(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】別のスピーカキャビネットに接続するための接続装置を備えるスピーカキャビネットフレーム、およびこのようなフレームを備えるスピーカキャビネット
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20240122BHJP
H04R 1/40 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H04R1/00 318Z
H04R1/40 310
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019232620
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-12-02
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504029086
【氏名又は名称】ネクソ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エコス エリク
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-211847(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0310661(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
別のスピーカキャビネットに接続するための接続装置(21)を備える、スピーカキャビネット(1)用のフレーム(2)であって、
前記接続装置(21)がアイレット(210)およびロッキングシステム(3)を備え、前記ロッキングシステム(3)は:
‐互いに平行に配設されそれぞれが下側孔(311)および上側孔(312)を備える、前方レッグ(31a)および後方レッグ(31b)である2本のレッグと、
‐前記2本のレッグ(31a、31b)間に配設され、高位置と低位置との間を摺動するように構成される、スライド(32)であって、前記スライド(32)は、少なくとも1つの幅広部分(323a)および少なくとも1つの幅狭部分(323b)を有する開口部(323)を備え、2つの案内部材(321)を具備し、前記案内部材(321)はそれぞれ、前記2本のレッグ(31a、31b)の少なくとも一方のレッグの両側の縁部(313)を支える、スライド(32)と、
‐前記2本のレッグ(31a、31b)を互いにリンクさせる少なくとも1つのスペーサ(39)と、
‐前記スライド(32)に接続され、前記スライド(32)を前記高位置から前記低位置に自動的に移動させるように構成される、第1の弾性部材(33)と、
‐少なくとも1つの大径部分および少なくとも1つの小径部分を有するシャフト(341)を備える、選択ネジ(34)であって、前記選択ネジ(34)の前記シャフト(341)が、前記レッグ(31a、31b)のそれぞれの前記上側孔(312)および前記スライド(32)の前記開口部(323)を貫通し、前記選択ネジ(34)は、前記シャフト(341)の前記少なくとも1つの大径部分が前記スライド(32)の前記開口部(323)の内側にある復帰位置と、前記選択ネジの前記シャフト(341)の前記少なくとも1つの小径部分が前記スライド(32)の前記開口部(323)の内側にある退出位置との間を移動するように構成される、選択ネジ(34)と、
‐前記選択ネジ(34)に接続され、前記選択ネジ(34)を前記退出位置から前記復帰位置に自動的に戻すように構成される、第2の弾性部材(342)と、
‐ロッキングシャフト(35)を備えるロッキング部材であって、前記ロッキングシャフト(35)は、前記ロッキングシャフト(35)が前記2本のレッグ(31a、31b)のそれぞれの前記下側孔(311)を貫通する、ロッキング位置、および、前記ロッキングシャフト(35)により前記2本のレッグ(31a、31b)間に画定された空間(E)が少なくとも部分的に空く、開放位置、をとるように構成される、ロッキング部材と、
‐プル位置およびプッシュ位置をとるように構成され、前記選択ネジ(34)および前記ロッキングシャフト(35)に接合される、操作部(38)と
を備え、
前記ロッキングシステム(3)は、ロック構成および準備構成をとるように構成され、
前記ロック構成は、
‐前記スライド(32)が高位置にあり、
‐前記選択ネジ(34)が、前記シャフト(341)の前記大径部分が前記スライド(32)の前記開口部(323)の前記幅広部分(323a)の内側にある、復帰位置にあり、
‐前記ロッキングシャフト(35)がロッキング位置にあり、
前記準備構成は、
‐前記スライド(32)が低位置にあり、
‐前記選択ネジ(34)が、前記シャフト(341)の前記小径部分が前記スライド(32)の前記開口部(323)の内側にある、退出位置にあり、
‐前記ロッキングシャフト(35)が開放位置にあり、
前記ロッキングシステム(3)は、前記操作部(38)の移動によって前記ロック構成から前記準備構成に移行し、前記低位置から前記高位置への前記スライド(32)の移動によって前記準備構成から前記ロック構成に移行する、
スピーカキャビネット(1)用のフレーム(2)。
【請求項2】
請求項1に記載のスピーカキャビネット用のフレーム(2)であって、
前記ロッキング部材は、前記ロッキングシャフト(35)に接合されたカラー(37)を備え、前記カラー(37)は、前記ロッキングシャフト(35)の周りに形成され、外径が前記前方レッグ(31a)の前記下側孔(311)の直径よりも大きい、スピーカキャビネット用のフレーム(2)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスピーカキャビネット用のフレーム(2)であって、
前記ロッキングシステム(3)は、前記ロッキング部材と前記選択ネジ(34)の両方に固定された接続レッグ(36)を備え、前記ロッキング部材は前記接続レッグに圧着される、スピーカキャビネット用のフレーム(2)。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のスピーカキャビネット用のフレーム(2)であって、
前記操作部(38)は、前記ロッキング部材の少なくとも一部をオーバーモールドした部分を備える、スピーカキャビネット用のフレーム(2)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のスピーカキャビネット用のフレーム(2)であって、
前記ロッキングシステム(3)は、前記2本のレッグ(31a、31b)を互いに接続する2つのスペーサ(39)を備え、前記2つのスペーサ(39)は、前記レッグ(31a、31b)の両側に配設される、スピーカキャビネット用のフレーム(2)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のスピーカキャビネット用のフレーム(2)であって、
前記レッグ(31a;31b)はそれぞれ、2つの上側孔(312)を備え、前記ロッキングシステム(3)は2つの選択ネジ(34)を備え、前記2つの選択ネジ(34)の前記シャフト(341)は、前記2本のレッグ(31a、31b)の前記上側孔(312)を貫通し、
前記スライド(32)の前記開口部(323)は、少なくとも2つの幅広部分(323a)および少なくとも2つの幅狭部分(323b)を備え、
復帰位置では、前記2つの選択ネジ(34)の前記大径部分が前記スライド(32)の前記開口部(323)の内側にあり、退出位置では、前記2つの選択ネジ(34)の前記小径部分が前記スライド(32)の前記開口部(323)の内側にある、
スピーカキャビネット用のフレーム(2)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のスピーカキャビネット用のフレーム(2)であって、
前記スライド(32)は、2対の案内部材(321)を具備し、各対の案内部材(321)は、前記2本のレッグ(31a、31b)の少なくとも一方のレッグの両側の縁部(313)を支える、スピーカキャビネット用のフレーム(2)。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のスピーカキャビネット用のフレーム(2)であって、
前記ロッキングシステム(3)は、強制開放構成をとるように構成され、
前記強制開放構成は、
‐前記スライド(32)が上側位置にあり、
‐前記選択ネジ(34)が、前記シャフト(341)の前記小径部分が前記スライド(32)の前記開口部(323)の内側にある、退出位置にあり、
‐前記ロッキングシャフト(35)が開放位置にあり、
前記ロッキングシステム(3)は、前記上側位置への前記スライド(32)の移動によって前記強制開放構成に移行する、スピーカキャビネット用のフレーム(2)。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のフレーム(2)を備える、スピーカキャビネット。
【請求項10】
請求項9に記載の第1のスピーカキャビネット(1)および請求項9に記載の第2のスピーカキャビネット(1’)を備え、前記第1および第2のスピーカキャビネット(1、1’)が互いに組み付けられるときに、前記第2のスピーカキャビネット(1’)のアイレット(210’)が前記第1のスピーカキャビネット(1)の前記ロッキングシステム(3)にロックされる、少なくとも2つのスピーカキャビネットのセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスピーカキャビネットの分野に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、別のスピーカキャビネットに接続するための接続装置を備えるスピーカキャビネットフレームに関する。
【0003】
本発明は、このようなフレームを備えるスピーカキャビネットにも関する。
【0004】
最後に、本発明は、このようなフレームをそれぞれ備え、そのフレームによって互いに連結される、2つのスピーカキャビネットに関する。
【背景技術】
【0005】
劇場、コンサートホールまたは会議場などの大規模なホールでは、特定の音響効果を得るために、一般にスピーカキャビネットが特定の方法で配設される。特に求められる音響上の目標の一つは、とりわけ、音量と所望の有効範囲との比率を最適化することである。
【0006】
そのために、スピーカキャビネットは、相互に、具体的には、各キャビネットにある接続装置を用いて縦の列に(または「直線に並べて」)組み付けられることがある。これらのアセンブリは複数のキャビネットから構成されることがあり、各キャビネットは50キログラムを超えることがある。そして、キャビネットは、連結手段を用いて空中に吊り下げられるか、地上に配置される。
【0007】
相互に組み付けられるように構成されたキャビネットのほとんどが、キャビネットの異なる部分を支持および保持できるようにするフレームを備える。各キャビネットのフレームは、通常、別のキャビネットへの連結を可能にする接続装置を備える。
【0008】
これに関連して、例えば、別のスピーカキャビネットに接続するための接続装置を備えるスピーカキャビネットを開示する特許文献1が知られている。
【0009】
該接続装置はロッキングシステムおよびアイレットを備える。本書で説明するロッキングシステムは、キャビネットの下に収納されるT字形のアセンブリであり、ラッチの動かすことを可能にする機構を備える。第1のキャビネットと第2のキャビネットとを組み付けおよび組み付け解除する際に、ロッキングシステムは、第1のキャビネットのラッチが第2のキャビネットのアイレットに収容されるロック構成、および、第1のキャビネットのラッチが第2のキャビネットのアイレットから引き出されるロック解除構成または準備構成、を採用するように構成される。
【0010】
スピーカキャビネット組み付けに関して、ロッキングシステムに他の機構を用いてよい。具体的には、スライドを備えるロッキングシステムを想定することができる。しかし、その際には、ロッキングシステムの安定性および円滑性に注意を払うことと、ロック中または準備中に、ロッキングシステムの故障につながる恐れがあるスライドの摺動ゾーンからの逸脱を、避けることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前述の欠点のうちの少なくとも1つを解決するものであり、場合によっては、他の利点をもたらすものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、別のスピーカキャビネットに接続するための接続装置を備える、スピーカキャビネット用のフレームであって、接続装置がアイレットおよびロッキングシステムを備え、ロッキングシステムは:
‐互いに平行に配設されそれぞれが下側孔および上側孔を備える、前方レッグおよび後方レッグである2本のレッグと、
‐2本のレッグ間に配設され、高位置と低位置との間を摺動するように構成される、スライドであって、スライドは、少なくとも1つの幅広部分および少なくとも1つの幅狭部分を有する開口部を備え、2つの案内部材を具備し、案内部材はそれぞれ、2本のレッグの少なくとも一方のレッグの両側の縁部を支える、スライドと、
‐2本のレッグを互いにリンクさせる少なくとも1つのスペーサと、
‐前記スライドに接続され、スライドを高位置から低位置に自動的に移動させるように構成される、第1の弾性部材と、
‐少なくとも1つの大径部分および少なくとも1つの小径部分を有するシャフトを備える、選択ネジであって、選択ネジのシャフトが、レッグのそれぞれの上側孔およびスライドの開口部を貫通し、選択ネジは、シャフトの少なくとも1つの大径部分がスライドの開口部の内側にある復帰位置と、選択ネジのシャフトの少なくとも1つの小径部分がスライドの開口部の内側にある退出位置との間を移動するように構成される、選択ネジと、
‐選択ネジに接続され、選択ネジを退出位置から復帰位置に自動的に戻すように構成される、第2の弾性部材と、
‐ロッキングシャフトを備えるロッキング部材であって、ロッキングシャフトは、ロッキングシャフトが2本のレッグのそれぞれの下側孔を貫通する、ロッキング位置、および、ロッキングシャフトにより2本のレッグ間に画定された空間が少なくとも部分的に空く、開放位置、をとるように構成される、ロッキング部材と、
‐プル位置およびプッシュ位置をとるように構成され、選択ネジおよびロッキングシャフトに接合される、操作部と
を備え、
ロッキングシステムは、ロック構成および準備構成をとるように構成され、
ロック構成は、
‐スライドが高位置にあり、
‐選択ネジが、シャフトの大径部分がスライドの開口部の幅広部分の内側にある、復帰位置にあり、
‐ロッキングシャフトがロッキング位置にあり、
準備構成は、
‐スライドが低位置にあり、
‐選択ネジが、シャフトの小径部分がスライドの開口部の内側にある、退出位置にあり、
‐ロッキングシャフトが開放位置にあり、
ロッキングシステムは、操作部の移動によってロック構成から準備構成に移行し、低位置から高位置へのスライドの移動によって準備構成からロック構成に移行する、
スピーカキャビネット用のフレームに関する。
【0014】
そのように構成され、かかる接続装置を備えるスピーカキャビネットフレームは、単純かつより信頼できるという利点を有するキャビネットの自動的な組み付けを可能にする。ロッキングシステムのロックおよび準備は、1人のオペレータによって実行することができる。ロッキングシステムが準備構成の状態にある一つのキャビネットを別のキャビネットに近づけることによって、2つのキャビネットが自動的に相互にロックする。
【0015】
スライドの案内部材は、レッグの縁部に接した状態で摺動することによって、レッグ間におけるスライドの適切な案内が可能になる。したがって、スライドの並進運動は円滑である。さらに、スライドの摺動の滑らかさは、レッグ同士をリンクさせレッグを互いに平行に保持することを可能にするスペーサの存在によって、レッグ同士の互いの間隔をより良好に一定に保つことで、改善される。
【0016】
キャビネットの組み付けおよび準備は、接続装置を構成する様々な部材の移動の少なくとも一部が自動化されるので容易になる。具体的には、スライドに接続された第1の弾性部材を使用することによって、高位置から低位置へのスライドの並進運動を自動化することが可能になる。さらに、選択ネジに接続された第2の弾性部材を使用することによって、退出位置から復帰位置への選択ネジの移動を自動化することが可能になる。
【0017】
ロッキングシャフトによって、ロッキングシステムの適切なロック、および、それにより2つのキャビネットの安全な組み付けが、確実になる。
【0018】
最後に、操作部を使用することによって、オペレータによるロッキングシステムの使用が容易になる。
【0019】
一特徴によれば、ロッキング部材は、ロッキングシャフトに接合されたカラーを備え、カラーは、ロッキングシャフトの周りに形成され、外径が前方レッグの下側孔の直径よりも大きい。
【0020】
カラーも安全性をもたらす手段となる。カラーは、外径が前方レッグの下側孔の直径よりも大きいので、ロッキングシャフトがレッグを越えることを防止する。
【0021】
別の特徴によれば、ロッキングシステムは、ロッキング部材と選択ネジの両方に固定された接続レッグを備え、ロッキング部材は接続レッグに圧着される。
【0022】
ロッキング部材を接続レッグに圧着することは、ロッキング部材とレッグとの組み付けの安全性をもたらす、さらなる手段となる。さらに、このことは、ロッキング部材と接続レッグとを、直角にすることをより確実にすることが可能である。
【0023】
一特徴によれば、操作部は、ロッキング部材の少なくとも一部をオーバーモールドした部分を備える。
【0024】
このようなオーバーモールディングによって、ロッキング部材への操作部の接合が容易になる。
【0025】
別の特徴によれば、ロッキングシステムは、2本のレッグを互いに接続する2つのスペーサを備え、2つのスペーサは、レッグの両側に配設される。
【0026】
レッグのそれぞれの両側に2つのスペーサを使用することによって、レッグが平行に保持されるため、スライドの摺動の円滑性をさらに改善することが可能になる。
【0027】
一特徴によれば、レッグはそれぞれ、2つの上側孔を備え、ロッキングシステムは2つの選択ネジを備え、2つの選択ネジのシャフトは、2本のレッグの上側孔を貫通する。スライドの開口部は、少なくとも2つの幅広部分および少なくとも2つの幅狭部分を備える。復帰位置では、2つの選択ネジの大径部分がスライドの開口部の内側にあり、退出位置では、2つの選択ネジの小径部分がスライドの開口部の内側にある。
【0028】
別の特徴によれば、スライドは、2対の案内部材を具備し、各対の案内部材は、2本のレッグの少なくとも一方のレッグの両側の縁部を支える。
【0029】
案内部材を4つ使用することによって、スライドの案内をさらに改善することが可能になり、したがって、摺動の円滑性を改善することが可能になる。
【0030】
一特徴によれば、ロッキングシステムは、強制開放構成をとるように構成され、
強制開放構成は、
‐スライドが上側位置にあり、
‐選択ネジが、シャフトの小径部分がスライドの開口部の内側にある、退出位置にあり、
‐ロッキングシャフトが開放位置にあり、
ロッキングシステムは、上側位置へのスライドの移動によって強制開放構成に移行する。
【0031】
具体的には、ロッキングシステムは、スライドが低位置から上側位置に移動することによって、準備構成から強制開放構成に移行する。さらにロッキングシステムは、操作部がプッシュ位置からプル位置に移動し、スライドが高位置から上側位置に移動することによって、ロック構成から強制開放構成に移行する。
【0032】
強制開放構成は、最初に相互に組み付けられた2つのキャビネットを接続解除する際に利用することができる。このように、強制開放構成に配置することによって、ロック解除または接続解除の後にキャビネットが連結されたままになることを回避することが可能になる。
【0033】
一特徴によれば、スライドは、高位置、上側位置、および低位置をとることができる。高位置は、上側位置と低位置との間に位置する配置である。
【0034】
一特徴によれば、フレームは、キャビネットのそれぞれの両側に配設されるように構成された接続装置を2つ備える。
【0035】
本発明は、前述の特徴のうちの少なくとも一部を有するフレームを備えるスピーカキャビネットにも関する。
【0036】
最後に、本発明は、前記特徴のうちの少なくとも一部を有するフレームをそれぞれが備える、第1のスピーカキャビネットおよび第2のスピーカキャビネットを備える少なくとも2つのスピーカキャビネットのセットにも関する。第1および第2のスピーカキャビネットが互いに組み付けられるときに、第2のスピーカキャビネットのアイレットが第1のスピーカキャビネットのロッキングシステムにロックされる。
【0037】
本発明のさらに他の独自性および利点が、非限定的な例として添付の図面を参照する以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明による実施形態による接続装置を備えるフレームを有するスピーカキャビネットの斜視図である。
【
図2】
図1のスピーカキャビネットのフレームの斜視図である。
【
図3d】グリップ部材をさらに装備するスライドの斜視図を示す。
【
図4a】第2のキャビネットのアイレットが解放された、接続装置のロッキングシステムを実線で示す。
【
図4b】第2のキャビネットのアイレットが解放された、接続装置のロッキングシステムを透視図に示す。
【
図5a】第2のキャビネットのアイレットがロックされている、接続装置のロッキングシステムを実線で示す。
【
図5b】第2のキャビネットのアイレットがロックされている、接続装置のロッキングシステムを透視図に示す。
【
図6】接続装置によって相互に組み付けられた、第1のキャビネットおよび第2のキャビネットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、実質的に平行六面体形状のスピーカキャビネット1を示す。キャビネット1は、外壁、具体的には、上面の壁10、下面の壁11、2つの側面の壁12、背面の壁13および正面の壁を備える。正面の壁は、図面では見えず、音波の放出を可能にするグリッド14によって覆われている。
【0040】
本文献では、「高い(high)」「低い(low)」「上方(above)」「下方(below)」「上側(upper)」「下側(lower)」は、理解を容易にするために用いられ、図および図示された実施形態に対するものであると理解される。したがって、これらの用語により限定的な解釈が生じることはない。
【0041】
キャビネット1はフレーム2を備える。
図1ではその一部を見ることができ、
図2では単独で示されている。図示された実施形態によれば、フレーム2は、U字形の支持部品20を備える。支持部品20は、中央部分201と、中央部分201から延びる2つの折返しウイング202とを備える。支持部品20は、この例では、キャビネット1の4分の3を囲繞する。
【0042】
図示の例示的な実施形態によれば、フレーム2は接続装置21を2つ備え、接続装置21は、支持部品20に固定され、別のスピーカキャビネットへの接続を可能にする。2つの接続装置21は、フレーム2の正中面に対して対称的になるように折返しウイング202に固定される。
【0043】
もちろん、接続装置の数および配列は変更可能である。本文献の以下どの記述においても、単一の接続装置に関して説明を行うが、言うまでもなく、他の接続装置に関しても有効である。
【0044】
接続装置21は、アイレット210およびロッキングシステム3を備える。
【0045】
ロッキングシステム3はレッグを2本備える。レッグは前方レッグ31aおよび後方レッグ31bである。レッグ31a、31bは、本明細書では、対向しかつ互いに平行になるように配設される。本明細書では、レッグ31a、31bはそれぞれ、輪郭が実質的に矩形のプレートの形態をとり、内側の平面および外側の平面と称される2つの平面314を備える。前方レッグ31aの内側の平面が、後方レッグ31bの内側の平面に対向するように配設される。
【0046】
レッグ31a、31bはそれぞれ、下側孔311および2つの上側孔312を備える。
【0047】
2つのウイング202の一方に固定される、2つの接続装置21の一方の分解図を示す、
図3aから理解できるように、本明細書では、フレーム2は、レッグ31aと31bと間に配設される中間レッグ31cも備える。
【0048】
中間レッグ31cは、レッグ31a、31bに実質的に平行である。
【0049】
レッグ31a、31bは、中間レッグ31cの下端を越えて延び、中間レッグ31cの下方の2本のレッグ31aと31bとの間に空間Eを画定する。下側孔311および上側孔312は、本明細書では、レッグ31a、31bにおいてレッグ間に空間Eを画定する部分に形成される。
【0050】
本例では、中間レッグ31cはアイレット210を備える。
【0051】
レッグ31a、31bおよび中間レッグ31cは、アイレット210だけがレッグ31a、31bの上端を越えて延びるように配設される。
【0052】
2つの締付けネジ310により、レッグ31a、31bおよび中間レッグ31cを支持部品20の一方の折返しウイング202に固定することが可能になる。
【0053】
ロッキングシステム3は、
図3bから
図3dにおいてより詳細に示すスライド32も備える。スライド32は、本明細書では、スライド部分320を備え、案内部材321およびグリップ部材322を具備する。
【0054】
スライド部分320は、
図4a、
図4b、
図5a、
図5bに示すように、2本のレッグ31aと31bとの間、具体的には、空間Eに配設される。本明細書で示すスライド部分320は、実質的に平行六面体形状であり、上面320a、下面320b、側面320c、ならびに、レッグ31a、31bに対向するように配設される前面および後面320dを備える。
【0055】
図3bから
図3dにおいてより詳細に示すように、スライド32は、本明細書ではスライド部分320に形成された、開口部323を備える。そして、開口部323は、レッグ31a、31bの上側孔312に対向するように配設される。開口部323は幅が変更可能である。開口部323は、少なくとも1つの幅広部分323aおよび少なくとも1つの幅狭部分323bを備える。幅狭部分323bは幅が幅広部分323aよりも小さい。本例では、開口部323は、2つの幅広部分323aおよび3つの幅狭部分323bを備える。本明細書では、開口部323の幅広部分323aのそれぞれが、2つの幅狭部分323bの間に配設され、中間の幅狭部分323bが2つの幅広部分323aの間にある。すなわち、幅狭部分323b、幅広部分323a、幅狭部分323b、幅広部分323a、次いで幅狭部分323bとなる。言い換えれば、幅広部分323aが幅狭部分323bの間に挟まれている。
【0056】
さらに、開口部323の各部分の少なくとも一部は、本明細書では、リム320eによって囲繞される。リム320eは、少なくともスライド32のスライド部分320の前面320dに対して奥まっている。
【0057】
具体的には、本明細書では、第1のリム320eが、幅狭部分323bおよび並置される幅広部分323aの少なくとも一部を囲繞し、次いで、第2のリム320eが、中央の幅狭部分323bおよびその続きの幅広部分323aの少なくとも一部の両側に形成され、次いで、第3のリム320eが第3の幅狭部分323bを囲繞する。
【0058】
もちろん、スライドの開口部の形状および寸法は変更可能である。具体的には、幅広部分および幅狭部分の数を変更することが可能である。
【0059】
図示された実施形態では、案内部材321は、スライド部分320の側面320cに対して突出して形成される。案内部材321は、本明細書では、4つあり、スライド部分320の各側面320cから案内部材321が2つずつ突出する。案内部材321は、案内部材321がスライド部分320の4つの角から突出して形成されるように、対称的に形成される。
【0060】
案内部材321は、レッグ31aと31bとの間に形成される空間Eの外側に配設される。案内部材321はそれぞれ、2本のレッグ31a、31bの両側の縁部313を支える。レッグ31a、31bの縁部313とスライド部分320の側面320cとは、本明細書では、同一平面上にある。
【0061】
案内部材321は、本明細書では、柱形状のものである。案内部材321は、前方レッグ31aおよび後方レッグ31bの外側の平面に対して突出する。
【0062】
案内部材321によって、2本のレッグ31aと31bの間で並進運動するようにスライド32を案内することが可能になる。
【0063】
案内部材32の柱の形状およびその寸法によって、2本のレッグ31a、31bの縁部313に対して複数の点で支えることが可能になる。複数の点で支えることで、スライドの案内ならびにスライドの安定性および摺動運動の円滑性を改善することが可能になる。
【0064】
例示的な実施形態(図示せず)によれば、案内部材321は、2本のレッグ31a、31bの一方のレッグだけの縁部313のみを支えることが可能である。案内部材321は、形状および寸法の少なくとも一方が異なっていてもよい。例えば、案内部材321の形状は半円柱であってもよい。支える点の数または支える面のサイズは、案内部材の形状および寸法に応じて変わる。さらに、案内部材321の数を変更することが可能である。一例として、スライドは、好ましくは、レッグの少なくとも一方の両側に、案内部材を2つだけ備えることが可能である。最後に、案内部材321は異なる配置にしてもよい。スライド部分320の一方の側面320c上に案内部材321を3つ形成し、他方の側面320cに案内部材321を1つ形成してもよい。
【0065】
例示的な本実施形態では、案内部材321の1つが孔を備え、その孔にグリップ部材322が挿入される。
【0066】
グリップ部材322は、筒状部分322aと、筒状部分322aに接合されたハンドル322bとを備える。グリップ部材322によってスライド32を手動で案内することが可能になる。より具体的には、ハンドル322bを把持することによって、オペレータが2本のレッグ31aと31bの間でスライド32を摺動させることができる。
【0067】
ロッキングシステム3はさらに第1の弾性部材33を備え、第1の弾性部材33は、スライド32に接続され、中間レッグ31cにも接続される。第1の弾性部材33は、本明細書では、スライド部分320に上面320aにおいて接続される。
【0068】
本明細書では、具体的には、第1の弾性部材33は、圧縮状態で働き、中間レッグ31cから離れる方にスライド32を押すように構成される。
【0069】
ロッキングシステム3は、レッグ31aと31bとを接続する(
図2および
図3aに示す)スペーサ39を2つ備える。2つのスペーサ39は、レッグ31a、31bの両側に配設される。スペーサ39によって、レッグ31aと31bとの間隔を一定に保つことが可能になる。したがって、レッグ31a、31bは、互いに平行に保持され、これにより、スライド32の並進運動の円滑性が改善される。
【0070】
もちろん、スペーサ39の数は変更可能である。例えば、2本のレッグ31aと31bとを接続するのにスペーサは1つで十分な場合もある。
【0071】
ロッキングシステム3はさらに、具体的には
図3aに示す選択ネジ34を2つ備える。選択ネジ34は、レッグの上側孔312に挿入され、スライド32の開口部323を貫通する。
【0072】
選択ネジ34はそれぞれ、ヘッド340およびシャフト341を備える。各選択ネジ34のシャフト341は、大径と称される部分を有する大径部分341aと、直径が大径部分よりも小さい、小径と称される部分を有する小径部分341bとを備える。大径部分341aは、開口部323の幅広部分323aに実質的に合うように寸法設定される。大径部分341aは、例えば、直径が幅狭部分323bの幅よりも大きく、最大で幅広部分323aの幅に等しい。小径部分341bは、最大で開口部323の幅狭部分323bの幅に一致するように寸法設定される。各選択ネジ34のヘッド340は、直径が開口部よりも大きい、具体的には、幅広部分323aよりも大きい部分を少なくとも1つ有する。このように、各選択ネジ34のヘッド340によって、選択ネジ34がスライド32から分離することを避けること、特に、選択ネジ34が開口部323から完全に外れることを避けることが可能になる。
【0073】
ロッキングシステム3は案内ブロック343も備える。案内ブロック343は、選択ネジ34の一部を、本明細書では、各選択ネジ34のヘッド340およびシャフト341の一部を囲繞する。案内ブロック343は、本明細書では、平行六面体形状であり、後方レッグ31bを支える。案内ブロック343によって、選択ネジ34の並進運動を案内することが可能になる。
【0074】
ロッキングシステム3はさらに、
図3aに概略的に示す第2の弾性部材342を備える。
【0075】
第2の弾性部材342は、本明細書では、案内ブロック343内に配設され、各選択ネジ34に接続されている。
【0076】
具体的には、第2の弾性部材342は、選択ネジ34のシャフトの一部を囲繞し、選択ネジ34のヘッドと、後方レッグ31bに並置される案内ブロック343の底との間に圧縮状態で保持される。
【0077】
このように、第2の弾性部材342は、以下で説明するように、対応するネジのヘッドを押しやり、したがって、操作部38をプッシュ位置に動かすように構成される。
【0078】
説明する実施形態では、ロッキングシステム3は、例えば
図4bに概略的に示すロッキング部材も備える。ロッキング部材は、相互に接合されたロッキングシャフト35およびカラー37を備える。
【0079】
ロッキングシャフト35は、本明細書では、スライド32の下方に配設される。ロッキングシャフト35は、少なくとも前方レッグ31aの下側孔311に挿入される。
【0080】
カラー37はロッキングシャフト35の周りに形成される。カラー37は、2本のレッグ31aと31bとの間に形成される空間の外側で、前方レッグ31aに対向するように形成される。カラー37は、外径が前方レッグ31aの下側孔311の直径よりも大きい。
【0081】
ロッキングシステム3は、本明細書では、前方レッグ31aに対向して配設される接続レッグ36を備える。接続レッグ36と前方レッグ31aとは本明細書では互いに平行に配設される。接続レッグ36は、本明細書では、貫通孔を3つ備える(
図5bに示す)。レッグ31a、31bの上側孔312に対向して形成される2つの貫通孔360と、レッグ31a、31bの下側孔311に対向して形成される1つの貫通孔361である。ロッキングシャフト35および2つの選択ネジ34は、下側の貫通孔361および上側の貫通孔360にそれぞれ挿入される。ロッキングシャフト35と接続レッグ36とによって形成される角度は、本明細書では、直角である。
【0082】
ロッキング部材は、接続レッグ36上に圧着される。ロッキングシャフト35と接続レッグ36とが分離された場合に備えて、カラー37によって、ロッキングシャフト35がレッグ31a、31bを越えて摺動することを防止する。このように、カラー37は、ロッキングシステム3のロックの安全性をもたらす手段になる。
【0083】
図示された例示的な実施形態では、選択ネジ34およびロッキングシャフト35には操作部38が接続される。操作部38は、本明細書では、ハンドルの形態を有し、前方レッグ31aを支える。操作部38によって、例えばオペレータが、選択ネジ34およびロッキングシャフト35を把持することが可能になる。
【0084】
操作部38は、本明細書では、少なくともロッキングシャフト35および接続レッグ36をオーバーモールドすることによって形成される。好ましくは、オーバーモールドは、接続レッグ36をロッキングシャフト35に組み付けた後に実行される。そうすることによって、ロッキングシャフト35と接続レッグ36とを確実に直角にすることが可能になる。
【0085】
ロッキングシステム3はそれぞれ、ロック構成、準備構成、および強制開放構成をとることができる。キャビネット1は、2つのロッキングシステム3がロック構成にあるとき、すなわち、一方のキャビネットのアイレットが他方のキャビネットのロッキングシステムにロックされた状態で、別のキャビネットに組み付けられる。2つのロッキングシステム3が準備位置にあるときは、2つのキャビネットは組み付けられていない。以下に様々な構成を本書において説明する。
【0086】
説明する実施形態では、スライド32は、2本のレッグ31aと31bとの間で垂直方向に摺動することができる。スライド32は、ロッキングシステム3がロック構成にあるときは高位置を、ロッキングシステムが強制開放構成にあるときは上側位置を、ロッキングシステム3が準備構成にあるときは低位置をとることができる。
【0087】
高位置および上側位置では、第1の弾性部材33は圧縮されている。低位置では、第1の弾性部材33は弛緩している。第1の弾性部材33は、スライドを高位置32から低位置に自動的に戻すように構成される。
【0088】
各選択ネジ34は、復帰位置と退出位置との間を移動することができる。選択ネジ34は、ロッキングシステム3がロック構成にあるときは復帰位置にある。選択ネジ34は、ロッキングシステム3が準備構成または強制開放構成にあるときは退出位置にある。復帰位置では、選択ネジ34のシャフト341の大径部分がスライド32の開口部323にある。退出位置では、選択ネジ34のシャフト341の小径部分がスライド32の開口部323にある。第2の弾性部材342は、対応する選択ネジ34を退出位置から復帰位置に自動的に戻すように構成される。
【0089】
ロッキングシャフト35は、ロッキング位置および開放位置の2つの位置をとるように移動する。ロッキングシャフト35は、ロッキングシステム3がロック構成にあるときはロッキング位置にある。ロッキングシャフト35は、ロッキングシステム3が準備構成または強制開放構成にあるときは退出位置にある。ロッキング位置では、ロッキングシャフト35は2本のレッグ31a、31bそれぞれの下側孔311を貫通する。開放位置では、ロッキングシャフト35により、2本のレッグ31aと31bとの間に画定される空間Eが少なくとも部分的に空く。第2の弾性部材342がそれぞれ、対応する選択ネジ34を退出位置から復帰位置に戻すときに、ロッキングシャフト35は、開放位置からロッキング位置に自動的に戻される。
【0090】
操作部38は、プル位置およびプッシュ位置をとるように構成される。プル位置では、操作部38によって、ロッキングシステム3を準備構成に位置決めするよう、選択ネジ34を退出位置に、また、ロッキングシャフト35を開放位置に、位置決めすることが可能になる。第2の弾性部材342がそれぞれ、対応する選択ネジ34を退出位置から復帰位置に戻すと、操作部38はプル位置からプッシュ位置に自動的に戻される。プッシュ位置では、操作部38は本明細書では前方レッグ31aを支える。
【0091】
上述のような接続装置21による第2のキャビネット1’との第1のキャビネット1の準備およびロックを、
図4a、
図4b、
図5a、
図5b、
図6に関連して説明する。具体的には、
図4a、
図4bは準備構成にあるロッキングシステムを示す。
図5a、
図5bはロック構成にあるロッキングシステムを示す。
図6は、相互に組み付けられた第1および第2のキャビネット1、1’を示す。
【0092】
第2のキャビネット1’は、本明細書では第1のキャビネット1と同一である。したがって、対応する部分には同じ参照番号を付して、その上に記号「’」(プライム)を加えた。
【0093】
しかし、2つのキャビネットを組み付けるには、少なくとも第2のキャビネットが、第1のキャビネットのロッキングシステムにロックされることが可能なアイレットを1つ以上備えることが必要である。
【0094】
準備、ロックおよびロック解除の動作の説明は、単一の接続装置21、したがって、第1のキャビネット1の単一のロッキングシステム3およびアイレット210に関して、並びに、単一の接続装置21’、したがって、第2のキャビネット1’の単一のロッキングシステム3’およびアイレット210’(
図6には示さない)に関して行う。もちろん、この説明は、第1のキャビネット1の2つの接続装置21および第2のキャビネット1’の2つの接続装置21’に関してもやはり有効である。
【0095】
第1のキャビネット1の準備工程は以下の通りである。
【0096】
ロッキングシャフト35および選択ネジ34が操作部38によって引っ張られる。ロッキングシャフト35は開放位置まで運ばれる。ロッキングシャフト35は、少なくともキャビネット1の後方レッグ31bの下側孔311から抜き出され、アイレットが他方のキャビネット1’のアイレット210’にロックされているときはその孔から抜き出される。ロッキングシャフト35により、2本のレッグ31aと31bとの間に画定される空間Eが少なくとも部分的に空く。ロッキングシャフト35は、場合によっては、前方レッグ31aの下側孔311に押し込まれたままである(しかし、そこから抜かれていてもよい)。選択ネジ34が引っ張られると、選択ネジ34のシャフト341の大径部分がスライド32の開口部323から抜き出される。選択ネジ34は退出位置をとる。各選択ネジ34の第2の弾性部材342は圧縮される。したがって、開口部323の幅広部分323aは、選択ネジのシャフト341の小径部分を囲繞する。第1の弾性部材33は弛緩し、したがって、スライドを押しやり、その際、スライドは低位置をとるように下方に摺動する。スライド32は、選択ネジ34の少なくとも一方がスライド32の下側面Sに支えられるようになるまで摺動する。該下側面Sは、開口部323に形成され、少なくとも1つの選択ネジ34のための停止具を形成する。具体的には、そのときに、選択ネジ34の小径部分341bは、スライド32の開口部323の幅狭部分323bに位置決めされるようになっている。さらに、選択ネジ34の大径部分341aはその際に、リム320eの一部を支えるようになっている。したがって、システムは準備構成に保持される。
【0097】
このように、第1のキャビネット1のロッキングシステム3は準備構成にある。そのとき、第1のキャビネット1は、第2のキャビネット1’に組み付けられる用意が整っている。
【0098】
2つのキャビネット1と1’とを組み付ける工程は以下の通りである。
【0099】
第2のキャビネット1’は、準備構成に配置された第1のキャビネット1の下方に配設される。図示された実施形態では、第2のキャビネット1’の上面の壁10’は、第1のキャビネット1の下面の壁11に対向して配設される。
【0100】
第2のキャビネット1’のアイレット210’は、第1のキャビネット1のレッグ31aと31bとの間に空間Eの位置で配設される。第2のキャビネット1’のアイレット210’は、第1のキャビネット1のスライド32に、具体的には、スライド部分320の下面320bに対して支える状態になる。第1のキャビネット1のスライド32は、アイレット210’によって押しやられながら、上方に摺動する。そのとき、第1の弾性部材33は圧縮され、その際スライド32は高位置をとる。
【0101】
スライドが高位置に移行すると、2つの選択ネジ34は、開口部323の2つの幅広部分323aにそれぞれ位置するようになる。その際、各選択ネジ34の第2の弾性部材342は、選択ネジ34を復帰位置に自動的に戻す。同時に、選択ネジ34を戻すことによって操作部38を動かす第2の弾性部材342の影響下で、ロッキングシャフト35もロッキング位置に戻される。ロッキング位置では、ロッキングシャフト35は、第1のキャビネット1のレッグ31a、31bの下側孔311および第2のキャビネット1’のアイレット210’を貫通する。このように、第1のキャビネット1のロッキングシステム3はロック構成にあり、すなわち、第2のキャビネット1’のアイレット210’が第1のキャビネット1のロッキングシステム3に係合される。ロッキングシャフト35は、第1のキャビネット1のロッキングシステム3において第2のキャビネット1’のアイレット210’の適切なロックを確実にする。
【0102】
2つのキャビネット1と1’のロック解除は、第1のキャビネット1をロック解除することによって実行される。そうすることで、第2のキャビネット1’のアイレット210’を、第1のキャビネット1のロッキングシステム3のロッキング位置から抜き出すことが可能になる。
【0103】
ロック解除の際は、キャビネットが相互に連結されたままになることを避けるために、第1のキャビネット1を強制開放構成に位置決めすることができる。操作部38は、プル位置に配置され、その際、選択ネジ34を退出位置に、また、ロッキングシャフト35を開放位置に動かす。このとき、第1のキャビネット1は強制開放構成にすることができる。このために、スライド32は、グリップ部材322によって上方にさらに押される。スライド32は上側位置まで押される。その位置は本明細書では高位置よりも高いところに位置し、すなわち、スライドが中間レッグ31cにより近くなり、かつ第1の弾性部材33が高位置のときよりも圧縮される位置である。したがって、選択ネジ34は、開口部323の中間の幅狭部分323bおよび下側の幅狭部分323b内に来る。開口部323の幅狭部分323bは、各選択ネジ34のシャフト341の小径部分を囲繞し、そのとき、シャフト341の対応する大径部分341aはリム320eの一部を支える。このように、ロッキングシステム3は強制開放構成に保持される。
【0104】
このように、第1のキャビネット1は別のスピーカキャビネットと組み付けられる用意が整う。
【0105】
第2のキャビネット1’を第1のキャビネット1と自動的に組み付けることを可能にするために、第1のキャビネット1を準備しなければならない。
【0106】
第1のキャビネット1のロッキングシステムの強制開放構成をロック構成に基づいて説明した。もちろん、第1のキャビネット1は、完全に準備された後で強制開放構成に配置してもよい。
【0107】
さらに、説明した例では、キャビネットは、グリップ部材322によってスライド32を上側の構成に移動させることによって適切な構成に配置することができる。もちろん、スライドの移動は別の手法で、具体的には、異なるグリップ部材によって、またはスライド部分320を直接把持および移動することによって、実現することができる。
【0108】
本例では、すでに説明した組み付けおよびロック解除の工程は、好ましくは、第1のキャビネット1の2つのロッキングシステム3および第2のキャビネット1’の2つのアイレット210’について同時に行われる。同様に、第1のキャビネット1の準備の工程および強制開放構成に配置する工程は、2つのロッキングシステム3について同時に実現することができる。
【0109】
当然ながら、本発明は上記で説明した実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0110】
2 フレーム
3 ロッキングシステム
20 支持部品
21 接続装置
31a 前方レッグ
31b 後方レッグ
32 スライド
38 操作部
39 スペーサ
201 中央部分
202 折返しウイング
210 アイレット
321 案内部材
322 グリップ部材
343 案内ブロック
E 空間