、1または複数のパラメータを用いて材料リスト中の各部材が定義される、各種型番の標準製品の材料リスト(BOM)と、1または複数のパラメータを用いて加工項目リスト中の各加工項目が定義される、各種型番の標準製品の加工項目リスト(BOP)と、を備え、カスタム項目メタデータリポジトリは、1または複数のパラメータを用いて追加加工項目の各々が定義されるとともに、各パラメータの数値範囲が限定される、各種型番の標準製品用に限定された1または複数の追加加工項目を備える。
【0081】
[例17]
例16に記載のシステムに基づき、選択された追加加工項目の2D視覚化画像を、前記サーバを経由して前記クライアントに表示するとともに、選択された追加加工項目に使用可能な選択候補およびパラメータ範囲を提供する。
【0082】
[例18]
例16に記載のシステムに基づき、計算部材は、ユーザによる遠隔ブラウザクライアントにおける標準製品の型番の選択に応答して、選択された標準製品インスタンスの、BOMおよびBOPを含むメタデータを、標準製品メタデータリポジトリから検索するとともに、初期化してその顧客の発注書インスタンスに組み込み、ユーザによる1または複数の追加加工項目の選択に応答して、BOMおよびBOPのメタデータを読み出し、メタデータのマッピングに基づいてルールを定義し、標準製品のBOMおよびBOPのオブジェクトに対応する視覚化図形に自動変換するとともに、ブラウザに作図し、またユーザによる各追加加工項目のパラメータ数値の入力に応答して、ブラウザの視覚化と、例えばJsonフォーマットのメタデータとの間で、ブラウザに作図された視覚化画像を対応的に変更するように変換し、
ユーザの指示した、1または複数の追加加工項目に対する入力の完成に応答して、ブラウザは、追加加工項目の最終更新されたメタデータを、バックエンドサーバに送信し、前記バックエンドサーバは、追加加工項目のメタデータと、選択された標準製品のメタデータとをマージして、そのユーザのカスタム製品のメタデータを得る。
【0083】
[例19]
例16に記載のシステムに基づき、表示部材は、web技術を用いたCADシミュレーションにより2D視覚化図形をブラウザに作図することを実現する。
【0084】
[例20]
例16に記載のシステムに基づき、見積もりに用いるメタデータは、BOM材料の寸法情報および材質、BOP加工項目の寸法情報および加工類別、追加加工項目の寸法情報および材質を含む。
【0085】
[例21]
例20に記載のシステムに基づき、見積もり部材は、マージされたメタデータ中のBOM材料の寸法情報に基づいて、各材料の重量の合計を計算するとともに、使用する材料の単価に基づいて、材料に基づく価格を計算し、マージされたメタデータ中の各加工項目の寸法情報に基づいて、その加工項目に要する工数を計算するとともに、その加工項目の単価に基づいて、加工項目の価格を計算する。
【0086】
[例22]
例20に記載の方法に基づき、記憶されたサブアセンブリのツリー状階層構造の反復加算により計算された材料の価格および加工項目の価格に基づいて、カスタム製品全体の価格を得る。
【0087】
[例23]
例15に記載のシステムに基づき、マージされたカスタム製品のメタデータから、作図を自動生成するためのメタデータを抽出し、AutoCADシステムの作図自動生成APIおよび関数ライブラリを呼び出して、メタデータで示される図形オブジェクトを自動生成する製図部材をさらに含む。
【0088】
[例24]
例15に記載のシステムに基づき、マージされたカスタム製品のメタデータに基づいて、数値制御CAMソフトウェアのAPIおよび関数ライブラリを呼び出し、特定の加工項目の加工方法ライブラリを組み合わせることで、メタデータで示される加工オブジェクトを自動生成し、加工センターで実行可能な加工プログラムに自動変換可能な加工プログラム生産部材をさらに備える。
【0089】
本発明では特定の例示的な形態を参考に、本発明の実施について具体的に説明したが、具体的な実施は、明細書および図面により裏付けられた特許請求の範囲で限定される本発明の理念および範囲から逸脱することなく、各種の変更が可能であることを当業者は理解すべきである。また、特定の数の要素を参考に例示的な形態を説明している場合において、例示的な形態は、特定の数の要素よりも少数または多数の要素による実施も可能であることを理解すべきである。