(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】表示制御装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
G03B 17/18 20210101AFI20240122BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20240122BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20240122BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20240122BHJP
H04N 23/67 20230101ALI20240122BHJP
【FI】
G03B17/18
G02B7/28 N
G03B13/36
H04N23/63
H04N23/67
(21)【出願番号】P 2020012905
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】桑原 康弘
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-037043(JP,A)
【文献】特開2014-207622(JP,A)
【文献】特開2016-167088(JP,A)
【文献】特開2019-020508(JP,A)
【文献】特開2018-054762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/18
G02B 7/28
G03B 13/36
H04N 23/63
H04N 23/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合焦位置に関する情報を取得する取得手段と、
前記合焦位置を示すアイテムをライブビュー画像上に表示制御可能な表示制御手段とを有し、
前記表示制御手段は、前記取得手段により取得された情報に基づき、現在合焦しているとされた第1の位置と第2の位置のうち、前記第1の位置は連続的に合焦している位置であり、前記第2の位置は少なくとも前回は合焦していない位置である場合に、
前記第2の位置に表示する前記合焦位置を示す第2のアイテム
を前記第1の位置に表示する前記合焦位置を示す第1のアイテムよりも視認性の低い表示形態
で表示するように制御することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記取得手段が前記情報を前回取得した際に、前記第1の位置は合焦していたとされた位置であり、前記第2の位置は合焦していないとされた位置であることを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
連続的に合焦している位置とは、所定の回数以上、連続して合焦している位置であることを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記第2のアイテムは前記第1のアイテムよりも、透過度が高い、線が細い、輝度が低い、のいずれかの表示形態で表示されることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
選択された被写体を追尾して合焦処理を行うサーボAFを設定可能な設定手段をさらに有し、
前記情報は、前記合焦処理においてどこに合焦がされたのかを示すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
合焦位置に関する情報を取得する取得ステップと、
前記合焦位置を示すアイテムをライブビュー画像上に表示制御可能な表示制御ステップとを有し、
前記表示制御ステップにおいては、前記取得ステップにおいて取得された情報に基づき、現在合焦しているとされた第1の位置と第2の位置のうち、前記第1の位置は連続的に合焦している位置であり、前記第2の位置は少なくとも前回は合焦していない位置である場合に、
前記第2の位置に表示する前記合焦位置を示す第2のアイテム
を前記第1の位置に表示する前記合焦位置を示す第1のアイテムよりも視認性の低い表示形態
で表示するように制御することを特徴とする表示制御装置の制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載された表示制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載された表示制御装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置およびその制御方法に関し、特にAF枠を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
合焦位置を示す表示により視認性が低下しないように合焦枠の表示形態を変える技術がある。特許文献1には、顔が検出された場合には顔を囲うように1枠のAF枠を表示し、そうでない場合には、合焦が検出された位置にそれぞれAF枠を表示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法では、顔が検出されていない場合に、検出される合焦位置が変わる度に表示されるAF枠の位置が変わるので、測距点が増えてきた場合にユーザがAF枠の表示/非表示の切り替わりがちらついて見える可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、AF枠を表示する際のライブビュー画像の視認性を向上させることが可能な表示制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の表示制御装置は、合焦位置に関する情報を取得する取得手段と、前記合焦位置を示すアイテムをライブビュー画像上に表示制御可能な表示制御手段とを有し、前記表示制御手段は、前記取得手段により取得された情報に基づき、現在合焦しているとされた第1の位置と第2の位置のうち、前記第1の位置は連続的に合焦している位置であり、前記第2の位置は少なくとも前回は合焦していない位置である場合に、前記第2の位置に表示する前記合焦位置を示す第2のアイテムを前記第1の位置に表示する前記合焦位置を示す第1のアイテムよりも視認性の低い表示形態で表示するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、AF枠を表示する際のライブビュー画像の視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態の構成を適用可能な装置の一例としてのデジタルカメラの外観図
【
図2】本発明の実施形態の構成を適用可能な装置の一例としてのデジタルカメラの構成例を示すブロック図
【
図3】本発明の実施形態における撮影処理のフローチャート
【
図4】(a)本発明の実施形態にける表示処理のフローチャート、(b)本発明の実施形態における表示処理の変形例を示すフローチャート
【
図5】本発明の実施形態を説明するための表示例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0010】
図1は本発明の表示制御装置の一例としてのデジタルカメラ100の外観図、
図2は本発明の表示制御装置の一例としてのデジタルカメラ100の構成例を示すブロック図である。
【0011】
図1において、表示部28は画像や各種情報を表示する表示部である。ファインダー内液晶16はファインダー内に設けられた表示部で、表示部28と同様の画像や各種情報を表示する表示部である。表示部28と一体となってタッチパネル70aが設けられる。タッチパネル70aは表示部28の表示面へのタッチ操作を検知可能なので、表示部28に表示されるアイテムや被写体を直感的にタッチ操作することができる。
【0012】
レンズ部150は、レンズを有するレンズユニットである。
【0013】
シャッターボタン61は撮影指示を行うための操作部である。モード切替スイッチ60は各種モードを切り替えるための操作部である。操作部70はユーザからの各種操作を受け付ける各種スイッチ、ボタン、タッチパネル等の操作部材より成る操作部である。電源スイッチ74は、電源オン、電源オフを切り替えるための押しボタンである。メイン電子ダイヤル71は回転操作部材であり、このメイン電子ダイヤル71を回すことで、シャッター速度や絞りなどの設定値の変更等が行える。サブ電子ダイヤル73は選択枠の移動や画像送りなどを行う回転操作部材である。SETボタン75は、主に選択項目の決定などに用いられる押しボタンである。メニューボタン79は、メニュー画面を表示させるためのボタンである。メニュー画面においてはAF(オートフォーカス、自動合焦)や撮影枚数などの撮影に関する設定、記録に関する設定、表示に関する設定を行うことができる。
【0014】
上述した、ファインダー内液晶16は、ファインダ77を覗くことにより視認可能となる。ファインダ77をユーザが覗こうとするとファインダ77の下にある接近センサ75が物体の接近を検知し、ファインダー内液晶16への表示を行うことができる。接近センサ75は物体が接近したかを検知する検知部であり、物体とセンサ間の静電容量の変化を検出し、変化量が閾値を超えているか否かにより物体が接近しているか否かを検知する。接近センサ75の物体の接近の検知方法は、静電容量によるものでなくても、赤外線を放射し、反射してきた赤外線の電力により物体が近くか否かを判定する方式でもよいし、方式は上記のものに限らない。
【0015】
表示切替ボタン78は、ファインダー内液晶16と表示部28との表示を切り替えるためのボタンである。
【0016】
記録媒体200はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。記録媒体スロット201は記録媒体200を格納するためのスロットである。記録媒体スロット201に格納された記録媒体200は、デジタルカメラ100との通信が可能となり、記録や再生が可能となる。蓋202は記録媒体スロット201の蓋である。図においては、蓋202を閉めた状態である。
【0017】
図2は、本実施形態によるデジタルカメラ100の構成例を示すブロック図である。
図2において、撮影レンズ103はズームレンズ、フォーカスレンズを含むレンズ群である。レンズ部150の一例として単焦点のレンズを示している。単焦点のレンズには、広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズがある。レンズ103は通常、複数枚のレンズから構成されるが、ここでは簡略して一枚のレンズのみで示している。通信端子6はレンズ部150がデジタルカメラ100側と通信を行う為の通信端子である。レンズ部150は、この通信端子6,10を介してシステム制御部50と通信し、内部のレンズシステム制御回路4によって絞り駆動回路2を介して絞り102の制御を行い、AF駆動回路3を介して、レンズ103の位置を変位させることで焦点を合わせる。シャッター101は絞り機能を備えるシャッターである。撮像部22は光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子である。A/D変換器23は、アナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換器23は、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するために用いられる。
【0018】
画像処理部24は、A/D変換器23からのデータ、又は、メモリ制御部15からのデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部24では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理が行われ、得られた演算結果に基づいてシステム制御部50が露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部24では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0019】
A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24及びメモリ制御部15を介して、或いは、メモリ制御部15を介してメモリ32に直接書き込まれる。メモリ32は、撮像部22によって得られA/D変換器23によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部28やファインダー内液晶16に表示するための画像データを格納する。メモリ32は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0020】
また、メモリ32は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。D/A変換器13は、メモリ32に格納されている画像表示用のデータをアナログ信号に変換して表示部28やファインダー内液晶16に供給する。こうして、メモリ32に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器13を介して表示部28やファインダー内液晶16により表示される。表示部28は、LCD等の表示器上に、D/A変換器13からのアナログ信号に応じた表示を行う。A/D変換器23によって一度A/D変換されメモリ32に蓄積されたデジタル信号をD/A変換器13においてアナログ変換し、表示部28に逐次転送して表示することで、スルー画像表示(ライブビュー画像表示)を行う。ファインダー内液晶16は、表示部28と同等の処理を行うことで、電子ビューファインダとして機能する。なお、ファインダー内液晶16は、電子ビューファインダでなくてもよく、光学ファインダーであってもよい。光学ファインダの場合には、ファインダー光路上のフォーカシングスクリーンの近くに表示面を配置し、フォーカシングスクリーン上の被写体光学像とファインダー内液晶とのそれぞれの表示を一度に確認できるようにする。
【0021】
不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能な記録媒体としてのメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ56には、システム制御部50の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのコンピュータプログラムのことである。
【0022】
システムメモリ52には、RAMが用いられる。システムメモリ52には、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等を展開する。また、システム制御部50はメモリ32、D/A変換器13、表示部28等を制御することにより表示制御も行う(表示制御可能)。
【0023】
モード切替スイッチ60やシャッターボタン61、操作部70はシステム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作手段である。モード切替スイッチ60は、システム制御部50の動作モードを静止画記録モード、動画撮影モード、インターバル撮影モード、再生モード、メニュー画面等のいずれかに切り替える。
【0024】
第1シャッタースイッチ62は、デジタルカメラ100に設けられたシャッターボタン61の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でONとなり第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。第1シャッタースイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作を開始する。
【0025】
第2シャッタースイッチ64は、シャッターボタン61の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でONとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部50は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部22からの信号読み出しから記録媒体200に画像データを書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0026】
操作部70の各操作部材は、表示部28やファインダー内液晶16等に表示される種々の機能アイコンを選択操作することなどにより、場面ごとに適宜機能が割り当てられ、各種機能ボタンとして作用する。機能ボタンとしては、例えば終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン、属性変更ボタン等がある。例えば、メニューボタンが押されると各種の設定可能なメニュー画面が表示部28等に表示される。利用者は、表示部28等に表示されたメニュー画面と、上下左右の4方向ボタンやSETボタンとを用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0027】
電源制御部80は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部80は、その検出結果及びシステム制御部50の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。
【0028】
電源部30は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。記録媒体I/F18は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのインターフェースである。記録媒体200は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや光ディスク、磁気ディスク等から構成される。
【0029】
接近センサ75は物体がデジタルカメラ100のファインダ77に近づいたかどうかを検知するためのセンサである。物体の接近を非検知のときは表示部28に表示を行い、物体の接近を検知すると表示部28からファインダー内液晶16に表示先を切り替えることなどに用いることができる。
【0030】
なお、操作部70の一つとして、表示部28に対する接触を検知可能なタッチパネル70aを有する。タッチパネル70aにおける入力座標と、表示部28上の表示座標とを対応付ける。これにより、あたかもユーザが表示部28上に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を構成することができる。システム制御部50はタッチパネル70aへの以下の操作。あるいは状態を検出できる。
【0031】
・タッチパネル70aにタッチしていなかった指やペンが新たにタッチパネル70aにタッチしたこと。すなわち、タッチの開始(以下、タッチダウン(Touch-Down)と称する)。
【0032】
・タッチパネル70aを指やペンでタッチしている状態であること(以下、タッチオン(Touch-On)と称する)。
【0033】
・タッチパネル70aを指やペンでタッチしたまま移動していること(以下、タッチムーブ(Touch-Move)と称する)。
【0034】
・タッチパネル70aへタッチしていた指やペンを離したこと。すなわち、タッチの終了(以下、タッチアップ(Touch-Up)と称する)。
【0035】
・タッチパネル70aに何もタッチしていない状態(以下、タッチオフ(Touch-Off)と称する)。
【0036】
タッチダウンが検出されると、同時にタッチオンであることも検出される。タッチダウンの後、タッチアップが検出されない限りは、通常はタッチオンが検出され続ける。タッチムーブが検出されるのもタッチオンが検出されている状態である。タッチオンが検出されていても、タッチ位置が移動していなければタッチムーブは検出されない。タッチしていた全ての指やペンがタッチアップしたことが検出された後は、タッチオフとなる。
【0037】
これらの操作・状態や、タッチパネル70a上に指やペンがタッチしている位置座標は内部バスを通じてシステム制御部50に通知され、システム制御部50は通知された情報に基づいてタッチパネル70a上にどのような操作が行なわれたかを判定する。タッチムーブについてはタッチパネル70a上で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル70a上の垂直成分・水平成分毎に判定できる。またタッチパネル70a上をタッチダウンから一定のタッチムーブを経てタッチアップをしたとき、ストロークを描いたこととする。素早くストロークを描く操作をフリックと呼ぶ。フリックは、タッチパネル70a上に指をタッチしたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作であり、言い換えればタッチパネル70a上を指ではじくように素早くなぞる操作である。タッチパネル70aは、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサ方式等、様々な方式のタッチパネルのうちいずれの方式のものを用いても良い。方式によって、タッチパネルに対する接触があったことでタッチがあったと検出する方式や、タッチパネルに対する指やペンの接近があったことでタッチがあったと検出する方式があるが、いずれの方式でもよい。
【0038】
本実施形態におけるAFモードについて説明をする。AFモードでは、ワンショットAFとサーボAFとからモードを選択可能である。ワンショットAFでは、選択したAF位置にシャッターボタン61を半押ししたことに応じて合焦処理が実行される。ワンショットAFでは、止まっている被写体に対して合焦させるのに適している。サーボAFでは、選択された被写体を追尾し、シャッターボタン61を半押ししている間、被写体にピントを合わせ続ける。サーボAFは動いている被写体を撮影するのに適している。サーボAFの対象となる被写体は、ユーザが選択してなくても自動の設定にすれば検出された被写体(例えば人物の顔)を追尾することができる。
【0039】
また、ワンショットAFでもサーボAFでも、AF位置、AF被写体を選択するときにはライブビュー画像の表示される表示部28上へのタッチ操作をすれば、タッチパネル70aがタッチ操作を検出することで選択可能となる。もしくは、操作部70の操作部材を用いても選択可能となる。本実施形態では測距点として
図5(h)に例示する測距点aからtまでがあるものとして説明をするが、測距点の数は一例であり45点や100点以上でもよい。
【0040】
次に、
図3、
図4のフローチャートを用いて本実施形態における撮影処理と表示処理について説明をする。以下の実施形態においては表示部28にライブビュー画像が表示されている場合について説明をするが、本発明は、ファインダー内液晶16にライブビュー画像が表示される場合にも適用可能である。
【0041】
図3は本実施形態における撮影処理を示しており、デジタルカメラ100に電源が入り撮影モードに入ると開始される。この処理は、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムをシステムメモリ52に展開してシステム制御部50が実行することで実現する。
【0042】
S301では、システム制御部50は、ユーザがAFモードを変更する操作をしたか否かを判定する。AFモードを変更する操作がされたと判定された場合は、S302に進み、そうでない場合は、S303へ進む。
【0043】
S302では、システム制御部50は、S301のユーザの操作に基づき、AFモードを変更する。例えば、ワンショットAFからサーボAFに変更された場合は、メモリ32に記録する。
【0044】
S303では、システム制御部50は、現在設定されているAFモードがサーボAFであるか否かを判定する。サーボAFであると判定した場合は、S304へ進み、そうでない場合は、S310へ進む。
【0045】
S304では、システム制御部50は、ユーザから被写体の選択がされたか否かを判定する。被写体の選択がされたと判定した場合には、S305へ進み、そうでない場合は、S301へ戻る。なお、上述したようサーボAFにおいて被写体をユーザが選択をしなくても、自動で人物の顔を検出してサーボAFを行う顔+追尾優先AFが設定されている場合には、S304の判定を行わずに、顔を検出し、S305へ進む。被写体が既に選択されている場合には、S306に進む。
【0046】
S305では、システム制御部50は、S304において選択された被写体を追尾する書影を開始する。なお、既に追尾を開始している場合には、S304、S305の処理は行わずにS306へ進む。
【0047】
S306では、システム制御部50は、追尾している被写体に対して合焦処理を実行する。なお、上述したシャッターボタン61の半押しで行われる合焦処理よりは、簡易的に合焦処理を行う。
【0048】
S307では、システム制御部50は、S306において行われた合焦処理においてどこに合焦がされたのかを示す合焦情報を取得する。すなわち、
図5(a)~(f)に示すようなライブビュー画像において、被写体Aと被写体Bのうち、被写体Aが選択されたとする。被写体Aは扇風機を示しており、中心部は移動しないが羽の部分は回転により位置が移動する。
図5(a)、(c)、(e)における被写体Aと、
図5(b)、(d)、(f)における被写体Aとは撮影のタイミングが異なり、羽の位置が移動している。このとき、
図5(a)において直前のS306の処理において合焦されたと検出された位置に合焦枠501~507、510が表示される。
図5(a)において合焦枠が表示されていない部分(領域512~515)は合焦していない部分を示す。なお、領域512~515は領域を示すための表示であって、ライブビュー画面上に表示がされるわけではない。また、測距点aからtのうち、合焦した位置を合焦位置1~Nとして、測距点と対応づけてメモリ32に記録をする。もしくは、測距点のそれぞれに合焦フラグを立ててもよい。
【0049】
S308では、システム制御部50は、表示処理を行う。表示処理については
図4(a)、(b)を用いて後述する。S308の処理は、表示部28の表示フレームの更新に合わせてS306、S307の処理を行うこと実行してもよいし、S306、S307の処理が行われるたびに実行してもよい。
【0050】
S309では、システム制御部50は、撮影処理を終了するか否かを判定する。撮影処理は、電源のOFF、再生モードへの切り替え、メニュー画面の表示によって終了する。撮影処理を終了すると判定した場合は、終了し、そうでない場合はS313へ進む。
【0051】
S310からS312の処理はワンショットAFの処理である。
【0052】
S310では、システム制御部50は、AF位置選択がされたか否かを判定する。AF位置が選択されたと判定した場合は、S311へ進み、そうでない場合は、S310の処理を繰り返す。
【0053】
S311では、システム制御部50は、S310で選択された位置を示すAF枠を透過度0%でライブビュー画像に重畳して、表示部28に表示する。
図5(g)は、ワンショットFが設定されている場合のAF枠の表示例を示している。AF枠511はユーザに選択されたAF位置を示している。
【0054】
S312では、システム制御部50は、S310で選択されたAF位置に基づいて合焦処理を実行する。S312における合焦処理は、S306と同様に上述したシャッターボタン61の半押しで行われる合焦処理よりは、簡易的に合焦処理を行う。
【0055】
S313では、システム制御部50は、シャッターボタン61の半押しによって、撮影準備指示がされたか否かを判定する。シャッターボタン61の半押しがされたと判定した場合は、S314へ進み、そうでない場合は、S318へ進む。
【0056】
S314では、システム制御部50は、合焦処理を行う。
【0057】
S315では、システム制御部50は、S314で合焦した位置にAF枠を透過度0%でライブビュー画像に重畳して、表示部28に表示する。S315では、サーボAFの場合には
図5(a)、(b)のように、ワンショットAFの場合には
図5(g)のようにAF枠が表示される。S313でYesと判定され、合焦処理が行われた場合には、S311や後述するS404、S453とは異なる色でAF枠を表示してもよい。ただし、合焦したとされた位置を示すAF枠は同じ表示形態で表示される。
【0058】
S316では、システム制御部50は、シャッターボタン61の全押しによって、撮影指示がされたか否かを判定する。シャッターボタン61の全押しがされたと判定した場合は、S317へ進み、そうでない場合は、S313に戻る。
【0059】
S317では、システム制御部50は、撮影処理を行う。
【0060】
S318では、システム制御部50は、S303と同じ判定をし、Yesの場合は、S304へ進み、Noの場合は、S310へ進む。
【0061】
次に、
図4(a)、(b)を用いて本実施形態における表示処理について説明をする。
図4の処理は、連続的に合焦している測距点に対して合焦枠を通常の状態(透過度0%)で表示し、連続的ではないが現在合焦している測距点に対して合焦枠を通常の状態よりも目立たない表示形態(透過度30%)で表示するための処理である。
図4の処理は、
図3のS308に進むと開始される。この処理は、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムをシステムメモリ52に展開してシステム制御部50が実行することで実現する。
【0062】
S401では、システム制御部50は、合焦位置n(合焦位置1~Nに含まれる位置)は前回合焦していたか否かを判定する。つまり、前回の合焦枠を表示する処理(前回取得した合焦位置を示す情報)においても、合焦していたと判定されていたかを判定する。言い換えると、合焦位置nは2回連続合焦していると判定された合焦位置か否かを判定する。前回合焦していたか否かは、後述する前回合焦フラグがONか否かで判定をすることができる。合焦位置nが前回も合焦していたと判定した場合は、S402へ進み、そうでない場合は、S403へ進む。つまり、2回以上連続で合焦していた場合には、S403へ進み、前回は合焦していないが今回は合焦している場合にはS403へ進む。
【0063】
S402では、システム制御部50は、合焦位置nにおいてAF枠を透過度0%でライブビュー画像上に重畳して、表示部28に表示する。
図5(c)においては、AF枠503、505、507が透過度0%で表示されるAF枠を示している。また、
図5(d)においては、AF枠503、505、507が透過度0%で表示されるAF枠を示している。
【0064】
S403では、システム制御部50は、合焦位置nにおいてAF枠を透過度30%でライブビュー画像に重畳して、表示部28に表示する。
図5(c)においては、AF枠501a、502a、504a、510a、506aが透過度30%で表示されるAF枠を示している。
図5(d)においては、AF枠501a、509a、508a、504a、506aが透過度30%で表示されるAF枠を示している。
【0065】
S404では、システム制御部50は、全ての合焦位置1~Nに対してS402またはS403の表示処理をしたか否かを判定する。全ての合焦位置1~Nに対して表示処理をしたと判定した場合には、S405へ進み、そうでない場合は、S401へ戻る。
【0066】
S405では、システム制御部50は、直前の
図3のS307で取得した合焦位置1~Nに対して前回合焦フラグをONにし、メモリ32に記録する。前回合焦フラグとは、前回のS307における判定において合焦していたかを示すものである。このフラグは、S401のように、次の合焦枠を表示する処理(次の表示フレーム)において、使用される。
【0067】
S406では、システム制御部50は、合焦していない非合焦位置に対して前回合焦フラグをOFFにする。
【0068】
以上、説明した実施形態によれば、AF枠が表示される際のちらつきを低減することができる。これにより、ユーザのライブビュー画像の視認性が向上する。ライブビュー画像の視認性が向上すると、AF枠の位置を把握しつつも、被写体の様子がより分かりやすくなり撮影に集中することができるようになる。
図5(a)、(b)のように合焦した位置の全てに透過度0%のAF枠を表示すると、AF枠502、508、509、510が表示されたり、非表示になったりする。このように、表示/非表示が頻繁に切り替わると、ユーザはちらつきを感じる。
図5(c)、(d)のように連続的に合焦した位置では透過度0%のAF枠を表示し、そうでないAF枠は透過度を30%で透過度0%よりも目立たないように表示をする。これにより、いくつかのAF枠が表示/非表示を繰り返しても、ちらつきを低減することができる。また、ユーザは安定的に合焦している位置がどこなのかを把握することができる。
【0069】
本実施形態を言い換えると、S307においてN回目の表示で合焦しているとされた2つの位置のうち、第1の位置は直前のN-1回目の表示の際に合焦しているとされ、第2の位置はN-1回目の表示の際に合焦していないとされた場合は以下のようになる。つまり、第1の位置ではN回目の表示で、透過度が0%の表示となり、第2の位置はN回目の表示で透過度が30%の表示になり、同じ合焦位置であってもそれぞれの表示形態が異なるようになる。
【0070】
また、同じ測距点であっても、N-2回目に合焦していないとされ、N-1回目に合焦しているとされた場合は透過度30%で表示されるが、続いてN回目にも合焦しているとされた場合には透過度0%で表示がされるようになる。
【0071】
次に
図4(b)を用いて
図4(a)の表示処理の変形例を説明する。
図4(a)では2回連続で合焦したら透過度0%で表示することを説明したが、
図4(b)では連続4回以上で合焦したら透過度0%で表示をする例を説明する。
図4(b)のフローチャートは、以下で説明すること以外は
図4(a)と同様である。
図4の処理は、
図3のS308に進むと開始される。この処理は、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムをシステムメモリ52に展開してシステム制御部50が実行することで実現する。
【0072】
S451では、システム制御部50は、合焦位置n(合焦位置1~Nに含まれる位置)は連続合焦回数Aが4回以上か否かを判定する。なお、S451において判定をする連続合焦回数Aの閾値は4回でなくても3回でも5回でもよい(所定回数以上とする)。合焦位置nの連続合焦回数Aが4回以上であると判定した場合は、S452へ進み、そうでない場合は、S453へ進む。連続合焦回数Aはメモリ32に記録されている。
【0073】
S452では、システム制御部50は、S402と同様の処理をする。
【0074】
S453では、システム制御部50は、S403と同様の処理をする。
【0075】
S454では、システム制御部50は、S404と同様の判定を行い、Yesの場合は、S455へ進み、Noの場合は、S451へ戻る。
【0076】
S455では、システム制御部50は、合焦位置1~Nに対して連続合焦回数A=A+1にしてメモリ32に記録する。
【0077】
S456では、システム制御部50は、非合焦位置に対してA=0としてメモリ32に記録する。
【0078】
以上、説明した変形によれば、AF枠が表示される際のちらつきを低減することができる。これにより、ユーザのライブビュー画像の視認性が向上する。また、
図4(a)よりも多くの回数連続的に合焦しないと透過度0%で表示がされないので、ちらつきがより目立ちにくくなる。
【0079】
なお、
図4(a)のように2回連続で合焦したら透過度0%のAF枠を表示するか、
図4(b)のように4回以上連続で合焦したら透過度0%のAF枠を表示するかは、被写体の動きに応じて変更してもよい。また、動きの多い被写体であればS451で判定する閾値を大きくしてもよい。さらに、
図4(b)の場合には、合焦した連続回数に応じて徐々に透過度を下げていってもよい。例えば、2回連続で透過度30%、3回連続で透過度10%、4回連続で透過度0%としてもよい。
【0080】
さらに、
図4(a)、(b)において、被写体が以下の被写体であればS401、S451の判定を行わずに透過度0%で表示をすることも有用である。例えば所定サイズ以上(表示部28の半分以上や3分の1以上の面積で表示されている)の人物の顔、動物、瞳である。所定サイズ以上の人物の顔である場合には、その人物を中心として撮影を行っている可能性が高い。よって、多少ちらついたとしてもその人物の顔に合焦していることを確認できた方がよい。瞳の場合も同様である。また、動物の場合にはよく動き回るので、その動物のどの位置に合焦しているか、というよりも、その動物に合焦できていることを確認できた方がよい可能性がある。これらの被写体の検出は、システム制御部50において撮影された画像から被写体の種類を検出する。
【0081】
なお、AF枠の表示形態の変更の仕方は透過度を上げるだけでなく、
図5(e)、(f)のように、AF枠の線を細く表示するようにしてもよい。
図5(e)では、AF枠501b、502b、504b、510b、506b、
図5(f)では、AF枠501b、508b、509b、504b、506bが通常のAF枠(503、505、507)よりも細い線で表示されている。つまり、ライブビュー画像に重畳して表示される面積が小さくなっている。これにより、表示/非表示を繰り返してもちらつきを低減することができる。
【0082】
上述の実施形態においては、連続的に合焦していない測距点については、透過度を上げる、もしくは線を細くしてAF枠を表示することを説明したが、表示形態はこれに限らずライブビュー画像との重畳する領域が小さい、もしくはライブビュー画像の視認性がより高くなる(ライブビュー画像の見えている領域が大きくなったり、より目立たない)ようなAF枠の表示形態であればよい。つまり、連続的に合焦している測距点を実線、そうでない測距点を点線で表示したり、連続的に合焦している測距点を赤色、そうでない測距点を黄色(より視認性の低い色)で表示したりしてもよい。さらには、連続的に合焦している測距点を、そうでない測距点よりも高い輝度で表示をしてもよい。
【0083】
また、上述の実施形態は、測距点の数が所定数以上の場合に行い、そうでない場合には連続的に合焦していなくても表示形態を変えなくてもよい。測距点の数が多いほど、より細かく合焦状況を把握することができるが、一方で被写体が動いた場合には合焦状況が頻繁に変わるためちらつきがより目立つようになる。測距点が多いほど、小さなAF枠がついたり消えたりするので、ちらつきが目立つが本実施形態によればちらつきを低減することができる。
【0084】
なお、システム制御部50が行うものとして説明した上述の各種の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0085】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0086】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラ100に適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、ライブビュー画像に重畳してAF枠を表示することができるような表示制御装置であれば適用可能である。すなわち、本発明は携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、ファインダーを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどに適用可能である。
【0087】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。