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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20240122BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
B65H7/02
B65H29/52
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019235145
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021102518
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 泰旭
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-043708(JP,A)
【文献】特開2019-104635(JP,A)
【文献】特開2007-277011(JP,A)
【文献】特開2019-069859(JP,A)
【文献】特開平04-116043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/02
B65H 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを案内する第1ガイドと、
前記第1ガイドに対向して配置され、前記第1ガイドと共に搬送路を形成する第2ガイドと、
前記搬送路においてシートを搬送する搬送部と、
前記搬送路を搬送されるシートを前記第1ガイドに押し付ける押し付け部と、
前記押し付け部を前記第1ガイドに向けて付勢方向に付勢する付勢部と、
前記押し付け部を保持し、前記付勢部の反力を受ける受け部材と、
前記第1ガイドに設けられる第1検知部と、前記第1検知部に対向すると共に前記第2ガイドに設けられる第2検知部を有し、前記搬送路における検知位置でのシートの有無に基づいて出力値を変化させる検知ユニットと、を備え、
前記第2検知部が設けられた前記第2ガイドは、前記第1検知部が設けられた前記第1ガイドに対して移動可能に設けられると共に、前記第1ガイドに対して前記受け部材とは別個に位置決めされ、
前記受け部材は、前記第1ガイドに対して移動可能に設けられると共に、前記第1ガイドに対して前記第2ガイドとは別個に位置決めされる、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1検知部及び前記第2検知部のいずれか一方は、超音波を受信する超音波受信素子を有し、
前記第1検知部及び前記第2検知部のいずれか他方は、超音波を前記超音波受信素子に向けて送信する超音波送信素子を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記第1検知部及び前記第2検知部のいずれか一方は、光を発する発光部と、前記発光部から発せられた光を受光する受光部と、を有し、
前記第1検知部及び前記第2検知部のいずれか他方は、前記発光部から発せられた光を前記受光部に向けて反射する反射部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記第1検知部及び前記第2検知部のいずれか一方は、光を発する発光部を有し、
前記第1検知部及び前記第2検知部のいずれか他方は、前記発光部から発せられた光を受光する受光部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
シートを案内する第1ガイドと、
前記第1ガイドに対向して配置され、前記第1ガイドと共に搬送路を形成する第2ガイドと、
前記搬送路においてシートを搬送する搬送部と、
前記搬送路を搬送されるシートを前記第1ガイドに押し付ける押し付け部と、
前記押し付け部を前記第1ガイドに向けて付勢方向に付勢する付勢部と、
前記押し付け部を保持し、前記付勢部の反力を受ける受け部材と、
前記第2ガイドに設けられる検知部を有し、前記搬送路における検知位置でのシートの有無に基づいて出力値を変化させる検知ユニットと、を備え、
前記検知部が設けられた前記第2ガイドは、前記第1ガイドに対して移動可能に設けられると共に、前記第1ガイドに対して前記受け部材とは別個に位置決めされ、
前記受け部材は、前記第1ガイドに対して移動可能に設けられると共に、前記第1ガイドに対して前記第2ガイドとは別個に位置決めされる、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
前記検知部は、光を発する発光部と、前記発光部から発せられシートによって反射した光を受光する受光部と、を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記検知部は、シートに押圧されることで移動する移動部材と、前記移動部材の位置に基づいて前記出力値を変化させる出力部材と、を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記受け部材の変位は、前記第2ガイドに作用しない、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記受け部材は、シート搬送方向に直交する幅方向における前記搬送路の幅の領域内において、前記第2ガイドに前記付勢方向で係合しない、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記付勢部は、第1付勢部であり、
前記受け部材に当接することで前記第1付勢部の反力を受け、前記受け部材を位置決めする位置決め部材と、
前記第2ガイドを前記第1ガイドに向けて付勢する第2付勢部と、を備え、
前記受け部材は、前記位置決め部材に当接し、前記幅方向における前記領域内に配置される第1当接部を有し、
前記第2ガイドは、前記第1ガイドに当接し、前記幅方向における前記領域の外側に配置される第2当接部を有する、
ことを特徴とする請求項9に記載のシート搬送装置。
【請求項11】
前記第2ガイドは、前記第2付勢部の付勢力によって前記第2当接部が前記第1ガイドに押し付けられ、前記第2付勢部の反力を前記位置決め部材が受けることで前記第1ガイドに対して位置決めされ、
前記受け部材は、前記第1付勢部の付勢力によって前記押し付け部が前記第1ガイドに押し付けられ、前記第1付勢部の反力を前記位置決め部材が受けることで前記第1ガイドに対して位置決めされる、
ことを特徴とする請求項10に記載のシート搬送装置。
【請求項12】
前記位置決め部材は、シートに画像を転写する転写部を支持するフレームである、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載のシート搬送装置。
【請求項13】
前記第2ガイドは、回動軸を中心に回動可能に支持され、
前記受け部材は、前記回動軸を中心に前記第2ガイドとは別体に回動可能に支持される、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項14】
前記押し付け部は、前記搬送路を搬送されるシートに従動回転する回転体である、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
シートに画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送路を搬送されるシートに対して超音波及び光を照射し、シートの坪量及び表面性を検知する検知部を有する画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。この画像形成装置は、搬送路を形成する1対のガイドと、1対のガイドの内の第1ガイドに対してシートを押し当てる押圧コロを有している。この押圧コロによって搬送路を搬送されるシートの姿勢が安定し、超音波及び光を用いたシートの坪量及び表面性の検知精度を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-55933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の押圧コロは、押圧バネにより付勢されており、押圧バネの反力は、例えば1対のガイドの内の第2ガイドが受ける。押圧バネの反力が長時間、第2ガイドに作用すると、第2ガイドがクリープ変形してしまうことがあった。そして、第2ガイドが変形すると、検知部の検知素子間の距離や、シートの検知位置が変化してしまい、検知精度が低下する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、検知精度を向上したシート搬送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シート搬送装置において、シートを案内する第1ガイドと、前記第1ガイドに対向して配置され、前記第1ガイドと共に搬送路を形成する第2ガイドと、前記搬送路においてシートを搬送する搬送部と、前記搬送路を搬送されるシートを前記第1ガイドに押し付ける押し付け部と、前記押し付け部を前記第1ガイドに向けて付勢方向に付勢する付勢部と、前記押し付け部を保持し、前記付勢部の反力を受ける受け部材と、前記第1ガイドに設けられる第1検知部と、前記第1検知部に対向すると共に前記第2ガイドに設けられる第2検知部を有し、前記搬送路における検知位置でのシートの有無に基づいて出力値を変化させる検知ユニットと、を備え、前記第2検知部が設けられた前記第2ガイドは、前記第1検知部が設けられた前記第1ガイドに対して移動可能に設けられると共に、前記第1ガイドに対して前記受け部材とは別個に位置決めされ、前記受け部材は、前記第1ガイドに対して移動可能に設けられると共に、前記第1ガイドに対して前記第2ガイドとは別個に位置決めされる、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、シート搬送装置において、シートを案内する第1ガイドと、前記第1ガイドに対向して配置され、前記第1ガイドと共に搬送路を形成する第2ガイドと、前記搬送路においてシートを搬送する搬送部と、前記搬送路を搬送されるシートを前記第1ガイドに押し付ける押し付け部と、前記押し付け部を前記第1ガイドに向けて付勢方向に付勢する付勢部と、前記押し付け部を保持し、前記付勢部の反力を受ける受け部材と、前記第2ガイドに設けられる検知部を有し、前記搬送路における検知位置でのシートの有無に基づいて出力値を変化させる検知ユニットと、を備え、前記検知部が設けられた前記第2ガイドは、前記第1ガイドに対して移動可能に設けられると共に、前記第1ガイドに対して前記受け部材とは別個に位置決めされ、前記受け部材は、前記第1ガイドに対して移動可能に設けられると共に、前記第1ガイドに対して前記第2ガイドとは別個に位置決めされる、ことを特徴とする
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、検知精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係るプリンタを示す全体概略図。
図2】シート搬送装置を示す断面図。
図3】シート搬送装置及び転写ユニットを示す断面図。
図4】搬送ガイドユニットを示す断面図。
図5】搬送ガイドユニットを示す断面図。
図6】(a)は閉位置に位置する保持部材を示す断面図、(b)は開位置に位置する保持部材を示す断面図。
図7】第2の実施の形態に係る搬送ガイドユニットを示す断面図。
図8】シート搬送装置及び転写ユニットを示す断面図。
図9】搬送ガイドユニットを示す断面図。
図10】搬送ガイドユニットを示す断面図。
図11】(a)は閉位置に位置する保持部材を示す断面図、(b)は開位置に位置する保持部材を示す断面図。
図12】他の実施の形態に係るシート搬送装置を示す断面図。
図13】他の実施の形態に係るシート搬送装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
〔全体構成〕
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。画像形成装置としてのプリンタ1は、モノクロのトナー像を形成する電子写真方式のレーザビームプリンタである。なお、以下の説明において、シートとは、プリンタ1によって画像が形成されるものであって、例えば、紙、OHTシート等が含まれる。
【0011】
プリンタ1は、図1に示すように、積載されたシートSを給送する給送装置2と、給送装置2によって搬送されたシートSを搬送する搬送ローラ対41を有するシート搬送装置4と、を有している。また、プリンタ1は、搬送ローラ対41によって搬送されたシートSに画像を形成する画像形成部30と、シートSに転写された画像を定着させる定着装置6と、シートを排出トレイ8に排出可能な排出ローラ対7と、を有している。
【0012】
プリンタ1に画像形成ジョブが出力されると、プリンタ1に接続された外部のコンピュータ等から入力された画像情報に基づいて、画像形成部30による画像形成プロセスが開始される。画像形成部30は、レーザスキャナ52と、感光ドラム51を有するプロセスカートリッジPと、転写ローラ531と、を備えている。感光ドラム51の周囲には、不図示の帯電ローラ及び現像ローラ等が設けられている。感光ドラム51及び転写ローラ531は、転写ニップT1を形成している。
【0013】
レーザスキャナ52は、入力された画像情報に基づいて、感光ドラム51に向けてレーザ光を照射する。このとき感光ドラム51は、帯電ローラにより予め帯電されており、レーザ光が照射されることで感光ドラム51上に静電潜像が形成される。その後、現像ローラによりこの静電潜像が現像され、感光ドラム51上にモノクロのトナー像が形成される。
【0014】
上述の画像形成プロセスに並行して、給送装置2からシートSが給送される。給送装置2は、プリンタ1の装置本体1Aに対して引出し及び装着可能なカセット3と、給送ローラ21と、分離ローラ対22と、を有している。カセット3に収容されたシートSは、給送ローラ21によって給送され、給送ローラ21によって給送されたシートSは、分離ローラ対22によって1枚ずつに分離される。
【0015】
なお、カセット3には、シートを支持可能かつ昇降可能な中板を設けてもよく、例えば画像形成ジョブが入力されることによって中板を上昇させ、中板に支持されたシートと給送ローラとを接触させてもよい。また、分離ローラ対22は、ローラ対の一方がパッド等でもよく、トルクリミッタ方式やリタードローラ方式等を適用できる。
【0016】
給送装置2から送り出され、搬送ローラ対41によって搬送されたシートSには、転写ローラ531に印加された静電的負荷バイアスによって、転写ニップT1において感光ドラム51上のトナー像が転写される。感光ドラム51上に残った残トナーは、不図示のクリーニングブレードによって回収される。トナー像が転写されたシートSは、定着装置6の定着フィルム61及び加圧ローラ62によって所定の熱及び圧力が付与されて、トナーが溶融固着(定着)される。定着フィルム61の内部には、セラミックヒータ等の加熱部材が配設されている。定着装置6を通過したシートSは、排出ローラ対7によって排出トレイ8に排出される。
【0017】
シートSの両面に画像を形成する場合には、第1面に画像が形成されたシートSは、反転ローラ対65によってスイッチバックされて、両面搬送路CPに搬送される。両面搬送路CPは、シートSを搬送ローラ対41に向けて案内する。そして、シートSは、搬送ローラ対41によって再び転写ニップT1に搬送され、転写ニップT1において第2面に画像が形成されて排出トレイ8に排出される。
【0018】
[シート搬送装置]
次に、シート搬送装置4について詳述する。図2に示すように、シート搬送装置4は、プロセスカートリッジPの下方に配置されシートを案内する第1ガイドとしての搬送フレーム42と、側板44と、を有している。側板44には、搬送フレーム42に対向する搬送入口ガイド43と、搬送フレーム42に対向し、搬送入口ガイド43の上方に配置される搬送ガイドユニット45と、が支持されている。
【0019】
搬送フレーム42、搬送入口ガイド43及び搬送ガイドユニット45の搬送ガイド451によって、搬送路10が形成され、搬送部としての搬送ローラ対41は、搬送路10においてシートSを搬送する。
【0020】
搬送入口ガイド43は、搬送ローラ対41の駆動ローラ411を回転可能に支持している。搬送フレーム42は、搬送ローラ対41の従動ローラ412を回転可能に支持するホルダ413と、光学センサ46と、を支持している。従動ローラ412は、ホルダ413と搬送フレーム42との間に配置されたバネ414によって駆動ローラ411に向けて付勢され、駆動ローラ411に従動回転する。第1検知部としての光学センサ46は、光を発する発光部46aと、発光部46aから発せられた光を受光する受光部46bと、を有している。なお、後述する転写ユニット53の転写フレーム532も、シート搬送装置4の一部を構成する。転写フレーム532は、転写フレーム軸532aを中心に側板44に回動可能に支持されている。
【0021】
[転写ユニット]
次に、転写ユニット53について詳述する。転写ユニット53は、図2及び図3に示すように、転写フレーム532に回転可能に支持される転写部としての転写ローラ531を有している。転写フレーム532は、不図示のロック部材でロックされることで、装置本体1A(図1参照)にロックされる。
【0022】
転写フレーム532が転写フレーム軸532aを中心に回動可能に設けられているのは、搬送路10でジャムが発生した際に、ジャムシートを処理するスペースを確保するためである。
【0023】
図3に示すように、搬送路10でジャムが発生した場合、プリンタ1の不図示のドアを開き、転写フレーム532を矢印A方向に開く。すると、同時に搬送ガイドユニット45が転写フレーム532側に開き、搬送路10にアクセスすることが可能となっている。ジャムの処理が終わり、不図示のドアを閉めると、転写フレーム532と搬送ガイドユニット45が連動して閉まる。
【0024】
[搬送ガイドユニット]
次に、搬送ガイドユニット45について詳述する。搬送ガイドユニット45は、図4乃至図6(b)に示すように、側板44(図3参照)に対して回動軸451bを中心に回動可能に支持される搬送ガイド451と、回動軸451bを中心に回動可能に支持される保持部材454と、を有している。保持部材454は、搬送ガイド451とは別体に、第2ガイドとしての搬送ガイド451に対して、図6(a)に示す閉位置と、図6(b)に示す開位置と、に回動可能である。保持部材454は、転写フレーム532が開かれた状態で、閉位置から閉位置へ矢印B方向(図6(b)参照)に回動可能となる。
【0025】
搬送ガイド451の上部には、溝部11が形成されている。保持部材454は、上方に突出する突出部454aを有しており、突出部454aは、シート搬送方向CDに直交する幅方向W(図5参照)において、搬送ガイド451の溝部11に係合している。一方で、突出部454aは、保持部材454が閉位置に位置する状態で、シート搬送方向CD及び幅方向Wに直交する付勢方向UDにおいて溝部11に係合していない。
【0026】
すなわち、突出部454aは、保持部材454が閉位置に位置する状態で、付勢方向UDにおいて搬送ガイド451には係合せず、離間している。このため、これら搬送ガイド451及び保持部材454は、ユニット化されているものの、それぞれ独立して回動可能に構成されている。
【0027】
図5は、搬送ガイドユニット45の幅方向W及び付勢方向UDに延びる断面を示す断面図である。搬送ガイドユニット45は、図4及び図5に示すように、搬送ガイド451を搬送フレーム42(図2参照)に向けて付勢する第2付勢部としてのガイドバネ453を有している。ガイドバネ453は、一端453aが転写フレーム532に接続されており、他端が搬送ガイド451に接続されている。
【0028】
搬送ガイド451は、搬送フレーム42に当接する当接部451a,451aを有しており、第2当接部としての当接部451a,451aは、幅方向Wにおける搬送路10の幅の領域R1の外側に配置されている。このように、搬送ガイド451は、ガイドバネ453の付勢力によって当接部451a,451aが搬送フレーム42に押し付けられ、ガイドバネ453の反力を転写フレーム532が受けることで搬送フレーム42に対して位置決めされている。
【0029】
転写フレーム532は、ガイドバネ453の反力を一端453aにて受けている。一端453aは、転写フレーム532の回動軸である転写フレーム軸532aの幅方向Wにおける近傍に配置されている。このため、一端453aから転写フレーム532が反力を受けても、転写フレーム532は付勢方向UDに変形しにくい。
【0030】
また、搬送ガイド451は、図2に示すように、発光部46aから発せられた光を受光部46bに向けて反射する反射部、第2検知部としての反射板452を支持している。反射板452は、光学センサ46に対向している。発光部46a及び受光部46bを含む光学センサ46と、反射板452と、は検知ユニット15を構成しており、検知ユニット15は、搬送フレーム42と搬送ガイド451に跨って配置されている。光学センサ46及び反射板452は、幅方向Wにおける搬送路10の中央部に配置されている。また、光学センサ46と反射板452との距離関係及び位置関係は、搬送ガイド451が搬送フレーム42に当接して位置決めされることで保証される。
【0031】
受け部材としての保持部材454は、図4及び図5に示すように、押し付け部及び回転体としての押圧コロ455を回転可能に保持している。より具体的には、保持部材454は、長孔部12を有しており、押圧コロ455の回転軸455aは、長孔部12に回転可能に支持されている。また、長孔部12は、付勢方向UDに延びており、押圧コロ455の回転軸455aは、長孔部12内にて、付勢方向UDに移動可能となっている。押圧コロ455は、搬送路10を搬送されるシートSに従動回転する。
【0032】
搬送ガイドユニット45は、押圧コロ455を搬送フレーム42(図2参照)に向けて付勢する付勢部及び第1付勢部としての保持部材バネ456を有している。保持部材バネ456は、保持部材454に設けられたボス部13に取り付けられるコイル部456aと、コイル部456aから一方に延び、押圧コロ455の回転軸455aを付勢方向UDに付勢する一端部456bと、を有している。また、保持部材バネ456は、コイル部456aから他方に延び、保持部材454に接続される他端部456cを有している。
【0033】
押圧コロ455の回転軸455aは、長孔部12内を移動可能に構成されているものの、保持部材バネ456によって付勢方向UDに付勢されているので、押圧コロ455は常に搬送フレーム42に押し当てられている。
【0034】
保持部材454は、保持部材バネ456の反力を受け、付勢方向UDとは反対方向に変位しようとするが、保持部材454の当接部454bが転写フレーム532に当接する。すなわち、位置決め部材及びフレームとしての転写フレーム532は、保持部材454の当接部454bに当接することで保持部材バネ456の反力を受け、保持部材454を位置決めする。
【0035】
なお、図5に示すように、押圧コロ455、保持部材バネ456及び当接部454bは、2か所ずつ設けられているが、搬送路10の幅方向Wにおける中心線に対して対称に配置されている。第1当接部としての当接部454bは、幅方向Wにおける搬送路10の幅の領域R1内に配置されている。
【0036】
このように、保持部材454は、保持部材バネ456の付勢力によって押圧コロ455が搬送フレーム42に押し付けられ、保持部材バネ456の反力を転写フレーム532が受けることで搬送フレーム42に対して位置決めされる。
【0037】
[シート検知動作]
次に、検知ユニット15による検知動作について説明する。図2に示すように、光学センサ46の発光部46aから矢印V方向に発せられた光は、搬送路10を挟んで反対側に配置されている反射板452によって反射される。反射板452によって反射された光は、光学センサ46の受光部46bで受光される。
【0038】
シートSが搬送路10における検知位置に到達すると、発光部46aから発せられた光が反射板452に到達する前にシートSによって遮光され、受光部46bは光を受光しなくなる。このように、検知ユニット15の受光部46bが受光状態から遮光状態に切り替わることで、受光部46bの出力値が変化し、検知位置にシートSが有ることが検知される。
【0039】
この検知過程で、シートSは、押圧コロ455によって搬送フレーム42に押し付けられ、搬送フレーム42に沿って搬送される。これは、搬送路10内でシートSの厚み方向における位置が変わってしまうと、シートSが光を遮光するタイミングが変わってしまい、検知ユニット15によるシートSの検知タイミングにばらつきが出てしまうからである。本実施の形態では、押圧コロ455によって搬送フレーム42に押し付けられた状態で、検知位置においてシートSが検知されるため、検知精度を向上できる。シートSの後端が検知位置を抜けると、再び受光部46bが受光状態となる。このように、検知ユニット15は、検知位置でのシートSの有無に基づいて出力値を変化させる。
【0040】
[保持部材バネの反力による検知ユニットへの影響]
次に、保持部材バネ456の反力による検知ユニット15への影響について図4及び図5を参照して説明する。上述したように、保持部材バネ456の反力は、保持部材454の当接部454bを介して、転写フレーム532が受ける。
【0041】
転写フレーム532は、この反力を受け続けることにより、クリープ変形を生じることがある。すると、転写フレーム532により位置決めされる保持部材454も変位してしまう。例えば、保持部材454の変位により搬送ガイド451も変位してしまった場合、反射板452の位置がずれ、反射板452からの反射光を受光部46bが受光できなくなる虞がある。すると、検知ユニット15が誤検知し、ジャムの発生等の搬送不良を正しく検知することができなくなってしまう。
【0042】
しかしながら、本実施の形態では、保持部材454の突出部454aと、搬送ガイド451の溝部11と、の間に付勢方向UDにおいて大きな隙間が空いている。言い換えれば、領域R1内では、保持部材454は搬送ガイド451に付勢方向UDで係合しない。
【0043】
このため、ガイドバネ453の反力の影響で転写フレーム532が変位した場合、転写フレーム532の変位に伴って保持部材454も位置ずれする。一方で、搬送ガイド451は、突出部454aと溝部11との間の隙間で保持部材454の位置ずれを吸収することで、位置が変動しない。これにより、搬送ガイド451に支持される反射板452の位置も変動しない。
【0044】
以上のように、本実施の形態では、搬送ガイド451及び保持部材454を、搬送フレーム42に対してそれぞれ移動可能に設けると共に、搬送フレーム42に対して独立して位置決めしている。これにより、ガイドバネ453の反力の影響で保持部材454が付勢方向UDで位置ずれしても、反射板452を支持する搬送ガイド451の位置には影響しない。よって、光学センサ46と反射板452の距離が一定に保たれ、シートSの検知精度を向上することができる。
【0045】
また、転写フレーム532が幅方向Wにおける中央部において保持部材454の当接部454bに押圧されて変位したとしても、転写フレーム532の変位は、転写フレーム532の転写フレーム軸532aの近傍においては少ない。そして、搬送ガイド451は、ガイドバネ453の一端453aを介して転写フレーム532の転写フレーム軸532aにおける近傍に当接しているので、搬送ガイド451への転写フレーム532の変位の影響はほとんどない。すなわち、保持部材454の変位は、搬送ガイド451に作用しない。よって、シートSの検知精度を向上することができる。
【0046】
また、押圧コロ455によってシートSは常に押し付けられているので、搬送路10を通過するシートSの姿勢が安定し、シートSの検知精度を向上することができる。
【0047】
<第2の実施の形態>
次いで、本発明の第2の実施の形態について説明するが、第2の実施の形態は、第1の実施の形態の検知ユニット15の構成のみを変更したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0048】
第2の実施の形態に係るシート搬送装置9は、図7及び図8に示すように、第1ガイドとしての搬送フレーム92と、側板44と、を有している。側板44には、搬送ガイドユニット95が回動可能に支持されている。搬送フレーム92は、超音波を受信する第1検知部としての超音波受信素子96を支持している。
【0049】
搬送ガイドユニット95は、図9乃至図11(b)に示すように、第2ガイドとしての搬送ガイド951と、保持部材454と、を有している。搬送ガイド951及び保持部材454は、第1の実施の形態と同様にユニット化されている。搬送ガイド951は、搬送路10を挟んで超音波受信素子96に対向する第2検知部としての超音波送信素子952を支持している。
【0050】
超音波受信素子96と、超音波送信素子952と、は検知ユニット215を構成しており、検知ユニット215は、搬送フレーム92と搬送ガイド951に跨って配置されている。超音波受信素子96及び超音波送信素子952は、幅方向Wにおける搬送路10の中央部に配置されている。また、超音波受信素子96と超音波送信素子952との距離関係及び位置関係は、搬送ガイド951が搬送フレーム92に当接して位置決めされることで保証される。
【0051】
[シート検知動作]
次に、検知ユニット215による検知動作について説明する。図7に示すように、超音波送信素子952から矢印X方向に送信された超音波は、搬送路10を挟んで反対側に配置されている超音波受信素子96によって受信される。この時、シートSの厚みや密度に応じて、超音波がシートSを通過する際の減衰度合いが異なるため、超音波受信素子96が受信した超音波からこの減衰度合いを判断することで、搬送路10を通過するシートSの物性を検知することができる。
【0052】
この検知過程で、シートSは、押圧コロ455によって搬送フレーム92に押し付けられ、搬送フレーム92に沿って搬送される。これにより、シートSの通過位置による減衰度合いのばらつきを抑え、検知精度を向上することができる。本実施の形態のような検知ユニット215の構成では、シート搬送装置9を組付けた後に、超音波送信素子952及び超音波受信素子96の送受信のレベル調整を行う。調整後の受信感度は、超音波送信素子952と超音波受信素子96との間の距離変化に影響を受けるため、これらの距離を一定に保つ必要がある。
【0053】
以上のように、本実施の形態では、検知ユニット215に超音波センサを適用した。このような場合でも、ガイドバネ453の反力の影響で保持部材454が付勢方向UDで位置ずれしても、超音波送信素子952を支持する搬送ガイド951の位置には影響しない。よって、超音波受信素子96と超音波送信素子952の距離が一定に保たれ、シートSの検知精度を向上することができる。また、押圧コロ455によってシートSは常に押し付けられているので、搬送路10を通過するシートSの姿勢が安定し、シートSの検知精度を向上することができる。
【0054】
<その他の実施の形態>
なお、第1の実施の形態では、搬送フレーム42に発光部46a及び受光部46bを含む第1検知部としての光学センサ46を設け、搬送ガイド451に第2検知部としての反射板452を設けていたが、これに限定されない。例えば、搬送フレーム42に反射板452を設け、搬送ガイド451に光学センサ46を設けてもよい。いずれにしても、搬送フレーム42と搬送ガイド451に跨ってそれぞれ光学センサ46及び反射板452を配置する場合、搬送フレーム42及び搬送ガイド451のいずれか一方に光学センサ46を設け、いずれか他方に反射板452を設ければよい。
【0055】
また、第2の実施の形態では、搬送フレーム92に超音波受信素子96を設け、搬送ガイド951に超音波送信素子952を設けていたが、これに限定されない。例えば、搬送フレーム92に超音波送信素子952を設け、搬送ガイド951に超音波受信素子96を設けてもよい。また、超音波受信素子96に代えて受光部又は発光部を設け、超音波送信素子952に代えて発光部又は受光部を設けてもよい。
【0056】
また、既述のいずれの形態においても、検知ユニット15,215は、搬送フレーム及び搬送ガイドに跨って配置されていたが、これに限定されない。例えば、図12に示すように、搬送ガイド451に検知部としての光学センサ346を設け、搬送フレーム42には検知ユニットの検知素子を設けなくてもよい。
【0057】
光学センサ346は、発光部346aと、受光部346bと、を有し、発光部346aから発せられた光は、搬送路10を搬送するシートSによって反射され、受光部346bによって受光される。光学センサ346は、受光部346bの受光状態または遮光状態に基づいて出力値を変化させる。このように、搬送ガイド451のみに検知ユニットの検知素子を設けたとしても、保持部材454の位置ずれ(変位)が搬送ガイド451には影響しないため、シートSの検知精度を向上することができる。
【0058】
また、図13に示すように、搬送ガイド451が検知部446を支持し、搬送フレーム42には検知ユニットの検知素子を設けなくてもよい。検知部446は、シートに押圧されることで移動する移動部材446aと、移動部材446aの位置に基づいて出力値を変化させる出力部材446bと、を有している。すなわち、検知部446は、メカフラグの移動によってシートSを検知するフラグ式のセンサである。出力部材446bは、例えばフォトセンサが適用される。また、移動部材446aは、シートSとの衝突音を低減するために、シートSに対してある程度浅い角度で当接するように設けられると好適である。
【0059】
また、既述のいずれの形態においても、押圧コロ455によってシートSを搬送フレームに押し付けていたが、これに限定されない。例えば、押圧コロ455に代えて、摺動抵抗の低いリブ形状を保持部材454に設けてもよい。また、ローラに限らず、ベルト等の他の回転部材を適用してもよい。
【0060】
また、既述のいずれの形態においても、転写フレーム532によって保持部材バネ456の反力を受け、保持部材454を位置決めしていたが、これに限定されない。例えば、側板44や、装置本体1Aの他のフレームによって保持部材バネ456の反力を受け、保持部材454を位置決めしてもよい。
【0061】
また、既述のいずれの形態においても、搬送ガイド451,951及び保持部材454が回動する構成であったが、これに限定されない。例えば、搬送ガイド451,951及び保持部材454は、直動するような構成であってもよい。
【0062】
また、既述のいずれの形態においても、押圧コロ455は搬送フレーム42,92に直接押し付けられていたが、これに限定されない。例えば、押圧コロ455と搬送フレームとの接触位置に係止部材を設けてもよい。係止部材は、搬送フレームに対して付勢方向UDにおいて係合しないように構成され、押圧コロ455が押し付けられる。これにより、搬送フレームの剛性を十分に確保できない場合でも、押圧コロ455が押し当てられることで搬送フレームが変位することを低減でき、検知精度を向上できる。
【0063】
また、既述のいずれの形態においても、電子写真方式のプリンタ1を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1:画像形成装置(プリンタ)/4,9:シート搬送装置/10:搬送路/15,215:検知ユニット/30:画像形成部/41:搬送部(搬送ローラ対)/42,92:第1ガイド(搬送フレーム)/46:第1検知部(光学センサ)/46a,346a:発光部/46b,346b:受光部/96:第1検知部、超音波受信素子/346:検知部(光学センサ)/451,951:第2ガイド(搬送ガイド)/451a:第2当接部(当接部)/451b:回動軸/446:検知部/446a:移動部材/446b:出力部材/452:検知部、反射部、第2検知部(反射板)/453:第2付勢部(ガイドバネ)/454:受け部材(保持部材)/454b:第1当接部(当接部)/455:押し付け部、回転体(押圧コロ)/456:付勢部、第1付勢部(保持部材バネ)/531:転写部(転写ローラ)/532:位置決め部材、フレーム(転写フレーム)/952:第2検知部、超音波送信素子/CD:シート搬送方向/R1:領域/S:シート/W:幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13